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特開2022-188061VEGF阻害剤の局所投与による皮膚障害の処置
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  • 特開-VEGF阻害剤の局所投与による皮膚障害の処置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022188061
(43)【公開日】2022-12-20
(54)【発明の名称】VEGF阻害剤の局所投与による皮膚障害の処置
(51)【国際特許分類】
   A61K 45/00 20060101AFI20221213BHJP
   A61K 31/496 20060101ALI20221213BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20221213BHJP
   A61P 17/02 20060101ALI20221213BHJP
【FI】
A61K45/00
A61K31/496
A61P17/00
A61P17/02
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022145542
(22)【出願日】2022-09-13
(62)【分割の表示】P 2018538066の分割
【原出願日】2016-10-07
(31)【優先権主張番号】62/239,208
(32)【優先日】2015-10-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/271,993
(32)【優先日】2015-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BRIJ
(71)【出願人】
【識別番号】518122641
【氏名又は名称】エーエムディー セラピューティックス エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(72)【発明者】
【氏名】芹沢 宏明
(57)【要約】      (修正有)
【課題】皮膚障害を処置するための方法を提供する。
【解決手段】ざ瘡または肥厚性瘢痕に伴うもの等の、皮膚発赤、湿疹または皮膚炎を低減または予防する方法であって、限定されないが、リファマイシン化合物、好ましくはリファンピシン等の治療有効量のVEGF阻害剤を、それを必要とする対象に投与することを含む、方法である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ざ瘡または肥厚性瘢痕に伴うもの等の、皮膚発赤、湿疹または皮膚炎を低減または予防
する方法であって、限定されないが、リファマイシン化合物、好ましくはリファンピシン
等の治療有効量のVEGF阻害剤を、それを必要とする対象に投与することを含む、方法
【請求項2】
肥厚性瘢痕に伴うもの等の皮膚発赤を低減する方法、または瘢痕形成を予防する方法で
あって、治療有効量の血管内皮成長因子(VEGF)阻害剤を、それを必要とする患者に
局所投与することを含む、方法。
【請求項3】
VEGF阻害剤がリファマイシン化合物である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
リファマイシン化合物が、リファンピシン、リファブチン、リファペンチン、リファラ
ジルまたはリファキシミンである、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
肥厚性瘢痕を低減する方法、または瘢痕形成を予防する方法であって、治療有効量のV
EGF阻害剤を、それを必要とする患者に局所投与することを含み、瘢痕形成が血管新生
から少なくとも部分的にもたらされる、方法。
【請求項6】
VEGF阻害剤がリファマイシン化合物である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
リファマイシン化合物が、リファンピシン、リファブチン、リファペンチン、リファラ
ジルまたはリファキシミンである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
ざ瘡を処置する方法であって、治療有効量のリファマイシン化合物を、それを必要とす
る対象のざ瘡に局所投与することを含む、方法。
【請求項9】
リファマイシン化合物が、リファンピシン、リファブチン、リファペンチン、リファラ
ジルまたはリファキシミンである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
ざ瘡のサイズを低減する方法であって、治療有効量のリファマイシン化合物を、それを
必要とする対象のざ瘡に局所投与することを含む、方法。
【請求項11】
リファマイシン化合物が、リファンピシン、リファブチン、リファペンチン、リファラ
ジルまたはリファキシミンである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
それを必要とする対象のざ瘡の血管新生を阻害する方法であって、治療有効量のリファ
マイシン化合物を、対象のざ瘡に局所投与することを含む、方法。
【請求項13】
リファマイシン化合物が、リファンピシン、リファブチン、リファペンチン、リファラ
ジルまたはリファキシミンである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
皮膚発赤、湿疹または皮膚炎の処置、低減または予防のための組成物であって、限定さ
れないが、リファマイシン化合物、好ましくはリファンピシン等の治療有効量のVEGF
阻害剤、および少なくとも1つの添加剤を含む、組成物。
【請求項15】
リファマイシン化合物が、リファンピシン、リファブチン、リファペンチン、リファラ
ジルまたはリファキシミンである、請求項14に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書では、限定されないがリファマイシン化合物を含む血管内皮成長因子(VEG
