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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022188093
(43)【公開日】2022-12-20
(54)【発明の名称】アプリケーションプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/12 20060101AFI20221213BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20221213BHJP
【FI】
G06F3/12 326
G06F3/12 305
G06F3/12 353
G06F3/12 373
H04N1/00 127B
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022148873
(22)【出願日】2022-09-20
(62)【分割の表示】P 2018066688の分割
【原出願日】2018-03-30
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.UNIX
2.macOS
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】水谷 愛子
(57)【要約】
【課題】印刷指示を受け付けるアプリケーションプログラムであって、印刷ジョブを出力するためのプリンタ選択操作の簡略化を図る技術を提供すること。
【解決手段】画像編集アプリ41は、キーボード25を介してショートカットキーを操作した場合に、PC2のOS44に登録されているプリンタ1と、PC2に組み込まれている印刷プログラム(専用印刷制御アプリ43を含む)を取得し、そのうちの1つを抽出して出力先に設定する。印刷指示を受け付けると、設定された出力先が、PC2に組み込まれている専用印刷制御アプリ43の1つであれば、その専用印刷制御アプリ43を起動させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置の制御部によって実行可能なアプリケーションプログラムであって、
前記制御部に、
前記情報処理装置のオペレーティングシステムに登録されているプリンタの一覧を取得するプリンタ取得処理と、
前記情報処理装置に組み込まれている印刷プログラムの一覧を取得するプログラム取得処理と、
前記プリンタ取得処理にて取得したプリンタと、前記プログラム取得処理にて取得した印刷プログラムと、を前記情報処理装置のメモリに記憶する記憶処理と、
前記情報処理装置の入力手段を介して、第1のユーザ操作が入力されたことを検出する第1検出処理と、
前記第1検出処理にて前記第1のユーザ操作の入力を検出した場合に、前記メモリに記憶されているプリンタおよび印刷プログラムの中から1つを抽出し、抽出された1つを出力先に設定する出力先変更処理と、
前記出力先変更処理にて変更された出力先が、前記情報処理装置に組み込まれている印刷プログラムの1つであれば、その印刷プログラムを起動する印刷プログラム起動処理と、
を実行させることを特徴とするアプリケーションプログラム。
【請求項2】
請求項1に記載するアプリケーションプログラムにおいて、
前記制御部に、さらに、
前記入力手段を介して、印刷の実行命令を受け付ける第1受付処理と、
前記第1受付処理にて前記実行命令を受け付けた場合に、現在設定されている出力先が、前記情報処理装置のオペレーティングシステムに登録されているプリンタの1つであれば、そのプリンタに印刷ジョブを出力し、現在設定されている出力先が、前記印刷プログラム起動処理にて起動される印刷プログラムであれば、その印刷プログラムに印刷ジョブを渡す印刷処理と、
を実行させることを特徴とするアプリケーションプログラム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載するアプリケーションプログラムにおいて、
前記出力先変更処理では、
前記第1検出処理にて前記第1のユーザ操作の入力を検出した場合に、前記情報処理装置の表示手段を用いて、前記メモリに記憶されているプリンタおよび印刷プログラムを一覧表示する、
ことを特徴とするアプリケーションプログラム。
【請求項4】
請求項1から請求項3の何れか1つに記載するアプリケーションプログラムにおいて、
前記情報処理装置は、
印刷ジョブの実行履歴を、前記メモリに記憶し、
前記出力先変更処理では、
前記メモリに記憶される印刷ジョブの実行履歴に基づいて、使用頻度が高い順に、抽出の順位を決定する、
ことを特徴とするアプリケーションプログラム。
【請求項5】
請求項1から請求項3のいずれか1つに記載するアプリケーションプログラムにおいて、 前記出力先変更処理では、
印刷媒体の種別として特定の印刷媒体が選択されている場合に、前記メモリに記憶されているプリンタおよび印刷プログラムのうち、前記特定の印刷媒体に印刷できないものを、抽出対象から除外する、
ことを特徴とするアプリケーションプログラム。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1つに記載するアプリケーションプログラムにおいて、 前記制御部に、
前記入力手段を介して、第2のユーザ操作が入力されたことを検出する第2検出処理と、
前記第2検出処理にて前記第2のユーザ操作の入力を検出した場合に、印刷指示を受け付ける第2受付処理と、
を実行させ、
前記第1のユーザ操作は、前記第2のユーザ操作と、第3のユーザ操作と、を同時に行う操作である、
ことを特徴とするアプリケーションプログラム。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか1つに記載するアプリケーションプログラムにおいて、 前記制御部に、
前記出力先変更処理によって出力先がプリンタから印刷プログラムに変更された場合に、変更元のプリンタのデフォルトの印刷設定を前記情報処理装置のオペレーティングシステムから取得し、取得した印刷設定を、出力先に設定された印刷プログラムに渡す引継処理を実行させる、
ことを特徴とするアプリケーションプログラム。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか1つに記載するアプリケーションプログラムにおいて、 前記制御部に、
前記出力先変更処理によって出力先が変更された場合に、前記情報処理装置のオペレーティングシステムに登録されているデフォルトのプリンタを、変更された出力先にするデフォルト変更処理を実行する、
ことを特徴とするアプリケーションプログラム。
【請求項9】
情報処理装置の制御部によって実行可能なアプリケーションプログラムであって、
前記制御部に
前記情報処理装置のオペレーティングシステムに登録されているプリンタの一覧を取得するプリンタ取得処理と、
前記情報処理装置に組み込まれている印刷プログラムの一覧を取得するプログラム取得処理と、
