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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022188219
(43)【公開日】2022-12-20
(54)【発明の名称】固体電解質
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/0565 20100101AFI20221213BHJP
   H01M 10/0562 20100101ALI20221213BHJP
   H01M 50/446 20210101ALI20221213BHJP
   H01M 50/434 20210101ALI20221213BHJP
   H01M 50/414 20210101ALI20221213BHJP
   H01M 50/426 20210101ALI20221213BHJP
   H01M 50/417 20210101ALI20221213BHJP
   H01M 50/411 20210101ALI20221213BHJP
   H01M 50/443 20210101ALI20221213BHJP
【FI】
H01M10/0565
H01M10/0562
H01M50/446
H01M50/434
H01M50/414
H01M50/426
H01M50/417
H01M50/411
H01M50/443 M
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022161821
(22)【出願日】2022-10-06
(62)【分割の表示】P 2019507902の分割
【原出願日】2017-09-13
(31)【優先権主張番号】62/393,870
(32)【優先日】2016-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】517435434
【氏名又は名称】ナショナル ユニバーシティー オブ シンガポール
【氏名又は名称原語表記】National University of Singapore
(74)【代理人】
【識別番号】100101085
【弁理士】
【氏名又は名称】横井 健至
(74)【代理人】
【識別番号】100134131
【弁理士】
【氏名又は名称】横井 知理
(74)【代理人】
【識別番号】100185258
【弁理士】
【氏名又は名称】横井 宏理
(72)【発明者】
【氏名】サファナマ, ドルササダット
(72)【発明者】
【氏名】アダムス, ステファン ニコラウス
(57)【要約】      (修正有)
【課題】水性電解質と接触したときに安定でありつつも導電性及び可撓性を保持する固体電解質材料を提供する。
【解決手段】本発明は、ナトリウム塩又はリチウム塩でドープされたポリビニルアセタール又はポリビニルアセテート、又はビニルアセタール及び/又はビニルアセテート単位を有するコポリマーである第1のポリマーを含む固体電解質に関する。固体電解質は、Li空気電池などの電池のイオン伝導膜として使用することができる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリビニルアセタール、ポリビニルアセテート、及び、ビニルアセタール及び/又は酢酸ビニル単位を含むコポリマーからなる群のうちの1又はそれ以上から選択される第1のポリマーを含み、ドーパントはリチウム塩又はナトリウム塩を含む、固体電解質。
【請求項2】
ポリビニルアセタールが式(I)を有する単位を含む、請求項1に記載の固体電解質。
【化1】
式中、R1及びR2は独立して水素、アルキル又はヒドロキシルで置換されたアルキル、チオール、アミノ、ハロ、ニトロ、アルコキシ、チオアルキル、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、カルバモイル、チオカルバモイル、アルキルカルバモイル、アルキルチオカルバモイル、ジアルキルカルバモイル又はジアルキルチオカルバモイルから選択され;そして、
R3は水素、アルキル又はヒドロキシルで置換されたアルキル、チオール、アミノ、ハロ、ニトロ、アルコキシ、チオアルキル、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、カルバモイル、チオカルバモイル、アルキルカルバモイル、アルキルチオカルバモイル、ジアルキルカルバモイル又はジアルキルチオカルバモイルから選択される。
【請求項3】
第1のポリマーが、ビニルアセタール単位と、酢酸ビニル単位、ビニルアルコール単位、(メタ)アクリル酸単位及びメチル(メタ)アクリレート単位からなる群のうちの1又はそれ以上から選択される単位とを含むコポリマーである、請求項1に記載の固体電解質。
【請求項4】
第1のポリマーが、ビニルアセタール単位、酢酸ビニル単位及びビニルアルコール単位からなるコポリマーである、請求項3に記載の固体電解質。
【請求項5】
第1のポリマーが、ポリビニルブチラールである、請求項1に記載の固体電解質。
【請求項6】
固体電解質が、さらにポリ二フッ化ビニリデン(PVdF)、ポリビニルアルコール、ポリオレフィン系樹脂、ポリ(プロピレンカーボネート)ポリエステル系樹脂、テトラフルオロエチレン、二フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体、二フッ化ビニリデン-ペルフルオロビニルエーテル共重合体、二フッ化ビニリデン-テトラフルオロエチレン共重合体、二フッ化ビニリデン-トリフルオロエチレン共重合体、二フッ化ビニリデン-フルオロエチレン共重合体、二フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロアセトン共重合体、二フッ化ビニリデン-エチレンコポリマー、二フッ化ビニリデン-プロピレンコポリマー、二フッ化ビニリデン-トリフルオロプロピレン共重合体、二フッ化ビニリデン-テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体及び二フッ化ビニリデン-エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体からなる群のうちの1又はそれ以上から選択される第2のポリマーを含む、請求項1に記載の固体電解質。
【請求項7】
フタル酸エステル、リン酸エステル系可塑剤、リン酸エステル、脂肪酸エステル、アゼライン酸のエステル、セバシン酸エステル、トリメリット酸エステル及び高分子可塑剤からなる群の1又はそれ以上から選択される可塑剤をさらに含む、請求項1に記載の固体電解質。
【請求項8】
ドーパントが、過塩素酸リチウム(LiClO4)、テトラフルオロホウ酸リチウム(LiBF4)、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、リチウムビス(トリフルオロメタン)スルホンイミド(Li[N(CF3SO2)2])、ヘキサフルオロヒ酸リチウム(V)(LiAsF6)リチウムビス(オキサラトボレート)、硝酸リチウム(LiNO3)、塩化リチウム(LiCl)及び臭化リチウム(LiBr)からなる群のうちの1又はそれ以上から選択されるリチウム塩である、請求項1に記載の固体電解質。
【請求項9】
ドーパントが、硝酸ナトリウム(NaNO3)、過塩素酸ナトリウム(NaClO4)、テトラフルオロホウ酸ナトリウム(NaBF4)、ヘキサフルオロリン酸ナトリウム(NaPF6)ナトリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、ナトリウムビス(トリフルオロメタン)スルホンイミド(Na[N(CF3SO2)2])Na[N(CF3SO2)2]、ヘキサフルオロヒ酸ナトリウム(V)(NaAsF6)、ナトリウムビス(オキサラトボレート)、ハロゲン化ナトリウム、チオシアン酸ナトリウム(NaSCN)ペンタシアノプロペニドナトリウム、テトラシアノピロラートナトリウム及びトリシアノイミダゾラートナトリウムからなる群のうちの1又はそれ以上から選択されるナトリウム塩である、請求項1に記載の固体電解質。
【請求項10】
リチウムイオン伝導性セラミック又はナトリウムイオン伝導性セラミックをさらに含む、請求項1に記載の固体電解質。
【請求項11】
リチウムイオン伝導性セラミックが、NASICON型セラミック、リチウム充填ガーネット型酸化物、LISICON型セラミック、ペロブスカイト型酸化物、Li3PO4-Li4SiO4擬二元系Li3+x(P1-xSix)O4の固溶体及びリチウムイオン伝導性オキシハライドガラスからなる群のうちの1又はそれ以上から選択される、請求項10に記載の固体電解質。
【請求項12】
ナトリウムイオン伝導性セラミック酸化物が、NASICON構造酸化物、ベータ-アルミナ及びベータ''-アルミナ相Na2O・nAl2O3, 5≦n≦11、希土類ケイ酸ナトリウム及びナトリウムイオン伝導性オキシハライドガラスからなる群のうちの1又はそれ以上から選択される、請求項10に記載の固体電解質。
【請求項13】
5~30重量%の量で存在する第1のポリマー、及び、15~30重量%の量で存在するリチウム又はナトリウム塩、及び、30~50重量%の量で存在する第2のポリマー及び/又は10~25重量%の量で存在する可塑剤を場合によりさらに含む、請求項1に記載の固体電解質。
【請求項14】
固体電解質が、10~25重量%の可塑剤、15~30重量%のポリビニルアセタール、15~30重量%のリチウム又はナトリウム塩、及び30~50重量%のPvDFを含む、請求項13に記載の固体電解質。
【請求項15】
セラミックが、60重量%から90重量%の量で存在する、請求項10に記載の固体電解質。
【請求項16】
60~90重量%の高速リチウムイオン伝導性セラミック、1~5重量%の可塑剤、2~8重量%のポリビニルアセタール、2~8重量%のリチウム塩及び4~15重量%のPvDFを含む、請求項15に記載の固体電解質。
【請求項17】
60~90重量%のガーネット関連型のTaおよびGaが共ドープされたリチウム・ランタン・ジルコネート、2~8重量%の可塑剤、2~8重量%のポリビニルアセタール、2~8重量%のリチウム塩、及び、4~15重量%のPVdFを含む、請求項15に記載の固体電解質。
【請求項18】
請求項1に記載の固体電解質を含む電池に使用するためのイオン伝導性膜分割器。
【請求項19】
陽極、陰極、陰極液、及び任意選択で陽極液を含み、請求項18に記載のイオン伝導性膜分割器が陰極から陰極液を分離している電池。
【請求項20】
a)請求項1に記載の固体電解質を提供し、そして
b)固体電解質を膜に成形する
という工程を含む、電池に使用するのに適したイオン伝導性膜分割器を製造する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は固体電解質に関する。固体電解質は、電池内のイオン伝導性の膜分割器として有用である。特に本発明は、アノードが水溶液と反応する電池、例えばリチウムアノードを有する電池、特にリチウム-空気電池又はリチウム-硫化物電池における使用に適した膜分割器に関する。しかしながら、固体電解質は、ナトリウムイオン電池及びレドックスフロー電池を含むが、これらに限定されない他の用途において有用である。
【背景技術】
【0002】
本明細書における先に発行された文書の列挙又は考察は、必ずしもその文書が最新技術の一部であること又は一般常識であることの承認であると取られるべきではない。
【0003】
広範囲の進歩したエネルギー貯蔵システムは、リチウム又はリチウム合金アノードをカソード液又はカソード材料と化学的に反応することから、保護する高速リチウムイオン伝導膜の利用可能性に大きく依存している。充電式リチウム-空気電池(LAB)は、非常に高い比エネルギーを約束するので、現在利用可能なエネルギー貯蔵システムに代わる可能性がある。水性陰極液を利用するLABは、有機電解質に頼る従来のリチウム-空気電池と比較していくらか低い理論エネルギー密度によって特徴付けられるが、選択された水性陰極液中での放電生成物の高い溶解性のために、優れた電力性能、エネルギー効率及び体積エネルギー密度と相まって、実用的な装置において理論的限界に達する高い可能性を示す。
【0004】
