(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022188149
(43)【公開日】2022-12-20
(54)【発明の名称】ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルの製造方法
(51)【国際特許分類】
C07C 227/42 20060101AFI20221213BHJP
C07C 229/52 20060101ALI20221213BHJP
【FI】
C07C227/42 CSP
C07C229/52
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022154976
(22)【出願日】2022-09-28
(62)【分割の表示】P 2020573548の分割
【原出願日】2020-03-02
(31)【優先権主張番号】10-2019-0126502
(32)【優先日】2019-10-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2019-0161828
(32)【優先日】2019-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】521001869
【氏名又は名称】エイエステック カンパニー,リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ユン,ジョン ベ
(72)【発明者】
【氏名】ベク,ヒョン ウ
(72)【発明者】
【氏名】チェ,ウン ファ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルの結晶性粒子の製造方法を提供する。
【解決手段】1)ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルの濃縮残渣に、メタノール、エタノール、イソプロパノール、1-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、t-ブタノール、及びこれらの混合物からなる群から選ばれた少なくとも1つの結晶化溶媒を投入する段階、2)昇温して溶解させる段階、3)溶解を確認後、内部温度15~20℃まで冷却して結晶を析出させる段階、4)追加で0~5℃まで冷却して結晶性粒子を製造する段階を含む、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルの結晶性粒子の製造方法とする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式IIで表されるN,N-ジエチルアミノ-ヒドロキシベンゾイル-安息香酸
に、下記化学式IIIで表される化合物を反応させて、下記化学式Iで表される化合物を
製造する段階を含む、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルの製造方法
であって、
【化1】
【化2】
【化3】
Lは、クロロ、ブロモ、ヨード、メタンスルホニル、トルエンスルホニル、ベンゼンス
ルホニル、トリフルオロメタンスルホニル、ヘキシルスルファート、またはヘキシルアル
キルスルホニルである、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルの製造方
法。
【請求項2】
前記反応は、塩基条件下で行われることである、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記塩基は、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム
、水酸化ナトリウム、及び水酸化カリウムからなる群から選ばれた無機塩基である、請求
項2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記塩基は、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ジエチルアミン、及び
ピリジンからなる群から選ばれた有機塩基である、請求項2に記載の製造方法。
【請求項5】
下記化学式Iで表されるジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルの結晶
性粒子の製造方法。
【化4】
【請求項6】
結晶化は、メタノール、エタノール、イソプロパノール、1-プロパノール、1-ブタ
ノール、2-ブタノール、t-ブタノール、及びこれらの混合物からなる群から選ばれた
ものを結晶化溶媒として用いて行われることである、請求項5に記載の結晶性粒子の製造
方法。
【請求項7】
1)前記化学式Iで表されるジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルの
濃縮残渣に、前記結晶化溶媒を投入する段階、
2)内部温度を30~50℃に昇温して溶解させる段階、
3)完全溶解を確認後、2~4℃/hrの速度で徐冷して、結晶をゆっくり析出させ、
内部温度15~20℃まで徐冷する段階、
4)2~4℃/hrの速度で徐冷し、0~5℃まで冷却して結晶性粒子を製造する段階
を含む、請求項6に記載のジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルの結晶
性粒子の製造方法。
【請求項8】
ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルの純度が98重量%以上であり
、バルク密度が0.28g/mlを超え、平均粒径が10μm~100μmである、ジエ
チルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルの結晶性粒子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルの製造方法に係り、
具体的には、製造工程が容易であり、商業的に量産が可能なジエチルアミノヒドロキシベ
ンゾイル安息香酸ヘキシルの製造方法、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘ
キシルの結晶性粒子の製造方法、及び、それにより製造されたジエチルアミノヒドロキシ
ベンゾイル安息香酸ヘキシルに関する。
【背景技術】
【0002】
日光に含まれた紫外線を始めとした全ての紫外線は、発癌物質である。国際癌研究機関
であるIARC(International Agency for Researc
h on Cancer)は、全種の紫外線を、グループ1に属する発がん物質、すなわ
ち発がん性が確認された物質に分類している。
【0003】
発がん性以外も、紫外線は、肌と目、免疫系に損傷を与え、肌老化を引き起こす。理論
的に紫外線を浴びなければ、老化が27倍遅延すると言われる。特に、日光にたくさん含
まれたUV-B(320nm~280nm)は、火傷を起こし、紫外線殺菌に用いられる
UV-C(280nm~100nm)は、エネルギーが大きく、UV-A(400nm~
320nm)やUV-Bよりもさらに有害である。また、過去は、あまり有害でないと知
られたUV-Aも、高いエネルギーを有しており、活性酸素によるDNAの損傷が可能で
あることが明らかになった。日光を受けたとき、肌が日焼けするのは、有害物質から肌を
保護するために発生する現象であると言われる。肌老化、肌損傷のような健康上の被害以
外にも、そばかすやほくろができるなど、美容的にも紫外線は有害である。
【0004】
このように紫外線は、各種の老化としわの主犯と思われ、老若男女を問わず日焼け止め
が推奨されている。日焼け止めは、物理的な日焼け止めと化学的な日焼け止めに分けられ
、物理的な日焼け止めは、主に紫外線を反射させる無機化合物を用いたものであり(無機
日焼け止め)、化学的な日焼け止めは、紫外線エネルギーを熱の形態に変化させて放出さ
せる組成物を用いたものである(有機日焼け止め)。
【0005】
無機焼け止めは、チタニウムジオキシド(二酸化チタン)と酸化亜鉛が主に用いられる
。遮断効果に優れてはいるが、肌馴染みが悪い方であり、たくさん肌に塗っていると、白
浮きする白濁現象が生じる問題点があった。
【0006】
一方、有機焼け止めは、無機焼け止めとは異なり、その種類が極めて多様であるが、ビ
スエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン(BEMT:bis-e
thylhexyloxyphenolmethoxyphenyl triazine
)、ブチルメトキシジベンゾイルメタン(Butyl Methoxydibenzoy
lmethane)、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(DHHB
:Diethylamino hydroxybenzoyl hexyl benzo
ate)、フェニルジベンズイミダゾールテトラスルホン酸二ナトリウム(DPDT:d
isodium phenyl dibenzimidazole tetrasulf
onate)などが主に用いられる。このうち、下記化学式で表されるDHHBは、UV
-Aを遮断する代表的な有機日焼け止めであって、BASF社がヨーロッパ公開公報第1
046391号を通じて初めて開発した製品であり、現在、ユビナールAプラス(Uvi
nul A plus)という商品名で市販されている製品である。
【0007】
【0008】
BASF社は、国際公開03/097578号を通じて、下記の反応式により、DHH
Bを製造する方法を紹介している。
【0009】
【0010】
しかしながら、この製造方法は、エステル化反応(esterification)段
階において、強酸である硫酸を用い、高温(105~110℃)で反応しなければならず
、反応結果物に赤色の不純物を発生させることにより、脱色のために多くの量の脱色剤を
用いなければならないだけでなく、数回の精製過程を経なければならないという問題点を
有している
【0011】
一方、BASF社は、国際公開2008/135360号において、DHHBを結晶化
させる方法を開示した。しかしながら、上記特許に開示された結晶化方法は、DHHBの
融点(54℃)よりも高い温度で完全に溶解させた後、さらに融点よりも低い温度で冷却
させて、固体形態のDHHBを得る方法であって、粉砕が必須である。これは、一般の量
産設備に適用することが難しいので、量産に制約が伴われる。よって、製造工程が容易で
あり、商業的に量産が可能なDHHBの製造方法の開発が要求される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】国際公開03/097578号
【特許文献2】国際公開2008/135360号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、強酸で反応し、赤色の不純物を多量発生させて脱色が難しかった既存の製造
方法を改善することができる、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルの
製造方法、及び、それにより製造されたジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘ
キシルを提供しようとする。
【0014】
また、本発明は、少量の脱色剤を用いながらも、精製回数を減らすことができ、高い収
率と経済的な生産が可能である、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル
の製造方法、及び、それにより製造されたジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸
ヘキシルを提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、下記化学式IIで表されるN,N-ジエチルアミノ-ヒドロキシベンゾイル
-安息香酸に、下記化学式IIIで表される化合物を反応させて、下記化学式Iで表され
る化合物を製造する段階を含む、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル
の製造方法を提供する。
【0016】
【0017】
【0018】
【0019】
Lは、クロロ、ブロモ、ヨード、メタンスルホニル、トルエンスルホニル、ベンゼンス
ルホニル、トリフルオロメタンスルホニル、ヘキシルスルファート、またはヘキシルアル
キルスルホニルである。
【0020】
また、本発明は、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルの結晶性粒子
の製造方法を提供する。
【0021】
また、本発明は、上記した製造方法により製造されたジエチルアミノヒドロキシベンゾ
イル安息香酸ヘキシルを提供する。
【発明の効果】
【0022】
本発明の製造方法によれば、強酸で反応し、赤色の不純物を多量発生させて脱色が難し
かった既存のジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルの製造方法を改善す
ることができる。具体的に、本発明は、少量の脱色剤を用いながらも、精製回数を減らし
、高い収率でジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルを製造することがで
き、経済的に量産が可能である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本願発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に実施するこ
とができるように、本発明の実施形態を挙げて詳述する。本発明の実施形態は、当業界に
おける平均的な知識を有する者に、本発明をさらに完全に説明するために提供されるもの
である。よって、本発明の実施形態は、様々な他の形態に変形されてもよく、本発明の範
囲が、後述する実施形態に限定されるものではない。
【0024】
本発明の明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」というと、これは、
特に拘らない限り、他の構成要素を除外するものではなく、他の構成要素をさらに含み得
ることを意味する。
【0025】
本発明の明細書全体において、ある段階が他の段階の「上に」または「前に」位置して
いるというと、これは、ある段階が他の段階と直接的・時系列的な関係にある場合だけで
なく、それぞれの段階後の混合する段階のように二段階の順序において、時系列的順序が
変わってもよい間接的・時系列的な関係にある場合と等しい権利を含むことができる。
【0026】
本発明の明細書全体において用いられる程度の用語である「約」、「実質的に」等は、
言及された意味に固有の製造及び物質許容誤差が提示される場合、その数値、またはその
数値に近接した意味として用いられ、本発明の理解を助けるために記載された正確または
絶対的な数値の開示内容を、良心的でない侵害者が不当に利用することを防止するために
用いられる。本願の明細書全体において用いられる用語である「~(する)段階」または
「~の段階」は、「~のための段階」を意味していない。
【0027】
本発明は、下記化学式IIで表されるN,N-ジエチルアミノ-ヒドロキシベンゾイル
-安息香酸に、下記化学式IIIで表される化合物を反応させて、下記化学式Iで表され
る化合物を製造する段階を含む、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル
の製造方法を提供する。
【0028】
【0029】
【0030】
【0031】
Lは、クロロ、ブロモ、ヨード、メタンスルホニル、トルエンスルホニル、ベンゼンス
ルホニル、トリフルオロメタンスルホニル、ヘキシルスルファート、またはヘキシルアル
キルスルホニルである。
【0032】
本発明の一具体例によれば、前記反応は、塩基条件下で行われてもよい。
【0033】
具体的に、前記塩基は、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素
ナトリウム、水酸化ナトリウム、及び水酸化カリウムからなる群から選ばれた無機塩基で
あってもよい。ただし、これに限定されない。
【0034】
また、前記塩基は、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ジエチルアミン
、及びピリジンからなる群から選ばれた有機塩基であってもよい。ただし、これに限定さ
れない。
【0035】
また、本発明の一具体例によれば、前記化学式IIで表される化合物は、3-ジエチル
アミノフェノールと無水フタル酸を反応させて製造されたものであってもよい。ただし、
これに限定されない。
【0036】
また、本発明の一具体例によれば、前記化学式IIIで表される化合物は、n-ヘキサ
ノールを出発物質として製造されたものであってもよい。
【0037】
本発明によれば、本発明は、下記化学式Iの化合物の結晶性粒子の製造方法を提供する
。
【0038】
前記結晶化は、C1~C4アルコールを結晶化溶媒として用いて行われてもよい。例え
ば、前記結晶化は、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n
