(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022188129
(43)【公開日】2022-12-20
(54)【発明の名称】ソーラーセルアレイのためのスイッチングマトリックスを有する電力ルーティングモジュール
(51)【国際特許分類】
H01L 31/05 20140101AFI20221213BHJP
H01L 31/0443 20140101ALI20221213BHJP
【FI】
H01L31/04 570
H01L31/04 522
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022151999
(22)【出願日】2022-09-22
(62)【分割の表示】P 2017176669の分割
【原出願日】2017-09-14
(31)【優先権主張番号】62/394,666
(32)【優先日】2016-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/394,636
(32)【優先日】2016-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/394,616
(32)【優先日】2016-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/394,623
(32)【優先日】2016-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/394,627
(32)【優先日】2016-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/394,629
(32)【優先日】2016-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/394,632
(32)【優先日】2016-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/394,649
(32)【優先日】2016-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/394,667
(32)【優先日】2016-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/394,671
(32)【優先日】2016-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/394,641
(32)【優先日】2016-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/394,672
(32)【優先日】2016-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/643,274
(32)【優先日】2017-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/643,277
(32)【優先日】2017-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/643,279
(32)【優先日】2017-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/643,282
(32)【優先日】2017-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/643,287
(32)【優先日】2017-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/643,289
(32)【優先日】2017-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/643,285
(32)【優先日】2017-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】レーダー, エリック
(72)【発明者】
【氏名】チウ, フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】クロッカー, トム
(72)【発明者】
【氏名】ロウ, ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ウォーターマン, デイル
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ソーラーセルアレイのカスタマイズ性能を保持しつつソーラーセルアレイの製造の自動化を推進する手段が、必要とされている。
【解決手段】アレイの中の複数のソーラーセルを電気的に相互接続するための、スイッチングマトリックスを有する電力ルーティングモジュールであって、スイッチングマトリックスが、電力ルーティングモジュールと複数のソーラーセルとの間で接続された複数の電流経路の間で電力のルートを動的に定めるように構成される、電力ルーティングモジュール。ソーラーセルのうちの少なくとも1つは、コーナー領域を形成することになる少なくとも1つの刈り込まれたコーナー部を有し、コーナー領域の中の基板のエリアは、ソーラーセルが基板に取り付けられるときに、露出したままであり、スイッチングマトリックスを有する電力ルーティングモジュールが、露出したままであるコーナー領域の中の基板のエリアにおいて基板に取り付けられる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アレイ(22)の中の複数のソーラーセル(14)を電気的に相互接続するための、スイッチングマトリックス(76)を有する電力ルーティングモジュール(30)
を備え、前記スイッチングマトリックス(76)が、前記電力ルーティングモジュール(30)と前記複数のソーラーセル(14)との間で接続された複数の電流経路の間で電力のルートを動的に定めるように構成され、
前記ソーラーセル(14)のうちの少なくとも1つが、コーナー領域(26)を形成することになる少なくとも1つの刈り込まれたコーナー部(24)を有し、
前記コーナー領域(26)の中の基板(12)のエリア(28)は、前記ソーラーセル(14)が前記基板(12)に取り付けられるとき、露出したままであり、
前記スイッチングマトリックス(76)を有する前記電力ルーティングモジュール(30)が、露出したままである前記コーナー領域(26)の中の前記基板の前記エリア(28)において前記基板(12)に取り付けられる、ソーラーセルアレイのための装置。
【請求項2】
前記スイッチングマトリックス(76)が、前記電力ルーティングモジュール(30)と一又は複数のバイパスダイオード(44)との間で接続された複数の電流経路の間で電力のルートを動的に定めるように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記スイッチングマトリックス(76)が、前記電力ルーティングモジュール(30)と一又は複数のV+線、V-線又は埋め込み線との間で接続された複数の電流経路の間で電力のルートを動的に定めるように構成される、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記スイッチングマトリックス(76)が、一又は複数の制御信号に応じて電力のルートを動的に定めるように構成される、請求項1から3の何れか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記制御信号が、遠隔源からの無線制御信号である、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記スイッチングマトリックス(76)は、内部で、選択された入力経路における電流が選択された出力経路に接続される、空間分割回路スイッチである、請求項1から5の何れか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記スイッチングマトリックス(76)は、各々が、制御信号に従って、前記選択された入力経路を前記選択された出力経路に接続する、一又は複数の接続ブロックから成る、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記スイッチングマトリックス(76)が、固有にアドレス指定される、請求項1から7の何れか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記スイッチングマトリックス(76)内の各接続ブロックが、固有にアドレス指定される、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
各接続ブロック内の選択された入力経路及び出力経路が、固有にアドレス指定される、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
アレイ(22)の中の複数のソーラーセル(14)を電気的に相互接続するための、スイッチングマトリックス(76)を有する電力ルーティングモジュール(30)を製造すること
