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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022188389
(43)【公開日】2022-12-21
(54)【発明の名称】吊下げ架台
(51)【国際特許分類】
   F24F 1/64 20110101AFI20221214BHJP
   F24F 13/32 20060101ALI20221214BHJP
   E04B 9/00 20060101ALI20221214BHJP
   F16B 7/18 20060101ALI20221214BHJP
【FI】
F24F1/64
F24F13/32
E04B9/00 F
F16B7/18 D
F16B7/18 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021096383
(22)【出願日】2021-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】520396290
【氏名又は名称】EMFORT株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092794
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 正道
(72)【発明者】
【氏名】中 悟史
【テーマコード(参考)】
3J039
【Fターム(参考)】
3J039AA07
3J039AA08
3J039BB02
3J039GA02
3J039GA04
(57)【要約】
【課題】従来の吊下げ架台は重量が重く、重い空調機器などを吊り下げるには高価な鋼材を用意する必要があり、また、重量物の吊下げ架台を横引き・取付け作業は重たく人手がかかり、高所にて取付ける為、危険があった。尚、重量物により天井スラブに部は常に鉛直の方向に加重がかかっていた。
【解決手段】複数本の縦柱部材2と、複数本の横梁部材3で構成される横梁部材セット4とを備える吊下げ架台1であって、横梁部材セット4は複数セット備えられ、各横梁部材セット4はそれぞれ、縦柱部材2の所定の複数の高さレベルの取付け位置V,W、。。。に取り付けられており、上下に隣接しあう取付け位置同士の間隔a,b,c,...について、少なくとも所定の二つの間隔に関しては、上方に位置する間隔の方がそれより下方に位置する間隔より小さい吊下げ架台。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数本の縦柱部材と、複数本の横梁部材で構成される横梁部材セットとを備える吊下げ架台であって、
前記横梁部材セットは複数セット備えられ、
前記各横梁部材セットはそれぞれ、前記縦柱部材の所定の複数の高さレベルの取付け位置V,W、。。。に取り付けられており、
上下に隣接しあう前記取付け位置同士の間隔a,b,c,...について、少なくとも所定の二つの間隔に関しては、上方に位置する間隔の方がそれより下方に位置する間隔より小さいことを特徴とする吊下げ架台。
【請求項2】
前記各横梁部材セットの内少なくとも一の横梁部材セットについては、その横梁部材セットを構成する複数本の横梁部材が互いに前記縦柱部材に対して、縦方向に所定量ずれて取り付けられている、請求項1記載の吊下げ架台。
【請求項3】
前記各横梁部材セットは、それぞれ複数個のガセットによって前記縦柱部材の前記取付け位置に取り付けられており、
それらガセットのうち、少なくとも一部のガセットについて、より上方に位置する横梁部材セットのガセットの厚さの方がそれより下方に位置する横梁部材セットのガセットの厚さより大きい、請求項1記載の吊下げ架台。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば、建物の天井から空調機器などを吊下げて設置するために利用する吊下げ架台に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば図10に示すように、建物の天井100に空調機器101などを吊り下げるための吊下げ架台102が知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の吊下げ架台は重量が非常に重く、さらに、吊り下げる対象の空調機器も重量が重いことが多く、また、対象の空調機器の設置位置が、建物階高により空調機器の保守・フィルター等の交換・故障時の交換等が行えることにより、天井面から離れた位置に設置する必要があり必然的に吊長さが長くなることが多い。
【0004】
対象機器が重く、吊下げ長さがある場合に地震時の応力が大きくなり、吊下げ架台の材料として重さと吊長さにより地震時の応力に十分耐え得るような強度を有する高価で重量のある鋼材を用いざるを得なかった。
【0005】
特に、地震時の水平・鉛直方向の振れに対して耐震強度に対応できる架台が必要とされている。
【0006】
