(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022188352
(43)【公開日】2022-12-21
(54)【発明の名称】容器
(51)【国際特許分類】
B65D 77/20 20060101AFI20221214BHJP
【FI】
B65D77/20 R
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021096318
(22)【出願日】2021-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】弁理士法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 悠貴
(72)【発明者】
【氏名】大竹 洋平
(72)【発明者】
【氏名】八島 昇
(72)【発明者】
【氏名】宮本 健一
【テーマコード(参考)】
3E067
【Fターム(参考)】
3E067AA03
3E067AB81
3E067BA11A
3E067BB01A
3E067BB14A
3E067EA32
3E067EB03
3E067EB27
3E067EE40
3E067FA01
3E067FC01
(57)【要約】
【課題】未開封を保証するバージン性を担保しつつ、キャップについて樹脂の使用量を低減できる容器を提供すること。
【解決手段】容器1は、相対する一対の側壁11a,11bを有し、内容物の収容空間を形成する胴部15と、開口部22を有する注出部2とを備えた容器本体10、及び該注出部2に装着されたキャップ3を備えている。胴部15は、樹脂層(フィルム層17)と該樹脂層の外面側を覆う紙層18とが積層された積層構造Sを有している。紙層18は、樹脂層から延出した延出部40a,40bを有し、該延出部40,40bにより、キャップ3の天面を覆って一方の側壁11a側から他方の側壁11b側に至る、キャップ被覆部4が形成されている。容器1を開封する際に、キャップ被覆部4による被覆を解除し、キャップ3を露出させる。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
相対する一対の側壁を有し、内容物の収容空間を形成する胴部と、開口部を有する注出部とを備えた容器本体、及び該注出部に装着されたキャップを備えた容器であって、
前記胴部が、樹脂層と該樹脂層の外面側を覆う紙層とが積層された積層構造を有しており、
前記紙層は、前記樹脂層から延出した延出部を有し、該延出部により、前記キャップの天面を覆って一方の前記側壁側から他方の前記側壁側に至る、キャップ被覆部が形成されており、
前記容器を開封する際に、前記キャップ被覆部による被覆を解除し、前記キャップを露出させる、容器。
【請求項2】
前記樹脂層と前記紙層とが分離可能に積層されている、請求項1に記載の容器。
【請求項3】
前記樹脂層と前記紙層とがヒートシールにより接合されている、請求項2に記載の容器。
【請求項4】
前記キャップ被覆部に、前記一対の側壁側それぞれに切り離し可能な切り取り線が形成されている、請求項1~3のいずれか1項に記載の容器。
【請求項5】
前記キャップ被覆部を前記一対の側壁側それぞれに切り離した後、残存する該キャップ被覆部における一方の該側壁側部分及び他方の該側壁側部分が、前記樹脂層と前記紙層とを分離する作業を容易とする摘み片として機能する、請求項4に記載の容器。
【請求項6】
前記胴部が、前記一対の側壁と、該側壁の一方端側及び他方端側の両端部において、該側壁どうしを連結する襠部とを有しており、
前記注出部は、一方の前記襠部に設けられている、請求項1~5のいずれか1項に記載の容器。
【請求項7】
前記胴部は、前記一対の側壁と、該側壁の一方端側において、該側壁どうしを連結する襠部とを有しており、
前記注出部は、前記側壁の他方端側において該側壁どうし間に介在させた注出部形成部材により形成されている、請求項1~5のいずれか1項に記載の容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、胴部と、開口部を有する注出部とを備えた容器本体と、該注出部に装着されたキャップとを備えた容器に関する。