前記プリンタ取得処理にて取得したプリンタと、前記プログラム取得処理にて取得した印刷プログラムと、を前記情報処理装置のメモリに記憶する記憶処理と、
前記情報処理装置の入力手段を介して、第1のユーザ操作が入力された場合に、前記メモリに記憶されているプリンタおよび印刷プログラムの中から1つを抽出し、抽出された1つをオペレーティングシステムのデフォルトの出力先に設定する出力先変更処理と、 印刷指示が入力された場合に、前記出力先変更処理にて変更された出力先を前記オペレーティングシステムのデフォルトの出力先から取得する出力先取得処理と、
前記出力先取得処理にて取得した前記出力先が前記情報処理装置に組み込まれている印刷プログラムの1つであれば、その印刷プログラムを起動する印刷プログラム起動処理と、
を実行させることを特徴とするアプリケーションプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示される技術分野は、印刷指示を受け付けるアプリケーションプログラムに関する。さらに詳細には、アプリケーションプログラムを介しての、プリンタの選択に関するものである。
【背景技術】
【0002】
キーボードやタッチパネル等の入力手段を備える情報処理装置では、特定のユーザ操作が抽出された場合に、その特定のユーザ操作に関連付けられた特定の処理を実行する技術が知られている。例えば、特許文献1には、アプリケーションプログラムの選択状態を切り替えるショートカットキー等の、複数のショートカットキーが設定された情報処理装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-133830号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
情報処理装置からプリンタに印刷ジョブを出力する場合、あらかじめ出力先となるプリンタを選択する操作が必要になる。また、情報処理装置のオペレーティングシステムがサポートしないプリンタを出力先とする場合には、専用の印刷プログラムを起動する必要がある。これらの操作はユーザにとって手間になる。特許文献1に開示されている情報処理装置では、ショートカットキーによって、情報処理装置で現在起動中のアプリケーションプログラムの選択状態を切り替えることはできるが、印刷ジョブを出力するためのプリンタ選択操作についての開示はなく、改善の余地がある。
【0005】
本明細書に開示される技術は、前記した従来の技術が有する問題点を解決するためになされたものである。すなわちその課題とするところは、印刷指示を受け付けるアプリケーションプログラムであって、印刷ジョブを出力するためのプリンタ選択操作の簡略化を図る技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題の解決を目的としてなされたアプリケーションプログラムは、情報処理装置の制御部によって実行可能なアプリケーションプログラムであって、前記制御部に、前記情報処理装置のオペレーティングシステムに登録されているプリンタの一覧を取得するプリンタ取得処理と、前記情報処理装置に組み込まれている印刷プログラムの一覧を取得するプログラム取得処理と、前記プリンタ取得処理にて取得したプリンタと、前記プログラム取得処理にて取得した印刷プログラムと、を前記情報処理装置のメモリに記憶する記憶処理と、前記情報処理装置の入力手段を介して、第1のユーザ操作が入力されたことを検出する第1検出処理と、前記第1検出処理にて前記第1のユーザ操作の入力を検出した場合に、前記メモリに記憶されているプリンタおよび印刷プログラムの中から1つを抽出し、抽出された1つを出力先に設定する出力先変更処理と、前記出力先変更処理にて変更された出力先が、前記情報処理装置に組み込まれている印刷プログラムの1つであれば、その印刷プログラムを起動する印刷プログラム起動処理と、を実行させることを特徴とする。
【0007】
上記構成のアプリケーションプログラムは、プリンタおよび印刷プログラム(印刷アプリ)の一覧を記憶し、第1のユーザ操作の入力が検出された場合に、それらの一覧の中から1つを新たな出力先に変更する。そして、アプリケーションプログラムは、変更された出力先が、情報処理装置に組み込まれている印刷プログラムの1つである場合には、その印刷プログラムを起動する。これにより、アプリケーションプログラムは、プリンタの選択操作や印刷プログラムの起動操作をユーザに簡単に行わせることができ、印刷ジョブを出力するためのプリンタ選択操作の簡略化を図ることができる。
【0008】
上記アプリケーションプログラムの機能を実現するための制御方法、および、上記アプリケーションプログラムを格納するコンピュータにて読取可能な記憶媒体も、新規で有用である。
【発明の効果】
【0009】
本明細書に開示される技術によれば、印刷指示を受け付けるアプリケーションプログラムであって、印刷ジョブを出力するためのプリンタ選択操作の簡略化を図る技術が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施の形態にかかる印刷システムの概略構成図である。
図2】情報処理装置の印刷用のプログラムを示す説明図である。
図3】2種類の印刷経路を示す説明図である。
図4】印刷動作を説明するシーケンス図である。
図5】出力先変更画面の一例を示す図である。
図6】印刷画面の一例を示す図である。
図7】出力先変更処理の手順を示すフローチャートである。
図8】印刷処理の手順を示すフローチャートである。
図9】第2実施形態に係る印刷システムの印刷動作を説明するシーケンス図である。
図10】出力先変更処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明にかかるアプリケーションプログラムを具体化した実施の形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。以下では、アプリケーションプログラムを「アプリ」と称する。
【0012】
(第1実施形態)
本形態は、互いに通信可能な印刷装置と情報処理装置とを含む印刷システムに本発明を適用したものである。
【0013】
本形態の印刷システム100は、図1に示すように、複数のプリンタ1A,1B,1C,1Dと、PC(パーソナルコンピュータの略)2とを有し、互いに通信可能に接続されている。プリンタ1A,1B,1C,1Dは、何れも、印刷対象の媒体への印刷が可能な装置であり、例えば、ラベルプリンタ、ページプリンタ、コピー機、複合機である。以下では、区別の必要がない場合には、単にプリンタ1とする。
【0014】
PC2は、プリンタ1にて印刷させる画像データの生成及び編集、プリンタ1への印刷実行指示と画像データとの送信等を行う装置である。PC2は、情報処理装置の一例である。なお、印刷システム100を構成するプリンタ1やPC2は、それぞれ、1台でも複数台でもよい。
【0015】