水性及びハイブリッドLABは、素早いリチウムイオン輸送を可能にするが、リチウム金属アノードと陰極液との化学反応を安全に防止する高速イオン伝導性アノード保護膜を必要とする。水性/ハイブリッドLABにおいてアノード保護膜として上手く使用されてきた主要クラスの固体電解質は、NASICON型高速リチウムイオン伝導性セラミック(「LAGP」と呼ばれるLi1+xAlxGe2-x(PO4)3)、そして「LTAP」と呼ばれるLi1+xTi2-xAlx(PO4)3)である。しかしながら、それらを電解質-電極界面における界面抵抗とは別に大規模エネルギー貯蔵システム用に適切な寸法に調製することが困難であるため、NASICON型セラミックの有用性は制限される。それらの脆さはまた、組み立て中又は操作中に機械的にストレスがかかる場合には亀裂の危険性が生じ、そのようなシステムにおいて大きな安全上の問題を構成する。
【0005】
有機ポリマー電解質は、電極と電解質との間の界面接触を改善し、サイクル中のわずかな体積変化に適応するため、大きい寸法かつ所望の程度の柔軟性にて製造することが容易かつ安価である。Armandは、ポリエチレンオキシド(PEO)と弱配位性Li塩からなる固体電解質の使用を研究することにより、リチウム電池中のポリマーベースのイオン伝導材料に関する研究を先導した(2008年)。低密度のポリマー電解質は、エネルギー貯蔵システムの重量エネルギー密度には有益であるが、これまでのところ、高い機械的安定性と素早いLi+伝導性を有する化学的安定性との適切な組み合わせを有する固体ポリマー電解質は、見出されてはいない。それ故、セラミックとポリマー電解質を組み合わせてマトリックスと充填剤からなり、系の全体的性質が両者の間の相互作用に加えて充填剤とマトリックスの両方の性質に依存するような、ハイブリッド無機-有機膜を製造する取り組みが行われてきた。
【0006】
Abrahamは、Li+導電性LTAPセラミックとPVdFベースのゲル電解質からなるセラミック-ポリマー膜を作製し、これは、Li/複合電解質/LiCoO2電池に使用した場合に高いイオン伝導率及び構造的柔軟性と有望なサイクル性を示した(2000年)。
【0007】
Zhangは、PEAPベースのポリマー電解質にLTAPを導入することによって、2枚のリチウム金属シートの間に挟まれている間のサイクル下での導電性と界面安定性の向上を報告した(2002年)。しかしながら、PEOベースの電解質は、リチウム電池のための潜在的な電解質であるように思われるかもしれないが、水溶液中での安定性が乏しいために、水性又はハイブリッドLABには適していない。
【0008】
Safanamaは、LAGP及びイオン伝導性PEOを含有する無機-有機ハイブリッド膜を記載している(2014年)。PEOは陰極液から水を吸収することによって膨潤するので、PEO:PVdF:LiBF4膜は、LiOH又は水性Li空気電池用の酸性化LiCl溶液のような一般的な陰極液を使用する実用的用途においては、急速に破壊される。Safanamaの論文(2014年)の図6に記載された穏やかなリン酸緩衝液条件の下であっても、電池は約3時間しか動作することができなかった。
【0009】
Aetukuriは、単層のLi1.6Al0.5Ti0.95Ta0.5(PO4)3(LTAP)粒子を非導電性シクロオレフィンポリマー(COP)マトリックスに埋め込むことによって複合膜を作製した(2015年)。単層中の各粒子は陰極液と陽極液の両方と接触するようにマトリックスを貫通して延びており、マトリックスは、単にこの配置でのLTAP粒子の保持に役立つだけであった。この膜を、カソード側にレドックス媒介物質としてヨウ化リチウム(LiI)を添加した有機Li空気電池のアノード保護膜として使用した。支持マトリックスの両側を通って延びる単層LTAP粒子を有する膜の製造は、工業的規模では困難なようである。
【0010】
Zhangは、Li1.4Al0.4Ge0.2Ti1.4(PO4)3とエポキシ樹脂の複合膜を作成した(2015年)。複合膜を900℃前後の温度で熱処理してエポキシ樹脂を分解した。得られたセラミック膜を水性LAB中のアノード保護膜として使用した。5.3x10-4S cm-1のイオン伝導率及び飽和LiCl水溶液との接触における安定性が報告された。しかしながら、LABは不規則な充電及び放電曲線を示し、電池のやや高い過電位と短い寿命については、議論がされていない。
【0011】
したがって、水性電解質と接触したときに安定でありつつも導電性及び可撓性を保持する固体電解質材料が、依然として必要とされている。
【発明の概要】
【0012】
本発明の態様及び実施形態は、以下の節に提示されている:
【0013】
1. ポリビニルアセタール、ポリビニルアセテートからなる群のうちの1又はそれ以上から選択される第一のポリマーと、ビニルアセタール及び/又は酢酸ビニル単位を含むコポリマー;及びリチウム塩又はナトリウム塩を含むドーパントを含む、固体電解質。
【0014】
2. ポリビニルアセタールが式(I)を有する単位を含む、第1項に記載の固体電解質。
【化1】
式中、R1及びR2は独立して水素、アルキル又はヒドロキシルで置換されたアルキル、チオール、アミノ、ハロ、ニトロ、アルコキシ、チオアルキル、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、カルバモイル、チオカルバモイル、アルキルカルバモイル、アルキルチオカルバモイル、ジアルキルカルバモイル又はジアルキルチオカルバモイルから選択され;そして、
R3は水素、アルキル又はヒドロキシルで置換されたアルキル、チオール、アミノ、ハロ、ニトロ、アルコキシ、チオアルキル、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、カルバモイル、チオカルバモイル、アルキルカルバモイル、アルキルチオカルバモイル、ジアルキルカルバモイル又はジアルキルチオカルバモイルから選択される。
【0015】
3. 式中、R1及びR2は独立して水素及びアルキルから選択される、第2項に記載の固体電解質。
【0016】
4. 式中、R1及びR2は共に水素である、第3項に記載の固体電解質。
【0017】
5. 式中、R3は水素及びアルキルから選択される、第2~4項のいずれかに記載の固体電解質。
【0018】
6. 式中、R3はアルキルである、第5項に記載の固体電解質。
【0019】
7. 式中、R3はメチルである、第6項に記載の固体電解質。
【0020】
8. 式中、R3はプロピルである、第6項に記載の固体電解質。
【0021】
9. 式中、R3はn-プロピルである、第8項に記載の固体電解質。
【0022】
10. 式中、R3は水素である、第5項に記載の固体電解質。
【0023】
11. 第1のポリマーが、ビニルアセタール単位、及び、酢酸ビニル単位、ビニルアルコール単位、(メタ)アクリル酸単位及びメチル(メタ)アクリレート単位からなる群のうちの1又はそれ以上から選択される単位を含むコポリマーである、第1~10項のいずれか一項に記載の固体電解質。
【0024】
12. 第1のコポリマーが、ビニルアセタール単位、酢酸ビニル単位及びビニルアルコール単位からなるコポリマーである、第11項に記載の固体電解質。
【0025】
13. コポリマーが、78~84%の酢酸ビニル単位、15%~25%のビニルアルコール単位及び1~2%の酢酸ビニル単位を有する、第12項に記載の固体電解質。
【0026】
14. コポリマーが、76~81%の酢酸ビニル単位、18%~22%のビニルアルコール単位及び1~2%の酢酸ビニル単位を有する、第12項に記載の固体電解質。
【0027】
15. コポリマーが、78~79%の酢酸ビニル単位、約20%のビニルアルコール単位及び1~2%の酢酸ビニル単位を有する、第12項に記載の固体電解質。
【0028】
16. ポリビニルアセタールが、ポリビニルブチラールである、第1項に記載の固体電解質。
【0029】
17. ポリビニルアセタールが、ポリビニルアセタールそれ自体である、第1項に記載の固体電解質。
【0030】
18. ポリビニルアセタールが、ポリビニルホルマールである、第1項に記載の固体電解質。
【0031】
19. 固体電解質が、さらにポリ二フッ化ビニリデン(PVdF)、ポリビニルアルコール、ポリオレフィン系樹脂、ポリ(プロピレンカーボネート)ポリエステル系樹脂、テトラフルオロエチレン、二フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体、二フッ化ビニリデン-ペルフルオロビニルエーテル共重合体、二フッ化ビニリデン-テトラフルオロエチレン共重合体、二フッ化ビニリデン-トリフルオロエチレン共重合体、二フッ化ビニリデン-フルオロエチレン共重合体、二フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロアセトン共重合体、二フッ化ビニリデン-エチレンコポリマー、二フッ化ビニリデン-プロピレンコポリマー、二フッ化ビニリデン-トリフルオロプロピレン共重合体、二フッ化ビニリデン-テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体及び二フッ化ビニリデン-エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体からなる群のうちの1又はそれ以上から選択される第2のポリマーを含む、第1項から第18項のいずれか一項に記載の固体電解質。
【0032】
20. 第2のポリマーが、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリビニルアルコール、ポリオレフィン系樹脂、ポリ(プロピレンカーボネート)、及びテトラフルオロエチレンからなる群のうちの1つ以上から選択される、第19項に記載の固体電解質。
【0033】
21. 第2のポリマーが、ポリフッ化ビニリデンである、第20項に記載の固体電解質。
【0034】
22. 可塑剤をさらに含む、第1~21項のいずれか一項に記載の固体電解質。
【0035】
23. 可塑剤が、フタル酸エステルリン酸エステル系可塑剤、リン酸エステル、脂肪酸エステル、アゼライン酸エステル、セバシン酸エステル、トリメリット酸エステル及び高分子可塑剤からなる群のうちの1又はそれ以上から選択される、第22項に記載の固体電解質。
【0036】
24. 可塑剤が、フタル酸エステルである、第23項に記載の固体電解質。
【0037】
25. 可塑剤が、ベンジルn-ブチルフタレートである、第24項に記載の固体電解質。
【0038】
26. ドーパントが、リチウム塩である、第1~25項のいずれかに記載の固体電解質。
【0039】
27. リチウム塩が、過塩素酸リチウム(LiClO4)、四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF4))、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、リチウムビス(トリフルオロメタン)スルホンイミド(Li[N(CF3SO2)2])、ヘキサフルオロヒ酸リチウム(V)(LiAsF6)、リチウムビス(オキサラトボレート)、硝酸リチウム(LiNO3)、塩化リチウム(LiCl)及び臭化リチウム(LiBr)からなる群のうちの1又はそれ以上から選択される、第26項に記載の固体電解質。
【0040】
28. リチウム塩が、テトラフルオロホウ酸リチウム、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド及び塩化リチウムからなる群のうちの1又はそれ以上から選択される、第27項に記載の固体電解質。
【0041】
29. リチウム塩が、テトラフルオロホウ酸リチウムである、第28項に記載の固体電解質。
【0042】
30. リチウム塩が、塩化リチウムである、第28項に記載の固体電解質。
【0043】
31. ドーパントが、ナトリウム塩である、第1~25項のいずれか一項に記載の固体電解質。
【0044】
32. ナトリウム塩が、硝酸ナトリウム(NaNO3)、過塩素酸ナトリウム(NaClO4)、テトラフルオロホウ酸ナトリウム(NaBF4)、ヘキサフルオロリン酸ナトリウム(NaPF6)、ナトリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、ナトリウムビス(トリフルオロメタン)スルホンイミド (Na[N(CF3SO2)2]) Na[N(CF3SO2)2]、ヘキサフルオロヒ酸ナトリウム(V)(NaAsF6)、ナトリウムビス(オキサラトボレート)、ハロゲン化ナトリウム、チオシアン酸ナトリウム(NaSCN)、ペンタシアノプロペニドナトリウム、テトラシアノピロラートナトリウム及びトリシアノイミダゾラートナトリウムからなる群のうちの1つ以上から選択される、第31項に記載の固体電解質。
