IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 荒川化学工業株式会社の特許一覧

特開2022-188337接着剤組成物、硬化物、接着シート、樹脂付金属箔、金属張積層板、プリント配線板
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022188337
(43)【公開日】2022-12-21
(54)【発明の名称】接着剤組成物、硬化物、接着シート、樹脂付金属箔、金属張積層板、プリント配線板
(51)【国際特許分類】
   C09J 179/08 20060101AFI20221214BHJP
   C09J 11/08 20060101ALI20221214BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20221214BHJP
   C08G 73/10 20060101ALI20221214BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20221214BHJP
   H05K 1/03 20060101ALI20221214BHJP
【FI】
C09J179/08
C09J11/08
C09J11/06
C08G73/10
B32B27/00 D
H05K1/03 630H
H05K1/03 610H
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021096285
(22)【出願日】2021-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】000168414
【氏名又は名称】荒川化学工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】中村 太陽
(72)【発明者】
【氏名】山口 貴史
(72)【発明者】
【氏名】山下 眞花
(72)【発明者】
【氏名】▲杉▼本 啓輔
(72)【発明者】
【氏名】塩谷 淳
(72)【発明者】
【氏名】田▲崎▼ 崇司
【テーマコード(参考)】
4F100
4J040
4J043
【Fターム(参考)】
4F100AB01C
4F100AB17C
4F100AH05
4F100AH05A
4F100AH06A
4F100AH08A
4F100AK49A
4F100AK49B
4F100AT00B
4F100BA02
4F100BA03
4F100BA07
4F100EJ08A
4F100GB43
4F100JA02
4F100JB12A
4F100JG05
4F100JJ03
4F100JK06
4J040DC092
4J040EH031
4J040HD32
4J040JA02
4J040JB02
4J040KA03
4J040KA08
4J040KA43
4J040MB05
4J040MB09
4J040NA19
4J040PA30
4J043PA04
4J043QB15
4J043QB26
4J043RA06
4J043RA35
4J043SA06
4J043SA47
4J043SB01
4J043TA22
4J043TA71
4J043TB01
4J043UA132
4J043UA151
4J043UB121
4J043UB122
4J043XA03
4J043XA18
4J043ZA35
4J043ZA43
4J043ZB01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】吸湿後のはんだ耐熱性に優れ、低熱膨張率、低誘電率及び低誘電正接の特性も実現する接着剤の層を与える接着剤組成物を提供する。
【解決手段】極性基を有しかつ金属原子を有さないフッ素系有機化合物(A)、芳香族テトラカルボン酸無水物(b1)及びダイマージアミンを含むジアミン(b2)を含むモノマー群の反応物であるポリイミド(B)、並びに、金属系化合物で表面改質されたフッ素系有機化合物(C)を含む接着剤組成物、当該組成物の硬化物、当該硬化物を有する接着シート、樹脂付金属箔、金属張積層板、プリント配線板に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
極性基を有しかつ金属原子を有さないフッ素系有機化合物(A)
芳香族テトラカルボン酸無水物(b1)及びダイマージアミンを含むジアミン(b2)を含むモノマー群の反応物であるポリイミド(B)、並びに、
金属系化合物で表面改質されたフッ素系有機化合物(C)を含む接着剤組成物。
【請求項2】
(A)成分が、カルボキシル基、カルボン酸無水物基、ヒドロキシ基、エポキシ基及びイソシアネート基からなる群より選ばれる少なくとも1種の極性基を有するフッ素系有機化合物である請求項1に記載の接着剤組成物。
【請求項3】
(b2)成分が、更に脂環族ジアミン及び/又は芳香族ジアミンを含む請求項1又は2に記載の接着剤組成物。
【請求項4】
(C)成分における金属系化合物が、シリカである請求項1~3のいずれかに記載の接着剤組成物。
【請求項5】
(C)成分の含有量が、固形分重量で、(A)成分100重量部に対して、15~120重量部である請求項1~4のいずれかに記載の接着剤組成物。
【請求項6】
更に反応性アルコキシシリル化合物(D)を含む請求項1~5のいずれかに記載の接着剤組成物。
【請求項7】
(D)成分の含有量が、固形分重量で、(A)成分100重量部に対して、0.1~5重量部である請求項6に記載の接着剤組成物。
【請求項8】
請求項1~7のいずれかに記載の接着剤組成物の硬化物。
【請求項9】
支持フィルムの少なくとも片面に、請求項8の硬化物を有する接着シート。
【請求項10】
請求項8に記載の硬化物及び金属箔を含む、樹脂付金属箔。
【請求項11】
請求項10に記載の樹脂付金属箔及び、金属箔又は支持フィルムを含む、金属張積層板。
【請求項12】
請求項11に記載の金属張積層板の金属箔面に回路パターンを有する、プリント配線板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接着剤組成物、硬化物、接着シート、樹脂付金属箔、金属張積層板、プリント配線板に関する。
【背景技術】
【0002】
フレキシブルプリント配線板(FPWB:Flexible Printed Wiring Board)及びプリント回路板(PCB:Printed Circuit Board)並びにそれらを用いた多層配線板は、携帯電話やスマートフォン等のモバイル型通信機器やその基地局装置、サーバー・ルーター等のネットワーク関連電子機器、大型コンピュータ等の製品で汎用されている。
【0003】
プリント配線基板に用いられる積層板には、耐久性、低誘電率、低誘電正接、吸湿後のはんだ耐熱性、高い接着強度、低熱膨張率等の諸特性が要求されており、その中で、低誘電率及び低誘電正接(以下、低誘電特性ともいう。)を実現する材料として、カルボキシ基等の極性基を有するフッ素樹脂を主成分とした樹脂材料からなるパウダーとポリイミド樹脂とを含む複合体が知られている(特許文献1)。
【0004】
しかしながら、ポリイミド樹脂を配合した場合、得られる接着剤層は、吸湿後のはんだ耐熱性が劣り、また熱で膨張しやすい(熱膨張率が高い)ものであった。さらに、低誘電特性も改善の余地があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開2016/017801号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、吸湿後のはんだ耐熱性に優れ、低熱膨張率、低誘電率及び低誘電正接の特性も実現する接着剤の層(以下、“接着剤層”ともいう。)を与える接着剤組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、前記課題を解決するために、鋭意検討したところ、特定のフッ素系有機化合物を組み合わせて、かつポリイミド樹脂も配合した接着剤組成物が、前記課題を解決することを見出し、本発明を完成させるに至った。すなわち、本発明においては、以下のものが提供される。
【0008】
1.極性基を有しかつ金属原子を有さないフッ素系有機化合物(A)
