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特開2022-18823車両運賃算出システム、車両運賃算出装置、及び移動端末
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022018823
(43)【公開日】2022-01-27
(54)【発明の名称】車両運賃算出システム、車両運賃算出装置、及び移動端末
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/30 20120101AFI20220120BHJP
   G06Q 30/04 20120101ALI20220120BHJP
   G06Q 20/32 20120101ALI20220120BHJP
   G07B 13/00 20060101ALI20220120BHJP
   G07B 15/02 20110101ALI20220120BHJP
【FI】
G06Q50/30
G06Q30/04
G06Q20/32 330
G07B13/00 H
G07B15/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020122197
(22)【出願日】2020-07-16
(71)【出願人】
【識別番号】508207790
【氏名又は名称】有限会社 和晃
(74)【代理人】
【識別番号】100143568
【弁理士】
【氏名又は名称】英 貢
(72)【発明者】
【氏名】水科 晃
【テーマコード(参考)】
3E127
5L049
5L055
【Fターム(参考)】
3E127AA11
3E127AA12
3E127AA19
3E127BA11
3E127CA18
3E127CA19
3E127CA38
3E127CA48
3E127EA02
3E127EA17
3E127EA18
3E127EA32
3E127FB06
3E127FB12
3E127FB18
5L049BB11
5L049CC41
5L055AA64
(57)【要約】
【課題】取引の安全性と利便性の高い態様で、運送サービスに関する車両の運賃を自動算出する車両運賃算出システム、車両運賃算出装置、及び移動端末を提供する。
【解決手段】本発明の車両運賃算出システム1は、ユーザーUの車両Mの乗り降りの際に、ユーザー情報がコード化されたコードラベルCLを提示可能とする移動端末2と、車両Mに搭載されるコード読取端末3、車両運賃算出装置4、及び運賃表示器5とを備える。コード読取端末3は、移動端末2からコードラベルCLを読み取ってユーザー情報を抽出する。車両運賃算出装置4は、GPS信号を受信して車両Mの現在の位置情報と現在の日時情報を取得するGPS受信機能、及び、車両MへのユーザーUの乗車時点の位置情報及び日時情報と、降車時点の位置情報及び日時情報とを検出し、運送サービスに関する取引の予め定められた運賃を自動算出し、運賃表示器5に自動表示する運賃算出機能を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
運送サービスに関する車両の運賃を自動算出する車両運賃算出システムであって、
ユーザーの前記車両の乗り降りの際に、ユーザー情報がコード化されたコードラベルを提示可能とする、前記ユーザーが用いる移動端末と、
前記車両に搭載され、前記移動端末から前記コードラベルを読み取って前記ユーザー情報を抽出するコード読取端末と、
前記車両に搭載され、GPS信号を受信して前記車両の現在の位置情報と現在の日時情報を取得するGPS受信機能、及び、前記車両への前記ユーザーの乗車時点の位置情報及び日時情報と、降車時点の位置情報及び日時情報とを検出し、前記運送サービスに関する取引の予め定められた運賃を自動算出し、所定の運賃表示器に自動表示するよう制御する運賃算出機能を有する車両運賃算出装置と、
を備えることを特徴とする車両運賃算出システム。
【請求項2】
前記車両運賃算出装置は、前記運賃の算出後の一定期間、前記車両を利用した1以上のユーザーの運送サービスに関する取引のユーザー利用情報をユーザー利用情報テーブルとして履歴管理する機能を更に有することを特徴とする、請求項1に記載の車両運賃算出システム。
【請求項3】