を含み、前記スイッチングマトリックス(76)が、前記電力ルーティングモジュール(30)と前記複数のソーラーセル(14)との間で接続された複数の電流経路の間で電力のルートを動的に定めるように構成され、
前記ソーラーセル(14)のうちの少なくとも1つが、コーナー領域(26)を形成することになる少なくとも1つの刈り込まれたコーナー部(24)を有し、
前記コーナー領域(24)の中の基板(12)のエリアは、前記ソーラーセル(14)が前記基板(12)に取り付けられるとき、露出したままであり、
前記スイッチングマトリックス(76)を有する前記電力ルーティングモジュール(30)が、露出したままである前記コーナー領域(26)の中の前記基板の前記エリア(28)において前記基板(12)に取り付けられる、方法。
【請求項12】
前記スイッチングマトリックス(76)が、前記電力ルーティングモジュール(30)と一又は複数のバイパスダイオード(44)との間で接続された複数の電流経路の間で電力のルートを動的に定めるように構成される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記スイッチングマトリックス(76)が、前記電力ルーティングモジュール(30)と一又は複数の電力又は埋め込み線との間で接続された複数の電流経路の間で電力のルートを動的に定めるように構成される、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
前記スイッチングマトリックス(76)が、制御信号に応じて電力のルートを動的に定めるように構成される、請求項11から13の何れか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記制御信号が、遠隔源からの無線制御信号である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記スイッチングマトリックス(76)は、内部で、選択された入力経路における電力が選択された出力経路に接続される、空間分割回路スイッチである、請求項11から15の何れか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記スイッチングマトリックス(76)は、各々が、制御信号に従って、前記選択された入力経路を前記選択された出力経路に接続する、一又は複数の接続ブロックから成る、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記スイッチングマトリックス(76)が、固有にアドレス指定される、請求項11から17の何れか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記スイッチングマトリックス内の各接続ブロックが、固有にアドレス指定される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
各接続ブロック内の選択された入力経路及び出力経路が、固有にアドレス指定される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
アレイの中の複数のソーラーセルを電気的に相互接続するための、スイッチングマトリックスを有する少なくとも1つの電力ルーティングモジュールから成るソーラーセルアレイを備え、前記スイッチングマトリックスが、前記電力ルーティングモジュールと前記複数のソーラーセルとの間で接続された複数の電流経路の間で電力のルートを動的に定めるように構成され、
前記ソーラーセルのうちの少なくとも1つは、コーナー領域を形成することになる少なくとも1つの刈り込まれたコーナー部を有し、
前記コーナー領域の中の基板のエリアは、前記ソーラーセルが前記基板に取り付けられるとき、露出したままであり、
前記スイッチングマトリックスを有する前記電力ルーティングモジュールが、露出したままである前記コーナー領域の中の前記基板の前記エリアにおいて前記基板に取り付けられる、ソーラーセルパネル。
【請求項22】
前記スイッチングマトリックスが、前記電力ルーティングモジュールと一又は複数のバイパスダイオードとの間で接続された複数の電流経路の間で電力のルートを動的に定めるように構成される、請求項21に記載のソーラーセルパネル。
【請求項23】
前記スイッチングマトリックスが、前記電力ルーティングモジュールと一又は複数の電力又は埋め込み線との間で接続された複数の電流経路の間で電力のルートを動的に定めるように構成される、請求項21に記載のソーラーセルパネル。
【請求項24】
前記スイッチングマトリックスが、制御信号に応じて電力のルートを動的に定めるように構成される、請求項21に記載のソーラーセルパネル。
【請求項25】
前記制御信号が、遠隔源からの無線制御信号である、請求項24に記載のソーラーセルパネル。
【請求項26】
前記スイッチングマトリックスは、内部で、選択された入力経路における電力が選択された出力経路に接続される、空間分割回路スイッチである、請求項21に記載のソーラーセルパネル。
【請求項27】
前記スイッチングマトリックスは、各々が、制御信号に従って、前記選択された入力経路を前記選択された出力経路に接続する、一又は複数の接続ブロックから成る、請求項26に記載のソーラーセルパネル。
【請求項28】
前記スイッチングマトリックスが、固有にアドレス指定される、請求項21に記載のソーラーセルパネル。
【請求項29】
前記スイッチングマトリックス内の各接続ブロックが、固有にアドレス指定される、請求項28に記載のソーラーセルパネル。
【請求項30】
各接続ブロック内の選択された入力経路及び出力経路が、固有にアドレス指定される、請求項29に記載のソーラーセルパネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概してソーラーセルパネルに関し、より具体的にはソーラーセルアレイのためのスイッチングマトリックスを有する電力ルーティングモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
典型的な宇宙飛行可能なソーラーセルパネルの組み立ては、ソーラーセルの長いストリングの構築を伴う。これらのストリングの長さは可変であり、例えばセル20個に及び、またそれを超えるような、非常に長いものであり得る。こうした、長くて可変で壊れやすい機材を組み立てることは困難であり、そのために組み立ての自動化が阻害されてきた。
【0003】
現存する解決法では、CIC(セル、相互接続子、及びカバーガラス)ユニットに組み立てられたソーラーセルが用いられる。CICは、CICの一面から平行に延在するセルの前部に接続された、金属ホイルの相互接続子を有する。CICは、互いに近接して設置され、相互接続子によって隣接するセルの底部に接続されている。これらの相互接続子を用いることで、CICは直線状のストリングへと組み立てられる。これら直線状のストリングは手作業で構築され、可変の長さの多数のストリングからなる大きなソーラーセルアレイを形成するようにレイアウトされる。
【0004】
さらに、セルが部分的に影になったときにセルを逆バイアスから保護するため、バイパスダイオードが用いられる。バイパスダイオードは一般的に、ソーラーセルアレイ内の2つの隣接するセルの背面接点間を接続する。
【0005】
ソーラーセルアレイは、人工衛星内で用いられる場合、通常、パネルとしてパッケージ化される。パネルの寸法は、必要な電力、並びに打ち上げ機内に人工衛星を搭載し、格納するために必要なサイズ及び形状といった制約を含む、人工衛星の必要性によって決定される。さらに、パネルを展開する際、パネルの一部を機械設備のために使用することがしばしば必要になり、ソーラーセルアレイはこれらの箇所を避けなければならない。実際には、パネルは概して長方形であるが、その寸法及びアスペクト比はバリエーションが大きい。このスペースを埋めるCIC及びストリングのレイアウトは、発電量を最大にするために高度にカスタマイズされなければならず、その結果、製造工程は手作業が多くなる。
【0006】
そこで、ソーラーセルアレイのカスタマイズ性能を保持しつつソーラーセルアレイの製造の自動化を推進する手段が、必要とされている。
【発明の概要】
【0007】
本開示の装置及び方法は、以下に列挙される実施例に限定しないがそれらを含めて、様々な方法で実施される。
1. アレイの中の複数のソーラーセルを電気的に相互接続するための、スイッチングマトリックスを有する電力ルーティングモジュールであって、スイッチングマトリックスが、電力ルーティングモジュールと複数のソーラーセルとの間で接続された複数の電流経路の間で電力のルートを動的に定めるように構成されている、電力ルーティングモジュール。ソーラーセルのうちの少なくとも1つは、コーナー領域を形成することになる少なくとも1つの刈り込まれたコーナー部を有し、コーナー領域の中の基板のエリアは、ソーラーセルが基板に取り付けられるときに、露出したままであり、スイッチングマトリックスを有する電力ルーティングモジュールが、露出したままであるコーナー領域の中の基板のエリアにおいて基板に取り付けられる。
2. スイッチングマトリックスは、電力ルーティングモジュールと一又は複数のバイパスダイオードとの間で接続された複数の電流経路の間で電力のルートを動的に定めるように構成される。
