(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022188387
(43)【公開日】2022-12-21
(54)【発明の名称】手洗装置
(51)【国際特許分類】
E03D 9/00 20060101AFI20221214BHJP
E03D 1/24 20060101ALI20221214BHJP
【FI】
E03D9/00 D
E03D1/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021096381
(22)【出願日】2021-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】横井 龍一
(72)【発明者】
【氏名】伴 勇摩
【テーマコード(参考)】
2D038
2D039
【Fターム(参考)】
2D038ZA01
2D039AA02
2D039AD06
2D039AE00
2D039BA00
2D039CD01
(57)【要約】
【課題】清掃性を良くできる手洗装置を提供する。
【解決手段】手洗装置10は、鉢部20と、前記鉢部20と一体に形成され、前記鉢部20から突出する吐水部40とを備えている。このような構成によれば、鉢部20と吐水部40との境目に、溝状の合わせ目が形成されないから、清掃性を良くできる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉢部と、
前記鉢部と一体に形成され、前記鉢部から突出する吐水部とを備えている手洗装置。
【請求項2】
前記吐水部と前記鉢部との境目は、湾曲面によって連続している請求項1に記載の手洗装置。
【請求項3】
前記鉢部は、底面、前面、後面及び左右の側面を有し、
前記吐水部は、前記後面から前方に突出している請求項1から請求項2までの何れか一項に記載の手洗装置。
【請求項4】
前記前面と、前記吐水部のうち前記前面と向き合う対向面との対向方向の間隔は、前記鉢部の奥側から手前側に向かって広くなっているか等しい請求項3に記載の手洗装置。
【請求項5】
前記吐水部と前記鉢部との境目は、湾曲面によって連続しており、
前記鉢部は、前記後面を形成する後壁部と、前記後壁部の後側に立つ背面壁部と、を有し、
前記背面壁部には、前記吐水部を前記背面壁部の後方に開放する開口部が形成され、
前記湾曲面の後側の少なくとも一部は、前記開口部と前後方向において重なる位置に形成されている請求項3から請求項4までの何れか一項に記載の手洗装置。
【請求項6】
前記底面を形成する底壁部には、排水口が形成され、
前記排水口の周縁部は、前記排水口の径方向の外側から内側にかけて湾曲した排水口湾曲面によって形成され、
前記排水口湾曲面のうち前側の部分の前記排水口の径方向の寸法は、他の部分の前記排水口の径方向の寸法よりも小さい請求項3から請求項5までの何れか一項に記載の手洗装置。
【請求項7】
前記底壁部は、前記排水口の網部を有し、
前記底壁部と前記網部とは一体に形成されている請求項6に記載の手洗装置。
【請求項8】
便器洗浄タンクの上側に配置される請求項1から請求項7までの何れか一項に記載の手洗装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、手洗装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鉢部の上方に吐水部が設けられた手洗装置が知られている。例えば下記特許文献1に記載された手洗装置は、鉢部の後面部に吐水部を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記手洗装置の合わせ目には、汚れが溜まりやすい。溝状の合わせ目は、拭き掃除もしにくい。
【0005】
本開示は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、清掃性を良くできる手洗装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の手洗装置は、鉢部と、前記鉢部と一体に形成され、前記鉢部から突出する吐水部とを備えているものである。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施形態1にかかる手洗装置であって、便器洗浄タンクの上側に配置された状態を示す斜視図
