(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022188250
(43)【公開日】2022-12-20
(54)【発明の名称】建設機械のアシスト方法
(51)【国際特許分類】
E02F 9/26 20060101AFI20221213BHJP
E02F 9/24 20060101ALI20221213BHJP
【FI】
E02F9/26 B
E02F9/24 B
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022164131
(22)【出願日】2022-10-12
(62)【分割の表示】P 2021570886の分割
【原出願日】2021-03-25
(31)【優先権主張番号】63/089,041
(32)【優先日】2020-10-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】000231198
【氏名又は名称】日本国土開発株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087480
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100136261
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 俊成
(72)【発明者】
【氏名】関口 政一
(72)【発明者】
【氏名】森本 秀敏
(72)【発明者】
【氏名】小幡 博志
(72)【発明者】
【氏名】馬場 司
(57)【要約】 (修正有)
【課題】複数の無人飛行体により建設機械のアシストをすることができる建設機械のアシスト方法を提供することを目的とする。
【解決手段】建設機械のアシスト方法は、複数の無人飛行体(100)が離着陸する離着陸部を備えた建設機械(1)に複数の無人飛行体(100)を着陸させるステップと、複数の無人飛行体(100)それぞれに設けられた第1撮像装置(102)と第2撮像装置(102)とにより、複数の無人飛行体(100)が離着陸部に着陸している際に、複数の方向の撮像を行うステップと、を含んでいる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の無人飛行体が離着陸する離着陸部を備えた建設機械に前記複数の無人飛行体を着陸させるステップと、
前記複数の無人飛行体それぞれに設けられた第1撮像装置と第2撮像装置とにより、前記複数の無人飛行体が前記離着陸部に着陸している際に、複数の方向の撮像を行うステップと、を含む建設機械のアシスト方法。
【請求項2】
前記複数の方向は、第1方向と、前記第1方向とは反対の第2方向である請求項1に記載の建設機械のアシスト方法。
【請求項3】
前記第1撮像装置は、前記離着陸部に着陸している際に、前記建設機械の作業装置の撮像を行う請求項1または請求項2記載の建設機械のアシスト方法。
【請求項4】
前記第1撮像装置が前記離着陸部での撮像を行っている際に、前記第2撮像装置を有した無人飛行体が飛行した状態で、前記第2撮像装置による撮像を行う請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の建設機械のアシスト方法。
【請求項5】
前記第1撮像装置により撮像した第1画像データを前記建設機械と異なる装置に送信するステップと、
前記第2撮像装置により撮像した第2画像データを前記建設機械と異なる装置に送信するステップと、を含む請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の建設機械のアシスト方法。
【請求項6】
第1無人飛行体と第2無人飛行体とが離着陸する離着陸部と、バケットを有した作業装置とを備えた建設機械の前記作業装置を駆動するステップと、
前記第1無人飛行体の第1撮像装置により、前記建設機械の上方から撮像を行うステップと、
前記第1撮像装置の撮像結果に基づいて、前記第2無人飛行体の第2撮像装置により前記作業装置の撮像を行うステップと、を含む建設機械のアシスト方法。
【請求項7】
前記第1無人飛行体と前記第2無人飛行体とは異なる第3無人飛行体は、前記第1無人飛行体と前記第2無人飛行体との少なくとも一方が飛行している間に、前記離着陸部に着陸している状態で充電を行う請求項6に記載の建設機械。
【請求項8】
第1無人飛行体と第2無人飛行体とが離着陸する離着陸部と、バケットを有した作業装置とを備えた建設機械の前記作業装置を駆動するステップと、
前記第1無人飛行体が、前記バケットとの衝突を回避しながら駆動中の前記バケットに近づいて、前記第1無人飛行体の第1撮像装置により前記駆動中のバケットを撮像し、前記駆動中のバケットの状態を確認するステップとを含む建設機械のアシスト方法。
【請求項9】
前記第2無人飛行体の第2撮像装置は、前記作業装置と異なるものを撮像する請求項8に記載の建設機械のアシスト方法。
【請求項10】
前記第2無人飛行体の前記第2撮像装置は、前記バケットが掘削した掘削物が放土される荷台を撮像する請求項9に記載の建設機械のアシスト方法。
【請求項11】
前記建設機械とダンプトラックとの接近を、前記第2無人飛行体の第2撮像装置の撮像に基づき判断するステップを含む請求項8から請求項10記載の建設機械のアシスト方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、掘削積込作業を行う油圧ショベル等の建設機械のアシスト方法に係り、特に自動運転用の建設機械のアシスト方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、油圧ショベル等の建設機械の自動運転の検討が進められており、手動運転と自動運転とを切替えることが特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、手動運転と自動運転とを切替えるため有人での作業が前提となっていた。
【0005】
