(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022188316
(43)【公開日】2022-12-21
(54)【発明の名称】リーン車両
(51)【国際特許分類】
B62J 99/00 20200101AFI20221214BHJP
B60R 1/06 20060101ALI20221214BHJP
【FI】
B62J99/00 B
B60R1/06 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2019218139
(22)【出願日】2019-12-02
(71)【出願人】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001531
【氏名又は名称】弁理士法人タス・マイスター
(72)【発明者】
【氏名】前川 恒治
【テーマコード(参考)】
3D053
【Fターム(参考)】
3D053FF40
3D053GG03
3D053HH14
3D053HH21
(57)【要約】 (修正有)
【課題】車両情報の表示のバリエーションを豊富にすることができるリーン車両を提供する。
【解決手段】本発明のリーン車両1は、シート10と、メータ20と、左バックミラー30aと、右バックミラー30bと、リーン車両1の前後方向における前から視認できず、後から視認できるようにリーン車両1に配置された第1の表示部41及び第2の表示部42であって、第1の表示部41及び第2の表示部42は、共に下記の空間領域内において、リーン車両1に配置され、第1の表示部41に表示される第1の表示41aと第2の表示部42に表示される第2の表示42aとが同時に表示されることにより1つの車両情報の表示を成す。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リーン車両であって、
前記リーン車両は、
前記リーン車両の運転者が着座するシートと、
前記リーン車両の前後方向における前記シートの前端よりも前方向に配置され、前記リーン車両の走行状態が表示されるメータと、
前記リーン車両の左右方向における中央よりも左方向に配置され、前記運転者が前記リーン車両の前後方向における後方を視認するための左バックミラーと、
前記リーン車両の前記左右方向における中央から右方向に配置され、前記運転者が前記リーン車両の前後方向における後方を視認するための右バックミラーと、
前記リーン車両の前後方向における前から視認できず、後から視認できるように前記リーン車両に配置された第1の表示部及び第2の表示部であって、前記第1の表示部及び前記第2の表示部は、共に下記(i)又は(ii)の空間領域内において、前記リーン車両に配置され、前記第1の表示部に表示される第1の表示と前記第2の表示部に表示される第2の表示とが同時に表示されることにより1つの車両情報の表示を成し、
前記(i)の空間領域は、
前記リーン車両の上下方向における前記メータの上端よりも上方向の領域と、
前記リーン車両の前記左右方向における前記左バックミラーの左端よりも右方向で前記右バックミラーの右端よりも左方向の領域を左右方向に4等分した4つの区分領域のうち1つの前記区分領域及び隣り合う2つの前記区分領域の何れかの領域と、
前記リーン車両の前後方向における前記シートの前端よりも前方向の領域と
が互いに重なり合うことにより画定され、
前記(ii)の空間領域は、
前記リーン車両の前記左右方向における前記左バックミラーの左端よりも右方向で前記メータの左端よりも左方向の領域、及び前記右バックミラーの右端よりも左方向で前記メータの右端よりも右方向の領域の何れかの領域と、
前記リーン車両の前記前後方向における前記シートの前端よりも前方向の領域と
が互いに重なり合うことにより画定される、第1の表示部及び第2の表示部と
を備える。
【請求項2】
請求項1に記載のリーン車両であって、
前記(ii)の空間領域は、
前記リーン車両の前記左右方向における前記左バックミラーの左端よりも右方向で前記メータの左端よりも左方向の領域、及び前記右バックミラーの右端よりも左方向で前記メータの右端よりも右方向の領域の何れかの間の領域と、
前記リーン車両の前記上下方向における前記メータの上端よりも上方向の領域と、
前記リーン車両の前記前後方向における前記シートの前端よりも前方向の領域と
が互いに重なり合うことにより画定される。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のリーン車両であって、
前記第1の表示部及び第2の表示部は、前記リーン車両の直進中に前記運転者が進行方向を注視した場合に、前記運転者の視野の50度以内に収まるように配置される。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか1項に記載のリーン車両であって、
前記第1の表示部及び前記第2の表示部は、前記リーン車両の前記運転者が前記シートに着座して前記第1の表示部を注視した場合に、前記第2の表示部及び背景が前記運転者の視野の15度以内に収まるように、又は前記第2の表示部を注視した場合に、前記第1の表示部及び背景が前記運転者の視野の15度以内に収まるように配置される。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか1項に記載のリーン車両であって、
前記車両情報は、前記運転者に対する運転支援情報である。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか1項に記載のリーン車両であって、
前記第2の表示は、前記第1の表示を補完する。
【請求項7】
請求項6に記載のリーン車両であって、
前記第1の表示は、表示の情報を視覚的に表す。
【請求項8】
請求項7に記載のリーン車両であって、
前記第1の表示は、表示の情報の内容を単純化したシンボルである。
【請求項9】
請求項1乃至8の何れか1項に記載のリーン車両であって、
前記第1の表示はピクトグラムであり、前記第2の表示はインジケータである。
【請求項10】
請求項1乃至9の何れか1項に記載のリーン車両であって、
前記第2の表示は、前記第1の表示よりも照度が明るい。
【請求項11】
請求項1乃至10の何れか1項に記載のリーン車両であって、
前記第1の表示部及び前記第2の表示部は、共に前記左バックミラー及び前記右バックミラーの少なくとも何れかに配置される。
【請求項12】
請求項1乃至10の何れか1項に記載のリーン車両であって、
前記リーン車両は、ウインドスクリーンを備え、
前記第1の表示部及び前記第2の表示部は、前記ウインドスクリーンに配置される。
【請求項13】
請求項1乃至10の何れか1項に記載のリーン車両であって、
前記リーン車両は、ウインドスクリーンを備え、
前記第1の表示部は、前記左バックミラー及び前記右バックミラーの少なくとも何れかに配置され、前記第2の表示部は、前記ウインドスクリーンに配置される。
【請求項14】
請求項11又は13に記載のリーン車両であって、
前記第1の表示部は、前記リーン車両の前記左右方向における前記左バックミラーよりも右方向、又は前記リーン車両の前記左右方向における前記右バックミラーよりも左方向に配置される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リーン車両に関する。
【背景技術】
【0002】
リーン車両として、例えば、特許文献1には、情報を表示する表示部を備えた自動二輪車が示されている。例えば、特許文献1の表示部は、運転支援情報等の車両情報を提供する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、特許文献1の表示部は、運転者に対して車両に関する車両情報を表示する。現在、様々な車両において、車両情報をどのように表示するかが研究されている。リーン車両は、小型で且つ軽量であることが求められる。そのため、リーン車両では、運転者に対して車両情報を表示するスペースが限られている。例えば特許文献1では、車両情報を、リーン車両のバックミラーに表示する手段が提案されている。特許文献1に記載の車両情報を提供するリーン車両は、これにより、車両情報を表示する表示部であるバックミラーの大型化を抑制している。
【0005】
これに対し、車両情報の表示は、豊富なバリエーションを有することが望まれている。
【0006】
本発明の目的は、車両情報の表示のバリエーションを豊富にすることができるリーン車両を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
特許文献1では、車両情報がリーン車両のバックミラーの鏡面の一部に表示される。しかし、特許文献1に記載の車両では、車両情報を表示する場所が狭いために、車両情報の表示のバリエーションが少なくなる傾向がある。ここで、本発明者らは、車両情報の表示のバリエーションを豊富にすることについて検討した。車両情報の表示のバリエーションを豊富にするために、多くの表示が行われるようにすることが考えられる。しかし、例えばバックミラーに多くの表示を行うことは、通常、バックミラーの大型化を招きやすい。
【0008】
例えば、バックミラーの大型化を避けるべく、バックミラーの鏡面以外の部分も利用して更に表示部を設けることが考えられる。例えば、バックミラーの上面に表示部を更に設けることが考えられる。しかし、例えばリーン車両のバックミラーの上面に表示部を更に設けた場合、この表示部は、リーン車両の前後方向における前からも視認可能となる。リーン車両の前後方向における前からも視認可能な位置に車両情報を表示した場合、車両情報の表示方法によっては、リーン車両よりも前方の位置からの、当該リーン車両の状態の認識が容易でない場合が生じる。例えば、車両情報の表示が、停止灯と同一の色の点灯、又は方向指示器と同一の色の点滅と同じ場合には、リーン車両よりも前方の位置からの、当該リーン車両の状態の正確な認識が行いにくい。リーン車両のバックミラーの上面に表示部を更に設けた場合、車両情報の表示のバリエーションについて制約を受けてしまう。このように、リーン車両よりも前方の位置からの、当該リーン車両の状態の認識も考慮すると、車両情報の表示のバリエーションを豊富にすることは容易でない。