F)阻害剤の局所投与により、皮膚障害を処置するための方法が提供される。したがって
、本明細書では、治療有効量のVEGF阻害剤を、それを必要とする患者に局所投与する
ことにより、瘢痕形成または肥厚性瘢痕形成を処置および/または低減する方法が提供さ
れる。さらに、本明細書では、治療有効量のリファマイシン化合物を、それを必要とする
対象に局所投与することにより、ざ瘡を処置および/または低減する方法が提供される。
【背景技術】
【0002】
肥厚性瘢痕(HS)形成は、特に熱傷後の、創傷治癒の一般的な合併症である。HS形
成に対して利用できる現在考えられる処置は、ケミカルピーリング、充填剤注射、皮膚切
除、レーザー処置、放射線療法、包帯、ステロイド、および/またはビタミンを含む。し
かしながら、これらの処置は侵襲的かつ/または非効果的であり得る。加えて、HSを処
置するために市販されているFDAに承認された薬物はない。したがって、HSを処置す
るための非侵襲的でさらに効果的な療法が必要とされている。さらに、米国でおよそ17
00万人がざ瘡に罹患している。12~24歳の人のおよそ85%がざ瘡を発症する。さ
らなる効果的なざ瘡処置が必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本明細書では、限定されないがリファマイシン化合物を含むVEGF阻害剤の局所投与
により、皮膚障害を処置するための方法が提供される。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一態様では、本明細書では、肥厚性瘢痕を低減する方法、または瘢痕形成を予防する方
法であって、治療有効量のVEGF阻害剤を、それを必要とする患者に局所投与すること
を含む、方法が提供される。一実施形態では、肥厚性瘢痕は低減される。別の実施形態で
は、瘢痕形成は予防される。
【0005】
別の態様では、本明細書では、肥厚性瘢痕を低減する方法、または瘢痕形成を予防する
方法であって、治療有効量のVEGF阻害剤を、それを必要とする患者に局所投与するこ
とを含み、瘢痕形成が血管新生から少なくとも部分的にもたらされる、方法が提供される
。一実施形態では、肥厚性瘢痕は低減される。別の実施形態では、瘢痕形成は予防される
【0006】
別の態様では、本明細書では、ざ瘡を処置する方法であって、限定されないがリファマ
イシン化合物等の治療有効量のVEGF阻害剤を、それを必要とする対象のざ瘡に局所投
与することを含む、方法が提供される。別の態様では、本明細書では、ざ瘡のサイズを低
減する方法であって、治療有効量のリファマイシン化合物を、それを必要とする対象のざ
瘡に局所投与することを含む、方法が提供される。別の態様では、本明細書では、それを
必要とする対象のざ瘡の血管新生を阻害する方法であって、治療有効量のリファマイシン
化合物を、対象のざ瘡に局所投与することを含む、方法が提供される。例えば、参照によ
り全体として本明細書に援用される欧州特許出願公開第2016944号明細書を参照の
こと。本明細書で使用される場合、血管新生は、赤血球灌流での機能的な微小血管網の形
成を指す。一実施形態では、リファマイシン化合物は、リファンピシン、リファブチン、
リファペンチン、リファラジルまたはリファキシミンである。好ましい実施形態では、リ
ファマイシン化合物は、リファンピシンまたはリファンピンである。本明細書で提供され
る局所処置は、標準の処置と組み合わせたリファンピシンの経口投与が効果的ではないと
予め見出されているので、驚くべきことである。Khorvasha et al., 2013 Iran J. Pharm
. Res., 12(l):223-7を参照のこと。
【0007】
別の態様では、本明細書では、ざ瘡に伴うもの等の皮膚発赤を低減する、または湿疹も
しくは皮膚炎を低減する方法であって、限定されないがリファマイシン化合物等の治療有
効量のVEGF阻害剤を、それを必要とする対象に投与することを含む、方法が提供され
る。別の態様では、本明細書では、皮膚発赤、湿疹または皮膚炎を予防する方法であって
、本明細書で利用される化合物および組成物を投与することを含む、方法が提供される。
一実施形態では、皮膚発赤は予防される。別の実施形態では、湿疹は予防される。別の実
施形態では、皮膚炎は予防される。別の態様では、本明細書では、肥厚性瘢痕に伴うもの
等の、皮膚発赤、湿疹または皮膚炎を低減または予防する方法であって、限定されないが
、リファマイシン化合物、好ましくはリファンピシン等の治療有効量のVEGF阻害剤を
、それを必要とする対象に投与することを含む、方法が提供される。別の態様では、本明
細書では、肥厚性瘢痕に伴うもの等の皮膚発赤を低減する方法、または瘢痕形成を予防す
る方法であって、治療有効量の血管内皮成長因子(VEGF)阻害剤を、それを必要とす
る患者に局所投与することを含む、方法が提供される。
【0008】
別の態様では、本明細書では、皮膚発赤、湿疹または皮膚炎の処置、低減または予防の
ための薬学的に許容される組成物であって、限定されないが、リファマイシン化合物、好
ましくはリファンピシン等の治療有効量のVEGF阻害剤、および少なくとも1つの薬学
的に許容される添加剤を含む、薬学的に許容される組成物が提供される。一実施形態では
、添加剤はワセリンである。別の実施形態では、限定されないが、リファマイシン化合物
、好ましくはリファンピシン等のVEGF阻害剤は、1~5%w/w濃度、好ましくは1
.5~4%w/w濃度、より好ましくは2~3%w/w濃度の濃度で製剤化される。
【0009】
湿疹または皮膚炎に対する処置は、ステロイドを湿疹または皮膚炎に局所塗布すること
によるステロイドのクリーム剤または軟膏剤を含むが、処置される患者の皮膚は薄くなる
か、または委縮する。したがって、短時間の治療を除いて、ステロイド塗布は中止する必
要がある。結果的に、皮膚状態に伴う発赤は、低減および/または除去されない。
【0010】
一実施形態では、本明細書で利用されるリファマイシン化合物はリファンピシンである
。本明細書で利用される様々な化合物は、それらの薬学的に許容される塩を含む。
