IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 太平洋工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-浴室監視装置 図1
  • 特開-浴室監視装置 図2
  • 特開-浴室監視装置 図3
  • 特開-浴室監視装置 図4
  • 特開-浴室監視装置 図5
  • 特開-浴室監視装置 図6
  • 特開-浴室監視装置 図7
  • 特開-浴室監視装置 図8
  • 特開-浴室監視装置 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022188371
(43)【公開日】2022-12-21
(54)【発明の名称】浴室監視装置
(51)【国際特許分類】
   G08B 21/02 20060101AFI20221214BHJP
   G08B 25/04 20060101ALI20221214BHJP
【FI】
G08B21/02
G08B25/04 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021096356
(22)【出願日】2021-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】000204033
【氏名又は名称】太平洋工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112472
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100202223
【弁理士】
【氏名又は名称】軸見 可奈子
(72)【発明者】
【氏名】奥村 孝司
【テーマコード(参考)】
5C086
5C087
【Fターム(参考)】
5C086AA22
5C086BA04
5C086CA06
5C086CB01
5C086CB07
5C086CB27
5C086DA01
5C086EA25
5C086EA45
5C086FA06
5C086FA17
5C086FA18
5C087AA02
5C087AA09
5C087AA10
5C087AA25
5C087AA37
5C087AA44
5C087DD03
5C087DD49
5C087EE18
5C087FF02
5C087FF04
5C087GG08
5C087GG66
5C087GG70
5C087GG84
(57)【要約】      (修正有)
【課題】挙動検出センサによる動体の誤検知による誤動作を抑制する浴室監視装置を提供する。
【解決手段】本実施形態の浴室監視装置100Aでは、「有人状態」と「無人状態」を判別する挙動検出センサ10と「湯あり状態」と「湯なし状態」を判別する温湿度センサ20を備え、「有人状態」かつ「湯あり状態」の時に、監視が必要な「要監視状態」と判定する。
【効果】挙動検出センサ10だけを備えて「有人状態」を「要監視状態」と判定する従来の構成では、無人の浴室80内で洗濯物等が風で揺れても「要監視状態」と誤判定して異常報知処理をすることがあるが、風で揺れる洗濯物等と、入浴中の人90とを判別して「要監視状態」を判定でき、無人の浴室80内で洗濯物等が風で揺れる状態の異常報知処理を防止することができる。また、温湿度センサ20により挙動検出センサ10の監視頻度を抑制し、省電力化を図ることもできる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴室(80)内に設置されて前方の物体の動きに応じて変化する挙動検出信号を出力する挙動検出センサ(10)を有し、前記挙動検出信号の変化に基づいて前記浴室(80)内の人(90)の安否を判定する浴室監視装置(100A,100B,100C,100D,100E)において、
前記浴室内の湿度、温度その他の雰囲気値を検出する雰囲気センサ(20)と、
前記雰囲気値又はその変化量が、予め設定された第1基準値を満たすという第1条件の成立を要件にして前記浴室(80)が監視を要する要監視状態であると判定する要監視状態判定部(37)と、
前記挙動検出センサ(10)の作動と休止とを切り替え、監視が不要な通常状態に比べて前記要監視状態では前記挙動検出センサ(10)の作動頻度を高くする頻度切替部(33)と、を備える浴室監視装置(100A,100B,100C,100D,100E)。
【請求項2】
前記要監視状態判定部(37)は、前記第1条件の成立と、前記挙動検出信号の変化量が予め設定された第2基準値を満たすという第2条件の成立とを要件にして前記浴室(80)が前記要監視状態であると判定する請求項1に記載の浴室監視装置(100A,100B,100C,100D,100E)。
【請求項3】
前記頻度切替部(33)は、前記第1条件が成立していない状態に比べて前記第1条件が成立している状態では前記挙動検出センサ(10)の作動頻度を高くする請求項2に記載の浴室監視装置(100A,100B,100C,100D,100E)。
【請求項4】
前記頻度切替部(33)は、前記第1条件が成立しかつ前記第2条件が成立していない準要監視状態における前記挙動検出センサ(10)の作動頻度を、前記通常状態より高くかつ前記要監視状態より低くする請求項3に記載の浴室監視装置(100A,100B,100C,100D,100E)。
【請求項5】
前記頻度切替部(33)は、前記第1条件が不成立でかつ前記挙動検出信号の変化量が予め設定された第3基準値を満たすという第3条件が成立している準通常状態における前記挙動検出センサ(10)の作動頻度を、前記通常状態より高くかつ前記要監視状態より低くする請求項3又は4に記載の浴室監視装置(100A,100B,100C,100D,100E)。
【請求項6】
前記雰囲気センサ(20)の作動と休止とを切り替え、前記要監視状態では、前記雰囲気センサ(20)を休止させるオンオフ部(34)を備える請求項1から5の何れか1の請求項に記載の浴室監視装置(100A,100B,100C,100D,100E)。
【請求項7】
前記雰囲気センサ(20)は、湿度センサであり、