【背景技術】
【0002】
液体洗剤等の液状の内容物を収容し、該内容物を注ぎ出す注出部を備えた容器が知られている。環境負荷の低減の観点から、前記容器には、該容器を構成する樹脂の使用量の低減やリサイクル性が求められている。例えば、リサイクル性のある容器として、特許文献1には、紙を主体とする外側容器と、ブロー成形された内側容器とを組み合わせた複合容器が開示されている。
【0003】
一方、前記容器として、注出部に装着されるキャップを備えているものが多く使用されている。キャップの不正開封防止の観点から、特許文献2には、ヒンジ部で回動可能に連結された一対の分割体を有し、該分割体は、キャップを覆う分割キャップ本体と、その下端に破断容易に連結され、キャップの下端に係止されるリング状の分割リングとを備え、該分割キャップ本体を除去しない限りキャップの取外しを不能とした、キャップが開示されている。
【0004】
また、特許文献3には、キャップの下端部の外鍔片にかけてシュリンクラベルを組付け、キャップの外周面に形成した滑り止め機能部を露出させた、シュリンクラベル付き容器が開示されている。
さらに、特許文献4には、カバー筒体が、キャップ体を覆うと共に、破断し易い複数の連結部を介して、容器本体とキャップ体の組み合わせ物に空転不能に連結され、さらに破断し易い弱化部が形成されており、キャップ体を開封する際に、カバー筒体を破断除去して、キャップ体を露出させる、キャップ付き容器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平08-072931号公報
【特許文献2】特開平08-002544号公報
【特許文献3】特開2012-176760号公報
【特許文献4】特開2016-101967号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
不正開封を防止する観点から、液状の内容物を収容する容器は、流通過程において未開封であることを容易に識別できることが望ましい。特許文献2~4に開示の技術は、キャップが未開封であることを示す点で有効である。しかしながら、これら特許文献における分割キャップ本体や、シュリンクラベル、カバー筒体等といった容器の未開封を保証するバージン性に係る部材は、主に樹脂製である。すなわち、特許文献2~4は、キャップについて樹脂の使用量を低減するための技術を開示するものではない。また、特許文献1は、容器のバージン性を担保しつつ、樹脂の使用量を低減するための技術を開示するものではない。
【0007】
本発明は、前述した従来技術が有する欠点を解消し得る、容器を提供することに関する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、相対する一対の側壁を有し、内容物の収容空間を形成する胴部と、開口部を有する注出部とを備えた容器本体、及び該注出部に装着されたキャップを備えた容器に関する。
前記胴部は、樹脂層と該樹脂層の外面側を覆う紙層とが積層された積層構造を有していることが好ましい。
前記紙層は、前記樹脂層から延出した延出部を有し、該延出部により、前記キャップの天面を覆って一方の前記側壁側から他方の前記側壁側に至る、キャップ被覆部が形成されていることが好ましい。
前記容器を開封する際に、前記キャップ被覆部による被覆を解除し、前記キャップを露出させることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明の容器によれば、未開封を保証するバージン性を担保しつつ、キャップについて樹脂の使用量を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明に係る容器の一実施形態を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す容器であって、一方の側壁側から視た正面図である。
【
図3】
図3は、
図1に示す容器をサイドシール部側から視た側面図である。