3. スイッチングマトリックスは、電力ルーティングモジュールと一又は複数の電力又は埋め込み線との間で接続された複数の電流経路の間で電力のルートを動的に定めるように構成される。
4. スイッチングマトリックスは、制御信号に応じて電力のルートを動的に定めるように構成される。
5. 制御信号は、遠隔源からの無線制御信号である。
6. スイッチングマトリックスは、内部で、選択された入力経路における電力が選択された出力経路に接続される、空間分割回路スイッチである。
7. スイッチングマトリックスは、各々が、制御信号に従って、選択された入力経路を選択された出力経路に接続する、一又は複数の接続ブロックから成る。
8. スイッチングマトリックスは、固有に又はグループとしてアドレス指定される。
9. スイッチングマトリックス内の各接続ブロックは、固有にアドレス指定される。
10. 各接続ブロック内の選択された入力経路及び出力経路は、固有にアドレス指定される。
【0008】
ここで、図面を参照するが、各図面を通じて、類似の参照番号は対応する部品を表す。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図3】A及びBは、1つの実施例による、ソーラーセルパネルの改良型の構造を示す。
【
図4】A及びBは、1つの実施例による、ソーラーセルパネルの代替構造を示す。
【
図7】一実施例による、2次元(2D)格子状のアレイに配列されたセルを示す。
【
図8】コーナー領域内の基板の露出したエリアに、一又は複数のバイパスダイオードが追加された、アレイの一実施例を示す。
【
図9】バイパスダイオードがセルの背面に適用され、バイパスダイオード用の相互接続子又は接点が前面接点と背面接点との間のコーナー領域内に延在している、一実施例を示す。
【
図10】バイパスダイオード用の相互接続子又は接点が前面接点と背面接点の間のコーナー領域内に延在している、
図9の実施例の前面図を示す。
【
図11】2D格子状のアレイに配列され基板に適用された
図9及び
図10のセルであって、バイパスダイオードがセルの背面に適用され、バイパスダイオード用の接点がセルのコーナー領域内に延在している、セルを示す。
【
図12】一実施例による、アレイのセル間の上下方向の直列接続を示す。
【
図13】一実施例による、アレイのセル間の左右方向の直列接続を示す。
【
図14】基板が下にあり、電力ルーティングモジュールが上にあり、基板が可撓性シートの組立品である、一実施例の概略側面図である。
【
図15】基板が下にあり、電力ルーティングモジュールが上にあり、電力ルーティングモジュールが接着剤で可撓性シートに取り付けられている、一実施例の概略側面図である。
【
図16】アレイ内のソーラーセルのコーナー領域の上面図である。
【
図17】ソーラーセルの直列接続用の、電力ルーティングモジュールの構造を示す。
【
図18】アレイ内のソーラーセルに取り付けられた電力ルーティングモジュールの変形形態を示す。
【
図19】電力ルーティングモジュールによって決定される電流の方向に対応してレイアウトされたセルのアレイを示す。
【
図20】スイッチングマトリックスを含むように製造されている、電力ルーティングモジュールの一実施例を示す。
【
図21】基板が下にあり、スイッチングマトリックスを有する電力ルーティングモジュールが上にあり、電力ルーティングモジュールが接着剤で可撓性シートに取り付けられている、一実施例の概略側面図である。
【
図22】スイッチングマトリックスを操作するためにコーナー領域の中の導体に行われた修正を示す。
【
図23】電力ルーティングモジュールと共に使用されるスイッチングマトリックスの一実施例を示す。
【
図24】一実施例による、ソーラーセル、ソーラーセルパネル及び/又は人工衛星の製造方法を示す。
【
図25】一実施例による、ソーラーセルから成るソーラーセルパネルを有する、結果的に製造される人工衛星を示す。
【
図26】一実施例による、機能ブロック図の形態のソーラーセルパネルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の説明で、本願の一部である添付図面を参照する。これらの添付図面は、本開示が実施され得る具体的な実施例を例示する目的で示されている。他の実施例も利用可能であることと、本開示の範囲を逸脱することなく構造的な変更が加えられてよいことは、理解されるべきである。
【0011】
概要
例えば宇宙飛行用電力の用途に用いられる、ソーラーセルアレイの設計に関する新たな手法は、アレイ内のソーラーセル間の電気的接続に基づいている。
【0012】
これらの新たな手法は、ソーラーセルの構成要素及びアレイ内のソーラーセルの配列を配列し直すものである。ソーラーセルを接続して長い直線状のストリングにしてから基板上に組み立てる代わりに、ソーラーセルを、隣接するセルのコーナー領域が基板上で位置合わせされるようにして個別に基板に取り付け、それによって基板のあるエリアを露出させる。セル間の電気的接続は、基板上又は基板内でこれらのコーナー領域内に形成された、コーナー導体によってなされる。結果として、この手法は、個別のセルをベースにしたソーラーセルアレイの設計を提示している。
【0013】
こうして、ソーラーセルアレイの製造に際して、単一のレイダウンプロセスとレイアウトが用いられ得る。ソーラーセル間の電流は、基板内にはめ込まれた導体によって補助される。これらの電気的接続によって、そのソーラーセルアレイの具体的な特性、例えばその寸法、ステイアウト区域、及び回路の終端が規定される。この手法によって製造が簡素化され、自動化が可能になり、コストと搬送時間が削減される。
【0014】
図1及び
図2は、基板12、アレイ内に配列された複数のソーラーセル14、及びソーラーセル14間の電気コネクタ16を含む、ソーラーセルパネル10の従来型構造を示す。
図1にはハーフサイズのソーラーセル14が、
図2にはフルサイズのソーラーセル14が示されている。宇宙用ソーラーセル14は、円形のゲルマニウム(Ge)基板の出発材料から作られる。より高密度でソーラーセルパネル10に搭載するため、これらは後に、準長方形の形状に加工される。このウエハは、しばしば1つ又は2つのソーラーセル14にダイスカットされる。これらは、ここではハーフサイズ又はフルサイズのソーラーセル14として記載される。ソーラーセル14間を電気的に接続する電気コネクタ16は、ソーラーセル14間の長い平行な端部に沿って作られている。(セルとセルとの)これらの直列接続は、基板に取り付けられていない状態で完成される。なぜならば、ソーラーセル14が接続されてできるストリングは、任意の数のソーラーセル14の長さを持つように構築されるからである。ソーラーセル14のストリングは、完成した後に基板12に付けられ、取り付けられる。
【0015】
図2では、ストリングを他のストリングに電気的に接続するためか、又は配線を終端処理して回路とし、ソーラーセル14のアレイの電流をここで断ち切るために、配線18がソーラーセル14のストリングの終端に取り付けられている。ストリングとストリングの間の接続及び回路終端の接続は、通常、基板12上で行われ、通常、配線18を用いて行われる。しかし、あるソーラーセルパネル10では、導体がはめ込まれたプリント回路基板(PCB)タイプの機材が用いられる。
【0016】
接続されたソーラーセル14の隣接するストリング同士は、平行又は反平行に延びることができる。加えて、接続されたソーラーセル14のストリングは、整列されていても整列されていなくてもよい。ソーラーセル14のレイアウトに対して互いに競合する影響を与えるものは多い。その結果、ソーラーセル14が平行な領域又は反平行である領域、整列されている領域又は整列されていない領域が存在する。
【0017】
図3A~
図3Bは、一実施例による、ソーラーセルパネル10aの改良された構造を示し、
図3Bは、
図3Aの破線円内の詳細拡大図である。
図5から
図13では、ソーラーセルパネル10aの様々な構成要素が示され、より詳細に記載されている。
【0018】
ソーラーセルパネル10aは、上に1つ以上のコーナー導線20を有する、ソーラーセル14用の基板12を含む。一実施例では、基板12は、1つ以上のパターニングされた金属層を分離する1つ以上のKapton(登録商標)(ポリイミド)層からなる、多層基板12である。基板12は、従来型の組立品と同様の、大きな剛性の基板10aに装着されていてよい。代わりに、基板12は、装着用又は展開用の、より軽くより薄いフレーム又はパネル10aに装着されることができる。
【0019】
複数のソーラーセル14が、基板12に、アレイ22の2次元(2D)格子状に取り付けられている。この例では、アレイ22は、4段×24列に配列された、96個のソーラーセル14からなっているが、異なる実施形態では、任意の数のソーラーセル14が用いられ得ることが、認められている。
【0020】
ソーラーセル14のうちの少なくとも1つは、破線円によって示されるように、コーナー領域26を画定する少なくとも1つの刈り込まれたコーナー部24を有する。ソーラーセル14は、隣接するソーラーセル14のコーナー領域26同士が位置合わせされるようにして、基板12に取り付けられており、それによって基板12のエリア28が露出している。基板12の露出しているエリア28は、1つ以上のコーナー導体20を含み、ソーラーセル14の刈り込まれたコーナー部24によってできたコーナー領域26内で、ソーラーセル14とコーナー導体20との間の1つ以上の電気的接続がなされている。
