(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022188382
(43)【公開日】2022-12-21
(54)【発明の名称】糸巻取機
(51)【国際特許分類】
B65H 67/06 20060101AFI20221214BHJP
【FI】
B65H67/06 A
B65H67/06 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021096376
(22)【出願日】2021-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100176245
【弁理士】
【氏名又は名称】安田 亮輔
(74)【代理人】
【識別番号】100180851
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼口 誠
(72)【発明者】
【氏名】澤田 晴稔
(72)【発明者】
【氏名】中村 雄太
【テーマコード(参考)】
3F112
【Fターム(参考)】
3F112AA06
3F112BA03
3F112CA04
3F112FA02
3F112GB02
3F112GC01
3F112VA03
3F112VB02
(57)【要約】
【課題】糸巻取機の稼働時における作業者の作業負担を低減することができる、糸巻取機を提供する。
【解決手段】一方向に配列される複数の紡績ユニット2と、ボビンBを複数格納するマガジン41と、ボビンBを紡績ユニット2に受け渡すボビン装着機構42とを有し、一方向に沿って走行可能に設けられた玉揚台車4と、ボビンBをそれぞれが複数保管する複数の保管機構61と、玉揚台車4にボビンBを供給する送出機構70と、複数の保管機構61と送出機構70との間でボビンBを搬送するコンベア装置67と、を有するボビンストッカ60と、を備える。ボビンストッカ60は、複数の紡績ユニット2が配列される第一領域A1に対し、一方向に隣り合う第二領域A2に配置されており、ボビンストッカ60から玉揚台車4へのボビンBの供給は、第二領域A2に設定された供給位置SPにて行われるように構成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方向に配列されており、糸をボビンに巻き取ってパッケージを形成する複数の巻取ユニットと、
前記ボビンを複数格納するマガジンと、前記マガジンに格納された前記ボビンを前記巻取ユニットに受け渡す操作部と、を有し、複数の前記巻取ユニットに対して前記一方向に沿って走行可能に設けられた作業台車と、
前記ボビンをそれぞれが複数保管する複数の保管機構と、前記作業台車に前記ボビンを供給する送出機構と、複数の前記保管機構と前記送出機構との間で前記ボビンを搬送するコンベア装置と、を有するボビン供給装置と、を備え、
前記ボビン供給装置は、複数の前記巻取ユニットが配列される第一領域に対し、前記一方向に隣り合う第二領域に配置されており、
前記ボビン供給装置から前記作業台車への前記ボビンの供給は、前記第二領域に設定された供給位置にて行われるように構成されている、糸巻取機。
【請求項2】
前記ボビン供給装置は、二個以上四個以下の前記保管機構を有する、請求項1記載の糸巻取機。
【請求項3】
前記ボビン供給装置は、二個の前記保管機構を有する、請求項1又は2記載の糸巻取機。
【請求項4】
前記ボビン供給装置は、複数の前記保管機構と前記送出機構との間で前記ボビンを搬送する一つの前記コンベア装置を有する、請求項1~3の何れか一項記載の糸巻取機。
【請求項5】
前記ボビン供給装置は、前記保管機構から前記ボビンを取り出す取出機構を有し、
一つの前記保管機構は、前記ボビンを一つずつ保持可能な保持部を複数有する無端の帯状部材と、前記帯状部材を循環駆動させる駆動部と、を有し、前記循環駆動による前記保持部の移動経路の一部には、前記取出機構による取出位置が設定されており、
前記取出機構は、複数の前記保管機構のそれぞれに設定される前記取出位置の全てから前記ボビンを取り出し可能な一つの取出部材を有している、請求項4記載の糸巻取機。
【請求項6】
複数の前記保管機構は、一つの筐体の内部に配置されている、請求項1~5の何れか一項記載の糸巻取機。
【請求項7】
前記ボビン供給装置を制御する制御装置を更に備え、
前記制御装置は、複数の前記保管機構のそれぞれに同一種類の前記ボビンが保管されたときに前記ボビン供給装置を作動させる単一糸種モードと、複数の前記保管機構のそれぞれに互いに異なる種類の前記ボビンが保管されたときに前記ボビン供給装置を作動させる多品種モードと、を切り替え可能に設けられている、請求項1~6の何れか一項記載の糸巻取機。
【請求項8】
前記単一糸種モードでは、前記マガジンに一種類の前記ボビンを供給し、前記多品種モードでは、前記マガジンに互いに異なる種類の前記ボビンを供給するように、前記制御装置は前記ボビン供給装置を制御する、請求項7記載の糸巻取機。
【請求項9】
前記単一糸種モードでは、前記送出機構における一回の送出動作において複数の前記ボビンを供給し、前記多品種モードでは、前記送出機構における一回の送出動作において一個の前記ボビンを供給するように、前記制御装置は前記ボビン供給装置を制御する、請求項8記載の糸巻取機。
【請求項10】
前記マガジンは、前記ボビンを複数格納する格納部を複数有し、
複数の前記格納部のそれぞれは、互いに独立して前記ボビンを格納する、請求項1~9のいずれか一項記載の糸巻取機。
【請求項11】
前記マガジンは、前記格納部を二個以上四個以下有する、請求項10に記載の糸巻取機。
【請求項12】
前記送出機構は、前記作業台車の前記マガジンに前記ボビンを排出する複数の排出部を有しており、
一の前記排出部は、一の前記格納部に前記ボビンを排出するように設けられている、
請求項10又は11記載の糸巻取機。
【請求項13】
前記送出機構は、前記作業台車の複数の前記格納部のそれぞれに移動可能に設けられた一つの排出部を有する、請求項10又は11記載の糸巻取機。
【請求項14】
前記巻取ユニットに対する作業位置に到着した後に、前記格納部から前記操作部に対して供給する前記ボビンを決定する制御部を備える、請求項10~13の何れか一項記載の糸巻取機。
【請求項15】
複数の前記格納部のそれぞれは、前記ボビンの軸が前記一方向に沿う状態で、複数の前記ボビンが積み重なり合うように前記ボビンを格納しており、前記一方向に水平方向で直交する方向において並んで配置されている、請求項10~14の何れか一項記載の糸巻取機。
【請求項16】
前記マガジン及び前記操作部が収容されている筐体と、
前記筐体の外側面に配置され、前記ボビンを格納する補助マガジンと、を備える、請求項10~15の何れか一項記載の糸巻取機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一側面は、糸巻取機に関する。
【背景技術】
【0002】