【
図4】
図4は、
図3に示す容器の高さ方向に沿う断面図である。
【
図5】
図5は、
図1に示す容器から紙層を除去した状態を示す斜視図である。
【
図6】
図6は、
図1に示すキャップ被覆部による被覆を解除した状態における容器の斜視図である。
【
図7】
図7は、本発明に係る容器の別の実施形態を示す
図1相当図である。
【
図9】
図9は、本発明に係る容器のさらに別の実施形態を示す一部破断図であり、
図2相当図である。
【
図10】
図10は、突き刺し強度の測定方法を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。
図1~5には、本発明の容器の一実施形態が示されている。
本実施形態の容器1は、スパウト付パウチ容器であり、可撓性のシートから形成されている。容器1は、
図1~
図3に示すように、内容物の収容空間を形成する胴部15と、注出部2とを備えた容器本体10を備えている。
本実施形態の胴部15は、相対する一対の側壁11a,11bと、該側壁11a,11bの一方端側及び他方端側の両端部において、該側壁どうしを連結する襠部13,14とを有している。これら2つの襠部13,14のうち、一方の襠部13に注出部2が設けられている。以下、注出部2が設けられた方の襠部13を「天面部13」ともいい、注出部2が設けられていない方の襠部14を「底部14」ともいう。
【0012】
本実施形態の容器1は、容器本体10の底部14を水平面に設置させることで、自立可能である。斯かる自立状態において、容器1の高さ方向Zは、鉛直方向と一致する。すなわち、容器本体10の底部14が下方になり、容器1の高さ方向Zにおける該底部14の反対側(例えば注出部2側)が上方になる。以下、特に断らない限り、
図1~5に示す実施形態の容器1の説明は、自立状態における容器1の説明とする。
本実施形態の容器1は、側壁11a,11bに対し左右方向となる幅方向Xと、該幅方向Xに直交する奥行方向Yとを有している。以下、説明の便宜上、一対の側壁11a,11bの一方を「前側壁11a」,他方を「後側壁11b」ともいう。
容器本体10における一対の側壁11a,11bは、奥行方向Yにおいて対向配置されており、天面部13及び底部14は、高さ方向Zにおいて対向配置されている(
図1及び
図3参照)。
【0013】
本実施形態の胴部15が備える一対の側壁11a,11b及び2つの襠部13,14それぞれは、可撓性のシートによって形成されている。胴部15は、樹脂層と該樹脂層の外面側を覆う紙層18とが積層された積層構造Sを有している(
図4参照)。本実施形態における樹脂層は、樹脂製のフィルム層17である。
本実施形態の胴部15は、一対の側壁11a,11bに前記積層構造Sを有している。これに代えて、胴部15は、一対の側壁11a,11b及び底部14に前記積層構造Sを有していてもよい。この積層構造Sにおいて、樹脂層(フィルム層17)と紙層18とは接した状態で重なっている。後述する前側壁11a及び後側壁11bそれぞれを形成する側壁形成シートは、斯かる積層構造Sを有している。
【0014】
胴部15は、その内部に内容物の収容空間を有する。斯かる収容空間は、フィルム層17によって形成されている。
図5に、側壁11a,11bにおける紙層18を取り外した状態の容器1を示す。胴部15を構成する各部11a,11b,13,14の接合状態について、
図5を参照しながら説明する。
天面部13は、天面部形成シート33により形成されている。天面部形成シート33は、胴部15の上端部であって一対の側壁11a,11bの間に固定されている。より詳細には、奥行方向Yにおいて天面部形成シート33を、前側壁11a側の前半分と、後側壁11b側の後半分とに二等分したとき、前側壁11aの上縁部と、天面部形成シート33の前半分の周縁部とが、前側上部シール部t1により接合されている。また、後側壁11bの上縁部と、天面部13の後半分の周縁部とが、後側上部シール部t2により接合されている。前側上部シール部t1及び後側上部シール部t2それぞれは、天面部形成シート33と、側壁11a,11bのフィルム層17とを接合している。
