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特開2022-188210微生物細胞から微生物油を入手するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022188210
(43)【公開日】2022-12-20
(54)【発明の名称】微生物細胞から微生物油を入手するための方法
(51)【国際特許分類】
   C12P 7/64 20220101AFI20221213BHJP
   C12P 7/6427 20220101ALI20221213BHJP
   C12P 7/6431 20220101ALI20221213BHJP
   C12P 7/6432 20220101ALI20221213BHJP
   C12P 7/6434 20220101ALI20221213BHJP
【FI】
C12P7/64
C12P7/6427
C12P7/6431
C12P7/6432
C12P7/6434
【審査請求】有
【請求項の数】37
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022161391
(22)【出願日】2022-10-06
(62)【分割の表示】P 2019225606の分割
【原出願日】2014-12-19
(31)【優先権主張番号】61/918,922
(32)【優先日】2013-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】503220392
【氏名又は名称】ディーエスエム アイピー アセッツ ビー.ブイ.
【氏名又は名称原語表記】DSM IP ASSETS B.V.
【住所又は居所原語表記】Het Overloon 1, NL-6411 TE Heerlen,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(72)【発明者】
【氏名】バーカー, マーク
(72)【発明者】
【氏名】タバイェーンジャド, ナスリーン
(72)【発明者】
【氏名】シャンク, ジンジャー
(72)【発明者】
【氏名】レイニンガー, ニール フランシス
(72)【発明者】
【氏名】マシューズ, シニア, カート リヴェル
(57)【要約】      (修正有)
【課題】1つ以上の微生物細胞から1種以上の多価不飽和脂肪酸(PUFA)を含む微生物油を入手するための方法を提供する。
【解決手段】方法は、(a)溶解細胞組成物を形成するために前記微生物油を含む前記細胞を溶解する工程;(b)解乳化溶解細胞組成物を形成するために前記溶解細胞組成物を酸を添加することにより解乳化する工程;(c)前記解乳化溶解細胞組成物から前記油を分離する工程;および(d)前記油を回収する工程を含み、(b)は前記溶解細胞組成物のpHを2.5~6.0へ低下させる工程を含み、(a)または(b)の少なくとも1つは、前記細胞または前記溶解細胞組成物を少なくとも70℃へ加熱する工程をさらに含み、(b)は、前記酸を添加した後に前記溶解細胞組成物を少なくとも70℃へ加熱する工程を含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上の微生物細胞から1種以上の多価不飽和脂肪酸を含む微生物油を入手するための方法であって:
(a)溶解細胞組成物を形成するために前記微生物油を含む前記細胞を溶解する工程;
(b)解乳化溶解細胞組成物を形成するために前記溶解細胞組成物を酸を添加することにより解乳化する工程;
(c)前記解乳化溶解細胞組成物から前記油を分離する工程;および
(d)前記油を回収する工程
を含み、(b)は前記溶解細胞組成物のpHを2.5~6.0へ低下させる工程を含み、(a)または(b)の少なくとも1つは、前記細胞または前記溶解細胞組成物を少なくとも70℃へ加熱する工程をさらに含み、(b)は、前記酸を添加した後に前記溶解細胞組成物を少なくとも70℃へ加熱する工程を含む、方法。
【請求項2】
(a)または(b)の少なくとも1つは、前記細胞または前記溶解細胞組成物を70℃~100℃へ加熱する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
(b)は、前記溶解細胞組成物に乳化剤を添加する工程をさらに含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記溶解細胞組成物の重量で0.5%~20%の量で前記酸を添加する、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
(b)は、前記溶解細胞組成物の重量で0.05%~20%の量で塩を添加する工程をさらに含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
(b)は、前記溶解細胞組成物を攪拌する工程をさらに含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
(a)は、前記細胞を撹拌する工程をさらに含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記酸は、硫酸、リン酸、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、次亜塩素酸、亜塩素酸、塩素酸、過塩素酸、フルオロ硫酸硝酸、フルオロアンチモン酸、フルオロホウ酸、ヘキサフルオロリン酸、クロム酸、ホウ酸、酢酸、クエン酸、ギ酸およびそれらの組み合わせから選択される、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記酸は、硫酸である、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
(a)の前記細胞は、未洗浄である、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
(a)の前記細胞は、発酵ブロス内に含有されている、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
(c)は、前記解乳化溶解細胞組成物を遠心分離する工程をさらに含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記多価不飽和脂肪酸は、ω-3脂肪酸、ω-6脂肪酸およびそれらの混合物から選択される、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記多価不飽和脂肪酸は、ドコサヘキサエン酸(DHA)、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサペンタエン酸(DPA)、アラキドン酸(ARA)、γ-リノール酸(GLA)、ジホモ-γ-リノール酸(DGLA)、ステアリドン酸(SDA)およびそれらの混合物から選択される、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記多価不飽和脂肪酸は、ドコサヘキサエン酸(DHA)である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記多価不飽和脂肪酸は、アラキドン酸(ARA)である、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記微生物細胞は、藻類、酵母、真菌、原生生物または細菌細胞である、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記微生物細胞は、モルティエレラ(Mortierella)属、クリプトコディニウム(Crypthecodinium)属またはスラウストキトリアレス(Thraustochytriales)目に由来する、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記微生物細胞は、スラウストキトリアレス(Thraustochytriales)目に由来する、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記微生物細胞は、スラウストキトリウム(Thraustochytrium)属、シゾキトリウム(Schizochytrium)属またはそれらの混合物に由来する、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記微生物細胞は、モルティエレラ・アルピナ(Mortierella alpina)に由来する、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
前記溶解細胞組成物は、液体、細胞断片および微生物油を含む、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
有機溶媒は、前記細胞から前記油を入手するためには使用されない、請求項1~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記解乳化溶解細胞組成物の平均粒径は、25ミクロン以下である、請求項1~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
(b)は、前記溶解細胞組成物に乳化剤を添加する工程をさらに含み、前記乳化剤は、イオン性乳化剤である、請求項1~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記イオン性乳化剤は、アニオン性硫酸塩乳化剤、アニオン性スルホン酸塩乳化剤、アニオン性リン酸塩乳化剤、アニオン性カルボン酸塩乳化剤およびそれらの組み合わせから選択されるアニオン性乳化剤である、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記イオン性乳化剤は、ラウリル硫酸アンモニウム、ドデシル硫酸ナトリウム、ラウレス硫酸ナトリウム、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ミレス硫酸ナトリウムおよびそれらの組み合わせから選択されるアニオン性硫酸塩乳化剤である、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
(b)は、前記溶解細胞組成物に乳化剤を添加する工程をさらに含み、前記乳化剤は、前記溶解細胞組成物の重量で0.2%~10%の量で添加される、請求項1~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
(b)は、前記溶解細胞組成物の重量で0.05%~20%の量で塩を添加する工程をさらに含み、前記塩は、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、硫酸塩およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
(d)の前記油は、原油である、請求項1~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
(d)は、精製油を入手するために前記原油を精製する工程をさらに含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記油は、少なくとも30重量%のアラキドン酸を含む、請求項1~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記油は、少なくとも30重量%のドコサヘキサエン酸を含む、請求項1~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記油は、50未満のアニシジン値を有する、請求項1~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記油は、8ppm以下のリン含量を有する、請求項1~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記油は、5meq/kg未満のペルオキシド値を有する、請求項1~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
(a)および(b)は、1工程の溶解および解乳化する工程を形成するために一緒に結合される、請求項1~36のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[関連出願の相互参照]
[0001]本出願は、2013年12月20日に出願された米国仮特許出願第61/918,922号明細書の出願日の利益を主張するものであり、上記特許出願の開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
[発明の背景]
[0002]本明細書では、1つ以上の微生物細胞から1種以上の多価不飽和脂肪酸(PUFA)を含む微生物油を入手するための方法であって、溶解細胞組成物を形成するために細胞を溶解し、およびその後に溶解細胞組成物から油を回収することによる方法が開示される。さらに本明細書では、本明細書に記載した少なくとも1つの方法によって微生物細胞から回収される1種以上のPUFAを含む微生物油が開示される。
【0003】
[0003]1種以上のPUFAを含有する微生物油は、例えば、藻類および真菌などの微生物によって生成される。
【0004】
[0004]微生物細胞からPUFA含有油を入手するための典型的な方法は、微生物細胞バイオマスを生成するために発酵槽、ポンドまたはバイオリアクター内で所望の油を生成できる微生物を増殖させる工程;その中でバイオマスが増殖させられた発酵培地からバイオマスを分離する工程;乾燥細胞から油を抽出するために水非混和性有機溶媒(例えば、ヘキサン)を使用して微生物細胞バイオマスを乾燥する工程;および油から有機溶媒(例えば、ヘキサン)を除去する工程を包含している。この方法は、さらに細胞バイオマスを含有する発酵培地を水で希釈し、その後に希釈発酵培地からバイオマスを分離するために遠心分離する工程を包含することができる。
【0005】
[0005]微生物細胞からPUFA含有油を入手するためのまた別の方法は、微生物細胞バイオマスを生成するために発酵槽、ポンドまたはバイオリアクター内で所望の油を生成できる微生物を増殖させる工程;細胞壁を破壊するために機械的力(例えば、ホモジナイゼーション)、酵素的処理または化学的処理を使用することによってその中で細胞が増殖させられたPUFA含有油を発酵培地内に放出させる工程;ならびに水混和性有機溶媒、例えば、イソプロピルアルコールを使用して結果として生じるPUFA含有油、細胞断片および液体を含む組成物から油を回収する工程を含んでいる。油は、組成物から機械的に分離することができ、油および水性バイオマス廃棄物流の両方からアルコールが除去されなければならない。
【0006】
[0006]微生物細胞からPUFA含有油を入手するための上述の方法のいずれかの工業的規模の使用は、危険な稼働状態をもたらし、かつ費用のかかる防爆装置の使用を必要とする大量の揮発性および可燃性有機溶媒の使用を必要とする。さらに、有機溶媒の使用は、揮発性有機化合物(VOC)放出に関する厳密な環境的規制に対応するための費用のかかる溶媒回収方法の実行を必要とする有機溶媒廃棄物流を生成し、これはしたがって結果的により多くの労働力およびコストのかかる装置の必要を生じさせる。
【0007】
[0007]さらに、細胞を乾燥させるため、および/または回収した油から溶媒を除去するための上述の方法における熱の使用は、PUFA含有油を分解させ、エネルギー使用量を増加させることがあり、これはさらに加工処理コストを増大させる可能性がある。分解は、例えば微生物細胞壁の完全性が破壊される、および/または微生物細胞が熱に曝露される場合のように、PUFA含有油が酸素に曝露させられた場合に発生する。
【0008】
[0008]微生物細胞からPUFA含有油を入手するための無溶媒法は、微生物細胞バイオマスを生成するために発酵槽、ポンドまたはバイオリアクター内で所望の油を生成できる微生物を増殖させる工程;;細胞壁を破壊するために機械的力(例えば、ホモジナイゼーション)、酵素的処理または化学的処理を使用することによってその中で細胞が増殖させられた発酵培地内にPUFA含有油を放出させる工程;ならびにpHを上昇させる、塩を添加する、加熱する、および/または結果として生じる組成物を撹拌する工程によってPUFA含有油、細胞断片および液体を含む結果として生じる組成物から原油を回収する工程を含んでいる。しかし細胞からPUFA含有油を入手するためのこの無溶媒法は、長い油回収時間、大量の塩および/または多数の工程を必要とすることがあり、これらは全てが加工処理コストを増加させる可能性がある。
【0009】
[0009]結果として、微生物細胞から高品質PUFA含有油を入手するための方法であって、揮発性有機溶媒を使用しない、容易に入手できる装置を使用して実施できる、必要とする工程数が最小である、油回収時間がより短い、および高収率の高品質PUFA含有油を提供できる方法に対する必要が依然として存在する。
【0010】
[0010]本明細書では、1つ以上の微生物細胞から1種以上の多価不飽和脂肪酸(PUFA)を含む微生物油を入手するための方法であって:(a)溶解細胞組成物を形成するために微生物油を含む細胞を溶解する工程;(b)解乳化溶解細胞組成物を形成するために溶解細胞組成物のpHを低下させる工程を含む、溶解細胞組成物を解乳化する工程;(c)解乳化溶解細胞組成物から油を分離する工程;および(d)油を回収する工程を含む方法が開示される。
【0011】
[0011]本明細書では、1つ以上の微生物細胞から1種以上の多価不飽和脂肪酸(PUFA)を含む微生物油を入手するための方法であって:(a)溶解細胞組成物を形成するために微生物油を含む細胞を溶解する工程;(b)解乳化溶解細胞組成物を形成するために溶解細胞組成物のpHを約6以下へ低下させる工程を含む、溶解細胞組成物を解乳化する工程;(c)解乳化溶解細胞組成物から油を分離する工程;および(d)油を回収する工程を含む方法が開示される。