【0045】
33. リチウムイオン伝導性セラミック又はナトリウムイオン伝導性セラミックをさらに含む、第1~32項のいずれか一項に記載の固体電解質。
【0046】
34. リチウムイオン伝導性セラミックは、NASICON型セラミック、リチウム充填ガーネット型酸化物、LISICON型セラミックス、ペロブスカイト型酸化物、Li3PO4-Li4SiO4擬二元系Li3+x(P1-xSix)O4における固溶体及びリチウムイオン伝導性オキシハライドガラスからなる群のうちの1又はそれ以上から選択される、第33項に記載の固体電解質。
【0047】
35. NASICON型セラミックが、一般式LiM2(PO4)3でMがGe、Ti、Hf、Sn及び/又はZr;Li1+xAxTi2-x(PO4)3 (LTAP)でAがAl、Sc、Y又はLaのような三価カチオン、又は、Li1+xAlxGe2-x(PO4)3である、第34項に記載の固体電解質。
【0048】
36. リチウム充填ガーネット型酸化物が、一般式Li7-3y-xLa3Zr2-xM1yM2xO12で、式中、M1がAl及び/又はGaなどの三価カチオン及び/又はM2がNb及び/又はTaなどの五価カチオンであり、及びx≧0、y≦2;Li5La3M2O12、ここでMはNb及び/又はTaであり、M部位に異原子価ドーパントを有する;Li6BaLa2Ta2O12又はLi6.5La2.5Ba0.5ZrTaO12である、第34項に記載の固体電解質。
【0049】
37. LISICON型セラミックが、Li2+2xZn1-xGe4O16及びLi14ZnGeO16からなる群のうちの1又はそれ以上から選択される、第34項に記載の固体電解質。
【0050】
38. ペロブスカイト型酸化物が、一般式Li3xLa(2/3)-xTiO3である、第34項に記載の固体電解質。
【0051】
39. オキシハライドガラスが、一般式LiX-Li2O-B2O3、LiX-Li2O-SiO2又はLiX-Li2O-M2Oであって、XがF、Cl、Br又はIであり、そしてMがP、As又はVであるを有する、第34項に記載の固体電解質。
【0052】
40. セラミックが、NASICON型高速リチウムイオンセラミックである、第35項に記載の固体電解質。
【0053】
41. セラミックが、Li1+xAlxGe2-x(PO4)3(LAGP)である、第40項に記載の固体電解質。
【0054】
42. セラミックがLi1+xAlxGe2-x(PO4)3(x=0.5)である、第41項に記載の固体電解質。
【0055】
43. ナトリウムイオン伝導性セラミック酸化物が、NaSICON構造酸化物、ベータアルミナ及びベータ''-アルミナ相Na2O・nAl2O3であって5≦n≦11、希土類ケイ酸ナトリウム、及びナトリウムイオン伝導性オキシハライドガラスからなる群のうちの1又はそれ以上から選択される、第33項に記載の固体電解質。
【0056】
44. NASICON構造酸化物が、一般式Na3Zr2Si2PO12、NaTi2(PO4)3、NaGe2(PO4)3、又はNa1+x[SnxGe2-x(PO4)3]を有する、第43項に記載の固体電解質。
【0057】
45. 希土類ケイ酸ナトリウムが、一般式Na5MSi4O12を有し、MがY、Sc、Lu及び/又は任意の三価希土類カチオンである、第43項に記載の固体電解質。
【0058】
46. ナトリウムイオン伝導性オキシハライドガラスが、NaI-NaCl-Na2O-B2O3である、第43項に記載の固体電解質。
【0059】
47. 第1のポリマーが、15~30重量%の量で存在する、第1~32項のいずれか一項に記載の固体電解質。
【0060】
48. 第2のポリマーが、30~50重量%の量で存在する、第19~32項のいずれか一項に記載の固体電解質。
【0061】
49. 可塑剤が、10~25重量%の量で存在する、第22~32項のいずれか一項に記載の固体電解質。
【0062】
50. リチウム又はナトリウム塩が、15~30重量%の量で存在する、第1~32項のいずれか一項に記載の固体電解質。
【0063】
51. 固体電解質が、10~25量%の可塑剤、15~30重量%のポリビニルアセタール、15~30重量%のリチウム又はナトリウム塩、及び30~50重量%のPvDFを含む、第22項から第32項のいずれか一項に記載の固体電解質。
【0064】
52. 固体電解質が、15~20重量%の可塑剤、20~25重量%のポリビニルアセタール、20~25重量%のリチウム又はナトリウム塩、及び35~45重量%のPvDFを含む、第22項から第32項のいずれか一項に記載の固体電解質。
【0065】
53. 固体電解質が、16重量%の可塑剤、21重量%のポリビニルアセタール、21重量%のリチウム又はナトリウム塩、及び42重量%のPvDFを含む、第22項から第32項のいずれか一項に記載の固体電解質。
【0066】
54. セラミックが、0.1重量%から90重量%、又は1重量%から90重量%。又は5重量%から90重量%、又は10重量%から90重量%、又は20重量%から90重量%、又は30重量%から90重量%、又は40重量%から90重量%、又は50重量%から90重量%のレベルで存在する、第33~46項のいずれか一項に記載の固体電解質。
【0067】
55. セラミックが、60重量%から90重量%のレベルで存在する、第33から46項のいずれか一項に記載の固体電解質。
【0068】
56. 60~90重量%の高速リチウムイオン伝導性セラミック、1~5重量%の可塑剤、2~8重量%のポリビニルアセタール、2~8重量%のリチウム塩及び4~15重量%のPvDFを含む、第55項に記載の固体電解質。
【0069】
57. 70~85重量%の高速リチウムイオン伝導性セラミック、2~4重量%の可塑剤、3~6重量%のポリビニルアセタール、3~6重量%のリチウム塩及び4~15重量%のPvDFを含む、第56項に記載の固体電解質。
【0070】
58. 78~82重量%の高速リチウムイオン伝導性セラミック、2~4重量%の可塑剤、3~5重量%のポリビニルアセタール、3~6重量%のリチウム塩及び7~10重量%のPvDFを含む、第57項に記載の固体電解質。
【0071】
59. 60~90重量%の高速リチウムイオン伝導性セラミック、1~5重量%の可塑剤、3~6重量%のポリビニルアセタール、2~8重量%のリチウム塩及び4~15重量%のPvDFを含む、第55項に記載の固体電解質。
【0072】
60. 70~85重量%の高速リチウムイオン伝導性セラミック、2~4重量%の可塑剤、3~6重量%のポリビニルアセタール、3~6重量%のリチウム塩及び6~12重量%のPvDFを含む、第59項に記載の固体電解質。
【0073】
61. 78~82重量%の高速リチウムイオン伝導性セラミック、2~4重量%の可塑剤、3~5重量%のポリビニルアセタール、3~6重量%のリチウム塩及び7~10重量%のPvDFを含む、第60項に記載の固体電解質。
【0074】
62. 60~90重量%のLAGP、1~5重量%のベンジルブチルフタレート、2~8重量%のポリビニルブチラール、2~8重量%のLiBF4及び4~15重量%のPVdFを含む、第55項に記載の固体電解質。
【0075】
63. 70~85重量%のLAGP、2~4重量%のベンジルブチルフタレート、3~6重量%のポリビニルブチラール、3~6重量%のLiBF4及び6~12重量%のPVdFを含む、第55項に記載の固体電解質。
【0076】
64. 78~82重量%のLAGP、2~4重量%のベンジルブチルフタレート、3~5重量%のポリビニルブチラール、3~5重量%のLiBF4及び7~10重量%のPVdFを含む、第63項に記載の固体電解質。
【0077】
65. 81重量%のLAGP、3重量%のベンジルブチルフタレート、4重量%のポリビニルブチラール、4重量%のLiBF4及び8重量%のPVdFを含む、第64項に記載の固体電解質。
【0078】
66. 60~90重量%のガーネット関連型のTaがドープされたリチウム・ランタン・ジルコネート、2~8重量%の可塑剤、2~8重量%のポリビニルアセタール、2~8重量%のリチウム塩及び4~15重量%のPVdFを含む、第55項に記載の固体電解質。
【0079】
67. 60~90重量%のガーネット関連型のNbがドープされたリチウム・ランタン・ジルコネート、2~8重量%の可塑剤、2~8重量%のポリビニルアセタール、2~8重量%のリチウム塩及び4~15重量%のPVdFを含む、第55項に記載の固体電解質。
【0080】
68. 60~90重量%のガーネット関連型のAlがドープされたリチウム・ランタン・ジルコネート、2~8重量%の可塑剤、2~8重量%のポリビニルアセタール、2~8重量%のリチウム塩及び4~15重量%のPVdFを含む、第55項に記載の固体電解質。
【0081】
69. 60~90重量%のガーネット関連型のAlおよびGaが共ドープされたリチウム・ランタン・ジルコネート、2~8重量%の可塑剤、2~8重量%のポリビニルアセタール、2~8重量%のリチウム塩及び4~15重量%のPVdFを含む、第55項に記載の固体電解質。
【0082】
70. 60~90重量%のガーネット関連型のTaおよびGaが共ドープされたリチウム・ランタン・ジルコネート、2~8重量%の可塑剤、2~8重量%のポリビニルアセタール、2~8重量%のリチウム塩及び4~15重量%のPVdFを含む、第55項に記載の固体電解質。
【0083】
71. 80重量%のガーネット関連型のTaおよびGaが共ドープされたリチウム・ランタン・ジルコネート、2重量%のフタル酸ベンジルブチル、4重量%のポリビニルブチラール、6重量%の塩化リチウム及び8重量%のPVdFを含む、第70項に記載の固体電解質。
【0084】
72. 82重量%のガーネット関連型のTaおよびGaが共ドープされたリチウム・ランタン・ジルコネート、4重量%のポリビニルブチラール、6重量%の塩化リチウム及び8重量%のPVdFを含む、第70項に記載の固体電解質。
【0085】
73. 第1~72項のいずれか一項に記載の固体電解質を含む電池に使用するためのイオン伝導性膜分割器。
【0086】
74. 第73項に記載のイオン伝導性膜分割器が陰極液を陽極から分離する、アノード、カソード、カソード液、及び必要に応じてアノード液を含む電池。
【0087】
75. 電池が、リチウムアノードを有する電池である、第74項に記載の電池。
【0088】
76. 電池が、リチウム空気電池又は硫化リチウム電池である、第75項に記載の電池。
【0089】
77. a)第1~72項のいずれか一項に記載の固体電解質を用意する工程;及び
b)固体電解質を膜に成形する工程を有する、電池に使用するのに適したイオン伝導性膜分割器を製造する方法。
【0090】
78. 固体電解質を含むスラリーが、テープ成形によって膜に形成される、第77項に記載の方法。
【0091】
79. 固体電解質が、ホットプレスによって膜に形成される、第77項に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0092】
図1図1は、(a)850℃で2時間アニールしたLAGPペレットについてのリートベルト精密化XRDパターン;(+)観察、(-)計算及び差(wRp=6%);計算されたブラッグに対応する垂直バーはLAGP(上部)、GeO2(中央)及びLi4P2O4(下部)を示し、そして(b)LAGPペレットについてのインピーダンスの室温ナイキスト線図を示す。
図2図2は、本発明によるポリマー電解質の全導電率のアレニウスプロットである。純粋なポリマー相の室温伝導率は、σtotal = 3x10-6S cm-1である。
図3図3は、脱イオン水に約1週間浸漬した後の本発明によるハイブリッドLAGPポリマー膜のDSC測定(30℃~250℃)を示す。
図4図4は、(a)本発明によるハイブリッドLAGPポリマー膜の室温ナイキストプロット(金スパッタ;FRAソフトウェア及びR(RQ)Qの等価回路を使用して近似したデータ)、及び(b)本発明によるハイブリッド膜についてのリートベルト精製粉末XRDパターンを示す。垂直バーは、LAGPについてのR-3cモデル(上)及びGeO2についてのP3121モデル(下)から計算されたブラッグ反射に対応する。
