(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022187995
(43)【公開日】2022-12-20
(54)【発明の名称】伸張変形電極及び生体感知システム
(51)【国際特許分類】
A61B 5/1473 20060101AFI20221213BHJP
A61B 5/1486 20060101ALI20221213BHJP
【FI】
A61B5/1473
A61B5/1486
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022087573
(22)【出願日】2022-05-30
(31)【優先権主張番号】202110638543.6
(32)【優先日】2021-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】522214015
【氏名又は名称】テン ライブズ メディカル テクノロジー
【氏名又は名称原語表記】Ten Lives Medical Technology
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】チェン クアンジュン
(72)【発明者】
【氏名】リウ ユーチェン
【テーマコード(参考)】
4C038
【Fターム(参考)】
4C038KK10
4C038KL01
4C038KL09
4C038KY08
4C038KY11
4C038KY13
(57)【要約】 (修正有)
【課題】着用可能な生理学的感知装置に良好かつ安定に適用できる感知電極を提供する。
【解決手段】伸張変形電極は、第1伸張範囲と第2伸張範囲とを有する伸張部を備える。伸張部は、第1伸張範囲における第1長さ変化量と第1抵抗変化量とを有し、第2伸張範囲における第2長さ変化量と第2抵抗変化量とを有する。第1抵抗変化量は、第1長さ変化量が変化する時に実質的に変化せず、第2抵抗変化量は、第2長さ変化量が変化する時に変化する。第2抵抗変化量をR2、第2長さ変化量をL2と表すと、R2=A×L2であり、Aは0.05~2の正数である。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1伸張範囲と第2伸張範囲とを有する伸張部を備え、
前記伸張部は、前記第1伸張範囲における第1長さ変化量と第1抵抗変化量とを有し、前記第2伸張範囲における第2長さ変化量と第2抵抗変化量とを有し、
前記第1抵抗変化量は、前記第1長さ変化量が変化する時に実質的に変化せず、
前記第2抵抗変化量は、前記第2長さ変化量が変化する時に変化し、
前記第2抵抗変化量をR2、前記第2長さ変化量をL2と表すと、R2=A×L2であり、Aは、0.05~2の正数である、
伸張変形電極。
【請求項2】
前記伸張部の伸張抵抗回復率は、95%~100%であり、
前記伸張部の伸張回復回数は、1~3000回である、
請求項1に記載の伸張変形電極。
【請求項3】
R2=A×L2で表される式の決定係数(R2)は、0.95~1.00である請求項1又は2に記載の伸張変形電極。
【請求項4】
前記第1長さ変化量は、0%~250%であり、
前記第2長さ変化量は、250%~450%である、
請求項1又は2に記載の伸張変形電極。
【請求項5】
前記第2長さ変化量の範囲に対する前記第1長さ変化量の範囲の比が1.25以上である請求項1又は2に記載の伸張変形電極。
【請求項6】
前記伸張部は、複数の導電性粒子構造を含み、
前記導電性粒子構造の平均粒径は、0.5nm~100μmである、
請求項1又は2に記載の伸張変形電極。
【請求項7】
前記伸張部は、複数の導電性ワイヤ構造を含み、
前記導電性ワイヤ構造の平均ワイヤ直径は、0.5nm~1μmであり、
前記導電性ワイヤ構造の平均ワイヤ長さは、50nm~1000μmである、
請求項1又は2に記載の伸張変形電極。
【請求項8】
送信機と、
前記送信機と電気的に接続する受信機と、
前記送信機と電気的に接続する制御装置と、
前記制御装置と電気的に接続する補正装置と、を備え、
前記送信機は、請求項1に記載の伸張変形電極を含む作用電極層を備え、
前記受信機は、被測定物質を受信し、前記被測定物質によって生成された第1信号値を前記送信機に送信し、
前記送信機は、前記第1信号値及び第2信号値を出力し、
前記制御装置は、前記第1信号値及び前記第2信号値を受信し、前記第2信号値が前記伸張部の前記第2伸張範囲内にあるかどうかを判定し、
前記補正装置は、前記第2信号値が前記伸張部の前記第2伸張範囲内にある時は、前記第1信号値を補正し、前記被測定物質の測定対象パラメータを算出する、
生体感知システム。
【請求項9】
前記第2信号値が前記伸張部の前記第2伸張範囲内にない時は、前記補正装置は補正機能を実行しない請求項8に記載の生体感知システム。
【請求項10】
前記第1信号値は、電流値を含み、
前記第2信号値は、抵抗値を含む、
請求項8又は9に記載の生体感知システム。
【請求項11】
前記伸張部は、第1端点から第2端点まで延在し、
前記電流値が0.0001μA~1000μAである時は、前記伸張部の伸張長さ変化量が450%未満であり、
前記第1端点と前記第2端点との電位差が-1V~1Vである時は、サイクリックボルタモグラムにおける前記伸張部の面積が0.00015μA×V~1500μA×Vである、
請求項10に記載の生体感知システム。
【請求項12】
前記伸張部は、第1端点から第2端点まで延在し、
前記電流値が0.0001μA~835μAである時は、前記伸張部の伸張長さ変化量が450%未満であり、
前記第1端点と前記第2端点との電位差が-1V~1Vである時は、矩形波ボルタモグラムにおける前記伸張部の面積が0.00015μA×V~1245μA×Vである、
請求項10に記載の生体感知システム。
【請求項13】
前記伸張部は、第1端点から第2端点まで延在し、
前記電流値が0.0001μA~795μAの間である時は、前記伸張部の伸張長さ変化量が450%未満であり、
前記第1端点と前記第2端点との間の電位差が-1V~1Vである時は、前記伸張部の微分パルスボルタモグラムにおける面積が0.00015μA×V~1195μA×Vである、
請求項10に記載の生体感知システム。
【請求項14】
前記受信機は、さらに、
前記作用電極層に接続され、前記第1信号値を前記作用電極層に伝達する信号伝達層と、
前記被測定物質を受け取る信号生成層と、
前記信号伝達層と前記信号生成層との間に挟まれた信号増強層と、を備える、
請求項8又は9に記載の生体感知システム。
【請求項15】
前記信号伝達層の酸化電位は、前記信号増強層の酸化電位よりも高い、請求項14に記載の生体感知システム。
【請求項16】
前記作用電極層は、第1表面と、前記第1表面とは反対を向いている第2表面とを有し、
前記生体感知システムは、さらに、
前記第1表面上に配置される基板と、
前記第2表面上に配置される防水層と、を備え、
前記防水層は、貫通孔を有し、
前記受信機が前記貫通孔によって露出されている、
請求項8又は9に記載の生体感知システム。
【請求項17】
前記作用電極層は、第1側面と、前記第1側面とは反対を向いている第2側面とを有し、
前記送信機は、さらに、
前記第1側面に配置され、伸張変形電極を含む対向電極層と、
前記第2側面に配置され、前記伸張変形電極を含む参照電極層と、を備える