【0021】
この例では、コーナー導体20は、ソーラーセル14が基板12に取り付けられる前及び/又は後に、基板12に取り付けられたか、基板12上にプリントされたか、基板12内に埋設されたか、基板12上に堆積した導電経路であって、隣接するソーラーセル14間の接続を促進する。ソーラーセル14とコーナー導体20との間の接続は、ソーラーセル14が基板12に取り付けられた後に行われる。
【0022】
1つの実施例では、4つの隣接するソーラーセル14が基板12上で位置合わせされ、各ソーラーセル14から1つずつの計4つの刈り込まれたコーナー部24がコーナー領域26で集まって一緒になっている。次に、ソーラーセル14は基板12に個別に取り付けられる。このときソーラーセル14はコーナー導体20の上に置かれ、ソーラーセル14とコーナー導体20との間で電気的接続が行われる。
【0023】
ソーラーセル14は、CIC(セル、相互接続子、カバーグラス)ユニットとして基板12に付けられ得る。代わりに、未被覆のソーラーセル14を基板12上で組み立て、その後にソーラーセル14に相互接続子を付け、続いて単セルのソーラーセル14用カバーガラス、マルチセルのソーラーセル14用カバーガラス、マルチセルのソーラーセル14用ポリマーカバーシート、又はスプレー式封止材を付けることもできる。この組立品は、ソーラーセル14を、性能を制限するような損傷から保護する。
【0024】
図4A及び
図4Bは、一実施例による、ソーラーセルパネル10aの代替的な構造を示しており、
図4Bは、
図4Aの破線円内の詳細拡大図である。この例では、ごく少数のコーナー導体20のみが、基板12上にプリントされているか、又は基板12に組み込まれている。代わりに、
図14~
図23に関連して以下でより詳細に記載されているように、コーナー導体20のほとんどが、基板12に取り付けられている電力ルーティングモジュール(PRM)30内に含まれていてもよい。
【0025】
図5は、
図3A及び
図3B、並びに
図4A及び
図4Bの改良型ソーラーセルパネル10aで用いられ得る、例示のソーラーセル14の前面を示す。CICユニットであるソーラーセル14は、ハーフサイズのソーラーセル14である。(フルサイズのソーラーセル14もまた用いられ得る。)
【0026】
破線円で示されるように、ソーラーセル14は、コーナー領域26を画定する少なくとも1つの刈り込まれたコーナー部を有するように製造されており、それによって、刈り込まれたコーナー部24によってできたコーナー領域26には、ソーラーセル14との電気的接続をなす少なくとも1つの接点32、34が含まれる。
図5に示す例では、ソーラーセル14は2つの刈り込まれたコーナー部24を有し、そのそれぞれが、ソーラーセル14の前面にある前面接点32と、ソーラーセル14の背面にある背面接点34とを有し、接点32及び接点34はコーナー領域26内に延在している。(フルサイズのソーラーセル14は4つの刈り込まれたコーナー部24を有し、そのそれぞれが、1つの前面接点32及び1つの背面接点34を有する。)
【0027】
刈り込まれたコーナー部24があることによって、ソーラーセル14の出発材料として円形のウエハを利用することが多くなる。従来型のパネル10では、ソーラーセル14が基板12に取り付けられた後、これらの刈り込まれたコーナー部24は、結果的にパネル10上の未使用スペースになってしまう。しかし、本開示で記載するこの新たな手法では、この未使用スペースが利用される。具体的には、コーナー導体20、前面接点32及び背面接点34を備える金属ホイル相互接続子が、コーナー領域26に移動される。これに対して、既存のCICはソーラーセル14の前面に取り付けられた相互接続子を有しており、ストリングの作製中に背面(接続が起こるところ)に接続される。
【0028】
ソーラーセル14によって生成された電流は、どちらの前面接点32にも接続された、細型の金属フィンガー38とより広い金属バスバー40の格子36によって、ソーラーセル14の前面上で集電される。格子36に金属を追加してソーラーセル14に入る光を減らしソーラーセル14の出力を減らすことと、金属が増えることで抵抗が減少することとは、バランスの関係にある。バスバー40は低抵抗導体であり、大電流を搬送すると共に、前面接点32が切断された場合には冗長性も提供する。一般的に、最適化のためには前面接点32間に直接延びる短いバスバー40が必要とされる。刈り込まれたコーナー部24内に前面接点32を有することによって、バスバー40をソーラーセル14の外周から離す結果となる。これが達成される一方、同時に、バスバー40の長さが最小化され、光遮蔽が最小化される。さらに、これによってフィンガー38も短くなる。これによって、格子36内の寄生抵抗が減少する。なぜならば、フィンガー38の長さが短くなり、搬送される電流の総量が減少するからである。これによって、細型のフィンガー38をより短くするために、前面接点32と接続相手のバスバー40を移動する、という設計上の好みが生まれる。
【0029】
図6は、
図5の例示的ソーラーセルの背面を示す。ソーラーセル14の背面は、どちらの背面接点34にも接続している、背面層42を有する。
【0030】
図7は、一実施例による、アレイ22の2D格子状に配列されたソーラーセル14を示す。アレイ22は、隣接するソーラーセル14のコーナー領域26同士が位置合わせされるようにして基板12に取り付けられている、複数のソーラーセル14を備えており、それによって基板12のエリア28が露出している。ソーラーセル14間の電気的接続(図示せず)は、ソーラーセル14の前面接点32及び背面接点34、並びに、基板12の露出したエリア28上又はエリア28内に形成されたコーナー導体20(図示せず)を用いて、基板12の露出したエリア28内で、なされている。
【0031】
組み立て中、ソーラーセル14は、基板12に個別に取り付けられる。この組み立ては、剛性と可撓性のどちらでもあり得る支持面、即ち基板12上で、直接行われることができる。代わりに、ソーラーセル14は、仮の支持面上で2D格子状のアレイ22に組み立てられ、その後に最終的な支持面、即ち基板12へと移送されてもよい。
【0032】
図8は、基板12のコーナー領域26内の露出したエリア28に、1つ以上の電気的接続で用いるための1つ以上のバイパスダイオード44が追加された、アレイ22の一実施例を示す。バイパスダイオード44は、ソーラーセル14が電流を生成できなくなった場合にソーラーセル14を保護する。ソーラーセル14が電流を生成できなくなった場合とは、部分的に影になったせいでもあり得るが、その場合には、ソーラーセル14に逆バイアスがかかる。一実施例では、バイパスダイオード44は、ソーラーセル14から独立して、基板12のコーナー領域26に取り付けられている。
【0033】
図9は、バイパスダイオード44がソーラーセル14の背面に付けられ、バイパスダイオード44用の相互接続子又は接点46が、背面42に接続され、また前面接点32と背面接点34の間のコーナー領域26内に延在している、一実施例を示す。
【0034】
図10は、バイパスダイオード44(図示せず)用の相互接続子又は接点46が前面接点32と背面接点34の間のコーナー領域26内に延在している、
図9の実施例の前面図を示す。
【0035】
図11は、バイパスダイオード44(図示せず)がソーラーセル14の背面に付けられ、バイパスダイオード44用の接点46がソーラーセル14のコーナー領域26内に延在している、2D格子状のアレイ22に配列され基板12に付けられた、
図9及び
図10のソーラーセル14を示す。
【0036】
この手法の1つの利点は、
図7、
図8、及び
図11で示されるレイアウトが、普遍化されたレイアウトであることである。具体的には、これらのレイアウトは、パネル10aの顧客が所望する任意の寸法にわたって、反復することができる。これによって、組み立て、改修、試験、及び検査の各工程が非常に簡素化される。
【0037】
ソーラーセル14とバイパスダイオード44の配置に続いて、カスタマイズが行われる別のステップが存在する。ソーラーセル14のコーナー領域26内で、前面接点32と背面接点34とが、接続されなければならない。電流を所望の経路でルーティングするために、これは多数の組合せで行うことができる。
【0038】
ソーラーセル14を基板12に取り付けた後、ソーラーセル14とコーナー導体20との間で接続が行われる。ソーラーセル14の前面接点32及び背面設定34は、コーナー導体20に取り付けるため、各コーナー領域26にある。各ソーラーセル14の前面接点32及び背面接点34用の相互接続子は、電流をソーラーセル14の外部にルーティングする導電経路20、32、34を設けるため、コーナー導体20に溶接、はんだづけ、又は他のやり方で接合されることができる。
【0039】