芳香族テトラカルボン酸無水物(b1)及びダイマージアミンを含むジアミン(b2)を含むモノマー群の反応物であるポリイミド(B)、並びに、
金属系化合物で表面改質されたフッ素系有機化合物(C)を含む接着剤組成物。
【0009】
2.(A)成分が、カルボキシル基、カルボン酸無水物基、ヒドロキシ基、エポキシ基及びイソシアネート基からなる群より選ばれる少なくとも1種の極性基を有するフッ素系有機化合物である前項1に記載の接着剤組成物。
【0010】
3.(b2)成分が、更に脂環族ジアミン及び/又は芳香族ジアミンを含む前項1又は2に記載の接着剤組成物。
【0011】
4.(C)成分における金属系化合物が、シリカである前項1~3のいずれかに記載の接着剤組成物。
【0012】
5.(C)成分の含有量が、固形分重量で、(A)成分100重量部に対して、15~120重量部である前項1~4のいずれかに記載の接着剤組成物。
【0013】
6.更に反応性アルコキシシリル化合物(D)を含む前項1~5のいずれかに記載の接着剤組成物。
【0014】
7.(D)成分の含有量が、固形分重量で、(A)成分100重量部に対して、0.1~5重量部である前項6に記載の接着剤組成物。
【0015】
8.前項1~7のいずれかに記載の接着剤組成物の硬化物。
【0016】
9.支持フィルムの少なくとも片面に、前項8の硬化物を有する接着シート。
【0017】
10.前項8に記載の硬化物及び金属箔を含む、樹脂付金属箔。
【0018】
11.前項10に記載の樹脂付金属箔及び、金属箔又は支持フィルムを含む、金属張積層板。
【0019】
12.前項11に記載の金属張積層板の金属箔面に回路パターンを有する、プリント配線板。
【発明の効果】
【0020】
本発明の接着剤組成物によれば、吸湿後のはんだ耐熱性に優れ、低熱膨張率、低誘電率及び低誘電正接の特性も実現する接着剤層を形成する。また当該接着剤層は、優れた接着強度も有する。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の接着剤組成物は、極性基を有しかつ金属原子を有さないフッ素系有機化合物(A)(以下、(A)成分という。)、特定のポリイミド(B)(以下、(B)成分という。)、並びに、金属系化合物で表面改質されたフッ素系有機化合物(C)(以下、(C)成分という。)を含むものである。
【0022】
(A)成分は、極性基を有しかつ金属原子を有さないフッ素系有機系化合物である。
【0023】
(A)成分の形態としては、樹脂、樹脂粉末(樹脂パウダー)、樹脂粒子等が挙げられる。
【0024】
極性基としては、酸素原子及び窒素原子のうち少なくともいずれか一方を含むものが挙げられ、例えば、カルボキシ基、カルボン酸無水物基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシ基、エポキシ基、イソシアネート基等が挙げられる。
【0025】
フッ素系有機化合物は、その化合物中にフッ素原子及び炭素原子を少なくとも含む化合物をいう。フッ素系有機化合物としては、例えば、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA,パーフルオロアルカン)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン・パーフルオロジオキソール共重合体(TFE/PDD:Tetrafluoroethylene-Perfluorodioxolcopolymer)、ポリビニリデンフルオライド、ポリクロロトリフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン・エチレン共重合体、ポリフッ化(ビニリデン)、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン-ビニリデンフルオライドターポリマー、フルオロエラストマー等が挙げられる。これらは単独でも2種以上を組み合わせても良い。
【0026】
(A)成分を得る方法としては、例えば、特開2019-104843号公報に記載されたもの等が挙げられる。
【0027】
(A)成分の物性としては、例えば、平均一次粒子径が、0.5~20μm程度が好ましく、1~10μm程度がより好ましい。なお、平均一次粒子径の測定方法としては、例えば、光散乱法等が挙げられる。
【0028】
(A)成分の市販品としては、「Fluon EA-2000」(AGC(株)製)等が挙げられる。
【0029】
(B)成分は、ポリイミドであって、芳香族テトラカルボン酸無水物(b1)(以下、(b1)成分という。)及びダイマージアミンを含むジアミン(b2)(以下、(b2)成分という。)を含むモノマー群の反応物である。(B)成分は、接着剤層が低誘電率及び低誘電正接を示すために使用する成分である。
【0030】
(b1)成分としては、例えば、2,2’,3,3’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3’,3,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’、4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、1,2,3,4-ベンゼンテトラカルボン酸無水物、3,3’,4,4’-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、4,4’-オキシジフタル酸無水物、4,4’-[プロパン-2,2-ジイルビス(1,4-フェニレンオキシ)]ジフタル酸二無水物、2,2’,3,3’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3’,3,4’-ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4‐ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、1,1-ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、2,2-ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、ビス(2,3-ジカルボキシフェノキシフェニル)スルホン二無水物、ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシフェニル)スルホン二無水物、1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸無水物、2,3,6,7-ナフタレンテトラカルボン酸無水物、2,3,6,7-アントラセンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、4,8-ジメチル-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロナフタレン-1,2,5,6-テトラカルボン酸二無水物、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)テトラフルオロプロパン二無水物、2,2-ビス(3,3’,4,4’-テトラカルボキシフェニル)テトラフルオロプロパン二無水物、4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物等が挙げられる。これらは単独でも2種以上を併用しても良い。
【0031】
中でも、(b1)成分としては、接着剤層の可撓性、はんだ耐熱性の点から、下記の一般式(1)で示されるものが好ましい。
【化1】
(式(1)中、Xは単結合、-SO-、-CO-、-O-、-O-C-C(CH-C-O-、-C(CH-、-O-C-SO-C-O-、-C(CHF2-、-C(CF-、-COO-(CH-OCO-、又は-COO-HC-HC(-O-C(=O)-CH)-CH-OCO-を表し、pは1~20の整数を表す。)
【0032】
