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特開2022-188275量子チャンネルクラシック容量の推定方法及び装置、電子機器と媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022188275
(43)【公開日】2022-12-20
(54)【発明の名称】量子チャンネルクラシック容量の推定方法及び装置、電子機器と媒体
(51)【国際特許分類】
   H04B 10/70 20130101AFI20221213BHJP
   H04B 10/07 20130101ALI20221213BHJP
【FI】
H04B10/70
H04B10/07
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【外国語出願】
【公開請求】
(21)【出願番号】P 2022165572
(22)【出願日】2022-10-14
(31)【優先権主張番号】202210021934.8
(32)【優先日】2022-01-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】514322098
【氏名又は名称】ベイジン バイドゥ ネットコム サイエンス テクノロジー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Beijing Baidu Netcom Science Technology Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】2/F Baidu Campus, No.10, Shangdi 10th Street, Haidian District, Beijing 100085, China
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】シン ワーン
(72)【発明者】
【氏名】シュエンチアーン ジャオ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】量子チャンネルクラシック容量の推定方法、装置、電子機器、コンピュータ可読記憶媒体及びコンピュータプログラム製品を提供する。
【解決手段】方法は、m個の第1パラメータ化量子回路とm次元量子システムの第2パラメータ化量子回路を確定し、第1パラメータ化量子回路が初期量子状態に作用した後に得られたm個の第1量子状態及び量子チャンネルがm個の第1量子状態に作用した後に得られたm個の第2量子状態を取得し、第2パラメータ化量子回路が初期量子状態に作用して得られた量子状態行列を取得し、該行列対角要素は確率値として第1量子状態に対応してアンサンブルを構成し、損失関数を最小化することにより、パラメータ化量子回路のパラメータを最適化し、損失関数を量子チャンネルの現在アンサンブルにある時のホレボ情報に基づいて確定し、最適化後に得られた量子チャンネルのホレボ情報を確定し、そのクラシック容量の推定値とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
量子チャンネルクラシック容量の推定方法であって、
m個のn量子ビットの第1パラメータ化量子回路、及びm次元量子システムに作用する第2パラメータ化量子回路を確定し、ここでは、nは前記量子チャンネルの量子ビット数であり、mは予め設定されたアンサンブルにおける量子状態の個数であり、m、nは正の整数であることと、
前記m個の第1パラメータ化量子回路がそれぞれ初期量子状態に作用した後に得られたm個の第1量子状態を取得することと、
前記量子チャンネルがそれぞれ前記m個の第1量子状態に作用した後に得られたm個の第2量子状態を取得することと、
前記第2パラメータ化量子回路が初期量子状態に作用した後に得られた量子状態行列を取得し、ここでは、前記量子状態行列のm個の対角要素を確率値として前記m個の第1量子状態と一対一に対応してアンサンブルを構成することと、
損失関数を最小化することによって前記m個の第1パラメータ化量子回路及び前記第2パラメータ化量子回路のパラメータを最適化し、ここでは、前記損失関数は前記量子チャンネルの現在アンサンブルにある時のホレボ情報に基づいて確定され、前記ホレボ情報は前記m個の第2量子状態及び対応する確率値に基づいて確定されることと、
前記損失関数を最小化した後に得られた前記量子チャンネルのホレボ情報を確定し、前記量子チャンネルクラシック容量の推定値とすることとを含む量子チャンネルクラシック容量の推定方法。
【請求項2】
以下の式に基づいて前記損失関数を確定する:
ここでは、ρは第j個の第1量子状態であり、j=1,2,...,m、N(ρ)は量子チャンネルが量子状態ρに作用した後に得られた量子状態であり、pは量子状態行列の第j個の対角要素であり、S()はフォンノイマンエントロピーを表す、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記初期量子状態は量子状態
である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
勾配降下法によって前記m個の第1パラメータ化量子回路及び前記第2パラメータ化量子回路のパラメータを調整することによって、前記損失関数を最小化する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
量子チャンネルに基づく情報伝送方法であって、
前記量子チャンネルのホレボ情報に対応するアンサンブルを取得することと、
伝送すべきクラシック情報を取得して、前記クラシック情報を前記アンサンブルにおける対応する量子状態に符号化することと、
前記符号化で得られた量子状態を前記量子チャンネルによって伝送して、伝送後の量子状態を取得することと、
前記伝送後の量子状態を復号して、伝送後のクラシック情報を取得することとを含み、ここでは、
前記ホレボ情報に対応するアンサンブルは請求項1~4のいずれか一項に記載の方法によって最適化して得られる、量子チャンネルに基づく情報伝送方法。
