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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022188319
(43)【公開日】2022-12-21
(54)【発明の名称】生地成形装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   A21C 11/00 20060101AFI20221214BHJP
   A23P 20/20 20160101ALI20221214BHJP
【FI】
A21C11/00 Z
A23P20/20
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021090386
(22)【出願日】2021-05-28
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-12-13
(71)【出願人】
【識別番号】390013941
【氏名又は名称】株式会社コバード
(74)【代理人】
【識別番号】110003203
【氏名又は名称】弁理士法人大手門国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 博紀
(72)【発明者】
【氏名】吹上 透
【テーマコード(参考)】
4B031
4B048
【Fターム(参考)】
4B031CA07
4B031CA09
4B031CA12
4B031CA19
4B031CB02
4B031CJ09
4B048PE04
4B048PE12
4B048PP04
(57)【要約】
【課題】本発明は、シート状の生地の縁部を上面側に反転させてばらつきの少ない安定した形状に仕上げることができる生地成形装置及び方法を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明に係る生地成形装置は、載置された生地シートの縁部を上面側に反転させる反転部1と、反転部1を生地シートの縁部に沿って相対移動させて反転動作を行う動作部2と、生地シートの縁部の反転部分の少なくとも端縁を生地シートの上面に封着して筒状に形成する成形部3とを備えている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
載置されたシート状の生地の縁部を上面側に反転させる反転部と、前記反転部を前記縁部に沿って相対移動させて反転動作を行う動作部と、前記縁部の反転部分の少なくとも端縁を前記生地の上面に封着して筒状に形成する成形部とを備えている生地成形装置。
【請求項2】
前記反転部は、前記縁部の底面に挿入する挿入面と、挿入された前記底面を上面側に反転するように案内する案内面とを備えている請求項1に記載の生地成形装置。
【請求項3】
前記縁部の反転部分の内側に配置されるように食材を供給する供給部を備えている請求項1又は2に記載の生地成形装置。
【請求項4】
前記成形部は、前記縁部の反転部分を均す整形ローラを備えている請求項1から3のいずれかに記載の生地成形装置。
【請求項5】
前記動作部は、略円形の前記生地の周縁部に沿って前記反転部を回動させる回動機構を備えている請求項1から4のいずれかに記載の生地成形装置。
【請求項6】
載置されたシート状の生地に対して縁部の底面に反転部材を挿入しながら縁部に沿って移動させることで縁部を上面側に反転させ、前記縁部の反転部分の少なくとも端縁を前記生地の上面に封着して筒状に形成する生地成形方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート状に形成された生地の縁部を反転させて成形する生地成形装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
生地を所定の形状の食品に成形する場合に、生地を圧延等によりシート状に形成し、シート状の生地を用いて3次元形状の食品に成形することが行われている。シート状の生地を3次元形状に成形する場合、例えば、生地を折り畳んだり、生地により内材を包み込むように形成して封着するようにしている。特許文献1では、一定厚さに延展成形して連続して移送される延展生地を、カーリングローラにより側端より幅方向に順次起立させて、カーリングローラとフィリング供給ノズルのローラにより押圧しながら送出し、送出される延展生地をフィリング供給ノズルの周囲に巻上げ、その内部空間にフィリング供給ノズルによりフィリングを充填して棒状生地とした菓子パンの製造方法が記載されている。特許文献2には、食品用生地の周囲を横型により取り囲み、支持部の周囲に放射状に複数のローラを回転自在に取り付けた回転体により食品用生地を整形する整形装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3150257号公報
