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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022018807
(43)【公開日】2022-01-27
(54)【発明の名称】水分センサ
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/22 20060101AFI20220120BHJP
【FI】
G01N27/22 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020122171
(22)【出願日】2020-07-16
(71)【出願人】
【識別番号】000220033
【氏名又は名称】東京コスモス電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】特許業務法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】市倉 学
【テーマコード(参考)】
2G060
【Fターム(参考)】
2G060AA14
2G060AC01
2G060AF10
2G060AF15
2G060AG03
2G060HB01
2G060HC15
2G060JA03
(57)【要約】
【課題】周囲に存在する水分を高精度に検知する水分センサを提供する。
【解決手段】互いに間隔を空けて配置された一対の電極1aおよび1bと、一対の電極1aおよび1bの間に充電される電荷量を測定し、電荷量に基づいて一対の電極1aおよび1bの周囲に存在する水分Wを検知する制御部4とを備え、一対の電極1aおよび1bのうち少なくとも一方の電極1aは、所定の温度に加熱するための抵抗値を有し、一方の電極1aに通電して一方の電極1aを加熱する加熱部3をさらに有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに間隔を空けて配置された一対の電極と、
前記一対の電極の間に充電される電荷量を測定し、前記電荷量に基づいて前記一対の電極の周囲に存在する水分を検知する制御部と
を備え、
前記一対の電極のうち少なくとも一方の電極は、所定の温度に加熱するための抵抗値を有し、
前記一方の電極に通電して前記一方の電極を加熱する加熱部をさらに有する水分センサ。
【請求項2】
前記加熱部は、前記一方の電極への通電のオンとオフを切り替える加熱用スイッチを有し、
前記制御部は、前記加熱用スイッチに接続され、水分の検知情報に基づいて前記加熱用スイッチを切り替える請求項1に記載の水分センサ。
【請求項3】
前記一対の電極は、互いにねじり合って延びるように形成される請求項1または2に記載の水分センサ。
【請求項4】
前記一対の電極は、互いに並んで渦巻き状に延びるように形成される請求項1または2に記載の水分センサ。
【請求項5】
他方の電極は、櫛歯状に形成され、
前記一方の電極は、前記他方の電極の間を蛇行して延びるように形成される請求項1または2に記載の水分センサ。
【請求項6】
前記一対の電極は、交差する方向に延びると共に互いに織り込まれて面状に広がるように形成された請求項1または2に記載の水分センサ。
【請求項7】
前記一対の電極は、互いに異なる抵抗値を有する請求項1~6のいずれか一項に記載の水分センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、水分センサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば農業および防災における環境データとして降雨を検知する水分センサが実用化されている。この水分センサは、互いに間隔を空けて配置された一対の電極の間に充電される電荷量を測定し、一対の電極の周囲に水分が存在する場合と水分が存在しない場合との電荷量の差に基づいて降雨を検知する。
【0003】
ここで、降雨を高精度に検知するために、水分センサに付着した水分を蒸発させて新たに付着する水分を順次検知することが求められている。これにより、例えば、降雨の始まりと終わりを的確に検知することができる。
【0004】
そこで、付着した水分を蒸発させる技術として、例えば、特許文献1には、電極板にヒータを付設した降雨センサが開示されている。この降雨センサは、電極板を裏側からヒータで加熱することにより電極板に付着した水分を乾燥させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平2-98657号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の降雨センサは、電極板とヒータを互いに離して配置するため、付着した水分を速やかに蒸発させることができず、周囲に存在する水分を高精度に検知することが困難であった。