【0009】
本発明者らは、車両情報の表示のバリエーションを豊富にすることについて、更に検討した。この検討の中で、本発明者らは、リーン車両の前後方向における前から視認できない位置に、車両情報を表示する2つの表示部を設け、2つの表示部でのそれぞれの表示を同時に行うことにより、一つの車両情報を表すようにした。
【0010】
また、更に、本発明者らは、2つの表示部を、下記(i)又は(ii)のいずれかの要件を満たす空間領域内において、リーン車両に配置することにより、リーン車両において、車両情報を表示するバリエーションを豊富にできることを見出した。
(i) 前記空間領域は、下記(ia)~(ic)の領域が互いに重なり合うことにより画定される。
(ia) リーン車両の上下方向におけるメータの上端よりも上方向の領域。
(ib) リーン車両の左右方向における左バックミラーの左端よりも右方向で右バックミラーの右端よりも左方向の領域を左右方向に4等分した4つの区分領域のうち1つの区分領域及び隣り合う2つの区分領域の何れかの領域。
(ic) リーン車両の前後方向におけるシートの前端よりも前方向の領域。
(ii) 前記空間領域は、下記(iia)~(iib)の領域が互いに重なり合うことにより画定される。
(iia) リーン車両の左右方向における左バックミラーの左端よりも右方向でメータの左端よりも左方向の領域、及び右バックミラーの右端よりも左方向でメータの右端よりも右方向の領域の何れかの領域。
(iib) リーン車両の前後方向におけるシートの前端よりも前方向の領域。
【0011】
以上の目的を達成するために、本発明の一つの観点によれば、リーン車両は、次の構成を備える。
(1) リーン車両であって、
前記リーン車両は、
前記リーン車両の運転者が着座するシートと、
前記リーン車両の前後方向における前記シートの前端よりも前方向に配置され、前記リーン車両の走行状態が表示されるメータと、
前記リーン車両の左右方向における中央よりも左方向に配置され、前記運転者が前記リーン車両の前後方向における後方を視認するための左バックミラーと、
前記リーン車両の前記左右方向における中央から右方向に配置され、前記運転者が前記リーン車両の前後方向における後方を視認するための右バックミラーと、
前記リーン車両の前後方向における前から視認できず、後から視認できるように前記リーン車両に配置された第1の表示部及び第2の表示部であって、前記第1の表示部及び前記第2の表示部は、共に下記(i)又は(ii)の空間領域内において、前記リーン車両に配置され、前記第1の表示部に表示される第1の表示と前記第2の表示部に表示される第2の表示とが同時に表示されることにより1つの車両情報の表示を成し、
前記(i)の空間領域は、
前記リーン車両の上下方向における前記メータの上端よりも上方向の領域と、
前記リーン車両の前記左右方向における前記左バックミラーの左端よりも右方向で前記右バックミラーの右端よりも左方向の領域を左右方向に4等分した4つの区分領域のうち1つの前記区分領域及び隣り合う2つの前記区分領域の何れかの領域と、
前記リーン車両の前後方向における前記シートの前端よりも前方向の領域と
が互いに重なり合うことにより画定され、
前記(ii)の空間領域は、
前記リーン車両の前記左右方向における前記左バックミラーの左端よりも右方向で前記メータの左端よりも左方向の領域、及び前記右バックミラーの右端よりも左方向で前記メータの右端よりも右方向の領域の何れかの領域と、
前記リーン車両の前記前後方向における前記シートの前端よりも前方向の領域と
が互いに重なり合うことにより画定される、第1の表示部及び第2の表示部と
を備える。
【0012】
(1)のリーン車両は、シートと、メータと、左バックミラーと、右バックミラーと、第1の表示部及び第2の表示部とを備える。
シートは、運転者を着座させる。
メータは、リーン車両の前後方向におけるシートの前端よりも前方向に配置され、リーン車両の走行状態が表示される。
左バックミラーは、リーン車両の左右方向における中央から左方向に配置される。右バックミラーは、リーン車両の左右方向における中央よりも右方向に配置される。左バックミラー及び右バックミラーは、運転者がリーン車両の前後方向における後方を視認するのに使用される。
第1の表示部及び第2の表示部は、リーン車両の前後方向における前から視認できず、後から視認でき、第1の表示部に表示される第1の表示と第2の表示部に表示される第2の表示とが同時に表示されることにより1つの車両情報の表示を成す。
第1の表示部及び第2の表示部は、また、下記(i)又は(ii)の空間領域内において、リーン車両に配置される。
ここで、前記(i)の空間領域は、
前記リーン車両の上下方向における前記メータの上端よりも上方向の領域と、
前記リーン車両の前記左右方向における前記左バックミラーの左端よりも右方向で前記右バックミラーの右端よりも左方向の領域を左右方向に4等分した4つの区分領域のうち1つの前記区分領域及び隣り合う2つの前記区分領域の何れかの領域と、
前記リーン車両の前後方向における前記シートの前端よりも前方向の領域と
が互いに重なり合うことにより画定される。
また、前記(ii)の空間領域は、
前記リーン車両の前記左右方向における前記左バックミラーの左端よりも右方向で前記メータの左端よりも左方向の領域、及び前記右バックミラーの右端よりも左方向で前記メータの右端よりも右方向の領域の何れかの領域と、
前記リーン車両の前記前後方向における前記シートの前端よりも前方向の領域と
が互いに重なり合うことにより画定される。
【0013】
上記構成のリーン車両によれば、第1の表示部及び第2の表示部が、上記(i)又は(ii)の空間領域に配置される。これにより、(1)のリーン車両は、第1の情報と第2の情報とを近接して表示することが可能となる。また、上記構成のリーン車両によれば、第1の表示部に表示される第1の表示と第2の表示部に表示される第2の表示とが同時に表示されることにより1つの表示を成す。これにより、上記構成のリーン車両は、近接した位置に第1の情報と第2の情報とを同時に表示することが可能となる。従って、上記構成のリーン車両は、第1の表示と第2の表示とを組み合わせて様々なバリエーションで車両情報の表示を提供することができる。このため、上記構成によれば、リーン車両において、車両情報の表示のバリエーションを豊富にすることが可能になる。
【0014】
本発明の一つの観点によれば、リーン車両は、以下の構成を採用できる。
(2) (1)のリーン車両であって、
前記(ii)の空間領域は、
前記リーン車両の前記左右方向における前記左バックミラーの左端よりも右方向で前記メータの左端よりも左方向の領域、及び前記右バックミラーの右端よりも左方向で前記メータの右端よりも右方向の領域の何れかの間の領域と、
前記リーン車両の前記上下方向における前記メータの上端よりも上方向の領域と、
前記リーン車両の前記前後方向における前記シートの前端よりも前方向の領域と
が互いに重なり合うことにより画定される。
【0015】
上記構成のリーン車両によれば、第1の表示部と第2の表示部とがメータ及びメータよりも下方を避けて配置される。従って、上記構成のリーン車両は、表示を見るための運転者の視線の移動を抑えて情報の見易さや認知性を向上させつつ、豊富なバリエーションを有する車両情報を表示することが可能になる。
【0016】
本発明の一つの観点によれば、リーン車両は、以下の構成を採用できる。
(3) (1)又は(2)のリーン車両であって、
前記第1の表示部及び第2の表示部は、前記リーン車両の直進中に前記運転者が進行方向を注視した場合に、前記運転者の視野の50度以内に収まるように配置される。
【0017】
上記構成のリーン車両によれば、第1の表示部及び第2の表示部が、リーン車両の直進中に運転者が進行方向を注視した場合に、運転者の視野の50度以内に収まるように配置される。これにより、リーン車両の直進中に運転者が進行方向を注視した場合に、第1の表示部及び第2の表示部に表示された情報の存在を判定することができる。従って、上記構成のリーン車両は、前記リーン車両の直進中に運転者が進行方向を注視した場合に、情報の存在を判定できる位置に、第1の情報と第2の情報とを近接して同時に表示することが可能となる。
【0018】
本発明の一つの観点によれば、リーン車両は、以下の構成を採用できる。
(4) (1)~(3)の何れか1つのリーン車両であって、
前記第1の表示部及び前記第2の表示部は、前記リーン車両の前記運転者が前記シートに着座して前記第1の表示部を注視した場合に、前記第2の表示部及び背景が前記運転者の視野の15度以内に収まるように、又は前記第2の表示部を注視した場合に、前記第1の表示部及び背景が前記運転者の視野の15度以内に収まるように配置される。
【0019】
上記構成のリーン車両によれば、リーン車両の運転者がシートに着座して第1の表示部を注視した場合に、第2の表示部及び背景が運転者の視野の15度以内に収まるように配置される。又は、第2の表示部を注視した場合に、第1の表示部及び背景が運転者の視野の15度以内に収まるように配置される。これにより、上記構成のリーン車両によれば、リーン車両の運転者が第1の表示部を注視した場合に、眼球運動だけで瞬時に第2の表示部の情報を把握できるか、又はリーン車両の運転者が第2の表示部を注視した場合に、眼球運動だけで瞬時に第1の表示部の情報を把握することができる。従って、上記構成のリーン車両は、バリエーションの豊富な車両情報の認知性を向上させることができる。
【0020】
本発明の一つの観点によれば、リーン車両は、以下の構成を採用できる。
(5) (1)乃至(4)の何れか1つのリーン車両であって、
前記車両情報は、前記運転者に対する運転支援情報である。
【0021】
上記構成のリーン車両によれば、第1の表示と第2の表示とを組み合わせて様々な運転支援情報の表示を提供することができ、情報の見易さや認知性を向上させつつ、バリエーションの豊富な表示で運転を支援することが可能になる。
【0022】
本発明の一つの観点によれば、リーン車両は、以下の構成を採用できる。
(6) (1)乃至(5)の何れか1つのリーン車両であって、
前記第2の表示は、前記第1の表示を補完する。
