(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022188366
(43)【公開日】2022-12-21
(54)【発明の名称】OCT装置の制御装置およびOCT装置制御プログラム
(51)【国際特許分類】
A61B 1/247 20060101AFI20221214BHJP
A61B 1/00 20060101ALI20221214BHJP
A61B 1/045 20060101ALI20221214BHJP
【FI】
A61B1/247
A61B1/00 526
A61B1/045 610
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021096338
(22)【出願日】2021-06-09
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-09-06
(71)【出願人】
【識別番号】000141598
【氏名又は名称】株式会社吉田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐川 隆信
【テーマコード(参考)】
4C161
【Fターム(参考)】
4C161AA09
4C161BB06
4C161BB08
4C161CC06
4C161DD01
4C161MM10
4C161NN01
4C161RR18
4C161WW20
(57)【要約】
【課題】横スキャンと縦スキャンとを切り替えて撮影しても常に同じ向きの画像を表示すること。
【解決手段】OCT制御装置100は、A軸方向に沿った内部情報の測定値からなるAスキャンデータを生成するAスキャンデータ生成手段103と、A軸方向に直交する平面内の所定の測定点に関して順次取得されるAスキャンデータを画像記憶手段101にそれぞれ書き込んで3D画像データを構築する画像構成処理手段104と、画像表示処理手段105とを備え、画像構成処理手段104は、横スキャンによる撮影時に順次取得されたAスキャンデータをそれぞれ画像記憶手段の3D座標空間においてA軸方向に対して直交するB軸方向を示す第1の軸に沿って平行に書き込み、縦スキャンによる撮影時に順次取得されたAスキャンデータをそれぞれ画像記憶手段の3D座標空間においてA軸方向およびB軸方向に直交するV軸方向を示す第2の軸に沿って平行に書き込む。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯牙の深さ方向であるA軸方向に対して直交するB軸方向の軸周りの回転動作と、前記A軸方向および前記B軸方向に直交するV軸方向の軸周りの回転動作とに相当する2次元走査を行う2次元走査機構を介して歯牙にレーザ光を照射して光干渉により前記歯牙の内部情報を測定するOCT装置の制御装置であって、
前記2次元走査機構によって歯列において左右方向である横方向に平行に走査させる横スキャンと、前記横方向に直交する縦方向に平行に走査させる縦スキャンとのいずれかを撮影条件として入力する撮影条件入力手段と、
前記A軸方向に沿った内部情報の測定値からなるAスキャンデータを生成するAスキャンデータ生成手段と、
前記A軸方向に直交する平面内の所定の測定点に関して順次取得される前記Aスキャンデータを画像記憶手段にそれぞれ書き込んで3D画像データを構築する画像構成処理手段と、
前記画像記憶手段から前記3D画像データを読み出し、表示装置に画像を表示させる画像表示処理手段と、を備え、
前記画像構成処理手段は、
前記横スキャンによる撮影時に順次取得されたAスキャンデータをそれぞれ画像記憶手段の3D座標空間において前記B軸方向を示す第1の軸に沿って平行に書き込み、
前記縦スキャンによる撮影時に順次取得されたAスキャンデータをそれぞれ画像記憶手段の3D座標空間において前記V軸方向を示す第2の軸に沿って平行に書き込む
ことを特徴とするOCT装置の制御装置。
【請求項2】
ストレートヘッドを使用した撮影をするときに、前記2次元走査機構が、前記歯牙のレーザ光照射面において左上隅を開始点として右下隅に向かう2次元走査を行い、
前記画像構成処理手段は、
前記横スキャンによる撮影時には、前記第1の軸方向における正の向きに前記Aスキャンデータを3D座標空間に書き込むことで第1断面の断面画像データを構築し、この第1断面の断面画像データを前記第2の軸方向の正の向きに積層するように3D画像データを構築し、
前記縦スキャンによる撮影時には、前記第2の軸方向の正の向きに前記Aスキャンデータを3D座標空間に書き込むことで第2断面の断面画像データを構築し、この第2断面の断面画像データを前記第1の軸方向の正の向きに積層するように3D画像データを構築する、
ことを特徴とする請求項1に記載のOCT装置の制御装置。
【請求項3】
斜鏡を有するアングルヘッドを使用した撮影をするときに、前記2次元走査機構が、前記斜鏡の反射面において左上隅を開始点として右下隅に向かう2次元走査を行い、
画像構成処理手段は、
前記横スキャンによる撮影時には、前記第1の軸方向における正の向きに前記Aスキャンデータを3D座標空間に書き込むことで第1断面の断面画像データを構築し、この第1断面の断面画像データを前記第2の軸方向の負の向きに積層するように3D画像データを構築し、
前記縦スキャンによる撮影時には、前記第2の軸方向の負の向きに前記Aスキャンデータを3D座標空間に書き込むことで第2断面の断面画像データを構築し、この第2断面の断面画像データを前記第1の軸方向の正の向きに積層するように3D画像データを構築する、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のOCT装置の制御装置。
【請求項4】
斜鏡を有するアングルヘッドを使用した撮影をするときに、前記2次元走査機構が、前記斜鏡の反射面において左下隅を開始点として右上隅に向かう2次元走査を行い、
前記画像構成処理手段は、
前記横スキャンによる撮影時には、前記第1の軸方向における正の向きに前記Aスキャンデータを3D座標空間に書き込むことで第1断面の断面画像データを構築し、この第1断面の断面画像データを前記第2の軸方向の正の向きに積層するように3D画像データを構築し、
前記縦スキャンによる撮影時には、前記第2の軸方向の正の向きに前記Aスキャンデータを3D座標空間に書き込むことで第2断面の断面画像データを構築し、この第2断面の断面画像データを前記第1の軸方向の正の向きに積層するように3D画像データを構築する、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のOCT装置の制御装置。
【請求項5】
前記画像表示処理手段は、前記画像記憶手段から前記3D画像データを読み出し、表示装置に、断層画像と3D画像の少なくとも1つを表示させる、
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のOCT装置の制御装置。
【請求項6】
画像構成処理手段は、前記3D画像データを構成する断面画像データに、前記横スキャンと前記縦スキャンとのいずれの撮影条件により取得されたのかを表す表示方向情報を追加してデータ蓄積手段に保存する、
ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のOCT装置の制御装置。
【請求項7】
画像構成処理手段は、
前記横スキャンによる撮影時に取得したAスキャンデータから3D画像データを構成した場合、当該3D画像データの元の断面の断面画像データをデータ蓄積手段に保存し、
前記縦スキャンによる撮影時に取得したAスキャンデータから3D画像データを構成した場合、当該3D画像データを前記A軸方向に向かって前記B軸方向にスライスした断面であって元の断面とは90度ずれた断面の断面画像データを生成してデータ蓄積手段に保存する、
ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のOCT装置の制御装置。
【請求項8】
前記画像表示処理手段は、前記データ蓄積手段から前記3D画像データを読み出し、表示装置に、断層画像と3D画像の少なくとも1つを表示させる、
ことを特徴とする請求項6または請求項7のいずれか一項に記載のOCT装置の制御装置。
【請求項9】
コンピュータを、請求項1から請求項8のいずれか一項に記載のOCT装置の制御装置として機能させるためのOCT装置制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、OCT装置に係り、特に歯科用のOCT装置の制御装置およびOCT装置制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、術者が手に持ったプローブを介して歯牙にレーザ光を照射して光干渉により歯牙の内部情報を測定する光干渉断層画像生成装置(Optical Coherence Tomography:OCT装置)が提案されている(特許文献1参照)。特許文献1に記載されたOCT装置は、2次元走査機構によって、歯牙における光照射面において第1スキャンの方向を、水平方向(横)に走査させる横スキャンと、垂直方向(縦)に走査させる縦スキャンとを切り替えて撮影を行う。歯牙において着目する部位に応じて撮影条件を切り替えることで、手振れによる画像の乱れを低減し、着目する部位の断面画像のモーションアーチファクトを減らすことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術では、歯牙における光照射面において第1スキャンの方向を、横スキャンから縦スキャンに切り替えると、歯牙の各測定点からデータを取得する順番が切り変わり、表示される画像に不要な回転や反転が生じる場合があった。そのため、OCT装置の改良の余地があった。
【0005】
本発明は、前記した事情に鑑みてなされたものであり、横スキャンと縦スキャンとを切り替えて撮影しても常に同じ向きの画像を表示することのできるOCT装置の制御装置およびOCT装置制御プログラムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明に係るOCT装置の制御装置は、歯牙の深さ方向であるA軸方向に対して直交するB軸方向の軸周りの回転動作と、前記A軸方向および前記B軸方向に直交するV軸方向の軸周りの回転動作とに相当する2次元走査を行う2次元走査機構を介して歯牙にレーザ光を照射して光干渉により前記歯牙の内部情報を測定するOCT装置の制御装置であって、前記2次元走査機構によって歯列において左右方向である横方向に平行に走査させる横スキャンと、前記横方向に直交する縦方向に平行に走査させる縦スキャンとのいずれかを撮影条件として入力する撮影条件入力手段と、前記A軸方向に沿った内部情報の測定値からなるAスキャンデータを生成するAスキャンデータ生成手段と、前記A軸方向に直交する平面内の所定の測定点に関して順次取得される前記Aスキャンデータを画像記憶手段にそれぞれ書き込んで3D画像データを構築する画像構成処理手段と、前記画像記憶手段から前記3D画像データを読み出し、表示装置に画像を表示させる画像表示処理手段と、を備え、前記画像構成処理手段は、前記横スキャンによる撮影時に順次取得されたAスキャンデータをそれぞれ画像記憶手段の3D座標空間において前記B軸方向を示す第1の軸に沿って平行に書き込み、前記縦スキャンによる撮影時に順次取得されたAスキャンデータをそれぞれ画像記憶手段の3D座標空間において前記V軸方向を示す第2の軸に沿って平行に書き込むことを特徴とする。
なお、本発明は、コンピュータを、前記したOCT装置の制御装置として機能させるためのOCT装置制御プログラムで実現することもできる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、歯牙における光照射面において第1スキャンの方向を、横スキャンから縦スキャンに切り替えても、画像記憶手段の3D座標空間においてデータを書き込む位置を揃えることができるので、表示される画像に不要な回転や反転が生じることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施形態に係る歯科用OCT装置を模式的に示す構成図である。
【
図2】
図1のプローブの構成例を示す分解斜視図である。
【
図3】
図1のOCT制御装置を模式的に示すブロック図である。
【
図4】前歯撮影の概要を示す図であって、(a)は前歯撮影用のプローブ、(b)は横スキャンによる撮影、(c)は縦スキャンによる撮影をそれぞれ模式的に示している。
【
図5】本発明の第1実施形態に係るOCT測定光による前歯の前面走査を示す模式図であって、(a)は横スキャンの場合の前歯の模式図、(b)は縦スキャンの場合の前歯の模式図をそれぞれ示している。
【
図6】前歯撮影で取得された3D画像データの画面表示例であって、(a)は横スキャンに対応した画面表示、(b)は縦スキャンに対応した画面表示を示している。
【
図7】前歯撮影に係る比較例1の説明図であって、(a)は撮影対象の前歯、(b)は画像構築表示方法の概念図、(c)は横スキャンによる表示例、(d)は縦スキャンによる表示例をそれぞれ模式的に示している。
【
図8】前歯撮影に係る実施例1の説明図であって、(a)は横スキャンの場合の前歯画像の構築表示方法の概念図、(b)は横スキャンによる表示例、(c)は縦スキャンの場合の前歯画像の構築表示方法の概念図、(d)は縦スキャンによる表示例をそれぞれ模式的に示している。
【
図9】臼歯撮影の概要を示す図であって、(a)は臼歯撮影用のプローブ、(b)は横スキャンによる撮影、(c)は縦スキャンによる撮影をそれぞれ模式的に示している。
【
図10】本発明の第2実施形態に係るOCT測定光による臼歯の嵌合面走査を示す模式図であって、(a)は横スキャンの場合の臼歯の模式図、(b)は縦スキャンの場合の臼歯の模式図をそれぞれ示している。
【
図11】臼歯撮影で取得された3D画像データの画面表示例であって、(a)は横スキャンに対応した画面表示、(b)は縦スキャンに対応した画面表示を示している。
【
図12】臼歯撮影に係る比較例2の説明図であって、(a)は撮影対象の臼歯、(b)は画像構築表示方法の概念図、(c)は横スキャンによる表示例、(d)は縦スキャンによる表示例をそれぞれ模式的に示している。
【
図13】臼歯撮影に係る実施例2の説明図であって、(a)は横スキャンの場合の臼歯画像の構築表示方法の概念図、(b)は横スキャンによる表示例、(c)は縦スキャンの場合の臼歯画像の構築表示方法の概念図、(d)は縦スキャンによる表示例をそれぞれ模式的に示している。
【
図14】本発明の第3実施形態に係る3D画像データの構築方法を示す模式図であって、(a)は臼歯撮影用のプローブ、(b)は横スキャンによる撮影、(c)は縦スキャンによる撮影をそれぞれ模式的に示している。
【
図15】本発明の第3実施形態に係る3D画像データの構築方法を示す模式図であって、(a)は横スキャンの場合の臼歯画像の構築表示方法の概念図、(b)は横スキャンによる表示例、(c)は縦スキャンの場合の臼歯画像の構築表示方法の概念図、(d)は縦スキャンによる表示例をそれぞれ模式的に示している。
【
図17】本発明の第4実施形態に係る3D画像データの保存方法を示す模式図であって、横スキャンによる撮影で取得したデータの保存を示す図である。
【
図18】本発明の第4実施形態に係る3D画像データの保存方法を示す模式図であって、縦スキャンによる撮影で取得したデータの保存を示す図である。
