(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022188405
(43)【公開日】2022-12-21
(54)【発明の名称】リニアモータ、電磁サスペンションおよび洗濯機
(51)【国際特許分類】
H02K 41/02 20060101AFI20221214BHJP
H02K 41/03 20060101ALI20221214BHJP
F16F 15/02 20060101ALI20221214BHJP
F16F 15/03 20060101ALI20221214BHJP
F16F 15/04 20060101ALI20221214BHJP
D06F 37/22 20060101ALI20221214BHJP
D06F 37/24 20060101ALI20221214BHJP
【FI】
H02K41/02 A
H02K41/03 A
F16F15/02 A
F16F15/03 G
F16F15/04 A
D06F37/22
D06F37/24 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021096407
(22)【出願日】2021-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立グローバルライフソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】法月 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】馬飼野 祐貴
(72)【発明者】
【氏名】黒澤 真理
(72)【発明者】
【氏名】青山 康明
(72)【発明者】
【氏名】須藤 哲也
(72)【発明者】
【氏名】菊地 聡
(72)【発明者】
【氏名】松本 幸司
【テーマコード(参考)】
3B165
3J048
5H641
【Fターム(参考)】
3B165AA02
3B165AA04
3B165AA05
3B165AA12
3B165AE02
3B165AE05
3B165AE06
3B165AE13
3B165BA24
3B165BA82
3B165BA83
3B165CA02
3B165CA03
3B165CA04
3B165CA05
3B165CA11
3B165CA21
3B165CB02
3B165CB32
3B165CB55
3B165CD03
3B165CD15
3B165DW05
3B165EW01
3B165GA02
3B165GA12
3B165GH02
3B165JM01
3B165JM02
3B165JM03
3J048AA02
3J048AC08
3J048AD01
3J048BC02
3J048BE08
3J048CB12
3J048DA01
3J048EA07
5H641BB06
5H641GG02
5H641GG04
5H641GG06
5H641GG10
5H641GG15
5H641HH03
5H641JA11
(57)【要約】
【課題】本発明は、リニアモータおよび電磁サスペンション自体の加振力に加え、制振対象物である洗濯機からの過大な外力に耐える構造を備えた、リニアモータ、電磁サスペンションおよび洗濯機を提供する。
【解決手段】本発明のリニアモータ10は、コア11aと巻線11bを有する固定子11と、磁石124を有し固定子11に対して相対的に移動する可動子12と、を有する。コア11aは、所定の間隔を有し対向するように配置された第1ティース部11a21及び第2ティース部11a22を備える。第1ティース部11a21及び第2ティース部11a22のそれぞれには、巻回された巻線11bが備えられている。巻線11bは導線が巻回されて構成された扁平コイル11b-11,11b-12,11b-13を備えている。扁平コイル11b-11,11b-12,11b-13の厚みは前記所定の間隔より薄くした。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電機子鉄心と電機子巻線を有する固定子と、
磁石を有し前記固定子に対して相対的に移動する可動子と、を有するリニアモータであって、
前記電機子鉄心は所定の間隔を有し対向するように配置された第1ティース部及び第2ティース部を備え、
前記第1ティース部及び前記第2ティース部のそれぞれには、巻回された前記電機子巻線が備えられ、
前記電機子巻線は導線が巻回されて構成されたコイルを備え、
前記コイルの厚みは前記所定の間隔より薄くしたことを特徴とするリニアモータ。
【請求項2】
請求項1において、
前記電機子巻線は、前記第1ティース部に巻回された第1電機子巻線と、前記第2ティース部に巻回された第2電機子巻線から構成され、
前記第1電機子巻線と前記第2電機子巻線は1本の連続した巻線で構成されたことを特徴とするリニアモータ。
【請求項3】
請求項1において、
前記電機子巻線は、前記第1ティース部に巻回された第1電機子巻線と、前記第2ティース部に巻回された第2電機子巻線から構成され、
前記第1電機子巻線と前記第2電機子巻線は、それぞれ複数のコイルを備えたことを特徴とするリニアモータ。
【請求項4】
請求項3において、
前記複数のコイルのコイル端は、リニアモータに対し同一面に配置したことを特徴とするリニアモータ。
【請求項5】
請求項3において、
前記複数のコイルのコイル端は、リニアモータに対し2面以上配置したことを特徴とするリニアモータ。
【請求項6】
請求項3において、
前記第1電機子巻線の前記複数のコイルを第1コイル群とし、
前記第2電機子巻線の前記複数のコイルを第2コイル群とし、
前記第1コイル群及び前記第2コイル群は、それぞれは1本の連続した巻線で構成されたことを特徴とするリニアモータ。
【請求項7】
請求項1から請求項5の何れか1項に記載のリニアモータと、
前記固定子または前記可動子を付勢する弾性体と、
