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▶ 株式会社プレーリードッグの特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022188347
(43)【公開日】2022-12-21
(54)【発明の名称】タオル
(51)【国際特許分類】
   A47K 10/02 20060101AFI20221214BHJP
【FI】
A47K10/02 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021096306
(22)【出願日】2021-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】399115459
【氏名又は名称】株式会社プレーリードッグ
(74)【代理人】
【識別番号】100106024
【弁理士】
【氏名又は名称】稗苗 秀三
(74)【代理人】
【識別番号】100167841
【弁理士】
【氏名又は名称】小羽根 孝康
(74)【代理人】
【識別番号】100168376
【弁理士】
【氏名又は名称】藤原 清隆
(72)【発明者】
【氏名】松岡 良幸
(72)【発明者】
【氏名】古角 仁美
(57)【要約】
【課題】吸水性のよさと乾きやすさを両立させて、使い心地のよいタオルを実現する。
【解決手段】タオル生地のパイル長さは、長手方向の中央部10が両端部11よりも長くされ、中央部10の両側の傾斜部12では、両端部11に向かってパイル長さが徐々に短くされる。中央部10では、パイル長さが長いので、吸水性がよい。傾斜部12では、パイル長さが徐々に短くなるので、中央部10寄りでは吸水性がよく、端部11に向かうにつれて乾きやすくなる。洗濯したタオルを長手方向の中央で二つ折りにして、物干し具13に掛ける。中央部10に吸水された水分は下側に向かって下降していく。下側に行くほどパイル長さが短いので、水分は下降しながら徐々に蒸発していき、タオルは早く乾く。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
緯糸と地経糸とから織成されたタオル生地にパイル経糸を織り込んでパイルが形成され、洗濯後にタオル生地の長手方向の中央を物干し具に掛けて干すのに適したタオルであって、タオル生地のパイル長さは、長手方向の中央部が両端部よりも長くされ、中央部から両端部に向かってパイル長さが徐々に短くされたことを特徴とするタオル。
【請求項2】
緯糸と地経糸とから織成されたタオル生地の表面および裏面にパイル経糸を織り込んでパイルが形成され、洗濯後にタオル生地の長手方向の中央を物干し具に掛けて干すのに適したタオルであって、タオル生地のパイル長さが長手方向の中央部が両端部よりも長くされ、中央部から両端部に向かってパイル長さが徐々に短くされ、表面のパイル密度が裏面のパイル密度よりも高くされたことを特徴とするタオル。
【請求項3】
中央部のパイル長さが同一とされたことを特徴とする請求項1または2記載のタオル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物干し具に掛けて干したときに乾きやすいタオルに関する。
【背景技術】
【0002】
タオル生地にパイルが形成されたバスタオル等のタオルでは、パイルが長いと、吸水性が高まる。また、パイルの数を多くする、すなわちパイル密度を高くすると、吸水量を増やすことができる。例えば、特許文献1には、短手方向の中央部分に長パイルを形成し、左右側方に短パイルを形成したタオルが記載されている。中央部分では、保温性と吸水性がよくなる。また、必要な中央部分のみを長パイルとすることにより、製品重量が重くなるとともに、洗濯、乾燥に困難性があるといった欠点をなくすことができる。特許文献2には、長手方向の中央部が両端部よりも厚さが大きく、高い耐久性を有し、体の凹凸に沿って適度な摩擦を発現する浴用タオルが記載されている。このタオルでは、長手方向の中央を物干し具に掛けて、二つ折り状態にして干したとき、両端部が下側にくるので、水分が溜まらず、乾きやすい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公平4-37508号公報
【特許文献2】実用新案登録第3185867号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のタオルでは、長手方向と平行に長パイルおよび短パイルが形成されているので、タオルを物干し具に掛けたとき、両端部は早く乾くが、中央部は乾くのに時間がかかる。また、特許文献2のタオルでは、干したときに乾きやすいが、パイル長さの長い部分が中央部に限られている。そのため、吸水しやすい部分が限定されてしまい、身体などを拭くときに中央部を使うが、パイル長さが異なる段差の部分を使うと、十分な吸水性が得られず、段差部分が身体に触れると、違和感が生じ、使い心地がよいとは言い難い。