【0011】
驚くべきことに、本明細書で使用されるもの等のリファンピシン軟膏剤を含有するワセ
リンは、ローション剤のように滑らかであることが観察された。皮膚に塗布する場合、濃
厚で粘着するワセリンは皮膚の毛穴をふさぐが、これはざ瘡、湿疹または皮膚炎に関して
、これらの障害に伴う発赤を増大し得る。しかしながら、本明細書で提供される結果から
明らかなように、リファンピシンのワセリン製剤は、実質的に皮膚の毛穴をふさがず、皮
膚発赤を低減した。本発明の組成物は室温で数週間、安定であると考えられる。
【0012】
皮膚組織へのリファンピシン吸収は急速であった。局所的な皮膚塗布後の約1~2時間
で、リファンピシンはほとんど全て皮膚組織に吸収された。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】リファンピシンで処置されたざ瘡のような皮膚の発赤を低減させた2枚の画像を示す。
図2】2.5%リファンピシン軟膏剤の局所塗布が、3年超持続した皮膚発赤を改善させた4枚の画像(図2A~2D)を示す。
図3】2枚の画像に、皮膚発赤を除去する2.5%リファンピシン軟膏剤の有効性が局所処置の終了後に持続することを示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本明細書中以下に、様々な実施形態を説明する。特定の実施形態は網羅的な説明として
、または本明細書で説明するより広い態様に対する限定として意図されないことを留意さ
れたい。特定の実施形態と関連して説明される一態様は、その実施形態に必ずしも限定さ
れず、任意の他の実施形態(複数可)で実施することができる。本明細書で示され、図面
で示される、好ましい実施形態の説明は、単に例示の目的のために提供される。
【0015】
定義
本明細書で、および付属の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」
、および「the」は、文脈により明らかに指示されない限り、複数の指示物を含むこと
を留意しなければならない。したがって、例えば、「溶媒(単数)」についての言及は、
複数のかかる溶媒を含む。
【0016】
「ざ瘡」という用語は、本明細書で使用される場合、皮脂分泌の増加に伴う慢性障害を
指す。これは開放面皰(黒色面皰)および閉鎖面皰(白色面皰)により特徴付けられる。
ざ瘡は一部の人でより重症化し、軽度、中等度、重度のざ瘡として特徴付けられる。また
、ざ瘡には炎症性型および非炎症性型がある。非炎症性ざ瘡は、例えば、より軽度のタイ
プのざ瘡である。通常の吹き出物と異なり、ざ瘡は、より長い期間にわたって発症し、長
くとどまる。ときに、赤い痣または瘢痕が残る。「正常な」吹き出物は、通常急速に形成
され、その後すぐに消えて元通りになる。
○ 軽度のざ瘡:軽度のざ瘡を有する人は、面皰(黒色面皰または白色面皰)を有し、
皮膚の毛穴がふさがれている。黒色面皰の濃い色は汚れによるものではない。これらが濃
く見えるのは、この種類の黒色面皰が「開放」であり、皮膚色素であるメラニンが空気中
の酸素と反応するからである。白色面皰は閉鎖しており、白色または黄色がかった先端部
を有する。軽度のざ瘡は炎症性ざ瘡を導き得る。
○ 中程度のざ瘡:中程度のざ瘡を有する人は、より多くの目立つ吹き出物を有する。
炎症性の吹き出物は、「丘疹」(小さな隆起)または「膿疱」(黄色い膿が詰まっている
)と呼ばれる。
○ 重度のざ瘡:重度のざ瘡を有する人は、多くの丘疹および膿疱、ならびにその皮膚
に小結節を有する。これらの小結節は多くの場合、赤みがかって痛みがあり、瘢痕の原因
となり得る。
【0017】
本明細書で使用される場合、「含むこと」または「含む」という用語は、組成物および
方法が列挙される要素を含むが、その他のものを排除しないことを意味すると意図される
。「本質的に~からなる」は、組成物および方法を定義するために使用される場合、示さ
れる目的のための組み合わせに対して任意の本質的な重要度の他の要素を排除することを
意味する。したがって、本質的に本明細書で定義される要素からなる組成物またはプロセ
スは、特許請求の範囲に示される発明の基本的かつ新しい特徴(複数可)に実質的に影響
しない他の材料またはステップを排除しない。「~からなる」は、他の成分の微量元素お
よび実質的な方法ステップを超える排除を意味する。これらの遷移用語の各々により定義
される実施形態は、本発明の範囲内である。
【0018】
別段の定めがなければ、明細書および特許請求の範囲で使用される、成分の量、反応条
件等を表す全ての数字は、全ての場合において「約」という用語により修飾されるものと
理解されるべきである。したがって、別段の定めがなければ、以下の明細書および付属の
特許請求の範囲で示される数字パラメータは近似値である。各数字パラメータは、少なく
とも報告される有効数字の数に照らして、かつ通常の端数処理技術を適用することにより
解釈されるべきである。「約」という用語は、範囲を含む、数字表示、例えば温度、時間
、量、および濃度の前に使用される場合、(+)または(-)10%、5%、または1%
変動し得る近似値を示す。
【0019】
「薬学的に許容される」または「薬理学的に許容される」という用語は、本明細書で使
用される場合、一般的に安全で、非毒性で、かつ生物学的にもそれ以外でも望ましくない
ものでなく、かつホスト(例えば動物またはヒト)に投与した場合に有害なアレルギー性
または免疫学的反応を実質的に生成しない組成物を指す。かかる製剤は、任意の薬学的に
許容される投与形態を含む。
【0020】
「薬学的に許容される塩」または「その塩」は、上記に定義されるように、薬学的に許
容され、かつ所望の薬理学的活性を有する塩を意味する。かかる塩として、有機酸および
無機酸、例えば塩化水素、臭化水素、ヨウ化水素、硫酸、リン酸、酢酸、グリコール酸、
マレイン酸、マロン酸、シュウ酸、メタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、フマル酸、コ