湿度又はその変化量が前記第1基準値を満たしたときに前記第1条件が成立する請求項1から6の何れか1の請求項に記載の浴室監視装置(100A,100B,100C,100D,100E)。
【請求項8】
前記雰囲気センサ(20)は、温度センサと前記湿度センサとを含んだ温湿度センサ(20)であり、
前記湿度又はその変化量と、温度又はその変化量との両方が前記第1基準値を満たしたときに前記第1条件が成立する請求項7に記載の浴室監視装置(100A,100B,100C,100D,100E)。
【請求項9】
前記挙動検出センサ(10)はFMCWセンサである請求項1から8の何れか1の請求項に記載の浴室監視装置(100A,100B,100C,100D,100E)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、浴室内にいる人の異常の有無を監視するための浴室監視装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の浴室監視装置として、動体を検知する挙動検出センサを浴室内に取り付けて浴室内の人の動きを監視するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-017835号公報(段落[0039]及び図4
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した従来の浴室監視装置では、無人の浴室内で干されている洗濯物等が風で揺れると浴室に人がいるものと誤判定してしまうという問題があり、そのような問題の発生を抑える技術の開発が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するためになされた請求項1の発明は、浴室(80)内に設置されて前方の物体の動きに応じて変化する挙動検出信号を出力する挙動検出センサ(10)を有し、前記挙動検出信号の変化に基づいて前記浴室(80)内の人(90)の安否を判定する浴室監視装置(100A,100B,100C,100D,100E)において、前記浴室内の湿度、温度その他の雰囲気値を検出する雰囲気センサ(20)と、前記雰囲気値又はその変化量が、予め設定された第1基準値を満たすという第1条件の成立を要件にして前記浴室(80)が監視を要する要監視状態であると判定する要監視状態判定部(37)と、前記挙動検出センサ(10)の作動と休止とを切り替え、監視が不要な通常状態に比べて前記要監視状態では前記挙動検出センサ(10)の作動頻度を高くする頻度切替部(33)と、を備える浴室監視装置(100A,100B,100C,100D,100E)である。
【0006】
請求項2の発明は、前記要監視状態判定部(37)は、前記第1条件の成立と、前記挙動検出信号の変化量が予め設定された第2基準値を満たすという第2条件の成立とを要件にして前記浴室(80)が前記要監視状態であると判定する請求項1に記載の浴室監視装置(100A,100B,100C,100D,100E)である。
【0007】
請求項3の発明は、前記頻度切替部(33)は、前記第1条件が成立していない状態に比べて前記第1条件が成立している状態では前記挙動検出センサ(10)の作動頻度を高くする請求項2に記載の浴室監視装置(100A,100B,100C,100D,100E)である。
【0008】
請求項4の発明は、前記頻度切替部(33)は、前記第1条件が成立しかつ前記第2条件が成立していない準要監視状態における前記挙動検出センサ(10)の作動頻度を、前記通常状態より高くかつ前記要監視状態より低くする請求項3に記載の浴室監視装置(100A,100B,100C,100D,100E)である。
【0009】
請求項5の発明は、前記頻度切替部(33)は、前記第1条件が不成立でかつ前記挙動検出信号の変化量が予め設定された第3基準値を満たすという第3条件が成立している準通常状態における前記挙動検出センサ(10)の作動頻度を、前記通常状態より高くかつ前記要監視状態より低くする請求項3又は4に記載の浴室監視装置(100A,100B,100C,100D,100E)である。
【0010】
請求項6の発明は、前記雰囲気センサ(20)の作動と休止とを切り替え、前記要監視状態では、前記雰囲気センサ(20)を休止させるオンオフ部(34)を備える請求項1から5の何れか1の請求項に記載の浴室監視装置(100A,100B,100C,100D,100E)である。
【0011】
請求項7の発明は、前記雰囲気センサ(20)は、湿度センサであり、湿度又はその変化量が前記第1基準値を満たしたときに前記第1条件が成立する請求項1から6の何れか1の請求項に記載の浴室監視装置(100A,100B,100C,100D,100E)である。
【0012】
請求項8の発明は、前記雰囲気センサ(20)は、温度センサと前記湿度センサとを含んだ温湿度センサ(20)であり、前記湿度又はその変化量と、温度又はその変化量との両方が前記第1基準値を満たしたときに前記第1条件が成立する請求項7に記載の浴室監視装置(100A,100B,100C,100D,100E)である。
【0013】
請求項9の発明は、前記挙動検出センサ(10)はFMCWセンサである請求項1から8の何れか1の請求項に記載の浴室監視装置(100A,100B,100C,100D,100E)である。
【発明の効果】
【0014】
請求項1の浴室監視装置(100)によれば、浴室(80)内の湿度、温度その他の雰囲気値を検出する雰囲気センサ(20)を備えて、雰囲気値又はその変化量が、予め設定された第1基準値を満たすという第1条件の成立を要件として浴室(80)の状態が監視を必要とする「要監視状態」であると判定する。ここで、挙動検出センサ(10)が動体を検知したときに「要監視状態」と判定する構成では、浴室内で干されている洗濯物等が風で揺れたときに「要監視状態」と誤判定するという問題が生じ得るが、本開示では、雰囲気センサ(20)が検出する雰囲気値又はその変化量によって「要監視状態」であることを判定するので、前述した問題が生じることを防止することができる。