プリンタ1は、図1に示すように、コントローラ11と、画像形成部12と、操作パネル13と、ネットワークインターフェース14とを有している。コントローラ11は、CPUやメモリ等を含み、プリンタ1の各構成要素を制御する。なお、図1中のコントローラ11は、プリンタ1の制御に利用されるソフトウェアとハードウェアを纏めた総称である。
【0016】
画像形成部12は、印刷対象の媒体に画像を印刷するための構成である。画像形成部12の画像形成方式は、電子写真方式であっても、インクジェット方式であっても、その他の方式であってもよい。操作パネル13は、例えば、タッチパネルであり、ユーザによる入力を受け付けるとともに情報の表示を行う。操作パネル13は、各種の表示ランプやボタン等を含んでもよい。ネットワークインターフェース14は、PC2と通信を行うための無線通信用のインターフェースである。
【0017】
PC2は、図1に示すように、CPU21と、ROM22と、RAM23と、不揮発性メモリ24と、キーボード25と、マウス28と、ディスプレイ26と、ネットワークインターフェース27とを有している。RAM23は、メモリの一例である。キーボード25とマウス28は、入力手段の一例である。ディスプレイ26は、表示手段の一例である。
【0018】
ROM22には、PC2を起動するための起動プログラム等が記憶されている。RAM23は、各種処理が実行される際に作業領域として、あるいは、データを一時的に記憶する記憶領域として利用される。不揮発性メモリ24は、例えば、HDD、フラッシュメモリであり、各種のプログラムやデータを記憶する。例えば、不揮発性メモリ24には、画像編集用のアプリケーションプログラム(画像編集アプリ)41や専用印刷制御アプリ43やオペレーティングシステム(OS)44が記憶されている。画像編集アプリ41は、アプリケーションプログラムの一例である。専用印刷制御アプリ43は、印刷プログラムの一例である。
【0019】
CPU21は、ROM22や不揮発性メモリ24から読み出したプログラムに従って、各種の処理を実行する。キーボード25は、複数のキーを備え、キーを押されることにより文字等の入力を受け付ける。
【0020】
キーボード25は、特定のキーが押されたり、複数のキーが同時に押されたりすることで、OS44やプログラムに特定の処理を実行させる指示の入力を受け付ける。例えば、キーボード25は、ショートカットキーの入力操作を受け付けることができる。
【0021】
また、マウス28は、移動量や移動方向を指示する入力装置である。ディスプレイ26は、情報の表示を行う。ネットワークインターフェース27は、プリンタ1と通信を行うためのハードウェアである。
【0022】
本形態の印刷システム100では、PC2とプリンタ1とが、共通のアクセスポイント3を介して、Wi-Fi(登録商標)規格に準拠した無線通信を行う。すなわち、ネットワークインターフェース14および27は、ともに、Wi-Fi規格による無線通信を可能にするインターフェースである。より具体的には、IEEE802.11の規格及びそれに準ずる規格に基づく無線通信を可能にするインターフェースである。なお、本形態の通信態様は一例であり、前述の態様に限らない。例えば、PC2とプリンタ1とは、アクセスポイント3を介さない直接接続による無線通信にて通信してもよいし、有線の通信であっても良い。
【0023】
PC2の不揮発性メモリ24には、図2に示すように、OS44や画像編集アプリ41、専用印刷制御アプリ43、を記憶できる。さらに、PC2のOS44には、汎用印刷制御プログラム45と、通信プログラム46と、が組み込まれている。なお、図2では、各種のデータの流れる方向を実線の矢印にて示している。
【0024】
画像編集アプリ41は、例えば、ユーザの指示を受け付ける機能、画像を表示する機能、画像の編集や保存を行う機能、を有するプログラムである。画像編集アプリ41は、例えば、画像の編集及び編集された画像の画像ファイルの生成および編集に用いられるプログラムである。画像ファイルは、印刷媒体に印刷するためのデータファイルである。画像編集アプリ41は、さらに、印刷指示を受け付ける機能、印刷時の出力先の設定などの各種設定を受け付ける機能も有する。
【0025】
専用印刷制御アプリ43は、例えば、印刷指示を受け付ける機能、画像ファイルに含まれる画像データをラスタライズしてラスタライズデータを生成する機能、生成したラスタライズデータを通信プログラム46を経由してプリンタ1に送信する機能、を有するプログラムである。専用印刷制御アプリ43は、特定の機種の印刷装置に対応する専用のプログラムであり、他のメーカの機種など特定の機種以外の印刷装置には対応しない。
【0026】
本形態の専用印刷制御アプリ43は、プリンタ1を制御するための専用のプログラムであり、プリンタ1にて実行可能な全ての詳細な印刷設定に対応可能であって、プリンタ1にて対応可能な形式のラスタライズデータを生成する。専用印刷制御アプリ43は、画像編集アプリ41のみでなく、各種のアプリで使用される。
【0027】
汎用印刷制御プログラム45は、所定の印刷規格に基づく印刷用の規格データを生成する機能、生成した規格データを通信プログラム46を制御してプリンタ1に送信する機能、を有するプログラムである。汎用印刷制御プログラム45は、印刷制御機能を実現するために、OS44によって提供される標準のプログラムである。汎用印刷制御プログラム45によって送信される規格データは、汎用のラスタライズ処理に適した規格に則ったデータであり、ラスタライズされていないデータである。
【0028】
また、汎用印刷制御プログラム45は、所定の印刷規格をサポートする種々の印刷装置に対応する汎用のプログラムである。そのため、汎用印刷制御プログラム45に対応する機能を備えた印刷装置であれば、どのメーカの印刷装置であっても、規格データに基づく印刷を実行できる。汎用印刷制御プログラム45は、複数の機種に対応する汎用のプログラムであることから、受け付け可能な印刷設定が一般的なものに限られる。そのため、汎用印刷制御プログラム45は、プリンタ1にて実行可能な全ての印刷設定を受け付けるとは限らない。汎用印刷制御プログラム45を利用した印刷のシステムとしては、例えば、AirPrint、Mopria(いずれも登録商標)がある。
【0029】
画像編集アプリ41は、印刷対象の画像データを専用印刷制御アプリ43に渡す場合には、画像ファイルを用い、また、指定された全ての印刷設定を付加する。一方、画像編集アプリ41は、印刷対象の画像データを汎用印刷制御プログラム45に渡す場合には、画像ファイルを汎用化に適した形式としたデータファイルを用いる。この場合には、画像編集アプリ41は、一般的な印刷設定のみを付加する。
【0030】