ボビンに糸を巻き取ってパッケージを形成する複数の巻取ユニットが一方向に配列された巻取ユニット群と、巻取ユニットの配列方向に沿って走行可能に設けられており、巻取ユニットからパッケージ(満巻となったボビン)を回収すると共に巻取ユニットにボビンを供給する玉揚装置と、を備える糸巻取機が知られている。例えば、特許文献1には、複数のボビンストッカ(紙管供給装置)と、複数のボビンストッカから玉揚台車までボビン(紙管)を搬送するコンベアと、を備える糸巻取機が開示されている。この構成の糸巻取機では、複数のボビンストッカが設けられているので、巻取ユニットに複数種類のボビンを供給できる。ボビンストッカに格納しておけるボビンの本数を多くできるため、作業者の補充作業を集約し、作業回数を減らすことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような巻取ユニットの配列方向に沿って配置されたコンベア(コンベアベルト)によるボビンの搬送は、搬送途中で何らかの原因によってボビンがコンベアから落下したり、意図しないボビンがコンベア上に混入されたりするおそれがあった。更に、作業者は、ボビンストッカにおいてボビンの補充作業をしながらコンベアの搬送状況を監視することもあり、作業者の作業負担が大きくなっていた。
【0005】
そこで、本発明の一側面の目的は、糸巻取機の稼働時における作業者の作業負担を低減することができる、糸巻取機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面に係る糸巻取機は、一方向に配列されており、糸をボビンに巻き取ってパッケージを形成する複数の巻取ユニットと、ボビンを複数格納するマガジンと、マガジンに格納されたボビンを巻取ユニットに受け渡す操作部と、を有し、複数の巻取ユニットに対して一方向に沿って走行可能に設けられた作業台車と、ボビンをそれぞれが複数保管する複数の保管機構と、作業台車にボビンを供給する送出機構と、複数の保管機構と送出機構との間でボビンを搬送するコンベア装置と、を有するボビン供給装置と、を備え、ボビン供給装置は、複数の巻取ユニットが配列される第一領域に対し、一方向に隣り合う第二領域に配置されており、ボビン供給装置から作業台車へのボビンの供給は、第二領域に設定された供給位置にて行われるように構成されている。
【0007】
この構成の糸巻取機では、ボビンを搬送するコンベア装置の配置位置が複数の巻取ユニットが配列される第一領域に隣接する第二領域内に留まるので、一方向に配列される複数の巻取ユニットに沿って搬送経路が延在する従来のコンベア装置と比べて搬送経路を短くできる。更に、この構成の糸巻取機におけるコンベア装置の搬送経路は、保管機構を起点として延在しているので保管機構からの比較的近い範囲に位置する。したがって、作業者は、保管機構において補充作業をしながらコンベア装置の搬送状況を監視することができる。すなわち、糸巻取機の稼働時における作業者の作業負担を低減することができる。
【0008】
本発明一側面に係る糸巻取機では、ボビン供給装置は、二個以上四個以下の保管機構を有してもよい。更に、本発明一側面に係る糸巻取機では、ボビン供給装置は、二個の保管機構を有してもよい。これにより、ボビン供給装置が大型化することを回避しつつ、ボビン供給装置は、作業台車に対して適切な数の種類のボビンを複数保管しておくことができる。
【0009】
本発明一側面に係る糸巻取機では、ボビン供給装置は、複数の保管機構と送出機構との間でボビンを搬送する一つのコンベア装置を有してもよい。この構成では、コンベア装置が、複数の保管機構によって共有されるので、ボビン供給装置が大型化することを回避しつつ、ボビン供給装置は、シンプルな構成で複数の保管機構から一台の作業台車にボビンを供給することができる。
【0010】
本発明一側面に係る糸巻取機では、ボビン供給装置は、保管機構からボビンを取り出す取出機構を有し、一つの保管機構は、ボビンを一つずつ保持可能な保持部を複数有する無端の帯状部材と、帯状部材を循環駆動させる駆動部と、を有し、循環駆動による保持部の移動経路の一部には、取出機構による取出位置が設定されており、取出機構は、複数の保管機構のそれぞれに設定される取出位置の全てからボビンを取り出し可能な一つの取出部材を有していてもよい。この構成では、取出機構が、複数の保管機構によって共有されるので、ボビン供給装置が大型化することを回避しつつ、ボビン供給装置は、シンプルな構成で複数の保管機構からボビンを取り出すことができる。
【0011】
本発明一側面に係る糸巻取機では、複数の保管機構は、一つの筐体の内部に配置されていてもよい。この構成では、例えば、コンベア装置及び送出装置も同じ筐体の内部に配置することができ、糸巻取機全体の構成を簡素化することができる。
【0012】
本発明一側面に係る糸巻取機は、ボビン供給装置を制御する制御装置を更に備え、制御装置は、複数の保管機構のそれぞれに同一種類のボビンが保管されたときにボビン供給装置を作動させる単一糸種モードと、複数の保管機構のそれぞれに互いに異なる種類のボビンが保管されたときにボビン供給装置を作動させる多品種モードと、を切り替え可能に設けられていてもよい。この構成では、複数の保管機構のそれぞれに同一種類のボビンが保管されたときと、複数の保管機構のそれぞれに互いに異なる種類のボビンが保管されたときとで、互いに異なる最適な動作をボビン供給装置に実行させることができる。
【0013】
本発明一側面に係る糸巻取機では、単一糸種モードでは、マガジンに一種類のボビンを供給し、多品種モードでは、マガジンに互いに異なる種類のボビンを供給するように、制御装置はボビン供給装置を制御してもよい。この構成では、設定されたモードに合わせた適切なボビンが作業台車に供給される。
【0014】
本発明一側面に係る糸巻取機の単一糸種モードでは、送出機構における一回の送出動作において複数のボビンを供給し、多品種モードでは、送出機構における一回の送出動作において一個のボビンを供給するように、制御装置はボビン供給装置を制御してもよい。この構成では、単一糸種モードでは、複数のボビンを効率的にまとめて作業台車に供給することができ、多品種モードでは、作業台車のマガジンの各格納部にボビンを柔軟に供給することができる。
【0015】
本発明一側面に係る糸巻取機では、マガジンは、ボビンを複数格納する格納部を複数有し、マガジンの複数の格納部は、互いに独立してボビンを格納してもよい。これにより、複数の格納部のそれぞれに、異なる種類のボビンを格納することができる。そのため、糸巻取機は、多品種に対応することができる。また、各格納部に格納するボビンの種類が互いに同じである場合には、複数の格納部のそれぞれにボビンを収納できるため、作業台車全体として、ボビンの格納本数を増やすことができる。そのため、糸巻取機は、ボビンの供給の頻度が高い場合であっても対応することができる。このように、糸巻取機では、多様な形態に対応することができる。
【0016】
本発明一側面に係る糸巻取機では、マガジンは、格納部を二個以上四個以下有していてもよい。この構成では、作業台車が大型化することを回避することができる。
【0017】
本発明一側面に係る糸巻取機では、送出機構は、作業台車のマガジンにボビンを排出する複数の排出部を有しており、一の排出部は、一の格納部にボビンを排出するように設けられていてもよい。この構成では、作業台車の複数の格納部にボビンを適切に供給することができる。
【0018】
本発明一側面に係る糸巻取機では、送出機構は、作業台車の複数の格納部のそれぞれに移動可能に設けられた一つの排出部を有してもよい。この構成では、一つの排出部により作業台車の複数の格納部にボビンを柔軟に供給することができる。
【0019】
