IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ CKD株式会社の特許一覧

特開2022-188140錠剤充填装置、PTP包装機、及び、PTPシートの製造方法
<>
  • 特開-錠剤充填装置、PTP包装機、及び、PTPシートの製造方法 図1
  • 特開-錠剤充填装置、PTP包装機、及び、PTPシートの製造方法 図2
  • 特開-錠剤充填装置、PTP包装機、及び、PTPシートの製造方法 図3
  • 特開-錠剤充填装置、PTP包装機、及び、PTPシートの製造方法 図4
  • 特開-錠剤充填装置、PTP包装機、及び、PTPシートの製造方法 図5
  • 特開-錠剤充填装置、PTP包装機、及び、PTPシートの製造方法 図6
  • 特開-錠剤充填装置、PTP包装機、及び、PTPシートの製造方法 図7
  • 特開-錠剤充填装置、PTP包装機、及び、PTPシートの製造方法 図8
  • 特開-錠剤充填装置、PTP包装機、及び、PTPシートの製造方法 図9
  • 特開-錠剤充填装置、PTP包装機、及び、PTPシートの製造方法 図10
  • 特開-錠剤充填装置、PTP包装機、及び、PTPシートの製造方法 図11
  • 特開-錠剤充填装置、PTP包装機、及び、PTPシートの製造方法 図12
  • 特開-錠剤充填装置、PTP包装機、及び、PTPシートの製造方法 図13
  • 特開-錠剤充填装置、PTP包装機、及び、PTPシートの製造方法 図14
  • 特開-錠剤充填装置、PTP包装機、及び、PTPシートの製造方法 図15
  • 特開-錠剤充填装置、PTP包装機、及び、PTPシートの製造方法 図16
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022188140
(43)【公開日】2022-12-20
(54)【発明の名称】錠剤充填装置、PTP包装機、及び、PTPシートの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B65B 9/04 20060101AFI20221213BHJP
   A61J 3/00 20060101ALI20221213BHJP
   A61J 3/06 20060101ALI20221213BHJP
【FI】
B65B9/04
A61J3/00 310F
A61J3/06 Q
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022153627
(22)【出願日】2022-09-27
(62)【分割の表示】P 2018115964の分割
【原出願日】2018-06-19
(71)【出願人】
【識別番号】000106760
【氏名又は名称】CKD株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111095
【弁理士】
【氏名又は名称】川口 光男
(72)【発明者】
【氏名】野田 尚彦
(72)【発明者】
【氏名】大山 剛
(72)【発明者】
【氏名】坂井田 憲彦
(57)【要約】
【課題】両面に印刷が施される錠剤の外観品質の低下抑制を図ることのできる錠剤充填装置、PTP包装機及びPTPシートの製造方法を提供することにある。
【解決手段】錠剤充填装置21は、供給シュート46から供給される錠剤5を吸着保持して搬送する第1ロータリドラム47と、該第1ロータリドラム47により搬送される錠剤5の一方面に印刷を施す第1印刷装置50と、前記第1ロータリドラム47より受け渡され、前記一方面に印刷が施された錠剤5を吸着保持して搬送する第2ロータリドラム48と、該第2ロータリドラム48により搬送される錠剤5の他方面に印刷を施す第2印刷装置51と、前記第2ロータリドラム48より受け渡され、両面に印刷が施された錠剤5を、前記第2印刷装置51により後に印刷された他方面が上側となるように錠剤5を反転して容器フィルム3のポケット部2へ充填する第3ロータリドラム49とを備えている。
【選択図】 図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送される容器フィルムのポケット部へ錠剤を充填するための錠剤充填装置であって、
所定の供給手段から供給される錠剤を所定の吸着部にて吸着保持して搬送可能な第1搬送手段と、
前記第1搬送手段により搬送される錠剤の一方面に印刷を施す第1印刷手段と、
前記第1搬送手段より受け渡され、前記一方面に印刷が施された錠剤を所定の吸着部にて吸着保持して搬送可能な第2搬送手段と、
前記第2搬送手段により搬送される錠剤の他方面に印刷を施す第2印刷手段と、
前記第2搬送手段より受け渡され、両面に印刷が施された錠剤を、前記第2印刷手段により後に印刷された他方面が上側となるように錠剤を反転して前記ポケット部へ充填可能な錠剤反転手段とを備えたことを特徴とする錠剤充填装置。
【請求項2】
少なくとも前記第2搬送手段の吸着部を乾燥させるための第2搬送手段用の乾燥手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の錠剤充填装置。
【請求項3】
前記錠剤反転手段は、
前記第2搬送手段より受け渡される錠剤を所定の吸着部にて吸着保持して搬送可能な錠剤反転用の搬送手段を有し、
少なくとも前記錠剤反転用の搬送手段に吸着保持された錠剤の前記一方面を乾燥させるための錠剤用の乾燥手段を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の錠剤充填装置。
【請求項4】
前記吸着部に錠剤を吸着した際、少なくとも前記錠剤の吸着面側の印刷部と前記吸着部とが非接触状態となるよう構成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の錠剤充填装置。
【請求項5】
前記供給手段は、
錠剤を所定の吸着部にて吸着保持して搬送し前記第1搬送手段へ受け渡す供給用の搬送手段を備え、
前記供給用の搬送手段により搬送される錠剤の前記他方面を撮像可能な第1撮像手段と、
前記第1印刷手段よりも上流側にて、前記第1搬送手段により搬送される錠剤の前記一方面を撮像可能な第2撮像手段と、
前記第1撮像手段及び前記第2撮像手段により取得された画像データに基づき、前記第1印刷手段及び前記第2印刷手段を制御可能な印刷制御手段とを備えたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の錠剤充填装置。
【請求項6】
前記搬送手段は、前記吸着部を有し、自身の回転に伴って錠剤を搬送する回転体であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の錠剤充填装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載の錠剤充填装置を備えたことを特徴とするPTP包装機。
【請求項8】
容器フィルムに形成されたポケット部に錠剤が収容されると共に、該ポケット部を塞ぐように前記容器フィルムに対しカバーフィルムが取着されてなるPTPシートを製造するためのPTPシートの製造方法であって、
帯状に搬送される前記容器フィルムに対し前記ポケット部を形成するポケット部形成工程と、
前記ポケット部に錠剤を充填する充填工程と、
前記ポケット部に錠剤が充填された前記容器フィルムに対し、前記ポケット部を塞ぐようにして帯状の前記カバーフィルムを取着する取着工程と、
前記容器フィルムに前記カバーフィルムが取着された帯状のPTPフィルムからPTPシートを切離す切離工程とを備え、
前記充填工程において、
錠剤を吸着搬送しつつ、該錠剤の一方面に印刷を施す第1工程と、
前記一方面に印刷が施された錠剤を吸着搬送しつつ、該錠剤の他方面に印刷を施す第2工程と、
前記両面に印刷が施された錠剤を、前記第2工程にて後に印刷された他方面が上側となるように錠剤を反転して前記ポケット部へ充填する第3工程とを備えたことを特徴とするPTPシートの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、錠剤の両面に印刷を施す錠剤充填装置、及び、これを備えたPTP包装機、並びに、PTPシートの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に医薬品等の分野において用いられるブリスターパックシートとしてPTP(プレススルーパック)シートが知られている。
【0003】
PTPシートは、錠剤が収容されるポケット部が形成された容器フィルムと、その容器フィルムに対しポケット部の開口側を密封するように取着されるカバーフィルムとから構成されている。
【0004】
かかるPTPシートは、帯状に搬送される容器フィルムに対しポケット部を形成する工程、該ポケット部に錠剤を充填する工程、該ポケット部の開口側を密封するように容器フィルムに対しカバーフィルムを取着する工程、容器フィルム及びカバーフィルムからなる帯状のPTPフィルムをPTPシート単位に打ち抜く工程等を経て製造される。
【0005】
近年では、インクジェット方式の印刷装置を用いて文字や記号などの識別情報を印刷した錠剤なども見受けられる(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
しかしながら、特許文献1のような錠剤印刷装置を用いて事前に印刷を行った錠剤を多数、PTP包装機のホッパ(錠剤貯留部)へ投入し、ここから順次、容器フィルムのポケット部に充填してPTPシートを製造していくような場合には、例えばホッパ内や供給シュート内など、錠剤がポケット部に充填されるまでの間に、錠剤の印刷面が擦れたり欠けたりして印刷が不明瞭になるおそれがある。特に口腔内崩壊錠のような脆い錠剤の場合には、このような不具合がより顕著となるおそれがある。
【0007】
