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  • 特開-自動サンプリング装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022188001
(43)【公開日】2022-12-20
(54)【発明の名称】自動サンプリング装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 1/00 20060101AFI20221213BHJP
【FI】
G01N1/00 101L
G01N1/00 101M
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022091951
(22)【出願日】2022-06-07
(31)【優先権主張番号】21178192.7
(32)【優先日】2021-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】519414848
【氏名又は名称】エボニック オペレーションズ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン ロイテル
(72)【発明者】
【氏名】ディルク フリタグ
(72)【発明者】
【氏名】ゲオルグ ノルトホフ
(72)【発明者】
【氏名】セバスティアン ハウマン
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンデル ブレイチェル
(72)【発明者】
【氏名】ロベルト フランケ
(72)【発明者】
【氏名】ディーテル ヘス
【テーマコード(参考)】
2G052
【Fターム(参考)】
2G052AD06
2G052AD26
2G052AD46
2G052BA14
2G052CA14
2G052CA35
2G052CA38
2G052FD01
2G052GA27
2G052HC09
2G052JA06
(57)【要約】      (修正有)
【課題】高圧容器からのサンプリングを自動化する装置を提供する。
【解決手段】複数の多孔弁を備えた特殊な構造によって実現される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも20バール、好ましくは少なくとも50バール、さらに好ましくは少なくとも100バール、特に好ましくは少なくとも150バールの圧力が存在することができる、1つの容器から1つの液体試料を自動サンプリングするための装置であって、以下の:
少なくとも6つの孔を備える多孔弁、入口導管、出口導管、及び試料ループを含む、1つの試料回路であり、ここで、前記容器内に存在する液体試料を、前記試料回路を介して採取することができ;
溶媒用の貯蔵器、6つの孔を備える第2の多孔弁、ポンプ、入口導管、出口導管、及び溶媒ループを含む、1つの溶媒回路であり、ここで、前記溶媒回路を介して、溶媒を追加して、前記液体試料を希釈することができ;
好ましくは、前記溶媒で希釈された前記液体試料が供給される、1つ以上の試料容器;
少なくとも3つの孔と1つ以上の前記試料容器に接続された少なくとも1つの導管を備える第3の多孔弁を含む、試料分配ユニットであって、ここで、前記導管を介して前記容器から採取した試料を少なくとも1つの前記試料容器に供給することができ;
前記液体試料を周囲圧力にすることができる圧力調整ユニットであって、前記圧力調整ユニットは、制動毛細管を備えるさらなる多孔弁を含み、前記さらなる多孔弁は、第1の多孔弁と第3の多孔弁の間に配置され;かつ、
少なくとも1つの弁、入口導管、出口導管、及び存在するすべての多孔弁が相互接続される導管を含む、不活性ガスが存在する不活性ガス回路;
を含む、装置。
【請求項2】
試料分配ユニットが少なくとも、第3の多孔弁及び第4の多孔弁を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
不活性ガスは、窒素、アルゴン又はヘリウムである、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
試料が採取される容器内の圧力が、最大で500バール、好ましくは最大で490バール、特に好ましくは最大で480バールである、請求項1~3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
第1の多孔弁の孔のうち、
2つの孔は、2つのインターフェースを介して貯蔵器に接続され、
2つの孔は試料ループに接続され、かつ、
2つの孔は不活性ガス回路の導管に接続されている、請求項1~4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
第2の多孔弁の孔のうち、
2つの孔は、溶媒用の貯蔵器の、すなわち入口と出口に接続され、
2つの孔は、溶媒ループに接続され、かつ、
2つの孔は、不活性ガス回路の導管に接続されている、請求項1~5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
第3の多孔弁の孔のうち、
2つの孔は不活性ガスループの導管に接続され、かつ
1つ以上の孔は、少なくとも1つの試料容器に接続されている、請求項1~6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
第1の多孔弁は、少なくとも以下の2つの弁位置、第1及び第2の弁位置:
前記第1の弁位置では、インターフェースを介して容器に接続された2つの孔は各々、試料ループに接続された孔に連結され、前記容器に存在する液体試料は、入口インターフェースを介して前記試料ループを通過し、出口インターフェースを介して前記容器に戻り、それにより前記試料ループが試料で充填され;かつ、
前記第2の弁位置では、前記インターフェースを介して前記容器に接続された前記2つの孔は、溶液が前記試料ループを通過せずに前記容器に直接戻されるように連結され、前記試料ループに接続された前記2つの孔は各々、不活性ガス回路の導管に連結された孔に連結され、それにより、前記試料ループに存在する前記液体試料が、前記不活性ガス回路を介して試料分配ユニットへ移動した後少なくとも一つの試料容器に誘導されることができる、
に設定することができる、請求項1~7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
第2の多孔弁は、少なくとも以下の2つの弁位置、第1及び第2の弁位置:
前記第1の弁位置では、貯蔵器に接続された2つの孔は各々、溶媒ループに接続された孔に連結され、溶媒が前記貯蔵器から、ポンプによって前記溶媒ループを介して前記貯蔵器に戻り、それにより前記溶媒ループが前記溶媒で充填され;かつ、
前記第2の弁位置では、前記貯蔵器に接続された前記2つの孔は、前記溶媒が前記溶媒ループを通過せずに前記貯蔵器から前記ポンプによって前記貯蔵器に直接戻るように連結され、前記溶媒ループに接続された前記2つの孔は各々、不活性ガス回路の導管に接続された孔に連結され、それにより、前記溶媒ループに存在する前記溶媒が、前記不活性ガス回路を介して第1の多孔弁に誘導される;
に設定することができる、請求項1~8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
存在する全ての多孔弁が相互接続される不活性ガス回路は、以下の:
不活性ガス供給源から、不活性ガスの供給を制御することができる弁を介して、第2の多孔弁につながる導管;
前記第2の多孔弁から第1の多孔弁へつながる導管;
前記第1の多孔弁からさらなる多孔弁へつながる導管;
前記さらなる多孔弁から第3の多孔弁へ、好ましくは前記第3の多孔弁(3)の中間の孔へつながる導管;
前記第3の多孔弁(3)から少なくとも1つ以上の試料容器につながる、少なくとも1つ、好ましくは2つ以上の導管;
前記試料容器各々から残留物出口につながる各々1本の導管、好ましくは前記試料容器各々から第4の多孔弁の孔の1つにつながる各々1本の導管、ここで、前記孔は各々さらなる孔に切り替えることができ、前記第4の多孔弁のさらなる孔から前記残留物出口につながる1本の導管;
を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の装置を用いて、少なくとも20バール、好ましくは少なくとも50バール、さらに好ましくは少なくとも100バール、特に好ましくは少なくとも150バールの圧力が存在することができる、1つの容器から1つの液体試料を自動サンプリングするための方法であって、以下の:
a)貯蔵器から液体試料を採取し、試料回路の試料ループに一時的に貯蔵すること;
b)溶媒を前記貯蔵器から取り出して、溶媒回路の溶媒ループに一時的に貯蔵すること;
c)不活性ガスループの導管内に不活性ガスを存在させること;かつ、
d)既存の弁と多孔弁の位置を変えて、前記溶媒ループに一時的に貯蔵された前記溶媒を、前記不活性ガスを通して、前記試料ループに一時的に貯蔵された前記液体試料に導き、前記溶媒で希釈した前記試料を、試料分配ユニットを介して、1つ又はそれ以上の試料容器に移動させて、前記液体試料を採取すること;
を含む、方法。
【請求項12】
請求項1~10のいずれか一項に記載の装置の弁及び多孔弁のデフォルト位置は、以下の:
不活性ガス回路の少なくとも1つの弁が閉じられ、
第1の多孔弁は、第1の位置に設定され、
第2の多孔弁は、第1の位置に設定され、
さらなる多孔弁は、第1の位置に設定され、前記第1の多孔弁からの導管と第3の多孔弁への導管は、前記さらなる多孔弁を介して、制動毛細管が通過しないように連結され、
前記第3の多孔弁の中間の孔は、残留物出口につながる孔、又は、第4の多孔弁が存在する場合、前記第4の多孔弁に接続され;かつ、
前記第3の多孔弁に接続された前記第4の多孔弁に孔がある場合、前記第4の多孔弁の中間の孔に接続され、前記中間の孔は前記残留物出口に通じる、
請求項11に記載の方法。
【請求項13】
最初に不活性ガス回路の弁が開かれる、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
試料を採取するために、多孔弁を含む既存の弁の請求項13に記載のデフォルト位置を以下の:
1)不活性ガス回路の少なくとも1つの弁を、好ましくは少なくとも5秒間、最大120秒間、より好ましくは最大90秒間開放すること;
2)第3の多孔弁の中間の孔を、試料容器につながる孔に切り替え、前記試料容器を不活性ガスでパージし、場合によっては、前記試料容器からの第4の多孔弁の孔を、残留物出口に向かう前記第4の多孔弁の中間の孔に切り替えること;
3)前記不活性ガス回路の少なくとも1つの弁を閉じること;
4)第2の多孔弁を第2の位置に切り替えること;
5)第1の多孔弁を第2の位置に切り替えること;
6)前記不活性ガス回路の弁を開くこと;
7)前記第3の多孔弁の前記中間の孔を、前記残留物出口につながる孔、又は第4の多孔弁が存在する場合、前記第4の多孔弁に切り替え、それにより、前記第3の多孔弁の前記中間の孔が前記第4の多孔弁につながっている場合、前記第4の多孔弁の1つの孔を前記残留物出口につながる孔に切り替えること;かつ、