本発明一側面に係る糸巻取機では、巻取ユニットに対する作業位置に到着した後に、格納部から操作部に対して供給するボビンを決定する制御部を備えていてもよい。この構成では、作業台車が作業位置に到着してから、操作部に供給するボビンを決定するため、巻取ユニットに必要なボビンを確実に受け渡すことができる。例えば、より早い段階で操作部が格納部からボビンを受け取っていると、当該ボビンの受け取り後に実際に必要なボビンの種類が変更になった場合、操作部は受け取っていたボビンを一旦排出するなどの動作を行う必要が生じる。あるいは、既に受け取っているボビンを巻取ユニットに供給できるようになるまで、作業台車が待機することになる。本発明の一側面に係る作業台車では、このような動作を回避できるため、巻取ユニットに必要なボビンを効率良く受け渡すことができる。
【0020】
本発明の一側面に係る作業台車では、複数の格納部のそれぞれは、ボビンの軸が一方向に沿う状態で、複数のボビンが積み重なり合うようにボビンを格納しており、一方向に水平方向で直交する方向において並んで配置されていてもよい。この構成では、作業台車をコンパクトに構成することができる。
【0021】
本発明の一側面に係る作業台車では、マガジン及び操作部が収容されている筐体と、筐体の外側面に配置され、ボビンを格納する補助マガジンと、を備えていてもよい。この構成では、補助マガジンに格納されているボビンを、オペレータが任意のタイミングで格納部に移すことができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の一側面によれば、糸巻取機の稼働時における作業者の作業負担を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る紡績機の正面図である。
【
図3】
図3は、
図1に紡績機の紡績ユニット及び玉揚台車の側面図である。
【
図4】
図4は、玉揚台車のマガジンを示す斜視図である。
【
図6】
図6は、紡績機の機能構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図において同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。また、説明中「上」、「下」、「左」、「右」、「前」及び「後」等の方向を示す語は、図面に示された状態に基づいた便宜的な語である。
【0025】
図1及び
図2に示されるように、紡績機(糸巻取機)1は、複数の紡績ユニット(巻取ユニット)2と、糸継台車3と、玉揚台車(作業台車)4と、第一エンドフレーム5Aと、第二エンドフレーム5Bと、ボビンストッカ(ボビン供給装置)60と、搬送装置(パッケージコンベア)80と、を備えている。複数の紡績ユニット2は、一方向(左右方向、紡績機1の長手方向)に一列に配列されている。各紡績ユニット2は、糸Yを生成してパッケージPに巻き取る。
【0026】
第一エンドフレーム5Aには、紡績ユニット2で発生した繊維屑及び糸屑等を回収する回収装置等が収容されている。第一エンドフレーム5Aは、複数の紡績ユニット2の配列方向(
図1及び
図2の左右方向)の一方の端部に配置されている。第二エンドフレーム5Bには、紡績機1に供給される圧縮空気(空気)の空気圧を調整して紡績機1の各部に空気を供給する空気供給部が収容されている。第二エンドフレーム5Bには、紡績ユニット2の各部に動力を供給するための駆動モータ等が収容されていてもよい。第二エンドフレーム5Bは、複数の紡績ユニット2の配列方向の他方の端部に配置されている。第二エンドフレーム5Bには、機台制御装置(制御装置)5Cと、表示画面5Dと、入力キー5Eと、が設けられている。
【0027】
機台制御装置5Cは、紡績機1の各部を集中的に管理及び制御する。表示画面5Dは、紡績ユニット2の設定内容及び/又は状態に関する情報等を表示することができる。オペレータが入力キー5Eを用いて適宜の操作を行うことにより、紡績ユニット2の設定作業を行うことができる。本実施形態では、機台制御装置5Cは、ボビンストッカ60における各種動作を制御する。ボビンストッカ60における各種動作についは、後段にて詳述する。
【0028】
本実施形態では、紡績機1では、紡績ユニット2において異なる糸種の糸Yを生成することができる。例えば、複数の紡績ユニット2のうち、一部の紡績ユニット2において第一糸種の糸Yを生成し、一部の紡績ユニット2において第一糸種とは異なる第二糸種の糸Yを生成することが可能である。糸種は、オペレータが機台制御装置5Cの入力キー5Eを用いて適宜の操作を行うことにより設定することができる。糸種とは、例えば、糸Yの番手である。あるいは、糸種は、糸Yの原料の種類であってもよい。糸種の例示は、これらの例に限定されない。異なる糸種の糸Yとは、生成される糸Yの状態が異なることを言う。
【0029】
図3に示されるように、各紡績ユニット2は、糸Yの走行方向において上流側から順に、ドラフト装置6と、空気紡績装置7と、糸監視装置8と、テンションセンサ9と、ユニットコントローラ10と、糸貯留装置11と、ワキシング装置12と、巻取装置13と、を備えている。ユニットコントローラ10は、所定数(一又は複数)の紡績ユニット2ごとに設けられており、紡績ユニット2の動作を制御する。
【0030】
ドラフト装置6は、スライバSをドラフトする。空気紡績装置7は、ドラフト装置6でスライバSをドラフトすることで生成された繊維束Fに旋回空気流によって撚りを与えて糸Yを生成する。糸貯留装置11は、空気紡績装置7と巻取装置13との間において糸Yを貯留し、糸Yの弛みを取る。ワキシング装置12は、糸貯留装置11と巻取装置13との間において、糸Yにワックスを付与する。巻取装置13は、糸YをボビンBに巻き取ってパッケージPを形成する。以下の説明では、「ボビンB」を「第一ボビンB1」又は「第二ボビンB2」と区別して記載することもある。
【0031】
糸監視装置8は、空気紡績装置7と糸貯留装置11との間において、走行する糸Yの情報を監視して、監視した情報に基づいて糸欠陥の有無を検出する。糸監視装置8は、糸欠陥を検出した場合、糸欠陥検出信号をユニットコントローラ10に送信する。テンションセンサ9は、空気紡績装置7と糸貯留装置11との間において、走行する糸Yのテンションを測定し、テンション測定信号をユニットコントローラ10に送信する。糸監視装置8及び/又はテンションセンサ9の検出結果に基づきユニットコントローラ10が異常有りと判断した場合、紡績ユニット2において、糸Yが切断される。
【0032】
巻取装置13は、糸YをボビンBに巻き取ってパッケージPを形成する。巻取装置13は、クレードルアーム21と、巻取ドラム22と、トラバースガイド23と、を有している。クレードルアーム21は、ボビンBを回転可能に支持する。クレードルアーム21は、支軸24によって揺動可能に支持されており、ボビンBの表面又はパッケージPの表面を巻取ドラム22の表面に適切な圧力で接触させる。各紡績ユニット2のトラバースガイド23は、複数の紡績ユニット2で共有されるシャフト(図示省略)に設けられている。
【0033】
紡績ユニット2は、パッケージPが満巻になった場合に要求信号を出力する。紡績ユニット2は、規定量の糸YがボビンBに巻き取られた場合に、パッケージPが満巻になったと判断して、要求信号を出力する。なお、紡績ユニット2は、パッケージPが満巻になる所定時間前に要求信号を出力してもよい。