【0015】
図5において胴部15は、幅方向Xの両端部において、前側壁11aを形成する側壁形成シートの両側縁部と、後側壁11bを形成する側壁形成シートの両側縁とが接合された一対のサイドシール部16,16を有している。この一対のサイドシール部16,16は、前側上部シール部t1及び後側上部シール部t2の下端から下方に延びて形成されており、一対の側壁形成シートにおけるフィルム層17どうしを接合している。これにより、筒状の胴部15が形成されている。
【0016】
図5において底部14は、底部形成シート34により形成されている。底部形成シート34は、胴部15の下端部であって一対の側壁11a,11bの間に固定されている。より詳細には、一対の側壁11a,11bにおけるフィルム層17からなる筒状体の下端部に、底部14の周縁部が接合されている。
胴部15は、このように、一対の側壁11a,11bにおけるフィルム層17、天面部形成シート33、底部形成シート34の各部が接合されることによって袋状に形成されており、内部に、内容物の収容空間を有している。
【0017】
図5に示すように、天面部13は、幅方向Xにおける中央部がその両側に位置する側部よりも上方に位置しており、該側部は傾斜した部分となっている。斯かる中央部に、注出部2が形成されている。
容器本体10は、胴部15(天面部13)から突出した注出部2を有している。注出部2は、注出部形成部材20により構成されている。斯かる注出部形成部材20は、
図5に示すように、筒状部21とフランジ部23とを備えており、該筒状部21が、板状のフランジ部23に立設されている。注出部形成部材20は、フランジ部23において筒状部21が設けられている側の面が胴部15の天面部13の内面と接するように固定されており、筒状部21が天面部13を貫通し、該天面部13から突出した状態で固定されている。筒状部21は、その内部を貫通する注出路を有しており、該注出路の上端に開口部22を有している。筒状部21は、その外周面に複数の螺条が形成されている。
容器本体10は、注出部2に装着されたキャップ3を備えている。キャップ3は、その内周面に複数の螺条が形成されており、筒状部21に脱着自在に螺合可能である。キャップ3は、注出部2に装着された状態において開口部22を閉鎖している。
【0018】
胴部15は、前述したように、樹脂層(フィルム層17)と紙層18とが積層した積層構造Sを有している。本実施形態の側壁11a,11bにおける紙層18は、
図1~
図4に示すように、樹脂層(フィルム層17)から延出した延出部40a,40bを有している。延出部40a,40bは、各側壁11a,11bにおける樹脂層(フィルム層17)から上方に延出した部分である。
本実施形態の延出部40a,40bは、フィルム層17から延出した幅広部と、該幅広部よりも幅が狭く且つ該幅広部よりも上方に延出した部分とを有している(
図2参照)。延出部40a,40bは、注出部2よりも上方に延び、キャップ3の天面を覆って一方の側壁11a側から他方の側壁11b側に至る、キャップ被覆部4を形成している(
図2~
図4参照)。当該キャップ被覆部4は、前記幅広部よりも上方に延出した部分により形成されている。
図3及び
図4に示すように、サイドシール部16側から視た容器1の側面視において、前側壁11a側の延出部40a、及び後側壁11b側の延出部40bの先端部どうしが接合されており、アーチ状のキャップ被覆部4が形成されている。斯かる先端部どうしの接合部を、先端接合部43ともいう。
本実施形態のキャップ被覆部4は、いずれか一方の側壁11a,11b側から視た容器1の正面視において、キャップ3を被覆している。一方、キャップ被覆部4は、容器1の側面視において、キャップ3を被覆しておらず、キャップ3が露出した状態となっている。キャップ被覆部4は、キャップ3の天面を被覆していればよく、天面以外が露出していてもよい。
【0019】
容器1は、それを開封する際に、キャップ被覆部4による被覆を解除し、キャップ3を露出させる。本実施形態のキャップ被覆部4は、
