IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社不二工機の特許一覧

<>
  • 特開-電動弁 図1
  • 特開-電動弁 図2
  • 特開-電動弁 図3
  • 特開-電動弁 図4
  • 特開-電動弁 図5
  • 特開-電動弁 図6
  • 特開-電動弁 図7
  • 特開-電動弁 図8
  • 特開-電動弁 図9
  • 特開-電動弁 図10
  • 特開-電動弁 図11
  • 特開-電動弁 図12
  • 特開-電動弁 図13
  • 特開-電動弁 図14
  • 特開-電動弁 図15
  • 特開-電動弁 図16
  • 特開-電動弁 図17
  • 特開-電動弁 図18
  • 特開-電動弁 図19
  • 特開-電動弁 図20
  • 特開-電動弁 図21
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022188260
(43)【公開日】2022-12-20
(54)【発明の名称】電動弁
(51)【国際特許分類】
   F16K 31/04 20060101AFI20221213BHJP
【FI】
F16K31/04 Z
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022164544
(22)【出願日】2022-10-13
(62)【分割の表示】P 2020003571の分割
【原出願日】2020-01-14
(71)【出願人】
【識別番号】391002166
【氏名又は名称】株式会社不二工機
(74)【代理人】
【識別番号】110002608
【氏名又は名称】弁理士法人オーパス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松原 悠太
(72)【発明者】
【氏名】吉田 竜也
(72)【発明者】
【氏名】荒井 裕介
(72)【発明者】
【氏名】細谷 岳史
(57)【要約】      (修正有)
【課題】磁気センサーでマグネットローターの磁気を確実に検知できる電動弁を提供する。
【解決手段】電動弁は、キャン30と磁気センサー35a、35bとの間に配置された磁気伝達部材36a、36bを有している。キャン30の内側に配置されたマグネットローターの外周面に、マグネットローターの回転軸方向に延在する複数のN極および複数のS極が周方向に交互に並ぶように設けられている。そして、磁気伝達部材36a、36bのキャン側端部36a1、36b1が、キャン30を介してマグネットローターと径方向に対向するように配置されている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁本体と、前記弁本体に取り付けられた円筒状のキャンと、前記キャンの内側に配置された円筒状のマグネットローターと、前記マグネットローターの回転により前記弁本体内のポートを開閉するように駆動される弁体と、前記キャンの外側に配置されたステーターと、磁気センサーが実装された基板と、を有する電動弁であって、
前記キャンと前記磁気センサーとの間に配置された磁気伝達部材を有し、
前記マグネットローターの外周面に、当該マグネットローターの回転軸方向に延在する1または複数のN極およびS極が周方向に交互に並ぶように設けられており、
前記磁気伝達部材における前記キャン側の端部が、前記キャンを介して前記マグネットローターと径方向に対向するように配置されていることを特徴とする電動弁。
【請求項2】
前記ステーターには、前記磁気伝達部材における前記キャン側の端部を支持する磁気伝達部材支持部が設けられている、請求項1に記載の電動弁。
【請求項3】
前記ステーターが、複数の極歯を有し、
前記磁気伝達部材における前記キャン側の端部が、前記回転軸方向から見たときに、前記マグネットローターの回転軸と前記複数の極歯のうちの1つの極歯の中心とを通る直線上に配置されている、請求項1または請求項2に記載の電動弁。
【請求項4】
前記磁気伝達部材が、細長い板状または棒状に形成され、
前記磁気伝達部材における前記キャン側の端部を含む一部分が、径方向に沿って配置されている、請求項3に記載の電動弁。
【請求項5】
前記磁気伝達部材における前記磁気センサー側の端部を含む他部分が、前記磁気センサーの感磁面と直交する方向に沿って配置されている、請求項4に記載の電動弁。
【請求項6】
前記マグネットローターが、前記ポートを閉じるとき前記回転軸方向の一方側に移動しかつ前記ポートを開くとき前記回転軸方向の他方側に移動し、
前記磁気伝達部材における前記キャン側の端部が、前記ステーターより前記回転軸方向の他方側に配置され、前記ポートを閉じた状態において前記キャンを介して前記マグネットローターと径方向に対向するように配置されている、請求項1~請求項5のいずれか一項に記載の電動弁。
【請求項7】
前記磁気伝達部材における前記キャン側の端部の前記回転軸方向の位置が、前記ポートを閉じた状態から前記ポートを全開にした状態までのいずれの状態においても前記マグネットローターの全長の範囲内にある、請求項1~請求項6のいずれか一項に記載の電動弁。
【請求項8】
前記ステーターの前記回転軸方向の位置が、前記ポートを閉じた状態から前記ポートを全開にした状態までのいずれの状態においても前記マグネットローターの全長の範囲内にある、請求項7に記載の電動弁。
【請求項9】
前記基板における前記磁気センサーの実装面が、前記キャンと径方向に対向するように配置されている、請求項1~請求項8のいずれか一項に記載の電動弁。
【請求項10】
前記キャンおよび前記ステーターを収容するハウジングと、
前記基板を収容するケースと、
前記磁気伝達部材と当該磁気伝達部材を支持する支持体とを有する磁気伝達ユニットと、をさらに有し、
前記ハウジングに設けられたハウジング開口と前記ケースに設けられたケース開口とが接続されるとともに、前記ハウジングにおける前記ハウジング開口の周縁部と前記ケースにおける前記ケース開口の周縁部とが接合され、
前記磁気伝達ユニットは、前記磁気伝達部材が前記ケース開口および前記ハウジング開口に挿通され、前記支持体が前記ケースに取り付けられる、請求項9に記載の電動弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動弁に関する。特に、本発明は、キャンの内側にマグネットローターが配置された電動弁に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電動弁の一例が特許文献1、2に記載されている。特許文献1の電動弁は、弁体を駆動するためのマグネットローターと、マグネットローターとともに回転される永久磁石と、がキャンの内側に配置されている。この電動弁は、キャンの上方に配置された基板上の磁気センサーによって永久磁石の磁気を検知して、マグネットローターの回転角度を得ている。
【0003】
特許文献2の電動弁は、弁体を駆動するためのマグネットローターと、マグネットローターの回転軸に固定した磁気ドラムと、上記回転軸の上端部に設けた磁石と、がキャンの内側に配置されている。この電動弁は、キャンの外側に配置された回転角検出用磁気センサーおよび上下位置検出用磁気センサーによって磁気ドラムおよび磁石の磁気を検知して、弁開度を演算している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-179133号公報