ハク酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、アスコルビン酸等で形成される酸付加塩が挙げら
れる。塩基付加塩は、有機塩基および無機塩基、例えばナトリウム、アンモニア、カリウ
ム、カルシウム、エタノールアミン、ジエタノールアミン、N-メチルグルカミン、コリ
ン等で形成することができる。本明細書中の式のいずれの薬学的に許容される塩または化
合物も含まれる。
【0021】
「薬学的に許容される塩」という句は、本明細書で使用される場合、その構造によって
、化合物の薬学的に許容される有機または無機の酸または塩基の塩を指す。代表的な薬学
的に許容される塩としては、例えばアルカリ金属塩、アルカリ土類塩、アンモニウム塩、
水溶性および水不溶性塩、例えば酢酸塩、アムソネート(amsonate)(4,4-ジアミノ
スチルベン-2,2-ジスルホン酸塩)、ベンゼンスルホン酸塩、ベンゾネート(benzon
ate)、重炭酸塩、重硫酸塩、重酒石酸塩、ホウ酸塩、臭化物、酪酸塩、カルシウム、エ
デト酸カルシウム、カンシレート、炭酸塩、塩化物、クエン酸塩、クラブラリエート(cl
avulariate)、二塩酸塩、エデト酸塩、エジシル酸塩、エストレート、エシレート、フマ
ル酸塩、グルセプト酸塩、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリコリルアルサニレート(
glycollylarsanilate)、ヘキサフルオロリン酸塩、ヘキシルレゾルシネート(hexylreso
rcinate)、ヒドラバミン(hydrabamine)、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヒドロキシナフトエ
ート(hydroxynaphthoate)、ヨウ化物、イソチオネート(isothionate)、乳酸塩、ラク
トビオン酸塩、ラウリン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、
臭化メチル、硝酸メチル、硫酸メチル、ムチン酸塩(mucate)、ナプシル酸塩、硝酸塩、
N-メチルグルカミンアンモニウム塩、3ヒドロキシ2ナフトエ酸塩、オレイン酸塩、シ
ュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩(1,1-メテン-ビス-2-ヒドロキシ-3-ナ
フトエ酸塩、エインボネート(einbonate))、パントテン酸塩、リン酸塩/二リン酸塩
、ピクリン酸塩、ポリガラクツロ酸塩、プロピオン酸塩、pトルエンスルホン酸塩、サリ
チル酸塩、ステアリン酸塩、塩基性酢酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、スルホサリチル酸塩、
スラメート(suramate)、タンニン酸塩、酒石酸塩、テオクル酸塩、トシル酸塩、トリエ
チオジド、および吉草酸塩が挙げられる。
【0022】
「処置する」、「処置すること」、または「処置」という用語は、本明細書で使用され
る場合、疾患もしくは状態もしくはその1つもしくは複数の症状を緩和する、和らげる、
もしくは改善すること、追加の症状を予防すること、症状の根底にある代謝的原因を改善
もしくは予防すること、疾患もしくは状態を阻止すること、例えば疾患もしくは状態の発
症を抑止もしくは抑制すること、疾患もしくは状態を軽減すること、疾患もしくは状態の
後退をもたらすこと、疾患もしくは状態により引き起こされた状態を軽減すること、また
は疾患もしくは状態の症状を抑制することを含み、予防を含むと意図される。また、この
用語は、疾患または状態を軽減すること、例えば臨床症状の後退をもたらすことを含む。
この用語は、治療的利益および/または予防的利益を達成することをさらに含む。治療的
利益により、処置される根底にある障害の根絶または改善が意味される。また、治療的利
益は、根底にある障害に伴う生理学的症状の1つまたは複数の根絶または改善であって、
個体がまだ根底にある障害に侵されているにもかかわらず、個体で改善が観察されるよう
な改善で達成される。予防的利益のためには、特定の疾患を発症する危険性のある個体に
、または疾患の生理学的症状の1つまたは複数を報告する個体に、この疾患の診断がなさ
れていないとしても、組成物を投与する。処置の方法は、肥厚性瘢痕を含む瘢痕の処置、
例えば限定されないが、ざ瘡の直径等のサイズを低減する、および/またはざ瘡の発赤を
低減する等の、ざ瘡およびその症状の処置を含む。
【0023】
「予防すること」または「予防」という用語は、疾患または障害を獲得する危険性の低
減(すなわち、疾患に曝露されるか、または素因を有する可能性があるが、まだ疾患を経
験していないか、または疾患の症状を示していない対象において、疾患の臨床症状の少な
くとも1つを発症しないようにすること)を指す。この用語は、例えばかかる疾患または
障害に罹患する危険性のある対象において、臨床症状を発症しないようにし、これにより
疾患または障害の開始を実質的に防ぐことをさらに含む。予防は、肥厚性瘢痕を含む瘢痕
を予防し、ざ瘡およびそれらに起因する発赤を予防する等を含む。
【0024】
化合物もしくは組成物の「治療有効量」という用語または用量は、患者の症状の低減ま
たは阻害を含む処置をもたらす、化合物または組成物の量を指す。結果は、複数の用量の
化合物または組成物を必要としてもよい。
【0025】
「担体」および「媒体」という用語は、本明細書で使用される場合、細胞、例えば真皮
細胞、または組織への化合物の取り込みを促進する比較的非毒性の化学化合物または作用
物質を指す。本明細書で有用な担体および媒体は、非毒性であり、かつそれが含有される
製剤の他の構成成分と有害な様式で相互作用しない、本分野で公知の任意のかかる物質を
含む。本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される担体」は、あらゆる全ての溶媒
、分散媒体等を含み、それは薬学的に許容される。
【0026】
本明細書で使用される場合、「プロドラッグ」は、投与後、少なくとも1つの特性につ
いての活性形態またはより活性な形態に代謝されるか、または別の方法で変換される化合