を有することを特徴とする電磁サスペンション。
【請求項8】
請求項7に記載の電磁サスペンションにおいて、
前記弾性体は、金属製の巻バネであることを特徴とする電磁サスペンション。
【請求項9】
請求項7又は8に記載の電磁サスペンションにおいて、
前記電機子巻線に交流電流を供給するインバータと、
前記電機子巻線に流れる電流を検出する電流検出器と、
前記電流検出器によって検出される電流に基づいて前記インバータを制御して前記リニアモータの推力を調整する推力調整部と、
を備えることを特徴とする電磁サスペンション。
【請求項10】
衣類を収容する洗濯槽と、
前記洗濯槽を内包する外槽と、
前記洗濯槽を回転させる駆動機構と、を備える洗濯機において、
請求項7乃至請求項9の何れか1項に記載の電磁サスペンションを備えたことを特徴とする洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リニアモータ、電磁サスペンションおよび洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
直線運動する電機としてリニアモータやリニアアクチュエータ(以下、総称してリニアモータと称する)が知られている。リニアモータは、回転機を直線状に切り開いた構造を有しており、固定子と可動子の各々に構成された磁極の間に働く磁力によって、可動子に推力を発生させる。また、リニアモータを電磁サスペンションとして活用する検討も進められている。例えば、特許文献1は洗濯機用のサスペンションとして、リニアモータを有する電磁サスペンションを適用する技術が記載されている。特許文献1では、対向する固定子のティース部のそれぞれに巻線が巻かれているが、巻線を巻く際の作業性に改善の余地があった。これを解決するための技術として、例えば特許文献2に記載の技術が提案されている。特許文献2では、固定子コアをコアバック部とティース部とに分割し、ティース部に巻線を配置した後、コアバック部にティース部を嵌合し、接続するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-9906号公報
【特許文献2】特開2020-202680号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
リニアモータおよび電磁サスペンションで洗濯機の制振性を確保するには、リニアモータおよび電磁サスペンション自体の加振力に加え、制振対象物である洗濯機からの過大な外力に耐える強度・構造が必要であることがわかった。一例として、製品寿命試験において、分割した部品を嵌合などで一体化した部品は、嵌合部が摩耗し設計値から外れ、所望の特性を確保できない恐れがあることがわかってきた。
【0005】
上記した特許文献2に記載の技術においては、コアバック部にティース部を嵌合し、接続するようにしているので、過大な外力に耐え得る強度が不足する可能性があった。
【0006】
本発明は、前記した課題を解決するためになされたものであり、リニアモータおよび電磁サスペンション自体の加振力に加え、制振対象物である洗濯機からの過大な外力に耐える構造を備えた、リニアモータ、電磁サスペンションおよび洗濯機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため、本発明のリニアモータは、電機子鉄心と電機子巻線を有する固定子と、磁石を有し前記固定子に対して相対的に移動する可動子と、を有するリニアモータであって、前記電機子鉄心は所定の間隔を有し対向するように配置された第1ティース部及び第2ティース部を備え、前記第1ティース部及び前記第2ティース部のそれぞれには、巻回された前記電機子巻線が備えられ、前記電機子巻線は導線が巻回されて構成されたコイルを備え、前記コイルの厚みは前記所定の間隔より薄くしたことを特徴とする。
【0008】
また、本発明の電磁サスペンションは、前記記載のリニアモータと、前記固定子または前記可動子を付勢する弾性体と、を有することを特徴とする。
【0009】
さらに本発明の洗濯機は、前記記載の電磁サスペンションと、衣類を収容する洗濯槽と、前記洗濯槽を内包する外槽と、前記洗濯槽を回転させる駆動機構と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、リニアモータおよび電磁サス自体の加振力に加え、制振対象物である洗濯機からの過大な外力に耐える構造を備えたリニアモータ、電磁サスペンションおよび洗濯機を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】第1実施形態による電磁サスペンション100の断面斜視図である。
【
図2】第1実施形態に係る可動子12を含む支持機構部の斜視図である。
【
図3】第1実施形態に係るリニアモータ10の斜視断面図である。
【
図4】
図3のIV-IV線の模式的な矢視断面図である。
【
図5】第1実施形態における可動子12の分解斜視図である。
【
図6A】第1実施形態に係るリニアモータ10が第1の位置(状態P1)にある動作説明図である。
【
図6B】第1実施形態に係るリニアモータ10が第2の位置(状態P2)にある動作説明図である。
【
図6C】第1実施形態に係るリニアモータ10が第3の位置(状態P3)にある動作説明図である。
【
図7】従来のリニアモータ10のコア11aの組立と巻線方法を説明する模式図である。
【
図8】従来のリニアモータ10のコア11aと巻線方法の模式図である。
【
図9】第1実施形態に係る巻線方法の模式図である。
【
図10】第1実施形態に係る複数の扁平コイルの模式図である。
【
図11】第1実施形態に係るリニアモータのコアへ扁平コイルを嵌合する動作を示す模式図である。
【
図12】第1実施形態に係るリニアモータの複数の扁平コイルの配線に関する模式図である。
【