【0012】
[0012]本明細書では、1つ以上の微生物細胞から1種以上の多価不飽和脂肪酸(PUFA)を含む微生物油を入手するための方法であって:(a)溶解細胞組成物を形成するために微生物油を含む細胞を溶解する工程;(b)解乳化溶解細胞組成物を形成するために、溶解細胞組成物の重量で約0.5%~約20%の量の酸を添加することにより溶解細胞組成物のpHを低下させる工程を含む、溶解細胞組成物を解乳化する工程;(c)解乳化溶解細胞組成物から油を分離する工程;および(d)油を回収する工程を含む方法が開示される。
【0013】
[0013]本明細書では、1つ以上の微生物細胞から1種以上の多価不飽和脂肪酸(PUFA)を含む微生物油を入手するための方法であって:(a)溶解細胞組成物を形成するために微生物油を含む細胞を溶解する工程;(b)解乳化溶解細胞組成物を形成するために溶解細胞組成物のpHを約6以下へ低下させる工程を含む、溶解細胞組成物を解乳化する工程;(c)解乳化溶解細胞組成物から油を分離する工程;および(d)油を回収する工程を含み、(a)または(b)の少なくとも1つは、組成物を少なくとも70℃の温度へ加熱する工程をさらに含む、方法が開示される。
【0014】
[0014]本明細書では、1つ以上の微生物細胞から1種以上の多価不飽和脂肪酸(PUFA)を含む微生物油を入手するための方法であって:(a)溶解細胞組成物を形成するために微生物油を含む細胞を溶解する工程;(b)解乳化溶解細胞組成物を形成するために、溶解細胞組成物の重量で約0.5%~約20%の量の酸を添加することにより溶解細胞組成物のpHを低下させる工程を含む、溶解細胞組成物を解乳化する工程;(c)解乳化溶解細胞組成物から油を分離する工程;および(d)油を回収する工程を含み、(a)または(b)の少なくとも1つは、組成物を少なくとも70℃の温度へ加熱する工程をさらに含む、方法が開示される。
【0015】
[0015]本明細書では、1つ以上の微生物細胞から1種以上の多価不飽和脂肪酸(PUFA)を含む微生物油を入手するための方法であって:(a)溶解細胞組成物を形成するために微生物油を含む細胞を溶解する工程;(b)解乳化溶解細胞組成物を形成するために溶解細胞組成物のpHを約6以下へ低下させるために酸を添加する工程、および溶解細胞組成物を攪拌する工程を含む、溶解細胞組成物を解乳化する工程;(c)解乳化溶解細胞組成物から油を分離する工程;および(d)油を回収する工程を含む方法が開示される。
【0016】
[0016]本明細書では、1つ以上の微生物細胞から1種以上の多価不飽和脂肪酸(PUFA)を含む微生物油を入手するための方法であって:(a)溶解細胞組成物を形成するために微生物油を含む細胞を溶解する工程;(b)解乳化溶解細胞組成物を形成するために溶解細胞組成物のpHを低下させる工程を含む、溶解細胞組成物を解乳化する工程;(c)解乳化溶解細胞組成物から油を分離する工程;および(d)油を回収する工程を含み、(a)および(b)は、1工程の溶解および解乳化する工程を形成するために一緒に結合される、方法が開示される。
【0017】
[0017]本明細書では、1つ以上の微生物細胞から1種以上の多価不飽和脂肪酸(PUFA)を含む微生物油を入手するための方法であって:(a)溶解細胞組成物を形成するために微生物油を含む細胞を溶解する工程;(b)解乳化溶解細胞組成物を形成するために溶解細胞組成物を解乳化する工程;(c)解乳化溶解細胞組成物から油を分離する工程;および(d)油を回収する工程を含み、(a)および(b)は、pHを上昇させる工程を含む1工程の溶解および解乳化する工程を形成するために一緒に結合される、方法が開示される。
【0018】
[0018]本明細書では、1つ以上の微生物細胞から1種以上の多価不飽和脂肪酸(PUFA)を含む微生物油を入手するための方法であって:(a)溶解細胞組成物を形成するために好適なpHで微生物油を含む細胞を溶解する工程;(b)解乳化溶解細胞組成物から油を分離する工程;および(c)油を回収する工程を含み、解乳化溶解細胞組成物は溶解する工程中に入手される、方法が開示される。
【0019】
[0019]本明細書では、本明細書に記載した方法のいずれかによって入手される微生物油が開示される。
【0020】
[0020]多価不飽和脂肪酸(PUFA)は、脂肪酸のメチル末端から第1二重結合の位置に基づいて分類される;ω-3(n-3)脂肪酸は、第3炭素で第1二重結合を含有するが、他方ω-6(n-6)脂肪酸は、第6炭素で第1二重結合を含有する。例えば、ドコサヘキサエン酸(DHA)は、炭素22個の鎖長および6つの二重結合を備えるω-3長鎖多価不飽和脂肪酸(LC-PUFA)であり、「22:6n-3」と称されることが多い。1つの実施形態では、PUFAは、ω-3脂肪酸、ω-6脂肪酸およびそれらの混合物から選択される。また別の実施形態では、PUFAは、LC-PUFAから選択される。さらにまた別の実施形態では、PUFAは、ドコサヘキサエン酸(DHA)、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサペンタエン酸(DPA)、アラキドン酸(ARA)、γ-リノール酸(GLA)、ジホモ-γ-リノール酸(DGLA)、ステアリドン酸(SDA)およびそれらの混合物から選択される。また別の実施形態では、PUFAは、DHA、ARAおよびそれらの混合物から選択される。また別の実施形態では、PUFAは、DHAである。さらにまた別の実施形態では、PUFAはARAである。
【0021】
[0021]LC-PUFAは、少なくとも3つの二重結合を含有し、18個以上の炭素または20個以上の炭素の鎖長を有する脂肪酸である。ω-6シリーズのLC-PUFAには、ジ-ホモ-γリノール酸(C20:3n-6)、アラキドン酸(C20:4n-6)(「ARA」)、ドコサテトラエン酸またはアドレン酸(C22:4n-6)およびドコサペンタエン酸(C22:5n-6)(「DPA n-6」)が含まれるがそれらに限定されない。ω-3シリーズのLC-PUFAには、エイコサトリエン酸(C20:3n-3)、エイコサテトラエン酸(C20:4n-3)、エイコサペンタエン酸(C20:5n-3)(「EPA」)、ドコサペンタエン酸(C22:5n-3)およびドコサヘキサエン酸(C22:6n-3)が含まれるがそれらに限定されない。LC-PUFAにはさらにまた、C24:6(n-3)およびC28:8(n-3)を含むがそれらに限定されない22個を超える炭素および4つ以上の二重結合を備える脂肪酸が含まれる。
【0022】
[0022]PUFAは、遊離脂肪酸、塩、脂肪酸エステル(例えば、メチルもしくはエチルエステル),モノアシルグリセロール(MAG)、ジアシルグリセロール(DAG)、トリアシルグリセロール(TAG)および/またはリン脂質(PL)の形態であってよい。
【0023】
[0023]高不飽和脂肪酸(HUFA)は、4つ以上の不飽和炭素-炭素結合を含有するω-3および/またはω-6多価不飽和脂肪酸である。
【0024】
[0024]本明細書で使用する「細胞」は、油含有生体物質、例えば油性微生物由来の生体物質を意味する。微生物によって生成される、または微生物細胞から入手される油は、「微生物油」と呼ばれる。藻類および/または真菌によって生成される油は、さらにまた各々藻類油および/または真菌油と呼ばれる。
【0025】
[0025]本明細書で使用する「微生物細胞」または「微生物」は、例えば、藻類、細菌、真菌、原生生物、酵母およびそれらの組み合わせなどの生物、例えば単細胞生物を意味する。一部の実施形態では、微生物細胞は、真核細胞である。微生物細胞には、金色藻類(例えば、ストラメノパイル(Stramenopiles)界の微生物);緑色藻類;珪藻類;渦鞭毛藻類(例えばクリプトコディニウム・コーニイ(Crypthecodinium cohnii)もしくはC.コーニイ(C.cohnii)を含む、例えば、クリプトコディニウム(Crypthecodinium)属のメンバーを含む渦鞭毛植物(Dinophyceae)目の微生物);スラウストキトリアレス(Thraustochytriales)目の微細藻類;酵母(子嚢菌綱(Ascomycetes)もしくは担子菌網(Basidiomycetes));ならびにムコール(Mucor)属、モルティエレラ・アルピナ(Mortierella alpina)およびモルティエレラ属シュムッケリ亜属(Mortierella sect.schmuckeri)を含むがそれらに限定されないモルティエレラ(Mortierella)属およびフィチウム・インシジオスム(Pythium insidiosum)を含むがそれには限定されないフィチウム(Pythium)属の真菌が含まれるがそれらに限定されない。
【0026】
[0026]1つの実施形態では、微生物細胞は、モルティエレラ(Mortierella)属、クリプトコディニウム(Crypthecodinium)属またはスラウストキトリアレス(Thraustochytriales)目に由来する。さらにまた別の実施形態では、微生物細胞は、クリプトコディニウム・コーニイ(Crypthecodinium Cohnii)に由来する。さらにまた別の実施形態では、微生物細胞は、クリプトコディニウム・コーニイ(Crypthecodinium Cohnii)、モルティエレラ・アルピナ(Mortierella alpine)、スラウストキトリウム(Thraustochytrium)属、シゾキトリウム(Schizochytrium)属およびそれらの混合物から選択される。
【0027】
[0027]さらにまた別の実施形態では、微生物細胞には、モルティエレラ(Mortierella)属、コニディオボラス(Conidiobolus)属、フィチウム(Pythium)属、フィトフトラ(Phytophthora)属、ペニシリウム(Penicillium)属、クラドスポリウム(Cladosporium)属、ムコール(Mucor)属、フザリウム(Fusarium)属、アスペルギルス(Aspergillus)属、ロドトルラ(Rhodotorula)属、エントモフトラ(Entomophthora)属、エキノスポランジウム(Echinosporangium)属およびサプロレグニア(Saprolegnia)属に属する微生物が含まれるがそれらに限定されない。また別の実施形態では、ARAは、モルティエレラ・エロンガタ(Mortierella elongata)、モルティエレラ・エキシグア(Mortierella exigua)、モルティエレラ・ヒグロフィラ(Mortierella hygrophila)、モルティエレラ・アルピナ(Mortierella alpina)、モルティエレラ属シュムッケリ亜属(Mortierella schmuckeri)およびモルティエレラ・ミヌティッシマ(Mortierella minutissima)を含むがそれらに限定されないモルティエレラ(Mortierella)属に由来する微生物細胞から入手される。別の実施形態では、ARAは、モルティエレラ・エロンガタ(Mortierella elongata)IFO8570、モルティエレラ・エキシグア(Mortierella exigua)IFO8571、モルティエレラ・ヒグロフィラ(Mortierella hygrophila)IFO5941、モルティエレラ・アルピナ(Mortierella alpina)IFO8568、ATCC16266、ATCC32221、ATCC42430、CBS219.35、CBS224.37、CBS250.53、CBS343.66、CBS527.72、CBS529.72、CBS608.70およびCBS754.68ならびにそれらの突然変異体由来の微生物細胞から入手される。さらにまた別の実施形態では、微生物細胞は、モルティエレラ・アルピナ(Mortierella alpina)に由来する。
【0028】
[0028]さらにまた、微生物細胞は、スラウストキトリウム(Thraustochytrium)属(種にはアルジメンタレ種(arudimentale)、アウレウム種(aureum)、ベンチコラ種(benthicola)、グロボサム種(globosum)、キネイ種(kinnei)、モチバム種(motivum)、マルチルジメンタレ種(multirudimentale)、パチデルマム種(pachydermum)、プロリフェラム種(proliferum)、ロゼウム種(roseum)、ストリアツム種(striatum)が含まれる));シゾキトリウム(Schizochytrium)属(種にはアグレガタム種(aggregatum)、リムナセウム種(limnaceum)、マングロベイ種(mangrovei)、ミヌツム種(minutum)、オクトスポラム種(octosporum)が含まれる);ウルケニア(Ulkenia)属(種には、アモエボイデア種(amoeboidea)、ケルグエレンシス種(kerguelensis)、ミヌタ種(minuta)、プロフンダ種(profunda)、ラジエート種(radiate)、サイレンス種(sailens)、サルカリアナ種(sarkariana)、シゾキトロプス種(schizochytrops)、ビスルゲンシス種(visurgensis)、ヨルケンシス種(yorkensis)が含まれる);オーランチオキトリウム(Aurantiacochytrium)属;オブロンギキトリウム(Oblongichytrium)属;シシオイドチティウム(Sicyoidochytium)属;パリエンティキトリウム(Parientichytrium)属;ボトリオキトリウム(Botryochytrium)属;およびそれらの組み合わせを含むがそれらに限定されないスラウストキトリアレス(Thraustochytriales)目の微細藻類に由来する。ウルケニア(Ulkenia)属内で記載された種は、シゾキトリウム(Schizochytrium)属のメンバーであると考えられるであろう。また別の実施形態では、微生物細胞は、スラウストキトリアレス(Thraustochytriales)目に由来する。さらにまた別の実施形態では、微生物細胞は、スラウストキトリウム(Thraustochytrium)属に由来する。さらにまた別の実施形態では、微生物細胞は、シゾキトリウム(Schizochytrium)属に由来する。さらにまた別の実施形態では、微生物細胞は、スラウストキトリウム(Thraustochytrium)属、シゾキトリウム(Schizochytrium)属またはそれらの混合物から選択される。
【0029】
[0029]1つの実施形態では、本方法は、溶解細胞組成物を形成するために微生物油を含む微生物細胞を溶解する工程を含む。用語「溶解する」および「溶解する工程」は、それにより微生物細胞の壁および/または膜が破壊される方法を意味する。1つの実施形態では、微生物細胞は、機械的、化学的、酵素的、物理的およびそれらの組み合わせから選択される少なくとも1つの処理を受けさせることによって溶解される。また別の実施形態では、本方法は、溶解細胞組成物を形成するために微生物油を含む微生物細胞を溶解する工程を含むが、このとき溶解する工程は機械的、化学的、酵素的、物理的およびそれらの組み合わせから選択される。
【0030】
[0030]一部の実施形態では、細胞の溶解前に、細胞は洗浄および/または低温殺菌することができる。一部の実施形態では、細胞を洗浄する工程は、何らかの細胞外水溶性または水分散性化合物を除去するために水などの水溶液を使用する工程を含んでいる。一部の実施形態では、細胞は、1回、2回、3回またはそれ以上洗浄することができる。一部の実施形態では、細胞を低温殺菌する工程は、何らかの望ましくない酵素、例えば、油を分解させる可能性がある、またはPUFAの収率を低下させる可能性がある酵素を不活性化するために細胞を加熱する工程を含む。一部の実施形態では、細胞は洗浄され、その後に溶解される前に低温殺菌される。一部の実施形態では、溶解される細胞は、発酵ブロス内に含有されている。
【0031】
[0031]一部の実施形態では、本方法は、溶解細胞組成物を形成するために微生物油を含む未洗浄微生物細胞を溶解する工程を含む。一部の実施形態では、微生物油を含む微生物細胞を含む発酵ブロスは、最初に例えば水を用いて洗浄され、その後に溶解細胞組成物を形成するために細胞が溶解される。他の実施形態では、本方法は、溶解細胞組成物を形成するために発酵培地内で未洗浄細胞を溶解する工程を含む。
【0032】
[0032]機械的処理には、ホモジナイゼーション、超音波、冷間圧縮、粉砕およびそれらの組み合わせが含まれるがそれらに限定されない。一部の実施形態では、本方法は、ホモジナイゼーションによって細胞を溶解する工程を含む。一部の実施形態では、本方法は、ホモジナイザーを用いて細胞を溶解する工程を含む。
【0033】
[0033]ホモジナイゼーションには、フレンチ(French)細胞プレス、ソニケーター、ホモジナイザー、マイクロフルイダイザー、ボールミル、ロッドミル、ペブルミル、ビーズミル、高圧研磨ロール、垂直軸インパクター、工業用ブレンダー、高剪断ミキサー、パドルミキサー、ポリトロンホモジナイザー、工業用ホモジナイザー(例えば、Niro Soavi製VHPホモジナイザーならびにAPV Rannie製およびAPV Gaulin製ホモジナイザー)、工業用剪断流体プロセッサー(例えば、マイクロフルイディクス高剪断流体プロセッサー)、細胞溶解/ビーズミル型ホモジナイザー(例えば、Dyno-Mill製およびBuhler製)ならびにそれらの組み合わせが含まれるがそれらに限定されない。一部の実施形態では、細胞は、任意選択的に加熱されるホモジナイザー内を貫流する。一部の実施形態では、好適なホモジナイゼーションは、高圧および/または低圧のいずれかでのホモジナイザーの1~3回の通過を含むことができる。
【0034】
