IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三星電子株式会社の特許一覧

特開2022-188368軟水化装置、および、その軟水化装置を備えた洗濯機
<>
  • 特開-軟水化装置、および、その軟水化装置を備えた洗濯機 図1
  • 特開-軟水化装置、および、その軟水化装置を備えた洗濯機 図2
  • 特開-軟水化装置、および、その軟水化装置を備えた洗濯機 図3
  • 特開-軟水化装置、および、その軟水化装置を備えた洗濯機 図4
  • 特開-軟水化装置、および、その軟水化装置を備えた洗濯機 図5
  • 特開-軟水化装置、および、その軟水化装置を備えた洗濯機 図6
  • 特開-軟水化装置、および、その軟水化装置を備えた洗濯機 図7
  • 特開-軟水化装置、および、その軟水化装置を備えた洗濯機 図8
  • 特開-軟水化装置、および、その軟水化装置を備えた洗濯機 図9
  • 特開-軟水化装置、および、その軟水化装置を備えた洗濯機 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022188368
(43)【公開日】2022-12-21
(54)【発明の名称】軟水化装置、および、その軟水化装置を備えた洗濯機
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/42 20060101AFI20221214BHJP
   D06F 39/08 20060101ALI20221214BHJP
   B01J 47/14 20170101ALI20221214BHJP
   B01J 49/53 20170101ALI20221214BHJP
【FI】
C02F1/42 A
D06F39/08 301Z
B01J47/14
B01J49/53
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021096341
(22)【出願日】2021-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】390019839
【氏名又は名称】三星電子株式会社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】129,Samsung-ro,Yeongtong-gu,Suwon-si,Gyeonggi-do,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大八木 淳史
(72)【発明者】
【氏名】奥野 智行
(72)【発明者】
【氏名】安藤 隆
(72)【発明者】
【氏名】浦井 康司
(72)【発明者】
【氏名】南井 仁
【テーマコード(参考)】
3B166
4D025
【Fターム(参考)】
3B166AA05
3B166AA11
3B166AE05
3B166AE07
3B166BA52
3B166BA83
3B166CB02
3B166CB11
3B166DA01
3B166DA23
3B166DA31
3B166DA35
3B166DC03
3B166DC12
3B166DC24
3B166DC40
3B166DC45
3B166DE02
3B166DE04
3B166FA01
3B166FA06
3B166FB01
3B166FB09
3B166JM01
3B166JM02
3B166JM03
4D025AA02
4D025AB19
4D025BA08
4D025BA22
4D025BB11
4D025CA01
4D025CA04
4D025CA10
(57)【要約】
【課題】軟水化装置において、制御を簡単な構造で実現し、また、軟水化性能の低下を抑制する。
【解決手段】イオン交換樹脂23を収容する硬度成分除去器20、給水先と硬度成分除去器20との間で処理対象水を一時的に貯めるプールタンク40、再生水経路43でプールタンク40と接続される再生剤容器60、および、イオン交換樹脂23の再生処理を実行する制御装置80を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理対象水を軟水化して給水先に供給する軟水化装置であって、
イオン交換樹脂を収容し、前記処理対象水を受け入れて、前記イオン交換樹脂を通過した前記処理対象水を前記給水先に向けて送り出す硬度成分除去器と、
前記給水先と前記硬度成分除去器との間で前記処理対象水を一時的に貯めるプールタンクと、
ポンプが設置されている再生水経路で前記プールタンクと接続されるとともに、前記イオン交換樹脂を再生させる水溶性の再生剤を収容する再生剤容器と、
前記イオン交換樹脂の再生処理を実行する制御装置と、
を備える、軟水化装置。
【請求項2】
請求項1に記載の軟水化装置において、
前記プールタンクに、その内部の電気伝導率を計測して前記制御装置に出力するセンサが設置されている、軟水化装置。
【請求項3】
請求項1に記載の軟水化装置において、