【請求項6】
半正定値計画によって前記伝送後の量子状態を弁別する方式を確定し、確定された方式によって前記伝送後の量子状態を復号する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
量子チャンネルクラシック容量の推定装置であって、
第1確定ユニットであって、m個のn量子ビットの第1パラメータ化量子回路、及びm次元量子システムに作用する第2パラメータ化量子回路を確定するように構成され、ここでは、nは前記量子チャンネルの量子ビット数であり、mは予め設定されたアンサンブルにおける量子状態の個数であり、m、nは正の整数であるものと、
前記m個の第1パラメータ化量子回路がそれぞれ初期量子状態に作用した後に得られたm個の第1量子状態を取得するように構成される第1取得ユニットと、
前記量子チャンネルがそれぞれ前記m個の第1量子状態に作用した後に得られたm個の第2量子状態を取得するように構成される第2取得ユニットと、
前記第2パラメータ化量子回路が初期量子状態に作用した後に得られた量子状態行列を取得し、ここでは、前記量子状態行列のm個の対角要素を確率値として前記m個の第1量子状態と一対一に対応してアンサンブルを構成するように構成される第3取得ユニットと、
損失関数を最小化することによって前記m個の第1パラメータ化量子回路及び前記第2パラメータ化量子回路のパラメータを最適化し、ここでは、前記損失関数は前記量子チャンネルの現在アンサンブルにある時のホレボ情報に基づいて確定され、前記ホレボ情報は前記m個の第2量子状態及び対応する確率値に基づいて確定されるように構成される最適化ユニットと、
前記損失関数を最小化した後に得られた前記量子チャンネルのホレボ情報を確定し、前記量子チャンネルクラシック容量の推定値とするように構成される第2確定ユニットとを含む量子チャンネルクラシック容量の推定装置。
【請求項8】
量子チャンネルに基づく情報伝送装置であって、
前記量子チャンネルのホレボ情報に対応するアンサンブルを取得するように構成される第4取得ユニットと、
伝送すべきクラシック情報を取得して、前記クラシック情報を前記アンサンブルにおける対応する量子状態に符号化するように構成される符号化ユニットと、
前記符号化で得られた量子状態を前記量子チャンネルによって伝送して、伝送後の量子状態を取得するように構成される伝送ユニットと、
前記伝送後の量子状態を復号して、伝送後のクラシック情報を取得するように構成される復号ユニットとを含み、
前記ホレボ情報に対応するアンサンブルは請求項1~4のいずれか一項に記載の方法によって最適化して得られる、量子チャンネルに基づく情報伝送装置。
【請求項9】
電子機器であって、
少なくとも1つのプロセッサと、
前記少なくとも1つのプロセッサに通信接続されたメモリと、を含み、
前記メモリには、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行可能な命令が記憶され、前記命令は、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されることにより、前記少なくとも1つのプロセッサに請求項1~6のいずれか一項に記載の方法を実行させることができる、
電子機器。
【請求項10】
コンピュータ命令が記憶される非一時的なコンピュータ可読記憶媒体であって、前記コンピュータ命令は、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法を前記コンピュータに実行させるために用いられる、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項11】
プロセッサに実行されると、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法を前記プロセッサに実行させるコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示はコンピュータ分野に関し、特に量子コンピュータ技術分野に関し、具体的には量子チャンネルクラシック容量の推定方法、装置、電子機器、コンピュータ可読記憶媒体及びコンピュータプログラム製品に関する。
【背景技術】
【0002】
情報伝送は社会の生産や生活の様々な面に存在し、日常の電話、メール交流はすべてクラシック情報伝送の過程である。現在、量子コンピュータ技術は急速に発展しており、量子技術を利用して情報を伝送することも研究者の大きな関心を引いている。情報論では、情報の伝送は、チャンネル(channel)によって特徴付けられ、チャンネルの容量(capacity)は該チャンネルを使用して情報を確実に伝送する最大レートを表す。量子情報論では、情報の伝送は、量子チャンネル(quantum channel)によって特徴付けられ、そのクラシック容量(classical capacity)は、該量子チャンネルを使用してクラシック情報を確実に伝送する最大レートを表す。現在、量子チャンネルのクラシック容量を計算するの多くは数学的な簡略化と演算によるものであり、一般的な量子チャンネルに対して体系化された案がめったにない。
【発明の概要】
【0003】
本開示は、量子チャンネルクラシック容量の推定方法、装置、電子機器、コンピュータ可読記憶媒体、及びコンピュータプログラム製品を提供する。
【0004】
本開示の一態様によれば、量子チャンネルクラシック容量の推定方法を提供し、m個のn量子ビットの第1パラメータ化量子回路、及びm次元量子システムに作用する第2パラメータ化量子回路を確定し、ここでは、nは前記量子チャンネルの量子ビット数であり、mは予め設定されたアンサンブルにおける量子状態の個数であり、m、nは正の整数であることと、前記m個の第1パラメータ化量子回路がそれぞれ初期量子状態に作用した後に得られたm個の第1量子状態を取得することと、前記量子チャンネルがそれぞれ前記m個の第1量子状態に作用した後に得られたm個の第2量子状態を取得することと、前記第2パラメータ化量子回路が初期量子状態に作用した後に得られた量子状態行列を取得し、ここでは、前記量子状態行列のm個の対角要素を確率値として前記m個の第1量子状態と一対一に対応してアンサンブルを構成することと、損失関数を最小化することによって前記m個の第1パラメータ化量子回路及び前記第2パラメータ化量子回路のパラメータを最適化し、ここでは、前記損失関数は前記量子チャンネルの現在アンサンブルにある時のホレボ情報に基づいて確定され、前記ホレボ情報は前記m個の第2量子状態及び対応する確率値に基づいて確定されることと、前記損失関数を最小化した後に得られた前記量子チャンネルのホレボ情報を確定し、前記量子チャンネルクラシック容量の推定値とすることとを含む。