[0034]一部の実施形態では、ホモジナイゼーション中の圧力は、150bar~1,400bar;150bar~1,200bar;150bar~900bar;150bar~300bar;300bar~1,400bar;300bar~1,200bar;300bar~900bar;400bar~800bar;500bar~700barまたは600barである。一部の実施形態では、ホモジナイゼーション中の圧力は、2,000psi~20,000psi;2,000psi~18,000psi;2,000psi~16,000psi;2,000psi~14,000psi;2,000psi~12,000psi;2,000psi~10,000psi;2,000psi~8,000psi;2,000psi~6,000psi;2,000psi~4,000psi;4,000psi~20,000psi;4,000psi~18,000psi;4,000psi~16,000psi;4,000psi~14,000psi;4,000psi~12,000psi;4,000psi~10,000psi;4,000psi~8,000psi;4,000psi~6,000psi;6,000psi~20,000psi;6,000psi~18,000psi;6,000psi~16,000psi;6,000psi~14,000psi;6,000psi~12,000psi;6,000psi~10,000psi;6,000psi~8,000psi;8,000psi~20,000psi;8,000psi~18,000psi;8,000psi~16,000psi;8,000psi~14,000psi;8,000psi~12,000psi;8,000psi~10,000psi;10,000psi~20,000psi;10,000psi~18,000psi;10,000psi~16,000psi;10,000psi~14,000psi;10,000psi~12,000psi;12,000psi~20,000psi;12,000psi~18,000psi;12,000psi~16,000psi;12,000psi~14,000psi;14,000psi~20,000psi;14,000psi~18,000psi;14,000psi~16,000psi;16,000psi~20,000psi;16,000psi~18,000psiまたは18,000psi~20,000psiである。
【0035】
[0035]一部の実施形態では、微生物細胞は、均質化される前に高剪断ミキサー内で混合される。一部の実施形態では、高剪断ミキサーは、少なくとも5,000rpm;少なくとも7,500rpm;少なくとも10,000rpm;少なくとも12,500rpm;少なくとも15,000rpm;5,000rpm~15,000rpm;5,000rpm~12,500rpm;5,000rpm~10,000rpm;5,000rpm~7,500rpm;7,500rpm~15,000rpm;7,500rpm~12,500rpm;7,500rpm~10,000rpm;10,000rpm~15,000rpm;10,000rpm~12,500rpmまたは12,500rpm~15,000rpmの範囲内で操作される。
【0036】
[0036]物理的処理には、抵抗、対流、蒸気、流体浴、ソーラーおよびそれらの組み合わせを含むがそれらに限定されない加熱が含まれるがそれらに限定されない。一部の実施形態では、細胞は、その壁の中/壁の上に抵抗コイルを備えるタンク内で加熱される。一部の実施形態では、細胞は、その中を貫通するチューブを備える液体浴内で加熱される。
【0037】
[0037]化学的処理には、細胞のpHを上昇させる工程;細胞のpHを低下させる工程;細胞を化学薬品と接触させる工程およびそれらの組み合わせが含まれるがそれらに限定されない。
【0038】
[0038]一部の実施形態では、細胞は、細胞のpHを上昇させる工程によって溶解される。一部の実施形態では、pHは塩基を添加する工程によって上昇させられる。塩基には、水酸化物(例えば、LiOH、NaOH、KOHおよびCa(OH)ならびにそれらの組み合わせ);炭酸塩(例えば、NaCO、KCO、MgCOおよびそれらの組み合わせ);重炭酸塩(例えば、LiHCO、NaHCO、KHCOおよびそれらの組み合わせ)ならびにそれらの組み合わせが含まれるがそれらに限定されない。塩基は、固体(例えば、結晶、顆粒およびペレット);液体(例えば、水溶液)およびそれらの組み合わせの形態であってよい。
【0039】
[0039]一部の実施形態では、塩基は、1~12、1~10、1~8、1~6、1~5、2~12、2~10、2~8、2~6、2~5、3~10、3~6、3~5、4~10、4~8、4~6、5~10または5~8のpKを有する。本明細書で使用する用語「pK」は、塩基の結合定数Kの負の対数を意味する。Kは、水中の塩基のイオン化の平衡定数を意味する:
【数1】

;および塩基BのKは:
【数2】

であると規定されている。
【0040】
[0040]一部の実施形態では、pHは、約8以上;約9以上;約10以上;約11以上および約12以上から選択される。他の実施形態では、pHは、7~13;7~12;7~11;7~10;7~9;8~13;8~12;8~11;8~10;8~9;9~12;9~11;9~10;10~12;および10~11のpHから選択される。
【0041】
[0041]一部の実施形態では、細胞のpHは、塩素アルカリ法によって上昇させることができる。一部の実施形態では、塩化ナトリウムおよび細胞を含有する発酵ブロスは、細胞のpHを上昇させる水酸化ナトリウムの形成を生じさせる電気分解にかけられる。一部の実施形態では、発酵ブロスは、塩化ナトリウムに代えて、または追加して、塩化カルシウムもしくは塩化カリウムを含み、電気分解は各々水酸化カルシウムもしくは水酸化カリウムの形成を生じさせ、それにより細胞のpHを上昇させる。
【0042】
[0042]一部の実施形態では、細胞は、細胞のpHを低下させる工程によって溶解される。一部の実施形態では、pHは酸を添加する工程によって低下させられる。酸には、硫酸;リン酸;塩酸;臭化水素酸;ヨウ化水素酸;次亜塩素酸;亜塩素酸;塩素酸;過塩素酸;フルオロ硫酸;硝酸;フルオロアンチモン酸;フルオロホウ酸;ヘキサフルオロリン酸;クロム酸;ホウ酸;酢酸;クエン酸;ギ酸およびそれらの組み合わせが含まれるがそれらに限定されない。一部の実施形態では、pHは、約7以下、約6.5以下、約6以下、約5.5以下、約5以下、約4.5以下、約4以下、約3.5以下、約3以下、約2.5以下、約2以下、約1.5以下、約1以下および約0.5以下から選択される。他の実施形態では、pHは、約0.5~約7;約0.5~約6.5;約0.5~約6;約0.5~約5.5;約0.5~約5;約0.5~約4.5;約0.5~約4;約0.5~約3.5;約0.5~約3;約0.5~約2.5;約0.5~約2;約0.5~約1.5;約0.5~約1;約1~約7;約1~約6.5;約1~約6;約1~約5.5;約1~約5;約1~約4.5;約1~約4;約1~約3.5;約1~約3;約1~約2.5;約1~約2;約1~約1.5;約1.5~約7;約1.5~約6.5;約1.5~約6;約1.5~約5.5;約1.5~約5;約1.5~約4.5;約1.5~約4;約1.5~約3.5;約1.5~約3;約1.5~約2.5;約1.5~約2;約2~約7;約2~約6.5;約2~約6;約2~約5.5;約2~約5;約2~約4.5;約2~約4、約2~約3.5;約2~約3;約2~約2.5;約2.5~約7;約2.5~約6.5;約2.5~約6;約2.5~約5.5;約2.5~約5;約2.5~約4.5;約2.5~約4;約2.5~約3.5;約2.5~約3;約3~約7;約3~約6.5;約3~約6;約3~約5.5;約3~約5;約3~約4.5;約3~約4;約3~約3.5;約3.5~約7;約3.5~約6.5;約3.5~約6;約3.5~約5.5;約3.5~約5;約3.5~約4.5;約3.5~約4;約4~約7;約4~約6.5;約4~約6;約4~約5.5;約4~約5;約4~約4.5;約4.5~約7;約4.5~約6.5;約4.5~約6;約4.5~約5.5;約4.5~約5;約5~約7;約5~約6.5;約5~約6;約5~約5.5;約5.5~約7;約5.5~約6.5;約5.5~約6;約6~約7;約6~約6.5および約6.5~約7から選択される。
【0043】
[0043]一部の実施形態では、酸は、pHを低下させるために、細胞ブロスの重量(または容積)で約2%~約10%、約2%~約9%、約2%~約8%、約2%~約7%、約2%~約6%、約3%~約6%、約4%~約6%、約5%~約6%、約2%~約5%、約2%~約4%、約2%~約3%、約3%~約5%、約3%~約4%または約4%~約5%の量で添加される。
【0044】
[0044]酵素的処理は、細胞を1種以上の酵素と接触させる工程を意味する。酵素には、プロテアーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、キチナーゼ、ペクチナーゼおよびそれらの組み合わせが含まれるがそれらに限定されない。プロテアーゼの非限定的な例には、セリンプロテアーゼ、トレオニンプロテアーゼ、システインプロテアーゼ、アスパルテートプロテアーゼ、メタロプロテアーゼ、グルタミン酸プロテアーゼ、アラカーゼ(alacase)およびそれらの組み合わせが含まれる。セルラーゼの非限定的な例には、スクラーゼ、マルターゼ、ラクターゼ、α-グルコシダーゼ、β-グルコシダーゼ、アミラーゼ、リゾチーム、ノイラミニダーゼ、ガラクトシダーゼ、α-マンノシダーゼ、グルクロニダーゼ、ヒアルロニダーゼ、プルラナーゼ、グルコセレブロシダーゼ、ガラクトシルセラミダーゼ、アセチルガラクトサミニダーゼ、フコシダーゼ、ヘキソサミニダーゼ、イヅロニダーゼ、マルターゼ-グルコアミラーゼおよびそれらの組み合わせが含まれる。キチナーゼの非限定的な例にはキトトリオシダーゼが含まれる。ペクチナーゼの非限定的な例には、ペクトリアーゼ、ペクトザイム(pectozyme)、ポリガラクツロナーゼおよびそれらの組み合わせが含まれる。一部の実施形態では、一部の酵素は加熱する工程によって活性化される。一部の実施形態では、溶解は、酵素の使用を含んでいない。
【0045】
[0045]本明細書で使用する「溶解細胞組成物」は、細胞断片および細胞の他の内容物を含む1つ以上の溶解細胞を微生物油(溶解細胞由来)と組み合わせて、および任意選択的に液体(例えば、水)、栄養素および微生物細胞を含有するブロスを含む組成物を意味する。一部の実施形態では、微生物細胞は、水を含む発酵ブロスまたは発酵培地中に含有されている。一部の実施形態では、溶解細胞組成物は、1つ以上の溶解細胞、細胞断片、微生物油、細胞の天然内容物および発酵ブロスからの水性成分を含む組成物を意味する。1つの実施形態では、溶解細胞組成物は、液体、細胞断片および微生物油を含む。一部の実施形態では、溶解細胞組成物は、連続水相および分散油相の混合物を含む水中油型エマルジョンの形態である。一部の実施形態では、分散油相は、乳化溶解細胞組成物の重量(または容積)で約1%~約60%;約1%~約50%;約1%~約40%;約1%~約30%;約1%~約20%;約5%~約60%;約5%~約50%;約5%~約40%;約5%~約30%;約5%~約20%;約10%~約60%;約10%~約50%;約10%~約40%;約20%~約60%;20%~50%、20%~約40%;約30%~約60%;約30%~約50%または約40%~約60%の濃度で存在する。
【0046】
[0046]一部の実施形態では、微生物細胞を溶解する工程は、タンパク質、リン脂質、炭水化物およびそれらの組み合わせを含むがそれらに限定されない細胞または細胞バイオマス中の内因性物質からのエマルジョンの形成を生じさせる。何らかの特定の理論に拘束されなくても、本発明の方法は、乳化溶解細胞組成物を破壊または解乳化し、微生物油を溶解細胞組成物から分離することを可能にすると考えられる。用語「エマルジョン」および「乳化」は、1つの相または層がもう1つの相または層中に分散している2つ以上の非混和性相または層の混合物を意味する。用語「破断する」、「破壊する」、「解乳化する」、「解乳化」、「解乳化する工程」および「破壊する工程」は、エマルジョンの非混和性の相または層を分離する方法を意味する。例えば、乳化溶解細胞組成物を解乳化または破壊する工程は、それにより乳化溶解細胞組成物が1つ以上の相または層を有するエマルジョンから2つ以上の相または層を有する組成物に変化する方法を意味する。例えば、一部の実施形態では、本発明の方法は、乳化溶解細胞組成物を単一相から2つ以上の相へ破壊する。一部の実施形態では、2つ以上の相は、油相および水相を含んでいる。一部の実施形態では、本発明の方法は、乳化溶解細胞組成物を少なくとも3つの相へ破壊する。一部の実施形態では、3つの相は油相、水相および固相から選択される。一部の実施形態では、これらの相は、油相、エマルジョン相、水相および固相から選択される。
【0047】
[0047]一部の実施形態では、本方法は、溶解細胞組成物のpHを低下させる工程によって溶解細胞組成物を解乳化する工程を含んでいる。一部の実施形態では、pHは酸を添加する工程によって低下させられる。酸には、硫酸;リン酸;塩酸;臭化水素酸;ヨウ化水素酸;次亜塩素酸;亜塩素酸;塩素酸;過塩素酸;フルオロ硫酸;硝酸;フルオロアンチモン酸;フルオロホウ酸;ヘキサフルオロリン酸;クロム酸;ホウ酸;酢酸;クエン酸;ギ酸およびそれらの組み合わせが含まれるがそれらに限定されない。一部の実施形態では、pHは、7以下;約6.5以下;約6以下;約5.5以下;約5以下;約4.5以下;約4以下;約3.5以下;約3以下;約2.5以下;約2以下;約1.5以下;約1以下および約0.5以下から選択される。一部の実施形態では、本方法は、溶解細胞組成物のpHを約6以下へ低下させる工程を含んでいる。他の実施形態では、pHは、約0.5~約7;約0.5~約6.5;約0.5~約6;約0.5~約5.5;約0.5~約5;約0.5~約4.5;約0.5~約4;約0.5~約3.5;約0.5~約3;約0.5~約2.5;約0.5~約2;約0.5~約1.5;約0.5~約1;約1~約7;約1~約6.5;約1~約6;約1~約5.5;約1~約5;約1~約4.5;約1~約4;約1~約3.5;約1~約3;約1~約2.5;約1~約2;約1~約1.5;約1.5~約7;約1.5~約6.5;約1.5~約6;約1.5~約5.5;約1.5~約5;約1.5~約4.5;約1.5~約4;約1.5~約3.5;約1.5~約3;約1.5~約2.5;約1.5~約2;約2~約7;約2~約6.5;約2~約6;約2~約5.5;約2~約5;約2~約4.5;約2~約4、約2~約3.5;約2~約3;約2~約2.5;約2.5~約7;約2.5~約6.5;約2.5~約6;約2.5~約5.5;約2.5~約5;約2.5~約4.5;約2.5~約4;約2.5~約3.5;約2.5~約3;約3~約7;約3~約6.5;約3~約6;約3~約5.5;約3~約5;約3~約4.5;約3~約4;約3~約3.5;約3.5~約7;約3.5~約6.5;約3.5~約6;約3.5~約5.5;約3.5~約5;約3.5~約4.5;約3.5~約4;約4~約7;約4~約6.5;約4~約6;約4~約5.5;約4~約5;約4~約4.5;約4.5~約7;約4.5~約6.5;約4.5~約6;約4.5~約5.5;約4.5~約5;約5~約7;約5~約6.5;約5~約6;約5~約5.5;約5.5~約7;約5.5~約6.5;約5.5~約6;約6~約7;約6~約6.5および約6.5~約7から選択される。一部の実施形態では、本方法は、溶解細胞組成物のpHを約0.5~約6へ低下させる工程を含んでいる。
【0048】
[0048]一部の実施形態では、本方法は、細胞ブロスまたは溶解細胞組成物の重量(または容積)で約0.5%~約20%、約0.5%~約15%、約0.5%~約10%、約0.5%~約9%、約0.5%~約8%、約0.5%~約7%、約0.5%~約6%、約0.5%~約5%、約0.5%~約4%、約0.5%~約3%、約0.5%~約2%および約0.5%~約1%の量で酸を添加する工程によって溶解細胞組成物を解乳化する工程を含む。1つの実施形態では、本方法は、溶解細胞組成物の重量で約0.5%~約20%の量で酸を添加する工程によって溶解細胞組成物を解乳化する工程を含む。
【0049】
[0049]一部の実施形態では、本方法は、細胞を溶解前、溶解中または溶解後に加熱する工程をさらに含む。一部の実施形態では、本方法は、溶解細胞組成物および/または細胞を少なくとも10℃、少なくとも20℃、少なくとも25℃、少なくとも30℃、少なくとも35℃、少なくとも40℃、少なくとも45℃、少なくとも50℃、少なくとも55℃、少なくとも60℃、少なくとも65℃、少なくとも70℃、少なくとも75℃、少なくとも80℃、少なくとも85℃、少なくとも90℃、少なくとも95℃または少なくとも100℃へ加熱する工程を含む。他の実施形態では、本方法は、溶解細胞組成物および/または細胞を約10℃~約100℃、約10℃~約90℃、約10℃~約80℃、約10℃~約70℃、約20℃~約100℃、約20℃~約90℃、約20℃~約80℃、約20℃~約70℃、約30℃~約100℃、約30℃~約90℃、約30℃~約80℃、約30℃~約70℃、約40℃~約100℃、約40℃~約90℃、約40℃~約80℃、約50℃~約100℃、約50℃~約90℃、約50℃~約80℃、約50℃~約70℃、約60℃~約100℃、約60℃~約90℃、約60℃~約80℃、約70℃~約100℃、約70℃~約90℃、約80℃~約100℃、約80℃~約90℃または約90℃~約100℃へ加熱する工程を含んでいる。また別の実施形態では、本方法は、溶解細胞組成物を約70℃~約100℃、約70℃~約90℃、約80℃~約100℃、約80℃~約90℃または約90℃~約100℃へ加熱する工程を含む。さらにまた別の実施形態では、本方法は、溶解細胞組成物を少なくとも70℃、少なくとも75℃、少なくとも80℃、少なくとも85℃、少なくとも90℃、少なくとも95℃または少なくとも100℃へ加熱する工程を含む。さらにまた別の実施形態では、本方法は、溶解細胞組成物を少なくとも70℃へ加熱する工程をさらに含む。さらにまた別の実施形態では、本方法は、溶解細胞組成物を約70℃~約100℃へ加熱する工程をさらに含む。