前記プールタンクに、その内部の液体の屈折率を計測して前記制御装置に出力するセンサが設置されている、軟水化装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1つに記載の軟水化装置において、
前記ポンプが、双方向に送水可能な蠕動ポンプからなり、前記プールタンクと前記再生剤容器との間に、前記再生水経路を構成する経路が1つのみ設けられている、軟水化装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1つに記載の軟水化装置において、
前記硬度成分除去器と前記プールタンクとの間が1つの軟水経路で接続されていて、当該軟水経路に、前記硬度成分除去器に向けて吐出する止水性の無いポンプが設置されている、軟水化装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1つに記載の軟水化装置において、
前記硬度成分除去器が、イオン交換樹脂が満充填される樹脂充填室を有し、
前記樹脂充填室が、前記イオン交換樹脂の膨潤に対応して膨張可能に構成されている、軟水化装置。
【請求項7】
請求項6に記載の軟水化装置において、
前記硬度成分除去器が、前記樹脂充填室の上流側および下流側の少なくともいずれか一方の通水面に面する緩衝空間を有し、
前記樹脂充填室と前記緩衝空間とを区画している通水面が、前記イオン交換樹脂の膨潤に応じて前記緩衝空間に入り込むように構成されている、軟水化装置。
【請求項8】
請求項6または7に記載の軟水化装置において、
前記樹脂充填室の流路断面が、上流側の通水面から下流側の通水面にわたって略同一の大きさに形成されている、軟水化装置。
【請求項9】
洗濯機であって、
洗濯物が投入される投入口を有する貯水可能なタブと、
前記投入口に開口を向けて回転可能な状態で前記タブに収容されたドラムと、
洗濯に用いる水を前記タブに給水する給水経路と、
前記給水経路に設けられていて、洗剤を収容するとともにその洗剤を水に混ぜて前記タブに供給するように構成された洗剤供給ケースと、
を備え、
前記給水経路における前記洗剤供給ケースの上流側の部位に、請求項1~8のいずれか1つに記載されている軟水化装置が設置されている、洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示する技術は、軟水化装置、および、その軟水化装置を備えた洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
イオン交換樹脂を用いて硬水を軟水化する装置は知られている(特許文献1、2)。硬度成分の吸着量が飽和して軟水化できなくなったイオン交換樹脂は、塩水を通水することによって再生し、再利用できるようになる。
【0003】
特許文献1には、イオン交換樹脂を充填した樹脂収容部6、原水を貯留する原水タンク7、および、塩水を貯留する塩水タンク部8を、一体に構成した軟水器が開示されている。
【0004】
特許文献2には、イオン交換樹脂による軟水化装置を備えた洗濯機が開示されている。その軟水化装置は、イオン交換樹脂を収容する樹脂室33の上方に、塩を入れる塩容器32および塩水容器31が配置されている。イオン交換樹脂の再生時には、塩水容器31に水道水を供給して生成される塩水が、樹脂室33に流下するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000-271568号公報
【特許文献2】特開2001-017787号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
欧州などのように、水道水が、硬度の高い(Ca、Mgなどのミネラル成分が多い)硬水である地域も多い。そのような地域では、洗剤の効力が低下し、洗浄力が低下する。従って、洗剤を用いる洗濯機や食器洗浄機などは、軟水化装置を取り付けて、水道水を軟水化して洗浄に使用するのが好ましい。
【0007】
イオン交換樹脂を用いた軟水化装置は、上述したように、塩水を通水することによって再生できる。そのため、特許文献2のように、複数回再生できる量の塩を所定の容器に投入し、イオン交換樹脂を再生することが行われている。
【0008】
ところがその場合、主な制御として、軟水化性能の再生、再生用塩水の濃度と液量、塩容器内の塩補充通知などが必要になるが、各々の制御に用いるセンサは多様で、設置場所も多様になるため、構造が複雑となり、材料費がかかってしまう。
【0009】
また、水道水は塩素を含む。イオン交換樹脂は、塩素の酸化作用によってある程度、膨潤する。そのため、イオン交換樹脂は、その膨潤を考慮して、空間が有る状態で容器に収容されている。ところが、イオン交換樹脂の一つ一つは粒子であるため、容器に空間が有ると、通水時に容器内で移動する。
【0010】
繰り返し通水することで、イオン交換樹脂の収容状態が変化し、通水経路の長い箇所と短い箇所とが形成される。通水経路が短い箇所は長い箇所に比べて、硬度成分が早期に漏れ出すようになる。それにより、軟水化性能が低下する。また、通水経路の下流側よりも上流側の方が、イオン交換樹脂の性能低下は早い。その性能の低下したイオン交換樹脂が下流側に移動すると、硬度成分が漏れ出し易くなるので、軟水化性能は更に低下する。
