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特開2022-188267レーザー温熱療法を制御する装置および方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022188267
(43)【公開日】2022-12-20
(54)【発明の名称】レーザー温熱療法を制御する装置および方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/22 20060101AFI20221213BHJP
   A61F 7/12 20060101ALI20221213BHJP
   A61N 5/067 20060101ALI20221213BHJP
【FI】
A61B18/22
A61F7/12 Z
A61N5/067
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022165008
(22)【出願日】2022-10-13
(62)【分割の表示】P 2019531662の分割
【原出願日】2017-12-14
(31)【優先権主張番号】16204195.8
(32)【優先日】2016-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】515300871
【氏名又は名称】クリニカル レーザーサーミア システムズ アクチエボラグ
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ダイムリング、ステファン
(72)【発明者】
【氏名】パンタレオーネ、クリスティーナ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】腫瘍などの組織の処置を施すために腫瘍の熱処置を制御する装置、システム、および方法を提供する。
【解決手段】組織部位の少なくとも一部分に対して温熱療法を施す装置およびシステムであり、装置およびシステムは放射領域を備える加熱プローブ515を備える。加熱プローブは、放射領域514により、組織を加熱するためのエネルギー源に接続可能である。装置およびシステムはスリーブ510を備える。加熱プローブはスリーブ内に配置可能であり、スリーブは、温熱療法を制御するように、組織の部分内に放射領域を位置決めするために遠位および/または近位方向において加熱プローブに沿って摺動するように構成される。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織部位の少なくとも一部分に対して温熱療法を施す加熱ブローブであって、
遠位部に発光領域を備える光ファイバーであって、前記光ファイバーが、前記発光領域によって組織の前記部分を加熱するためのエネルギー源に接続可能であり、前記発光領域が、少なくとも部分的にディフューザーであり、前記ディフューザーが、微細修飾である構造化された描画である、光ファイバーと、
前記発光領域を保護するために、少なくとも前記発光領域を覆うように配置されるキャピラリーと、
を備える、加熱ブローブ。
【請求項2】
前記微細修飾は、前記光ファイバーのコアおよび/またはクラッディングおよび/または緩衝材の中に焼き付けられる、請求項1記載の加熱ブローブ。
【請求項3】
前記微細修飾は、1つまたは複数の断面上に配置され、前記断面は、前記光ファイバーの光導波軸に略垂直に位置する、請求項2記載の加熱ブローブ。
【請求項4】
前記キャピラリーは、前記光ファイバーに溶融および/または接着される、および/または、前記キャピラリーは、収縮チューブによって前記光ファイバーに接合される、請求項1記載の加熱ブローブ。
【請求項5】
前記キャピラリーは、前記光ファイバーのジャケットおよび/または緩衝材に、溶融、接着、および/または、収縮チューブを使用して接合される、請求項4記載の加熱ブローブ。
【請求項6】
前記キャピラリーは、前記キャピラリーの近位部で、前記光ファイバーに溶融、接着、および/または、収縮チューブを使用して接合される、請求項4または5記載の加熱ブローブ。
【請求項7】
前記キャピラリーは、前記近位部に対して遠位の箇所で、前記光ファイバーに溶融される、請求項6記載の加熱ブローブ。
【請求項8】
溶融は、シリカとシリカとの間の熱安定性の結合をもたらす、請求項7記載の加熱ブローブ。
【請求項9】
接着剤が、前記近位部において封止剤として配置される、請求項7記載の加熱ブローブ。
【請求項10】
前記キャピラリーは、ガラスキャピラリーである、請求項1記載の加熱ブローブ。
【請求項11】
前記遠位部は、前記光ファイバーの先端である、請求項1記載の加熱ブローブ。
【請求項12】
前記光ファイバーと前記キャピラリーとの間に、空間がある、請求項1記載の加熱ブローブ。
【請求項13】
前記空間は、空気で充填される、請求項12記載の加熱ブローブ。
【請求項14】
前記光ファイバーは、ジャケットと、樹脂からなる層と、ポリブチレンテレフタレート(PBT)からなる外層とを備える、請求項1記載の加熱ブローブ。
【請求項15】
組織部位の少なくとも一部分に対して温熱療法を施すシステムであって、
前記システムは、
請求項1~14のいずれか1項に記載の組織部位の少なくとも一部分に対して温熱療法を施す加熱ブローブと、
組織の前記部分内の温度を測定する手段と、
前記温度を測定する手段により測定された温度を示すディスプレイ装置と
を備える、システム。
【請求項16】
前記測定された温度が40~60℃の範囲内の目標温度に維持されるように、前記発光領域からの放射エネルギーを制御する制御装置をさらに備える、請求項15記載のシステム。
【請求項17】
前記温度は、ディスプレイのグラフとして示される、請求項15または16記載のシステム。
【請求項18】
前記温度を測定する手段は、前記加熱プローブを内部に配置するスリーブ内に配置された温度測定要素であるか、または、前記温度を測定する手段は、組織の前記部分を備える処置領域の2Dまたは3Dの温度マップを得るための磁気共鳴イメージング法である、請求項15または16記載のシステム。
【請求項19】
前記加熱ブローブに接続される光源をさらに備える、請求項15記載のシステム。
【請求項20】
組織部位の少なくとも一部分に対して温熱療法を施す加熱ブローブを製造する方法であって、
遠位部に発光領域を備える光ファイバーを用意することであって、前記光ファイバーが、前記発光領域によって組織の前記部分を加熱するためのエネルギー源に接続可能であるように構成され、前記発光領域が、少なくとも部分的にディフューザーであり、前記ディフューザーが、微細修飾である構造化された描画である、光ファイバーを用意することと、
前記発光領域を保護するために、少なくとも前記発光領域を覆うように、キャピラリーを配置することと
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に少なくとも、腫瘍などの、組織の領域に関連した処置病変の組織内温熱療法の分野に関する。より具体的には、本発明は、熱源を使用した癌の制御された加熱および破壊のためのシステムに関する。さらに具体的には、本発明はさらに、摺動可能なスリーブを使用して、処置する対象の組織内に熱源を配置することに関する。
【背景技術】
【0002】
腫瘍は、温熱療法などの熱によって破壊され得ることが当該技術分野において知られている。最も一般的な温熱療法の手法の1つは、光の吸収により、腫瘍を破壊する組織内レーザーハイパーサーミアである。初期の実験的および臨床的研究はNd-YAGレーザー、および腫瘍の中心に挿入された、終端がむき出しになったファイバーを使用している。これらの大半は、組織効果の十分な制御を欠いていた。病変サイズを改善する方法には、マルチファイバーシステム、ディフューザー型ファイバー、および血管流入閉塞が含まれていた。しかし、組織内レーザーハイパーサーミアの標準的な適用は、組織の気化および炭化と、比較的予測困難な組織損傷および病変サイズとをもたらす。
【0003】
