IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社グラフィーの特許一覧

特開2022-188044患者カスタムギプスの製造のための3Dプリンタ用光硬化型組成物
<>
  • 特開-患者カスタムギプスの製造のための3Dプリンタ用光硬化型組成物 図1
  • 特開-患者カスタムギプスの製造のための3Dプリンタ用光硬化型組成物 図2
  • 特開-患者カスタムギプスの製造のための3Dプリンタ用光硬化型組成物 図3
  • 特開-患者カスタムギプスの製造のための3Dプリンタ用光硬化型組成物 図4
  • 特開-患者カスタムギプスの製造のための3Dプリンタ用光硬化型組成物 図5
  • 特開-患者カスタムギプスの製造のための3Dプリンタ用光硬化型組成物 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022188044
(43)【公開日】2022-12-20
(54)【発明の名称】患者カスタムギプスの製造のための3Dプリンタ用光硬化型組成物
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/314 20170101AFI20221213BHJP
   B33Y 70/00 20200101ALI20221213BHJP
   B33Y 80/00 20150101ALI20221213BHJP
   B29C 64/129 20170101ALI20221213BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20221213BHJP
   C08F 290/06 20060101ALI20221213BHJP
   C08F 2/50 20060101ALI20221213BHJP
   A61L 15/12 20060101ALI20221213BHJP
   A61L 15/10 20060101ALI20221213BHJP
   A61L 15/14 20060101ALI20221213BHJP
【FI】
B29C64/314
B33Y70/00
B33Y80/00
B29C64/129
B33Y10/00
C08F290/06
C08F2/50
A61L15/12 100
A61L15/10
A61L15/14
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022143558
(22)【出願日】2022-09-09
(62)【分割の表示】P 2021516516の分割
【原出願日】2019-08-13
(31)【優先権主張番号】10-2018-0146099
(32)【優先日】2018-11-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】520456114
【氏名又は名称】株式会社グラフィー
【氏名又は名称原語表記】GRAPHY INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100165803
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100170900
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 渉
(72)【発明者】
【氏名】シム ウンソブ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】患者の体型に合ったギプスの製造が容易で、スプリントおよびキャストの固定力の調整が可能な3Dプリンタ用光硬化型組成物を提供する。
【解決手段】下記化学式1で表されるUV硬化ポリウレタンオリゴマーと、光開始剤と、シランカップリング剤と、オリゴマーと、安定剤とを含み、患者カスタムギプスは、引張強度50N/m~60N/mおよび曲げ強度60N/m~75N/mである。固定力の調整により、必要分の圧迫を提供することができ、必要に応じて着脱可能なギプスの製造が、3Dプリントを用いて可能である。

【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
3Dプリントを利用した患者カスタムギプスの製造のための光硬化型組成物であり、
下記化学式1で表されるUV硬化ポリウレタンオリゴマーと、
光開始剤と、
シランカップリング剤と、
オリゴマーと、
安定剤とを含み、
前記患者カスタムギプスは、引張強度が50N/m~60N/mおよび曲げ強度が
60N/m~75N/mである、
患者カスタムギプスの製造のための3Dプリンタ用光硬化型組成物:
【化1】
【化2】
ここで、
AおよびA’は、前記化学式2で表される置換基であり、
n、m、o、p、q、およびrは互いに同一または異なり、それぞれ独立して1~10
0の整数であり、
およびLは互いに同一または異なり、それぞれ独立して置換または非置換の炭素
数1~200のアルキレン基、置換または非置換の炭素数6~200のアリーレン基、置
換または非置換の核原子数5~200のヘテロアリーレン基、および置換または非置換の
炭素数3~200のシクロアルキレン基であり、
~Rは互いに同一または異なり、それぞれ独立して水素、重水素、シアノ基、ニ
トロ基、ハロゲン基、ヒドロキシ基、置換または非置換の炭素数1~30のアルキル基、
置換または非置換の炭素数1~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素数2~
30のアルケニル基、置換または非置換の炭素数2~24のアルキニル基、置換または非
置換の炭素数7~30のアラルキル基、置換または非置換の炭素数6~30のアリール基
、置換または非置換の炭素数5~60のヘテロアリール基、置換または非置換の炭素数6
~30のヘテロアリールアルキル基、置換または非置換の炭素数1~30のアルコキシ基
、置換または非置換の炭素数1~30のアルキルアミノ基、置換または非置換の炭素数6
~30のアリールアミノ基、置換または非置換の炭素数6~30のアラルキルアミノ基、
置換または非置換の炭素数2~24のヘテロアリールアミノ基、置換または非置換の炭素
数1~30のアルキルシリル基、置換または非置換の炭素数6~30のアリールシリル基
、および置換または非置換の炭素数6~30のアリールオキシ基からなる群より選択され