これに対し、錠剤に印刷する機能を有したPTP包装機なども見受けられる(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2017-164488号公報
【特許文献2】米国特許出願公開第2008/0152756号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献2のように、回転ドラムによって、容器フィルムのポケット部へ錠剤を順次搬送し充填していく過程において、該錠剤に対し印刷が行われた場合、該錠剤の印刷したばかりの印刷面が、インクの乾く間もなく直ちにポケット部と当接することとなるため、錠剤の印刷面がポケット部と擦れて印刷が不明瞭になるおそれがある。
【0010】
近年、PTPシートの製造分野などにおいては、生産速度の高速化に伴い、錠剤の搬送速度(充填速度)の高速化が求められている。例えば1秒当たり100個以上の錠剤を包装することが求められる場合もある。このような場合、上記不具合がより顕著となるおそれがある。
【0011】
また、特許文献2では、錠剤がポケット部に充填された状態で、上を向いた該錠剤の他方面に対しても印刷をおこなっている。しかし、ポケット部の中では錠剤の姿勢も位置も安定せず、印刷精度が低下するおそれがある。
【0012】
尚、片面印刷の錠剤であれば、常に印刷面が上側となるようにポケット部へ錠剤を充填することは可能となるが、完成した製品であるPTPシートにおいて、印刷面が常に裏側(カバーフィルム側)を向いてしまい、ポケット部の表側(容器フィルム側)から錠剤の印刷面に印刷された情報を見ることができなくなり、利便性に欠ける。
【0013】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、両面に印刷が施される錠剤の外観品質の低下抑制を図ることのできる錠剤充填装置、PTP包装機及びPTPシートの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
以下、上記課題を解決するのに適した各手段につき項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果を付記する。
【0015】
手段1.搬送される容器フィルムのポケット部へ錠剤を充填するための錠剤充填装置であって、
所定の供給手段から供給される錠剤を所定の吸着部にて吸着保持して搬送可能な第1搬送手段と、
前記第1搬送手段により搬送される錠剤の一方面に印刷を施す第1印刷手段と、
前記第1搬送手段より受け渡され、前記一方面に印刷が施された錠剤を所定の吸着部にて吸着保持して搬送可能な第2搬送手段と、
前記第2搬送手段により搬送される錠剤の他方面に印刷を施す第2印刷手段と、
前記第2搬送手段より受け渡され、両面に印刷が施された錠剤を、前記第2印刷手段により後に印刷された他方面が上側となるように錠剤を反転して前記ポケット部へ充填可能な錠剤反転手段とを備えたことを特徴とする錠剤充填装置。
【0016】
上記手段1によれば、両面に印刷が施された錠剤を容器フィルムのポケット部へ充填するにあたり、第2印刷手段によって後に印刷された他方面が上側となるように錠剤を反転してポケット部へ充填するので、充填された際にポケット部と接する面が、他方面よりも先に印刷されかつインクがより乾いた一方面となり、錠剤の印刷面がポケット部と擦れることにより生じ得る不具合が軽減される。
【0017】
また、両面とも、錠剤を吸着保持した状態、すなわち錠剤の姿勢や位置が安定した状態で印刷が行われるため、より適切な位置に印刷を行うことができる。
【0018】
結果として、印刷に擦れや欠けが無く、両面のより適切な位置に印刷が施された錠剤を容器フィルムのポケット部へ充填することができ、両面に印刷が施される錠剤の外観品質の低下抑制を図ることができる。
【0019】
手段2.少なくとも前記第2搬送手段の吸着部を乾燥させるための第2搬送手段用の乾燥手段を備えたことを特徴とする手段1に記載の錠剤充填装置。
【0020】
第2搬送手段の吸着部には、第1印刷手段によって印刷が施された錠剤の一方面が吸着するため、該一方面の印刷(インク)が転写されるおそれがある。ひいては、該第2搬送手段の吸着部に転写された印刷が、次に吸着搬送する別の錠剤に再転写されるおそれがある。
【0021】
これに対し、上記手段2によれば、第2搬送手段の吸着部(そこに転写されたインク)を乾燥する乾燥手段を備えることにより、上記不具合の発生を抑制することができる。
【0022】
手段3.前記錠剤反転手段は、
前記第2搬送手段より受け渡される錠剤を所定の吸着部にて吸着保持して搬送可能な錠剤反転用の搬送手段を有し、
少なくとも前記錠剤反転用の搬送手段に吸着保持された錠剤の前記一方面を乾燥させるための錠剤用の乾燥手段を備えたことを特徴とする手段1又は2に記載の錠剤充填装置。
【0023】
上記手段3によれば、第1印刷手段によって先に印刷された錠剤の一方面を乾燥するための乾燥手段を備えることにより、上記手段1の作用効果をより高めることができる。
【0024】
手段4.前記吸着部に錠剤を吸着した際、少なくとも前記錠剤の吸着面側の印刷部(文字や記号などの識別情報が印刷された部位)と前記吸着部とが非接触状態となるよう構成されていることを特徴とする手段1乃至3のいずれかに記載の錠剤充填装置。
【0025】
上記手段4によれば、吸着部に錠剤を吸着した際、錠剤の吸着面(一方面又は他方面)側の印刷部が吸着部と擦れて印刷が不明瞭になるといった不具合の発生を抑制することができる。
【0026】
尚、前記吸着部に錠剤を吸着した際、該吸着部と該錠剤との間に、該吸着部の内部と外部とを通気可能とする通気手段が形成されるよう構成されていることとしてもよい。
【0027】
この場合、吸着部に錠剤を吸着した際、該吸着部と該錠剤との間に、外部から空気が流れ込む通気孔等の通気手段が形成されることで、錠剤の吸着面(一方面又は他方面)側の印刷部が乾燥しやすくなる。結果として、上記手段1等の作用効果をより高めることができる。
【0028】
例えば、吸着部及び錠剤の少なくとも一方に溝部や切欠き部などを形成しておくことにより、吸着部に錠剤を吸着した際に、この溝部や切欠き部などが通気孔等を形成するような構成してもよい。
【0029】
手段5.前記供給手段は、
錠剤を所定の吸着部にて吸着保持して搬送し前記第1搬送手段へ受け渡す供給用の搬送手段を備え、
前記供給用の搬送手段により搬送される錠剤の前記他方面を撮像可能な第1撮像手段と、
前記第1印刷手段よりも上流側にて、前記第1搬送手段により搬送される錠剤の前記一方面を撮像可能な第2撮像手段と、
前記第1撮像手段及び前記第2撮像手段により取得された画像データに基づき、前記第1印刷手段及び前記第2印刷手段を制御可能な印刷制御手段とを備えたことを特徴とする手段1乃至4のいずれかに記載の錠剤充填装置。
【0030】
上記手段5によれば、少なくとも第1印刷手段による印刷処理を行う前段階において、第1撮像手段及び第2撮像手段から取得した画像データを基に事前に印刷対象となる錠剤の表裏や向きなどを把握することができる。
【0031】
結果として、例えば表側にのみ割線を有した錠剤など、表裏や向きが存在する錠剤に対して、第1印刷手段及び第2印刷手段において、例えば表裏の印刷の向きを合わせるなど、適切な印刷処理を実行することができる。
【0032】
手段6.前記搬送手段は、前記吸着部を有し、自身の回転に伴って錠剤を搬送する回転体(例えばロータリドラムや搬送ベルトなど)であることを特徴とする手段1乃至5のいずれかに記載の錠剤充填装置。
【0033】
上記手段6によれば、搬送手段を回転体とすることで、錠剤の充填速度の高速化を図ると共に、装置のコンパクト化を図ることができる。
【0034】
手段7.上記手段1乃至6のいずれかに記載の錠剤充填装置を備えたことを特徴とするPTP包装機。
【0035】
上記手段7のように、上記手段1等に係る錠剤充填装置をPTP包装機に備えることで、両面に印刷が施される錠剤を、外観品質を低下させることなく容器フィルムのポケット部に対し安定供給できると共に、錠剤の充填速度の高速化を図ることができる。
【0036】
結果として、PTPシートの生産性の向上等を図ることができる。また、印刷不良の錠剤を含んだPTPシートの発生を抑え、不良品として排除されるPTPシートを減らすことができる。
【0037】
一般に、PTP包装機は、帯状に搬送される容器フィルムに対しポケット部を形成するポケット部形成手段と、前記ポケット部に対し錠剤を充填する充填手段としての錠剤充填装置と、前記ポケット部に前記錠剤が収容された前記容器フィルムに対し、前記ポケット部を塞ぐようにして帯状のカバーフィルムを取着する取着手段と、前記容器フィルムに前記カバーフィルムが取着された帯状のPTPフィルムからPTPシートを切離す切離手段(シート単位に打抜く打抜手段を含む)とを備える。
【0038】
手段8.容器フィルムに形成されたポケット部に錠剤が収容されると共に、該ポケット部を塞ぐように前記容器フィルムに対しカバーフィルムが取着されてなるPTPシートを製造するためのPTPシートの製造方法であって、
帯状に搬送される前記容器フィルムに対し前記ポケット部を形成するポケット部形成工程と、
前記ポケット部に錠剤を充填する充填工程と、
前記ポケット部に錠剤が充填された前記容器フィルムに対し、前記ポケット部を塞ぐようにして帯状の前記カバーフィルムを取着する取着工程と、
前記容器フィルムに前記カバーフィルムが取着された帯状のPTPフィルムからPTPシートを切離す切離工程(シート単位に打抜く打抜工程を含む)とを備え、
前記充填工程において、
錠剤を吸着搬送しつつ、該錠剤の一方面に印刷を施す第1工程と、
前記一方面に印刷が施された錠剤を吸着搬送しつつ、該錠剤の他方面に印刷を施す第2工程と、
前記両面に印刷が施された錠剤を、前記第2工程にて後に印刷された他方面が上側となるように錠剤を反転して前記ポケット部へ充填する第3工程とを備えたことを特徴とするPTPシートの製造方法。