一般式(1)で示されるものとしては、例えば、2,2’,3,3’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、2,2-ビス(3,3’,4,4’-テトラカルボキシフェニル)テトラフルオロプロパン二無水物、4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物、4,4’-[プロパン-2,2-ジイルビス(1,4-フェニレンオキシ)]ジフタル酸二無水物、2,2-ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2’-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシフェニル)スルホン二無水物等が挙げられる。これらは単独でも2種以上を併用しても良い。中でも、(A)成分が有機溶剤に対して良く溶解する点から、4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物、4,4’-[プロパン-2,2-ジイルビス(1,4-フェニレンオキシ)]ジフタル酸二無水物が好ましい。
【0033】
(B)成分を構成するモノマー群100モル%中における(b1)成分の使用量は、通常は、10~90モル%、好ましくは、25~75モル%である。
【0034】
また、(B)成分を構成するモノマー群100モル%中における一般式(1)で示されるテトラカルボン酸無水物の使用量は、通常は、10~90モル%、好ましくは、25~75モル%である。
【0035】
(b1)成分100モル%中における一般式(1)で示されるテトラカルボン酸無水物の使用量は、通常は、10~100モル%、好ましくは、50~100モル%である。
【0036】
(b2)成分は、ダイマージアミンを含むジアミンである。
【0037】
ダイマージアミンとは、ダイマー酸の全てのカルボキシル基を1級アミノ基又は1級アミノメチル基に置換したものである(例えば、特開平9-12712号公報を参照)。ここで、ダイマー酸とは、オレイン酸、リノール酸やリノレン酸等の不飽和脂肪酸を二量化して得られる炭素数36の二塩基酸を主に含むものであり、その精製度合いによって、炭素数18のモノマー酸、炭素数54のトリマー酸、炭素数20~90の重合脂肪酸を含む。なお、前記ダイマー酸には二重結合が含まれるが、例えば、水素化反応により不飽和度を低下させても良い。
【0038】
前記のダイマージアミンとしては、例えば、下記の一般式(2)で示されるものが挙げられる。なお、一般式(2)において、m+n=6~17が好ましく、p+q=8~19が好ましく、破線部は炭素-炭素単結合又は炭素-炭素二重結合を意味する。
【0039】
【化2】
【0040】
また、ダイマージアミンの市販品としては、「バーサミン551」、「バーサミン552」(以上、コグニクスジャパン(株)製)、「PRIAMINE1073」、「PRIAMINE1074」、「PRIAMINE1075」(以上、クローダジャパン(株)製)等が挙げられる。
【0041】
なお、ダイマージアミン中には、前記モノマー酸、トリマー酸及び/又は重合脂肪酸由来のアミンを含んでも良く、それらの含有量としては、ダイマージアミン中に10重量%以下、好ましくは5重量%以下、より好ましくは3重量%以下、更に好ましくは2重量%以下である。
【0042】
さらに、ダイマージアミンは、市販品をそのまま使用しても良く、蒸留等の精製処理を施したものを使用しても良い。
【0043】
(B)成分を構成するモノマー群100モル%中におけるダイマージアミンの使用量は、通常は、5モル%以上、好ましくは、25~75モル%である。
【0044】
また、(b2)成分100モル%中におけるダイマージアミンの使用量は、通常は、10モル%以上、好ましくは、30~100モル%である。
【0045】
また、(b2)成分としては、ダイマージアミン以外のジアミン(b2-1)(以下、(b2-1)成分という。)を含んでも良い。(b2-1)成分としては、例えば、脂肪族ジアミン、脂環族ジアミン、芳香族ジアミン、ジアミノエーテル、ジアミノポリシロキサンを含んでも良い。なお、これらのアミンについてはダイマージアミンを除く。
【0046】
脂肪族ジアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、1,3-ジアミノプロパン、1,4-ジアミノブタン、1,5-ジアミノペンタン、1,6-ジアミノヘキサン、1,7-ジアミノヘプタン、1,8-ジアミノオクタン、1,9-ジアミノノナン、1,10-ジアミノデカン、1,11-ジアミノウンデカン、1,12-ジアミノドデカン等が挙げられる。
【0047】
脂環族ジアミンとしては、例えば、ジアミノシクロヘキサン、ジアミノジシクロヘキシルメタン、ジメチルジアミノジシクロヘキシルメタン、ジアミノジシクロヘキシルプロパン、テトラメチルジアミノジシクロヘキシルメタン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ジアミノビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビス(アミノメチル)-ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、3(4),8(9)-ビス(アミノメチル)トリシクロ[5.2.1.0(2,6)]デカン、イソホロンジアミン等が挙げられる。
【0048】
芳香族ジアミンとしては、例えば、
2,2’-ジアミノビフェニル、3,3’-ジアミノビフェニル、4,4’-ジアミノビフェニル、2,2’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、2,2’-ジエチル-4,4’-ジアミノビフェニル、2,2’-ジn-プロピル-4,4’-ジアミノビフェニル等のジアミノビフェニル;
2,2-ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン等のビスアミノフェノキシフェニルプロパン;
3,3’-ジアミノジフェニルエーテル、3,4’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル等のジアミノジフェニルエーテル;
p-フェニレンジアミン、m-フェニレンジアミン等のフェニレンジアミン;
3,3’-ジアミノジフェニルスルフィド、3,4’-ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’-ジアミノジフェニルスルフィド等のジアミノジフェニルスルフィド;
3,3’-ジアミノジフェニルスルホン、3,4’-ジアミノジフェニルスルホン、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン等のジアミノジフェニルスルホン;
3,3’-ジアミノベンゾフェノン、3,4’-ジアミノベンゾフェノン、4,4’-ジアミノベンゾフェノン等のジアミノベンゾフェノン;
3,3’-ジアミノジフェニルメタン、3,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]メタン等のジアミノジフェニルメタン;
2,2-ジ(3-アミノフェニル)プロパン、2,2-ジ(4-アミノフェニル)プロパン、2-(3-アミノフェニル)-2-(4-アミノフェニル)プロパン等のジアミノフェニルプロパン;
2,2-ジ(3-アミノフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン、2,2-ジ(4-アミノフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン、2-(3-アミノフェニル)-2-(4-アミノフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン等のジアミノフェニルヘキサフルオロプロパン;
1,1-ジ(3-アミノフェニル)-1-フェニルエタン、1,1-ジ(4-アミノフェニル)-1-フェニルエタン、1-(3-アミノフェニル)-1-(4-アミノフェニル)-1-フェニルエタン等のジアミノフェニルフェニルエタン;
1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン等のビスアミノフェノキシベンゼン;