前記置換されたアルキレン基、置換されたアリーレン基、置換されたヘテロアリーレン
基、置換されたシクロアルキレン基、置換されたアルキル基、置換されたシクロアルキル
基、置換されたアルケニル基、置換されたアルキニル基、置換されたアラルキル基、置換
されたアリール基、置換されたヘテロアリール基、置換されたヘテロアリールアルキル基
、置換されたアルコキシ基、置換されたアルキルアミノ基、置換されたアリールアミノ基
、置換されたアラルキルアミノ基、置換されたヘテロアリールアミノ基、置換されたアル
キルシリル基、置換されたアリールシリル基、および置換されたアリールオキシ基は、水
素、重水素、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン基、ヒドロキシ基、炭素数1~30のアルキ
ル基、炭素数1~20のシクロアルキル基、炭素数2~30のアルケニル基、炭素数2~
24のアルキニル基、炭素数7~30のアラルキル基、炭素数6~30のアリール基、核
原子数5~60のヘテロアリール基、炭素数6~30のヘテロアリールアルキル基、炭素
数1~30のアルコキシ基、炭素数1~30のアルキルアミノ基、炭素数6~30のアリ
ールアミノ基、炭素数6~30のアラルキルアミノ基、炭素数2~24のヘテロアリール
アミノ基、炭素数1~30のアルキルシリル基、炭素数6~30のアリールシリル基、お
よび炭素数6~30のアリールオキシ基からなる群より選択された1種以上の置換基で置
換され、複数の置換基で置換される場合、これらは互いに同一または異なる。
【請求項2】
前記UV硬化ポリウレタンオリゴマーは、重量平均分子量10000~1000000
である、
請求項1に記載の患者カスタムギプスの製造のための3Dプリンタ用光硬化型組成物。
【請求項3】
前記光開始剤は、下記化学式3で表される化合物である、
請求項1に記載の患者カスタムギプスの製造のための3Dプリンタ用光硬化型組成物:
【化3】
ここで、
は、S、OまたはN(R11)であり、
~R11は互いに同一または異なり、それぞれ独立して水素、重水素、シアノ基、
ニトロ基、ハロゲン基、ヒドロキシ基、置換または非置換の炭素数1~30のアルキル基
および置換または非置換の炭素数3~30のシクロアルキル基であり、
前記置換されたアルキル基および置換されたシクロアルキル基は、水素、重水素、シア
ノ基、ニトロ基、ハロゲン基、ヒドロキシ基、炭素数1~30のアルキル基、炭素数1~
20のシクロアルキル基、炭素数2~30のアルケニル基、炭素数2~24のアルキニル
基、炭素数7~30のアラルキル基、炭素数6~30のアリール基、核原子数5~60の
ヘテロアリール基、炭素数6~30のヘテロアリールアルキル基、炭素数1~30のアル
コキシ基、炭素数1~30のアルキルアミノ基、炭素数6~30のアリールアミノ基、炭
素数6~30のアラルキルアミノ基、炭素数2~24のヘテロアリールアミノ基、炭素数
1~30のアルキルシリル基、炭素数6~30のアリールシリル基と炭素数6~30のア
リールオキシ基からなる群より選択された1種以上の置換基で置換され、複数の置換基で
置換される場合、これらは互いに同一または異なる。
【請求項4】
前記オリゴマーは、エポキシアクリレートオリゴマー、H12ジアンジグリシジルエー
テル(4,4’-(1-メチルエチリデン)ビス(シクロヘキサノール)、(クロロメチ
ル)オキシランを有するポリマー)、およびこれらの混合物からなる群より選択される、
請求項1に記載の患者カスタムギプスの製造のための3Dプリンタ用光硬化型組成物。
【請求項5】
前記安定剤は、2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾール、ジエチルエタノール
アミン、トリヘキシルアミン、ヒンダードアミン、有機リン酸塩、ヒンダードフェノール
、およびこれらの混合物からなる群より選択される、
請求項1に記載の患者カスタムギプスの製造のための3Dプリンタ用光硬化型組成物。
【請求項6】
前記患者カスタムギプスは、内部に補形物をさらに形成して、
患者患部の状態変化に応じて、ギプスの緩み防止および患部支持力を維持し得る、
請求項1に記載の患者カスタムギプスの製造のための3Dプリンタ用光硬化型組成物。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の3Dプリンタ用光硬化型組成物を含む、
3Dプリントを利用して製造された患者カスタムギプス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者カスタムギプスの製造のための3Dプリンタ用光硬化型組成物に関する
もので、より具体的には3Dプリンタ用光硬化型組成物であって、患者の患部に関する3
D情報により、患者の患部に適したギプスを製造することができ、前記ギプスは3Dプリ
ンタ用光硬化型組成物を用いて製造され、優れた固定力を提供し得る。
【背景技術】
【0002】
骨(Bone)、関節(Joint)、筋肉(Muscle)、腱(Tendon)、靭帯(Ligament)、軟
骨(Cartilage)、神経(Nerve)などからなる筋骨格系は、外部からの衝撃、過度の使用
、正しくない姿勢などの様々な要因によって各種疾患が誘発され得るが、このような筋骨
格系の疾患を治療する過程で使用される代表的な整形外科用医療品が、キャスト(Cast)
とスプリント(Splint)である。
【0003】
キャストは、骨折、靭帯断裂、脱臼、重度の皮膚炎症などにより一定期間患部を固定す
る必要があるとき、主に水和性石膏包帯、またはこれに類似の機能を有する熱硬化性合成
樹脂を用いて、患者の患部を全体的に包み込む形状である。
【0004】
一方、スプリントは、捻挫、脱臼、骨折などが生じた患者の患部周りに添え木として作
用するものであって、スプリントの外周を別の包帯などで巻いて患部を固定することとな
る。
【0005】
いわゆるギプス包帯(Plaster cast)を施すときに使用されるのがキャストで、半ギプ
スを施すときに使用されるのをスプリントという。
【0006】
一般的な従来のスプリントは水硬性樹脂で作られ、水に湿らす前のスプリントを患者の
患部近くに当てて概ね裁断をした後、裁断されたスプリントを水に浸して取り出し、濡れ
たスプリントを患者の患部に貼りつけて固め、スプリントの上から別の包帯を巻いて、こ
れを固定する方法が用いられていた。