【0039】
上記手段8によれば、上記手段7と同様の作用効果が奏される。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】PTPシートを示す斜視図である。
図2】PTPシートの部分拡大断面図である。
図3】PTPフィルムを示す斜視図である。
図4】(a)は錠剤の一方面を示す平面図であり、(b)は錠剤の他方面を示す平面図である。
図5】PTP包装機の概略構成を示す模式図である。
図6】錠剤充填装置の概略構成を示す部分断面模式図である。
図7】ロータリドラム及び固定バルブを示す一部破断斜視図である。
図8】ロータリドラム及び固定バルブを示す一部破断斜視図である。
図9】吸着部を示すロータリドラムの部分拡大断面図である。
図10】錠剤充填工程の手順を示すフローチャートである。
図11】別の実施形態における錠剤充填装置の概略構成を示す部分断面模式図である。
図12】別の実施形態における錠剤充填工程の手順を示すフローチャートである。
図13】(a)は、別の実施形態における錠剤の表面を示す平面図であり、(b)は、その錠剤の裏面を示す平面図である。
図14】別の実施形態における吸着部を示すロータリドラムの部分拡大平面図である。
図15】別の実施形態における吸着部を示すロータリドラムの部分拡大断面図である。
図16】(a)は、別の実施形態における錠剤を示す平面図であり、(b)は、その錠剤の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
〔第1実施形態〕
以下に、一実施形態について図面を参照しつつ説明する。まずPTPシートの構成について詳しく説明する。
【0042】
図1,2に示すように、PTPシート1は、複数のポケット部2を備えた容器フィルム3と、ポケット部2を塞ぐようにして容器フィルム3に取着されたカバーフィルム4とを有している。
【0043】
本実施形態における容器フィルム3は、例えばPP(ポリプロピレン)やPVC(ポリ塩化ビニル)等の透明の熱可塑性樹脂材料により形成され、透光性を有している。一方、カバーフィルム4は、例えばポリプロピレン樹脂等からなるシーラントが表面に設けられた不透明材料(例えばアルミニウム箔等)により構成されている。勿論、各フィルム3,4の材料は、これらに限定されるものではなく、他の材質のものを採用してもよい。
【0044】
PTPシート1は、平面視略矩形状に形成されている。PTPシート1には、その長手方向に沿って配列された5個のポケット部2からなるポケット列が、その短手方向に2列形成されている。つまり、計10個のポケット部2が形成されている。各ポケット部2には、錠剤5が1つずつ収容されている。
【0045】
図2,4に示すように、本実施形態に係る錠剤5は、平面視円形状をなす円盤状の素錠であって、側面5Aと、該側面5Aを挟む平坦面5B,5Cとを有した構成となっている。
【0046】
尚、本実施形態に係る錠剤5に表裏の違いはなく、ここでは便宜上、PTPシート1に収容された状態(図2参照)において、ポケット部2の底壁部(天壁部)と相対向する側の錠剤5の平坦面5Bを「一方面5B」と称し、カバーフィルム4と相対向する側の錠剤5の平坦面5Cを「他方面5C」と称する。
【0047】
また、錠剤5には、側面5Aと一方面5Bとの境界部を面取りするようにテーパ部5Dが形成され、側面5Aと他方面5Cの境界部を面取りするようにテーパ部5Eが形成されている。
【0048】
図4(a),(b)に示すように、錠剤5の一方面5B及び他方面5Cには、それぞれ錠剤5に関する製品情報が印刷(印字)されている。図4(a),(b)に示す例では、「製品名」として「ABC」の文字が印刷され、「含量」として「20」の数字が印刷されている。これら「ABC」の文字や「20」の数字が印刷された部位が本実施形態の印刷部に相当する。
【0049】
本実施形態では、一方面5B及び他方面5Cの両面において同一の内容が印刷されているが、これに限らず、一方面5B及び他方面5Cにおいて異なる内容が印刷される構成としてもよい。
【0050】
PTPシート1(図1参照)は、帯状の容器フィルム3及び帯状のカバーフィルム4から形成された帯状のPTPフィルム6(図3参照)がシート状に打抜かれることにより製造される。
【0051】
次に、上記PTPシート1を製造するPTP包装機10の概略構成について図5を参照して説明する。
【0052】
図5に示すように、PTP包装機10の最上流側では、帯状の容器フィルム3の原反がロール状に巻回されている。ロール状に巻回された容器フィルム3の引出し端側は、ガイドロール13に案内されている。容器フィルム3は、ガイドロール13の下流側において間欠送りロール14に掛装されている。間欠送りロール14は、間欠的に回転するモータに連結されており、容器フィルム3を間欠的に搬送する。
【0053】
ガイドロール13と間欠送りロール14との間には、容器フィルム3の搬送経路に沿って、加熱装置15及びポケット部形成装置16が順に配設されている。そして、加熱装置15によって容器フィルム3が加熱されて該容器フィルム3が比較的柔軟になった状態において、ポケット部形成装置16によって容器フィルム3の所定位置に複数のポケット部2が成形される(ポケット部形成工程)。加熱装置15及びポケット部形成装置16によって、本実施形態におけるポケット部形成手段が構成される。ポケット部2の形成は、間欠送りロール14による容器フィルム3の搬送動作間のインターバルの際に行われる。
【0054】
間欠送りロール14から送り出された容器フィルム3は、テンションロール18、ガイドロール19及びフィルム受けロール20の順に掛装されている。フィルム受けロール20は、一定回転するモータに連結されているため、容器フィルム3を連続的に且つ一定速度で搬送する。テンションロール18は、容器フィルム3を弾性力によって緊張する側へ引っ張った状態とされており、前記間欠送りロール14とフィルム受けロール20との搬送動作の相違による容器フィルム3の撓みを防止して容器フィルム3を常時緊張状態に保持する。
【0055】
ガイドロール19とフィルム受けロール20との間には、容器フィルム3の搬送経路に沿って、錠剤充填装置21及び検査装置22が順に配設されている。
【0056】
錠剤充填装置21は、ポケット部2に錠剤5を充填する充填手段としての機能を有する。錠剤充填装置21は、フィルム受けロール20による容器フィルム3の搬送動作と同期して錠剤5を吸着搬送し、各ポケット部2に錠剤5を自動的に充填する(充填工程)。錠剤充填装置21の詳細については後述する。
【0057】
検査装置22は、例えば錠剤5が各ポケット部2に確実に充填されているか否かや、錠剤5の異常の有無、ポケット部2への異物混入の有無など、主として錠剤不良に関する検査を行うためのものである。
【0058】
一方、帯状に形成されたカバーフィルム4の原反は、最上流側においてロール状に巻回されている。
【0059】
ロール状に巻回されたカバーフィルム4の引出し端は、ガイドロール24によって加熱ロール25の方へと案内されている。加熱ロール25は、前記フィルム受けロール20に圧接可能となっており、両ロール20,25間に容器フィルム3及びカバーフィルム4が送り込まれるようになっている。
【0060】
そして、容器フィルム3及びカバーフィルム4が、両ロール20,25間を加熱圧接状態で通過することで、容器フィルム3にカバーフィルム4が貼着され、ポケット部2がカバーフィルム4で塞がれる(取着工程)。これにより、錠剤5が各ポケット部2に収容された帯状のPTPフィルム6が製造されるようになっている。加熱ロール25の表面には、シール用の網目状の微細な凸条が形成されており、これが強く圧接することで、強固なシールが実現されるようになっている。フィルム受けロール20及び加熱ロール25により本実施形態における取着手段が構成される。
【0061】
フィルム受けロール20から送り出されたPTPフィルム6は、テンションロール27及び間欠送りロール28の順に掛装されている。間欠送りロール28は、間欠的に回転するモータに連結されているため、PTPフィルム6を間欠的に搬送する。テンションロール27は、PTPフィルム6を弾性力によって緊張する側へ引っ張った状態とされており、前記フィルム受けロール20と間欠送りロール28との搬送動作の相違によるPTPフィルム6の撓みを防止してPTPフィルム6を常時緊張状態に保持する。
【0062】
間欠送りロール28から送り出されたPTPフィルム6は、テンションロール31及び間欠送りロール32の順に掛装されている。間欠送りロール32は、間欠的に回転するモータに連結されているため、PTPフィルム6を間欠的に搬送する。テンションロール31は、PTPフィルム6を弾性力によって緊張する側へ引っ張った状態とされており、前記間欠送りロール28,32間でのPTPフィルム6の撓みを防止する。
【0063】
間欠送りロール28とテンションロール31との間には、PTPフィルム6の搬送経路に沿って、スリット形成装置33及び刻印装置34が順に配設されている。スリット形成装置33は、PTPフィルム6の所定位置に切離用スリットを形成する機能を有する。また、刻印装置34はPTPフィルム6の所定位置(例えばタグ部)に刻印を付す機能を有する。
【0064】
間欠送りロール32から送り出されたPTPフィルム6は、その下流側においてテンションロール35及び連続送りロール36の順に掛装されている。間欠送りロール32とテンションロール35との間には、PTPフィルム6の搬送経路に沿って、シート打抜装置37が配設されている。シート打抜装置37は、PTPフィルム6をPTPシート1単位にその外縁を打抜くシート打抜手段(切離手段)としての機能を有する。
【0065】
シート打抜装置37によって打抜かれたPTPシート1は、コンベア39によって搬送され、完成品用ホッパ40に一旦貯留される(切離工程)。但し、上記検査装置22によって不良品と判定されたPTPシート1は、完成品用ホッパ40へ送られることなく、図示しない排出手段としての不良シート排出機構によって別途排出される。