本発明は、上述された従来の課題を考慮し、吊下げ架台自身においては上方の部材ほど下方の部材より、より応力が掛かる点に着目し、高価で重量のある鋼材を用いることなく、地震時の水平・鉛直の振れなどに強く、空調機器などを吊り下げることが出来る吊下げ架台を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の本発明は、
複数本の縦柱部材と、複数本の横梁部材で構成される横梁部材セットとを備える吊下げ架台であって、
前記横梁部材セットは複数セット備えられ、
前記各横梁部材セットはそれぞれ、前記縦柱部材の所定の複数の高さレベルの取付け位置V,W、。。。に取り付けられており、
上下に隣接しあう前記取付け位置同士の間隔a,b,c,...について、少なくとも所定の二つの間隔に関しては、上方に位置する間隔の方がそれより下方に位置する間隔より小さいことを特徴とする吊下げ架台である。
【0008】
第2の本発明は、
前記各横梁部材セットの内少なくとも一の横梁部材セットについては、その横梁部材セットを構成する複数本の横梁部材が互いに前記縦柱部材に対して、縦方向に所定量ずれて取り付けられている、第1の本発明の吊下げ架台である。
【0009】
第3の本発明は、
前記各横梁部材セットは、それぞれ複数個のガセットによって前記縦柱部材の前記取付け位置に取り付けられており、
それらガセットのうち、少なくとも一部のガセットについて、より上方に位置する横梁部材セットのガセットの厚さの方がそれより下方に位置する横梁部材セットのガセットの厚さより大きい、第1の本発明の吊下げ架台である。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、高価な鋼材などを用いることや、専門業者・熟練工で製缶することなく、地震時の水平・鉛直方向の横揺れ縦揺れにたいして強度があり、安定して空調機器などを吊り下げることが出来る吊下げ架台を実現できる。
【0011】
また、天井からの懸垂を軽量化することで天井に与える負荷が低減でき、アンカー等の引き抜き力も低減でき地震時の振れに対しても安全側にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施の形態にかかる吊り下げ架台の斜視図
図2】同吊下げ架台に空調機器を吊り下げた状態の斜視図
図3】同吊下げ架台の別実施例の斜視図
図4】同吊下げ架台の更に別の実施例の斜視図
図5】同吊下げ架台の更に別の実施例の斜視図
図6図5の吊下げ架台を倒した状態の一部切り取り斜視図
図7図5の吊下げ架台を倒した状態で折り畳んだ状態の斜視図
図8図7の吊下げ架台の一部拡大斜視図
図9図7の折り畳んだ状態の吊下げ架台を縦積みした状態を示す図
図10】従来の吊下げ架台と空調機器の略示図
【発明を実施するための形態】
【0013】
図面を参照しながら、本発明における実施の形態について詳細に説明する。
【0014】
図1は本発明の実施の形態にかかる吊下げ架台の例を示す斜視図であって、図2はその吊下げ架台の下部に空調機器が装着されている斜視図である。
【0015】
図1図2において、1は吊下げ架台、2は4本の縦柱部材、4は横梁部材セットであって、4本の横梁部材3、3、3、3で構成されている。
【0016】
4本の縦柱部材2には、所定の高さの位置毎に横梁部材セット4が4セット取り付けられている。すなわち最も高い位置Vの所定の高さの位置と、その下の位置Wと、その下の位置Xと、最も低い位置Yに4セット取り付けられている。
【0017】
その最も低い位置Yの横梁部材セット4の下には図2に示すように空調機器6が吊下げられている。
【0018】
ここに、上下に隣接しあう取付け位置同士V-W,W-X,X-Yの間隔a,b,cについて、少なくとも所定の二つの間隔に関しては、上方に位置する間隔の方がそれより下方に位置する間隔より小さい。
【0019】
すなわち、本実施例では、位置Vと位置Wは隣接し、位置Wと位置Xも隣接し、位置Xと位置Yも隣接し、順にその位置Vと位置Wとの間隔a、位置Wと位置Xとの間隔b、位置Xと位置Yとの間隔cについては、図1図2に示すように、a<b<cの関係になっている。
【0020】
なお、本発明では全ての間隔がそのような大小関係にある必要がなく、少なくとも所定の二つの間隔に関してそのような関係にあればよい。すなわち、図1図2の例で、間隔aとbは等しくても、間隔cがより大きいとか、間隔bとcが等しくても、間隔aがより小さくてもかまわない。
【0021】
要するに、重量がより大きくかかる部分について、横梁部材セット4が上下方向に関してより接近して取り付けられていることによって、地震時の水平・鉛直方向の振れなどに対して、等間隔に横梁部材セットが取り付けられている従来の場合に比べて、より確実に耐えることが出来、且、小さな部材で最大限の部材強度を引き出すことが可能になる。
【0022】
図3は別実施例であって、各横梁部材セット4の内少なくとも一の横梁部材セット4については、その横梁部材セット4を構成する4本の横梁部材3,3,3,3が互いに縦柱部材2に対して、縦方向に所定量ずれて取り付けられている。
【0023】
すなわち、4つの位置V,W,X,Yの内、位置Wと位置Xに取り付けられた横梁部材セット4については、その構成横梁部材3,3,3,3が隣り合う同士5cm程度上下方向にずれている。