コーナー導体20を用いて、電気的接続において任意のカスタマイズを行うことができる。隣接するソーラーセル14は、具体的な設計の要望に従って、電流を上下方向、又は左右方向に電流を流すように電気的に接続されることができる。必要に応じて、電流がステイアウト区域を迂回するようにルーティングすることもできる。ソーラーセルアレイ22の長さや幅は、所望に応じて設定することができる。また、アレイ22の幅は、長さに応じて変化することもできる。
【0040】
一実施例では、電気的接続は、複数のソーラーセル14を通る電流の流量を決定する、直列接続である。これは、
図12及び
図13に示す接続スキームによって達成され得る。
図12は、アレイ22のソーラーセル14間の上下方向の直列接続48を示しており、
図13は、アレイ22のソーラーセル14間の左右方向の直列接続50を示している。
図12及び
図13のどちらにおいても、これらの直列接続48、50は、ソーラーセル14の前面接点32及び背面接点34とバイパスダイオード44との間の電気的接続であり、これらの直列接続は、基板12の露出したエリア28上又はエリア28内に形成されたコーナー導体20を用いてなされている。基板に取り付けられていない状態の大きなストリングの組立品とは異なり、矢印52で示される、ソーラーセル14を通じた電流(電力)量は、これらの直列接続48、50によって左右される。
【0041】
ソーラーセル14間のコーナー導体20は、様々な形態であることができる。コーナー導体20は、はんだ付け、溶接、導電性接着剤、又は他の処理であり得る方法で両端になされた電気的接続を有する、電線を用いて完成することができる。電線に加えて、相互接続子と同様の金属ホイルコネクタもまた適用され得る。金属導体経路又はトレース(図示せず)もまた、基板12に組み込まれていることができる。
【0042】
要約すると、この新たな手法は、2個、3個、又は4個の隣接するソーラーセル14のコーナー領域26同士が、基板12上で位置合わせされるようにして、ソーラーセル14を個別に基板12に取り付けるものである。ソーラーセル14は、刈り込まれたコーナー部24同士が位置合わせされてコーナー領域26同士が隣接し、それによって基板12のエリア28が露出するようにして、レイアウトすることができる。ソーラーセル14間の電気的接続は、これらのコーナー領域26内で、ソーラーセル14の前面接点32と背面接点32と、基板12の露出したエリア28上又はエリア28内のバイパスダイオード44と、コーナー導体20との間でなされる。これらの導電経路は、回路を含む直列接続48、50でソーラーセル14のストリングを作製するのに用いられる。
【0043】
電力ルーティングモジュール
コーナー領域26内のソーラーセル14間の電気的接続を用いることで自動化が促進されるが、その一方で、顧客が必要とするカスタマイズを可能にする様々な構成を達成し得る、様々なコーナー導体20に対する需要も依然として存在する。しかし、このためには、コーナー領域26内に多数のコーナー導体20が必要とされ得るので、その結果コーナー導体20が密集して配置され、静電気放電(ESD)の懸念が生じてしまう。
【0044】
一方、ソーラーセル14のアレイからの発電量を最大化するためには、コーナー領域26を可能な限り小さくすることが望ましい。組み立て中の労働コスト及び部品コストを削減するためには、ソーラーセル14を大きくすることが望ましい。しかし、本書で記載する設計はこの評価を変えるものであり、ソーラーセル14を小さくする結果として生じるコスト面の不利益は、ほとんどない。ソーラーセル14がより小さいと、ウエハ上の面積を埋めるのに有利であり、同時にパネル10aを埋めるのにも有利である。ソーラーセル14がより小さいことは、資材と労力をよりよく利用することにつながる。しかし、ソーラーセル14がより小さいことは、刈り込まれたコーナー部24とコーナー領域26がより小さいことにもまたつながり、これによって接続方針に問題が生じる。
【0045】
本開示には、コーナー領域26で用いられるコーナー導体20をカスタマイズする、PRM30が記載されている。このPRM30は、コーナー領域26内で基板12に取り付けられる。全てのコーナー導体20を基板12上に形成するのではなく、むしろコーナー導体20のほとんどは、PRM30内に内包されている。アレイ22の所望の接続レイアウトを作り出すため、異なる導体20のレイアウト(例えば2D又は3D)を有する、異なるバージョンのPRM30が選択され得る。
【0046】
図14は、一実施例による、基板12が下にあり、PRM30が上にあり、基板12が可撓性シートの組立品である、概略側面図である。基板12は、上に銅(Cu)層56a、下にCu層56bを有するポリイミドベース層54を含み、Cu層56a及び56bは、多層導体を形成している。Cu層56aはコーナー導体20としてパターニングされており、Cu層56bは、パターニングされて、例えばV+線、V-線及び埋め込み線(bridging line)を含む、基板12内の埋設導体を形成している。基板12に、電荷の集積を低減するという点で宇宙環境で有用な、導電性のポリイミド製バックシート58を付けることができる。
【0047】
右側に示されているのは、接着剤60で基板12に取り付けられている、ソーラーセル14である。ソーラーセル14及びコーナー導体20に取り付けられた、金属ホイルの相互接続子62もまた見ることができる。
【0048】
基板12は、多層導体56a、56bのうちの少なくとも1つを、多層導体56a、56bのうちの少なくとももう1つから分離する、絶縁層もまた含む。一実施例では、頂部のポリイミドオーバーレイ層64aと、底部のポリイミドオーバーレイ層64bとが存在する。ポリイミドは、空気や真空よりも強い高度の破壊強度を有しており、ポリイミドオーバーレイ層64a、64bは、宇宙環境における重大事項であるESDを防止するのに有用である。
【0049】
PRM30は、アレイ22内のソーラーセル14間を電気的に相互接続するため、基板12の上側に位置している。PRM30は、ポリイミドベース層66を含む絶縁層と、上に堆積した単層のCu層68を含む導電層からなる。1つ以上のコーナー導体20を含むCu層68は、ソーラーセル14間を電気的に相互接続するのに用いられ、ポリイミドベース層66は、Cu層68のコーナー導体20を電気的に絶縁するのに用いられる。
【0050】
PRMのベース層66は、ポリイミドであるとして示されているが、他の適切なポリマーや、ガラス又はアルミナといったセラミックスを含む、使用環境にとって適切な、多岐にわたる絶縁体から選択することができる。ガラス又は他の透明な絶縁体の利点は、レーザ溶接処理と共に用いられ得ることである。レーザ溶接処理においては、レーザビームが絶縁体を通って伝送され、レーザビームのエネルギーは、PRM30上の導電トレース68によって吸収される。
【0051】
PRM30の頂面(太陽に面する面)は、ポリイミドに接合されたAlホイルといった、反射性の高い被覆を有していることができる。これによって、太陽エネルギーが反射し、ソーラーアレイ22の加熱が低減され、ソーラーセル14の動作温度が低下し、その結果、電力生成が増加することになるだろう。
【0052】
PRM30は、ソーラーセル14を逆バイアスから保護するためのバイパスダイオード44を含んでいてよく、バイパスダイオード44は、相互接続子62によってPRM30の1つ以上のコーナー導体20に接続されていてよい。PRM30は、PRM30を基板12に取り付けるための接着剤70と、PRM30コーナー導体20のうちの1つ以上を基板12のコーナー導体20のうちの1つ以上に接続するための、例えばCu層66をCu層56aに接続するためなどの、電気的接合部72もまた含んでいてよい。
【0053】
図15は、PRM30が接着剤70を用いて基板12に取り付けられた、
図14の実施例の概略側面図である。PRM30は、ソーラーセル14が基板12に装着されるとき、基板12のコーナー領域26内の露出したままのエリア28内で、基板12に取り付けられている。この実施例では、PRM30の1つ以上のコーナー導体20と、基板12の1つ以上のコーナー導体20とに(例えばCu層56aと66とに)挟み込まれた電気的接合部72によって、電気的接続が形成されている。電気的接合部72は、層68をCu層56aに直接接続する、はんだで、又は上記のレーザ溶接処理を介して、若しくは超音波溶接処理を介して、実現することができるだろう。
【0054】
図16は、前面接点32及び背面接点34を含み、PRM30が取り付けられていない、アレイ22内のソーラーセル14のコーナー領域26の上面図を示す。この図には、少数のコーナー導体20のみを示す。基板12のコーナー領域26内の露出したままのエリア28は、PRM30と、基板12内の導電経路、例えばV+線若しくはV-線、埋め込み線、又は、基板12内(例えば、Cu層56b内)に埋設された若しくははめ込まれた他の導電経路との間の接点を提供する、電動パッド74もまた含む。これは、用途やRPM30にかかわらず、全てのコーナー領域26用の共通の設計である。
【0055】
図17は、PRM30が、ソーラーセル14間を直列接続48することによってソーラーセル14を電気的に相互接続している、一実施例を示す。
図17が、ポリイミドベース層64(図示せず)を通してみた、太陽の視点からの構造を示していることは、留意するべきである(