【0005】
本開示の別の態様によれば、量子チャンネルに基づく情報伝送方法を提供し、前記量子チャンネルのホレボ情報に対応するアンサンブルを取得することと、伝送すべきクラシック情報を取得して、前記クラシック情報を前記アンサンブルにおける対応する量子状態に符号化することと、前記符号化で得られた量子状態を前記量子チャンネルによって伝送して、伝送後の量子状態を取得することと、前記伝送後の量子状態を復号して、伝送後のクラシック情報を取得することとを含む。前記ホレボ情報に対応するアンサンブルは以上に記載の方法によって最適化して得られる。
【0006】
本開示の別の態様によれば、量子チャンネルクラシック容量の推定装置を提供し、第1確定ユニットであって、m個のn量子ビットの第1パラメータ化量子回路、及びm次元量子システムに作用する第2パラメータ化量子回路を確定するように構成され、ここでは、nは前記量子チャンネルの量子ビット数であり、mは予め設定されたアンサンブルにおける量子状態の個数であり、m、nは正の整数であるものと、前記m個の第1パラメータ化量子回路がそれぞれ初期量子状態に作用した後に得られたm個の第1量子状態を取得するように構成される第1取得ユニットと、前記量子チャンネルがそれぞれ前記m個の第1量子状態に作用した後に得られたm個の第2量子状態を取得するように構成される第2取得ユニットと、前記第2パラメータ化量子回路が初期量子状態に作用した後に得られた量子状態行列を取得し、ここでは、前記量子状態行列のm個の対角要素を確率値として前記m個の第1量子状態と一対一に対応してアンサンブルを構成するように構成される第3取得ユニットと、損失関数を最適化することによって前記m個の第1パラメータ化量子回路及び前記第2パラメータ化量子回路のパラメータを最適化し、ここでは、前記損失関数は前記量子チャンネルの現在アンサンブルにある時のホレボ情報に基づいて確定され、前記ホレボ情報は前記m個の第2量子状態及び対応する確率値に基づいて確定されるように構成される最適化ユニットと、前記損失関数を最小化した後に得られた前記量子チャンネルのホレボ情報を確定し、前記量子チャンネルクラシック容量の推定値とするように構成される第2確定ユニットとを含む。
【0007】
本開示の別の態様によれば、前記量子チャンネルのホレボ情報に対応するアンサンブルを取得するように構成される第4取得ユニットと、伝送すべきクラシック情報を取得して、前記クラシック情報を前記アンサンブルにおける対応する量子状態に符号化するように構成される符号化ユニットと、前記符号化で得られた量子状態を前記量子チャンネルによって伝送して、伝送後の量子状態を取得するように構成される伝送ユニットと、前記伝送後の量子状態を復号して、伝送後のクラシック情報を取得するように構成される復号ユニットとを含む、量子チャンネルに基づく情報伝送装置を提供する。前記ホレボ情報に対応するアンサンブルは以上に記載の方法によって最適化して得られる。
【0008】
本開示の別の態様によれば、電子機器を提供し、前記電子機器は、少なくとも1つのプロセッサと、少なくとも1つのプロセッサに通信接続されたメモリとを含み、メモリには、少なくとも1つのプロセッサによって実行可能な命令が記憶され、該命令は少なくとも1つのプロセッサによって実行されることにより、少なくとも1つのプロセッサに本開示に記載の方法を実行させることができる。
【0009】
本開示の別の態様によれば、本開示に記載の方法をコンピュータに実行させるためのコンピュータ命令を記憶した非一時的コンピュータ可読記憶媒体が提供される。
【0010】
本開示の別の態様によれば、プロセッサによって実行されると、本開示に記載の方法を実施するコンピュータプログラムを含むコンピュータプログラム製品が提供される。
【0011】
本開示の1つまたは複数の実施例によれば、パラメータ化量子回路によってアンサンブルにおける量子状態及びその対応する確率を生成することによって、少ない計算リソースを利用して量子チャンネルのホレボ容量、即ち量子チャンネルのクラシック容量の下限を効率的に推定することができ、実際の使用時により指導上の意義を有する。
【0012】
理解すべきことは、この部分に説明される内容は、本開示の実施例の要点または重要な特徴を識別することを意図しておらず、本開示の保護範囲を限定するためのものではないことである。本開示の他の特徴は、以下の明細書によって理解されやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図面は、実施例を例示的に示し、明細書の一部を構成し、明細書の文字による説明とともに、実施例の例示的な実施形態を説明するために使用される。図示の実施例は例示の目的のみであり、特許請求の範囲を限定するものではない。すべての図面において、同じ符号は類似しているが、必ずしも同じとは限らない要素を指す。
図1】本開示の実施例による量子チャンネルクラシック容量の推定方法の流れ図を示す。
図2】本開示の実施例による、量子チャンネルに基づく情報伝送方法の流れ図を示す。
図3】本開示の実施例による、量子チャンネルクラシック容量の推定装置の構造ブロック図を示す。
図4】本開示の実施例による、量子チャンネルに基づく情報伝送装置の構造ブロック図を示す。