【特許文献2】特開2001-12633号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した電動弁は、マグネットローターとは別部品の永久磁石や磁気ドラムを有することから、部品点数が増加して構造が複雑になり、製造コストが上昇してしまうという課題があった。部品点数の増加を抑えるために、例えば引用文献1の電動弁において、基板上の磁気センサーでマグネットローターの磁気を検知する構成が考えられる。しかしながら、基板とマグネットローターとが比較的大きく離れているため、基板上の磁気センサーでマグネットローターの磁気を検知できなかった。
【0006】
そこで、本発明は、基板に実装された磁気センサーでマグネットローターの磁気を確実に検知できる電動弁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係る電動弁は、弁本体と、前記弁本体に取り付けられた円筒状のキャンと、前記キャンの内側に配置された円筒状のマグネットローターと、前記マグネットローターの回転により前記弁本体内のポートを開閉するように駆動される弁体と、前記キャンの外側に配置されたステーターと、磁気センサーが実装された基板と、を有する電動弁であって、前記キャンと前記磁気センサーとの間に配置された磁気伝達部材を有し、前記マグネットローターの外周面に、当該マグネットローターの回転軸方向に延在する1または複数のN極およびS極が周方向に交互に並ぶように設けられており、前記磁気伝達部材における前記キャン側の端部が、前記キャンを介して前記マグネットローターと径方向に対向するように配置されていることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、キャンと基板に実装された磁気センサーとの間に配置された磁気伝達部材を有している。キャンの内側に配置されたマグネットローターの外周面に、当該マグネットローターの回転軸方向に延在する1または複数のN極およびS極が周方向に交互に並ぶように設けられている。そして、磁気伝達部材におけるキャン側の端部が、キャンを介してマグネットローターと径方向に対向するように配置されている。このようにしたことから、マグネットローターの磁極(N極、S極)で生じる磁束は径方向に伝わりやすく、磁気伝達部材におけるキャン側の端部をマグネットローターと径方向に対向するように近接して配置することにより、磁束を磁気伝達部材に効率的に伝えることができる。これにより、磁気伝達部材を介して磁気センサーに多くの磁束が伝達され、マグネットローターの磁束を確実に検知できる。
【0009】
本発明において、前記ステーターには、前記磁気伝達部材における前記キャン側の端部を支持する磁気伝達部材支持部が設けられていることが好ましい。このようにすることで、磁気伝達部材におけるキャン側の端部を、ステーターに対して適切に位置決めすることができる。
【0010】
本発明において、前記ステーターが、複数の極歯を有し、前記磁気伝達部材における前記キャン側の端部が、前記回転軸方向から見たときに、前記マグネットローターの回転軸と前記複数の極歯のうちの1つの極歯の中心(略中心を含む)とを通る直線上に配置されていることが好ましい。ステーターが複数の極歯を有する構成では、マグネットローターが回転を停止すると、(i)極歯とマグネットローターの磁極とが正対した状態、(ii)極歯とマグネットローターの外周面における隣接する磁極間の箇所とが正対した状態、のいずれかとなる。上記(i)の状態では、回転軸方向から見た極歯の位置においてN極からS極に向かう磁束に含まれる径方向成分が最大となり、磁気伝達部材に伝わる磁束が最も多くなる。上記(ii)の状態では、回転軸方向から見た極歯の位置においてN極からS極に向かう磁束に含まれる径方向成分が最小となり、磁気伝達部材に伝わる磁束が最も少なくなる。そのため、上記(i)の状態と上記(ii)の状態とを明確に区別することができ、マグネットローターの停止位置を高精度で得ることができる。また、検知した磁束の波形に基づき、マグネットローターの回転方向を得ることができる。
【0011】
本発明において、前記磁気伝達部材が、細長い板状または棒状に形成され、前記磁気伝達部材における前記キャン側の端部を含む一部分が、径方向に沿って配置されていることが好ましい。このようにすることで、磁束は径方向に伝わりやすいことから、磁気伝達部材によってマグネットローターからより離れた箇所まで磁束を伝達することができる。
【0012】
本発明において、前記磁気伝達部材における前記磁気センサー側の端部を含む他部分が、前記磁気センサーの感磁面と直交する方向に沿って配置されていることが好ましい。このようにすることで、磁気センサーにおいて磁束を適切に検知できる。
【0013】
本発明において、前記マグネットローターが、前記ポートを閉じるとき前記回転軸方向の一方側に移動しかつ前記ポートを開くとき前記回転軸方向の他方側に移動し、前記磁気伝達部材における前記キャン側の端部が、前記ステーターより前記回転軸方向の他方側に配置され、前記ポートを閉じた状態において前記キャンを介して前記マグネットローターと径方向に対向するように配置されていることが好ましい。このようにすることで、回転軸方向に移動するマグネットローターと磁気伝達部材におけるキャン側の端部とが、閉弁状態から開弁状態に至るまで径方向に対向することになる。そのため、閉弁状態から開弁状態までのいずれの状態においてもマグネットローターの磁束を確実に検知でき、マグネットローターの回転角度を高精度で得ることができる。
【0014】
本発明において、前記磁気伝達部材における前記キャン側の端部の前記回転軸方向の位置が、前記ポートを閉じた状態から前記ポートを全開にした状態までのいずれの状態においても前記マグネットローターの全長の範囲内にあることが好ましい。このようにすることで、マグネットローターと磁気伝達部材におけるキャン側の端部とが、ポートを閉じた状態(閉弁状態)からポートを全開にした状態(開弁状態)までのいずれの状態においても径方向に対向することになる。そのため、マグネットローターの磁束を確実に検知でき、マグネットローターの回転角度を高精度で得ることができる。
【0015】
本発明において、前記ステーターの前記回転軸方向の位置が、前記ポートを閉じた状態から前記ポートを全開にした状態までのいずれの状態においても前記マグネットローターの全長の範囲内にあることが好ましい。このようにすることで、閉弁状態から開弁状態までのいずれの状態においてもマグネットローターにステーターの磁力を効率的に作用させることができ、マグネットローターを効率的に回転させることができる。
【0016】
本発明において、前記基板における前記磁気センサーの実装面が、前記キャンと径方向に対向するように配置されていることが好ましい。このようにすることで、磁束は径方向に伝わりやすいことから、磁気伝達部材を介して磁気センサーに効率的に磁束を伝達することができる。
【0017】