【0066】
前記連続送りロール36の下流側には、裁断装置41が配設されている。そして、シート打抜装置37による打抜き後に帯状に残った残材部(スクラップ部)を構成する不要フィルム部42は、前記テンションロール35及び連続送りロール36に案内された後、裁断装置41に導かれる。なお、前記連続送りロール36は従動ロールが圧接されており、前記不要フィルム部42を挟持しながら搬送動作を行う。裁断装置41では、不要フィルム部42を所定寸法に裁断しスクラップ処理する機能を有する。このスクラップはスクラップ用ホッパ43に貯留された後、別途廃棄処理される。
【0067】
なお、上記各ロール14,20,28,31,32などは、そのロール表面とポケット部2とが対向する位置関係となっているが、間欠送りロール14等の表面には、ポケット部2が収容される凹部が形成されているため、ポケット部2が潰れてしまうことがない。また、ポケット部2が間欠送りロール14等の各凹部に収容されながら送り動作が行われることで、間欠送り動作や連続送り動作が確実に行われる。
【0068】
また、図示は省略するが、PTP包装機10の下流側には、集積装置、移送装置、包装装置等が順に設置されている。そして、上記完成品用ホッパ40に収容されたバラのPTPシート1は、例えば2枚一組の抱き合せ状態とされた上で、集積装置において複数組ずつ積上げられる。積上げられた複数のPTPシート1からなる集積体は、移送装置によってバンド結束されつつ包装装置へと移送され、包装装置においてピロー包装等される。
【0069】
PTP包装機10の概略は以上のとおりであるが、以下において、上記錠剤充填装置21の構成について図面を参照して詳しく説明する。図6は錠剤充填装置21の概略構成を示す部分断面模式図である。
【0070】
図6に示すように、錠剤充填装置21は、錠剤5の供給経路に沿って上流側より順に、貯留部45、供給シュート46、第1ロータリドラム47、第2ロータリドラム48及び第3ロータリドラム49を備えている。
【0071】
本実施形態においては、「貯留部45及び供給シュート46」が「供給手段」を構成し、「第1ロータリドラム47」が「第1搬送手段」を構成し、「第2ロータリドラム48」が「第2搬送手段」を構成し、「第3ロータリドラム49」が「錠剤反転手段(錠剤反転用の搬送手段)」を構成する。また、各「ロータリドラム47,48,49」によって本実施形態における「回転体」が構成される。
【0072】
さらに、錠剤充填装置21は、第1ロータリドラム47に対応して第1印刷装置50を備え、第2ロータリドラム48に対応して第2印刷装置51及びドラム乾燥装置52を備え、第3ロータリドラム49に対応して錠剤乾燥装置53を備えている。
【0073】
本実施形態においては、「第1印刷装置50」が「第1印刷手段」を構成し、「第2印刷装置51」が「第2印刷手段」を構成し、「ドラム乾燥装置52」が「第2搬送手段用の乾燥手段」を構成し、「錠剤乾燥装置53」が「錠剤用の乾燥手段」を構成する。
【0074】
尚、錠剤充填装置21の各機構部(貯留部45、供給シュート46、ロータリドラム47,48,49、印刷装置50,51、乾燥装置52,53)は、それぞれ図示しない制御装置により駆動制御される。
【0075】
尚、前記制御装置は、演算手段としてのCPUや、各種プログラムを記憶するROM、各種データを一時的に記憶するRAMなどを備え、CPUが所定のプログラムを実行することによって、錠剤充填装置21の各機構部に関する制御処理を実行する。
【0076】
以下、錠剤充填装置21の各機構部について詳しく説明する。貯留部45は、多数の錠剤5を貯留可能に構成されると共に、ここから供給シュート46へ錠剤5が順次供給されるよう構成されている。
【0077】
但し、貯留部45に貯留される錠剤5は、上記製品情報(製品名や含量など)が印刷される前のものである。
【0078】
供給シュート46は、水平搬送される容器フィルム3の幅方向(図6の紙面奥行方向)における各ポケット部2の位置に対応して、それぞれ設けられている。つまり、本実施形態では、容器フィルム3の幅方向に沿って5本(図3参照)の供給シュート46が並設されている。
【0079】
各供給シュート46は、筒状をなし、錠剤5を横姿勢で鉛直方向に一列に積載できるよう構成されている。また、各供給シュート46は、その下側開口部が第1ロータリドラム47に近接するように配置されている。
【0080】
より詳しくは、各供給シュート46の下側開口部は、第1ロータリドラム47の回転方向に対して、回転軸54の真上位置よりも若干上流側にずれた所定位置に近接配置されている。
【0081】
各供給シュート46の下側開口部の近傍には、該下側開口部を開閉可能なシャッタ46Aが設けられている。そして、シャッタ46Aが開閉動作を行うことにより、供給シュート46から錠剤5を1錠ずつ自然落下させ、第1ロータリドラム47へ供給することができる。
【0082】
尚、本実施形態では、上記制御装置によりシャッタ46Aの開閉動作が制御されるよう構成されている。勿論、これに限らず、シャッタ46Aの開閉動作が、第1ロータリドラム47の回転に伴い所定の動作を行うカム機構などによって制御される構成としてもよい。
【0083】
次に、第1ロータリドラム47、第2ロータリドラム48及び第3ロータリドラム49について説明する。尚、第1ロータリドラム47、第2ロータリドラム48及び第3ロータリドラム49は同一構成であるため、ここでは「ロータリドラム47,48,49」と総称して説明する。
【0084】
ロータリドラム47,48,49は、円筒形状をなし、回転可能に軸支されている。ロータリドラム47,48,49は、その回転軸54が容器フィルム3の幅方向に平行となるように配置されている。
【0085】
尚、回転軸54は、図示しないモータ等の駆動手段に対し直接又は間接に連結されており、該モータによって回転駆動される。そして、ロータリドラム47,48,49は、回転軸54の回転とともに一体回転する。
【0086】
図7,8に示すように、ロータリドラム47,48,49の外周面には、錠剤5を吸着保持するための吸着部55Aが多数形成されている。吸着部55Aは、ロータリドラム47,48,49の周方向及び軸方向に所定間隔で規則的に配列されている。
【0087】
具体的に、本実施形態では、容器フィルム3の幅方向における各ポケット部2の位置に対応して、ロータリドラム47,48,49の軸方向に等間隔で5つの吸着部55Aが設けられる。そして、この軸方向に並ぶ5つの吸着部55Aからなる列(以下、「吸着部55A列」という)がロータリドラム47,48,49の周方向に等間隔で7列設けられている。
【0088】
尚、ロータリドラム47,48,49の周方向に対する吸着部55Aの形成間隔(ピッチ)は、容器フィルム3の搬送方向(図6の右向き方向)に対するポケット部2の形成間隔と同一間隔となっている。
【0089】
各吸着部55Aは、ロータリドラム47,48,49の径方向に視た平面視で、略円形状をなし、錠剤5を収容可能な大きさを有している。また、各吸着部55Aは、ロータリドラム47,48,49の径方向に沿った断面視で略円弧状をなす(図9参照)。つまり、各吸着部55Aは、ロータリドラム47,48,49の外周面において略球面状に窪んだ凹部となっている。
【0090】
本実施形態では、図9に示すように、錠剤5が吸着部55Aに吸着保持される際、錠剤5のテーパ部5D又はテーパ部5Eが吸着部55Aの内周面に当接し、印刷面となる平坦な一方面5B又は他方面5Cが吸着部55Aの底部と非接触状態となるように構成されている。つまり、錠剤5の一方面5B又は他方面5Cと、吸着部55Aの底部との間に隙間ができるように構成されている。また、吸着部55Aは、かかる状態で錠剤5の一部(本実施形態では半分程度)がロータリドラム47,48,49の外周面より突出するように構成されている。
【0091】
各吸着部55Aの底部中央には、ロータリドラム47,48,49の径方向に沿って形成された吸引孔55Bが開口している。
【0092】
また、ロータリドラム47,48,49内には、各吸着部55A列それぞれに対応するように軸方向に沿って延びる複数の通気路55Cが設けられている。つまり、本実施形態では、ロータリドラム47,48,49の回転方向に等間隔で7本の通気路55Cが設けられている。
【0093】
各通気路55Cは、ロータリドラム47,48,49の軸方向に並ぶ5つの吸引孔55Bそれぞれと連通している。また、各通気路55Cは、ロータリドラム47,48,49の軸方向一端側の側面に開口している。
【0094】
このロータリドラム47,48,49の軸方向一端側の側面(通気路55Cが開口した側面)には、該側面を覆うようにして円板状の固定バルブ56が設けられている。
【0095】
固定バルブ56内には、負圧空間部S1と、大気開放空間部S2とが形成されている。両空間部S1,S2は、それぞれロータリドラム47,48,49の回転方向に沿って円弧状に湾曲され、ロータリドラム47,48,49の軸方向一端側の側面と対向する対向面側に開口している(図8参照)。
【0096】
負圧空間部S1は、ロータリドラム47,48,49が所定方向(図6の各矢印方向)に回転するのに伴い位置変化する各通気路55C(並びに、これに連通する吸引孔55B及び吸着部55A)が、回転軸54の略真上位置から略真下位置までを移動する間、継続して連通可能となる範囲に形成されている。
【0097】
負圧空間部S1は、固定バルブ56に形成された貫通孔56Aを介して、吸引手段としての真空ポンプ(図示略)に接続されている。
【0098】