図5】本開示の実施例を実現するために使用できる例示的な電子機器を示す構造ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面に合わせて本開示の例示的な実施形態を説明して、それに含まれる本開示の実施例における様々な詳細が理解を助けるためので、それらは単なる例示的なものと考えられるべきである。したがって、当業者であれば、本開示の範囲から逸脱することなく、本明細書で説明された実施形態に対して様々な変更及び修正を行うことができることを認識すべきである。同様に、明瞭と簡潔のために、以下の説明では公知の機能及び構造についての説明を省略している。
【0015】
本開示では、特に明記しない限り、様々な要素を説明するための「第1」、「第2」などの用語の使用は、これらの要素の位置関係、タイミング関係、又は重要性関係を限定することを意図していない。このような用語は、ある要素を別の要素と区別するためにのみ使用される。いくつかの例では、第1要素と第2要素は、要素の同じ例を指すことができ、場合によっては、コンテキストの説明に基づいて、異なる例を指してもよい。
【0016】
本開示の様々な例の説明で使用される用語は、特定の例を説明することのみを目的としており、限定することを意図していない。コンテキストが別途に明確に示されていない限り、特に要素の数を限定しないなら、要素は一つであってもよいし、複数であってもよい。また、本開示で使用される用語「及び/または」は、テーブルされた項目のいずれか及び可能な全ての組み合わせをカバーする。
【0017】
以下、図面を参照して本開示の実施例について詳細に説明する。
【0018】
現在、量子コンピュータ技術の飛躍の発展に伴い、量子技術に基づく情報伝送も徐々に理論から現実へと進んでいる。通信論では、情報の伝送は、チャンネル(channel)によって特徴付けられ、チャンネルの容量(capacity)は、該チャンネルを使用して情報を確実に伝送する最大レートを表す。量子情報論では、情報の伝送は、量子チャンネル(quantum channel)によって特徴付けられ、すなわち、量子チャンネルは、情報伝送の主要な研究対象であり、クラシック情報は、最も一般的な情報形式の1つである。
【0019】
量子チャンネルのクラシック容量(classical capacity)は、該量子チャンネルを使用してクラシック情報を確実に伝送する最大レートを表す。量子チャンネルNのクラシック容量C(N)は式(1)によって表される:
式(1)
ここでは、
はn個の量子チャンネルNのテンソル積(tensor product)で構成される量子チャンネルを表し、
は量子チャンネル
のホレボ容量(Holevo capacity)を表す。
【0020】
現在量子チャンネルのクラシック容量を計算するの多くは数学的な簡略化と演算によるものであり、一般的な量子チャンネルに対して体系化された案がめったにない。例えば、半正定値計画(semi-definite programming)に基づいて一般的な量子チャンネルのクラシック容量の上限を計算することができ、また、該量子チャンネルのホレボ容量の上限でもある。しかし、与えられるのは量子チャンネルのクラシック容量とホレボ容量の上限であるため、量子チャンネルの能力を高く見積もることが可能であり、従って、実際に該量子チャンネルを使用する時、少なくともどのぐらいのクラシック情報を確実に伝送できるかは分からない。
【0021】
量子チャンネルのクラシック容量は、量子チャンネルがクラシック情報を確実に伝送する最大レートを特徴付け、一方、そのホレボ容量は、量子エンタングルコーディングを利用しないときに該量子チャンネルがクラシック情報を確実に伝送することができる最大レートを特徴付けた。これら2つの値を推定することにより、該量子チャンネルが異なるシーンにおいてどのぐらいのクラシック情報を確実に伝送することができるかを知ることができる。
【0022】
なお、ホレボ容量は超付加性(superadditivity)を有し、即ち、2つの量子チャンネルのNとMについては、
である。従って、式(1)によって、式(2)の形式を得ることができる。
式(2)
つまり、量子チャンネルNのホレボ容量χ(N)は該チャンネルのクラシック容量C(N)の下限を与える。
【0023】
従って、量子チャンネルNのホレボ容量を推定することによってそのクラシック容量を推定することができ、式(3)に示すとおりである。
式(3)
ここでは、{p,ρ}は若干の量子状態ρで構成されるアンサンブル(ensemble)であり、
は量子状態ρのフォンノイマンエントロピー(Von Neumann entropy)である。量子状態ρは数学的には、密度行列(density matrix)で表すことができ、Trは行列のトレース(trace)を取る。ホレボ容量は、量子エンタングルメントリソースを使用せずに、該チャンネルがクラシック情報を確実に伝送することができる最大レートを示す、量子チャンネルのクラシック容量の下限を与える。明らかなことに、量子チャンネルのホレボ容量を計算することは、該量子チャンネルが該アンサンブルにあるときのホレボ情報が最大値を有するようにアンサンブルを見つけることである。つまり、量子チャンネルのホレボ容量は、そのホレボ情報の最大値と呼ばれることができる。
【0024】
従って、本開示の実施例によれば、図1に示すように、量子チャンネルクラシック容量の推定方法100を提供し、m個のn量子ビットの第1パラメータ化量子回路、及びm次元量子システムに作用する第2のパラメータ化量子回路を確定し、nは量子チャンネルの量子ビット数であり、mは予め設定されたアンサンブルにおける量子状態の個数であること(ステップ110)と、m個の第1パラメータ化量子回路がそれぞれ初期量子状態に作用した後に得られたm個の第1量子状態を取得すること(ステップ120)と、量子チャンネルがそれぞれm個の第1量子状態に作用した後に得られたm個の第2量子状態を取得すること(ステップ130)と、第2パラメータ化量子回路が初期量子状態に作用した後に得られた量子状態行列を取得し、該量子状態行列のm個の対角要素を確率値としてm個の第1量子状態と一対一に対応してアンサンブルを構成すること(ステップ140)と、損失関数を最小化することによってm個の第1パラメータ化量子回路及び第2パラメータ化量子回路のパラメータを最適化し、該損失関数は量子チャンネルの現在アンサンブルにある時のホレボ情報に基づいて確定され、ホレボ情報はm個の第2量子状態及び対応する確率値に基づいて確定されること(ステップ150)と、損失関数を最小化した後に得られた量子チャンネルのホレボ情報を確定し、量子チャンネルクラシック容量の推定値とすること(ステップ160)とを含む。