前記車両運賃算出装置は、複数の当該車両運賃算出装置を管理する管理センターサーバに対して、前記ユーザー利用情報を、その更新がある度に逐次、又は定期的に、或いは当該管理センターサーバからの要求に応じて、当該管理センターサーバに送信し、一定期間当該ユーザー利用情報を保管させるゲートウェイ機能を更に有することを特徴とする、請求項2に記載の車両運賃算出システム。
【請求項4】
前記コードラベルは、当該管理センターサーバから供与されるか、又はアプリケーションにより生成されるように構成されていることを特徴とする、請求項3に記載の車両運賃算出システム。
【請求項5】
前記コードラベルは、有効期限が設定され、設定される有効期限が超過しているときは無効化されるように構成されていることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の車両運賃算出システム。
【請求項6】
ユーザーの前記車両の乗り降りの際に、ユーザー情報がコード化されたコードラベルを提示可能とする、前記ユーザーが用いる移動端末の表示部に表示された前記コードラベルを読み取って前記ユーザー情報を抽出する前記車両に搭載されるコード読取端末から、前記ユーザー情報を入力し運送サービスに関する車両の運賃を自動算出する前記車両に搭載される車両運賃算出装置であって、
GPS信号を受信して前記車両の現在の位置情報と現在の日時情報を取得するGPS受信機能、及び、
前記車両への前記ユーザーの乗車時点の位置情報及び日時情報と、降車時点の位置情報及び日時情報とを検出し、前記運送サービスに関する取引の予め定められた運賃を自動算出し、所定の運賃表示器に自動表示するよう制御する運賃算出機能、
を有することを特徴とする車両運賃算出装置。
【請求項7】
運送サービスに関する車両の運賃の自動算出に用いる移動端末であって、
ユーザーの前記車両の乗り降りの際に、ユーザー情報がコード化されたコードラベルを提示可能とするよう制御する制御部を備え、
前記コードラベルは、有効期限が設定され、設定される有効期限が超過しているときは無効化されるように構成されていることを特徴とする移動端末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運送サービスに関する車両の運賃を自動算出する車両運賃算出システム、車両運賃算出装置、及び移動端末に関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザーがバスやタクシー、或いは電車等の車両を利用する場合、その利用した距離に応じた料金を、現金、乗車チケット、或いはICカード等で支払う。近年では、運賃の支払い方法として、現金の他に、電子マネーやクレジットカード等による支払も行われている。
【0003】
ところで、運送サービスを受けたユーザーが迅速に運賃の支払いを完了させる精算システムについて開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1に開示される精算システムは、運送サービスに関する取引情報を出力するタクシーに設けられる運賃メータ及び管理端末と、取引情報を取得したユーザー端末からユーザー情報及び取引情報を取得し、ユーザー情報と紐づけ可能な運賃情報を運賃メータから取得するホスト端末と、を有し、タクシーに設けられる管理端末は、その取引情報をユーザー端末に読み取らせるためにQRコード(登録商標)として表示する管理表示部を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-74146号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
まず、ユーザーがバスやタクシー、或いは電車等の車両を利用する場合、その利用した距離に応じた料金を支払うが、しばしば「乗車券の紛失」で運賃が不明になってしまうことや、「乗り逃げ」や「なりすまし」によるユーザーを事後特定できず、損失が生じたりする問題が生じることがある。
【0007】