請求項8又は9に記載の生体感知システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本開示は、2021年6月8日に出願された中国特許出願第202110638543.6号の優先権を主張するものであり、これは参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、伸張変形電極、及び伸張変形電極を含む生体感知システムに関する。
【背景技術】
【0003】
科学技術の発展に伴い、市販されている多くの生理学的感知装置は次第に薄く、短く、着用可能な形に進化している(特許文献1、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】中国特許出願公開第111292878号明細書
【特許文献2】中国特許出願公開第106895931号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、着用可能な生理学的感知装置における感知電極は、しばしば、ユーザの四肢の動きによって引き起こされる大きな伸張変形に耐えることができず、使用中に局所的な亀裂又は全体的な破損を生じやすい。その結果、ノイズ及び信号の中断が発生し、生理学的感知装置が、感知電極によって測定された生体信号を正確に収集することができなくなる。したがって、着用可能な生理学的感知装置に良好かつ安定に適用できる感知電極をどのように提供するかは、この分野の研究に値する方向性である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のいくつかの実施形態に係る伸張変形電極は、第1伸張範囲と第2伸張範囲とを有する伸張部を備える。伸張部は、第1伸張範囲における第1長さ変化量と第1抵抗変化量とを有し、第2伸張範囲における第2長さ変化量と第2抵抗変化量とを有する。第1抵抗変化量は、第1長さ変化量が変化する時に実質的に変化せず、第2抵抗変化量は、第2長さ変化量が変化する時に変化する。第2抵抗変化量をR2、第2長さ変化量をL2と表すと、R2=A×L2であり、Aは0.05~2の正数である。
【0007】
本開示のいくつかの実施形態において、伸張部の伸張抵抗回復率は、95%~100%である。
【0008】
本開示のいくつかの実施形態において、伸張部の伸張回復回数は、1~3000回である。
【0009】
本開示のいくつかの実施形態において、R2=A×L2で表される式の決定係数(R2)は、0.95~1.00である。
【0010】
本開示のいくつかの実施形態において、第1長さ変化量は0%~250%であり、第2長さ変化量は250%~450%である。
【0011】
本開示のいくつかの実施形態において、第2長さ変化量の範囲に対する第1長さ変化量の範囲の比は、1.25以上である。
【0012】
本開示のいくつかの実施形態において、伸張部は、複数の導電性粒子構造を含み、導電性粒子構造の平均粒径は、0.5nm~100μmである。
【0013】
本開示のいくつかの実施形態において、伸張部は、複数の導電性ワイヤ構造を含み、導電性ワイヤ構造の平均ワイヤ直径は、0.5nm~1μmであり、導電性ワイヤ構造の平均ワイヤ長さは、50nm~1000μmである。
【0014】
本開示のいくつかの他の実施形態に係る生体感知システムは、送信機、受信機、制御装置、及び補正装置を備える。送信機は、上述の伸張変形電極を含む作用電極層を備える。受信機は、送信機と電気的に接続し、被測定物質を受信し、被測定物質によって生成された第1信号値を送信機に送信し、送信機は、第1信号値及び第2信号値を出力する。制御装置は、送信機と電気的に接続し、第1信号値及び第2信号値を受信し、第2信号値が伸張部の第2伸張範囲内にあるかどうかを判定する。補正装置は、制御装置と電気的に接続し、第2信号値が伸張部の第2伸張範囲内にある時は、第1信号値を補正して被測定物質の測定対象パラメータを算出する。
【0015】
本発明の開示のいくつかの実施形態において、第2信号値が伸張部の第2伸張範囲内にない時は、補正装置は補正機能を実行しない。
【0016】
本開示のいくつかの実施形態において、第1信号値は、電流値を含み、第2信号値は、抵抗値を含む。
【0017】
本開示のいくつかの実施形態において、伸張部は、第1端点から第2端点まで延在し、電流値が0.0001μA~1000μAである時は、伸張部の伸張長さ変化量は450%未満であり、第1端点と第2端点との間の電位差が-1V~1Vである時は、サイクリックボルタモグラムにおける伸張部の面積は0.00015μA×V~1500μA×Vである。
【0018】
本開示のいくつかの実施形態において、伸張部は、第1端点から第2端点まで延在し、電流値が0.0001μA~835μAである時は、伸張部の伸張長さ変化量は450%未満であり、第1端点と第2端点との間の電位差が-1V~1Vである時は、矩形波ボルタモグラムにおける伸張部の面積は0.00015μA×V~1245μA×Vである。
【0019】
本開示のいくつかの実施形態において、伸張部は、第1端点から第2端点まで延在し、電流値が0.0001μA~795μAである時は、伸張部の伸張長さ変化量は450%未満であり、第1端点と第2端点との間の電位差が-1V~1Vである時は、微分パルスボルタモグラムにおける伸張部の面積は0.00015μA×V~1195μA×Vである。
【0020】
本開示のいくつかの実施形態において、受信機は、信号伝達層、信号生成層、及び信号増強層を含む。信号伝達層は、作用電極層に接続され、第1信号値を作用電極層に伝達する。信号生成層は、被測定物質を受け取る。信号増強層は、信号伝達層と信号生成層との間に挟まれている。
【0021】
本開示のいくつかの実施形態において、信号伝達層の酸化電位は、信号増強層の酸化電位よりも高い。
【0022】
本開示のいくつかの実施形態において、作用電極層は、第1表面と、第1表面とは反対を向いている第2表面とを有し、生体感知システムは、基板及び防水層をさらに含む。基板は、作用電極層の第1表面上に配置される。防水層は、貫通孔を有する作用電極層の第2表面上に配置され、受信機は、貫通孔によって露出される。
【0023】
本開示のいくつかの実施形態において、作用電極層は、第1側面と、第1側面とは反対を向いている第2側面とを有し、送信機は、対向電極層及び参照電極層をさらに含む。対向電極層は、作用電極層の第1側面に配置され、上述の伸張変形電極を含む。参照電極層は、作用電極層の第2側面に配置され、上述の伸張変形電極を含む。
【0024】
本開示の上述の実施形態に係る伸張変形電極は、大きな伸張変形に耐える能力を有し、したがって、伸張変形電極は、ユーザの四肢の動きに起因する局所的な亀裂又は全体的な破損を生じることなく、着用可能な生体感知システムによく適用することができる。また、伸張変形電極の伸張変形量(例えば、長さ変化量)がある値を超えると、伸張変形電極の抵抗が変化し始め、出力信号値が減少する。この場合は、生体感知システムは、さらに、生体感知システム内の補正装置を介して補正機能を実行し、実際の信号値(例えば、第1信号値)を算出した後、ユーザの身体内の被測定物質の測定対象パラメータを算出することができる。換言すれば、伸張変形電極と補正装置との組み合わせによって、本開示の生体感知システムは、従来の生理学的感知装置よりも広く適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
本開示は、以下の添付図面を参照して実施形態の以下の詳細な説明を読むことによって、より完全に理解することができる。