【特許文献2】特許第3811790号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したように、シート状に形成された生地を様々な手段を用いて変形させることで所望の形状の食品に成形させているが、シート状の生地を上面側に反転させて変形させる場合に、反転された生地に皺が寄るようになる。例えば、シート状の円形の生地について周縁部を所定幅だけ上面側に反転させるように変形する場合、周縁の円周の長さが所定幅だけ内側の円周の長さよりも長くなるため、上面側に反転した状態では周縁部に皺が寄るようになる。こうした皺が生じた変形部分では、凹凸により隙間が生じたり、ランダムに生じる皺により形状にばらつきが生じることは避けられない。こうした課題は、円形以外の生地の場合でも縁部を上面側に反転する際にも同様である。
【0005】
そこで、本発明は、シート状の生地の縁部を上面側に反転させてばらつきの少ない安定した形状に仕上げることができる生地成形装置及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る生地成形装置は、載置されたシート状の生地の縁部を上面側に反転させる反転部と、前記反転部を前記縁部に沿って相対移動させて反転動作を行う動作部と、前記縁部の反転部分の少なくとも端縁を前記生地の上面に封着して筒状に形成する成形部とを備えている。さらに、前記反転部は、前記縁部の底面に挿入する挿入面と、挿入された前記底面を上面側に反転するように案内する案内面とを備えている。さらに、前記縁部の反転部分の内側に配置されるように食材を供給する供給部を備えている。さらに、前記成形部は、筒状形成部分を均す整形ローラを備えている。さらに、前記動作部は、略円形の前記生地の周縁部に沿って前記反転部を回動させる回動機構を備えている。
【0007】
本発明に係る生地成形方法は、載置されたシート状の生地に対して縁部の底面に反転部材を挿入しながら縁部に沿って移動させることで縁部を上面側に反転させ、前記縁部の反転部分の少なくとも端縁を前記生地の上面に封着して筒状に形成する。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、上記のような構成を有することで、反転部を生地の縁部に沿って相対移動させながら縁部を順次上面側に反転させて反転動作を行い、少なくとも端縁を封着するので、反転部分を安定した筒状に形成してばらつきの少ない形状に仕上げることができる。そして、筒状に形成した反転部分の内側に配置されるように食材を供給することで、食材を生地で包み込んだ多様な食品を成形することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明に係る実施形態に関する概略正面図である。
図2】反転部、動作部及び成形部に関する部分拡大図である。
図3】生地成形装置の成形工程に関する説明図である。
図4】生地成形装置の成形工程に関する説明図である。
図5】生地成形装置の成形工程に関する説明図である。
図6】生地成形装置の成形工程に関する説明図である。
図7】生地成形装置の成形工程に関する説明図である。
図8】生地成形装置の成形工程に関する説明図である。
図9】生地成形装置の成形工程に関する説明図である。
図10】生地成形装置の成形工程に関する説明図である。
図11】成形品に関する平面図及び断面図である。
図12】整形ローラに関する説明図である。
図13】別の実施形態の成形工程に関する説明図である。
図14】別の実施形態の成形工程に関する説明図である。
図15】別の実施形態の成形工程に関する説明図である。
図16】別の実施形態の成形工程に関する説明図である。
図17】別の実施形態の成形工程に関する説明図である。
図18】別の実施形態の成形工程に関する説明図である。
図19】別の実施形態の成形工程に関する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る実施形態について詳しく説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明を実施するにあたって好ましい具体例であるから、技術的に種々の限定がなされているが、本発明は、以下の説明において特に発明を限定する旨明記されていない限り、これらの形態に限定されるものではない。