参考までに、特許文献1に開示される精算システムは、運送サービスを受けたユーザーが迅速に運賃の支払いを完了させる精算に関する技術であり、取引情報をQRコード(登録商標)として表示する管理表示部を有しており、これによりユーザー端末は、ホスト端末経由で電子決済できるようにしているが、上記の問題を解決することができない。即ち、ユーザー端末がQRコード(登録商標)を提示するものではないため、QRコード(登録商標)自体からユーザー情報を特定できない。また、決済メーカーのアプリケーションが発行するQRコード(登録商標)は、あくまでも決済用の情報しかなく、そのQRコード(登録商標)は或る一定時間を過ぎると更新されるため、どこから乗りどこで降りるかといった運賃等の取引情報をQRコード(登録商標)として表示するとしても、ユーザー端末を特定することはできない。
【0008】
また、ユーザーとしては、ユーザーの秘匿性が保たれた上で、運送サービスに関する取引の運賃が利用距離又は利用時間で確実に算出されて、安心して利用できるシステムが要望される。
【0009】
従って、運送サービスに関する取引の安全性を高め、尚且つユーザーにとっても利便性の高い車両運賃算出システムが要望される。
【0010】
本発明の目的は、上述の問題に鑑みて、取引の安全性と利便性の高い態様で、運送サービスに関する車両の運賃を自動算出する車両運賃算出システム、車両運賃算出装置、及び移動端末を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の車両運賃算出システムは、運送サービスに関する車両の運賃を自動算出する車両運賃算出システムであって、ユーザーの前記車両の乗り降りの際に、ユーザー情報がコード化されたコードラベルを提示可能とする、前記ユーザーが用いる移動端末と、前記車両に搭載され、前記移動端末から前記コードラベルを読み取って前記ユーザー情報を抽出するコード読取端末と、前記車両に搭載され、GPS信号を受信して前記車両の現在の位置情報と現在の日時情報を取得するGPS受信機能、及び、前記車両への前記ユーザーの乗車時点の位置情報及び日時情報と、降車時点の位置情報及び日時情報とを検出し、前記運送サービスに関する取引の予め定められた運賃を自動算出し、所定の運賃表示器に自動表示するよう制御する運賃算出機能を有する車両運賃算出装置と、を備えることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の車両運賃算出システムにおいて、前記車両運賃算出装置は、前記運賃の算出後の一定期間、前記車両を利用した1以上のユーザーの運送サービスに関する取引のユーザー利用情報をユーザー利用情報テーブルとして履歴管理する機能を更に有することを特徴とする。
【0013】
また、本発明の車両運賃算出システムにおいて、前記車両運賃算出装置は、複数の当該車両運賃算出装置を管理する管理センターサーバに対して、前記ユーザー利用情報を、その更新がある度に逐次、又は定期的に、或いは当該管理センターサーバからの要求に応じて、当該管理センターサーバに送信し、一定期間当該ユーザー利用情報を保管させるゲートウェイ機能を更に有することを特徴とする。
【0014】
また、本発明の車両運賃算出システムにおいて、前記コードラベルは、当該管理センターサーバから供与されるか、又はアプリケーションにより生成されるように構成されていることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の車両運賃算出システムにおいて、前記コードラベルは、有効期限が設定され、設定される有効期限が超過しているときは無効化されるように構成されていることを特徴とする。
【0016】
また、本発明の車両運賃算出装置は、ユーザーの前記車両の乗り降りの際に、ユーザー情報がコード化されたコードラベルを提示可能とする、前記ユーザーが用いる移動端末の表示部に表示された前記コードラベルを読み取って前記ユーザー情報を抽出する前記車両に搭載されるコード読取端末から、前記ユーザー情報を入力し運送サービスに関する車両の運賃を自動算出する前記車両に搭載される車両運賃算出装置であって、GPS信号を受信して前記車両の現在の位置情報と現在の日時情報を取得するGPS受信機能、及び、前記車両への前記ユーザーの乗車時点の位置情報及び日時情報と、降車時点の位置情報及び日時情報とを検出し、前記運送サービスに関する取引の予め定められた運賃を自動算出し、所定の運賃表示器に自動表示するよう制御する運賃算出機能、を有することを特徴とする。
【0017】