図6に示すように、先端接合部43を切り離すことで、キャップ被覆部4が、前側壁11a側の部分(延出部40a)と後側壁11b側の部分(延出部40b)とに分離され、該キャップ被覆部4の被覆が解除される。この状態で、露出させたキャップ3を開封し、容器本体10内の内容物を、注出部2を介して吐出させる。
本実施形態の容器1は、キャップ3の天面部を被覆するキャップ被覆部4によって、容器の未開封を保証するバージン性を担保している。キャップ被覆部4は、紙層18からなるので、バージン性に係る樹脂製の部材が不要であり、当該部材を具備する従来の容器に比して、樹脂の使用量を低減できる。
【0020】
資源活用の観点から、容器1は、前記積層構造Sにおける樹脂層(フィルム層17)と紙層18とが分離可能に積層されていることが好ましい。斯かる構成により、樹脂層及び紙層18それぞれを容易にリサイクルに供することができる。
樹脂層と紙層18との分離をより容易にする観点から、樹脂層と紙層18とは、分離可能に接合されていることが好ましい。斯かる形態として、例えば剥離可能な接着強度で、樹脂層と紙層18とが接合されたものが挙げられる。
【0021】
樹脂層(フィルム層17)と紙層18とは、これらが積層した領域全体で接合されていてもよく、該領域において部分的に接合されていてもよい。
胴部15の保形性の観点から、樹脂層と紙層18とは、これらが積層した領域全体で接合されていることが好ましい。
【0022】
樹脂層(フィルム層17)と紙層18とは、接着剤等の公知の接合手段により接合できる。
樹脂層と紙層18との分離をより容易にする観点から、樹脂層と紙層18とは、ヒートシールにより接合されていることが好ましい。
【0023】
本実施形態の容器1は、キャップ被覆部4に、一対の側壁11a,11b側それぞれに切り離し可能な切り取り線41が形成されている(
図1及び
図2参照)。斯かる切り取り線41は、先端接合部43における胴部15側の端縁の位置であって、該端縁に沿って形成されている。切り取り線41は、先端接合部43の側縁間において幅方向Xに延びている。切り取り線41は、ミシン目で形成されてもよく、ハーフカット等の厚み方向に貫通しない切断線であってもよい。
キャップ被覆部4による被覆を解除する操作を容易にする観点、及び被覆を解除した後の延出部40a,40bの外観をより向上する観点から、キャップ被覆部4に切り取り線41が形成されていることが好ましい。
【0024】
本実施形態のキャップ被覆部4を一対の側壁11a,11b側それぞれに切り離すと、
図6に示すように、キャップ被覆部4における前側壁11a側の部分(延出部40a)及び後側壁11b側の部分(延出部40b)が、胴部15の上縁に残存する。斯かる残存した部分40a,40bは、樹脂層(フィルム層17)と紙層18とを分離する作業を容易とする摘み片として機能する。例えば、前記残存した部分40a,40bを把持して、下方に引っ張ることにより、樹脂層(フィルム層17)から紙層18を分離する作業が容易になる。
【0025】
本実施形態の容器1は、胴部15が前記積層構造Sを有する可撓性のシートにより形成されているので、内容物の排出後に、該胴部15を複数回折り曲げて折り畳むことが可能である。胴部15は、フィルム層17と紙層18とを分離した後でも、分離する前でも折り畳み可能である。斯かる構成により、ゴミの保管場所の低減やゴミの減容が容易になる。
【0026】
店頭において容器1は、キャップ被覆部4を把持して持ち運びされることが想定される。キャップ被覆部4の強度をより確実に確保する観点から、紙層18は以下の構成を具備することが好ましい。
紙層18の坪量は、好ましくは50g/m2以上150g/m2以下、より好ましくは80g/m2以上100g/m2以下である。
【0027】
容器本体10の強度をより確実に確保する観点から、紙層18は、突き刺し強度が好ましくは8N以上、より好ましくは10N以上であり、また好ましくは20N以下、より好ましくは15N以下であり、また8N以上20N以下、より好ましくは10N以上15N以下である。突き刺し強度の測定方法は、以下の方法により測定される。
【0028】
<突き刺し強度の測定>