図13】第1実施形態の変形例に係るリニアモータの扁平コイルの模式図である。
【
図14A】第1実施形態の変形例に係るリニアモータの複数の扁平コイルを結線する例1を示す模式図である。
【
図14B】第1実施形態の変形例に係るリニアモータの複数の扁平コイルを結線する例2を示す模式図である。
【
図15】第1実施形態の変形例2に係るリニアモータの複数の扁平コイルを結線する例2を示す模式図である。
【
図16】第1実施形態の変形例2に係るリニアモータのコアへ扁平コイル群を嵌合する動作を示す模式図である。
【
図17】第2実施形態に係る電磁サスペンション100の斜視図である。
【
図18】第3実施形態に係る洗濯機Wの斜視図である。
【
図19】第3実施形態に係る洗濯機Wの縦断面図である。
【
図20】第3実施形態に適用される制振装置200の構成図である。
【
図21】制振装置200の要部を示す構成図である。
【
図22】粘性減衰係数Cが一定であるオイルダンパを用いた比較例1において、洗濯槽35の回転速度と洗濯機Wの変位(振動)の変化を示す実験結果である。
【
図23】
図7に示した従来の電磁サスペンションを第4実施形態に適用した状態における洗濯槽35の回転速度と洗濯機Wの変位(振動)の変化を示す実験結果である。
【
図24】第2実施形態における電磁サスペンションを第4実施形態に適用した状態における洗濯槽35の回転速度と洗濯機Wの変位(振動)の変化を示す実験結果である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施例について添付の図面を参照しつつ説明する。同様の構成要素には同様の符号を付し、同様の説明は繰り返さない。
【0013】
本発明の各種の構成要素は必ずしも個々に独立した存在である必要はなく、一の構成要素が複数の部材から成ること、複数の構成要素が一の部材から成ること、或る構成要素が別の構成要素の一部であること、或る構成要素の一部と他の構成要素の一部とが重複すること、などを許容する。
【0014】
[第1実施形態]
〈第1実施形態の構成〉
図1は、第1実施形態による電磁サスペンション100の断面斜視図である。なお、リニアモータ10は、例えば後述する他の実施形態の電磁サスペンション100(
図17参照)に適用され、電磁サスペンション100は、例えば洗濯機W(
図18参照)の振動を抑制するために適用される。
【0015】
以下、リニアモータを第1実施形態、電磁サスペンションを第2実施形態、洗濯機の制振システムを第3実施形態として述べる。
【0016】
図1の符号x,y,zに示すように、x軸,y軸,z軸を定める(z軸はリニアモータの進行方向)。
図1は、電磁サスペンション100の外観を俯瞰するとともに、その1/4をカットし内部構造を図示している。電磁サスペンション100は、リニアモータ10を内包している。
【0017】
電磁サスペンション100は、フレーム(例えば、シャフト固定金具23)間を繋ぐ対向する一対のシャフト21と、電機子鉄心と電機子巻線とを有する固定子11と、フレーム間に固定され、固定子11に対向する第1の面(例えば、
図5の表面122f)と第2の面(例えば、
図5の裏面122r)とを有する磁石または磁性体を有し、固定子11に対し相対的に移動する可動子12と、を有するリニアモータ10と、シャフトに装着され、フレームの一方と固定子11の腕(軸受け22)とで縮接されている弾性体20と、を備える。
【0018】
リニアモータ10の可動子12と、推進方向に対して(図中z軸方向)に対して並行な位置に、2本のシャフト21と、2個の弾性体20がある。シャフト21は弾性体20を貫通している。またシャフト21はリニアモータ10の固定子11と軸受け22を介して可動子12の移動方向に摺動する。本実施形態では軸受け22として、金属表面に潤滑加工したすべり軸受けを用いている。
【0019】
図2は、第1実施形態に係る可動子12を含む支持機構部の斜視図である。可動子12は、シャフト固定金具23と、シャフト固定金具23間を繋ぐ対向する一対のシャフト21からなる口型構造の支持機構部内に配設されている。つまり可動子12を含む支持機構部は、可動子12単体よりも広くて厚い面構造を形成している。
【0020】
図3は、第1実施形態に係るリニアモータ10の斜視断面図である。
図3は、リニアモータ10の外観を俯瞰するとともに、その1/4をカットし内部構造を図示している。リニアモータ10は、電機子である固定子11と、z軸方向に延在する板状の可動子12と、を備えている。
【0021】
固定子11は、z軸方向に沿った略角柱に形成され、その中空部分に矩形平板状の可動子12が遊挿されている。そして、リニアモータ10は、固定子11と可動子12との間に働く磁気的な吸引力・反発力、すなわち推力によって、固定子11と可動子12との相対位置をz軸方向に変化させる。リニアモータ10を電磁サスペンション100に適用する場合には、固定子11または可動子12が、制振対象物Dt(
図17参照)に結合される。
図1に示す例においては、洗濯機Wの外槽37(
図18参照)が制振対象物Dtであり、固定子11または可動子12が外槽37に結合されている。ここでは、洗濯機Wの外槽37が制振対象物Dtと記しているが、洗濯機の構造が変われば接続先はされる。つまり洗濯機Wの制振効果を高めるように、洗濯機Wの構成部品と任意に接続すればよい。
【0022】
固定子11は、コア11a(電機子鉄心)と、巻線11b(電機子巻線)と、を備えている。コア11aは、電磁鋼板をz軸方向に積層したものでありカシメや溶接で一体化している。またコア11aは、z軸方向に沿って隣接し可動子12に向かって突出するティース部11a2(第1ティース部11a21)を備えている。さらにコア11aは、可動子12を挟んで第1ティース部11a21に対向する位置に、z軸方向に沿って隣接し可動子12に向かって突出する第2ティース部11a22と、を備えている。