【0023】
上記構成のリーン車両は、第1の表示部に表示される第1の表示と第2の表示部に表示される第2の表示との組み合わせ様々な表示を提供することができる。
【0024】
本発明の一つの観点によれば、リーン車両は、以下の構成を採用できる。
(7) (6)のリーン車両であって、
前記第1の表示は、表示の情報を視覚的に表す。
【0025】
上記構成のリーン車両では、第1の表示が情報を視覚的に表すことにより、車両情報の認知性を向上させることができる。
【0026】
本発明の一つの観点によれば、リーン車両は、以下の構成を採用できる。
(8) (7)のリーン車両であって、
前記第1の表示は、表示の情報の内容を単純化したシンボルである。
【0027】
上記構成のリーン車両は、第1の表示を、表示の内容を単純化したシンボルとすることにより、豊富なバリエーションを有する車両情報の見易さや認知性を向上させることができる。
【0028】
本発明の一つの観点によれば、リーン車両は、以下の構成を採用できる。
(9) (1)乃至(8)の何れか1つのリーン車両であって、
前記第1の表示はピクトグラムであり、前記第2の表示はインジケータである。
【0029】
上記構成のリーン車両は、ピクトグラムとインジケータを組み合わせることにより、車両情報の表示のバリエーションを豊富にすることができる。
【0030】
本発明の一つの観点によれば、リーン車両は、以下の構成を採用できる。
(10) (1)乃至(9)の何れか1つのリーン車両であって、
前記第2の表示は、前記第1の表示よりも照度が明るい。
【0031】
上記構成のリーン車両は、ピクトグラムよりもインジケータの照度を明るくすることにより、車両情報の認知性を向上させることができる。
【0032】
本発明の一つの観点によれば、リーン車両は、以下の構成を採用できる。
(11) (1)乃至(10)の何れか1つのリーン車両であって、
前記第1の表示部及び前記第2の表示部は、共に前記左バックミラー及び前記右バックミラーの少なくとも何れかに配置される。
【0033】
上記構成のリーン車両によれば、第1の表示部及び第2の表示部は、共に左バックミラー及び右バックミラーの少なくとも何れかに配置される。これにより、(11)のリーン車両は、リーン車両の直進中に運転者が進行方向を直視した場合に、情報の存在を判定できる位置に、第1の情報と第2の情報とを近接して同時に表示することが可能となる。
【0034】
本発明の一つの観点によれば、リーン車両は、以下の構成を採用できる。
(12) (1)乃至(10)の何れか1つのリーン車両であって、
前記リーン車両は、ウインドスクリーンを備え、
前記第1の表示部及び前記第2の表示部は、前記ウインドスクリーンに配置される。
【0035】
上記構成のリーン車両によれば、第1の表示部及び第2の表示部は、ウインドスクリーンに配置される。これにより、(12)のリーン車両は、リーン車両の直進中に運転者が進行方向を直視した場合に、情報の存在を判定できる位置に、第1の情報と第2の情報とを近接して同時に表示することが可能となる。
【0036】
本発明の一つの観点によれば、リーン車両は、以下の構成を採用できる。
(13) (1)乃至(10)の何れか1つのリーン車両であって、
前記リーン車両は、ウインドスクリーンを備え、
前記第1の表示部は、前記左バックミラー及び前記右バックミラーの少なくとも何れかに配置され、前記第2の表示部は、前記ウインドスクリーンに配置される。
【0037】
上記構成のリーン車両は、前記リーン車両の直進中に運転者が進行方向を直視した場合に、情報の存在を判定できる位置に、第1の情報と第2の情報とを近接して同時に表示することが可能となる。
【0038】
本発明の一つの観点によれば、リーン車両は、以下の構成を採用できる。
(14) (11)又は(13)のリーン車両であって、
前記第1の表示部は、前記リーン車両の前記左右方向における前記左バックミラーよりも右方向、又は前記リーン車両の前記左右方向における前記右バックミラーよりも左方向に配置される。
【0039】
上記構成のリーン車両は、前記リーン車両の直進中に運転者が進行方向を直視した場合に、情報の存在を判定できる位置に、第1の情報と第2の情報とを近接して同時に表示することが可能となる。
【0040】
本明細書にて使用される専門用語は特定の実施例のみを定義する目的であって発明を制限する意図を有しない。本明細書にて使用される用語「及び/又は」は一つの、又は複数の関連した列挙された構成物のあらゆる又は全ての組み合わせを含む。本明細書中で使用される場合、用語「含む、備える(including)」「含む、備える(comprising)」又は「有する(having)」及びその変形の使用は、記載された特徴、工程、操作、要素、成分及び/又はそれらの等価物の存在を特定するが、ステップ、動作、要素、コンポーネント、及び/又はそれらのグループのうちの1つ又は複数を含むことができる。本明細書中で使用される場合、用語「取り付けられた」、「接続された」、「結合された」及び/又はそれらの等価物は広く使用され、直接的及び間接的な取り付け、接続及び結合の両方を包含する。更に、「接続された」及び「結合された」は、物理的又は機械的な接続又は結合に限定されず、直接的又は間接的な電気的接続又は結合を含むことができる。他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての用語(技術用語及び科学用語を含む)は、本発明が属する当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。一般的に使用される辞書に定義された用語のような用語は、関連する技術及び本開示の文脈における意味と一致する意味を有すると解釈されるべきであり、本明細書で明示的に定義されていない限り、理想的又は過度に形式的な意味で解釈されることはない。本発明の説明においては、多数の技術及び工程が開示されていると理解される。これらの各々は個別の利益を有し、それぞれは、他の開示された技術の1つ以上、又は、場合によっては全てと共に使用することもできる。従って、明確にするために、この説明は、不要に個々のステップの可能な組み合わせを全て繰り返すことを控える。それにもかかわらず、明細書及び特許請求の範囲は、そのような組み合わせが全て本発明及び請求項の範囲内にあることを理解して読まれるべきである。
【0041】
本明細書では、新しいリーン車両について説明する。以下の説明では、説明の目的で、本発明の完全な理解を提供するために多数の具体的な詳細を述べる。しかしながら、当業者には、これらの特定の詳細なしに本発明を実施できることが明らかである。本開示は、本発明の例示として考慮されるべきであり、本発明を以下の図面又は説明によって示される特定の実施形態に限定することを意図するものではない。
【0042】
リーン車両は、例えばリーン姿勢で旋回可能に構成されている鞍乗型車両である。リーン姿勢で旋回可能に構成された鞍乗型車両は、カーブの内方向に傾いた姿勢で旋回するように構成される。これにより、リーン姿勢で旋回可能に構成された鞍乗型車両は、旋回時に鞍乗型車両に加わる遠心力に対抗する。リーン姿勢で旋回可能に構成された鞍乗型車両では、軽快性が求められるため、発進の操作に対する進行の応答性が重要視される。
【0043】
鞍乗型車両(straddled vehicle)とは、運転者がサドルに跨って着座する形式のビークルをいう。鞍乗型車両は、ライダーの体重移動によって走行乃至旋回を行うように構成されている。鞍乗型車両は、ライダーにより把持されるハンドルバーを備える。鞍乗型車両は、ライダーが、走行乃至旋回時に、両手でハンドルバーを把持しながら体重移動による姿勢制御を行うように構成されている。鞍乗型車両としては、例えば、スクータ型、モペット型、オフロード型、オンロード型の自動二輪車が挙げられる。また、カーブに対して内側にリーンするようにリーン姿勢で旋回可能に構成された鞍乗型車両は、リーン車両の一例である。また、リーン車両としては、自動二輪車に限定されず、例えば、自動三輪車、ATV(All-Terrain Vehicle)等であってもよい。自動三輪車は、2つの前輪と1つの後輪とを備えていてもよく、1つの前輪と2つの後輪とを備えていてもよい。リーン車両の駆動輪は、後輪であってもよく、前輪であってもよい。リーン車両における各方向は、直立状態のリーン車両における方向である。
【0044】
メータは、例えばリーン車両の走行状態を表示する表示機器である。メータは、例えばリーン車両のエンジンの状態を表示する表示機器であってもよい。メータは、例えばスピードメータ、タコメータ、燃料計、水温系であるが、これらに限定されない。メータは、例えばアナログ式のメータである。メータは、例えばデジタル式のメータである。メータは、複数の種類のメータが別体となっていてもよいし、複数の種類のメータが一体となっていてもよい。メータは、例えば、少なくとも車速に係る情報を表示する表示機器である。リーン車両が、動力源として、回転パワーを出力する装置(例えばエンジン、モータ)を備える場合、車速に係る情報は、当該動力源の回転速度を含んでいてもよい。メータは、例えば、車両の左右方向において車両の中心を通る位置に設置される。メータは、例えば、メータの少なくとも一部が、車両の左右方向におけるハンドル両端の間に含まれるように配置される。メータは、例えば、車両の前後方向においてシート前端よりも前に設置される。メータは、例えば、走行状態を表示する表示装置をライダーから視認可能とするための透明な表示盤と、表示盤を囲うとともに表示装置を収容するように設けられるケースとを含む。この場合、メータの上端は、ライダーから視認され得る範囲において、表示盤の上端であってもよく、ケースの上端であってもよい。
【0045】
バックミラーは、リーン車両の運転者がリーン車両の前後方向における後方を視認するために使用される。バックミラーは、例えばリーン車両の前後方向及び左右方向における右後方確認用と左後方確認用が挙げられるが、確認する方向はこれらに限定されない。運転者がリーン車両の前後方向における後方を視認するために使用される。バックミラーは、例えばリーン車両のハンドル又はフロントフォークに取り付けられるが、取付位置はこれらに限定されない。