【0007】
本開示は、周囲に存在する水分を高精度に検知する水分センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示に係る水分センサは、互いに間隔を空けて配置された一対の電極と、一対の電極の間に充電される電荷量を測定し、電荷量に基づいて一対の電極の周囲に存在する水分を検知する制御部とを備え、一対の電極のうち少なくとも一方の電極は、所定の温度に加熱するための抵抗値を有し、一方の電極に通電して一方の電極を加熱する加熱部をさらに有するものである。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、周囲に存在する水分を高精度に検知することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の実施の形態1に係る水分センサの構成を示す図である。
図2】実施の形態2に係る水分センサの構成を示す図である。
図3】実施の形態3の検出部の構成を示す図である。
図4】実施の形態4の検出部の構成を示す図である。
図5】実施の形態5に係る水分センサの構成を示す図である。
図6】実施の形態6に係る水分センサの構成を示す図である。
図7】実施の形態1~6の変形例に係る水分センサの要部を示す図である。
図8】実施の形態1~6の他の変形例に係る水分センサの要部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示に係る実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0012】
(実施の形態1)
図1に、本開示の実施の形態1に係る水分センサの構成を示す。水分センサは、検出部1と、容量測定部2と、加熱部3と、制御部4とを有する。
【0013】
検出部1は、一対の電極1aおよび1bと、絶縁部5とを有する。
電極1aおよび1bは、線状に延びるように形成され、互いの間に電荷を蓄積して充電できるように間隔を空けて配置されている。電極1aおよび1bは、同じ材料および同じ形状から形成されている。ここで、電極1aは、加熱部3からの通電により所定の温度に加熱するための所定の抵抗値を有する。なお、電極1bは、電極1aと同様に、所定の抵抗値を有するように形成してもよい。電極1aおよび1bは、例えば、約10μm~約3mmの間隔を空けて配置することができる。
【0014】
絶縁部5は、電極1bを絶縁するもので、絶縁材料から形成され、電極1bを覆うように配置されている。
【0015】
容量測定部2は、容量用配線部2aと、容量用電源2bと、容量用スイッチ2cと、抵抗2dと、測定部2eとを有する。
容量用配線部2aは、電極1aの一端部と電極1bの一端部との間を電気的に接続する。
【0016】
容量用電源2bは、容量用配線部2a上に配置され、電極1aおよび1bの間に所定の電圧を印加する。
容量用スイッチ2cは、容量用配線部2a上に配置され、容量用電源2bによる電圧の印加のオンとオフを切り替えるものである。
【0017】
抵抗2dは、電極1aおよび1bの間に充電された電荷を放電させるためのもので、電極1aおよび1bの間を接続するように配置されている。
測定部2eは、電極1aおよび1bの間に充電される電荷量を測定するもので、抵抗2dにかかる電圧を測定する電圧計から構成されている。測定部2eは、抵抗2dに対して並列に接続されている。
【0018】
加熱部3は、加熱用配線部3aと、加熱用電源3bと、加熱用スイッチ3cとを有する。
加熱用配線部3aは、電極1aの両端を電気的に接続するように配置されている。
【0019】
加熱用電源3bは、加熱用配線部3a上に配置され、電極1aの両端に所定の電圧を印加して電極1aに通電する。電極1aは、所定の抵抗値を有するため、加熱用電源3bの通電により加熱される。このため、加熱用電源3bの電圧は、電極1aの抵抗値に基づいて、電極1aが所定の温度に加熱するように設定される。このとき、電極1aを加熱させる温度は、検出部1の表面、すなわち電極1aおよび絶縁部5の表面に付着した水分Wが蒸発するように設定することができ、例えば40℃~80℃に設定することができる。
【0020】
加熱用スイッチ3cは、加熱用配線部3a上に配置され、加熱用電源3bによる電極1aへの通電のオンとオフを切り替えるものである。
【0021】
制御部4は、測定部2eおよび容量用スイッチ2cにそれぞれ接続され、測定部2eで測定された電極1aおよび1bの間に充電される電荷量に基づいて、電極1aおよび1bの周囲に存在する水分Wを検知する。また、制御部4は、加熱用スイッチ3cにも接続されており、水分Wの検知情報に基づいて加熱用スイッチ3cを切り替えることにより、電極1aを加熱して検出部1に付着した水分Wを蒸発させる。