当該処置はおおむね、加熱プローブの近くでの過熱を回避するために、いずれの場合にも放射領域近くで温度を制御することによって制御され、これは、処置病変のサイズに対する制御が非常に限定的であることを意味する。温度を制御する別のやり方は、腫瘍の境界の内部および/または外部に温度センサーを有する1つまたは複数の別個のリードを挿入することである。これは、実用的な、および倫理的な欠点いずれをも有し得る。倫理的には、腫瘍の内部および周辺に、より多くの注射を行わなければならず、これは、患者にとって痛みを伴い、追跡播種のリスクを増大させ得る。実用的には、適正な位置において種々のリードおよび温度センサーを配置することが困難であり得、これは、当該処置に否定的な影響を及ぼし得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ラットおよびヒトでの研究は、癌の熱処置が免疫学的な抗腫瘍効果をもたらし得ることを示している。凝固していない複数の腫瘍抗原を死んだ癌細胞が放出すると、これらの抗原は、宿主の免疫系にさらされた際に免疫応答を引き起こし得る。よって、処置された腫瘍が破壊されるのみならず、当該免疫効果は、リンパ節を含む遠隔の部位、または局所で、残りの腫瘍を破壊する。上記免疫効果は、選択的な組織損傷、および増殖因子の比較的少ない放出に寄与する。化学療法は、局所療法より前に、または局所療法の時点で開始することが可能であるので、当該処置による罹患率が低いことにより、より効率的なやり方で化学療法を使用する可能性が与えられる。
【0005】
今まで、従来技術の欠点なしで医療従事者が容易なやり方で処置病変を完全に制御し、および/または最適化する現実的なやり方は存在していない。このことには、患者にとって最適化された処置を得る可能性に対する意味がある。現在のシステムおよび関連する欠点は、当該免疫効果を獲得し、制御する可能性にも影響を及ぼす。よって、処置病変を最適化するための温熱刺激の改善された制御は効果的になり、患者安全を増大させ得る。当該処置の改善された制御は、熱源を取り囲む組織の気化および炭化と、それらに関する悪影響とを最小にし得る。さらに、処置病変に対する改善された制御は、免疫効果を獲得する可能性を向上し得る。凝固温度を実現することを目標とする処置の場合、壊死組織の経時的な進行の正確な監視の欠如は制限因子である。このことを容易にするために、処置体積内の明確な温度測定手法が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
よって、本開示の実施例は好ましくは、末尾に記載された特許請求の範囲により、腫瘍などの組織の処置を施すために腫瘍の熱処置を制御する装置、システム、および方法を提供することにより、以上で明確にしたものなどの、当該技術分野における1つまたは複数の欠陥、欠点、または課題を単独で、またはいずれかの組み合わせで緩和、軽減、または除去しようとする。
【0007】
ここに開示された装置、システム、および方法は、処置の目的のために、腫瘍などの不可逆的な組織損傷のためのプロセスを制御するために使用し得る。上記損傷は、昇華、または蒸発などの気化により、組織を除去するためのアブレーションによって得ることができる。別の実施例は、時にはレーザー誘起組織内温熱療法(LITT)とも呼ばれる集束レーザーアブレーション(FLA)などの処置の、経時的な壊死組織の経過を監視することなく、凝固温度を実現することである。当該処置は、免疫効果などの抗腫瘍効果を得ることによっても、改善し得る。抗腫瘍効果は、局所的な腫瘍の破壊に続く局所の、遠位の、または局所/遠位の組み合わせの効果であり得る。抗腫瘍効果は、抗原によって誘発され、処置された腫瘍の残されたいずれの部分も破壊し得るが、患者体内の他の未処置の腫瘍も破壊し得る。よって、上記効果は、腫瘍に対する「ワクチン」(アブスコパル効果)と考えることができる。抗原は、細胞死をもたらす処置の結果であるが、腫瘍の抗原の凝固/変性を伴わない。
【0008】
本開示の態様によれば、腫瘍の少なくとも一部分などの、組織の少なくとも一部分に対して温熱療法を施す装置を開示する。上記装置は、エネルギー放射領域を備える加熱プローブを備える。加熱プローブは、エネルギー放射領域により、組織の上記部分を加熱するためのエネルギー源に接続可能である。上記装置はさらにスリーブを含み、加熱プローブはスリーブ内に配置可能であり、スリーブは、温熱療法を制御するように、組織の上記部分内でのエネルギー放射領域の位置決めを可能にするために遠位および/または近位方向において加熱プローブに沿って摺動するように構成される。
【0009】
この配置は、改善された正確さを有し、処置する対象の組織の上記部分内の適正な位置においてエネルギー放射領域を位置決めすることを、より容易にする。
【0010】
加熱プローブは、エネルギー放射領域による、組織の加熱のために、無線周波数(RF)、マイクロ波周波数(MW)、または、好ましくはレーザーを使用し得る。
【0011】
一部の実施例では、スリーブは、少なくとも1つの温度測定要素を含む。遠位および/または近位方向において温度測定要素とともにスリーブを摺動させることにより、温度測定要素は、エネルギー放射領域に対して最適な距離をおいて位置決めすることができる。この配置は、別個に挿入されたリードによって処置される対象の当該部分外に位置決めされた温度センサーを使用することと比較して、処置病変のサイズおよび温熱療法を制御するための改善された正確さを有する。処置病変のサイズは、温度が測定され、目標温度内になるように選択される、おおむね、組織内の一点と、加熱プローブのエネルギー放射領域との間の距離によって求められる。一理由は、温度センサーは放射領域とのアラインメントが行われることであり、これは、別個のリードを使用して腫瘍の外部にセンサーを位置決めした場合に実現することが非常に困難であり得る。別個のリードを使用して腫瘍の外部に温度センサーを位置決めした場合、温度センサーは、加熱プローブの放射領域とのアラインメントが行われない可能性が最も高い一方、その代わりに、深すぎる、浅い、または遠く離れすぎた所に位置決めされる。別の利点は、最初の挿入の温度センサーと加熱プローブとの間の距離が、最適な処置病変を実現するのに良好でないとみなされた場合に、温度センサーとともにリードを再挿入する必要がないことである。
【0012】
プラスチック材料で作ることが可能なスリーブ内に温度測定要素を配置させるさらなる利点は、複数の温度測定点が隔離されており、温度センサーを位置決めするために使用される、多くの場合、金属でできた別個のリードによって影響されないということである。例えば、温度測定要素は、温度センサーを位置決めするために別個のリードを使用する場合におけるように上記リードによって冷却されないので、それらを隔離させることにより、温度測定は、より速く、および/または、より正確になる。
【0013】
本開示の一部の実施例は、スリーブのチャンネル内に配置された少なくとも1つの温度測定要素である。スリーブはその後、加熱され得、少なくとも1つの温度測定要素の周りで収縮する。あるいは、一部の実施例では、スリーブは、同心円状に配置された2つの収縮チューブを備え得る。温度測定要素20は2つの上記チューブ間に配置され得る。上記チューブはその後、熱収縮し得る。あるいは、一部の実施例では、少なくとも1つの温度測定要素が、スリーブ内に編み組まれるか、または編み継がれる。
【0014】
本開示の一部の実施例では、熱プローブはファイバーを備え、ファイバーの発光領域は少なくとも部分的にはディフューザーである。例えば、一部の実施例では、ディフューザーはラジアルファイバーである。一部の他の実施例では、ディフューザーは、ファイバーのコアおよび/またはクラッディングおよび/または緩衝材内の構造化された描画である。
【0015】