【0046】
表示部は、例えば、LED、導光帯、小型ディスプレイ等が挙げられる。小型ディスプレイは、例えば小型液晶ディスプレイが挙げられるが、これに限定されない。表示部が、リーン車両の前後方向における前から視認できず、後から視認できるとは、表示部の光源即ち光る部分がリーン車両の前後方向における前から直接視認できず、後から直接視認できることを示す。例えば、表示部の光源の光が周辺の部材や空気に反射することで間接的に見えることは、前から視認できることに該当しない。第1の表示部と第2の表示部とは、例えば、互いに種類の異なる表示装置により構成されていてもよい。
【0047】
情報の表示は、視認可能な表示である。情報の表示は、例えばシンボル及びインジケータを含む。情報の表示は、視認可能な表示に、音又は振動による表示が追加されていてもよい。第1の表示と第2の表示とが同時に表示されることは、例えば、第1の表示と第2の表示とが時間的に互いに重複するように表示されることをいう。第1の表示と第2の表示とが同時に表示されることは、例えば、第1の表示と第2の表示とが同時に表示される期間を有するように表示されることをいう。以下の態様は、第1の表示と第2の表示とが同時に表示されることに該当する。
第1の表示と第2の表示とが同時に表示され始めること。
第1の表示と第2の表示のうち、一方が表示されている時に、他方が表示され始めること。
第1の表示と第2の表示との同時表示により1つの車両情報の表示を成すことは、例えば、以下のいずれかを意味する。
第1の表示及び第2の表示の両方が互いに意味的及び/又は視覚的に関連することより1つの車両情報を示すこと
第1の表示及び第2の表示の両方が意味的及び/又は視覚的に当該1つの車両情報に関連すること
第1の表示及び第2の表示のうち、少なくとも一方が他方を意味的及び/又は視覚的に補完すること
例えば、第2の表示が、リーン車両へ接近する物体の存在を示し、第1の表示が、当該物体が車両であることを示す場合、第1の表示は第2の表示を意味的に補完しているといえる。また、例えば、第2の表示が、第1の表示よりも、ライダーの視野における中央部により近い位置に配置され、第2の表示が第1の表示よりも明るい場合、第2の表示は、第1の表示を視覚的に補完しているといえる。
なお、1つの車両情報は、例えば、走行中に生じる1つの出来事に相当する。上述した例では、1つの車両がリーン車両へ接近した時に、第1及び第2の表示により、1つの車両がリーン車両へ接近したことを、1つの車両情報として表示する。例えば、1つの車両が接近したことを第1の表示で示し、別の1つの車両が接近したこと第2の表示で示す場合、これら第1及び第2の表示は、1つの車両情報を成していない。
シンボルは、情報の内容を単純化して示す形態である。シンボルは例えば、ピクトグラム及び文字を含む。表示の形態が、例えばシンボルである場合、表示部は、例えばLEDを使用する。表示の形態が、例えばシンボルである場合、表示部は、例えば小型ディスプレイを使用してもよい。シンボルは、例えば複数のピクトグラムを使用することによって、バリエーションを与えることができる。ピクトグラムは、例えば、単純化した図である。シンボルは、例えば簡略化した図により表してもよいが、これらに限定されない。
【0048】
インジケータは、情報の有無又は情報の量を表す。インジケータ自体は、例えば、情報の意味を直接に表さない。インジケータは、例えば光の点灯及び消灯によって何らかの情報の有無を表す。また、インジケータは、例えば、光の輝度、色、又は表示面積によって、情報の重要度又は緊急度を表してもよい。例えば表示がインジケータである場合、表示部は例えば発光装置を使用する。表示部は、例えばLEDを使用する。表示が、例えばインジケータである場合、表示部は、例えば導光材を使用してもよい。インジケータは、例えば色、点灯箇所、点滅回数及び点滅間隔を変更することによって、複数のバリエーションを与えることができる。
【0049】
車両情報は、例えば運転支援情報である。運転支援情報は、例えば、近距離無線を使用して得られた自車両に対する他車両の位置や走行方向及び速度等、自車両と他車両との関係を示す情報である。運転支援情報は、例えば自車両の速度、加速度及びリーン角等自車両の走行状態を示す情報であってもよい。また、運転支援情報は、自車両のエンジン、バッテリ等の部品の状態を示す情報であってもよい。
【発明の効果】
【0050】
本発明によれば、車両情報の表示のバリエーションを豊富なすることができるリーン車両を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【
図1】本発明の一実施形態に係る鞍乗型車両の構成を示す外観図である。
【
図2】
図1の自動二輪車の第1の表示部及び第2の表示部の拡大図である。
【
図3】
図2の第1の表示部に表示される第1の表示の例を示す図である。
【
図4】
図2の第2の表示部に表示される第2の表示の例を示す図である。
【
図6】
図1の自動二輪車を前方向に見た場合の、自動二輪車の上下方向における上部且つ自動二輪車の前後方向における前部の一部の外観の一例を示す図である。
【
図7】
図1の自動二輪車を前方向に見た場合の、自動二輪車の上下方向における上部且つ自動二輪車の前後方向における前部の一部の外観の他の例を示す図である。
【
図8】
図1の自動二輪車を前方向に見た場合の、自動二輪車の上下方向における上部且つ自動二輪車の前後方向における前部の一部の外観の他の例を示す図である。
【
図9】
図1の自動二輪車の運転者が、自動二輪車の直進方向を注視した場合の、運転者の視野を示す図である。
【
図10】
図1の自動二輪車の運転者が、自動二輪車の直進方向を注視した場合の、運転者の視野を示す図である。
【
図11】
図1の自動二輪車の標準的な運転者の乗車姿勢を示す図である。
【
図12】
図1の自動二輪車の運転者のアイポイントを説明する図である。
【
図13】
図1の自動二輪車の制御装置のデバイスコントロールユニットの電気的な構成を示す図である。
【
図14】
図1の自動二輪車を前方向に見た場合の、自動二輪車の上下方向における上部且つ自動二輪車の前後方向における前部の一部の外観の他の例を示す図である。
【
図15】
図1の自動二輪車を前方向に見た場合の、自動二輪車の上下方向における上部且つ自動二輪車の前後方向における前部の一部の外観の他の例を示す図である。
【
図16】
図1の自動二輪車を前方向に見た場合の、自動二輪車の上下方向における上部且つ自動二輪車の前後方向における前部の一部の外観の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0052】
以下、本発明を、図面を参照しつつ説明する。先ず、
図1を参照して、本発明の一実施形態に係るリーン車両の概要について説明する。
図1は、本発明の一実施形態にかかる自動二輪車1の構成を示す外観図である。自動二輪車1は、リーン車両の一例である。
【0053】
図1における矢印Fは、自動二輪車1における前方向を示している。前方向は、自動二輪車1が走行する方向である。矢印Bは、後ろ方向を示している。矢印F及び矢印Bは、自動二輪車1における前後方向FBを表している。前方向F、後ろ方向B、及び前後方向FBは、自動二輪車1の直立状態における水平面と平行である。矢印Uは上方向を示している。矢印Dは下方向を示している。矢印U及び矢印Dは、自動二輪車1における上下方向UDを表している。上方向U、下方向D及び上下方向UDは、自動二輪車1の直立状態における鉛直方向と平行である。自動二輪車1に乗車した運転者の右方向と左方向を
図1のパート(b)乃至パート(d)に表す矢印L及び矢印Rで示す。矢印L及び矢印Rは、自動二輪車1における左右方向LRを表している。
【0054】
図1の自動二輪車1は、車体2と、エンジンユニット3と、ステアリングハンドル4aと、リアアーム4bと、前輪5aと、後輪5bとを備える。
図1のパート(a)は、自動二輪車1の左側面図である。エンジンユニット3は、車体2に取付けられる。エンジンユニット3は、エンジン3aと、変速機3bとを備える。エンジン3aは、自動二輪車1の動力源である。変速機3bは、エンジン3aからの駆動力を、変速して出力する。ステアリングハンドル4aは、車体2に回転可能に取り付けられる。ステアリングハンドル4aには、前輪5aが回転可能に取付けられる。リアアーム4bは、車体2に揺動可能に取り付けられる。リアアーム4bには、後輪5bが回転可能に取付けられる。後輪5bは、自動二輪車1の駆動輪である。変速機3bから出力される動力は、後輪5bに動力伝達機構5cを介して伝達される。
【0055】
自動二輪車1は、シート10と、メータ20と、左バックミラー30aと、右バックミラー30bと、第1の表示部41及び第2の表示部42とを備える。
図1のパート(b)及びパート(c)は、自動二輪車1を前方向に見た場合の、自動二輪車1の上下方向UDにおける上部且つ自動二輪車の前後方向FBにおける前部の一部の外観を示している。
図1のパート(d)は、自動二輪車1の第1の表示部41及び第2の表示部42の拡大図である。シート10は、自動二輪車1の運転者を着座させる。シート10は、自動二輪車1を左右方向LRに見て、上輪郭線の一部を構成する。メータ20には、自動二輪車1の走行状態が表示される。メータ20は、自動二輪車1の前後方向FBにおけるシート10の前端11よりも前方向Fに配置される。本実施形態において、メータ20は、スピードメータとタコメータとから構成される。
【0056】
左バックミラー30aは、自動二輪車1の左右方向LRにおける中央よりも左方向Lに配置される。具体的には、左バックミラー30aは、自動二輪車1を前方向に見て、左右方向LRにおける中心線C1よりも左方向Lに配置される。右バックミラー30bは、自動二輪車1の左右方向LRにおける中央から右方向Rに配置される。具体的には、右バックミラー30bは、自動二輪車1を前方向に見て、左右方向LRにおける中心線C1よりも右方向Rに配置される。左バックミラー30a及び右バックミラー30bは、運転者が自動二輪車1の前後方向FBにおける後方を視認するのに使用される。本実施形態において、左バックミラー30aと、右バックミラー30bとは、車体2を覆う車体カバー2aに取付けられる。