【0026】
【
図1】本開示のいくつかの実施形態に係る生体感知システムのブロック図である。
【
図2】
図1における送信機の作用電極層の概略斜視図である。
【
図3】
図2における伸張変形電極の伸張部の抵抗変化量と伸張長さ変化量の関係を示す図である。
【
図4】
図2における伸張変形電極の伸張部の伸張回復期間の抵抗変化量と回数の関係を示す図である。
【
図5】
図1における生体感知システムの概略分解図であり、制御装置及び補正装置は省略されている。
【
図6】本開示のいくつかの実施形態に係る生体感知システムの感度と伸張部の伸張長さ変化量との間の関係を示す図である。
【
図7】本開示のいくつかの実施形態に係る生体感知システムの第1信号値と、被測定物質の測定対象パラメータとの間の関係を示す図である。
【
図8】本開示のいくつかの実施形態に係る生体感知システムにおける伸張変形電極の伸張部のサイクリックボルタモグラムを示す図である。
【
図9A】本開示のいくつかの実施形態に係る生体感知システムにおける伸張変形電極の伸張部の矩形波ボルタモグラムを示す図である。
【
図9B】
図9Aの矩形波ボルタモグラムに示される、伸張部の面積と被測定物質の測定対象パラメータとの関係の試験結果を具体的に示す図である。
【
図10A】本開示のいくつかの実施形態に係る生体感知システムにおける伸張変形電極の伸張部の微分パルスボルタモグラムを示す図である。
【
図10B】
図10Aの微分パルスボルタモグラムに示される、伸張部の面積と被測定物質の測定対象パラメータとの関係の試験結果を具体的に示す図である。
【
図11A】本開示のいくつかの実施形態に係る生体感知システムにおける伸張変形電極の伸張部のクロノアンペロメトリックグラフを示す図である。
【
図11B】
図11Aのクロノアンペロメトリックグラフの50秒時点における、伸張部の第1信号値と被測定物質の測定対象パラメータとの関係の試験結果を具体的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を用いて、本開示の複数の実施形態を開示する。明確な説明のために、多くの実用的な詳細が以下の記載では一緒に説明される。しかしながら、実用的な詳細は、本開示を制限するために使用されるべきではないことを理解されたい。換言すれば、本開示のいくつかの実施形態において、実用的な詳細は必須ではなく、したがって、本開示を制限するために使用されるべきではない。さらに、図面の簡略化のために、いくつかの周知かつ従来の構造及び要素が、図面において単純かつ概略的に示されている。また、図面内の各要素のサイズは、読者の便宜のために、実際の尺度に応じて描画されていない。
【0028】
本明細書では、図面に示すように、「下」又は「底」及び「上」又は「頂上」などの相対的な用語は、1つの要素と別の要素との関係を記載するために使用され得ることを理解されたい。相対的な用語は、図面に示された向きに加えて、装置の異なる向きを包含することを意図していることを理解されたい。例として、図面中の装置がひっくり返される場合は、他の要素の「下」側にあると記載された要素は、その後、他の要素の「上」側に方向付けられる。したがって、例示的な用語「下側」は、図面の特定の向きに応じて、「下側」及び「上側」の両方の向きを含むことができる。同様に、図面の1つの装置がひっくり返される場合は、他の要素の「下側」又は「下方」として記載される要素は、他の要素の「上」に方向付けられる。したがって、例示的な用語「下側」又は「下方」は、「上」及び「下」の配向を包含し得る。また、本開示の記載において、範囲を示す「A~B」は、特に言及しない限りは両端を含み、即ち、「A以上B以下」と同義である。
【0029】
本開示は、伸張変形電極、及び伸張変形電極を含む生体感知システムを提供する。本開示の伸張変形電極は、大きな伸張変形に耐える能力を有し、したがって、伸張変形電極は、ユーザの四肢の動きに起因する局所的な亀裂又は全体的な破壊を伴わずに、着用可能な生体感知システムによく適用することができる。一方、伸張変形電極の伸張変形量(例えば、長さ変化量)がある値を超えると、伸張変形電極の抵抗が変化し始め、出力信号値が減少する。この場合は、生体感知システムは、さらに、生体感知システム内の補正装置を介して補正機能を実行し、実際の信号値を算出した後、ユーザの体内の被測定物質(例えば、グルコース)の測定対象パラメータ(例えば、濃度)を算出することができる。換言すれば、伸張変形電極と補正装置との組み合わせによって、本開示の生体感知システムは、従来の生理学的感知装置よりも広く適用することができる。
【0030】
図1は、本開示のいくつかの実施形態による生体感知システム100のブロック図である。本開示の生体感知システム100は、着用可能な生体感知システム100とすることができ、これは、例えば、ユーザの身体上に配置することができる生体感知パッチとすることができる。生体感知システム100は、受信機110、送信機120、制御装置130、及び補正装置140を含む。いくつかの実施形態において、制御装置130及び/又は補正装置140は、プロセッサと、プロセッサが実行する時に以下に説明されるような動作を行う命令を格納するメモリによって実装されることができる。送信機120は、受信機110に電気的に接続される。制御装置130は、送信機120に電気的に接続される。補正装置140は、制御装置130に電気的に接続される。受信機110は、ユーザの身体に接触して、ユーザの身体内の被測定物質を受信し、被測定物質によって生成された信号値を送信機120に送信するように構成されている。送信機120は、受信機110から制御装置130に信号値を送信するように構成される。制御装置130は、信号値を補正する必要があるかどうかをさらに判定する。信号値を補正する必要がないと判定された場合は、制御装置130は、信号値から被測定物質の測定対象パラメータを算出することができる。信号値を補正する必要があると判定された場合は、補正装置140は、信号値を補正するように構成される。その後、制御装置130は、補正された信号値を介して被測定物質の測定対象パラメータを算出する。生体感知システム100の動作に関する具体的な詳細は、以下にさらに説明される。
【0031】
図2は、
図1の送信機120の作用電極層122Aの概略斜視図である。本開示の送信機120は、作用電極層122Aを含むことができる。作用電極層122Aは、伸張変形電極122を含むことができる。伸張変形電極122は、着用可能な生体感知システム100に安定して適用されるように、大きな伸張変形に耐える能力を有してもよい。いくつかの実施形態において、伸張変形電極122は、第1端点P1から第2端点P2まで延在する伸張部122Sを有し、伸張部122Sは、外部応力(例えば、ユーザの動きによって発生する外力)に応答して伸張変形をすることができる。以下の説明では、
図2の伸張変形電極122の伸張部122Sについて、
図3及び
図4の説明を通じて詳細に説明する。
【0032】
図3は、
図2の伸張変形電極122の伸張部122Sの抵抗変化量と伸張長さ変化量との関係を示す図である。具体的には、
図3に、伸張変形電極122の伸張部122Sを外力で伸張変形させた時の抵抗変化量と伸張長さ変化量との関係を示す。
図2及び