【0022】
次に、実施の形態1の動作について説明する。
【0023】
まず、図1に示す制御部4が、容量用スイッチ2cをオンにして、電極1aおよび1bの間に容量用電源2bにより所定の電圧が印加される。これにより、電極1aおよび1bの間に電荷が蓄積、すなわち充電される。
【0024】
このとき、測定部2eが、抵抗2dにかかる電圧を測定しており、その電圧を制御部4に出力する。制御部4は、測定部2eから出力される電圧が容量用電源2bに対応する電圧になると、電極1aおよび1bの充電が完了したと判断し、容量用スイッチ2cをオフにする。これにより、電極1aおよび1bの間に蓄積された電荷が放出、すなわち放電される。
【0025】
この放電に従って、測定部2eで測定される電圧が順次低下する。ここで、電圧が低下する時間、例えば放電開始から電圧がゼロになるまでの時間は、電極1aおよび1bの間に充電された電荷量に応じて長くなる。このため、電圧が低下する時間の長さに基づいて、電極1aおよび1bの間に充電される電荷量を求めることができる。すなわち、測定部2eは、電圧を介して電極1aおよび1bの間に充電される電荷量を測定することができる。
また、一般的に、水分Wは、約80の誘電率を有し、空気の誘電率約1と比較して大きいものである。このため、検出部1に水分Wが付着すると、電極1aおよび1bの間の静電容量が増加し、これに従って電極1aおよび1bの間に充電される電荷量も増加する。
【0026】
そこで、制御部4は、測定部2eから順次出力される電圧に基づいて、放電開始から所定の値まで電圧が低下する時間を算出する。そして、制御部4は、電圧が低下する時間の長さ、すなわち電極1aおよび1bの間に充電された電荷量に基づいて、電極1aおよび1bの周囲に存在する水分Wを検知する。
例えば、制御部4は、電圧が低下する時間の長さが所定の閾値以下と短い場合には、電極1aおよび1bの周囲に水分Wが存在しない、例えば晴れと判定する。一方、制御部4は、電圧が低下する時間の長さが所定の閾値を超えて長い場合には、電極1aおよび1bの周囲に水分Wが存在する、例えば降雨と判定する。
【0027】
このようにして、制御部4は、容量用スイッチ2cを順次切り替えて電極1aおよび1bの充放電を繰り返し、放電により電圧が低下する時間の長さに基づいて、電極1aおよび1bの周囲に存在する水分Wを順次検知する。
そして、制御部4は、電極1aおよび1bの周囲に水分Wが存在すると判定した場合には、降雨の検知を示す降雨信号を表示部などに出力する。これにより、表示部が、降雨信号に基づいて降雨の状況を表示することで、使用者が降雨の状況を認識することができる。
【0028】
また、制御部4は、電極1aおよび1bの周囲に水分Wが存在すると判定した場合には、加熱部3の加熱用スイッチ3cをオンにする。これにより、加熱用電源3bから電極1aに通電される。ここで、電極1aは、検出部1に付着した水分Wが蒸発する温度まで上昇するように所定の抵抗値を有する。このため、電極1aは、通電によりジュール熱が発生して加熱し、検出部1に付着した水分Wを蒸発させることができる。
【0029】
従来、検出部1に付着した水分Wは、例えば電極1aと電極1bとの間など入り込み、降雨が終了した後も乾くことなく長時間にわたって留まるおそれがあった。検出部1に水分Wが長時間にわたって留まると、例えば降雨が終了して晴れた場合でも水分Wが存在すると判定されるため、水分Wを高精度に検知することが困難であった。
【0030】
そこで、加熱部3が、電極1aに通電して電極1aを加熱することにより、検出部1に付着した水分Wを速やかに蒸発させて、電極1aおよび1bの周囲に存在する水分Wを高精度に検知することができる。
【0031】
また、加熱部3は、電極1aを直接加熱するため、例えば検出部1とは別にヒータを配置して加熱する場合と比較して熱効率がよく、検出部1に付着した水分Wを速やかに蒸発させることができる。
また、電極1aがヒータを兼ねているため、検出部1に対して別部材のヒータを取り付ける必要がなく、水分センサを小型化することができる。また、検出部1に対して別部材のヒータを取り付ける労力を抑制することができる。
【0032】
一方、制御部4は、電極1aおよび1bの周囲に水分Wが存在しないと判定した場合には、加熱部3の加熱用スイッチ3cをオフにする。これにより、加熱用電源3bから電極1aに通電されず、電極1aは周囲と同じ温度で維持される。
このように、制御部4は、水分Wの検知情報に基づいて加熱用スイッチ3cを切り替えるため、水分Wが検知された場合にのみ電極1aを加熱することができ、電極1aを無用に加熱することを抑制することができる。
【0033】