【0015】
また、本開示の浴室監視装置(100)では、「要監視状態」では「通常状態」よりも挙動検出センサ(10)の作動頻度を高くする。従って、雰囲気センサ(20)により「要監視状態」を誤判定することなく監視が必要なときに挙動検出センサ(10)の作動頻度を高くして、不要なときに作動頻度を低くすることができるので、消費電力を効率よく低減することができる。さらに、請求項6の浴室監視装置(100)のように、「要監視状態」で、雰囲気センサ(20)を休止させる構成とすれば、雰囲気センサ(20)も効率よく作動させることができ、これによっても消費電力を低減することができる。なお、挙動検出センサ(10)として、例えば、周波数変調された連続波を前方物体に送波し、前方物体までの距離毎の反射波の受信強度を検出して出力するFMCWセンサが挙げられる(請求項9の発明)。
【0016】
ここで、雰囲気センサ(20)として、湿度センサを用いれば(請求項7の発明)、例えば、浴室(80)内の湿度やその変化量により浴槽(83)にお湯が張られたことを判定することができ、お湯が張られたときには人(90)が入浴する可能性が高いとして「要監視状態」と判定することができる。また、請求項8の発明のように、雰囲気センサ(20)として、温度センサと湿度センサとを含んだ温湿度センサ(20)を用いれば、例えば、浴室乾燥状態や浴室暖房状態等を、浴槽(83)にお湯が張られた状態と判別することができる。
【0017】
「要監視状態」であるとの判定は、前述した第1条件の成立のみを要件にしてもよいし、第1条件の成立と第1条件以外の条件の成立との両方を要件にしてもよい。第1条件以外の条件の成立の要件として、請求項2の浴室監視装置(100)のように、例えば、挙動検出センサ(10)の挙動検出信号の変化量が予め設定された第2基準値を満たすという第2条件の成立を要件とし、第1条件の成立により、浴槽(83)にお湯が張られたと判定し、第2条件の成立により、浴室(80)に人(90)がいると判定したときに「要監視状態」と判定してもよい。これによれば、例えば、無人の浴室(80)内で干されている洗濯物等が風で揺れている状態と、有人の浴室(80)内で浴槽(83)にお湯が張られた状態と、を区別することができる。なお、第1条件以外の条件の成立は、1つであってもよいし、複数であってもよい。
【0018】
ここで、第1条件が成立しかつ第2条件が成立していない状態を「準要監視状態」とし(請求項4の発明)、第1条件が不成立でかつ挙動検出信号の変化量が予め設定された第3基準値を満たすという第3条件が成立した状態を「準通常状態」とすれば(請求項5の発明)、浴室(80)の状態を4つの状態に分けて判定することができる。これによれば、前述の無人の浴室(80)内で干されている洗濯物等が風で揺れている状態を「準通常状態」と判定することができる。「準通常状態」においては、無人の浴室(80)内で干されている洗濯物等が風で揺れている状態だけではなく、浴槽(83)にお湯が張られていないが人(90)がいる状態も含まれるため、動体の監視は「通常状態」よりは強める必要がある。そこで、請求項5の発明のように、「準通常状態」における挙動検出センサ(10)の作動頻度を「要監視状態」より低くかつ「通常状態」より高くすれば、挙動検出センサ(10)をさらに効率よく作動させることができる。また、「準要監視状態」においても、挙動検出センサ(10)の作動頻度を「要監視状態」より低くかつ「通常状態」より高くしてもよい(請求項4の発明)。このとき、「準通常状態」における挙動検出センサ(10)の作動頻度と、「準要監視状態」における挙動検出センサ(10)の作動頻度とを同じにしてもよいし、異ならせてもよい。なお、第2基準値と第3基準値とは同じであってもよいし、異ならせてもよい。
【0019】
また、第1条件が成立していない状態に比べて第1条件が成立している状態における挙動検出センサ(10)の作動頻度を高くしてもよいし(請求項3の発明)、第2条件が成立していない状態に比べて第2条件が成立している状態における挙動検出センサ(10)の作動頻度を高くしてもよい。
【0020】
また、第1条件が成立している状態では、第2条件が成立している状態と成立していない状態とで、挙動検出センサ(10)の作動頻度を前述のように(請求項4の発明)異ならせてもよいし、同じにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施形態に係る浴室監視装置が備えられた浴室を上方から見た概略図
図2】浴室監視装置が備えられた浴室側断面図
図3】浴室監視装置の電気的な構成を示すブロック図
図4】浴室の状態を示す図
図5】浴室監視装置の機能的な構成を示すブロック図
図6】制御プログラムのフローチャート
図7】温湿度センサによる計測処理のフローチャート
図8】異常判定処理のフローチャート
図9】第2実施形態に係る温湿度センサによる計測処理のフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0022】
[第1実施形態]
本開示の浴室監視装置100Aに係る第1実施形態について、図1図8を参照して説明する。本実施形態の浴室監視装置100Aは、例えば、図1に示すように浴室内ユニット101と浴室外ユニット102とに分かれている。
【0023】
浴室内ユニット101は、防水ケース11に、挙動検出センサ10と、温度センサと湿度センサにより構成される温湿度センサ20と、メッセージ出力部40と、を収容して備える。そして、浴室内ユニット101は、例えば、図2に示すように、浴室80内の浴槽83を挟んで対向する1対の対向壁81,82の一方の対向壁81に取り付けられて、浴槽83に漬かった人90の頭部と対向する位置に配置される。
【0024】
本実施形態の浴室監視装置100Aが有する挙動検出センサ10は、例えば、FMCW(Frequency Modulated Continuous Wave)センサである。
【0025】