図5図5(a)セラミック充填剤としてガーネット型Ta、Ga共ドープLi6.75La3Zr1.75Ta0.25O12Ga0.05を有するハイブリッド膜のインピーダンスの室温ナイキストプロット、(b)ガーネット型充填剤を有するハイブリッド膜の導電率に対する異なるドーピング塩の効果(三角4%LiBF4、四角:4%LiTFSi、丸:4%LiCl)。
図6図6は、(a)弱酸性LiCl水溶液 (10M、pH≒6) 及び(b)酸性化LiCl (10M、pH≒2) に浸漬する前後の、本発明によるハイブリッド無機- 有機LAGPポリマー膜のXRDパターンである。
図7図7は、ハイブリッドLAGP:本発明による高分子膜(金スパッタリングなし)のインピーダンスの室温ナイキストプロットの浸漬時間依存性を示す。
図8図8は、(a)浸漬前、(b)7日間の浸漬後、(c)14日間の浸漬後、及び(d)6ヶ月の浸漬後の、本発明によるハイブリッドLAGPポリマー膜のSEM画像を示す。
図9図9は、(a)中性LiCL (10M)と共に本発明によるハイブリッドLAGPポリマー膜を用いたLi空気電池の充電/放電プロファイル、(b)陰極液中、0.03 mAcm-2(≒100mA/gc)の定電流密度下で酸性化されたLiCl (10M)、及び(c)ハイブリッド膜及びPEO系膜についての細胞過電圧対サイクル数を示す。
【発明を実施するための形態】
【0093】
本発明は、ポリビニルアセタール、ポリ酢酸ビニル、及びリチウム又はナトリウム塩でドープされたビニルアセタール及び/又は酢酸ビニル単位を含むコポリマーからなる群のうちの1又はそれ以上から選択される第1のポリマーを含む電池に使用するのに適した固体電解質に関する。特に、本発明は、この材料から製造されたイオン伝導性膜分割器、及びそのような膜の拡大縮小可能な製造方法に関する。そのような膜分割器は機械的に柔軟でありそして非常に安定である。膜分割器は、アノードを保護するために水性電解質と接触することによって劣化するであろうアノードを含む電池に使用することができる。特に、それらは、リチウム空気電池中のアノード(又は有機アノード液を含有するアノード室)と液体カソード液又は電解質との間に配置されるときにアノード保護膜として使用され得る。しかしながら、固体電解質は、全固体リチウムイオン電池、及び、ナトリウムイオン電池及びレドックスフロー電池などの他の用途にも使用することができる。
【0094】
本明細書中で使用される場合、「固体電解質(solid electrolyte)」という用語は、高度に可動性のイオンを有する固体を指す。これらの材料は「高速イオン伝導体(fast ion conductors)」及び「超イオン伝導体(superionic conductors)」としても知られている。高速イオン伝導体は、不動のイオンを有する規則的な構造を有する結晶質固体と、規則的な構造を持たず完全に可動なイオンとを有する液体電解質との間の性質の中間体である。これらの材料は、格子を通るイオン種の急速な拡散のために非常に高い値のイオン伝導率を示す。多くの場合において格子は不動の対イオンによって形成されるが、ポリマーに溶解した、又は有機マトリックスに分散した塩も、高速イオン伝導体として作用することがある。
【0095】
本明細書中で使用される場合、「ドープ剤(doping agent)」とも呼ばれる「ドーパント(dopant)」は、物質の電気的又は光学的性質を変えるために物質に挿入される材料である。その物質は「ドープされた(doped)」といわれる。本明細書で使用されるように、塩を導入することによって固体電解質を製造するために、ポリマーをドープして導電性を高めることができる。
【0096】
本明細書中で使用される場合、「ポリビニルアセタール(polyvinyl acetal)」という用語は、ポリマー骨格中に複数のビニルアセタール単位を含むポリマーを指す。特に、この用語は、ポリマー骨格中に複数の1,3-ジオキサン部分を含むポリマーを指す。典型的には、1,3-ジオキサン部分は、主鎖の4位及び6位で隣接する炭素原子に結合している。ポリビニルアセタールは、ポリビニルアセテートの変性によって調製される。第1工程として、ポリ酢酸ビニルを加水分解して、ポリビニルアルコールを形成する。次いで、ポリビニルアルコールをアルデヒドとの反応により変性して、ポリビニルアセタールを得る。しかしながら、どちらの反応も完了まで進行しない。したがって、ビニルアセタール基に加えて、ポリビニルアセタールは酢酸ビニル及び/又はビニルアルコールから誘導された単位を含有する。例えば、ポリビニルブチラールは、ブチルアルデヒドとの反応によりポリビニルアルコールから製造されるが、ビニルブチラール単位に加えて酢酸ビニル及び/又はビニルアルコールから誘導される単位を含有する。
【0097】
本明細書中で使用される場合、「ポリビニルアセタールそれ自体(polyvinyl acetal itself)」という用語は、ポリビニルアルコールとアセトアルデヒドとの特定の反応生成物(上記の「ポリビニルアセタール(polyvinyl acetal)」の定義で論じたように、ポリ酢酸ビニル残基を含み得る)を指し、これは同時に、クラス全体のポリマーと同じ名前をとる。
【0098】
本明細書中で使用される場合、「アルキル(alkyl)」という用語は、特に明記しない限り、置換されていない、1~20個の炭素原子の分岐鎖又は直鎖の一価飽和脂肪族炭化水素部分をいう。この用語は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニルなどの部分、そして3個以上の炭素がある場合には、各部分のさまざまな異性体を含むが、これらには限定されない。例えば、ブチルは、イソブチル、n-ブチル及びtert-ブチルを含む。プロピルは、n-プロピル及びイソプロピルを含む。アルキル部分は一般にC1-6アルキルである。
【0099】
本明細書中で使用される場合、「アルコキシ(alkoxy)」という用語は、-O-R'基をいい、R'はアルキルである。
【0100】
本明細書で使用されるとき、「チオアルキル(thioalkyl)」という用語は、-S-R'基をいい、R'はアルキルである。
【0101】
本明細書中で使用される場合、「カルボキシ(carboxy)」又は「カルボン酸(carboxylic acid)」という用語は、-C(O)OH基をいう。
【0102】
本明細書中で使用される場合、「アルコキシカルボニル(alkoxycarbonyl)」という用語は、-C(O)OR'基をいい、R'はアルキルである。
【0103】
本明細書中で使用される場合、「カルバモイル(carbamoyl)」という用語は、-C(O)NR'R基をいい、R及びR'は独立して水素又はアルキルであり、例えば、Rが水素でありR'がアルキルである場合にその基はアルキルカルバモイルであり、R及びR'Sがそれぞれアルキルである場合にその基はジアルキルカルバモイルである。
【0104】
本明細書中で使用される場合、「チオカルバモイル(thiocarbamoyl)」という用語は、-C(S)NR'R基をいい、R及びR'は独立して水素又はアルキルであり、例えば、Rが水素でありR'がアルキルである場合にその基はアルキルチオカルバモイルであり、R及びR'がそれぞれアルキルである場合にその基はジアルキルチオカルバモイルである。
【0105】
本明細書中で使用される場合、「ハロ(halo)」という用語は、フルオロ、ブロモ、クロロ及びヨードをいう。
【0106】
本明細書中で使用される場合、「ポリマー(polymer)」という用語は、ホモポリマー又はコポリマーをいう。
【0107】
本明細書中で使用される場合、「ホモポリマー(homopolymer)」という用語は、単一の種類のモノマーから形成されたポリマーをいう。それにもかかわらず、ホモポリマーは、特にそれらが別のポリマーの変性によって調製される場合には、副反応又は不完全な反応のためにそのモノマーから誘導される単位以外のいくつかの単位を含み得ることが理解されるであろう。例えば、ポリビニルアルコールは、ポリ酢酸ビニルの加水分解によって製造され、全ての側鎖が加水分解することを保証することはできない。ポリビニルアセタールは、ポリビニルアルコールとアルデヒドとの反応によって製造され、そして全てのアルコール基が反応するわけではないかもしれない。したがって、ポリビニルアセタールホモポリマーは、ポリビニルアルコールとポリビニルアセテートの両方の少量の残留物を含み得る。
【0108】
ポリマーに関して本明細書で使用されるとき、「単位(unit)」又はその複数形の「単位(units)」という用語は、重合後に残るモノマーの部分を指す。「単位(unit)」は、重合後反応において改変され得る。
【0109】
本明細書中で使用される場合、「コポリマー(copolymer)」という用語は、単一タイプより多いモノマーから形成されるポリマーをいい、そして交互コポリマー、ブロックコポリマー及びグラフトコポリマーのような種々の形態のコポリマーを含む。
【0110】
一実施形態において、ポリビニルアセタールは、式Iで示される構造を有する単位を含み、
【化2】
式中、R1及びR2は、独立して水素、アルキル及びヒドロキシルで置換されたアルキル、チオール、アミノ、ハロ、ニトロ、アルコキシ、チオアルキル、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、カルバモイル、チオカルバモイル、アルキルカルバモイル、アルキルチオカルバモイル、ジアルキルカルバモイル又はジアルキルチオカルバモイル、典型的にはC1-6アルキルから選択され、そして
R3は、水素、アルキル及びヒドロキシルで置換されたアルキル、チオール、アミノ、ハロ、ニトロ、アルコキシ、チオアルキル、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、カルバモイル、チオカルバモイル、アルキルカルバモイル、アルキルチオカルバモイル、ジアルキルカルバモイル又はジアルキルチオカルバモイル、典型的にはC1-6アルキルから選択される。
【0111】
一実施形態において、R1及びR2は、独立して水素及びアルキルから選択される。
【0112】
一実施形態において、R1及びR2は、それぞれ水素である。
【0113】
一実施形態において、R3は、水素及びアルキルから選択される。
【0114】
一実施形態において、R3は、アルキルである。
【0115】
一実施形態において、R3は、メチルである。
【0116】
一実施形態において、R3は、プロピルである。
【0117】
一実施形態において、R3は、n-プロピルである。
【0118】
一実施形態において、R3は、水素である。
【0119】
一実施形態において、第1のポリマーは、ポリビニルブチラールである。ポリビニルブチラールは、例えばEastman ChemicalからBUTVARの名称で販売されている。
【0120】
一実施形態において、第1のポリマーは、ポリビニルアセタールそれ自体である。このポリマーは、以前はモンサント社からALVARの名称で販売されていた。
【0121】
一実施形態において、第1のポリマーは、ポリビニルホルミルである。ポリビニルホルミルは、元々はMonsanto Chemical CompanyからFORMVARの名称で販売されていたが、現在はJNC CorporationからVINYLECとして販売されている。
【0122】
一実施形態において、第1のポリマーは、ビニルアセタール単位及び酢酸ビニル、ビニルアルコール、(メタ)アクリル酸及びメチル(メタ)アクリレートからなる群から誘導される単位を有するコポリマーである。
【0123】
一実施形態において、コポリマーは、ビニルアセタール単位と、酢酸ビニル及び/又はビニルアルコールから誘導される単位とを有する。
【0124】
一実施形態において、コポリマーは、73~84%の酢酸ビニル単位、15~25%のビニルアルコール単位、及び1~2%の酢酸ビニル単位を含む。
【0125】
一実施形態において、コポリマーは、76~81%の酢酸ビニル単位、18%~22%のビニルアルコール単位、及び1~2%の酢酸ビニル単位を含む。
【0126】
一実施形態において、コポリマーは、78~79%の酢酸ビニル単位、約20%のビニルアルコール単位、及び1~2%の酢酸ビニル単位を含む。
【0127】