通信プログラム46は、ネットワークインターフェース27を制御して、通信相手の装置との通信を行う機能を有するプログラムである。例えば、専用印刷制御アプリ43は、生成したラスタライズデータをOS44のスプーラに登録する。PC2の通信プログラム46は、スプーラに登録されたデータを、ネットワークインターフェース27を介してプリンタ1に送信する。通信プログラム46も、OS44によって提供される標準のプログラムである。通信プログラム46の一部は、ROM22に記憶されていてもよい。
【0031】
本形態の印刷システム100は、プリンタ1に印刷を行わせる処理の経路として、図3に示すように、2種類の経路を有する。2種類の経路とは、PC2がラスタライズ処理を行う第1経路と、プリンタ1がラスタライズ処理を行う第2経路と、である。
【0032】
第1経路を用いてプリンタ1に印刷を行わせる場合、図3に示すように、画像編集アプリ41は、専用印刷制御アプリ43を起動し、専用印刷制御アプリ43に画像ファイルを渡す。専用印刷制御アプリ43は、ラスタライズ処理を実行して、画像ファイルに含まれる画像データをラスタライズし、ラスタライズデータをOS44の通信プログラム46を介してプリンタ1に送信する。プリンタ1は、ラスタライズ済みのラスタライズデータを受信して、受信したラスタライズデータに基づいて印刷する。第1経路では、PC2は、印刷対象の画像データを図2に示した専用印刷制御アプリ43を用いてラスタライズする。
【0033】
第1経路は、専用印刷制御アプリ43を使用することから、プリンタ1にて対応可能な各種の印刷設定に対応している。専用印刷制御アプリ43は、OS44には含まれないので、第1経路による印刷を行う場合、PC2は、OS44に含まれる印刷制御機能(例えば、汎用印刷制御プログラム45)を使用しない。
【0034】
第2経路を用いてプリンタ1に印刷を行わせる場合、図3に示すように、画像編集アプリ41は、OS44に汎用画像ファイルを渡す。OS44は、規格化処理において汎用画像ファイルに含まれる画像データの規格化を行い、規格データをプリンタ1に送信する。
プリンタ1は、規格データのラスタライズを行う汎用ラスタライズ処理を行い、汎用ラスタライズ処理にてラスタライズされたデータに基づいて印刷する。つまり、第2経路の場合、汎用ラスタライズ処理が可能なプリンタを用いる。第2経路では、PC2は、印刷対象の画像データを図2に示した汎用印刷制御プログラム45にて規格化する。
【0035】
第2経路は、OS44に含まれる印刷制御機能である汎用印刷制御プログラム45を使用することから、プリンタ1にて対応可能な全ての印刷設定に対応できるとは限らない。
例えば、汎用印刷制御プログラム45は、特定の機種のみが対応可能な高解像度の印刷設定に対応していない。そのため、第2経路を用いた印刷では、多くの機種にて対応可能な解像度、すなわち、高解像度以外の印刷設定が用いられる。
【0036】
このように、第1経路と第2経路とでは、印刷対象の画像データのラスタライズを行う処理主体が異なる。すなわち、第1経路は、PC2にラスタライズを行わせる経路であり、第2経路は、プリンタ1にラスタライズを行わせる経路である。また、第1経路と第2経路とでは、ラスタライズ処理のアルゴリズムが異なり、処理結果も異なる可能性がある。すなわち、第1経路は、詳細な印刷設定にも対応できるラスタライズを行う経路であり、第2経路は、いくつかの印刷設定が制限されるラスタライズを行う経路である。また、第1経路と第2経路とでは、PC2からプリンタ1へと送信されるデータの種類やデータフォーマットも異なる。この結果、同じ画像ファイルに基づく印刷物であっても、第1経路による印刷物と、第2経路による印刷物とでは、印刷結果が異なる可能性がある。
【0037】
本形態の画像編集アプリ41は、出力先を変更する指示を受け付けるショートカットキーを設け、出力先の変更対象に、プリンタ1だけでなく、専用印刷制御アプリ43も含めている。例えば、プリンタ1Aが汎用ラスタライズ処理をサポートしておらず、プリンタ1B~1Dが汎用ラスタライズ処理をサポートしている場合、画像編集アプリ41は、第2経路を使用して印刷ジョブをプリンタ1B~1Dに実行させることができても、プリンタ1Aに実行させることはできない。そのため、画像編集アプリ41は、プリンタ1Aを使用して印刷する場合、プリンタ1Aに対応する専用印刷制御アプリ43を起動し、第1経路を使用してプリンタ1Aに印刷ジョブを実行させる必要がある。一般的に、専用印刷制御アプリ43は、デスクトップに表示される起動アイコンをクリックする等、ユーザが専用印刷制御アプリ43の起動指示を入力して、起動される。
【0038】
画像編集アプリ41では、上記の起動方法の他、別の起動方法をサポートしている。すなわち、画像編集アプリ41には、出力先を変更する処理に関連付けたショートカットキーを設定している。画像編集アプリ41は、出力先の候補の一覧を記憶しており、ショートカットキーが入力される度に、その一覧の中から順に出力先を切り換える。出力先には、OS44がサポートするプリンタ1B~1Dだけでなく、PC2にインストールされている専用印刷制御アプリ43も、含まれている。よって、画像編集アプリ41は、デスクトップの起動アイコンを操作せずに、ショートカットキーから出力先を専用印刷制御アプリ43に変更することができる。そして、出力先が専用印刷制御アプリ43の状態で、印刷指示が入力されると、画像編集アプリ41は、専用印刷制御アプリ43を起動する。
【0039】
このショートカットキーは、例えば、印刷の実行を指示するコマンドを入力する印刷実行用ショートカットキーに、別のキーを組み合わせて設定されている。つまり、画像編集アプリ41に設定されるショートカットキーが、印刷実行用ショートカットキーを含み、ショートカットキーにより実行される処理が印刷関連であることを、ユーザに認識させ易くしている。具体的に、例えば、印刷実行用ショートカットキーが「Command」+「P」である場合には、画像編集アプリ41は、「Command」+「Alt」+「P」を出力先の変更を指示するためのショートカットキーとする。尚、「A」+「B」は、「A」と「B」のキーを同時に操作することを意味し、「Command」+「P」は、第2のユーザ操作の一例であり、「Alt」は、第3のユーザ操作の一例であり、「Command」+「Alt」+「P」は、第1のユーザ操作の一例である。
【0040】
続いて、本形態の印刷システム100による印刷動作について、図4図6を参照しながら説明する。以下では、プリンタ1Aは、汎用ラスタライズ処理をサポートしておらず、OS44に登録されていないものとする。プリンタ1B~1Dは、汎用ラスタライズ処理をサポートしており、OS44に登録されているものとする。そして、専用印刷制御アプリ43は、プリンタ1Aに対応するものとする。
【0041】
ユーザは、印刷システム100で画像ファイルに基づく印刷を行わせたい場合、PC2にて画像編集アプリ41を起動させ、画像データを編集する。図4に示すように、画像編集アプリ41は、例えば、画像編集アプリ41がアクティブな状態で、キーボード25の「Command」と「Alt」と「P」のキーの同時操作を検知すると(S1)、OS44に登録されているプリンタ1の一覧の送信をOS44に要求する(S2)。画像編集アプリ41は、OS44からプリンタ1の一覧を取得すると(S3)、PC2にインストールされている印刷プログラムの一覧を取得する(S4)。印刷プログラムの中に、専用印刷制御アプリ43が含まれる。