そこで、本発明は、複数の無人飛行体により建設機械のアシストをすることができる建設機械のアシスト方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本第1発明に係る建設機械のアシスト方法は、複数の無人飛行体が離着陸する離着陸部を備えた建設機械に前記複数の無人飛行体を着陸させるステップと、前記複数の無人飛行体それぞれに設けられた第1撮像装置と第2撮像装置とにより、前記複数の無人飛行体が前記離着陸部に着陸している際に、複数の方向の撮像を行うステップと、を含んでいる。
本第2発明に係る建設機械のアシスト方法は、第1無人飛行体と第2無人飛行体とが離着陸する離着陸部と、バケットを有した作業装置とを備えた建設機械の前記作業装置を駆動するステップと、前記第1無人飛行体の第1撮像装置により、前記建設機械の上方から撮像を行うステップと、前記第1撮像装置の撮像結果に基づいて、前記第2無人飛行体の第2撮像装置により前記作業装置の撮像を行うステップと、を含んでいる。
本第3発明に係る建設機械のアシスト方法は、第1無人飛行体と第2無人飛行体とが離着陸する離着陸部と、バケットを有した作業装置とを備えた建設機械の前記作業装置を駆動するステップと、前記第1無人飛行体が、前記バケットとの衝突を回避しながら駆動中の前記バケットに近づいて、前記第1無人飛行体の第1撮像装置により前記駆動中のバケットを撮像し、前記駆動中のバケットの状態を確認するステップとを含んでいる。
【発明の効果】
【0007】
本第1発明から本第3発明に係る建設機械のアシスト方法によれば、複数の無人飛行体により建設機械のアシストをすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本第1実施形態を表す建設機械システムの概要図である。
【
図2】本第1実施形態の建設機械システムのブロック図である。
【
図3】
図3(a)は本第1実施形態の本体装置の断面図であり、
図3(b)は
図3(a)のA-A矢視図である。
【
図4】油圧ショベルを上面から見た概要図であり、
図4(a)は第1スイングシリンダと第2スイングシリンダとがイニシャル位置にあるときの概要図であり、
図4(b)は第1スイングシリンダにより第1作業装置を反時計回りに駆動し、第2スイングシリンダにより第2作業装置を時計回りに駆動した様子を示している。
【
図5】本第1実施形態の中央制御装置により実行されるフローチャートである。
【
図6】本第1実施形態の重機制御装置により実行される掘削に関するフローチャートである。
【
図7】建設現場で2機のドローンが測量を行い、2機のドローンが油圧ショベルの本体装置に設けられた離着陸部で充電を行っている様子を示す概要図である。
【
図8】測量領域ARを2つの領域AR1とAR2に分けた様子を示す概要図である。
【
図9】測量領域ARを別の2つの領域AR3とAR4に分けた様子を示す概要図である。
【
図10】掘削している第1バケットをドローンが撮像している様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の第1実施形態の建設機械システム1を、添付の図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下で説明する実施形態により、本発明が限定されるものではない。本実施形態では建設機械として油圧ショベル10を例に説明を続ける。
【0010】
(第1実施形態)
図1は、本実施形態を表す建設機械システム1を示す概要図である。
図2は、本実施形態の建設機械システム1のブロック図である。以下、
図1、
図2を用いて建設機械システム1の構成を説明していく。本実施形態の建設機械システム1は、油圧ショベル10と、ダンプトラック85と、中央制御装置90とを有している。なお、ブロック図を簡単にするために
図2では1つのドローン100のブロック図のみを図示している。
また、
図1から明らかなように、本実施形態の油圧ショベル10は、運転席が無い自動運転タイプの物であり、後述の作業装置60を複数有するとともに、無人航空機であるUAV(Unmanned Aerial Vehicle、以下ドローン100という)を複数有している。なお、油圧ショベル10は、建設現場での走行を自動運転とし、公道ではトレーラに載置して運搬するようにしてもよい。また、油圧ショベル10の操作は、自動操作でもよく、掘削場所から離れた遠隔地での遠隔操作でもよい。
【0011】
(油圧ショベル10)
本実施形態の油圧ショベル10は、走行装置20と、旋回装置30と、本体装置40と、作業装置60と、を有している。また、油圧ショベル10は、本体装置40の上面に設けられた離着陸部に離着可能な複数のドローン100を有している。
走行装置20は、遊動輪21と駆動輪22とを巻装した一対の履帯23を有し、駆動輪22により一対の履帯23が駆動することにより油圧ショベル10を走行させている。なお、走行装置20を構成する内燃機関のエンジン24は、本体装置40に配置することができる。また、走行装置20は、内燃機関のエンジン24に代えて、バッテリーとモータにより駆動するようにしてもよく、内燃機関のエンジン24とモータとを組み合わせたハイブリッドタイプにしてもよい。なお、走行装置20は、タイヤタイプのホイール方式としてもよい。
【0012】
旋回装置30は、走行装置20と本体装置40との間に配設されている。旋回装置30は、不図示のベアリングと、旋回油圧モータ31とを備え、本体装置40と作業装置60とを旋回するものである。
【0013】
図3(a)は本第1実施形態の本体装置40の断面図であり、
図3(b)は
図3(a)のA-A矢視図である。
図3(a)及び
図3(b)には、第1質量体42と、第1ガイド軸43と、第1ウエイトシリンダ44と、第2質量体45と、第2ガイド軸46と、第2ウエイトシリンダ47と、姿勢検出計48と、が図示されている。
【0014】