【0023】
巻線11bは、これら第1ティース部11a21と第2ティース部11a22に巻回されている。図示はしないが巻線11bと第1ティース部11a21と、第2ティース部11a22の間にはボビン・絶縁樹脂・絶縁紙など既知の絶縁処理がなされている。また、可動子12は、非磁性材料のフレーム122と、フレーム122に嵌め込まれた磁石124(磁石124a,124b)と、を備えている。
【0024】
図4は、
図3のIV-IV線の模式的な矢視断面図である。但し、
図3においてカットされた1/4の部分は
図4ではカットされていない。
図4に示すように、固定子11のコア11aは、環状のコアバック部11a1と、ティース部11a2と、を備えている。ティース部11a2を構成する第1ティース部11a21と、第2ティース部11a22は、ギャップ(所定の間隔)をもって対向している。
【0025】
コアバック部11a1は、y-z面視において環状すなわち略矩形枠状の形状を有しており、この環状部によって磁気回路が構成されている。一対の11a2(11a21と11a22)は、環状のコアバック部11a1からy軸方向に沿って内側に延びており、相互に対向している。
【0026】
実線矢印で示す磁束ΦAは、可動子12によって生じる磁束である。第1ティース部11a21、第2ティース部11a22には、それぞれ巻線11b(第1電機子巻線、第2電機子巻線)が巻回されている。巻線11bには、インバータ(例えば後述する
図20のインバータ40等)が接続される。そして、このインバータによって巻線11bに通電すると、固定子11が電磁石として機能する。
【0027】
図5は、第1実施形態における可動子12の分解斜視図である。
図3に示したように、可動子12は、フレーム122と、2つの磁石124a,124bと、を備えている。フレーム122は、非磁性材料を矩形枠状に形成したものである。そして、フレーム122には、表面122f(第1の面)および裏面122r(第2の面)を貫通する、矩形の貫通孔122hが形成されている。
【0028】
また、リニアモータ10の応答性を高めるためには、可動子12は軽量であることが望ましい。そこでフレーム122を構成する非磁性材料には、プラスチックやアルミニウム等の軽量材料を適用することが考えられる。また、炭素繊維強化プラスチック等、軽量で強度の高い複合材を適用してもよい。すなわち、フレーム122の材質は、リニアモータ10の要求強度や仕様に応じて、任意に選択するとよい。
【0029】
また、2つの磁石124a,124bは、y軸方向に磁極が反転するように交互に配列している。磁石124がフレーム122に嵌め込まれると、貫通孔122hの表面122f側(
図5における上面)の磁石124aはN極、磁石124bはS極となっている。また、貫通孔122hの裏面122r側(
図5における底面)の磁石124aはS極、磁石124bはN極となっている。
【0030】
次にリニアモータ10の動作について説明する。
【0031】
図6A、
図6B、
図6Cは、第1実施形態に係るリニアモータ10の動作説明図である。
図6は紙面右方向を重力方向として示している。
図6Aは、第1実施形態に係るリニアモータ10が第1の位置(状態P1)にある動作説明図である。
図6Bは、第1実施形態に係るリニアモータ10が第2の位置(状態P2)にある動作説明図である。
図6Cは、第1実施形態に係るリニアモータ10が第3の位置(状態P3)にある動作説明図である。
【0032】
固定子11は、前述したように、コア11a(電機子鉄心)と、巻線11b(電機子巻線)と、を備えている。コア11aは、コアバック部11a1と、ティース部11a2と、ティース部11a2に磁石に対向する端面であるティーストップ部11a3からなる。
【0033】
図6A、
図6B、
図6Cに示す状態P1(第1の位置)、状態P2(第2の位置)、状態P3(第3の位置)は、固定子11と可動子12との相対的な位置関係が、それぞれ異なっている。また、
図6A、
図6B、
図6Cにおいて、実線の太矢印は、磁石124が発生する磁束の向きを示しており、破線の太矢印は、固定子11が発生する磁束の向きを示している。状態P1~P3のいずれにおいても、第1ティース部11a21はフレーム122の表面122fに対向し、第2ティース部11a22はフレーム122の裏面122rに対向している。
【0034】
図6Aの状態P1において、巻線11bは通電されていないため、固定子11は磁束を発生していない。そして、z軸方向における固定子11の中心(符号なし)と、可動子12の中心(符号なし)とが一致している。また、巻線11bに電流を流すと、電流の方向に応じて、ティース部11a2(第1ティース部11a21と第2ティース部11a22)を磁化させることができる。状態P1において、状態P2に示している「N」,「S」の記号と同様に、第1ティース部11a21をN極に磁化させ、第2ティース部11a22をS極に磁化させると、磁石124aは第1ティース部11a21,第2ティース部11a22に反発され、磁石124bは第1ティース部11a21,第2ティース部11a22に吸引される。
【0035】
このように、固定子11と可動子12との間に働く吸引力・反発力によって、固定子11および可動子12には、z軸方向に沿って相対的に推力が働く。なお、「推力」とは、可動子12と固定子11との相対位置を変化させる力である。このため、例えば状態P2に示すように、可動子12は、固定子11に対してz軸プラス方向(
図6B上では左方向)に相対的に付勢され移動する。
【0036】
逆に、状態P1において、状態P3に示している「N」,「S」の記号と同様に、第1ティース部11a21をS極に磁化させ、第2ティース部11a22をN極に磁化させると、磁石124aは第1ティース部11a21,第2ティース部11a22に吸引され、磁石124bは第1ティース部11a21,第2ティース部11a22に反発される。このため、例えば状態P3に示すように、可動子12は、固定子11に対してz軸マイナス方向(図上では右方向)に相対的に付勢され移動する。