本発明において、前記キャンおよび前記ステーターを収容するハウジングと、前記基板を収容するケースと、前記磁気伝達部材と当該磁気伝達部材を支持する支持体とを有する磁気伝達ユニットと、をさらに有し、前記ハウジングに設けられたハウジング開口と前記ケースに設けられたケース開口とが接続されるとともに、前記ハウジングにおける前記ハウジング開口の周縁部と前記ケースにおける前記ケース開口の周縁部とが接合され、前記磁気伝達ユニットは、前記磁気伝達部材が前記ケース開口および前記ハウジング開口に挿通され、前記支持体が前記ケースに取り付けられることが好ましい。このようにすることで、磁気伝達部材をケース開口およびハウジング開口に挿通して、磁気伝達部材をキャンの近傍に容易に配置することができる。また、ハウジングにおけるハウジング開口の周縁部とケースにおけるケース開口の周縁部とが接合されているので、気密性を確保できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、基板に実装された磁気センサーでマグネットローターの磁気を確実に検知できる
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施例に係る電動弁の正面図である。
図2図1の電動弁の閉弁状態を示す縦断面図である。
図3図1の電動弁の開弁状態を示す縦断面図である。
図4図2のX1-X1線に沿う断面図である。
図5図1の電動弁のマグネットローターおよびステーターを説明する図である。
図6図1の電動弁のステーターの斜視図である。
図7図1の電動弁のステーターの縦断面図である。
図8図1の電動弁のハウジングの斜視図である。
図9図1の電動弁のケースの斜視図である。
図10図1の電動弁の磁気伝達ユニットの斜視図である。
図11図1の電動弁のステーターの変形例の構成を示す斜視図である。
図12】1枚の細長い板状の磁気伝達部材をマグネットローターの回転軸方向に延在するように配置した構成での磁束の伝わり方を模式的に示す斜視図である。
図13】1枚の正方形板状の磁気伝達部材をマグネットローターの回転軸方向および径方向に延在するように配置した構成での磁束の伝わり方を模式的に示す斜視図である。
図14】1枚の細長い板状の磁気伝達部材をマグネットローターの径方向に延在するように配置した構成での磁束の伝わり方を模式的に示す斜視図である。
図15図14の構成の平面図である。
図16】2枚の細長い板状の磁気伝達部材をマグネットローターの回転軸方向に延在するように配置した構成での磁束の伝わり方を模式的に示す斜視図である。
図17】2枚の正方形板状の磁気伝達部材をマグネットローターの回転軸方向および径方向に延在するように配置した構成での磁束の伝わり方を模式的に示す斜視図である。
図18】2枚の細長い板状の磁気伝達部材をマグネットローターの径方向に延在するように配置した構成での磁束の伝わり方を模式的に示す斜視図である。
図19図18の構成の平面図である。
図20】2枚の折り曲げた細長い板状の磁気伝達部材におけるマグネットローター側の端部を含む一部分のみをマグネットローターの径方向に延在するように配置した構成での磁束の伝わり方を模式的に示す斜視図である。
図21図20の構成の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施例に係る電動弁について、図1図21を参照して説明する。本実施例の電動弁は、例えば、冷凍サイクル等において冷媒流量を調整するために使用される。
【0021】
図1は、本発明の一実施例に係る電動弁の正面図である。図2図3は、図1の電動弁の閉弁状態および開弁状態を示す軸線Lに沿う断面図(縦断面図)である。図4は、図2のX1-X1線に沿う断面図である。図4において、キャンの内側は記載を省略している。図5は、図1の電動弁のマグネットローターおよびステーターを説明する図である。図5(a)は、図2のX2-X2線に沿う断面図である。図5(a)において、キャン、マグネットローターおよびステーターの上段ステーターのヨークのみ示しており、また、磁気伝達部材の位置を破線で示している。図5(b)は、マグネットローターの斜視図である。図5(a)、(b)において、マグネットローターの磁極(N極、S極)を模式的に示している。図6図7は、図1の電動弁のステーターユニットの斜視図および縦断面図である。図8図10は、図1の電動弁のハウジング、ケースおよび磁気伝達ユニットの斜視図である。図8において、ハウジングの内側にステーターが配置されている。図11は、図1の電動弁のステーターの変形例の構成を示す斜視図である。図12図21は、マグネットローターから磁気伝達部材への磁束の伝わり方を模式的に示す図である。
【0022】
図1図4に示すように、電動弁1は、弁本体10と、キャン30と、磁気センサー35a、35bと、磁気伝達部材36a、36bと、駆動機構40と、弁体50と、ステーター60と、ハウジング70と、ケース80と、基板85と、を有している。
【0023】
弁本体10は、例えば、アルミニウム合金などの金属材料で構成されている。弁本体10は、直方体状の本体部11と、本体部11の上面11aから上方に向けて突出した円筒部12と、を有している。本体部11の内部には、弁室13が設けられている。本体部11には、図2の左方に延びる流路17と、図2の右方に延びる流路18と、が設けられている。流路17は、弁室13に接続されている。流路18は、弁室13に開口するポート19を介して弁室13に接続されている。
【0024】
円筒部12の外周面の一部には、雄ねじ部12bが設けられている。本体部11には、上面11aに開口する雌ねじ部11bが設けられている。雄ねじ部12bが雌ねじ部11bに螺合されることで、本体部11と円筒部12とが一体的に結合されている。円筒部12の内側空間は、弁室13に接続されている。
【0025】
弁本体10は、さらに鍔部20を有している。鍔部20は、例えば、ステンレスなどの金属材料で構成されている。鍔部20は、円環板状に形成されている。鍔部20の内周縁20aは、円筒部12の上端部にろう付けなどにより接合されている。
【0026】
キャン30は、例えば、ステンレスなどの金属材料で構成されている。キャン30は、上端部が塞がれた円筒状に形成されている。キャン30の下端部は、鍔部20の外周縁20bに溶接などにより接合されている。キャン30の内側には、駆動機構40が配置される。
【0027】
磁気センサー35a、35bは、例えば、ホール素子を有し、感磁面を通過する磁束(磁束密度)の向きおよび大きさに応じた信号を出力するホールICで構成されている。他の種類の磁気センサーを用いてもよい。磁気センサー35a、35bが出力する信号に基づいてマグネットローター41の回転角度および回転方向を得ることができる。本実施例は、2つの磁気センサー35a、35bを有する構成であるが、例えば、1つの磁気センサー35aのみ有する構成でもよい。
【0028】
磁気センサー35a、35bは、基板85の実装面85aに実装されている。磁気センサー35a、35bは、それぞれの感磁面が実装面85aと平行になるように配置される。
【0029】
磁気伝達部材36a、36bは、例えば、ヨークなどに用いられる比較的磁束を通しやすい金属材料で構成されている。磁気伝達部材36a、36bは、細長い板状に形成されている。磁気伝達部材36a、36bは、棒状や矩形板状などの他の形状に形成されていてもよい。
【0030】
磁気伝達部材36aは、キャン30と磁気センサー35aとの間に配置されている。磁気伝達部材36aは、鈍角に折り曲げられており、磁気伝達部材36aにおけるキャン30側の端部(以下、「キャン側端部36a1」という)を含む直線状の第1部分A1と、磁気伝達部材36aにおける磁気センサー35a側の端部(以下、「センサー側端部36a2」という)を含む直線状の第2部分A2と、が連設された構成を有している。
【0031】