【0011】
例えば、洗濯機では、一回の洗い工程で給水が複数回実施されるのが一般的である。その都度、イオン交換樹脂の収容状態が変化するので、軟水化性能は、よりいっそう低下し易い。軟水化性能が低下すれば、それに伴って、イオン交換樹脂の再生頻度も高くなる。再生処理に要する電力や水道水、塩の消費量が増加する。
【0012】
開示する技術の主たる目的は、軟水化装置の最適な制御を簡易な構造で実現する。そして、軟水化性能の低下を抑制できる軟水化装置を実現する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
開示する技術は、処理対象水を軟水化して給水先に供給する軟水化装置に関する。
【0014】
前記軟水化装置は、イオン交換樹脂を収容し、前記処理対象水を受け入れて、前記イオン交換樹脂を通過した前記処理対象水を前記給水先に向けて送り出す硬度成分除去器と、 前記給水先と前記硬度成分除去器との間で前記処理対象水を一時的に貯めるプールタンクと、ポンプが設置されている再生水経路で前記プールタンクと接続されるとともに、前記イオン交換樹脂を再生させる水溶性の再生剤を収容する再生剤容器と、前記イオン交換樹脂の再生処理を実行する制御装置と、を備える。
【0015】
すなわち、この軟水化装置によれば、給水先と硬度成分除去器との間に処理対象水を一時的に貯めるプールタンクが有る。従って、軟水化した処理対象水は、いったんプールタンクに貯まる。そのプールタンクは、ポンプが設置されている再生水経路によって、イオン交換樹脂を再生させる水溶性の再生剤を収容する再生剤容器と接続されている。
【0016】
従って、イオン交換樹脂の再生処理を実行する制御装置は、再生処理の実行時に、プールタンクに貯まる処理対象水を再生剤容器に送る処理と再生剤容器から戻す処理とを実行することによってプールタンクに再生剤水溶液を生成することができる。
【0017】
プールタンクに貯まる水は、軟水化した処理対象水、つまり「軟水」である。
【0018】
そして、プールタンクに生成した再生剤水溶液を硬度成分除去器に通水させる。しかも、再生剤水溶液は、いったんプールタンクに貯めることができるので、一定量を確保できる。
【0019】
前記軟水化装置はまた、前記プールタンクに、その内部の電気伝導率を計測して前記制御装置に出力するセンサが設置されている、としてもよい。
【0020】
硬度成分除去器を通過した処理対象水は、上述したように、プールタンクに貯まるので、センサは、その処理対象水の電気伝導率を計測する。従って、軟水化した処理対象水の硬度を計測できる。軟水化性能の低下を判定できる。前記センサに代えて、その内部の液体の屈折率を計測して前記制御装置に出力するセンサとしてもよい。
【0021】
更に、この軟水化装置では、上述したように、再生処理時にプールタンクに再生剤水溶液も貯められるので、再生剤水溶液の濃度も計測できる。従って、再生剤容器に収容されている再生剤の有無、つまり再生剤の追加時期も判定できる。
【0022】
前記軟水化装置はまた、前記ポンプが、双方向に送水可能な蠕動ポンプからなり、前記プールタンクと前記再生剤容器との間に、前記再生水経路を構成する経路が1つのみ設けられている、としてもよい。
【0023】
そうすれば、プールタンクと再生剤容器との間の構造を簡素化できる。ポンプで双方向に送水できるので、プールタンクおよび再生剤容器を任意の位置に配置できる。
【0024】
前記軟水化装置はまた、前記硬度成分除去器と前記プールタンクとの間が1つの軟水経路で接続されていて、当該軟水経路に、前記硬度成分除去器に向けて吐出する止水性の無いポンプが設置されている、としてもよい。
【0025】
止水性の無いポンプであれば、ポンプが停止している時にも通水できる。そして、再生処理時には、ポンプを作動させることで、プールタンクから硬度成分除去器に再生水を送水できる。硬度成分除去器およびプールタンクを任意の位置に配置できる。
【0026】
前記軟水化装置はまた、前記硬度成分除去器が、イオン交換樹脂が満充填される樹脂充填室を有し、前記樹脂充填室が、前記イオン交換樹脂の膨潤に対応して膨張可能に構成されている、としてもよい。
【0027】
上述したように、樹脂充填室に隙間があると、通水時にイオン交換樹脂の粒子が移動して、軟水化性能が低下する。それに対し、この硬度成分除去器では、樹脂充填室にイオン交換樹脂が密充填(実質的に隙間が無い状態で充填)されている。従って、通水時にイオン交換樹脂の粒子が移動しないので、軟水化性能の低下を抑制できる。
【0028】
そして、樹脂充填室が、イオン交換樹脂の膨潤に対応して膨張可能に構成されているので、イオン交換樹脂が膨潤しても、硬度成分除去器の変形や破損を防止できる。
【0029】
例えば、前記硬度成分除去器が、前記樹脂充填室の上流側および下流側の少なくともいずれか一方の通水面に面する緩衝空間を有し、前記樹脂充填室と前記緩衝空間とを区画している通水面が、前記イオン交換樹脂の膨潤に応じて前記緩衝空間に入り込むように構成されている、とするとよい。