【0025】
本開示の実施例によれば、パラメータ化量子回路によってアンサンブルにおける量子状態及びその対応する確率を生成することによって、少ない計算リソースを利用して量子チャンネルのホレボ容量、即ち量子チャンネルのクラシック容量の下限を効率的に推定することができ、実際の使用時により指導上の意義を有する。
【0026】
いくつかの実施例において、パラメータ化量子回路は、若干の単一量子ビット回転ゲートと被制御NOTゲート(CNOTゲート)を含むことができる。そのうちの若干の回転角度でベクトルθを構成し、即ち調整可能なパラメータである。量子チャンネルNのホレボ容量を推定することは、関数χ(N,ε)の値を最大化するようにアンサンブルε={p,ρ}を見つけることである。本開示による実施例において、パラメータ化量子回路によってアンサンブルにおける量子状態{ρ}及びその対応する確率{ρ}を生成する。それぞれの量子状態ρはそれぞれの第1パラメータ化量子回路U(θ)が初期量子状態ρinitに作用して得られた量子状態と見なすことができ、ここでは、θは該パラメータ化量子回路のパラメータである。それぞれの量子状態ρに対応する確率pは第2パラメータ化量子回路Uprob(θprob)が初期量子状態ρinitに作用した後、得られた量子状態行列の対応する対角要素である。
【0027】
いくつかの実施例において、初期量子状態ρinitは作成しやすい
であってもよく、その数学的形式は左上隅の第1個元素が1、他の元素がいずれも0である行列である:

しかし、理解できるように、他の形式の初期量子状態も可能であり、ここでは制限しない。
【0028】
いくつかの実施例によれば、式(4)に基づいて前記損失関数を確定することができる:
式(4)
ここでは、ρは第j個の第1量子状態であり、j=1,2,...,m、N(ρ)は量子チャンネルが量子状態ρに作用した後に得られた量子状態であり、pは量子状態行列の第j個の対角要素であり、S()はフォンノイマンエントロピーを表す。つまり、アンサンブルε={p,ρ}を見つけて関数χ(N,ε)の値を最大化するために、損失関数を-χ(N,ε)にすることができ、これにより、損失関数を最小化することによってこのアンサンブルを見つけることができる。または、他の形式の損失関数も可能であり、ここでは制限しない。
【0029】
いくつかの実施例によれば、勾配降下法によってm個の第1パラメータ化量子回路及び第2パラメータ化量子回路的パラメータを調整することによって、前記損失関数を最小化することができる。
【0030】
理解できるように、他の任意の適当な最適化方法によってパラメータ化回路におけるパラメータを調整することも可能であり、ここでは制限しない。また、損失関数を最小化することは、該損失関数の絶対最小値を見つけることを意味せず、実験条件または誤差が許可される状況で、該損失関数の最小値を近似的に取得すればよい。
【0031】
本開示による一つの例示的な実施例において、量子チャンネルNの容量を推定する。まず、ステップ1では、アンサンブルにおける量子状態の個数mを確定し、該m値は任意に設定されてもよい。しかし、理解できるように、mの値が大きいほど、推定された量子チャンネルの容量が正確になる可能性があるが、必要な計算量も大きい。続いて、m次元量子システムに作用するパラメータ化量子回路Uprob(θprob)を、アンサンブルにおける確率
を生成するように用意し、θprobは該パラメータ化量子回路のパラメータである。即ち、パラメータ化量子回路Uprob(θprob)が生成した量子状態はm次元のものである。例えば、a量子ビットの量子回路については、それが生成した量子状態は2次元である。同時に、m個のn量子ビットのパラメータ化量子回路
を、アンサンブルにおけるm個の量子状態
を生成するように用意し、
はこれらのパラメータ化量子回路のパラメータであり、nは量子チャンネルNの量子ビット数である。
【0032】
ステップ2では、すべてのj=1,2,...,mに対して、パラメータ化量子回路U(θ)を動作させ、得られた量子状態をρと記す。量子チャンネルNを量子状態ρに作用して量子状態N(ρ)を得る。
【0033】
ステップ3では、パラメータ化量子回路Uprob(θprob)を動作させ、得られた量子状態行列をρprobと記す。順に、量子状態ρprobの第j個の対角要素pを量子状態ρに対応する確率として取る。これにより、現在のアンサンブル
を得る。
【0034】
ステップ4では、量子状態N(ρ)のフォンノイマンエントロピーS(N(ρ))を計算し、かつフォンノイマンエントロピー
を計算する。
【0035】
ステップ5では、クラシックコンピュータにおいて式(4)によって損失関数Lを計算する。
【0036】
ステップ6では、勾配降下法又は他の最適化方法によってパラメータ化量子回路におけるパラメータθprobと全ての
を調整することによって、ステップ2~5を繰り返して損失関数Lを最小化する。損失関数値がもう下降しないか、または設定された反復回数に達したとき、最適化を停止し、かつこのときの損失関数をLと記し、対応するアンサンブルは
である。-Lを出力して量子チャンネルNのホレボ容量の推定値とし、そのクラシック容量への推定値でもある。同時に、アンサンブルεは該推定値を取る時に対応するアンサンブルである。
【0037】
本開示による実施例において、パラメータ化量子回路を利用してそのうちのパラメータを最適化することによって量子チャンネルのホレボ容量の推定値を得て、該量子チャンネルのクラシック容量の推定値とし、ここでは、本開示の実施例による方法は十分に柔軟であり、入力される量子チャンネルに対して何らかの制限がない。つまり、任意の量子チャンネルに対して、本開示の実施例による方法はいずれも実行可能であり、かつそのホレボ容量の推定値を与えることができ、汎用性を有する。
【0038】