【0037】
図7は、従来のリニアモータ10のコア11aの組立と巻線方法を説明する模式図である(例1)。リニアモータ10のコア11aを成型する場合、コアバック部11a1と、ティース部11a2を電磁鋼板よりx-y平面で一体プレス成型し、z軸方向に積層し、コア11aを得る。次に、予め加工した巻線11bをティース部11a2に嵌合する。以下、同様に巻線11bを備えるコア11aを2つ準備し、上下(図中y軸方向)に組み合わせ、第1ティース部11a21,第2ティース部11a22を得る。以下、同様に巻線11bを備えるコア11aを必要個数備し、モータ仕様に合わせ上下(図中y軸方向)に組み合わせリニアモータ10を得る。
【0038】
前述したように、リニアモータ10のシャフト21はリニアモータ10の固定子11と軸受け22を介して可動子12の移動方向に摺動する。つまり、リニアモータや電磁サスペンション自体の加振力や、洗濯機からの過大な反力により、全ての構成部品は振動している。
【0039】
図8は、従来のリニアモータ10のコア11aと巻線方法の模式図である(例2)。コアバック部11a1は電磁鋼板をx-y平面でプレス加工し、z軸方向に積層し、門型構造で一体化するコアバック部11a1の中央部には、コアバック部11a1の一部が切欠かれた凹部111が形成されている。凹部111は、第1ティース部11a21及び第2ティース部11a22に対応するように形成されている。凹部111は、y軸方向においてティース部11a2(第1ティース部11a21,第2ティース部11a22)側から反ティース部側に向かって切欠かれて形成され、凹部111のティース部11a2側の開口入口部分におけるx軸方向(可動子の移動方向と直交する方向)の幅が、凹部111の奥側(反ティース部側)におけるx軸方向の幅よりも狭くなるように傾斜して形成されている。
【0040】
さらにティース部11a2は電磁鋼板をx-y平面で一体プレス加工し、z軸方向に積層する。ティース部11a2のコアバック部11a1側には、コアバック部11a1の凹部111に嵌合する凸部112が形成され、凸部112には凹部111の形状に合わせて傾斜部112aが形成されている。傾斜部112aは、コアバック部11a1側におけるx軸方向の幅が、反コアバック部側(ティース部側)におけるx軸方向の幅よりも広くなるように傾斜して形成されている。凹部111には、第1ティース部11a21,第2ティース部11a22のそれぞれに形成した凸部112が嵌合する。
【0041】
プレス加工で得られたティース部11a2の積層体には、予め加工した巻線11bを嵌合する。または巻線機を用いて、得られたティース部11a2の積層体に直接巻線加工を行う。最後に、巻線11bを備えたティース部11a2の積層体を、コアバック部11a1の積層体に空隙Sをあけて嵌合する。すなわち、ティース部11a2は、コアバック部11a1との対向位置に空隙を設けて配置している。ティース部11a2の積層体とコアバック部11a1の積層体の嵌合にあたっては、ティース部11a2の凸部112をz軸方向からコアバック部11a1の凹部111に挿入する。
【0042】
前述したように、リニアモータ10のシャフト21はリニアモータ10の固定子11と軸受け22を介して可動子12の移動方向に摺動する。つまり、リニアモータや電磁サスペンション自体の加振力や、洗濯機からの過大な反力により、全ての構成部品は振動している。
【0043】
ここでモータ、電磁サスペンション、及びこれらを用いた制振システムを製品化するには、性能が製品仕様を満たすことは当然であるが、品質保証も需要である。特に洗濯機などの白物家電は長期運転後でも各国の法令・規則を満足する品質を担保する必要がある。
【0044】
図7と
図8に示した従来例は長期品質試験において、振動によりティース部11a2と嵌合した巻線11bの絶縁が劣化し、長期使用時の品質を担保できない恐れがあることがわかった。詳細は後述する。
【0045】
図9は、第1実施形態に係る巻線方法の模式図である。導体を予めティース部11a2に嵌合できるサイズで巻回し、扁平コイル11b-1xを数個製作する。扁平コイル11b-1xは、中央部にティース部11a2を挿入する穴が形成されるように構成する。この時、扁平コイル11b-1xの厚みは、
図4に示した対向する第1ティース部11a21と第2ティース部11a22の距離よりも薄い。本実施形態ではこの距離のことをギャップ(所定の間隔)と称する。コイルの種類は銅線やアルミ線など既知の導体であればよい。また、表面に絶縁被膜が施工された所謂マグネットワイヤでも良い。更に、その上に、カプトンテープやモールド成形を用いたコイル形状を整え、絶縁性を高めても良い。
【0046】
図10は、第1実施形態に係る複数の扁平コイルの模式図である。図では扁平コイル11b-1xと同様のものを3個製作(扁平コイル11b-11,11b-12,11b-13)した場合を示しているが、3個に限定するものではなく、必要に応じて複数個設けるようにする。
【0047】
図11は、第1実施形態に係るリニアモータのコアへ扁平コイルを嵌合する動作を示す模式図である。コア11aは電磁鋼板をx-y平面でプレス加工し、z軸方向に積層した門型一体構造であり、コアバック部11a1と、ティース部11a2と、シャフト21を固定する軸受け22用の穴も全てが一体成型された門型構造となっている。これにより、一体構造のコアの機械強度は、
図7や
図8に示した従来例よりも大きい。
【0048】
3個の扁平コイル11b-11,11b-12,11b-13は、1個ずつコア11aのギャップ部の隙間を利用して挿入し、扁平コイルの中央部に形成した穴の位置をティースに合わせ、上方向に押し上げることで上方の第1ティース部11a21へ嵌合する。