【0050】
[0050]一部の実施形態では、本方法は、溶解細胞組成物が5ミクロン~25ミクロン;5ミクロン~20ミクロン;5ミクロン~15ミクロン;10ミクロン~25ミクロン;10ミクロン~20ミクロン;10ミクロン~15ミクロン;15ミクロン~25ミクロン;15ミクロン~20ミクロンおよび20ミクロン~25ミクロンから選択される平均粒径を含むようになるまで溶解細胞組成物を加熱する工程をさらに含む。また別の実施形態では、溶解細胞組成物の平均粒径は、25ミクロン以下、20ミクロン以下、15ミクロン以下、10ミクロン以下および5ミクロン以下から選択される。また別の実施形態では、溶解細胞組成物の平均粒径は、25ミクロン以下である。一部の実施形態では、平均粒径は、例えば、Beckman Coulter LS 13 320粒径分析装置(Beckman Coulter、カリフォルニア州ブレア(Brea,CA))を使用して測定できる。一部の実施形態では、平均粒径は、Malvern MS2000粒径分析装置(Malvern Instruments、英国ウスターシャー(Worcestershire,United Kingdom))を使用して測定できる。一部の実施形態では、溶解細胞組成物は、溶解細胞組成物を解乳化するために十分な期間にわたり加熱される。
【0051】
[0051]一部の実施形態では、細胞および/または溶解細胞組成物は、閉鎖型システムまたはエバポレーターを備えるシステム内で加熱することができる。一部の実施形態では、エバポレーターを備えるシステム内で、細胞および/または溶解細胞組成物中に存在する水の一部分が蒸発によって除去されるように細胞および/または溶解細胞組成物を加熱することができる。一部の実施形態では、1つの方法は、細胞および/または溶解細胞組成物中に存在する水を重量(または容積)で1%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%または50%まで除去するために、エバポレーターを備えるシステム内で細胞および/または溶解細胞組成物を加熱する工程を含む。一部の実施形態では、1つの方法は、重量(または容積)で1%~50%、1%~45%、1%~40%、1%~35%、1%~30%、1%~25%、1%~20%、1%~15%、1%~10%、1%~5%、5%~50%、5%~45%、5%~40%、5%~35%、5%~30%、5%~25%、5%~20%、5%~15%、5%~10%、10%~50%、10%~45%、10%~40%、10%~35%、10%~30%、10%~25%、10%~20%、10%~15%、15%~50%、15%~45%、15%~40%、15%~35%、15%~30%、15%~25%、15%~20%、20%~50%、20%~45%、20%~40%、20%~35%、20%~30%、20%~25%、25%~50%、25%~45%、25%~40%、25%~35%、25%~30%、30%~50%、30%~45%、30%~40%、30%~35%、35%~50%、35%~45%、35%~40%、40%~50%、40%~45%または45%~50%の水を除去するために、エバポレーターを備えるシステム内で細胞および/または溶解細胞組成物を加熱する工程を含む。
【0052】
[0052]一部の実施形態では、本方法は、溶解細胞組成物に乳化剤を添加する工程をさらに含む。一部の実施形態では、乳化剤は洗剤である。一部の実施形態では、乳化剤は界面活性剤である。一部の実施形態では、乳化剤は、溶解前、溶解中または溶解後に添加される。1つの実施形態では、乳化剤は、溶解後に添加される。一部の実施形態では、乳化剤は、溶解細胞組成物に添加される。本明細書で使用する用語「乳化剤」は、エマルジョンを安定化する物質を意味する。乳化剤は、イオン性乳化剤、非イオン性乳化剤およびそれらの組み合わせから選択される。一部の実施形態では、乳化剤は、イオン性乳化剤である。
【0053】
[0053]一部の実施形態では、イオン性乳化剤は、アニオン性乳化剤、カチオン性乳化剤およびそれらの組み合わせから選択される。一部の実施形態では、アニオン性乳化剤は、アニオン性硫酸塩乳化剤、例えば、硫酸アルキル(例えば、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)/ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)およびそれらの組み合わせ)、アルキル硫酸エーテル(例えば、ラウレス硫酸ナトリウム/ラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ミレス硫酸ナトリウムおよびそれらの組み合わせ)およびそれらの組み合わせ;アニオン性スルホン酸塩乳化剤、例えば、ドキュセート(例えば、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、スルホン酸塩フルオロ界面活性剤(例えば、パーフルオロオクタンスルホン酸塩およびパーフルオロブタンスルホン酸塩)、アルキルベンゼンスルホン酸塩およびそれらの組み合わせ);アニオン性リン酸塩乳化剤(例えば、リン酸アルキルアリールエーテル、リン酸アルキルエーテルおよびそれらの組み合わせ);アニオン性カルボン酸塩乳化剤(例えば、カルボン酸アルキル(例えば、ステアリン酸ナトリウム、ラウロイルサルコシンナトリウム、カルボン酸フルオロ界面活性剤(例えば、パーフルオロノナン酸塩、パーフルオロオクタン酸塩およびそれらの組み合わせ)およびそれらの組み合わせ);ならびにそれらの組み合わせであってよい。一部の実施形態では、乳化剤は、アニオン性乳化剤である。1つの実施形態では、アニオン性乳化剤は、アニオン性硫酸塩乳化剤、アニオン性スルホン酸塩乳化剤、アニオン性リン酸塩乳化剤、アニオン性カルボン酸塩乳化剤およびそれらの組み合わせから選択される。また別の実施形態では、アニオン性乳化剤は、アニオン性硫酸塩乳化剤である。さらにまた別の実施形態では、アニオン性硫酸塩乳化剤は、ラウリル硫酸アンモニウム、ドデシル硫酸ナトリウム、ラウレス硫酸ナトリウム、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ミレス硫酸ナトリウムおよびそれらの組み合わせから選択される。さらにまた別の実施形態では、アニオン性硫酸塩乳化剤は、ドデシル硫酸ナトリウムである。
【0054】
[0054]一部の実施形態では、カチオン性乳化剤は、pH依存性第一級アミン;pH依存性第二級アミン;pH依存性第三級アミン;オクテニジン二塩酸塩;永久的帯電第四級アンモニウムカチオン(例えば、アルキルトリメチルアンモニウム塩(例えば、臭化セチルトリメチルアンモニウム(CTAB)/臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム(CTAC)およびそれらの組み合わせ)、塩化セチルピリジニウム(CPC)、塩化ベンザルコニウム(BAC)、塩化ベンゼトニウム(BZT)、5-ブロモ-5-ニトロ-1,3-ジオキサン、塩化ジメチルジオクタデシルアンモニウム、臭化ジオクタデシルジメチルアンモニウム(DODAB)およびそれらの組み合わせ);ならびにそれらの組み合わせであってよい。
【0055】
[0055]一部の実施形態では、乳化剤の分子量は、500g/モル以下、450g/モル以下、400g/モル以下、350g/モル以下および300g/モル以下から選択される。さらにまた別の実施形態では、乳化剤の分子量は、250g/モル~500g/モル、250g/モル~450g/モル、250g/モル~400g/モル、250g/モル~350g/モル、250g/モル~300g/モル、300g/モル~500g/モル、300g/モル~450g/モル、300g/モル~400g/モル、300g/モル~350g/モル、350g/モル~500g/モル、350g/モル~450g/モル、350g/モル~400g/モル、400g/モル~500g/モル、400g/モル~450g/モルおよび450g/モル~500g/モルから選択される。例えば、SDSの分子量は288g/モルであり、CTABの分子量は364g/モルである。さらにまた別の実施形態では、乳化剤の分子量は、250g/モル~450g/モル、250g/モル~400g/モル、250g/モル~350g/モルおよび250g/モル~300g/モルから選択される。
【0056】
[0056]一部の実施形態では、乳化剤は粉末として添加される。一部の実施形態では、乳化剤は、5%~50%、5%~45%、5%~40%、5%~35%、5%~30%、10%~50%、10%~45%、10%~40%、10%~35%、10%~30%、15%~50%、15%~45%、15%~40%、15%~35%、15%~30%、20%~50%、20%~45%、20%~40%、20%~35%、20%~30%、25%~50%、25%~45%、25%~40%、25%~35%、25%~30%、30%~50%、30%~45%、30%~40%および30%~35%の量の乳化剤濃度を有する溶液で添加される。
【0057】
[0057]一部の実施形態では、(例えば、粉末形または溶液形にある)乳化剤は、発酵ブロスまたは溶解細胞組成物の重量(または容積)で0.2%~10%、0.2%~9.5%、0.2%~9%、0.2%~8.5%、0.2%~8%、0.2%~7.5%、0.2%~7%、0.2%~6.5%、0.2%~6%、0.2%~5.5%、0.2%~5%、0.2%~4.5%、0.2%~4%、0.2%~3.5%、0.2%~3%、0.2%~2.5%、0.2%~2%、0.2%~1.5%、0.2%~1%、0.2%~0.5%、0.5%~10%、0.5%~9.5%、0.5%~9%、0.5%~8.5%、0.5%~8%、0.5%~7.5%、0.5%~7%、0.5%~6.5%、0.5%~6%、0.5%~5.5%、0.5%~5%、0.5%~4.5%、0.5%~4%、0.5%~3.5%、0.5%~3%、0.5%~2.5%、0.5%~2%、0.5%~1.5%、0.5%~1%、1%~10%、1%~9.5%、1%~9%、1%~8.5%、1%~8%、1%~7.5%、1%~7%、1%~6.5%、1%~6%、1%~5.5%、1%~5%、1%~4.5%、1%~4%、1%~3.5%、1%~3%、1%~2.5%、1%~2%、1%~1.5%、1.5%~10%、1.5%~9.5%、1.5%~9%、1.5%~8.5%、1.5%~8%、1.5%~7.5%、1.5%~7%、1.5%~6.5%、1.5%~6%、1.5%~5.5%、1.5%~5%、1.5%~4.5%、1.5%~4%、1.5%~3.5%、1.5%~3%、1.5%~2.5%、1.5%~2%、2%~10%、2%~9.5%、2%~9%、2%~8.5%、2%~8%、2%~7.5%、2%~7%、2%~6.5%、2%~6%、2%~5.5%、2%~5%、2%~4.5%、2%~4%、2%~3.5%、2%~3%、2%~2.5%、2.5%~10%、2.5%~9.5%、2.5%~9%、2.5%~8.5%、2.5%~8%、2.5%~7.5%、2.5%~7%、2.5%~6.5%、2.5%~6%、2.5%~5.5%、2.5%~5%、2.5%~4.5%、2.5%~4%、2.5%~3.5%、2.5%~3%、3%~10%、3%~9.5%、3%~9%、3%~8.5%、3%~8%、3%~7.5%、3%~7%、3%~6.5%、3%~6%、3%~5.5%、3%~5%、3%~4.5%、3%~4%および3%~3.5%から選択される量で添加される。また別の実施形態では、(例えば、粉末形または溶液形にある)乳化剤は、発酵ブロスまたは溶解細胞組成物の重量(または容積)で0.2%~5%、0.5%~5%、1%~5%、1.5%~5%、2%~5%、2.5%~5%および3%~5%から選択される量で添加される。さらにまた別の実施形態では、乳化剤は、溶解細胞組成物の重量で0.2%~10%の量で添加される。
【0058】
[0058]一部の実施形態では、乳化剤は、発酵ブロスまたは溶解細胞組成物の界面張力(例えば、表面張力)を低下させる。本明細書で使用する用語「界面張力」または「表面張力」は、2つの相間の界面で長さが1メートル当たりの想像線に作用する力を意味する。一部の実施形態では、乳化剤によって形成されるエマルジョンの界面張力は、内因性物質によって形成されるエマルジョンより小さい。一部の実施形態では、界面張力は、ダイン(dyne)/cmで測定できる。
【0059】
[0059]一部の実施形態では、乳化剤は、発酵ブロスまたは溶解細胞組成物のζ電位の絶対値を上昇させる(すなわち、正のζ電位を上昇させる、または負のζ電位を低下させる)。一部の実施形態では、アニオン性乳化剤の添加は、発酵ブロスまたは溶解細胞組成物のζ電位における下方移動を生じさせることができる(すなわち、正のζ電位を低下させる、または負のζ電位を上昇させる)。一部の実施形態では、カチオン性乳化剤の添加は、発酵ブロスまたは溶解細胞組成物のζ電位における上方移動を生じさせることができる(すなわち、正のζ電位を上昇させる、または負のζ電位を低下させる)。本明細書で使用する用語「ζ電位」は、エマルジョン中の粒子間の界面動電位を意味する。一部の実施形態では、ζ電位は、mVで測定できる。一部の実施形態では、乳化剤によって形成されるエマルジョンのζ電位の絶対値は、内因性物質によって形成されるエマルジョンより高い。
【0060】
[0060]一部の実施形態では、イオン性乳化剤の添加は、水中油型エマルジョンをもたらす。一部の実施形態では、水中油型エマルジョンには、油、水およびイオン性乳化剤が含まれるがそれらに限定されない。
【0061】
[0061]一部の実施形態では、本方法は、溶解細胞組成物に塩を添加する工程をさらに含む。用語「塩]は、酸由来の水素イオンを金属(例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属および遷移金属)または正荷電化合物(例えば、NH )で置換することによって形成されたイオン性化合物を意味する。一部の実施形態では、塩は、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、硫酸塩またはそれらの組み合わせであってよい。塩中に存在する負荷電イオン種には、ハロゲン化物、硫酸塩、重硫酸塩、亜硫酸塩、リン酸塩、リン酸水素、リン酸二水素、炭酸塩、重炭酸塩およびそれらの組み合わせが含まれるがそれらに限定されない。一部の実施形態では、塩は、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、塩化カルシウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、グルタミン酸一ナトリウム、硫酸アンモニウム、塩化カリウム、塩化鉄、硫酸鉄、硫酸アルミニウム、酢酸アンモニウムおよびそれらの組み合わせから選択される。一部の実施形態では、塩はNaOHを含まない。塩は、固体(例えば、結晶形、非晶質形、ペレット形および/または顆粒形)および/または例えば水を含有する溶液(例えば、希釈溶液、飽和溶液または超飽和溶液)として添加することができる。
【0062】
[0062]一部の実施形態では、塩は、5g/L~25g/L、5g/L~10g/L、10g/L~15g/L、15g/L~20g/L、20g/L~25g/Lまたは10g/L~20g/Lの量で添加される。
【0063】
[0063]他の実施形態では、塩は、溶解細胞組成物に溶解細胞組成物の重量(または容積)で20%以下、15%以下、10%以下、7.5%以下、5%以下または2%以下の量で添加される。一部の実施形態では、塩は、溶解細胞組成物に溶解細胞組成物の重量(または容積)(例えば、ブロス総重量(または容積))で約0.05%~約20%、約0.1%~約20%、約0.1%~約15%、約0.1%~約10%、約0.5%~約20%、約0.5%~約15%、約0.5%~約10%、約0.5%~約5%、約0.5%~約4%、約0.5%~約3%、約0.5%~約2.5%、約0.5%~約2%、約0.5%~約1.5%、約0.5%~約1%、約1%~約20%、約1%~約15%、約1%~約10%、約1%~約5%、約1%~約4%、1%~約3%、約1%~約2.5%、約1%~約2%、約1%~約1.5%、約1.5%~約5%、約1.5%~約4%、約1.5%~約3%、約1.5%~約2.5%、約1.5%~約2%、約2%~20%、約2%~約15%、約2%~約10%、約2%~約5%、約2%~約4%、約2%~約3%、約2%~約2.5%、約2.5%~約5%、約2.5%~約4%、約2.5%~約3%、約3%~約5%、約3%~約4%、約4%~約5%、約5%~約20%、約5%~約15%、約5%~約10%、約10%~約20%、約10%~約15%または約15%~約20%の量で添加される。例えば、溶解細胞組成物の重量が1,000kgである場合、重量(または容積)で0.5%~20%の量で添加される塩は、溶解細胞組成物に5kg~200kgの塩の添加を必要とする。一部の実施形態では、塩は、溶解細胞組成物に溶解細胞組成物の重量(または容積)で約0.05%~約20%、(重量(または容積)で)約0.1%~約20%、約0.5%~約15%または(重量(または容積)で)約2%~約10%の量で添加される。
【0064】
[0064]一部の実施形態では、本方法は、(i)細胞の溶解前、溶解中または溶解後に;(i)溶解細胞組成物の解乳化前、解乳化中または解乳化後に、またはそれらの組み合わせで攪拌する工程をさらに含む。用語「攪拌する工程」および「撹拌」は、細胞および/または溶解細胞組成物における運動に力を適用して影響を及ぼす方法を意味する。一部の実施形態では、本方法は、かき混ぜる工程、混合する工程、ブレンドする工程、震動させる工程、振動させる工程またはそれらの組み合わせによって細胞および/または溶解細胞組成物を攪拌する工程を含む。
【0065】