【
図4】手洗装置を示す断面図であって、
図2のA-A位置における断面に相当する断面図
【
図5】手洗装置を示す断面図であって、
図3のB-B位置における断面に相当する断面図
【
図7】排水口の近傍を示す手洗装置の一部拡大断面図
【
図8】実施形態2にかかる手洗装置であって、排水口の網部を示す一部拡大平面図
【
図9】排水口の網部を示す手洗装置の一部拡大断面図
【
図10】他の実施形態(1)にかかる手洗装置であって、排水口の網部を示す一部拡大平面図
【
図11】排水口の網部を示す手洗装置の一部拡大断面図
【
図12】他の実施形態(2)にかかる手洗装置であって、排水口の網部を示す一部拡大平面図
【
図13】排水口の網部を示す手洗装置の一部拡大断面図
【
図14】他の実施形態(3)にかかる手洗装置であって、排水口の網部を示す一部拡大平面図
【
図15】排水口の網部を示す手洗装置の一部拡大断面図
【発明を実施するための形態】
【0008】
<実施形態1>
実施形態1に係る手洗装置10を
図1~
図7によって説明する。手洗装置10は、
図1に示すように、便器洗浄タンク11の上側に蓋として取り付けられる。便器洗浄タンク11は、便器12の後部に備えられている。便器洗浄タンク11は、便器12内に供給する洗浄水を貯留する。
【0009】
以下の説明では、便宜上、便器12のうち便器洗浄タンク11が設置されている側(X軸の負方向側)を後側、その反対側(X軸方向の正方向側)を前側とする。便器洗浄タンク11において手洗装置10が取り付けられている側(Y軸の正方向側)を上側、その反対側(Y軸の負方向側)を下側とする。手洗装置10を便器12の前側から見て右側(Z軸の正方向側)を右側、左側(Z軸の負方向側)を左側として説明する。X軸、Y軸及びZ軸は、互いに直交している。
【0010】
手洗装置10は、
図2及び
図3に示すように、鉢部20、吐水部40及び排水管部50を備えている。鉢部20、吐水部40及び排水管部50は、同一の材料(合成樹脂やセラミックス等)によって一体に形成されている。吐水部40は、便器洗浄タンク11の外部から供給される水の一部を、鉢部20に吐水する。鉢部20で受けられた水は、排水管部50を通して便器洗浄タンク11の図示しない排水管に排水される。
【0011】
鉢部20は、内周壁部21と、外周壁部22と、底壁部23Kとを備えている。外周壁部22は、内周壁部21の外周側を囲んでいる。内周壁部21及び外周壁部22は、上端において連続している。底壁部23Kは、内周壁部21の下端に連続している。
【0012】
内周壁部21は、前壁部24K、後壁部25K及び左右の内側壁部26Kを有している。後壁部25Kの高さ寸法は、
図4に示すように、前壁部24Kの高さ寸法よりも大きい。左右の内側壁部26Kの上端は、後端から前端に向かって次第に下がっている。前壁部24Kの上端の高さ位置は、底壁部23Kとの高低差を最小限確保できる位置である。
【0013】
外周壁部22は、
図4及び
図5に示すように、正面壁部27、背面壁部28、及び左右の外側壁部29を有している。正面壁部27は、前壁部24Kの前側に立つ。背面壁部28は、後壁部25Kの後側に立つ。左右の外側壁部29は、内側壁部26Kの左右両外側に立つ。
【0014】
内周壁部21と外周壁部22との間には、空間部31が設けられている。空間部31は、下方に開放されている。空間部31は、前側空間部32、後側空間部33、左右の空間部34を有している。前側空間部32は、前壁部24Kと正面壁部27との間に形成される。前壁部24K及び正面壁部27は、上側から下側に向かって前後方向の間隔が増している。後側空間部33は、後壁部25Kと背面壁部28との間に形成される。後壁部25Kと背面壁部28とは、上側から下側に向かってわずかに前後方向の間隔が増している。左右の空間部34は、内側壁部26Kと外側壁部29との間に形成される。内側壁部26Kと外側壁部29とは、上側から下側に向かって左右方向の間隔が増している。
【0015】
前壁部24Kは、前面24を形成している。前面24は、