物である。プロドラッグを生成するために、薬学的に活性な化合物を、より活性を低くす
るか不活性にするように化学修飾してよいが、この化学修飾は、化合物の活性形態が代謝
または他の生物学的プロセスにより生成されるようなものである。プロドラッグは、この
薬物と比較して、変更した代謝安定性もしくは輸送特徴、より少ない副作用、またはより
低い毒性を有してよい。例えば、参考文献Nogrady, 1985, Medicinal Chemistry A Bioch
emical Approach, Oxford University Press, New York, pages 388-392を参照のこと。
また、プロドラッグは、薬物ではない化合物を用いて調製することができる。限定されな
いが、リファマイシン化合物等のVEGF阻害剤のプロドラッグは、本発明の一実施形態
に含まれる。
【0027】
「リファマイシン化合物」という用語は、アンサマイシンファミリーに属する一群の抗
生物質化合物を指し、多くのグラム陽性細菌およびいくつかのグラム陰性細菌に対して抗
菌活性を呈する二次代謝物のファミリーである。リファマイシン化合物は、リファマイシ
ンB、リファマイシンSV、リファンピシン、リファブチン、リファペンチン、リファラ
ジルもしくはリファキシミン、またはその薬学的に許容される塩もしくはエステル等のそ
の誘導体を含むが、これらに限定されない。
【0028】
リファマイシンクラスの抗生物質は元々、放線菌(Streptomyces mediterranei)の培
養物から単離された。リファマイシンの多数のアナログおよび誘導体は入手可能である、
または合成生成される。
【0029】
リファマイシン化合物の合成は本分野で周知であり、例えばリファンピン(米国特許第
3,342,810号明細書)、リファブチン(米国特許第4,219,478号明細書
)、およびリファラジル(米国特許第4,983,602号明細書)の合成は本分野で公
知であり、参照により本明細書に援用される。
【0030】
「対象」という用語は、本明細書で使用される場合、本発明の組成物により処置される
べき生物を指す。かかる生物は、動物(家畜動物種、野生動物)、好ましくは、ヒトまた
は非ヒトを含む哺乳類、好ましくはヒトを含む。患者および対象という用語は、相互変換
可能に使用してよい。
【0031】
「界面活性剤」という用語は、エネルギー的に水による溶媒和を好む極性頭基、および
水によりあまり溶媒化されない疎水性尾部の両方を有する任意の分子を指す。界面活性剤
は、イオン性または非イオン性であってよい。「イオン性界面活性剤」という用語は、陽
イオン性、陰イオン性、および双性イオン性界面活性剤を含む。「陽イオン性界面活性剤
」という用語は、陽イオン性頭基を有する界面活性剤を指す。「陰イオン性界面活性剤」
という用語は、陰イオン性頭基を有する界面活性剤を指す。
【0032】
方法と投与
一態様では、本明細書では、肥厚性瘢痕形成を低減する方法であって、治療有効量のV
EGF阻害剤を、それを必要とする患者に局所投与することを含む、方法が提供される。
【0033】
別の態様では、本明細書では、瘢痕形成を低減する方法であって、治療有効量のVEG
F阻害剤を、それを必要とする患者に局所投与することを含み、瘢痕形成が血管新生から
少なくとも部分的にもたらされる、方法が提供される。
【0034】
一実施形態では、VEGF阻害剤は、リファマイシン化合物、またはその塩もしくはそ
のカルボキシルエステルである。一実施形態では、リファマイシン化合物は、リファンピ
シンである。一実施形態では、リファマイシン化合物は、リファブチンである。一実施形
態では、リファマイシン化合物は、リファペンチンである。一実施形態では、リファマイ
シン化合物は、リファラジルである。一実施形態では、リファマイシン化合物は、リファ
キシミンである。一実施形態では、リファマイシン化合物は、リファマイシンBである。
一実施形態では、リファマイシン化合物は、リファマイシンSVである。一実施形態では
、リファマイシン化合物は、任意の上記の塩またはカルボキシルエステルを含む。
【0035】
一実施形態では、VEGF阻害剤は、ペガプタニブである。一実施形態では、VEGF
阻害剤は、ベバシズマブである。一実施形態では、VEGF阻害剤は、ラニビズマブであ
る。一実施形態では、VEGF阻害剤は、ラパチニブである。一実施形態では、VEGF
阻害剤は、ソラフェニブである。一実施形態では、VEGF阻害剤は、スニチニブである
。一実施形態では、VEGF阻害剤は、アキシチニブである。一実施形態では、VEGF
阻害剤は、パゾパニブである。一実施形態では、VEGF阻害剤は、アフリベルセプトで
ある。
【0036】
一実施形態では、VEGF阻害剤は、治療有効量のVEGF阻害剤、および少なくとも
1つの薬学的に許容される添加剤を含む、医薬組成物として投与される。
【0037】
VEGF阻害剤は、本発明による投与のために様々な方法で製剤化される。一実施形態
では、VEGF阻害剤は、ゲル剤として投与される。別の実施形態では、VEGF阻害剤
は、クリーム剤として投与される。別の実施形態では、VEGF阻害剤は、貼付剤として
投与される。別の実施形態では、VEGF阻害剤は、スプレー剤として投与される。
【0038】
本明細書で利用されるVEGF阻害剤、リファマイシン化合物および/または組成物は
、単独で、または他の化合物と組み合わせて使用してよい。別の剤と共に投与される場合
、共投与は、両方の薬理学的効果が同時に患者において現れるような任意の様式であって
よい。したがって、共投与は、本発明の化合物および他の剤の両方の投与に単一の医薬組
成物、同じ投与形態、もしくは同じ投与経路でさえ使用されることを必要とせず、あるい
はこれらの2つの剤が正確に同時に投与されることを必要としない。しかしながら、共投
与は、最も便利なことに、同じ投与形態および同じ投与経路により実質的に同時に達成さ
れる。明らかに、かかる投与は、本発明による医薬組成物中で両方の活性成分を同時に送
達することにより、最も有利に進行する。
【0039】