【0057】
第1の表示部41及び第2の表示部42は、自動二輪車1の前後方向FBにおける前方向Fから視認できず、後方向Bから視認できる。第1の表示部41には第1の表示41aが表示され、第2の表示部42には第2の表示42aが表示される。第1の表示部41に表示される第1の表示41aと第2の表示部42に表示される第2の表示42aとは、同時に表示されることにより1つの車両情報の表示を成す。詳細には、第1の表示41aは、表示の情報を視覚的に表し、第2の表示42aは、第1の表示41aを補完する。本実施形態においては、第2の表示42aは第1の表示41aの注意を喚起する表示である。自動二輪車1の運転者は、第2の表示42aに気付くことにより、第1の表示41aを認知する。第1の表示部41及び第2の表示部42は、下記(i)又は(ii)の空間領域内において、リーン車両に配置される。
【0058】
図1の自動二輪車1は、制御装置6を備える。制御装置6は、エンジンコントロールユニット(ECU)6aと、デバイスコントロールユニット6bとから構成される。エンジンコントロールユニット6aは、自動二輪車1の運転者のアクセルグリップ4cの操作に応じて、エンジン3aの燃料噴射量、スロットル弁開度及び点火プラグの点火等を制御する。デバイスコントロールユニット6bは、車車間通信アンテナ及び路車間通信アンテナ等の図示しないアンテナ及び自動二輪車1の図示しない各部センサからの情報により、第1の表示部41及び第2の表示部42に表示する情報を選択する。デバイスコントロールユニット6bは、選択した情報を第1の表示部41及び第2の表示部42に表示する。
【0059】
ここで、
図1のパート(b)を参照して、(i)の空間領域を説明する。(i)の空間領域は、下記(ia)~(ic)の領域が互いに重なり合うことにより画定される。
(ia)自動二輪車1の上下方向UDにおけるメータ20の上端よりも上方向Uの領域X1。
(ib)自動二輪車1の左右方向LRにおける左バックミラー30aの左端よりも右方向Rで右バックミラー30bの右端よりも左方向Lの領域Y1を左右方向LRに4等分した4つの区分領域Y1a、Y1b、Y1c、及びY1dのうち1つの区分領域及び隣り合う2つの区分領域の何れかの領域。
(ic)自動二輪車1の前後方向FBにおけるシート10の前端11よりも前方向Fの領域Z(
図1パート(a)参照)
【0060】
次に、
図1のパート(c)を参照して、(ii)の空間領域を説明する。(ii)の空間領域は、下記(iia)~(iib)の領域が互いに重なり合うことにより画定される。
(iia)自動二輪車1の左右方向LRにおける左バックミラー30aの左端よりも右方向Rでメータ20の左端よりも左方向Lの領域Y2a、及び右バックミラー30bの右端よりも左方向Lでメータ20の右端よりも右方向Rの領域Y2bの何れかの領域。
(iib)自動二輪車1の前後方向FBにおけるシート10の前端11よりも前方向Fの領域Z(
図1パート(a)参照)。
【0061】
本実施形態の自動二輪車1によれば、第1の表示部41及び第2の表示部42が、上記(i)又は(ii)の空間領域に配置される。これにより、本実施形態の自動二輪車1は、第1の表示41aによる第1の情報と第2の表示42aによる第2の情報とを近接して表示することが可能となる。また、本実施形態の自動二輪車1によれば、第1の表示部41に表示される第1の表示41aと第2の表示部42に表示される第2の表示42aとが同時に表示されることにより1つの表示を成す。これにより、自動二輪車1は、近接した位置に2つの情報を同時に表示することが可能となる。従って、自動二輪車1は、第1の表示41aと第2の表示42aとを組み合わせて様々なバリエーションで車両情報の表示を提供することができる。このため、本実施形態によれば、自動二輪車1において、車両情報の表示のバリエーションを豊富にすることが可能になる。
【0062】
また、本実施形態の自動二輪車1によれば、第1の表示部41及び第2の表示部42が、上記(i)又は(ii)の空間領域に配置される。これにより、本実施形態の自動二輪車1は、運転者が視線を動かさずに情報に気付くことができる範囲内に、第1の表示41a及び第2の表示42aを表示させることができる。詳細には、第1の表示部41及び第2の表示部42は、自動二輪車1の運転者が自動二輪車1の進行方向を注視した場合に、運転者の周辺視野のうち、色や動きを感じ取れる範囲であり、視線を動かさずに情報に気付くことが可能な範囲内に入ることができる。第1の表示部41及び第2の表示部42が周辺視野のこのような範囲内に入ることにより、自動二輪車1の運転者は、視線を動かさずに第1の表示41a及び第2の表示42aに気付くことができる。この時、第1の表示41aを簡単なシンボル表示とし、第2の表示42aを第1の表示41aを補完する表示とすることにより、運転者が、第1の表示41a及び第2の表示42aを注視することなく認知することができる。
【0063】
また、自動二輪車1は、第1の表示部41及び第2の表示部42双方が、上記(i)又は(ii)の空間領域に配置されるため、情報を視覚的に表す第1の表示41aに、第1の表示41aを補完する第2の表示42aを近接して表示することができる。詳細には、第1の表示部41及び第2の表示部42は、自動二輪車1の運転者が第2の表示部42を注視した時に、第1の表示部41が少なくとも第2の表示部42の周辺視野のうち、色や動きを感じ取れる範囲であり、視線を動かさずに情報に気付くことが可能な範囲に配置される。又は、第1の表示部41及び第2の表示部42は、自動二輪車1の運転者が第1の表示部41を注視した時に、第2の表示部42が少なくとも第1の表示部41の周辺視野のうち、色や動きを感じ取れる範囲であり、視線を動かさずに情報に気付くことが可能な範囲に配置される。これにより、自動二輪車1の運転者が、第2の表示42aに気付いた場合に、第1の表示41aを注視することなく認知することができる。
【0064】
なお、本実施形態において、第1の表示部41及び第2の表示部42は、左バックミラー30a及び右バックミラー30bのうち、少なくとも何れかに配置される。即ち、本実施形態の自動二輪車1は、左バックミラー30a及び右バックミラー30bのうち、少なくとも何れかを上記(i)又は(ii)の空間領域に配置している。本実施形態の自動二輪車1において、表示部41及び表示部42双方が、左バックミラー30a及び右バックミラー30bのうち、少なくとも何れかに配置されるため、第1の表示41aと第2の表示42aとを近接して配置して表示することが可能となる。
【0065】
[表示部の構成]
第1の表示部41及び第2の表示部42の構成について説明する。
図2は、
図1の自動二輪車1の第1の表示部41及び第2の表示部42の拡大図である。本実施形態において、表示部41及び表示部42は、左バックミラー30a及び右バックミラー30bのうち、少なくとも何れかに配置される。
図2は、表示部41及び表示部42を、左バックミラー30aに配置した場合を示している。
【0066】
図2において、第1の表示部41は、左バックミラー30aの鏡面302aの左右方向LRにおける右部分(自動二輪車1の中央寄りの部分)に配置される。第1の表示部41は、LED等の発光体又は液晶等の小型ディスプレイにより構成される。本実施形態において、第1の表示部41に表示される第1の表示41aは、表示の情報の内容を単純化して視覚的に表すシンボルである。より詳細には、第1の表示41aは、ピクトグラム表示により情報の種類を表示する。第1の表示41aの種類としては、例えば、「接近車両が存在する」、「緊急自動車が接近する」及び「車両に不具合が発生している」等がある。また、第1の表示41aは、第2の表示42aと組み合わせて、速度表示等の車両の状態の表示を行うことができる。
【0067】
また、
図2において、第2の表示部42は、左バックミラー30aの縁部分301aの上下方向UDにおける上方向U且つ左右方向LRにおける右部分(自動二輪車1の左右方向LRにおける中央寄りの部分)に配置される。第2の表示部42は、1又は複数のLED等の発光体、又は導光帯により構成される。第2の表示部42に表示される第2の表示42aは、インジケータ表示である。第2の表示42aは、インジケータ表示により第1の表示41aによる情報の緊急度又は重要度、又は第1の表示41aの情報の数値を表示する。第2の表示部42は、例えば、フルカラーによる表示が可能である。また、第2の表示部42は、例えば、複数の表示エレメントをそれぞれ独立して点灯させることができる。また、第2の表示部42は、例えば、点滅サイクルを変更することができる。
【0068】
第1の表示部41及び第2の表示部42は、以下の条件に従って設けられる。先ず、第1の表示部41及び第2の表示部42は、自動二輪車1の前後方向FBにおける前方向Fから視認できないように配置する。次に、第1の表示部41及び第2の表示部42において、橙色及び赤色の光を点灯させる場合、フラッシャ及びブレーキランプと混同しないように表示する。また、第1の表示部41及び第2の表示部42において、白色は点灯しないようにする。さらに、第1の表示41a及び第2の表示42aは、左バックミラー30a及び右バックミラー30bの後方像が映る鏡面部には配置せず、鏡面部(視認部)以外の部分に配置する。
【0069】
第1の表示部41に表示される第1の表示41aと、第2の表示部42に表示される第2の表示42aとは、同時に表示されることにより1つの表示を成す。これにより、自動二輪車1は、第1の表示41aと第2の表示42aとを組み合わせて様々なバリエーションで車両情報の表示を提供する。第1の表示41aと第2の表示42aとを組み合わせて表示される車両情報は、例えば、自動二輪車1の運転者に対する運転支援情報である。以下に、具体的な表示方法を示す。
【0070】
図3は、
図2の第1の表示部41に表示される第1の表示41aの例を示す図である。デバイスコントロールユニット6bは、取得した情報に応じて、第1の表示部41に表示するピクトグラム表示を選択する。以下の
図3(a)~(g)において、第1の表示部41に表示するピクトグラム表示の例を列挙する。