【0011】
図1は、本発明に係る生地成形装置に関する概略正面図である。生地成形装置1は、生地シートの縁部を上面側に反転させる反転部1、反転部1を生地シートの縁部に沿って移動させて反転動作を行う動作部2、生地シートの縁部の反転部分の少なくとも端縁を生地シートの上面に封着して筒状に形成する成形部3、筒状に形成された反転部分の内部に充填する内材を供給する供給部4、及び、生地シートを搬送する搬送部5を備えている。
【0012】
この例では、後述するように、反転部1により円形の生地シートの周縁部を所定幅で内側に向かって迫り上げるように上面側に反転させながら、動作部2により周縁部に沿って移動させて反転動作を行い、成形部3により生地シートの反転部分を筒状に形成している。
【0013】
生地シートは、予め所定の厚さで略円形状に整形された状態で、搬送部5の搬送コンベヤに載置されて搬送され、成形部3の下方に配置されるようになっている。また、供給部4では、内材を投入するホッパ40、ホッパ40内の内材を送給するベーンポンプ41、ベーポンプ41から圧送される内材を移送する移送管42、移送管42に接続されて動作部2内に配管された供給管43、供給管43の下端に接続されて外方に向かって延設された接続管44、及び、接続管44に取り付けられた吐出管45を備えており、ホッパ40内の内材を送給して吐出管45の先端に形成されたノズルから生地シートの上面に吐出するようになっている。吐出された内材は、反転動作により形成された筒状部分の内部に包み込まれるように配置される。
【0014】
こうした各部の一連の動作は、各部に接続された制御部(図示せず)により制御されて成形動作を行うようになっている。
【0015】
図2は、反転部1、動作部2及び成形部3に関する部分拡大図であり、図2(a)は一部断面で示す正面図で、図2(b)は側面図である。反転部1は、反転部材10を備えており、反転部材10は、支持部材10aを介して成形部3の支持部材35に取り付けられている。反転部材10は、薄板を湾曲させて下端側から上端側に向かって迫り上がるように曲面状に形成されており、反転プラウ(鋤)に類似の形状に形成されている。生地シートFの周縁部に沿う移動方向に対して、前端側ではテーパ状に形成されて下端縁が周縁部の底面に挿入される挿入面が形成されており、後端側では上端縁が生地シート側に向くように迫り上げた湾曲状に形成され、挿入面から導入された周縁部の底面を迫り上げて上面側に反転させるように案内する案内面が形成されている。
【0016】
動作部2は、筐体に取付固定されたエアシリンダ20を備えており、エアシリンダ20の上下動する駆動ロッドの上端には駆動部材20aが固定されている。駆動部材20aの上面には、駆動モータ21が載置されて固定されており、駆動部材20aには水平方向に延設された支持部材20bが固定されている。エアシリンダ20を上下動することで、支持部材20bに取り付けられた装置全体が上下動し、搬送コンベヤ50の搬送面に対して上昇した待機位置及び下降した動作位置に設定する。
【0017】
支持部材20bには、円筒状の取付部材25が取り付けられており、取付部材25は中心軸が上下方向に沿うように配置されて固定されている。取付部材25の内側には、円筒状の作動部材24が回動可能となるように設けられており、作動部材24の中心軸が取付部材25の中心軸と同軸となるように取り付けられている。作動部材24の上端部は、取付部材25の上端から上方に突出しており、上端部の周囲に従動部材23が取付固定されている。従動部材23は、駆動モータ21の駆動部材と伝動部材22を介して連結されており、駆動モータ21を回転駆動することで、作動部材24が取付部材25内で中心軸を中心に回動するようになっている。
【0018】
取付部材25の上端には、一対の支持部材25aが取り付けられており、支持部材25aの上端に供給部4の移送管42の端部が取り付けられている。作動部材24の内側には、供給部4の供給管43が配置されており、供給管43の上端が移送管42の端部に回動可能に連結されている。そのため、供給管43は作動部材24とともに中心軸を中心に回動するようになっている。
【0019】
作動部材24の下端部には、支持部材24bが水平方向に突設されており、支持部材24bの下面には、一対の連結部材24cが上下方向に取り付けられている。連結部材24cの下端には取付部材34が固定されている。
【0020】
成形部3は、生地シートFの中央部分を押圧する円板状の押えプレート部材30及び生地シートFの周縁部を上面側に反転させた反転部分の端縁を押圧して封着する円筒状の端押え部材32を備えている。