【0034】
糸継台車3は、ある紡績ユニット2で糸Yが切断されたり、何らかの理由で糸Yが切れたりした場合、当該紡績ユニット2で糸継動作を行う。糸継台車3は、走行路R1上を走行する。走行路R1は、複数の紡績ユニット2の配列方向に沿って延在している。
【0035】
糸継台車3は、サクションパイプ31と、糸継装置32と、サクションマウス33と、を備えている。サクションパイプ31は、回動可能に支持されており、空気紡績装置7からの糸Yを捕捉して糸継装置32に案内する。サクションマウス33は、回動可能に支持されており、巻取装置13からの糸Yを捕捉して糸継装置32に案内する。糸継装置32は、案内された糸Y同士の糸継ぎを行う。糸継装置32は、圧縮空気を用いるスプライサ、又は、糸Yを機械的に継ぐノッター等である。紡績ユニット2は、パッケージPからの糸Yを空気紡績装置7まで、又は空気紡績装置7よりも上流側に逆走させ、ドラフト装置6によるドラフト動作と空気紡績装置7による紡績動作を開始することにより、糸Yを継ぐピーサーであってもよい。
【0036】
玉揚台車4は、ある紡績ユニット2でパッケージPが満巻になった場合、パッケージPを排出する排出動作と、新しいボビンBを当該紡績ユニット2のクレードルアーム21に装着して糸Yの巻取りの準備を行うボビンセット動作と、を行う。玉揚台車4は、一の紡績ユニット2において満巻のパッケージPが満巻きになると、機台制御装置5Cからの制御信号により、走行路R2上を一の紡績ユニット2まで走行して停止し、排出動作及びボビンセット動作の両方の動作(玉揚作業)を行う。走行路R2は、複数の紡績ユニット2の配列方向に沿って(走行路R1と平行に)延在している。走行路R2は、第二領域A2まで延在している。ボビンストッカ60の正面側には、ボビンストッカ60から玉揚台車4がボビンBの供給を受ける供給位置SPが設けられている。玉揚台車4は、走行路R2上を走行して、供給位置SPにて停止することができる。
【0037】
玉揚台車4は、筐体40と、マガジン41と、ボビン装着機構(操作部)42と、クレードル操作アーム43と、サクションパイプ44と、リザーブマガジン45A,45B(
図1及び
図2参照)と、制御部46と、を備えている。マガジン41、ボビン装着機構42、クレードル操作アーム43、サクションパイプ44及び制御部46は、筐体40に収容されている。リザーブマガジン(補助マガジン)45A,45Bは筐体40の外側面に配置されている。
【0038】
マガジン41は、ボビンストッカ60から供給されたボビンBを格納する。マガジン41は、複数の種類のボビンを格納可能である。本実施形態では、マガジン41は、第一ボビンB1及び第二ボビンB2を格納する。第一ボビンB1と第二ボビンB2とは、種類が異なっている。第一ボビンB1と第二ボビンB2とは、例えば、色が異なっている。第一ボビンB1は、例えば、赤色である。第二ボビンB2は、例えば、青色である。すなわち、第一ボビンB1と第二ボビンB2とは、色によって区別することができる。ただし、第一ボビンB1と第二ボビンB2は、色が同じで、材質及び/又は形状が異なっていてもよい。本実施形態では、第一ボビンB1は、例えば、第一糸種の糸Yを紡績する紡績ユニット2に供給される。第二ボビンB2は、例えば、第二糸種の糸Yを紡績する紡績ユニット2に供給される。
【0039】
図3及び
図4に示されるように、マガジン41は、第一ボビンB1を格納する第一格納部41Aと、第二ボビンB2を格納する第二格納部41Bと、を有している。第一格納部41Aと第二格納部41Bとは、互いに独立して第一ボビンB1又は第二ボビンB2を格納する。第一格納部41Aと第二格納部41Bとは、並んで配置されている。具体的には、第一格納部41Aと第二格納部41Bとは、玉揚台車4の前後方向(一方向(左右方向)に水平方向で直交する方向)において並んで配置されている。これにより、マガジン41には、第一ボビンB1と第二ボビンB2とが前後方向において二列に並んで格納される。
【0040】
第一格納部41Aは、玉揚台車4の走行方向(左右方向)から見て第一ボビンB1の軸が走行方向に沿うように第一ボビンB1を格納する。第一格納部41Aは、複数の第一ボビンB1が上下方向(鉛直方向、高さ方向)において積み重なるように格納する。
図3に示されるように、第一格納部41Aには、第一ボビンB1をボビン装着機構42に供給する第一供給機構47Aが設けられている。第一供給機構47Aは、第一格納部41Aの下端部に設けられている。第一供給機構47Aは、シャッターとエアシリンダ等を含んで構成されている。第一供給機構47Aは、ボビン装着機構42に対して、第一ボビンB1を一本ずつ供給する。第一供給機構47Aの動作は、制御部46によって制御される。
【0041】
第二格納部41Bは、玉揚台車4の走行方向から見て第二ボビンB2の軸が走行方向に沿うように第二ボビンB2を格納する。第二格納部41Bは、複数の第二ボビンB2が上下方向において積み重なるように格納する。第二格納部41Bには、第二ボビンB2をボビン装着機構42に供給する第二供給機構47Bが設けられている。第二供給機構47Bは、第二格納部41Bの下端部に設けられている。第二供給機構47Bは、シャッターとエアシリンダ等を含んで構成されている。第二供給機構47Bは、ボビン装着機構42に対して、第二ボビンB2を一本ずつ供給する。第二供給機構47Bの動作は、制御部46によって制御される。
【0042】
第一格納部41Aに格納される第一ボビンB1の本数、及び、第二格納部41Bに格納される第二ボビンB2の本数(以下、「格納本数」と称する)は、適宜設定される。本実施形態では、第一格納部41Aは、四本の第一ボビンB1を格納可能であり、第二格納部41Bは、四本の第二ボビンB2を格納可能である。ただし、各格納本数は四本以上であってもよい(例えば、五本、六本)。また、第一格納部41Aの格納本数と第二格納部41Bの格納本数は異なっていてもよい。
【0043】
マガジン41は、一種類のボビンBを格納することもできる。第一格納部41Aには、第二ボビンB2を格納することが可能であり、第二格納部41Bには、第一ボビンB1を格納することが可能である。この構成では、第一格納部41A及び第二格納部41Bからボビン装着機構42に対してボビンBを交互に供給してもよいし、第一格納部41A及び第二格納部41Bの一方のボビンBがなくなった場合、第一格納部41A及び第二格納部41Bの他方からボビンBを供給してもよい。
【0044】
ボビン装着機構42は、クレードルアーム21にボビンBを供給する。ボビン装着機構42は、第一格納部41A又は第二格納部41BからボビンBを受け取り、ボビンBをクレードルアーム21に受け渡す。
【0045】
サクションパイプ44は、空気紡績装置7から送出される糸Yを吸引部にて吸引することで捕捉して、補捉した糸Yを巻取装置13まで案内する。ボビンBと糸Yとを同時に巻取装置13に案内してもよいし、ボビンBを先に供給した後で糸Yを案内してもよい。クレードル操作アーム43は、満巻になったパッケージPを巻取装置13から取り外すためにクレードルアーム21を開く操作、又は新たなボビンBをクレードルアーム21に装着するためにクレードルアーム21を閉じる操作を行う。クレードル操作アーム43によりクレードルアーム21が開かれると、パッケージPがクレードルアーム21から取り外されて、