図18も同様)。コーナー導体20aは上段左のソーラーセル14(図示せず)の背面接点34に接続し、コーナー導体20bは下段左のソーラーセル14(図示せず)の前面接点32に接続し、コーナー導体20cは、バイパスダイオード44aを通じて下段左のソーラーセル14(図示せず)の背面接点34に接続している。コーナー導体20dは下段右のソーラーセル14(図示せず)の背面接点34に接続し、コーナー導体20eは上段右のソーラーセル14(図示せず)の前面接点32に接続し、コーナー導体20fは、バイパスダイオード44bを通じて上段右のソーラーセル14(図示せず)の背面接点34に接続している。
【0056】
微小な変更によって、PRM30が回転し、ソーラーセル14間の接続の機能性を変化させ得ることは、留意されるべきである。例えば、
図17のPRM30は、回転して左右方向の直列接続50にすることができるだろう。
【0057】
図18は、PRM30が、基板12内で、1つ以上の電力線でソーラーセル14を電気的に相互接続している、別の実施例を示す。この実施例では、コーナー導体20aは、埋設されたV+線(図示せず)用パッド74で上段左のソーラーセル14(図示せず)の背面接点34を終端処理し、コーナー導体20bは、埋設されたV-(共通)線(図示せず)用パッド74で下段左のソーラーセル14(図示せず)の前面接点32を終端処理し、コーナー導体20cは、バイパスダイオード44aを通じて下段左のソーラーセル14(図示せず)の背面接点34に接続している。コーナー導体20a、20bはどちらも、V+線及びV- 線用パッド74に二重冗長接続されているが、接続の数は所望により増減することができる。
図17と同様に、コーナー導体20dは下段右のソーラーセル14(図示せず)の背面接点34に接続し、コーナー導体20eは上段右のソーラーセル14(図示せず)の前面接点32に接続し、コーナー導体20fは、バイパスダイオード44bを通じて上段右のソーラーセル14(図示せず)の背面接点34に接続している。
【0058】
PRM30の他の構成、及び基板12へのその接続は、先ほど相互参照された、2016年9月14日、Eric Rehderにより出願された米国特許出願第xx/xxx、xxx号、発明の名称「POWER ROUTING MODULE FOR A SOLAR ARRAY」(代理人整理番号16-0440-US-NP(G&C 147.217-US-U1))、及び2016年9月14日、Eric Rehderにより出願された米国仮特許出願第62/394,649号、発明の名称「POWER ROUTING MODULE FOR A SOLAR ARRAY」(代理人整理番号 16-0440-US-PSP (G&C 147.217-US-P1))に見られる。
【0059】
図19は、セル1(14)からセル32(14)としてラベル付けされた4段×8列のソーラーセル14からなる、アレイ22のレイアウトを示しており、ソーラーセル14のナンバリングは、ソーラーセル14の列内でソーラーセル14を電気的に相互接続しているPRM30によって決定される、電流の方向に対応している。さらに、第1段の第3/第4列、第5/第6列、及び第7/第8列用のPRM30は、第2段の第1/第2列、及び第5/第6列用のPRM30と協同し、ソーラーセル14間の回路を終端処理する。第4段又は最下段のPRM30は、列間の電流をブリッジする。
【0060】
また、PRM30を使用したアレイ22の他のレイアウトが、先ほど相互参照された、2016年9月14日、Eric Rehderにより出願された米国特許出願第xx/xxx、xxx号、発明の名称「POWER ROUTING MODULE FOR A SOLAR ARRAY」(代理人整理番号16-0440-US-NP(G&C 147.217-US-U1))、及び2016年9月14日、Eric Rehderにより出願された米国仮特許出願第62/394,649号、発明の名称「POWER ROUTING MODULE FOR A SOLAR ARRAY」(代理人整理番号16-0440-US-PSP(G&C 147.217-US-P1))にも見られる。
【0061】
スイッチングマトリックスを有する電力ルーティングモジュール
基板12上に固定されたコーナー導体20を有するソーラーセルアレイ22を製造することができるが、上述のような静的PRM30の実施態様は、著しい可撓性及び設計及び製造の容易さを提供する。異なるコーナー導体20の間に固定された接続を有する、上記の静的PRM30を使用する代わりに、本開示は、スイッチングマトリックスを有するPRM30がどのようにこれらの接続を行うことができるかについて記載する。PRM30にスイッチングマトリックスを配置することによって、スイッチングマトリックスに対する空間量を最大にすることができる。
【0062】
特に、本開示は、異なる電流経路に対して異なる導体20のレイアウトを動的に選択するためのスイッチングマトリックスを有するPRM30について記載する。スイッチングマトリックスを有するPRM30の使用により、ソーラーセルアレイ22における不具合が克服される。
【0063】
現在、電力低下を招く恐れのある不具合に関して多大な懸念があるため、宇宙ベースのソーラーセルアレイ22は、必要以上の電力を生産するように設計されている。宇宙での動作中に、ソーラーセルアレイ22は、太陽放射及び他の要因に曝され、劣化又は損傷のため、一又は複数のソーラーセル14を損失することになりかねない。
【0064】
動作中、特に軌道上では、ソーラーセルアレイ22の信頼性は、上記の静的PRM30を使用する際に問題がある。例えば、1つのソーラーセル14の不具合により、50のソーラーセル14を含み得る全回路の電力が奪われる可能性があるだろう。よって、回路は、不具合乗数(failure multiplier)のように作用し、単一のソーラーセル14の不具合が、多くのソーラーセル14の不具合のように見える。別の例では、分散次第で、10の不具合のあるソーラーセル14は、500のソーラーセル14を含む10の回路を除外することができるだろう。従来の製造により、これら10のソーラーセル14が生じ、別の490の不具合のないソーラーセル14の電力生産を妨げる。本開示は、そのような電力を回復させることに基づく。
【0065】
現在、セル14の不具合又は劣化のため電力を制御する、又は電力のルートを定める及び/又は電力のルートを再び定める方法は存在しない。その代わりに、そのような不具合又は劣化の観点から、十分な電力をビークル又は機器に確実に提供できるように、ソーラーセルアレイ22内に冗長性が構築される。しかしながら、これは、動作を確実にするために、ソーラーセルアレイ22の広範な過大設計の原因となり、その際、ソーラーセルアレイ22は、損失の可能性を説明するために追加のソーラーセル14と共に構築される。
【0066】
本明細書で提案された解決策は、ソーラーセルアレイ22を過大設計する必要性を排除する。PRM30にスイッチングマトリックスを含むことにより、動作中に、接続を変更することができる。ソーラーセル14は、不具合の場合、単に飛ばされ、回路の中の他のすべてのソーラーセル14をペナルティなく用いることができる。これは、ソーラーセル14を危険に曝す環境において特に、電力生産の信頼性を大いに改善する。
【0067】
1つの実施例では、ソーラーセルアレイ22で電力のルートをスイッチ可能に定めるための方法及びシステムは、PRM30と複数のソーラーセル14との間で接続した複数の経路を有するアドレス指定可能なスイッチングマトリックスを有し、アドレス可能なスイッチングマトリックスは、制御信号に応じて、電流(電力)の流れのルートを定めるように構成される。スイッチングマトリックスによって行われる接続は、ソーラーセルアレイ22の動作中に変更されるだろう。各セルとセルとの接続の直列、ステイアウト、終端構成は、必要に応じて変更されるだろう。オプションで、制御信号は、遠隔源からの無線制御信号であってもよく、パネル10aにおける外側配線の必要性を排除する。
【0068】
スイッチングマトリックスは、電子スイッチ又は機械リレーで実施することができるが、機械リレーは、扱いにくく、電子スイッチより電力消費が高い傾向にある。どちらの例でも、スイッチングマトリックスは、ビークルの電力システムによって、又は代替的には、パネル10aにおけるソーラーセル14から直接的に、電力供給することができる。重要な基準は、複数の入力経路及び出力経路に接続する能力、非常に低い電力消費、及び宇宙環境で機能する能力である。
【0069】
図20は、アレイ22の中の複数のソーラーセル14を電気的に相互接続するための、スイッチングマトリックス76を有するPRM30の例を示しており、スイッチングマトリックス76は、実線で示されるように、パッド74、一又は複数のバイパスダイオード44、バッド74を介した一又は複数の電力又は埋め込み線を介して、PRM30と複数のソーラーセル14との間で接続された複数の電流経路の間で電力のルートを動的に定めるように構成される。制御信号は、複数の導体を含み得る、スイッチングマトリックス76のパッド78に供給される。
【0070】
1つの例では、スイッチングマトリックス76は、その内部で、選択された入力経路における電力が、選択された出力経路に接続される、空間分割回路スイッチを備える、電子スイッチングマトリックス76である。しかしながら、スイッチングマトリックス76は、電気機械的な電子手段によって実施されてもよい。