図3(a)は、自車両である自動二輪車1の間近に他車両が接近している、又は自車両である自動二輪車1が他車両の間近に接近している旨を示す表示である。本表示は、自動二輪車1に搭載の車車間通信機器が、自動二輪車1の間近に接近する車両を検知した時に、表示される。自動二輪車1の運転者が、他車両が接近していること及び他車両に接近していることに気付かない場合、この表示により自動二輪車1の運転者に車両の接近を知らせることができる。
図3(b)は、自車両である自動二輪車1に緊急自動車が接近する旨を示す表示である。本表示は、自動二輪車1に搭載の車車間通信機能により、自動二輪車1の周囲に接近する緊急自動車を検知した時に、表示される。自動二輪車1は、緊急自動車に進路を譲る必要があるため、本表示により、緊急自動車の接近を知らせることができる。
図3(c)は、着信があった旨の表示である。本表示は、自動二輪車1に搭載のデバイスコントロールユニット6bにスマートフォン等を接続した場合、接続したスマートフォンに着信があったときに表示される。
図3(d)は、緊急通報を示す表示である。本表示は、
図3(a)から
図3(g)の例の他に、自動二輪車1に搭載されたセンサからの検出値の評価結果により、自動的な緊急通報を行った場合に表示させても良い。。
図3(e)は、ブラインドスポットディテクション(後方死角検知)の表示である。本表示は、自動二輪車1に搭載のレーダセンサが側面及び後方車両との車間距離と車速の差を測定することにより表示される。本表示により、自動二輪車1の後方の死角位置に他車両が存在することを運転者に知らせることができる。
図3(f)は、制限速度の表示である。本表示は、自動二輪車1に搭載の路車間通信機器が、走行中の道路の制限速度を検知した時に表示される。本表示により、自動二輪車1の走行中の道路の制限速度を運転者に知らせることができる。
図3(g)は、速度表示である。本表示は、自動二輪車1に搭載の速度センサにより取得した自動二輪車1の車速を運転者に知らせる時に表示される。本表示は、第2の表示部42に表示される第2の表示42aと組み合わせることにより、自動二輪車1の車速を知らせることができる。
【0071】
図4は、
図2の第2の表示部42に表示される第2の表示42aの例を示す図である。第2の表示42aは、インジケータ表示により表示される。第2の表示42aは、インジケータ表示により、第1の表示部41に表示される第1の表示41aを補完する。詳細には、デバイスコントロールユニット6bが、以下のように第2の表示部42においてインジケータ表示を行う。これにより、第2の表示42aは、第1の表示部41に表示される第1の表示41aの緊急度及び重要度、又は第1の表示41aの情報の数値を表示する。この時、第2の表示42aであるインジケータ表示の照度を、第1の表示41aであるピクトグラム表示の照度よりも明るくする。そうすると、自動二輪車1の運転者は、まず、第2の表示42aに気付き、その後、第2の表示42aに近接して表示される第1の表示41aを認知することができる。
【0072】
第1の例として、デバイスコントロールユニット6bは、第2の表示42aのインジケータ表示の色を変更することにより、第1の表示部41に表示される第1の表示41aの緊急度及び重要度を表す(
図4(a)参照)。例えば、デバイスコントロールユニット6bは、人間の注意を引きやすい色(注意喚起しやすい色)によりインジケータ表示を行う。これにより、自動二輪車1は、運転者に第1の表示41aの緊急度及び重要度が高いことを知らせることができる。これに対し、デバイスコントロールユニット6bは、注意喚起の度合いを落とした色によりインジケータ表示を行う。これにより、自動二輪車1は、運転者に第1の表示41aの緊急度及び重要度が低いことを知らせることができる。
【0073】
第2の例として、デバイスコントロールユニット6bは、第2の表示42aのインジケータ表示の点灯箇所を変更することにより、第1の表示部41に表示される第1の表示41aの緊急度及び重要度を表す(
図4(b)参照)。例えば、デバイスコントロールユニット6bは、第2の表示42aの点灯箇所を多くすることによりインジケータ表示を行う。これにより、自動二輪車1は、運転者に第1の表示41aの緊急度及び重要度が高いことを知らせることができる。これに対し、デバイスコントロールユニット6bは、第2の表示42aの点灯箇所を少なくすることによりインジケータ表示を行う。これにより、自動二輪車1は、運転者に第1の表示41aの緊急度及び重要度が低いことを知らせることができる。
【0074】
第3の例として、デバイスコントロールユニット6bは、第2の表示42aのインジケータ表示の点滅サイクルを変更することにより、第1の表示部41に表示される第1の表示41aの緊急度及び重要度を表す(
図4(c)参照)。例えば、デバイスコントロールユニット6bは、第2の表示42aの点滅サイクルを早くすることによりインジケータ表示を行う。これにより、自動二輪車1は、運転者に第1の表示41aの緊急度及び重要度が高いことを知らせることができる。これに対し、デバイスコントロールユニット6bは、第2の表示42aの点滅サイクルを遅くすることによりインジケータ表示を行う。これにより、自動二輪車1は、運転者に第1の表示41aの緊急度及び重要度が低いことを知らせることができる。
【0075】
第1乃至第3の例では、運転者に緊急度又は重要度の高い情報を知らせることができる。例えば、自動二輪車1の間近に他車両が接近した場合、デバイスコントロールユニット6bは、第2の表示42aに注意喚起しやすい色のインジケータ表示をする。これにより、自動二輪車1は、運転者に第1の表示部41に表示された、間近に他車両が接近している旨のピクトグラム表示(
図3(a))を認知させることができる。自動二輪車1の運転者は、第2の表示部42のインジケータ表示に気付き、第1の表示部41に表示されるピクトグラム表示を認知することにより、自動二輪車1の間近に他車両が接近していることを知ることができる。また、デバイスコントロールユニット6bが、第2の表示42aの点灯箇所を増やす、又は点滅サイクルを早くすることにより、自動二輪車1は、運転者に他車両が間近に接近していることを知らせることもできる。
【0076】
また、第1乃至第3の例では、自動二輪車1は、運転者に対して緊急度又は重要度の高い情報と、緊急度又は重要度の低い情報とを区別して知らせることができる。例えば、デバイスコントロールユニット6bは、緊急自動車の接近(
図3(b))等、上述した自動二輪車1の間近に他車両が接近した場合等よりも緊急度又は重要度の低い情報を取得する。この場合は、デバイスコントロールユニット6bは、第2の表示部42に表示される緊急度又は重要度を落として第2の表示部42に表示して、第1の表示部41に
図3(b)のピクトグラム表示をする。具体的には、デバイスコントロールユニット6bは、第2の表示部42に表示されるインジケータ表示の色の注意喚起の度合いを落とすことにより、情報の緊急度又は重要度を落としたインジケータ表示をする。また、デバイスコントロールユニット6bは、第2の表示部42に表示されるインジケータ表示の点灯箇所を少なくする、又は点滅サイクルを遅くする等により、情報の緊急度又は重要度を落としたインジケータ表示をする。この場合、運転者は、第2の表示42aにより第1の表示41aを認識し、緊急自動車に対する対応を取ることができるようになる。また、例えば、デバイスコントロールユニット6bは、接続したスマートフォン等に着信があった(
図3(c))等、上述した
図3(a)及び
図3(b)の場合よりも更に緊急度又は重要度の低い情報を取得する。この場合は、デバイスコントロールユニット6bは、緊急度又は重要度を更に落として第2の表示部42にインジケータ表示をし、第1の表示部に
図3(c)のピクトグラム表示をすることができる。
【0077】
また、第1乃至第3の例は、例えば、
図3(d)のピクトグラム表示と組み合わせることにより、車両の不具合の度合いを表示することができる。例えば、自動二輪車1に大きな不具合が発生している場合には、デバイスコントロールユニット6bは、第2の表示部42に緊急度が高い旨の表示をする。これにより、自動二輪車1は、運転者に第1の表示部41に表示されるピクトグラム表示を認知させることができる。これに対し、自動二輪車1に小さな不具合が発生している場合には、デバイスコントロールユニット6bは、第2の表示部42に緊急度又は重要度を落としたインジケータ表示をする。これにより、自動二輪車1は、運転者に第1の表示部41に表示されるピクトグラム表示を認知させることができる。
【0078】
また、第1乃至第3の例は、例えば、
図3(e)のピクトグラム表示と組み合わせることにより、自動二輪車1の後方の死角位置に他車両が存在することを運転者に知らせることができる。例えば、自動二輪車1が直進中に、後方の死角位置に他車両が存在する場合は、デバイスコントロールユニット6bは、第2の表示部42に緊急度又は重要度を落としたインジケータ表示をし、第1の表示部41に
図3(e)のピクトグラム表示をする。後方の死角位置に他車両が存在する時、運転者が右左折、Uターンまたは車線変更を行うための合図を出した場合は、自動二輪車1は、第2の表示部42に緊急度又は重要度の高いインジケータ表示をし、第1の表示部41に
図3(e)のピクトグラム表示をする。これにより、自動二輪車1は、運転者に、後方の死角位置に他車両が存在することを認知させることができる。
【0079】
また、第1乃至第3の例は、例えば、
図3(f)のピクトグラム表示と組み合わせることにより、自動二輪車1の車速と走行中の道路の制限速度との関係を知らせることができる。例えば、自動二輪車1に搭載の車速センサから取得した車速が走行中の道路の制限速度以上である場合には、デバイスコントロールユニット6bは、第2の表示部42に緊急度又は重要度が高い旨のインジケータ表示をする。この時、デバイスコントロールユニット6bは、第1の表示部41に
図3(f)のピクトグラム表示をする。これにより、自動二輪車1は、運転者に第1の表示部41に表示されるピクトグラム表示を認知させることができる。これに対し、自動二輪車1に搭載の車速センサから取得した車速が走行中の道路の制限速度より低い場合には、デバイスコントロールユニット6bは、第2の表示部42に緊急度又は重要度を落としたインジケータ表示をする。これにより、自動二輪車1は、運転者に第1の表示部41に表示されるピクトグラム表示を認知させることができる。