本体装置40は、上面がフラットな形状をしており、側面に作業装置60が接続されている。本体装置40の内部には、前述のエンジン24と、油圧装置41と、第1質量体42と、第1質量体42をガイドする第1ガイド軸43と、第1質量体42を第1ガイド軸43に沿って移動させる第1ウエイトシリンダ44と、第2質量体45と、第2質量体45をガイドする第2ガイド軸46と、第2質量体45を第2ガイド軸46に沿って移動させる第2ウエイトシリンダ47と、姿勢検出計48とが設けられている。油圧装置41は、エンジン24に接続された油圧ポンプや、油圧制御弁などを有しており、作業装置60に設けられているアクチュエータとしての複数のシリンダの駆動を行うものである。複数のシリンダの一部には、第1ウエイトシリンダ44と、第2ウエイトシリンダ47とが含まれる。
【0015】
第1質量体42および第2質量体45は、作業装置60の駆動により油圧ショベル10に作用する偏荷重を補正するものであり、カウンターマスとして機能するものである。後述の第1バケット66が掘削を行う場合には、-X方向の偏荷重が油圧ショベル10に作用するので、第1質量体42を+X方向に移動することにより、油圧ショベル10に作用する偏荷重を補正することができる。
【0016】
また、掘削を行った第1バケット66が旋回装置30により時計方向に沿って旋回する場合には、+Y方向の偏荷重が油圧ショベル10に作用するので、第1質量体42を-Y方向に移動することにより、油圧ショベル10に作用する偏荷重を補正することができる。
第1質量体42および第2質量体45を駆動しない場合に比べて、第1質量体42および第2質量体45を駆動することにより、第1質量体42および第2質量体45の重量を小さくすることができる。
【0017】
第1ガイド軸43は、X方向に沿って設けられており、第1質量体42の移動をガイドするものである。第1ウエイトシリンダ44は、本実施形態では油圧シリンダが用いられており、油圧により第1質量体42を移動させる。
【0018】
第2ガイド軸46は、Y方向に沿って設けられており、第2質量体45の移動をガイドするものである。第2ウエイトシリンダ47は、本実施形態では油圧シリンダが用いられており、油圧により第2質量体45を移動させる。
【0019】
なお、第1質量体42および第2質量体45の移動は、油圧シリンダではなく、リニアモータによるものでもいい。この場合、固定子をコイルとし、第1質量体42および第2質量体45側に磁石を設けたムービングマグネット型のリニアモータとすれば、磁石の重量も利用して油圧ショベル10に作用する偏荷重を補正することができる。
【0020】
第1質量体42および第2質量体45としては、金属ブロックでもよく、エンジン24を利用してもよく、前述のバッテリーとしてもよい。エンジン24やバッテリーなどの部品を流用することにより、部品点数を少なくすることができる。
なお、第1質量体42と第2質量体45とのいずれか一方を省略するような構成としてもよい。
【0021】
姿勢検出計48は、本体装置40に取り付けられ、本体装置40の姿勢を検出するセンサである。姿勢検出計48としては、傾斜計や水準器などを用いることができる。第1質量体42および第2質量体45の移動は、姿勢検出計48が検出した本体装置40の姿勢に応じて行うことができる。なお、
図3に示される姿勢検出計48は、本体装置40の下方周辺に設けられている。これは、本体装置40の下方の中央部には、エンジン24の出力を走行装置20に伝達するための機械部品や電子部品が設けられているからである。
【0022】
また、本実施形態において、本体装置40は、全地球型測位システムである第1GNSS49(Global Navigation Satellite System)と、第1通信装置50と、第1メモリ51と、油圧ショベル10全体を制御する重機制御装置52と、を有している。第1GNSS49は、人工衛星を利用して油圧ショベル10の位置を測位するものである。
【0023】
第1通信装置50は、中央制御装置90やインターネット等の広域ネットワークにアクセスする無線通信ユニットである。本実施形態において、第1通信装置50は、第1GNSS49が検出した油圧ショベル10の位置を第2通信装置92を介して中央制御装置90に送信するとともに、第2通信装置92を介して中央制御装置90から本体装置40の自動運転に関するデータを受信する。
【0024】
第1メモリ51は、不揮発性のメモリ(例えばフラッシュメモリ)であり、油圧ショベル10を駆動するための各種データやプログラム、油圧ショベル10を自動運転するための各種データやプログラムが記憶されている。また、第1メモリ51は、複数のドローン100の飛行経路に関するデータを記憶している。なお、複数のドローン100の飛行経路に関するデータは、後述の中央制御装置90の第2メモリ93に記憶させるようにしてもよい。
【0025】
重機制御装置52は、CPUを備えており、油圧ショベル10全体を制御する制御装置である。重機制御装置52による油圧ショベル10の制御については、
図6を用いて後述する。
【0026】
作業装置60は、第1作業装置61と第2作業装置73とを有している。
図1に示すように、第1作業装置61と第2作業装置73とはX方向に沿って180度ずらして設けているが、90度ずらして設けるようにしてもよい。また、作業装置60の数は2つに限らず3つ以上としてもよい。
本実施形態において、第1作業装置61と第2作業装置73とは同じ構成としているので、第1作業装置61の構成につき説明を続ける。第1作業装置61は、第1ブーム62と、第1ブームシリンダ63と、第1アーム64と、第1アームシリンダ65と、第1バケット66と、第1バケットシリンダ67と、第1スイング部68と、を有している。
【0027】
第1ブーム62は、第1スイング部68を介して本体装置40に接続された回転L字状の部品であり、第1ブームシリンダ63により回動するものである。
第1アーム64は、第1ブーム62の先端に接続されており、第1アームシリンダ65により回動するものである。
第1バケット66は、第1アーム64の先端に接続されており、第1バケットシリンダ67により回動するものである。なお、第1バケット66に代えて、第1アーム64の先端にブレーカを取り付けることも可能である。
本実施形態において、第1ブームシリンダ63と、第1アームシリンダ65と、第1バケットシリンダ67とは油圧シリンダであり、油圧により伸縮するものである。また、第1ブームシリンダ63と、第1アームシリンダ65と、第1バケットシリンダ67とは油圧装置41により伸縮動作がなされるものである。