従って、真空ポンプが作動状態にある場合には、貫通孔56Aを介して負圧空間部S1内の空気が吸引され、負圧空間部S1内は常に真空引きされた状態(負圧が供給された状態)となる。ひいては、ロータリドラム47,48,49の回転に伴い、負圧空間部S1と連通する所定位置の通気路55Cも同様に真空引きされた状態となる。これにより、これらの通気路55Cと連通した吸着部55Aに収容された錠剤5を吸引し、各吸着部55Aに吸着させることができる。
【0099】
このように吸着部55Aに吸着された錠剤5は、ロータリドラム47,48,49の回転に伴い略真上付近から略真下付近までを移送される間、吸着部55Aより脱落することなく、吸着部55Aに保持される。
【0100】
大気開放空間部S2は、ロータリドラム47,48,49が所定方向(図6の各矢印方向)に回転するのに伴い位置変化する各通気路55C(並びに、これに連通する吸引孔55B及び吸着部55A)が、回転軸54の略真下位置から略真上位置までを移動する間、継続して連通可能となる範囲に形成されている。
【0101】
大気開放空間部S2は、固定バルブ56に形成された貫通孔56Bを介して、常に大気に開放された状態となっている。
【0102】
上記構成の下、第1ロータリドラム47、第2ロータリドラム48及び第3ロータリドラム49は、鉛直方向に互いに近接するように配置されている。また、第3ロータリドラム49は、水平搬送される容器フィルム3と近接するように配置されている。
【0103】
また、第1ロータリドラム47、第2ロータリドラム48及び第3ロータリドラム49は、PTP包装機10による容器フィルム3の搬送動作に同期するように、同一の回転速度でそれぞれ所定方向(図6の各矢印方向)に常時連続回転するよう上記制御装置により駆動制御される。
【0104】
これにより、図6の紙面上において、第1ロータリドラム47は反時計回り方向に連続回転し、第2ロータリドラム48は時計回り方向に連続回転し、第3ロータリドラム49は反時計回り方向に連続回転する(図6の各矢印方向参照)。
【0105】
尚、第1ロータリドラム47、第2ロータリドラム48及び第3ロータリドラム49には、それぞれ図示しないエンコーダが設けられており、該エンコーダから前記制御装置へ回転角度に関する信号が所定時間毎に出力される。これにより、前記制御装置は、第1ロータリドラム47、第2ロータリドラム48及び第3ロータリドラム49の回転位置を把握可能となる。
【0106】
また、第1ロータリドラム47の真下位置かつ第2ロータリドラム48の真上位置にあたる第3ポジションP3を、第1ロータリドラム47の吸着部55Aが通過するタイミングと、第2ロータリドラム48の吸着部55Aが通過するタイミングとが一致するように設定されている。
【0107】
同様に、第2ロータリドラム48の真下位置かつ第3ロータリドラム49の真上位置にあたる第5ポジションP5を、第2ロータリドラム48の吸着部55Aが通過するタイミングと、第3ロータリドラム49の吸着部55Aが通過するタイミングとが一致するように設定されている。
【0108】
また、第3ロータリドラム49の真下位置にあたる第6ポジションP6を、第3ロータリドラム49の吸着部55Aが通過するタイミングと、容器フィルム3のポケット部2が通過するタイミングとが一致するように設定されている。
【0109】
次に第1印刷装置50及び第2印刷装置51について説明する。印刷装置50,51は、所定のインクジェット方式(例えばピエゾ方式やサーマル方式)の印刷ヘッドを用いて錠剤5に対し非接触で印刷を行うことのできる公知の錠剤印刷装置である。
【0110】
印刷装置50,51によれば、印刷ヘッドに設けられた複数の吐出ノズルから可食性インクの液滴を吐出し、錠剤5に対し文字や記号などの識別情報を印刷することができる。
【0111】
第1印刷装置50は、第1ロータリドラム47の側方位置にあたる第2ポジションP2に配置されており、該第1ロータリドラム47の軸方向に並ぶ5つの吸着部55A(錠剤5)に対応して5つの印刷ヘッドを有している。そして、第1印刷装置50は、第1ロータリドラム47により吸着搬送されて第2ポジションP2を通過する各錠剤5に向けて各印刷ヘッドからインクを吐出し、非接触で印刷を行う。
【0112】
第2印刷装置51は、第2ロータリドラム48の側方位置にあたる第4ポジションP4に配置されており、該第2ロータリドラム48の軸方向に並ぶ5つの吸着部55A(錠剤5)に対応して5つの印刷ヘッドを有している。そして、第2印刷装置51は、第2ロータリドラム48により吸着搬送されて第4ポジションP4を通過する各錠剤5に向けて各印刷ヘッドからインクを吐出し、非接触で印刷を行う。
【0113】
次にドラム乾燥装置52及び錠剤乾燥装置53について説明する。ドラム乾燥装置52は、第2ロータリドラム48の吸着部55Aに転写されたインクを乾燥させるための熱風乾燥式の乾燥装置であって、第2ロータリドラム48の側方に配置されている。
【0114】
具体的に、ドラム乾燥装置52は、第2ロータリドラム48の回転に伴い吸着部55Aが第5ポジションP5から第3ポジションP3へ移動する区間(吸着部55Aが錠剤5を吸着していない区間)の所定範囲において、第2ロータリドラム48に対し熱風を吹き付けて吸着部55Aに転写されたインクを乾燥させる。
【0115】
錠剤乾燥装置53は、錠剤5に印刷されたインクを乾燥させるための熱風乾燥式の乾燥装置であって、第3ロータリドラム49の側方に配置されている。
【0116】
具体的に、錠剤乾燥装置53は、第3ロータリドラム49の回転に伴い吸着部55Aに吸着された錠剤5が第5ポジションP5から第6ポジションP6へ移動する区間の所定範囲において、吸着搬送される錠剤5の非吸着面である一方面5Bに対し熱風を吹き付けて、該錠剤5の一方面5Bに対し第1印刷装置50によって印刷されたインクを乾燥させる。
【0117】
次に、上記錠剤充填装置21を用いて、搬送される容器フィルム3のポケット部2に対し錠剤5を充填する錠剤充填工程の手順について図10のフローチャートを参照して説明する。
【0118】
錠剤充填装置21の制御装置は、事前に各機構部(貯留部45、ロータリドラム47,48,49、乾燥装置52,53、前記真空ポンプなど)を作動状態とした上で、以下の工程を行う。
【0119】
まず第1ロータリドラム47の回転に伴い移動する空の吸着部55Aが、所定の第1ポジションP1に到達する所定のタイミングでシャッタ46Aを開閉動作させる。尚、第1ポジションP1は、供給シュート46からの錠剤5の落下位置に相当するポジションである。
【0120】
これにより、供給シュート46から錠剤5が1つ落下し、第1ポジションP1へ移動してきた吸着部55Aに収容される。そして、第1ロータリドラム47による錠剤5の搬送が開始される(ステップSA01)。尚、供給シュート46においては、1つの錠剤5が落下すると、その上の錠剤5が下側開口部まで降下して、シャッタ46Aにより落下が阻止された状態となる。
【0121】
第1ポジションP1にて吸着部55Aに収容された錠剤5が、第1ロータリドラム47の回転に伴い、該第1ロータリドラム47の略真上位置に達すると、該吸着部55Aに係る通気路55Cが負圧空間部S1と連通し、該錠剤5は吸着保持された状態となる。
【0122】
そして、第1ロータリドラム47により吸着搬送される錠剤5が第2ポジションP2に到達する所定のタイミングで第1印刷装置50を作動させる(ステップSA02)。
【0123】
これにより、第1印刷装置50は、第1ロータリドラム47によって吸着搬送されて第2ポジションP2を通過する錠剤5の非吸着面である一方面5Bに対して所定の印刷データ(本実施形態では表裏面共通の印刷データ)に基づいた印刷処理を実行する。
【0124】
そして、第1ロータリドラム47の吸着部55Aに吸着保持された錠剤5が第3ポジションP3へと至ると、該吸着部55Aに係る通気路55Cが大気開放空間部S2と連通し、該錠剤5の吸着保持が解除される。
【0125】
これにより、第1ロータリドラム47の吸着部55Aから錠剤5が落下し、第3ポジションP3に位置する第2ロータリドラム48の吸着部55Aへ受け渡されることとなる。
【0126】
同時に、第3ポジションP3にて錠剤5を収容した第2ロータリドラム48の吸着部55Aに係る通気路55Cが負圧空間部S1と連通し、該錠剤5は吸着保持された状態となる。そして、第2ロータリドラム48による錠剤5の搬送が開始される(ステップSA03)。
【0127】
尚、第1ロータリドラム47から第2ロータリドラム48への錠剤5の受渡しにより、該錠剤5の吸着面は表裏反転する。つまり、第1ロータリドラム47の吸着部55Aにおいては錠剤5の他方面5Cが吸着されていたのに対し、第2ロータリドラム48の吸着部55Aにおいては錠剤5の一方面5Bが吸着されることとなる。
【0128】
そして、第2ロータリドラム48の吸着部55Aに吸着保持された錠剤5が第4ポジションP4に到達する所定のタイミングで第2印刷装置51を作動させる(ステップSA04)。
【0129】
これにより、第2印刷装置51は、第2ロータリドラム48によって吸着搬送されて第4ポジションP4を通過する錠剤5の非吸着面である他方面5Cに対して所定の印刷データ(本実施形態では表裏面共通の印刷データ)に基づいた印刷処理を実行する。
【0130】
そして、第2ロータリドラム48の吸着部55Aに吸着保持された錠剤5が第5ポジションP5へと至ると、該吸着部55Aに係る通気路55Cが大気開放空間部S2と連通し、該錠剤5の吸着保持が解除される。
【0131】
これにより、第2ロータリドラム48の吸着部55Aから錠剤5が落下し、第5ポジションP5に位置する第3ロータリドラム49の吸着部55Aへ受け渡されることとなる。
【0132】
同時に、第5ポジションP5にて錠剤5を収容した第3ロータリドラム49の吸着部55Aに係る通気路55Cが負圧空間部S1と連通し、該錠剤5を吸着保持した状態となる。そして、第3ロータリドラム49による錠剤5の搬送が開始される(ステップSA05)。
【0133】