【0030】
そうすれば、比較的簡単に、上述した構造の硬度成分除去器を構成できる。
【0031】
前記軟水化装置はまた、前記樹脂充填室の流路断面が、上流側の通水面から下流側の通水面にわたって略同一の大きさに形成されている、としてもよい。
【0032】
そうすれば、処理対象水の樹脂充填室の中での流れを通水方向に沿った一様の流れにできる(いわゆる層流)。従って、イオン交換樹脂に処理対象水をばらつくことなく接触させることができるので、軟水化性能の低下を抑制できる。
【0033】
前記軟水化装置は、洗濯機に好適に適用できる。例えば、洗濯物が投入される投入口を有する貯水可能なタブと、前記投入口に開口を向けて回転可能な状態で前記タブに収容されたドラムと、洗濯に用いる水を前記タブに給水する給水経路と、前記給水経路に設けられていて、洗剤を収容するとともにその洗剤を水に混ぜて前記タブに供給するように構成された洗剤供給ケースと、を備える洗濯機であれば、前記給水経路における前記洗剤供給ケースの上流側の部位に、上述した軟水化装置が設置されているようにすればよい。
【0034】
そうすれば、欧米のように、水道水の硬度が高い地域であっても、常に洗浄に適した軟水で洗浄できる。しかも、軟水化装置に必要な制御がプールタンクにおいて、電気導電率を計測することで実施できるので、構造が簡易で、材料費を抑えることができる。また、軟水化性能の低下が抑制できるため、再生頻度が低下し、ランニングコストも低減できる。
【発明の効果】
【0035】
開示する技術を適用した軟水化装置によれば、構造の簡易化により材料費を抑え、軟水化性能の低下を抑制できる。従って、洗濯機など、使用頻度の高い装置に用いることで、消費者は購入費用の低減や、ランニングコストの低減などの効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】軟水化装置が設置されている洗濯機を示す概略図である。
図2】硬度成分除去器の構造の詳細を説明するための図である。
図3】制御装置およびその主な関連機器を示すブロック図である。
図4】洗濯機が給水を行っているときの状態図である(軟水化装置の軟水化性能は適正な状態)。
図5】イオン交換樹脂の再生処理(再生水生成工程での送水処理)を行っているときの状態図である。
図6】イオン交換樹脂の再生処理(再生水生成工程での返水処理)を行っているときの状態図である。
図7】イオン交換樹脂の再生処理(通水工程)を行っているときの状態図である。
図8】硬度成分除去器の変形例を示す概略図である。
図9】硬度成分除去器の他の変形例を示す概略図である。
図10】再生水経路の変形例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、開示する技術の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。ただし、以下の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物あるいはその用途を制限するものではない。
【0038】
<洗濯機>
図1に、開示する技術を適用した軟水化装置1を例示する。この軟水化装置1は、ドラム式洗濯機2に設置されている。
【0039】
ドラム式洗濯機2は、図示しない箱型の筐体を有し、その筐体の内部に、タブ10、ドラム11などが設置されている。タブ10は、筐体の内部に横置きされた、貯水可能な有底円筒状容器である。タブ10は、その前側に、洗濯物が投入される投入口10aを有している。
【0040】
ドラム11は、外周面に多数の孔が開口する有底円筒状容器からなり、その開口を投入口10aに向けた状態でタブ10に収容されている。ドラム11は、タブ10と同軸に配置されていて、図示しないモータの駆動によって回転可能に構成されている。洗濯時には、ドラム11の内部に洗濯物が収容される。
【0041】
筐体の内部には、洗濯に用いる水(水道水)を給水するために、給水経路12が設けられている。給水経路12の下流側の端部は、タブ10に接続されている。給水経路12の上流側の端部は、水道配管13に接続される。給水経路12には、水道配管13を通じて一定の水圧で水道水が供給される。
【0042】
ドラム式洗濯機2では、自動的に洗剤が投入できるように、給水経路12に洗剤供給ケース14が設置されている。洗剤供給ケース14は、本体ケース14a、トレイ14bなどで構成されている。本体ケース14aは、筐体の上部に取り付けられている。トレイ14bは、本体ケース14aから引出可能に構成されていて、その内部に洗剤や柔軟剤などを収容する。
【0043】
洗剤供給ケース14は、給水経路12の下流側に配置されている。具体的には、タブ10から上方に延びる下端配管12aと、筐体の上部を横方に延びる中間配管12bと、の間に配置されている。下端配管12aの上流側の端部は、本体ケース14aの底部に接続されている。中間配管12bの下流側の端部は、トレイ14bの内部に水が流れるように、本体ケース14aの上部に接続されている。