また、本発明の移動端末は、運送サービスに関する車両の運賃の自動算出に用いる移動端末であって、ユーザーの前記車両の乗り降りの際に、ユーザー情報がコード化されたコードラベルを提示可能とするよう制御する制御部を備え、前記コードラベルは、有効期限が設定され、設定される有効期限が超過しているときは無効化されるように構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、運送サービスに関する取引の安全性を高め、尚且つユーザーにとっても利便性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明による一実施形態の車両運賃算出システムの概略構成を示すブロック図である。
図2】本発明による一実施形態の車両運賃算出システムにおける車両運賃算出装置及び移動端末の概略構成を示すブロック図である。
図3】本発明による一実施形態の車両運賃算出装置におけるユーザー利用情報テーブルの一例を示す図である。
図4】本発明による一実施形態の車両運賃算出システムの典型的な動作例を示すフローチャートである。
図5】(a),(b)は、それぞれユーザーが或る車両を乗車した時と降車した時の本発明による一実施形態の車両運賃算出システムにおける典型的な運賃算出例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して、本発明による一実施形態の車両運賃算出システム1について説明する。図1は、本発明による一実施形態の車両運賃算出システム1の概略構成を示すブロック図である。また、図2は、本発明による一実施形態の車両運賃算出システム1における車両運賃算出装置4及び移動端末2の概略構成を示すブロック図である。
【0021】
〔車両運賃算出システム〕
図1に示す車両運賃算出システム1は、ユーザーUが用いる移動端末2と、ユーザーUが利用する運送サービスに関する取引対象の車両(図示する例ではバス)Mに搭載されるコード読取端末3、車両運賃算出装置4、及び運賃表示器5と、を備える。尚、本例では、車両Mの例としてバスを例示しているが、タクシー、或いは電車等の運送サービスに関する取引対象の車両としてもよい。
【0022】
車両運賃算出システム1において、ユーザーUは、車両Mの乗り降りの際に、移動端末2に表示させたユーザーU及び移動端末2を特定するユーザー情報がコード化されたコードラベルCLをコード読取端末3にかざして読み取らせる。コードラベルCLは、本例ではQRコード(登録商標)のような既存フォーマット形式の二次元コードラベルとするが、バーコードのような既存フォーマット形式の一次元コードラベルでもよい。
【0023】
このコードラベルCLは、複数の車両運賃算出装置4を管理する管理センターサーバ(図示略)に対し、ユーザーUが例えば移動端末2を利用してユーザー登録を行った結果、当該管理センターサーバから供与されるものである。ユーザー登録にあたって、まず、ユーザーUは、移動端末2に本システム専用のアプリケーションをダウンロードし、そのアプリケーションの実行により、少なくともユーザー名称及び移動端末2を指定するメールアドレスを記載した個人情報を当該管理センターサーバに送信する。或いは、ユーザーUは、任意の通信端末(パーソナルコンピュータを含む。)を利用して本システム専用のWebサイトにアクセスし、少なくともユーザー名称及び移動端末2を指定するメールアドレスを記載した個人情報を当該管理センターサーバに送信する。
【0024】
当該管理センターサーバは、その個人情報を取得すると固有の識別番号を割り当てて管理し、当該固有の識別番号に対応するユーザー登録情報を確認させるためのURL情報(アクセス期限付き)を当該メールアドレスに返信する。そして、ユーザーUは、当該メールアドレスにて指定されるURLにアクセスしてユーザー登録情報を確認し、ユーザー登録を承認する旨の通知を当該管理センターサーバに送信する。ユーザー登録の承認通知を受信した当該管理センターサーバは、当該固有の識別番号に対応するユーザー情報を示すコードラベルCLを有効期限付きで生成し、移動端末2によって利用可能に提示する。コードラベルに設定される有効期限が超過しているときは、設定されていたユーザー情報を示すコードラベルは無効化される。
【0025】