図3を参照する。伸張変形電極122の伸張部122Sは、抵抗変化量と伸張長さ変化量との関係を示す図において、第1伸張範囲A1と第2伸張範囲A2とを有する。第1伸張範囲A1において、伸張部122Sは、第1長さ変化量L1(即ち、第1伸張範囲A1内の曲線上の任意の点の水平軸座標位置)と、第1抵抗変化量R1(即ち、第1伸張範囲A1内の曲線上の任意の点の垂直軸座標位置)とを有する。第2伸張範囲A2において、伸張部122Sは、第2長さ変化量L2(即ち、第2伸張範囲A2内の曲線上の任意の点の水平軸座標位置)と第2抵抗変化量R2(即ち、第2伸張範囲A2内の曲線上の任意の点の垂直軸座標位置)とを有する。特に留意すべきは、ここでいう「長さ変化量」とは、「伸張前の長さLi(即ち、元の長さLi)に対する、伸張後の伸張部122Sの長さLfの比(%で表す)」であり、「抵抗変化量」とは、「伸張前の抵抗Riに対する、伸張後の抵抗Rfから伸張前の伸張部122Sの抵抗Riを差し引いた値ΔRの比(%で表す)」である。
【0033】
いくつかの実施形態において、第1抵抗変化量R1は実質的に変化せず(即ち、第1長さ変化量L1に対する第1抵抗変化量R1の変化が小さいので、測定偏差範囲が許容できることを意味し、したがって、補正は不要である。)、第2抵抗変化量R2は第2長さ変化量L2とともに変化する。本明細書で使用される「実質的に」とは、所定の値又は範囲の5%以内、好ましくは3%以内を意味することに特に留意されたい。即ち、上述した「第1抵抗変化量R1が実質的に変化しない」とは、「第1抵抗変化量R1が5%以内である」ことをいう。具体的には、第1伸張範囲A1では、伸張部122Sの抵抗変化量(即ち、第1抵抗変化量R1)が伸張長さ変化量(即ち、第1長さ変化量L1)に伴って実質的に変化しないため、伸張部122Sの伸張長さ変化量が第1伸張範囲A1に収まると、伸張変形電極122が出力する信号値がそれに応じて実質的に減少しないため、さらなる補正を必要としない信号値から、被測定物質の測定対象パラメータを正確に算出することができる。これに対して、第2伸張範囲A2では、伸張部122Sの抵抗変化量(即ち、第2抵抗変化量R2)が伸張長さ変化量(即ち、第2長さ変化量L2)に伴って変化するため、伸張部122Sの伸張長さ変化量が第2伸張範囲A2内に収まると、それに応じて伸張変形電極122から出力される信号値が減少するため、さらに信号値を補正する必要があり、補正後の信号値によって被測定物質の測定対象パラメータを正確に算出することができる。以上のことから、第1伸張範囲A1を「非補正領域A1」とも称し、第2伸張範囲A2を「補正領域A2」とも称する。生体感知システム100によって実行される補正に関する具体的な詳細は、以下でさらに説明される。
【0034】
いくつかの実施形態において、補正領域A2について、第2抵抗変化量R2と第2長さ変化量L2との関係は、式(1)によって表すことができる。
式(1)R2=A×L2
ここで、Aは0.05~2の正数である。換言すれば、
図3の補正領域A2において、補正領域A2に対応するR2値及びL2値は、いずれも式(1)の関係に従うことが分かる。以上のことから、伸張変形電極122の伸張部122Sは、伸張部122Sが外力を受けて伸張変形する時の抵抗変化量が適切であるため、補正を行うことができる生体感知システム100への適用を容易にし、これにより、伸張部122Sの抵抗変化量が瞬間的に過剰となって補正が困難とならないようにすることができる。具体的には、式(1)においてAが0.05未満であれば、非補正領域A1と補正領域A2との間に差が生じない。即ち、伸張変形電極122の伸張部122Sには補正領域A2がないため、伸張変形電極122を、補正可能な生体感知システム100に適用することができなくなる。また、式(1)においてAが2より大きいと、伸張変形電極122の伸張部122Sが外力によって変形する時に、伸張部122Sの抵抗変化量が瞬間的に増加し、補正が困難になる、又は補正ができなくなるなどの問題が生じる。いくつかの好ましい実施形態において、Aは式(1)において0.05~0.50の正数であり、上述の効果がより良く得られる。一方、式(1)で表される式の決定係数(R
2)は、補正領域A2において、伸張部122Sの抵抗変化量と伸張長さ変化量とが実質的に線形の関係に近付くように、0.95~1.00としてもよく、これにより補正の精度及び利便性を向上させる。いくつかの好ましい実施形態において、式(1)によって表される式の決定係数(R
2)は、さらに0.99~1.00であってもよい。
【0035】
いくつかの実施形態において、非補正領域A1における伸張部122Sの伸張長さ変化量(即ち、第1長さ変化量L1)の範囲Z1と、補正領域A2における伸張部122Sの伸張長さ変化量(即ち、第2長さ変化量L2)の範囲Z2との比は、1.25以上でもよい。換言すれば、非補正領域A1における伸張部122Sの伸張長さ変化量の範囲Z1は比較的大きく、伸張変形電極122は、追加の補正を行うことなく、ある伸張長さ変化量の下で動作することができる。いくつかの実施形態において、非補正領域A1における伸張部122Sの伸張長さ変化量(即ち、第1長さ変化量L1)の範囲Z1は、0%~250%であってよく、補正領域A2における伸張部122Sの伸張長さ変化量(即ち、第2長さ変化量L2)の範囲Z2は、250%~450%であってよい。換言すれば、伸張部122Sの伸張長さ変化量が250%未満であれば、生体感知システム100は、伸張変形電極122が出力する信号値から被測定物質の測定対象パラメータを直接算出することができる。伸張部122Sの伸張長さ変化量が250%を超えると、生体感知システム100は、伸張変形電極122から出力される信号値をさらに補正し、補正後の信号値から被測定物質の測定対象パラメータを算出することができる。
【0036】
図4は、
図2の伸張変形電極122の伸張部122Sの伸張回復期間における抵抗変化量と回数の関係を示す図であり、
図4に示される275%、300%、375%、450%は、伸張変形電極122の伸張部122Sの伸張長さ変化量を示している。
図4に示されるように、伸張変形電極122の伸張部122Sは、伸張部122Sの元の長さ(即ち、伸張長さ変化量は、275%、300%、375%、及び450%である。)の275%、300%、375%、及び450%に伸張された時に、依然として、伸張部122Sの元の抵抗に良好に戻ることができる。具体的には、伸張変形電極122の伸張部122Sは、伸張部122Sの伸張長さ変化量が徐々に増加する一方で、600秒間連続的に複数回伸張した後も、十分に伸張部122Sの抵抗に復帰することができる。一方、伸張変形電極122の伸張部122Sの伸張抵抗回復率は、95%~100%である。伸張抵抗回復率とは、「今回の伸張回復後の伸張部122Sの抵抗と前回の伸張回復後の伸張部122Sの抵抗との比」と定義される。換言すれば、伸張部122Sは、伸張された後に回復すると、伸張前の伸張部122Sの抵抗にほぼ完全に復帰することができる。また、一部の実施形態において、伸張部122Sの伸張抵抗回復率が上記範囲内であることを前提として、伸張部122Sの伸張回復回数を1~3000回とすることができ、好ましくは、伸張回復回数を500~1500回とすることができる。上記に基づいて、本開示の伸張変形電極122は、生体感知システム100により良く適用されるように、良好な伸張抵抗回復を有することができ、これにより、生体感知システム100の再利用性を確保し、生体感知システム100の耐用年数を長くする。
【0037】
再び