【0007】
しかし、従来のスプリント施術の過程は、患者の患部がひどく濡れたり副産物が皮膚に
くっついたりして、その周りが汚れる問題が生じ、施術の過程が複雑である故、持続的に
患者の患部を刺激する頻度が高くなり、施術されたスプリントが完全に固まる前に、患部
の外側形状と相補的な内側形状を作るために、スプリントを擦りながら成形する過程で、
患者に強い衝撃が加えられる問題もあった。
【0008】
また、施術者の能力によって施術結果が異なる問題が生じ得るが、場合によっては圧迫
強度が強すぎて、患者に血行障害などの問題を誘発するか、または、圧迫強度が弱すぎて
、スプリントが患者の患部を適切に支持できずずれ落ちてしまう問題を起こすこともある
【0009】
キャストの材料としては、伝統的に石膏が使用されてきており、最近ではプラスチック
のような合成樹脂などが用いられている。
【0010】
施術方法は、通常、患者の患部に包帯を巻いて石膏を塗布するか、プラスチック板を巻
く方法で行われるが、このような従来の方法によると、患者の患部に必要以上の強い圧迫
が加わることがあり、これとは逆に必要圧迫に満たない施術により、適切な固定がなされ
ない等の問題があり得る。
【0011】
必要以上の強い圧迫は、患者に血行障害または神経系の損傷などをもたらし、必要以下
の弱い圧迫は、緩いキャストと皮膚との持続的な摩擦により、皮膚の損傷をもたらすか骨
の接合ずれなどの問題を招くこととなる。
【0012】
また、骨折などを治療するために必要な期間が通常3週間~5週間、長くはそれ以上と
なるところ、キャストで圧迫され密閉された患者の患部は、長い間洗いもできず、雑菌の
繁殖による各種皮膚疾患の危険にさらされ、これによって患者は深刻なかゆみを訴えるよ
うになり、汗や各種異物等によって汚染されたキャストから酷い悪臭まで伴い、患者本人
はもちろん、周りの人にまで不快感を与えることとなる。
【0013】
したがって、前述した従来のスプリントおよびキャストの問題を解決するべく、患者の
患部をスキャンして3Dプリント技術などを利用して、患者カスタムスプリントおよびキ
ャストを作製して、患者の患部を安全に保護し、スプリントおよびキャストの固定力の調
整が容易になるように構成された新しいタイプのスプリントおよびキャストに関する技術
の導入が求められている実情である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】韓国公開特許第10-2018-0022452号公報
【特許文献2】韓国登録特許第10-1820674号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の目的は、患者カスタムギプスの製造のための3Dプリンタ用光硬化型組成物を
提供するものである。
【0016】
本発明の他の目的は、3Dプリントを用いて、患者の体型に合ったギプスの製造が容易
であり、スプリントおよびキャストの固定力の調整が可能な3Dプリンタ用光硬化型組成
物を提供するものである。
【0017】
本発明のまた他の目的は、固定力の調整により、必要分の圧迫を提供することができ、
必要に応じて着脱可能なギプスの製造ができる3Dプリンタ用光硬化型組成物を用いた患
者カスタムギプスを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
前記目的を達成するために、本発明の一実施例に係る患者カスタムギプスの製造のため
の3Dプリンタ用光硬化型組成物は、3Dプリントを利用した患者カスタムギプスの製造
のための光硬化型組成物であり、下記化学式1で表されるUV硬化ポリウレタンオリゴマ
ーと、光開始剤と、シランカップリング剤と、オリゴマーと、安定剤とを含み、前記患者
カスタムギプスは、引張強度50N/m~60N/mおよび曲げ強度60N/m
75N/mである。
【0019】
【化1】
【化2】
ここで、
AおよびA’は、前記化学式2で表される置換基であり、
n、m、o、p、q、およびrは互いに同一または異なり、それぞれ独立して1~100
の整数である。
【0020】
およびLは互いに同一または異なり、それぞれ独立して置換または非置換の炭素
数1~200のアルキレン基、置換または非置換の炭素数6~200のアリーレン基、置
換または非置換の核原子数5~200のヘテロアリーレン基および置換または非置換の炭
素数3~200のシクロアルキレン基である。
【0021】
~Rは互いに同一または異なり、それぞれ独立して水素、重水素、シアノ基、ニ
トロ基、ハロゲン基、ヒドロキシ基、置換または非置換の炭素数1~30のアルキル基、
置換または非置換の炭素数1~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素数2~
30のアルケニル基、置換または非置換の炭素数2~24のアルキニル基、置換または非
置換の炭素数7~30のアラルキル基、置換または非置換の炭素数6~30のアリール基
、置換または非置換の炭素数5~60のヘテロアリール基、置換または非置換の炭素数6
~30のヘテロアリールアルキル基、置換または非置換の炭素数1~30のアルコキシ基
、置換または非置換の炭素数1~30のアルキルアミノ基、置換または非置換の炭素数6
~30のアリールアミノ基、置換または非置換の炭素数6~30のアラルキルアミノ基、
置換または非置換の炭素数2~24のヘテロアリールアミノ基、置換または非置換の炭素
数1~30のアルキルシリル基、置換または非置換の炭素数6~30のアリールシリル基
、および置換または非置換の炭素数6~30のアリールオキシ基からなる群より選択され
る。
【0022】
前記置換されたアルキレン基、置換されたアリーレン基、置換されたヘテロアリーレン
基、置換されたシクロアルキレン基、置換されたアルキル基、置換されたシクロアルキル
基、置換されたアルケニル基、置換されたアルキニル基、置換されたアラルキル基、置換
されたアリール基、置換されたヘテロアリール基、置換されたヘテロアリールアルキル基
、置換されたアルコキシ基、置換されたアルキルアミノ基、置換されたアリールアミノ基
、置換されたアラルキルアミノ基、置換されたヘテロアリールアミノ基、置換されたアル
キルシリル基、置換されたアリールシリル基、および置換されたアリールオキシ基は、水
素、重水素、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン基、ヒドロキシ基、炭素数1~30のアルキ