【0044】
洗濯を行う時に、トレイ14bに洗剤を収容しておくことで、洗い工程での給水時には、その洗剤が、給水される水に混ぜた状態でタブ10に供給されるようになっている。タブ10の下部には、タブ10の中の水が不要になったときに、その水を外部に排水する排水経路16が設置されている。
【0045】
<軟水化装置>
軟水化装置1は、この給水経路12における洗剤供給ケース14の上流側の部位に設置されている。具体的には、中間配管12bの上流側と、水道配管13に接続される上端配管12cの下流側と、の間に設置されている。上端配管12cには、給水時に開かれる給水弁15が設置されている。
【0046】
軟水化装置1は、洗濯に用いる水、つまり水道水(処理対象水)を軟水化し、給水先である洗剤供給ケース14やタブ10に供給する。軟水化装置1は、硬度成分除去器20、プールタンク40、再生剤容器60などを備える。軟水化装置1はまた、イオン交換樹脂23の再生処理を実行するために、制御装置80も備えるが、これについては後述する。
【0047】
(硬度成分除去器)
硬度成分除去器20は、イオン交換樹脂23を収容し、水道水を受け入れて、イオン交換樹脂23を通過した水道水を洗剤供給ケース14に向けて送り出すように構成されている。図2に、硬度成分除去器20を、具体的に示す。
【0048】
硬度成分除去器20は、一体に成形された一部品からなる。硬度成分除去器20は、上面視が略楕円形状、かつ、側面視が略矩形状の、収容ケース21を有している。収容ケース21の内部には、下側から上側に向かって水が流れる通水空間22が形成されている。通水空間22は、略楕円形状の横断面を有し、その大きさ(面積)は、下端から上端にわたって略同一である。
【0049】
通水空間22には、その下側から順に、上流側の緩衝空間22a、樹脂充填室22b、下流側の緩衝空間22cが区画されている。樹脂充填室22bには、硬度成分を吸着する所定のイオン交換樹脂23(粒体の集まり)が密充填されている。上流側の緩衝空間22aと樹脂充填室22bとの間は、上流側の通水面24Lによって区画されている。下流側の緩衝空間22cと樹脂充填室22bとの間は、下流側の通水面24Hによって区画されている。
【0050】
樹脂充填室22bの上流側および下流側の双方に、緩衝空間22a,22cを設けることで、樹脂充填室22bの中では、全域にわたってほぼ均一な水の流れを形成することができる(層流)。なお、樹脂充填室22bの中に層流を形成するためには、樹脂充填室22bの横断面の大きさが、その下端から上端にわたって略同一であることを要するが、緩衝空間22a,22cの横断面の大きさは、樹脂充填室22bの横断面と略同一かそれより大きくてもよい。
【0051】
上流側および下流側の各通水面24L,24Hは、図2に拡大して示すように、シート状のメッシュ部材で構成されている。メッシュ部材は、例えばポリエステルで形成されていて、楕円型の枠部24aと、枠部24aの内側に網目状に拡がる通水部24bとを有している。通水部24bの網目(孔)の大きさは、イオン交換樹脂23の粒径よりも小さい。従って、イオン交換樹脂23が通水部24bを通過するおそれはない。
【0052】
イオン交換樹脂23は、水道水の塩素の酸化作用により、経時的に膨潤する。例えば、イオン交換樹脂23が膨潤すると、その容積は5%程度大きくなる。そのため、イオン交換樹脂23は、その膨潤を考慮して、隙間を残した状態で容器に収容されるのが一般的である。
【0053】
ところが、容器に隙間が有ると、通水時に、水圧によってイオン交換樹脂23の粒子が容器内で移動する。繰り返し通水することで、イオン交換樹脂23の収容状態が変化し、偏りが発生する(上流側のイオン交換樹脂23の表面が凸凹になる)。それにより、通水経路の長い箇所と短い箇所とが形成される。通水経路が短い箇所は長い箇所に比べて、硬度成分が早期に漏れ出すようになる。それにより、軟水化性能が低下する。
【0054】
また、通水経路の下流側よりも上流側の方が、先に水道水に接触して硬度成分を吸着するので、イオン交換樹脂23の性能低下は早い。容器に隙間が有ると、その性能が低下したイオン交換樹脂23の粒子が下流側に移動する。そうすると、下流側で硬度成分が漏れ出し易くなるので、軟水化性能は更に低下する。
【0055】
それに対し、この硬度成分除去器20では、樹脂充填室22bにイオン交換樹脂23が密充填されている。つまり、樹脂充填室22bに隙間が生じないように、イオン交換樹脂23が充填されている。樹脂充填室22bの中のイオン交換樹脂23の粒子は、通水しても移動できない。
【0056】
それより、上流側のイオン交換樹脂23から順に性能が劣化していくので、ほぼすべてのイオン交換樹脂23の性能が劣化するまで、硬度成分の漏れ出しを抑制できる。従って、軟水化性能の低下を抑制でき、再生処理の頻度を低減できる。ランニングコストも低減できる。
【0057】