図3に示されるように、搬送装置80に排出される。紡績ユニット2からのパッケージPの排出方向は、後から前に向かう方向である。玉揚台車4は、パッケージPと接触しながら、パッケージPをクレードルアーム21から搬送装置80まで案内する案内装置を備えていてもよい。
【0046】
リザーブマガジン45A,45Bには、複数のボビンBを格納可能である。
図1及び
図2に示されるように、リザーブマガジン45A,45Bは、筐体40の外側面に配置されている。リザーブマガジン45Aは、例えば、筐体40の左側面に配置されている。リザーブマガジン45Bは、例えば、筐体40の右側面に配置されている。リザーブマガジン45Aとリザーブマガジン45Bとは、同じ高さ位置に配置されていてもよいし、異なる高さ位置に配置されていてもよい。また、リザーブマガジン45A,45Bは、筐体40の他の外側面に配置されていてもよい。リザーブマガジン45A、45Bは、何れか一つのみ設けてもよく、あるいは第三のリザーブマガジンを設けてもよい。
【0047】
リザーブマガジン45A,45BへのボビンBの供給(補充)は、例えば、オペレータによって行われる。オペレータは、リザーブマガジン45A,45Bに格納されているボビンBを、適切なタイミングで、玉揚台車4のマガジン41(第一格納部41A、第二格納部41B)に供給することができる。
【0048】
図3に示されるように、制御部46は、玉揚台車4の動作を制御する。制御部46は、玉揚台車4自体の位置を取得して、機台制御装置5Cに出力する。具体的には、制御部46は、任意の紡績ユニット2に対して、当該紡績ユニット2の位置を示す位置情報を要求する信号を送信する。紡績ユニット2は、玉揚台車4からの要求に応じて、当該紡績ユニット2の位置情報を玉揚台車4に送信する。制御部46は、位置情報を受け取ると、玉揚台車4自体の現在の基準位置を取得する。玉揚台車4は、複数の紡績ユニット2のそれぞれに設けられた検出体(例えば、マグネット、反射板等)を検出する検出部(例えば、ホール素子、光学センサ)を有している。複数の紡績ユニット2は、配列方向において、一定の間隔をあけて配置されている。そのため、玉揚台車4の検出部によって1つの検出体を検出後、別の検出体が検出された場合、玉揚台車4が一定距離を移動したことになる。制御部46は、基準位置と検出部の検出結果(一定距離×検出数)とに基づいて、玉揚台車4自体の現在位置を取得する。制御部46は、当該現在位置を示す情報を機台制御装置5Cに出力する。
【0049】
制御部46は、紡績ユニット2に供給するボビンBを決定して、マガジン41からボビン装着機構42にボビンBを供給させる。制御部46は、玉揚台車4の走行中に、マガジン41からボビン装着機構42に対して供給するボビンBを決定する。制御部46は、機台制御装置5Cからの制御信号を受信すると、玉揚台車4の走行中に、制御信号に含まれる糸種に係る情報に基づいて、紡績ユニット2に供給するボビンBを決定する。制御部46は、決定したボビンBに基づいて、第一格納部41A又は第二格納部41Bからボビン装着機構42にボビンBが供給されるように、第一供給機構47A又は第二供給機構47Bを制御する。
【0050】
制御部46は、玉揚台車4が紡績ユニット2に対する作業位置に到着した後に(玉揚台車4が作業位置に停止した場合に)、マガジン41からボビン装着機構42に対して供給するボビンBを決定してもよい。制御部46は、機台制御装置5Cからの制御信号を受信すると、玉揚台車4が作業位置に到着した後に、制御信号に含まれる糸種に係る情報に基づいて、紡績ユニット2に供給するボビンBを決定する。制御部46は、決定したボビンBに基づいて、第一格納部41A又は第二格納部41Bからボビン装着機構42にボビンBが供給されるように、第一供給機構47A又は第二供給機構47Bを制御する。
【0051】
図1及び
図2に示されるように、ボビンストッカ60は、複数の紡績ユニット2の配列方向の一方の端部(第一エンドフレーム5Aが配置されている端部)に配置されている。より詳細には、ボビンストッカ60は、複数の紡績ユニット2が配列される第一領域A1に対し、一方向(左右方向)右側に隣り合う第二領域A2に配置されている。ボビンストッカ60から玉揚台車4へのボビンBの供給は、第二領域A2に設定された供給位置SPにて行われる。
【0052】
ボビンストッカ60は、複数の保管機構61と、取出機構63と、方向転換機構65と、コンベア装置67と、送出機構70と、を備えている。本実施形態では、ボビンBは、筒体として構成されている。ボビンBを正面視した場合、ボビンBは、軸方向において一端から他端に向けて広がる末広がり状に形成されている。以下、一端を小径端、他端を大径端ともいう。
【0053】
保管機構61は、複数のボビンBを保管する機構である。保管機構61は、ボビンBを保持可能な棒状の部材であるペグ(保持部)62Aを複数有している。保管機構61は、ペグ62Aの長手方向と略直行する平面(垂直面)内を循環駆動される無端チェーン(無端の帯状部材)62Bを有している。複数のペグ62Aは、無端チェーン62Bに固定されている。したがって、無端チェーン62Bを一方向に連続的又は間欠的に循環駆動させることにより、ペグ62Aに取り付けられたボビンBを、無端チェーン62Bの長手方向に沿って搬送させることができる。無端チェーン62Bは、駆動部62C(
図6参照)によって駆動される。駆動部62Cは、機台制御装置5Cによって制御される。
【0054】
上述した構成の保管機構61は、複数設けられている。本実施形態では、二個(二系統)の保管機構(第一保管機構61A及び第二保管機構61B)が設けられており、左右方向に配列されている。第一保管機構61A及び第二保管機構61Bは、一つの筐体60Aに格納されている。第一保管機構61A及び第二保管機構61Bのそれぞれに保管されるボビンBは、互いに種類が異なる第一ボビンB1及び第二ボビンB2であってもよいし、互いに同一種類のボビンBであってもよい。
【0055】
取出機構63は、ペグ62AからボビンBを取り出す機構である。取出機構63は、無端チェーン62Bの循環駆動によるペグ62Aの移動経路の一部である取出位置P0に設けられている。取出機構63は、取出部材63Aと、駆動部63B(
図6参照)と、検知センサ63C、63Cと、を有する。取出部材63Aは、ボビンBを前方向に押し出すことによってボビンBをペグ62Aから取り外する部材である。駆動部63Bは、取出部材63Aを前後方向に移動させる。駆動部63Bの例は、上記空気供給源から供給される空気によって駆動されるエアシリンダ等である。取出部材63Aは、第一保管機構61A及び第二保管機構61Bのそれぞれに設定される取出位置P0の全てからボビンBを取り出し可能な一つの部材である。検知センサ63C、63Cは、ボビンBの有無を検知する。検知センサ63C,63Cは、無端チェーン62Bの循環方向において、取出位置P0の上流側に隣接する待機位置P1に位置するボビンBを検知可能に設けられている。
【0056】