1,3-ビス(3-アミノベンゾイル)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノベンゾイル)ベンゼン、1,4-ビス(3-アミノベンゾイル)ベンゼン、1,4-ビス(4-アミノベンゾイル)ベンゼン等のビスアミノベンゾイルベンゼン;
1,3-ビス(3-アミノ-α,α-ジメチルベンジル)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノ-α,α-ジメチルベンジル)ベンゼン、1,4-ビス(3-アミノ-α,α-ジメチルベンジル)ベンゼン、1,4-ビス(4-アミノ-α,α-ジメチルベンジル)ベンゼン等のビスアミノジメチルベンジルベンゼン;
1,3-ビス(3-アミノ-α,α-ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノ-α,α-ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、1,4-ビス(3-アミノ-α,α-ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、1,4-ビス(4-アミノ-α,α-ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン等のビスアミノジトリフルオロメチルベンジルベンゼン;
2,6-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゾニトリル、4,4’-ビス(3-アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[1-(3-アミノフェノキシ)]ビフェニル等のアミノフェノキシビフェニル;
ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]ケトン等のアミノフェノキシフェニルケトン;
ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド等のアミノフェノキシフェニルスルフィド;
ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン等のアミノフェノキシフェニルスルホン;
ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]エーテル等のアミノフェノキシフェニルエーテル;
2,2-ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2-ビス[3-(3-アミノフェノキシ)フェニル]-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン等のアミノフェノキシフェニルプロパン;
1,3-ビス[4-(3-アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,4-ビス[4-(3-アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,4-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン等のビス(アミノフェノキシベンゾイル)ベンゼン;
1,3-ビス[4-(3-アミノフェノキシ)-α,α-ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)-α,α-ジメチルベンジル]ベンゼン、1,4-ビス[4-(3-アミノフェノキシ)-α,α-ジメチルベンジル]ベンゼン、1,4-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)-α,α-ジメチルベンジル]ベンゼン等のビス(アミノフェノキシ-α,α-ジメチルベンジル)ベンゼン;
4,4’-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル等のビス[(アミノアリールオキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル;
4,4’-ビス[4-(4-アミノ-α,α-ジメチルベンジル)フェノキシ]ベンゾフェノン等のビス(アミノ-α,α-ジメチルベンジルフェノキシ)ベンゾフェノン:
4,4’-ビス[4-(4-アミノ-α,α-ジメチルベンジル)フェノキシ]ジフェニルスルホン等のビス[アミノ-α,α-ジメチルベンジルフェノキシ]ジフェニルスルホン;
4,4’-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェノキシ]ジフェニルスルホン等のビス[アミノフェノキシフェノキシ]ジフェニルスルホン;
3,3’-ジアミノ-4,4’-ジフェノキシベンゾフェノン、3,3’-ジアミノ-4,4’-ジビフェノキシベンゾフェノン等のジアミノジアリールオキシベンゾフェノン;
3,3’-ジアミノ-4-フェノキシベンゾフェノン、3,3’-ジアミノ-4-ビフェノキシベンゾフェノン等のジアミノアリールオキシベンゾフェノン;
1-(4-アミノフェニル)-2,3-ジヒドロ-1,3,3-トリメチル-1H-インデン-5-アミン等が挙げられる。
【0049】
ジアミノエーテルとしては、例えば、ビス(アミノメチル)エーテル、ビス(2-アミノエチル)エーテル、ビス(3-アミノプロピル)エーテル、ビス(2-アミノメトキシ)エチル]エ-テル、ビス[2-(2-アミノエトキシ)エチル]エーテル、ビス[2-(3-アミノプロトキシ)エチル]エーテル、1,2-ビス(アミノメトキシ)エタン、1,2-ビス(2-アミノエトキシ)エタン、1,2-ビス[2-(アミノメトキシ)エトキシ]エタン、1,2-ビス[2-(2-アミノエトキシ)エトキシ]エタン、エチレングリコ-ルビス(3-アミノプロピル)エーテル、ジエチレングリコ-ルビス(3-アミノプロピル)エーテル、トリエチレングリコ-ルビス(3-アミノプロピル)エーテル等が挙げられる。
【0050】
ジアミノポリシロキサンとしては、例えば、α,ω-ビス(2-アミノエチル)ポリジメチルシロキサン、α,ω-ビス(3-アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン、α,ω-ビス(4-アミノブチル)ポリジメチルシロキサン、α,ω-ビス(5-アミノペンチル)ポリジメチルシロキサン、α,ω-ビス[3-(2-アミノフェニル)プロピル]ポリジメチルシロキサン、α,ω-ビス[3-(4-アミノフェニル)プロピル]ポリジメチルシロキサン等が挙げられる。
【0051】
これらの(b2-1)成分は、単独でも2種以上を併用しても良い。中でも、接着剤層が優れたはんだ耐熱性を示す点から、脂環族ジアミン、芳香族ジアミンが好ましく、芳香族ジアミンがより好ましい。
【0052】
(B)成分を構成するモノマー群100モル%中における(b2-1)成分の使用量は、通常は、90モル%以下、好ましくは、50モル%以下である。
【0053】
また、(b2)成分100モル%中における(b2-1)成分の使用量は、通常は、90モル%以下、好ましくは、70モル%以下である。
【0054】
本発明の(B)成分は、各種公知の製造方法によって得ることができる。その製造方法としては、例えば、(b1)成分及び(b2)成分を含むモノマー群を、温度が好ましくは30~120℃程度、より好ましくは40~100℃程度、時間が好ましくは0.1~2時間程度、より好ましくは0.1~0.5時間程度、重付加反応させて、重付加物を得る工程、得られた重付加物を好ましくは80~250℃程度、より好ましくは80~170℃程度の温度において、好ましくは0.5~50時間程度、より好ましくは1~20時間程度、イミド化反応、即ち脱水閉環反応させる工程を含む方法等が挙げられる。なお、(b1)成分及び(b2)成分の混合の方法、順番等は特に限定されない。
【0055】
なお、イミド化反応させる工程では、各種公知の反応触媒、脱水剤、及び有機溶剤が使用されても良く、これらは、単独でも2種以上を併用しても良い。
【0056】
反応触媒は、トリエチルアミン等の脂肪族第3級アミン;ジメチルアニリン等の芳香族第3級アミン;ピリジン、ピコリン、イソキノリン等の複素環式第3級アミン等が挙げられる。また、脱水剤は、無水酢酸等の脂肪族カルボン酸無水物や無水安息香酸等の芳香族カルボン酸無水物等が挙げられる。