具体的には、FMCWセンサである本実施形態の挙動検出センサ10は、周波数が連続して増加又は減少するチャープ信号である検出波を無線送波し、その反射波と送信中の検出波との差に起因するビート信号に基づき、挙動検出センサ10からの距離毎の反射波の受信強度を演算して出力するようになっている。本実施形態では、挙動検出センサ10の検知範囲を他方の対向壁82までとし、一方の対向壁81から検出波を送波し、レーダーの如く、1対の対向壁81,82の間の空間(以下、「監視空間S」という)の全体を監視可能にする情報を出力する。この挙動検出センサ10の出力情報に基づいて、浴槽83内に人90が漬かっている「有人状態」か、或いは、浴槽83内に人90がいない「無人状態」か、さらに、有人状態であったときの人90の異常の有無を監視する。
【0026】
温湿度センサ20は、その検知部が防水ケース11の外部に露出していて、監視空間Sの温度及び湿度を検出して温度データ及び湿度データとして出力する。本実施形態の浴室監視装置100Aは、この温湿度センサ20の出力情報を利用して、浴槽83にお湯が張られた「湯あり状態」か、或いは、浴槽83にお湯が張られていない「湯なし状態」かを監視するようになっている。なお、温湿度センサ20は、浴室内ユニット101と別構成とされていてもよく、例えば、防水ケース11内ではなく浴室80内に配置されて、後述する信号処理部30と電気的に接続される構成であってもよい。
【0027】
なお、本実施形態の浴室監視装置100Aは、浴室内ユニット101と浴室外ユニット102とに分かれているが、分かれていなくてもよい。なお、挙動検出センサ10のうち検出波及び反射波を送受波する図示しないアンテナ部のみが一方の対向壁81に配置され、アンテナ部以外は挙動検出センサ10の全体が浴室80から離れた位置に配置されていてもよい。
【0028】
図3に示すように、浴室外ユニット102は、信号処理部30とメッセージ出力部50とを備えて浴室80外に配置されている。メッセージ出力部50は、例えば、スピーカー、ディスプレイ、警報器を備える。また、前述の浴室内ユニット101のメッセージ出力部40も同様の構成になっている。そして、信号処理部30が、挙動検出センサ10及び温湿度センサ20を制御し、それらの出力した情報に基づいて必要に応じてメッセージ出力部40,50にメッセージ等を出力する。また、メッセージ出力部50には、インターネット回線や電話回線等に対する通信接続器が備えられ、予め登録されている遠方の家族の携帯電話や、所定の監視センターに配置されるサーバ等に異常の発生を知らせることもできるようになっている。なお、浴室内ユニット101と浴室外ユニット102とメッセージ出力部40,50の間の接続は、有線又は無線の何れでもよい。
【0029】
信号処理部30は、CPU31Aと、RAM、ROM、フラッシュメモリ等のメモリ31Bとを含んでなるマイコン31を主要部として備える。そして、温湿度センサ20の出力情報に基づいて浴槽83にお湯が張られたか否かの判定や、挙動検出センサ10の出力情報に基づいて浴槽83内の人90の有無、及びその人90の異常の有無の判定を行う。そのために、メモリ31Bには、後述する制御プログラムPG1(図6図8参照)等が記憶されている。そして、CPU31Aは、制御プログラムPG1を実行することで、図5の頻度切替部33と、オンオフ部34と、お湯張り判定部35と、有人判定手段36と、要監視状態判定部37と、異常判定部38と、異常処理部39等として機能する。
【0030】
頻度切替部33は、挙動検出センサ10の作動頻度、即ち、挙動検出センサ10が検出波を送波して受信強度を計測する計測周期Pを制御する。計測周期Pは、浴室80内の状態によって変化させる。本実施形態では、浴室80内の状態を、前述した「有人状態」か「無人状態」か、及び、「湯あり状態」か「湯なし状態」かに基づいて4つの状態に分類する。具体的には、浴室80内の状態は、図4に示すように、「湯なし状態」でかつ「無人状態」である「通常状態」と、「湯あり状態」でかつ「有人状態」である「要監視状態」と、「湯あり状態」でかつ「無人状態」である「準要監視状態」と、「湯なし状態」でかつ「有人状態」である「準通常状態」とに分類し、人90が入浴中であると推定される「要監視状態」において挙動検出センサ10による監視を強めている。
【0031】
つまり、「要監視状態」の計測周期P2(例えば、1[秒])は、「通常状態」の計測周期P1(例えば、20[秒])よりも長く、「準要監視状態」の計測周期P3(例えば、10[秒])及び「準通常状態」の計測周期P4(例えば、5[秒])は、「通常状態」の計測周期P1より短くかつ「要監視状態」の計測周期P2より長くなっている。また、「準要監視状態」と「準通常状態」とでは、「準要監視状態」の計測周期P4の方が長くなっている。なお、本実施形態では、浴室監視装置100Aを浴室80で初めて動作させる場合やリセット操作された場合は、浴室80内の状態は「通常状態」に設定されており、頻度切替部33は、挙動検出センサ10を「通常状態」の計測周期P1で動作させる。
【0032】
オンオフ部34は、温湿度センサ20を動作させて監視空間Sの温度データ及び湿度データを出力させるか、温湿度センサ20を休止させるかを制御する。本実施形態では、「通常状態」、「準通常状態」及び「準要監視状態」において、一定周期(例えば、30[秒])で温湿度センサ20に温度データ及び湿度データを出力させる一方、「要監視状態」において温湿度センサ20を休止させるようになっている。
【0033】
要監視状態判定部37は、浴室80内の状態が、「通常状態」か、「準通常状態」か、「準要監視状態」か、又は「要監視状態」かの何れの状態であるかを判定する。要監視状態判定部37は、お湯張り判定部35の判定結果と、有人判定手段36の判定結果とに基づいて、浴室80内が前述の何れの状態であるかを判定する。
【0034】
お湯張り判定部35は、温湿度センサ20の出力情報を取得して、所定期間(例えば、3[分])毎に「湯あり状態」か「湯なし状態」かを判定する。具体的には、お湯張り判定部35は、所定期間分の温度データ及び湿度データに含まれている監視空間Sの温度及び湿度の平均値が、予め設定された第1閾値を超えたときに、「湯あり状態」と判定する。本実施形態では、例えば、温度の第1閾値T1を30[℃]、湿度の第1閾値H1を80[%]とする。なお、監視空間Sの温度及び湿度が第1閾値T1,H1を超えることが、特許請求の範囲の「第1基準値を満たす」ことに相当し、「第1条件が成立」したことに相当する。