樹脂充填室22bの通水面24L,24Hを構成している各メッシュ部材は、弾性を有している(例えば伸び率として7%~17%)。そのため、例えば通水部24bの中央部を押し付けると、通水部24bは、伸長し、その中央部が膨らむように変形する。そして、通水面24L,24Hは緩衝空間に面している。従って、樹脂充填室22bは、上流側および下流側の両側に向かって膨張可能となっている。それにより、樹脂充填室22bの容積は、10%程度、少なくとも5%以上、増大できるように設定されている。
【0058】
密充填されているイオン交換樹脂23が膨潤すると、それに合わせて通水部24bが弾性変形して、緩衝空間に入り込む。すなわち、樹脂充填室22bは、イオン交換樹脂23が密充填されていても、その膨潤に対応して膨張可能に構成されている。従って、イオン交換樹脂23が膨潤しても、樹脂充填室22bの破損を防止できる。イオン交換樹脂23の密充填状態を安定して保持できる。
【0059】
上流側の緩衝空間22aの側面には、給水口25が設けられている。図1に示すように、この給水口25に、給水経路12の上端配管12cが接続されている。
【0060】
上流側の緩衝空間22aの下面には、再生水排出口27が設けられている。この再生水排出口27には、再生水排出管28の上流側の端部が接続されている。再生水排出管28の下流側の端部はタブ10に接続されている。再生水排出管28における再生水排出口27の近傍には、制御装置80によって開閉制御される排水弁29が設置されている。
【0061】
下流側の緩衝空間22cの側面には、軟水出口30が設けられている。図1に示すように、この軟水出口30には、軟水配管31の上流側の端部が接続されている。軟水配管31の下流側の端部は、プールタンク40に接続されている。
【0062】
(プールタンク)
プールタンク40は、略密閉された貯水可能な容器からなり、洗剤供給ケース14と硬度成分除去器20との間に配置されている。プールタンク40には、硬度成分除去器20で軟水化処理された水道水、つまり軟水が一時的に貯められる。
【0063】
この実施形態では、プールタンク40は、硬度成分除去器20よりも高位置に配置されている。軟水配管31は、プールタンク40の下部から下方の硬度成分除去器20に向かって延びている。軟水配管31の途中には、制御装置80によって開閉制御される止水弁32が設置されている。プールタンク40の上部には、中間配管12bの上流側の端部が接続されている。
【0064】
プールタンク40の所定水位の位置には、上下方向に離れて位置する一対の感応部を有し、これら感応部でプールタンク40の内部の電気伝導率を計測するセンサ42が設置されている。これら感応部で計測される電気伝導率に基づいてプールタンク40に貯まる水の硬度が計測できる。そして、これら感応部で計測される電気伝導率の差に基づいて水位が判定できる。センサ42は、制御装置80と電気的に接続されており、計測した電気伝導率の信号を制御装置80に出力する。プールタンク40はまた、再生水配管43(再生水経路)を通じて再生剤容器60と接続されている。
【0065】
(再生水配管、再生剤容器)
再生剤容器60は、貯水可能な溶解タンク61と、溶解タンク61に収容される再生剤ケース62と、を有している。再生剤ケース62には、必要に応じて、適量の再生剤Sが収容される。再生剤Sは、イオン交換樹脂23を再生させる水溶性の粉体ないし粒体の薬剤である。その具体例は、塩(NaCl)である。
【0066】
再生剤ケース62に収容された再生剤は、溶解タンク61に水が貯まるとその水に溶解する。それにより、溶解タンク61には、再生剤が溶解した再生剤水溶液(再生水)が生成される。再生水は、例えば高濃度の塩水である。
【0067】
溶解タンク61の下部には、再生水配管43の一端が接続されている。再生水配管43の他端は、プールタンク40の下部に接続されている。再生水配管43の途中には、チューブポンプ70(蠕動ポンプの一例)が設置されている。チューブポンプ70は、公知のポンプであり、円形の周壁に沿って延びるチューブ71、チューブ71を円形の周壁に押し付ける複数のローラ72、これらローラ72を周壁に沿って周回させる回転体73などで構成されている。
【0068】
チューブ71の各端部が、再生水配管43に接続されている。回転体73が回転することで、チューブ71の内部の水が送水される。回転体73は、制御装置80の制御によって、正転または逆転が可能である。従って、チューブポンプ70は双方向に送水可能である。作動していないチューブポンプ70は、止水性がある。つまり、水の流れが阻止される。それにより、この軟水化装置1では、再生水配管43の通水を制御する開閉弁は設けていない。なお、開閉弁を設けて止水性を向上させてもよい。
【0069】
この構成によれば、1つの経路で双方向に送水できる。そのため、プールタンク40と再生剤容器60との間には、送水経路は1つのみ設けられている。構造の複雑化を回避できる。適度な流量、適度な定量性で送水できる。再生剤容器60は、プールタンク40に対して、設置場所を選ばない。任意の場所に配置できる。送水経路が1つであれば、再生水配管43の配索も簡単であり、送水経路に貯まる残水も抑制できる。
【0070】
(制御装置)