[0065]一部の実施形態では、攪拌機は、細胞組成物または溶解細胞組成物中に塩基および/または塩を分散させる分散様式攪拌機である。一部の実施形態では、攪拌機は加熱板を有する。一部の実施形態では、撹拌機はかき混ぜ用マントルを有する。一部の実施形態では、攪拌機は1つ以上のインペラを有する。本明細書で使用する「インペラ」は、回転すると細胞組成物または溶解細胞組成物に運動を付与するように配列された器具を意味する。本発明とともに使用するために好適なインペラには、等厚翼インペラ、ラッシュトン(Rushton)ブレードインペラ、軸流インペラ、半径流インペラ、凹面ブレードディスクインペラ、高効率インペラ、プロペラ、パドル、タービンおよびそれらの組み合わせが含まれる。
【0066】
[0066]一部の実施形態では、本発明の方法は、細胞および/または溶解細胞組成物を各々0.1hp/1,000gal~10hp/1,000gal、0.5hp/1,000gal~8hp/1,000gal、1hp/1,000gal~6hp/1,000galまたは2hp/1,000gal~5hp/1,000gal(細胞または組成物)で攪拌する工程を含む。一部の実施形態では、本方法は、細胞および/または溶解細胞組成物を各々0.1hp/1000gal~10hp/1000gal(細胞または組成物)で攪拌する工程を含む。
【0067】
[0067]一部の実施形態では、本発明は、10rpm以下、20rpm以下、50rpm以下、100rpm以下、150rpm以下、200rpm以下、250rpm以下、300rpm以下、350rpm以下、400rpm以下、10rpm~400rpm、10rpm~350rpm、10rpm~300rpm、10rpm~250rpm、10rpm~200rpm、10rpm~150rpm、10rpm~100rpm、10rpm~50rpm、10rpm~20rpm、20rpm~400rpm、20rpm~350rpm、20rpm~300rpm、20rpm~250rpm、20rpm~200rpm、20rpm~150rpm、20rpm~100rpm、20rpm~50rpm、50rpm~400rpm、50rpm~350rpm、50rpm~300rpm、50rpm~250rpm、50rpm~200rpm、50rpm~150rpm、50rpm~100rpm、100rpm~400rpm、100rpm~350rpm、100rpm~300rpm、100rpm~250rpm、100rpm~200rpm、100rpm~150rpm、150rpm~400rpm、150rpm~350rpm、150rpm~300rpm、150rpm~250rpm、150rpm~200rpm、200rpm~400rpm、200rpm~350rpm、200rpm~300rpm、200rpm~250rpm、250rpm~400rpm、250rpm~350rpm、250rpm~300rpm、300rpm~400rpm、300rpm~350rpmまたは350rpm~400rpmで攪拌する工程を含む。一部の実施形態では、攪拌する工程は、350rpm以下の速度で行われる。
【0068】
[0068]一部の実施形態では、本方法は、細胞および/または溶解細胞組成物を90ft/分~1,200ft/分、200ft/分~1,000ft/分、300ft/分~800ft/分、400ft/分~700ft/分または500ft/分~600ft/分のインペラ先端速度を有する攪拌機を使用して攪拌する工程を含んでいる。一部の実施形態では、本方法は、200ft/分~1000ft/分のインペラ先端速度を有する攪拌機を用いて攪拌する工程を含む。
【0069】
[0069]一部の実施形態では、本方法は、細胞および/または溶解細胞組成物を5cm/秒~900cm/秒、5cm/秒~750cm/秒、5cm/秒~500cm/秒、5cm/秒~350cm/秒、5cm/秒~300cm/秒、5cm/秒~250cm/秒、5cm/秒~200cm/秒、5cm/秒~150cm/秒、5cm/秒~100cm/秒、5cm/秒~50cm/秒、5cm/秒~25cm/秒、25cm/秒~900cm/秒、25cm/秒~750cm/秒、25cm/秒~500cm/秒、25cm/秒~350cm/秒、25cm/秒~300cm/秒、25cm/秒~250cm/秒、25cm/秒~200cm/秒、25cm/秒~150cm/秒、25cm/秒~100cm/秒、25cm/秒~50cm/秒、50cm/秒~900cm/秒、50cm/秒~750cm/秒、50cm/秒~500cm/秒、50cm/秒~350cm/秒、50cm/秒~300cm/秒、50cm/秒~250cm/秒、50cm/秒~200cm/秒、50cm/秒~150cm/秒、50cm/秒~100cm/秒、100cm/秒~900cm/秒、100cm/秒~750cm/秒、100cm/秒~500cm/秒、100cm/秒~350cm/秒、100cm/秒~300cm/秒、100cm/秒~250cm/秒、100cm/秒~200cm/秒、100cm/秒~150cm/秒、150cm/秒~900cm/秒、150cm/秒~750cm/秒、150cm/秒~500cm/秒、150cm/秒~350cm/秒、150cm/秒~300cm/秒、150cm/秒~250cm/秒、150cm/秒~200cm/秒、200cm/秒~900cm/秒、200cm/秒~750cm/秒、200cm/秒~500cm/秒、200cm/秒~350cm/秒、200cm/秒~300cm/秒、200cm/秒~250cm/秒、250cm/秒~900cm/秒、250cm/秒~750cm/秒、250cm/秒~500cm/秒、250cm/秒~350cm/秒、250cm/秒~300cm/秒、300cm/秒~900cm/秒、300cm/秒~750cm/秒、300cm/秒~500cm/秒、300cm/秒~350cm/秒、350cm/秒~900cm/秒、350cm/秒~850cm/秒、350cm/秒~800cm/秒、350cm/秒~750cm/秒、350cm/秒~700cm/秒、350cm/秒~650cm/秒、350cm/秒~600cm/秒、350cm/秒~550cm/秒、350cm/秒~500cm/秒、350cm/秒~450cm/秒、350cm/秒~400cm/秒、400cm/秒~900cm/秒、400cm/秒~850cm/秒、400cm/秒~800cm/秒、400cm/秒~750cm/秒、400cm/秒~700cm/秒、400cm/秒~650cm/秒、400cm/秒~600cm/秒、400cm/秒~550cm/秒、400cm/秒~500cm/秒、400cm/秒~450cm/秒、450cm/秒~900cm/秒、450cm/秒~850cm/秒、450cm/秒~800cm/秒、450cm/秒~750cm/秒、450cm/秒~700cm/秒、450cm/秒~650cm/秒、450cm/秒~600cm/秒、450cm/秒~550cm/秒、450cm/秒~500cm/秒、500cm/秒~900cm/秒、500cm/秒~850cm/秒、500cm/秒~800cm/秒、500cm/秒~750cm/秒、500cm/秒~700cm/秒、500cm/秒~650cm/秒、500cm/秒~600cm/秒、500cm/秒~550cm/秒、550cm/秒~900cm/秒、550cm/秒~850cm/秒、550cm/秒~800cm/秒、550cm/秒~750cm/秒、550cm/秒~700cm/秒、550cm/秒~650cm/秒、550cm/秒~600cm/秒、600cm/秒~900cm/秒、600cm/秒~850cm/秒、600cm/秒~800cm/秒、600cm/秒~750cm/秒、600cm/秒~700cm/秒、600cm/秒~650cm/秒、650cm/秒~900cm/秒、650cm/秒~850cm/秒、650cm/秒~800cm/秒、650cm/秒~750cm/秒、650cm/秒~700cm/秒、700cm/秒~900cm/秒、700cm/秒~850cm/秒、700cm/秒~800cm/秒、700cm/秒~750cm/秒、750cm/秒~900cm/秒、750cm/秒~850cm/秒、750cm/秒~800cm/秒、800cm/秒~900cm/秒、800cm/秒~850cm/秒または850cm/秒~900cm/秒のインペラ先端速度を有する攪拌機を使用して攪拌する工程を含んでいる。用語「インペラ先端速度」は、インペラがその中心軸の周囲を回転するときのインペラの最も外側の部分の速度を意味する。
【0070】
[0070]一部の実施形態では、攪拌する工程(および本明細書に記載した任意選択的な追加の工程)は、インペラを含む容器内で実施されるが、このときインペラ径対容器容積の比は、0.1~0.5、0.1~0.4、0.2~0.5、0.2~0.4、0.3~0.5または0.3~0.4である。
【0071】
[0071]一部の実施形態では、攪拌する工程(および本明細書に記載した任意選択的な追加の工程)は、インペラを含む容器内で実施されるが、インペラ径対容器内径の比は、少なくとも0.25、少なくとも0.34、少なくとも0.65、0.25~0.65、0.25~0.33、0.3~0.6、0.3~0.5、0.3~0.4、0.34~0.65、0.34~0.6、0.34~0.55、0.37~0.55、0.4~0.65、0.4~0.6、0.4~0.5または0.42~0.55である。
【0072】
[0072]一部の実施形態では、攪拌する工程は、細胞および/または溶解細胞組成物が10~10,000、1,000~10,000、1,500~10,000または2,000~10,000のレイノルズ(Reynolds)数によって記載される流動条件下に置かれるように細胞および/または溶解細胞組成物を混合する工程を含む。一部の実施形態では、攪拌する工程中の溶解細胞エマルジョンは、2,000以上、3,000以上もしくは5,000以上、または2,000~10,000、3,000~10,000もしくは5,000~10,000のレイノルズ数を有する。
【0073】
[0073]一部の実施形態では、撹拌容器は2つのインペラを有することができる。一部の実施形態では、インペラはラッシュトンブレードインペラである。一部の実施形態では、インペラは少なくとも最小インペラの直径に等しい間隔をあけて相互に離れている。一部の実施形態では、インペラは、先端間の距離が30インチ~40インチ、33インチ~37インチ、33インチ、34インチ、35インチ、36インチまたは37インチである。一部の実施形態では、撹拌容器は、少なくとも10,000L、少なくとも20,000L、少なくとも30,000L、少なくとも40,000Lまたは少なくとも50,000Lの容積を有する。一部の実施形態では、撹拌容器は、90インチ~110インチ、95インチ~105インチ、98インチ、99インチ、100インチ、101インチまたは102インチの内径を有する。一部の実施形態では、第1インペラは、撹拌容器の底部から15インチ~20インチ、16インチ~19インチまたは17インチ~18インチに位置し、第2インペラは第1インペラの上方60インチ~80インチ、65インチ~75インチ、68インチ、69インチ、70インチ、71インチ、72インチ、73インチ、74インチまたは75インチに位置する。一部の実施形態では、溶解細胞組成物は、少なくとも50rpm、少なくとも60rpmまたは少なくとも70rpmで撹拌される。一部の実施形態では、溶解細胞組成物は、50rpm~70rpm、50rpm~60rpmまたは60rpm~70rpmで撹拌される。
【0074】
[0074]一部の実施形態では、本方法は、溶解細胞組成物を攪拌する工程をさらに含む。一部の実施形態では、溶解細胞組成物を攪拌する方法は、溶解細胞組成物を解乳化する。
【0075】
[0075]一部の実施形態では、解乳化中に形成される油滴の平均粒径は、5ミクロン~50ミクロン;5ミクロン~45ミクロン;5ミクロン~40ミクロン;5ミクロン~35ミクロン;5ミクロン~30ミクロン;5ミクロン~25ミクロン;5ミクロン~20ミクロン;5ミクロン~15ミクロン;10ミクロン~50ミクロン;10ミクロン~45ミクロン;10ミクロン~40ミクロン;10ミクロン~35ミクロン;10ミクロン~30ミクロン;10ミクロン~25ミクロン;10ミクロン~20ミクロン;10ミクロン~15ミクロン;15ミクロン~50ミクロン;15ミクロン~45ミクロン;15ミクロン~40ミクロン;15ミクロン~35ミクロン;15ミクロン~30ミクロン;15ミクロン~25ミクロン;15ミクロン~20ミクロン;20ミクロン~50ミクロン;20ミクロン~45ミクロン;20ミクロン~40ミクロン;20ミクロン~35ミクロン;20ミクロン~30ミクロン;20ミクロン~25ミクロン;25ミクロン~50ミクロン;25ミクロン~45ミクロン;25ミクロン~40ミクロン;25ミクロン~35ミクロン;25ミクロン~30ミクロン;30ミクロン~50ミクロン;30ミクロン~45ミクロン;30ミクロン~40ミクロン;30ミクロン~35ミクロン;35ミクロン~50ミクロン;35ミクロン~45ミクロン;35ミクロン~40ミクロン;40ミクロン~50ミクロン;40ミクロン~45ミクロンおよび45ミクロン~50ミクロンから選択される。また別の実施形態では、解乳化中に形成される油滴の平均粒径は、少なくとも10ミクロン、少なくとも15ミクロン、少なくとも20ミクロン、少なくとも25ミクロン、少なくとも30ミクロン、少なくとも35ミクロンおよび40ミクロン以上から選択される。また別の実施形態では、解乳化中に形成される油滴の平均粒径は、少なくとも10ミクロン、少なくとも15ミクロン、少なくとも20ミクロンおよび少なくとも25ミクロンから選択される。一部の実施形態では、平均粒径は、例えば、Beckman Coulter LS 13 320粒径分析装置(Beckman Coulter、カリフォルニア州ブレア)を使用して測定できる。一部の実施形態では、平均粒径は、例えば、Malvern MS2000粒径分析装置(Malvern Instruments、英国ウスターシャー)を使用して測定できる。
【0076】
[0076]一部の実施形態では、溶解細胞組成物は、解乳化溶解細胞組成物を形成するために乳化剤、酸、塩、加熱および撹拌のうちの1つ以上にかけられる。
【0077】
[0077]一部の実施形態では、本方法は、1工程の溶解および解乳化する工程を形成するために溶解する工程および解乳化する工程を一緒に組み合わせることをさらに含む。
【0078】
[0078]一部の実施形態では、本方法は、1工程の溶解および解乳化する工程を形成するために、細胞および溶解細胞組成物のpHを上昇させる工程を含む溶解する工程および解乳化する工程を一緒に組み合わせることをさらに含む。一部の実施形態では、1工程の溶解および解乳化する工程は、細胞および溶解細胞組成物のpHを約8以上へ上昇させる工程を含んでいる。一部の実施形態では、1工程の溶解および解乳化する工程は、細胞および溶解細胞組成物のpHを上昇させるために塩基を添加する工程を含む。一部の実施形態では、1工程の溶解および解乳化する工程は、細胞および溶解細胞組成物のpHを約8以上へ上昇させるために塩基を添加する工程を含む。
【0079】
[0079]一部の実施形態では、1工程の溶解および解乳化する工程に添加できる塩基は、既に本明細書で上記の塩基から選択される。一部の実施形態では、1工程の溶解および解乳化する工程の細胞および溶解細胞組成物のpHは、約8以上;約9以上;約10以上;約11以上および約12以上から選択されるpHへ上昇させることができる。他の実施形態では、1工程の溶解および解乳化する工程の細胞および溶解細胞組成物のpHは、7~13;7~12;7~11;7~10;7~9;8~13;8~12;8~11;8~10;8~9;9~12;9~11;9~10;10~12および10~11から選択されるpHへ上昇させることができる。
【0080】
[0080]一部の実施形態では、細胞は、解乳化溶解細胞組成物を形成するために好適なpHで溶解される。一部の実施形態では、好適なpHは、既に本明細書で上記の塩基を添加する工程によって達成される。一部の実施形態では、好適なpHは、7~13;7~12;7~11;7~10;7~9;8~13;8~12;8~11;8~10;8~9;9~13;9~12;9~11;9~10;10~13;10~12および10~11から選択される。他の実施形態では、好適なpHは、10~13から選択される。さらにまた別の実施形態では、好適なpHは、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12および少なくとも13から選択される。
【0081】
[0081]一部の実施形態では、好適なpHは、細胞ブロスまたは組成物の重量(または容積)で約0.5%~約20%、約0.5%~約15%、約0.5%~約10%、約0.5%~約9%、約0.5%~約8%、約0.5%~約7%、約0.5%~約6%、約0.5%~約5%、約0.5%~約4%、約0.5%~約3%、約0.5%~約2%および約0.5%~約1%から選択される量で塩基を添加する工程によって達成される。1つの実施形態では、好適なpHは、ブロスの重量で約0.5%~約20%の量で塩基を添加する工程によって達成される。
【0082】