【0080】
第4の例として、第2の表示42aのインジケータ表示をグラデーションに表示することにより、第1の表示部41に表示される第1の表示41aの情報の数値を表示する(
図4(d))。グラデーション表示は、第2の表示部42のカラーをグラデーション状に表示する表示である。例えば、
図4(d)に示すように、自動二輪車1の左右方向LRにおいて、第2の表示部42に表示される色を左方向Lに向かって薄くなるようにインジケータ表示をする。この時、例えば、デバイスコントロールユニット6bは、第2の表示部42に表示されるインジケータ表示の色の濃い部分を多くする。これにより、第2の表示42aは、第1の表示41aの情報の数値が高いことを表すことができる。これに対し、デバイスコントロールユニット6bは、第2の表示部42に表示されるインジケータ表示の色の濃い部分を少なくする。これにより、第2の表示42aは、第1の表示41aの情報の数値が低いことを表すことができる。
【0081】
第5の例として、第2の表示42aのインジケータ表示をバー表示にすることにより、自動二輪車1は、第1の表示部41に表示される第1の表示41aの情報の数値を表示する(
図4(e))。バー表示は、
図4(e)に示すように、インジケータ表示の点灯箇所を増減させることにより、第1の表示部41に表示される第1の表示41aの情報の数値を表示する。例えば、
図4(e)に示すように、自動二輪車1の左右方向LRにおいて、第2の表示部42の点灯箇所を左方向Lに向かって増加するように、又は右方向Rに向かって減少するようにインジケータ表示をする。例えば、デバイスコントロールユニット6bは、インジケータ表示の点灯箇所を増加させる。これにより、第2の表示42aは、第1の表示41aの情報の数値が高いことを表すことができる。一方で、デバイスコントロールユニット6bは、インジケータ表示の点灯箇所を減少させる。これにより、第2の表示42aは、第1の表示41aの情報の数値が低いことを表すことができる。
【0082】
第4及び第5の例は、例えば、
図3(g)のピクトグラム表示と組み合わせることにより、速度表示を行うことができる。デバイスコントロールユニット6bは、第1の表示部41に
図3(g)のピクトグラムを表示し、第2の表示部42に数値を示すインジケータ表示を行う。これにより、デバイスコントロールユニット6bは、現在の車速を表示することができる。なお、第1の表示部41に、エンジン回転数を示すピクトグラム表示をすることにより、デバイスコントロールユニット6bは、タコメータ表示をすることができる。また、第1の表示部41に、燃料残量を示すピクトグラム表示をすることにより、デバイスコントロールユニット6bは、燃料計を表示することができる。
【0083】
本実施形態において、
図2に示す通り、第1の表示部41及び第2の表示部42は、左バックミラー30a及び右バックミラー30bのうち、少なくとも何れかに配置される。従って、本実施形態において、ピクトグラム表示である第1の表示41aと、インジケータ表示である第2の表示42aとを近接して表示することが可能となる。また、上述の通り、第1の表示41aと第2の表示42aとは、同時に表示されることにより1つの表示を成す。従って、本実施形態の自動二輪車1は、第1の表示41aと第2の表示42aとを組み合わせて様々なバリエーションで車両情報の表示を提供することができる。このため、本実施形態によれば、自動二輪車1において、車両情報の表示のバリエーションを豊富にすることが可能になる。
【0084】
[表示部の配置]
第1の表示部41及び第2の表示部42を配置する位置について説明する。
図5は、
図1の自動二輪車1の左側面図である。
図6乃至
図8は、
図1の自動二輪車1を前方向に見た場合の、自動二輪車1の上下方向UDにおける上部且つ自動二輪車の前後方向FBにおける前部の一部の外観を示している。
図9及び
図10は、
図1の自動二輪車1の運転者が、自動二輪車1の直進方向を注視した場合の、運転者の視野を示している。
図5乃至
図10を使用して、自動二輪車1の第1の表示部41及び第2の表示部42の配置を説明する。
【0085】
第1の表示部41及び第2の表示部42は、例えば、以下の領域(ia)~(ic)が互いに重なり合うことにより画定される空間領域(i)に配置される(
図5及び
図6)。
(ia)自動二輪車1の上下方向UDにおけるメータ20の上端よりも上方向Uの領域X1。
(ib)自動二輪車1の左右方向LRにおける左バックミラー30aの左端よりも右方向Rで右バックミラー30bの右端よりも左方向Lの領域Y1を左右方向LRに4等分した4つの区分領域Y1a、Y1b、Y1c、及びY1dのうち1つの区分領域及び隣り合う2つの区分領域の何れかの領域。
(ic)自動二輪車1の前後方向FBにおけるシート10の前端11よりも前方向Fの領域Z。
【0086】
また、第1の表示部41及び第2の表示部42は、例えば、以下の領域(iia)~(iib)が互いに重なり合うことにより画定される空間領域(ii)に配置されることもできる(
図5及び
図7)。
(iia)自動二輪車1の左右方向LRにおける左バックミラー30aの左端よりも右方向Rでメータ20の左端よりも左方向Lの領域Y2a、及び右バックミラー30bの右端よりも左方向Lでメータ20の右端よりも右方向Rの領域Y2bの何れかの領域。
(iib)自動二輪車1の前後方向FBにおけるシート10の前端11よりも前方向Fの領域Z。
【0087】
空間領域(ii)は、
図8に示すように、左バックミラー30a及び右バックミラー30bが、自動二輪車1の上下方向UDにおけるメータ20の上端よりも低い位置に配置されるタイプの自動二輪車に適用できる。また、空間領域(ii)は、
図7に示すように、左バックミラー30a及び右バックミラー30bが、自動二輪車1の上下方向UDにおけるメータ20の上端よりも高い位置に配置されるタイプの自動二輪車であっても適用できる。この場合、空間領域(ii)は、
図7に示すように、領域(iia)~(iib)に加え、更に以下の領域(iic)が互いに重なり合うことにより画定することもできる。
(iic)自動二輪車1の上下方向UDにおけるメータ20の上端よりも上方向Uの領域X2。
【0088】
第1の表示部41及び第2の表示部42は、更に、
図9に示すように、自動二輪車1の直進中に運転者が進行方向を注視した場合に、運転者の視野の50度以内の範囲(P1)に収まるように配置されるのがよい。より詳細には、自動二輪車1の直進中に運転者が進行方向を注視した場合に、左右方向LR及び下方向Dにおいて運転者の視野の50度以内、及び上方向Uにおいて運転者の視野の35度以内の範囲(P2)に収まるように配置されるのが良い。ここで、左右方向LR及び下方向Dにおいて視野の50度以内、及び上方向Uにおいて視野の35度以内の範囲(P2)は、誘導視野と呼ばれる。誘導視野とは、周辺視野のうち、情報の存在を判定できる範囲であり、頭部運動が眼球運動を補助することにより、無理なく注視が可能な範囲である。第1の表示部41及び第2の表示部42をこのように配置すると、自動二輪車1の直進中に運転者が進行方向を注視した場合に、運転者が、第1の表示部41及び第2の表示部42に表示された情報の存在を判定することができる。従って、自動二輪車1は、自動二輪車1の直進中に運転者が進行方向を注視した場合に、情報の存在を判定できる位置に、第1の表示41aと第2の表示42aとを近接して同時に表示することが可能となる。
【0089】
この時、
図10に示すように、自動二輪車1の運転者がシート10に着座して第1の表示部41を注視した場合に、第2の表示部42は背景と共に運転者の視野の15度以内の範囲(Q1)に収まるように配置されるのが良い。より詳細には、第2の表示部42は、左右方向LRにおいて運転者の視野の15度以内、下方向Dにおいて運転者の視野の12度以内、及び上方向Uにおいて運転者の視野の8度以内の範囲(Q2)に収まるように配置されるのが良い。又は、自動二輪車1の運転者がシート10に着座して第2の表示部42を注視した場合に、第1の表示部41は、背景と共に背景が運転者の視野の15度以内に収まるように配置されるのが良い。より詳細には、第1の表示部41は、左右方向LRにおいて運転者の視野の15度以内、下方向Dにおいて運転者の視野の12度以内、及び上方向Uにおいて運転者の視野の8度以内の範囲(Q2)に収まるように配置されるのが良い。左右方向LRにおいて視野の15度以内、下方向Dにおいて視野の12度以内、及び上方向Uにおいて視野の8度以内の範囲は、有効視野と呼ばれる。ここで有効視野とは、周辺視野のうち、眼球運動だけで情報注視し、瞬時に特定情報を受容できる範囲である。第1の表示部41及び第2の表示部42をこのように配置すると、自動二輪車1の運転者が第1の表示部41を注視した場合に、眼球運動だけで瞬時に第2の表示部42の情報を把握できる。又は、自動二輪車1の運転者が第2の表示部42を注視した場合に、眼球運動だけで瞬時に第1の表示部41の情報を把握することができる。従って、自動二輪車1は、バリエーションの豊富な車両情報の認知性を向上させることができる。
【0090】
本実施形態において、第1の表示部41及び第2の表示部42は、
図9に示すように、上述の空間領域(i)又は(ii)に配置される左バックミラー30a及び右バックミラー30bの少なくとも何れかに配置される。より詳細には、第1の表示部41及び第2の表示部42が左バックミラー30aに配置される場合、第1の表示部41は、左バックミラー30aの鏡面302aの左右方向LRにおける右部分に配置される。また、第2の表示部42は、左バックミラー30aの縁部分301aの上下方向UDにおける上方向U且つ左右方向LRにおける右部分に配置される。また、第1の表示部41及び第2の表示部42が右バックミラー30bに配置される場合、第1の表示部41は、右バックミラー30bの鏡面302aの左右方向LRにおける左部分に配置される。また、第2の表示部42は、右バックミラー30bの縁部分301bの上下方向UDにおける上部分且つ左右方向LRにおける左部分に配置される。これにより、第1の表示部41及び第2の表示部42は、自動二輪車1の運転者が自動二輪車1の進行方向を注視した場合に、
