(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022188331
(43)【公開日】2022-12-21
(54)【発明の名称】モータ用ロータ
(51)【国際特許分類】
H02K 1/27 20220101AFI20221214BHJP
【FI】
H02K1/27 501G
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021096269
(22)【出願日】2021-06-09
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-02-18
(71)【出願人】
【識別番号】000146847
【氏名又は名称】DMG森精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104662
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 智司
(74)【代理人】
【識別番号】100184631
【弁理士】
【氏名又は名称】大久保 隆
(72)【発明者】
【氏名】河本 道生
【テーマコード(参考)】
5H622
【Fターム(参考)】
5H622CA02
5H622CA07
5H622CA10
5H622CA14
5H622PP19
(57)【要約】
【課題】強い遠心力が作用しても、永久磁石がロータヨークからより離脱し難いように改良されたモータ用ロータを提供する。
【解決手段】ロータヨーク2、及びロータヨーク2の外周面2aに接着された永久磁石10から構成される。ロータヨーク2は、その外周面2aに、永久磁石10に対応して形成された装着溝3を有する。永久磁石10は、その接着側が装着溝3に挿入された状態で、装着溝3の両内壁部3a,3bと、両内壁部3a,3bに対向する永久磁石10の両側部11,12とがろう付によって接着される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロータヨーク、及び該ロータヨークの外周面に接着された永久磁石から構成されるモータ用のロータであって、
前記ロータヨークは、その外周面に、前記永久磁石に対応して形成された装着溝を有し、
前記永久磁石は、その接着側が前記装着溝に挿入された状態で、前記装着溝の両内壁部と、該両内壁部に対向する該永久磁石の両側部とがろう付によって接着されていることを特徴とするモータ用ロータ。
【請求項2】
前記永久磁石は、少なくとも前記装着溝の両内壁部と対向する両側部が、前記接着側からその反対側に向けて先細りとなる傾斜面となっていること特徴とする請求項1記載のモータ用ロータ。
【請求項3】
前記装着溝は、少なくとも前記永久磁石の両側部と対向する両内壁部が、開口側に向けて先細りとなる傾斜面となっていること特徴とする請求項1又は2記載のモータ用ロータ。
【請求項4】
前記永久磁石の前記接着側の下面は、前記装着溝の底面に対して接着剤により接着されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載したモータ用ロータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロータヨーク、及び該ロータヨークの外周面に接着された永久磁石から構成されるモータ用ロータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ロータヨーク、及び該ロータヨークの外周面に接着された永久磁石から構成されるモータ用ロータの一例として、国際公開第2004/068673号(下記特許文献1)に開示されたロータが知られている。
【0003】
このロータは、永久磁石の全面に銅やニッケルなどのメッキ層を形成し、このメッキ層が形成された永久磁石をロータヨークの外周面に当接するように配置した後、当接した永久磁石の当接輪郭部にレーザ光を照射することによって製造される。即ち、永久磁石が当接する線状の輪郭部にレーザ光を照射することで、当該永久磁石の表面に形成したメッキ層が溶融し、溶融した金属(銅やニッケル)がろう材として作用することにより、永久磁石がロータヨークの外周面に接着(ろう付け)されるのである。