これにより、ユーザーUは、ユーザー認証を経た当該アプリケーションの実行、若しくは当該Webサイトのアクセス経由で、コードラベルCLを移動端末2に表示させることができる。コードラベルCL自体は、有効期限付きであり、更に、任意のコード読取端末3で読み取り可能であるがユーザー情報として固有の識別番号が解読されるのみであるため、ユーザーUの個人情報の秘匿性は保たれ、尚且つ取引の安全性も保たれる。尚、コードラベルCLには、当該固有の識別番号を更に符号化した情報をユーザー情報として埋め込むようにして、より個人情報の秘匿性及び取引の安全性を高めるようにしてもよい。
【0026】
コード読取端末3は、コードラベルCLから読み取ったユーザー情報を有線又は近距離無線通信(LAN等)で車両運賃算出装置4に送信する。このコード読取端末3は、既存フォーマット形式の二次元又は一次元のコードラベルを読み取り可能な汎用デバイスを利用できる。
【0027】
車両運賃算出装置4は、複数のGPS(Global Positioning System)衛星(図示略)からGPS位置情報及びGPS日時情報を示すGPS信号を受信して、車両Mの現在の位置情報と現在の日時情報を取得するGPS受信機能を有している。そこで、車両運賃算出装置4は、そのGPS受信機能により、コード読取端末3から送信された時点の位置情報及び日時情報を決定する。また、車両運賃算出装置4は、車両MへのユーザーUの乗車時点の位置情報及び日時情報と、降車時点の位置情報及び日時情報とを検出し、運送サービスに関する取引の予め定められた運賃を自動算出する運賃算出機能を有している。
【0028】
そして、車両運賃算出装置4は、運賃算出機能により、車両MへのユーザーUの運送サービスに関する取引の予め定められた運賃を自動算出すると、その運賃を運賃表示器5に自動表示する。ユーザーUは、運賃表示器5に表示された運賃について、現金、乗車チケット、或いはICカード等の任意の精算方法で支払う。
【0029】
ここで、車両運賃算出装置4は、運賃算出後の一定期間、本システムにより車両Mを利用した1以上のユーザーの運送サービスに関する取引のユーザー利用情報をユーザー利用情報テーブルとして履歴管理する機能と、当該ユーザー利用情報を、その更新がある度に逐次、又は定期的に、或いは当該管理センターサーバからの要求に応じて、当該管理センターサーバに送信し、一定期間当該ユーザー利用情報を保管させるゲートウェイ(GW)機能と、を有している。当該管理センターサーバは、車両M毎に一定期間、当該ユーザー利用情報を保管する。車両運賃算出装置4、及び当該管理センターサーバは、個人情報の秘匿性及び取引の安全性を高める観点から、運賃算出後の一定期間を経過した当該ユーザー利用情報を自動消去する機能を有するのが好適である。
【0030】
この車両運賃算出システム1によれば、ユーザーUがバスやタクシー、或いは電車等の車両Mを利用する場合に、「乗車券の紛失」で運賃が不明になってしまうおそれがなくなり、更には、「乗り逃げ」や「なりすまし」による問題が生じても、事後的に不健全なユーザーUを特定することができ、損失の抑制に繋がる。また、健全なユーザーUとしては、ユーザーUの秘匿性が保たれた上で、運送サービスに関する取引の運賃が利用距離又は利用時間で確実に算出されたものとなるので安心して利用できるようになる。
【0031】
〔移動端末〕
図2に示すように、移動端末2は、制御部20、端末UI(ユーザーインターフェース)21、記憶部22、表示部23、及び通信部24を備える。
【0032】
端末UI21は、移動端末2をユーザーUが操作するためのヒューマン・マシン・ユーザーインターフェースである。
【0033】
記憶部22は、移動端末2で利用する各種のアプリケーション用プログラムやデータを保存するメモリである。
【0034】
表示部23は、移動端末2で利用する各種のアプリケーションやデータを表示するディスプレイである。
【0035】
通信部24は、他のデバイスとの無線通信を行う機能部であり、本例では、複数の車両運賃算出装置4を管理する当該管理センターサーバに対し例えばインターネット経由の相互通信を行う機能を有する。
【0036】
ここでは、本システム専用のアプリケーション201をインストール済みである例を説明するが、上述したようにWebアクセス方式であってもよい。
【0037】