ル基、炭素数1~20のシクロアルキル基、炭素数2~30のアルケニル基、炭素数2~
24のアルキニル基、炭素数7~30のアラルキル基、炭素数6~30のアリール基、核
原子数5~60のヘテロアリール基、炭素数6~30のヘテロアリールアルキル基、炭素
数1~30のアルコキシ基、炭素数1~30のアルキルアミノ基、炭素数6~30のアリ
ールアミノ基、炭素数6~30のアラルキルアミノ基、炭素数2~24のヘテロアリール
アミノ基、炭素数1~30のアルキルシリル基、炭素数6~30のアリールシリル基、お
よび炭素数6~30のアリールオキシ基からなる群より選択された1種以上の置換基で置
換され、複数の置換基で置換される場合、これらは互いに同一または異なる。
【0023】
前記UV硬化ポリウレタンオリゴマーは、重量平均分子量10000~1000000
である。
【0024】
前記光開始剤は、下記化学式3で表される化合物である。
【0025】
【化3】
ここで、
は、S、OまたはN(R11)である。
【0026】
~R11は互いに同一または異なり、それぞれ独立して水素、重水素、シアノ基、
ニトロ基、ハロゲン基、ヒドロキシ基、置換または非置換の炭素数1~30のアルキル基
、および置換または非置換の炭素数3~30のシクロアルキル基である。
【0027】
前記置換されたアルキル基および置換されたシクロアルキル基は、水素、重水素、シア
ノ基、ニトロ基、ハロゲン基、ヒドロキシ基、炭素数1~30のアルキル基、炭素数1~
20のシクロアルキル基、炭素数2~30のアルケニル基、炭素数2~24のアルキニル
基、炭素数7~30のアラルキル基、炭素数6~30のアリール基、核原子数5~60の
ヘテロアリール基、炭素数6~30のヘテロアリールアルキル基、炭素数1~30のアル
コキシ基、炭素数1~30のアルキルアミノ基、炭素数6~30のアリールアミノ基、炭
素数6~30のアラルキルアミノ基、炭素数2~24のヘテロアリールアミノ基、炭素数
1~30のアルキルシリル基、炭素数6~30のアリールシリル基、および炭素数6~3
0のアリールオキシ基からなる群より選択された1種以上の置換基で置換され、複数の置
換基で置換される場合、これらは互いに同一または異なる。
【0028】
前記オリゴマーは、エポキシアクリレートオリゴマー、H12ジアンジグリシジルエー
テル(4,4’-(1-メチルエチリデン)ビス(シクロヘキサノール)、(クロロメチ
ル)オキシランを有するポリマー)およびこれらの混合物からなる群より選択され得る。
【0029】
前記安定剤は、2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾール、ジエチルエタノール
アミン、トリヘキシルアミン、ヒンダードアミン、有機リン酸塩、ヒンダードフェノール
およびこれらの混合物からなる群より選択され得る。
【0030】
前記患者カスタムギプスは、内部に補形物をさらに形成して、患者の患部状態の変化に
応じて、ギプスの緩み防止および患部支持力を維持することができる。
【0031】
本発明の一実施例に係る3Dプリントを利用して製造された患者カスタムギプスは、前
記3Dプリンタ用光硬化型組成物を含み得る。
【0032】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。本発明の3Dプリントは、3Dデジタルデータ
を利用して素材を積層し、3次元物体を製造するプロセスのことを言う。本明細書では、
3Dプリント技術として、DLP(Digital Light Processing)、SLA(Stereo Litho
graphy Apparatus)、およびポリジェット(PolyJet)方式を中心に述べるが、他の3D
プリント技術にも適用可能であるものと理解され得る。
【0033】
本発明の光硬化型組成物は、光照射により硬化される物質であって、架橋され網状構造
に重合される高分子のことを言う。本明細書では、UV光を中心に述べるが、UV光に限
定されず他の光に対しても適用可能である。
【0034】
本発明の一実施例に係る患者カスタムギプスの製造のための3Dプリンタ用光硬化型組
成物は、3Dプリントを利用した患者カスタムギプスの製造のための光硬化型組成物であ
り、下記化学式1で表されるUV硬化ポリウレタンオリゴマーと、光開始剤と、シランカ
ップリング剤と、オリゴマーと、安定剤とを含み、前記患者カスタムギプスは、引張強度
50N/m~60N/mおよび曲げ強度60N/m~75N/mである。
【0035】
【化4】
【化5】
ここで、
AおよびA’は、前記化学式2で表される置換基であり、
n、m、o、p、q、およびrは互いに同一または異なり、それぞれ独立して1~100
の整数である。
【0036】
およびLは互いに同一または異なり、それぞれ独立して置換または非置換の炭素
数1~200のアルキレン基、置換または非置換の炭素数6~200のアリーレン基、置
換または非置換の核原子数5~200のヘテロアリーレン基および置換または非置換の炭
素数3~200のシクロアルキレン基である。
【0037】
~Rは互いに同一または異なり、それぞれ独立して水素、重水素、シアノ基、ニ
トロ基、ハロゲン基、ヒドロキシ基、置換または非置換の炭素数1~30のアルキル基、
置換または非置換の炭素数1~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素数2~
30のアルケニル基、置換または非置換の炭素数2~24のアルキニル基、置換または非
置換の炭素数7~30のアラルキル基、置換または非置換の炭素数6~30のアリール基
、置換または非置換の炭素数5~60のヘテロアリール基、置換または非置換の炭素数6
~30のヘテロアリールアルキル基、置換または非置換の炭素数1~30のアルコキシ基
、置換または非置換の炭素数1~30のアルキルアミノ基、置換または非置換の炭素数6
~30のアリールアミノ基、置換または非置換の炭素数6~30のアラルキルアミノ基、
置換または非置換の炭素数2~24のヘテロアリールアミノ基、置換または非置換の炭素
数1~30のアルキルシリル基、置換または非置換の炭素数6~30のアリールシリル基
、および置換または非置換の炭素数6~30のアリールオキシ基からなる群より選択され
る。
【0038】
前記置換されたアルキレン基、置換されたアリーレン基、置換されたヘテロアリーレン