このような構成の取出機構63では、第一保管機構61A及び第二保管機構61Bのそれぞれの取出位置P0にボビンBが配置されると、両方のボビンBが取り出されてしまう。そこで、機台制御装置5Cは、第一保管機構61A及び第二保管機構61Bの一方のボビンBが取出位置P0に送り出されるように、第一保管機構61A及び第二保管機構61Bを制御している。具体的には、機台制御装置5Cは、検知センサ63C,63CによってボビンBが検知されると無端チェーン62Bの駆動を停止して、取出位置P0にボビンBが選択的に送り出されるように、第一保管機構61A及び第二保管機構61Bを制御している。
【0057】
取出機構63には、取出部材63Aによってペグ62Aから取り出されたボビンBの方向転換を行う方向転換機構65を有している。方向転換機構65は、ボビンBの大径端が上方に向いた状態、且つ小径端が下方に向いた状態にて、取出位置P0からボビンBを受け止める。方向転換機構65は、ボビンBの大径端がコンベア装置67における搬送方向下流側に向くように、ボビンBの方向を転換させて、ボビンBをコンベア装置67に受け渡す。
【0058】
コンベア装置67は、複数の保管機構61(第一保管機構61A及び第二保管機構61B)と送出機構70との間でボビンBを搬送する装置である。本実施形態では、第一保管機構61A及び第二保管機構61Bと送出機構70との間に、一台のコンベア装置67が設けられる。すなわち、第一保管機構61A及び第二保管機構61Bと送出機構70との間には、一つの搬送経路のみが形成されている。コンベア装置67は、例えば、一対のローラ67A,67Aと、一対のローラ67A,67Aに掛け渡されたベルト67Bと、一対のローラ67A,67Aの一方を駆動する駆動部67Cと、を含んで構成されるベルト式コンベアである。駆動部67Cは、機台制御装置5Cによって制御される。
【0059】
送出機構70は、コンベア装置67から
図5に示される白抜き矢印方向に受け渡されたボビンBを、玉揚台車4に供給する機構である。送出機構70は、コンベア装置67における搬送方向下流側に配置されている。送出機構70は、
図1において二点鎖線で示されるように、玉揚台車4がボビンストッカ60の供給位置SPに到達すると、玉揚台車4に対してボビンBを供給する。すなわち、本実施形態では、ボビンストッカ60からのボビンBの供給位置SPは、紡績ユニット2が配列される方向(左右方向)において送出機構70が配置されている位置である。
【0060】
図4に示されるように、送出機構70は、第一エンドフレーム5Aに固定される支持部71に支持されている。送出機構70は、搬送ベルト72と、駆動部73と、振分部75と、駆動部76と、排出部77と、ガイド部材78と、を有している。
【0061】
搬送ベルト72は、一対のローラ73A,73Bに掛け渡されている。駆動部73は、ローラ73Aを回転させることにより搬送ベルト72を駆動する。送出機構70は、駆動部73によって搬送ベルト72が駆動されることにより、ボビンBを前方に送り出す。搬送ベルト72には、複数の支持部72Aが設けられている。支持部72Aは、搬送ベルト72の搬送方向において所定の間隔をあけて配置されている。送出機構70では、二つの支持部72Aの間に一本のボビンBが収容される。本実施形態では、送出機構70は、四本のボビンBを保持可能である。
【0062】
振分部75は、搬送ベルト72によって搬送されてくるボビンBを第一排出部77Aと第二排出部77Bとに振り分ける機構である。第一排出部77Aは、供給位置SPに停止する玉揚台車4に設けられているマガジン41の二つの格納部(第一格納部41A及び第二格納部41B)のうち、第一格納部41Aの上方に位置する開口部である。第二排出部77Bは、第二格納部41Bの上方に位置する開口部である。すなわち、第一排出部77Aに振り分けられたボビンBは、第一格納部41Aに供給され、第二排出部77Bに振り分けられたボビンBは、第二格納部41Bに供給される。
【0063】
振分部75は、搬送ベルト72の搬送方向における下流側、言い換えれば、搬送ベルト72の前方に配置されている。振分部75は、前後方向に揺動可能に設けられている。振分部75は、後方S1に傾いたときにボビンBを第一排出部77Aに誘導し、前方S2に傾いたときにボビンBを第二排出部77Bに誘導する。振分部75は、駆動部76によって揺動される。駆動部76は、機台制御装置5Cによって制御される。
【0064】
ガイド部材78は、搬送ベルト72によって搬送されてきたボビンBが前方に落下することを防止すると共に、ボビンBを第二排出部77Bに誘導する。
【0065】
ここで、機台制御装置5Cによるボビンストッカ60の制御内容について説明する。
図6に示されるように、機台制御装置5Cは、第一保管機構61A及び第二保管機構61Bのそれぞれの駆動部62C,62Cと、取出機構63の駆動部63Bと、コンベア装置67の駆動部67Cと、送出機構70の駆動部73及び駆動部76と、を制御可能に設けられている。また、機台制御装置5Cは、取出機構63に設けられた検知センサ63Cの検知結果を取得可能に設けられている。
【0066】
このような構成において、機台制御装置5Cは、二つの保管機構61(第一保管機構61A及び第二保管機構61B)のそれぞれに同一種類のボビンBが保管されたときに作動させる単一糸種モードと、第一保管機構61A及び第二保管機構61Bのそれぞれに互いに異なる種類のボビンBが保管されたときに作動させる多品種モードと、を切り替え可能に設けられている。単一糸種モード及び多品種モードの切り替えは、例えば、入力キー5E等を介して行われる。単一糸種モード及び多品種モードの設定状況は、表示画面5Dに表示される。
【0067】
機台制御装置5Cは、単一糸種モードでは、第一格納部41A及び第二格納部41Bに一種類のボビンBが供給されるように送出機構70を制御する。具体的には、機台制御装置5Cは、搬送ベルト72によって搬送されてくるボビンBを、格納本数に空きのある第一格納部41A及び第二格納部41BにボビンBを供給する。機台制御装置5Cは、例えば、一回の命令(一回の動作)で、第一格納部41A及び第二格納部41Bに複数(例えば最大格納本数となるような数)のボビンBが供給されるように送出機構70を制御してもよい。なお、機台制御装置5Cは、一回の命令(一回の動作)で、第一格納部41A又は第二格納部41Bに一個のボビンBが供給させるように送出機構70を制御してもよい。
【0068】
機台制御装置5Cは、多品種モードでは、第一保管機構61Aに保管された第一ボビンB1が第一格納部41Aに供給されると共に、第二保管機構61Bに保管された第二ボビンB2が第二格納部41Bに供給されるように送出機構70を制御する。具体的には、機台制御装置5Cは、搬送ベルト72によって搬送されてくるボビンBが第一ボビンB1である場合、振分部75を前方S2に傾け、第一ボビンB1を第一排出部77Aに誘導する。機台制御装置5Cは、搬送ベルト72によって搬送されてくるボビンBが第二ボビンB2である場合、振分部75を後方S1に傾け、第二ボビンB2を第二排出部77Bに誘導する。機台制御装置5Cは、例えば、一回の命令(一回の動作)で、第一格納部41A又は第二格納部41Bに一個のボビンBが供給されるように送出機構70を制御する。
【0069】
搬送装置80は、玉揚台車4により紡績ユニット2から排出されたパッケージPを搬送可能である。
図2及び