8)多孔弁を含むすべての弁をデフォルト位置に戻すこと;
をこの順序で行う、請求項12又は13に記載の方法。
【請求項15】
1)~8)の総持続時間が最大で480秒、好ましくは最大で300秒、特に好ましくは最大で200秒である、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高圧でありうる容器からのサンプリングを自動化する装置に関する。これは、複数の多孔弁を備えた特殊な構造によって実現される。本発明はまた、当該装置を用いた自動サンプリング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
化学反応やその反応の経過を分析するために、反応装置や技術プラント内の反応容器等から試料を採取する必要がある場合が多い。当該試料は、反応容器等に存在する液体溶液であり、現時点での反応状態に対応するか、あるいは対応するはずである。したがって、サンプリングは通常、その時点の運転条件、つまり圧力や温度等、当該容器に備わっている条件下で行われる。これらの運転条件が比較的穏やかである場合、すなわち、例えば、中程度の圧力及び/又は中程度の温度で行われる場合、サンプリングは比較的容易に実現でき、例えば、手動で行うこともできる。しかし、先行技術ではまた、自動サンプリング系も知られており、このシステムでも温和な条件で試料を採取することができる。
【0003】
しかし、反応条件がより過酷になると、サンプリングはそれほど簡単ではない。例えば、オートクレーブやヒドロホルミル化等のように、高圧ガス下で行われる反応である。ここでいう高圧とは、ガス化した液体の圧力のことである。このような場合にも、手動によるサンプリングが可能であることは事実である。しかし、これにはいくつかの不利な点がある。例えば、一般に再現性が低く、時間分解能が低く、人手がかかるという問題がある。安全対策はともかく、過酷な反応条件下、特に高圧下での手作業によるサンプリングはかなりの労力を要する。高圧でも試料を採取できる自動化装置はほとんど知られておらず、さらなる欠点もある。特に、二次汚染による問題が発生する場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、最大483バールの高圧下、かつ、最大150℃の温度で用いることができる反応容器やその他の容器から、時間制御されたサンプリングと貯蔵を自動的に行う装置が、いっそう求められてきた。また、過酷な条件下でサンプリングするための手法も求められてきた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の根本的な課題は、本願請求項1に関する装置及び本願請求項11に関する方法によって解決することができる。好ましい実施形態は、従属請求項の各々に示されている。
【0006】
本発明に関する装置は、少なくとも20バール、好ましくは少なくとも50バール、さらに好ましくは少なくとも100バール、特に好ましくは少なくとも150バールの圧力が存在することができる、1つの容器から1つの液体試料を自動サンプリングするための装置であって、以下の:
少なくとも6つの孔を備える多孔弁(1)、入口導管、出口導管、及び試料ループを含む、1つの試料回路であり、ここで、
前記容器内に存在する液体試料を、前記試料回路を介して採取することができ;
溶媒用の貯蔵器、6つの孔を備える第2の多孔弁(2)、ポンプ、入口導管、出口導管、及び溶媒ループを含む、1つの溶媒回路であり、ここで、前記溶媒回路を介して、溶媒を追加して、前記液体試料を希釈することができ;
好ましくは、前記溶媒で希釈された前記液体試料が供給される、1つ以上の試料容器;
少なくとも3つの孔と1つ以上の前記試料容器に接続された少なくとも1つの導管を備える第3の多孔弁(3)を含む、試料分配ユニットであって、ここで、前記導管を介して前記容器から採取した試料を少なくとも1つの前記試料容器に供給することができ;
前記液体試料を周囲圧力にすることができる圧力調整ユニットであって、前記圧力調整ユニットは、制動毛細管を備えるさらなる多孔弁(22)を含み、前記さらなる多孔弁(22)は、第1の多孔弁(1)と第3の多孔弁(3)の間に配置され;かつ、
少なくとも1つの弁、入口導管、出口導管、及び存在するすべての多孔弁が相互接続される導管を含む、不活性ガスが存在する不活性ガス回路;
を含む、装置に関する。
【0007】
本発明による装置には、液体試料を高圧で吸引することができるという利点がある。本発明に関連する圧力、ひいては特許請求の範囲本発明に関連する圧力は、気体圧力を意味する。各圧力の表示は、周囲圧力(約1バール)以上の過圧を意味する。加圧されている場合に採取される液体試料は、ガス化した液体である。試料ループは、繰り返し試料を充填したり、パージしたりすることができる。試料を採取する場合は、第1の多孔弁(1)の弁位置を変えることで、試料ループが試料を採取する容器と接続されないようにすることができる。これにより、試料を採取する容器内の(高い)圧力ではなく、別の圧力を試料ループにかけることができるようになる。
【0008】
本発明における導管とは、気体や液体を輸送することができる適当な中空体を意味する。例えば、プラスチック又は金属で作製されたホースやチューブ等があげられる。対応する導管は、様々な色、形、材質等で市販されている。当業者は、サンプリングする液体に応じて、適当な導管、例えば、適当なホースやチューブを選択することができる。
【0009】