【0004】
斯くして、このロータでは、永久磁石がロータヨークの外周面にろう付けされていることから、ロータヨークに対して永久磁石を強固に接合することができ、その結果、高温,高速回転での接合強度やサーマルショックを含めた耐久性を向上させることができる、とのことである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、近年、各種分野で使用されるモータの回転数は、高速,高効率化の背景の下で増加の一途を辿っており、高速回転可能なモータの開発が常態的に進められている。このため、ロータについては、高速回転に伴って生じる強い遠心力に耐え得るように、ロータヨークと永久磁石との接着強度のさらなる強化や、永久磁石がロータヨークから離脱しないような構造上の工夫が求められている。
【0007】
本発明は、以上の実情に鑑みなされたものであって、強い遠心力が作用しても、従来に比べて、永久磁石がロータヨークからより離脱し難いように改良されたモータ用ロータの提供を、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための本発明は、
ロータヨーク、及び該ロータヨークの外周面に接着された永久磁石から構成されるモータ用のロータであって、
前記ロータヨークは、その外周面に、前記永久磁石に対応して形成された装着溝を有し、
前記永久磁石は、その接着側が前記装着溝に挿入された状態で、前記装着溝の両内壁部と、該両内壁部に対向する該永久磁石の両側部とがろう付によって接着されたモータ用ロータに係る。
【0009】
この態様(第1の態様)のモータ用ロータでは、永久磁石は、その接着側が、ロータヨークに形成された装着溝に挿入された状態で、装着溝の両内壁部と、この両内壁部に対向する永久磁石の両側部とが、ろう付によって接着、即ち、装着溝の両内壁部と永久磁石の両側部との間に埋め込まれたろう材によって接着されている。
【0010】
斯くして、この第1の態様のロータによれば、永久磁石がロータヨークに当接する、その線状の当接輪郭部をろう付けによって接着した上記従来例に比べて、ロータヨークと永久磁石とが相互に接着されるその接着面をより大きくすることができ、ロータヨークと永久磁石との接着強度をより強固なものにすることができる。この結果、ロータが高速回転することによって生じる強い遠心力が永久磁石に作用しても、当該永久磁石がロータヨークから離脱するのを、従来に比べて、効果的に防止することができる。
【0011】
尚、上記第1の態様において、前記永久磁石は、少なくとも前記装着溝の両内壁部と対向する両側部が、前記接着側からその反対側に向けて先細りとなる傾斜面となっているのが好ましい。
【0012】
この態様(第2の態様)のロータによれば、前記永久磁石の、少なくとも前記装着溝の両内壁部と対向する両側部が、接着側からその反対側に向けて先細りとなる傾斜面となっているので、ろう付けによって装着溝の両内壁部と永久磁石の両側部との間に埋め込まれたろう材は、遠心力によって、永久磁石がロータヨークから外方に向けて離脱するのを、その接着力に加えて、永久磁石との係合関係に伴う力学的な作用力によって、制止する。
【0013】
斯くして、この第2の態様のロータによれば、当該永久磁石がロータヨークから離脱するのを、従来に比べて、より効果的に防止することができる。
【0014】
また、上記第1及び第2の態様において、前記装着溝は、少なくとも前記永久磁石の両側部と対向する両内壁部が、開口側に向けて先細りとなる傾斜面となっているのが好ましい。
【0015】
この態様(第3の態様)のロータによれば、ロータヨークに形成さる装着溝の少なくとも永久磁石の両側部と対向する両内壁部が、開口側に向けて先細りとなる傾斜面となっているので、第2の態様と同様に、ろう付けによって装着溝の両内壁部と永久磁石の両側部との間に埋め込まれたろう材は、遠心力によって、永久磁石がロータヨークから外方に向けて離脱するのを、その接着力に加えて、永久磁石との係合関係に伴う力学的な作用力によって、制止する。
【0016】
斯くして、この第3の態様のロータによっても、当該永久磁石がロータヨークから離脱するのを、従来に比べて、より効果的に防止することができる。
【0017】