【0049】
また、同様に扁平コイルを下方向に押し下げることによって下方の第2ティース部11a22へ嵌合する。
【0050】
図12は、第1実施形態に係るリニアモータの複数の扁平コイルの配線に関する模式図である。
図12では、6つの扁平コイル11b-11から扁平コイル11b-16を作製した。扁平コイル11b-11から扁平コイル11b-13の3コイル(第1電機子巻線)を上方の第1ティース部11a21へ嵌合し、扁平コイル11b-14から扁平コイル11b-16の3コイル(第2電機子巻線)を下方の第2ティース部11a22へ嵌合している。各扁平コイルのコイル端は図中の-z軸方向に12本突出している(図では見えている一部のみ記載)。すなわち、コイル端はリニアモータに対し同一面に配置している。
【0051】
ここで、-z軸方向から、例えば予め金属端子・回路を備えた樹脂板などを押さえ付け、適宜固定すれば12本の端子は一体化し、導通を取ることが可能となる。
【0052】
さらに、コイルは、金属端子・回路を備えた樹脂版などを用いず、12個のコイル端を適宜結線しても良い。あるいは、コイル端12個をそのままモータ外へ導き、そこで結線しても良い。つまり、公知の手段で6個の扁平コイルを結線し、通電が取れれば良い。
【0053】
図13は、第1実施形態の変形例に係るリニアモータの扁平コイルの模式図である。扁平コイル11b-1xは図中+z軸方向に2つのコイル端がある。扁平コイル11b-2xは図中-z軸方向に1つのコイル端があり、+z軸方向にもう1つのコイル端がある。扁平コイル11b-3xは図中-z軸方向に2つのコイル端がある。
【0054】
図14Aは、第1実施形態の変形例に係るリニアモータの複数の扁平コイルを結線する例1を示す模式図である。
図14Aは、
図9で示した扁平コイル11b-1xを上から6つ配置した場合である。
図14Aにおいて、扁平コイル11b-11の左側(-x軸方向)にあるコイル端は、扁平コイル11b-12の右側(+x軸方向)にあるコイル端に接続する。扁平コイル11b-12の左側(-x軸方向)にあるコイル端は、扁平コイル11b-13の右側(+x軸方向)にあるコイル端に接続する。同様に、扁平コイル11b-13の左側(-x軸方向)にあるコイル端は、扁平コイル11b-13’の右側(+x軸方向)にあるコイル端に接続する。このように、コイル端は斜めに亘って結線され、斜めに複数の亘線が配置される。すなわち、
図14Aでは、コイル端はリニアモータに対し同一面に配置している。
【0055】
亘線のスペースを小さくし、結線を簡略化するために、例えば
図14Bの手法がある。
【0056】
図14Bは、第1実施形態の変形例に係るリニアモータの複数の扁平コイルを結線する例2を示す模式図である。
図14Bは、
図13で示した扁平コイルを、上から順番に、扁平コイル11b-1x、扁平コイル11b-2x、扁平コイル11b-3x、扁平コイル11b-3x、扁平コイル11b-2x、扁平コイル11b-1xと配置した場合である。説明の都合上、下側の3つの扁平コイル11b-3x、扁平コイル11b-2x、扁平コイル11b-1xをそれぞれ扁平コイル11b-3x’、扁平コイル11b-2x’、扁平コイル11b-1x’として説明する。
【0057】
図14Bにおいて、扁平コイル11b-1xの手前側(+z軸方向)で且つ左側(-x軸方向)にあるコイル端は、扁平コイル11b-2xの手前側(+z軸方向)で且つ左側(-x軸方向)にあるコイル端に接続する。
【0058】
図示はしないが、扁平コイル11b-2xの奥側(-z軸方向)で且つ左側(-x軸方向)にあるコイル端は、扁平コイル11b-3xの奥側(-z軸方向)で且つ左側(-x軸方向)にあるコイル端に接続する。
【0059】
扁平コイル11b-3xの奥側(-z軸方向)で且つ右側(+x軸方向)にあるコイル端は、扁平コイル11b-3x’の奥側(-z軸方向)で且つ右側(+x軸方向)にあるコイル端に接続する。
【0060】
図示はしないが、扁平コイル11b-3x’の奥側(-z軸方向)で且つ左側(-x軸方向)にあるコイル端は、扁平コイル11b-2x’の奥側(-z軸方向)で且つ左側(-x軸方向)にあるコイル端に接続する。
【0061】
扁平コイル11b-2x’の手前(+z軸方向)で且つ左側(-x軸方向)にあるコイル端は、扁平コイル11b-1x’の手前(+z軸方向)で且つ左側(-x軸方向)にあるコイル端に接続する。そして、扁平コイル11b-1x’の手前(+z軸方向)で且つ右側(+x軸方向)にあるコイル端が引き出される。すなわち、
図14Bでは、コイル端はリニアモータに対し2面以上に配置している。
【0062】
上記のように構成すると、亘線は短くなり、かつ結線個所が+z軸側、-z軸側に分散でき、亘線がモータ内に綺麗に収まる。端子への接続は最上段と最下段の扁平コイル11b-1x,11b-1x’の片方のコイル端を用いることができる。
【0063】
つまり、扁平コイルのコイル端の向きは、適用するモータに応じて適宜設計し、組み合わせればよい。また、ここでは1つの第1ティース部11a21または第2ティース部11a22に3つの扁平コイルを適用する例を示したが、個数は3つに限定されるものではなく、モータの使用に合わせ適宜選択すれば良い。
【0064】
図15は、第1実施形態の変形例2に係るリニアモータの複数の扁平コイルを結線する例2を示す模式図である。
図15では、1本の、所謂、モータ用のマグネットワイヤ(被膜処理した銅線)を用い、扁平コイル11b-A1から扁平コイル11b-A6までを間隔を空けながら、予め巻回する(切断/接合の無い1本の銅線)。このようにして、扁平コイルが6つ連なった扁平コイル群11b-Aを得る。すなわち、
図15では、6コイルを1本の連続した巻線で構成し、6コイルを数珠つなぎ状にしている。
【0065】