本実施の形態によれば、加熱部3が、電極1aに通電して電極1aを加熱するため、検出部1に付着した水分Wを速やかに蒸発させることができ、電極1aおよび1bの周囲に存在する水分Wを高精度に検知することができる。
【0034】
(実施の形態2)
以下、本開示の実施の形態2について説明する。ここでは、上記の実施の形態1との相違点を中心に説明し、上記の実施の形態1との共通点については、共通の参照符号を使用して、その詳細な説明を省略する。
【0035】
上記の実施の形態1では、絶縁部5は、電極1bのみを絶縁するように配置されたが、電極1aおよび1bの少なくとも一方を絶縁することができればよく、これに限られるものではない。
例えば、図2に示すように、実施の形態1に新たに絶縁部21を配置することができる。
【0036】
絶縁部21は、電極1aを絶縁するもので、絶縁材料から形成され、電極1aを覆うように配置されている。
これにより、電極1aと電極1bとを確実に絶縁することができ、電極1aおよび1bの周囲に存在する水分Wをより高精度に検知することができる。
【0037】
本実施の形態によれば、絶縁部21が電極1aを絶縁すると共に絶縁部5が電極1bを絶縁するため、電極1aと電極1bとをより確実に絶縁することができ、電極1aおよび1bの周囲に存在する水分Wをより高精度に検知することができる。
なお、絶縁部は、電極1aのみを絶縁するように配置することもできる。すなわち、実施の形態2において、絶縁部5を除き、電極1aを絶縁する絶縁部21のみを配置することもできる。
【0038】
(実施の形態3)
以下、本開示の実施の形態3について説明する。ここでは、上記の実施の形態1および2との相違点を中心に説明し、上記の実施の形態1および2との共通点については、共通の参照符号を使用して、その詳細な説明を省略する。
【0039】
上記の実施の形態1および2では、電極1aおよび1bは、互いに平行に延びるように形成されたが、互いに間隔を空けて配置されていればよく、これに限られるものではない。
例えば、図3に示すように、実施の形態1の電極1aおよび1bに換えて電極31aおよび31bを配置することができる。なお、図3では、絶縁部5は省略されている。
【0040】
電極31aおよび31bは、互いにねじり合って延びるように形成されている。ここで、電極31aおよび31bは、図示しない絶縁部5により、互いの間に電荷を蓄積して充電できるように間隔を空けて配置されている。また、電極31aおよび31bは、実施の形態1の電極1aおよび1bと同様に、同じ材料および同じ形状から形成されている。電極31aは、加熱部3からの通電により所定の温度に加熱するための所定の抵抗値を有する。なお、電極31bは、電極31aと同様に、所定の抵抗値を有するように形成してもよい。
【0041】
このように、電極31aおよび31bが、互いにねじり合って延びるように形成されることにより、電極31aおよび31bを近接して配置することができ、電極31aおよび31bの周囲に存在する水分Wをより高精度に検知することができる。
【0042】
本実施の形態によれば、電極31aおよび31bが、互いにねじり合って延びるように形成されるため、その周囲に存在する水分Wをより高精度に検知することができる。
【0043】
(実施の形態4)
以下、本開示の実施の形態4について説明する。ここでは、上記の実施の形態1~3との相違点を中心に説明し、上記の実施の形態1~3との共通点については、共通の参照符号を使用して、その詳細な説明を省略する。
【0044】
上記の実施の形態3において、一対の電極は、互いに並んで渦巻き状に延びるように形成することもできる。
例えば、図4に示すように、実施の形態1の電極1aおよび1bに換えて電極41aおよび41bを配置すると共に基板42を新たに配置することができる。なお、図4では、絶縁部5は省略されている。
【0045】
基板42は、電極41aおよび41bを支持するもので、平板状に形成されている。
【0046】
電極41aおよび41bは、基板42の裏面上に配置され、所定の間隔を空けて互いに並んで渦巻き状に延びるように形成されている。すなわち、電極41aは、外側に配置された一端部43aから内側に配置された他端部43bに向かって渦巻き状に延びるように形成されている。また、電極41bは、外側に配置された一端部44aから内側に配置された他端部44bに向かって渦巻き状に延びるように形成されている。また、電極41aおよび41bは、実施の形態1の電極1aおよび1bと同様に、同じ材料および同じ形状から形成されている。
【0047】