制御部20は、中央演算処理ユニット(CPU)で構成することができ、端末UI21を介して記憶部22の所定の格納領域に格納されているアプリケーション201を読み出して実行することで、ユーザー登録部202、コードラベル読出部203、コードラベル表示制御部204の各機能部を機能させる。
【0038】
ユーザー登録部202は、通信部24を介して、上述したように、複数の車両運賃算出装置4を管理する当該管理センターサーバに対しユーザー登録を行い、コードラベルCLの供与を受ける機能部である。このコードラベルCLは、記憶部21に保存できる形態として説明するが、記憶部21に保存不能とし、通信部24を介してユーザー登録後の当該管理センターサーバに対するアクセスで表示供与される形態でもよい。
【0039】
コードラベル読出部203は、当該管理センターサーバから供与を受けたコードラベルCLを記憶部21から読み出すか、或いはユーザー登録後の当該管理センターサーバに対するアクセスで読み出す機能部である。
【0040】
コードラベル表示制御部204は、読み出したコードラベルCLを表示部23に表示する機能部である。
【0041】
これにより、ユーザーUは、車両Mの乗り降りの際に、移動端末2に表示させたユーザーU及び移動端末2を特定するユーザー情報がコード化されたコードラベルCLをコード読取端末3にかざすことで提示し読み取らせることができる。
【0042】
〔車両運賃算出装置〕
図2に示すように、車両運賃算出装置4は、制御部40、通信部41、記憶部42、GPS受信部43、表示制御部44、及び通信部45を備える。
【0043】
通信部41は、コード読取端末3に対し有線又は近距離無線通信(LAN等)で通信する機能部であり、コード読取端末3によりコードラベルCLを読み取って得られるユーザー情報を受信する機能を有する。
【0044】
記憶部42は、車両運賃算出装置4として機能させるためのプログラムや各種のデータを保存するメモリである。
【0045】
GPS受信部43は、複数のGPS衛星(図示略)からGPS位置情報及びGPS日時情報を示すGPS信号を受信して、車両Mの現在の位置情報と現在の日時情報を取得する機能部である。
【0046】
表示制御部44は、車両MへのユーザーUの運送サービスに関する取引の予め定められた運賃を運賃表示器5に表示する機能部である。
【0047】
通信部45は、他のデバイスとの無線通信を行う機能部であり、本例では、複数の車両運賃算出装置4を管理する当該管理センターサーバに対し例えばインターネット経由の相互通信を行う機能を有する。
【0048】
制御部40は、中央演算処理ユニット(CPU)で構成することができ、当該運送サービスの運行中は常時、記憶部42の所定の格納領域に格納されている車両運賃算出装置4として機能させるためのプログラムを読み出して実行することで、GPS機能部401、運賃算出部402、ユーザー利用情報管理部403、及びゲートウェイ機能部404の各機能部を機能させる。
【0049】
GPS機能部401は、GPS受信部43を機能させ、複数のGPS衛星(図示略)からGPS位置情報及びGPS日時情報を示すGPS信号を受信して、車両Mの現在の位置情報と現在の日時情報を取得し、コード読取端末3から送信された時点の位置情報及び日時情報を決定する機能部である。
【0050】
運賃算出部402は、GPS機能部401と協働して、車両MへのユーザーUの乗車時点の位置情報及び日時情報と、降車時点の位置情報及び日時情報とを検出し、運送サービスに関する取引の予め定められた運賃を自動算出し、その運賃を運賃表示器5に自動表示する機能部である。
【0051】
ユーザー利用情報管理部403は、運賃算出後の一定期間、本システムにより車両Mを利用した1以上のユーザーの運送サービスに関する取引のユーザー利用情報をユーザー利用情報テーブルとして記憶部42に保持して、履歴管理する機能部である。尚、ユーザー利用情報テーブルの一例を図3に示している。図3に例示するユーザー利用情報テーブルでは、ユーザー情報毎に、本運送サービスに関する利用情報として、車両MへのユーザーUの乗車時点の位置情報及び日時情報と、降車時点の位置情報及び日時情報とを対応付けたものとしている。
【0052】