一実施形態において、固体電解質は、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリビニルアルコール、ポリオレフィン系樹脂、ポリ(プロピレンカーボネート)、ポリエステル系樹脂、テトラフルオロエチレン、二フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体、二フッ化ビニリデン-ペルフルオロビニルエーテル共重合体。二フッ化ビニリデン-テトラフルオロエチレン共重合体。二フッ化ビニリデン-トリフルオロエチレン共重合体、二フッ化ビニリデン-フルオロエチレン共重合体、二フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロアセトン共重合体、二フッ化ビニリデン-エチレンコポリマー、二フッ化ビニリデン-プロピレンコポリマー、二フッ化ビニリデン-トリフルオロプロピレン共重合体、二フッ化ビニリデン-テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体及び二フッ化ビニリデン-エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体からなる群のうちの1又はそれ以上から選択される第2のポリマーをさらに含む。ポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等が挙げられ、そして、ポリエステル系樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等が挙げられる。
【0128】
一実施形態において、第2のポリマーは、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリビニルアルコール、ポリオレフィン系樹脂、ポリ(プロピレンカーボネート)、テトラフルオロエチレンからなる群のうちの1つ又は複数から選択される。典型的には、ポリオレフィン系樹脂はポリエチレンである。
【0129】
一実施形態において、第2のポリマーは、ポリ二フッ化ビニリデン(PVdF)である。
【0130】
一実施形態において、固体電解質は、充填剤、酸化防止剤、着色剤、防汚剤及び分散剤からなる群のうちの1つ又は複数から選択される不活性成分をさらに含む。
【0131】
一実施形態において、固体電解質は、可塑剤をさらに含む。
【0132】
一実施形態において、可塑剤は、フタル酸エステル、リン酸エステル可塑剤、リン酸エステル、脂肪酸エステル、アゼライン酸エステル、セバシン酸エステル、トリメリット酸エステル及び高分子可塑剤からなる群のうちの1つ又は複数から選択される。一実施形態において、フタル酸エステルが使用される。一実施形態において、可塑剤はベンジルn-ブチルフタレートである。
【0133】
リチウム及びナトリウムイオン電池用の固体ポリマー電解質は、ポリマー又はポリマーブレンドのためのドーパントとして、低格子エネルギーのリチウム及びナトリウム塩を含む。
【0134】
一実施形態において、ドーパントは、リチウム塩である。
【0135】
一実施形態において、ドーパントは、過塩素酸リチウム(LiClO4)テトラフルオロホウ酸リチウム(LiBF4)、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiTFSI)、リチウムビス(トリフルオロメタン)スルホンイミド(Li[N(CF3SO2)2])、ヘキサフルオロヒ酸リチウム(V)(LiAsF6)リチウムビス(オキサラトボレート)(「LiBOB」)、硝酸リチウム(LiNO3)塩化リチウム(LiCl)及びび臭化リチウム(LiBr)からなる群のうちの1つ又は複数から選択される。
【0136】
一実施形態において、ドーパントは、テトラフルオロホウ酸リチウム(LiBF4)である。
【0137】
一実施形態において、ドーパントは、ナトリウム塩である。
【0138】
一実施形態において、ドーパントは、硝酸ナトリウム(NaNO3)、過塩素酸ナトリウム(NaClO4)、テトラフルオロホウ酸ナトリウム(NaBF4)、ヘキサフルオロリン酸ナトリウム(NaPF6)、ナトリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(NaTFSI)、ナトリウムビス(トリフルオロメタン)スルホンイミド(Na[N(CF3SO2)2])、ヘキサフルオロヒ酸ナトリウム(V)(NaAsF6)、ナトリウムビス(オキサラトボレート)(「NaBOB」)、ハロゲン化ナトリウム(NaX)でX=Cl、Br又はI、チオシアン酸ナトリウム(NaSCN)、ペンタシアノプロペンナトリウム(NaPCPI)、ナトリウムテトラシアノピロレート(NaTCP)及びナトリウムトリシアノイミダゾレート(NaTIM)からなる群のうちの1つ又は複数から選択される。
【0139】
固体電解質は、セラミックをさらに含んでもよい。任意の適切なイオン伝導性セラミックを使用することができる。
【0140】
一実施形態において、固体電解質は、リチウムイオン伝導性セラミック又はナトリウムイオン伝導性セラミックをさらに含む。
【0141】
一実施形態において、リチウムイオン伝導性セラミックは、NASICON型セラミック、リチウムを詰めたガーネット型酸化物、LISICON型セラミック、ペロブスカイト型酸化物、Li3PO4-Li4SiO4擬二元系Li3+x(P1-xSix)O4の固溶体及びリチウムイオン伝導性オキシハライドガラスからなる群のうちの1つ又は複数から選択される。
【0142】
一実施形態において、NASICON型セラミックは、一般式LiM2(PO4)3で、MがGe、Ti、Hf、Sn又はZr;Li1+xAxTi2-x(PO4)3(LTAP)で、AがAl、Sc、Y及び/又はLaなどの三価カチオン;又は、Li1+xAlxGe2-x(PO4)3である。
【0143】
一実施形態において、リチウム充填ガーネット型酸化物は、一般式Li7-3y-xLa3Zr2-xM1 yM2 xO12で、M1がAl、Ga及び/又はM2などの三価カチオン、M2がNb及び/又はTaなどの五価カチオン、x≧0、y≦2;Li5La3M2O12で、MがNb及び/又はTa、Mサイトに異原子価ドーパントを有する;Li6BaLa2Ta2O12;又はLi6.5La2.5Ba0.5ZrTaO12である。
【0144】
一実施形態において、LISICON型セラミックは、Li2+2xZn1-xGe4O16及びLi14ZnGeO16からなる群のうちの1つ又は複数から選択される。
【0145】
一実施形態において、ペロブスカイト型酸化物は一般式Li3xLa(2/3)-xTiO3である。
【0146】
一実施形態において、オキシハライドガラスは一般式LiX-Li2O-B2O3、LiX-Li2O-SiO2又はLiX-Li2O-M2O5を有し、ここでXはF、Cl、Br又はIであり、そしてMはP、As又はVである。
【0147】
一実施形態において、セラミックはNASICON型の高速リチウムイオンセラミックである。
【0148】
一実施形態において、セラミックはLAGPである。
【0149】
一実施形態において、セラミックはLi1+xAlxGe2-x(PO4)3(x=0.5)ガラスである。
【0150】
一実施形態において、ナトリウムイオン伝導性セラミックは、NaSICON構造酸化物、ベータアルミナ及びβ''-アルミナ相Na2O・nAl2O3 5≦n≦11、希土類ケイ酸ナトリウム及びナトリウムイオン伝導性オキシハライドガラスからなる群のうちの1つ又は複数から選択される。
【0151】
一実施形態において、NaSICON構造酸化物は、一般式Na3Zr2Si2PO12、NaTi2(PO4)3、NaGe2(PO4)3又はNa1+x[SnxGe2-x(PO4)3]を有する。
【0152】
一実施形態において、ナトリウム希土類ケイ酸塩は、一般式Na5MSi4O12を有し、式中、MはY、Sc、Lu及び/又は任意の三価希土類カチオンである。
【0153】
一実施形態において、ナトリウムイオン伝導性オキシハライドガラスは、NaI-NaCl-Na2O-B2O3である。
【0154】
高速イオン伝導セラミックは、存在してもしなくてもよい。存在する場合、導電率は数桁増加し、リチウム樹枝状結晶による侵入に対する安定性を含む機械的安定性は著しく増加する。それが存在する場合、セラミックは、典型的には組成物の60から90重量%を占めるが、0.1重量%から90重量%の量で存在してもよい。
【0155】
セラミックが存在しない一実施形態において、第1のポリマーは、15~30重量%の量で存在することができる。あるいは、第1のポリマーは、20~25重量%の量で存在することができる。 典型的には、第1のポリマーは、21重量%の量で存在する。
【0156】
セラミックが存在しない一実施形態において、第2のポリマーは、30~50重量%の量で存在することができる。あるいは、第2のポリマーは、35~45重量%の量で存在することができる。典型的には、第2のポリマーは、42重量%の量で存在する。
【0157】
セラミックが存在しない一実施形態において、可塑剤は、10~25重量%の量で存在することができる。あるいは、可塑剤は、15~20重量%の量で存在することができる。典型的には、可塑剤は16重量%の量で存在する。
【0158】
セラミックが存在しない場合、それはセラミックと相溶性である必要はないので、イオンは適切にドープされた膜を横切って電荷を運ぶために使用されてもよい。したがって、適切な量でポリマーに溶解する任意のドーパント塩を使用することができる。塩は、典型的には1~40重量%の量で存在する。
【0159】
典型的には、塩は、ナトリウム塩又はリチウム塩である。セラミックが存在しない一実施形態において、ナトリウム塩又はリチウム塩は、15~30重量%の量で存在することができる。あるいは、ナトリウム塩又はリチウム塩は、20~25重量%の量で存在することができる。典型的には、ナトリウム塩又はリチウム塩は、21重量%の量で存在する。
【0160】
一実施形態において、セラミックが存在しない場合の固体電解質は、10~25重量%の可塑剤、15~30重量%のポリビニルアセタール、15~30重量%のリチウム又はナトリウム塩、及び30~50重量%のPvDFを含む。
【0161】
一実施形態において、セラミックが存在しない場合の固体電解質は、15~20重量%の可塑剤、20~25重量%のポリビニルアセタール、20~25重量%のリチウム又はナトリウム塩、及び35~45重量%のPvDFを含む。
【0162】
一実施形態において、セラミックが存在しない場合の固体電解質は、16重量%の可塑剤、21重量%のポリビニルアセタール、21重量%のリチウム又はナトリウム塩、及び42重量%のPvDFを含む。
【0163】
典型的には、導電性及び機械的強度を高めるために、セラミックが存在する。セラミックの存在は、任意のレベル、例えば0.1重量%から90重量%、又は1重量%から90重量%、又は5重量%から90重量%、又は10重量%から90重量%、又は20重量%から90重量%、又は30重量%から90重量%、又は40重量%から90重量%、又は50重量%から90重量%、典型的には60重量%から90重量%の量で、導電性を高める。存在するセラミックの量は、固体電解質から製造された品目が置かれる目的、セラミックの性質及び固体電解質の他の成分に依存するであろう。
【0164】
セラミックが60重量%から90重量%の量で存在する場合、第1のポリマーは、典型的には2~8重量%の量で存在する。一実施形態において、第1のポリマーは、3~6重量%の量で存在する。一実施形態において、第1のポリマーは、3から5重量%の量で存在する。
【0165】
セラミックが60重量%から90重量%の量で存在する場合、第2のポリマーは、典型的には4~15重量%の量で存在する。一実施形態において、第2のポリマーは、6~12重量%の量で存在する。一実施形態において、第2のポリマーは、7~10重量%の量で存在する。
【0166】
セラミックが60重量%から90重量%の量で存在する場合、可塑剤は、典型的には1~5重量%の量で存在する。一実施形態において、可塑剤は2~4重量%の量で存在する。
【0167】
セラミックが60重量%から90重量%の量で存在する場合、ナトリウム塩又はリチウム塩のいずれかが、典型的には2~10重量%の量で存在する。一実施形態において、ナトリウム塩又はリチウム塩は、3~6重量%の量で存在する。
【0168】
一実施形態において、固体電解質は、60~90重量%の高速リチウムイオン伝導性セラミック、1~5重量%の可塑剤、2~8重量%のポリビニルアセタール、2~10重量%のリチウム塩及び4~15重量%のPvDFを含む。