【0021】
押えプレート部材30により生地シートFの中央部分を押圧した状態では、押えプレート部材30の外周縁の外側に所定幅の生地シートFの周縁部が拡がった状態となる。そのため、生地シートFの周縁部をずれることなく保持した状態で反転させることができる。そして、反転された周縁部の端縁が押えプレート部材30の外周縁に沿って配置されるようになり、安定した反転動作を行うことが可能となる。
【0022】
取付部材34には、押えプレート部材30を上下動させるエアシリンダ31及び端押え部材32を上下動させるエアシリンダ33が取り付けられている。
【0023】
エアシリンダ31の駆動ロッドは、下方に配置されて先端が押えプレート部材30の上面の中心位置に取り付けられている。押えプレート部材30は取付部分が回転自在となっており、上昇した押圧していない状態では中心位置を中心に回転可能となっている。エアシリンダ31の駆動ロッドは、作動部材24の中心軸と同軸となるように取り付けられている。作動部材24が中心軸を中心に回動して支持部材24b及び連結部材24cを介して取付部材34が回動することで、押えプレート部材30もエアシリンダ31の駆動ロッドを介して中心位置を中心に回動するようになる。
【0024】
エアシリンダ31の駆動により押えプレート部材30が下降して生地シートFの中央部分を押圧した状態では、押え部レート部材30は回動することなくエアシリンダ31の駆動ロッドのみが回動し、押えプレート部材30は生地シートFを押圧した状態が保持されるようになる。
【0025】
端押え部材32の下面は、細幅の円形状の押圧面が形成されて内側が開口しており、上面は円板状に形成されている。そして、端押え部材32の下側に配置された押えプレート部材30が端押え部材32の内側に収容可能となっており、押えプレート部材30の外周縁に沿って端押え部材32の押圧面が配置されるようになっている。
【0026】
エアシリンダ33の下方に配置された駆動ロッドの先端には端押え部材32の上面が取り付けられており、エアシリンダ33を駆動することで端押え部材32が下方に移動し、下面の押圧面が生地シートFの反転部分の端縁を押圧するようになり、反転部分の端縁を生地シートFの上面に封着する。
【0027】
取付部材34には、上面側に支持部材35が取り付けられている。支持部材35の先端部は外方に向かって延設されており、先端部には吐出管45が支持固定されている。吐出管45は、端押え部材32と反転部材10との間に上下方向に沿うように取り付けられており、反転部材10の内側に配置されている。また、支持部材35には、支持部材10aが下方に向かって設けられ、支持部材10aに取り付けた反転部材10が吐出管45の下端に開口するノズルを外側から囲むように配置されている。支持部材35には、支持部材36aが下方に向かって設けられ、支持部材36aの下端には整形ローラ36が回動可能に取り付けている。整形ローラ36は、反転部材10に対して、反転動作の際の移動方向の下流側となるように配置されている。整形ローラ36の回転軸は、作動部材24の中心軸を中心とする円の半径方向に沿うように設定されており、反転動作の際の回動動作で転動するようになっている。
【0028】
以上のように構成されているので、駆動モータ21、伝動部材22、従動部材23及び作動部材24からなる回動機構により作動部材24が回動し、回動動作に連動して取付部材34とともに端押え部材32が作動部材24の中心軸を中心に回動するようになり、反転部材10及び整形ローラ36は端押え部材32の外側で回動するようになる。また、供給管43とともに接続管44及び吐出管45が作動部材24の中心軸を中心に回動し、吐出管45は反転部材10及び整形ローラ36と一体となって端押え部材32の外側で回動するようになる。
【0029】
なお、上述した例では、反転部材10、整形ローラ36及び吐出管45を回動させるようにしているが、生地シート側を回動させて反転動作を行うこともできる。例えば、搬送された生地シートをターンテーブル等の回動機構に載置して、押えプレート部材30により生地シートを押圧した状態で回動機構を回動させ、回動機構の外側に反転部材10、整形ローラ36及び吐出管45を配置して反転動作を行うようにすればよい。この場合には、回動機構が動作部2として機能することになる。
【0030】