【0035】
有人判定手段36は、挙動検出センサ10の出力情報を取得して、所定期間(例えば、3[分])毎に「有人状態」か「無人状態」かを判定する。具体的には、有人判定手段36は、所定期間の間、監視空間S内に予め定められた第2閾値を超える受信強度を示す動体が検知された場合に、その動体を人90と推定して「有人状態」と判定する。なお、監視空間S内の受信強度が変化して、第2閾値を超える受信強度を示す動体が検出されることが、特許請求の範囲の「第2基準値を満たす」又は「第3基準値を満たす」ことに相当し、「第2条件が成立」又は「第3条件が成立」したことに相当する。
【0036】
ここで、要監視状態判定部37が「要監視状態」と判定したときには、前述したように、オンオフ部34が温湿度センサ20を休止させるので、その後、お湯張り判定部35による浴槽83にお湯が張られているか否かの判定は行われず、有人判定手段36による有人状態か無人状態かの判定だけが行われる。従って、要監視状態判定部37は、浴室80内の状態について、有人判定手段36による判定結果だけに基づいて浴室80の状態を判定する。これにより、浴室80の状態が一旦「要監視状態」と判定されると、要監視状態判定部37は、有人状態である限りは、浴室80の状態を「要監視状態」と判定し、「無人状態」となったときに、「準要監視状態」と判定する。
【0037】
異常判定部38は、要監視状態判定部37により「要監視状態」と判定された場合に、所定期間(例えば、3[分])毎に浴室80内の人90の異常の有無を判定する。具体的には、本実施形態では、監視空間S内に検知された動体が示す受信強度について、その前後の受信強度を比較し、それらの受信強度が示す一方の対向壁81からの距離が所定期間の間基準誤差範囲を超えて変化しているときには、人90は異常なく動作していると認識して異常なしと判定する一方、基準誤差範囲を超えて変化しなかった場合には、人90の動きが停止したと判別して異常有りと判定する。
【0038】
異常処理部39は、異常判定部38において異常有りと判定されたときに実行され、浴槽83内にいる人90に向かって実際に異常事態が発生しているか否かを確認する。具体的には、メッセージ出力部40から異常なしを意味する情報の入力を求めるメッセージ、例えば、「人の停止が3分間検知されました。意識はありますか。センサに向かって手をかざしてください」等のメッセージを音声で出力する。このとき、人90が手をかざすと、監視空間S内に検知される動体の受信強度が示す一方の対向壁81からの距離が基準誤差範囲を超えて大きく変動すると考えられる。従って、異常処理部39は、メッセージ出力部40からメッセージを出力後、挙動検出センサ10の出力情報に基づいて所定期間の間に監視空間S内に検出される動体の一方の対向壁81からの距離の変動が基準誤差範囲を超えて変化したときに、人90がメッセージに応答して手をかざしたとみなし、浴槽83内の人90に異常事態は発生していないと判定する。
【0039】
これに対して、異常処理部39は、メッセージ出力部40からメッセージを出力後、所定期間の間に人90の一方の対向壁81からの距離の変動が基準誤差範囲を超えて変化しなかったときには、人90が手をかざすこともできない異常事態が発生したと判定し、メッセージ出力部50に異常の発生を知らせるメッセージを出力する。
【0040】
以下、信号処理部30のCPU31Aが実行する制御プログラムPG1(図6図8参照)の一例を示す。なお、「T」は、時間をカウントするためのカウンタであり、初期状態で「0」になっている。図6に示すように、制御プログラムPG1は、例えば、浴室監視装置100Aが浴室80に設置された後、初めて動作させる場合やリセット操作された場合に開始される。前述したように、本実施形態では、初めて動作させる場合やリセット操作された場合は、浴室80内の状態は「通常状態」に設定されており、まず、オンオフ部34が、温湿度センサ20を動作させて30[秒]毎に監視空間Sの温度及び湿度を計測させる(S11)と共に、頻度切替部33は、挙動検出センサ10を計測周期P1で動作させる(S12)。
【0041】
そして、カウンタTを1つインクリメントし(S13)、カウント数が設定されている計測周期Pと一致したときに(S14でYES)、挙動検出センサ10による計測処理が行われる(S15)。続いて、温湿度センサ20が動作していれば(S16でYES)、温湿度センサ20による計測処理が行われる(S17)。温湿度センサ20による計測処理(S17)は、図7に示されており、温湿度センサ20の計測データから「湯あり状態」か「湯なし状態」かを判定する。つまり、温湿度センサ20の出力情報から所定期間分の監視空間S内の温度及び湿度を取得し(S29)、温度が30[℃]を超え(S30でYES)、湿度が80[%]を超えたときに(S31でYES)、「湯あり状態」と判定し(S32)、どちらか一方でも満たさなかったときに「湯なし状態」と判定する(S33)。
【0042】
続いて、図6に示すように、温湿度センサ20による計測処理に基づいて「湯あり状態」か「湯なし状態」かが決定される(S18)と共に、挙動検出センサ10による計測処理に基づいて「有人状態」か「無人状態」かが決定される(S19)。そして、要監視状態判定部37はこれらの決定に基づいて浴室80の状態を判定する。つまり、「湯なし状態」かつ「無人状態」であったときに、要監視状態判定部37は、「通常状態」と判定し(S18でNO、S20でNO)、頻度切替部33は、挙動検出センサ10の計測周期Pを変更せず、通常状態の計測周期P1で継続して動作させる(S25)。また、「湯なし状態」かつ「有人状態」であったときには、要監視状態判定部37は、「準通常状態」と判定し(S18でNO、S20でYES)、頻度切替部33は、挙動検出センサ10の計測周期Pを計測周期P4に更新する(S24)。