図4に示すように、仮想の垂直面Sに対して角度α1で交差している。仮想の垂直面Sは、YZ平面である。前面24の傾斜角度α1は、前面24の上端の高さ位置と、排水口51の高さ位置とによって決まる。前面24の傾斜角度α1を大きくすることによって、手洗装置10で手を洗うときに、使用者の手を吐水部40の下側に差し入れやすくできる。前面24の下端は、湾曲した面によって底面23に連続している。前面24のうち下端の湾曲した面よりも上側の部分は、ほぼ平面状に形成されている。
【0016】
後壁部25Kは、後面25を形成している。後面25は、仮想の垂直面Sに対して平行に近い角度で立っている。「平行」は、厳密に平行な状態に加えて、概ね平行な状態を含む。後面25の下端は、湾曲した面によって底面23に連続している。後面25の下端及び前面24の下端の湾曲面の曲率半径(XY平面上において円弧に近似した場合の曲率半径)を大きくすることによって、鉢部20の奥側の拭き掃除を行いやすくできる。
【0017】
吐水部40は、
図2に示すように、鉢部20の左右方向中央部に設けられている。吐水部40は、鉢部20の上端部に位置する。吐水部40は、鉢部20の上端より上側に突出していない。吐水部40は、上面41、下面42及び左右の側面43を有している。
【0018】
吐水部40は、
図4に示すように、鉢部20の後面25から前方に突出している。吐水部40の下面42は、底面23に臨んでいる。吐水部40の下面42は、吐水用開口44を有する。吐水部40は、吐水用開口44に嵌合した吐水部品45から下向きに吐水する。吐水部40の下面42は、前上がりで傾斜している。吐水部40の下面42は、仮想の垂直面Sに対して角度α2で交差している。吐水部40の下面42は、鉢部20の前面24と向き合う対向面である。吐水部40の下面42と鉢部20の前面24とは略平行である。吐水部40の下面42と鉢部20の前面24との対向方向の間隔Wは、鉢部20の奥側から手前側に向かって等しい。鉢部20の奥側から手前側に向かう方向は、後述する第一金型の型抜き方向D1と平行な方向である。「等しい」は、厳密に等しい状態に加えて、奥側から手前側に向かってわずかに広がっている状態を含む。第一金型を抜くためには、僅かに広がる形状でなくても良い。
【0019】
吐水部40の上面41は、
図4に示すように、若干前下がりで傾斜している。吐水部40の上面41の後端は、背面壁部28の上端と連結している。
【0020】
吐水部40の内部は、吐水部品45を収納する収納部40Sである。収納部40Sは、吐水部40の上面41、左右の側面43及び下面42によって囲われている。収納部40Sには、吐水部品45を固定する固定部45Fが設けられている(
図6参照)。
【0021】
吐水部品45は、合成樹脂等の硬質な材料によって形成されている。吐水部品45は、収納部40Sの固定部45Fにビス等の固定具によって固定される。吐水部品45の内部には、給水路が形成されている。吐水部品45の下端部は、便器洗浄タンク11内の図示しない給水管に接続される。
【0022】
吐水部40と鉢部20との境目は、
図2に示すように、湾曲面46によって連続している。湾曲面46は、吐水部40の後端部(根元の部分)から鉢部20の後面25に連続する。湾曲面46は、吐水部40の後端部の周囲に形成されている。湾曲面46は、吐水部40の左右両側に形成された左右の湾曲部47と、吐水部40の下側に形成された下側湾曲部48とを有している。湾曲面46を正面から見ると、U字状をなしている。左右の湾曲部47の下端部と、下側湾曲部48の左右両端部とは、弧状をなして緩やかに連続している。湾曲面46を正面から見た、湾曲面46の幅寸法B1は、U字に沿って概ね一定である。湾曲面46の幅寸法B1は、吐水用開口44の径寸法よりも大きい。湾曲面46の曲率は、内周壁部21と外周壁部22とを繋ぐ曲面の曲率よりも小さい。湾曲面46の曲率は、吐水部40の上面41と下面42とを繋ぐ曲面の曲率よりも小さい。湾曲面46は、手洗装置10の左右方向の中心を基準に左右対称である。
【0023】
左右の湾曲部47は、
図3に示すように、吐水部40の左右の側面43と鉢部20の後面25との境目において連続している。左右の湾曲部47をXZ平面上において円弧に近似した場合の中心点は、それぞれ、吐水部40の左側及び右側、かつ同一のXZ平面において後面25より前側に位置する。
【0024】
下側湾曲部48は、