また、第1~第3の態様のロータにおいて、永久磁石は、その接着側の下面が装着溝の底面に対して接着剤により接着されていても良い。この態様のロータによれば、永久磁石がロータヨークから離脱するのを、更に、効果的に防止することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係るロータによれば、従来例のロータに比べて、ロータヨークと永久磁石とが相互に接着されるその接着面をより大きくすることができ、ロータヨークと永久磁石との接着強度をより強固なものにすることができる。この結果、ロータが高速回転することによって生じる強い遠心力が永久磁石に作用しても、当該永久磁石がロータヨークから離脱するのを、従来に比べて、効果的に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係るロータを示した側面図である。
【
図3】
図1における一つの永久磁石部を拡大して示した説明図である。
【
図4】第1の実施形態のロータにおける好ましい永久磁石の配置を示した説明図である。
【
図5】第2の実施形態に係るロータの永久磁石部を拡大して示した説明図である。
【
図6】第3の実施形態に係るロータの永久磁石部を拡大して示した説明図である。
【
図7】第4の実施形態に係るロータの永久磁石部を拡大して示した説明図である。
【
図8】第5の実施形態に係るロータの永久磁石部を拡大して示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の具体的な実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0021】
[第1の実施形態]
まず、本発明の第1の実施形態に係るモータ用のロータについて、
図1から
図4に基づいて説明する。これらの図に示すように、本例のロータ1は、外周面が多角形(具体的には8角形)に形成され、内周面が円筒形に形成された筒状のロータヨーク2と、このロータヨーク2の外周の各面(装着面)2aに接着された永久磁石10とから構成される。尚、ロータヨーク2の形状は8角形に限られるものでは無く、設けられる永久磁石10の数に応じた多角形とすることができ、或いは、外周面も内周面と同様に円筒形にしても良い。
【0022】
前記ロータヨーク2は、その前記各装着面2aに、ほぼその軸線2bに沿って形成され、当該ロータヨーク2の両端面2c,2dに開口する装着溝3を備えるとともに、この装着溝3の底面3cに、当該装着溝3に沿って形成され、同じくロータヨーク2の両端面2c,2dに開口する接着剤6用の接着溝5を備えている。
【0023】
前記装着溝3は、その両内壁3a,3bが、その底面3cとは反対側の開口側に向けて先細りとなる傾斜面に形成されている。一方、前記接着溝5の両内壁5a,5bは、底面5cに対して垂直な面となっている。
【0024】
前記永久磁石10は、その断面形状が台形をした角柱体であり、その長辺(底辺)側が前記装着溝3に挿通される。即ち、装着溝3の両内壁部3a,3bと対向する永久磁石10の両側部11,12は、その底辺側から反対側に向けて先細りとなる傾斜面となっており、永久磁石10は、その底辺側が装着溝3に挿通され、
図4に示すように、一つの装着溝3に対してその複数個(本例では7個)が隙間なく連続するように挿通されて、装着される。
【0025】
また、前記装着溝3の両内壁部3a,3bと、これに対向する永久磁石10の両側部11,12との間には、ろう付けが可能な程度の隙間が形成されているが、装着溝3の開口幅は、永久磁石10の底辺(底面)の幅よりも小さい寸法となっており、これにより、装着溝3に挿通された永久磁石10は、両者の係合関係により、装着溝3の開口部から径方向側に向けて抜け出ることができないようになっている。
【0026】
そして、本例のロータ1では、前記各永久磁石10は、前記接着溝5内に塗布された接着剤6によって、その底面13とロータヨーク2とが接着され、また、前記装着溝3の両内壁3a,3bと、これに対向する永久磁石10の両側面11,12との間が、ろう付け(ろう材4)によって接着される。
【0027】