図2を参照する。いくつかの実施形態において、伸張変形電極122の伸張部122Sは、複数の導電性構造を含んでもよく、導電性構造は、例えば、導電性粒子構造及び/又は導電性ワイヤ構造であってもよい。いくつかの実施形態において、導電性粒子構造の平均粒径は、0.5nm~100μmである。いくつかの実施形態において、導電性ワイヤ構造の平均ワイヤ直径は、0.5nm~1μmであり、導電性ワイヤ構造の平均ワイヤ長さは、50nm~1000μmである。導電性構造体のサイズ(例えば、平均粒径、平均ワイヤ直径、及び平均ワイヤ長さ)構成によって、導電性構造体は、伸張部122S内に密に分布し、互いに接触して連続的な電流経路を提供することができ、これにより、導電性ネットワークを形成することができ、伸張部122Sが外力の下で伸張及び変形された時に、伸張部122Sが局所的な亀裂又は全体の破壊から防止されるように、導電性構造体の間に緩衝ギャップが依然として存在する。いくつかの実施形態において、導電構造の材料は、単一金属元素(M1)、二元金属(M1-M2)、三元金属(M1-M2-M3)、単一金属酸化物(M1O
x)、二元金属酸化物(M1O
x-M2O
x)及び金属酸化物(M1-M1O
x)錯体からなる群より選択される少なくとも1つであり、ここで、0<x<3であり、M1、M2及びM3は、白金、金、パラジウム、銀、イリジウム、ビスマス、リチウム、鉄、コバルト、ニッケル、銅、アルミニウム、クロム、チタン、マンガン、アンチモン、亜鉛、ジルコニウム、ガリウム、モリブデン、ルテニウム、ローレンシウム、スズ、インジウム、オスミウム、タンタル、タングステン、セリウム及びイットリウムからなる群より選択される少なくとも1つである。上述した導電構造の材料選択によって、伸張変形電極122の伸張部122Sは、良好な導電性及び伸張抵抗回復を備え、したがって、上述の
図3及び
図4に記載されたすべての特性を有することができる。
【0038】
図5は、
図1の生体感知システム100の概略分解図であり、制御装置130及び補正装置140は省略されている。より詳細には、
図5は、生体感知パッチの形態における本開示の生体感知システム100を示す。
図1及び
図5を参照する。一般に、生体感知システム100は、受信機110、送信機120、制御装置130、及び補正装置140を介してユーザの身体の生体感知を完了する。以下の説明では、受信機110、送信機120、制御装置130、及び補正装置140の構造構成、ならびに生体感知期間中の受信機110、送信機120、制御装置130、及び補正装置140の動作モードについて、
図1及び
図5の生体感知システム100を参照して順次詳細に説明する。
【0039】
いくつかの実施形態において、受信機110は、信号伝達層112、信号増強層114、及び信号生成層116を順次積層して含む。換言すれば、信号増強層114は、信号伝達層112と信号生成層116との間に挟まれている。信号生成層116は、ユーザの身体に接触して、ユーザの身体内の被測定物質を受け取ることによって信号値を生成するように構成されている。いくつかの実施形態において、信号生成層116は、被測定物質の酸化反応に必要な活性化エネルギーを低減するためのオキシダーゼ(又は酵素)を含み、これにより、信号生成層116において被測定物質が急速に酸化されて信号値が生成される。即ち、信号値は、例えば、酸化反応等の化学反応により発生した信号値であってもよい。いくつかの実施形態において、信号値は電流値であってもよい。例えば、被測定物質がグルコースの場合は、信号生成層116のオキシダーゼはグルコースオキシダーゼであってもよく、グルコースが酸化されて過酸化水素(H2O2)が生成され、生成された過酸化水素は、その後の解釈のための電流値をさらに生成することができる。
【0040】
いくつかの実施形態において、信号生成層116におけるオキシダーゼは、以下からなる群より選択される少なくとも一つである。グルコースオキシダーゼ、リンゴ酸オキシダーゼ、ヘキソースオキシダーゼ、コレステロールオキシダーゼ、アリールアルコールオキシダーゼ、L-グロノラクトンオキシダーゼ、ガラクトースオキシダーゼ、ピラノースオキシダーゼ、L-ソルボースオキシダーゼ、ピリドキシン4-オキシダーゼ、メタノールオキシダーゼ、エクジソンオキシダーゼ、(S)-2-ヒドロキシ酸オキシダーゼ、コリンオキシダーゼ、第2級アルコールオキシダーゼ、4-ヒドロキシマンデル酸オキシダーゼ、長鎖アルコールオキシダーゼ、グリセロール-3-リン酸オキシダーゼ、ビタミンB1オキシダーゼ、亜鉛ヒドロキシステンナートオキシダーゼ、N-アシルヘキソサミンオキシダーゼ、ポリビニルアルコールオキシダーゼ、ラクトンオキシダーゼ、バニリルアルコールオキシダーゼ、D-マンニトールオキシダーゼ、ヌクレオシドオキシダーゼ、キシリトールオキシダーゼ、ギ酸デヒドロゲナーゼ、セロビオース脱水素酵素、アセトアルデヒドオキシダーゼ、ピルビン酸オキシダーゼ、シュウ酸オキシダーゼ、グリオキシレートオキシダーゼ、アリールアルデヒドオキシダーゼ、ピルビン酸オキシダーゼ(CoAアセチル化)、レチナールオキシダーゼ、ケトグルタル酸デヒドロゲナーゼ(コハク酸変換)、ABAアルデヒドオキシダーゼ、コプロポルフィリノーゲンオキシダーゼ、ジヒドロオロト酸オキシダーゼ、アリールCoAオキシダーゼ、ジヒドロウラシルオキシダーゼ、テトラヒドロベルベリンオキシダーゼ、トリプトファンα、β-オキシダーゼ、PQQシンターゼ、アリールCoAデヒドロゲナーゼ、ジヒドロオロト酸デヒドロゲナーゼ、D-アスパラギン酸オキシダーゼ、L-ガラクトノラクトンオキシダーゼ、L-アミノ酸オキシダーゼ、D-アミノ酸オキシダーゼ、アミノオキシダーゼ(フラボノイド含有)、ピリドキサール5-リン酸シンターゼ、アミンオキシダーゼ(銅含有)、D-グルタミン酸オキシダーゼ、エタノールアミンオキシダーゼ、プトレシンオキシダーゼ、L-グルタミン酸オキシダーゼ、シクロヘキシルアミンオキシダーゼ、D-グルタミン酸(D-アスパラギン酸)オキシダーゼ、タンパク質-リジン6-オキシダーゼ、L-リジンオキシダーゼ、L-アスパラギン酸オキシダーゼ、グリシンオキシダーゼ、L-リジン6-オキシダーゼ、アミン脱水素酵素、FMNレダクターゼ、サルコシンオキシダーゼ、N-メチル-L-アミノ酸オキシダーゼ、N6-メチル-リジンオキシダーゼ、(S)-6-ヒドロキシニコチンオキシダーゼ、(R)-6-ヒドロキシニコチンオキシダーゼ、L-メチルピペリジン、ジメチルグリシンオキシダーゼ、ポリアミンオキシダーゼ、DHBPオキシダーゼ、トリメチルアミンデヒドロゲナーゼ、L-ピペコリン酸デヒドロゲナーゼ、サイトカイニンデヒドロゲナーゼ、亜硝酸レダクターゼ、NAD(P)Hオキシダーゼ、NAD(P)Hデヒドロゲナーゼ(テレフタロトリオン)、ニトロアルカンオキシダーゼ、尿酸オキシダーゼ、3-ニトロプロピオン酸メチルエステルオキシダーゼ、ジヒドロリポ酸デヒドロゲナーゼ、亜硫酸オキシダーゼ、チオールオキシダーゼ、グルタチオンオキシダーゼ、メチルチオールオキシダーゼ、アルケニルシステインオキシダーゼ、ラパマイシン-Bオキシダーゼ、3-ヒドロキシアントラニル酸オキシダーゼ、NADHペルオキシダーゼ、2-ニトロプロパンジオキシゲナーゼ、乳酸塩2-モノオキシゲナーゼ、リジン2-モノオキシゲナーゼ、ルシフェリン4-モノオキシゲナーゼ(ATP加水分解)、フェニルアラニン2-モノオキシゲナーゼ、クラブミン酸シンターゼ、アントラニル酸ナトリウム3-モノオキシゲナーゼ、キサンチンデヒドロゲナーゼ、フェニルアラニン4-モノオキシゲナーゼ、ナフサ1、2-ジオキシゲナーゼ、アルカナールモノオキシゲナーゼ、安息香酸4-エチルアミン1-モノオキシゲナーゼ、モノフェノールモノオキシゲナーゼ、7-コレステンオキシダーゼ、スーパーオキシドジスムターゼ、スーパーオキシドレダクターゼ、キサンチンオキシダーゼ、6-ヒドロキシニコチンデヒドロゲナーゼ、ライチ酵素、及びリブロース二リン酸カルボキシラーゼ。これにより、信号生成層116内のオキシダーゼは、被測定物質に応じて選択することができる。