-ブタノール、2-ブタノール、イソブタノール、またはt-ブタノールであってもよい
。
【0039】
具体的に、前記結晶化製造方法は、以下の段階を含んでもよい。
【0040】
1)前記化学式Iで表されるジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルの
濃縮残渣に、前記結晶化溶媒を投入する段階、
2)内部温度を30~50℃に昇温して溶解させる段階、
3)完全溶解を確認後、2~4℃/hrの速度で徐冷して、結晶をゆっくり析出させ、
内部温度15~20℃まで徐冷する段階、
4)2~4℃/hrの速度で徐冷し、0~5℃まで冷却して結晶性粒子を製造する段階
。
【0041】
上述した本発明の製造方法によれば、強酸で反応し、赤色の不純物を多量発生させて脱
色が難しかった既存のジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルの製造方法
を改善することができる。具体的に、本発明は、少量の脱色剤を用いながらも、精製回数
を減らし、高い収率でジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルを製造する
ことができ、経済的に量産が可能である。
【0042】
また、本発明は、本発明の製造方法により製造された、ジエチルアミノヒドロキシベン
ゾイル安息香酸ヘキシルの結晶性粒子を提供する。
【0043】
本発明に係るジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルの結晶性粒子は、
本発明の製造方法により得られることにより、結晶形で得られるので、粉砕無しで、その
まま用いることができるという長所を有する。
【0044】
本発明の製造方法により製造されたジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキ
シルの結晶性粒子は、平均粒径が1μm~500μmであってもよい。具体的に平均粒径
は、10μm~100μmである。
【0045】
また、本発明の製造方法により製造されたジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香
酸ヘキシルの結晶性粒子は、バルク密度が0.28g/mlを超えるものである。
【0046】
また、本発明の製造方法により製造されたジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香
酸ヘキシルの結晶性粒子は、その純度が98重量%以上である。
【0047】
実施例
以下、本発明について製造例及び実施例を挙げて詳述する。ただし、下記の製造例また
は実施例は、本発明を例示するものであるだけで、本発明の内容が下記製造例または実施
例に限定されるものではない。
【0048】
製造例1.2-(4-N,N-ジエチルアミノ-2-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸
の合成
3-ジエチルアミノフェノール(1.0kg、7.87mol)、無水フタル酸(1.
17kg、7.87mol)を三つ口フラスコに入れた後、トルエン(5.0L)と一緒
に撹拌した。反応器の内部温度を110~115℃まで昇温し、2時間の間撹拌した後、
0~10℃に冷却し、析出された固体を濾過して、表題化合物(1.7kg、89.9%
)を得た。
【0049】
1H NMR(CDCl3):12.52(s,1H),7.91(dd,1H),7
.62(m,2H),7.33(dd,1H),6.74(d,1H),6.13(dd
,1H),6.20(d,1H),1.16(m,6H).
【0050】
製造例2-1.1-クロロヘキサンの合成
1-ヘキサノール(1.2kg、11.70mol)、DMF(ジメチルホルムアミド
、dimethylformamide)(8.5g、0.12mol)を撹拌し、内部
温度30℃以下を維持しながら、SOCl2(2.1kg、17.6mol)を滴下した
。滴下完了後、内部温度を80~90℃に昇温して、5時間の間撹拌した。反応終結の確
認後、冷却して、精製水5Lを投入し、層分離して表題化合物(1.3kg、94.2%
)を得た。
【0051】
1H NMR(CDCl3):3.49(t,2H),1.72(m,2H),1.2
8(m,2H),1.27(m,4H),0.88(m,3H).
【0052】
製造例2-2.1-ブロモヘキサンの合成
1-ヘキサノール(1.2kg、11.70mol)、THF(テトラヒドロフラン、
tetrahydrofuran) (6.0L)を撹拌し、内部温度10℃以下を維持
しながら、PBr3(3.2kg、17.6mol)を滴下した。滴下完了後、内部温度
を10℃以下に維持して、3時間の間撹拌した。反応終結の確認後、精製水5Lを投入し
、層分離して表題化合物(1.8kg、91.4%)を得た。
【0053】
1H NMR(CDCl3):3.40(t,2H),1.85(m,2H),1.4
3(m,2H),1.31(m,4H),0.90(m,3H).
【0054】
製造例2-3.ヘキシルメタンスルホネートの合成
1-ヘキサノール(1.2kg、11.70mol)、トリエチルアミン(2.4kg
、23.40mol)、塩化メチレン(12.0L)を撹拌し、内部温度10℃以下を維
持しながら、MsCl(1.6kg、14.0mol)を滴下した。滴下完了後、内部温
度を10℃以下に維持して、3時間の間撹拌した。精製水5Lを投入し、層分離後、分離
した有機層を減圧濃縮して表題化合物(1.9kg、88.1%)を得た。
【0055】
1H NMR(CDCl3):4.23(t,2H),3.00(s,3H),1.7
5(m,2H),1.40(m,3H),1.32(m,3H),0.90(m,3H)
.