【0028】
図4は、油圧ショベル10を上面から見た概要図であり、
図4(a)は第1スイングシリンダ72と第2スイングシリンダ84とがイニシャル位置にあるときの概要図であり、
図4(b)は第1スイングシリンダ72により第1作業装置61を反時計回りに駆動し、第2スイングシリンダ84により第2作業装置73を時計回りに駆動した様子を示している。
【0029】
第1スイング部68は、第1本体側部材69と第1ブーム側部材70とが第1軸支部材71により軸支され、第1ブーム62に接続された第1スイングシリンダ72によりZ軸回りに第1作業装置61を回転させている。本実施形態において、第1スイング部68が第1作業装置61を回転させる角度は5度から15度程度である。また、第1スイングシリンダ72は、油圧シリンダであり、油圧装置41により伸縮動作がなされるものである。
【0030】
なお、
図4(a)および
図4(b)に示すように、本体装置40の上面に天空から視認できる視認マーク55が複数設けられている。視認マーク55は、ドローン100が離着陸部に着陸する際に、後述の撮像装置102により1つの視認マーク55を視認して、着陸位置を認識させるものである。なお、複数の視認マーク55の大きさは、ドローン100の大きさよりも小さくなっており、第1の視認マーク55上に第1のドローン100が着陸している場合には、この第1の視認マーク55は他のドローン100からは視認できない状態となっている。また、複数の視認マーク55の間隔は、複数のドローン100が離着陸部に着陸している際に、ドローン100同士が干渉しないような間隔となっている。なお、視認マーク55の形状は、円形状に限らず、矩形状でも楕円形上でも三角形状でもよく、二重マークでも一重マークでもよい。
【0031】
送電装置95は、ドローン100側の後述の受電装置103に電力を供給するものであり、本実施形態においてはワイヤレス給電を採用している。ワイヤレス給電は、非接触で電力を受電装置103に供給するものであり、磁界共鳴方式や電磁誘導方式などが知られている。本実施形態の送電装置95は、電源や、制御回路や、送電コイルを備えている。この送電コイルは離着陸部に設けることが好ましい。
なお、ワイヤレス給電に代えて接触式の給電方式としてもよい。この場合、送電装置95と受電装置103とのそれぞれに金属製の接点を設けて、互いの接点を機械的に接続して給電してもよい。例えば、離着陸部に凹形状の接点を設けて、ドローン100側に凸形状の接点を設けるようにしてもよい。凹形状の接点と、凸形状の接点とはそれぞれ1つでもよく、複数設けるようにしてもよい。
【0032】
ドローン100が離着陸部に着陸した状態で油圧ショベル10が凹凸のある建設現場を移動する場合に、ドローン100が離着陸部から離れないように、ドローン100と離着陸部とを機械的に係合したり、電磁的に接続するようにしたりすることが望ましい。本実施形態では、ドローン100が離着陸部に着陸した際に機械的なロックをかけるロック機構が採用されている。
【0033】
本実施形態のドローン100は、飛行装置101と、撮像装置102と、受電装置103と、センサ群104と、バッテリー105と、第4通信装置106と、第3メモリ107と、UAV制御装置108と、を備えている。
飛行装置101は、不図示のモータと、複数のプロペラと、を有しており、ドローン100を空中に浮上させるとともに、空中での移動を行う推力を発生させるものである。なお、離着陸部に着陸するドローンの機数は、
図4では4機としているが任意に設定することができ、4機に限定されるものではない。また、それぞれのドローン100の構成も同じでもよく、その一部を変更してもよい。更に、それぞれのドローン100の大きさも同じとしてもよく、異なる大きさとしてもよい。
【0034】
撮像装置102は、レンズや撮像素子や画像処理エンジンなどを有し、動画や静止画を撮像するデジタルカメラである。本実施形態において、撮像装置102は、測量を行ったり、掘削箇所の撮像を行なったりするものである。また、撮像装置102は、ドローン100が離着陸部に着陸する際に1つの視認マーク55を視認して、着陸位置を認識させるようにしている。なお、視認マーク55内に送電装置95の送電コイルまたは接点を設ければ、ドローン100が離着陸部に着陸した後、速やかに受電装置103を介してバッテリー105を充電することができる。
【0035】
図1の一点鎖線で囲む拡大図において、撮像装置102のレンズはドローン100の側面(正面)に取り付けられているが、撮像装置102のレンズをドローン100の下面に取り付けてもよく、複数のレンズをドローン100に設けてもよい。また、側面に取り付けたれたレンズを下面に向けて移動させる移動機構を設けるようにしてもよい。また、撮像装置102をZ軸回りに回転する機構を設けて撮像装置102のレンズをZ軸回りの任意の位置に位置決めするようにしてもよい。また、4機のドローン100が離着陸部に着陸している際に、それぞれのレンズ位置を-X方向、+X方向、-Y方向、+Y方向に向けて位置決めすれば、従来の油圧ショベルの運転席からオペレータが視認する画像に近い画像を複数の方向から撮像することができる。
なお、撮像装置102として全方位型カメラ(360度カメラ)を用いてもよく、撮像装置102の代わりに3次元スキャナを用いてもよい。
【0036】
受電装置103は、ドローン100の脚部109に設けられた受電コイルや充電回路などを有しており、バッテリー105に送電装置95からの電力を充電させるものである。
バッテリー105は、受電装置103に接続された二次電池であり、リチウムイオン二次電池やリチウムポリマー二次電池などを用いることができるがこれに限定されるものではない。バッテリー105は、飛行装置101と、撮像装置102と、第4通信装置106と、第3メモリ107と、UAV制御装置108とに電力を供給することが可能である。
【0037】