[0082]他の実施形態では、好適なpHは、既に本明細書で上記の酸を添加する工程によって達成される。一部の実施形態では、好適なpHは、7以下;約6.5以下;約6以下;約5.5以下;約5以下;約4.5以下;約4以下;約3.5以下;約3以下;約2.5以下;約2以下;約1.5以下;約1以下および約0.5以下から選択される。一部の実施形態では、好適なpHは、約6以下から選択される。他の実施形態では、pHは、約0.5~約7;約0.5~約6.5;約0.5~約6;約0.5~約5.5;約0.5~約5;約0.5~約4.5;約0.5~約4;約0.5~約3.5;約0.5~約3;約0.5~約2.5;約0.5~約2;約0.5~約1.5;約0.5~約1;約1~約7;約1~約6.5;約1~約6;約1~約5.5;約1~約5;約1~約4.5;約1~約4;約1~約3.5;約1~約3;約1~約2.5;約1~約2;約1~約1.5;約1.5~約7;約1.5~約6.5;約1.5~約6;約1.5~約5.5;約1.5~約5;約1.5~約4.5;約1.5~約4;約1.5~約3.5;約1.5~約3;約1.5~約2.5;約1.5~約2;約2~約7;約2~約6.5;約2~約6;約2~約5.5;約2~約5;約2~約4.5;約2~約4、約2~約3.5;約2~約3;約2~約2.5;約2.5~約7;約2.5~約6.5;約2.5~約6;約2.5~約5.5;約2.5~約5;約2.5~約4.5;約2.5~約4;約2.5~約3.5;約2.5~約3;約3~約7;約3~約6.5;約3~約6;約3~約5.5;約3~約5;約3~約4.5;約3~約4;約3~約3.5;約3.5~約7;約3.5~約6.5;約3.5~約6;約3.5~約5.5;約3.5~約5;約3.5~約4.5;約3.5~約4;約4~約7;約4~約6.5;約4~約6;約4~約5.5;約4~約5;約4~約4.5;約4.5~約7;約4.5~約6.5;約4.5~約6;約4.5~約5.5;約4.5~約5;約5~約7;約5~約6.5;約5~約6;約5~約5.5;約5.5~約7;約5.5~約6.5;約5.5~約6;約6~約7;約6~約6.5および約6.5~約7から選択される。一部の実施形態では、好適なpHは、約0.5~約6から選択される。
【0083】
[0083]一部の実施形態では、本方法は、未洗浄解乳化溶解細胞組成物を形成するために微生物油を含む未洗浄溶解細胞を解乳化する工程およびその後に未洗浄解乳化溶解細胞組成物から油を分離する工程を含んでいる。未洗浄解乳化溶解細胞組成物は、それにより溶解細胞組成物が、例えば後に遠心分離によって除去される水またはバッファーを用いて洗浄されない方法を意味する。溶解細胞組成物を洗浄する工程は、細胞から得られる油の総収率を減少させる可能性がある。
【0084】
[0084]また別の実施形態では、溶解細胞組成物が洗浄される回数は、1回、2回、3回以上減少させることができる。一部の実施形態では、洗浄する工程は、1回、2回または3回以下である。
【0085】
[0085]一部の実施形態では、溶解細胞組成物を形成する工程、溶解細胞組成物に乳化剤を添加する工程、溶解細胞組成物を酸と接触させる、もしくは溶解細胞組成物のpHを低下させる工程、溶解細胞組成物を塩と接触させる工程、溶解細胞組成物を加熱する工程および溶解細胞組成物を撹拌する工程の様々な組み合わせを単一容器内で発生させることができる。一部の実施形態では、細胞を形成する工程、細胞を酸と接触させる、もしくは溶解細胞組成物のpHを低下させる工程、溶解細胞組成物に乳化剤を添加する工程、細胞を塩と接触させる工程、細胞を加熱する工程および細胞を撹拌する工程の様々な組み合わせを単一容器内で発生させることができる。一部の実施形態では、単一容器は、発酵容器を含んでいる。一部の実施形態では、発酵容器は、少なくとも20,000L、少なくとも50,000L、少なくとも100,000L、少なくとも120,000L、少なくとも150,000L、少なくとも200,000Lまたは少なくとも220,000Lの容積を有することができる。一部の実施形態では、発酵容器は、20,000L~220,000L、20,000L~100,000L、20,000L~50,000L、50,000L~220,000L、50,000L~150,000L、50,000L~100,000L、100,000L~220,000L、100,000L~150,000L、100,000L~120,000L、150,000L~220,000L、150,000L~200,000Lまたは200,000L~220,000Lの容積を有することができる。
【0086】
[0086]一部の実施形態では、容器内で形成された多量の細胞および/または溶解細胞組成物は、1つ以上の撹拌容器内に移すことができる。一部の実施形態では、撹拌容器は、少なくとも20,000L、少なくとも30,000L、少なくとも40,000Lまたは少なくとも50,000Lの容積を有する。一部の実施形態では、撹拌容器は、20,000L~50,000L、20,000L~40,000L、20,000L~30,000L、30,000L~50,000L、30,000L~40,000Lまたは40,000L~50,000Lの容積を有することができる。
【0087】
[0087]一般に、本明細書に記載した方法は、微生物細胞から微生物油を入手する、分離する、またはさもなければ回収するために有機溶媒を利用しない。一部の実施形態では、微生物細胞から微生物油を入手する際に有機溶媒は使用されない。また別の実施形態では、有機溶媒は、微生物油を入手するために十分な量または濃度で細胞に添加されない、溶解細胞組成物に添加されない、および/または本明細書に開示した方法中に油に添加されない。有機溶媒には、極性溶媒、非極性溶媒、水混和性溶媒、水非混和性溶媒およびそれらの組み合わせが含まれる。
【0088】
[0088]一部の実施形態では、本方法は、解乳化溶解細胞組成物から油を分離する工程をさらに含む。一部の実施形態では、本方法は、解乳化溶解細胞組成物を遠心分離する工程によって解乳化溶解細胞組成物から油を分離する工程を含む。一部の実施形態では、解乳化溶解細胞組成物を放置することによって解乳化溶解細胞組成物から油が分離されるが、このとき油は重力を使用して解乳化溶解細胞組成物から(例えば、分離層として)分離される。一部の実施形態では、分離は、親油性膜によって達成される。一部の実施形態では、分離する工程は、10℃~100℃の温度で遠心分離する工程を含む。一部の実施形態では、油は、最初にpHを(例えば、本明細書で上記の塩基を添加する工程によって)上昇させ、その後に油を入手するために解乳化溶解細胞組成物を遠心分離する工程によって解乳化溶解細胞組成物から分離される。
【0089】
[0089]一部の実施形態では、解乳化溶解細胞組成物のpHは、解乳化溶解細胞組成物に塩基を添加する工程によって上昇させられる。解乳化溶解細胞組成物に添加できる塩基は、上記の塩基と同一である。一部の実施形態では、pHは、約7.5以上;約8以上;約9以上;約10以上;約11以上および約12以上から選択される。他の実施形態では、pHは、7~13;7~12;7~11;7~10;7~9;8~13;8~12;8~11;8~10;8~9;9~12;9~11;9~10;10~12および10~11のpHから選択される。
【0090】
[0090]一部の実施形態では、本方法は、少なくとも10℃、少なくとも20℃、少なくとも25℃、少なくとも30℃、少なくとも35℃、少なくとも40℃、少なくとも45℃、少なくとも50℃、少なくとも55℃、少なくとも60℃、少なくとも65℃、少なくとも70℃、少なくとも75℃、少なくとも80℃、少なくとも85℃、少なくとも90℃、少なくとも95℃または少なくとも100℃の温度で解乳化溶解細胞組成物を遠心分離する工程によって解乳化溶解細胞組成物から油を分離する工程を含む。一部の実施形態では、本方法は、10℃~100℃、10℃~90℃、10℃~80℃、20℃~100℃、20℃~90℃、20℃~80℃、25℃~100℃、25℃~90℃、25℃~80℃、25℃~75℃、30℃~100℃、30℃~90℃、30℃~80℃、40℃~100℃、40℃~90℃、40℃~80℃、50℃~100℃、50℃~90℃、50℃~80℃、50℃~70℃、60℃~100℃、60℃~90℃、60℃~80℃、60℃~70℃、70℃~100℃、70℃~90℃、70℃~80℃、80℃~100℃、80℃~90℃または90℃~100℃の温度で解乳化溶解細胞組成物を遠心分離する工程によって解乳化溶解細胞組成物から油を分離する工程を含む。
【0091】
[0091]一部の実施形態では、遠心分離する工程は、(解乳化溶解細胞組成物の遠心分離機への)1キログラム/分(kg/分)~500kg/分、1kg/分~400kg/分、1kg/分~300kg/分、1kg/分~200kg/分、1kg/分~100kg/分、1kg/分~75kg/分、1kg/分~50kg/分、1kg/分~40kg/分、1kg/分~30kg/分、1kg/分~25kg/分、1kg/分~10kg/分、10kg/分~500kg/分、10kg/分~400kg/分、10kg/分~300kg/分、10kg/分~200kg/分、10kg/分~100kg/分、10kg/分~75kg/分、10kg/分~50kg/分、10kg/分~40kg/分、10kg/分~30kg/分、20kg/分~500kg/分、20kg/分~400kg/分、20kg/分~300kg/分、20kg/分~200kg/分、20kg/分~100kg/分、20kg/分~75kg/分、20kg/分~50kg/分、20kg/分~40kg/分、25kg/分~500kg/分、25kg/分~400kg/分、25kg/分~300kg/分、25kg/分~200kg/分、25kg/分~100kg/分、25kg/分~75kg/分、25kg/分~50kg/分、30kg/分~60kg/分、30kg/分~50kg/分、30kg/分~40kg/分、50kg/分~500kg/分、100kg/分~500kg/分または200kg/分~500kg/分の供給速度で実施される。
【0092】
[0092]一部の実施形態では、本方法は、1,000g~25,000g、1,000g~20,000g、1,000g~10,000g、2,000g~25,000g、2,000g~20,000g、2,000g~15,000g、3,000g~25,000g、3,000g~20,000g、5,000g~25,000g、5,000g~20,000g、5,000g~15,000g、5,000g~10,000g、5,000g~8,000g、10,000g~25,000g、15,000g~25,000gまたは少なくとも1,000g、少なくとも2,000g、少なくとも4,000g、少なくとも5,000g、少なくとも7,000g、少なくとも8,000g、少なくとも10,000g、少なくとも15,000g、少なくとも20,000gまたは少なくとも25,000gの遠心力で解乳化溶解細胞組成物を遠心分離する工程を含む。本明細書で使用する「g」は、標準重力またはおよそ9.8m/sを意味する。一部の実施形態では、本方法は、解乳化溶解細胞組成物を4,000rpm~14,000rpm、4,000rpm~10,000rpm、6,000rpm~14,000rpm、6,000rpm~12,000rpm、8,000~14,000rpm、8,000rpm~12,000rpmまたは8,000rpm~10,000rpmで遠心分離する工程を含んでいる。
【0093】
[0093]一部の実施形態では、油は、例えば、デカントする工程、脱脂する工程、真空吸引する工程、ポンピングする工程、吸出し吸引する工程、引抜き吸引する工程、サイフォン吸引する工程、またはさもなければ分離した組成物の表面から微生物油を回収する工程によって回収することができる。
【0094】
[0094]一部の実施形態では、本方法は、油から水を除去するために回収されている油を乾燥する工程を含む。一部の実施形態では、油を加熱する工程は、水を蒸発させるために油を加熱する工程を含むことができるがそれには限定されない。一部の実施形態では、乾燥する工程後、油は油の重量(または容積)%(パーセンテージ)で3%未満、2.5%未満、2%未満、1.5%未満、1%未満、0.5%未満、0.1%未満または0%である含水率を有する。一部の実施形態では、乾燥する工程後、油は、油の重量(または容積)%で0%~3%、0%~2.5%、0%~2%、0%~1.5%、0%~1%、0%~0.5%、0.1%~3%、0.1%~2.5%、0.1%~2%、0.1%~1.5%、0.1%~1%、0.1%~0.5%、0.5%~3%、0.5%~2.5%、0.5%~2%、0.5%~1.5%、0.5%~1%、1%~3%、1%~2.5%、1%~2%、1%~1.5%、1.5%~3%、1.5%~2.5%、1.5%~2%、2%~3%、2%~2.5%または2.5%~3%の含水率を有する。
【0095】
[0095]本明細書では、本明細書に開示した方法のいずれかによって微生物細胞から入手できる微生物油が開示される。一部の実施形態では、油は、少なくとも30重量(または容積)%のアラキドン酸を含む。一部の実施形態では、油は、少なくとも30重量(または容積)%のドコサヘキサエン酸を含む。
【0096】
[0096]アニシジン値(AV)は、AOCS公式法Cd 18-90にしたがって決定される。1つの実施形態では、本明細書に記載した油は、約50未満;約40未満;約30未満;約20未満;約15未満または約10未満のAVを有する。一部の実施形態では、油は、約50未満のAVを有する。用語の「アニシジン値」は、例えば油の酸化中に発生するアルデヒドおよびケトンなどの二次反応産物の尺度を意味する。
【0097】
[0097]ペルオキシド値(PV)は、AOCS公式法Cd 8-53にしたがって決定される。1つの実施形態では、本明細書に記載した油は、約20meq/kg未満;約10meq/kg未満または約5meq/kg未満のPVを有する。一部の実施形態では、油は、約5meq/kg未満のPVを有する。用語の「ペルオキシド値」は、油の酸化中に発生する、例えばペルオキシドおよびヒドロペルオキシドなどの一次反応産物の尺度を意味する。本明細書で使用するペルオキシド値は、meq/kgで測定される。
【0098】
[0098]一部の実施形態では、油は、100ppm以下、95ppm以下、90ppm以下、85ppm以下、80ppm以下、75ppm以下、70ppm以下、65ppm以下、60ppm以下、55ppm以下、50ppm以下、45ppm以下、40ppm以下、35ppm以下、30ppm以下、25ppm以下、20ppm以下、15ppm以下、10ppm以下、9ppm以下、8ppm以下、7ppm以下、6ppm以下、5ppm以下、4ppm以下、3ppm以下、2ppm以下または1ppm以下のリン含量を有する。一部の実施形態では、油は、8ppm以下のリン含量を有する。
【0099】
[0099]一部の実施形態では、油は、1種以上のPUFAを含む。一部の実施形態では、油は、(PUFAの重量で)少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%または少なくとも80%のPUFAを含む。一部の実施形態では、油は、(DHAの重量で)少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%または少なくとも80%のDHAを含む、および/または(DPA n-6の重量で)少なくとも10%、少なくとも15%または少なくとも20%のDPA n-6、および/または(EPAの重量で)少なくとも10%、少なくとも15%または少なくとも20%のEPA、および/または(ARAの重量で)少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%または少なくとも80%のARAを含む。一部の実施形態では、油は、(EPAの重量で)50%未満、40%未満、30%未満、20%未満、15%未満、10%未満または5%未満のEPAを含む。一部の実施形態では、油は、(DHAの重量で)50%未満、40%未満、30%未満、20%未満、15%未満、10%未満または5%未満のDHAを含む。一部の実施形態では、油は、重量(または容積)で10%未満、5%未満、2%未満、1%未満または0.5%未満のステロールを含む。
【0100】
[0100]一部の実施形態では、油は、重量(または容積)で少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%または50%~95%、50%~90%、50%~85%、50%~80%、50%~75%、60%~95%、60%~90%、60%~85%、70%~95%、70%~90%、70%~85%、75%~95%、75%~90%または75%~85%のトリグリセリドを含む。
【0101】
[0101]一部の実施形態では、トリグリセリドは、重量(または容積)で少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%または少なくとも80%のDHAを含む。一部の実施形態では、トリグリセリドは、重量(または容積)で少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%または少なくとも80%のARAを含む。一部の実施形態では、トリグリセリドは、重量(または容積)で少なくとも50%、少なくとも40%、少なくとも30%、少なくとも20%、少なくとも15%、少なくとも10%または少なくとも5%のEPAを含む。
【0102】
[0102]1つの実施形態では、本明細書に記載した方法のいずれかによって入手および/または回収された微生物油は原油である。また別の実施形態では、本明細書に記載した油は精製油である。「原油」は、それ以上加工処理せずに微生物細胞から入手される油である。「精製油」は、精製する、漂白するおよび/または脱臭する標準的な加工処理を用いて原油を処理することによって入手される油である。例えば、米国特許第5,130,242号明細書を参照されたい。一部の実施形態では、精製する工程には、焼灼精製、ゴム除去、酸処理、アルカリ処理、冷却、加熱、漂白、脱臭、脱酸およびそれらの組み合わせが含まれるがそれらに限定されない。
【0103】
[0103]一部の実施形態では、本方法は、微生物細胞を含む発酵ブロスを濃縮する工程を含む。一部の実施形態では、本方法は、溶解細胞組成物を濃縮する工程を含む。本明細書で使用する「濃縮する工程」は、組成物から水を除去する工程を意味する。濃縮する工程には、蒸発させる工程、化学的に乾燥する工程、遠心分離する工程などおよびそれらの組み合わせを含むことができるがそれらに限定されない。一部の実施形態では、細胞組成物または溶解細胞組成物は、溶解細胞組成物の重量(または容積)で少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%または少なくとも30%の油濃度を提供するために濃縮される。一部の実施形態では、細胞組成物または溶解細胞組成物は、溶解細胞組成物の重量(または容積)で4%~40%、4%~30%、4%~20%、4%~15%、5%~40%、5%~30%、5%~20%、10%~40%、10%~30%、10%~20%、15%~40%、15%~30%、20%~40%、20%~30%、25%~40%または30%~40%の油濃縮物を提供するために濃縮される。