【
図19】本発明の第5実施形態に係る3D画像データの保存方法を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明に係るOCT(Optical Coherence Tomography)装置の制御装置を実施するための形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするために誇張していることがある。
図1に示すように、OCT装置1は、光学ユニット10と、プローブ30と、制御ユニット50と、を主に備え、2次元走査機構33を介して歯牙200にレーザ光を照射して光干渉により歯牙200の内部情報を測定するものである。
【0010】
光学ユニット10は、一般的な光コヒーレンストモグラフィの各方式が適用可能な光源、光学系、検出部を備えている。
図1に示すように、光学ユニット10は、歯牙200にレーザ光を周期的に照射する光源11と、歯牙200の内部情報を検出するディテクタ23と、光源11とディテクタ23との間の光路中に設けられた光ファイバや各種光学部品等を備えている。光源11としては、例えばSS-OCT(Swept Source Optical Coherence Tomography)方式のレーザ光出力装置を用いることができる。
【0011】
ここで、光学ユニット10の概略を説明する。光源11から射出された光は、光分割手段であるカップラ12により、測定光と参照光とに分けられる。測定光は、サンプルアーム13のサーキュレータ14からプローブ30に入射する。この測定光は、プローブ30のシャッタ31が開放状態のときに、コリメータレンズ32、2次元走査機構33を経て集光レンズ34によって歯牙200に集光され、そこで散乱、反射した後に再び集光レンズ34、2次元走査機構33、コリメータレンズ32を経てサンプルアーム13のサーキュレータ14に戻る。戻ってきた測定光はカップラ16を介してディテクタ23に入力する。
【0012】
一方、カップラ12により分離された参照光は、レファレンスアーム17のサーキュレータ18からコリメータレンズ19を経て集光レンズ20によってレファレンスミラー21に集光され、そこで反射した後に再び集光レンズ20、コリメータレンズ19を経てサーキュレータ18に戻る。戻ってきた参照光はカップラ16を介してディテクタ23に入力する。つまり、カップラ16が、歯牙200で散乱、反射して戻ってきた測定光と、レファレンスミラー21で反射した参照光とを合波するので、合波により干渉した光(干渉光)をディテクタ23が歯牙200の内部情報として検出することができる。なお、サンプルアーム13の偏光コントローラ15、及び、レファレンスアーム17の偏光コントローラ22は、それぞれ、プローブ30を含むOCT装置1内部に生じた偏光を、より偏光の少ない状態に戻すために設置されている。
【0013】
プローブ30は、レーザ光を2次元走査する2次元走査機構33を含み、光学ユニット10からのレーザ光を歯牙200に導くと共に、歯牙200で反射した光を光学ユニット10に導くものである。プローブ30は、光信号を伝送する光ファイバで光学ユニット10に接続され、電気信号の配線で制御ユニット50に接続されている。撮影時には、利用者は、プローブ30を把持し、手振れ防止等のためプローブ30を患者に対して当接させる。
【0014】
2次元走査機構33は、歯牙の深さ方向であるA軸方向に対して直交するB軸方向の軸周りの回転動作と、A軸方向およびB軸方向に直交するV軸方向の軸周りの回転動作とに相当する2次元走査を行うものである。
本実施形態では、2次元走査機構33は、
図2に示すように回転軸が互いに直交したガルバノミラー33Vと、ガルバノミラー33Bと、で構成されている。なお、
図2に示すA軸、B軸及びV軸は互いに直交している。
【0015】
ガルバノミラー33Bは、モータ駆動により、
図2におけるV軸に沿った軸周りに所定角だけミラー面を回転する。例えばコリメータレンズ32の側から入射する光は、ガルバノミラー33Bのミラー面の回転により、
図2におけるB軸に沿って照射位置を平行移動して集光レンズ34を介して出射される。
【0016】
ガルバノミラー33Vは、モータ駆動により、
図2におけるA軸に沿った軸周りに所定角だけミラー面を回転する。例えばコリメータレンズ32の側から入射する光は、ガルバノミラー33Vのミラー面の回転により、
図2におけるV軸に沿って照射位置を平行移動して集光レンズ34を介して出射される。
【0017】
図1に示すように、制御ユニット50は、AD変換回路51と、DA変換回路52と、2次元走査機構制御回路53と、表示装置54と、OCT制御装置100とを備える。
AD変換回路51は、ディテクタ23のアナログ出力信号をデジタル信号に変換するものである。本実施形態では、AD変換回路51は、光源11であるレーザ出力装置から出力されるトリガ(trigger)に同期して信号の取得を開始し、同じくレーザ出力装置から出力されるクロック信号ckのタイミングに合わせて、ディテクタ23のアナログ出力信号を取得し、デジタル信号に変換する。このデジタル信号は、OCT制御装置100に入力する。
【0018】
DA変換回路52は、OCT制御装置100のデジタル出力信号をアナログ信号に変換するものである。本実施形態では、DA変換回路52は、光源11から出力されるトリガ(trigger)に同期して、OCT制御装置100のデジタル信号をアナログ信号に変換する。このアナログ信号は、2次元走査機構制御回路53に入力する。
【0019】
2次元走査機構制御回路53は、プローブ30内の2次元走査機構33を制御するドライバである。2次元走査機構制御回路53は、DA変換回路52のアナログ出力信号に基づいて、光源11から出照されるレーザ光の出力周期に同期して、ガルバノミラー33B又はガルバノミラー33Vのモータを駆動又は停止させるモータ駆動信号を出力する。
【0020】
2次元走査機構制御回路53は、ガルバノミラー33Bの回転軸を回転させてミラー面の角度を変更する処理と、ガルバノミラー33Vの回転軸を回転させてミラー面の角度を変更する処理と、を異なるタイミングで行う。
【0021】
表示装置54は、OCT制御装置100によって生成される光干渉断層画像(以下、OCT画像という)を表示するものである。表示装置54は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)等から構成される。
【0022】
OCT制御装置100は、光源11から出射される光に同期して2次元走査機構33を制御することで測定を行うと共に、ディテクタ23の検出信号を変換したデータから歯牙200のOCT画像を生成する制御を行うものである。
【0023】
図3に示すように、OCT装置1を制御するOCT制御装置100は、画像記憶手段101と、撮影条件入力手段102と、Aスキャンデータ生成手段103と、画像構成処理手段104と、画像表示処理手段105と、測定点位置演算手段106と、を備えている。また、ここでは、OCT制御装置100は、データ蓄積手段107を備えている。なお、データ蓄積手段107については、第4実施形態で説明する。
【0024】
撮影条件入力手段102は、2次元走査機構33によって歯列において左右方向である横方向に平行に走査させる横スキャンと、横方向に直交する縦方向に平行に走査させる縦スキャンとのいずれかを撮影条件として入力するものである。
Aスキャンデータ生成手段103は、A軸方向に沿った内部情報の測定値からなるAスキャンデータを生成するものである。