図9に示すように、運転者の誘導視野P2内に入ることができる。第1の表示部41が誘導視野P2内に入ることにより、自動二輪車1の運転者は、視線を動かさずに第1の表示41aの存在を判定できる。本実施形態において、第1の表示41aは簡単なシンボルであるピクトグラム表示であり、第2の表示42aは第1の表示41aを補完するインジケータ表示である。従って、自動二輪車1の運転者は、第1の表示41a及び第2の表示42aを注視することなく認知することができる。
【0091】
また、第2の表示部42は、
図10に示すように、左バックミラー30a及び右バックミラー30bの少なくとも何れかに配置される。これにより、第2の表示部42は、自動二輪車1の運転者が自動二輪車1の進行方向を注視した場合に、運転者の誘導視野P2内に入ることができる。ここで、第1の表示部41及び第2の表示部42は、双方ともに左バックミラー30a及び右バックミラー30bの少なくとも何れかに配置される。そのため、自動二輪車1の運転者が第2の表示部42を注視した時に、
図10に示すように、第1の表示部41が少なくとも第2の表示部42の誘導視野Q1内、更には有効視野Q2内に配置される。又は、自動二輪車1の運転者が第1の表示部41を注視した時に、
図10に示すように、第2の表示部42が少なくとも第1の表示部41の誘導視野Q1内、更には有効視野Q2内に配置される。これにより、自動二輪車1の運転者は、視線を動かさずに第2の表示42aの存在を判定し、第2の表示42aの存在を判定することにより注視すると、瞬時に眼球運動だけで第1の表示41aの情報を受容できる。
【0092】
[周辺視野]
周辺視野、並びにその範囲内にある誘導視野及び有効視野の設定方法について説明する。先ず、自動二輪車1の運転者の運転時の標準のサイズを決定する。
図11は、自動二輪車1の標準的な運転者の乗車姿勢を示す図である。ここで、自動二輪車1の運転者の標準のサイズは、頭部の長さL1=20cm(首から目の高さL1´=10cm)、首の長さL2=10cm、胴体の長さL3=55cm、太腿の長さL4=40cm、及び前傾姿勢R1=5度とする。
【0093】
次に、自動二輪車1の運転者の運転時のアイポイントE点を決定する。
図12は、自動二輪車1の運転者のアイポイントを説明する図である。アイポイントE点は、上記標準のサイズを有する運転者が自動二輪車の進行方向を注視する場合の、自動二輪車に対する目の位置である。アイポイントE点は、自動二輪車1のタイプに分けて以下の通り決定する。
1.スポーツ系車両及びストリート系車両:自動二輪車1を上面視して、左右方向LRにおける車両の中心線C2上において、前後方向FBにおけるシート10の前端11をH点とする。アイポイントE点は、H点から、上下方向UDにおける上方向UにHE=70cm上がった位置とする。
2.スクータ系車両及びアンダーボーン系車両:自動二輪車を上面視して、左右方向LRにおける車両の中心線C3上において、前後方向FBにおけるシート10の前端11から後ろ方向BにFH=30cmだけ離れた位置をH点とする。アイポイントE点は、H点から、上下方向UDにおける上方向UにHE=70cm上がった位置とする。
【0094】
次に、周辺視野、誘導視野及び有効視野を設定する。周辺視野は、アイポイントE点から自動二輪車の進行方向を注視した場合に、左右方向LRにおいて100度の範囲、下方向Dにおいて75度の範囲、及び上方向Uにおいて50度の範囲の視野とする。誘導視野は、アイポイントE点から自動二輪車の進行方向を注視した場合に、左右方向LR及び下方向Dにおいて50度の範囲、及び上方向Uにおいて35度の範囲の視野とする。有効視野は、周辺視野内にあって、アイポイントE点から自動二輪車の進行方向を注視した場合に、左右方向LRにおいて15度の範囲、下方向Dにおいて12度、及び上方向Uにおいて8度の範囲の視野とする。
【0095】
[電気的構成]
第1の表示部41及び第2の表示部42と、制御装置6のデバイスコントロールユニット6bとの電気的な構成について説明する。
図13は制御装置6のデバイスコントロールユニット6bの電気的な構成を示す図である。デバイスコントロールユニット6bは、中央処理装置(CPU)71と、レギュレータ(REG)72と、通信インターフェース73と、メモリ74と、第1のドライバ75と、第2のドライバ76とを備える。CPU71は、電源81からレギュレータ72を介して電力を供給される。電源81は、例えばバッテリ及び発電機が挙げられる。CPU71は、通信インターフェース73を介して、自動二輪車1に搭載のアンテナ82及びセンサ83から情報を取得する。アンテナ82の例として、車車間通信アンテナ及び路車間通信アンテナ等があげられる。センサの例として、車速センサ、エンジン回転速度センサ、及びレーダセンサ等が挙げられる。また、CPU71は、通信インターフェース73を介して、自動二輪車1の運転者が所有するスマートフォン84等を接続することができる。
【0096】
CPU71は、取得した情報から、メモリ74に記憶した第1の表示41aと第2の表示42aとの組み合わせを選択して、第1のドライバ75に第1の表示41aを送信し、及び第2のドライバに第2の表示42aを送信する。例えば、アンテナ82が自動二輪車1の間近に他車両が接近していることを検知した場合は、第1の表示41aを
図3(a)のピクトグラム表示とし、第2の表示42aを緊急度又は重要度の高いインジケータ表示とする。また、自動二輪車1の運転者が所有するスマートフォン84に着信があった場合は、第1の表示41aを
図3(c)のピクトグラム表示とし、第2の表示42aを緊急度又は重要度の低いインジケータ表示とする。
【0097】
第1のドライバ75は、CPU71が選択した第1の表示41aの情報を、第1の表示部41に送信する。第2のドライバ76は、CPU71が選択した第2の表示42aの情報を、第2の表示部42に送信する。なお、本実施形態において、第1のドライバ75及び第2のドライバ76は、デバイスコントロールユニット6bに設けられている。また、第1のドライバ75及び第2のドライバは、第1の表示部41及び第2の表示部42に近接して、左バックミラー30a及び右バックミラー30bの少なくとも何れかに設けられてもよい。
【0098】
[変形例]
第1の表示部41及び第2の表示部42は、左バックミラー30a及び右バックミラー30bのみならず、上記(i)又は(ii)を満たす位置であれば、以下の位置に配置することができる。例えば、第1の表示部41及び第2の表示部42は、自動二輪車1に取り付けられたウインドスクリーン35に配置されることができる。
図14は、自動二輪車1を前方向に見た場合の、自動二輪車1の上下方向UDにおける上部且つ自動二輪車の前後方向FBにおける前部の一部の外観の他の例を示す図である。
図14の例では、第1の表示部41及び第2の表示部42は、自動二輪車1に取り付けられたウインドスクリーン35に配置されている。これにより、第1の表示部41及び第2の表示部42は、自動二輪車1の直進中に運転者が進行方向を注視した場合に、誘導視野P2内に配置することができる。また、自動二輪車1の運転者がシート10に着座して第1の表示部41を注視した場合に、第2の表示部42は、有効視野Q2内に配置されることができる。又は、自動二輪車1の運転者がシート10に着座して第2の表示部42を注視した場合に、第1の表示部41は、有効視野Q2内に配置されることができる。
【0099】
また、第1の表示部41及び第2の表示部42は、上記(i)又は(ii)を満たす位置であれば、以下の位置に配置することができる。例えば、第1の表示部41は左バックミラー30a及び右バックミラー30bの少なくとも何れかに配置し、第2の表示部42は、自動二輪車1に取り付けられたウインドスクリーン35に配置されることができる。
図15は、自動二輪車1を前方向に見た場合の、自動二輪車1の上下方向UDにおける上部且つ自動二輪車の前後方向FBにおける前部の一部の外観の他の例を示す図である。
図15の例では、第1の表示部41は左バックミラー30a及び右バックミラー30bに配置される。これに対し、第2の表示部42は、自動二輪車1に取り付けられたウインドスクリーン35に配置されている。これにより、第1の表示部41及び第2の表示部42は、自動二輪車1の直進中に運転者が進行方向を注視した場合に、誘導視野P2内に配置することができる。また、自動二輪車1の運転者がシート10に着座して第2の表示部42を注視した場合に、第1の表示部41は、誘導視野内である運転者の視野の30度以内の範囲(Q3)に配置されることができる。
【0100】
さらに、制御装置6のデバイスコントロールユニット6bは、自動二輪車1の運転者に対して、音声により第1の表示41a及び第2の表示42aを補完する情報を通知することができる。この時、スピーカーから、例えばブザー等の音声を出力する。この場合、自動二輪車1は、第1の表示部41及び第2の表示部42に近接して、スピーカー43を配置することができる。
図16は、自動二輪車1を前方向に見た場合の、自動二輪車1の上下方向UDにおける上部且つ自動二輪車の前後方向FBにおける前部の一部の外観の他の例を示す図である。
図16の例では、第1の表示部41及び第2の表示部42に近接して、スピーカー43を配置している。詳細には、左バックミラー30a及び右バックミラー30bの少なくとも何れかにスピーカー43を配置している。本変形例においては、自動二輪車1は、第1の表示41a、第2の表示42a及び音声により、運転者に運転支援情報を通知する。従って、本変形例によれば、自動二輪車1において、車両情報の表示のバリエーションを更に豊富にすることが可能になる。
【符号の説明】
【0101】
1 自動二輪車
2 車体
3 エンジンユニット
4a ステアリングハンドル
4b リアアーム
5a 前輪
5b 後輪
6 制御装置
10 シート
20 メータ
30a 左バックミラー
30b 右バックミラー
41 第1の表示部
41a 第1の表示
42 第2の表示部
42a 第2の表示