試料が採取される容器は、分析対象となる液体を入れることのできる容器であれば、いかなる容器でもよい。適当な容器は当業者に公知である。好ましい実施形態では、容器は、化学反応が進行しているか、又は進行していた反応容器である。そして、反応中に試料を採取し、反応の経過を検討することができる。
【0010】
本発明によれば、本明細書に記載される装置の試料分配ユニットは、少なくとも6つの孔を備えるさらなる多孔弁(4)を含むことが好ましい。そして、この多孔弁(4)は、全体で第4番目の多孔弁(4)である。このような第4の多孔弁(4)が本発明による装置の試料分配ユニットに存在する場合、この多孔弁(4)も不活性ガス回路に接続される。多孔弁(4)は、少なくとも1つの導管を介して試料容器に接続される。これらの導管は、特に1つ以上の試料容器の出口を表し、試料はこの導管を介して試料容器から搬送されることができる。試料供給ユニットの少なくとも1つの導管は、多孔弁(3)を介して1つ以上の試料容器に接続され、試料容器に試料を充填することができる供給導管として機能する。
【0011】
本発明に関する装置により、少なくとも20バール、好ましくは少なくとも50バール、さらに好ましくは少なくとも100バール、特に好ましくは少なくとも150バールの圧力が存在することができる、1つの容器からサンプリングをすることができる。もちろん、20バールより低い圧力の容器からのサンプリングにも用いることができる。本発明では、圧力上限は、用いる機器・装置の特性により決定さ れる。試料が採取される容器内の圧力は、好ましくは、最大500バール、好ましくは最大490バール、特に好ましくは最大480バールである。
【0012】
試料を採取する容器内の圧力によっては、試料を周囲圧力(約1バール)にすることが必要な場合がある。もちろん、容器内がすでに周囲圧力である場合は、その必要はない。通常の圧力解放は、多孔弁(1)の試料ループの後に、例えば弁を介して、とても簡便に行うことができる。技術的には、圧力を解放するのはいたって簡単である。特に、高圧の容器から試料を採取する場合、泡が発生したり、試料の一部が放出されたりといった問題が生じる場合がある。その場合でも、サンプリングをすることはできるが、不利になる。したがって、本発明では、本発明による装置は、試料を選択的に周囲圧力にすることができる圧力調整ユニットを備える。
【0013】
本発明によれば、圧力を解放するための調節は、周囲圧力よりも圧力が高い容器から試料を採取する場合にのみ必要である。圧力調整ユニットは、試料の部分的な損失や発泡を起こさずに、試料の圧力を徐々に解放することができる。圧力調整ユニットは、ブレーキキャピラリ(制動毛細管)を備える他の多孔弁(22)を備える。当該多孔弁は、多孔弁(1)と多孔弁(3)の間に配置される。したがって、多孔弁(1)から多孔弁(22)への導管と、多孔弁(22)から多孔弁(3)への導管がある。特にブレーキキャピラリの直径は、圧力を徐々に解放できる程度に細い。この状態では、多孔弁は少なくとも2つの位置を設定することができる。多孔弁の位置Iでは、多孔弁(1)からの導管ラインと多孔弁(3)への導管が、ブレーキキャピラリを介さずに、多孔弁(22)を介して互いに接続される。これは、例えば、フラッシングプロセス中やホームポジションの場合である。多孔弁(22)の位置IIでは、多孔弁(1)からの導管と多孔弁(3)への導管が、ブレーキキャピラリを通過するように多孔弁(22)を介して互いに接続され、調整された方法で試料から圧力を放出することができる。
【0014】
さらに好ましい実施形態では、ブレーキキャピラリを備える多孔弁(22)は、さらに不活性ガスの供給ループも備え、これは、有利には100バールを超える高圧である。本実施形態では、多孔弁(22)には、少なくとも2つの配置を備える。第1の配置では、入ってくる試料はブレーキキャピラリ(22)を通過するため、脱気することができる。そこから当該試料は、第3の多孔弁(3)を通り、試料容器に入る。一方、供給ループには、少なくとも100バールの高圧下で不活性ガスが充填されている。第2の配置では、試料を多孔弁(22)に到達させる導管は、第3の多孔弁(3)への導管に切り替わる。試料や不活性ガス、又は溶媒はそのまま通過する場合がある。多孔弁(22)の第2の配置で、供給ループはブレーキキャピラリに切り替わる。これにより、ブレーキキャピラリに付着した試料の残留物は除去され、交差汚染が妨げられる。不活性ガスは、ブレーキキャピラリを通過した後、排ガス中に供給される。
【0015】
容器内又はサンプリング中に存在し得る温度に関して、本発明による装置は、用いられる装置、弁又はチューブの特性によってのみ制限される。また、試料の特性により、最高温度に関する制限を設けることもできる。例えば、膨張中に試料の沸点を超えないようにすることは、有利でありうる。しかしながら、減速としては、100℃を超える温度でも本発明による装置で試料を採取することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1に概略的に示す本発明に関するサンプリング系において、サンプリングを高圧で試験した。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、多孔弁(1、2、3、4)と各孔の導管、ループ、容器への接続について説明する。すべての多孔弁には少なくとも6つの孔があるが、さらに、機能を追加できる孔があってよい。本書に記載された孔の接続は、好ましい基本設計であるが、何らかの方法で変更することもできる。