画像構成処理手段104は、A軸方向に直交する平面内の所定の測定点に関して順次取得されるAスキャンデータを画像記憶手段101にそれぞれ書き込んで3D画像データを構築するものである。画像構成処理手段104は、横スキャンによる撮影時に順次取得されたAスキャンデータをそれぞれ画像記憶手段101の3D座標空間においてB軸方向を示す第1の軸に沿って平行に書き込む。画像構成処理手段104は、縦スキャンによる撮影時に順次取得されたAスキャンデータをそれぞれ画像記憶手段101の3D座標空間においてV軸方向を示す第2の軸に沿って平行に書き込む。
画像表示処理手段105は、画像記憶手段101から3D画像データを読み出し、表示装置54に画像を表示させる。
測定点位置演算手段106は、各測定点位置をDA変換回路52に出力する。
【0025】
以下、OCT制御装置100の各部の詳細を記載する。
画像記憶手段101は、画像を一時的に記憶する一次記憶手段であり、例えばRAM(Random Access Memory)で構成される。画像記憶手段101には、画像構成処理手段104によって、OCT断層画像や3D画像をリアルタイムの動画として表示するための断層画像データや3D画像データが書き込まれる。また、画像記憶手段101から、画像表示処理手段105によって読み出されたデータは、表示装置54に画像表示される。画像表示処理手段105は、画像記憶手段101から3D画像データを読み出し、表示装置54に、断層画像と3D画像の少なくとも1つを表示させる。以下、画像記憶手段101は例えばVRAM(Video RAM)であるものとする。
【0026】
撮影条件入力手段102は、例えば操作者によって操作され、横スキャンまたは縦スキャンのいずれかを示す情報を撮影条件として画像構成処理手段104に入力する。撮影条件入力手段102は、例えばOCT制御装置100に接続されたマウス等のユーザインタフェースによって手動で操作を行うことができる。
本実施形態では、撮影条件入力手段102は、ヘッドの種類を撮影条件として画像構成処理手段104に入力する。ヘッドの種類は、例えばストレートヘッド(前歯用)、アングルヘッド(臼歯用)のいずれかである。
撮影条件入力手段102から入力される情報は、測定点位置演算手段106に入力し、これにより、測定点位置演算手段106は、撮影条件に応じた2次元走査機構33の動作の順に測定点位置をDA変換回路52に出力する。
【0027】
撮影条件入力手段102が、横スキャンを指示する制御信号を測定点位置演算手段106に出力したときには、測定点位置演算手段106は、ガルバノミラー33Bの回転に伴った光照射面における左右方向(横方向)の1次元走査、及びガルバノミラー33Vの微小回転に伴った光照射面における上下方向(縦方向)の僅かな移動を、繰り返す測定点位置を出力する。
【0028】
撮影条件入力手段102が、縦スキャンを指示する制御信号を測定点位置演算手段106に出力したときには、測定点位置演算手段106は、ガルバノミラー33Vの回転に伴った光照射面における上下方向(縦方向)の1次元走査、及びガルバノミラー33Bの微小回転に伴った光照射面における左右方向(横方向)の僅かな移動を、繰り返す測定点位置を出力する。
【0029】
Aスキャンデータ生成手段103は、公知の生成方法でAスキャンデータを生成することができる。例えば、レーザ光照射時の測定ポイント毎に、ディテクタ23で取得した、カップラ16で計測光と参照光との合波による干渉光のアナログ信号を、周波数解析(FFT処理)し、歯牙200の表面から内部に進む深さ方向(光軸方向)の測定値(Aスキャンデータ)を取得する。測定ポイントを横方向(X方向)に走査することで、AスキャンデータをX方向に重ね合わせ、歯牙200の第1断面(A断面)の断面画像データ(A断面画像)を取得することができる。さらに、測定ポイントをA断面に直交する方向(Y方向)に走査することで、このA断面画像をY方向に重ね合わせ、3D画像を形成することができる。なお、OCT画像等を例えば特開2012-211797号公報に記載された手法を用いて生成するようにしてもよい。この公報に記載されている技術と同様に、OCT装置1は、低解像度のOCT画像を表示するプレビュー撮影モードにおいて、利用者が把持したプローブ30のノズル先端を歯牙に向けて動かせば、それに追随したOCT断層画像や3D画像がリアルタイムの動画として表示される。
【0030】
(第1実施形態)
本実施形態では、プローブ30として、主に前歯を撮影する場合のストレートヘッドを使用した撮影(以下、前歯撮影ともいう)を行う場合について説明する。
まず、本実施形態における2次元走査機構33(
図1~
図3参照)の動作について
図4を参照して説明する。
図4(a)は、プローブ30の先端に装着された支持体4を前歯の前面に当接させた状態を示す模式図である。支持体4は、プローブ本体に着脱自在に構成されたストレートヘッドであって、ここでは、プローブ30の先端から出るレーザ光の光路を阻まずに必要な強度を有しつつ軽量な材料で円筒のフレーム形状に構成されている。撮影中に支持体4を前歯に当接させることでプローブ30の手振れを防止できる。
【0031】
本実施形態では、2次元走査機構33が、歯牙のレーザ光照射面において左上隅を開始点として右下隅に向かう2次元走査を行う。
横スキャンによる撮影時には、
図4(b)に示すように、前歯のレーザ光照射面において左上隅を開始点として、往路では術者から視て水平方向に左から右へ亘ってレーザ光が照射され、復路ではレーザ光が一時停止され、照射位置を下にずらした後、同様に往復動作が行われ、右下隅に向かって所定の終了点に達するまで一連の動作を行う。一連の動作により対象歯牙の3D画像データを取得することができるので、この一連の動作のことを1回のスキャンとも呼ぶ。なお、上記の終了点は、レーザ光が照射の終了という意味では例えば右下隅でもよいし、復路の終了という意味では左下隅でもよい。終了点が左下隅であると、次回の動作開始時に開始点と同じ側に位置することになるので好都合である。
【0032】
また、以下では、上記往復における往路に係るスキャンを第1スキャンと呼び、照射位置をずらす方向に係るスキャンを第2スキャンと呼ぶ。撮影方式において横スキャンという呼称は、第1スキャンの方向が術者にとって横(水平方向)であることを表している。そして、
図4(b)においてf軸は、第1スキャンの方向を示す水平方向の軸であり、第1スキャンの進行方向を正の向きとする。また、s軸は、第2スキャンの方向を示す垂直方向の軸であり、第2スキャンの進行方向を正の向きとする。なお、ここでは、簡単のため、第1スキャンの往復運動の4つの往路f1,f2,f3,f4を例示しているが、所望の画像を形成するためには第1スキャンの往復運動は例えば数百回ほど行う。
【0033】
縦スキャンによる撮影時には、
図4(c)に示すように、前歯のレーザ光照射面において左上隅を開始点として、往路では術者から視て垂直方向に上から下へ亘ってレーザ光が照射され、復路ではレーザ光が一時停止され、照射位置を右にずらした後、同様に往復動作が行われ、右下隅に向かって所定の終了点に達するまで一連の動作を行う。
【0034】
撮影方式において縦スキャンという呼称は、第1スキャンの方向が術者にとって縦(垂直方向)であることを表している。そして、
図4(c)においてf軸は、第1スキャンの方向を示す垂直方向の軸であり、第1スキャンの進行方向を正の向きとする。また、s軸は、第2スキャンの方向を示す水平方向の軸であり、第2スキャンの進行方向を正の向きとする。例えば、根面う蝕や歯肉の診断をする場合、横スキャンよりも縦スキャンを使用する方が好適である。
【0035】
本実施形態では、画像構成処理手段104(
図3参照)は、横スキャンによる撮影時には、