【0169】
一実施形態において、固体電解質は、70~85重量%の高速リチウムイオン伝導性セラミック、2~4重量%の可塑剤、3~6重量%のポリビニルアセタール、3~6重量%のリチウム塩、3~6重量%のリチウム塩及び6~12重量%のPvDFを含む。
【0170】
一実施形態において、固体電解質は、78~82重量%の高速リチウムイオン伝導性セラミック、2~4重量%の可塑剤、3~5重量%のポリビニルアセタール、3~6重量%のリチウム塩及び7~10重量%のPvDFを含む。
【0171】
一実施形態において、固体電解質は、60~90重量%の高速ナトリウムイオン伝導性セラミック、1~5重量%の可塑剤、2~8重量%のポリビニルアセタール、2~10重量%のナトリウム塩及び4~15重量%のPvDFを含む。
【0172】
一実施形態において、固体電解質は、70~85重量%の高速ナトリウムイオン伝導性セラミック、2~4重量%の可塑剤、3~6重量%のポリビニルアセタール、3~6重量%のナトリウム塩及び6~12重量%のPvDFを含む。
【0173】
一実施形態において、固体電解質は、78~82重量%の高速ナトリウムイオン伝導性セラミック、2~4重量%の可塑剤、3~5重量%のポリビニルアセタール、3~6重量%のナトリウム塩及び7~10重量%のPvDFを含む。
【0174】
一実施形態において、固体電解質は、60~90重量%のLAGP、1~5重量%のベンジルブチルフタレート、2~8重量%のポリビニルブチラール、2~10重量%のLiBF4及び4~15重量%のPVdFを含む。
【0175】
一実施形態において、固体電解質は、70~85重量%のLAGP、2~4重量%のベンジルブチルフタレート、3~6重量%のポリビニルブチラール、3~6重量%のLiBF<sub>4</sub>及び6~12重量%のPVdFを含む。
【0176】
一実施形態において、固体電解質は、78~82重量%のLAGP、2~4重量%のベンジルブチルフタレート、3~5重量%のポリビニルブチラール、3~5重量%のLiBF<sub>4</sub>及び7~10重量%のPVdFを含む。
【0177】
一実施形態において、固体電解質は、81重量%のLAGP、3重量%のベンジルブチルフタレート、4重量%のポリビニルブチラール、4重量%のLiBF4及び8重量%のPVdFを含む。
【0178】
一実施形態において、固体電解質は、60~90重量%のガーネット関連型のTaがドープされたリチウム・ランタン・ジルコネート、2~8重量%の可塑剤、2~8重量%のポリビニルアセタール、2~8重量%のリチウム塩及び4~15重量%のPVdFを含む。
【0179】
一実施形態において、固体電解質は、60~90重量%のガーネット関連型のNbがドープされたリチウム・ランタン・ジルコネート、2~8重量%の可塑剤、2~8重量%のポリビニルアセタール、2~8重量%のリチウム塩及び4~15重量%のPVdFを含む。
【0180】
一実施形態において、固体電解質は、60~90重量%のガーネット関連型のAlがドープされたリチウム・ランタン・ジルコネート、2~8重量%の可塑剤、2~8重量%のポリビニルアセタール、2~8重量%のリチウム塩及び4~15重量%のPVdFを含む。
【0181】
一実施形態において、固体電解質は、60~90重量%のガーネット関連型のAlおよびGaが共ドープされたリチウム・ランタン・ジルコネート、2~8重量%の可塑剤、2~8重量%のポリビニルアセタール、2~8重量%のリチウム塩及び4~15重量%のPVdFを含む。
【0182】
一実施形態において、固体電解質は、60~90重量%のガーネット関連型のTaおよびGaが共ドープされたリチウム・ランタン・ジルコネート、2~8重量%の可塑剤、2~8重量%のポリビニルアセタール、2~8重量%のリチウム塩及び4~15重量%のPVdF。
【0183】
一実施形態において、固体電解質は、80重量%のガーネット関連型のTaおよびGaが共ドープされたリチウム・ランタン・ジルコネート、2重量%のベンジルブチルフタレート、4重量%のポリビニルブチラール、6重量%のLiCl及び8重量%のPVdFを含む。
【0184】
一実施形態において、固体電解質は、82重量%のガーネット関連型のTaおよびGaが共ドープされたリチウム・ランタン・ジルコネート、4重量%のポリビニルブチラール、6重量%のLiCl及び8重量%のPVdFを含む。
【0185】
フルセル電池は、アノード、カソード、カソード液、及び任意選択でアノード液を含み、イオン伝導性膜分割器は、存在する場合にはアノード液とアノード液とからカソード液を分離し、膜分離器は分割器である。アノード及びカソードの性質は電池の種類に依存する。電池内のアノード及びカソードに適した材料の選択は、当業者にはよく理解されている。
【0186】
ほんの一例として、リチウムイオン電池において、カソードは典型的には挿入されたリチウム化合物から作られる。電極材料としては、コバルト酸リチウム、リチウムニッケル酸化物、リチウムニッケルコバルト酸化物、スピネル型リチウムマンガン酸化物、マンガン酸化物などが挙げられる。
【0187】
リチウム空気電池又は任意のリチウム電池において、リチウム金属又はリチウム金属合金が典型的なアノードの選択である。同様にナトリウムバッターのアノードは通常ナトリウム金属又はナトリウム金属合金であって、アンチモン(Sb)、スズ(Sn)、リン(P)、ゲルマニウム(Ge)又は鉛(Pb)の合金を含むがこれらに限定されない。
【0188】
リチウムイオン電池のアノードは、任意の適切な負極活物質であり得る。例えば、前記負極活物質は、炭素系材料、シリコン系材料、錫系材料、アンチモン系材料、鉛系材料、金属酸化物(例えば、リチウム又はナトリウム金属酸化物)を含むことができる。 炭素系材料としては、例えば、ソフトカーボン、ハードカーボン、人造黒鉛、天然黒鉛、人造黒鉛と天然黒鉛との混合物、人造黒鉛で被覆された天然黒鉛などの黒鉛系材料などが挙げられる。カーボンナノチューブ材料を使用することができる。シリコン系材料としては、例えば、シリコン、シリコン酸化物、シリコン含有合金、グラファイト系材料と上記材料との混合物などが挙げられる。酸化シリコンは、SiOx(0<x≦2)で表すことができる。ケイ素含有合金は、合金の総量に基づいて、総金属元素の最大量にケイ素(例えば、全金属元素の最大量に存在する金属元素であるケイ素)を含む合金、例えば、Si-Al-Fe合金であり得る。錫系材料としては、例えば、錫、酸化錫、錫含有合金、黒鉛系材料と前述の材料との混合物などが挙げられる。アンチモン及び鉛ベースの材料についても同様です。リチウム金属酸化物としては、例えば、Li4Ti5O12、Li2Ti6O13又はLi2Ti3O7等の酸化チタン化合物が挙げられる。ナトリウム金属酸化物は、例えば、Na2Ti3O7又はNa2Ti6O13などの酸化チタン化合物であってもよい。本明細書において適切であると言及され得る他の金属酸化物は、TiO2、Fe2O3、MoO3を含むが、これらに限定されない。
【0189】
ナトリウムイオン電池のアノードは、活性炭とリン酸チタンNaTi2(PO4)3、NaxC6、ハードカーボンなどの混合物を含む様々な材料で作ることができる。
【0190】
例として、メソポーラスカーボンは、還元反応速度を高め、カソードの比容量を高める金属触媒と共に、Li空気電池のカソード基板として使用されてきた。使用される金属触媒には、マンガン、鉄、コバルト、ルテニウム、白金、銀、又はコバルトとマンガンの混合物がある。特に、カーボンナノチューブ(CNT)担持Pt触媒(Pt/CNT)又はPt/Ir触媒並びに他の遷移金属及び窒素ドープ炭素相をLi空気電池に使用することができる。
【0191】
水性Li空気電池は、典型的には、アノード、水性電解質及び多孔質炭素カソードからなる。水性電解質は水中に溶解したリチウム塩を組み合わせる。しかしながら、リチウム金属は水と激しく反応するので、水性設計はリチウムと電解質との間にイオン伝導性膜分割器を必要とする。ハイブリッドLi空気電池の設計は、イオン伝導性膜分割器によって分離された水性陰極液と非水性陽極液を有する。
【0192】
典型的には、活性又は非活性の陰極液塩は、ハロゲン(例えば、塩素、臭素、又はヨウ素)又は硝酸塩又はアンモニウムである。特定の実施形態において、活性塩は、硝酸塩(例えば、NH4NO3)又はハロゲン化物若しくはアンモニウム化合物であるか、又は陰極液に加水分解的に溶解する化合物(例えば、金属を含む化合物(例えば、AICI3))である。特定の実施形態において、ハロゲン化物塩は、ハロゲン化アンモニウム塩(NH4Br、NH4Cl、NH4I)又は金属ハロゲン化物塩である。ここで、金属は、リチウム、アルミニウム又はチタン、又はより一般的にはアルカリ金属又は遷移金属であり得る。塩化リチウム(pH=6)及び酸性塩化リチウム(pH=2)並びにLiOH(pH≒12)を使用することができる。
【0193】
アノード液は、存在する場合、非水性溶媒中に電解質塩を含み得る。非水溶媒としては、例えば、環状カーボネート(プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート、クロロエチレンカーボネート、ビニレンカーボネートなど、及び/又はそれと同様のもの);鎖状カーボネート(ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネートなど、及び/又はそれと同様のもの);環状エステル(γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトンなど、及び/又はそれと同様のもの);線状エステル(ギ酸メチル、酢酸メチル、酪酸メチルなど、及び/又はそれと同様のもの);テトラヒドロフラン又はその誘導体;エーテル類(1,3-ジオキサン、1,4-ジオキサン、1,2-ジメトキシエタン、1,4-ジブトキシエタン、ジグリム、テトラグリム、メチルジグリムなど、及び/又はそれと同様のもの);ニトリル(アセトニトリル、ベンゾニトリルなど、及び/又はそれと同様のもの);ジオキソラン又はその誘導体;硫化エチレン;スルホラン;及び/又はスルトン又はその誘導体が挙げられ、これらは単独で又は2つ以上の混合物として利用されてもよいが、それらに限定されない。一般的な非水性溶媒は、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートの混合物である。
【0194】
電解質塩は、例えば、(a)LiClO4、LiAsF6、LiPF6、LiPF6-x(CnF2n+1)x (1<x<6, n=1又は2)、LiSCN、LiBr、LiCI、Li2SO4、Li2B10Cl10、Lil、LiSCN、LiPF4(C2O4)、LiBF4、LiPF6又はそれと同様のものなどのリチウム(Li)を含む無機イオン塩、又は(b)LiCF3SO3、LiN(CF3SO2)2、LiN(C2F5SO2)2、LiN(CF3SO2)(C4F9SO2)、LiC(CF3SO2)3、LiC(C2F5SO2)3などのリチウムを含む有機イオン塩、又は(c)NaClO4、NaAsF6、NaPF6, NaPF6-x(CnF2n+1)x (1<x<6, n=1又は2)、NaSCN、NaBr、NaI、Na2SO4、Na2B10Cl10、NaClO4、Nal、NaSCN、NaBr、NaPF4(C2O4)、NaBF4、NaPF6、又はそれと同様のものなどのナトリウム(Na)を含む無機イオン塩、又は(d)NaCF3SO3、NaN(CF3SO2)2、NaN(C2F5SO2)2、NaN(CF3SO2)(C4F9SO2)、NaC(CF3SO2)3、NaC(C2F5SO2)3などのナトリウムを含む有機イオン塩、又は(e)(CH3)4NBF4、(CH3)4NBr、(C2H5)4NClO4、(C2H5)4NI、(C3H7)4NBr、(n-C4H9)4NClO4、(n-C4H9)4NI、(C2H5)4N-マレエート、(C2H5)4N-ベンゾエート、(C2H5)4N-フタレート、ステアリルスルホン酸ナトリウム、オクチルスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、又はその類自体などであり得る。イオン性化合物は、単独で又は2つ以上の混合物で利用されてもよい。本明細書で言及することができる特定の電解質塩は、LiClO4、LiPF4(C2O4)、LiBF4、LiPF6、NaClO4、NaPF4、NaBF4、及びNaPF6であり、これらは単独で又は2種以上の混合物として利用できる。