図4に示すように、吐水部40の下面42と鉢部20の後面25との境目において連続している。下側湾曲部48をXY平面上において円弧に近似した場合の中心点は、吐水部40の下面42より下側、かつ後面25より前側に位置する。
【0025】
背面壁部28には、
図6に示すように、開口部49が形成されている。開口部49の全周は閉じている。開口部49は、背面壁部28の上端部に形成されている。開口部49は、吐水部40の突出方向の逆側が開口している。開口部49は、吐水部40を背面壁部28の後方に開放する。開口部49は、上下方向よりも左右方向に長い長方形状である。
【0026】
湾曲面46は、開口部49と前後方向において重なる位置に形成されている。言い換えると、湾曲面46の大部分と開口部49とは、YZ平面に投影した場合に重なる。湾曲面46の大部分は、上下方向(Y軸方向)において、開口部49の上縁と開口部49の下縁との間に位置している。湾曲面46の大部分は、左右方向(Z軸方向)において、開口部49の左右両縁の間に位置している。湾曲面46の後側の概ね全体は、開口部49を介して後方から視認できる。湾曲面46のうち下側湾曲部48の後側の全体は、開口部49を介して後方に露出している。下側湾曲部48の下端は、開口部49の下縁よりも少し上側に位置している。吐水部品45の固定部45Fは、開口部49から後方に露出している。吐水部品45は、開口部49を通して収納部40Sに配置される。下側湾曲部48をXY平面上において円弧に近似した場合の曲率半径を大きくすることによって、吐水部品45を収納部40Sに組み付けやすくできる(
図4参照)。開口部49には、図示しないカバー部材が取り付けられる。カバー部材は、吐水部品45の後側を覆う。
【0027】
排水管部50は、
図5に示すように、底壁部23Kから垂下している。排水管部50は、底壁部23Kの最下点(最も下端の位置)に設けられている。排水管部50の上端の開口は、排水口51である。排水口51の高さ位置は、便器洗浄タンク11内の図示しない排水管の高さ位置によって決まる。排水管部50の内径寸法は、上側から下側に向かってわずかに増している。
【0028】
排水口51の周縁部は、
図7に示すように、排水口湾曲面52によって形成されている。排水口湾曲面52は、底面23から排水管部50に連続する。排水口湾曲面52は、排水口51の径方向の外側から内側にかけて湾曲している。排水口湾曲面52は、排水口51の全周に形成されている。排水口湾曲面52を排水口51の径方向に切った断面上で円弧に近似した場合の曲率は、排水口51の前側の方が小さい。排水口湾曲面52のうち前側の部分の幅寸法(排水口51の径方向の寸法)B2は、後側の部分の幅寸法B3よりも小さい。幅寸法B2,B3は、XY平面上におけるXZ平面に平行な寸法である。
【0029】
手洗装置10の前面側(鉢部20の内面側)は、
図4に示すように、矢印D1方向に、図示しない第一金型を抜いて形成される。矢印D1は、鉢部20の前面24と吐水部40の下面42との対向方向と直交している。「直交」は、厳密に直交する状態に加えて、概ね直交する状態を含む。第一金型を抜くことができれば「直交」である必要はない。矢印D1は、鉢部20の前面24及び吐水部40の下面42の傾斜角度α1.α2と平行である。第一金型によって、鉢部20の底面23、前面24、後面25、左右の内側面26、吐水部40の下面42、左右の側面43、湾曲面46及び排水口51の排水口湾曲面52が形成される。
【0030】
手洗装置10の後面側(鉢部20の背面側)は、図示しない第二金型を矢印D2方向に抜いて形成される。矢印D2は、X軸方向に平行である。第二金型によって、吐水部40の収納部40S、湾曲面46の後側及び背面壁部28が形成される。
【0031】
手洗装置10の下面側は、図示しない第三金型を矢印D3方向に抜いて形成される。矢印D3は、Y軸方向に平行である。第三金型によって、内周壁部21と外周壁部22との間の空間部31及び排水管部50が形成される。
【0032】
上記のように構成された実施形態によれば、以下の効果を奏する。手洗装置10は、鉢部20と、鉢部20と一体に形成された吐水部40と有している。吐水部40は、鉢部20から突出している。この構成によれば、鉢部20と吐水部40との境界に、溝状の合わせ目が形成されないから、清掃性及び外観を良くできる。