【0042】
その後、画像編集アプリ41は、S3にて取得したプリンタ1の一覧とS4にて取得した印刷プログラムの一覧をRAM23に記憶する(S5)。尚、それらの一覧は、不揮発性メモリ24に記憶しても良い。それから、画像編集アプリ41は、出力先の変更を受け付ける(S6)。出力先の変更は、S3にて取得したプリンタ1の一覧とS4にて取得した印刷プログラムの一覧の中からプリンタ1又は印刷プログラムを自動的に選択することで行われる。
【0043】
一例として、出力先の変更内容を図5に示す出力先変更画面50に表示する。出力先一覧51には、OS44に登録されたプリンタ1と、PC2にインストールされたアプリが一覧表示される。例えば、図中51Aには、専用印刷制御アプリ43を示すアイコンが表示され、図中51Bには、プリンタ1Bを示すアイコンが表示され、図中51Cには、プリンタ1Cを示すアイコンが表示され、図中51Dには、プリンタ1Dを示すアイコンが表示される。選択カーソル53は、出力先一覧のうち、画像編集アプリ41に設定する出力先を示すものである。画像編集アプリ41は、キーボード25の「Command」と「Alt」と「P」のキーの同時操作を検知する度に、選択カーソル53を順に移動させ、出力先を切り換える。このように、画像編集アプリ41は、キーボード25の「Command」と「Alt」と「P」のキーの同時操作を検知した場合に、出力先一覧51の中から1つを抽出し、出力先に設定することにより、出力先を変更する。尚、出力先一覧51を表示しなくても現在選択されている出力先のみ表示してもよい。
【0044】
尚、図4のS4は、S2の前に行っても良い。また、既に、プリンタ1の一覧と印刷プログラムの一覧を取得してRAM23に記憶している場合には、S2~S5の処理を省略しても良い。また、S2~S5の処理は、画像編集アプリ41の起動時に行っても良い。
この場合、S1の処理の後、S6の処理のみを行う。更に、画像編集アプリ41は、S5の処理にて、1つしかRAM23に記憶されていない場合には、出力先は変更しない。
【0045】
画像編集アプリ41は、出力先を変更された後、画像編集アプリ41がアクティブな状態で、例えば、キーボード25の「Command」と「P」のキーの同時操作を検知することにより、図6に示す印刷画面60をPC2のディスプレイ26に表示させる。印刷画面60には、例えば、出力先表示欄61と、印刷ボタン63と、キャンセルボタン64と、印刷設定欄65とが表示される。
【0046】
出力先表示欄61には、画像編集アプリ41に出力先として設定されているものが表示される。出力先表示欄61には、出力先を変更するための変更ボタン66が表示されている。画像編集アプリ41は、変更ボタン66の操作を検知すると、選択一覧67を表示させる。選択一覧67には、OS44に登録されているプリンタ1が表示される。また、画像編集アプリ41は、出力先として印刷プログラムが設定されている場合には、その印刷プログラムを選択一覧67に表示させる。例えば、画像編集アプリ41は、出力先として専用印刷制御アプリ43(プリンタ1A)が設定されている場合、選択一覧67に、プリンタ1B~1Dと専用印刷制御アプリ43(プリンタ1A)とを表示させる。よって、画像編集アプリ41は、印刷前に出力先を「専用印刷制御アプリ43(プリンタ1A)」に設定した後でも、印刷時に、出力先を「専用印刷制御アプリ43(プリンタ1A)」から「プリンタ1B」に変更することができる。
【0047】
印刷設定欄65は、解像度などの各種印刷項目を設定するためのものである。印刷ボタン63は、印刷実行の指示を受け付けるものである。キャンセルボタン64は、印刷中止の指示を受け付けるものである。
【0048】
画像編集アプリ41は、例えば、専用印刷制御アプリ43(プリンタ1A)が出力先表示欄61に表示された状態で、印刷ボタン63の操作を検知した場合に、専用印刷制御アプリ43(プリンタ1A)を用いた印刷の印刷実行指示を受け付ける(S7)。すると、画像編集アプリ41は、出力先として、専用印刷制御アプリ43(プリンタ1A)を取得する(S8)。そして、画像編集アプリ41は、S8にて取得した専用印刷制御アプリ43に、起動指示を送信する(S9)。またこのとき、画像編集アプリ41は、編集中の画像ファイルを専用印刷制御アプリ43に渡す(S10)。画像ファイルは、印刷ジョブの一例である。
【0049】
専用印刷制御アプリ43は、画像編集アプリ41から受信した起動指示に応じて起動する(S11)。専用印刷制御アプリ43は、印刷指示受付画面を表示し(S12)、その画面を介して印刷実行指示を受け付けると(S13)、画像編集アプリ41から渡された画像ファイルをラスタライズし(S14)、プリンタ1Aに印刷ジョブを送信する(S15)。つまり、画像編集アプリ41は、第1経路を使用してプリンタ1Aに画像ファイルの印刷を実行させる。
【0050】
これに対して、画像編集アプリ41は、例えば、プリンタ1Bが出力先表示欄61に表示された状態で、印刷ボタン63の操作を検知した場合に、汎用印刷制御プログラム45を用いた印刷の印刷実行指示を受け付ける(S7)。すると、画像編集アプリ41は、出力先として、プリンタ1Bを取得する(S8)。そして、画像編集アプリ41は、編集した画像ファイルを汎用印刷制御プログラム45を介してプリンタ1Bに出力する。プリンタ1Bは、編集中の画像ファイルをラスタライズし、印刷を実行する。つまり、画像編集アプリ41は、第2経路を使用してプリンタ1Bに画像ファイルの印刷を実行させる。
【0051】
このように、PC2は、画像編集アプリ41を利用して編集した画像を印刷する場合に、例えば、ユーザがショートカットキー(すなわち、「Command」+「Alt」+「P」)の操作をキーボード25に行う。これにより、PC2は、OS44に登録されていない専用印刷制御アプリ43を出力先に設定して起動させることができる。よって、PC2は、プリンタ1の選択操作や専用印刷制御アプリ43の起動操作をユーザに簡単に行わせることができ、プリンタ1Aに印刷ジョブを出力するためのプリンタ選択操作を簡略化することができる。
【0052】
続いて、本形態の印刷システム100において前述した印刷動作を実現するために、PC2にて実行される印刷処理の手順について、図7のフローチャートを参照して説明する。この印刷処理は、実行中の画像編集アプリ41にて、ショートカットキー(すなわち、「Command」+「Alt」+「P」)の操作が行われたことを契機に、すなわち、出力先を切り換える出力先切換コマンドを検知したことを契機に、PC2のCPU21にて実行される。この印刷処理は、画像編集アプリ41に含まれる処理である。尚、ショートカットキー(すなわち、「Command」+「Alt」+「P」)の操作から、出力先を切り換える出力先切換コマンドを検知する処理は、第1検出処理の一例である。