【0057】
有機溶剤としては、例えば、N-メチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジエチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジエチルアセトアミド、ジアザビシクロウンデセン等の窒素系有機溶剤;メチルエチルケトン、ジエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン等のケトン;エチレングリコールジメチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル;メタノール、エタノール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、1-メトキシ-2-プロピルアルコール、t-ブチルアルコール等のアルコール;ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等の脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;酢酸エチル、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。これらは単独でも2種以上を組み合わせても良い。なお、有機溶剤を使用する場合、その使用量は、反応濃度が5~60重量%、好ましくは、20~50重量%となるように調節される。
【0058】
(B)成分のイミド閉環率としては、軟化点及び柔軟性が共に高い(B)成分が得られる点から、90~100%が好ましく、95~100%程度がより好ましい。ここで「イミド閉環率」とは、(B)成分のポリイミドにおける環状イミド結合の含有量を意味し、例えばNMRやIR分析等の各種分光手段により決定できる。
【0059】
(B)成分の物性としては、例えば、(B)成分の重量平均分子量は、20,000~100,000が好ましい。(B)成分の数平均分子量は、5,000~50,000が好ましい。重量平均分子量及び数平均分子量は、例えばゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算値として求められる。
【0060】
本発明の(B)成分の軟化点は、50~250℃程度が好ましく、80~200℃程度がより好ましい。なお、軟化点は、市販の測定器(商品名:「ARES-2KSTD-FCO-STD」、Rheometric Scientfic社製)等を用いて測定した貯蔵弾性率のプロファイルにおいて、貯蔵弾性率が低下し始める温度を指す。
【0061】
本発明の接着剤組成物における(B)成分の含有量としては、不揮発分換算で、(A)成分100重量部に対して、1~40重量部程度が好ましく、3~25重量部程度がより好ましい。
【0062】
(C)成分は、金属系化合物で表面改質されたフッ素系有機化合物である。(C)成分を含むことにより、接着剤層の優れたはんだ耐熱性を発揮する。
【0063】
(C)成分の形態としては、樹脂、樹脂粉末(樹脂パウダー)、樹脂粒子等が挙げられる。(C)成分の表面状態としては、フッ素系有機化合物のF原子に前記金属系化合物の金属原子が結合されている場合、その表面に前記金属系化合物が被覆されている場合等が挙げられる。
【0064】
(C)成分としては、例えば、アリール基を有するシリカ化合物で表面改質されたフッ素系化合物等が挙げられる。
【0065】
アリール基を有するシリカ化合物とは、酸化シリカ等のケイ素原子を有する化合物の表面にアリール基を有する化合物である。その調製方法としては、例えば、シリカ化合物を、シランカップリング剤で表面処理すること等が挙げられる。前記方法においては、シランカップリング剤は、アリール基を含むものを必須とするが、テトラエトキシシラン、シラザン、グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のアリール基を有さないシランカップリング剤を併用しても良い。
【0066】
アリール基としては、フェニル基、ビフェニル基、フェノキシ基、ベンジル基、ナフチル基、アントラニル基等が挙げられる。また、前記のアリール基は、芳香環にアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アミノ基、ヒドロキシ基、カルボキシル基等の置換基を有していても良く、その置換基の位置も特に限定されない。
【0067】
前記シリカ化合物としては、例えば、フェニルシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジメトキシジフェニルシラン、メトキシトリフェニルシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジエトキシジフェニルシラン、エトキシトリフェニルシラン等のフェニル基を有するシラン;ビス(1,1’-ビフェニル-4-イル)ジフェニルシラン、4,4’-ビス(トリエトキシシリル)-1,1’-ビフェニル等のビフェニル基を有するシラン;N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン等のN-フェニルアミノ基を有するシラン等が挙げられる。これらは単独でも2種以上を組み合わせても良い。中でも(B)成分と相溶しやすくする点から、フェニル基を有するシランが好ましく、フェニルシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジメトキシジフェニルシラン、メトキシトリフェニルシラン、フェニルトリエトキシシランがより好ましい。
【0068】
なお、アリール基を有するシラン化合物としては、酸化シリカ等の未変性シリカを、前記アリール基を有するシリカ化合物(フェニル基を有するシラン化合物、ビフェニル基を有するシラン化合物、N-フェニルアミノ基を有するシラン化合物)で処理したシランを使用しても良く、当該シランと前記アリール基を有するシラン化合物とを含むものを使用しても良い。
【0069】
前記シラン化合物の物性としては、例えば、平均一次粒子径が、0.01~10μm程度が好ましく、0.1~5μm程度がより好ましい。なお、平均一次粒子径の測定方法としては、例えば、光散乱法等が挙げられる。
【0070】
フッ素系化合物としては、例えば、前段落で記載したものが挙げられる。これらは単独でも2種以上を組み合わせても良い。中でもポリテトラフルオロエチレンが好ましい。
【0071】
アリール基を有するシリカ化合物で表面改質されたフッ素系化合物を得る際の各成分の使用量と製造方法としては、例えば、特許第6442281号、特許第6552159号、特許第6599051号等に開示されたもの等が挙げられる。
【0072】
(C)成分の物性としては、例えば、平均一次粒子径が、0.01~10μm程度が好ましく、0.1~5μm程度がより好ましい。なお、平均一次粒子径の測定方法としては、例えば、光散乱法等が挙げられる。
【0073】
また、(C)成分の市販品としては、「P30-C1」(フェニル基を有するシランで表面改質されたポリテトラフルオロエチレン、(株)アドマテックス製)等が挙げられる。
【0074】
本発明の接着剤組成物における(C)成分の含有量は、接着剤層の優れたはんだ耐熱性の点から、不揮発分換算で、(A)成分100重量部に対して、15~120重量部程度が好ましく、25~80重量部程度がより好ましい。
【0075】
本発明の接着剤組成物には、反応性アルコキシシリル化合物(D)(以下、(D)成分という。)を含んでも良い。(D)成分を含むことにより、はんだ耐熱性を向上させる機能を有する。(D)成分としては、例えば、一般式:W-Si(R(OR3-a(式中、Wは酸無水物基と反応する官能基を含む基を、Rは水素又は炭素数1~8の炭化水素基を、Rは炭素数1~8の炭化水素基を、aは0、1又は2を示す。)で表されるもの等が挙げられる。
【0076】
前記一般式のWに含まれる反応性官能基は、アミノ基、エポキシ基、チオール基及びイソシアネート基等が挙げられる。
【0077】
Wがアミノ基を含む化合物は、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-ウレイドプロピルトリアルコキシシラン、3-エトキシシリル-N-(1,3-ジメチルブチリデン)プロピルアミン等が挙げられる。