【0018】
本発明によれば、好ましくは、第1の多孔弁(1)の2つの孔は、2つのインターフェースを介して、試料が採取される容器、すなわち容器の入口と出口に接続され、2つの孔は試料ループに接続され、2つの孔は不活性ガス回路の導管に接続される。
【0019】
好ましくは、第2の多孔弁(2)に関して、多孔弁(2)の2つの孔は、溶媒用の貯蔵器、すなわち入口と出口に接続され、2つの孔は溶媒ループに接続され、2つの孔は不活性ガス回路の導管に接続される。
【0020】
特に、第3及び第4の多孔弁(3、4)は、試料容器の数に応じて、3つ以上の孔があってよい。したがって、好ましくは、第3の多孔弁(3)の2つの孔が不活性ガス回路の導管に接続され、他の孔が少なくとも1つの試料容器に接続される。そのため、孔数は試料容器の数による。好ましい実施形態では、1つの孔が各試料容器に接続される。第3の多孔弁(3)が6つの孔を備える実施形態では、例えば、最大4つの試料容器があり、第3の多孔弁(3)が7つの孔を備える実施形態では、最大5つの試料容器がある。
【0021】
第4の多孔弁(4)がある場合、好ましくは、多孔弁(4)の2つの孔は、不活性ガス回路の導管に接続され、他の孔は、少なくとも1つの試料容器、特に少なくとも1つの試料容器の出口に接続される。多孔弁(3)及び(4)の孔数は、同じであることが好ましい。ここでの孔の接続は、試料容器の数及び第3の多孔弁(3)への試料容器の接続による。好ましくは、第4の多孔弁(4)の1又はそれ以上の試料容器への接続は、第4の多孔弁(4)の孔が1又はそれ以上の試料容器の出口に接続されるものの、第3の多孔弁(3)の孔は1又はそれ以上の試料容器の入口に接続される点で相違する。これは、試料容器の数が可変であり、特定のサンプリングにおける特定のニーズに適合させることができるという総合的な利点がある。多孔弁(3)及び(4)が並列に接続され、一方の多孔弁の各々の入口孔が他方の多孔弁の出口孔に対応することが好ましい場合がある。しかし、2つの多孔弁(3、4)が互いに独立して切り替わってもよい。
【0022】
本発明の特に好ましい実施形態では、試料分配ユニットにおける第3の多孔弁(3)及び/又は第4の多孔弁(4)には、それぞれ中間の孔(中央の孔)が設けられている。このような中間の孔は、他のすべての孔が接続可能な共通孔である。従って、第3の多孔弁(3)及び/又は第4の多孔弁(4)は、少なくとも2つの他の孔にそれぞれ接続可能な中間の孔が設けられていることが好ましい。
【0023】
サンプリングのために、多孔弁は、異なる弁位置に設定することができる。このこと及び弁位置については、以下で詳細に説明する。本発明の好ましい実施形態では、多孔弁(1)は、少なくとも2つの弁位置(I及びII)の間で調節することができ、それにより、以下のことが可能となる:
-位置Iにおいて、インターフェースを介して容器に接続された2つの孔は、各々、試料ループに接続された孔によって連結され、それにより、容器内に存在する溶液の液体試料が、入口インターフェースを介して試料ループを通過し、かつ、出口インターフェースを介して容器へ戻り、それにより、試料ループが試料で充填される;
-位置IIにおいて、インターフェースを介して容器に接続された2つの孔は、溶液が試料ループを通らずに直接容器に戻されるように互いに連結され、試料ループに接続された2つの孔は各々、不活性ガス回路を介して試料分配ユニットに送られ、そこから少なくとも1つの試料容器に供給されるように、不活性ガス回路の導管に接続された孔に連結される。
【0024】
位置Iでは、試料ループは液体試料で充填される。位置IIでは、試料ループと容器の接続が解除され、不活性ガス回路への接続が確立され、これにより、試料の試料容器へ前方輸送することができる。位置IIの試料ループは、また、圧力の点でも容器から切り離されているため、容器内が高圧である場合でも、所望の自動サンプリングが可能であることを意味する。試料ループを試料で充填するためには、位置Iが位置IIよりも常に優先されることは明らかである。さもなければ、サンプリングをすることはできない。
【0025】
第2の多孔弁(2)についても、同様の状況が好ましい。本発明の好ましい実施形態では、多孔弁(2)は、少なくとも2つの弁位置(I及びII)の間で以下の通りに調節することができる。
-位置Iにおいて、貯蔵器に接続された2つの孔は各々、溶媒ループに接続された孔に連結され、その結果、ポンプにより貯蔵器から溶媒ループを介して貯蔵器に戻され、それにより、溶媒ループが溶媒で充填される。
-位置IIにおいて、貯蔵器に接続された2つの孔は、互いに連結され、溶媒ループを通らずに、ポンプにより貯蔵器から直接貯蔵器に戻るように相互接続されており、溶媒ループに接続された2つの孔は各々、不活性ガス回路の導管に接続された孔に連結され、溶媒ループに存在する溶媒が不活性ガス回路を介して多孔弁(1)に導かれる。
【0026】
好ましい実施形態では、2つの多孔弁(1)及び(2)は、個々に制御することができ、位置I又はIIは各々、他の多孔弁の位置とは独立して設定することができる。これには、原則として2つの選択肢がある。第1の選択肢は、溶媒が試料ループ中に存在する試料と混合され、試料分配ユニットに導かれ、そこから少なくとも1つの試料容器に導かれる場合である。この場合、2つの多孔弁(1)及び(2)は、位置IIにある。
【0027】