尚、第2ロータリドラム48から第3ロータリドラム49への錠剤5の受渡しにより、該錠剤5の吸着面は表裏反転する。つまり、第2ロータリドラム48の吸着部55Aにおいては錠剤5の一方面5Bが吸着されていたのに対し、第3ロータリドラム49の吸着部55Aにおいては錠剤5の他方面5Cが吸着されることとなる。
【0134】
その後、第3ロータリドラム49の回転に伴い、吸着部55Aに吸着保持された錠剤5は、該第3ロータリドラム49の真下位置にあたる第6ポジションP6へ向け移動する。
【0135】
この間、第3ロータリドラム49によって吸着搬送される錠剤5の非吸着面である一方面5Bに対して、錠剤乾燥装置53から熱風が吹き付けられる。これにより、該錠剤5の一方面5Bに印刷されたインクを乾燥させる(ステップSA06)。
【0136】
同時に、第5ポジションP5にて錠剤5を受け渡した側である第2ロータリドラム48においては、第5ポジションP5にて空となった吸着部55Aが再び第3ポジションP3へ向け移動する。
【0137】
この間、第2ロータリドラム48の空の吸着部55Aに対して、ドラム乾燥装置52から熱風が吹き付けられる。これにより、錠剤5の一方面5Bから吸着部55Aに転写されたインクを乾燥させる。
【0138】
そして、第3ロータリドラム49の回転に伴い、吸着部55Aに吸着保持された錠剤5が第6ポジションP6に到達すると、第3ロータリドラム49の外周面より突出した錠剤5の一部が、該第6ポジションP6に位置する容器フィルム3のポケット部2内に入り込む。同時に、該錠剤5を吸着している第3ロータリドラム49の吸着部55Aに係る通気路55Cが大気開放空間部S2と連通し、該錠剤5の吸着保持が解除される。
【0139】
これにより、第3ロータリドラム49の吸着部55Aから錠剤5が、その一方面5Bを下に向けた状態で落下し、容器フィルム3のポケット部2へと充填されることとなる(ステップSA07)。
【0140】
以上詳述したように、本実施形態によれば、両面に印刷が施された錠剤5を容器フィルム3のポケット部2へ充填するにあたり、第2印刷装置51によって後に印刷された他方面5Cが上側となるように錠剤5を反転してポケット部2へ充填するので、充填された際にポケット部2と接する面が、他方面5Cよりも先に印刷されかつインクがより乾いた一方面5Bとなり、錠剤5の印刷面がポケット部2と擦れることにより生じ得る不具合が軽減される。
【0141】
また、両面とも、錠剤5を吸着保持した状態、すなわち錠剤5の姿勢や位置が安定した状態で印刷が行われるため、より適切な位置に印刷を行うことができる。
【0142】
結果として、印刷に擦れや欠けが無く、両面のより適切な位置に印刷が施された錠剤5を容器フィルム3のポケット部2へ充填することができ、両面に印刷が施される錠剤5の外観品質の低下抑制を図ることができる。
【0143】
さらに、本実施形態では、錠剤5が吸着部55Aに吸着保持される際、錠剤5のテーパ部5D又はテーパ部5Eが吸着部55Aの内周面に当接し、印刷面となる平坦な一方面5B又は他方面5Cが吸着部55Aの底部と非接触状態となるように構成されている。つまり、錠剤5の一方面5B又は他方面5Cと、吸着部55Aの底部との間に隙間ができるように構成されている。
【0144】
これにより、吸着部55Aに錠剤5を吸着した際、錠剤5の吸着面(一方面5B又は他方面5C)側の印刷部が吸着部と擦れて印刷が不明瞭になるといった不具合の発生を抑制することができる。
【0145】
加えて、本実施形態では、第3ロータリドラム49によって吸着搬送される錠剤5が第6ポジションP6に到達すると、第3ロータリドラム49の外周面より突出した錠剤5の一部が、該第6ポジションP6に位置する容器フィルム3のポケット部2内に入り込むよう構成されている。
【0146】
これにより、ポケット部2への錠剤5の充填時において、錠剤5とポケット部2の底部との落差が小さくなり、錠剤5が姿勢変化しにくくなる。結果として、ポケット部2への錠剤5の充填時においても、錠剤5の一方面5Bがポケット部2と擦れる等して、印刷が不明瞭になるといった不具合の発生を抑制することができる。
【0147】
〔第2実施形態〕
以下、第2実施形態について図11図13を参照しつつ説明する。尚、第1実施形態と同一構成部分については、同一符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0148】
第2実施形態では、割線を有する錠剤が作業対象となる。そして、第2実施形態に係る錠剤充填装置21は、割線を有する錠剤の表裏両面に対して適切に印刷処理を行う機能を有している。以下、詳しく説明する。
【0149】
まず第2実施形態において作業対象となる錠剤8の構成について詳しく説明する。図13(a),(b)に示すように、錠剤8は、平面視円形状をなす円盤状の素錠であって、側面8Aと、該側面8Aを挟む平坦状の表面8B及び裏面8Cとを有した構成となっている。図13(a)は錠剤8の表面8Bを示す平面図であり、図13(b)は錠剤8の裏面8Cを示す平面図である。
【0150】
また、錠剤8には、側面8Aと表面8Bとの境界部を面取りするようにテーパ部8Dが形成され、側面8Aと裏面8Cの境界部を面取りするようにテーパ部8Eが形成されている。
【0151】
さらに、錠剤8の表面8Bには、該表面8Bの中心を通り直線状に延びる溝状の割線8Fが刻設されている。尚、割線8Fは、表面8Bにのみ刻設されており、裏面8Cには刻設されていない。
【0152】
図13(a),(b)に示すように、錠剤8の表面8B及び裏面8Cには、それぞれ錠剤5に関する製品情報が印刷(印字)されている。図13(a),(b)に示す例では、割線8Fを挟んで一方側の領域に「製品名」として「ABC」の文字が印刷され、他方側の領域に「含量」として「20」の数字が印刷されている。これら「ABC」の文字や「20」の数字が印刷された部位が本実施形態の印刷部に相当する。
【0153】
尚、本実施形態では、表面8B及び裏面8Cの両面において同一の内容が印刷されているが、これに限らず、表面8B及び裏面8Cにおいて異なる内容が印刷される構成としてもよい。但し、かかる場合においても、図13(a),(b)に示すように、割線8Fの向きに合わせて印刷が行われる構成とすることが好ましい。
【0154】
図11に示すように、第2実施形態に係る錠剤充填装置21は、錠剤8の供給経路に沿って上流側より順に、貯留部45、供給シュート46、第1ロータリドラム147、第2ロータリドラム148、第3ロータリドラム149及び第4ロータリドラム150を備えている。
【0155】
本実施形態においては、「貯留部45、供給シュート46及び第1ロータリドラム147」が「供給手段」を構成する。特に「第1ロータリドラム147」が「供給用の搬送手段」を構成する。
【0156】
また、「第2ロータリドラム148」が「第1搬送手段」を構成し、「第3ロータリドラム149」が「第2搬送手段」を構成し、「第4ロータリドラム150」が「錠剤反転手段(錠剤反転用の搬送手段)」を構成する。
【0157】
さらに、錠剤充填装置21は、第1ロータリドラム147に対応して第1撮像装置151を備え、第2ロータリドラム148に対応して第2撮像装置152及び第1印刷装置50を備え、第3ロータリドラム49に対応して第3撮像装置153、第2印刷装置51及びドラム乾燥装置52を備え、第4ロータリドラム150に対応して錠剤乾燥装置53を備えている。
【0158】
また、本実施形態に係る第1ロータリドラム147、第2ロータリドラム148、第3ロータリドラム149及び第4ロータリドラム150に関する個々の構成、並びに、錠剤の受渡しなどの関連構成については、第1実施形態に係る「ロータリドラム47,48,49」と同一構成であるのため、その説明を省略する。
【0159】
本実施形態における第1撮像装置151、第2撮像装置152及び第3撮像装置153としてCCDカメラが採用されている。勿論、これに限らず、CMOSカメラを採用してもよい。
【0160】
本実施形態に係る撮像装置151~153は、その撮像範囲が各ロータリドラム147,148,149の軸方向に並ぶ5つの錠剤8(吸着部55A)を1回で撮像可能な範囲となっている。これに代えて、各ロータリドラム147,148,149の軸方向に並ぶ5つの錠剤8(吸着部55A)それぞれに対応して撮像手段(カメラ)を設けた構成としてもよい
そして、撮像装置151~153によって撮像され取得された画像データは、錠剤充填装置21の制御装置に入力される。そして、該制御装置は、撮像装置151~153によって取得された画像データに基づいて第1印刷装置50や第2印刷装置51を制御可能に構成されている。
【0161】
本実施形態においては、「第1撮像装置151」が「第1撮像手段」を構成し、「第2撮像装置152」が「第2撮像手段」を構成する。また、これらから取得された画像データに基づいて第1印刷装置50及び第2印刷装置51を制御する錠剤充填装置21の制御装置の機能により、本実施形態における「印刷制御手段」が構成されることとなる。
【0162】
第1撮像装置151は、第1ロータリドラム147によって吸着搬送される錠剤8を撮像する。
【0163】
第2撮像装置152は、第1印刷装置50の上流側に配置され、第2ロータリドラム148によって吸着搬送される錠剤8を撮像する。
【0164】
第3撮像装置153は、第2印刷装置51の上流側に配置され、第3ロータリドラム49によって吸着搬送される錠剤8を撮像する。
【0165】
次に、本実施形態に係る錠剤充填装置21を用いて、搬送される容器フィルム3のポケット部2に対し錠剤8を充填する錠剤充填工程の手順について図12のフローチャートを参照して説明する。
【0166】
まず第1ロータリドラム147の回転に伴い移動する空の吸着部55Aが、所定の第1ポジションPA1に到達する所定のタイミングでシャッタ46Aを開閉動作させる。第1ポジションPA1は、供給シュート46からの錠剤8の落下位置に相当するポジションである。
【0167】