【0043】
一方、「湯あり状態」かつ「無人状態」であったときに、要監視状態判定部37は、「準要監視状態」と判定し(S18でYES、S19でNO)、頻度切替部33は、挙動検出センサ10の計測周期Pを計測周期P3に更新する(S23)。そして、「湯あり状態」かつ「有人状態」であったときに、要監視状態判定部37は、「要監視状態」と判定し(S18でYES、S19でYES)、頻度切替部33は、挙動検出センサ10の計測周期Pを計測周期P2に更新して(S22)、浴室80内の監視を強める。このとき、オンオフ部34が、温湿度センサ20をオフする(S26)。
【0044】
ここで、要監視状態判定部37が「要監視状態」と判定したとき(S18でYES、S19でYES)には、オンオフ部34が温湿度センサ20をオフする(S26)ので、その後、有人判定手段36による監視のみが継続し(S16でNO)、「有人状態」か「無人状態」かの決定だけが行われる(S19)。これにより、要監視状態判定部37は、「有人状態」である限りは(S19でYES)、「要監視状態」と判定し、計測周期P2で継続して動作させる(S22)。そして、「無人状態」となったときに(S19でNO)、「準要監視状態」と判定し、頻度切替部33は、挙動検出センサ10の計測周期Pを計測周期P3に更新する(S23)と共に、オンオフ部34が、温湿度センサ20の動作を再開させる(S27)。
【0045】
このようにして、挙動検出センサ10による計測処理(S15)及び温湿度センサ20による計測処理(S17)を行って要監視状態判定部37が、浴室80の状態を判定する処理を繰り返し、頻度切替部33による計測周期Pが更新されていく。ここで、ステップS12,S22,S23,S24,S25を実行しているときのCPU31Aが前述した頻度切替部33に相当し、ステップS11,S26,S27を実行しているときのCPU31Aが前述したオンオフ部34に相当し、ステップS17,S18を実行しているときのCPU31Aが前述したお湯張り判定部35に相当し、ステップS15,S19,S20を実行しているときのCPU31Aが前述した有人判定手段36に相当する。
【0046】
ここで、要監視状態判定部37が「要監視状態」と判定したとき(S18でYES、S19でYES)には、異常判定処理が行われる(S21)。異常判定処理(S21)は、図8に示されており、所定期間毎に浴室80内の人90の異常の有無を判定し(S34)、異常がある場合には(S34でYES),メッセージ出力部40から、浴槽83内の人90に向かって情報の入力を求めるメッセージを出力する安否確認処理を実行する(S35)。そして、浴槽83内の人90からメッセージに対する応答がなかった場合には(S36でNO)、人90が安否確認処理に応答できない異常事態が発生したと判定され、その判定結果をメッセージ出力部50に出力する異常報知処理が実行される(S37)。
【0047】
そして、浴槽83内の人90が異常なく動作している場合(S34でNO)や、安否確認処理(S35)に応答した場合(S36でYES)には、この処理を抜ける。ここで、ステップS34を実行しているときのCPU31Aが上述した異常判定部38に相当し、ステップS35~S37を実行しているときのCPU31Aが上述した異常処理部39に相当する。
【0048】
本実施形態の浴室監視装置100Aの構成に関する説明は以上である。本実施形態の浴室監視装置100Aでは、動体を検知してその動体の動きを監視する挙動検出センサ10と、監視空間Sの温度及び湿度を監視する温湿度センサ20とを備えている。そして、挙動検出センサ10により浴槽83内に人90がいる「有人状態」又は人90がいない「無人状態」とを判定し、さらに、温湿度センサ20により浴槽83にお湯が張られた「湯あり状態」と、お湯が張られていない「湯なし状態」とを判定して、「有人状態」でかつ「湯あり状態」のときに、監視が必要な「要監視状態」と判定する。ここで、挙動検出センサ10が動体を検知して「有人状態」と判定したときに「要監視状態」と判定する従来の構成では、挙動検出センサ10が無人の浴室80内で干されている洗濯物等が風で揺れると浴室80に人90がいるものとして「要監視状態」と判定してしまうことがある。これに対して、本実施形態の浴室監視装置100Aでは、監視空間Sの温度及び湿度を監視することによって、風で揺れる洗濯物等と、浴槽83にお湯が張られた状態の浴室80にいる人90とを判別して「要監視状態」を判定することが可能となり、無人の浴室80内で干されている洗濯物等が風で揺れる状態を「要監視状態」と誤判定することを防止することができる。
【0049】
さらに、本実施形態では、「要監視状態」において監視が不要な「通常状態」よりも挙動検出センサ10の作動頻度を高くするので、温湿度センサ20により「要監視状態」を誤判定することなく監視が必要なときに挙動検出センサ10の作動頻度を高くし、不要なときに作動頻度を低くすることができるので、消費電力を効率よく低減することができる。
【0050】
そして、挙動検出センサ10による「有人状態」又は「無人状態」との判別結果と、温湿度センサ20による「湯あり状態」又は「湯なし状態」との判別結果に基づいて、浴室80内の状態を「要監視状態」と、「通常状態」と、「準要監視状態」と、「準通常状態」の4つの状態に分けて判定するので、前述の無人の浴室80内で干されている洗濯物等が風で揺れる状態を「準通常状態」と判定することができる。ここで、「準通常状態」においては、無人の浴室80内で干されている洗濯物等が風で揺れる状態だけではなく、浴槽83にお湯が張られていないが人90がいる状態も含まれるため、動体の監視は「通常状態」よりは強める必要がある。そこで、本実施形態では、「準通常状態」における挙動検出センサ10の作動頻度を「要監視状態」より低くかつ「通常状態」より高くしている。また、「準要監視状態」においても、人90はいないが、浴槽83にお湯が張られた状態であり、もうすぐ人90が入浴する可能性が高いとして、挙動検出センサ10の作動頻度を「要監視状態」より低くかつ「通常状態」より高くしている。これらによっても、挙動検出センサ10をさらに効率よく作動させることができる。