ろう付けとしては、例えば、公知のレーザブレージング法を用いることができ、ろう材としては、グレージングワイヤ(銅/ケイ素3%の合金)を用いることができる。また、接着剤6としては、例えば、エポキシ樹脂系接着剤や、シリコン系接着剤を用いることができる。
【0028】
尚、
図4に示すように、前記装着溝3及び接着溝5は、ロータヨーク2の軸線に対して若干斜めに形成するとともに、永久磁石10も同様に、若干斜めに配列されているのが好ましい。これにより、モータに組付けた際に、ロータ1が脈動するのが防止される。
【0029】
以上の構成を備えた本例のロータ1によれば、永久磁石10は、その接着側が、ロータヨーク2に形成された装着溝3に挿通された状態で、装着溝3の両内壁部3a,3bと、この両内壁部3a,3bに対向する永久磁石10の両側部11,12とが、ろう付によって接着、即ち、装着溝3の両内壁部3a,3bと永久磁石10の両側部1,12との間に埋め込まれたろう材によって接着されているので、上記の従来例に比べて、ロータヨーク2と永久磁石10とが相互に接着されるその接着面をより大きくすることができ、これにより、ロータヨーク2と永久磁石10との間の接着強度をより強固なものにすることができる。この結果、ロータ1が高速回転することによって生じる強い遠心力が永久磁石10に作用しても、当該永久磁石10がロータヨーク2から離脱するのを、従来に比べて、効果的に防止することができる。
【0030】
また、本例のロータ1では、前記装着溝3の両内壁3a,3bが、その底面3cとは反対側の開口側に向けて先細りとなった傾斜面に形成され、同様に、この両内壁部3a,3bと対向する永久磁石10の両側部11,12も、その底辺側から反対側に向けて先細りとなる傾斜面に形成されているので、ろう付けによって装着溝3の両内壁部3a,3bと永久磁石10の両側部11,12との間に埋め込まれたろう材4は、遠心力によって、永久磁石10がロータヨーク2から外方に向けて離脱するのを、その接着力に加えて、ロータヨーク2の装着溝3及び永久磁石10との係合関係に伴う力学的な作用力によって、制止する。斯くして、本例のロータ1によれば、当該永久磁石10がロータヨーク2から離脱するのを、従来に比べて、より効果的に防止することができる。
【0031】
また、本例のロータ1では、装着溝3の開口幅は、永久磁石10の底辺(底面)の幅よりも小さい寸法となっており、装着溝3に挿通された永久磁石10は、両者の係合関係から、構造的に、装着溝3の開口部から径方向側に向けて抜け出ることができない状態になっている。したがって、本例のロータ1によれば、当該ロータ1が高速回転することによって生じる強い遠心力が永久磁石10に作用しても、永久磁石10がロータヨーク2から離脱するのを、確実に防止することができる。
【0032】
更に、本例のロータ1では、各永久磁石10は、接着溝5に塗布された接着剤6によって、その底面13とロータヨーク2とが接着されるので、前記ろう材4による接着作用に加えて、この接着剤6によっても、当該永久磁石10をロータヨーク2に接着することができ、ろう材4と接着剤6とを組み合わせた接着作用により、永久磁石10をロータヨーク2に対してより強固に接着することができる。
【0033】
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態に係るモータ用のロータ21について、
図5に基づいて説明する。本例のロータ21は、第1の実施形態に係るロータ1のロータヨーク2に比べて、断面形状が異なる装着溝23を有するロータヨーク22を備える物であり、他の構成はロータ1と同様である。
【0034】
図5に示すように、前記装着溝23は、その両内壁23a,23bが、底面23cから、その反対側の開口側に向けて先細りの傾斜面(下部傾斜面23a
1,23b
1)に形成され、ついで、開口側に向けて先広がりの傾斜面(上部傾斜面23a
2,23b
2)に形成された形状を有している。そして、永久磁石10は下部傾斜面23a
1,23b
1間に挿通された状態で、その両側部11,12と上部傾斜面23a
2,23b
2との間がろう材24によってろう付けされている。
【0035】
尚、装着溝23の下部傾斜面23a
1,23b
1と、永久磁石10の両側部11,12との間は、永久磁石10が装着溝23に沿って摺動可能ではあるが、不必要な隙間は形成されていない状態となっている。また、