これにより、供給シュート46から錠剤8が1つ落下し、第1ポジションPA1へ移動してきた吸着部55Aに収容される。そして、第1ロータリドラム147による錠剤8の搬送が開始される(ステップSB01)。
【0168】
第1ポジションPA1にて吸着部55Aに収容された錠剤8が、第1ロータリドラム147の回転に伴い、該第1ロータリドラム147の略真上位置に達すると、該吸着部55Aに係る通気路55Cが負圧空間部S1と連通し、該錠剤8は吸着保持された状態となる。
【0169】
ここで、錠剤8の一方面(表面8B又は裏面8C)が吸着部55Aによって吸着される。但し、貯留部45及びに供給シュート46を介して第1ロータリドラム147へ供給されてくる錠剤8の表裏や割線8Fの向きは様々である。
【0170】
従って、ここでは、表面8Bであるか裏面8Cであるかとは無関係に、吸着部55Aによって吸着される錠剤8の「一方面(例えば表面8B)」が「吸着面」となり、第1ロータリドラム147の外側を向いた錠剤8の「他方面(例えば裏面8C)」が「非吸着面」となる。
【0171】
そして、第1ロータリドラム147により吸着搬送される錠剤8が第2ポジションPA2に到達する所定のタイミングで第1撮像装置151を作動させる(ステップSB02)。
【0172】
これにより、第1撮像装置151は、第1ロータリドラム147によって吸着搬送されて第2ポジションPA2を通過する錠剤8の非吸着面である他方面(表面8B又は裏面8C)を撮像する。
【0173】
そして、第1撮像装置151によって撮像された錠剤8が、第1ロータリドラム147の回転に伴い、さらに搬送され、該第1ロータリドラム147の真下位置かつ第2ロータリドラム148の真上位置にあたる第3ポジションPA3へと至ると、該吸着部55Aに係る通気路55Cが大気開放空間部S2と連通し、該錠剤8の吸着保持が解除される。
【0174】
これにより、第1ロータリドラム147の吸着部55Aから錠剤8が落下し、第3ポジションPA3に位置する第2ロータリドラム148の吸着部55Aへ受け渡されることとなる。
【0175】
同時に、第3ポジションPA3にて錠剤8を収容した第2ロータリドラム148の吸着部55Aに係る通気路55Cが負圧空間部S1と連通し、該錠剤8を吸着保持した状態となる。そして、第2ロータリドラム148による錠剤8の搬送が開始される(ステップSB03)。
【0176】
尚、第1ロータリドラム147から第2ロータリドラム148への錠剤8の受渡しにより、該錠剤8は、その割線8Fの向きを維持したまま表裏反転する。
【0177】
つまり、第1ロータリドラム147の吸着部55Aにおいて一方面(例えば表面8B)が吸着され、他方面(例えば裏面8C)が外側に向いていた錠剤8は、第2ロータリドラム48の吸着部55Aにおいて他方面(例えば裏面8C)が吸着され、一方面(例えば表面8B)が外側に向いた状態となる。
【0178】
そして、第2ロータリドラム148によって吸着搬送される錠剤8が第4ポジションPA4に到達する所定のタイミングで第2撮像装置152を作動させる(ステップSB04)。
【0179】
これにより、第2撮像装置152は、第2ロータリドラム148によって吸着搬送されて第4ポジションPA4を通過する錠剤8の非吸着面である一方面(表面8B又は裏面8C)を撮像する。
【0180】
ここで、第2撮像装置152によって撮像される錠剤8の一方面(例えば表面8B)は、第1撮像装置151によって撮像される錠剤8の他方面(例えば裏面8C)とは反対側の面である。
【0181】
つまり、第1撮像装置151によって表面8Bが撮像された錠剤8については、第2撮像装置152によって裏面8Cが撮像される。逆に、第1撮像装置151によって裏面8Cが撮像された錠剤8については、第2撮像装置152で表面8Bが撮像されることとなる。
【0182】
上記撮像処理を終えた錠剤8が、第2ロータリドラム48の回転に伴い、さらに搬送され、第5ポジションPA5に到達する所定のタイミングとなると、第1印刷装置50を作動させる(ステップSB05)。
【0183】
これにより、第1印刷装置50は、第5ポジションPA5を通過する錠剤8の非吸着面である一方面(表面8B又は裏面8C)に対して所定の印刷処理を実行する。
【0184】
ここで、錠剤充填装置21の制御装置は、第1撮像装置151及び第2撮像装置152によって取得された錠剤8の表面8B及び裏面8Cの両面に係る画像データに基づいて第1印刷装置50による印刷処理を制御する。
【0185】
例えば、第2ロータリドラム148により吸着搬送される錠剤8の非吸着面である一方面が表面8Bである場合には、表面用印刷データに基づいた印刷処理を実行し、一方面が裏面8Cである場合には、裏面用印刷データに基づいた印刷処理を実行する。但し、本実施形態では、上述したように、表面8B及び裏面8Cの両面に係る印刷内容が同一であるため、表面用印刷データと、裏面用印刷データは表裏面共通の印刷データである。
【0186】
また、ここで第1印刷装置50による印刷処理を実行する際には、印刷データを割線8Fの方向(傾き)に合わせて調整する。これにより、図13(a),(b)に示すように、表面8B又は裏面8Cのどちらであっても、割線8Fと平行な方向に沿って印刷処理が行われる。また、割線8Fを利用して錠剤8を2つに割っても両面同じ印字となるようになっている。
【0187】
尚、割線8Fの方向については、第1撮像装置151又は第2撮像装置152によって取得された錠剤8の表面8Bに係る画像データを画像処理することにより把握することができる。
【0188】
上記印刷処理を終えた錠剤8が、第2ロータリドラム48の回転に伴い、さらに搬送され、該第2ロータリドラム48の真下位置かつ第3ロータリドラム49の真上位置にあたる第6ポジションPA6へと至ると、該吸着部55Aに係る通気路55Cが大気開放空間部S2と連通し、該錠剤8の吸着保持が解除される。
【0189】
これにより、第2ロータリドラム148の吸着部55Aから錠剤8が落下し、第6ポジションPA6に位置する第3ロータリドラム149の吸着部55Aへ受け渡されることとなる。
【0190】
同時に、第6ポジションPA6にて錠剤8を収容した第3ロータリドラム149の吸着部55Aに係る通気路55Cが負圧空間部S1と連通し、該錠剤8を吸着保持した状態となる。そして、第3ロータリドラム149による錠剤8の搬送が開始される(ステップSB06)。
【0191】
上記同様、第2ロータリドラム148から第3ロータリドラム149への錠剤8の受渡しにより、該錠剤8は、その割線8Fの向きを維持したまま表裏反転する。
【0192】
つまり、第2ロータリドラム148の吸着部55Aにおいて他方面(例えば裏面8C)が吸着され、一方面(例えば表面8B)が外側に向いていた錠剤8は、第3ロータリドラム149の吸着部55Aにおいて一方面(例えば表面8B)が吸着され、他方面(例えば裏面8C)が外側に向いた状態となる。
【0193】
そして、第3ロータリドラム149によって吸着搬送される錠剤8が第7ポジションPA7に到達する所定のタイミングとなると、第3撮像装置153を作動させる(ステップSB07)。
【0194】
これにより、第3撮像装置153は、第1撮像装置151と同様、第7ポジションPA7を通過する錠剤8の非吸着面である他方面(表面8B又は裏面8C)を撮像する。
【0195】
上記撮像処理を終えた錠剤8が、第3ロータリドラム149の回転に伴い、さらに搬送され、第8ポジションPA8に到達する所定のタイミングとなると、第2印刷装置51を作動させる(ステップSB08)。
【0196】
これにより、第2印刷装置51は、第8ポジションPA8を通過する錠剤8の非吸着面である他方面(表面8B又は裏面8C)に対して所定の印刷処理を実行する。
【0197】
ここで、錠剤充填装置21の制御装置は、第3撮像装置153及び第2撮像装置152によって取得された錠剤8の表面8B及び裏面8Cの両面に係る画像データに基づいて第2印刷装置51による印刷処理を制御する。
【0198】
つまり、第3ロータリドラム149により吸着搬送される錠剤8の非吸着面である他方面が表面8Bである場合には、表面用印刷データに基づいた印刷処理を実行し、他方面が裏面8Cである場合には、裏面用印刷データに基づいた印刷処理を実行する。但し、上記同様、表面用印刷データと、裏面用印刷データは表裏面共通の印刷データである。
【0199】
また、上記第1印刷装置50の印刷処理と同様、第2印刷装置51による印刷処理を実行する際には、印刷データを割線8Fの方向(傾き)に合わせて調整する。これにより、上記同様、割線8Fと平行な方向に沿って印刷処理を行うことができる。
【0200】
ここで、割線8Fの方向については、第3撮像装置153又は第2撮像装置152によって取得された錠剤8の表面8Bに係る画像データを画像処理することにより把握することができる。
【0201】
尚、第3撮像装置153による撮像結果は、第1撮像装置151による撮像結果と実質同一となるため、第3撮像装置153を省略し、ここで第3撮像装置153によって取得された画像データに代えて、第1撮像装置151によって取得された画像データを用いる構成としてもよい。
【0202】
但し、第2ロータリドラム148から第3ロータリドラム149への錠剤8の受渡し時において、錠剤8の吸着ズレ等が発生し得るおそれがある場合など、第3撮像装置153によって取得された画像データを用いた方が好ましい場合もある。
【0203】
上記印刷処理を終えた錠剤8が、第3ロータリドラム149の回転に伴い、さらに搬送され、該第3ロータリドラム149の真下位置かつ第4ロータリドラム150の真上位置にあたる第9ポジションPA9へと至ると、該吸着部55Aに係る通気路55Cが大気開放空間部S2と連通し、該錠剤8の吸着保持が解除される。
【0204】
これにより、第3ロータリドラム149の吸着部55Aから錠剤8が落下し、第9ポジションPA9に位置する第4ロータリドラム150の吸着部55Aへ受け渡されることとなる。