Wがエポキシ基を含む化合物としては、例えば、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
Wがチオール基を含む化合物としては、例えば、3-メルカプトプロピルトリメトキシシランや、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン等が挙げられる。
Wがイソシアネート基を含む化合物としては、例えば、3-イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3-イソシアネートプロピルメチルジメトキシシラン、3-イソシアネートプロピルメチルジエトキシシラン、3-イソシアネートプロピルエチルジメトキシシラン、3-イソシアネートプロピルエチルジエトキシシラン等が挙げられる。
【0078】
これらの(D)成分は、単独でも2種以上を組み合わせても良い。中でも、Wがアミノ基を含む化合物、イソシアネート基を含む化合物が好ましい。
【0079】
本発明の接着剤組成物における(D)成分の含有量は、不揮発分換算で、(A)成分100重量部に対して、0.1~5重量部が好ましく、0.1~1重量部がより好ましい。
【0080】
本発明の接着剤組成物には、更に架橋剤を含んでも良い。架橋剤を含むことにより、接着剤層のはんだ耐熱性が高まりやすくなる。
【0081】
架橋剤としては、ポリイミドの架橋剤として機能するものであれば、各種公知のものを特に限定なく使用でき、単独でも2種以上を組み合わせても良い。架橋剤としては、例えば、エポキシド、ベンゾオキサジン、ビスマレイミド、シアネートエステル等が挙げられる。
【0082】
エポキシドとしては、例えば、フェノールノボラック型エポキシド、クレゾールノボラック型エポキシド、ビスフェノールA型エポキシド、ビスフェノールF型エポキシド、ビスフェノールS型エポキシド、水添ビスフェノールA型エポキシド、水添ビスフェノールF型エポキシド、スチルベン型エポキシド、トリアジン骨格含有エポキシド、フルオレン骨格含有エポキシド、線状脂肪族エポキシド、脂環式エポキシド、グリシジルアミン型エポキシド、トリフェノールメタン型エポキシド、アルキル変性トリフェノールメタン型エポキシド、ビフェニル型エポキシド、ジシクロペンタジエン骨格含有エポキシド、ナフタレン骨格含有エポキシド、アリールアルキレン型エポキシド、テトラグリシジルキシリレンジアミン、前記エポキシドのダイマー酸変性物であるダイマー酸変性エポキシド、ダイマー酸ジグリシジルエステル等が挙げられる。また、エポキシドの市販品としては、三菱ケミカル(株)製の「jER828」や「jER834」、「jER807」、日鉄ケミカル&マテリアル(株)製の「ST-3000」、(株)ダイセル製の「セロキサイド2021P」、日鉄ケミカル&マテリアル(株)製の「YD-172-X75」、三菱ガス化学(株)製の「TETRAD-X」等が挙げられる。これらの中でも、はんだ耐熱性及び低誘電特性のバランスの観点より、ビスフェノールA型エポキシド、ビスフェノールF型エポキシド、水添ビスフェノールA型エポキシド及び脂環式エポキシドからなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましい。
【0083】
架橋剤として、エポキシドを用いる場合、各種公知のエポキシド用硬化剤、活性エステル系硬化剤を併用できる。前記硬化剤は、単独でも2種以上を組み合わせても良い。
【0084】
エポキシド用硬化剤としては、例えば、無水コハク酸、無水フタル酸、無水マレイン酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、3-メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、4-メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、或いは4-メチルヘキサヒドロ無水フタル酸とヘキサヒドロ無水フタル酸との混合物、テトラヒドロ無水フタル酸、メチル-テトラヒドロ無水フタル酸、無水ナジック酸、無水メチルナジック酸、ノルボルナン-2,3-ジカルボン酸無水物、メチルノルボルナン-2,3-ジカルボン酸無水物、メチルシクロヘキセンジカルボン酸無水物、3-ドデセニル無水コハク酸、オクテニルコハク酸無水物等の酸無水物系硬化剤;
ジシアンジアミド(DICY)、芳香族ジアミン(商品名:「Lonzacure M-DEA」、「Lonzacure M-DETDA」等。いずれもロンザジャパン(株)製)、脂肪族アミン等のアミン系硬化剤;
フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールA型ノボラック樹脂、トリアジン変性フェノールノボラック樹脂、フェノール性水酸基含有ホスファゼン(大塚化学(株)製の商品名:「SPH-100」等)等のフェノール系硬化剤;
マレイン酸変性ロジンやその水素化物等のロジン系硬化剤;
環状ホスファゼン系化合物等が挙げられる。
【0085】
活性エステル系硬化剤としては、例えば、特開2019-183071号に記載のジシクロペンタジエニルジフェノール構造を含むもの、ナフタレン構造を含むもの、フェノールノボラックのアセチル化物、フェノールノボラックのベンゾイル化物等が挙げられる。
活性エステル系硬化剤の市販品としては、例えば、
ジシクロペンタジエニルジフェノール構造を含むもので、「EXB9451」、「EXB9460」、「EXB9460S」、「HPC-8000」、「HPC-8000H」、「HPC-8000-65T」、「HPC-8000H-65TM」、「EXB-8000L」、「EXB-8000L-65TM」、「EXB-8150-65T」(以上、DIC(株)製);
ナフタレン構造を含むもので、「EXB9416-70BK」(DIC(株)製);
フェノールノボラックのアセチル化物で、「DC808」(三菱ケミカル(株)製);
フェノールノボラックのベンゾイル化物で、「YLH1026」、「YLH1030」、「YLH1048」(三菱ケミカル(株)製)等が挙げられる。
【0086】
活性エステル系硬化剤は、各種公知の方法により製造したものも使用でき、その例としては、特許第5152445号公報に記載される多官能フェノール化合物と芳香族カルボン酸類とを反応させたもの等が挙げられる。
【0087】
前記硬化剤の中でも活性エステル系硬化剤、フェノール系硬化剤、特に活性エステル系硬化剤が好ましい。硬化剤の使用量は、前記接着剤組成物の不揮発分を100重量%として、0.1~40重量%程度が好ましく、1~10重量%程度がより好ましい。
【0088】
また、架橋剤として、エポキシド及びエポキシド用硬化剤を組み合わせる場合、反応触媒をさらに併用できる。反応触媒は、単独でも2種以上を組み合わせても良い。反応触媒としては、例えば、1,8-ジアザ-ビシクロ[5.4.0]ウンデセン-7、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等の三級アミン;2-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、2-ヘプタデシルイミダゾール等のイミダゾ-ル類;トリブチルホスフィン、メチルジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン、ジフェニルホスフィン、フェニルホスフィン等の有機ホスフィン;テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレート、2-エチル-4-メチルイミダゾール・テトラフェニルボレート、N-メチルモルホリン・テトラフェニルボレート等のテトラフェニルボロン塩等が挙げられる。また、当該反応触媒の使用量は、前記接着剤組成物の不揮発分を100重量%として、0.01~5重量%程度が好ましい。
【0089】