図3に示されるように、搬送装置80は、紡績ユニット2と玉揚台車4との間に設けられている。搬送装置80は、複数の紡績ユニット2の配列方向に沿って延在している。搬送装置80によるパッケージPの搬送方向は、紡績ユニット2からのパッケージPの排出方向と交差(直交)している。搬送装置80は、図示しない駆動ローラによって無端ベルトが駆動されるコンベアベルトである。
【0070】
上記実施形態の紡績機1における作用効果について説明する。上記実施形態の紡績機1では、
図1に示されるように、ボビンBを搬送するコンベア装置67の配置位置が複数の紡績ユニット2が配列される第一領域A1に隣接する第二領域A2内に留まる。したがって、一方向に配列される複数の紡績ユニット2に沿って搬送経路が延在する従来のコンベア装置と比べて搬送経路を短くできる。更に、上記実施形態の紡績機1におけるコンベア装置67の搬送経路は、保管機構61を起点として延在しているので保管機構61からの比較的近い範囲に位置する。したがって、オペレータは、保管機構61において補充作業をしながらコンベア装置67の搬送状況を監視することができる。すなわち、紡績機1の稼働時におけるオペレータの作業負担を低減することができる。
【0071】
上記実施形態の紡績機1では、コンベア装置67が、複数の保管機構61よって共有されるので、ボビンストッカ60が大型化することを回避しつつボビンストッカ60は、シンプルな構成で複数の保管機構61から一台の玉揚台車4にボビンBを供給することができる。
【0072】
上記実施形態の紡績機1では、ペグ62AからボビンBを取り出す機構が、複数の保管機構61において共有されるので、ボビンストッカ60が大型化することを回避しつつ、ボビンストッカ60は、シンプルな構成で複数の保管機構61からボビンBを取り出すことができる。
【0073】
上記実施形態の紡績機1では、複数の保管機構61のそれぞれに同一種類のボビンBが保管されたときに作動させる単一糸種モードと、複数の保管機構61のそれぞれに互いに異なる種類の第一ボビンB1及び第二ボビンB2が保管されたときに作動させる多品種モードと、を切り替え可能に設けられている。これにより、第一保管機構61A及び第二保管機構61Bのそれぞれに同一種類のボビンが保管されたときと、第一保管機構61A及び第二保管機構61Bのそれぞれに互いに異なる種類のボビンが保管されたときとで、互いに異なる最適な動作をボビンストッカ60に実行させることができる。
【0074】
上記実施形態に係る紡績機1では、玉揚台車4のマガジン41の第一格納部41A及び第二格納部41Bは、互いに独立してボビンBを格納する。これにより、第一格納部41A及び第二格納部41Bのそれぞれに、異なる種類のボビンBを格納することができる。そのため、玉揚台車4及び紡績機1は、多品種に対応することができる。また、マガジン41に格納するボビンBの種類が一品種である場合には、第一格納部41A及び第二格納部41Bのそれぞれに同一のボビンBを格納できるため、玉揚台車4全体として、ボビンBの格納本数を増やすことができる。そのため、玉揚台車4は、ボビンBの供給の頻度が高い場合であっても対応することができる。このように、玉揚台車4では、多様な形態に対応することができる。
【0075】
玉揚台車4では、上記のように、一台で多品種に対応することができると共にボビンBの格納本数を増やすことができる。そのため、紡績機1は、玉揚台車4を複数台備える必要がないため、コストの低減を図ることができる。ただし、紡績機1は、複数台(例えば2台)の玉揚台車4を備えていてもよい。
【0076】
本実施形態に係る紡績機1では、玉揚台車4のマガジン41は、第一格納部41A及び第二格納部41Bを有していている。すなわち、マガジン41は、格納部を二個以上四個以下有している。この構成では、玉揚台車4が大型化することを回避することができる。
【0077】
上記実施形態に係る紡績機1では、玉揚台車4は、紡績ユニット2に対する作業位置に到着した後に、第一格納部41A又は第二格納部41Bからボビン装着機構42に対して供給するボビンBを決定する制御部46を備えている。この構成では、玉揚台車4が作業位置に到着してからボビンBを決定するため、紡績ユニット2に必要なボビンBを確実に受け渡すことができる。例えば、より早い段階でボビン装着機構42が第一格納部41A又は第二格納部41BからボビンBを受け取っていると、当該ボビンBの受け取り後に実際に必要なボビンBの種類が変更になった場合、ボビン装着機構42は受け取っていたボビンBを一旦排出するなどの動作を行う必要が生じる。あるいは、既に受け取っているボビンBを紡績ユニット2に供給できるようになるまで、玉揚台車4が待機することになる。本実施形態に係る紡績機1の玉揚台車4では、このような動作を回避できるため、紡績ユニット2に必要なボビンBを効率良く受け渡すことができる。
【0078】
上記実施形態に係る紡績機1では、第一格納部41A及び第二格納部41Bのそれぞれは、玉揚台車4の走行方向から見てボビンBの軸が走行方向に沿う状態で、複数のボビンBが上下方向に積み重なり合うようにボビンBを格納している。第一格納部41Aと第二格納部41Bとは、前後方向において並んで配置されていてもよい。この構成では、玉揚台車4をコンパクトに構成することができる。
【0079】
上記実施形態に係る紡績機1では、玉揚台車4は、マガジン41及びボビン装着機構42が収容されている筐体40と、筐体40の外側面に配置され、ボビンBを保持するリザーブマガジン45A,45Bと、を備えている。この構成では、リザーブマガジン45A,45Bに保持されているボビンBを、オペレータが任意のタイミングで第一格納部41A及び第二格納部41Bに格納することができる。
【0080】
以上、一実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限られない。発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。上記実施形態及び/又は以下の変形例は、適宜組み合わせ可能である。
【0081】
上記実施形態のボビンストッカ60では、二個の保管機構61(第一保管機構61A及び第二保管機構61B)を有している例を挙げて説明したが、ボビンストッカ60は、三個の保管機構61を有していてもよいし、四個の保管機構61を有していてもよいし、五個以上の保管機構61を有していてもよい。更に、これら複数の保管機構61は、一つの筐体60Aの内部に配置されていてもよいし、それぞれの保管機構61が別体の筐体60Aに配置されてもよい。
【0082】
上記実施形態及び変形例のボビンストッカ60では、第一保管機構61A及び第二保管機構61Bと送出機構70との間には、一台のコンベア装置67が配置されている例を挙げて説明したが、複数台のコンベア装置67が配置されてもよい。同様に、複数台の送出機構70が配置されてもよい。更に、コンベア装置67は、ボビンストッカ60におけるボビンBの供給方向における上流側である保管機構61と同じ台数が配置されてもよい。例えば、本実施形態のように二個の保管機構61(第一保管機構61A及び第二保管機構61B)が配置されておれば、これに合わせて二台のコンベア装置67が配置されてもよい。同様に、送出機構70も、保管機構61又はコンベア装置67と同じ台数が配置されてもよい。言い換えれば、ボビンストッカ60は、各保管機構61には、マガジン41まで専用のボビン搬送経路が設けられる構成であってもよい。
【0083】