【0041】
いくつかの実施形態において、信号増強層114は、信号生成層116に接続され、信号増強層114は、信号生成層116によって生成された信号値を受信し、信号値を増幅して強調された信号値(第1信号値とも呼ばれる)を生成するように構成される。換言すれば、第1信号値も電流値である。いくつかの実施形態において、信号増強層114は、複数の導電性構造を含むことができ、導電性構造は、例えば、導電性粒子構造及び/又は導電性ワイヤ構造とすることができる。いくつかの実施形態において、導電性粒子構造の平均粒径は、0.5nm~100μmである。いくつかの実施形態において、導電性ワイヤ構造の平均ワイヤ直径は、0.5nm~1μmであり、導電性ワイヤ構造の平均ワイヤ長さは、50nm~1000μmである。なお、導電性構造体の材料については、伸張部122Sに含まれる導電性構造体の材料を参照してもよいが、詳細は後述する。上述した構成及び導電構造の材料選択によって、信号増強層114は、強化された第1信号値をより良好に生成することができる。
【0042】
いくつかの実施形態において、信号伝達層112は、信号増強層114及び作用電極層122Aに接続され、信号伝達層112は、信号増強層114から第1信号値を受信し、第1信号値を作用電極層122Aに送信するために、信号増強層114及び作用電極層122Aの間に挟まれる。いくつかの実施形態において、信号伝達層112が酸化反応などの電気化学反応を受けないように、信号伝達層112の酸化電位は、信号増強層114の酸化電位よりも高く(即ち、信号伝達層112は比較的酸化されにくい)、これにより、信号伝達層112が不要な信号値を生成し、生体感知の不正確さを引き起こすことを防止する。いくつかの実施形態において、信号伝達層112は、複数の導電性構造を含むことができ、導電性構造の材料は、白金、金、ビスマス、パラジウム、銀、イリジウム、鉄、カーボンナノチューブ、導電性カーボンブラック、黒鉛、ガラス状炭素、ニッケル、コバルト、銅、オスミウム、タンタル及びタングステンからなる群より選択される少なくとも一つである。以上のような導電構造の材料選択により、不要な信号値の発生による生体感知の不正確さを招くことなく、良好な導電性を有する信号伝達層112を確保することができる。
【0043】
いくつかの実施形態において、送信機120は、作用電極層122A、対向電極層(補助電極層とも呼ばれる)122B、及び参照電極層122Cを含むことができる。いくつかの実施形態において、作用電極層122Aは、第1側面123Aと、第1側面123Aとは反対を向いている第2側面125Aとを有し、対向電極層122B及び参照電極層122Cは、作用電極層122Aの第1側面123A及び第2側面125Aにそれぞれ配置される。以上より、作用電極層122A、対向電極層122B及び参照電極層122Cは、送信機120の三電極系を構成している。上述したように、作用電極層122Aは、上述した伸張変形電極122を含むことができる。いくつかの実施形態において、作用電極層122Aは、信号伝達層112から第1信号値を受信し、第2信号値を生成し、第1信号値及び第2信号値を制御装置130に送信するように構成される。いくつかの実施形態において、第2信号値は、電流変形状態における伸張変形電極122の抵抗値であってもよい。いくつかの実施形態において、対向電極層122B及び参照電極層122Cは、上述の伸張変形電極122も含むことができ、作用電極層122A、対向電極層122B及び参照電極層122Cのそれぞれの伸張変形電極122は、同じ方向に延在する(即ち、作用電極層122A、対向電極層122B及び参照電極層122Cの伸張変形電極122の長軸は、それぞれ同一方向に延在する)ことができ、測定の精度を向上させ、これにより、生体感知の不正確さを回避する。いくつかの実施形態において、参照電極層122Cの伸張変形電極122に含まれる導電性構造体の材料は、銀、塩化銀、酸化イリジウム、酸化ルテニウム、酸化白金、酸化パラジウム、酸化スズ、酸化タンタル、酸化ロジウム、水銀、塩化第2水銀、酸化オスミウム、酸化チタン、酸化水銀及び酸化アンチモンからなる群より選択される少なくとも1つである。
【0044】
図1、
図3、
図5を参照する。いくつかの実施形態において、制御装置130は、送信機120の作用電極層122A、対向電極層122B、及び参照電極層122Cに電気的に接続され、制御装置130は、作用電極層122Aから第1信号値及び第2信号値を受信し、受信した第2信号値を介して、第1信号値を補正する必要があるかどうかを決定するように構成される。具体的には、制御装置130は、第1信号値を電流値、第2信号値を抵抗値として、受信した抵抗値から伸張部122Sの電流抵抗変化量を算出し、抵抗変化量が伸張部122Sの第2伸張範囲A2内にあるか否かを判定し、さらに、受信した電流値を補正する必要があるか否かを判定することができる。具体的には、制御装置130は、抵抗変化量が伸張部122Sの第2伸張範囲A2内にあると判定した場合は、電流値を補正する必要があると判定する。制御装置130は、抵抗変化量が伸張部122Sの第2伸張範囲A2内にないと判定した場合は、電流値を補正する必要がないと判定する。
【0045】
いくつかの実施形態において、補正装置140は、制御装置130に電気的に接続され、補正装置140は、制御装置130から、補正機能を実行するか否かの命令を受け取るように構成される。具体的には、制御装置130が電流値を補正する必要があると判断した場合は、補正装置140は、電流値を補正して補正電流値を制御装置130に送信し、制御装置130が、補正電流値を介して被測定物質の測定対象パラメータを算出するように構成される。制御装置130が電流値を補正する必要がないと判断した場合は、補正装置140は補正機能を実行せず、制御装置130は、作用電極層122Aから受けた電流値を介して被測定物質の測定対象パラメータを直接算出する。
【0046】
具体的な補正の詳細について、
図3、
図5、
図6、及び
図7を参照する。
図6は、本開示のいくつかの実施形態による、生体感知システム100の感度と伸張部122Sの伸張長さ変化量との間の関係を示す図であり、
図7は、本開示のいくつかの実施形態による、生体感知システム100の第1信号値(強調された信号値)と、被測定物質の測定対象パラメータとの間の関係を示す図である。制御装置130が電流値を補正する必要があると判断した場合は、補正装置140は、まず、
図3に示す関係にしたがって、制御装置130が受ける伸張部122Sの抵抗変化量を、抵抗変化量が発生した瞬間の伸張部122Sの伸張長さ変化量に対応付けることができる。次に、補正装置140は、得られた伸張長さ変化量と、伸張部122Sが伸張長さ変化量を有する時の伸張部122Sの感度とを、
図6に示す関係式(式:第1信号値/(被測定物質の測定対象パラメータ×伸張部122Sの面積))により対応付けることができる。即ち、感度は
図7の曲線の傾きに正比例する。その後、補正装置140は、