【0024】
このように構成することによって以下のような長所がある。すなわち4本の縦柱部材2を極力部材サイズを小さくしているため、正面側と側面側の締結用ガセットの位置が同ラインになると、ボルト同士が接触するため、締結で出来ない、又、工具等があたるため締めることが難しいが、位置をずらすことで柱を小さくでき、且、横梁部材3をしっかり締結でき強度を担保できる。また、ずらすことで締結作業が効率よく行えるといった長所がある。
【0025】
図4はさらに別の実施例であって、各横梁部材セット4は、それぞれ複数個のガセット5によって縦柱部材2の前記取付け位置V,W,X,Yに取り付けられており、それらガセット5のうち、少なくとも一部のガセット5について、より上方に位置する横梁部材セット4のガセット5の厚さの方がそれより下方に位置する横梁部材セット4のガセット5の厚さより大きい。
【0026】
すなわち、図4の実施例では、位置Vの横梁部材セット4を縦柱部材2に固定するガセット5の厚さ5vと、位置Wの横梁部材セット4を縦柱部材2に固定するガセット5の厚さ5wと、位置Xの横梁部材セット4を縦柱部材2に固定するガセット5の厚さ5xと、位置Yの横梁部材セット4を縦柱部材2に固定するガセット5の厚さ5yとを比較すると、5v>5w>5x>5yの関係にある。より上の方のガセット5の厚さの方を厚くすることによって、より重い重量が掛かる位置に取り付けられる横梁部材セット4の横梁部材3を固定するガセット5が横揺れや縦揺れに強く対応できる。
【0027】
なお、本実施例のように、ガセット5の厚さが5v>5w>5x>5yのようにそれぞれ異なっている必要はなく、5v>5w=5x=5yとか、5v=5w>5x=5yなどであってもよい。
【0028】
なお、上記実施例において、同じ材料、寸法のガセットの枚数を調整することで、地震時の水平・鉛直方向の振れに対して応力が掛かる箇所に枚数にて十分耐え得る強度を有する。
【0029】
なお、上記各実施例において、各横梁部材セット4は、それぞれ複数個の三角形状のガセット5によって縦柱部材2の取付け位置V,W,X,Yに取り付けられているが、それらガセット5のうち、少なくとも一部のガセット5について、互いに上下方向の向きが異なっている。すなわち、図3に示すように、一個のガセット5について、横梁部材3側の取付けボルト5a,5aに対して、縦柱部材2側の取付けボルト5b、5bが上方に位置している場合と、下方に位置している場合があるが、例えば、図3の位置Wにおける横梁部材3の場合はボルト5bは下方に位置しているが、位置Xにおける横梁部材3の場合はボルト5bは上方に位置していて異なっていると言える。
【0030】
このようなガセット5の向きが異なっていることによって、より多方向からの揺れに対応できるという効果がある。もっとも、組立・折り畳みの工程においては、各ガセット5の向きを同方向にしておくことで、折り畳みがスムーズにできることもある。
【0031】
図5はさらに別の実施例であって、補強のための横梁部材セット7が、最上位置の位置Vと、直ぐ下の位置Wの間に追加されている例である。この補強用横梁部材セット7によって、最も重い重量が掛かるところが補強される。
【0032】
図6図5の吊下げ架台1を右側へ倒して床Fに寝かせた状態において一点鎖線の部分を切り取った図である。図において、天井面側と床側のガセット51のボルトはそのままとし、側面側のガセット52については、各ガセット52についてそれぞれ4本あるボルトの内、縦柱部材2に締め付けられた2本のボルトは抜くことなく緩め、横梁部材3に締め付けられた2本のボルトの内、一本のボルト5cだけ抜く。このような状態とすると、図7のように折り畳むことが出来る(図7は逆方向から見た図である)。図8図7の一部拡大図である。
【0033】
このように折り畳み可能とすることで、吊下げ架台がコンパクトになり、段積み・縦積みができ搬入効率がよく、横引き時の移動も容易となるメリットがある。ここに縦積みとは図9に示すような積み方であって(3個の架台1を縦積みしている)、10はそれら架台1の下側に配置されたまとめ部材である。
【0034】
なお、縦柱部材2と、一セットの横梁部材セットを構成する横梁部材をそれぞれ4本としたが、本発明はそれに限定されず、3本でも5本でも構わない。
【0035】
また、本発明の吊下げ架台の材料は任意の材料でよいがアルミ材料が軽量という点で望ましい。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明における吊下げ架台は、高価な鋼材などを用いることなく確実に対象機器を吊り下げることの出来るので、天井に空調機器などの重量物を吊り下げる場合に有用である。
【符号の説明】
【0037】
1 吊下げ架台
2 縦柱部材
3 横梁部材
4 横梁部材セット
5 ガセット
6 空調機器
7 補強用横梁部材セット
F 床
V,W,X,Y 縦柱部材への取付け位置

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10