第2の選択肢は、本発明による装置又は試料ループとそれ以降のすべての導管を試料なしで通過させることである。これにより、例えば交差汚染を回避するために、第1に本発明による装置をパージし、第2にブランク試料を採取することができる。この場合、新しいサンプリングは行われず、多孔弁(1)は位置Iのままで、多孔弁(2)のみが位置IIにある。この場合、洗浄中に溶剤が試料容器を通過せず、直接出口に導かれてもよい。この場合、試料容器の汚染を避けることができる。ブランク試料を採取する場合は、当然ながら試料容器に導かれる。
【0028】
さらに、第2の多孔弁(2)は、不活性ガス回路の供給導管に接続されることが好ましい。これは、不活性ガスがまず多孔弁(2)に送られ、最終的に第1の多孔弁に到達することを意味する。このような溶媒回路は、最初に不活性ガスによって試料を試料ループから移動させなくてよく、代わりに、溶媒が不活性ガスと試料との間の緩衝液として機能し、試料を希釈するという利点がある。溶媒、又は試料ループを通して溶媒を導くこともできるため、試料ループを洗浄することができるというさらなる利点もある。これにより、連続した試料間の交差汚染を回避することができる。
【0029】
溶媒回路用ポンプは、いかなる適当なポンプであってよい。適当なポンプは、当業者に公知である。本発明によれば、溶媒回路のポンプは、好ましくは、HPLCポンプ、透析ポンプ、遠心ポンプ、歯付き(ギア)ポンプ又は歯付(ギア)リングポンプである。
【0030】
本発明の装置の不活性ガス回路は、不活性ガスを含む。用いられる不活性ガスは、試料物質に対して不活性であればいかなるガスであってよい。試料を変形させないためには、試料と不活性ガスとの反応が起きてはならない。不活性ガスは、好ましくは公知の不活性ガス、特に窒素、アルゴン又はヘリウムである。特に窒素が好ましい。不活性ガスは、適当な供給源、例えばガスボンベから、又は装置の設置場所にある不活性ガスラインから、不活性ガス回路に供給することができる。不活性ガスは、既存の弁を介して不活性ガス回路へ供給され、計量される。この不活性ガス回路の弁は、好ましくは、磁気弁又は空気弁であるが、好ましくは、磁気弁である。これらの弁により、正確に投与をすることができ、好ましくは自動制御することができる。
【0031】
不活性ガス回路には、試料及び/又は溶媒及び/又は不活性ガスを装置から除去するための残留物出口がある。しかし、廃棄前に試料及び溶媒が回収される回収装置がある場合もある。ここでは、適当な廃棄物容器が考えられる。しかし、試料や溶剤に有害物質が含まれていない場合、廃棄物容器を用いずに下水道に直接廃棄してもよい。また、試料を除去した容器に戻してもよい。しかし、この場合、溶媒は、例えば溶媒として、あるいは化学反応の反応物や生成物として、この容器内に既に存在するものを用いるのが望ましい。
【0032】
サンプリング及び/又はその後のパージ時に発生する余剰の不活性ガスは、廃棄物容器を介して排ガス中に排出されるのが好ましい。このため、このため、廃棄物容器を不活性ガス回路の一部である不活性廃棄物ガスの導管を経由して頭上で減圧することができる。溶剤の貯蔵器がこのような排ガス導管ラインを備える場合、そこに溜まるガス、例えば不活性ガスの残留物も排ガスに導いたり、減圧したりすることもできる。
【0033】
本発明の特に好ましい実施形態では、存在する全ての多孔弁が相互接続される不活性ガス回路は、以下の:
-不活性ガス供給源から不活性ガス供給を制御するために用いることができる弁を介して第2の多孔弁(2)につながる導管;
-第2の多孔弁(2)から第1の多孔弁(1)につながる導管;
-第1の多孔弁(1)から他の多孔弁(22)につながる導管;
-さらに他の多孔弁(22)から第3の多孔弁(3)、好ましくは第3の多孔弁(3)の中間の孔につながる導管;
-第3の多孔弁(3)から少なくとも1つ以上の試料容器につながる、少なくとも1つの導管、好ましくは2つ以上の導管;
-各試料容器から残留物出口につながる1つの導管、好ましくは、各試料容器から第4の多孔弁(4)の孔の1つにつながる各々の導管、これらの孔は各々、さらなる孔に切り替えることができ、かつ、第4の多孔弁(4)のさらなる孔から残留物出口につながる導管;
を備える。
【0034】
試料容器に関して、本発明の文脈では、少なくとも1つの試料容器が存在する。しかしながら、特定の用途では、本発明の装置が2つ以上の試料容器を含むと有利な場合がある。実際、2つ以上の試料容器があれば、手作業では困難な複数の試料を極めて短い間隔で次々と自動採取することができるためである。特に、極めて速い反応速度で調査/サンプリングする場合に有利である。適当な試料容器は、当業者に一般的に公知である。例えば、バイアル、チューブ、キュベット等、プラスチックやガラスの容器が該当する。本発明では、試料容器は、ガスクロマトグラフ分析に用いることができるバイアル、特に好ましくはガラス製バイアルである。試料容器は、好ましくは、各々が隔膜で閉じられる。適当な隔壁は、例えば、十分な機械的及び化学的安定性を保持しつつ、カニューレによって貫通することができる隔壁である。このような隔壁を貫通するカニューレは、入口と出口を構成することができる。好ましくは、少なくとも2つのカニューレがあり、1つは入口用、1つは出口用である。
【0035】
試料容器は、例えば試料ブロックのようなホルダーに配置することができる。これにより、試料容器の取り扱いや保管を簡略化することができる。また、安全性を高めるために、試料容器はそれぞれカップに入れ、カップが破裂防止になるように配置することもできる。また、試料容器から漏れた液体を回収するために、ホルダーの下、又は試料ブロックの下に回収トレイを配置することもできる。対応する捕捉皿はまた、貯蔵器及び/又は廃棄物容器の下に配置されてもよい。したがって、本発明による装置の作業環境を、用いる物質、すなわち溶媒及び試料で不必要な、場合によっては疑わしい汚れ及び汚染を回避することができる。