磁気伝達部材36bは、キャン30と磁気センサー35bとの間に配置されている。磁気伝達部材36bは、鈍角に折り曲げられており、磁気伝達部材36bにおけるキャン30側の端部(以下、「キャン側端部36b1」という)を含む直線状の第1部分B1と、磁気伝達部材36bにおける磁気センサー35b側の端部(以下、「センサー側端部36b2」という)を含む直線状の第2部分B2と、が連設された構成を有している。
【0032】
磁気伝達部材36a、36bは、折り曲げ角度を調節することにより、第1部分A1、B1をマグネットローター41の径方向に沿って配置することができ、かつ、第2部分A2、B2を磁気センサー35a、35bの感磁面と直交する方向に沿って配置することができる。なお、磁気伝達部材36a、36bは、折り曲げずに平板状としてもよい。
【0033】
磁気伝達部材36a、36bは、それぞれの第2部分A2、B2を支持する支持体である合成樹脂製のビーム37とインサート成形により一体化されている。磁気伝達部材36a、36bとビーム37とで磁気伝達ユニット38を構成している。
【0034】
駆動機構40は、弁体50を上下方向に駆動する。駆動機構40は、マグネットローター41と、弁軸ホルダー42と、ガイドブッシュ43と、弁軸44と、を有している。
【0035】
マグネットローター41は、キャン30の内径より若干小さい外径を有する略円筒状に形成されている。マグネットローター41の外周面41aには、複数のN極および複数のS極が設けられている。複数のN極および複数のS極は、軸線L方向に延在しており、周方向に等間隔でかつ交互に配置されている。N極およびS極は1つずつ設けられていてもよい。本実施例において、12個のN極および12個のS極が15度間隔で交互に配置されている。マグネットローター41は、キャン30の内側に回転可能に配置されている。図5(a)、(b)にマグネットローター41のN極およびS極の配置イメージを示す。図5(a)、(b)において、斜線領域がN極を模式的に示し、ドット領域がS極を模式的に示す。マグネットローター41の回転軸は軸線Lと一致する。
【0036】
弁軸ホルダー42は、上端が塞がれた円筒状に形成されている。弁軸ホルダー42の上端部には支持リング45がかしめにより固定されている。支持リング45を介して、マグネットローター41と弁軸ホルダー42とが一体的に結合されている。弁軸ホルダー42の内周面には、雌ねじ部42cが設けられている。
【0037】
ガイドブッシュ43は、外径が大きい大径円筒部43aと、大径円筒部43aの上端部に同軸に連設された外径が小さい小径円筒部43bと、を有している。小径円筒部43bの外周面には、弁軸ホルダー42の雌ねじ部42cと螺合される雄ねじ部43cが設けられている。ガイドブッシュ43は、大径円筒部43aが弁本体10の円筒部12の内側に圧入されることにより、弁本体10と結合されている。
【0038】
弁軸44は、円柱状の胴部44aと、胴部44aの上端部に同軸に連設された胴部44aより小径の上部小径部44bと、を有している。上部小径部44bは、弁軸ホルダー42を貫通して配置されており、抜け止めとなるプッシュナット46が取り付けられている。弁軸44は、弁軸ホルダー42と、弁軸44における胴部44aと上部小径部44bとの間の段部と、の間に配置された圧縮コイルばね47によって、下方に向けて押されている。
【0039】
弁軸ホルダー42には、上ストッパ体48が取り付けられている。ガイドブッシュ43の大径円筒部43aには、下ストッパ体49が取り付けられている。弁軸ホルダー42が回転することにより下限位置に至ると、上ストッパ体48が下ストッパ体49に当接して弁軸ホルダー42のさらなる回転が規制される。
【0040】
弁体50は、弁軸44の下端部に一体的に設けられている。弁体50は、駆動機構40によって上下方向に移動するように駆動され、弁室13に開口するポート19を開閉する。
【0041】
ステーター60は、図6図7に示すように、略円筒状に形成されており、内周面60aにより画定される嵌合孔60bを有している。嵌合孔60bの内径は、キャン30の外径と同一である。ステーター60は、嵌合孔60bにキャン30が嵌合されることによりキャン30の外側に配置される。ステーター60は、上段ステーター61と、下段ステーター62と、合成樹脂製のモールド65と、を有している。
【0042】
上段ステーター61と下段ステーター62とは、上下に重ねて配置されている。図7に示すように、上段ステーター61は、ヨーク61aと、ヨーク61aにボビン61bを介して巻回されたコイル61cとを有している。ヨーク61aは、周方向に等間隔に並んで配置された複数のクローポール型の極歯63を有している。本実施例において、ヨーク61aは、24個の極歯63を有している。複数の極歯63は、先端(細い方の端部)が下方を向く下向き極歯63aと、先端が上方を向く上向き極歯63bと、を有している。複数の下向き極歯63aと複数の上向き極歯63bとは、周方向に交互に配置されている。
【0043】
下段ステーター62は、上段ステーター61と同様の構成を有している。下段ステーター62は、ヨーク62aと、ボビン62bと、コイル62cと、複数のクローポール型の極歯64(下向き極歯64aおよび上向き極歯64b)と、を有している。下段ステーター62は、上段ステーター61に対して複数の極歯63の間隔の半分だけ周方向にずれて配置されている。本実施例では、複数の極歯63の間隔および複数の極歯64の間隔がそれぞれ15度(360度/24)であり、下段ステーター62は、上段ステーター61に対して7.5度(15度/2)だけ周方向にずれて配置されている。上段ステーター61および下段ステーター62とマグネットローター41とでステッピングモータを構成する。なお、本実施例は、ステーター60がクローポール型の極歯を有する構成について説明するものであるが、他の種類の極歯を有する構成を採用してもよい。
【0044】
モールド65は、上段ステーター61および下段ステーター62内に充填されており、複数の極歯63および複数の極歯64とともにステーター60の内周面60aを構成している。モールド65は、環状部66と、端子支持部67と、を有している。
【0045】
環状部66は、円環状に形成されており、キャン30の外径と同一の内径を有している。環状部66は、上段ステーター61の上面に配置されている。
【0046】
端子支持部67は、上段ステーター61および下段ステーター62から側方(図2の右方)に延びるように配置されている。端子支持部67は、上段ステーター61のコイル61cおよび下段ステーター62のコイル62cに接続された複数の端子68が埋め込まれている。複数の端子68は、端子支持部67の先端67aから突出しており、基板85と接続されている。
【0047】
本実施例では、磁気伝達部材36a、36bのキャン側端部36a1、36b1が環状部66の上面66cに配置され、センサー側端部36a2、36b2だけがビーム37によって支持されている。このような構成以外に、例えば、キャン側端部36a1、36b1も支持する構成を採用してもよい。具体的には、モールド65に、図11に示すような環状部66を設けた構成が一例として考えられる。図11に示す環状部66には、磁気伝達部材支持部66a、66bが設けられている。
【0048】