【0005】
本発明は、上記に鑑み、吸水性のよさと乾きやすさを両立させて、使い心地のよいタオルの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、緯糸と地経糸とから織成されたタオル生地にパイル経糸を織り込んでパイルが形成され、洗濯後にタオル生地の長手方向の中央を物干し具に掛けて干すのに適したタオルであって、タオル生地のパイル長さは、長手方向の中央部が両端部よりも長くされ、中央部から両端部に向かってパイル長さが徐々に短くされたものである。
【0007】
また、タオル生地の表面および裏面にパイルが形成され、タオル生地のパイル長さが長手方向の中央部が両端部よりも長くされ、中央部から両端部に向かってパイル長さが徐々に短くされ、表面のパイル密度が裏面のパイル密度よりも高くされる。
【0008】
中央部では、パイル長さが長いので、吸水性がよいが、乾きにくい。中央部の両側の傾斜部では、パイル長さが徐々に短くなるので、中央部寄りでは吸水性がよく、端部に向かうにつれて乾きやすくなっていく。タオルの中央部を使って身体を拭くと、水気がよく取れる。また、中央部と傾斜部との境目には段差がないので、肌触りがよく、身体に触れても何ら違和感がない。
【0009】
洗濯したタオルを長手方向の中央で二つ折りにして、物干し具に掛けて干すと、上側にパイルが長い中央部が位置し、下側にパイルが短い傾斜部が位置する。下端にくる両端部では、すぐに乾き、中央部に吸水された水分は下側に向かって移動していく。下側に行くほどパイル長さが短いので、水分は下降しながら徐々に蒸発していき、タオルの乾きが促進される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、中央部はパイル長さが長く、物干し具に掛けて干したとき、下側にくる傾斜部はパイル長さが徐々に短くなっているので、中央部において吸水性を確保し、傾斜部において乾きやすさを確保して、吸水性のよさと乾きやすさを両立させることができる。そして、中央部から傾斜部の一部でふんわりと柔らかい肌触りが得られ、使い心地のよいタオルを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態の表面にパイルが形成されたタオルの側面図および平面図
図2】長さが変化したパイルが形成されたタオル生地の拡大斜視図
図3】物干し具に掛けた干したタオルを示す図
図4】フェイスタオルの側面図および平面図
図5】表裏面にパイルが形成されたタオルの側面図
図6】表裏面でパイル密度が異なるタオルの側面図
図7】他の形態の傾斜部の拡大側面図
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施形態に係るタオルを図1、2に示す。タオルは、緯糸1と地経糸2とから織成された長方形状のタオル生地3にパイル経糸4を織り込んでパイル5が形成されたバスタオルである。そして、タオル生地3のパイル長さは、長手方向の中央部10が両側の端部11よりも長くされ、中央部10から両端部11に向かってパイル長さが徐々に短くされる。中央部10と両端部11との間でパイル長さが徐々に変化する部分が傾斜部12とされる。両端部11にはヘムが設けられる。
【0013】
中央部10では、パイル長さが同一とされ、中央部10におけるタオル表面が平坦面となる。傾斜部12におけるタオル表面は、中央部10から端部11に向けて下り傾斜の傾斜面となる。両側の傾斜部12は、中央部10を挟んで対称とされ、長手方向の長さ、パイル高さ、傾斜は同じである。
【0014】
中央部10のパイル長さは、例えば14mmとされる。傾斜部12のパイル長さは例えば6mm~14mmとされる。傾斜部12では、複数のパイル5ごとに、すなわち一定の長さごとにパイル長さが一定の割合で変化する。図2に示すように、パイル3つ(0.44cm)ごとにパイル長さが0.1mmずつ短くなる。ミクロ的に見れば、傾斜部12のパイル長さは階段状に変化するが、マクロ的に見れば、傾斜部12はなだらか傾斜面になっている。また、中央部10の長手方向の長さは55.7cmとされ、傾斜部12の長手方向の長さは35.15cmとされる。
【0015】