ゲートウェイ機能部404は、ユーザー利用情報管理部403により履歴管理する当該ユーザー利用情報を、その更新がある度に逐次、又は定期的に、或いは当該管理センターサーバからの要求に応じて、通信部45を介して当該管理センターサーバに送信する機能部である。
【0053】
当該管理センターサーバは、車両M毎に、運賃算出後の一定期間、当該ユーザー利用情報を保管する。
【0054】
車両運賃算出装置4、及び当該管理センターサーバは、個人情報の秘匿性及び取引の安全性を高める観点から、運賃算出後の一定期間を経過した当該ユーザー利用情報を自動消去する機能を有するのが好適である。
【0055】
(システム動作)
図4は、本発明による一実施形態の車両運賃算出システム1の典型的な動作例を示すフローチャートである。
【0056】
移動端末2は、ユーザーUが車両Mに乗車する際に、ユーザーUの操作により、移動端末2の表示部23に、ユーザーU及び移動端末2を特定するユーザー情報がコード化されたコードラベルCLを画面表示させる(ステップS1)。
【0057】
そして、ユーザーUは、車両Mへの乗車時に、コードラベルCLをコード読取端末3にかざすことで提示する操作を行う(ステップS2)。
【0058】
そして、コード読取端末3は、移動端末2の表示部23にかざして提示されたコードラベルCLを読み取り、ユーザー情報を抽出して車両運賃算出装置4に送信する(ステップS3)。
【0059】
続いて、車両運賃算出装置4は、ユーザー情報の受信時にユーザー利用情報テーブルを参照して当該ユーザーUが乗車であることを確認し、GPS機能部401の機能により、当該ユーザーUの乗車位置及び乗車日時を当該ユーザー利用情報テーブルに登録して管理する(ステップS4)。
【0060】
一方、ユーザーUは、車両Mへの降車時に、コードラベルCLをコード読取端末3にかざすことで提示する操作を行う(ステップS8)。
【0061】
そして、コード読取端末3は、移動端末2の表示部23にかざして提示されたコードラベルCLを読み取り、ユーザー情報を抽出して車両運賃算出装置4に送信する(ステップS6)。
【0062】
続いて、車両運賃算出装置4は、ユーザー情報の受信時にユーザー利用情報テーブルを参照して当該ユーザーUが降車であることを確認し、GPS機能部401の機能により、当該ユーザーUの降車位置及び降車日時を当該ユーザー利用情報テーブルに登録して管理するとともに、運賃算出部402は、GPS機能部401と協働して、車両MへのユーザーUの乗車時点の位置情報及び日時情報と、降車時点の位置情報及び日時情報とを検出し、運送サービスに関する取引の予め定められた運賃を自動算出し(ステップS7)、その運賃を運賃表示器5に自動表示する(ステップS8)。
【0063】
これにより、ユーザーUは、運賃表示器5に表示された運賃について、現金、乗車チケット、或いはICカード等の任意の精算方法で支払うことができる。
【0064】
車両運賃算出装置4は、制御部40の機能により、個人情報の秘匿性及び取引の安全性を高める観点から、運賃算出後の一定期間を経過した当該ユーザー利用情報を自動消去する(ステップS9)。当該管理センターサーバも同様に、個人情報の秘匿性及び取引の安全性を高める観点から、運賃算出後の一定期間を経過した当該ユーザー利用情報を自動消去する。
【0065】
また、コードラベルCLは有効期限が設定されて生成されており、移動端末2は、コードラベルCLに設定される有効期限が超過しているときは、設定されていたユーザー情報を示すコードラベルCLが無効化されるようになっている。
【0066】
このように、ユーザーUは、ユーザー認証を経た当該アプリケーションの実行、若しくは当該Webサイトのアクセス経由で、コードラベルCLを移動端末2に表示させることができる。コードラベルCL自体は、有効期限付きであり、更に、任意のコード読取端末3で読み取り可能であるがユーザー情報として固有の識別番号が解読されるのみであるため、ユーザーUの個人情報の秘匿性は保たれ、尚且つ取引の安全性も保たれる。尚、コードラベルCLには、当該固有の識別番号を更に符号化した情報をユーザー情報として埋め込むようにして、より個人情報の秘匿性及び取引の安全性を高めるようにしてもよい。
【0067】
(システム動作の典型例)
図5(a),(b)は、それぞれユーザーUが或る車両Mを乗車した時と降車した時の本発明による一実施形態の車両運賃算出システム1における典型的な運賃算出例を示す図である。