磁気伝達部材支持部66a、66bは、径方向に延在しかつ上方に開口したスリットである。磁気伝達部材支持部66aは、磁気伝達部材36aのキャン側端部36a1を支持する。磁気伝達部材支持部66bは、磁気伝達部材36bのキャン側端部36b1を支持する。磁気伝達部材支持部66a、66bは、スリット以外の形状を採用してもよい。例えば、磁気伝達部材36a、36bが棒状に形成されている構成では、磁気伝達部材支持部66a、66bが環状部66を径方向に貫通する孔であってもよい。磁気伝達部材36a、36bは、キャン側端部36a1、36b1およびセンサー側端部36a2、36b2の少なくとも一方のみ支持されていればよい。
【0049】
磁気伝達部材36aのキャン側端部36a1は、ポート19を閉じた状態(閉弁状態)からポート19を全開にした状態(開弁状態)までのいずれの状態においても、キャン30を介してマグネットローター41の外周面41aと当該マグネットローター41の径方向に対向するように配置される。キャン側端部36a1は、キャン30の外周面30aとわずかな隙間をあけて配置される。なお、キャン側端部36a1は、キャン30の外周面30aに接していてもよい。磁気伝達部材36aのセンサー側端部36a2は、磁気センサー35aとわずかな隙間をあけて配置される。
【0050】
磁気伝達部材36bのキャン側端部36b1は、閉弁状態から開弁状態までのいずれの状態においても、キャン30を介してマグネットローター41の外周面41aと当該マグネットローター41の径方向に対向するように配置される。キャン側端部36b1は、キャン30の外周面30aとわずかな隙間をあけて配置される。なお、キャン側端部36b1は、キャン30の外周面30aに接していてもよい。磁気伝達部材36bのセンサー側端部36b2は、磁気センサー35bとわずかな隙間をあけて配置される。
【0051】
また、磁気伝達部材36aのキャン側端部36a1は、マグネットローター41の回転軸方向から見たときに、回転軸(軸線L)と上段ステーター61の1つの極歯63の中心とを通る直線F1上に配置される。同様に、磁気伝達部材36bのキャン側端部36b1は、マグネットローター41の回転軸方向からみたときに、回転軸と上段ステーター61の1つの極歯63の中心とを通る直線F2上に配置される。極歯63の「中心」には、中心に加えて略中心を含み、以下同様である。複数のクローポール型の極歯63を備えたヨーク61aを有する構成では、マグネットローター41が回転を停止すると、(i)極歯63とマグネットローター41の磁極とが正対した状態、(ii)極歯63とマグネットローター41の外周面41aにおける隣接する磁極間の箇所とが正対した状態、のいずれかとなる。上記(i)の状態では、回転軸方向から見た極歯63の位置においてN極からS極に向かう磁束に含まれる径方向成分が最大となり、磁気伝達部材36a、36bに伝わる磁束が最も多くなる。上記(ii)の状態では、回転軸方向から見た極歯63の位置においてN極からS極に向かう磁束に含まれる径方向成分が最小となり、磁気伝達部材36a、36bに伝わる磁束が最も少なくなる。そのため、上記(i)の状態と上記(ii)の状態とを明確に区別することができ、マグネットローターの停止位置を高精度で得ることができる。また、検知した磁束の波形に基づき、マグネットローター41の回転方向を得ることができる。
【0052】
また、マグネットローター41の回転軸方向から見たときに、磁気伝達部材36aの一部分である第1部分A1が直線F1上に配置され、磁気伝達部材36bの一部分である第1部分B1が直線F2上に配置される。直線F1、F2は、径方向に沿う直線である。このようにすることで、マグネットローター41の磁束は径方向に伝わりやすいことから、磁気伝達部材36a、36bによってマグネットローターからより離れた箇所まで磁束を伝達することができる。
【0053】
また、磁気伝達部材36aの他部分である第2部分A2および磁気伝達部材36bの他部分である第2部分B2が、基板85の実装面85a(すなわち磁気センサー35a、35bの感磁面)と直交する方向に沿って配置されている。このようにすることで、磁気センサー35a、35bにおいて磁束を適切に検知できる。
【0054】
本実施例において、磁気伝達部材36aのキャン側端部36a1と磁気伝達部材36bのキャン側端部36b1とは、互いに隣接する極歯63と同じ間隔(15度)をあけて配置されているが、これに限定されない。例えば、磁気伝達部材36aのキャン側端部36a1と磁気伝達部材36bのキャン側端部36b1とは、次の式(1)に示される間隔θ[度]をあけて配置されていてもよい。
θ=(90/n)+(360×m)/n ・・・(1)
ただし、nは1つのステーターが有する極歯数の1/2の値であり、mは任意の整数であり、θ<360度である。
【0055】
磁気伝達部材36aのキャン側端部36a1および磁気伝達部材36bのキャン側端部36b1は、上記式(1)を満たすように配置されることで、一方がマグネットローター41の磁極と正対すると、他方がマグネットローター41の外周面41aにおける隣接する磁極間の箇所と正対する。これにより、キャン側端部36a1およびキャン側端部36b1の一方に伝わる磁束が最大のとき、他方に伝わる磁束が最小となる。これにより、磁気伝達部材36a、36bを介して磁気センサー35a、35bに磁束が伝達されると、磁気センサー35a、35bの一方によって検知される磁束が最大のとき、他方によって検知される磁束が最小となる。そのため、マグネットローター41の回転角度を高精度で得ることができる。
【0056】
ハウジング70は、合成樹脂製であり、キャン30およびステーター60の外形に沿った形状を有している。ハウジング70は、内側にキャン30およびステーター60を収容する。ハウジング70は、弁本体10側に向けて突出する円筒状の筒状部73を有している。筒状部73は、弁本体10の円筒部12を囲むように配置されている。筒状部73と円筒部12との間には、ゴム材などの弾性材料で構成された円環状のOリングである封止部材100が圧縮状態で配置されている。ハウジング70は、側方に向く四角形状のハウジング開口74が設けられている。ハウジング開口74から、端子支持部67が突出している。
【0057】
ケース80は、合成樹脂製であり、1つの側面が開口した直方体箱状のケース本体81と、ケース本体81の側面の開口を塞ぐ平板状の蓋体82と、ケース本体81から上方に延びる筒状のコネクタ83と、を有している。
【0058】
ケース本体81は、基板85を収容している。基板85は、電子部品が実装されるプリント基板である。基板85の実装面85aには、磁気センサー35a、35bが実装されている。基板85には、磁気センサー35a、35bによって出力された信号に基づいて、マグネットローター41の回転角度や弁開度(ポート19の開度)を演算するコンピューターなどからなる演算装置が実装されていてもよい。
【0059】
ケース本体81における蓋体82と対向する側壁部81aには、複数のボス81bと、四角形状のケース開口84が設けられている。ケース開口84は、ハウジング70のハウジング開口74と接続される。ハウジング70におけるハウジング開口74の周縁部とケース本体81におけるケース開口84の周縁部とが、例えば、超音波溶着や赤外線溶着などにより接合されている。
【0060】
複数のボス81bには、磁気伝達ユニット38のビーム37が取り付けられており、磁気伝達部材36a、36bがケース開口84およびハウジング開口74を挿通するように配置されている。また、複数のボス81bには、基板85が取り付けられている。基板85の実装面85aは、キャン30と径方向に対向している。