【0053】
CPU21は、まず、OS44に登録されているプリンタ1の一覧を、OS44から取得する(S101)。これにより、画像編集アプリ41は、メーカを問わず、第2経路により印刷を実行できるプリンタ1を全て取得する。また、CPU21は、PC2にインストールされている印刷プログラムの一覧を不揮発性メモリ24から取得する(S102)。印刷プログラムには、専用印刷制御アプリ43が含まれる。印刷プログラムの一覧は、例えば、OS44から取得しても良いし、印刷プログラムを記憶する特定のディレクトリを参照することによって取得しても良い。これにより、画像編集アプリ41は、第1経路により印刷を実行できるプリンタ1を全て取得する。尚、S101とS102の順序は逆でも良い。S101の処理は、プリンタ取得処理の一例である。S102の処理は、プログラム取得処理の一例である。
【0054】
その後、CPU21は、S101にて取得したプリンタ1と、S102にて取得した印刷プログラムを、RAM23に記憶する(S103)。具体的に、例えば、S101にて取得したプリンタ1と、S102にて取得した印刷プログラムを、RAM23に設けた配列に格納する。S103の処理は、記憶処理の一例である。
【0055】
それから、CPU21は、RAM23に記憶されたプリンタ1と印刷プログラムの中から1つのプリンタ1又は印刷プログラムを抽出して変更出力先に設定する(S104)。
例えば、RAM23に設けた配列において、変更前の出力先の次の出力先を抽出する。そして、RAM23に記憶されたプリンタ1と印刷プログラムを、ディスプレイ26に一覧表示させる(S105)。具体的には、CPU21は、配列に格納したプリンタ1と印刷プログラムを抽出し、図5に示す出力先変更画面50に配列順に全部表示させる。尚、CPU21は、配列順に従って出力先を所定の数ずつ表示してもよい。また、CPU21は、配列順に従って出力先を1個ずつ表示しても良い。尚、S104,S105の処理は、出力先変更処理の一例である。
【0056】
ここで、CPU21は、プリンタ1と印刷プログラムの配列を調整しても良い。例えば、CPU21は、印刷ジョブの実行履歴を不揮発性メモリ24に記憶しておく。そして、CPU21は、プリンタ1と印刷プログラムを配列する場合に、実行履歴に基づいて使用頻度が高い順に、プリンタ1と印刷プログラムを配列するようにしても良い。これによれば、使用頻度が高いプリンタ1や印刷プログラムが上位に配列され、ユーザが選択しやすくなる。つまり、出力先を設定する際に、ユーザの使い勝手が良くなる。尚、ここでは、画像編集アプリ41が実行履歴を管理するように説明したが、OS44に実行履歴を管理させても良い。
【0057】
また、CPU21は、印刷媒体の種別として、特定の印刷媒体が選択されている場合に、RAM23に記憶された(すなわち、配列に格納された)プリンタ1と印刷プログラムのうち、特定の印刷媒体に印刷できないものを、抽出対象から除外し、図5の出力先変更画面50に表示しないようにしても良い。例えば、画像編集アプリ41が、画像ファイルを作成する場合、印刷媒体が大サイズ(例えばA3サイズ)の場合、ユーザが、大サイズを印刷できないプリンタ1を誤って出力先に設定すると、印刷に失敗する可能性がある。
そこで、CPU21は、大サイズを印刷できないプリンタ(例えばプリンタ1C、1D)や印刷プログラムを、出力先として抽出する対象から除外する。これにより、出力先変更画面50には、画像ファイルを適切に印刷できるプリンタのみが表示されるようになり、印刷に不適切なプリンタを選択して印刷に失敗することを回避できる。
【0058】
CPU21は、出力先がプリンタ1から印刷プログラムに変更されたか否かを判断する(S106)。出力先がプリンタ1から印刷プログラムに変更された場合には(S106:YES)、CPU21は、OS44から変更元のプリンタ1の印刷設定を取得して、変更先の印刷プログラムに引き継ぐ(S107)。具体的には、印刷プログラムのデフォルト設定を記憶するファイルを読み出し、変更元のプリンタ1の印刷設定に従って、印刷プログラムのデフォルト設定を書き換える。CPU21が、変更元のプリンタ1での前回の印刷設定を印刷プログラムの印刷設定に引き継がせることにより、印刷プログラムを用いて印刷を行う場合に、同じ印刷設定を行うことを回避でき、印刷プログラムの使い勝手が良くなる。その後、CPU21は、処理を終了する。S106とS107の処理は引継処理の一例である。
【0059】
一方、CPU21は、出力先がプリンタ1から印刷プログラムに変更されない場合には(S106:NO)、S107の処理を行わずに、処理を終了する。例えば、CPU21は、ある印刷プログラムから専用印刷制御アプリ43に出力先が変更された場合や、プリンタ1Cからプリンタ1Bに出力先が変更された場合には、印刷設定の引き継ぎを行わずに、処理を終了する。尚、ショートカットキー(すなわち、「Command」+「Alt」+「P」)の操作により出力先を切り換える出力先切換コマンドを検知するごとに、S101~S107の処理が行われ、出力先の切り換えが行われる。
【0060】
画像編集アプリ41は、印刷コマンドを検知すると、図8に示す印刷処理を実行する。
画像編集アプリ41は、例えば、キーボード25の「Command」と「P」のキーが同時に操作されたことを検知すると、印刷コマンドを検知する。キーボード25の「Command」と「P」のキーが同時に操作されることによる印刷コマンドの検知は、第2受付処理の一例である。
【0061】
印刷コマンドを検知したCPU21は、図6に示す印刷画面60をPC2のディスプレイ26に表示させる(S201)。それから、CPU21は、印刷実行指示を受け付けたか否かを判断する(S202)。S202の処理は、第1受付処理の一例である。CPU21は、例えば、図6のキャンセルボタン64がマウス28でクリックされ、印刷指示を受け付けない場合には(S202:キャンセル指示)、処理を終了する。
【0062】
一方、CPU21は、例えば、図6の印刷ボタン63がマウス28でクリックされた場合には、印刷実行指示を受け付けたと判断する(S202:印刷実行指示)。この場合、CPU21は、出力先がプリンタ1か印刷プログラムかを判断する(S203)。
【0063】
出力先がプリンタ1であると判断した場合(S203:プリンタ)、CPU21は、出力先のプリンタ1に印刷ジョブを出力する(S204)。例えば、出力先に「プリンタ1B」が設定されている場合、CPU21は、汎用印刷制御プログラム45を介してプリンタ1Bに印刷ジョブを出力する。プリンタ1Bは、PC2から受信した印刷ジョブをラスタライズし、印刷を実行する。その後、CPU21は、処理を終了する。
【0064】