【0195】
電解質塩の濃度は、特には限定されないが、例えば0.1mol/Lから約10.0mol/L程度とすることができる。
【0196】
電解質は、負極SEI(固体電解質界面)形成剤、界面活性剤など、及び/又はそれと同様のものなどの、様々な適切な添加剤をさらに含み得る。そのような添加剤は、例えば、無水コハク酸、リチウムビス(オキサラト)ボレート、ナトリウムビス(オキサラト)ボレート、テトラフルオロホウ酸リチウム、テトラフルオロホウ酸ナトリウムジニトリル化合物、プロパンスルトン、ブタンスルトン、プロペンスルトン、3-スルホレン、フッ素化アリルエーテル、フッ素化アクリレート、炭酸ビニレンなどの炭酸塩、ビニルエチレンカーボネート、及びフルオロエチレンカーボネート、及び/又はそれと同様のものであり得る。
【0197】
本発明による固体電解質は、第1のポリマーとドーパント、そして場合によって第2のポリマー、可塑剤と、例えば充填剤、酸化防止剤、着色剤、防汚剤及び分散剤などの他の成分とを、N-メチル-2-ピロリジノン(NMP)のような溶媒中で、一定時間、典型的には4~8時間、高温、典型的には約70℃で撹拌し、混合することによって製造できる。
【0198】
固体電解質がセラミックを組み込んでいる場合、固体電解質は、第1のポリマーと、ドーパントと、場合により第2のポリマーと、可塑剤と、充填剤、酸化防止剤、着色剤、防汚剤及び分散剤などの他の成分とを、N-メチル-2-ピロリジノン(NMP)のような溶媒中で、高温、典型的には約70℃で、典型的には4~8時間撹拌し、混合することによって調製することができる。上記時間攪拌した後、セラミックを添加し、さらなる時間、典型的には4~8時間、高温で、典型的には約70℃で、撹拌を続ける。
【0199】
混合は標準的な混合方法を用いて行われる。例えば、ポリマー組成物は、バンバリーミキサー、ブラベンダーミキサー及び/又は二軸スクリューミキサーを使用して形成することができる。一般に、二軸スクリューミキサーは混合中により高い剪断力を与えるので、二軸スクリュー押出機を使用して形成されたポリマー組成物はより良好な伸び及び引張特性を示すことができる。
【0200】
混合が終了した後、一実施形態において、固体電解質は、例えば、電池内のイオン伝導性膜分割器としての役割を果たすためにフィルムに形成される。一実施形態では、固体電解質を含むスラリーをテープキャスト又はホットプレスし、それぞれのエネルギー貯蔵システムで使用するために適切なサイズ及び形状に切断する。テープキャスティングでは、固体電解質を含むスラリーを典型的にはアルミニウム箔上に流延し、そして典型的には一晩の間、典型的には80℃の高温で放置して乾燥させる。最後に、アルミ箔基材を剥がす。若しくは、テープキャスティングの代わりにホットプレスを使用することができ、これにより、所望であればより高いセラミック充填剤含有量及びより高い機械的強度を達成するために可塑剤の量を減らすことができる。
【0201】
膜分割器は、アノードとカソードとの間に配置され、アノード室とカソード室とを形成する。一例として、電池を製造する際に、電極構造は、所望の形状、例えば円筒形、角柱形、ラミネート形、ボタン形、及び/又はその類似形などを有するように加工され、そしてそれと同じ形状を有する容器に挿入される。イオン伝導性膜分割器を容器に挿入して固定し、陽極室と陰極室を形成する。次いで、非水電解質をアノード室に注入し、水性電解質をカソード室に注入することによって、再充電可能なリチウム又はナトリウムイオン電池を製造する。
【0202】
以下、本発明の実施形態を、以下の実施例を参照してさらに詳細に説明する。しかしながら、本開示はこれに限定されない。さらに、本開示に記載されていないことは、この分野の知識を有する者により十分に理解され得ており、そして本明細書中に例示されない。
【実施例0203】
一般的な方法
【0204】
高分解能X線粉末回折計(Bruker D8)を用い、Cu Kα線(λ=1.5406Å)を使用し、2θ範囲10~100°、公称スキャンレートを160秒/ステップ、ステップサイズを0.02°にて、XRDパターンを収集した。一般化構造分析システム(A. C. Larson and R. B. Von Dreele, Los Alamos National Laboratory Report (LAUR), 2004, 86-748)を、グラフィカルユーザインターフェースEXPGUIと共に適用してX線パターンを精密化する。走査型電子顕微鏡(SEM, Zeiss Supra 40 VP)を用いて試料の顕微鏡構造を調べた。交流インピーダンス測定は、Swagelokセル(X2 Labwares Pte Ltd)を用い、インピーダンス分光計(Solartron SI1260, Schlumberger)を使用して、0.1Hzから10MHzの周波数範囲にて行った。リチウム空気電池のサイクル性能試験は、potentiostat/galvanostat(MITS pro softwareを備えたArbin BT2000)を用いて実施した。
【0205】
実施例1. LAGPセラミックペレットの製造
【0206】
Li1+xAlxGe2-x(PO4)3(x=0.5)ガラスは、報告されている溶融急冷法(Safanama (2014))を用いて調製される。結晶化を確実にするために、850℃で2時間のさらなるアニーリングが行われる。LAGP相形成プロセスの最近のin situシンクロトロン研究(Safanama (2016)))に基づいて、アニーリングパラメータはペレットの高純度及びイオン伝導性を達成するように設定される。
【0207】
実施例2. X線粉末回折によるLAGPセラミックペレットの特性解析
【0208】
リートベルト精密化(図1Aa)は、菱面体晶系(R-3c)を採用する主結晶相としてのNASICON型LAGPの形成と、微量のLi4P2O7(空間群P-1)とのGeO2(空間群P3121)の不可避的二次相との関係を確認する。最低の活性化エネルギーEa=0.35eVは、850℃で2時間アニールしたサンプルで達成され、室温の総導電率は4.0×10-4 S cm-1にもなる(図1b)。サンプルを850℃でアニーリングすることにより、他の一般的な不純物相であるAlPO4の質量分率(Safanama(2014)で観測された)が減少する(Safanama(2016))。精密化データはまた850℃でアルミニウムが明らかにGeサイトを好むことを示唆し、そしてAlLi・・の占有率はほとんど重要にならない(T=850℃の場合:6倍のLi(1)サイト上の式単位当たり0.02Al)。より低いアニーリング温度では、6倍のLi(1)と12倍のGeサイトの間にAlのおおよそランダムな分布が存在する(例えば、650℃でアニールされたサンプルにおいて、式単位当たり、Li(1)サイト上に.0.07Al、Geサイト上に0.08Alが確認される)。
【0209】
実施例3. ポリマー膜の製造
【0210】
N-メチル-2-ピロリジノン(NMP)中にポリビニルアセタール樹脂、PvDFバインダー、可塑剤(フタル酸ベンジルブチル(C19H20O4))及びドーパント塩(テトラフルオロホウ酸リチウム(LiBF4))を混合し、約70℃の高温で4~8時間撹拌することによって、ポリマー電解質を調製した。撹拌が完了した後、ポリマー電解質をアルミニウム箔上にテープキャストし、そして80℃で一晩乾燥させた。純粋なポリマー相の室温伝導率はσtotal = 3×10-6 Scm-1であった。高分子電解質の全導電率のアレニウスプロットを図2に示す。
【0211】
ハイブリッド膜のポリマー成分の耐水安定性は、DSC測定を行うことによって試験した。ハイブリッド膜を脱イオン水に約1週間浸漬した後のハイブリッド膜のDSC測定(30℃~250℃)の結果を図3に示す。観察できる唯一のピークは、BUTVAR B98(Eastman Chemical Company)の吸熱融解ピークに属する。PVdFはそれぞれ60℃と150℃である。膜における吸水の徴候は観察されない。
【0212】
実施例4. LAGPセラミック-有機ポリマー膜の調製
【0213】
LAGPセラミック-有機ポリマー膜は、可塑剤ベンジルブチルフタレート(C19H20O4)、ポリビニルブチラール樹脂((C8H14O2)n)、ドーパント塩としてのテトラフルオロホウ酸リチウム(LiBF4)及びポリフッ化ビニリデンバインダー(PVdF)からなるポリマーブレンド中の高速イオン伝導性セラミックフィラーとしての、実施例1からのNASICON型LAGPからなる。LAGPセラミックは報告された方法で作られている(Safanama(2014)及びSafanama(2016))。優れた結合効率を有するポリビニルブチラール樹脂の一種であるBUTVAR B98(Eastman Chemical Company)は、酸性及び塩基性溶液の両方において安定であると報告されている。BUTVAR B98は典型的には40,000~70,000の分子量、18.0~20.0%のヒドロキシル含有量、最大2.5%のアセテート含有量及び約80%のブチラール含有量を有する。この樹脂の安定性は、その優れた耐性を示すために、D543-56TのASTM法によって弱塩基及び強塩基及び酸の両方で試験された(Eastman Chemical Company、Butvar, polyvinyl butyral resin: Properties and uses; M. Bolgar, J. Hubball, J. Groeger and S. Meronek, Handbook for the Chemical Analysis of Plastic and Polymer Additives, CRC Press, 2007)。この方法の主要構成要素の1つとして選択された。柔軟性を向上させるために、この方法では可塑剤としてフタル酸ベンジルブチル(C19H20O4)を使用した。溶媒としてN-メチル-2-ピロリジノン(NMP)を使用する。
【0214】
膜系の一実施形態では、成分の重量百分率は以下の通りである:81重量%のLAGP、3重量%のベンジルブチルフタレート、4重量%のポリビニルブチラール樹脂、4重量%のLiBF4及び8重量%のPVdF。溶媒NMPの理想的な量は、1gのLAGPセラミックに対して3.5mlである。合成は5gまでうまくスケールアップされた。上記方法の調製は、マグネチックスターラーを用いてガラスビーカー中で70℃で成分を混合することを含む。6時間攪拌した後、混合物をアルミニウムホイル上に流延し、80℃で一晩乾燥させた。このテープキャスティングは、膜の均質性、厚さ及び性能を損なうことなく、大きな寸法に容易に拡大縮小することができる。
【0215】
膜の機械的性質とイオン伝導度は、セラミックとポリマー成分の質量分率を変えることによって最適化され、それによって1.0×10-4 S cm-1の総導電率を持つ製品が得られた(図4a)。この値は、以前に発表されたPEOベースのハイブリッド膜よりもほぼ一桁低く(Safanama(2014))、導電率の値はLi空気電池のアノード保護膜としての用途には依然として許容可能であることに留意されたい。
【0216】
実施例5. LAGPセラミック-有機ポリマー膜の特性解析
【0217】
図4bに示されるように、膜の洗練されたリートベルトパターンは、主結晶相としてLAGP(空間群R-3c)を示す。膜中のLAGPの主結晶相の格子定数は、a=8.2614 (2)Å及びc=20.636 (1)Åであり、それぞれペレット形態のLAGP相についてのc=20.6501 (1)Åの値よりわずかに低いだけである。これは、スラリー調製により主結晶相に相転移が起こらないことを裏付けている。
【0218】
実施例6. ガーネット型セラミック-有機ポリマー膜の製造
【0219】
ドープされたガーネット型酸化物Li7-xLa3Zr2O12、具体的にはTa、Ga共ドープLi6.75La3Zr1.75Ta0.25O12Ga0.05を、BUTVAR B98、PVdF、及び、LiBF4、LiTFSi及びLiClで様々にドープされたフタル酸ベンジルブチルを含むポリマーマトリックス中のセラミック充填剤として使用した。さらに、分散剤としてSOLSPERSE 20,000を使用した。成分を手動で混合し、次いでホットプレスを使用してプレスして薄膜の薄層を形成した。ハイブリッド膜におけるTa、Ga共ドープLi6.75La3Zr1.75Ta0.25O12Ga0.05の使用(Ta、Ga共ドープLi6.75La3Zr1.75Ta0.25O12Ga0.05は、7x10-5 Scm-1のみの導電率を有することに留意されたい)は、イオン伝導度が5.4x10-5 Scm-1のオーダーの膜を生成する(図5)。ドーピング塩としてのLiBF4、LiTFSi及びLiClを比較した後、LiClはガーネット型充填剤を有する膜の場合に最も適しているようであった。