ベンゾオキサジンとしては、例えば、6,6-(1-メチルエチリデン)ビス(3,4-ジヒドロ-3-フェニル-2H-1,3-ベンゾオキサジン)、6,6-(1-メチルエチリデン)ビス(3,4-ジヒドロ-3-メチル-2H-1,3-ベンゾオキサジン)等が挙げられる。なお、オキサジン環の窒素にはフェニル基、メチル基、シクロヘキシル基等が結合していてもよい。また、ベンゾオキサジンの市販品としては、四国化成工業(株)社製の「ベンゾオキサジンF-a型」や「ベンゾオキサジンP-d型」、エア・ウォーター社製の「RLV-100」等が挙げられる。
【0090】
ビスマレイミドとしては、例えば、4,4’-ジフェニルメタンビスマレイミド、m-フェニレンビスマレイミド、ビスフェノールAジフェニルエーテルビスマレイミド、3,3’-ジメチル-5,5’-ジエチル-4,4’-ジフェニルメタンビスマレイミド、4-メチル-1,3-フェニレンビスマレイミド、1,6’-ビスマレイミド-(2,2,4-トリメチル)ヘキサン、4,4’-ジフェニルエーテルビスマレイミド、4,4’-ジフェニルスルフォンビスマレイミド等が挙げられる。また、ビスマレイミドの市販品としては、JFEケミカル(株)社製の「BAF-BMI」、大和化成工業(株)製の「BMI-1000H」等が挙げられる。
【0091】
シアネートエステルとしては、例えば、2-アリルフェノールシアネートエステル、4-メトキシフェノールシアネートエステル、2,2-ビス(4-シアナトフェノール)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン、ビスフェノールAシアネートエステル、ジアリルビスフェノールAシアネートエステル、4-フェニルフェノールシアネートエステル、1,1,1-トリス(4-シアナトフェニル)エタン、4-クミルフェノールシアネートエステル、1,1-ビス(4-シアナトフェニル)エタン、4,4’-ビスフェノールシアネートエステル、及び2,2‐ビス(4‐シアナトフェニル)プロパン等が挙げられる。また、シアネートエステルの市販品としては、「PRIMASET BTP-6020S」(ロンザジャパン(株)製)等が挙げられる。
【0092】
本発明の接着剤組成物における架橋剤の含有量は、接着剤層の優れたはんだ耐熱性の点から、不揮発分換算で、(A)成分100重量部に対して、1~10重量部程度が好ましく、1~5重量部程度がより好ましい。
【0093】
本発明の接着剤組成物は、更に前述の有機溶剤を含んでも良い。その含有量としては、接着剤組成物100重量%に対して、30~60重量%程度が好ましい。
【0094】
本発明の接着剤組成物には、難燃剤を含んでも良い。難燃剤は、単独でも2種以上を併用しても良い。難燃剤としては、例えば、リン系難燃剤、前記の無機フィラー等が挙げられる。
【0095】
リン系難燃剤としては、例えば、ポリリン酸やリン酸エステル、フェノール性水酸基を有さないホスファゼン誘導体等が挙げられる。該ホスファゼン誘導体のうち、環状ホスファゼン誘導体は、難燃性、耐熱性、耐ブリードアウト性等の点で好ましい。環状ホスファゼン誘導体の市販品としては、大塚化学(株)製の「SPB-100」、伏見製薬所(株)製の「ラビトルFP-300B」等が挙げられる。
【0096】
本発明の接着剤組成物における難燃剤の含有量は、不揮発分換算で、(A)成分100重量部に対して、5~30重量部が好ましい。
【0097】
本発明の接着剤組成物は、(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分、架橋剤、有機溶剤及び難燃剤のいずれでもないものを添加剤として含んでも良い。
【0098】
添加剤としては、例えば、開環エステル化反応触媒、脱水剤、可塑剤、耐候剤、酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、帯電防止剤、増白剤、着色剤、導電剤、離型剤、表面処理剤、粘度調節剤、シリカフィラー及びフッ素フィラー等が挙げられる。
【0099】
前記添加剤の含有量は、接着剤組成物の不揮発分100重量部として、1重量部未満、0.1重量部未満、0.01重量部未満、0重量部等が挙げられる。
【0100】
前記添加剤の含有量は、不揮発分換算で、(A)成分100重量部に対して、1重量部未満、0.1重量部未満、0.01重量部未満、0重量部等が挙げられる。
【0101】
本発明の接着剤組成物は、(A)成分、(B)成分及び(C)成分、必要に応じて(D)成分、架橋剤、有機溶剤、難燃剤及び添加剤を混合することにより得られる。
【0102】
[硬化物]
本発明の硬化物は、本発明の接着剤組成物を含むものである。硬化物の製造方法としては、例えば、前記接着剤組成物を適当な支持体に塗工する工程、加熱して有機溶剤を揮発させることによって硬化させる工程、当該支持体を剥離する工程等を含む方法等が挙げられる。また、硬化物の厚みは、3~40μm程度が好ましい。支持体としては、剥離紙、剥離フィルム、後述の支持フィルム等が挙げられる。また、前記硬化物を製造する際には、前記接着剤組成物と前記接着剤以外の各種公知の接着剤組成物とを併用しても良い。
【0103】
[接着シート]
本発明の接着シートは、支持フィルムの少なくとも片面に、本発明の硬化物を含むものである。
【0104】
前記接着シートは、例えば、支持フィルムの上に本発明の接着剤組成物を塗工して加熱により硬化する、又は、支持フィルムの上に本発明の硬化物を貼り合わせることにより得られる。
【0105】
前記支持フィルムとしては、例えば、ポリイミド、ポリエステル、ポリイミド-シリカハイブリッド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリメタクリル酸メチル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン樹脂、エチレンテレフタレート、フェノール、フタル酸、ヒドロキシナフトエ酸等とパラヒドロキシ安息香酸とから得られる芳香族系ポリエステル樹脂(所謂液晶ポリマー;(株)クラレ製、「ベクスター」等)、シクロオレフィンポリマー、フッ素系樹脂(ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)等)等が挙げられる。また、支持フィルムとしては、後述の金属箔も使用できる。なお、金属箔を用いた場合には、得られた接着シートからエッチング処理等で金属箔を除去しても良い。
【0106】
本発明の接着剤組成物を前記支持体に塗工する際、その塗工方法としては、例えば、コンマ、ダイ、ナイフ、リップ等のコーターにて行うこと等が挙げられる。塗工層の厚みとしては、乾燥後の厚みで1~100μm程度が好ましく、3~50μm程度がより好ましい。また、当該接着シートの接着剤層は各種保護フィルムで保護してもよい。
【0107】
[樹脂付金属箔]
本発明の樹脂付金属箔は、本発明の硬化物及び金属箔を含むものである。具体的には、金属箔に本発明の接着剤組成物を塗工して加熱硬化したもの、又は、金属箔に本発明の硬化物を貼り合わせたものである。金属箔としては、例えば、銅、ステンレス鋼、ニッケル、アルミニウム、アルミニウム合金等が挙げられる。またその中で銅箔としては、例えば、圧延銅箔、電解銅箔等が挙げられる。さらに、前記金属箔は、粗化、防錆化等の表面処理が施されたものも使用できる。防錆化処理は、Ni,Zn,Sn等を含むメッキ液を用いたメッキ処理、クロメート処理等の、所謂鏡面化処理が挙げられる。
【0108】
金属箔の厚みとしては、1~100μm程度が好ましく、2~38μm程度がより好ましい。また、塗工手段としては前記した方法が挙げられる。
【0109】
また、樹脂付金属箔の接着剤層は未硬化であってもよく、また加熱下に部分硬化ないし完全硬化させたものであっても良い。部分硬化の接着剤層は、いわゆるBステージと呼ばれる状態にある。また、接着剤層の厚みとしては、0.5~30μm程度が好ましい。また、当該樹脂付金属箔の接着面に更に金属箔を貼り合わせ、両面樹脂付金属箔にすることもできる。
【0110】
[金属張積層板]
本発明の金属張積層板は、本発明の樹脂付金属箔及び金属箔又は絶縁性シートを含むものである。金属張積層板は、具体的には、前記金属箔若しくは絶縁性シートの少なくとも片面又は両面に、前記樹脂付金属箔を、加熱下に圧着させたものである。片面に貼り合わせる場合には、他方の面に前記樹脂付金属箔とは異なるものを圧着させても良い。また、当該金属張積層板における樹脂付金属箔、金属箔及び絶縁性シートの枚数は特に限定されない。
【0111】