これに対して、CPU21は、出力先が印刷プログラムであると判断した場合(S203:印刷プログラム)、出力先の印刷プログラムを起動させる(S205)。S205の処理は、プログラム起動処理の一例である。例えば、出力先に「専用印刷制御アプリ43」が設定されている場合、CPU21は専用印刷制御アプリ43を起動させる。これにより、ユーザが、例えば、デスクトップに表示される専用印刷制御アプリ43の起動アイコンを操作する等、専用印刷制御アプリ43の起動指示を入力しなくても、画像編集アプリ41の通常の操作、すなわち、プリンタ1B等に印刷させる場合と同様の操作によって専用印刷制御アプリ43を選択すれば、CPU21は、専用印刷制御アプリ43を起動させることができる。
【0065】
それから、CPU21は、起動させた印刷プログラムに、画像ファイルなどの印刷ジョブを渡し(S206)、処理を終了する。図8に示す処理は、印刷処理の一例である。
【0066】
印刷ジョブを受け取った印刷プログラム、例えば、専用印刷制御アプリ43は、印刷指示受付画面をPC2のディスプレイ26に表示させ、印刷指示受付画面を介して印刷指示を受け付けると、印刷ジョブをラスタライズし、プリンタ1に出力する。プリンタ1は、印刷プログラムから印刷ジョブを受信すると、直ぐに印刷を実行する。
【0067】
以上、詳細に説明したように、本形態の画像編集アプリ41は、プリンタ1および印刷プログラムの一覧を記憶し、ショートカットキー(すなわち、「Command」+「Alt」+「P」)の入力が検出された場合に、それらの一覧の中から1つを新たな出力先に変更する。そして、画像編集アプリ41は、変更された出力先が、PC2に組み込まれている印刷プログラムの1つである場合には、その印刷プログラムを起動する。つまり、画像編集アプリ41は、出力先を変更するショートカットキーを設け、さらに出力先の変更対象に、印刷プログラムを含め、ショートカットキーを介して印刷プログラムを起動できるようにする。これにより、画像編集アプリ41は、プリンタ1の選択操作や印刷プログラムの起動操作をユーザに簡単に行わせることができ、印刷ジョブを出力するためのプリンタ選択操作の簡略化を図ることができる。
【0068】
(第2実施形態)
続いて、本発明にかかる印刷システムの第2実施形態について、図9及び図10を参照しつつ詳細に説明する。本形態も、第1実施形態と同様、互いに通信可能な印刷装置と情報処理装置とを含む印刷システムに本発明を適用したものである。
【0069】
本形態の印刷システム100は、PC2に画像編集アプリ411,412がインストールされている点を除き、第1実施形態と同様に構成されている。ここでは、第1実施形態と相違する点を中心に説明し、共通する点は説明や図面に第1実施形態と同じ符号を使用し、適宜説明を省略する。
【0070】
画像編集アプリ411は、図9に示すように、例えば、出力先が変更された場合(S6)、出力先を変更したことをOS44に通知し(S21)、OS44のデフォルトの出力先を更新させる(S22)。例えば、画像編集アプリ411は、画像編集アプリ411側のデフォルトの出力先ではなく、OS44側のデフォルトの出力先を、画像編集アプリ411にて変更した出力先に、変更する。尚、OS44は、デフォルトの出力先として、印刷プログラム(専用印刷制御アプリ43を含む)を設定できるものとする。S6、S21,S22の処理は、デフォルト変更処理、出力先変更処理の一例である。
【0071】
画像編集アプリ411は、印刷実行指示を受け付けると(S7)、デフォルトの出力先を送信することをOS44に要求する(S23)。画像編集アプリ411は、OS44からデフォルトの出力先を取得する(S24)。ここで、取得したデフォルトの出力先が専用印刷制御アプリ43の場合、専用印刷制御アプリ43に起動指示と画像ファイルを送信する(S9,S10)。これ以降の処理は上述したので説明を省略する。S24の処理は、出力先取得処理の一例である。
【0072】
一方、画像編集アプリ411と別の画像編集アプリ412は、印刷実行指示を受け付けた場合(S31)、デフォルトの出力先の送信をOS44に要求し(S32)、OS44からデフォルトの出力先を取得する(S33)。この場合において、OS44は、画像編集アプリ411の変更通知によりデフォルトの出力先を専用印刷制御アプリ43に変更している。よって、画像編集アプリ412は、ショートカットキーを操作しなくても、専用印刷制御アプリ43を起動させることができる(S41)。S41~S46の処理は、S9~S14と同様であるので、詳細な説明を省略する。S9,S41の処理は、印刷プログラム起動処理の一例である。
【0073】
上記PC2が画像編集アプリ411を実行して印刷処理を行う場合の手順を、図10を参照して説明する。ここでも、第1実施形態と重複する処理の説明は省略する。
【0074】
CPU21は、出力先の変更指示を受け付けると、OS44に登録されているデフォルトの出力先を、S104にて変更された出力先にする(S301)。例えば、専用印刷制御アプリ43をデフォルトプリンタとしてOS44に登録する。S301の処理は、デフォルト変更処理の一例である。また、S104、S301の処理は、出力先変更処理の一例である。
【0075】
このように、印刷システム100は、OS44のデフォルトプリンタの変更を行うことで、画像編集アプリ411で変更した出力先を、別の画像編集アプリ412に反映させることができる。つまり、画像編集アプリ412にて、出力先を変更する処理を省略できる。よって、画像編集アプリ411は、別の画像編集アプリ412が印刷ジョブを出力するためのプリンタ選択操作も、簡略化させることができる。したがって、画像編集アプリ412は汎用的な画像編集アプリであってもよく、汎用的な画像編集アプリでも専用印刷制御アプリ43を起動した印刷をユーザの手間なく行える。
【0076】
なお、本実施の形態は単なる例示にすぎず、本発明を何ら限定するものではない。したがって本発明は当然に、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能である。
例えば、プリンタ1は、操作パネル13を備えなくてもよい。PC2は、不揮発性メモリ24に限らず、どのような種類の大容量記憶装置を備えていてもよい。
【0077】
また、例えば、プリンタ1は、モノクロ専用の装置であってもよい。その場合には、PC2は、オブジェクトの種類に関わらず、色の設定に関する選択肢を表示しないとすればよい。
【0078】
また、プリンタ1とPC2との通信方式は、Wi-Fi規格に準拠した無線通信に限らない。例えば、USBケーブルを用いた有線通信であってもよいし、Bluetooth(登録商標)等の他の規格に基づく無線通信であってもよい。また、複数の通信機能を備えていてもよい。
【0079】
また、印刷対象の画像ファイルは、ラベルに印刷をするためのラベル画像ファイルでも、PDFファイル、JPEG等の圧縮ファイル、ビットマップファイルでもよく、画像編集アプリ41や印刷プログラムとして、対象の画像ファイルに適合するものを使用すればよい。
【0080】