ディフューザーを使用することにより、ディフューザーなしの、終端がむき出しになったファイバーの使用と比較して放射プロファイルを変えることが可能である。例えば、ディフューザーがラジアルファイバーである場合、2つ以上の別個のラジアル放射点を使用し得る。放射点の各々は、同じ効果を有し得、または、当該効果は、特定の放射プロファイルを得るために放射点間で異なり得る。別の目的は、適切なパワー密度を得ることであり得る。放射プロファイルおよび/またはパワー密度は、処置、および/または処置病変の形状に影響を及ぼす。ファイバーのコアおよび/またはクラッディングおよび/または緩衝材内の構造化された描画でできたディフューザーを使用する場合にも同じことがあてはまる。描画のパターン、位置、および/または密度を変更することにより、腫瘍の一部分などの、組織の当該部分の処置を最適化するために使用し得る異なる放射プロファイルまたはパワー密度を得ることができる。
【0016】
本開示の一部の実施例では、スリーブはカテーテルイントロデューサーである。
【0017】
本開示の一部の実施例には、スリーブの同じ横平面において配置された少なくとも2つの温度測定要素がある。これは、発光領域から同じ距離をおいて配置された少なくとも2つの温度測定要素を使用して温度を測定することができるように、二重化のために行い得る。万一、少なくとも2つの温度測定要素のうちの1つが偽の値を与える、または値を与えない場合には、破損した、または損傷したものの代わりに、他の温度測定要素を使用し得る。このことは、患者安全を改善し、新たなスリーブおよび加熱プローブを再挿入しなければならないリスクを低減する。
【0018】
本開示の一部の実施例は、キャピラリーによって覆われた加熱プローブの当該放射領域である。キャピラリーは、加熱プローブの熱安定性を改善し、キャピラリーの表面が高温を受けた際に当該放射領域をそのままの状態にし得る。キャピラリーは、例えば、接着剤および/または収縮チューブを使用して、溶融および/または接着により、ファイバーまたは加熱プローブに接合し、封止し得る。熱プローブがファイバーを含んでいる場合、ガラスキャピラリーであるキャピラリーをファイバーの裸端に溶融する利点は、シリカに対するシリカとの間の高熱安定性接合が、高温に曝された遠位端において得られるということである。それにより、加熱プローブの熱安定性はさらに改善され、当該放射領域はそのままの状態にされる。
【0019】
本開示の一部の実施例では、ハブが、適正な位置(例えば、エネルギー放射領域に対する少なくとも温度要素との間の最適な距離)が求められた場合にスリーブおよび加熱プローブを係止するために使用される。ハブの一部分をスリーブの近位端に配置させ、ハブの第2の部分を加熱プローブにおいて配置させることにより、温度測定要素に最適な位置を求めるために加熱プローブに沿ってスリーブを摺動させる前に上記2つを締結固定することが可能である。適正な位置が求められると、ハブの一部である係止部材、好ましくは止血弁などの弁を、処置を開始する前にスリーブと、ファイバーなどの加熱プローブの位置とを係止するために使用することができる。
【0020】
スリーブ内の温度センサーは、例えば、敏感な解剖学的構造を保護する必要がある場合に、外部の温度測定点と組み合わせることができる。このことは、上記敏感な構造に対する損傷を回避するために、所定のレベルにおいて熱源を遮断する安全装置としての役割を担い得る。
【0021】
本開示のさらなる態様では、腫瘍の少なくとも一部分などの組織の少なくとも一部分に対して温熱療法を施すシステムを開示している。上記システムは、エネルギー源に接続可能なエネルギー放射領域であって、上記エネルギー放射領域により、上記組織の当該部分を加熱するためのエネルギー放射領域を備える加熱プローブを備える。上記システムはスリーブも含む。上記システムは、上記組織の部分内の温度を測定する手段、および上記温度を測定する手段により測定された温度を示すディスプレイ装置も含み得る。加熱プローブはスリーブ内に配置可能であり、スリーブは、温熱療法を制御するように、処置する対象の上記組織の部分内にエネルギー放射領域を位置決めするために遠位および/近位方向において加熱プローブに沿って摺動するように構成される。
【0022】
ディスプレイ装置上に表示された温度は、エネルギー放射領域に対するエネルギーを制御し、それにより、温熱療法を制御するために使用し得る。
【0023】
温度を測定する手段が、スリーブ内に配置された温度測定要素である場合、上記表示された温度は、エネルギー放射領域と、温度測定要素との間の最適距離を求めるために使用し得る。
【0024】
処置の目標が組織を凝固させることである場合、スリーブ内の温度センサーは空間的に非常に明確に定義されており、熱源に対する距離は非常に正確である。よく知られた生体熱アルゴリズムを使用して、経時的な組織損傷をよって、監視し得る。
【0025】
一部の実施例では、処置中に温度を測定する際に、改善された正確さを実現する別のやり方を開示する。これは、処置領域の2Dまたは3Dの温度マップを得るために磁気共鳴イメージング法を使用することを含む。関心領域(ROI)は、当該放射領域から、腫瘍境界などの、所定の距離をおいた点を求めることにより、範囲を定めることができる。この領域は、処置病変の範囲を定めることができ、このROI内の温度は、所定の値に温度を維持するために熱源を制御するために使用し得る。MR画像の2D温度マップ内の他の領域はさらに、閾値温度に達した場合に、熱源を遮断する自動安全機能としての役割を担うように、範囲を定め得る。
【0026】
本開示の一部の実施例では、上記システムは、測定された温度が40~60℃の、例えば40~55℃の、例えば42~50℃の範囲内の目標温度に維持されるように放射エネルギーを制御する制御装置を含む。当該温度は例えば、ディスプレイ上にグラフとして示し得る。
【0027】
処置病変の縁における温度を監視し、監視された温度を当該同定された範囲内で安定した状態に維持することによって加熱および処置を制御することにより、熱源を取り囲む組織の気化および炭化と、それらに関する悪影響とを最小にするなどの、患者にとっての限定的な悪影響および安全に関する改善を伴う処置という良好な処置がもたらされることが示されている。このことは、例えば、熱組織損傷の外延が温度および加熱時間の両方に依存することが利用される集束レーザーアブレーション(FLA)に関する。細胞の生存は、いくつかの重要なタンパク質の熱安定性に関係する。不可逆的なタンパク質変性は、60℃付近で起こり得る。60℃を超えている間、凝固はある程度瞬間的であり、42~60℃では、より長い加熱期間で熱損傷が得られる。60℃未満の超生理学的なハイパーサーミアにかけられる領域は、処置後24~72時間で凝固壊死を発症する。
【0028】
さらに、42~50℃、例えば44~48℃の範囲内に処置病変の縁における温度を維持することは、処置された癌に対する免疫学的な抗腫瘍効果、すなわち、免疫賦活レーザー温熱療法をもたらす見通しを有することを示している。
【0029】
別の態様では、組織部位の少なくとも一部分に対して温熱療法を施す方法を開示する。上記方法は、スリーブ内にエネルギー放射領域を有する加熱プローブを配置する工程と、組織の当該部分内にエネルギー放射領域を位置決めするために遠位および/または近位方向において加熱プローブに沿ってスリーブを摺動させる工程と、温熱療法を制御するために組織の当該部分を加熱するための加熱プローブの当該放射領域からエネルギーを放射する工程とを含む。
【0030】
一部の実施例では、上記方法は、温度測定要素を使用して組織の一部分内の温度を測定する工程を含む。温度測定要素は、サーミスター/熱電対などの温度センサーなどの温度測定要素を組織内に挿入することができ、および/または、磁気共鳴イメージング法(MRI)などの外部装置を、処置領域の2Dまたは3Dの温度マップを得るために使用することができる。
【0031】
一部の実施例では、測定された温度は、加熱プローブから放射されたエネルギーを制御するために使用される。
【0032】
一部の実施例では、温度測定要素は、加熱プローブに沿ってスリーブを摺動させることにより、エネルギー放射領域から所定の距離をおいて位置決めされる。
【0033】
なお、本明細書で使用される用語「comprises/comprising」は、記載された構成、整数、工程、または構成部分の存在を特定するように解されるが、1つまたは複数の他の構成、整数、工程、構成部分、またはそれらの群の存在または追加を除外するものでない。