【0061】
電動弁1において、弁本体10の円筒部12、ポート19、キャン30、マグネットローター41、弁軸ホルダー42、ガイドブッシュ43、弁軸44、弁体50、ステーター60(上段ステーター61、下段ステーター62、モールド65の環状部66)およびハウジング70の筒状部73は、それぞれの軸が軸線Lに一致する。換言すると、これらは全て同軸に配置されている。軸線L方向は上下方向に一致する。
【0062】
次に、電動弁1の動作について説明する。
【0063】
電動弁1において、マグネットローター41が一方向に回転するように、上段ステーター61および下段ステーター62に通電する。マグネットローター41とともに弁軸ホルダー42が回転して、弁軸ホルダー42の雌ねじ42cとガイドブッシュ43の雄ねじ43cとのねじ送り作用により、マグネットローター41および弁軸ホルダー42が下方(すなわち回転軸方向の一方側)に移動する。弁軸ホルダー42とともに弁軸44も下方に移動して弁体50がポート19を閉じる(閉弁状態)。
【0064】
または、電動弁1において、マグネットローター41が他方向に回転するように、上段ステーター61および下段ステーター62に通電する。マグネットローター41とともに弁軸ホルダー42が回転して、弁軸ホルダー42の雌ねじ42cとガイドブッシュ43の雄ねじ43cとのねじ送り作用により、マグネットローター41および弁軸ホルダー42が上方(すなわち回転軸方向の他方側)に移動する。弁軸ホルダー42とともに弁軸44も上方に移動して弁体50がポート19を開く(開弁状態)。
【0065】
そして、マグネットローター41が回転すると、外周面41aに設けられた各N極および各S極と磁気伝達部材36aのキャン側端部36a1および磁気伝達部材36bのキャン側端部36b1との位置関係が変化して、磁気伝達部材36a、36bを介して磁気センサー35a、35bに伝達される磁束の向きおよび大きさが変化する。これにより、マグネットローター41の回転角度に応じて、磁気センサー35a、35bから出力される信号が変化し、この信号に基づいてマグネットローター41の回転角度および回転方向を得ることができる。
【0066】
本発明者らは、磁気伝達部材の形状、延在方向および個数と、マグネットローター41の磁束の伝わり方との関係について、シミュレーションを用いて解析を行った。解析結果を図12図21に示す。図12図21は、マグネットローターから磁気伝達部材への磁束の伝わり方を模式的に示す図である。図12図21において、磁気伝達部材36a、36bの色の濃い領域が所定量以上の磁束が伝わっている領域を示している。色の濃い領域が大きいほど、磁束が伝わりやすいことを示している。また、マグネットローターにおける色の濃い領域は磁極(N極、S極)を示している。図15図19図21において、マグネットローターの磁極を結ぶ磁力線を黒線で模式的に示している。図14図15図18図19図20図21、は同一構成を異なる図の向き(斜視図、平面図)で示している。表1に、各図の詳細を示す。
【0067】
【表1】
【0068】
図12図15は、1枚の磁気伝達部材36aを用いた構成を示している。図12図13図14の順で、色の濃い領域が大きく広がっている。そして、これら3つの構成の中では、図14に示す1枚の細長い板状の磁気伝達部材36aをマグネットローター41の径方向に延在するように配置した構成が、マグネットローターから最も離れた箇所まで磁束を伝達できることがわかる。
【0069】
図16図19は、2枚の磁気伝達部材36a、36bを用いた構成を示している。図16図17図18の順で、色の濃い領域が大きく広がっている。そして、これら3つの構成の中では、図18に示す2枚の細長い板状の磁気伝達部材36a、36bをマグネットローター41の径方向に延在するように配置した構成が、マグネットローター41から最も離れた箇所まで磁束を伝達できることがわかる。また、図18に示す構成は、1枚の磁気伝達部材36aを用いた構成と比べても、マグネットローター41からさらに離れた箇所まで磁束を伝達できることがわかる。また、図19に示すように、磁気伝達部材36a、36bの間に磁力線が延びていることから、N極、磁気伝達部材36a、36bおよびS極によって磁気回路が形成されていることがわかる。
【0070】
図20図21は、鈍角に折り曲げられた2枚の磁気伝達部材36a、36bを、第1部分A1、B1のみマグネットローター41の径方向に延在するように配置した構成を示している。図20に示す構成では、図18に示す構成と同様に、色の濃い領域が広がっている。このことから、図20に示す構成でも、図18に示す構成と同様にマグネットローター41から離れた箇所まで磁束を伝達できることがわかる。また、図21に示すように、磁気伝達部材36a、36bの間に磁力線が延びており、N極、磁気伝達部材36a、36bおよびS極により磁気回路が形成されていることがわかる。
【0071】
上記解析結果から、細長い板状の磁気伝達部材をマグネットローター41の径方向に延在するように配置することで、マグネットローターの磁束を効率的に伝達できることが明らかとなった。また、1枚の磁気伝達部材より2枚の磁気伝達部材を用いた構成の方が、マグネットローターの磁束をより効率的に伝達できることが明らかとなった。
【0072】
以上より、本実施例の電動弁1によれば、キャン30と基板85に実装された磁気センサー35a、35bとの間に配置された磁気伝達部材36a、36bを有している。キャン30の内側に配置されたマグネットローター41の外周面41aに、当該マグネットローター41の回転軸方向に延在する複数のN極および複数のS極が周方向に交互に並ぶように設けられている。そして、磁気伝達部材36a、36bのキャン側端部36a1、36b1が、キャン30を介してマグネットローター41と径方向に対向するように配置されている。このようにしたことから、マグネットローター41の磁極(N極、S極)で生じる磁束は径方向に伝わりやすく、磁気伝達部材36a、36bのキャン側端部36a1、36b1をマグネットローター41と径方向に対向して配置することにより、磁束を磁気伝達部材36a、36bに効率的に伝えることができる。これにより、磁気伝達部材36a、36bを介して磁気センサー35a、35bに多くの磁束が伝達され、マグネットローター41の磁束を確実に検知できる。
【0073】
また、ステーター60には、磁気伝達部材36a、36bのキャン側端部36a1、36b1を支持する磁気伝達部材支持部66a、66bが設けられていてもよい。このようにすることで、磁気伝達部材36a、36bのキャン側端部36a1、36b1を、ステーター60の極歯63に対して適切に位置決めすることができる。
【0074】
また、マグネットローター41が、ポート19を閉じるとき下方(回転軸方向の一方側)に移動しかつポート19を開くとき上方(回転軸方向の他方側)に移動する。磁気伝達部材36a、36bのキャン側端部36a1、36b1が、ステーター60の上段ステーター61より上方に配置されている。そして、キャン側端部36a1、36b1が、ポート19を閉じた状態においてキャン30を介してマグネットローター41と径方向に対向するように配置されている。このようにすることで、上下方向に移動するマグネットローター41と磁気伝達部材36a、36bのキャン側端部36a1、36b1とが、閉弁状態から開弁状態までのいずれの状態においても径方向に対向することになる。そのため、マグネットローター41の磁束を確実に検知でき、マグネットローター41の回転角度を高精度で得ることができる。