1つの実施形態において、絶縁性シートは、プリプレグ又は前記の支持フィルムが好ましい。プリプレグは、ガラス布等の補強材に樹脂を含浸させBステージまで硬化させたシート状材料のことをいう(JIS C 5603)。該樹脂は、本発明の(B)成分、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、液晶ポリマー、アラミド樹脂等の絶縁性樹脂が使用される。絶縁性シートの厚みは、20~500μm程度が好ましい。加熱・圧着条件は、好ましくは150~280℃程度(より好ましくは170℃~240℃程度)、及び好ましくは0.5~20MPa程度(より好ましくは1~8MPa程度)である。
【0112】
[プリント配線板]
本発明のプリント配線板は、本発明の金属張積層板の金属箔面に回路パターンを有するものである。金属張積層板の金属箔面に回路パターンを形成するパターニングの手段は、サブトラクティブ法、セミアディティブ法が挙げられる。セミアディティブ法としては、金属張積層板の金属箔面に、レジストフィルムでパターニングした後、電解メッキを行い、レジストを除去し、アルカリ液でエッチングする方法が挙げられる。また、当該プリント配線板における回路パターン層の厚みは特に限定されない。また、当該プリント配線板をコアとし、その上に同一のプリント配線板や他の公知のプリント配線板又はプリント回路板を積層することによって、多層基板を得ることもできる。積層の際には前記接着剤組成物と前記接着剤組成物以外の他の公知の接着剤組成物とを併用できる。また、多層基板における積層数は特に限定されない。また、積層の都度、ビアホールを挿設し、内部をメッキ処理しても良い。前記回路パターンのライン/スペース比は、1μm/1μm~100μm/100μm程度が好ましい。また、前記回路パターンの高さは、1~50μm程度が好ましい。
【実施例0113】
以下、実施例を挙げて、本発明を具体的に説明するが、特にこれらに限定されるものではない。また特段の断りがない限り、「%」はいずれも重量基準である。
【0114】
製造例1
撹拌機、分水器、温度計及び窒素ガス導入管を備えた反応容器に、4,4’-[プロパン-2,2-ジイルビス(1,4-フェニレンオキシ)]ジフタル酸二無水物(商品名:「BisDA-1000」、SABICイノベーティブプラスチックスジャパン合同会社製。以下、BisDAと略す。)を280.00g、エチレングリコールジメチルエーテルを346.99g及びトルエンを809.65g仕込み、70℃まで加熱した。次いで、4,4’-ジアミノフェニルエーテル(商品名:「ODA」、和歌山精化工業(株)製。以下、ODAと略す。)及びダイマージアミン(PRIAMINE1075)242.08gを徐々に添加した後、140℃まで加熱し、12時間かけてイミド化反応を実施することにより、ポリイミド(B-1)の溶液(不揮発分30%)を得た。
【0115】
実施例1
(A)成分として、EA-2000(商品名:「Fluon+ EA-2000」、極性基を有するパーフルオロアルカン、AGC(株)製)200.00g(不揮発分100.00g)、(B)成分として、(B-1)43.92g(不揮発分11.11g)、(C)成分として、(C-1)(商品名:「P30-C1」、フェニル基を有するシランで表面改質されたポリテトラフルオロエチレン、平均一次粒子径:3μm、(株)アドマテックス製)74.29g(不揮発分74.29g)、(D)成分として、3-アミノプロピルトリエトキシシラン(商品名:「KBM-903」、信越シリコーン(株)製)0.32g、及び、有機溶剤として、1-メチル-2-ピロリドン134.94gを混合し、よく撹拌して、不揮発分35.0%の接着剤組成物を得た。
【0116】
実施例2~7、比較例1~3
表1に示す組成で、実施例1と同様に行い、接着剤組成物をそれぞれ得た。
【0117】
<接着シートの作製>
各接着剤組成物を、圧延銅箔(商品名:「BHM-102F-HA-V2」、JX金属(株)製、12μm厚)に、乾燥後の厚みが12~14μmとなるようギャップコーターにて塗工した後、120℃で3分間、次いで、380℃で3分間加熱乾燥させ樹脂付金属箔を得た。得られた樹脂付金属箔を40%塩化鉄(III)水溶液でエッチング処理して銅箔を除去することで、接着シートを得た。
【0118】
<熱膨張率(CTE)の測定>
前記接着シートを4mm×20mmに裁断して試験片を作製した後、熱機械分析装置(商品名:「TMA7100E」、(株)日立ハイテクサイエンス製)を用いて、引張荷重29mN,昇温速度10℃/分の条件で、試験片の40~270℃の平均線膨張係数(単位:ppm/℃)を算出した。表1に結果を示す。
【0119】
<比誘電率及び誘電正接の測定>
ネットワークアナライザ(Keysight Technologies社製、装置名:「P5003A」)と測定周波数10.124GHzのスプリットポスト誘電体共振器(QWED社製)を用いて、何も挿入していない共振器単体の共振周波数とそのピークのQ値を測定した。
次に、前記接着剤層を4cm×5cmに裁断して試験片を作製した後、総厚さが100μm以上となるように複数枚の試験片を重ね合わせて共振器内に挿入した後、試験片が挿入されたときの共振周波数とQ値を測定した。
比誘電率(Dk)は、共振器単体と試験片を挿入したときの共振周波数の差から算出し、誘電正接(Df)は、共振器単体と試験片を挿入したときのQ値の差と共振周波数の差から算出した。表1に結果を示す。
【0120】
【表1】
【0121】
表1に示す化合物は、以下の化合物を示す。
<フッ素系有機化合物(A)>
・A-1-商品名:「Fluon+ EA-2000」、極性基を有するパーフルオロアルカン、AGC(株)製
<ポリイミド(B)>
・B-1-製造例1のポリイミド
<フッ素系有機化合物(C)>
・C-1-商品名:「P30-C1」、フェニル基を有するシランで表面改質されたポリテトラフルオロエチレン、平均一次粒子径:3μm、(株)アドマテックス製
・E-1-商品名:「SC2500-SXJ」、フェニルアミノ基変性シリカフィラー、(株)アドマテックス製
<反応性アルコキシシリル化合物(D)>
・D-1-商品名:「KBM-903」、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、信越シリコーン(株)製
・D-2-商品名:「KBE-9103P」、3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチルビチリデン)プロピルアミン、信越シリコーン(株)製
・D-3-商品名:「KBE-9007N」、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、信越シリコーン(株)製
【0122】
評価例1~7、比較評価例1~3
<接着シートの作製>
各接着剤組成物を、ポリイミドフィルム(商品名:「カプトン100EN」、東レ・デユポン(株)製;膜厚25μm;熱膨張係数;15ppm/℃)に、乾燥後の厚みが12μmとなるようギャップコーターにて塗工した後、120℃で3分、次いで380℃で3分加熱させ接着シート(ポリイミドフィルム/接着シート)を得た。
【0123】
<金属張積層板の作製>
前記の接着シート(ポリイミドフィルム/接着シート)の接着面に市販の圧延銅箔(商品名:「BHM-102F-HA-V2」、JX金属(株)製、12μm厚)の鏡面側に重ね合わせた後、次いで、プレス用支持体の上に銅箔面が接触するように前記積層体を置き、上方向より同素材から得られる支持体を介して圧力6MPa、温度350℃で10分間加熱プレスにより、金属張積層板(ポリイミドフィルム/接着剤層/圧延銅箔)を作製した。
【0124】
<接着性試験>
前記の金属張積層板について、JIS C 6481(フレキシブルプリント配線板用銅張積層板の試験方法)に準じて、引き剥がし強さ(N/mm)を測定した。結果を表2に示す。
【0125】
<はんだ耐熱性試験>
前記の金属張積層板を温度23℃、湿度50%の恒温室に24時間放置した後、金属箔側を下にして、300℃のはんだ浴に浮かべ、発泡の有無を確認し、以下の基準で評価した。結果を表2に示す。
(評価基準)
○:外観に変化なし
△:発泡、膨れが若干ある
×:発泡、膨れがある
【0126】
【表2】