センサ群104は、GNSSや、ドローン100と他の装置(例えば作業装置60)との衝突回避するための赤外線センサや、ドローン100の姿勢を検出するジャイロセンサや、ドローン100に作用する加速度を検出する加速度センサなどである。
【0038】
第4通信装置106は、無線通信ユニットを有しており、第1通信装置50や第2通信装置92と通信するものである。本実施形態において、第4通信装置106は、撮像装置102が撮像した画像データやセンサ群104が検出した検出結果を第2通信装置92に送信したり、第2通信装置92からの飛行指令をUAV制御装置108に送信したりするものである。
【0039】
第3メモリ107は、不揮発性のメモリ(例えばフラッシュメモリ)であり、ドローン100を飛行するための各種データやプログラムを記憶したり、撮像装置102が撮像した画像データやセンサ群104が検出した検出結果などを記憶したりするものである。
【0040】
UAV制御装置108は、CPUや、姿勢制御回路や、飛行制御回路などを備えており、ドローン100全体を制御するものである。また、UAV制御装置108は、バッテリー105の残量から充電のタイミングを判断したり、撮像装置102の撮像位置や画角やフレームレートなどを制御したりするものである。
【0041】
(ダンプトラック85)
ダンプトラック85は、周知のダンプトラック85を用いることもできるが、本実施形態では中央制御装置90の制御による自動運転を行うため、第2GNSS86と、第3通信装置87と、ダンプトラック85全体を制御する駆動制御装置88とを有している。第2GNSS86はダンプトラック85の位置を測位するものである。なお、ダンプトラック85は、建設現場での走行は自動運転とし、公道での走行は人による運転としてもよい。
第3通信装置87は、第2GNSS86が検出したダンプトラック85の位置を第2通信装置92を介して中央制御装置90に通信するものである。また、第3通信装置87は、中央制御装置90から自動運転に関するデータを受信する。なお、第3通信装置87は、無線通信ユニットを用いることができる。
【0042】
(中央制御装置90)
中央制御装置90は、建設機械システム1全体を制御する制御装置である。中央制御装置90は、制御装置91と、第2通信装置92と、第2メモリ93とを有している。制御装置91は、CPUを備えており、油圧ショベル10やダンプトラック85を制御するものである。第2通信装置92は、無線通信ユニットであり、第1通信装置50と第3通信装置87と通信を行うものである。なお、第2通信装置92は、インターネット等の広域ネットワークにもアクセス可能である。第2メモリ93は、不揮発性のメモリ(例えばフラッシュメモリ)であり、複数のドローン100を含む油圧ショベル10やダンプトラック85を制御するための各種データやプログラムが記憶されている。
【0043】
(フローチャートの説明)
図5は本実施形態の中央制御装置90により実行されるフローチャートであり、
図6は本第1実施形態の重機制御装置52により実行される掘削に関するフローチャートである。以下、
図5と
図6のフローチャートについて順次説明を続ける。
【0044】
中央制御装置90は、建設現場にある油圧ショベル10に対して掘削場所に移動するように指示する(ステップS1)。中央制御装置90は、第1通信装置50と第2通信装置92との通信を成立させて、油圧ショベル10に掘削場所に向けた移動を指示する。
【0045】
中央制御装置90は、建設現場にあるダンプトラック85に対して掘削場所近傍の放土場所に移動するように指示する(ステップS2)。中央制御装置90は、第2通信装置92と第3通信装置87との通信を成立させて、ダンプトラック85に放土場所に向けた移動を指示する。
【0046】
中央制御装置90は、油圧ショベル10による掘削が可能かどうか判断する(ステップS3)。中央制御装置90は、油圧ショベル10が掘削場所に到着するとともに掘削が可能な状態であり、かつ、ダンプトラック85が放土場所に到着していればステップS5に進み、そうでなければステップS4に進む。ここではステップS4に進むものとして説明を続ける。なお、中央制御装置90は、ステップS3の判断としてダンプトラック85を考慮せずに油圧ショベル10が掘削場所近傍にいることで工程の判断をしてもよい。
【0047】
中央制御装置90は、第1通信装置50と第2通信装置92との通信や、第2通信装置92と第3通信装置87との通信により、油圧ショベル10とダンプトラック85との相対位置の調整が必要であることを認識し、ダンプトラック85の位置を調整する指示を出す。また、中央制御装置90は、掘削に先立って複数のドローン100による測量を指示してもよい。なお、測量の指示は、中央制御装置90から行ってもよく、重機制御装置52から行ってもよい。中央制御装置90は、上述した各種の調整を実施して、再度ステップS3に進む(ステップS4)。
【0048】
中央制御装置90は、油圧ショベル10による掘削が可能かどうか判断し(ステップS3)、第1通信装置50と第2通信装置92との通信および第2通信装置92と第3通信装置87との通信とにより、油圧ショベル10とダンプトラック85との相対位置が所定の範囲に入ったとしてステップS5に進む。ここで、所定の範囲は、ダンプトラック85の近傍に位置するバケット(
図1では第2バケット78)がダンプトラック85の荷台に放土可能な範囲にあることをいう。
【0049】
中央制御装置90は、油圧ショベル10に掘削を指示する(ステップS5)。油圧ショベル10の掘削については、
図6のフローチャートを用いて後述する。
中央制御装置90は、油圧ショベル10によるダンプトラック85への放土が終了しているかどうか判断する(ステップS6)。中央制御装置90は、ダンプトラック85の荷台が掘削物によりほぼ一杯になるまでステップS5よびステップS6を繰り返す。
【0050】