【0104】
[0104]本発明とともに使用するための微生物細胞にとって効果的な培養条件には、油生産を許容する効果的な培地、バイオリアクター、温度、pHおよび酸素条件が含まれるがそれらに限定されない。効果的な培地は、その中で微生物細胞、例えばスラウストキトリアレス(Thraustochytriales)目微生物細胞が培養される任意の培地を意味する。そのような培地は、典型的には、同化できる炭素、窒素およびリン酸塩基源ならびに適切な塩、鉱物、金属および他の栄養素、例えばビタミン類を有する水性培地を含んでいる。本発明とともに使用するための微生物細胞は、従来型発酵バイオリアクター、振とうフラスコ、試験管、マイクロタイター皿およびペトリ皿内で培養できる。
【0105】
[0105]一部の実施形態では、微生物細胞は、少なくとも30重量(または容積)%の油、少なくとも35重量(または容積)%の油、少なくとも40重量(または容積)%の油、少なくとも50重量(または容積)%の油、少なくとも60重量(または容積)%の油、少なくとも70重量(または容積)%の油または少なくとも80重量(または容積)%の油を含む。一部の実施形態では、本発明とともに使用するための微生物細胞は、少なくとも0.1グラム/L/時(g/L/時)のDHA、少なくとも0.2g/L/時のDHA、少なくとも0.3g/L/時のDHAまたは少なくとも0.4g/L/時のDHAを生成できる。一部の実施形態では、本発明とともに使用するための微生物細胞は、少なくとも0.01グラム/L/時(g/L/時)のARA、少なくとも0.05g/L/時のARA、少なくとも0.1g/L/時のARA、少なくとも0.2g/L/時のARA、少なくとも0.3g/L/時のARAまたは少なくとも0.4g/L/時のARAを生成できる。
【0106】
[0106]一部の実施形態では、本明細書に記載した方法のいずれかによって入手される油、消費されたバイオマスまたはそれらの組み合わせは、例えばベビーフード、人工栄養乳、飲料、ソース、乳製品を主原料とする食品(例えば、牛乳、ヨーグルト、チーズおよびアイスクリーム)、油(例えば、調理油またはサラダドレッシング)およびオーブンで焼いた商品;栄養補助食品(例えば、カプセル形もしくは錠剤形);任意の非ヒト動物(例えば、それらの製品(例えば、肉、乳汁もしくは卵)がヒトによって消費される動物)用の飼料または飼料添加物;食品添加物;および医薬品(直接的または補助療法の用途において)などの食品または食品成分として直接的に使用できる。用語「動物」は、動物界に属するあらゆる生物を意味しており、それらから製品(例えば、乳汁、卵、家禽肉、牛肉、豚肉または羊肉)が由来する任意のヒト動物および非ヒト動物が含まれる。一部の実施形態では、油および/またはバイオマスは海産食品において使用できる。海産食品は、限定なく、魚、エビおよび貝類に由来する。用語「製品」には、限定なく、肉、卵、乳汁または他の製品を含むそのような動物に由来する任意の製品が含まれる。油および/またはバイオマスがそのような動物に与えられる場合、多価不飽和油は、これらの油中のそれらの含量を増加させるためにそのような動物の肉、乳汁、卵または他の製品に組み込むことができる。
【0107】
[実施例]
[実施例1]
[0107]微生物細胞(シゾキトリウム種(Schizochytrium sp.))を含有する細胞ブロス(300g)を60℃で1時間低温殺菌した。未洗浄細胞ブロスを180RPMの速度で撹拌し、60℃へ加熱した。細胞はブロスのpHを7~7.5へ調整するために50重量%のNaOH溶液およびAlcalase(登録商標)2.4FG(Novozymes(ノースカロライナ州フランクリントン(Franklinton,NC))から入手可能)をブロス重量に基づいて0.5%の量で添加する工程により溶解した。撹拌を維持しながら、溶解細胞組成物のpHは、98重量%のHSO溶液を添加する工程によって4へ調整した。溶解細胞組成物の重量で2%の量の固体のNaClを添加し、この組成物を90℃へ加熱し、20時間保持した。50重量%のNaOH溶液を添加する工程によって組成物のpHを7.5~8.5へ調整し、その後原油を生じさせるために8000rpmで5分間遠心分離(Thermo Scientific Sorvell ST40R遠心機)すると、これは(DHAの重量で)91.7%のDHAを産生した。
【0108】
[実施例2]
[0108]微生物細胞(シゾキトリウム種(Schizochytrium sp.))を含有する細胞ブロス(300g)を60℃で1時間低温殺菌した。解乳化溶解細胞組成物は、細胞ブロスのpHを2に調整するために重量で20%のHSO溶液を添加し、その後にこのブロスを90℃へ加熱し、45時間保持することによって形成した。組成物のpHを7.5~8.5へ調整するために50重量%のNaOH溶液を添加し、その後に原油を生じさせるためにこの組成物を8000rpmで5分間遠心分離する(Thermo Scientific製Sorvell ST40R遠心機)工程によって解乳化溶解細胞組成物から微生物油を分離すると、これは(DHAの重量で)51.62%のDHAを産生した。
【0109】
[実施例3]
[0109]微生物細胞(シゾキトリウム種(Schizochytrium sp.))を含有する細胞ブロス(300g)を60℃で1時間低温殺菌した。解乳化溶解細胞組成物は、細胞ブロスのpHを2に調整するために、20重量%のHSO溶液、ブロスの重量で2%の量の固体NaClを添加する工程;およびブロスを90℃へ加熱して18時間保持する工程によって形成した。原油を生じさせるためにこの組成物を8000RPMで5分間遠心分離する(Thermo Scientific製Sorvell ST40R遠心機で)工程によって解乳化溶解細胞組成物から微生物油を分離すると、これは(DHAの重量で)38.82%のDHAを産生した。
【0110】
[実施例4]
[0110]微生物細胞(シゾキトリウム種(Schizochytrium sp.))を含有する細胞ブロス(300g)を60℃で1時間低温殺菌した。解乳化溶解細胞組成物は、ブロスの重量で2%の、98重量%のHSO溶液を添加し、ブロスを90℃で4時間加熱する工程によって形成した。組成物のpHを7~8.5へ調整するために50重量%のNaOH溶液を添加し、90℃で21時間保持し、その後に原油を生じさせるためにこの組成物を8000RPMで5分間遠心分離する(Thermo Scientific製Sorvell ST40R遠心機)工程によって解乳化溶解細胞組成物から微生物油を分離すると、これは(DHAの重量で)72%のDHAを産生した。原油は、145のアニシジン値(AV)を有していた。
【0111】
[実施例5]
[0111]微生物細胞(シゾキトリウム種(Schizochytrium sp.))を含有する細胞ブロス(300g)を60℃で1時間低温殺菌した。未洗浄細胞ブロスを180RPMの速度で撹拌し、60℃へ加熱した。細胞はブロスのpHを7~7.5へ調整するために50重量%のNaOH溶液およびAlcalase 2.4FG(Novozymes(ノースカロライナ州フランクリントン)をブロス重量に基づいて0.5%の量で添加する工程により溶解した。撹拌を維持しながら、溶解細胞組成物のpHは、98重量%のHSO溶液を添加する工程、およびその後に組成物を90℃へ加熱する工程によって4へ調整した。90℃で45時間放置した後、原油を生じさせるためにこの組成物を8000RPMで5分間遠心分離すると(Thermo Scientific製Sorvell ST40R遠心機)、これは(DHAの重量で)81%のDHAを産生した。原油は、14.5のAVを有している。
【0112】
[実施例6]
[0112]微生物細胞(シゾキトリウム種(Schizochytrium sp.))を含有する細胞ブロス(300g)を60℃で1時間低温殺菌した。解乳化溶解細胞組成物は、ブロスの重量で2.5%の、98重量%のHSO溶液を添加する工程、およびその後にブロスを90℃へ5時間加熱する工程によって形成した。組成物のpHを7~8.5へ調整するために50重量%のNaOH溶液を添加し、90℃で数時間保持した後、その後に原油を生じさせるためにこの組成物を8000RPMで5分間遠心分離する(Thermo Scientific製Sorvell ST40R遠心機)工程によって解乳化溶解細胞組成物から微生物油を分離すると、これは(DHAの重量で)92.5%のDHAを産生した。
【0113】
[実施例7]
[0113]微生物細胞(シゾキトリウム種(Schizochytrium sp.))を含有する細胞ブロス(350g)を60℃で1時間低温殺菌した。解乳化溶解細胞組成物は、ブロスの重量で2%の、98重量%のHSO溶液を添加する工程、およびその後にブロスを90℃へ5~6時間加熱する工程によって形成した。組成物のpHを7~8.5へ調整するために50重量%のNaOH溶液を添加し、90℃で数時間保持した後、その後に原油を生じさせるためにこの組成物を8000RPMで5分間遠心分離する(Thermo Scientific製Sorvell ST40R遠心機)工程によって解乳化溶解細胞組成物から微生物油を分離すると、これは(DHAの重量で)82.63%のDHAを産生した。
【0114】
[実施例8]
[0114]微生物細胞(シゾキトリウム種(Schizochytrium sp.))を含有する細胞ブロス(350g)を60℃で1時間低温殺菌した。解乳化溶解細胞組成物は、ブロスの重量で1%の、98重量%のHSO溶液を添加する工程、およびその後にブロスを90℃へ5~10時間加熱する工程によって形成した。pHを7~8.5へ調整するために50重量%のNaOH溶液を添加する工程、および原油を生じさせるためにこの組成物を8000RPMで5分間遠心分離する(Thermo Scientific製Sorvell ST40R遠心機)工程によって解乳化溶解細胞組成物から微生物油を分離すると、これは(DHAの重量で)42%のDHAを産生した。
【0115】
[実施例9]
[0115]微生物細胞(シゾキトリウム種(Schizochytrium sp.))を含有する細胞ブロス(350g)を60℃で1時間低温殺菌した。解乳化溶解細胞組成物は、ブロスの重量で3%の、98重量%のHSO溶液を添加する工程、およびその後にブロスを90℃へ1~5時間加熱する工程によって形成した。pHを7~8.5へ調整するために50重量%のNaOH溶液を添加する工程、および原油を生じさせるためにこの組成物を8000RPMで5分間遠心分離する(Thermo Scientific製Sorvell ST40R遠心機)工程によって解乳化溶解細胞組成物から微生物油を分離すると、これは(DHAの重量で)88%のDHAを産生した。
【0116】
[実施例10]
[0116]微生物細胞(シゾキトリウム種(Schizochytrium sp.))を含有する細胞ブロス(350g)を60℃で1時間低温殺菌した。解乳化溶解細胞組成物は、ブロスの重量で4%の、70重量%の硝酸溶液を添加する工程、およびその後にブロスを90℃へ1時間加熱する工程によって形成した。pHを7~8.5へ調整するために50重量%のNaOH溶液を添加する工程、および原油を生じさせるためにこの組成物を8000RPMで5分間遠心分離する(Thermo Scientific製Sorvell ST40R遠心機)工程によって解乳化溶解細胞組成物から微生物油を分離すると、これは(DHAの重量で)82%のDHAを産生した。
【0117】
[実施例11]
[0117]微生物細胞(シゾキトリウム種(Schizochytrium sp.))を含有する細胞ブロス(350g)を60℃で1時間低温殺菌した。解乳化溶解細胞組成物は、ブロスの重量で2%の、70重量%の硝酸溶液を添加する工程、およびブロスを90℃へ5~6時間加熱する工程によって形成した。pHを7~8.5へ調整するために50重量%のNaOH溶液を添加する工程、および原油を生じさせるためにこの組成物を8000RPMで5分間遠心分離する(Thermo Scientific製Sorvell ST40R遠心機)工程によって解乳化溶解細胞組成物から微生物油を分離すると、これは(DHAの重量で)58.5%のDHAを産生した。
【0118】
[実施例12]
[0118]微生物細胞(シゾキトリウム種(Schizochytrium sp.))を含有する細胞ブロス(350g)を60℃で1時間低温殺菌した。解乳化溶解細胞組成物は、ブロスの重量で2.5%の、70重量%の硝酸溶液を添加する工程、およびブロスを90℃へ5時間加熱する工程によって形成した。pHを7~8.5へ調整するために50重量%のNaOH溶液を添加し、90℃で数時間保持した後、その後に原油を生じさせるためにこの組成物を8000RPMで5分間遠心分離する(Thermo Scientific製Sorvell ST40R遠心機)工程によって解乳化溶解細胞組成物から微生物油を分離すると、これは(DHAの重量で)74%のDHAを産生した。
【0119】
[実施例13]
[0119]微生物細胞(シゾキトリウム種(Schizochytrium sp.))を含有する細胞ブロス(350g)を60℃で1時間低温殺菌した。解乳化溶解細胞組成物は、ブロスの重量で4%のリン酸を添加する工程、およびブロスを90℃へ5時間加熱する工程によって形成した。組成物のpHを7~8.5へ調整するために50重量%のNaOH溶液を添加し、90℃で数時間保持した後、その後に原油を回収するためにこの組成物を8000RPMで5分間遠心分離する(Thermo Scientific製Sorvell ST40R遠心機)工程によって解乳化溶解細胞組成物から微生物油を分離した。この組成物の45gのサンプルは、1.0mLの原油を産生した。
【0120】
[実施例14]
[0120]微生物細胞(シゾキトリウム種(Schizochytrium sp.))を含有する細胞ブロス(350g)を60℃で1時間低温殺菌した。解乳化溶解細胞組成物は、ブロスの重量で8%のリン酸を添加する工程、およびブロスを90℃へ3時間加熱する工程によって形成した。組成物のpHを7~8.5へ調整するために50重量%のNaOH溶液を添加し、90℃で数時間保持した後、その後に原油を回収するためにこの組成物を8000RPMで5分間遠心分離する(Thermo Scientific製Sorvell ST40R遠心機)工程によって解乳化溶解細胞組成物から微生物油を分離した。この組成物の45gのサンプルは、0.5mLの原油を産生した。
【0121】
[実施例15]
[0121]微生物細胞(シゾキトリウム種(Schizochytrium sp.))を含有する細胞ブロス(2000L)を190rpmで攪拌する処理タンク内に配置した。解乳化溶解細胞組成物は、ブロスの重量で4%の、98重量%のHSO溶液を添加する工程、およびブロスを90~95℃へ1時間加熱することによって形成した。組成物を75℃へ冷却し、pHを7~8.5へ調整するために50重量%のNaOH溶液を添加し、組成物を一晩混合し、原油を生じさせるために1754RPM、8L/分で組成物をインラインで遠心分離する工程によって解乳化溶解細胞組成物から微生物油を分離すると、(DHAの重量で)93%のDHAおよび0.69meqのペルオキシド値(PV)、23.9のAVおよび1.04の遊離脂肪酸(FFA)含量を備える原油が産生した。
【0122】
[実施例16]
[0122]微生物細胞(シゾキトリウム種(Schizochytrium sp.))を含有する細胞ブロス(550L)を193rpmで攪拌する処理タンク内に配置した。細胞ブロスを60℃へ加熱し、50重量%のNaOH溶液を添加する工程によってpHを7.3~7.5に調整し、アルカラーゼをブロスの重量で0.5%の量で添加した。2時間後、98重量%のHSO溶液を添加する工程によって溶解細胞組成物のpHを4に調整し、撹拌を維持しながら90℃へ加熱した。90℃で20時間後、組成物を75℃へ冷却し、50重量%のNaOH溶液を添加する工程によってpHを8.5へ調整し、組成物を一晩保持し、原油を生じさせるために1754RPM、8L/分で組成物をインラインで遠心分離する工程によって解乳化溶解細胞組成物から微生物油を分離すると、(DHAの重量で)84%のDHAおよび0meqのPV、7.3のAVならびに0.17のFFA含量を備える原油が産生した。
【0123】
[実施例17]
[0123]微生物細胞(モルティエレラ(Mortierella)属)を含有する細胞ブロス(2500~3000L)は、沈着させるために数時間にわたりデカンテーションタンク内に配置した。沈着したら、バイオマス無含有液体の50~60%を廃棄するためにポンプ作用で排出した。濃縮未洗浄低温殺菌細胞ブロスは、その後に処理タンクとインライン関係にある高剪断ミキサー(60HzでSiemens ULTRA-Turrax UTL 1000/10)に通して通過させた。解乳化溶解細胞組成物は、pHを0.9~1.5に調整するために、ブロスの重量で3%の、98重量%のHSO溶液を添加する工程によって形成し、脱イオン水中のブロスの10mL希釈液中の1mLが25μm以下の粒径を生じさせるまで94℃へ20~24時間加熱した。解乳化溶解細胞組成物は、固形含量10%(Omnimark Uwave湿度計を用いて生成した数字)へ脱酸素水を用いて希釈し、水の添加が85℃未満への温度低下を引き起こした場合は85℃へ再加熱した。微生物油は、組成物を30分間混合しながら、またはサンプルの遠心分離がエマルジョン相の完全な非存在を証明するまでpHを7.8~8.2へ調整するために50%のNaOH溶液を添加することにより、および原油を回収するために1750RPMおよび7L/分の流量で7~10時間にわたりインラインで遠心分離(Seital SR1010)することにより解乳化溶解細胞組成物から分離した。