また、本形態では、第2経路ではプリンタ1にてラスタライズするとしたが、第1経路と異なる経路であればよく、PC2にてラスタライズする経路であってもよい。例えば、汎用印刷制御プログラム45がラスタライズ機能を有していれば、そのラスタライズ機能によってラスタライズしてもよい。逆に、第1経路であってもプリンタ1にてラスタライズしてもよい。この場合であっても、第1経路と第2経路とではラスタライズ処理のアルゴリズムが異なる。また、この場合であっても、第1経路は、OS44の印刷制御機能を用いない経路であり、第2経路は、OS44の印刷制御機能を用いる経路である。
【0081】
また、本形態では、印刷システム100にて対応可能な経路として第1経路と第2経路の2種類が有るものとして説明しているが、さらに他の経路があってもよい。他の経路としては、例えば、デバイスに専用のドライバを用いて印刷する経路や、Unix、macOS、Linux(登録商標)の印刷ドライバであるCUPSを用いて印刷する経路がある。デバイス専用のドライバやCUPSは、PC2のOS44(図2参照)に組み込まれ、画像データのラスタライズを行うプログラムである。
【0082】
例えば、出力先に変更された印刷プログラムの起動は、印刷指示の受付時に行わなくても良い。つまり、印刷プログラムは、印刷指示を受け付ける前に起動されても良い。但し、印刷プログラムの起動を印刷指示の受付時に行うことで、印刷処理にかかる時間を短縮できる。また、CPU21が行う処理の数を抑制し、処理の負荷を軽減できる。
【0083】
上記形態では、ショートカットキーが入力される度に出力先を配列順に従って切り換え、出力先を変更するようにした。これに対して、例えば、プリンタ1の一覧と印刷プログラムの一覧をRAM23に記憶させた後、それらの一覧を画面に表示させ、マウス28やキーボード25などにより一覧の中から1つの出力先を選択するようにしても良い。また、出力先をユーザに手入力させ、設定するようにしても良い。但し、ショートカットキーの入力によって出力先を切り換え、出力先を設定したり、一覧表示される出力先の中から出力先を1つ選択させるようにしたりすることにより、ユーザが出力先を簡単に設定できるようになる。
【0084】
画像編集アプリ41は、出力先を変更するためのショートカットキーが設定されるものであれば、プリンタ1のメーカを問わず、PC2にインストールされた印刷プログラムを全て出力先変更画面50に表示し、出力先に設定できるようにしても良い。
【0085】
例えば、ショートカットキーは、印刷指示用ショートカットキーを含まなくても良い。
例えば、印刷指示用ショートカットキー(「Command」+「P」)と全くことなる操作(例えば、「F11」+「Alt」)にしても良い。但し、ショートカットキーが、印刷指示用ショートカットキーを含めた操作とすることで、プリンタ1を選択するショートカットキーの操作をユーザが覚えやすい。
【0086】
例えば、S106,S107の処理は省略しても良い。但し、S106、S107の処理を有することにより、前回プリンタ1で印刷を行った際の印刷設定を印刷プログラムの印刷設定に自動的に引き継ぐことができるので、印刷プログラムを出力先に設定した場合の印刷設定の手間を軽減し、印刷プログラムの使い勝手を良くすることができる。
【0087】
また、実施の形態に開示されている処理は、単一のCPU、複数のCPU、ASICなどのハードウェア、またはそれらの組み合わせで実行されてもよい。また、実施の形態に開示されている処理は、その処理を実行するためのプログラムを記録した記録媒体、または方法等の種々の態様で実現することができる。
【符号の説明】
【0088】
1 プリンタ
2 PC
21 CPU
24 不揮発性メモリ
25 キーボード
26 ディスプレイ
41 画像編集アプリ
43 専用印刷制御アプリ
44 OS
60 印刷画面
100 印刷システム
411 画像編集アプリ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【手続補正書】
【提出日】2022-10-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置の制御部によって実行可能なアプリケーションプログラムであって、前記情報処理装置のオペレーティングシステムには汎用印刷制御プログラムが組み込まれており、
前記制御部に、
前記汎用印刷制御プログラムが出力する印刷ジョブを実行できない第1種プリンタと、前記第1種プリンタが印刷実行可能な印刷データを生成する専用印刷制御アプリを取得する取得処理と、
前記汎用印刷制御プログラムが出力する印刷ジョブを印刷処理可能な第2種プリンタを印刷ジョブの出力先として選択可能な選択画面に、前記第1種プリンタが印刷処理可能な印刷データを生成可能な専用印刷制御アプリを印刷ジョブの出力先として前記選択画面に選択可能に表示させる選択画面表示処理と、
を実行させ、
前記専用印刷制御アプリは、前記選択画面表示処理で表示された前記選択画面にて前記専用印刷制御アプリが印刷ジョブの出力先として選択された場合、出力された印刷ジョブに基づき印刷データを生成し、前記生成した印刷データを前記第1種プリンタに送付するよう構成されている、
ことを特徴とするアプリケーションプログラム。
【請求項2】
請求項1に記載するアプリケーションプログラムにおいて、
前記選択画面表示処理では、前記専用印刷制御アプリを出力先として選択するための選択肢に、前記専用印刷制御アプリの名称を含む表示がされる、
ことを特徴とするアプリケーションプログラム。
【請求項3】
請求項2に記載するアプリケーションプログラムにおいて、
前記選択画面表示処理では、前記専用印刷制御アプリを出力先として選択するための前記選択肢に、前記専用印刷制御アプリにより生成される印刷データが送られる前記第1種プリンタの名称をさらに含む表示がされる、
ことを特徴とするアプリケーションプログラム。
【請求項4】
請求項1に記載するアプリケーションプログラムにおいて、
前記選択画面表示処理では、前記専用印刷制御アプリを出力先として選択するための選択肢に、前記専用印刷制御アプリが生成する印刷データが送られる前記第1種プリンタの名称を含む表示がされる、
ことを特徴とするアプリケーションプログラム。
【請求項5】
請求項1に記載するアプリケーションプログラムにおいて、
前記選択画面表示処理では、前記第2種プリンタを出力先として選択するための選択肢と前記専用印刷制御アプリを出力先として選択するための選択肢のうち、現在選択されている選択肢が現在選択されていない選択肢と識別可能に表示される、
ことを特徴とするアプリケーションプログラム。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1つに記載するアプリケーションプログラムにおいて、
前記選択画面表示処理では、前記第2種プリンタを出力先として選択するための選択肢と前記専用印刷制御アプリを出力先として選択するための選択肢が同列に表示される、
ことを特徴とするアプリケーションプログラム。