【0051】
さらに、「要監視状態」と判定されたときには、オンオフ部34が、温湿度センサ20を休止させるので、温湿度センサ20も効率よく作動させて消費電力を低減することができる。
【0052】
[第2実施形態]
前記第1実施形態の浴室監視装置100Aのお湯張り判定部35が、図6に示すように、監視空間Sの温度及び湿度の絶対値が第1閾値T1,H1を超えたときに、「湯あり状態」と判定する構成であったが、本実施形態の浴室監視装置100Bでは、図9に示すように、所定期間(例えば、10[分])において温度及び湿度が急激に上昇したときに「湯あり状態」と判定する構成となっている。以下、この浴室監視装置100Bの構成について、第1実施形態と相違する点に関してのみ説明する。
【0053】
本実施形態の浴室監視装置100Bでは、お湯張り判定部35が、所定期間における最初と最後の温度及び湿度の差をそれぞれ温度及び湿度の変化量ΔT,ΔHとして取得し(S29)、これらが予め定められた第4閾値(例えば、温度の変化量ΔT4が10[℃]、湿度の変化量ΔH4が30[%])を超えて上昇したとき(S30BでYES,S31BでYES)に、「湯あり状態」と判定し(S32)、温度の変化量ΔTが10[℃]以下であったときに「湯なし状態」と判定する(S33)。
【0054】
本実施形態では、温度の変化量ΔTが10[℃]を超えて上昇して、湿度の変化量ΔHが30[%]以下であった場合には、浴室80内が「浴室乾燥状態又は浴室暖房状態」と判定する(S38)。このように、本実施形態では、「湯あり状態」及び「湯なし状態」とは別に「浴室乾燥状態又は浴室暖房状態」を判定することが可能になる。
【0055】
また、本実施形態では、温度及び湿度がいつもと違って、上がりきっていない状態でも温度及び湿度の変化量ΔT,ΔHが共に所定期間に上昇していることが確認されると「湯あり状態」と判定することができるので、例えば、浴室80のドアが開いている状態で入浴している場合を「要監視状態」と判定することが可能になる。
【0056】
[第3実施形態]
本実施形態の浴室監視装置100Cでは、お湯張り判定部35は、所定期間(例えば、10[分])における監視空間Sの温度及び湿度の絶対値が第1閾値T1,H1を超えてかつ、温度及び湿度の変化量ΔT,ΔHが、予め定められた第5閾値ΔT5,ΔH5を超えて上昇した場合に「湯あり状態」と判定する。例えば、梅雨時期には、監視空間Sの温度及び湿度の絶対値が「湯なし状態」でも第1閾値T1,H1を超える場合が考えられるが、その場合に、所定期間における温度及び湿度の変化量ΔT,ΔHも併せて監視することで、浴槽83にお湯が張られたか否かを精度よく判定することができる。
【0057】
[第4実施形態]
前記第1実施形態の浴室監視装置100Aでは、お湯張り判定部35は、予め定められた第1閾値T1,H1に基づいて「湯あり状態」又は「湯なし状態」と判定していたが、本実施形態の浴室監視装置100Dでは、第1閾値T1,H1を学習機能により設定する。この学習機能とは、任意の期間における過去の監視空間S内の温度及び湿度から第1閾値T1,H1を設定する機能である。この任意の期間とは、例えば、直近の1週間分の「有人状態」と判定されたときの温度及び湿度であり、本実施形態では、1週間分の各日の温度及び湿度のデータのうち値が共に最大になるときの温度及び湿度が浴槽83にお湯が張られたときと推定して、それらの平均値を第1閾値T1,H1として設定する。このとき、常に直近の1週間分の温度及び湿度のデータを用いて更新していくことで、浴室80を利用する人90の生活スタイル(休日や平日)や季節の変化に対応することができ、判定の精度を向上させることができる。また、直近の1週間分の温度及び湿度のデータではなく、例えば、1週間前の、或いは、1ケ月前の、或いは1年前の温度及び湿度のデータを用いて第1閾値T1,H1を設定してもよい。
【0058】
なお、第1閾値T1,H1の設定は、1週間分の各日の温度及び湿度のデータの最大値の平均値ではなく、1週間分の各日の温度及び湿度の最大値を比較して、最小となる値から充分にマージンを持った温度及び湿度を第1閾値T1,H1として設定してもよいし、1週間分の温度及び湿度のデータから、それぞれの統計を求め、その求めた統計から標準偏差σを取得して、第1閾値T1,H1を推定してもよい。
【0059】
[第5実施形態]
本実施形態の浴室監視装置100Eでは、前記第4実施形態の浴室監視装置100Dと同様に学習機能を有して、過去の監視空間S内の温度及び湿度から温度及び湿度の上昇傾向が確認されたところを浴槽83にお湯が張られた状態と推定し、予め定められた所定期間(例えば、3[分])当たりの温度及び湿度の変化量ΔT,ΔHを算出してそれらの平均値を閾値として設定する。そして、お湯張り判定部35は、所定期間当たりの温度及び湿度の変化量ΔT,ΔHを算出し、それらが閾値を超えたときに「湯あり状態」と判定する。
【0060】
[第6実施形態]
前記第5実施形態の浴室監視装置100Eでは、過去の監視空間S内の温度及び湿度から温度及び湿度の上昇傾向が確認されたところを浴槽83にお湯が張られた状態と推定し、所定期間当たりの温度及び湿度の変化量ΔT,ΔHの平均値を閾値として設定していたが、本実施形態の浴室監視装置100Fでは、温度及び湿度の上昇が飽和するときに飽和直前の温度及び湿度の変化量ΔTs,ΔHsが小さくなることを利用し、過去の監視空間S内の温度及び湿度から所定期間(例えば、3[分])当たりの温度及び湿度の変化量ΔTs,ΔHsを算出し、それらの平均値を閾値として設定する。そして、お湯張り判定部35は、所定期間当たりの温度及び湿度の変化量ΔTs,ΔHsを算出し、閾値を超えて小さくなったときに「湯あり状態」と判定する。なお、過去の監視空間S内の温度及び湿度の変化量ΔTs,ΔHsの統計を求め、その統計から標準偏差σを取得して、-3σを閾値としてもよい。
【0061】
[他の実施形態]