図5において、符号22aはロータヨーク22の外周面である装着面を示している。
【0036】
斯くして、このロータ21によれば、装着溝23の上部傾斜面23a2,23b2と永久磁石10の両側部11,12との間に埋め込まれたろう材24の接着力によって、永久磁石10がロータヨーク21から外方に向けて離脱するのが防止されるとともに、永久磁石10が装着溝23に沿って移動するのが防止され、更に、装着溝23の下部傾斜面23a1,23b1と永久磁石10の両側部11,12との間の係合関係によって、永久磁石10がロータヨーク2から離脱するのが、構造的に防止される。斯くして、本例のロータ21によれば、永久磁石10がロータヨーク2から離脱するのを、確実に防止することができる。
【0037】
[第3の実施形態]
次に、第3の実施形態に係るモータ用のロータ31について、
図6に基づいて説明する。本例のロータ31は、第1の実施形態に係るロータ1のロータヨーク2に比べて、断面形状が異なる装着溝33を有するロータヨーク32を備える物であり、他の構成はロータ1と同様である。
【0038】
図6に示すように、本例のロータヨーク32は、前記接着溝5と同様に、その両内壁33a,33bは、底面33cに対して垂直な面となっている。そして、各永久磁石10は、その両側部11,12と、装着溝33の両内壁33a,33bとの間がろう材34によってろう付けされている。尚、
図6において、符号32aはロータヨーク32の外周面である装着面を示している。
【0039】
斯くして、このロータ31によれば、上記の従来例に比べて、ロータヨーク32と永久磁石10とが相互に接着されるその接着面をより大きくすることができ、これにより、ロータヨーク32と永久磁石10との接着強度をより強固なものにすることができる。この結果、ロータ1が高速回転することによって生じる強い遠心力が永久磁石10に作用しても、当該永久磁石10がロータヨーク2から離脱するのを、従来に比べて、効果的に防止することができる。
【0040】
また、本例のロータ31においても、各永久磁石10は、装着溝33の両内壁33a,33bと対向する両側部11,12が、その底辺側から反対側に向けて先細りとなる傾斜面に形成されているので、ろう付けによって装着溝33の両内壁部33a,33bと永久磁石10の両側部11,12との間に埋め込まれたろう材34は、永久磁石10がロータヨーク2から外方に向けて離脱するのを、その接着力に加えて、ロータヨーク32の装着溝33及び永久磁石10との係合関係に伴う力学的な作用力によって、制止する。斯くして、本例のロータ1によれば、当該永久磁石10がロータヨーク2から離脱するのを、従来に比べて、より効果的に防止することができる。
【0041】
[第4の実施形態]
次に、第4の実施形態に係るモータ用のロータ41について、
図7に基づいて説明する。本例のロータ41は、第1の実施形態に係るロータ1の永久磁石10に比べて、その断面形状が異なる永久磁石45を備える物であり、他の構成はロータ1と同様である。具体的には、本例の永久磁石45は、
図7に示すように、その頂部が突曲面を有するものである。この形状の永久磁石45は、高い磁束密度を得ることができる。尚、
図7において、符号46,47は永久磁石45の両側部を示し、符号49は永久磁石45の下面を示している。
【0042】
[第5の実施形態]
次に、第5の実施形態に係るモータ用のロータ51について、
図8に基づいて説明する。本例のロータ51は、第3の実施形態に係るロータ31の永久磁石10に比べて、その断面形状が異なる永久磁石55備える物であり、他の構成はロータ1と同様である。具体的には、本例の永久磁石55は、
図8に示すように、その断面形状が矩形を有するものである。そして、各永久磁石55は、その両側部56,57と、装着溝33の両内壁33a,33bとの間がろう材34によってろう付けされている。尚、
図8において、符号58は永久磁石55の下面を示している。
【0043】
このロータ51によっても、上記の従来例に比べて、ロータヨーク32と永久磁石55とが相互に接着されるその接着面をより大きくすることができ、これにより、ロータヨーク32と永久磁石55との接着強度をより強固なものにすることができる。この結果、ロータ51が高速回転することによって生じる強い遠心力が永久磁石55に作用しても、当該永久磁石55がロータヨーク2から離脱するのを、従来に比べて、効果的に防止することができる。