【0033】
吐水部40と鉢部20との境目は、湾曲面46によって連続している。この構成によれば、吐水部40と鉢部20との境目に汚れが溜まりにくいから、清掃性をより良くできる。
【0034】
鉢部20は、底面23、前面24、後面25及び左右の側面43を有している。吐水部40は、後面25から前方に突出している。この構成によれば、飛沫が周囲に飛びにくい。
【0035】
手洗装置10において、鉢部20の前面24と、吐水部40のうち鉢部20の前面24と向き合う下面42との対向方向の間隔Wは、鉢部20の奥側から手前側に向かって僅かに広がっている。この構成によれば、鉢部20の前面24と吐水部40の下面42とを、鉢部20の奥側から手前側(矢印D1方向)に移動する第一金型によって形成できる。したがって、例えば鉢部の前面と吐水部の下面とを、複数方向に移動する金型によって形成するよりも容易に製造できる。
【0036】
鉢部20は、後壁部25Kと、後壁部25Kの後側に立つ背面壁部28と、を有している。後壁部25Kは、後面25を形成する。背面壁部28には、開口部49が形成されている。開口部49は、吐水部40を背面壁部28の後方に開放する。湾曲面46の後側は、開口部49と前後方向において重なる位置に形成されている。この構成によれば、背面壁部28の前側から後側(矢印D2方向)に移動する第二金型によって、吐水部40、湾曲面46及び背面壁部28を形成できる。
【0037】
底壁部23Kには、排水口51が形成されている。底壁部23Kは、底面23を形成する。排水口51の周縁部は、排水口湾曲面52によって形成されている。排水口湾曲面52は、径方向の外側から内側にかけて湾曲している。排水口湾曲面52のうち前側の部分の幅寸法B2は、後側の部分の幅寸法B3よりも小さい。この構成によれば、鉢部20の奥側から手前側に移動する第一金型によって、排水口51の周縁部を形成できる。
【0038】
手洗装置10は、便器洗浄タンク11の上側に配置される。この構成によれば、便器洗浄タンク11を備えた便器12の清掃性を良くできる。
【0039】
<実施形態2>
実施形態2に係る手洗装置80を
図8及び
図9によって説明する。手洗装置80は、排水口51の網部81を底壁部23Kに一体に成形した点で、実施形態1とは相違する。実施形態1と同様の構成には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0040】
手洗装置80は、実施形態1と同様、一体に成形された鉢部20、吐水部40及び排水管部50を備えている。排水口51は、排水管部50の上端の開口である。
【0041】
排水口51のまわりには、
図9に示すように、傾斜面82が形成されている。傾斜面82は、排水口51の径方向において外側から内側(排水口51側)に向かって下っている。傾斜面82のうち排水口51の前側の部分の傾斜角度は、鉢部20の前面24の傾斜角度α1と等しい。傾斜面82のうち排水口51の前側の部分の幅寸法B4は、平面視において、後側の幅寸法B5よりも大きい。幅寸法B4,B5は、XZ平面に平行な寸法である。
【0042】
網部81は、排水口51を横切る2本の棒状部83を有している。棒状部83は、底面23に沿って延びている。棒状部83は、縦棒84及び横棒85を備えている。縦棒84は、前後方向に延びている。横棒85は左右方向に延びている。縦棒84と横棒85とは直交している。
【0043】
縦棒84は、
図9に示すように、長さ方向の中間部において屈曲している。縦棒84の前側部86は、縦棒84の前端から縦棒84の中間部87に向かって下っている。縦棒84の中間部87は、縦棒84の最下点に位置する。縦棒84の前側部86の傾斜角度は、鉢部20の前面24の傾斜角度α1と等しい。縦棒84の後側部88は、縦棒84の中間部87から縦棒84の後端に向かって上っている。横棒85の上面は、前側傾斜面85A及び後側傾斜面85Bを有している。前側傾斜面85A及び後側傾斜面85Bの傾斜角度は、矢印D1方向に移動する第一金型によって形成可能な角度である。前側傾斜面85Aの幅寸法(前後方向の寸法)は、後側傾斜面85Bの幅寸法よりも大きい。
【0044】
以上のように本実施形態においては、実施形態1と同様、鉢部20と吐水部40とが一体に形成されているから、清掃性を良くできる。