図7に示す関係により、得られた感度を被測定物質(注:被測定物質が発生する第1信号値は、被測定物質が実際に発生する信号値を信号増強層114で強調した後の信号値である)が発生する第1信号値に対応付けることができる。以上の補正工程により、補正装置140は、被測定物質が実際に発生した信号値を取得し、さらに、ユーザの体内における被測定物質の測定対象パラメータを算出することができる。
【0047】
再び
図5を参照する。いくつかの実施形態において、生体感知システム100は、受信機110及び送信機120を把持するように構成された基板150をさらに含むことができる。基板150は、例えば絶縁基板であってよく、基板150の材料は、ポリウレタン、ポリジメチルシロキサン、ポリイミド、ポリスチレンスルホン酸、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体、ポリ-3,4-エチレンジオキシチオフェン、ポリブチレンアジペートテレフタレートからなる群より選択される少なくとも一つである。基板150の上述の材料選択は、基板150が、ウェアラブル生体感知システム100に十分に適用されるように、良好な伸張回復を有することを保証することができる。
【0048】
いくつかの実施形態において、生体感知システム100は、防水層160をさらに含むことができ、防水層160は、基板150とは反対を向いている送信機120の表面上に配置される。換言すれば、送信機120における作用電極層122A、対向電極層122B及び参照電極層122Cは、共に、第1面と、第1面とは反対側を向く第2面とを有し、基板150及び防水層160は、それぞれ、第1面及び第2面上に配置され、送信機120は、基板150と防水層160との間に挟まれている。これにより、基板150と防水層160とが一体となって送信機120を保護することで、外部要因(例えば水分)による送信機120の損傷を回避し、生体感知の精度を確保することができる。いくつかの実施形態において、防水層160は、貫通孔Hを有し、受信機110は、被測定物質を受け取るためにユーザの身体に接触するように、貫通孔Hによって露出される。
【0049】
いくつかの実施形態において、生体感知システム100は、対向電極層122B及び参照電極層122Cにそれぞれ対応する2つの保護層170をさらに含むことができる。いくつかの実施形態において、防水層160は、絶縁材料を含むことができ、二つの保護層170は、適切な保護を提供するために、それぞれ、対向電極層122B及び参照電極層122Cを覆うことができる。いくつかの実施形態において、二つの保護層170は、防水層160の貫通孔Hによって露出されてもよいが、これらは、本開示を制限することを意図するものではない。
【0050】
本開示の生体感知システム100の特性は、種々の電気的試験方法によってさらに定義することができる。具体的には、電気的試験方法は、サイクリックボルタンメトリー、矩形波ボルタンメトリー、微分パルスボルタンメトリー、及びクロノアンペロメトリーを含むことができる。以下の説明では、
図2の作用電極層122A内の伸張変形電極122と組み合わせて、上述の電気的試験方法の試験下での生体感知システム100の特性を、
図8から
図11Bの説明を通して順次説明する。
【0051】
図8は、本開示のいくつかの実施形態による、生体感知システム100における伸張変形電極122の伸張部122Sのサイクリックボルタモグラムを示す。
図8に示されるパーセンテージ、0%、250%、325%、400%、及び425%は、伸張変形電極122の伸張部122Sの伸張長さ変化量を示す。いくつかの実施形態において、被測定物質がグルコースであり、被測定物質の測定対象パラメータがグルコースの濃度であり、グルコースの濃度が0.005mM~1mM(即ち、0.09mg/dLと18mg/dLの間)である場合は、生体感知システム100は、第1信号値(例えば、電流値)を生成し、第1信号値が作用電極層122Aの伸張変形電極122を通過する時、伸張変形電極122の伸張部122Sのサイクリックボルタモグラムを、サイクリックボルタンメトリーによって得ることができる。具体的には、第1信号値が0.0001μA~1000μA(好ましくは0.0001μA~10μA、より好ましくは0.0001μA~8μA)である場合は、伸張変形電極122の伸張部122Sの伸張長さ変化量が450%未満であり、伸張変形電極122の伸張部122Sの両端(即ち、第1端点P1及び第2端点P2)の電位差が-1V~1V(好ましくは-0.8V~0.8V、より好ましくは-0.6V~0.6V)であり、サイクリックボルタモグラムにおける伸張変形電極122の伸張部122Sの面積が0.00015μA×V~1500μA×Vである。具体的には、上記面積が0.00015μA×V未満であれば、伸張変形電極122の伸張部122Sの伸張長さ変化量が補正可能な範囲を超え、過度に低い電流による信号歪みが生じることを示す。上記面積が1500μA×Vを超えると、伸張変形電極122の伸張部122Sの伸張長さ変化量が補正可能な範囲を超えているだけでなく、過度の伸張長さ変化量による電極構造のクラックが生じ、瞬間的な過電流による信号の歪みが生じることを示している。一方、伸張部122Sの伸張長さ変化量が徐々に増加すると、サイクリックボルタモグラムにおける伸張部122Sの面積は徐々に減少する。
図3を参照すると、より詳細には、伸張部122Sの伸張長さ変化量が非補正領域A1(即ち、伸張部122Sが第1長さ変化量L1を有する場合)にある場合は、サイクリックボルタモグラムにおける伸張部122Sの領域は、350μA×V~1500μA×Vである。伸張部122Sの伸張長さ変化量が補正領域A2(即ち、伸張部122Sが第2長さ変化量L2を有する場合)にある場合は、サイクリックボルタモグラムにおける伸張部122Sの領域は、0.00015μA×V~349μA×Vである。なお、
図8のサイクリックボルタモグラムは、グルコースの濃度が0.5mMの時に測定された結果を示す例示的な例にすぎないことに特に留意されたい。
【0052】
図9Aは、本開示のいくつかの実施形態による、生体感知システム100における伸張変形電極122の伸張部122Sの矩形波ボルタモグラムを示す。
図9Aに示される濃度、0mM、0.05mM、0.1mM、0.2mM、0.3mM、0.5mM、及び1mMは、それぞれ、被測定物質の測定対象パラメータを指し、本実施形態において、グルコースの濃度を指す。いくつかの実施形態において、被測定物質がグルコースであり、被測定物質の測定対象パラメータがグルコースの濃度であり、グルコースの濃度が0.005mM~1mM(即ち、0.09mg/dLと18mg/dLの間)である場合は、生体感知システム100は、第1信号値(例えば、電流値)を生成し、第1信号値が作用電極層122Aの伸張変形電極122を通過する時、伸張変形電極122の伸張部122Sの矩形波ボルタモグラムが、矩形波ボルタンメトリーによって得られる。具体的には、第1信号値が0.00015μA~835μA(好ましくは0.00015μA~6μA、より好ましくは0.00015μA~5μA)である場合は、伸張変形電極122の伸張部122Sの伸張長さ変化量は450%未満であり、伸張変形電極122の伸張部122Sの両端(即ち、第1端点P1及び第2端点P2)の電位差は-1V~1V(好ましくは-0.05V~0.50V、より好ましくは-0.05V~0.45V)であり、矩形波ボルタモグラムにおける伸張変形電極122の伸張部122Sの面積は0.00015μA×V~1245μA×Vである。具体的には、上記面積が0.00015μA×V未満であれば、伸張変形電極122の伸張部122Sの伸張長さ変化量が補正可能な範囲を超え、過度に低い電流による信号歪みが生じることを示す。上記面積が1245μA×Vよりも大きい場合は、伸張変形電極122の伸張部122Sの伸張長さ変化量が補正可能な範囲を超えているだけでなく、過度の伸張長さ変化量による電極構造のクラックが発生し、瞬間的な過電流による信号歪みが生じることを示している。一方、伸張部122Sの伸張長さ変化量が徐々に増加すると、矩形波ボルタモグラムにおける伸張部122Sの面積は徐々に減少する。