【0044】
以上、本発明の具体的な実施形態について説明したが、本発明が採り得る態様は、何ら上例のものに限定されるものでは無い。
【0045】
例えば、第1の実施形態及び第4の実施形態では、前記装着溝3の開口幅を、永久磁石10,41の底辺(底面)の幅よりも小さい寸法に設定したが、これに限られるものでは無く、ロータヨーク2と永久磁石10,45との間の接着強度が十分に強固である場合には、装着溝3の開口幅を、永久磁石10,41の底辺(底面)の幅よりも大きい寸法に設定しても良い。
【0046】
また、第1~第5の実施形態では、それぞれ永久磁石10,45,55の7個を一列に配列した態様としたが、永久磁石10,45,55の個数は7個に限られるものでは無く、これ以下の個数でも、これ以上の個数であっても良い。
【0047】
また、第5の実施形態において、その装着溝33を、これに代えて、第1の実施形態及び第4の実施形態の装着溝3としても良い。
【0048】
繰り返しになるが、上述した実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではない。当業者にとって変形および変更が適宜可能である。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。さらに、本発明の範囲には、特許請求の範囲内と均等の範囲内での実施形態からの変更が含まれる。
【符号の説明】
【0049】
1 ロータ
2 ロータヨーク
2a 装着面
2b 軸線
2c,2d 端面
3 装着溝
3a,3b 内壁
4 ろう材
5 接着溝
5a,5b 内壁
5c 底面
6 接着剤
10 永久磁石
11,12 側面
13 底面
【手続補正書】
【提出日】2021-09-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロータヨーク、及び該ロータヨークの外周面に接着された永久磁石から構成されるモータ用のロータであって、
前記ロータヨークは、その外周面に、前記永久磁石に対応して形成され、該永久磁石が挿入される装着溝を有し、
前記永久磁石は、前記装着溝の両内壁部と対向する両側部が、その底面側から反対側に向けて先細りになった傾斜面に形成され、
前記装着溝は、前記永久磁石の両側部と対向する両内壁部が、その底面から開口側に向けて先細りになった先細り傾斜面、及びこの先細り傾斜面から開口側に向けて先広がりになった先広がり傾斜面に形成され、
前記永久磁石は、その傾斜面部が前記装着溝の先細り傾斜面間に挿入された状態で、前記装着溝の先広がり傾斜面と、該先広がり傾斜面に対向する該永久磁石の両側部とがろう付によって接着されていることを特徴とするモータ用ロータ。
【請求項2】
前記永久磁石の底面は、前記装着溝の底面に対して接着剤により接着されていることを特徴とする請求項1記載のモータ用ロータ。
【手続補正書】
【提出日】2021-11-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロータヨーク、及び該ロータヨークの外周面に接着された永久磁石から構成されるモータ用のロータであって、
前記ロータヨークは、その外周面に、前記永久磁石に対応して形成され、該永久磁石が挿入される装着溝を有し、
前記永久磁石は、前記装着溝の両内壁部と対向する両側部が、その底面側から反対側に向けて先細りになった傾斜面に形成され、
前記装着溝は、前記永久磁石の両側部と対向する両内壁部が、その底面から開口側に向けて先細りになった先細り傾斜面、及びこの先細り傾斜面から開口部にかけて連続して先広がりになった先広がり傾斜面に形成され、
前記永久磁石は、その傾斜面部が前記装着溝の先細り傾斜面間に挿入された状態で、前記装着溝の先広がり傾斜面と、該先広がり傾斜面に対向する該永久磁石の両側部とがろう付によって接着されていることを特徴とするモータ用ロータ。
【請求項2】
前記永久磁石の底面は、前記装着溝の底面に対して接着剤により接着されていることを特徴とする請求項1記載のモータ用ロータ。