【0034】
本開示の実施例が可能なこれらの、および他の態様、構成、および利点は、添付図面を参照して、本発明の実施例の以下の説明から明らかであり、明瞭になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】腫瘍などの組織の熱処置を制御する例示的な装置の概略図である。
図2】組織の熱処置のための装置の例示的な構成の概略図である。
図3A】例示的なイントロデューサーシステムおよび熱プローブの概略図である。
図3B】例示的なイントロデューサーシステムおよび熱プローブの概略図である。
図3C】例示的なイントロデューサーシステムおよび熱プローブの概略図である。
図3D】例示的なイントロデューサーシステムおよび熱プローブの概略図である。
図4A】イントロデューサーなどのスリーブ内に一体化される温度センサーの位置決めの概略図である。
図4B】イントロデューサーなどのスリーブ内に一体化される温度センサーの位置決めの概略図である。
図5A】ハブを有するイントロデューサーシステムの概略図である。
図5B】ハブを有するイントロデューサーシステムの概略図である。
図5C】ハブを有するイントロデューサーシステムの概略図である。
図5D】ハブを有するイントロデューサーシステムの概略図である。
図6】病変を得るために腫瘍内に配置されたプローブおよびイントロデューサーの概略図である。
図7A】ディフューザー型ファイバーの遠位端近くに配置されたキャピラリーの概略図である。
図7B】ディフューザー型ファイバーの遠位端近くに配置されたキャピラリーの概略図である。
図8】腫瘍などの組織の熱処置のための方法の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本開示の具体的な実施例を、添付図面を参照して説明する。しかし、本開示は、多くの異なる形態において具体化することができ、ここに記載された実施例に限定されるものと解されるべきでなく、むしろ、これらの実施例は、本開示が詳細であり、および完全であるように提供され、当業者に対して本開示の範囲を完全に伝えるように提供される。添付図面に示された実施例の詳細な説明において使用される用語は、本開示を限定することを意図するものでない。上記図面では、同様な番号は同様な構成要素を表す。
【0037】
以下の説明は、組織の温熱療法を制御する装置、システム、および方法に適用可能な実施例に焦点を当てている。温熱療法は、腫瘍の一部分などの、処置する対象の組織の少なくとも一部分を包含する処置病変のサイズを制御することによって制御される。好ましくは、処置病変は、組織領域の外側の処置を制御するために使用される温度測定要素を位置決めすることにより、腫瘍などの、処置する対象の組織領域全体に大きさが合わせられる。好ましくは、処置を制御するために使用される温度測定要素は、腫瘍の一部分などの、処置する対象の組織の境界の約2~5mm外側、すなわち、処置病変の2~5mm外側に位置決めされる。処置病変のサイズは、それにより、目標温度40~60℃などの目標温度に達するように温度が選択される、組織内の点と、プローブのエネルギー放射部分との間の距離によって判定され得る。特に、本開示は、凝固温度を取得し、経時的な壊死組織の進行を正確に監視し、または、腫瘍の少なくとも一部分の、温熱療法による抗腫瘍免疫応答を取得する装置、システム、および方法に関する。しかし、本発明はこの適用に限定されることはない一方、腫瘍の温熱療法処置の他の分野に適用できることが理解されよう。
【0038】
図1による実施例では、腫瘍などの組織の温熱療法のための例示的なシステム1の概略図を示す。システム1は特に、腫瘍の少なくとも一部分を包含する病変のサイズを制御することにより、温熱療法を制御するために開発されている。一部の実施例では、システム1は、免疫賦活レーザー温熱療法を制御するために使用し得る。
【0039】
システム1は、温度測定要素20から温度データを受け取るように構成された温度読み取り装置51を含む制御装置50を備える。温度測定要素は、サーミスター/熱電対などの温度センサーであり得る。制御装置は、入力信号を出力信号に変換するためのコンピューター、マイクロプロセッサーまたは電子回路であり得る。当該制御は例えば、フィードバックループを使用して行い得る。上記システムの一部の実施例では、温度測定要素20はスリーブ内に配置される。サーミスター/熱電対などの温度測定要素20は、マルチルーメンスリーブなどのスリーブのチャンネル内に配置され得る。温度測定要素がスリーブのチャンネル内に配置された後、スリーブを熱収縮させ得る。あるいは、一部の実施例では、スリーブは、同心円状に配置された2つの収縮チューブを備え得る。温度測定要素20は、2つのチューブの間に配置し得る。上記チューブはその後、熱収縮させ得る。あるいは、一部の実施例では、温度測定要素20は、スリーブ内に編み組まれるか、または編み継がれ得る。
【0040】
あるいは、および/またはさらに、スリーブ内に温度センサーを配置させるために、磁気共鳴イメージング法を、処置領域の2Dまたは3Dの温度マップを得るために使用し得る。関心領域(ROI)は、当該放射領域から、腫瘍境界などの、所定の距離をおいた点を求めることにより、範囲を定めることができる。この領域は、処置病変の範囲を定めることができ、このROI内の温度は、所定の値に温度を維持するために熱源を制御するために使用し得る。MR画像の2D温度マップ内の他の領域はさらに、閾値温度に達した場合に、熱源を遮断する自動安全機能としての役割を担うように、範囲を定め得る。
【0041】
スリーブ内に配置された温度測定要素の代わりに、磁気共鳴イメージングシステムなどの外部温度測定センサーを使用する場合、スリーブプローブの配置は、組織内への加熱領域の位置決めを改善し、より容易にするために使用される。
【0042】
エネルギー放射領域を有する加熱プローブ10はスリーブ内に配置可能である。加熱プローブ10は、遠位端において発光領域を有するファイバーを備えることができ、遠位端は、腫瘍内に、組織内配置されるように構成される。ファイバーに対する代替策は、エネルギー放射領域により、組織を加熱するために、無線周波数(RF)またはマイクロ波(MW)を使用することであり得る。一部の実施例では、加熱プローブ10は、発光領域などのエネルギー放射領域にわたってキャピラリーを配置させている。ファイバーのキャップを有する端は遠位端であり、遠位端は、腫瘍などの組織において、組織内配置されるように構成される。特にファイバーが熱プローブとして使用される場合、キャピラリーは、熱プローブの熱および機械的安定性を向上させ得る。さらなる実施例では、ライトプローブは、遠位端において発光領域を有するファイバーでしかなく、遠位端は、腫瘍内に、組織内配置されるように構成される。
【0043】
使用中、スリーブは、病変のサイズを制御することにより、温熱療法を制御するように加熱プローブ10のエネルギー放射領域に対して適正な距離をおいて温度測定要素20を位置決めすることを可能にするために、遠位および/または近位方向において加熱プローブ10に沿って移動可能に摺動させ得る。スリーブは加熱プローブ10近くに配置されたスリーブであり得る。加熱プローブ10およびスリーブは、温熱療法を施す際にイントロデューサー内に位置決めし得る。あるいは、スリーブを導入し得、加熱プローブ10は、温熱療法を施す際にイントロデューサー内に配置される。
【0044】
さらに、当該システムの一部の実施例では、スリーブは、スリーブ内に複数の温度測定要素20、30、40を配置させ得る。複数の温度測定要素20、30、40は、スリーブに沿って間隔をおいて配置し得る。複数の温度測定要素20、30、40を使用する場合、温度測定要素の数は、1よりも大きないずれの数(例えば2~20、例えば2~15、例えば2~10、例えば2~5)であってよい。
【0045】