図5(a)に示すように、第1の軸(B軸)方向における正の向き(+B)にAスキャンデータ301を3D座標空間に書き込むことで第1断面(A断面)の断面画像データ302Aを構築し、この断面画像データ302Aを第2の軸(V軸)方向の正の向き(+V)に積層するように3D画像データ300を構築する。
【0036】
図5(a)において白抜き矢印にドットを付した符号Fは、3D座標空間において、第1スキャン(往路の照射)で順次取得されたAスキャンデータ301により、1つの断面画像データ302Aが構築されることを模式的に示している。なお、符号Fの向きと、第1スキャンの向きfは一致している(
図4(b)参照)。
【0037】
図5(a)において、白抜き矢印で示す符号Sは、3D座標空間において、断面画像データ302Aを順次積層していくときの積層の向きを模式的に示している。なお、符号Sの向きと、第2スキャンの向きsは一致している(
図4(b)参照)。
【0038】
また、画像構成処理手段104(
図3参照)は、縦スキャンによる撮影時には、
図5(b)に示すように、第2の軸(V軸)方向の正の向き(+V)にAスキャンデータ301を3D座標空間に書き込むことで第2断面(L断面)の断面画像データ302Lを構築し、この断面画像データ302Lを第1の軸(B軸)方向の正の向き(+B)に積層するように3D画像データ300を構築する。
【0039】
図5(b)において符号Fは、3D座標空間において、第1スキャン(往路の照射)で順次取得されたAスキャンデータ301により、1つの断面画像データ302Lが構築されることを模式的に示している。なお、符号Fの向きと、第1スキャンの向きfは一致している(
図4(c)参照)。
【0040】
図5(b)において符号Sは、3D座標空間において、断面画像データ302Lを順次積層していくときの積層の向きを模式的に示している。なお、符号Sの向きと、第2スキャンの向きsは一致している(
図4(c)参照)。
【0041】
本実施形態では、画像表示処理手段105(
図3参照)は、横スキャンによる撮影時には、断面画像を画面表示させるときにA断面画像を表示させ、縦スキャンによる撮影時には、断面画像を画面表示させるときにL断面画像を表示させる。
A断面画像は、前歯に照射されたレーザ光の光軸方向に沿った断面の画像であって、前歯に正対した術者から見て水平方向(横方向)に切断したような横断面の画像である。L断面画像は、前歯に照射されたレーザ光の光軸方向に沿った断面の画像であって、前歯に正対した術者から見て鉛直方向(縦方向)に切断したような縦断面の画像である。これらの画像の画面表示例を
図6(a)および
図6(b)に示す。
【0042】
図6(a)は、表示装置54の表示画面に、3D画像、断面画像(A断面画像)、およびEn-face画像を一度に表示させた様子を示している。
図6(a)において左の画像は3D画像である。この3D画像上の横線71は、断面画像(A断面画像)の位置を示す線である。
図6(a)において右上のA断面画像表示エリア72に表示されている画像はA断面画像である。横スキャンの撮影条件の場合、A断面画像を、その面に直交する方向に重ね合わせると、3D画像を形成することができる。
図6(a)において右下の画像はEn-face画像である。En-face画像は、レーザ光が照射された前歯の表面の情報と、前歯の深さ方向の情報とを合成した画像(正面画像)である。このEn-face画像には、外表面に本来表れない内部情報も合成されている。
【0043】
図6(b)は、表示装置54の表示画面に、3D画像、断面画像(L断面画像)、およびEn-face画像を一度に表示させた様子を示している。
図6(b)において左の画像は3D画像である。この3D画像上の縦線73は、断面画像(L断面画像)の位置を示す線である。
図6(b)において右上のL断面画像表示エリア74に表示されている画像はL断面画像である。縦スキャンの撮影条件の場合、L断面画像を、その面に直交する方向に重ね合わせると、3D画像を形成することができる。なお、
図6(b)において右下の画像はEn-face画像である。
【0044】
次に、本実施形態(以下、実施例1という)の作用効果について、従来の工夫をしない場合(以下、比較例1という)と比較して説明する。まず、比較例1について
図7を参照して説明する。ここでは、一例として
図7(a)に示す前歯の光照射面を可視化することとする。
【0045】
比較例1では、
図7(a)に示す前歯を対象に横スキャンによる撮影によって取得されたAスキャンデータを例えば
図7(b)のように3D座標空間に書き込む。
図7(b)は、VRAMの3D座標空間(XYZ)において、Oを原点として、X軸方向を第1スキャンの方向、Y軸方向を第2スキャンの方向と見立てて、Aスキャンデータを取得順に3D座標空間に書き込む様子の模式図である。
図7(c)は、比較例1において横スキャンによる撮影によって構築された3D画像データから原点o
Iの画像座標(x
I、y
I、z
I)にEn-face画像を表示した様子の模式図である。ここで、En-face画像とは、レーザ光が照射された前歯の表面の情報と、前歯の深さ方向の情報とを合成した画像(正面画像)である。
【0046】
また、比較例1では、
図7(a)に示す前歯を対象に縦スキャンによる撮影によって取得されたAスキャンデータを横スキャンと座標系を合わせて
図7(b)のように3D座標空間に書き込む。
図7(d)は、比較例1において縦スキャンによる撮影によって構築された3D画像データから原点o
Iの画像座標(x
I、y
I、z
I)にEn-face画像を表示した様子の模式図である。図示するように、比較例1の画像は、正しい画像と比べて反時計方向に90度回転し、さらに上下反転した状態で表示される。
【0047】
これに対して、実施例1では、
図7(a)に示す前歯を対象に、横スキャンによる撮影によって取得されたAスキャンデータを例えば
図8(a)のように3D座標空間に書き込む。この場合、実施例1の画像は、
図8(b)のように正しく表示される。
また、実施例1では、
図7(a)に示す前歯を対象に、縦スキャンによる撮影によって取得されたAスキャンデータを例えば
図8(c)のように3D座標空間に書き込む。この場合、実施例1の画像は、
図8(d)のように正しく表示される。
第1実施形態に係るOCT制御装置100によれば、前歯撮影において、横スキャンと縦スキャンとを切り替えて撮影しても常に同じ向きの画像を表示することができる。
【0048】
(第2実施形態)
次に、プローブ30として、主に臼歯を撮影する場合のアングルヘッドを使用した撮影(以下、臼歯撮影ともいう)を行う場合について説明する。なお、第1実施形態と同じ構成には同じ符号を付して説明を適宜省略する。まず、本実施形態における2次元走査機構33の動作について
図9を参照(適宜
図4参照)して説明する。
図9(a)は、プローブ30の先端に装着された支持体5を下顎の臼歯の咬合面(上面)に当接させた状態を示す模式図である。支持体5は、プローブ本体に着脱自在に構成されたアングルヘッドであって、ここでは、プローブ30の先端から出るレーザ光の光路を阻まずに必要な強度を有しつつ軽量な材料でフレーム形状に構成されている。
【0049】
支持体5は、プローブ本体側の基端から伸びる棒状部の先端に斜鏡5aと、斜鏡5aに連結された円環部5bと、を備えている。斜鏡5aは、集光レンズ34(
図2参照)の光軸を直交する方向に90度変換する反射鏡である。円環部5bは、臼歯の咬合面に当接される当接部である。図示する例では、円環部5bの一部分が奥の臼歯401に当接し、円環部5bの残りの部分が、手前の臼歯402に当接しており、奥の臼歯401には治療痕が存在するものとしている。集光レンズ34を通過するレーザ光は、斜鏡5aと、円環部5bの円環内部とを通過してこれら2つの臼歯の咬合面に照射される。撮影中に支持体5の円環部5bを臼歯の咬合面に当接させることでプローブ30の手振れを防止できる。