基、置換されたシクロアルキレン基、置換されたアルキル基、置換されたシクロアルキル
基、置換されたアルケニル基、置換されたアルキニル基、置換されたアラルキル基、置換
されたアリール基、置換されたヘテロアリール基、置換されたヘテロアリールアルキル基
、置換されたアルコキシ基、置換されたアルキルアミノ基、置換されたアリールアミノ基
、置換されたアラルキルアミノ基、置換されたヘテロアリールアミノ基、置換されたアル
キルシリル基、置換されたアリールシリル基、および置換されたアリールオキシ基は、水
素、重水素、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン基、ヒドロキシ基、炭素数1~30のアルキ
ル基、炭素数1~20のシクロアルキル基、炭素数2~30のアルケニル基、炭素数2~
24のアルキニル基、炭素数7~30のアラルキル基、炭素数6~30のアリール基、核
原子数5~60のヘテロアリール基、炭素数6~30のヘテロアリールアルキル基、炭素
数1~30のアルコキシ基、炭素数1~30のアルキルアミノ基、炭素数6~30のアリ
ールアミノ基、炭素数6~30のアラルキルアミノ基、炭素数2~24のヘテロアリール
アミノ基、炭素数1~30のアルキルシリル基、炭素数6~30のアリールシリル基、お
よび炭素数6~30のアリールオキシ基からなる群より選択された1種以上の置換基で置
換され、複数の置換基で置換される場合、これらは互いに同一または異なる。
【0039】
前記UV硬化ポリウレタンオリゴマーは、重量平均分子量10000~1000000
である。
【0040】
より好ましくは、UV硬化ポリウレタンオリゴマーは、下記化学式4で表される化合物
である。
【0041】
【化6】
ここで、
AおよびA’は、化学式1で定義した通りであり、
n’、m’、o’、p’、q’、およびr’は互いに同一または異なり、それぞれ独立し
て1~100の整数である。
【0042】
12およびR13は互いに同一または異なり、それぞれ独立して炭素数1~30のア
ルキルシリル基、炭素数6~30のアリールシリル基、炭素数1~30のアルコキシ基、
および炭素数1~20のシクロアルキル基からなる群より選択される。
【0043】
より具体的には、UV硬化のために、ポリウレタンオリゴマーに光硬化官能基が結合さ
れた高分子化合物であり、前記光硬化官能基は前記化学式2で表される置換基である。
【0044】
前記化学式2で表される置換基内の炭素同士の二重結合構造を含み、前記炭素同士の二
重結合により光硬化作用を示し得る。
【0045】
また、前記UV硬化ポリウレタンオリゴマーは、主鎖にポリウレタン構造を含み、前記
ポリウレタン構造に光硬化官能基が結合され、前記ポリウレタン構造および光硬化官能基
間の結合は、ウレタンリンカーにソフトセグメントを結合したリンカーおよびウレタンリ
ンカーにハードセグメントを結合したリンカーを利用する。
【0046】
前記ウレタンリンカーにソフトセグメントを結合したリンカーの場合、ソフトセグメン
トのフレキシブルな性質をともに利用することができ、ハードセグメントは熱抵抗性(He
at resistant)を示し得る。
【0047】
つまり、UV硬化ポリウレタンオリゴマーに光硬化官能基を結合させ、リンカーとして
、ソフトセグメントおよびハードセグメントを利用することにより、常温で柔らかい性質
を有する炭素骨格を利用して、フレキシブルな効果を示せるだけでなく、常温でハードな
性質を有する炭素骨格を利用して、熱に強い性質をともに示すことができる。
【0048】
前記UV硬化ポリウレタンオリゴマーは、ハードな性質を有する炭素骨格を含むことに
よって、熱的性質、強度、弾性率、および伸び率のような物理的特性に優れた3Dプリン
ト出力物を製造することができる。
【0049】
また、UV硬化ポリウレタンオリゴマーは、ソフトな性質を有する炭素骨格を含むこと
により、使用によって元の形状が変形されても、形状復元が可能な3Dプリント出力物を
製造することができる。
【0050】
一般的に、3Dプリンタ用組成物は、3Dプリント出力物の物理的な特性を高めるため
に、ハードな性質を有する炭素骨格のみを含んで、出力物の物理的特性を高められるが、
逆に、使用によって形状が変形する場合は、形状復元が不可であるため、多数回の使用が
不可能という問題がある。
【0051】
本発明における3Dプリンタ用組成物は、UV硬化ポリウレタンオリゴマーに、ハード
な性質を有する炭素骨格およびソフトな性質を有する炭素骨格を含むことによって、熱的
性質、強度、弾性率、および伸び率のような物理的特性に優れるのみならず、ソフトセグ
メントのフレキシブルな性質をともに利用することができ、使用によって形状が変形する
場合には、形状を復元させ再利用が可能である。
【0052】
一般的に、ギプス用素材として使用される石膏の場合、変形が不可能であり、プラスチ
ック素材の場合にも、外部からの強い外力などによって一部変形したり、割れが生じたり
し得る。
【0053】
つまり、ギプスへの固定力を維持するためには、物理的特性に優れる必要がある。ただ
し、物理的特性のみ優れていると、外力によって損傷が発生したり、形状が変形したりす
る場合、元の形状への復元が不可能という問題がある。
【0054】
本発明のギプス用光硬化型組成物の場合には、ソフトな性質を有する炭素骨格およびハ
ードな性質を有する炭素骨格を含むUV硬化ポリウレタンオリゴマーを利用することによ
り、ハードな性質を有する炭素骨格によって、ギプスとして製造する際、固定力の維持の
ための物理的特性を示すとともに、ソフトな性質を有する炭素骨格をともに含み、使用に
よって形状が変形する場合、形状復元が可能であり、熱的性質、強度、弾性率、および伸
び率を示し得る。
【0055】
本発明は、スプリントおよびキャストの固定力の調整が可能なので、必要分の圧迫を提
供することができ、必要に応じて着脱可能なギプスを製造し得る3Dプリンタ用光硬化型
組成物を提供するものである。
【0056】
従来のギプス材料として用いられていた石膏やプラスチック素材の場合は、固定力の調
整が不要であるか、または着脱を考慮していないため、物理的特性に優れているか否かが
、ギプス素材としての使用に最も重要な影響を与える要素とされていた。
【0057】
ただ、従来のギプス素材の場合、必要以上の強い圧迫が加えられると、患者に苦痛を与