【0220】
実施例7. 異なるpHのLiCl溶液中でのLAGPセラミック-有機ポリマー膜の安定性
【0221】
化学的安定性の尺度として、ハイブリッド膜を様々なpH値の様々な陰極液溶液に様々な時間浸漬した。ハイブリッド膜の結晶構造、イオン伝導度及び表面トポグラフィーに及ぼす浸漬時間の影響を調べた。
【0222】
結晶構造
【0223】
図6aは、わずかに酸性のLiCl溶液(10M;pH5~6)中に浸漬する前後のハイブリッド膜のXRDパターンを比較する。興味深いことに、XRDパターンはほぼ同一であり、長い浸漬時間にわたって不純物ピークは形成されない。これは中性LiCl溶液(10M)中でのハイブリッド膜の優れた安定性につながる。浸漬時間による主LAGP相の相分率と格子定数のわずかな変化をより詳細に調べるために、リートベルト精密パターンを比較し、結果を表1に要約する。したがって、格子定数a及びcは両方ともほぼ6ヶ月の浸漬の間ほぼ一定であり、LAGP相の相分率はごくわずかに減少する。これは、6ヶ月までLiCl(10M)と接触したときに膜が高い化学的安定性を示すことを示している。
【0224】
化学的安定性のさらなる調査は、2~3の範囲のpH値を有する強く酸性化されたLiCl(10M)の、より腐食性を有する陰極液溶液中で行われた。膜は酸からの攻撃に耐えることができる。浸漬後のXRDパターンは、図6bに示すように変化しなかった。したがって、この陰極液溶液と接触しているこのハイブリッド膜については、分解の兆候はない。表1に要約されるように、XRDデータのリートベルト精密化は、1ヶ月間の浸漬を示し、その結果、LAGP相の相分率が97から94.4にわずかに減少するだけで、GeO2の第二相がわずかに分離される。主なLAGP相からのGeの抽出は、GeO2相の割合の一定の増加から明らかである。予想されたように、より厳しい酸性溶液の場合、格子定数a及びcの変化はわずかにより顕著である。浸漬の最初の7日間にわたって格子定数cについて急激な低下が起こり、その後の浸漬による減少率は小さい。
【0225】
【表1】
【0226】
イオン伝導度
【0227】
図7に示すように、LiCl(10M)では、浸漬時間によって抵抗が減少し、その結果導電性が向上した。この抵抗の減少は、構造内に新しいアモルファス相が形成されたことに起因している可能性がある。他の可能性は、濃縮溶液からのLiClによるポリマー成分の塩ドーピングの漸増である。同じ傾向が、塩化リチウム中へのLATP浸漬についても観察され、粒界でより低い抵抗を有するLiCl-xH2Oの形成に正当化された(K. Takahashi (2012)、M. Zhang (2012))。
【0228】
表面トポグラフィー
【0229】
浸漬前後のハイブリッド膜のSEM画像を図8に示す。膜の詳細な形態はこの長い期間にわたって徐々に進化する一方で、この陰極液への長時間の暴露で形成された膜を貫通する穴の兆候はない。膜の表面上に形成されたポリマー層は、その下の層を保護することによって膜の安定性を向上させるのに寄与する要因の1つであり得る。
【0230】
実施例8. 異なるpHのLiCl溶液中での、LAGPセラミック-有機ポリマー膜を含むLABのサイクル性能
【0231】
提案されたハイブリッド膜のこの高い安定性は、従来の複合膜を使用するシステムと比較した場合、より長いサイクル寿命を有する高性能エネルギー貯蔵システムに直接変換される。一例として、図9a及び図9bは、ハイブリッド膜と、陰極液溶液としてpH6.0のLiCl(10M)と、pH2の酸性化LiClとを用いた水性Li空気電池の室温放電/充電プロファイルをそれぞれ表す。接触を改善するために、EC-DMC中の1滴のLiPF6をリチウムアノード上で使用する。酸素の還元及び発生は、CNT/Pt空気陰極を用いて触媒作用を受ける。どちらの場合も、各サイクルは1時間に制限され、電流密度は2~4.5Vの電圧範囲で0.03 mA cm-2で一定に保たれた。この試験では、バッテリの充放電容量は意図的に50 mAh/gCに制限されている。中性LiCl(10M)では、過電圧が徐々に増加するまで、電池は80サイクルを超えて低い過電圧で作動した(図9a)。有機リチウム空気電池は典型的には10倍大きい過電圧(したがってより低い電力性能並びにより低いエネルギー効率)を有することに留意されたい。
【0232】
新しいハイブリッド膜の優れた性能は、pH2の高度に酸性化されたLiCl(10 M)を利用したLi空気電池で実証されている(図9b)。これらの酸性条件下では、従来のPEO系膜は数時間以内に分解する。図から判るように、このセルはほとんどのサイクルで<0.4Vという低い過電圧で動作しる。水性リチウム空気電池は、各サイクルが1時間に制限されている140サイクルを超えて動作した。充放電曲線は、ほとんどのサイクルで平坦な平坦域を示している。電池の比較的低い平衡電圧は、充電中及び放電中の両方において、電池反応が本質的に2電子メカニズムに従っていると仮定することによって正当化することができる。図9cは、ここに提示されたハイブリッド膜についての過電圧を水性Li空気電池中のPEOベースのハイブリッド膜と比較したものである。ここに見られるように、PEOベースの膜のより高い導電率(8×10-4 S cm-1)のために、本発明のハイブリッド膜と比較した場合、当初は過電圧が小さい。しかしながら、ハイブリッド膜を使用すると、電池の寿命が大幅に延びる。
【0233】
参考文献
【0234】
本明細書に引用された参考文献は、以下のページに列挙されており、この参照により本明細書に組み込まれる。
【0235】
【非特許文献1】D. Safanama, N. Sharma, R. P. Rae, H. E. A. Brand and S. Adams, Journal of Materials Chemistry A, 2016, 4, 7718-7726.
【0236】
【非特許文献2】M. Armand and J. M. Treason, Nature, 2008, 451, 652.J. E. Weston and B. C. H. Steele, Solid State Ionics, 1982, 7, 75-79.
【0237】
【非特許文献3】K. M. Abraham, V. R. Koch and T. J. Blakely, Journal of The Electrochemical Society, 2000, 147, 1251-1256.
【0238】
【非特許文献4】Aetukuri, N. B.; Kitajima, S.; Jung, E.; Thompson, L. E.; Virwani,K.; Reich, M.-L.; Kunze, M.; Schneider, M.; Schmidbauer, W.; Wilcke,W. W.; et al. Flexible Ion-Conducting Composite Membranes for Lithium Batteries. Adv. Energy Mater. 2015, 5 (14), 1500265.
【0239】
【非特許文献5】X.-W. Zhang, C. Wang, A. J. Appleby and F. E. Little, Journal of Power Sources, 2002, 112, 209-215.
【0240】
【非特許文献6】P. Zhang, H. Wang, Y.-G. Lee, M. Matsui, Y. Takeda, O. Yamamoto and N. Imanishi, Journal of The Electrochemical Society, 2015, 162, A1265-A1271.
【0241】
【非特許文献7】D. Safanama, D. Damiano, R. P. Rao and S. Adams, Solid State Ionics, 2014, 262, 211-215.
【0242】
【非特許文献8】Eastman Chemical Company, Butvar, polyvinyl butyral resin: Properties and uses. M. Bolgar, J. Hubball, J. Groeger and S. Meronek, Handbook for the Chemical Analysis of Plastic and Polymer Additives, CRC Press, 200.
【0243】
【非特許文献9】K. Takahashi, et al., Journal of Electrochemical Society, 2012, 159, A342-A348.
【0244】
【非特許文献10】M. Zhang, et al., Journal of The Electrochemical Society, 2012, 159, A1114-A1119.
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2022-11-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリビニルブチラールからなる第1のポリマー、ポリフッ化ビニリデン(PvDF)からなる第2のポリマー、リチウム塩からなるドーパント、可塑剤およびリチウムイオン伝導性セラミックからなる固体電解質。
【請求項2】
可塑剤が、フタル酸エステル、リン酸エステル系可塑剤、リン酸エステル、脂肪酸エステル、アゼライン酸のエステル、セバシン酸のエステル、トリメリット酸エステル及び高分子可塑剤からなる群のうちの1又はそれ以上から選択される、請求項1に記載の固体電解質。
【請求項3】
ドーパントが、過塩素酸リチウム(LiClO4)、テトラフルオロホウ酸リチウム(LiBF4)、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、リチウムビス(トリフルオロメタン)スルホンイミド(Li[N(CF3SO2)2])、ヘキサフルオロヒ酸リチウム(V)(LiAsF6リチウムビス(オキサラトボレート)、硝酸リチウム(LiNO3)、塩化リチウム(LiCl)及び臭化リチウム(LiBr)からなる群のうちの1又はそれ以上から選択されるリチウム塩である、請求項1に記載の固体電解質。
【請求項4】
リチウムイオン伝導性セラミックが、NASICON型セラミック、リチウム充填ガーネット型酸化物、LISICON型セラミック、ペロブスカイト型酸化物、Li3PO4-Li4SiO4擬二元系Li3+x(P1-xSix)O4の固溶体及びリチウムイオン伝導性オキシハライドガラスからなる群のうちの1又はそれ以上から選択される、請求項に記載の固体電解質。
【請求項5】
固体電解質が、10~25重量%の可塑剤、15~30重量%のポリビニルブチラール、15~30重量%のリチウム塩、及び30~50重量%のPvDFからなる、請求項に記載の固体電解質。
【請求項6】
リチウムイオン伝導性セラミックが、60重量%から90重量%の量で存在する、請求項に記載の固体電解質。
【請求項7】
60~90重量%のリチウムイオン伝導性セラミック、1~5重量%の可塑剤、2~8重量%のポリビニルアセタール、2~8重量%のリチウム塩及び4~15重量%のPvDFからなる請求項に記載の固体電解質。
【請求項8】
60~90重量%のガーネット関連型のTaおよびGaが共ドープされたリチウム・ランタン・ジルコネート、2~8重量%の可塑剤、2~8重量%のポリビニルブチラール、2~8重量%のリチウム塩及び4~15重量%のPVdFからなる請求項に記載の固体電解質。
【請求項9】
請求項1に記載の固体電解質を含む電池に使用するためのイオン伝導性膜分割器。
【請求項10】
陽極、陰極、陰極液、及び任意選択で陽極液を含み、請求項に記載のイオン伝導性膜分割器が陽極から陰極液を分離している電池。
【請求項11】
a)請求項1に記載の固体電解質を提供し、そして
b)固体電解質を膜に成形する
という工程を含む、電池に使用するのに適したイオン伝導性膜分割器を製造する方法。
【外国語明細書】