中央制御装置90は、ダンプトラック85の荷台が掘削物によりほぼ一杯になると、ダンプトラック85を交換するかどうか判断する(ステップS7)。中央制御装置90は、ダンプトラック85の荷台が掘削物によりほぼ一杯になったかどうかをドローン100の撮像装置102の撮像により判断するようにしてもよい。この場合、ドローン100は、センサ群104の赤外線センサによりダンプトラック85の荷台を認識して、ダンプトラック85とドローン100との衝突を回避しながら、ダンプトラック85の荷台に近づくことができる。中央制御装置90は、当日の作業が終了していなければ、ダンプトラック85の交換が必要であるので、ステップS8に進み、当日の作業が終了していれば、ダンプトラック85の交換は不要であるので、ダンプトラック85を放土場所から移動させて本フローチャートを終了する。ここでは、中央制御装置90がダンプトラック85の交換が必要と判断するものとして説明を続ける。
【0051】
中央制御装置90は、ダンプトラック85を交換するために、放土場所にいるダンプトラック85を放土場所から移動させるとともに、荷台が空のダンプトラック85(不図示)を放土場所に移動させる。なお、中央制御装置90は、ダンプトラック85の交換時間を短くするために、荷台が空のダンプトラック85(不図示)を予め放土場所の近傍に待機させるようにしてもよい。
【0052】
中央制御装置90は、ダンプトラック85の交換が終了すると次の掘削を行うために、ステップS3からステップS8を繰り返す。そして、中央制御装置90は、予定の掘削量に達するとステップS7の判断をNoとして本フローチャートを終了する。なお、
図5のフローチャートは、中央制御装置90に代えて重機制御装置52により行わせるようにしてもよい。
【0053】
次いで、
図6のフローチャートを用いて、重機制御装置52により実行される掘削について説明を続ける。なお、
図6のフローチャートは、前述したように、
図5のフローチャートのステップS5で中央制御装置90からの掘削指示を第1通信装置50が受信すると開始される。なお、
図6のフローチャートでは4機のドローン100を例にして説明するので、便宜上ドローン100a、ドローン100b、ドローン100c、ドローン100dと符号を付けて説明を行う。
【0054】
重機制御装置52は、掘削を開始するのに先立ち、ドローン100aおよびドローン100bの撮像装置102による測量を実施する(ステップS101)。なお、測量の際には、撮像装置102のレンズは下面(-Z方向)に向けられている。
図7は、建設現場でドローン100aおよびドローン100bが測量領域ARにて測量を行い、ドローン100cおよびドローン100dが油圧ショベル10の本体装置40に設けられた離着陸部で充電を行っている様子を示す概要図である。また、
図8は、測量領域ARを2つの領域AR1とAR2に分けた様子を示す概要図である。
【0055】
重機制御装置52は、第1メモリ51に記憶された領域AR1の飛行経路FP1をドローン100aに送信するとともに、第1メモリ51に記憶された領域AR2の飛行経路FP2をドローン100bに送信する。
図8の矢印は、領域AR1の飛行経路FP1および領域AR2の飛行経路FP2を示している。飛行経路FP1と飛行経路FP2とは、ドローン100aとドローン100bとが所定の距離を保つように設定されている。これにより、ドローン100aとドローン100bとが接触したり衝突したりすることを防止している。
【0056】
図9は、測量領域ARを別の2つの領域AR3と領域AR4に分けた様子を示す概要図である。領域AR3は領域AR1および領域AR2と同様に森林がない領域であり、領域AR4は森林のある森林領域である。本実施形態では、領域AR3では撮像装置102による測量を行い、領域AR4ではレーザを用いた3次元スキャナによる測量を行っている。この場合、ドローン100bは、撮像装置102に代えて、もしくは撮像装置102に加えて3次元スキャナを搭載すればよい。これにより、測量領域ARに森林領域が含まれていた場合でも精度のよい測量を行うことができる。
【0057】
本実施形態では、複数のドローン100による測量を行っているので、1機のドローンによる測量に比べて測量時間を短くすることができる。なお、測量領域ARは2分割に限らず3分割以上としてもよく、この場合3機以上のドローン100を用いればよい。測量が終了すると、ドローン100aとドローン100bとは、油圧ショベル10の本体装置40に設けられた離着陸部に着陸して充電を開始する。一方、ドローン100cが離着陸部から離陸して油圧ショベル10の上方から撮像装置102による撮像を行う。
【0058】
重機制御装置52は、測量が終了すると、第1スイングシリンダ72を駆動して第1バケット66位置の微調整を行う(ステップS102)。なお、掘削を開始するのに先立ち、第1バケット66位置の微調整が必要でなければステップS102を省略してもよい。
次いで、重機制御装置52は、第1バケット66による掘削を行う(ステップS103)。重機制御装置52は、油圧装置41により第1ブームシリンダ63と、第1アームシリンダ65と、第1バケットシリンダ67とを駆動制御して、第1バケット66による掘削を行う。
【0059】
重機制御装置52は、ステップS103の掘削と並行して、ドローン100cの撮像装置102からの画像データに基づき掘削状況の確認が必要かどうかを判断する(ステップS104)。ここでは、第1バケット66の状態を確認する必要があるものとしてステップS105に進むものとする。なお、ドローン100cの撮像装置102に代えて、もしくは併用して離着陸部に着陸しているドローン100aとドローン100bとの少なくとも一方の撮像装置102からの画像データに基づき掘削状況の確認が必要かどうかを判断してもよい。離着陸部に着陸しているドローン100aの撮像装置102が撮像する画像は、従来の油圧ショベルの運転席からオペレータが視認する画像に対応している。このため、離着陸部に着陸しているドローン100aの撮像装置102が撮像した画像を用いることにより、従来の運転席から視認した感覚で掘削状況の確認が必要かどうかを判断することができる。
【0060】
重機制御装置52は、ドローン100dに対して第1バケット66の撮像を指示する(ステップS105)。UAV制御装置108は、飛行装置101によりドローン100dを第1バケット66に近づけるとともに撮像装置102による撮像を指示する。
図10は掘削している第1バケット66をドローン100dが撮像している様子を示す図である。