【0050】
本実施形態では、2次元走査機構33(
図1~
図3参照)が、支持体5の斜鏡5aの反射面において左上隅を開始点として右下隅に向かう2次元走査を行う。
横スキャンによる撮影時には、
図9(b)に示すように、斜鏡5aの反射面において左上隅を開始点として、往路では術者から視て水平方向に左から右へ亘ってレーザ光が照射され、復路ではレーザ光が一時停止され、照射位置を下にずらした後、同様に往復動作が行われ、右下隅に向かって所定の終了点に達するまで一連の動作を行う。
【0051】
縦スキャンによる撮影時には、
図9(c)に示すように、斜鏡5aの反射面において左上隅を開始点として、往路では術者から視て垂直方向に上から下へ亘ってレーザ光が照射され、復路ではレーザ光が一時停止され、照射位置を右にずらした後、同様に往復動作が行われ、右下隅に向かって所定の終了点に達するまで一連の動作を行う。
【0052】
次に、本実施形態における画像構成処理手段104(
図3参照)について
図10を参照(適宜
図5参照)して説明する。本実施形態では、画像構成処理手段104は、横スキャンによる撮影時には、
図10(a)に示すように、第1の軸(B軸)方向における正の向き(+B)にAスキャンデータを3D座標空間に書き込むことで第1断面(A断面)の断面画像データ302Aを構築し、この断面画像データ302Aを第2の軸(V軸)方向の負の向き(-V)に積層するように3D画像データ300を構築する。
【0053】
図10(a)において符号Fは、3D座標空間において、第1スキャン(往路の照射)で順次取得されたAスキャンデータ301により、1つの断面画像データ302Aが構築されることを模式的に示している。なお、符号Fの向きと、第1スキャンの向きfは一致している(
図9(b)参照)。
【0054】
図10(a)において符号Sは、3D座標空間において、断面画像データ302Aを順次積層していくときの積層の向きを模式的に示している。ここで、符号Sの向きは、第2スキャンの向きsとは逆である(
図9(b)参照)。これにより、斜鏡5aの反射面に映る像の上下反転の不具合を解消することができる。
【0055】
画像構成処理手段104(
図3参照)は、縦スキャンによる撮影時には、
図10(b)に示すように、第2の軸(V軸)方向の負の向き(-V)にAスキャンデータを3D座標空間に書き込むことで第2断面(L断面)の断面画像データ302Lを構築し、この断面画像データ302Lを第1の軸(B軸)方向の正の向き(+B)に積層するように3D画像データ300を構築する。
【0056】
図10(b)において符号Fは、3D座標空間において、第1スキャン(往路の照射)で順次取得されたAスキャンデータ301により、1つの断面画像データ302Lが構築されることを模式的に示している。なお、符号Fの向きは、第1スキャンの向きfとは逆である(
図9(c)参照)。これにより、斜鏡5aの反射面に映る像の上下反転の不具合を解消することができる。
【0057】
図10(b)において符号Sは、3D座標空間において、断面画像データ302Lを順次積層していくときの積層の向きを模式的に示している。なお、符号Sの向きと、第2スキャンの向きsは一致している(
図9(c)参照)。これにより、斜鏡5aの反射面に映る像の上下反転および回転の不具合を解消することができる。
【0058】
本実施形態においても、画像表示処理手段105(
図3参照)は、横スキャンによる撮影時には、断面画像を画面表示させるときにA断面画像を表示させ、縦スキャンによる撮影時には、断面画像を画面表示させるときにL断面画像を表示させる。これらの画像の画面表示例を
図11(a)および
図11(b)に示す。なお、画面表示の形式は、
図6(a)および
図6(b)を参照して説明した第1実施形態と同じなので、同様の構成には同じ符号を付して説明を省略する。
【0059】
次に、本実施形態(以下、実施例2という)の作用効果について、従来の工夫をしない場合(以下、比較例2という)と比較して説明する。まず、比較例2について
図12を参照して説明する。ここでは、一例として
図12(a)に示す2つの臼歯の光照射面を可視化することとする。
【0060】
比較例2では、
図12(a)に示す臼歯を対象に横スキャンによる撮影によって取得されたAスキャンデータを例えば
図12(b)のように3D座標空間に書き込む。
図12(b)は、VRAMの3D座標空間(XYZ)において、Oを原点として、X軸方向を第1スキャンの方向、Y軸方向を第2スキャンの方向と見立てて、Aスキャンデータを取得順に3D座標空間に書き込む様子の模式図である。
図12(c)は、比較例2において横スキャンによる撮影によって構築された3D画像データから原点o
Iの画像座標(x
I、y
I、z
I)にEn-face画像を表示した様子の模式図である。図示するように、比較例2の画像は、正しい画像と比べて上下反転した状態で表示される。
【0061】
また、比較例2では、
図12(a)に示す臼歯を対象に縦スキャンによる撮影によって取得されたAスキャンデータを横スキャンと座標系を合わせて
図12(b)のように3D座標空間に書き込む。
図12(d)は、比較例2において縦スキャンによる撮影によって構築された3D画像データから原点o
Iの画像座標(x
I、y
I、z
I)にEn-face画像を表示した様子の模式図である。図示するように、比較例2の画像は、正しい画像と比べて上下反転し、さらに反時計方向に90度回転した状態で表示される。
【0062】
これに対して、実施例2では、
図12(a)に示す臼歯を対象に、横スキャンによる撮影によって取得されたAスキャンデータを例えば
図13(a)のように3D座標空間に書き込む。この場合、実施例2の画像は、
図13(b)のように正しく表示される。
また、実施例2では、
図12(a)に示す臼歯を対象に、縦スキャンによる撮影によって取得されたAスキャンデータを例えば
図13(c)のように3D座標空間に書き込む。この場合、実施例2の画像は、
図13(d)のように正しく表示される。
第2実施形態に係るOCT制御装置100によれば、臼歯撮影において、横スキャンと縦スキャンとを切り替えて撮影しても常に同じ向きの画像を表示することができる。
【0063】
(第3実施形態)
次に、臼歯撮影を行う場合の別の実施形態を第3実施形態として説明する。なお、第2実施形態と同じ構成には同じ符号を付して説明を適宜省略する。まず、本実施形態における2次元走査機構33(
図1~
図3参照)の動作について
図14を参照(適宜
図9参照)して説明する。
図14(a)は、
図9(a)と同じであって、プローブ30の先端に装着された支持体5を下顎の臼歯の咬合面(上面)に当接させた状態を示す模式図である。
【0064】
本実施形態では、2次元走査機構33が、支持体5の斜鏡5aの反射面において左下隅を開始点として右上隅に向かう2次元走査を行う。
横スキャンによる撮影時には、
図14(b)に示すように、斜鏡5aの反射面において左下隅を開始点として、往路では術者から視て水平方向に左から右へ亘ってレーザ光が照射され、復路ではレーザ光が一時停止され、照射位置を上にずらした後、同様に往復動作が行われ、右上隅に向かって所定の終了点に達するまで一連の動作を行う。
本実施形態は、
図14(b)に示すs軸の向きを、
図4(b)および
図9(b)に示すs軸の向きと上下反転させて模式的に示すように、2次元走査機構33の動作を変更することで、斜鏡5aに起因した表示画像の上下反転の不具合を打ち消す効果を奏することができる。
【0065】
縦スキャンによる撮影時には、