図3から図10は、生地成形工程に関する説明図である。図3は、反転部及び成形部に関する一部拡大平面図(図3(a))及び一部拡大正面図(図3(b))を示している。図4から図10についても同様の一部拡大平面図及び一部拡大正面図を示しており、各図における生地の反転する状態を断面図で図4(c)から図10(c)で示している。
【0031】
図3では、生地シートFが成形位置に搬入される前の待機状態を示しており、エアシリンダ20により装置全体が下降して反転部材10が搬送面に接地した状態に設定される。押えプレート部材30は上昇して端押え部材32内の収容されている。反転部材10の接地位置は、搬送される生地シートFに対して搬送方向と直交する方向の最大幅の縁部の位置と重なり合う位置に設定されている。
【0032】
図4では、生地シートFが搬送されて成形位置に搬入することで、反転部材10の挿入面が生地シートFの周縁部の一部の底面に挿入されて反転動作に向けた準備が開始される。図4(c)に示すように、反転部材10が挿入された生地シートFの縁部に挿入されることで、反転部分fの一部が起き上がった状態となる。
【0033】
図5では、生地シートFがさらに搬送されて反転部材10の挿入面に生地シートFの縁部が進入してさらに起き上がった状態となり(図5(a)及び図5(b))、吐出管45からの内材Gの吐出動作が開始されて挿入面に載置された縁部の上面に内材Gが配置される(図5(c))。内材Gは、吐出管45から筋状に連続して吐出されていく。
【0034】
図6では、搬送された生地シートFの中心が押えプレート部材30の中心と一致したタイミングで搬送動作を停止し、押えプレート部材30が下降して生地シートFの中央部分に接地して押圧した状態となる(図6(a)及び図6(b))。そして、反転部材10及び整形ローラ36が挿入面を先頭に押えプレート部材30の外周に沿って回動動作を開始する。反転部材10の回動に伴い案内面に生地シートFの縁部が進入して挿入面で起き上った縁部が生地シートFの上面側に反転し、内材Gを覆うようになり、反転動作が開始される(図6(c))。
【0035】
図7では、反転部材10及び整形ローラ36が押えプレート部材30の外周を回動していき(図7(a)及び図7(b))、吐出管45から吐出された筋状の内材Gを生地シートFの上面側に反転した反転部分fで順次覆うようになる(図7(c))。反転部材10により反転した反転部分fの上部には整形ローラ36が転動しながら走行していき、反転部分fの高さが一定になるように均しながら整形する。その際、反転部分fの端縁は押えプレート部材30の外周に沿って配置されていくようになる。
【0036】
図8では、吐出管45が1周して吐出開始位置に戻ったタイミングで吐出動作を停止する。図9では、吐出動作の停止後、反転部材10及び整形ローラ36がさらに回動し、生地シートFの全周にわたって反転部材10による周縁部の反転動作を行うとともに整形ローラ36による反転部分fの整形動作を行う。
【0037】
図10では、端押え部材32が下降し(図10(a)及び図10(b))、下面の細幅で円形状の押圧面が押えプレート部材30の外周に沿って下降して反転部分fの端縁を押圧する(図10(c))。端押え部材32の押圧動作により反転部分fの端縁が生地シートFの上面に封着されて反転部分fは筒状に形成され、内材Gは反転部分fにより被覆された状態となる。こうして生地シートFの周縁部に内材Gを内蔵した成形品を成形することができる。
【0038】
図11は、成形品Hに関する平面図(図11(a))及び断面図(図11(b))である。成形品Hは、周縁部に内材Gを生地Fで封着したリング状の内包部分hが所定幅で形成されており、内包部分hの内側は生地Fで確実に封着されている。そして、成形品Hは、内包部分hにおいて全周にわたって内材Gの量及び生地Fの厚さにバラツキのない高品質の製品に仕上げられている。
【0039】
図12は、整形ローラに関する説明図である。上述した例では、図12(a)に示すように、反転部分fの成形動作において上部を均すように整形ローラ36で整形しており、反転部分fの端縁の封着は端押え部材32を用いている。これに対して、別の整形ローラ37は、図12(b)に示すように、端押え部37aが形成されており、整形動作とともに端縁の封着動作を行うこともできる。
【0040】
整形ローラ37は、内側部分が末広がり状に拡径して端押え部37aがフランジ状に形成されている。そのため、整形ローラ37は、反転部分fの上部に当接して転動しながら均し動作を行うとともに反転部分fの端縁に端押え部37aが当接して封着動作を行うようになる。整形ローラ37を用いることで、端押え部材32が不要となり、反転部材10により順次反転した後に引き続いて反転部分fの端縁の封着動作を順次行うことが可能となる。