また、本開示による実施例において、ステップ1~4は、最近の量子装置で実現することができ、クラシックコンピュータによってシミュレートして完成することもでき、両方の状況でも量子チャンネルに入力されるホレボ容量の推定を完成することができる。該実施例に記載の方法は量子装置で実行する時、入力される推定すべき量子チャンネルは物理的に実現された使用可能な量子チャンネルであるべきであり、該実施例に記載の方法はクラシックコンピュータでシミュレートして実行するとき、入力される推定すべき量子チャンネルは物理量子チャンネルに対応する数学的形式であるべきであり、シミュレート計算に備える。
【0039】
例示的な応用では、本開示の実施例に記載の方法によって振幅減衰チャンネル(amplitude damping channel)のホレボ容量を推定する。振幅減衰チャンネルAγはよく見られる単一量子ビット量子チャンネルであり、ここでは、γ∈[0,1]は振幅減衰チャンネルの係数である。単一量子ビット状態ρは振幅減衰チャンネルAγによって作用された後、量子状態を取得するAγ(ρ)は式(5)の形式として表すことができる:
式(5)
ここでは、


はそれぞれK、Kのコンジュゲートトランスポーズである。
【0040】
本開示の実施例に記載の方法によってそれぞれγ=0.1,0.3,0.5,0.7,0.9の振幅減衰チャンネルに対してホレボ容量の推定を行い、ここでは、該応用ではアンサンブルにおける量子状態の個数を2に設定する。以下、表2において本開示の実施例による方法で得られた推定値と理論値の対比を示す(小数点の後ろの3桁の小数に保留する)。
【0041】
【表1】
明らかなことに、本開示の実施例による方法によって得られる推定値は、小数点の後ろの3桁で理論値と完全に一致しており、本開示の実施例による方法の正確さを示すのに十分である。さらに、本開示の実施例による方法は、正確な推定値を得るとともに、必要な時間も非常に少ないので、効率的であり、多量子ビットの量子チャンネルのホレボ容量推定にも使用することができる。
【0042】
量子チンャネルの容量推定値を取得した後、該推定値に基づいて、該量子チンャネルによってクラシック情報を伝送することができる。該量子チャンネルによってクラシック情報を伝送するとき、まず、クラシック情報を、量子状態に符号化し、続いて該量子チンャネルによって該量子状態を伝送する必要がある。最後に、受信側は、得られた量子状態を復号してクラシック情報を得る。
【0043】
従って、本開示による実施例はさらに量子チャンネルに基づく情報伝送方法200を提供する。図2に示すように、該方法200は、前記量子チャンネルのホレボ情報に対応するアンサンブルを取得すること(ステップ210)と、伝送すべきクラシック情報を取得して、前記クラシック情報を前記アンサンブルにおける対応する量子状態に符号化すること(ステップ220)と、前記符号化で得られた量子状態を前記量子チャンネルによって伝送して、伝送後の量子状態を取得すること(ステップ230)と、前記伝送後の量子状態を復号して、伝送後のクラシック情報を取得すること(ステップ240)とを含む。前記ホレボ情報に対応するアンサンブルは以上のいずれか一つの実施例に記載の方法によって最適化して得られる。
【0044】
例示的に、以上の実施例に記載の方法の最後のステップにおいて、量子チャンネルに入力されるホレボ容量の対応するアンサンブルεを得る。そのため、クラシック情報を伝送するとき、まずクラシック情報をアンサンブルにおける対応する量子状態に符号化して伝送前の符号化プロセスを完成することができる。該アンサンブルにある時に該量子チャンネルのホレボ情報が最大値であり、即ち該量子チャンネルのホレボ容量の推定値であるため、ホレボ容量は、量子エンタングルメントリソースを使用せずに、該量子チャンネルがクラシック情報を確実に伝送することができる最大レートを表す。従って、伝送すべきクラシック情報を該アンサンブルの量子状態に符号化することで、該クラシック情報を確実で効率的に伝送することを実現できる。
【0045】
いくつかの実施例において、該アンサンブルにおける量子状態に対して、半正定値計画(semi-definite programming)によってそれらを弁別する最適な案を算出して、伝送される量子状態に対する復号方案とすることができる。半正定値計画は効率的なクラシックアルゴリズムを有するため、以上の実施例に記載の方法の出力によって、推定される量子チャンネルによってクラシック情報を伝送する方案を容易に得ることができ、且つ該方案は推定されたホレボ容量を達成することができ、非常に高い実用性を有する。
【0046】
本開示の実施例によれば、図3に示されるように、量子チャンネル容量の推定装置300をさらに提供し、第1確定ユニット310であって、m個のn量子ビットの第1パラメータ化量子回路、及びm次元量子システムに作用する第2パラメータ化量子回路を確定するように構成され、ここでは、nは前記量子チャンネルの量子ビット数であり、mは予め設定されたアンサンブルにおける量子状態の個数であり、m、nは正の整数であるものと、前記m個の第1パラメータ化量子回路がそれぞれ初期量子状態に作用した後に得られたm個の第1量子状態を取得するように構成される第1取得ユニット320と、前記量子チャンネルがそれぞれ前記m個の第1量子状態に作用した後に得られたm個の第2量子状態を取得するように構成される第2取得ユニット330と、前記第2パラメータ化量子回路が初期量子状態に作用した後に得られた量子状態行列を取得し、ここでは、前記量子状態行列のm個の対角要素を確率値として前記m個の第1量子状態と一対一に対応してアンサンブルを構成するように構成される第3取得ユニット340と、損失関数を最小化することによって前記m個の第1パラメータ化量子回路及び前記第2パラメータ化量子回路のパラメータを最適化し、ここでは、前記損失関数は前記量子チャンネルの現在アンサンブルにある時のホレボ情報に基づいて確定され、前記ホレボ情報は前記m個の第2量子状態及び対応する確率値に基づいて確定されるように構成される最適化ユニット350と、前記損失関数を最小化した後に得られた前記量子チャンネルのホレボ情報を確定し、前記量子チャンネルホレボ容量の推定値とするように構成される第2確定ユニット360とを含む。