図14(c)に示すように、斜鏡5aの反射面において左下隅を開始点として、往路では術者から視て垂直方向に下から上へ亘ってレーザ光が照射され、復路ではレーザ光が一時停止され、照射位置を右にずらした後、同様に往復動作が行われ、右上隅に向かって所定の終了点に達するまで一連の動作を行う。これにより、縦スキャンによる撮影時においても、同様に、2次元走査機構33の動作を変更することで、斜鏡5aに起因した表示画像の上下反転の不具合を打ち消す効果を奏することができる。
【0066】
次に、本実施形態における画像構成処理手段104(
図3参照)について
図15を参照(適宜
図5および
図8参照)して説明する。本実施形態では、画像構成処理手段104は、横スキャンによる撮影時には、
図5(a)および
図15(a)に示すように、第1の軸(B軸)方向における正の向き(+B)にAスキャンデータ301を3D座標空間に書き込むことで第1断面(A断面)の断面画像データ302Aを構築し、この断面画像データ302Aを第2の軸(V軸)方向の正の向き(+V)に積層するように3D画像データ300を構築する。つまり、第3実施形態の画像構成処理手段104は、横スキャンによる撮影時に、第1実施形態の画像構成処理手段104と同様の処理を行う(
図5(a)、
図8(a)および
図15(a)参照)。この場合、
図15(b)のように画像が正しく表示される。
【0067】
また、画像構成処理手段104(
図3参照)は、縦スキャンによる撮影時には、
図5(b)および
図15(c)に示すように、第2の軸(V軸)方向の正の向き(+V)にAスキャンデータ301を3D座標空間に書き込むことで第2断面(L断面)の断面画像データ302Lを構築し、この断面画像データ302Lを第1の軸(B軸)方向の正の向き(+B)に積層するように3D画像データ300を構築する。つまり、第3実施形態の画像構成処理手段104は、縦スキャンによる撮影時に、第1実施形態の画像構成処理手段104と同様の処理を行う(
図5(b)、
図8(b)および
図15(c)参照)。このようにすることによって、前記した比較例2が縦スキャンと横スキャンとを座標系を合わせて
図12(b)のように3D座標空間に書き込んだときの表示画像の反時計方向への90度回転の不具合を打ち消す効果を奏する。この場合、
図15(d)のように画像が正しく表示される。
【0068】
要するに、第3実施形態では、2次元走査機構33の動作を、前歯撮影の場合の動作から上記のように変更し、かつ、画像構成処理手段104が前歯撮影の場合と同様の処理を行うことで、第2実施形態と同様の効果を奏することができる。したがって、第3実施形態に係るOCT制御装置100によれば、臼歯撮影において、横スキャンと縦スキャンとを切り替えて撮影しても常に同じ向きの画像を表示することができる。
【0069】
(第4実施形態)
OCT装置1(
図1参照)は、比較的高解像度のOCT画像を記録する計測撮影モードにおいて、OCT断層画像や3D画像の静止画をデータ蓄積手段107(
図3参照)に記録することができる。これらを表示するための断層画像データや3D画像データは、画像構成処理手段104によってデータ蓄積手段107に書き込まれ、また、画像表示処理手段105によってデータ蓄積手段107から読み出されて表示装置54に表示される。画像表示処理手段105は、データ蓄積手段107から3D画像データを読み出し、表示装置54に、断層画像と3D画像の少なくとも1つを表示させる。以下ではデータ蓄積手段107は、例えばハードディスクであるものとする。
【0070】
本実施形態では、画像構成処理手段104は、3D画像データ300を構成する断層画像データに、横スキャンと縦スキャンとのいずれの撮影条件により取得されたのかを表す表示方向情報を追加してデータ蓄積手段107に保存する。
【0071】
画像構成処理手段104は、例えば、DICOMタグ(0020,0037):画像方向(患者)に、表示方向情報を記載する。なお、DICOMとは、“Digital Imaging and Communications in Medicine”の略称で、医用画像の画像規格及び通信プロトコルを定めた国際標準規格である。ここで、被写体の方向と、座標系の関係について
図16を参照して説明する。下顎部の歯列80において、歯牙の向きは、被写体側から視た方向として、右をR(Right)、左をL(Left)、前をA(Anterior)、後をP(Posterior)、上をS(Superior)、下をI(Inferior)で表す。このとき、被写体の方向は、X軸が、被写体の右から左(R→L)に増加する方向である。また、被写体の方向は、Y軸が、被写体の前から後(A→P)に増加する方向である。また、被写体の方向は、Z軸が、被写体の下から上(I→S)に増加する方向である。なお、3D画像の方向も同じである。
【0072】
DICOMタグ(0020,0037):画像方向(患者)は、被写体に対する最初の行および最初の列の方向余弦を示す、6個の数値を指定するものである。前半の3つの数値は、断面画像の行方向すなわちx軸方向の方向余弦であり、後半の3つの数値は、断面画像の列方向すなわちy軸方向の方向余弦である。つまり、被写体の方向(XYZ)に対する、断面画像データ(xy)のx軸、y軸それぞれの方向余弦で、どの方向の断層であるかを示している。
【0073】
つまり、x軸方向の方向余弦については、断面画像のx軸の正の向きと、被写体の方向(断面画像のx軸に合わせたい軸方向の被写体の向き)とが、一致する場合に、その値が「1(cos0)」になり、向きが逆であれば、その値が「-1(cosπ)」になる。
なお、他の2つの軸方向の被写体の向きは、断面画像のx軸と直交するので、その値が「0(cos(π/2)」になる。
【0074】
また、y軸方向の方向余弦については、断面画像のy軸の正の向きと、被写体の方向(断面画像のy軸に合わせたい軸方向の被写体の向き)とが、一致する場合に、その値が「1(cos0)」になり、向きが逆であれば、その値が「-1(cosπ)」になる。
なお、他の2つの軸方向の被写体の向きは、断面画像のy軸と直交するので、その値が「0(cos(π/2)」になる。
【0075】
具体例として臼歯の場合には、
図17(a)および
図17(b)に模式的に示すように、横スキャンで撮影した画像データの場合、A断面画像(
図11(a)のA断面画像表示エリア72参照)を正しい向きで表示するには、DICOMタグ(0020,0037):画像方向(患者)の前半の3つの数値(x軸方向の方向余弦)を次のように設定する。
この場合、断面画像(A断面画像)のx軸の正の向きと、被写体の方向(X軸が被写体の右から左(R→L)に増加する向き)とが一致するので、x軸方向の方向余弦は、1になる。そのため、前半の3つの数値(x軸方向の方向余弦)は次の式(1)で表される。
【0076】
【0077】
また、後半の3つの数値(y軸方向の方向余弦)を次のように設定する。
この場合、断面画像(A断面画像)のy軸の正の向きと、被写体の方向(Z軸が、被写体の下から上(I→S)に増加する方向)とが逆になるので、y軸方向の方向余弦は-1になる。そのため後半の3つの数値(y軸方向の方向余弦)は次の式(2)で表される。
【0078】
【0079】
こうして、ビューア(所定形式のファイルを開いて画面上で見るためのソフトウェア)は、断面画像(A断面画像)データに追加された表示方向情報をもとに、断面画像の表示方向を変えるので、
図17(c)に模式的に示すように、横スキャンで撮影して記録した正しい向きの画像を表示することができる。なお、
図17(c)は、
図11(a)のA断面画像表示エリア72に表示される断面画像を画像座標系のx軸およびy軸と共に示している。
【0080】
また、
図18(a)および