このようなパターンのパイル5は、コンピュータ制御のタオル織機によって織られる。タオル生地3にパイル経糸4を織り込んでいくときに、地経糸2に対しパイル経糸4を弛ませ、それを押し込んで織り、所定の長さのループを作る。タオル織機にパイル番号、寸法(長さ)、パイル長さといったパイル5に関する設定を行うことにより、パイル長さを徐々に変化させたタオルが自動的に織られていく。
【0016】
図4に示すように、タオルがフェイスタオルの場合、中央部10の長手方向の長さが短くなり、6.7cmとなる、傾斜部12の長さは、上記のタオルと同じとされる。中央部10の長さの設定を変更するだけで、両側に傾斜部12を有するタオルを織ることができる。
【0017】
上記構成のタオルにおいて、中央部10ではパイル長さが長いので、傾斜部12よりも吸水性がよく、ふんわりと柔らかな肌触りとなる。傾斜部12でも、中央部10に近い部分はパイル長さが長いので、吸水性はある程度よく、肌触りもよい。したがって、広範囲にわたって厚手のタオルとして使用することができ、濡れた身体や髪を拭いても、十分に吸水できる。しかも、中央部10と傾斜部12との境目には段差がないので、身体に触れても違和感がなく、使い心地がよい。傾斜部12の両端部11に近い部分は、パイル長さが短く、薄手のタオルとして機能する。パイル長さが短いと、軽くて乾きやすい。厚手のタオルは重くて乾きにくい。
【0018】
そして、上記のタオルは、図3に示すように、洗濯して乾燥するとき、長手方向の中央で二つ折りにして、タオルを物干し具13に掛けて干すのに適している。このとき、タオルの表面が外向きになるように掛けて干す。厚手の中央部10は上側に位置し、薄手の両端部11は下側に位置する。両端部11に近い部分では、水分がどんどん蒸発していく。中央部10は乾きにくいので、中央部10内の水分は毛細管現象や重力の作用に伴って両端部11に向かって移動していく。水分は徐々に蒸発しながら下降していき、両端部10に達すると、すぐに蒸発するので、タオル全体では乾燥が早くなる。
【0019】
また、タオルの一側の端部11をピンチで挟んで干すと、他側の端部11が下側に位置する。中央部10に含まれる水分は傾斜部12を伝って徐々に蒸発しながら下側に移動していく。この場合でも、タオルの乾燥は促進される。
【0020】
他の形態のタオルとして、図5に示すように、タオル生地3の表面だけでなく裏面にもパイル5が形成される。裏面のパイル5は表面と同じように形成される。したがって、タオルの両面に、パイル長さの長い中央部10とパイル長さが徐々に変化する傾斜部12とが設けられる。このタオルは、全体的に厚めとなるが、表面あるいは裏面のいずれを使っても、吸水性および肌触りがよく、しかも干したときには、乾きやすい。
【0021】
さらに、他の形態として、図6に示すように、両面にパイル5を形成したタオルにおいて、表面と裏面とでパイル密度が異なる。表面のパイル密度が裏面のパイル密度よりも高くされる。すなわち、表面のパイル5の数が裏面のパイル5の数よりも多い。パイル密度が高いほど吸水性が高くなり、パイル密度が低いほど乾きやすくなる。また、タオルの表面は裏面よりも吸水性がよい。タオルの表面にタグを取り付けておくとよい。
【0022】
このタオルを使用するとき、表面あるいは裏面の中央部10を使うと、十分な吸水性が得られる。そして、多く吸水している表面を外向きにしてタオルを二つ折りにして物干し具13に掛けて干すと、表面は早く乾く。裏面は内向きになるが、パイル密度が低いので、吸水した水分は少なく、しかも蒸発しやすい。したがって、早くタオルを乾燥させることができる。
【0023】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で上記実施形態に多くの修正および変更を加え得ることは勿論である。傾斜部12では、パイル長さを一定の割合で変化させているが、パイル長さの変化の割合を変えていってもよい。図7に示すように、傾斜部12において、中央部10に近い部分では、パイル長さの変化の割合が小さく、パイル長さは少しずつ短くなる。傾斜部12におけるタオル表面は、端部11に向かうほど下がる湾曲面となる。端部11に近い部分では、パイル長さの変化の割合が大きく、パイル長さが大きく短くなる。これにより、パイル長さの長い部分が中央部10から傾斜部12の中央部寄りにかけて存在し、吸水性のよい部分を広くでき、かつ乾きやすさも得られる。このような形態はフェイスタオルのような長手方向の長さが短いタオルに適している。
【符号の説明】
【0024】
1 緯糸
2 地経糸
3 タオル生地
4 パイル経糸
5 パイル
10 中央部
11 端部
12 傾斜部
13 物干し具
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7