【0075】
また、基板85の実装面85aが、キャン30と径方向に対向するように配置されている。このようにすることで、磁束は径方向に伝わりやすいことから、磁気伝達部材36a、36bを介して磁気センサー35a、35bに効率的に磁束を伝達することができる。
【0076】
また、キャン30およびステーター60を収容するハウジング70と、基板85を収容するケース80と、磁気伝達部材36a、36bとこれらを支持するビーム37とを有する磁気伝達ユニット38と、をさらに有している。ハウジング70に設けられたハウジング開口74とケース80に設けられたケース開口84とが接続されるとともに、ハウジング70におけるハウジング開口74の周縁部とケース80におけるケース開口84の周縁部とが接合されている。そして、磁気伝達ユニット38は、磁気伝達部材36a、36bがケース開口84およびハウジング開口74に挿通され、ビーム37がケース80に取り付けられている。このようにすることで、磁気伝達部材36a、36bをケース開口84およびハウジング開口74に挿通して、磁気伝達部材36a、36bをキャンの近傍に容易に配置することができる。また、ハウジング70におけるハウジング開口74の周縁部とケース80におけるケース開口84の周縁部とが接合されているので、気密性を確保できる。
【0077】
上述した実施形態では、マグネットローター41が回転軸方向に移動する構成であったが、マグネットローター41の回転軸方向の位置が固定された構成であってもよい。どちらの構成でも、磁気伝達部材36a、36bのキャン側端部36a1、36b1の回転軸方向の位置が、閉弁状態から開弁状態までのいずれの状態においてもマグネットローター41の全長の範囲内(すなわちマグネットローター41の下端から上端までの間)にあることが好ましい。このようにすることで、マグネットローター41と磁気伝達部材36a、36bのキャン側端部36a1、36b1とが、閉弁状態から開弁状態に至るまで径方向に対向することになる。そのため、マグネットローター41の磁束を確実に検知でき、マグネットローター41の回転角度を高精度で得ることができる。また、ステーター60の上段ステーター61および下段ステーター62の回転軸方向の位置が、閉弁状態から開弁状態までのいずれの状態においてもマグネットローター41の全長の範囲内にあることが好ましい。このようにすることで、閉弁状態から開弁状態に至るまでマグネットローター41に上段ステーター61および下段ステーター62の磁力を効率的に作用させることができ、マグネットローター41を効率的に回転させることができる。
【0078】
上記に本発明の実施例を説明したが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。前述の実施例に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除、設計変更を行ったものや、実施例の特徴を適宜組み合わせたものも、本発明の趣旨に反しない限り、本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0079】
1…電動弁、10…弁本体、11…本体部、11a…上面、11b…雌ねじ部、12…円筒部、12b…雄ねじ部、13…弁室、17、18…流路、19…ポート、20…鍔部、30…キャン、30a…外周面、35a、35b…磁気センサー、36a、36b…磁気伝達部材、36a1、36b1…キャン側端部、36a2、36b2…センサー側端部、A1、B1…第1部分、A2、B2…第2部分、38…磁気伝達ユニット、40…駆動機構、41…マグネットローター、41a…外周面、42…弁軸ホルダー、42c…雌ねじ部、43…ガイドブッシュ、43a…大径円筒部、43b…小径円筒部、43c…雄ねじ部、44…弁軸、44a…胴部、44b…上部小径部、45…支持リング、46…プッシュナット、47…圧縮コイルばね、48…上ストッパ体、49…下ストッパ体、50…弁体、60…ステーター、60a…内周面、60b…嵌合孔、61…上段ステーター、61a…ヨーク、61b…ボビン、61c…コイル、62…下段ステーター、62a…ヨーク、62b…ボビン、62c…コイル、63、64…極歯、63a、64a…下向き極歯、63b、64b…上向き極歯、65…モールド、66…環状部、66a、66b…磁気伝達部材支持部、66c…上面、67…端子支持部、67a…先端、68…端子、70…ハウジング、73…筒状部、74…ハウジング開口、80…ケース、81…ケース本体、81a…側壁部、81b…ボス、82…蓋体、83…コネクタ、84…ケース開口、100…封止部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
【手続補正書】
【提出日】2022-10-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0005】
上述した電動弁は、マグネットローターとは別部品の永久磁石や磁気ドラムを有することから、部品点数が増加して構造が複雑になり、製造コストが上昇してしまうという課題があった。部品点数の増加を抑えるために、例えば特許文献1の電動弁において、基板上の磁気センサーでマグネットローターの磁気を検知する構成が考えられる。しかしながら、基板とマグネットローターとが比較的大きく離れているため、基板上の磁気センサーでマグネットローターの磁気を検知できなかった。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
そこで、本発明は、磁気センサーでマグネットローターの磁気を確実に検知できる電動弁を提供することを目的とする。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係る電動弁は、弁本体と、前記弁本体に取り付けられた円筒状のキャンと、前記キャンの内側に配置された円筒状のマグネットローターと、前記マグネットローターの回転により前記弁本体内で当該マグネットローターの回転軸方向に移動するように駆動される弁体と、前記キャンの外側に配置されたステーターと、磁気センサーと、を有する電動弁であって、前記キャンと前記磁気センサーとの間に配置された磁気伝達部材を有し、前記マグネットローターの外周面に、前記回転軸方向に延在する1または複数のN極およびS極が周方向に交互に並ぶように設けられており、前記磁気伝達部材における前記キャン側の端部が、前記キャンを介して前記マグネットローターと径方向に対向するように配置されていることを特徴とする。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0013】
本発明において、前記弁体が、前記弁本体内のポートを開閉するように駆動され、前記マグネットローターが、前記ポートを閉じるとき前記回転軸方向の一方側に移動しかつ前記ポートを開くとき前記回転軸方向の他方側に移動し、前記磁気伝達部材における前記キャン側の端部が、前記ステーターより前記回転軸方向の他方側に配置され、前記ポートを閉じた状態において前記キャンを介して前記マグネットローターと径方向に対向するように配置されていることが好ましい。このようにすることで、回転軸方向に移動するマグネットローターと磁気伝達部材におけるキャン側の端部とが、閉弁状態から開弁状態に至るまで径方向に対向することになる。そのため、閉弁状態から開弁状態までのいずれの状態においてもマグネットローターの磁束を確実に検知でき、マグネットローターの回転角度を高精度で得ることができる。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