えるだけでなく、このような場合にはギプスを解体し、再度形状を取ってギプスを作り直
すという不便さが存在した。
【0058】
一方、本発明は、3Dプリントを利用するので、従来のギプス製造に比べ、患者の患部
形状とほぼ一致するギプスを製造することができ、時間の経過につれ患部の形状が変形す
る場合には、ギプス素材のソフトな性質を利用して、固定力を高めるためにギプスの形状
を調整するか、ギプスの内部に付着物を形成させ、ギプスの緩みを防止するとともに、患
部支持力を維持することができる。
【0059】
前記ギプスの形状を調節するための方法として、ギプスを製造する際に上下分離してプ
リントし、この際、上下部が接着される接着面にワイヤなどを結合できるようにホールを
形成して、患部の変形によりギプスが緩んでくる場合、ホールにワイヤのような紐を連結
して、ギプスの緩みを防止し、患部支持力を維持することができる。
【0060】
これは、本発明の光硬化型組成物を用いて製造したギプスがソフトな性質を有するので
、ホールを形成し紐を連結して、ギプスの緩みを防止するとともに、患部支持力を維持す
ることができる。つまり、ハードな性質のみを有するため、物理的特性は優れるものの、
ソフトな性質を有しない場合には、ワイヤのような紐を用いて締め付けると、形状の変形
が難しく、形状を変形させるためにさらに大きい外力を加えると、割れが発生し得る。
【0061】
より具体的に、本発明に係る3Dプリンタ用組成物を利用する場合は、引張弾性率15
00MPa~2500MPa、曲げ弾性率1000MPa~3500MPa、および引張
強度45MPa~90Mpaと、特性に優れた患者カスタムギプスを提供することができ
る。
【0062】
前記光開始剤は、下記化学式3で表される化合物である。
【0063】
【化7】
ここで、
は、S、OまたはN(R11)である。
【0064】
~R11は互いに同一または異なり、それぞれ独立して水素、重水素、シアノ基、
ニトロ基、ハロゲン基、ヒドロキシ基、置換または非置換の炭素数1~30のアルキル基
、および置換または非置換の炭素数3~30のシクロアルキル基である。
【0065】
前記置換されたアルキル基および置換されたシクロアルキル基は、水素、重水素、シア
ノ基、ニトロ基、ハロゲン基、ヒドロキシ基、炭素数1~30のアルキル基、炭素数1~
20のシクロアルキル基、炭素数2~30のアルケニル基、炭素数2~24のアルキニル
基、炭素数7~30のアラルキル基、炭素数6~30のアリール基、核原子数5~60の
ヘテロアリール基、炭素数6~30のヘテロアリールアルキル基、炭素数1~30のアル
コキシ基、炭素数1~30のアルキルアミノ基、炭素数6~30のアリールアミノ基、炭
素数6~30のアラルキルアミノ基、炭素数2~24のヘテロアリールアミノ基、炭素数
1~30のアルキルシリル基、炭素数6~30のアリールシリル基、および炭素数6~3
0のアリールオキシ基からなる群より選択された1種以上の置換基で置換され、複数の置
換基で置換される場合、これらは互いに同一または異なる。
【0066】
より好ましくは、下記化学式5で表される化合物である。
【0067】
【化8】
前記オリゴマーは、エポキシアクリレートオリゴマー、H12ジアンジグリシジルエー
テル(4,4’-(1-メチルエチリデン)ビス(シクロヘキサノール)、(クロロメチ
ル)オキシランを有するポリマー)およびこれらの混合物からなる群より選択され得る。
【0068】
より具体的に、エポキシアクリレートオリゴマーは、フェニルエポキシ(メタ)アクリ
レートオリゴマー、ビスフェノールAエポキシジ(メタ)アクリレートオリゴマー、脂肪
族アルキルエポキシジ(メタ)アクリレートオリゴマー、および脂肪族アルキルエポキシ
トリ(メタ)アクリレートオリゴマーからなる群より1種以上選択される化合物を使用し
得る。前記オリゴマーは、有機溶媒による膨潤(swelling)現象を低減し得るのみならず
、表面硬度、耐摩耗性、耐熱性などを向上させ得る。
【0069】
前記シランカップリング剤はより具体的に、3-メタクリルオキシプロピルトリメトキ
シシラン(3-Methacryloxypropyltrimethoxysilane)であるが、前記の例示に限定されな
い。
【0070】
前記安定剤は、2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾール、ジエチルエタノール
アミン、トリヘキシルアミン、ヒンダードアミン、有機リン酸塩、ヒンダードフェノール
、およびこれらの混合物からなる群より選択され、より具体的には2,6-ジ-tert
-ブチル-p-クレゾールである。
【0071】
熱的安定性、酸化安定性、貯蔵安定性、表面特性、流動特性、および工程特性などを向
上させるために、例えば、レベリング剤、スリップ剤または安定剤などの通常の添加剤を
含み得る。
【0072】
前記ギプス製造のための3Dプリンタ用光硬化型組成物は、UV硬化ポリウレタンオリ
ゴマーを含み、前記UV硬化ポリウレタンオリゴマー100重量部に対して、光開始剤1
.5重量部~15重量部と、シランカップリング剤0.1重量部~1.5重量部と、オリ
ゴマー50重量部~80重量部と、安定剤0.1重量部~2重量部とを含み得る。前記シ
ランカップリング剤は、前記使用範囲内で使用すると、顔料やフィラーなどの表面処理に
使用した場合の樹脂との相溶性および密着強度を向上させ得る。前記オリゴマーは使用範
囲を超えると、表面エネルギーが高くなり、モールドと樹脂との離型性が低下することと
なり、表面硬度が高くなり、モールドのスタンピング後の復元力のような表面特性の低下
となるおそれがある。前記安定剤の場合、使用範囲内で使用すると、周りの硬化を減少さ
せ、強度を高められる。
【0073】
ギプスとして利用しようとする場合には、物理的な特性を高めるべきという点から、オ
リゴマーの含有量を高めて、物理的な特性を強化する。特に、物理的特性を高めるための
オリゴマーは、下記化学式6で表されるオリゴマーが使用され得る。
【0074】
【化9】
前記化学式6で表されるオリゴマーは、ハードな炭素結合を含んでおり、光硬化型組成
物に含まれることにより、ギプスとして製造する際に物理的性質を向上させ得る。
【0075】
本発明に係るギプスの製造は、特許文献2に開示の「3D情報を利用したデジタルギプ
スプリント装置およびそのプリント方法」を利用し得る。
【0076】