【0124】
[0124]細胞ブロスの3つの個別バッチには、各々独立して上記の方法を受けさせた。
バッチ1の原油は、86.6%のARA(ARAの重量で)ならびに26.1のAVおよび0.39meqのPVを備える乾燥濾過原油を産生した。
バッチ2の原油は、87.6%のARA(ARAの重量で)ならびに14のAVおよび0.31meqのPVを備える乾燥濾過原油を産生した。
バッチ3の原油は、85%のARA(ARAの重量で)ならびに24.7のAVおよび0.51meqのPVを備える乾燥濾過原油を産生した。
【0125】
[実施例18]
[0125]微生物細胞(モルティエレラ(Mortierella)属)を含有する細胞ブロス(1000mL)を70℃で1時間低温殺菌した。解乳化溶解細胞組成物は、pHを0.7~1.0のpHに調整するためにブロスの重量で4%の硝酸(70%溶液)を添加する工程、および200rpmの速度で30時間撹拌しながらブロスを90℃へ加熱する工程によって形成した。pHを8.0~8.2へ調整するためにNaOHの50重量/重量%溶液を添加し、その後に原油を生じさせるためにこの組成物を8,000gで5分間遠心分離する(Thermo Scientific製Sorvell 40R)工程によって解乳化溶解細胞組成物から微生物油を分離すると、これは(ARAの重量で)74.13%のARAおよび27.9のAVを備える原油を産生した。
【0126】
[実施例19]
[0126]微生物細胞(モルティエレラ(Mortierella)属)を含有する細胞ブロス(1000mL)を70℃で1時間低温殺菌した。解乳化溶解細胞組成物は、pHを0.7~1.5のpHに調整するためにブロスの重量で15%のリン酸(85%溶液)を添加する工程、および200rpmの速度で50時間撹拌しながら組成物を90℃へ加熱する工程によって形成した。pHを8.0~8.2へ調整するために50重量/重量%のNaOH溶液を添加する工程、およびその後に原油を生じさせるためにこの組成物を8,000gで(5分間遠心分離するThermo Scientific製Sorvell 40R)工程によって解乳化溶解細胞組成物から微生物油を分離すると、これは(ARAの重量で)42.61%のARAを産生した。原油は、16.1のAVを有していた。
【0127】
[実施例20]
[0127]微生物細胞(モルティエレラ(Mortierella)属)を含有する細胞ブロス(1000mL)を70℃で1時間低温殺菌した。解乳化溶解細胞組成物は、pHを0.7~1.5のpHに調整するためにブロスの重量で6%の塩酸(32%溶液)を添加する工程、および200rpmの速度で50時間撹拌しながらブロスを90℃へ加熱することによって形成した。pHを8.0~8.2へ調整するために50重量/重量%のNaOH溶液を添加し、その後に原油を生じさせるためにこの組成物を8,000gで5分間遠心分離する(Thermo Scientific製Sorvell 40R)工程によって解乳化溶解細胞組成物から微生物油を分離すると、これは(ARAの重量で)72.61%のARAを産生した。原油は、11.1のAVを有していた。
【0128】
[実施例21]
[0128]微生物細胞(シゾキトリウム種(Schizochytrium sp.))を含有する細胞ブロス(300g)を60℃で1時間低温殺菌した。解乳化溶解細胞組成物は、pHを11へ調整するために12.5重量%のNaOH溶液を細胞ブロスに添加する工程、ブロスの重量で2%のNaClを添加する工程、および組成物を90℃へ加熱する工程によって形成した。90℃で25時間置いた後、原油を生じさせるためにこの組成物を8000RPMで5分間遠心分離する(Thermo Scientific製Sorvell ST40R遠心機)工程によって解乳化溶解細胞組成物から微生物油を分離すると、これは(DHAの重量で)71%のDHAを産生した。
【0129】
[実施例22]
[0129]微生物細胞(モルティエレラ(Mortierella)属)を含有する未洗浄細胞ブロスは、70℃で1時間低温殺菌し、その後に処理タンクとインライン関係にある高剪断ミキサー(Siemens ULTRA-Turrax UTL 1000/10(60Hzで))に通して通過させた。解乳化溶解細胞組成物は、pHを.07~1.5に調整するために、ブロスの重量で3.5%の、98%硫酸溶液を添加する工程;90℃へ加熱する工程;および200rpmの速度で撹拌しながら28時間保持する工程によって形成した。50%のNaOHおよび組成物の重量で2%のNaClを添加する工程によって組成物を中和してpHを8.0へ調整し、原油を生じさせるために組成物を遠心分離する(Seital SR1010)工程によって解乳化溶解細胞組成物から微生物油を分離すると、これは77.4%のARA(ARAの重量で)ならびに12.4のAV、2.27%のFFA含量および0.13meqのPVを備える原油を産生した。
【0130】
[実施例23]
[0130]微生物細胞(クリプトコディニウム・コーニイ(Crypthecodinium cohnii))を含有する洗浄細胞ブロス(750g)を60℃で1時間低温殺菌した。細胞は、細胞ブロスをホモジナイザー(Microfluidizer M110)に12,000PSIで2回通過させることによって機械的に溶解した。溶解細胞組成物は、丸底フラスコ内に配置し、重組成物の量で4%の硫酸(98%純粋)溶液を添加する工程によって解乳化し、200RPMで撹拌しながら90℃へ加熱し、28時間保持した。50%のNaOH溶液を添加する工程によって組成物を中和してpHを8.0へ調整し、その後に原油を生じさせるためにこの組成物を8000gで5分間遠心分離する(Thermo Scientific製Sorvell 40R)工程によって解乳化溶解細胞組成物から微生物油を分離すると、これは(DHAの重量で)(FAME分析に基づく)45%のDHAならびに12.35のAVおよび1.09meqのPVを備える原油を産生した。
【0131】
[実施例24]
[0131]微生物細胞(シゾキトリウム種(Schizochytrium sp.))を含有する未洗浄細胞ブロス(750g)は60℃で1時間低温殺菌し、250RPMで攪拌する1Lのフラスコ内に配置した。温度は、粘度が原因で長くなる混合時間を短縮させるために60℃へ上昇させた。解乳化溶解細胞組成物は、pHを12.62に調整するために、ブロスの重量で4%の、50%のNaOHを添加する工程;90℃へ加熱する工程;およびpHが7.75へ低下するまで26時間にわたり反応させる工程によって形成した。微生物油は、原油を生じさせるためにこの組成物を(Thermo Scientific製Sorvell 40R遠心機で)8000gで5分間遠心分離する工程によって解乳化溶解細胞組成物から分離すると、これは(DHAの重量で)88%のDHAを産生した。
【0132】
[実施例25]
[0132]微生物細胞(シゾキトリウム種(Schizochytrium sp.))を含有する未洗浄細胞ブロス(750g)は60℃で1時間低温殺菌し、250RPMで攪拌する1Lのフラスコ内に配置した。温度は、粘度が原因で長くなる混合時間を短縮させるために60℃へ上昇させた。解乳化溶解細胞組成物は、pHを12.93に調整するために、ブロスの重量で4%の、50%のNaOHを添加する工程;90℃へ加熱する工程;およびpHが7.95へ低下するまで26時間にわたり反応させる工程によって形成した。原油を生じさせるためにこの組成物を8000gで5分間遠心分離する(Thermo Scientific製Sorvell ST)工程によって解乳化溶解細胞組成物から微生物油を分離すると、これは(DHAの重量で)(FAME分析に基づく)82.5%のDHAを産生した。
【0133】
[実施例26]
[0133]微生物細胞(シゾキトリウム種(Schizochytrium sp.))を含有する未洗浄細胞ブロス(750g)は60℃で1時間低温殺菌し、250RPMで攪拌する1Lのフラスコ内に配置した。温度は、粘度が原因で長くなる混合時間を短縮させるために60℃へ上昇させ、pHは7.5へ上昇した。解乳化溶解細胞組成物は、pHを12.28に調整するために、ブロスの重量で3.5%の、50%のNaOH溶液を添加する工程;90℃へ加熱する工程;およびpHが7.88へ低下するまで32時間にわたり反応させる工程によって形成した。原油を生じさせるためにこの組成物を8000gで5分間遠心分離する(Thermo Scientific製Sorvell 40R遠心機)工程によって解乳化溶解細胞組成物から微生物油を分離すると、これは(DHAの重量で)(FAME分析に基づく)88%のDHAを産生した。
【0134】
[実施例27]
[0134]微生物細胞(シゾキトリウム種(Schizochytrium sp.))を含有する未洗浄細胞ブロス(750g)は60℃で1時間低温殺菌し、250RPMで攪拌する1Lのフラスコ内に配置した。温度は、粘度が原因で長くなる混合時間を短縮させるために60℃へ上昇させた。解乳化溶解細胞組成物は、pHを12.87に調整するために、ブロスの重量で4.0%の、50%のNaOH溶液を添加する工程;90℃へ加熱する工程;およびpHが8.15へ低下するまで36時間にわたり反応させる工程によって形成した。原油を生じさせるためにこの組成物を8000gで(Thermo Scientific製Sorvell 40R遠心機)5分間遠心分離する工程によって解乳化溶解細胞組成物から微生物油を分離すると、これは(DHAの重量で)(FAME分析に基づく)84%のDHAを産生した。
【0135】
[比較例1]
[0135]微生物細胞(シゾキトリウム種(Schizochytrium sp.))を含有する細胞ブロス(300g)を60℃で1時間低温殺菌した。未洗浄細胞ブロスを180RPMの速度で撹拌し、60℃へ加熱した。細胞は、pHを7~7.5へ調整するために50重量%のNaOH溶液およびブロス重量に基づいて0.5%の量でAlcalase(登録商標)2.4FG(Novozymes(ノースカロライナ州フランクリントンから入手可能)を添加する工程により溶解した。撹拌を維持しながら、溶解細胞組成物はpHを10~11に調整するために12.5重量%のNaOH溶液および組成物の重量で2%の量のCaClを同時に添加する工程、およびその後に組成物を90℃へ加熱して68時間にわたり保持する工程によって解乳化した。原油を生じさせるためにこの組成物を8000RPMで5分間遠心分離する(Thermo Scientific製Sorvell ST40R遠心機)工程によって解乳化溶解細胞組成物から微生物油を分離すると、これは(DHAの重量で)62.5%のDHAおよび43.8のAVを備える原油を産生した。
【0136】
さらなる実施形態は以下のとおりである。
[実施形態1]
1つ以上の微生物細胞から1種以上の多価不飽和脂肪酸を含む微生物油を入手するための方法であって:
(a)溶解細胞組成物を形成するために前記微生物油を含む前記細胞を溶解する工程;
(b)解乳化溶解細胞組成物を形成するために前記溶解細胞組成物を酸を添加することにより解乳化する工程;
(c)前記解乳化溶解細胞組成物から前記油を分離する工程;および
(d)前記油を回収する工程
を含み、(b)は前記溶解細胞組成物のpHを0.5~6.0へ低下させる工程を含む、方法。
[実施形態2]
(a)または(b)の少なくとも1つは、前記細胞または前記溶解細胞組成物を少なくとも70℃へ加熱する工程をさらに含む、実施形態1に記載の方法。
[実施形態3]
(b)は、
(e)前記溶解細胞組成物に乳化剤を添加する工程;
(f)前記溶解細胞組成物の重量で0.5%~20%の量で前記酸を添加する工程;
(g)前記溶解細胞組成物の重量で0.05%~20%の量で塩を添加する工程;及び
(h)前記溶解細胞組成物を攪拌する工程
のうちの少なくとも1の工程をさらに含む、実施形態1または2に記載の方法。
[実施形態4]
前記乳化剤は、イオン性乳化剤である、実施形態3に記載の方法。
[実施形態5]
前記イオン性乳化剤は、アニオン性硫酸塩乳化剤、アニオン性スルホン酸塩乳化剤、アニオン性リン酸塩乳化剤、アニオン性カルボン酸塩乳化剤およびそれらの組み合わせから選択されるアニオン性乳化剤である、実施形態4に記載の方法。
[実施形態6]
前記イオン性乳化剤は、ラウリル硫酸アンモニウム、ドデシル硫酸ナトリウム、ラウレス硫酸ナトリウム、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ミレス硫酸ナトリウムおよびそれらの組み合わせから選択されるアニオン性硫酸塩乳化剤である、実施形態4に記載の方法。
[実施形態7]
前記乳化剤は、前記溶解細胞組成物の重量で0.2%~10%の量で添加される、実施形態3~6のいずれか一項に記載の方法。
[実施形態8]
前記塩は、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、硫酸塩およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、実施形態3~7のいずれか一項に記載の方法。
[実施形態9]
(a)は、前記細胞を撹拌する工程をさらに含む、実施形態1~8のいずれか一項に記載の方法。
[実施形態10]
前記酸は、硫酸、リン酸、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、次亜塩素酸、亜塩素酸、塩素酸、過塩素酸、フルオロ硫酸硝酸、フルオロアンチモン酸、フルオロホウ酸、ヘキサフルオロリン酸、クロム酸、ホウ酸、酢酸、クエン酸、ギ酸およびそれらの組み合わせから選択される、実施形態1~9のいずれか一項に記載の方法。
[実施形態11]
前記酸は、硫酸である、実施形態1~10のいずれか一項に記載の方法。
[実施形態12]
(a)の前記細胞は、未洗浄である、および/または、(a)の前記細胞は、発酵ブロス内に含有されている、実施形態1~11のいずれか一項に記載の方法。
[実施形態13]
(c)は、前記溶解細胞組成物を遠心分離する工程をさらに含む、実施形態1~12のいずれか一項に記載の方法。
[実施形態14]
前記多価不飽和脂肪酸は、ω-3脂肪酸、ω-6脂肪酸およびそれらの混合物から選択される、実施形態1~13のいずれか一項に記載の方法。
[実施形態15]
前記多価不飽和脂肪酸は、ドコサヘキサエン酸(DHA)、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサペンタエン酸(DPA)、アラキドン酸(ARA)、γ-リノール酸(GLA)、ジホモ-γ-リノール酸(DGLA)、ステアリドン酸(SDA)およびそれらの混合物から選択される、実施形態1~14のいずれか一項に記載の方法。
[実施形態16]
前記多価不飽和脂肪酸は、ドコサヘキサエン酸(DHA)である、実施形態15に記載の方法。
[実施形態17]
前記多価不飽和脂肪酸は、アラキドン酸(ARA)である、実施形態15に記載の方法。
[実施形態18]
前記微生物細胞は、藻類、酵母、真菌、原生生物または細菌細胞である、実施形態1~17のいずれか一項に記載の方法。
[実施形態19]
前記微生物細胞は、モルティエレラ(Mortierella)属、クリプトコディニウム(Crypthecodinium)属またはスラウストキトリアレス(Thraustochytriales)目に由来する、実施形態1~18のいずれか一項に記載の方法。
[実施形態20]
前記微生物細胞は、スラウストキトリウム(Thraustochytrium)属、シゾキトリウム(Schizochytrium)属またはそれらの混合物に由来する、実施形態19に記載の方法。
[実施形態21]
前記微生物細胞は、モルティエレラ・アルピナ(Mortierella alpina)に由来する、実施形態19に記載の方法。
[実施形態22]
前記溶解細胞組成物は、液体、細胞断片および微生物油を含む、実施形態1~21のいずれか一項に記載の方法。
[実施形態23]
有機溶媒は、前記細胞から前記油を入手するためには使用されない、実施形態1~22のいずれか一項に記載の方法。
[実施形態24]
前記解乳化溶解細胞組成物の平均粒径は、25ミクロン以下である、実施形態1~23のいずれか一項に記載の方法。
[実施形態25]
(d)の前記油は、原油である、実施形態1~24のいずれか一項に記載の方法。
[実施形態26]
(d)は、精製油を入手するために前記原油を精製する工程をさらに含む、実施形態25に記載の方法。
[実施形態27]
前記油は、少なくとも30重量%のアラキドン酸を含む、実施形態1~26のいずれか一項に記載の方法。
[実施形態28]
前記油は、少なくとも30重量%のドコサヘキサエン酸を含む、実施形態1~27のいずれか一項に記載の方法。
[実施形態29]
前記油は、50未満のアニシジン値を有する、実施形態1~28のいずれか一項に記載の方法。
[実施形態30]
前記油は、8ppm以下のリン含量を有する、実施形態1~29のいずれか一項に記載の方法。
[実施形態31]
前記油は、5meq/kg未満のペルオキシド値を有する、実施形態1~30のいずれか一項に記載の方法。
[実施形態32]
(a)および(b)は、1工程の溶解および解乳化する工程を形成するために一緒に結合される、実施形態1~31のいずれか一項に記載の方法。
[実施形態33]
(c)は、前記解乳化溶解細胞組成物の前記pHを上昇させる工程をさらに含む、実施形態1~32のいずれか一項に記載の方法。
[実施形態34]
1つ以上の微生物細胞から1種以上の多価不飽和脂肪酸を含む微生物油を入手するための方法であって:
(a)0.5~6.0のpHを有する解乳化溶解細胞組成物を形成するために前記微生物油を含む前記細胞を酸を添加することにより溶解する工程;
(b)前記解乳化溶解細胞組成物から前記油を分離する工程;および
(c)前記油を回収する工程
を含み、前記解乳化溶解細胞組成物は前記溶解する工程で得られる、方法。
【外国語明細書】