電極41aの一端部43aと電極41bの一端部44aは、容量測定部2の容量用配線部2aに接続されている。これにより、容量用電源2bから所定の電圧が電極41aおよび41bに印加され、測定部2eが電極41aおよび41bの間に充電される電荷量を測定する。そして、水分Wが基板42の表面側、すなわち電極41aおよび41bとは反対側に付着すると、制御部4が、測定部2eで測定された電荷量に基づいて電極41aおよび41bの周囲に存在する水分Wを検知する。
ここで、電極41aおよび41bは、基板42上を面状に広がるように配置されている。このため、制御部4は、周囲に存在する水分Wを広い範囲で検知することができる。
【0048】
また、電極41aの一端部43aと他端部43bは、加熱部3の加熱用配線部3aに接続されている。これにより、加熱用電源3bから電極41aの一端部43aと他端部43bに所定の電圧を印加して電極41aに通電する。ここで、電極41aは、加熱用電源3bからの通電により所定の温度に加熱するための所定の抵抗値を有する。このため、電極41aは、加熱用電源3bの通電により加熱されて、検出部1に付着した水分Wを速やかに蒸発させることができる。
なお、電極41bは、電極41aと同様に、所定の抵抗値を有するように形成してもよい。
【0049】
本実施の形態によれば、電極41aおよび41bは、互いに並んで渦巻き状に延びるように形成されるため、面状に幅広い範囲に配置することができ、周囲に存在する水分Wを広い範囲で検知することができる。
【0050】
(実施の形態5)
以下、本開示の実施の形態5について説明する。ここでは、上記の実施の形態1~4との相違点を中心に説明し、上記の実施の形態1~4との共通点については、共通の参照符号を使用して、その詳細な説明を省略する。
【0051】
上記の実施の形態3において、他方の電極を櫛歯状に形成し、一方の電極を他方の電極の間を蛇行して延びるように形成することもできる。
例えば、図5に示すように、実施の形態1の電極1aに換えて電極51を配置すると共に電極1bに換えて電極52および53を配置し、絶縁部5に換えて絶縁部54を配置することができる。
【0052】
絶縁部54は、電極51~53を支持すると共に検出部1の表面を絶縁するもので、絶縁材料から形成され、面状に広がるように配置されている。絶縁部54は、例えば、ポリエチレンテレフタレートなどの絶縁フィルムから形成することができる。
【0053】
電極51~53は、絶縁部54の裏面を互いに間隔を空けて線状に延びるように配置されている。
電極52および53は、櫛歯状に延びるように形成され、櫛歯部分同士が互いに対向するように配置されている。すなわち、電極52の櫛歯部分と電極53の櫛歯部分が交互に並ぶように配置されている。
【0054】
電極51は、電極52および53の間を蛇行して延びるように形成されている。すなわち、電極51は、電極52の櫛歯部分と電極53の櫛歯部分に対向して延びるように形成されている。
また、電極51~53は、実施の形態1の電極1aおよび1bと同様に、同じ材料および同じ形状から形成されている。電極51~53は、例えば、エッチングおよびスクリーン印刷などで形成することができる。
【0055】
ここで、電極51の一端部51aと、電極52の一端部52aと、電極53の一端部53aは、容量測定部2の容量用配線部2aに接続されている。これにより、容量用電源2bから所定の電圧が電極51と電極52および53との間に印加され、測定部2eが電極51と電極52および53との間に充電される電荷量を測定する。そして、水分Wが絶縁部54の表面側、すなわち電極51~53とは反対側に付着すると、制御部4が、測定部2eで測定された電荷量に基づいて電極51~53の周囲に存在する水分Wを検知する。
【0056】
ここで、電極51~53は、面状に広がるように配置されている。このため、制御部4は、周囲に存在する水分Wを広い範囲で検知することができる。
また、電極51は、櫛歯状に配置された電極52および53の間を蛇行して延びるように形成されているため、水分Wを効率よく検知することができる。
さらに、電極52および53は、電極51を挟むように配置されるため、周囲に存在する水分Wをより高精度に検知することができる。
【0057】
また、電極51の一端部51aと他端部51bは、加熱部3の加熱用配線部3aに接続されている。これにより、加熱用電源3bから電極51の一端部51aと他端部51bに所定の電圧を印加して電極51に通電する。ここで、電極51は、加熱用電源3bからの通電により所定の温度に加熱するための所定の抵抗値を有する。このため、電極51は、加熱用電源3bの通電により加熱されて、検出部1に付着した水分Wを速やかに蒸発させることができる。
なお、電極52および53は、電極51と同様に、所定の抵抗値を有するように形成してもよい。
【0058】
本実施の形態によれば、電極51が、櫛歯状に配置された電極52および53の間を蛇行して延びるように形成されているため、水分Wを効率よく検知することができる。