UAV制御装置108は、センサ群104の赤外線センサにより第1バケット66を認識して、第1バケット66とドローン100dとの衝突を回避しながら、ドローン100dを第1バケット66に近づけることができる。なお、重機制御装置52は、ドローン100cの撮像装置102の撮像に基づいて、油圧ショベル10とダンプトラック85とが所定距離(例えば数十cm~1m)に近づいたときに、油圧ショベル10とダンプトラック85との少なくとも一方の移動を中止するようにしてもよい。これにより、油圧ショベル10とダンプトラック85との接触や衝突を防ぐことができる。
【0061】
本実施形態において、重機制御装置52は、掘削の際に、ドローン100cの撮像装置102を用いて油圧ショベル10の上方から建設現場を撮像させ、より詳細な撮像が必要な場合にドローン100dが対象領域(例えば、第1バケット66)に飛行してドローン100dの撮像装置102を用いた撮像を行なっている。このため、重機制御装置52は、詳細な掘削状況の画像を取得することができる。また、中央制御装置90が第1通信装置50と第2通信装置92とを介して詳細な掘削状況の画像を取得することにより、中央制御装置90が遠隔地に設置されていた場合においても詳細な掘削状況をほぼリアルタイムで取得することができる。なお、ドローン100dの撮像装置102による撮像は、ドローン100cの撮像装置102による撮像よりも高度が低い位置で行われている。一例を挙げると、ドローン100cの撮像は地上6m~12m程度であるのに対して、ドローン100dの撮像は、地上6m以下で行われている。また、ドローン100dの撮像装置102の撮像間隔は、ドローン100cの撮像装置102の撮像間隔よりも短く、より多くの画像を取得するように設定されている。
【0062】
なお、重機制御装置52は、ドローン100cを油圧ショベル10の上方の-X方向に位置させるとともに、ドローン100dを油圧ショベル10の上方の+X方向に位置させて、ドローン100cとドローン100dとにより油圧ショベル10の上方から建設現場を撮像させてもよい。この場合、詳細な撮像が必要な位置に応じて、ドローン100cとドローン100dとの一方を移動させるようにしてもよい。また、ドローン100cとドローン100dとのバッテリー105の残量が少なくなった場合には、ドローン100cとドローン100dとを離着陸部に着陸させてバッテリー105に充電させ、ドローン100aとドローン100bとを離陸させて、それぞれの撮像装置102による撮像を行うようにすればいい。なお、離着陸部に着陸したドローン100cとドローン100dとの少なくとも一方の撮像装置102を用いて撮像を行ってもよい。
【0063】
重機制御装置52は、ステップS103の掘削制御と並行して、第1質量体42及び第2質量体45の移動による油圧ショベル10の偏荷重補正を行う(ステップS106)。前述したように、重機制御装置52は、第1バケット66が掘削を行う際に、-X方向の偏荷重が油圧ショベル10に作用するので、第1質量体42を+X方向に移動させて油圧ショベル10に作用する偏荷重を補正している。この場合、重機制御装置52は、第1ブームシリンダ63と、第1アームシリンダ65と、第1バケットシリンダ67との駆動量から油圧ショベル10に作用する偏荷重を演算して、ステップS103の掘削開始とともに、第1質量体42及び第2質量体45を移動させるフィードフォワード制御を行う。また、重機制御装置52は、姿勢検出計48の検出結果に基づいて第1質量体42及び第2質量体45の移動を制御するフィードバック制御を行う。なお、第1バケット66および第2バケット78に重量計を設けて、この重量計により掘削物の重量を測定して、前述のフィードフォワード制御およびフィードバック制御に用いてもよい。
【0064】
重機制御装置52がフィードフォワード制御を行うことにより、油圧ショベル10に偏荷重が作用するとほぼ同時に偏荷重補正を行うので、油圧ショベル10に大きな偏荷重が作用する前に油圧ショベル10に作用する偏荷重補正を早く行うことができる。また、重機制御装置52が姿勢検出計48の検出結果に基づくフィードバック制御を行うので、油圧ショベル10に作用する偏荷重を精度よく補正することができる。なお、重機制御装置52は、第1バケット66が掘削を行う際に第2バケット78を駆動することにより偏荷重補正を行ってもよく、第1質量体42と、第2質量体45と、第2バケット78とを併用してもよい。この場合、前述のフィードフォワード制御を行う際に、第2バケット78の駆動を考慮したフィードバック制御とすることが好ましい。
【0065】
重機制御装置52は、ステップS103の掘削が終了すると、旋回装置30により本体装置40および作業装置60を180度旋回させる(ステップS107)。旋回装置30による本体装置40および作業装置60の旋回により第1バケット66がダンプトラック85の近傍に位置するとともに、第2バケット78が掘削場所近傍に位置するようになる。この場合も、第1バケット66が旋回装置30により時計方向に沿って旋回する場合には、+Y方向の偏荷重が油圧ショベル10に作用するので、油圧ショベル10に作用する偏荷重を補正するように第1質量体42を移動することが好ましい。
【0066】
重機制御装置52は、第1バケット66と第2バケット78との少なくとも一方のバケット位置の微調整が必要であれば第1スイングシリンダ72および第2スイングシリンダ84を駆動して、第1バケット66および第2バケット78位置の微調整する(ステップS108)。具体的には、重機制御装置52は、第1バケット66がダンプトラック85の荷台に放土できるように第1スイングシリンダ72を駆動する。また、重機制御装置52は、第2バケット78が掘削場所に位置決めされるように第2スイングシリンダ84を駆動する。
【0067】
重機制御装置52は、第1バケット66が掘削した掘削物をダンプトラック85の荷台に放土するとともに、第2バケット78による掘削を行う(ステップS109)。重機制御装置52は、油圧装置41により第1ブームシリンダ63と、第1アームシリンダ65と、第1バケットシリンダ67とを駆動制御して、第1バケット66による放土を行う。また、重機制御装置52は、油圧装置41により第2ブームシリンダ75と、第2アームシリンダ77と、第2バケットシリンダ79とを駆動制御して、第2バケット78による掘削を行う。