【0205】
同時に、第9ポジションPA9にて錠剤8を収容した第4ロータリドラム150の吸着部55Aに係る通気路55Cが負圧空間部S1と連通し、該錠剤8を吸着保持した状態となる。そして、第4ロータリドラム150による錠剤8の搬送が開始される(ステップSB09)。
【0206】
上記同様、第3ロータリドラム149から第4ロータリドラム150への錠剤8の受渡しにより、該錠剤8は、その割線8Fの向きを維持したまま表裏反転する。
【0207】
つまり、第3ロータリドラム149の吸着部55Aにおいて一方面(例えば表面8B)が吸着され、他方面(例えば裏面8C)が外側に向いていた錠剤8は、第4ロータリドラム150の吸着部55Aにおいて他方面(例えば裏面8C)が吸着され、一方面(例えば表面8B)が外側に向いた状態となる。
【0208】
その後、第4ロータリドラム150の回転に伴い、吸着部55Aに吸着保持された錠剤8は、該第4ロータリドラム150の真下位置にあたる第10ポジションPA10へ向け移動する。
【0209】
この間、第4ロータリドラム150によって吸着搬送される錠剤8の非吸着面である一方面(表面8B又は裏面8C)に対して、錠剤乾燥装置53から熱風が吹き付けられる。これにより、該錠剤8の一方面(表面8B又は裏面8C)に印刷されたインクを乾燥させる(ステップSB10)。
【0210】
同時に、第9ポジションPA9にて錠剤8を受け渡した側である第3ロータリドラム149においては、第9ポジションPA9にて空となった吸着部55Aが再び第6ポジションPA6へ向け移動する。
【0211】
この間、第3ロータリドラム149の空の吸着部55Aに対して、ドラム乾燥装置52から熱風が吹き付けられる。これにより、錠剤8の一方面(表面8B又は裏面8C)から吸着部55Aに転写されたインクを乾燥させる。
【0212】
そして、第4ロータリドラム150の回転に伴い、吸着部55Aに吸着保持された錠剤8が第10ポジションPA10に到達すると、第4ロータリドラム150の外周面より突出した錠剤8の一部が、該第10ポジションPA10に位置する容器フィルム3のポケット部2内に入り込む。同時に、該錠剤8を吸着している第4ロータリドラム150の吸着部55Aに係る通気路55Cが大気開放空間部S2と連通し、該錠剤8の吸着保持が解除される。
【0213】
これにより、第4ロータリドラム150の吸着部55Aから錠剤8が、その一方面(表面8B又は裏面8C)を下に向けた状態で落下し、容器フィルム3のポケット部2へと錠剤8が充填されることとなる(ステップSB11)。
【0214】
以上詳述したように、本実施形態では、上記第1実施形態と同様の作用効果が奏される。
【0215】
加えて、本実施形態によれば、少なくとも第1印刷装置50による印刷処理を行う前段階において、第1撮像装置151及び第2撮像装置152から取得した画像データを基に事前に印刷対象となる錠剤5の表裏や向きなどを把握することができる。
【0216】
結果として、例えば表側にのみ割線を有した錠剤など、表裏や向きが存在する錠剤に対して、第1印刷装置50及び第2印刷装置50において、例えば表裏の印刷の向きを合わせるなど、適切な印刷処理を実行することができる。
【0217】
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0218】
(a)上記実施形態では、錠剤5,8として、平面視円形状をなす円盤状の素錠(円盤形状の平錠)が例示されているが、錠剤の種別や形状等については、上記各実施形態に限定されるものではない。
【0219】
例えば錠剤には、医薬のみならず、飲食用に用いられる錠剤なども含まれる。また、錠剤には、素錠のみならず、糖衣錠やフィルムコーティング錠、口腔内崩壊錠、腸溶錠、ゼラチン被包錠などが含まれるのは勿論のこと、硬カプセルや軟カプセルなどの各種カプセル錠なども含まれる。
【0220】
さらに、錠剤の形状に関しては、例えば平面視円形状の錠剤のみならず、平面視多角形状、平面視楕円形状、平面視長円形状等の錠剤であってもよい。
【0221】
(b)PTPシート1におけるポケット部2の配列や個数に関しては、上記実施形態(2列、10個)に何ら限定されるものではなく、例えば3列12個のポケット部を有するタイプをはじめ、様々な配列、個数からなるPTPシートを採用することができる。
【0222】
また、上記実施形態において、PTPフィルム6は、その幅方向に沿って1シート分に対応する数のポケット部2が配列された構成となっているが、これに限定されるものではなく、例えば、その幅方向に沿って複数シート分に対応する数のポケット部2が配列された構成であってもよい。
【0223】
(c)搬送手段の構成は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば上記各実施形態では、搬送手段(回転体)として円筒形状のロータリドラム47等を用いたが、これに限らず、例えば無端の搬送ベルトなどを用いた構成としてもよい。
【0224】
また、上記実施形態では、図9に示すように、錠剤5が吸着部55Aに吸着保持される際、錠剤5のテーパ部5D又はテーパ部5Eが吸着部55Aの内周面に当接し、印刷面となる平坦な表面5B又は裏面5Cが吸着部55Aの湾曲状の底部(吸引孔55B)と非接触状態となるように構成されている。
【0225】
これに限らず、例えば図15に示すように、吸着部55Aの底部の周方向に沿って環状の段差部155を設け、錠剤5が吸着部55Aに吸着保持される際、印刷面となる平坦な表面5B又は裏面5Cの周縁部(印刷部ではない部分)が段差部155上に載置された状態となり、表面5B又は裏面5Cと吸着部55Aの底部とが非接触状態となる構成としてもよい。
【0226】
(d)また、錠剤5が吸着部55Aに吸着保持される際、該吸着部55Aと該錠剤5との間に、該吸着部55Aの内部と外部とを通気可能とする通気手段が形成される構成としてもよい。
【0227】
例えば図14に示すように、吸着部55Aの内壁面に複数の溝部210を備え、錠剤5が吸着部55Aに吸着保持される際、該吸着部55Aと該錠剤5との間に、前記溝部210によって、該吸着部55Aの内部と外部とを通気可能とする通気孔が形成される構成としてもよい。
【0228】
また、これに代えて、例えば図16(a),(b)に示すような錠剤200を用いて通気手段が形成される構成としてもよい。図16(a),(b)に示す錠剤200は、その表面200Aと側面200Cとの間のテーパ部(符号略)、並びに、その裏面200Bと側面200Cとの間のテーパ部(符号略)において、その周方向に所定間隔をあけて複数の切欠き部201が形成されている。
【0229】
これにより、錠剤200が吸着部55Aに吸着保持される際、該吸着部55Aと該錠剤200との間に、前記切欠き部201によって、該吸着部55Aの内部と外部とを通気可能とする通気孔が形成される構成としてもよい。
【0230】
上記のように、吸着部55Aに錠剤5等を吸着した際、該吸着部55Aと該錠剤5等との間に、外部から空気が流れ込む通気孔等の通気手段が形成されることで、錠剤5等の吸着面側の印刷部が乾燥しやすくなる。結果として、上記作用効果をより高めることができる。
【0231】
(e)上記実施形態では、第2ロータリドラム48等に対応してドラム乾燥装置52を備え、第3ロータリドラム49等に対応して錠剤乾燥装置53を備えた構成となっている。
【0232】
これに限らず、第1印刷装置50の下流側にて、第1ロータリドラム47により搬送されている錠剤5の印刷面を乾燥させるための錠剤用の乾燥手段を配置した構成としてもよい。
【0233】
同様に、第2印刷装置51の下流側にて、第2ロータリドラム48により搬送されている錠剤5の印刷面を乾燥させるための錠剤用の乾燥手段を配置した構成としてもよい。
【0234】
また、ドラム乾燥装置52を第3ロータリドラム49等に対応して配置した構成としてもよい。
【0235】
尚、上記実施形態では、ドラム乾燥装置52及び錠剤乾燥装置53として、熱風乾燥式の乾燥装置を採用しているが、これに代えて、例えば風を出さず放射熱により乾燥対象を乾燥させるヒータなどを乾燥手段として用いてもよい。
【0236】
また、上記(d)に記載したような通気手段を備えている場合には、ドラム乾燥装置52や錠剤乾燥装置53を省略した構成としてもよい。
【0237】
(f)上記実施形態では、第1印刷装置50及び第2印刷装置51として、所定のインクジェット方式(例えばピエゾ方式やサーマル方式)の印刷ヘッドを用いて錠剤5に対し非接触で印刷を行うことのできる錠剤印刷装置を採用している。
【0238】
これに限らず、例えば錠剤5に対し接触して印刷を行う転写方式の印刷装置を用いても良い。
【0239】
(g)錠剤反転手段の構成は、上記実施形態に係る第3ロータリドラム49等に限定されるものではない。つまり、錠剤5を吸着して搬送するロータリドラムのような回転体である必要はない。
【0240】
つまり、第2ロータリドラム48より受け渡され、両面に印刷が施された錠剤5を、第2印刷装置51により後に印刷された他方面が上側となるように錠剤5を反転してポケット部2へ充填可能な構成となっていればよく、例えば第2ロータリドラム48から落下する錠剤5を表裏反転させつつポケット部2へ案内する案内部材のような固定された部材であってもよい。
【符号の説明】
【0241】
1…PTPシート、2…ポケット部、3…容器フィルム、4…カバーフィルム、5…錠剤、5B…一方面、5C…他方面、10…PTP包装機、21…錠剤充填装置、45…貯留部、46…供給シュート、47…第1ロータリドラム、48…第2ロータリドラム、49…第3ロータリドラム、50…第1印刷装置、51…第2印刷装置、52…ドラム乾燥装置、53…錠剤乾燥装置、55A…吸着部、55B…吸引孔、55C…通気路。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16