【0059】
(実施の形態6)
以下、本開示の実施の形態6について説明する。ここでは、上記の実施の形態1~5との相違点を中心に説明し、上記の実施の形態1~5との共通点については、共通の参照符号を使用して、その詳細な説明を省略する。
【0060】
上記の実施の形態3において、一対の電極は、交差する方向に延びると共に互いに織り込まれて面状に広がるように形成することもできる。
例えば、図6に示すように、実施の形態1の電極1aおよび1bに換えて電極61aおよび61bを配置することができる。なお、図6では、絶縁部5は省略されている。
【0061】
電極61aは、折り返しつつ縦方向に線状に延びるように形成されている。また、電極61bは、折り返しつつ横方向に線状に延びるように形成されている。電極61aおよび61bは、互いに織り込まれて面状に広がるように形成されている。
【0062】
電極61aの一端部と電極61bの一端部は、容量測定部2の容量用配線部2aに接続されている。これにより、容量用電源2bから所定の電圧が電極61aおよび61bに印加され、測定部2eが電極61aおよび61bの間に充電される電荷量を測定する。そして、制御部4が、測定部2eで測定される電荷量に基づいて電極61aおよび61bに付着した水分を検知する。
ここで、電極61aおよび61bは、互いに織り込まれて面状に広がるように配置されている。このため、電極61aおよび61bの周囲に存在する水分を広い範囲で検知することができる。さらに、電極61aおよび61bの形状を自在に変更、例えば電極61aおよび61bが配置される配置台の表面形状に応じて電極61aおよび61bの形状を変更することができる。
【0063】
また、電極61aの一端部と他端部は、加熱部3の加熱用配線部3aに接続されている。これにより、加熱用電源3bから電極61aの一端部と他端部に所定の電圧を印加して電極61aに通電する。ここで、電極61aは、加熱用電源3bからの通電により所定の温度に加熱するための所定の抵抗値を有する。このため、電極61aは、加熱用電源3bの通電により加熱されて、検出部1に付着した水分を速やかに蒸発させることができる。また、電極61aおよび61bは、網目を有するように織り込まれることにより、網目部分に空気を流通させることができ、水分をより速やかに除去することができる。
なお、電極61bは、電極61aと同様に、所定の抵抗値を有するように形成してもよい。
【0064】
本実施の形態によれば、電極61aおよび61bは、交差する方向に延びると共に互いに織り込まれて面状に広がるように形成されるため、周囲に存在する水分を広い範囲で検知することができると共にその形状を自在に変更することができる。
【0065】
なお、上記の実施の形態1~6において、一対の電極は、互いに異なる抵抗値を有することができる。例えば、実施の形態1において、電極1aは加熱するための所定の抵抗値を有する一方、電極1bは所定の抵抗値より小さな抵抗値を有することができる。例えば、電極1bは、電極1aと比較して大きな径で形成することにより、所定の抵抗値より小さな抵抗値で形成することができる。これにより、水分Wを蒸発させる機能を維持しつつ水分Wを検知する際の電力量を抑制することができる。
【0066】
また、上記の実施の形態1~6では、加熱部3は、一対の電極のうち一方の電極のみに通電して加熱したが、少なくとも一方の電極に通電して加熱することができればよく、これに限られるものではない。
【0067】
例えば、図7に示すように、実施の形態1に加熱部71および制御用スイッチ72を新たに配置することができる。
【0068】
加熱部71は、制御用スイッチ72を介して電極1bに接続され、電極1bの両端に所定の電圧を印加して電極1bに通電する。ここで、電極1bは、加熱部71の通電により所定の温度に加熱するための所定の抵抗値を有する。
制御用スイッチ72は、電極1bに接続された可動接点と、容量測定部2に接続された一方の固定接点と、加熱部71に接続された他方の固定接点とを有する。
【0069】
このような構成により、制御部4が、水分Wを検知する場合には、制御用スイッチ72の可動接点を一方の固定接点に接続して、電極1aおよび1bの間に充電される電荷量を測定する。続いて、制御部4は、電極1aおよび1bの周囲に水分Wが存在すると判定した場合には、制御用スイッチ72の可動接点を他方の固定接点に接続する。
【0070】
これにより、加熱部71の通電により電極1bが加熱されると共に加熱部3の通電により電極1aが加熱するため、検出部1に付着した水分Wをより速やかに蒸発させることができる。このとき、制御部4は、水分Wの量が少ないと判定した場合には、電極1aおよび1bの一方のみに通電するように加熱用スイッチを切り替えることもできる。
【0071】