さらに、一部の実施例では、少なくとも温度測定要素20、30、40は、間隔をおいてではなく、同じ位置に配置し得る。これは、発光領域などの当該放射領域から同じ距離をおいて配置された少なくとも2つの温度測定要素20、30、40を使用して温度を測定することができるように、二重化のために行い得る。万一、温度測定要素20、30、40のうちの1つが偽の値を与える、または値を与えない場合には、破損した、または損傷したものの代わりに、他の温度測定要素20、30、40を使用し得る。
【0046】
あるいは、一部の実施例では、温度測定要素20、30、40は、スリーブの代わりに加熱プローブ10内に配置し得る。一部の実施例では、温度測定要素20、30、40は、スリーブおよび加熱プローブ10いずれの中にも配置し得る。さらに、一部の実施例では、システム1は、さらなる外部の温度測定点を含み得る。これらの外部の温度測定点は例えば、高温から保護する必要がある敏感な解剖学的構造の隣に位置決めし得る。これらの外部の温度測定点はしたがって、上記敏感な構造に対する損傷を回避するために、所定のレベルにおいて熱源を遮断する安全装置としての役割を担い得る。
【0047】
制御装置50は、熱プローブ10によって放射されたエネルギーを制御するための、エネルギー源などのパワー制御装置52をさらに備える。組織の加熱をもたらすエネルギーは例えば、RF技術またはレーザー技術を使用して放射し得る。レーザー技術は、処置する対象の組織の制御および加熱を改善し、それにより、処置病変を最適化することの正確さを改善することが示されているので好まれ得る。図2は、腫瘍などの組織の温熱療法のためのシステムの概略図である。上記システムは制御装置100を備える、制御装置100は例えば、加熱プローブ170に接続される対象のパワー制御装置に接続されたコンピューターであり得る。加熱プローブは、RFプローブ、MWプローブ、または、好ましくは、レーザー装置に接続可能な光ファイバーであり得る。当該制御装置は、温度測定要素190a、190bに接続される対象の温度読み取り装置も含み得る。制御装置100は、医療従事者に向けて情報を表示するディスプレイ装置110をさらに含み得る。上記情報は例えば、測定された現在の温度、処置の経過時間、測定された温度の経時的な変化を示すグラフ、病変のサイズ、および加熱プローブ170に対するパワーであり得る。当該制御装置はさらに、キーボード、コンピューターマウス、タッチパッド、またはタッチスクリーンなどの入力装置120を含む。制御装置100はさらに、加熱プローブ170を制御装置100に接続するための第1のポート150を有し得る。制御装置100は、少なくとも1つの温度測定要素190a、190bを制御装置100に接続するための第2のポート140を有し得る。
【0048】
図2に示すシステムでは、加熱プローブ170は、ポート150を介して制御装置100に接続される。加熱プローブは、RFプローブ、MWプローブ、または、好ましくは、光ファイバーであり得る。加熱プローブ170は、制御装置100の、レーザードライバーなどのパワー制御装置(図示せず)によって制御される、レーザー源、RF源、またはMW源などのエネルギー源(図示せず)に接続可能である。加熱プローブ170は、先端180における放射領域を有する。上記放射領域は発光領域であり得る。上記放射領域は、イントロデューサーなどのスリーブ160を使用して処置される対象の腫瘍などの組織において、組織内配置されるように構成される。組織を加熱するためにエネルギーを加えると、処置する対象の組織の少なくとも一部分を包含する処置病変130が得られる。
【0049】
加熱プローブ170の図示された実施例は光ファイバーであり、当該放射領域は発光領域である。発光領域は、終端がむき出しになったファイバー、またはディフューザーであり得る。一部の実施例では、ディフューザーはラジアルファイバーである。一部の他の実施例では、ディフューザーは、光ファイバーのコアおよび/またはクラッディングおよび/または緩衝材内の構造化された描画である。
【0050】
さらに、一部の実施例では、当該放射領域は、処置中の熱および機械的安定性を改善させるためにキャピラリーによって覆い得る。
【0051】
当該概略図では、加熱プローブ170は、イントロデューサー160内で摺動し得るので、移動可能に配置される。イントロデューサー160内には、図1について表す実施例に応じて配置された少なくとも1つの温度測定要素190a、190bが存在している。当該概略図では、2つの温度測定要素190a、190bが、スリーブに沿って、間隔をおいて配置される。さらに、および/または、あるいは、イントロデューサー160の一部の実施例では、少なくとも2つの温度測定要素は、上記少なくとも2つの温度測定要素がスリーブの同じ横平面において配置されるように少なくとも位置190aに配置される。これは、発光領域などの当該放射領域から同じ距離をおいて配置された少なくとも2つの温度測定要素を使用して温度を測定することができるように、二重化のために行い得る。万一、スリーブの同じ横平面に配置された当該温度測定要素のうちの1つが偽の値を与える、または値を与えない場合には、破損した、または損傷したものの代わりに、他の温度測定要素を使用し得る。
【0052】
イントロデューサー160および加熱プローブ170が腫瘍内に配置された後、処置する病変のサイズは、少なくとも1つの温度測定要素190a、190bと当該放射領域との間の距離を増加させ、または減少させるようにイントロデューサーを摺動させることによって求めることができる。少なくとも1つの温度測定要素190a、190bは、制御装置100に接続されたレーザー装置に対するパワーを調節するなど、加熱プローブに対するパワーを増加させ、または減少させることにより、組織の加熱を制御するために使用される温度を測定するために使用される。
【0053】
さらに、および/または、あるいは、少なくとも2つの測定点190a、190bが使用される一部の実施例では、イントロデューサー160を摺動させることによる調節後に第1の測定点190aにより、高すぎる温度が測定された場合、当該放射領域に対する、より長い距離を有する第2の測定点190bを、処置を制御するために使用し得る。
【0054】
さらに、および/または、あるいは、少なくとも2つの測定点190a、190bが使用される一部の実施例では、第1の測定点190aにより、高すぎる温度が測定され、および、イントロデューサー160を摺動させることによる調節後に第2の測定点190bにより、低すぎる温度が測定された場合、第1および第2の測定点190a、190b間に配置された仮想点を、処置を制御するために使用し得る。上記仮想点の温度は、第1の測定点190aにおいて、および第2の測定点190bにおいて、測定された温度を使用して算出し得る。
【0055】
イントロデューサー160は、一部の実施例では、超音波、MRI、X線、または他のイメージング機器を使用して可視にすることにより、適正な位置にイントロデューサー160を位置決めし易くするために、その長さに沿って配置されたマーカー195を有し得る。
【0056】
図1に関して前述したように、図2に示す当該システムは、処置病変の範囲を定めるために使用し得る、処置領域の2Dまたは3Dの温度マップを得るために使用し得る磁気共鳴イメージングシステムと組み合わせ得る。当該システムを磁気共鳴イメージングシステムと組み合わせた場合、処置病変130の境界における温度は、磁気共鳴イメージングシステムによって測定し得るので、スリーブは温度測定要素を含まない場合がある。
【0057】
図3A~Dは、腫瘍内に加熱プローブ220、およびイントロデューサーなどのスリーブ200をどのようにして位置決めするかの概略的な実施例を示す。
【0058】