(1)上記実施形態の浴室監視装置100A~100Eでは、頻度切替部33は、浴室80内の状態が「準通常状態」のときに「準要監視状態」に比べて、挙動検出センサ10の作動頻度を高くする構成であったが、「準要監視状態」のときに「準通常状態」に比べて、挙動検出センサ10の作動頻度を高くする構成であってもよい。また、「要監視状態」と「準要監視状態」とで挙動検出センサ10の作動頻度を異ならせていたが同じであってもよい。
【0062】
(2)上記実施形態の浴室監視装置100A~100Eでは、頻度切替部33は、状態遷移方向にかかわらず挙動検出センサ10の作動頻度を同じにしていたが、状態遷移方向によって異ならせてもよい。例えば、「通常状態」から「要監視状態」になる前の「準要監視状態」における挙動検出センサ10の作動頻度と、「要監視状態」から「通常状態」になる前の「準要監視状態」における挙動検出センサ10の作動頻度とを同じにしていたが、異ならせてもよい。
【0063】
(3)上記実施形態の浴室監視装置100A~100Eでは、有人判定手段36における「有人状態」と判定する判定基準を、「湯あり状態」と「湯なし状態」とで同じ第2閾値を採用していたが、「湯あり状態」における「有人状態」の閾値と「湯なし状態」における「有人状態」の閾値とを異ならせてもよい。例えば、「湯あり状態」における「有人状態」の閾値を第2閾値とし、「湯なし状態」における「有人状態」の閾値を第2閾値よりも大きい第3閾値としてもよい。これにより、無人の浴室80内で干されている洗濯物等が風で揺れる状態と、浴槽83にお湯が張られていないが人90がいる状態とを区別することができる。なお、第3閾値を超えることが、特許請求の範囲の「第3基準値を満たす」ことに相当し、「第3条件が成立」したことに相当する。
【0064】
(4)上記実施形態の浴室監視装置100A~100Eでは、要監視状態判定部37は、お湯張り判定部35の判定と、有人判定手段36の判定とに基づいて、浴室80内の状態を、「通常状態」か、「準通常状態」か、「準要監視状態」か、又は「要監視状態」かの何れの状態であるかを判定する構成であったが、要監視状態判定部37は、お湯張り判定部35の判定のみに基づいて「湯なし状態」を「通常状態」と判定し、「湯あり状態」を「要監視状態」と判定し、浴室80内の状態を2つの状態に判定する構成であってもよい。
【0065】
また、要監視状態判定部37は、お湯張り判定部35による判定と共に、有人判定手段36とは別の判定要件に基づいて浴室80内の状態を4つの状態に判定する構成であってもよいし、お湯張り判定部35による判定と共に、それとは別の2つ以上の判定要件に基づいて浴室80内の状態を判定する構成であってもよい。
【0066】
(5)上記実施形態の浴室監視装置100A~100Eでは、異常判定部38は、浴室80内が「要監視状態」と判定された場合に浴室80内の人90の異常の有無を判定する構成であったが、「準通常状態」と判定された場合にも浴室80内の人90の異常の有無を判定する構成であってもよい。これにより、例えば、浴室80のドアを開けたまま入浴した場合に、監視空間S内の温度が第1閾値T1を超えず、「要監視状態」であるのに「準通常状態」と判定されてしまった場合であっても、浴槽83内の人90の安全を確保することができる。
【0067】
(6)上記実施形態の浴室監視装置100A~100Eの温湿度センサ20の代わりに湿度センサのみ又は温度センサのみを用いてもよい。
【0068】
(7)上記実施形態の浴室監視装置100A~100Eの温湿度センサ20の代わりに水位センサを用いて、浴槽83に水が入っているかを検出することで「要監視状態」と判定してもよい。このとき、挙動検出センサ10を追加して天井に設置し、天井から浴槽83に向かって検出波を送波して、水面との距離を計測してもよい。
【0069】
(8)上記実施形態の浴室監視装置100A~100Eの温湿度センサ20の代わりに輝度センサを用いて、例えば、浴室80の照明を検出したときに「要監視状態」と判定してもよい。
【0070】
(9)上記実施形態の浴室監視装置100A~100Eの温湿度センサ20の代わりに赤外線センサを用いて監視空間S内の温度を検出して「要監視状態」と判定してもよい。このとき、要監視状態判定部37は、赤外線センサを挙動検出センサ10の代わりに用いて「有人状態」か「無人状態」かも判定する構成であってもよい。
【0071】
(10)上記実施形態の浴室監視装置100A~100Eでは、「要監視状態」と判定されたときに、オンオフ部34が温湿度センサ20をオフしていたが、作動させてもよい。これにより、「要監視状態」から「準通常状態」への移行が可能になる。
【0072】
(11)上記実施形態の浴室監視装置100A~100Eでは、挙動検出センサ10としてFMCWセンサを用いて、浴室80内の人90の有無や、人90の異常を検出していたが、FMCWセンサ以外の距離センサであってもよいし、赤外線センサであってもよい。
【0073】
(12)上記実施形態の浴室監視装置100A~100Eでは、挙動検出センサ10は、浴槽83の上方を挟む1対の対向壁81,82間を経路として検出波を送受信し、浴槽83内の人90を監視する構成であったが、挙動検出センサ10の送受信の経路を1対の対向壁81,82と交差する1対の対向壁間にして、浴槽83及び洗い場にいる人90を監視できるようにしてもよい。
【0074】
(13)上記実施形態の浴室監視装置100A~100Eでは、温湿度センサ20の出力情報から、浴槽83にお湯が張られたか否かを判定する構成であったが、例えば、シャワーを使用しているか否かを判定する構成であってもよい。
【0075】
なお、本明細書及び図面には、特許請求の範囲に含まれる技術の具体例が開示されているが、特許請求の範囲に記載の技術は、これら具体例に限定されるものではなく、具体例を様々に変形、変更したものも含み、また、具体例から一部を単独で取り出したものも含む。
【符号の説明】
【0076】
10 挙動検出センサ
20 温湿度センサ(雰囲気センサ)
33 頻度切替部
34 オンオフ部
37 要監視状態判定部
80 浴室
90 人
100 浴室監視装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9