容器本体10から紙層18を取り出し、さらにその紙層18から直径60mmの試験片を切り出す。この試験片を、
図10に示すように、直径50mmの穴の開いた台71の上に平らに固定する。AUTOGARPH AG-S(株式会社島津製作所製)に直径1mmの金属針73を装着して、50mm/秒の速度で、金属針73を下降させて、試験片7を貫通させる。そして、試験片7を貫通させる際に針に加わる最大荷重を突き刺し強度として測定する。金属針73は、全長が10mmで先端から5mmの範囲が先細り形状となっており、針の先端は、直径1mmの半球状となっている。
【0029】
紙層18の形成材料は、紙の原料として使用可能なものを特に制限なく用いることができ、例えば、針葉樹クラフトパルプ(NBKP)や広葉樹クラフトパルプ(LBKP)等の木材パルプ、綿パルプや麻パルプ等の非木材パルプ等の天然繊維;カチオン化パルプ、マーセル化パルプ等の変性パルプ;キュプラ、レーヨン等の再生繊維等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を混合して用いてもよい。
上記と同様の観点から、紙層18は、針葉樹クラフトパルプを含有することが好ましい。紙層18における針葉樹クラフトパルプの含有量は、好ましくは50質量%以上である。
【0030】
紙層18の強度をより確実に確保する観点から、紙層18には、紙力増強剤が添加されていることが好ましい。紙力増強剤には、乾燥紙力を向上させる乾燥紙力増強剤と、湿潤紙力を向上させる湿潤紙力増強剤とがあり、いずれを用いてもよい。
【0031】
乾燥紙力増強剤としては、従来公知の乾燥紙力増強剤を用いることができ、例えば、CMC及びその塩、ポリアクリルアミド系樹脂及びその塩、カチオン化デンプン、ポリビニルアルコール(PVA)等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。CMCあるいはポリアクリルアミド系樹脂の塩としては、それぞれ、ナトリウム塩が主に用いられる。ポリアクリルアミド系樹脂としては、例えば、カチオン性又はアニオン性ポリアクリルアミド(PAM)が挙げられる。これらの乾燥紙力増強剤の中でも、特にCMC及びその塩、アニオン性PAM及びその塩が好ましい。
【0032】
湿潤紙力増強剤としては、従来公知の湿潤紙力増強剤を用いることができ、例えば、エポキシ化ポリアミドポリアミン樹脂(PAE)、尿素-ホルマリン樹脂、メラミン-ホルマリン樹脂、ジアルデヒドデンプン、ポリエチレンアミン、メチロール化ポリアミド等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの湿潤紙力増強剤の中でも、特にPAEが好ましい。
【0033】
紙層18は、公知の湿式抄紙法によって製造することができる。湿式抄紙法は、パルプ繊維の水分散液からなる紙料(スラリー)を調製する紙料調製工程と、紙料から繊維を抄いて繊維ウエブとしたものを搬送しながら乾燥する抄紙工程とを有するものである。抄紙工程は、通常、ワイヤパート、プレスパート、ドライヤパート、サイズプレス、カレンダパート等に分けられ、順次実施される。前述した乾燥紙力増強剤及び湿潤紙力増強剤は、通常、紙料調製工程において紙料に添加される。湿式抄紙法は、例えば、長網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機、オントップ抄紙機、ハイブリッド抄紙機又は丸網抄紙機等の抄紙機を用いて常法に従って実施することができる。
【0034】
紙層18は、クレープ(ちりめん状のシワ)を有していてもよい。例えばクレープは、ドライヤパートにおけるヤンキードライヤ等から乾燥状態の繊維ウエブをドクターナイフ等で剥離する際に生じる、ドライクレープである。
【0035】
紙層18は、どちらか一方又は双方の面が、アクリル系、スチレン系、ウレタン系等のコーティング剤でコーティングされていてもよい。あるいは、紙層18は、前記コーティング剤によってコーティングされていなくてもよい。
【0036】