図18(b)に模式的に示すように、縦スキャンで撮影した画像データの場合、L断面画像(
図11(b)のL断面画像表示エリア74参照)を正しい向きで表示するには、DICOMタグ(0020,0037):画像方向(患者)の前半の3つの数値(x軸方向の方向余弦)を次のように設定する。
この場合、断面画像(L断面画像)のx軸の正の向きと、被写体の方向(Y軸が被写体の前から後(A→P)に増加する向き)とが一致するので、x軸方向の方向余弦は、1になる。そのため、前半の3つの数値(x軸方向の方向余弦)は次の式(3)で表される。
【0081】
【0082】
また、後半の3つの数値(y軸方向の方向余弦)を次のように設定する。
この場合、断面画像(L断面画像)のy軸の正の向きと、被写体の方向(Z軸が、被写体の下から上(I→S)に増加する方向)とが逆になるので、y軸方向の方向余弦は-1になる。そのため後半の3つの数値(y軸方向の方向余弦)は次の式(4)で表される。
【0083】
【0084】
こうして、ビューアは、断面画像(L断面画像)データに追加された表示方向情報をもとに、断面画像の表示方向を変えるので、
図18(c)に模式的に示すように、縦スキャンで撮影して記録した正しい向きの画像を表示することができる。なお、
図18(c)は、
図11(b)のL断面画像表示エリア74に表示される断面画像を画像座標系のx軸およびy軸と共に示している。
【0085】
本実施形態によれば、ビューアは、断層画像データに追加された表示方向情報をもとに、画像の表示方向を変えるので、横スキャンと縦スキャンとを切り替えて撮影して記録したものでも常に同じ向きの画像を表示することができる。
また、本実施形態によれば、横スキャンであれば、その断面画像(A断面画像)データに横スキャンで撮影されたことを示す表示方向情報が追加され、縦スキャンであれば、その断面画像(L断面画像)データに縦スキャンで撮影されたことを示す表示方向情報が追加されることになる。つまり、本実施形態によれば、第1スキャンの方向と断層画像データの向きが同じであるため、記録された断層画像のモーションアーチファクトが少なくなる効果も奏する。
【0086】
(第5実施形態)
第4実施形態とは別の方法で、計測撮影モードにおいて、OCT断層画像や3D画像の静止画をデータ蓄積手段107(
図3参照)に記録する手法を、第5実施形態として
図19を参照(適宜、
図3および
図5(a)参照)して説明する。ここでは、一例として歯牙が前歯であるものとする。
本実施形態では、画像構成処理手段104(
図3参照)は、横スキャンによる撮影時に取得したAスキャンデータから3D画像データ300を構成した場合(
図5(a)参照)、その3D画像データ300の元の断面(A断面)の断面画像データ302Aをデータ蓄積手段107に保存する。一方、画像構成処理手段104は、
図19(a)および
図19(b)に模式的に示すように、縦スキャンによる撮影時に取得したAスキャンデータから3D画像データ300を構成した場合、
図19(c)に示すように、当該3D画像データ300をA軸方向に向かってB軸方向にスライスすることで、元の断面(L断面)とは90度ずれた断面(A断面)の断面画像データ302Aを生成してデータ蓄積手段107に保存する。
つまり、本実施形態では、横スキャンと縦スキャンとのいずれの撮影条件により取得されたのかに関わりなく、常に、画像構成処理手段104は、A断面の断面画像データ302Aを生成してデータ蓄積手段107に保存する。
【0087】
なお、歯牙は臼歯でもよい。その場合、
図19(b)の模式図は、照射方向からレーザ光が照射される「前面(A)」に該当する位置に、「上面(S)」が位置するようにRL軸周りに90度回転した座標系とすればよい。
【0088】
本実施形態によれば、DICOMタグ(0020,0037):画像方向(患者)を参照しないビューアであっても、横スキャンと縦スキャンとを切り替えて撮影して記録したOCT画像を常に同じ向きの画像として表示することができる。
【0089】
本発明は、コンピュータが備えるCPU、メモリ、ハードディスク等のハードウェア資源を、OCT制御装置100として協調動作させるプログラム(OCT装置制御プログラム)で実現することもできる。このプログラムは、通信回線を介して配布してもよく、CD-ROMやフラッシュメモリ等の記録媒体に書き込んで配布してもよい。
【0090】
なお、本発明の実施形態を詳述してきたが、本発明は前記した各実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更なども含まれる。例えば、各実施形態を組み合せてもよい。第1実施形態と第2実施形態を組み合わせたり、第1実施形態と第3実施形態を組み合わせたりすることで、前歯撮影と臼歯撮影の両方に対応できるようになる。実施形態を組み合せた場合、撮影条件入力手段102からその都度、実行すべき撮影条件を指定することができる。または、撮影条件入力手段102において、選択肢1(横スキャン/縦スキャン)と、選択肢2(ストレート/アングル)と、から手動選択された撮影条件の組み合わせ指定をもとに、画像構成処理手段104が、合計4つの処理内容のどれが指定されたかを判断して、指定内容の撮影条件に応じた処理を行うようにすることもできる。前記選択肢2(ストレート/アングル)は、ヘッド種類読取手段を設けることで、自動選択することが可能である。
【0091】
また、第4実施形態を第1ないし第3実施形態のいずれかに組み合わせたり、第5実施形態を第1ないし第3実施形態のいずれかに組み合わせたりすることで、プレビュー撮影と計測撮影の両方に対応できるようになる。さらに、いずれの組み合わせでも動作するように構成されていれば、第2実施形態と第3実施形態を組み合わせたり、第4実施形態と第5実施形態を組み合わせたりすることも可能である。例えば第2実施形態と第3実施形態を組み合わせた構成であっても撮影条件入力手段102から、必要に応じた一方の処理を指定すればよい。
【0092】
また、OCT制御装置100は、データ蓄積手段107を備えることとしたが、データ蓄積手段107は外部装置でもよく、クラウドサーバでも構わない。
また、2次元走査機構33として、ガルバノミラーを採用した場合について説明したが、これに限らず、2次元MEMSミラーを採用することもできる。2次元MEMSミラーの素子は、例えば、光を全反射するミラーや、電磁力を発生する電磁駆動用の平面コイル等の可動構造体が形成されたシリコン層と、セラミック台座と、永久磁石と、の3層構造に形成されて、コイルへ通電される電流の大きさに比例してX軸方向及びY軸方向に静的、動的傾斜する制御が可能になっている。
【符号の説明】
【0093】
1 OCT装置
4 支持体(ストレートヘッド)
5 支持体(アングルヘッド)
5a 斜鏡
5b 円環部
10 光学ユニット
11 光源
12,16 カップラ
13 サンプルアーム
14,18 サーキュレータ
15,22 偏光コントローラ
17 レファレンスアーム
19 コリメータレンズ
20 集光レンズ
21 レファレンスミラー
23 ディテクタ
30 プローブ
31 シャッタ
32 コリメータレンズ
33 2次元走査機構
33B,33V ガルバノミラー
34 集光レンズ
50 制御ユニット
51 AD変換回路
52 DA変換回路
53 2次元走査機構制御回路
54 表示装置
100 OCT制御装置
101 画像記憶手段
102 撮影条件入力手段
103 Aスキャンデータ生成手段
104 画像構成処理手段
105 画像表示処理手段
106 測定点位置演算手段
107 データ蓄積手段
200 歯牙(前歯、または、臼歯)
300 3次元情報
301 Aスキャンライン
302A 断面画像
302L 断面画像