図3に、制御装置80と、その主な関連装置とを示す。制御装置80は、プロセッサ81、メモリ82などのハードウエアを有している。メモリ82には、制御プログラムや制御データなどのソフトウエアが実装されている。制御装置80は、これらハードウエアとソフトウエアとの協働により、軟水化機能が低下したイオン交換樹脂23を再生させる再生処理を実行する。なお、この制御装置80は、ドラム式洗濯機2が備える制御装置で兼用してもよい。
【0071】
制御装置80には、上述したように、センサ42が電気的に接続されている。制御装置80には、チューブポンプ70、排水弁29、および、止水弁32も電気的に接続されている。制御装置80は、センサ42から入力される信号に基づいて、チューブポンプ70、排水弁29、および、止水弁32の作動を制御する。
【0072】
<通常の状態>
図4に、軟水化装置1の軟水化性能が適正な状態(通常の状態)で、洗濯機が給水を行っている時の状態を示す。矢印Yが水の流れを表している(以下同様)。止水弁32は開いており、排水弁29は閉じている。チューブポンプ70は停止している。給水弁15が開かれることにより、水道水が、所定の水圧で給水経路12に流入する。
【0073】
水道水は、硬度成分除去器20の上流側の緩衝空間22aに流入し、その全域に拡散する。そうして、上流側の通水面24HLを通じて、樹脂充填室22bに流入する。水道水は、その流路の全域にわたってほぼ均等に流れ、下流側の緩衝空間22cに流入する。水道水は、樹脂充填室22bを通過することで、イオン交換樹脂23にその硬度成分が吸着されて、軟水化する。
【0074】
軟水化した水道水(軟水ともいう)は、プールタンク40に流入する。その軟水がプールタンク40の貯水量を超えると、中間配管12bを通じて洗剤供給ケース14に送水される。プールタンク40には、センサ42が設置されているので、その計測値から、軟水化装置1の軟水化性能の低下を判定できる。制御装置80には、所定の判定値が設定されており、その判定値と比較することで、再生処理の必要性を判定する。
【0075】
<再生処理>
制御装置80は、センサ42の計測値が判定値以上となった場合、再生処理を実行する。図5図6図7に、再生処理での主な状態を示す。なお、再生剤ケース62には、再生剤として、予め適量の再生剤(塩)が収容されているものとする。
【0076】
制御装置80は、再生処理の実行時に、プールタンク40に再生水を生成する工程(再生水生成工程)と、プールタンク40に生成した再生水を硬度成分除去器20に通水させる工程(通水工程)とを行う。再生水生成工程では、制御装置80は、プールタンク40に貯まる軟水を再生剤容器60に送る処理(送水処理)と、再生剤容器60から戻す処理(返水処理)とを実行する。
【0077】
図5は、送水処理の状態を示している。再生処理は、通常、洗い工程やすすぎ工程の給水後、又は、洗濯全工程の終了後のいずれかのタイミングで実行される。いずれのタイミングにおいても、プールタンク40には、軟水が貯まった状態になっている。再生処理には、その軟水が使用される。
【0078】
制御装置80は、止水弁32を閉じ、チューブポンプ70を作動(矢印R1で示す方向に回転)させて、プールタンク40に貯まる軟水を再生剤容器60に送水する。それにより、溶解タンク61に軟水が貯まり、再生剤が軟水に溶け出して、溶解タンク61に再生水が生成される。
【0079】
図6は、返水処理の状態を示している。制御装置80は、所定のタイミングでチューブポンプ70を逆方向に作動させて、溶解タンク61に貯まる再生水をプールタンク40に送水する。それにより、再生水がプールタンク40に貯まる。再生剤容器60に送られた軟水の一部は、再生剤に吸収される。そのため、プールタンク40に貯まる再生水の水量は減少する。
【0080】
再生剤が再生剤容器60に充足しているか否かは、センサ42の計測値によって判定できる。制御装置80は、センサ42の計測値により、再生剤が不足していると判定すると、ブザーやモニターの表示などにより、再生剤の投入を促す。制御装置80は、センサ42の計測値により、適切な濃度の再生水が生成されたと判定すると、通水工程を実行する。
【0081】
図7は、通水工程での状態を示している。通水工程では、制御装置80は、排水弁29および止水弁32を開く。それにより、プールタンク40に貯まる再生水は、自然落下により、硬度成分除去器20に流入する。そうして、再生水排出口27および再生水排出管28を通じて、タブ10に排水される。
【0082】
再生水が樹脂充填室22bを通過する際に、イオン交換樹脂23と再生水とが接触する。そうすることにより、軟水化性能が低下したイオン交換樹脂23は再生される。所定容量のプールタンク40に貯めた再生水なので、再生に必要かつ十分な量の再生水で再生できる。また、再生水の濃度は均一であるので、ばらつきのない安定した再生処理が行える。
【0083】
所定時間が経過し、プールタンク40から再生水の全量が流出したと判定すると、制御装置80は、排水弁29を閉じる。それにより、通常の状態に復帰する。軟水化装置に必要な制御がプールタンク40において、電気導電率を計測することで実施できるので、構造が簡易で、材料費を抑えることができる。