【0045】
底壁部23Kは、排水口51の網部81を有している。底壁部23Kと網部81とは一体に形成されている。この構成によれば、別体のヘアキャッチャーを排水口51に配置しなくても、排水口51に固形物が落下することを防ぐことができる。
【0046】
網部81の棒状部83は、底面23に沿って設けられている。したがって、網部81に指が届き安いから、網部81に溜まったゴミ等を除去しやすく、滑りなどを容易に拭き掃除できる。
【0047】
<他の実施形態>
本開示は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本開示の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態2では、網部81の形状を例示した。これに限らず、網部の形状は変更できる。例えば、手洗装置80は、
図10及び
図11に示すような網部91を備えてもよい。網部91は、複数の縦棒92と、複数の横棒93とを有している。縦棒92及び横棒93は、傾斜面82と等しい勾配で傾いている。網部91は、実施形態2の網部81よりも細かい網目を有する。
(2)上記実施形態2では、網部81の形状を例示した。これに限らず、網部の形状は変更できる。例えば、手洗装置80は、
図12及び
図13に示すような網部94を備えてもよい。網部94は、排水口51の中心から放射状に延びる棒状部95を複数本有している。網部94の中心部には、環状部96が設けられている。環状部96の中心は貫通孔97である。環状部96及び棒状部95は、傾斜面82と等しい勾配で傾いている。網部94は、実施形態2の網部81よりも細かい網目を有する。
(3)上記実施形態2では、網部81の形状を例示した。これに限らず、網部の形状は変更できる。例えば、手洗装置80は、
図14及び
図15に示すような網部98を備えてもよい。網部98は、複数の縦棒99を並べて有している。縦棒99の前側部及び後側部は、傾斜面82と等しい勾配で傾いている。
(4)上記実施形態において、手洗装置10,80は、便器洗浄タンク11の上側に配置される。これに限らず、手洗装置は、キャビネットの上部や独立の手洗い場等に配置してもよい。
(5)上記実施形態において、鉢部20の前面24と吐水部40の下面42とは平行である。これに限らず、鉢部の前面と吐水部の下面とは、奥側から手前側に向かって間隔が広くなるように傾斜していてもよい。
(6)上記実施形態では、開口部49を介して湾曲面46の後側の概ね全体を後方から視認できる。これに限らず、開口部を介して湾曲面の後側のうち後方に抜く金型によって形成される部分のみを視認できるようにしてもよい。
(7)上記実施形態において吐水部40は、鉢部20の上端より上側に突出していない。これに限らず、吐水部は、鉢部の上面や後面から上方に突出していても良い。
(8)上記実施形態において吐水部40の上面41、下面42及び左右の側面43は一体に形成されている。これに限らず、吐水部の上面は別体に形成されていても良い。吐水部のうち鉢部の内周面と連続する部分だけ一体に形成されるような形態にしても良い。
(9)上記実施形態において内周壁部21の上端と外周壁部22の上端とを連結する上面部を形成してもよい。
(10)上記実施形態において前面24のうち下端の湾曲した面よりも上側の部分は、ほぼ平面状に形成されている。これに限らず、前面のうち下端の湾曲した面よりも上側の部分は、湾曲面で形成されていても良い。
(11)上記実施形態では、湾曲面46を正面から見ると、U字状をなしている。これに限らず、湾曲面は、吐水部の全周に形成されていても良い。
(12)上記実施形態において開口部49の全周は閉じている 。これに限らず、開口部は切欠状に形成されていても良い。
【符号の説明】
【0048】
10,80…手洗装置、11…便器洗浄タンク、20…鉢部、23…底面、24…前面、25…後面、28…背面壁部、40…吐水部、42…下面(対向面)、43…左右の側面、46…湾曲面、49…開口部、51…排水口、52…排水口湾曲面、81,91,94,98…網部、B2…排水口湾曲面のうち前側の部分の幅寸法(排水口の径方向の寸法)、B3…後側の部分の幅寸法(他の部分の排水口の径方向の寸法)、W…対向方向の間隔