【0041】
図13から図19は、整形ローラ37を用いた生地成形工程に関する説明図である。図13は、反転部及び成形部に関する一部拡大平面図(図13(a))及び一部拡大正面図(図13(b))を示している。図14から図19についても同様の一部拡大平面図及び一部拡大正面図を示しており、各図における生地の反転する状態を断面図で図14(c)から図19(c)で示している。
【0042】
図13では、生地シートFが成形位置に搬入される前の待機状態を示しており、図3で説明した工程と同様に、反転部材10が搬送面に接地した状態に設定され、押えプレート部材30は上昇して端押え部材32内の収容されている。反転部材10の接地位置は、搬送される生地シートFに対して搬送方向と直交する方向の最大幅の縁部の位置と重なり合う位置に設定されている。
【0043】
図14では、図4で説明した工程と同様に、生地シートFが搬送されて成形位置に搬入することで、反転部材10の挿入面が生地シートFの周縁部の一部の底面に挿入されて反転動作に向けた準備が開始される。図14(c)に示すように、反転部材10が挿入された生地シートFの縁部に挿入されることで、反転部分fの一部が起き上がった状態となる。
【0044】
図15では、図5で説明した工程と同様に、生地シートFがさらに搬送されて反転部材10の挿入面に生地シートFの縁部が進入してさらに起き上がった状態となり(図15(a)及び図15(b))、吐出管45からの内材Gの吐出動作が開始されて挿入面に載置された縁部の上面に内材Gが配置される(図15(c))。
【0045】
図16では、搬送された生地シートFの中心が押えプレート部材30の中心が一致したタイミングで搬送動作を停止し、押えプレート部材30が下降して生地シートFの中央部分に接地して押圧した状態となる(図16(a)及び図16(b))。そして、反転部材10及び整形ローラ37が挿入面を先頭に押えプレート部材30の外周に沿って回動動作を開始する。反転部材10の回動に伴い案内面に生地シートFの縁部が進入して挿入面で起き上った縁部が生地シートFの上面側に反転し、内材Gを覆うようになり、反転動作が開始される(図16(c))。
【0046】
図17では、反転部材10及び整形ローラ37が押えプレート部材30の外周を回動していき(図17(a)及び図17(b))、吐出管45から吐出された筋状の内材Gを生地シートFの上面側に反転した反転部分fで順次覆うようになる(図17(c))。反転部材10により反転した反転部分fの上部には整形ローラ37が転動しながら走行して反転部分fの高さが一定になるように均しながら整形し、押えプレート部材30の外周に沿って配置された反転部分fの端縁を端押え部37aが転動しながら封着していく。
【0047】
図18では、吐出管45が1周して吐出開始位置に戻ったタイミングで吐出動作を停止する。図19では、吐出動作の停止後、反転部材10及び整形ローラ37がさらに回動し、生地シートFの全周にわたって反転部材10による周縁部の反転動作を行うとともに整形ローラ37による反転部分fの整形及び封着動作を行う。こうして反転部分fの端縁が全周にわたって封着されて反転部分fが筒状に形成され、内材Gは反転部分fにより被覆された状態となり、生地シートFの周縁部に内材Gを内蔵した成形品を成形することができる。
【0048】
上述した例では、生地シートの周囲を回動する反転部材、整形ローラ等の機構を1組設けているが、複数組を設けることで作業効率を向上させることも可能である。また、生地シートの反転部分を封着する場合に、端縁とともにそれ以外の部分を封着することも可能で、端押え部材、整形ローラ等の成形部材の形状を変更して簡単に対応することができる。
【0049】
また、上述した例では、内材の吐出動作を反転動作とともに行うようにしているが、反転動作を行う前段階で内材を吐出して配置しておき、配置された内材を被覆するように生地の反転動作を行うようにすることもできる。
【0050】
本発明に係る生地成形装置では、生地シートとして公知の食品生地を用いることができ、例えば、ピザ生地、パン生地、タルト生地、パイ生地、ドーナツ生地、餃子生地といったものが挙げられる。
【0051】
内材としては、こうした食品生地により内蔵することが可能な食材であればよく特に限定されない。例えば、縁付きのピザ生地の場合には、周縁の内部にクリームチーズ等の内材を内蔵させることができる。また、複数種類の内材を1枚のピザ生地に順次吐出して内蔵させることも可能で、バラエティのある食品を成形することができる。
【0052】