リファマイシン化合物の有効量は、本明細書で提供される場合、インビトロまたはイン
ビボで治療的に有益な効果を生成するために必要とされる量である。いくつかの実施形態
では、インビトロでの有効量は、約0.1nM~約1mMである。いくつかの実施形態で
は、インビトロでの有効量は、約0.1nM~約0.5nM、または約0.5nM~約1
.0nM、または約1.0nM~約5.0nM、または約5.0nM~約10nM、また
は約10nM~約50nM、または約50nM~約100nM、または約100nM~約
500nM、または約500nM~約1mM、または約1mM~約200mMである。い
くつかの実施形態では、インビボでの効果のための有効量は、約0.1mg~約100m
g、または好ましくは約1mg~約50mg、またはより好ましくは約1mg~約25m
g/kg/日、または約1mg~約12mg/kg/日である。いくつかの他の実施形態
では、インビボでの有効量は、約10mg/kg/日~約100mg/kg/日、約20
mg/kg/日~約90mg/kg/日、約30mg/kg/日~約80mg/kg/日
、約40mg/kg/日~約70mg/kg/日、または約50mg/kg/日~約60
mg/kg/日である。いくつかの実施形態では、インビボでの有効量は、約1mg/k
g/日~約5mg/kg/日である。いくつかの実施形態では、インビボでの有効量は、
約6mg/kg/日~約12mg/kg/日である。一実施形態では、インビボでの有効
量は、約3mg/kg/日である。別の実施形態では、インビボでの有効量は、約6mg
/kg/日である。別の実施形態では、インビボでの有効量は、約12mg/kg/日で
ある。
【0040】
いくつかの実施形態では、組成物は任意に安定化剤または抗酸化剤を含んでよい。好適
な安定化剤および抗酸化剤は本分野で公知であり、アスコルビン酸塩、アスコルビン酸、
イソアスコルビン酸、グルタチオン重硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、アセチ
ルシステイン、8-ヒドロキシキノリン、チオ尿素、トコフェロール、EDTA、ホルム
アルデヒドスルホキシル酸ナトリウム二水和物、およびこれらの組み合わせを含むが、こ
れらに限定されない。いくつかの実施形態では、組成物は、約0.01重量%~20重量
%、約0.1重量%~15重量%、約0.15重量%~10重量%、約0.2重量%~5
重量%、約0.25重量%~3重量%、約0.3重量%~2重量%、約0.1重量%~2
0重量%、約1重量%~10重量%、約2重量%~10重量%、約2重量%~8重量%、
約2重量%~5重量%、約5重量%~10重量%、約5重量%~20重量%の抗酸化剤ま
たは安定化剤を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、約0.01重量%~10重量
%の抗酸化剤または安定化剤を含む。
【0041】
いくつかの実施形態では、組成物は、任意に滑沢剤を含んでよい。好適な滑沢剤の例と
して、グリセロール、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシプロピルメチル
セルロース、ソルビトール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリ酢酸
ビニル、およびこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの
実施形態では、本組成物は、約0.01重量%~20重量%、約0.1重量%~15重量
%、約0.15重量%~10重量%、約0.2重量%~5重量%、約0.25重量%~3
重量%、約0.3重量%~2重量%、約0.1重量%~20重量%、約1重量%~10重
量%、約2重量%~10重量%、約2重量%~8重量%、約2重量%~5重量%、約5重
量%~10重量%、約5重量%~20重量%の滑沢剤を含む。いくつかの実施形態では、
本組成物は、約0.01重量%~10重量%の滑沢剤を含む。
【0042】
いくつかの実施形態では、組成物は、任意に保存剤を含んでよい。保存剤の例として、
イミダゾリジニル尿素、メチルパラベン、プロピルパラベン、フェノキシエタノール、E
DTA二ナトリウム、チメロサール、クロロブタノールソルビン酸、およびこれらの組み
合わせが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、本組成物は、
約0.01重量%~20重量%、約0.1重量%~15重量%、約0.15重量%~10
重量%、約0.2重量%~5重量%、約0.25重量%~3重量%、約0.3重量%~2
重量%、約0.1重量%~20重量%、約1重量%~10重量%、約2重量%~10重量
%、約2重量%~8重量%、約2重量%~5重量%、約5重量%~10重量%、約5重量
%~20重量%の保存剤を含む。いくつかの実施形態では、本組成物は、約0.01重量
%~10重量%の保存剤を含む。
【0043】
いくつかの実施形態では、組成物は、任意に、組成物のpHを局所組成物に一般的に許
容される範囲に維持する1つまたは複数の緩衝剤を含んでよい。いくつかの実施形態では
、本組成物は、pH約4~8、好ましくは3~7.5、または約7に緩衝される。いくつ
かの実施形態では、pH範囲は、約6.8~約7.8である。好適な緩衝剤の例として、
酢酸、ホウ酸、クエン酸、乳酸、リン酸、および塩酸等の酸;水酸化ナトリウム、リン酸
ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウム
等の塩基;およびクエン酸塩/デキストロース、重炭酸ナトリウムおよび塩化アンモニウ
ム等の緩衝剤、ならびにこれらの組み合わせを含む、クエン酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩、
重炭酸塩、ナトリウム塩、カリウムが挙げられるが、これらに限定されない。酸、塩基、
および緩衝剤は、組成物のpHを経皮的に許容される範囲内に維持するために必要な量で
含まれる。
【0044】
組成物は、追加的に本分野で公知の好適な希釈剤を含んでよい。いくつかの実施形態で