より具体的に、患者の患部に関する3D情報の入力を受ける3D入力段階と、前記3D
情報を利用して関心範囲を設定し、ギプスの貫通方向の中心軸をx軸として、複数の領域
に分割した複数の3Dモデルを生成する3Dモデル生成段階と、前記複数の3Dモデルを
DLP(Digital Light Processing)方式で出力する3D出力段階とを含む。
【0077】
3D出力部は、複数の3DモデルをDLP方式で出力する。3D出力部は、各3Dモデ
ルを同時または異時に出力することにより、早い時間内に構成装置全体を生成することが
できる。3D出力部は、ユーザーの設定により、本発明の3Dプリンタ用光硬化型組成物
を用いて、患者カスタムギプスを出力することができる。
【0078】
より具体的に、3D情報を利用したデジタルギプスプリント装置により生成される3D
モデルは、ギプスの貫通方向の中心軸をx軸にして形成される。この場合、図2のように
、x軸とy軸とを第1境界面111にしてxy平面に分割され、3Dモデル100が上部
と下部とに分割され、第1モデル110として形成される。この場合、第1境界面111
は、UV処理、熱処理などにより、境界面の接合が容易になるようにすることも可能であ
る。また、第1モデル110の一方には開閉範囲101を設定することができ、開閉範囲
101は空白のままで3Dプリントとなり得る。
【0079】
また、図3に示すように、y軸とz軸とを第2境界面121にして、yz平面に分割さ
れ3Dモデル100が区間ごとに分割され、第2モデル120として形成される。したが
って、デジタルギプスを区間ごとに上下部に分離してプリントすることにより、製作速度
を向上させ得る。この場合、第2境界面121は、UV光硬化または熱処理などにより境
界面の接合が容易になるようにすることも可能である。また、第2モデル120の一方に
は開閉範囲101を設定することができ、開閉範囲101は空白のままで3Dプリントと
なり得る。
【0080】
図4は、図3に係る3Dモデルに追加される補形物モデルを説明するための例示図であ
る。
【0081】
図4を参照すると、3Dモデル100に追加される補形物を形成し得る。補形物モデル
200は、第1時点で得た患者の患部に関する3D情報と、第2時点で得た患者の患部に
関する3D情報との差を利用して形成し得る。補形物モデル200は、3Dモデル100
の内部に結合されるように形成される。
【0082】
これにより、患者の患部状態の変化によってギプスが緩んでくることを防止し、より強
固に患部を支持し得る。また、補形物モデル200の内側または外側の表面には突起20
1を形成して、既存の3Dモデル100と皮膚との間の間隔を維持させ、換気をさせるこ
ともできる。
【0083】
図4を参照すると、3Dモデルに追加される補形物モデルを説明するための例示図であ
って、補形物モデル200は、第1時点で得た患者の患部に関する3D情報と、第2時点
で得た患者の患部に関する3D情報との差を利用して形成し得る。補形物モデル200は
、3Dモデル100の内部に結合するように形成される。これにより、患者の患部状態の
変化によってギプスが緩んでくることを防止し、より強固に患部を支持することができる
。また、補形物モデル200の内側または外側の表面には突起201を形成して、既存の
3Dモデル100と皮膚との間の間隔を維持させて換気をさせることもできる。
【0084】
図5は、第1モデル110の第1境界面111に対称なホールが形成されたもので、対
称のホール同士の間をワイヤで連結し得る。図6は、第1境界面111に対称なホールが
形成されたところにワイヤを連結したものである。
【0085】
前記図5および図6を参照すると、図4のように、患部状態の変化によってギプスが緩
んでくる場合が生じ得る。この場合、内部補形物を追加で製作し、補形物によりギプスの
緩みを防止し得る。ただし、内部補形物を利用するためには、第2時点において患者の患
部に関する3D情報を利用する必要があることから、患者の患部に関する追加の情報が必
要となり、煩わしい問題が発生し得る。
【0086】
このような問題を防止するために、図5および図6において、第1境界面111に対称
なホールを形成し、前記ホールをワイヤ連結により、緩んでいるギプスを締め、固定力を
維持し得る。
【発明の効果】
【0087】
本発明は、3Dプリントを用いて、患者の体型に合ったギプスの製造が容易で、スプリ
ントおよびキャストの固定力の調整が可能な3Dプリンタ用光硬化型組成物を提供するも
のである。
【0088】
また、固定力の調整により、必要分の圧迫を提供することができ、必要に応じて着脱可
能なギプスを製造できる、3Dプリンタ用光硬化型組成物を用いた患者カスタムギプスを
提供するものである。
【図面の簡単な説明】
【0089】
図1図1は、本発明の一実施例に係る3D情報を利用したデジタルギプスプリント装置を介して形成される患者カスタムギプスの例示図である。
図2図2は、本発明の一実施例に係る3Dモデルのうち、第1モデルに分割することの例示図である。
図3図3は、本発明の一実施例に係る3Dモデルのうち、第2モデルに分割することの例示図である。
図4図4は、本発明の一実施例に係る3Dモデルのうち、補形物モデルの例示図である。
図5図5は、本発明の一実施例に係る3Dモデルのうち、境界面にホールが形成されたモデルの例示図である。
図6図6は、本発明の一実施例に係る3Dモデルのうち、境界面にホールが形成されたモデルの例示図である。
【発明を実施するための形態】
【0090】
本発明は、3Dプリントを利用した患者カスタムギプスの製造のための光硬化型組成物
であり、下記化学式1で表されるUV硬化ポリウレタンオリゴマーと、光開始剤と、シラ
ンカップリング剤と、オリゴマーと、安定剤とを含み、前記患者カスタムギプスは引張強
度50N/m~60N/mおよび曲げ強度60N/m~75N/mである患者カ
スタムギプスの製造のための3Dプリンタ用光硬化型組成物に関するものである。
【0091】
【化10】
【化11】
ここで、
AおよびA’は、前記化学式2で表される置換基であり、
n、m、o、p、q、およびrは互いに同一または異なり、それぞれ独立して1~100
の整数である。
【0092】
およびLは互いに同一または異なり、それぞれ独立して置換または非置換の炭素
数1~200のアルキレン基、置換または非置換の炭素数6~200のアリーレン基、置