図3Aに示すのは、腫瘍内など、組織内にイントロデューサーを位置決めするために使用されるイントロデューサースタイレット210およびイントロデューサー200である。図3Bでは、イントロデューサースタイレット210がイントロデューサー200から取り外される。図3Cでは、加熱プローブ220はイントロデューサー200内に配置される。この実施例では、加熱プローブ200の先端230がイントロデューサー200の端に達するまで、加熱プローブ220が押される。加熱プローブ220は、超音波、MRI、X線、または他のイメージング機器を使用して可視にすることにより、適正な位置において加熱プローブ220を位置決めし易くするために、その長さに沿って配置されたマーカー240を有し得る。加熱プローブ220の先端230がイントロデューサー200の端250に達した後、図3Dに示すように、上記イントロデューサーは、加熱プローブ220に沿って移動可能に摺動し得る。加熱プローブ220に沿ってイントロデューサー200を上下に摺動させることにより、第1の温度測定点260aと放射領域270との間の距離Xが得られる。時には、第1の温度測定点260aは使用されないことがあり得、その代わりに、異なる温度測定点、例えば、温度測定点260b~dのいずれかと、放射領域270との間の距離Xを求めることができる。
【0059】
加熱プローブ220に沿ってイントロデューサー200を上方に、および/または下方に摺動させながら温度を監視することにより、最適な病変サイズを求めることができる。上記イントロデューサーは、超音波、X線、またはMRIなどのイメージングモーダリティ装置を使用してその位置を監視するために少なくとも1つのマーカー280を有し得る。上記イントロデューサーは、イントロデューサー200の長さに沿って、距離Yの間隔をおいたさらなる温度測定要素260b~dを有し得る。
【0060】
放射領域270と、温度測定要素260aまたは260b~dとの間の適正な距離Xが求められると、上記イントロデューサーは、止血弁などの弁など、係止部材を含むハブ290により、その位置において係止される。前述したように、少なくとも2つの測定点260aまたは260b~dが使用される一部の実施例では、イントロデューサー200を摺動させることにより、第1の測定点260aによって、高すぎる温度が測定された場合、放射領域270に対するより長い距離を有する第2の260b~dを、処置病変のサイズおよび処置を制御するために使用し得る。
【0061】
一部の実施例では、イントロデューサー200内に加熱プローブ220を位置決めする前に所定の距離Xが設定される。加熱プローブ220の放射領域270がイントロデューサー200の遠位端に達すると、イントロデューサー200および加熱プローブ220がハブ290においてともに係止されるまで、イントロデューサー200が引き寄せられる。一部の他の実施例では、上記係止は、イントロデューサー200が適正な位置まで引き寄せられたことを医療従事者に示すための警告のフィードバックを含む。距離のさらなる調節が必要な場合、ハブ290の弁などの係止部材を開けることができ、適正な位置が求められるまで、イントロデューサー200を遠位および/または近位方向においてさらに摺動させることができる。その後、弁などの係止部材を閉めることができ、処置が開始される前にイントロデューサー200および加熱プローブ220をともに係止することができる。
【0062】
少なくとも2つの測定点260a、260b~dがスリーブ内に配置される一部の実施例では、第1の測定点260aが高すぎる温度を測定し、イントロデューサー200を摺動させることによる調節後、第2の測定点260b~dが低すぎる温度を測定した場合、第1および第2の測定点260a、260b~d間に配置された仮想点を、処置を制御するために使用し得る。第1の測定点260aおよび第2の測定点260b~dにおける測定された温度を使用して仮想点の温度を算出することができる。
【0063】
図4Aおよび図4Bは、挿入された加熱プローブ320に沿って上方に、および/または下方に、イントロデューサー300などのスリーブを摺動させることにより、処置病変をどのようにして最適化するかの実施例を概略的に示す。
【0064】
当該目的は、病変サイズを最適化し、目標温度とも呼ばれる処置温度310に達することである。処置温度310は、処置病変の縁において40~55℃の範囲内、例えば44~48℃、例えば46℃にあり得る。処置病変の縁における温度を監視し、監視された温度を当該同定された範囲内で安定した状態に維持することによって腫瘍の加熱を制御することにより、熱源を取り囲む組織の気化および炭化と、それらに関する悪影響とを最小にするなどの、患者にとっての限定的な悪影響および安全に関する改善を伴う処置の良好な結果がもたらされることが示されている。さらに、これらの範囲内に処置病変の縁における温度を維持することが、処置された癌に対する免疫学的な抗腫瘍効果、すなわち、免疫賦活レーザー温熱療法をもたらす見通しを示している。
【0065】
図4Aでは、イントロデューサー300などのスリーブ内に配置された温度測定要素360と、加熱プローブ320の放射領域370との間の当初距離はXmmである。スリーブ300は、スリーブ300の遠位端の位置を可視化するためのマーカー380も有し得る。ディスプレイ上の温度曲線330を注視することにより、温度測定要素360によって監視された温度の増加が速すぎると判定された場合、放射領域370と温度測定要素360との間の距離が距離X+Ymmに増加するようにスリーブ300を摺動させ得る。処置病変はこの例では、当初計画されたよりも大きくし、したがって、最適化された処置をもたらし、安定した状態に目標温度310を維持し得る。
【0066】
図4Bでは、イントロデューサー300などのスリーブ内に配置された温度測定要素360と、加熱プローブ320の放射領域370との間の当初距離はXmmである。スリーブ300は、スリーブ300の遠位端の位置を可視化するためのマーカー380も有し得る。ディスプレイ上の温度曲線330を注視することにより、温度測定要素360によって監視された温度増加が遅すぎると判定され、または、目標温度310に達することができない場合、放射領域370と温度測定要素360との間の距離が距離X-Ymmに減少するようにスリーブ300を摺動させ得る。よって、処置病変をより小さくして、処置を最適化し、安定した状態に目標温度310を維持し得る。
【0067】
図4Aおよび図4Bでは、図示は、最遠位の温度測定要素に対して最適化が行われることを示している。前述したように、時には、別の温度測定要素を使用すること、または、2つの温度測定要素間に配置された仮想点を使用することがより実用的であり得る。
【0068】
処置病変を最適化するために温度測定要素を使用し、最遠位の温度測定要素に比して処置を制御する別の理由は、より遠位のものを処置病変内に位置決めすることができるという点である。腫瘍内などの、処置病変内に位置決めされた1つまたは複数の温度測定要素は、他のパラメータを測定し、制御するために使用し得る。例えば、処置病変内に位置決めされた温度測定要素は、出血および/または炭化および/または凝固を検出するために使用し得る。
【0069】
図5A図5Dは、ハブを有するスリーブシステムを示しており、上記スリーブシステムは、カテーテルイントロデューサーシステムであってもよい。図5A図5Dに示す、ハブを有するスリーブシステムは、図1図4に関して説明し、図示した配置のいずれかとともに使用し得る。
【0070】
図5Aは、コネクター410であって、その近位端に、コネクターをハブに締結する手段410、およびコネクターをハブから解放する手段420を備えるコネクター410を有するイントロデューサースタイレット400を示す。図5Bは、カテーテルイントロデューサーなどのスリーブ430を示す。図示したスリーブ430は、超音波、X線、またはMRIなどのイメージングモーダリティ装置を使用して組織内のスリーブの位置決めを可視化するためのマーキング435a、435bを有し得るが、他のモーダリティも使用し得る。スリーブ430内には、サーミスター/熱電対などの温度測定要素(図示せず)を配置し得る。温度測定要素は、スリーブのチャンネル内に配置し得る。温度測定要素をスリーブのチャンネル内に配置した後、スリーブ430を熱収縮させ得る。他の実施例では、スリーブ430は、同心円状に配置された2つの収縮チューブを備え得る。温度測定要素は、2つのチューブの間に配置し得る。上記チューブはその後、熱収縮させ得る。あるいは、一部の実施例では、温度測定要素は、スリーブ内に編み組まれるか、または編み継がれ得る。