は、希釈剤は好適なpHに、例えば約4.0~約8.0の範囲内に緩衝された経皮的担体
であり、有効量の湿潤剤および抗細菌剤を含有する。
【0045】
一実施形態では、VEGF阻害剤は、ゲル剤として投与される。別の実施形態では、V
EGF阻害剤は、クリーム剤として投与される。別の実施形態では、VEGF阻害剤は、
貼付剤として投与される。別の実施形態では、VEGF阻害剤は、スプレー剤として投与
される。組成物は、本分野で公知の方法により製造することができる。
【0046】
一実施形態では、リファマイシン化合物は、ゲル剤として投与される。別の実施形態で
は、リファマイシン化合物は、クリーム剤として投与される。別の実施形態では、リファ
マイシン化合物は、貼付剤として投与される。別の実施形態では、リファマイシン化合物
は、スプレー剤として投与される。組成物は、本分野で公知の方法により製造することが
できる。
【0047】
ゲル製剤は、対象の体のどこにでも塗布することができる。ゲル剤は、pH、均一性、
粒状性、薬物含有量、粘性、展延性、押出性、皮膚刺激および安定性を含むが、これらに
限定されない様々なパラメータにより区別される。理論に縛られないが、ゲル剤は、大量
の液体により散在させた構造物質の架橋された3次元ネットワークである。構造物質は、
構造内に液体を固定し含有する剛構造を形成する。構造物質は、ポリマーを含む、無機ま
たは有機物質から作製することができる。ゲル形成ポリマーは、天然ポリマー、半合成ポ
リマー、合成ポリマー、無機物、および/または界面活性剤を含むが、これらに限定され
ない。天然ポリマーの非限定的な例として、ゼラチンおよびコラーゲン等のタンパク質、
ならびに、アルギン酸、寒天、トラガント、ナトリウム型またはカリウム型のカラギーナ
ン、ペクチン、ゲラムガム(gellum gum)、キサンタン、エビスグサおよびグアーガム等
の多糖類が挙げられる。半合成ポリマーの非限定的な例として、ヒドロキシエチルセルロ
ース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセ
ルロースおよびカルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体が挙げられる。合成ポ
リマーの非限定的な例として、カルボマー、carbopol-941、carbopo
l-940、carbopol-934、ポロキサマー、ポリビニルアルコール、ポリア
クリルアミド、ポリエチレン、およびポリエチレンのコポリマーが挙げられる。無機物の
非限定的な例として、ベントナイトおよび水酸化アルミニウムが挙げられる。界面活性剤
の非限定的な例として、Brij-96およびセトステアリルアルコールが挙げられる。
参照により全体として本明細書に援用されるKaur, et al., Topical Gel: A Recent Appr
oach for Novel Drug Delivery, Asian Journal of Biomedical and Pharmaceutical Sci
ences, 3(17) 2015, p. 1-5を参照のこと。
【0048】
本開示のゲル剤は、当業者に周知であるゲル剤調製技術により作製することができる。
滅菌水および/または精製水は、VEGF阻害剤が溶解するまで、VEGF阻害剤と混合
することができる。同様に、滅菌水および/または精製水は、リファマイシン化合物が溶
解するまで、リファマイシン化合物と混合することができる。上で説明したようなゲル化
剤は、均一性に達するまで、ゆっくりと添加することができる。その後、保存剤を含む、
プロピレングリコールおよび他の添加物質を添加することができる。保存剤の例として、
メチルパラベンおよびプロピルパラベンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0049】
例えば、限定されないが、局所製剤のための水中油系または油中水系、ならびに塩基(
媒体または担体)は、活性成分の有効性をもたらすために、ならびに/または、塩基の成
分または活性成分によって引き起こされたアレルギー性および刺激性反応(例えば、接触
性皮膚炎)を避けるために選択することができる。
【0050】
VEGF阻害剤またはリファマイシン化合物は、乳化剤で製剤化される。この点で有用
な乳化剤の非限定的な例として、グリコールエステル、脂肪酸、脂肪アルコール、脂肪酸
グリコールエステル、脂肪エステル、脂肪エーテル、グリセリンのエステル、プロピレン
グリコールのエステル、ポリエチレングリコールの脂肪酸エステル、ポリプロピレングリ
コールの脂肪酸エステル、ソルビトールのエステル、ソルビタン無水物のエステル、カル
ボン酸コポリマー、グルコースのエステルおよびエーテル、エトキシル化エステル、エト
キシル化アルコール、リン酸アルキル、ポリオキシエチレン脂肪エーテルリン酸塩、脂肪
酸アミド、アシルラクチレート(lactylate)、石鹸、ポリエチレングリコール20モノ
ラウリン酸ソルビタン(ポリソルベート20)、ポリエチレングリコール5ダイズステロ
ール(polyethylene glycol 5 soya sterol)、ステアレス-2、ステアレス-20、ス
テアレス-21、セテアレス-20、ジステアリン酸PPG-2メチルグルコースエーテ
ル、セテス-10、ポリソルベート80、リン酸セチル、セチルリン酸カリウム、セチル
リン酸ジエタノールアミン、ポリソルベート60、ステアリン酸グリセリル、PEG-1
00ステアリン酸塩、トラガントガム、ポリ(アクリルアミド-b-アクリル酸)、10
-30アクリル酸アルキルクロスポリマー、これらの誘導体、およびこれらの組み合わせ
が挙げられる。
【0051】
経皮的貼付剤の特定の成分は、限定されないが、保管中に貼付剤を保護し、使用前に取
り除くライナー;例えば、剥離ライナーに直接接触させる、溶液または懸濁液としてのV
EGF阻害剤(もしくは薬物)またはリファマイシン化合物;皮膚に貼付剤を付着させる
と共に貼付剤の成分を付着させるのに役立つ粘着剤;任意にリザーバーおよび多層パッチ