【0036】
本発明のさらなる目的は、本発明による装置を用いて、圧力が少なくとも20バール、好ましくは少なくとも50バール、さらに好ましくは少なくとも100バール、より好ましくは少なくとも150バールでありうる容器からの液体試料の自動サンプリング方法であって、
a)貯蔵器から液体試料を採取し、試料回路の試料ループに一時的に貯蔵する;
b)貯蔵器から溶媒を取り出し、溶媒回路の溶媒ループに一時的に貯蔵する;
c)不活性ガス回路の導管に不活性ガスを存在させる;かつ、
d)溶媒ループ中に一時的に貯蔵された溶媒が、不活性ガスによって試料ループ中に一時的に貯蔵された試料に送られ、溶媒で希釈された試料がそこから試料分配ユニットを介して1つ以上の試料容器に移送されるように、存在する弁及び多孔弁の位置を変更することによって試料を採取する、工程である方法を提供する。
【0037】
本発明による装置の洗浄(パージ)が行われる場合、上記工程a)は省略される、すなわち、試料ループ内に一時的に保存される試料はない。また、原則として溶剤を用いずに試料を採取することも考えられる。その場合、試料は、不活性ガスによって試料ループから試料容器に押し出される。その場合、上記工程b)は省略される。工程d)は各々の場合に応じて変更される。
【0038】
ここでいうバルブとは、不活性ガス回路のバルブをいう。多孔弁は、既存の多孔弁(1)、(2)及び(3)を用いる。不活性ガス回路の弁、及び多孔弁(1)、(2)及び(3)の位置は、装置に関してすでに説明したとおりである。なお、多孔弁(1)及び(2)は、位置I及び位置IIに設定することが望ましい。不活性ガス回路の弁は、開又は閉であることが好ましい。第3の多孔弁(3)は、試料容器の数に応じて異なる位置に配置することができる。第3の多孔弁(3)の特定の位置の1つは、多孔弁(3)が、残留物出口に直接切り替えられ、試料容器に送られない設定である。
【0039】
本発明による装置の弁及び多孔弁のデフォルト位置は、(新しい)試料が採取される前の方法の時点に関する。デフォルト位置には、以下の機能がある:
-不活性ガス回路の少なくとも1つの弁が閉じられる;
-第1の多孔弁(1)は位置Iに設定される;
-第2の多孔弁(2)は位置Iに設定される;
-多孔弁(22)は位置Iに設定され、多孔弁(1)から多孔弁(3)への導管は、多孔弁(22)を介して制動毛細管が通過しないように互いに接続される;
-第3の多孔弁(3)の中間の孔は、残留物出口につながる孔、又は、もしあれば、第4の多孔弁(4)につながる孔に接続される;
-第3の多孔弁(3)に接続された多孔弁(4)の孔が存在する場合、その孔は、第4の多孔弁(3)の中間の孔に接続され、当該中間の孔は、残留物の出口に接続される。
【0040】
溶媒回路のポンプは、既存のすべての弁及び多孔弁がデフォルト位置にあることを条件に、送出しないほうが好ましい場合がある。このデフォルト位置を起点として、本発明による容器から試料を採取するため、弁及び多孔弁の位置を変更する必要がある。原則として、すべての弁及び多孔弁がデフォルト位置の位置を一度に変更することができまる。しかし、本発明の文脈では、弁及び多孔弁のデフォルト位置からが逐次変更されることが好ましい。
【0041】
好ましい実施形態では、不活性ガス回路のバルブが最初に開かれる。他のマルチポートバルブは後から交換するだけである。本プロセスでは、以下の可変順序に従って、既存の弁(多孔弁を含む)の上記デフォルト位置を変更することによって、試料を採取する:
1)不活性ガス回路の少なくとも1つの弁を、好ましくは少なくとも5秒間、最大120秒まで、より好ましくは最大90秒間開放する;
2)第3の多孔弁(3)の中間の孔を試料容器に通じる孔に切り替え、不活性ガスで試料容器をパージして、場合によっては、試料容器から出る第4の多孔弁(4)の孔を残留物出口に向かって第4の多孔弁(4)の中間の孔に切り替える;
3)不活性ガス回路の少なくとも1つの弁が閉じられている;
4)第2の多孔弁(2)が位置IIに切り替えられている;
5)第1の多孔弁(1)が位置IIに切り替えられている;
6)不活性ガス回路の弁が開かれる;
7)第3の多孔弁(3)の中間の孔を、残留物出口に通じる孔、又存在する場合には、第4の多孔弁(4)に切り替え、それによって第3の多孔弁(3)の中間の孔が第4の多孔弁(4)につながる場合、当該多孔弁(4)の孔は、残留物出口に通じる孔に切り替えられる;
8)すべての弁(多孔弁を含む)がデフォルト位置に戻る。
【0042】
なお、手順4)を行う前に、さらに、溶媒回路のポンプが作動し始める。さらに、ガス化した液体を除去する場合、圧力調整ユニットの制動毛細管を通過させる必要がある。その場合には、対応する多孔弁(22)を位置IIに切り替える必要もある。これは、好ましくは、工程6)の前に行なってよい。ポンプは、1)~3)のいずれかと同時に起動することができる。また、このポンプは、工程8)で再度スイッチをオフにする。
【0043】
本発明の装置を洗浄(パージ)する場合、又はブランク試料を採取する場合、工程5)は省略され、それによって溶媒のみが装置のラインに通される。無溶媒抽出の場合は、手順4)が省略される。その結果、試料は、不活性ガスのみによって試料ループから押し出される。
【0044】