本発明において、前記弁体が、前記弁本体内のポートを開閉するように駆動され、前記磁気伝達部材における前記キャン側の端部の前記回転軸方向の位置が、前記ポートを閉じた状態から前記ポートを全開にした状態までのいずれの状態においても前記マグネットローターの全長の範囲内にあることが好ましい。このようにすることで、マグネットローターと磁気伝達部材におけるキャン側の端部とが、ポートを閉じた状態(閉弁状態)からポートを全開にした状態(開弁状態)までのいずれの状態においても径方向に対向することになる。そのため、マグネットローターの磁束を確実に検知でき、マグネットローターの回転角度を高精度で得ることができる。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0017】
本発明において、前記電動弁が、合成樹脂製の部材と、磁気伝達ユニットと、をさらに有し、前記部材が、前記キャンおよび前記ステーターを収容するハウジングと、前記磁気センサーを収容するケースと、を一体的に有し、前記磁気伝達ユニットが、前記磁気伝達部材と当該磁気伝達部材を支持する支持体とを有し、前記磁気伝達部材が前記ケース部と前記ハウジング部とをまたいで配置され、前記支持体が前記ケースに取り付けられることが好ましい。このようにすることで、磁気伝達部材をケース部とハウジング部とをまたいで配置して、磁気伝達部材をキャンの近傍に容易に配置することができる
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0019】
図1】本発明の一実施例に係る電動弁の正面図である。
図2図1の電動弁の閉弁状態を示す縦断面図である。
図3図1の電動弁の開弁状態を示す縦断面図である。
図4図2のX1-X1線に沿う断面図である。
図5図1の電動弁のマグネットローターおよびステーターを説明する図である。
図6図1の電動弁のステーターの斜視図である。
図7図1の電動弁のステーターの縦断面図である。
図8図1の電動弁のハウジングの斜視図である。
図9図1の電動弁のケースの斜視図である。
図10図1の電動弁の磁気伝達ユニットの斜視図である。
図11図1の電動弁のステーターの変形例の構成を示す斜視図である。
図12】1枚の細長い板状の磁気伝達部材をマグネットローターの回転軸方向に延在するように配置した構成での磁束の伝わり方を模式的に示す斜視図である。
図13】1枚の正方形板状の磁気伝達部材をマグネットローターの回転軸方向および径方向に延在するように配置した構成での磁束の伝わり方を模式的に示す斜視図である。
図14】1枚の細長い板状の磁気伝達部材をマグネットローターの径方向に延在するように配置した構成での磁束の伝わり方を模式的に示す斜視図である。
図15図14の構成の平面図である。
図16】2枚の細長い板状の磁気伝達部材をマグネットローターの回転軸方向に延在するように配置した構成での磁束の伝わり方を模式的に示す斜視図である。
図17】2枚の正方形板状の磁気伝達部材をマグネットローターの回転軸方向および径方向に延在するように配置した構成での磁束の伝わり方を模式的に示す斜視図である。
図18】2枚の細長い板状の磁気伝達部材をマグネットローターの径方向に延在するように配置した構成での磁束の伝わり方を模式的に示す斜視図である。
図19図18の構成の平面図である。
図20】2枚の折り曲げた細長い板状の磁気伝達部材におけるマグネットローター側の端部を含む一部分のみをマグネットローターの径方向に延在するように配置した構成での磁束の伝わり方を模式的に示す斜視図である。
図21図20の構成の平面図である。
【手続補正9】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁本体と、前記弁本体に取り付けられた円筒状のキャンと、前記キャンの内側に配置された円筒状のマグネットローターと、前記マグネットローターの回転により前記弁本体内で当該マグネットローターの回転軸方向に移動するように駆動される弁体と、前記キャンの外側に配置されたステーターと、磁気センサーと、を有する電動弁であって、
前記キャンと前記磁気センサーとの間に配置された磁気伝達部材を有し、
前記マグネットローターの外周面に、前記回転軸方向に延在する1または複数のN極およびS極が周方向に交互に並ぶように設けられており、
前記磁気伝達部材における前記キャン側の端部が、前記キャンを介して前記マグネットローターと径方向に対向するように配置されていることを特徴とする電動弁。
【請求項2】
前記ステーターには、前記磁気伝達部材における前記キャン側の端部を支持する磁気伝達部材支持部が設けられている、請求項1に記載の電動弁。
【請求項3】
前記ステーターが、複数の極歯を有し、
前記磁気伝達部材における前記キャン側の端部が、前記回転軸方向から見たときに、前記マグネットローターの回転軸と前記複数の極歯のうちの1つの極歯の中心とを通る直線上に配置されている、請求項1または請求項2に記載の電動弁。
【請求項4】
前記磁気伝達部材が、細長い板状または棒状に形成され、
前記磁気伝達部材における前記キャン側の端部を含む一部分が、径方向に沿って配置されている、請求項3に記載の電動弁。
【請求項5】
前記磁気伝達部材における前記磁気センサー側の端部を含む他部分が、前記磁気センサーの感磁面と直交する方向に沿って配置されている、請求項4に記載の電動弁。
【請求項6】
前記弁体が、前記弁本体内のポートを開閉するように駆動され、
前記マグネットローターが、前記ポートを閉じるとき前記回転軸方向の一方側に移動しかつ前記ポートを開くとき前記回転軸方向の他方側に移動し、
前記磁気伝達部材における前記キャン側の端部が、前記ステーターより前記回転軸方向の他方側に配置され、前記ポートを閉じた状態において前記キャンを介して前記マグネットローターと径方向に対向するように配置されている、請求項1~請求項5のいずれか一項に記載の電動弁。
【請求項7】
前記弁体が、前記弁本体内のポートを開閉するように駆動され、
前記磁気伝達部材における前記キャン側の端部の前記回転軸方向の位置が、前記ポートを閉じた状態から前記ポートを全開にした状態までのいずれの状態においても前記マグネットローターの全長の範囲内にある、請求項1~請求項6のいずれか一項に記載の電動弁。
【請求項8】
前記ステーターの前記回転軸方向の位置が、前記ポートを閉じた状態から前記ポートを全開にした状態までのいずれの状態においても前記マグネットローターの全長の範囲内にある、請求項7に記載の電動弁。
【請求項9】
前記電動弁が、合成樹脂製の部材と、磁気伝達ユニットと、をさらに有し、
前記部材が、前記キャンおよび前記ステーターを収容するハウジングと、前記磁気センサーを収容するケースと、を一体的に有し、
前記磁気伝達ユニットが、前記磁気伝達部材と当該磁気伝達部材を支持する支持体とを有し、
記磁気伝達部材が前記ケース部と前記ハウジング部とをまたいで配置され、
前記支持体が前記ケースに取り付けられる、請求項に記載の電動弁。