上述した反転動作では、生地シートの縁部を掴んだり折り返して反転させることがないので、生地シートに皺や凹み等の不用意な変形がほとんど生じることなく成形動作を安定して行うことが可能となる。
【0053】
また、本発明に係る生地成形装置では、様々な形態の食品を成形することもできる。例えば、内材のない状態で筒状に形成した形状に成形することもでき、円形以外の形状(楕円形、三角形、四角形等の多角形)の場合でも縁部を順次反転させて成形することができる。リング状食品についても、反転した縁部の内側の生地を除去することで簡単にリング状食品を成形することができ、様々な形態に対応して成形動作を行うことが可能となる。
【符号の説明】
【0054】
F・・・生地シート、G・・・内材、H・・・成形品、1・・・反転部、2・・・動作部、3・・・成形部、4・・・供給部、5・・・搬送部、10・・・反転部材、20・・・エアシリンダ、21・・・駆動モータ、22・・・伝動部材、23・・・従動部材、24・・・作動部材、30・・・押えプレート部材、31・・・エアシリンダ、32・・・端押え部材、33・・・エアシリンダ、34・・・取付部材、35・・・支持部材、36・・・整形ローラ、37・・・整形ローラ、40・・・ホッパ、41・・・ベーンポンプ、42・・・移送管、43・・・供給管、44・・・接続管、45・・・吐出管、50・・・搬送コンベヤ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
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図11
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図15
図16
図17
図18
図19
【手続補正書】
【提出日】2022-08-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
載置されたシート状の生地の縁部を所定幅で内側に向かって迫り上げるように上面側に反転させる反転部と、前記反転部を前記縁部に沿って全周にわたって相対移動させて反転動作を行う動作部と、前記縁部の反転部分の少なくとも端縁を前記生地の上面に全周にわたって封着して筒状に形成する成形部とを備えている生地成形装置。
【請求項2】
前記反転部は、前記縁部の底面に挿入する挿入面と、挿入された前記底面を上面側に反転するように案内する案内面とを備えている請求項1に記載の生地成形装置。
【請求項3】
前記縁部の反転部分の内側に配置されるように食材を供給する供給部を備えている請求項1又は2に記載の生地成形装置。
【請求項4】
前記成形部は、前記縁部の反転部分を均す整形ローラを備えている請求項1から3のいずれかに記載の生地成形装置。
【請求項5】
前記動作部は、略円形の前記生地の周縁部に沿って前記反転部を回動させる回動機構を備えている請求項1から4のいずれかに記載の生地成形装置。
【請求項6】
載置されたシート状の生地に対して縁部の底面に反転部材を挿入しながら縁部に沿って全周にわたって移動させることで縁部を所定幅で内側に向かって迫り上げるように上面側に反転させ、前記縁部の反転部分の少なくとも端縁を前記生地の上面に全周にわたって封着して筒状に形成する生地成形方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
本発明に係る生地成形装置は、載置されたシート状の生地の縁部を所定幅で内側に向かって迫り上げるように上面側に反転させる反転部と、前記反転部を前記縁部に沿って全周にわたって相対移動させて反転動作を行う動作部と、前記縁部の反転部分の少なくとも端縁を前記生地の上面に全周にわたって封着して筒状に形成する成形部とを備えている。さらに、前記反転部は、前記縁部の底面に挿入する挿入面と、挿入された前記底面を上面側に反転するように案内する案内面とを備えている。さらに、前記縁部の反転部分の内側に配置されるように食材を供給する供給部を備えている。さらに、前記成形部は、前記縁部の反転部分を均す整形ローラを備えている。さらに、前記動作部は、略円形の前記生地の周縁部に沿って前記反転部を回動させる回動機構を備えている。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
本発明に係る生地成形方法は、載置されたシート状の生地に対して縁部の底面に反転部材を挿入しながら縁部に沿って全周にわたって移動させることで縁部を所定幅で内側に向かって迫り上げるように上面側に反転させ、前記縁部の反転部分の少なくとも端縁を前記生地の上面に全周にわたって封着して筒状に形成する。