【0047】
ここで、量子チャンネルクラシック容量の推定装置300の上述した各ユニット310~360の動作は、上述したステップ110~160の動作とそれぞれ同様であるので、ここでは説明を省略する。
【0048】
本開示の実施例によれば、図4に示すように、量子チャンネルに基づく情報伝送装置400をさらに提供し、前記量子チャンネルのホレボ情報に対応するアンサンブルを取得するように構成される第4取得ユニット410と、伝送すべきクラシック情報を取得して、前記クラシック情報を前記アンサンブルにおける対応する量子状態に符号化するように構成される符号化ユニット420と、前記符号化で得られた量子状態を前記量子チャンネルによって伝送して、伝送後の量子状態を取得するように構成される伝送ユニット430と、前記伝送後の量子状態を復号して、伝送後のクラシック情報を取得するように構成される復号ユニット440とを含み、前記ホレボ情報に対応するアンサンブルは以上のいずれか一つの実施例に記載の方法によって最適化して得られる。
【0049】
ここで、量子チャンネルに基づく情報伝送装置400の上述した各ユニット410~440の動作は、上述したステップ210~240の動作とそれぞれ同様であるので、ここでは説明を省略する。
【0050】
本開示の実施例によれば、電子機器、可読記憶媒体及びコンピュータプログラム製品をさらに提供する。
【0051】
図5を参照して、ここでは、本開示の様々な態様に適用可能なハードウェア装置の一例である、本開示のサーバ又はクライアントとして利用可能な電子機器500の構造ブロック図について説明する。電子機器は、様々な形態のデジタル電子コンピュータ機器、例えば、ラップトップ型コンピュータ、デスクトップ型コンピュータ、ステージ、個人用デジタル補助装置、サーバ、ブレードサーバ、大型コンピュータ、その他の適切なコンピュータを指すことを意図している。電子機器は更に、様々な形態の移動装置、例えば、個人デジタル処理、携帯電話、スマートフォン、着用可能な装置とその他の類似する計算装置を表すことができる。本明細書に示される部品、これらの接続関係及びこれらの機能は例示的なものに過ぎず、本明細書に説明した及び/又は請求した本開示の実現を制限することを意図するものではない。
【0052】
図5に示すように、電子機器500は、計算ユニット501を含み、それはリードオンリーメモリ(ROM)502に記憶されたコンピュータプログラムまた記憶ユニット508からランダムアクセスメモリ(RAM)503にロードされるコンピュータプログラムによって、種々の適当な操作と処理を実行することができる。RAM 503において、更に電子機器500を操作するために必要な様々なプログラムとデータを記憶してよい。計算ユニット501、ROM502及びRAM 503はバス504によって互いに接続される。入力/出力(I/O)インターフェース505もバス504に接続される。
【0053】
電子機器500における複数の部品はI/Oインターフェース505に接続され、入力ユニット506、出力ユニット507、記憶ユニット508及び通信ユニット509を含む。入力ユニット506は、電子機器500に情報を入力することが可能な任意のタイプの装置であってもよく、入力ユニット506は、入力された数字又は文字情報が受信でき、電子機器のユーザ設定及び/又は機能制御に関するキー信号入力を生成することができ、マウス、キーボード、タッチスクリーン、トラックボード、トラックボール、操作レバー、マイク及び/又はリモコンを含んでもよいが、これらに限定されない。出力ユニット507は、情報を提示することが可能ないずれかのタイプの装置であってもよく、ディスプレイ、スピーカ、映像/オーディオ出力端末、バイブレータ、及び/又はプリンタを含んでもよいが、これらに限定されない。記憶ユニット508は磁気ディスク、光ディスクを含むことができるが、これらに限定されない。通信ユニット509は、電子機器500が例えば、インターネットであるコンピュータネットワーク及び/又は様々な電気通信ネットワークを介して他の装置と情報/データを交換することを可能にし、モデム、ネットワークカード、赤外線通信装置、無線通信送受信機、及び/又はチップセット、例えば、ブルートゥース(登録商標)装置、802.11装置、WiFi装置、WiMax装置、セルラー通信装置及び/又は類似物を含んでもよいが、これらに限定されない。
【0054】
計算ユニット501は処理及び計算能力を有する様々な汎用及び/または専用の処理コンポーネントであってもよい。計算ユニット501の例には、中央処理ユニット(CPU)、グラフィックス処理ユニット(GPU)、様々な専用人工知能(AI)計算チップ、様々な機械学習モデルアルゴリズムを実行する計算ユニット、デジタル信号プロセッサ(DSP)、及びいずれかの適当なプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラなどが含まれるがこれらに限定されないことである。計算ユニット501は上記内容で説明した各方法と処理、例えば、方法100または方法200を実行する。例えば、いくつかの実施例において、方法100または方法200は記憶ユニット508のような機械可読媒体に有形に組み込まれたコンピュータソフトウェアプログラムとして実装されてもよい。いくつかの実施例において、コンピュータプログラムの部分又は全てはROM 502及び/又は通信ユニット509を経由して電子機器500にロード及び/又はインストールされてよい。コンピュータプログラムがRAM 503にロードされて計算ユニット501によって実行されると、上記で説明した方法100または方法200の1つまたは複数のステップを実行することできる。代替的に、他の実施形態において、計算ユニット501は、他のいずれかの適当な方法で(例えば、ファームウェアを用いて)、方法100または方法200を実行するように構成される。
【0055】