上記の順序は、本プロセスを例示するのに役立つ。多孔弁は、異なる組み合わせや順序を選択することができることは、上記の通りである。従って、第2の多孔弁(2)もまた、デフォルト位置、すなわち、位置I、すなわち、工程5が実施されないようにすることもできる。このようにして、特定の用途に有用な原液サンプルを提供することもできる。また、例示的な順序には、ブランク試料を採取するオプションは含まれない。このような場合、第1の多孔弁(1)は、デフォルト位置、すなわち、位置I、工程4は実行されない。その場合、溶媒のみを試料容器に送り、ブランク試料として分析することになる。
【0045】
個々の工程1)~8)又は全ての代替的な方法において変更される弁の位置は、通常、液体と気体が導管を通じて十分に誘導されることを保証するために、ある時間保持される。しかし、弁の位置の最小持続時間は、正確な構造、用いられる弁、導管等に依存するため、正確に決定することは困難である。本発明の好ましい実施形態では、個々の工程1)~8)又は全ての代替プロセスにおいて変更される弁位置は、1~120秒間、好ましくは5~90秒間、維持される。
【0046】
従って、このように、不活性で逆混合のない試料を短時間で吸引することもできるのが本方法の特徴である。デフォルト位置から順に、1)~3)の手順で不活性ガスをパージした後、数秒で最初の試料を吸引することができる。最初の試料を採取した後、次の試料を採取する前に、まずもう一度洗浄(パージ)する必要がある。これが、本発明による方法の時間決定工程である。とはいえ、2つの試料間の時間間隔は比較的短く、150秒未満、好ましくは135秒未満、好ましくは120秒未満である。したがって、工程1)~8)のプロセスの総持続時間は、好ましくは480秒以下、さらに好ましくは300秒以下、より好ましくは200秒以下である。
【0047】
本発明の装置を図1に概略的に示す。これは、本発明を限定することを意図しない例示的な実施形態である。
【0048】
図1は、5つの多孔弁(1、2、3、4、22)を備える実施形態を示す。ここで、試料回路は、第1の多孔弁(1)、容器(7)からの供給導管(15)、容器(7)への排出導管(16)、及び試料ループ(14)によって定義される。溶媒回路は、溶媒のための貯蔵器(6)、第2の多孔弁(2)、貯蔵器(6)からの供給導管(11)、貯蔵器(6)への排出導管(10)、及び溶媒ループ(12)を備える。溶媒が供給導管(11)によって貯蔵器(6)から多孔弁(2)へつながるポンプは、ここでは示されていない。試料容器(5)は、試料分配ユニット、第3の多孔弁(3)、試料容器(5)に接続された少なくとも1つの導管(19)、試料容器(5)から離れて第4の多孔弁に接続された少なくとも1つの導管(20)、及び第4の多孔弁(4)を介して充填される。ここで、第4の多孔弁も省略することができることは明らかであろう。制動毛細管(24)を備えるさらなる多孔弁(22)は、制御された方法で圧力を放出することができる圧力調整ユニットを構成し、試料を制御して、漸進的に減圧することがでいきる。存在するすべての多孔弁(1、2、3、4、22)は、不活性ガス回路を介して接続される。不活性ガス回路は、不活性ガスの供給流を制御する弁(8)を備える。不活性ガスは、供給導管(9)を通って装置に入り、最初に第2の多孔弁(2)に導かれる。次いで、不活性ガス回路のドレン導管(21)は、第4の多孔弁(4)から残留物出口に導かれる。存在するすべての多孔弁(1、2、3、4、22)は、導管(13、17、18、23)を介して不活性ガス回路を介して接続される。サンプリングのため、試料ループ(14)が、最初に充填される(上記の位置I)。続いて、試料は、不活性ガスとともに、必要に応じて、溶媒とともに、溶媒ループ(12)から試料ループ(14)へ、導管(17)を介して、多孔弁(22)へ、そこから導管23を介して、多孔弁(3)へ、そこから、導管(19)を介して、試料容器(5)へと送られる。
[実施例]
図1に概略的に示す本発明によるサンプリングシステムにおいて、サンプリングを高圧で試験した。
【実施例0049】
反応容器(Parr Instrument Company HDオートクレーブ250ml)に最初にトルエンを添加した。反応容器は窒素で加圧して200バールにし、145℃に加熱した。当該圧力及び温度に達した後、ジイソブテンをトルエン/ジイソブテンの質量比80:20で添加し、得られた混合物を、本発明によるサンプリング系を用いて、反復サンプリングにより分析した。3分後、6分後、10分後、15分後、30分後、45分後、60分後、90分後、1200分後、2400分後に試料を採取し、ガスクロマトグラフィー(FID検出器)により質量比を分析した。トルエンのジイソブテンに対する質量比は、再現可能な方法で80:20であった。
【実施例0050】
反応容器(Parr Instrument Company HDオートクレーブ250ml)に、135gのトルエンを添加し、12mgのRh(acac)CO及び0.15gのAlkanox P240からなる触媒系を導入した。混合物を140℃に加熱し、合成ガス(CO:H 約50:50)の注入により170バールまで昇圧させて、完全に混合した。
【0051】
当該圧力及び温度に達したら、30gの2-エチル-1-ヘキセンを添加し、本発明(図1)によるサンプリング系を用いて、反復サンプリングにより生じたヒドロホルミル化反応を分析した。15分後、30分後、45分後、75分後、135分後、195分後に試料を採取し、ガスクロマトグラフィー(FID検出器)により反応物の質量比について分析した。
表1:自動サンプリング後のガスクロマトグラフィーの結果
【0052】
【表1】
図1
【外国語明細書】