また、扁平コイルは、上方の第1ティース部11a21へ嵌合された3コイル(扁平コイル11b-A1,11b-A2,11b-A3)を第1コイル群として1本の連続した巻線で構成し、下方の第2ティース部11a22へ嵌合された3コイル(扁平コイル11b-A4,11b-A5,11b-A6)を第2コイル群として1本の連続した巻線で構成しても良い。なお、各扁平コイルの厚みは、
図4に示したギャップ(所定の厚み)よりも薄い。
【0066】
図16は、第1実施形態の変形例2に係るリニアモータのコアへ扁平コイル群を嵌合する動作を示す模式図である。扁平コイル群11b-Aの各扁平コイルを、コア11aのギャップ部より、知恵の輪や綾取りの要領で挿入し、第1ティース部11a21へ嵌合する。各扁平コイル間の隙間は挿入時の遊び代となる。以上により複数の扁平コイル群を個別に結線することなく、簡易にリニアモータへの巻線が可能となる。
【0067】
〈第1実施形態の効果〉
以上のように第1実施形態のリニアモータ10によれば、コアバック部11a1は、磁気回路として重要なティース部11a2と、機械強度部品として重要なシャフト21を保持する軸受け22を保持する部位を、門型の一体構造で提供できる。つまり、外力に対してティース部11a2の位置や形状が変形することはない。また、外力に対しシャフトの固定部(軸受け22とコアバック部11a1の位置関係)は変化しない。
【0068】
さらに、コアバック部11a1は門型構造とすることで強度アップとなっている。これにより、モータ特性の改善、機械強度の改善が見込める。
【0069】
[第2実施形態]
〈第2実施形態の構成〉
図17は、第2実施形態に係る電磁サスペンション100の斜視図である。なお、以下の説明において、前述した第1実施形態の各部に対応する部分には同一の符号を付し、その説明を省略する場合がある。
【0070】
電磁サスペンション100は、第1実施形態によるリニアモータ10と、弾性体20と、を備えている。そして、リニアモータ10の可動子12の一端は、制振対象物に結合される。ここで、制振対象物とは、電磁サスペンション100によって振動を抑制しようとする対象物であり、図示の例において制振対象物は、洗濯機W(
図18参照)の外槽37である。
【0071】
また、リニアモータ10の固定子11は、他の固定治具(図示せず)によって、その移動が規制されている。従って、洗濯機の外槽37がz軸方向に振動すると、それに伴って可動子12がz軸方向に沿って往復し、可動子12と固定子11との相対的な位置関係が変化する。
【0072】
また、第2実施形態においては、弾性体20として金属製の巻バネを適用した。ここで、弾性体20は、固定子11に弾性力を付与するものであり、固定子11とシャフト固定金具23との間に介在している。
図17に示すように、可動子12は、固定子11を貫通するとともに、弾性体20も貫通している。なお、弾性体20は、可動子12を付勢するようにしても良い。
【0073】
弾性体20は、リニアモータ10の非通電状態においても、外槽37を洗濯機内の所定の位置に保持できるバネ力を備えている。これにより、万が一、制御ミスにより可動子12がz軸上方に突き抜けかけた場合においても、外槽37の自重と、弾性体20のバネ力により、可動子12を押し戻す力が働く。同様に可動子12がz軸下方に突き抜けかけた場合は、弾性体20のバネ力により、押し戻される。すなわち、弾性体20が制御のフェールセーフ性を確保し、可動子12の両端にストッパーのような部材を配置することなく、ロバスト性を高めることができる。
【0074】
なお、第2実施形態では電磁サスペンション2本を適用した事例を示したが、本数は何本でも構わない。また、電磁サスペンションのみで指示した事例であるが、油圧サスペンション1本と、電磁サスペンション1本の組み合わせやとしても構わない。さらには、油圧ダンパ以外の減衰力を有するアクチュエータと組み合わせても構わない。
【0075】
〈第2実施形態の効果〉
以上のように、第2実施形態の電磁サスペンション100は、第1実施形態によるリニアモータ10と、固定子11または可動子12を移動方向(z軸方向)に付勢する弾性体20と、を有する。特に、弾性体20は、金属製の巻バネを含む。これにより、リニアモータ10の非通電状態においても、リニアモータ10を所定の位置に保持でき、リニアモータ10の動作時においても、可動子12の突き抜けを防止することができる。
【0076】
[第3実施形態]
〈第3実施形態の構成〉
(全体構成)
図18は、第3実施形態に係る洗濯機Wの斜視図である。
図18に示す洗濯機Wは、ドラム式の洗濯機であり、また、衣類を乾燥する機能も有している。洗濯機Wは、ベース31と、筐体32と、ドア33と、操作・表示パネル34と、外槽37と、一対の電磁サスペンション100L,100Rと、排水ホースHと、を備えている。ここで、電磁サスペンション100L,100Rは、それぞれ第2実施形態における電磁サスペンション100と同様に構成されている。
【0077】
筐体32は、左右の側板32a,32aと、前面カバー32bと、背面カバー32c(
図19参照)と、上面カバー32dと、を備えている。ベース31は、筐体32を支持するものである。前面カバー32bの中央付近には、衣類の出し入れを行うための円形の投入口h1(
図19参照)が形成されている。ドア33は、この投入口h1に設けられる開閉可能な蓋である。
【0078】
図19は、第3実施形態に係る洗濯機Wの縦断面図である。洗濯機Wは、前述した構成の他に、衣類を収容する洗濯槽35と、リフタ36と、駆動機構38と、送風ユニット39と、を備えている。洗濯槽35は、衣類を収容するものであり、有底円筒状を呈している。洗濯槽35は、外槽37に内包され、この外槽37と同軸上で回転自在に軸支されている。洗濯槽35の周壁および底壁には、通水・通風のための貫通孔(図示せず)が多数設けられている。また、洗濯槽35の開口h2は、外槽37の開口h3とともに、閉状態のドア33に臨んでいる。