【0071】
上記スリーブは、その近位端に取り付けられたハブ440を有する。ハブ440は、図5Aに示すようなスタイレット、または加熱プローブをスリーブ430に導入することを可能にするための開口450を有する。ハブは、ハブ440に接続し、それにより、コネクターをハブ440に係止するための、スタイレット400の近位端におけるコネクター410の締結手段415などの締結手段の突出要素445も備え得る。スタイレット400の近位端におけるコネクター410における解放手段420などの、コネクターの解放手段を押すことにより、コネクターをハブ440から取り外すことが可能である。
【0072】
図5Cは、2つの部品、すなわち、止血弁などの弁など、係止部材480、およびコネクター460を有する第2の第2のハブ500を示す。コネクター460は、スタイレットのコネクター410と同様であり、スリーブの遠位端におけるハブ440に第2のハブ500を接続するための締結および解放手段465を備える。係止部材480は、加熱プローブ(図示せず)を挿入するために、近位端における開口485を備える。図5Cでは、第2のハブ500は、コネクター460の開口470内に挿入する対象の突出部材490を遠位端が有する2つの部品を備えているように示している。これらの2つの部品は、1つのユニットとして組立てて、および、配送し得る。あるいは、ハブ500は、合体させられる2つの部品である代わりに単一のユニットとして成形し得る。
【0073】
図5Dは、コネクター460および係止部材480を合体させた後の第2のハブ500の断面を示す。図5Aは、突出要素445に接続することにより、スリーブのハブ440に第2のハブ500を締結する手段466を含む。図5Dはさらに、締結および解放手段465が、解放手段467を押すことにより、スリーブのハブ440から第2のハブ500を解放する手段467を含むことを示している。第2のハブ500およびスタイレット400に使用されるこの種の締結および解放手段は、スタイレット400または第2のハブ500を締結し、解放する単純な、および安全なやり方を可能にする。
【0074】
図5Dでは、弁などの係止部材480、および、第2のハブ500をルーメン486が通過することを示している。加熱プローブは、処置中にこのルーメン485内に配置し得る。弁を閉める、または止血弁を閉めるなど、係止部材480を係止することにより、加熱プローブは、ルーメン486内のその位置に係止される。加熱プローブがルーメン486内に配置された後、加熱プローブを処置する対象の、腫瘍などの組織内に、スリーブが組織内挿入された後に加熱プローブをスリーブ480内に配置し得る。係止部材を開けることができ、加熱プローブに沿ってスリーブ430を上方に、および/または下方に摺動させることができるハブ440に、コネクター460を締結する。加熱プローブの放射領域とスリーブ430の温度測定要素との間の距離の適正な位置が求められると、係止部材480は、加熱プローブおよびスリーブ430を当該位置に係止するように閉じることができ、その後、熱処置を開始し得る。
【0075】
コネクターおよびハブは、適切な材料、例えば、アクリルなどのプラスチック、または金属でできている場合がある。
【0076】
一部の実施例では、加熱プローブ上の所定の位置において第2のハブ500を位置決めすることにより、スリーブ430内に加熱プローブを配置する前に、所定の距離を設定する。スリーブ430内に加熱プローブを配置し、加熱プローブの放射領域がスリーブ430の遠位端に達すると、スリーブ430のハブ440および加熱プローブの第2のハブ500がともに係止されるまでスリーブ430を引き寄せることができる。一部のさらなる実施例では、上記係止は、スリーブ430が適正な位置に引き寄せられている旨、および、ハブ440および第2のハブ500がともに係止されている旨を、医療従事者に対して示すための警告のフィードバックを含む。放射領域と温度測定要素との間の距離のさらなる調節が必要な場合、第2のハブ500の係止部材480を開けることができ、最適な位置が求められるまで、スリーブ430を、遠位および/または近位方向において移動可能に摺動させることができる。その後、係止部材480を閉めることができ、処置が開始される前にスリーブ430および加熱プローブをともに係止することができる。
【0077】
図6は、組織内に挿入されるように配置されたスリーブ510および加熱プローブ515を示す。加熱プローブは放射領域514を備え、スリーブは、スリーブ510内に配置された少なくとも1つの温度測定要素530a~cを備える。矢印586は、加熱プローブ515の放射領域514と少なくとも1つの温度測定要素530a~cとの間の距離を取得し、それにより、処置病変513の最適化されたサイズを取得するように加熱プローブに沿って摺動させ得ることを示している。処置病変のサイズは、おおよそ、組織を加熱するための、レーザー装置などのエネルギー源によって送達されるエネルギーを制御するための温度を監視するために使用されるスリーブ510の少なくとも1つの温度測定要素530a~cと、加熱プローブの放射領域514の中心との距離である半径を有する。前述したように、目標温度とも呼ばれる、温度を監視するための当該点における処置温度は40~60℃の範囲内に、例えば42~55に、例えば44~48℃に、例えば46℃にあり得る。この温度は処置病変の縁において監視される。処置病変の縁において温度を監視し、同定された範囲内で安定した状態に監視温度を維持することにより、腫瘍の加熱を制御することは、熱源を取り囲む組織の気化および炭化、およびそれらに関する悪影響を最小にするなどの、患者にとっての限定的な悪影響および安全に関する改善を伴う、処置の良好な結果をもたらすことを示している。このことは、例えば、熱組織損傷の外延が温度および加熱時間の両方に依存することが利用される集束レーザーアブレーション(FLA)に関する。FLAの場合、42以上60℃以下の温度が通常、使用され、通常のレーザーアブレーションと比較して、より長い加熱期間で熱損傷が得られる。
【0078】
さらに、これらの範囲内に処置病変の縁における温度を維持することが、処置された癌に対する免疫学的な抗腫瘍効果(すなわち、免疫賦活レーザー温熱療法)をもたらす見通しを示している。当該処置は好ましくは、放射領域に対して適正な距離をおいて温度測定要素が位置決めされた後に、約30分間施し得る。時には、より長い、またはより短い時間を使用し得る。
【0079】
スリーブおよび加熱プローブが取り外される一方、放射領域は、周囲の組織に対してエネルギーを送達し続け、それにより、チャンネルを加熱することができ、これは、追跡播種のリスクを最小にし得る。
【0080】
図7Aおよび図7Bは、(この例では、光ファイバーの)放射領域を保護するために使用される対象のキャピラリーを示す。光ファイバーの放射領域は、終端がむき出しになったファイバー、またはディフューザーであり得る。ディフューザーは、いずれのタイプのディフューザーでもあり得るが、好ましくは、光ファイバーのコアおよび/またはクラッディングおよび/または緩衝材内の構造化された描画、またはラジアルファイバーであり得る。
【0081】
光ファイバーは、例えば、シリカまたはプラスチックでできている場合があり、または、いずれの他の適切なタイプの光ファイバーでもあり得る。光ファイバーはポリマー被覆ファイバーでもあり得る。
【0082】
図7Aは、ディフューザーを含み得る、終端がむき出しになったファイバー610を覆うガラスキャピラリー600を示す。終端がむき出しになったファイバー610はファイバーコアを備え、一部の実施例では、クラッディングも含み得る。ファイバー610の遠位端の先端は、一部の実施例では、図7Aに示すように平坦であり、または、円錐形であり得る。ガラスキャピラリー600は、溶融により、接着剤を使用することにより、および/または収縮チューブにより、ファイバーの緩衝材および/またはジャケット620に接合し得る(630)。終端がむき出しになったファイバー610の周りの空間640は空気で充填し得る。キャピラリーのこの設計は、ファイバーの機械的安定性、および高温に対するその耐性を増大させる。