上記実施形態のボビンストッカ60では、第一排出部77A及び第二排出部77BにボビンBを振り分けることによって、マガジン41に形成された第一格納部41A及び第二格納部41Bに選択的にボビンBを供給する例を挙げて説明した。このような送出機構70構成に代えて、排出部を一つに統合し、排出部を
図5に示されるようにD方向に沿って移動可能な構成としてもよい。この場合、搬送ベルト72によって搬送されてくるボビンBが第一ボビンB1である場合、排出部を第一格納部41Aの上方に移動させ、第一ボビンB1を第一格納部41Aに落下させる。ボビンBが第二ボビンB2である場合、排出部を第二格納部41Bの上方に移動させ、第二ボビンB2を第二格納部41Bに落下させる。
【0084】
上記実施形態では、ボビンストッカ60の送出機構70から玉揚台車4の第一格納部41A及び第二格納部41BにボビンBを供給する形態を一例に説明した。しかし、第一格納部41A及び第二格納部41Bのうちの一方の格納部には、オペレータがボビンBを供給してもよい。すなわち、第一格納部41A及び第二格納部41Bは、送出機構70以外からのボビンBの供給が可能に設けられている。これにより、例えば、第一格納部41A及び第二格納部41Bのうちの一方の格納部には、オペレータからボビンBが供給され、第一格納部41A及び第二格納部41Bのうちの他方の格納部には、ボビンストッカ60からボビンBが供給される。
【0085】
上記実施形態及び変形例では、ボビンストッカ60が方向転換機構65を有する形態を一例に説明した。しかし、ボビンストッカ60には、方向転換機構65が設けられていなくてもよい。
【0086】
上記実施形態及び変形例では、糸巻取機が紡績機1であり、巻取ユニットが紡績ユニット2である形態を一例に説明した。しかし、糸巻取機は、自動ワインダ又はオープンエンド紡績機であってもよい。
【0087】
上記実施形態及び変形例では、紡績ユニット2と搬送装置80との間に玉揚台車4が設けられている形態を一例に説明した。しかし、紡績ユニット2と玉揚台車4との間に搬送装置80が設けられていてもよい。
【0088】
上記実施形態及び変形例では、ボビンストッカ60が、複数の紡績ユニット2の配列方向の一方の端部(第一エンドフレーム5Aが配置されている端部)に配置されている形態を一例に説明した。しかし、ボビンストッカ60は、複数の紡績ユニット2の配列方向の他方の端部(第二エンドフレーム5Bが配置されている端部)に配置されていてもよい。ボビンストッカ60は、複数設けられていてもよい。この場合、紡績機1が、玉揚台車4を複数備えていてもよい。
【0089】
上記実施形態及び変形例では、
図1において、ボビンストッカ60に格納されているボビンBが紡績機1の正面からオペレータにより視認可能な状態で図示されている。しかし、ボビンストッカ60の配置は当該配置に限定されず、例えば、紡績機1の側面及び/又は背面に配置されていてもよい。ボビンストッカ60を紡績機1の長手方向(紡績ユニット2の配列方向)の端部に配置する構成に代えて、ボビンストッカ60を紡績機1の長手方向の中央部に配置してもよい。
【0090】
玉揚台車4がボビンストッカ60の供給位置SPまで走行して新たなボビンBを受け取るタイミングは、例えば、マガジン41のボビンBの格納本数が0本になった後、第一格納部41A及び第二格納部41Bの何れかのボビンBの格納本数が0本になった後、或いは、マガジン41が満タンではない状態において何れの紡績ユニット2からもボビンBの要求がないとき等の何れのタイミングであってもよい。
【0091】
上記実施形態及び変形例では、搬送装置80がコンベアベルトである形態を一例に説明した。しかし、搬送装置80によるパッケージPの搬送方法はコンベアベルトに限定されず、搬送装置80は他の機構であってもよい。また、搬送装置80は、搬送機能を有しておらずに、紡績ユニット2から排出されたパッケージPを載置可能であればよい。
【0092】
上記実施形態及び変形例では、マガジン41が二つの格納部(第一格納部41A及び第二格納部41B)を有する例を挙げて説明したが、格納部は一つであってもよいし、三つ以上であってもよい。
【0093】
上記実施形態及び変形例では、玉揚台車4のマガジン41の第一格納部41Aに四本の第一ボビンB1を格納、第二格納部41Bに四本の第二ボビンB2を格納できる形態を一例に説明した。しかし、格納本数は、適宜設定されればよい。
【0094】
上記実施形態及び変形例では、紡績機1において、高さ方向の上側から供給された糸Yが下側で巻き取られるように各装置が配置されていた。しかし、紡績機では、下側から供給された糸が上側で巻き取られるように各装置が配置されていてもよい。
【0095】
上記実施形態及び変形例では、第二エンドフレーム5Bに、表示画面5Dと入力キー5Eとが設けられている形態を一例に説明した。しかし、第二エンドフレーム5Bには、表示画面及び入力キーに代えて、タッチパネルディスプレイが設けられていてもよい。
【0096】
上記実施形態及び変形例では、玉揚台車4が走行路R2上を走行する形態を一例に説明した。しかし、玉揚台車4は、レール上を走行する形態であってもよい。糸継台車3も、レール上を走行する形態であってもよい。糸継台車3を省略し、各紡績ユニット2が糸継ぎ動作に関連する構成の少なくとも一部を備えるように紡績機1は構成されていてもよい。
【0097】
図1では、紡績機1は、コーン形状のパッケージPを巻き取るように図示されているが、チーズ形状のパッケージPを巻き取ることも可能である。この場合、ボビンストッカ60は、チーズ形状のボビンBを玉揚台車4に対して供給する。
【0098】
紡績ユニット2では、糸貯留装置11が空気紡績装置7から糸Yを引き出す機能を有していたが、デリベリローラとニップローラとで空気紡績装置7から糸Yが引き出されてもよい。デリベリローラとニップローラとで空気紡績装置7から糸Yを引き出す場合、糸貯留装置11の代わりに、吸引空気流で糸Yの弛みを吸収するスラックチューブ及び/又は機械的なコンペンセータ等を設けてもよい。
【0099】
糸Yの走行方向において、テンションセンサ9が糸監視装置8の上流側に配置されてもよい。ユニットコントローラ10は、紡績ユニット2ごとに設けられてもよい。紡績ユニット2において、ワキシング装置12、テンションセンサ9及び糸監視装置8は、省略されてもよい。糸Yにワックスを付与しない場合、ワキシング装置12は紡績ユニット2に設け、ワキシング装置12からワックスを取り外してもよい。
【0100】
各構成の材料及び形状には、上述した材料及び形状に限らず、様々な材料及び形状を採用することができる。
【符号の説明】
【0101】
1…紡績機(糸巻取機)、2…紡績ユニット(巻取ユニット)、4…玉揚台車(作業台車)、5A…第一エンドフレーム、5B…第二エンドフレーム、5C…機台制御装置(制御装置)、41…マガジン、42…ボビン装着機構(操作部)、60…ボビンストッカ(ボビン供給装置)、60A…筐体、61…保管機構、62A…ペグ(保持部)、62B…無端チェーン(無端の帯状部材)、62C…駆動部、63…取出機構、63A…取出部材、63B…駆動部、63C…検知センサ、67…コンベア装置、70…送出機構、75…振分部、76…駆動部、77…排出部、A1…第一領域、A2…第二領域、B…ボビン,B1…第一ボビン、B2…第二ボビン、SP…供給位置。