【0056】
製造例2-4.ヘキシル4-メチルベンゼンスルホネートの合成
1-ヘキサノール(1.2kg、11.70mol)、TsCl(2.7kg、14.
0mol)、塩化メチレン(12.0L)を撹拌し、内部温度10℃以下を維持しながら
、トリエチルアミン(2.4kg、23.40mol)を滴下した。滴下完了後、内部温
度を10℃以下に維持して、6時間の間撹拌した。精製水5Lを投入し、層分離後、分離
した有機層を減圧濃縮して表題化合物(2.8kg、93.2%)を得た。
【0057】
1H NMR(CDCl3):7.78(m,2H),7.34(m,2H),4.0
2(m,2H),2.45(s,3H),1.65(m,2H),1.47-1.04(
m,6H),0.85(m,3H).
【0058】
製造例2-5.ジヘキシルスルファートの合成
1-ヘキサノール(1.2kg、11.70mol)、DMF(8.5g、0.12m
ol)を撹拌し、内部温度30℃以下を維持しながら、SOCl2(0.7kg、5.9
mol)を滴下した。滴下完了後、内部温度を30~40℃に昇温して、8時間の間撹拌
した。反応終結の確認後、冷却して、精製水5Lを投入し、層分離して表題化合物(1.
3kg、90.0%)を得た。
【0059】
1H NMR(CDCl3):3.95(m,4H),1.63(m,4H),1.2
7(m,6H),0.86(m,12H).
【0060】
製造例2-6.ジヘキシルサルフェートの合成
1-ヘキサノール(1.2kg、11.70mol)、DMF(8.5g、0.12m
ol)を撹拌し、内部温度30℃以下を維持しながら、SO2Cl2(0.8kg、5.
9mol)を滴下した。滴下完了後、内部温度を30~40℃に昇温して、8時間の間撹
拌した。反応終結の確認後、冷却して、精製水5Lを投入し、層分離して表題化合物(1
.4kg、87.0%)を得た。
【0061】
1H NMR(CDCl3):4.00(m,4H),1.69(m,4H),1.3
0(m,6H),0.90(m,12H).
【実施例0062】
実施例1:ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルの合成
段階1:ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルの製造
製造例1で合成した2-(4-N,N-ジエチルアミノ-2-ヒドロキシベンゾイル)
安息香酸(1.1kg、3.51mol)、製造例2-1で合成した1-クロロヘキサン
(0.5kg、4.22mol)、K2CO3(0.9kg、7.02mol)をDMF
1.65Lと撹拌した。内部温度を100~110℃に昇温して、4時間の間撹拌後、冷
却し、エチルアセテート3.5L、精製水3.5Lを用いて抽出した。分離した最終有機
層は、内部温度30~50℃で、5%チャコールを用いて、1時間の間脱色処理後、減圧
濃縮した。
【0063】
段階2
段階1で得られた濃縮残渣に、2-(4-N,N-ジエチルアミノ-2-ヒドロキシベ
ンゾイル)安息香酸に対して4v/wのメタノールを投入後、内部温度30~50℃に昇
温して、透明に溶解させた。完全溶解を確認後、3℃/hrの速度で徐冷して、結晶をゆ
っくり析出させ、内部温度15~20℃まで徐冷した。目標温度に達すると、当該温度を
維持して1時間の間撹拌後、さらに3℃/hrの速度で徐冷して、0~5℃まで冷却する
。目標温度に達すると、当該温度を維持して、1時間の間撹拌後、濾過して、結晶性粒子
状の表題化合物(1.2kg、86.0%)を得た。
【0064】
1H NMR(CDCl3):12.59(s,1H),8.04(dd,1H),7
.55(m,2H),7.34(dd,1H),6.87(d,1H),6.12(d,
1H),6.02(dd,1H),4.10(t,2H),3.35(q,4H),1.
45(m,2H),1.16(m,12H),0.82(t,3H).
平均粒径:80.3μm、
バルク密度:0.34g/ml、
純度99.4%。