本明細書で上述したシステム及び技術の様々な実施形態は、デジタル電子回路システム、集積回路システム、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)、特定用途向け標準製品(ASSP)、システムオンチップ(SOC)、複雑なプログラマブル論理デバイス(CPLD)、ソフトウェア・ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、及び/またはこれらの組み合わせにおいて実装することができる。これらの様々な実施形態は、1つ又は複数のコンピュータプログラムに実施され、この1つ又は複数のコンピュータプログラムは少なくとも1つのプログラマブルプロセッサを含むプログラマブルシステムで実行し及び/又は解釈してもよく、このプログラマブルプロセッサは専用又は汎用プログラマブルプロセッサであってもよく、記憶システム、少なくとも1つの入力装置、少なくとも1つの出力装置からデータと命令を受信し、データと命令をこの記憶システム、この少なくとも1つの入力装置、この少なくとも1つの出力装置に送信してよいこと、を含んでもよい。
【0056】
本開示の方法を実施するプログラムコードは1つ又は複数のプログラミング言語のいかなる組み合わせで書かれてよい。これらのプログラムコードを汎用コンピュータ、特殊目的のコンピュータ又は他のプログラマブルデータ処理装置のプロセッサ又はコントローラに提供してよく、よってプログラムコードはプロセッサ又はコントローラにより実行される時にフローチャート及び/又はブロック図に規定の機能/操作を実施する。プログラムコードは完全に機械で実行してよく、部分的に機械で実行してよく、独立ソフトウェアパッケージとして部分的に機械で実行し且つ部分的に遠隔機械で実行してよく、又は完全に遠隔機械又はサーバで実行してよい。
【0057】
本開示のコンテキストにおいて、機械可読媒体は有形の媒体であってもよく、命令実行システム、装置又はデバイスに使用される又は命令実行システム、装置又はデバイスに結合されて使用されるプログラムを具備又は記憶してよい。機械可読媒体は機械可読信号媒体又は機械可読記憶媒体であってもよい。機械可読媒体は、電子的、磁気的、光学的、電磁的、赤外線的、又は半導体システム、装置又はデバイス、又は上記内容のいかなる適切な組み合わせを含んでもよいが、これらに限定されない。機械可読記憶媒体のより具体的な例は、1つ又は複数のリード線による電気接続、ポータブルコンピュータディスク、ハードディスク、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、消去可能なプログラマブル読み出し専用メモリ(EPROM又はフラッシュメモリ)、光ファイバー、ポータブルコンパクトディスク読み出し専用メモリ(CD-ROM)、光記憶装置、磁気記憶装置、又は上記内容のいかなる適切な組み合わせを含む。
【0058】
ユーザとのインタラクションを提供するために、コンピュータにはここで説明したシステムと技術を実施してよく、このコンピュータは、ユーザに情報を表示するための表示装置(例えば、CRT(陰極線管)又はLCD(液晶ディスプレイ)監視モニタ)、及びキーボードとポインティング装置(例えば、マウスやトラックボール)を備え、ユーザはこのキーボードとこのポインティング装置を介してコンピュータに入力してよい。その他の種類の装置は更に、ユーザとのインタラクティブを提供するためのものであってもよい。例えば、ユーザに提供するフィードバックはいかなる形態の感覚フィードバック(例えば、視覚フィードバック、聴覚フィードバック、又は触覚フィードバック)であってもよく、いかなる形態(音入力、音声入力、又は触覚入力を含む)でユーザからの入力を受信してよい。
【0059】
ここで述べたシステムや技術は、バックステージ部材を含む計算システム(例えば、データサーバとして)や、ミドルウェア部材を含む計算システム(例えば、アプリケーションサーバ)や、フロントエンド部材を含む計算システム(例えば、グラフィカルユーザインタフェースやウェブブラウザを有するユーザコンピュータ、ユーザが、そのグラフィカルユーザインタフェースやウェブブラウザを通じて、それらのシステムや技術の実施形態とのインタラクティブを実現できる)、あるいは、それらのバックステージ部材、ミドルウェア部材、あるいはフロントエンド部材の任意の組み合わせからなる計算システムには実施されてもよい。システムの部材は、いずれかの形式や媒体のデジタルデータ通信(例えば、通信ネットワーク)により相互に接続されてもよい。通信ネットワークの一例は、ローカルネットワーク(LAN)、広域ネットワーク(WAN)とインターネットを含む。
【0060】
コンピュータシステムは、クライアントとサーバを含んでもよい。クライアントとサーバは、一般的に相互に遠く離れ、通常、通信ネットワークを介してインタラクションを行う。互にクライアント-サーバという関係を有するコンピュータプログラムを対応するコンピュータで運転することによってクライアントとサーバの関係を生成する。サーバーは、クラウドサーバであってもよく、分散型システムのサーバでも、またはブロックチェーンと組み合わされサーバであってもよい。
【0061】
理解すべきことは、以上に示した様々な形態のフローを用いて、ステップを改めて順位付け、増加又は削除することができる。例えば、本開示に記載された各ステップは、並列的に実行してもよいし、順次実行してもよいし、異なる順序で実行させてもよいし、本開示に開示された技術案が所望する結果を実現できれば、本文はこれに限定されないことである。
【0062】
本開示の実施形態又は例は図面を参照して説明されたが、上記の方法、システム、及び装置は単なる例示的な実施形態又は例であり、本開示の範囲はこれらの実施形態又は例によって制限されるものではなく、授権後の特許請求の範囲及びその均等範囲のみによって限定されることを理解されたい。実施例又は例の様々な要素は省略されてもよく、又はそれらの均等要素によって代替されてもよい。また、各ステップは、本開示で説明した順序とは異なる順序で実行されてもよい。更に、実施形態又は例の様々な要素は、様々な方法で組み合わせられてもよい。重要なのは、技術の進化に伴い、ここで説明される多くの要素は、本開示の後に現れる同等の要素に置き換えることができるということである。
図1
図2
図3
図4
図5
【外国語明細書】