【0084】
<硬度成分除去器の変形例>
図8に、硬度成分除去器20の変形例を示す。本変形例の硬度成分除去器20Aでは、樹脂充填室22bの構造が、上述した実施形態の硬度成分除去器20と異なっている。
【0085】
すなわち、実施形態での硬度成分除去器20は、通水面24L,24Hが、弾性を有するメッシュ部材で構成されていた。それに対し、本変形例の硬度成分除去器20Aは、通水面24L,24Hが、実質的に弾性を有しない非弾性メッシュ部材90(例えば、金属製のメッシュ等)で構成されている。
【0086】
その代わりとして、樹脂充填室22bの内周面に、弾性部材91(例えばスポンジ)が貼り付けられている。弾性部材91は、イオン交換樹脂23が膨潤すると圧縮され、その容積の膨張に応じて収縮するように構成されている。
【0087】
図9に、また別の硬度成分除去器20の変形例を示す。本変形例の硬度成分除去器20Bの通水面24L,24Hもまた、非弾性メッシュ部材90で構成されている。そして、本変形例の硬度成分除去器20Bでは、上流側90L(24L)および下流側90(24H)が固定され、90H(24L)が可動するように構成されている。
【0088】
イオン交換樹脂23に接する非弾性メッシュ部材90H(24L)は、イオン交換樹脂23が膨潤すると上流側に押され、Oリングなどの弾性部材92を変形させながら、樹脂充填室22bの容積を拡大させるように動く。
【0089】
<再生水経路の変形例>
図10に、再生水経路の変形例を示す。上述した実施形態では、チューブポンプ70を用いた1つの経路を例示した。それに対し、本変形例の再生水経路は、2つの経路(送水経路94Aおよび返水経路94B)で構成されている。
【0090】
いずれの経路94A,94Bにも逆止弁94a、ウォータポンプ94b、および開閉弁94cが設置されている。送水経路94Aでは、ウォータポンプ94bの作動により送水処理を実行する。つまり、プールタンク40に貯まる軟水を再生剤容器60に送る。返水経路94Bでは、ウォータポンプ94bの作動により返水処理を実行する。つまり、再生剤容器60に貯まる再生水をプールタンク40に送り返す。
【0091】
<硬度成分除去器とプールタンクとの間の経路の変形例>
図示しないが、硬度成分除去器20とプールタンク40との間の経路も変更可能である。
【0092】
例えば、上述した実施形態では、自然落下により、プールタンク40から硬度成分除去器20に再生水を送水するようにした。そのためには、プールタンク40は、硬度成分除去器20よりも高位置に配置する必要がある。従って、設置の場所が制約される。それに対し、本変形例では、プールタンク40を硬度成分除去器20よりも低位置に配置できる構成について説明する。
【0093】
具体的には、実施形態と同様に、プールタンク40と硬度成分除去器20とは、1つの経路(軟水経路)で接続する。そして、その軟水経路に、硬度成分除去器20に向けて吐出する、止水性の無いポンプを設置する。
【0094】
例えば、インペラの回転によって吐出する通常のウォータポンプを設置すればよい。通常の状態では、ウォータポンプは停止している。ウォータポンプは、止水性が無いので、水道水の水圧により、硬度成分除去器20からプールタンク40に送水できる。そして、再生処理時には、ウォータポンプを作動させることにより、プールタンク40から硬度成分除去器20に再生水を送水する。
【0095】
以上説明したように、開示する技術を適用した軟水化装置によれば、軟水化装置の最適な制御を簡易な構造で実現することができ、また、軟水化性能の低下を抑制できる。従って、材料費が抑制され、また、再生頻度が低下するので、使用頻度の高い装置に用いることで、ランニングコストの低減などの効果が得られる。特に、欧米などの、水道水の硬度が高い地域において有効である。
【0096】
なお、開示する技術は、上述した実施形態に限定されず、それ以外の種々の構成をも包含する。例えば、実施形態では、ドラム式洗濯機に設置した軟水化装置を例示したが、縦型の洗濯機であってもよい。また、洗濯機に限らず、食器洗浄機、飲料製造装置等に設置してもよい。軟水化処理が必要な装置であれば、開示する技術を適用した軟水化装置を設置できる。
【符号の説明】
【0097】
1 軟水化装置
2 ドラム式洗濯機
10 タブ
10a 投入口
11 ドラム
12 給水経路
13 水道配管
14 洗剤供給ケース
15 給水弁
20 硬度成分除去器
22 通水空間
22a 上流側の緩衝空間
22b 樹脂充填室
22c 下流側の緩衝空間
23 イオン交換樹脂
24H 上流側の通水面(メッシュ部材)
24L 下流側の通水面(メッシュ部材)
29 排水弁
32 止水弁
40 プールタンク
42 センサ
43 再生水配管(再生水経路)
60 再生剤容器
70 チューブポンプ(蠕動ポンプ)
80 制御装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10