【0083】
図7Bは、図7A中のものと同様なキャップを示す。上記キャップは、ディフューザーを含み得る、終端がむき出しになったファイバー610を覆うガラスキャピラリー600から作られている。終端がむき出しになったファイバー610は、ファイバーコアを備え、さらに、一部の実施例では、クラッディングも含み得る。ファイバー610の遠位端の先端は、一部の実施例では、図7Bに示すように、平坦であり、または円錐形であり得る。
【0084】
ガラスキャピラリー600およびファイバー610は、点650においてともに溶融され、これは、シリカとシリカとの間の、熱安定性が非常に高い結合が、高温に曝される遠位端において得られることを意味する。キャピラリーはさらに、キャップを接着し、封止するための接着剤660を含み得る。加熱プローブ自体は、(例えば、PBTでできた)外層、および(例えば、樹脂の)所定の層に比して、(例えば、アクリルでできた)ファイバーのジャケットを備え得る。さらに、一部の実施例では、ガラスキャピラリー600は、溶融により、または、接着剤を使用することにより、および/または収縮チューブにより、ファイバーの緩衝材および/またはジャケット620に接合し得る(630)。
【0085】
放射領域がある、終端がむき出しになったファイバーの遠位端では、ファイバーとガラスキャピラリー600との間の空間640は空気で充填し得る。
【0086】
キャピラリーのこの設計は、ファイバーの機械的安定性、および高温に対するその耐性を増大させる。構造化された描画は、光ファイバーの放射領域の長さに沿って、少なくとも2サイクルが繰り返されるなど、定期的に繰り返されるサイクルでの配列された描画のプロセスを含み得る。上記構造化された描画は、光ファイバーのコアおよび/またはクラッディングおよび/または緩衝材内に微細修飾が焼き付けられる製造プロセスを使用して行い得る。上記微細修飾は、1つまたは複数の断面であって、上記断面が光ファイバーの光導波管軸に略垂直に位置する断面上に配置され得る。上記微細修飾の対称の配置、上記断面上の上記微細修飾の密度、上記微細修飾のサイズ、光導波管軸からの上記微細修飾の距離、上記微細修飾間の距離、および上記微細修飾または他のパラメータのアラインメント(それを利用して、その外部形態またはサイズまたは上記微細修飾の位置および分布が説明される)を含むパラメータ群からの1つまたは複数のパラメータによる、上記断面上の微細修飾の配置。これらのパラメータはすべて、ファイバーを通して伝送された光と、およびファイバーの中から外への、伝送された光の結合とに影響を及ぼし、それにより、光ファイバーによる光の拡散放射をもたらす。各サイクルは、1つまたは複数の平面を含み得る。サイクルが2つ以上の平面を含む場合、サイクルの形状が中空であるか、または微細修飾で充填され得る、(例えば、円錐または円柱の)形状を各サイクルが有しているなど、パラメータを変えることにより、サイクルの種々の形状を得ることができる。微細修飾は、断面の種々の形状、例えば、円形または楕円形を有し得る。楕円形としての形をとる微細修飾はすべて、同じ向きを有し得るか、または、向きは微細修飾間で異なり得る。
【0087】
ディフューザーは、例えば、ファイバーのコアにおける、および、別個である(重なり合っていない、)病変の2つの円柱が生成される2つの描画サイクルを含み得る。ディフューザーは、ディフューザーの領域内で緩衝材が取り除かれて生成され得る。
【0088】
別の実施例は、コアの円周に沿って、およびディフューザーの長さに沿って定期的なやり方で繰り返す配列された描画を有するディフューザーであり得る。ディフューザーは、ディフューザーの領域内で緩衝材が取り除かれて生成され得る。
【0089】
構造化されたディフューザーは、ファイバー軸に沿って、マイクロドットなどの散乱要素を生成することによって得ることもできる。散乱要素は、光ファイバーのコアの境界近くに配置し得、光の動径結合解除のためにコア内に投影し得る。散乱要素は、レーザー製造方法により、コア表面に沿った窪みとして、または、コアの、修正された屈折率によって作り得る。上記窪みは、一部の実施例では、球状であり得る。
【0090】
ディフューザーは、さらに、窪みとコアとの間の対応する屈折率を有する境界が形成されるように、空気などの材料で窪みを充填させ得る。上記材料は、一部の実施例では、散乱材料であって、光を散乱させるために、その中に埋め込まれた散乱粒子基質を有する散乱材料を含む。散乱材料は、散乱材料で被覆されるなど、光ファイバー上に少なくとも領域毎に塗布し得る。散乱材料は、散乱要素内にも塗布し得る。
【0091】
散乱要素は、動径方向における光の均一な放射のためにらせん状などに、光ファイバーのディフューザーセグメントの長手方向において、および周方向において分布させ得る。散乱要素は、可変密度を有し得、例えば、当該密度はディフューザーの遠位端に近いほど、増加し得る。このことは、遠位端に向けて離間距離を減少させることによって得ることができる。
【0092】
図8は、腫瘍などの組織部位の少なくとも一部分に対して温熱療法を施す方法2000を示す。上記方法は、腫瘍などの、処置する対象の組織内にスリーブを位置決めする工程2001を含み、スリーブは少なくとも1つの温度測定要素を含み得る。エネルギー放射領域を有する加熱プローブをスリーブ内に配置する工程2002。加熱プローブは、RFプローブまたはMWプローブであり得る。一部の実施例では、加熱プローブは、発光領域を有する光ファイバーを含む。加熱プローブは、エネルギー放射領域を介して組織を加熱するためのエネルギー源に接続可能である、エネルギー源はレーザー装置であり得る。処置する対象の組織内にエネルギー放射領域を位置決めするために遠位および/または近位方向において加熱プローブに沿ってスリーブを摺動させる工程2003。温度測定要素がスリーブ内に配置される当該実施例では、遠位および/または近位方向において加熱プローブに沿ってスリーブを摺動させる工程2003は、エネルギー放射領域と、スリーブの少なくとも1つの温度測定要素との間の最適な距離を求めるために行い得る。このことは、エネルギー放射領域と、温度測定要素との間の距離に対する半径を有する、処置病変のサイズを求めるために行い得る。一部の実施例では、当該温度は、処置領域の2Dまたは3Dの温度マップを得るために磁気共鳴イメージング法を使用して測定し得る。処置領域は、処置病変のサイズを最適にするために使用し得る。
【0093】
当該放射領域から最適な距離をおいて温度を監視し、エネルギー源のパワーを調節することにより、温熱療法を制御する工程2004。
【0094】
最適な距離は、加熱プローブに沿ってスリーブを摺動させながら、ディスプレイにおいて温度を確認することによって求め得る。最適な距離が求められた後、スリーブおよび加熱プローブをともに係止して、止血弁などの弁など、係止部材を有するハブを使用することにより、距離を確定し得る。
【0095】
以上、本発明は特定の実施形態を参照して説明している。しかし、上述した以外の他の実施形態も、本発明の範囲内で同様に可能である。ハードウェアまたはソフトウェアにより、方法を行う、上述したもの以外の種々の方法工程を本発明の範囲内で提供することができる。本発明の種々の構成および工程を、説明したもの以外の他の組み合わせで組み合わせることができる。本発明の範囲は、添付した特許請求の範囲によってのみ限定される。
【0096】
別途明記しない限り、明細書および特許請求の範囲で使用される不定冠詞「a」および「an」は、「少なくとも1つ」を意味するものと理解されるべきである。明細書および特許請求の範囲で使用される「および/または」は、そのように等位接続された要素、すなわち、一部の場合には接続的に存在し、他の場合には離接的に存在する要素の「いずれか、または両方」を意味するものと理解されるべきである。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図5D
図6
図7A
図7B
図8
【外国語明細書】