【0071】
スイッチングマトリックス76は、N×Nのクロスポイントを含むクロスバースイッチから成り、この場合、Nは入力経路の数と出力経路の数である。ゲートである各クロスポイントでの制御信号によって、選択された入力経路は、選択された出力経路に接続される。
【0072】
スイッチングマトリックス76は、クロスポイントの数、よってスイッチ76の複雑さも低減する、多段スイッチから成り得る。再び、各段階における制御信号によって、選択された入力経路は、選択された出力経路に接続される。
【0073】
図21は、スイッチングマトリックス76を含むPRM30を示す、
図15の実施例に類似する概略側面図である。この例では、スイッチングマトリックス76は、ポリイミド層66の最上部に取り付けられ、PRM30のコーナー導体20のうちの一又は複数に電気的に接続される。
【0074】
スイッチングマトリックス76を有するPRM30は、ソーラーセル14が基板12に取り付けられるときに露出したままであるコーナー領域26の基板12のエリア28で基板12に取り付けられる。
図22に示されるように、先ほどの図と比較すると、コーナー領域26の中の導体20に対するわずかな修正がある。例えば、パッド78は、スイッチングマトリックス76を操作する一又は複数の制御信号及び一又は複数の導体に使用される。また、V+線及びV-線接続のためのパッド80は、わずかに再配置される。
【0075】
図23は、スイッチングマトリックス76内の単一の接続ブロック82を示し、接続ブロック82は、選択された左側の入力経路を選択された右側の出力経路に接続する。
【0076】
スイッチングマトリックス76は、各々が、制御信号に従って、選択された入力経路を選択された出力経路に接続する、一又は複数の接続ブロック82から成ってもよい。各接続ブロック82における制御信号によって、選択された入力経路は、選択された出力経路に接続される。
【0077】
この例では、単一の接続ブロック82について、接続1がラベル付されており、右側の16の出力経路に接続可能である、左側の16の入力経路がある。経路が各々ラベル付されており、即ち、セル1前面(32)、セル1背面(34)、セル2前面(32)、セル2背面(34)、セル3前面(32)、セル3背面(34)、セル4前面(32)、セル4背面(34)、ダイオード1N(n-面)(44)、ダイオード1P(p-面)(44)、ダイオード2N(n-面)(44)、ダイオード2P(p-面)(44)、V+1、V+2、V-、及び未使用である。これらの割り当ては、
図20の接続されたパッド74に対応する。接続1としてラベル付された接続ブロック82において、入力経路セル1背面接点34は、出力経路セル2前面接点32に接続されるが、これは、ソーラーセル14の間の電流の流れにとって標準的直列構成である。
【0078】
下の表は、基板12のコーナー領域26で位置合わせされた4つのソーラーセル14の間の電流の流れに対する標準的直列構成のPRM30のスイッチングマトリックス76を使用して行われた6つの接続について記載する。
【0079】
別の例では、下の表は、ソーラーセル14の幾つかが基板12内(例えば、層56bなど)に埋設されたV+線及びV-線で終端した状態である、コーナー領域26で位置合わせされた4つのソーラーセル14の間の電流の流れに対する標準的直列構成のPRM30のスイッチングマトリックス76を使用して行われた8つの接続について記載する。
【0080】
1つの例では、静的コーナー導体20、静的PRM30、及びPRM30のスイッチングマトリックス76との組み合わせは、ソーラーセルアレイ22で使用されてもよく、スイッチングマトリックス76を有するPRM30は、幾つかの方法では、ソーラーセルアレイ22全域に分散される。別の例では、スイッチングマトリックス76を有するPRM30だけが、ソーラーセルアレイ22で使用されてもよい。
図20が電流のルート決めを完全に制御するスイッチングマトリックス76を示しているのに対して、多くの状況では、より少ない構成のより小さく単純なスイッチ76を実施することで十分だろう。
【0081】
ソーラーセルアレイ22は、複数のスイッチングマトリックス76を有することができるだろう。複数のスイッチングマトリックス76を制御するために、各スイッチングマトリックス76は、スイッチング構成を識別するための識別子及び命令を必要とするだろう。複数のスイッチングマトリックス76は、同一のスイッチ構成を有し、一緒にスイッチングを行うことができ、よって識別子を共有することができる。どちらの場合でも、スイッチングマトリックス76、スイッチングマトリックス76を有する各接続ブロック82、並びに各接続ブロック82内の選択された入力経路及び出力経路を固有にアドレス指定することが必要である。
【0082】
1つの例では、16ビットのアドレスが、スイッチングマトリックス76を有するPRM30を固有にアドレス指定するために使用される。16ビットのアドレスは、署名のない表示において、0から65,535の整数値で、65,536の個別のアドレスを識別することができる。
【0083】
1つの例では、16ビットの値はまた、スイッチングマトリックス76において、16の可能な入力経路及び16の可能な出力経路があるときに、スイッチングマトリックス76の接続パッド78内の入力及び出力経路の選択を固有にアドレス指定するためにも使用される。先ほどの表に記載されたように、8つの接続ブロックが使用されるとき、入力および出力経路の選択全てをアドレス指定するために、合計で128ビット(16×8)が必要とされる。
【0084】
1つの例では、スイッチングマトリックス76はまた、電力と戻り値のための2つの追加線とを必要とする。個別の線としてアドレス指定される場合、スイッチングマトリックス76は、16+128+2の線又は146の線を必要とするだろう。(代替的には、電力は、ソーラーアレイ22から直接引き出すこともできるだろう。)
【0085】
明らかに、146の線を並列にすることは煩わしいだろう。しかしながら、これらの線は、電流又は電力をほとんど運ぶことはなく、よって、非常に狭くすることができる。フレックス回路の分解能は、2ミルの範囲内であり、これは、間に144の空間を有する各々が2ミル幅である144の線が、パッド78上全てでおよそ1/2インチになることを意味している。これは、実現不可能ではないが、厄介である。
【0086】
情報は、ビットの直列パターンで(in a serial pattern of bits)送信されることが好ましいだろう。シフトレジスタのような装置を使用して、データ線及びクロックで、シリアルデータが伝達される。したがって、144のデータ線は、2つの線まで低下させることができ、レイアウトを簡略化し、信頼度を高めることになるだろう。
【0087】
代替的アドレス指定の可能性は、人工衛星それ自体又は人工衛星を介した地上局などの遠隔源から一斉送信された無線電磁又は光制御信号を使用することである。これは、複雑さを更に低減することになるだろう。
【0088】
製造
本開示の各実施例は、
図24に示すステップ86~98を含む、ソーラーセル14、ソーラーセルパネル10a、及び/又は人工衛星の製造方法84に関連して記載されていてよく、結果として製造される、ソーラーセル14からなるソーラーセルパネル10aを有する人工衛星100は、
図25に示される。
【0089】
図23に示すように、製造前段階では、例示の方法84は、ソーラーセル14、ソーラーセルパネル10a及び/又は人工衛星100の仕様及び設計86、並びにこれらの材料の調達88を含んでいてよい。製造段階では、ソーラーセル14、ソーラーセルパネル10a、及び/又は人工衛星100の構成要素及びサブアセンブリの製造90、並びにシステムインテグレーション92が行われる。これらは、ソーラーセル14、ソーラーセルパネル10a、及び/又は人工衛星100の製造を含んでいる。その後、ソーラーセル14、ソーラーセルパネル10a、及び/又は人工衛星100は、運航96に供されるために認可及び納品94を経てよい。ソーラーセル14、ソーラーセルパネル10a、及び/又は人工衛星100は、打ち上げ前に、(改造、再構成、改修などを含む)整備及び保守98が予定されてもよい。
【0090】
方法84の各工程は、システムインテグレータ、第三者、及び/又はオペレータ(例えば顧客)によって実行され、又は実施され得る。本明細書の目的に関しては、システムインテグレータは、限定しないが、ソーラーセル、ソーラーセルパネル、人工衛星又は宇宙船の、任意の数の製造業者及び主要システムの下請業者を含んでいてよく、第三者は、限定しないが、任意の数のベンダー、下請業者及びサプライヤーを含んでいてよく、またオペレータは、衛星通信会社、軍事団体、サービス機関などであってよい。
【0091】
図25に示すように、例示の方法84によって製造される人工衛星100は、システム102、本体104、ソーラーセル14からなるソーラーセルパネル10a、及び1つ以上のアンテナ106を含んでいてよい。人工衛星100に含まれるシステム102の例は、限定しないが、推進システム108、電気システム110、通信システム112、及び電力システム114のうちの1つ以上を含む。任意の数の他のシステム102もまた、含まれてよい。
【0092】