本実施形態の容器1は樹脂層としてフィルム層17を備えている。フィルム層17の形成材料は、単層又は多層の公知の合成樹脂フィルムを用いることができる。リサイクル性をより向上する観点から、フィルム層17は、単一種類の合成樹脂からなる単層又は多層の合成樹脂フィルムであることが好ましい。合成樹脂フィルムの構成樹脂としては、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド等が挙げられる。
【0037】
本実施形態の容器1は、フィルム層17とともに紙層18とを具備するので、容器1全体の樹脂量を低減することができる。斯かる効果をより確実に奏させる観点から、フィルム層17の厚みは、好ましくは40μm以上250μm以下、より好ましくは50μm以上150μm以下である。
【0038】
襠部13,14が前記積層構造Sを有しない場合、該襠部13,14の形成材料には、フィルム層17と同様に、上述した単層又は多層の合成樹脂フィルムを用いることができる。斯かる場合、容器1の強度をより確実に確保する観点から、襠部13,14を形成する合成樹脂フィルムの厚みは、好ましくは40μm以上250μm以下、より好ましくは50μm以上150μm以下である。
【0039】
注出部形成部材20の形成材料には、合成樹脂を用いることができる。斯かる合成樹脂としては、ポリエチレン(PE),ポリプロピレン(PP)、ポリブテン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル、ナイロン等のポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリ乳酸等が挙げられる。
注出部形成部材20における筒状部21とフランジ部23とは、合成樹脂の射出成形等により一体成形されていることが好ましい。
【0040】
本実施形態の容器1は、例えば、被詰め替え容器に内容物を再充填又は補充するための詰め替え容器として好ましく用いられる。被詰め替え容器としては、例えば、注出ノズル付のキャップを備えた注出容器等が挙げられる。
また、容器1に収容される内容物は、液体でも粉体でもよい。内容物としては、例えばシャンプー、ヘアコンディショナー、ヘアリンス等の液状のヘアケア剤、ボディソープやハンドソープ等の液体石鹸、衣類や食器用の液体洗剤、柔軟剤や漂白剤、バストイレや床洗浄用の液体洗浄剤、液状の化粧品、液状の医薬品等が挙げられる。
【0041】
本発明の容器は、
図1~
図6に示す形態に限定されず、他の形態であってもよい。以下に、本発明に係る容器の別の実施形態について説明する。以下では、別の実施形態について、
図1~
図6に示す実施形態と異なる構成部分を主として説明し、同様の構成部分は同一の符号を付して説明を省略する。特に説明しない構成部分は、
図1~
図6に示す実施形態についての説明が適宜適用される。
【0042】
図7及び
図8に、本発明の容器の別の実施形態が示されている。本実施形態の容器1aにおいて、キャップ被覆部4aは、切り取り線41の代わりに、一方の側壁11a側の部分(延出部40a)の先端部に形成された挿入孔45と、他方の側壁11b側の部分(延出部40b)の先端部に形成された差込片44とを備えている。挿入孔45は、幅方向Xに長い貫通孔である。差込片44は、前記他方の側壁11b側の部分(延出部40b)のうち括れ部を介して連続する先端部分であり、括れ部よりも下方に位置する部分に比して幅が小さい(
図8参照)。斯かる差込片44は、前記挿入孔45に差し込み可能に構成されている(
図7参照)。
【0043】
図7に示す容器1aは、挿入孔45に差込片44が挿入されることで、キャップ被覆部4aにおける一方の側壁11a側の部分(延出部40a)と他方の側壁11b側の部分(延出部40b)との先端部どうしが係合し、キャップ3の天面を被覆するキャップ被覆部4aが形成される。
容器1aを開封する際は、挿入孔45から差込片44を抜いて、一方の側壁11a側の部分(延出部40a)と他方の側壁11b側の部分(延出部40b)との先端部どうしの係合を解除し、キャップ被覆部4aを一方の側壁11a側の部分(延出部40a)と他方の側壁11b側の部分(延出部40b)とに分離して、キャップ3を露出させる(