【0068】
重機制御装置52は、ステップS109の掘削と並行して、ドローン100cの撮像装置102からの画像データに基づき掘削状況の確認が必要かどうかを判断する(ステップS110)。掘削状況の確認動作(S111)は、基本的にはステップS104と同じなので、ここでは、重機制御装置52は、その判断をNoとしてステップS112に進む。
【0069】
重機制御装置52は、ステップS109の掘削制御と並行して、第1質量体42及び第2質量体45の移動による油圧ショベル10の偏荷重補正を行う(ステップS112)。重機制御装置52は、ステップS112の偏荷重補正についてもフィードフォワード制御とフィードバック制御とを併用することが好ましい。
【0070】
重機制御装置52は、更なる掘削が必要かどうかの判断を行う(ステップS113)。重機制御装置52は、当日予定されている掘削が終了していなければステップS107に進み、当日予定されている掘削が終了していればステップS114に進む。ここでは、重機制御装置52は、当日予定されている掘削が終了しているものとしてステップS114に進むものとする。
重機制御装置52は、旋回装置30により本体装置40および作業装置60を180度旋回させる(ステップS114)。重機制御装置52は、ステップS107において本体装置40および作業装置60を時計方向に沿って旋回した場合には、本体装置40および作業装置60を反時計方向に沿って旋回させる。これとは逆に、重機制御装置52は、ステップS105において本体装置40および作業装置60を反時計方向に沿って旋回した場合には、本体装置40および作業装置60を時計方向に沿って旋回させる。このようにすることにより、180度の旋回範囲において、作業装置60が他の装置と干渉しないようにすればよくなり、360度の旋回範囲において、作業装置60が他の装置と干渉しないようにする場合に比べて安全確認が容易になるとともに、建設現場を有効に使用することができる。
【0071】
重機制御装置52は、掘削は行わないので、ダンプトラック85の近傍にあるバケット位置の調整を行う(ステップS115)。重機制御装置52は、第2バケット78がダンプトラック85の荷台に放土できるように第2スイングシリンダ84を駆動する。なお、ダンプトラック85の近傍にあるバケット位置の調整が不要であればステップS115は省略しても構わない。
次いで、重機制御装置52は、第2バケット78が掘削した掘削物をダンプトラック85の荷台に放土する(ステップS116)。なお、ここでは、第1バケット66による掘削は行われないので、油圧ショベル10に大きな偏荷重は作用しない。このため、第1質量体42及び第2質量体45による偏荷重補正は行ってもよく、省略してもよい。
【0072】
以上、詳述したように本実施形態においては、2つの作業装置60を有しているので、掘削と放土とをほぼ同時に行うことが可能なので、作業性のよい油圧ショベル10を実現することができる。また、本実施形態においては、複数のドローン100により測量や、掘削状況の確認などを行っているので、測量時間や、掘削状況の確認時間を短縮することができる。また、飛行しているドローン100のバッテリー105残量が少なくなった場合でも飛行していないドローン100は充電を行っているので、飛行させるドローン100を速やかに交換することができるので、ドローン100の飛行時間の制限を実質的に考慮しなくてもよくなる。
【0073】
離着陸部は例えば
図1から明らかなように本体装置40の頂部に設けられているので、ドローン100は本体装置40に遮られることなく、撮像装置102による撮像を行うことができる。
また、本実施形態によれば、ドローン100が建設機械システム1のアシストをするので自動化した建設工事を効率良く実現することができる。
【0074】
(変形例)
上述の実施形態では、油圧ショベル10を掘削に適用する場合について説明したが、油圧ショベル10の用途はこれに限定されるものではない。例えば、大型の台風などの自然災害で河川が氾濫し、孤立した集落が発生した場合にも油圧ショベル10を適用することができる。重機制御装置52は、作業装置60を用いて障害物を除去しながら孤立した集落に近づいて、複数のドローン100を孤立した集落に向けて飛行させる。複数のドローン100の第4通信装置106は、孤立した集落の携帯電話の基地局として用いてもよい。この場合は、複数のドローン100をほぼ均等の間隔で配置させるとともに、バッテリー105の消費を抑えるため複数のドローン100を学校やホテルなどの建物に着陸させて飛行しない状態にすることが好ましい。また、複数のドローン100のバッテリー105は電源として用いてもよい。また、複数のドローン100により、食料、水、電池、毛布、などの生活必需品やAEDや薬などの医療機器や医療品を搬送するようにしてもよい。
【0075】
以上で説明した実施形態は、本発明を説明するための例示に過ぎず、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々変更を加え得ることは可能である。例えば、撮像装置102として赤外線カメラを用いれば夜間においても掘削や放土などの一連の工事を行うことができ、工期を短縮することができる。第1バケットに代えてブレーカやフォークやリッパーやリフターを第1アーム64に取り付けるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0076】
1 建設機械システム
10 油圧ショベル
20 走行装置
30 旋回装置
40 本体装置
41 油圧装置
42 第1質量体
45 第2質量体
48 姿勢検出計
52 重機制御装置
60 作業装置
61 第1作業装置
73 第2作業装置
85 ダンプトラック
90 中央制御装置
95 送電装置
100 ドローン
102 撮像装置
103 受電装置
104 センサ群
105 バッテリー
108 UAV制御装置