図26は、一実施例によるソーラーセルパネル10aを、機能ブロック図の形態で示す。ソーラーセルパネル10aは、基板12に個別に取り付けられた1つ以上のソーラーセル14からなる、ソーラーセルアレイ22からなる。各ソーラーセル14は、光源118からの光116を吸収し、それに応答して電気出力120を生成する。
【0093】
少なくとも1つのソーラーセル14は、コーナー領域26を画定する少なくとも1つの刈り込まれたコーナー部24を有し、それによって、基板12のエリア28は、ソーラーセル14が基板12に取り付けられたときにも露出したままである。複数のソーラーセル14が基板12に取り付けられているときには、隣接するソーラーセル14のコーナー領域26同士が位置合わせされており、それによって基板12のエリア28が露出している。
【0094】
基板12の露出したままのエリア28は、基板12に取り付けられたか、基板12上にプリントされたか、基板12に組み込まれたかしている1つ以上のコーナー導体20を含んでおり、ソーラーセル14とコーナー導体20との間の1つ以上の電気的接続が、コーナー領域26内でなされている。コーナー領域26は、1つ以上のバイパスダイオード44もまた含んでいてよい。
【0095】
コーナー領域26は、少なくとも1つの接点、例えばソーラーセル14の前面上の前面接点32、及び/又はソーラーセル14の背面上の背面接点34を含む。
【0096】
ソーラーセル14とコーナー導体20との間で電気的接続をなすため、相互接続子62が用いられる。
【0097】
スイッチングマトリックス76を有する電力ルーティングモジュール30は、アレイ22の中の電気的に相互接続しているソーラーセル14の異なる電流経路の異なる導体レイアウトを動的に選択するために、基板12の露出したエリア28に取り付けられる。
【0098】
さらに、本開示は以下の条項による実施例を含む。
条項1. アレイの中の複数のソーラーセルを電気的に相互接続するための、スイッチングマトリックスを有する電力ルーティングモジュールを備え、スイッチングマトリックスが、電力ルーティングモジュールと複数のソーラーセルとの間で接続された複数の電流経路の間で電力のルートを動的に定めるように構成され、ソーラーセルのうちの少なくとも1つが、コーナー領域を形成することになる少なくとも1つの刈り込まれたコーナー部を有し、コーナー領域の中の基板のエリアは、ソーラーセルが基板に取り付けられるとき、露出したままであり、スイッチングマトリックスを有する電力ルーティングモジュールが、露出したままであるコーナー領域の中の基板のエリアにおいて基板に取り付けられる、ソーラーセルアレイのための装置。
条項2. スイッチングマトリックスが、電力ルーティングモジュールと一又は複数のバイパスダイオードとの間で接続された複数の電流経路の間で電力のルートを動的に定めるように構成される、条項1に記載の装置。
条項3. スイッチングマトリックスが、電力ルーティングモジュールと一又は複数のV+線、V-線又は埋め込み線との間で接続された複数の電流経路の間で電力のルートを動的に定めるように構成される、条項1又は2に記載の装置。
条項4. スイッチングマトリックスが、一又は複数の制御信号に応じて電力のルートを動的に定めるように構成される、条項1から3の何れか一項に記載の装置。
条項5. 制御信号が、遠隔源からの無線制御信号である、条項4に記載の装置。
条項6. スイッチングマトリックスは、内部で、選択された入力経路における電流が選択された出力経路に接続される、空間分割回路スイッチである、条項1から5の何れか一項に記載の装置。
条項7. スイッチングマトリックスは、各々が、制御信号に従って、選択された入力経路を選択された出力経路に接続する、一又は複数の接続ブロックから成る、条項6に記載の装置。
条項8. スイッチングマトリックスが、固有にアドレス指定される、条項1から7の何れか一項に記載の装置。
条項9. スイッチングマトリックス(76)内の各接続ブロックが、固有にアドレス指定される、条項8に記載の装置。
条項10. 各接続ブロック内の選択された入力経路及び出力経路が、固有にアドレス指定される、条項9に記載の装置。
条項11. アレイの中の複数のソーラーセルを電気的に相互接続するための、スイッチングマトリックスを有する電力ルーティングモジュールを製造することを含み、スイッチングマトリックスが、電力ルーティングモジュールと複数のソーラーセルとの間で接続された複数の電流経路の間で電力のルートを動的に定めるように構成され、ソーラーセルのうちの少なくとも1つが、コーナー領域を形成することになる少なくとも1つの刈り込まれたコーナー部を有し、コーナー領域の中の基板のエリアは、ソーラーセルが基板に取り付けられるとき、露出したままであり、スイッチングマトリックスを有する電力ルーティングモジュールが、露出したままであるコーナー領域の中の基板のエリアにおいて基板に取り付けられる、方法。
条項12. スイッチングマトリックスが、電力ルーティングモジュールと一又は複数のバイパスダイオードとの間で接続された複数の電流経路の間で電力のルートを動的に定めるように構成される、条項11に記載の方法。
条項13. スイッチングマトリックスが、電力ルーティングモジュールと一又は複数の電力又は埋め込み線との間で接続された複数の電流経路の間で電力のルートを動的に定めるように構成される、条項11又は12に記載の方法。
条項14. スイッチングマトリックスが、制御信号に応じて電力のルートを動的に定めるように構成される、条項11から13の何れか一項に記載の方法。
条項15. 制御信号が、遠隔源からの無線制御信号である、条項14に記載の方法。
条項16. スイッチングマトリックスは、内部で、選択された入力経路における電力が選択された出力経路に接続される、空間分割回路スイッチである、条項11から15の何れか一項に記載の方法。
条項17. スイッチングマトリックスは、各々が、制御信号に従って、選択された入力経路を選択された出力経路に接続する、一又は複数の接続ブロックから成る、条項16に記載の方法。
条項18. スイッチングマトリックスが、固有にアドレス指定される、条項11から17の何れか一項に記載の方法。
条項19. スイッチングマトリックス内の各接続ブロックが、固有にアドレス指定される、条項18に記載の方法。
条項20. 各接続ブロック内の選択された入力経路及び出力経路が、固有にアドレス指定される、条項19に記載の方法。
条項21. アレイの中の複数のソーラーセルを電気的に相互接続するための、スイッチングマトリックスを有する少なくとも1つの電力ルーティングモジュールから成るソーラーセルアレイを備え、スイッチングマトリックスが、電力ルーティングモジュールと複数のソーラーセルとの間で接続された複数の電流経路の間で電力のルートを動的に定めるように構成され、ソーラーセルのうちの少なくとも1つが、コーナー領域を形成することになる少なくとも1つの刈り込まれたコーナー部を有し、コーナー領域の中の基板のエリアは、ソーラーセルが基板に取り付けられるとき、露出したままであり、スイッチングマトリックスを有する電力ルーティングモジュールが、露出したままであるコーナー領域の中の基板のエリアにおいて基板に取り付けられる、ソーラーセルパネル。
条項22. スイッチングマトリックスが、電力ルーティングモジュールと一又は複数のバイパスダイオードとの間で接続された複数の電流経路の間で電力のルートを動的に定めるように構成される、条項21に記載のソーラーセルパネル。
条項23. スイッチングマトリックスが、電力ルーティングモジュールと一又は複数の電力又は埋め込み線との間で接続された複数の電流経路の間で電力のルートを動的に定めるように構成される、条項21又は22に記載のソーラーセルパネル。
条項24. スイッチングマトリックスが、制御信号に応じて電力のルートを動的に定めるように構成される、条項21から23の何れか一項に記載のソーラーセルパネル。
条項25. 制御信号が、遠隔源からの無線制御信号である、条項24に記載のソーラーセルパネル。
条項26. スイッチングマトリックスは、内部で、選択された入力経路における電力が選択された出力経路に接続される、空間分割回路スイッチである、条項21から25の何れか一項に記載のソーラーセルパネル。
条項27. スイッチングマトリックスは、各々が、制御信号に従って、選択された入力経路を選択された出力経路に接続する、一又は複数の接続ブロックから成る、条項26に記載のソーラーセルパネル
条項28. スイッチングマトリックスが、固有にアドレス指定される、条項21から27の何れか一項に記載のソーラーセルパネル。
条項29. スイッチングマトリックス内の各接続ブロックが、固有にアドレス指定される、条項28に記載のソーラーセルパネル。
条項30. 各接続ブロック内の選択された入力経路及び出力経路が、固有にアドレス指定される、条項29に記載のソーラーセルパネル。
【0099】
上記の実施例の説明は、例示及び説明を目的として提示されており、網羅的であることや、開示の実施例に限定することは意図していない。上記の具体的な要素の代わりに、多数の代替形態、修正形態及び変形形態が用いられてよい。
【手続補正書】
【提出日】2022-10-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書または図面に記載の全発明。
【外国語明細書】