図8参照)。
【0044】
図9に、本発明の容器のさらに別の実施形態が示されている。本実施形態の容器1bは、一対の側壁11c,11dと、容器1bの高さ方向Zにおける該側壁11c,11dの一方端側において、該側壁11c,11dどうしを連結する襠部14aとを有している。斯かる容器1bにおいて、一対の側壁11c,11dは、四角形の四隅のうち1個の角部が斜めに切り欠かれた角欠け部19を有しており、襠部14aが該容器1bの底部となっている。角欠け部19は、容器1bの高さ方向Zにおいて、襠部14aと反対側に位置している。本実施形態の注出部2は、容器1bの高さ方向Zにおける側壁11c,11dの他方端側において該側壁11c,11dどうし間に介在させた注出部形成部材20により形成されている。斯かる注出部2は、一対の側壁11c,11dの角欠け部19どうし間に位置している。本実施形態の容器1bも、容器本体10の底部(襠部14a)を水平面に設置させることで、自立可能である。
【0045】
本実施形態の容器1bは、角欠け部19において各側壁11c,11dの紙層18が、フィルム層17から延出しており、その延出部40c,40dがキャップ被覆部4bを形成している。本実施形態のキャップ被覆部4bは、延出部40c,40dの先端部どうしが接合されることで形成されている一方、切り取り線41は形成されていない。斯かるキャップ被覆部4bは、これを任意の部位で破断することで、一対の側壁11c,11d側の部分それぞれに分離し、該キャップ被覆部4bによる被覆を解除して、キャップ3を露出させる。
【0046】
本実施形態の容器1bの胴部は、例えば一対の側壁形成シートの底部分の間に、底部形成シートを二つ折りにして挟み込んだ状態で、これら一対の側壁形成シートの周縁部分をヒートシールにより接合することによって得られる。斯かる胴部における、角欠け部19と対応する箇所に注出部形成部材が取り付けることによって、注出部2が形成される。
【0047】
本発明は、上述した実施形態に制限されず適宜変更可能である。また、上述した実施形態を組み合わせてもよい。
例えば、上述した実施形態の容器は自立可能なパウチ容器であったが、自立が不可能なものであってもよい。斯かる形態として、一対の側壁11a,11bどうしの端部であって、注出部2とは反対側の端部どうしが接合されたものが挙げられる。
また、上述した実施形態において、キャップ3は螺合により注出部2に装着されるものであったが、嵌着により装着されるものであってもよい。
また、被覆状態を解除するためのキャップ被覆部4の破断箇所は、キャップ3の被覆を解除できる位置であれば特に限定されない。例えば、該破断箇所は、一方又は双方の側壁側における延出部の基端側に存在してもよい。
【0048】
本発明の容器は、容器本体10がボトル容器であってもよい。ボトル容器は、熱可塑性の合成樹脂を用いて、ブロー成形したボトル形状を有するブロー成形体である。ボトル容器からなる容器本体10は、例えば、筒形状の胴部と、該胴部の下端部に設けられた底部と、該胴部の上端部に設けられ、中央に開口が形成された環帯状の肩部と、該肩部の開口から上方に立設された注出部2とを備えており、これらの各部が一体成形されたものである。この場合、注出部2は、前記肩部から連続して立設された筒状部21からなる。容器本体10がボトル容器である場合、ボトル形状を有するブロー成形体が樹脂層で構成され、胴部における樹脂層の外面側が紙層18で覆われる。
【符号の説明】
【0049】
1、1a、1b 容器
2 注出部
3 キャップ
4、4a、4b キャップ被覆部
10 容器本体
11a、11b、11c、11d 側壁
13 襠部(天面部)
14、14a 襠部(底部)
15 胴部
16 サイドシール部
17 フィルム層
18 紙層
19 角欠け部
20 注出部形成部材
21 筒状部
22 開口部
23 フランジ部
40a、40b、40c、40d 延出部
41 切り取り線
43 先端接合部
44 差込片
45 挿入孔
S 積層構造
t1 前側上部シール部
t2 後側上部シール部
X 幅方向
Y 奥行方向
Z 高さ方向