からの薬物の放出を制御する膜;外環境から貼付剤を保護する裏材;任意に、薬物の送達
を増加する透過促進剤;ならびに、任意にマトリックスにバルクをもたらすと同時に、い
くつかの充填剤がマトリックス剛化剤として作用するマトリックス充填剤が挙げられる。
他の成分は、安定化剤(抗酸化剤)、保存剤等を含んでよい。本発明で利用される製剤は
、当業者に周知である方法により、または本開示の観点からかかる方法を適応することに
より調製することができる。例えば、Japanese Journal of Hospital Pharmacy Vol. 13
(1987) No. 3 P 163-167を参照のこと(参照により本明細書に援用される)。
【実施例0052】
以下に実施例を示すが、本明細書で提供される発明(複数可)に限定されない。
【0053】
実施例1A
リファンピシン粉末をワセリンおよび従来の皮膚クリーム剤に、例えば、これらの局所
的皮膚製剤の2%の濃度で溶解した。
【0054】
実施例2A
雌のFABマウス(8週齢)を用いて、リファンピシンの経皮送達を試験する。イソフ
ルラン(Abbott Laboratories)での麻酔下で、各マウスの背側を剃
毛し、70%イソプロピルアルコールで払拭する。3cmの線状の全層切開創を、各マウ
スの脊柱の右側に作成する。創は3つのステンレス鋼ステープルで閉じる。リファンピシ
ンを含有する局所的クリーム剤または軟膏剤を、マウスに作成した創に塗布する。これら
のマウスは以下の時点で屠殺する:(1)1時間、(2)3時間、(3)7時間、(4)
24時間、(5)48時間、および(6)120時間(5日間)。皮膚組織に(局所的に
)塗布されたリファンピシンを抽出し、LC/MS分析のために液体窒素で凍らせて、創
組織に吸収されたリファンピシンを定量する。
【0055】
切開創で皮膚組織に対する送達効率が増加するかを明らかにするために、リファンピシ
ンのクリーム剤または軟膏剤を切開創のない通常の皮膚に塗布し、また、縫合ステープル
を取り除いた1日後、切開創に塗布する。本明細書で説明されるものと類似する時間依存
的実験を行う。皮膚組織に送達されたリファンピシンは、LC/MSで定量する。
【実施例0056】
粉末状のリファンピシンをワセリンに溶解した。化合物の濃度を2.5%に増加し、局
所的皮膚製剤を調製した。
【実施例0057】
16歳の男性が、顔面にざ瘡を有していた。直径がおよそ3mmのざ瘡の6つの異なる
部位を男性の顔面で選択し、これらの直径を第0日に記録した。2.5%リファンピシン
軟膏剤を1日に2回特定のざ瘡部位に局所塗布し、ざ瘡部位の直径を1日に1回記録した
。ざ瘡部位の直径はp=0.0009の統計学的評価で、3日目に著しく減少した。また
図1を参照のこと。
【0058】
対照試験で、直径がおよそ3mmのざ瘡の5つの異なる部位を男性の顔面で選択し、こ
れらの直径を第0日に記録した。1%クリンダマイシンゲル剤を1日に2回、特定の部位
に局所塗布し、ざ瘡部位の直径を1日に1回記録した。ざ瘡部位の直径は変化しなかった
【0059】
【表1】
【実施例0060】
前臨床効率試験を行って、局所塗布による創の皮膚組織に送達されたリファンピシンが
、血管新生を阻害することを実証した。3cmの線状の全層切開創を、各マウスの脊柱の
右側に作成する。創は3つのステンレス鋼ステープルで閉じる。リファンピシンを含有す
る局所的クリーム剤または皮膚貼付剤を、マウスに作成した創に塗布する。ステープルは
5日後に取り除いた。マウスを屠殺し、創または瘢痕の組織サンプルを、創作成の24時
間後または14日後に採取した。サンプルは、組織学的解析のために固定する。創組織の
毛細血管を測定するために、血小板内皮細胞接着分子(PECAM)に対する免疫組織学
的染色法を用いて、創の血管を識別する。創の瘢痕サイズを測定するために、組織を、例
えばWilgus et al. in 2008により発表された論文で説明される、マッソントリクローム
により染色する。
【実施例0061】
粉末状のリファンピシンをワセリンに溶解した。化合物の濃度を2.5%に増加し、局
所的皮膚製剤を調製した。
【実施例0062】
53歳の女性が、腕に発赤を有していた。発赤のサイズは、1~2インチの両寸法であ
った。発赤は3年超、持続していた。女性は多くの処置を試みたが、発赤を除去する効果
のある処置はなかった。2.5%リファンピシン軟膏剤を1日に2回、発赤に局所塗布し
た。処置を開始して2~3日後、発赤を低減する有効性が見られた。開始15日で瘢痕の
発赤は著しく除去された。開始17日で処置は終了した。24日で発赤を低減する有効性
は持続し、発赤は再発しなかった。図2~3を参照のこと。
【実施例0063】
粉末状のリファンピシンをワセリンに2.5%濃度で溶解した。2.5%リファンピシ
ン軟膏剤の物理化学的特徴はローション剤と多少類似しており、皮膚組織に塗布する場合
、滑らかであった。リファンピシン軟膏剤は皮膚組織の毛穴をふさがないと考えられる。
リファンピシン軟膏剤は室温で数週間、安定であった。
【実施例0064】
2.5%リファンピシン軟膏剤を54歳の男性の手に局所塗布した。1~2時間で、化
合物の赤色は皮膚組織に吸収されることで消え、3時間で、赤色はほとんど見えなくなっ
た。これらの観察により、化合物は吸収される皮膚組織に高い親和性を有することが示唆
される。
【実施例0065】
2.5%リファンピシン軟膏剤の急速な皮膚吸収により、54歳の男性などに、手や顔
面に生成物を塗布することができた。化合物は洗浄剤に容易に溶解したので、生成物を洗
浄し、布材に付着した場合通常の洗濯機で洗濯できた。
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2022-10-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ざ瘡または肥厚性瘢痕に伴うもの等の、皮膚発赤、湿疹または皮膚炎を低減または予防する方法であって、限定されないが、リファマイシン化合物、好ましくはリファンピシン等の治療有効量のVEGF阻害剤を、それを必要とする対象に投与することを含む、方法。
【外国語明細書】