また、図8に示すように、実施の形態1の加熱部3に換えて加熱部73を配置すると共に制御用スイッチ74を新たに配置して、加熱用電源を共通化することができる。
【0072】
加熱部73は、加熱用配線部73aと、加熱用電源73bと、加熱用スイッチ73cおよび73dとを有する。
【0073】
加熱用配線部73aは、電極1aおよび1bを並列に接続するように配置されている。
加熱用電源73bは、加熱用配線部73a上に配置され、電極1aおよび1bの両端に所定の電圧を印加して電極1aおよび1bに通電する。
【0074】
加熱用スイッチ73cは、加熱用配線部73a上に配置され、加熱用電源73bによる電極1aへの通電のオンとオフを切り替えるものである。
加熱用スイッチ73dは、加熱用配線部73a上に配置され、加熱用電源73bによる電極1bへの通電のオンとオフを切り替えるものである。
【0075】
制御用スイッチ74は、電極1aおよび1bと容量測定部2との間に配置され、電極1aの一端部と電極1bの一端部との間の接続を切り替える。
【0076】
このような構成により、制御部4は、水分Wを検知する場合には、制御用スイッチ74をオフ状態とし、電極1aおよび1bの間に充電される電荷量を測定する。また、制御部4は、電極1aおよび1bの周囲に水分Wが存在すると判定した場合には、電極1aの一端部と電極1bの一端部とを接続するように制御用スイッチ74をオン状態とする。そして、制御部4は、電極1aのみを加熱する場合には、加熱用スイッチ73cをオン状態とし、電極1aおよび1bを加熱する場合には、加熱用スイッチ73cおよび73dをオン状態とする。
【0077】
このようにして、加熱用電源73bを共通化することができ、加熱部73の構成を簡単化することができる。
【0078】
また、図7および8において、電極1aと電極1bの抵抗値を変えることができる。例えば、電極1aの抵抗値を電極1bより小さく設定することができる。
ここで、制御部4が、測定部2eから出力される電圧が低下する時間の長さに基づいて、水分Wの量を判定する。そして、制御部4は、水分Wの量が少ないと判定した場合には、電極1aのみに通電するように加熱用スイッチを切り替える。また、制御部4は、水分Wの量が中程度と判定した場合には、電極1bのみに通電するように加熱用スイッチを切り替える。さらに、制御部4は、水分Wの量が多いと判定した場合には、電極1aおよび1bに通電するように加熱用スイッチを切り替える。このように、電極1aおよび1bの抵抗値を変えることで、水分Wの量に応じて電極1aおよび1bの加熱量を段階的に変えることができる。
【0079】
また、上記の実施の形態1~6では、測定部2eは、一対の電極の間の電圧を測定するように構成されたが、一対の電極の間に充電される電荷量を測定できればよく、これに限られるものではない。例えば、測定部2eは、平衡ブリッジによるインピーダンス測定および定電流放電法などにより測定することもできる。
【0080】
また、上記の実施の形態1~6では、制御部4は、降雨を検知したが、一対の電極の周囲に存在する水分Wを検知することができればよく、これに限られるものではない。例えば、制御部4は、漏水、雪および霧などを検知することもできる。
【0081】
また、上記の実施の形態1~6では、制御部4は、一対の電極の周囲に水分Wを検知した場合に加熱用スイッチ3cをオンにしたが、水分Wの検知情報に基づいて加熱用スイッチ3cを切り替えればよく、これに限られるものではない。
【0082】
その他、上記の実施の形態は、何れも本発明の実施をするにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。例えば、上記の実施の形態で説明した各部の形状や個数などについての開示はあくまで例示であり、適宜変更して実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本開示に係る水分センサは、一対の電極の間に充電される電荷量に基づいて一対の電極の周囲に存在する水分を検知するセンサに利用できる。
【符号の説明】
【0084】
1 検出部
1a,1b,31a,31b,41a,41b,51,52,53,61a,61b 電極
2 容量測定部
2a 容量用配線部
2b 容量用電源
2c 容量用スイッチ
2d 抵抗
2e 測定部
3,71,73 加熱部
3a,73a 加熱用配線部
3b,73b 加熱用電源
3c,73c,73d 加熱用スイッチ
4 制御部
5,21,54 絶縁部
43a,44a,51a,52a,53a 一端部
43b,44b,51b 他端部
42 基板
72,74 制御用スイッチ
W 水分
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8