【0068】
図5(a)に示すように、ユーザーUが本システムに係る或る車両Mを乗車した時に、車両運賃算出装置4は、コード読取端末3を介して移動端末2に提示されたコードラベルCLのユーザー情報を取得すると、ユーザー情報の受信時にユーザー利用情報テーブルを参照して当該ユーザーUが乗車であることを確認し、GPS機能部401の機能により、当該ユーザーUの乗車位置及び乗車日時を当該ユーザー利用情報テーブルに登録して管理する。
【0069】
図5(a)に示す例では、運送サービスに関する取引の予め定められた運賃として、「○○から乗車」したときの初乗り運賃150円が設定されており、ユーザーUはこの初乗り運賃150円を前払いして乗車するものとする。
【0070】
一方、図5(b)に示すように、ユーザーUが本システムに係る或る車両Mを降車した時に、車両運賃算出装置4は、コード読取端末3を介して移動端末2に提示されたコードラベルCLのユーザー情報を取得すると、ユーザー情報の受信時にユーザー利用情報テーブルを参照して当該ユーザーUが降車であることを確認し、GPS機能部401の機能により、当該ユーザーUの乗車位置及び乗車日時を当該ユーザー利用情報テーブルに登録して管理するとともに、車両MへのユーザーUの乗車時点の位置情報及び日時情報と、降車時点の位置情報及び日時情報とを検出し、運送サービスに関する取引の予め定められた運賃として、「○○から乗車」したときの運賃400円と初乗り運賃150円の前払いを考慮して、運賃¥400-初乗り運賃¥150=¥250を自動算出し(ステップS7)、その運賃¥250を運賃表示器5に自動表示する。
【0071】
尚、初乗り運賃の設定がないときは、初乗り運賃0円として、同様に動作する。
【0072】
本実施形態の車両運賃算出システム1によれば、ユーザーUがバスやタクシー、或いは電車等の車両Mを利用する場合に、「乗車券の紛失」で運賃が不明になってしまうおそれがなくなり、更には、「乗り逃げ」や「なりすまし」による問題が生じても、通常、運送サービスの車両Mには時刻を特定した撮影が可能な車載カメラがあるために、本実施形態の車両運賃算出システム1との時刻照合により、事後的に不健全なユーザーUを特定することができ、損失の抑制に繋がる。また、健全なユーザーUとしては、ユーザーUの秘匿性が保たれた上で、運送サービスに関する取引の運賃が利用距離又は利用時間で確実に算出されたものとなるので安心して利用できるようになる。
【0073】
以上、特定の実施形態の例を挙げて本発明を説明したが、本発明は前述の実施形態の例に限定されるものではなく、その技術思想を逸脱しない範囲で種々変形可能である。
【0074】
例えば、上述した実施形態では、管理センターサーバがコードラベルCLをユーザー登録したユーザーUに対し供与する好適例を説明したが、このような管理センターサーバを設けずに、移動端末2のアプリケーションが、車両運賃算出装置4で識別しユーザー認証可能なコードラベルCLを生成する形態としてもよい。この場合には、移動端末2におけるユーザー登録部302の機能は、車両運賃算出装置4に対するユーザー認証登録を行うようにする。そして、車両運賃算出装置4は、ゲートウェイ機能部404の機能は不要となり、例えば個人タクシー等にも容易に利用できるようになる。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明によれば、運送サービスに関する取引の安全性を高め、尚且つユーザーにとっても利便性を高めることができるので、車両運賃の自動算出の用途に有用である。
【符号の説明】
【0076】
1 車両運賃算出システム
2 移動端末
3 コード読取端末
4 車両運賃算出装置
5 運賃表示器
20 制御部
21 端末UI(ユーザーインターフェース)
22 記憶部
23 表示部
24 通信部
201 アプリケーション
202 ユーザー登録部
203 コードラベル読出部
204 コードラベル表示制御部
40 制御部
41 通信部
42 記憶部
43 GPS受信部
44 表示制御部
45 通信部
401 GPS機能部
402 運賃算出部
403 ユーザー利用情報管理部
404 ゲートウェイ機能部
CL コードラベル
U ユーザー
M 車両
図1
図2
図3
図4
図5