換または非置換の核原子数5~200のヘテロアリーレン基、および置換または非置換の
炭素数3~200のシクロアルキレン基である。
【0093】
~Rは互いに同一または異なり、それぞれ独立して水素、重水素、シアノ基、ニ
トロ基、ハロゲン基、ヒドロキシ基、置換または非置換の炭素数1~30のアルキル基、
置換または非置換の炭素数1~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素数2~
30のアルケニル基、置換または非置換の炭素数2~24のアルキニル基、置換または非
置換の炭素数7~30のアラルキル基、置換または非置換の炭素数6~30のアリール基
、置換または非置換の炭素数5~60のヘテロアリール基、置換または非置換の炭素数6
~30のヘテロアリールアルキル基、置換または非置換の炭素数1~30のアルコキシ基
、置換または非置換の炭素数1~30のアルキルアミノ基、置換または非置換の炭素数6
~30のアリールアミノ基、置換または非置換の炭素数6~30のアラルキルアミノ基、
置換または非置換の炭素数2~24のヘテロアリールアミノ基、置換または非置換の炭素
数1~30のアルキルシリル基、置換または非置換の炭素数6~30のアリールシリル基
、および置換または非置換の炭素数6~30のアリールオキシ基からなる群より選択され
る。
【0094】
前記置換されたアルキレン基、置換されたアリーレン基、置換されたヘテロアリーレン
基、置換されたシクロアルキレン基、置換されたアルキル基、置換されたシクロアルキル
基、置換されたアルケニル基、置換されたアルキニル基、置換されたアラルキル基、置換
されたアリール基、置換されたヘテロアリール基、置換されたヘテロアリールアルキル基
、置換されたアルコキシ基、置換されたアルキルアミノ基、置換されたアリールアミノ基
、置換されたアラルキルアミノ基、置換されたヘテロアリールアミノ基、置換されたアル
キルシリル基、置換されたアリールシリル基、および置換されたアリールオキシ基は、水
素、重水素、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン基、ヒドロキシ基、炭素数1~30のアルキ
ル基、炭素数1~20のシクロアルキル基、炭素数2~30のアルケニル基、炭素数2~
24のアルキニル基、炭素数7~30のアラルキル基、炭素数6~30のアリール基、核
原子数5~60のヘテロアリール基、炭素数6~30のヘテロアリールアルキル基、炭素
数1~30のアルコキシ基、炭素数1~30のアルキルアミノ基、炭素数6~30のアリ
ールアミノ基、炭素数6~30のアラルキルアミノ基、炭素数2~24のヘテロアリール
アミノ基、炭素数1~30のアルキルシリル基、炭素数6~30のアリールシリル基、お
よび炭素数6~30のアリールオキシ基からなる群より選択された1種以上の置換基で置
換され、複数の置換基で置換される場合、これらは互いに同一または異なる。
【実施例0095】
以下、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者が容易に実施できるよう
に、本発明の実施例について詳細に説明する。しかし、本発明は、様々な異なる形態で実
現することができ、ここに説明する実施例に限定されない。
【0096】
[製造例:3Dプリンタ用光硬化型高分子組成物の製造]
下記化学式7または化学式8で表されるUV硬化ポリウレタンオリゴマーと、下記化学
式5で表される光開始剤と、3-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシランと、下記
化学式6で表されるエポキシアクリレートオリゴマーと、2,6-ジ-tert-ブチル
-p-クレゾールとを混合して、3Dプリンタ用光硬化型高分子組成物を製造した。前記
高分子組成物の製造に使用されたオリゴマーなどは購入して利用しており、構成成分の含
有量は下記表1の通りである。
【0097】
【化12】
【化13】
【化14】
【化15】
【化16】
ここで、
AおよびA’は、前記化学式2で表される置換基であり、
n’、m’、o’、p’、q’、およびr’は互いに同一または異なり、それぞれ独立し
て1~100の整数である。
【0098】
【表1】
【0099】
[実験例:物性評価実験]
1.試験条件
1-1.引張試験
試験方法:ASTM D638
試験機器:万能試験機(Universal Testing Machine)
試験速度:50mm/min
グリップ間の距離:115mm
ロードセル:3000N
弾性区間:(0.05~0.25)%
降伏点:0.2%オフセット
試験環境:(23±2)℃、(50±5)%R.H.
【0100】
1-2.曲げ試験
試験方法:ASTM D790
試験機器:万能試験機
試験速度:1.4mm/min
支点間距離:55mm
ロードセル:200N
弾性区間:(0.05~0.25)%
試験環境:(23±2)℃、(50±5)%R.H.
【0101】
2.試験結果
前記実験は、韓国高分子試験研究所に依頼して実験を行っており、試験片は、前記表1
のG10~G80の高分子組成物を3Dプリンタにより出力して提供した。
【0102】
引張試験の結果は、下記表2の通りである。
【0103】
【表2】
【0104】
曲げ試験の結果は、下記表3の通りである。
【0105】
【表3】
【0106】
前記表2および表3の引張試験および曲げ試験の結果によると、本発明の光硬化型組成
物の場合、優れた引張強度、曲げ強度、弾性係数、降伏強度、伸び率、および変形率を示
すことを確認した。
【0107】
以上、本発明の好ましい実施例について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに
限定されるものではなく、以下の請求の範囲で定義している本発明の基本概念を利用した
当業者の様々な変形および改良形態もまた本発明の権利範囲に属するものである。
【産業上の利用可能性】
【0108】
本発明は、患者カスタムギプスの製造のための3Dプリンタ用光硬化型組成物に関する
もので、より具体的には3Dプリンタ用光硬化型組成物であって、患者の患部に関する3
D情報により、患者の患部に適したギプスを製造することができ、前記ギプスは3Dプリ
ンタ用光硬化型組成物を用いて製造されて、優れた固定力を提供し得る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6