図3を参照すると、より詳細には、伸張部122Sの伸張長さ変化量が非補正領域A1(即ち、伸張部122Sが第1長さ変化量L1を有する場合)にある場合は、矩形波ボルタモグラムにおける伸張部122Sの領域は、250μA×V~1245μA×Vである。そして、伸張部122Sの伸張長さ変化量が補正領域A2(即ち、伸張部122Sが第2長さ変化量L2を有する場合)にある場合は、矩形波ボルタモグラムにおける伸張部122Sの面積は、0.00015μA×V~249μA×Vである。なお、
図9Aの矩形波ボルタモグラムは一例であり、伸張部122Sの伸張抵抗変化量が5%の場合の測定結果を示している。さらに、明確にするために、
図9Bは、
図9Aの矩形波ボルタモグラムに示される、伸張部122Sの面積と被測定物質の測定対象パラメータ(即ち、グルコースの濃度)との関係の試験結果を具体的に示したものである。
【0053】
図10Aは、本開示のいくつかの実施形態による、生体感知システム100における伸張変形電極122の伸張部122Sの微分パルスボルタモグラムを示す。
図10Aに示される濃度0mM、0.05mM、0.1mM、0.2mM、0.3mM、0.5mM、及び1mMは、それぞれ、被測定物質の測定対象パラメータを指し、本実施形態において、グルコースの濃度を指す。いくつかの実施形態において、被測定物質がグルコースであり、被測定物質の測定対象パラメータがグルコースの濃度であり、グルコースの濃度が0.005mM~1mM(即ち、0.09mg/dLと18mg/dLの間)である場合は、生体感知システム100は、第1信号値(例えば、電流値)を生成し、第1信号値が作用電極層122Aの伸張変形電極122を通過する時、伸張変形電極122の伸張部122Sの微分パルスボルタモグラムは、微分パルスボルタンメトリーによって得ることができる。具体的には、第1信号値が0.00015μA~795μA(好ましくは0.00015μA~6μA、より好ましくは0.00015μA~5μA)である場合は、伸張変形電極122の伸張部122Sの伸張長さ変化量は450%未満であり、伸張変形電極122の伸張部122Sの両端(即ち、第1端点P1及び第2端点P2)の電位差は-1V~1V(好ましくは-0.05V~0.50V、より好ましくは-0.05V~0.45V)であり、矩形波ボルタモグラムにおける伸張変形電極122の伸張部122Sの面積は0.00015μA×V~1195μA×Vである。上記の領域の上限及び下限の重要性の説明については、前段落を参照することができ、以下では詳細は繰り返さない。一方、伸張部122Sの伸張長さ変化量が徐々に増加すると、微分パルスボルタモグラムにおける伸張部122Sの面積は徐々に減少する。
図3を参照すると、より詳細には、伸張部122Sの伸張長さ変化量が非補正領域A1にある(即ち、伸張部122Sが第1長さ変化量L1を有する)場合は、微分パルスボルタモグラムにおける伸張部122Sの領域は、215μA×V~1195μA×Vであり、伸張部122Sの伸張長さ変化量が補正領域A2にある(即ち、伸張部122Sが第2長さ変化量L2を有する)場合は、微分パルスボルタモグラムにおける伸張部122Sの領域は、0.00015μA×V~214μA×Vである。なお、
図10Aの微分パルスボルタモグラムは一例であり、伸張部122Sの伸張抵抗変化量が5%の場合の測定結果を示している。さらに、明確にするために、
図10Bは、
図10Aの微分パルスボルタモグラムに示される、伸張部122Sの面積と被測定物質の測定対象パラメータ(即ち、グルコースの濃度)との関係の試験結果を具体的に示したものである。
【0054】
図11Aは、本開示のいくつかの実施形態による、生体感知システム100における伸張変形電極122の伸張部122Sのクロノアンペロメトリックグラフを示す。
図11Aに示される濃度0.05mM~0.1mM、3mM、5mM、10mM、20mM及び50mMは、それぞれ、被測定物質の測定対象パラメータを指し、本実施形態において、グルコースの濃度を指す。いくつかの実施形態において、被測定物質がグルコースであり、被測定物質の測定対象パラメータがグルコースの濃度であり、グルコースの濃度が0.005mM~50mM(即ち、0.09mg/dLと900mg/dLの間)である場合は、生体感知システム100は、第1信号値(例えば、電流値)を生成し、第1信号値が作用電極層122Aの伸張変形電極122を通過する時、伸張変形電極122の伸張部122Sのクロノアンペロメトリックグラフをクロノアンペロメトリーによって得ることができる。なお、
図11Aのクロノアンペロメトリックグラフは、伸張部122Sの伸張抵抗変化量が5%の場合の測定結果を示す一例に過ぎないことに特に留意されたい。
図11Aの点線で示されるように、生体感知システム100に駆動電圧が50秒印加されると、測定された電流値は0.0001μA~35μAである。さらに、明確にするため、
図11Bは、
図11Aのクロノアンペロメトリックグラフの50秒時点における、伸張部122Sの第1信号値(即ち、電流値)と被測定物質の測定対象パラメータ(即ち、グルコースの濃度)との関係の試験結果を具体的に示している。
【0055】
上述の本開示の実施形態によれば、本開示の伸張変形電極は、大きな伸張変形に耐える能力を有し、したがって、ユーザの四肢の動きに起因する局所的な亀裂又は全体的な破損を生じることなく、着用可能な生体感知システムに良好に適用することができる。また、伸張変形電極の伸張変形量(例えば、長さ変化量)がある値を超えると、伸張変形電極の抵抗が変化し始め、出力信号値が減少する。この場合は、生体感知システムは、さらに、生体感知システム内の補正装置を介して補正機能を実行し、実際の信号値(例えば、第1信号値)を算出した後、ユーザの身体内の被測定物質の測定対象パラメータを算出することができる。換言すれば、伸張変形電極と補正装置との組み合わせによって、本開示の生体感知システムは、従来の生理学的感知装置よりも広く適用することができる。一方、本開示の生体感知システムは、種々の電気的試験方法の試験下で種々の電気的試験図において特定の特性を示すことができ、したがって生体感知の機能を十分に達成することができる。
【0056】
本開示は、その特定の実施形態を参照してかなり詳細に説明したが、他の実施形態も可能である。したがって、添付の特許請求の範囲の精神及び範囲は、本明細書に含まれる実施形態の記載に限定されるべきではない。
【0057】
当業者には、本開示の範囲又は精神から逸脱することなく、本開示の構造に様々な修正及び変更を加えることができることが明らかであろう。上記を鑑みて、本開示は、以下の特許請求の範囲の範囲内にあることを条件として、本開示の修正及び変更を含むことが意図される。