【0079】
なお、
図19に示す例において洗濯槽35の回転中心軸は、開口側が高くなるように傾斜しているが、本発明はこれに限定されるわけではない。すなわち、洗濯槽35の回転中心軸は、水平方向または鉛直方向であってもよい。リフタ36は、洗濯中・乾燥中に衣類を持ち上げて落下させるものであり、洗濯槽35の内周壁に設置されている。外槽37は、洗濯水の貯留等を行うものであり、有底円筒状を呈している。
図19に示すように、外槽37は、洗濯槽35を内包している。
【0080】
また、
図18に示したように、外槽37の左右には、電磁サスペンション100L,100Rが配置されているが、
図19においては、左側の電磁サスペンション100Lのみを示している。また、外槽37の底壁の最下部には排水孔(図示せず)が設けられ、この排水孔に排水ホースHが接続されている。そして、排水ホースHに設けられた排水弁(図示せず)が閉弁された状態で外槽37に洗濯水が貯留され、また、排水弁が開弁されることで洗濯水が排出されるようになっている。
【0081】
駆動機構38は、洗濯槽35を回転させる機構であり、外槽37の底壁の外側に設置されている。駆動機構38が備えるモータの回転軸は、外槽37の底壁を貫通して、洗濯槽35の底壁に連結されている。送風ユニット39は、洗濯槽35に温風を送り込むものであり、洗濯槽35の上側に配置されている。送風ユニット39は、ヒータ(図示せず)およびファン(図示せず)を備えている。そして、ヒータで熱せられた空気が、ファンによって洗濯槽35に送り込まれる。これによって、水を含んだ衣類が、洗濯槽35内で徐々に乾燥する。
【0082】
ここで、外槽37の振動、すなわち洗濯機Wの振動について簡単に説明する。洗い・すすぎ・乾燥時には、
図19に示す駆動機構38によって洗濯槽35が低速回転し、洗濯槽35の底に溜まった衣類をリフタ36によって持ち上げて落下させるタンブリング動作が繰り返される。また、脱水時には洗濯槽35が高速回転し、回転による遠心力で衣類の水分を外に押し出す遠心脱水が行われる。
【0083】
なお、従来の洗濯機では、洗い・すすぎ・乾燥時において、落下する衣類の反力で洗濯槽35の振動の振幅が大きくなることが多かった。また、従来の洗濯機では、脱水時において、衣類の位置の偏りに起因して、洗濯機Wで振動・騒音が発生することが多かった。このように、洗濯槽35における衣類の量や位置の偏り、含水率の他、洗い・すすぎ・乾燥・脱水等の諸条件によって、洗濯機Wの振動の仕方は時々刻々と変化する。その振動は外槽37に伝播する。
【0084】
(制振装置200の構成)
図20は、第3実施形態に適用される制振装置200の構成図である。
図20において制振装置200は、インバータ40と、電流検出器50と、推力調整部60と、整流回路70と、左右の電磁サスペンション100L,100Rと、を備えている。制振装置200は、制振対象物Gの振動を抑制するものである。なお、第3実施形態においては、制振対象物Gは、洗濯機Wの外槽37(
図18、
図19参照)である。
【0085】
図20においては、左右の電磁サスペンション100L,100Rを一つの枠で表している。また、電磁サスペンション100L,100Rに含まれるリニアモータ10を、それぞれリニアモータ10L,10Rと呼ぶ。同様に、電磁サスペンション100L,100Rに含まれる弾性体20を、弾性体20L,20Rと呼ぶ。
【0086】
整流回路70は、交流電源Eによって印加された交流電圧を整流し、インバータ40に直流電圧を印加する。なお、交流電源Eと整流回路70とを合わせて直流電源であると考えてもよい。インバータ40は、整流回路70から印加される直流電圧を、推力調整部60からの電圧指令V*に基づいて単相交流電圧に変換し、この単相交流電圧をリニアモータ10L,10Rの巻線11b(
図1参照)に印加する。換言すれば、インバータ40は、電圧指令V*に基づいて、リニアモータ10L,10Rを駆動する機能を有している。
【0087】
図21は、制振装置200の要部を示す構成図である。整流回路70は、交流電源Eから印加される交流電圧を直流電圧に変換する周知の倍電圧整流回路である。
図21に示すように、整流回路70は、ダイオードD1~D4をブリッジ接続してなるダイオードブリッジ回路72と、直列接続された2つの平滑コンデンサ74,76と、を備えている。また、
図19に示した駆動機構38は、
図21に示すように、インバータ38aと、モータ38bと、を備えている。
【0088】
そして、ダイオードブリッジ回路72によって生成される電圧(脈流を含む直流電圧)が、平滑コンデンサ74,76によって平滑化され、交流電源Eの電圧の略2倍に相当する直流電圧が生成される。整流回路70は、正側の配線k1と、負側の配線k2を介してインバータ40に接続されるとともに、洗濯槽35(
図19参照)を回転させる駆動機構38のインバータ38aにも接続されている。
【0089】
インバータ40は、整流回路70から印加される直流電圧を二系統の単相交流電圧に変換し、これら二系統の単相交流電圧を各々リニアモータ10L,10Rの巻線11b(
図1参照)に印加するインバータである。
【0090】
図21に示すように、インバータ40は、スイッチング素子SW1,SW2を備える第1のレグと、スイッチング素子SW3,SW4を備える第2のレグと、スイッチング素子SW5,SW6を備える第3のレグと、が並列接続された構成になっている。これらのスイッチング素子SW1~SW6として、例えば、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)を用いることができる。スイッチング素子SW1~SW6には、それぞれ、還流ダイオードDが逆並列に接続されている。
【0091】
また、スイッチング素子SW1,SW2の接続点は、配線k3を介して、リニアモータ10Lの巻線11b(
図1参照)に接続されている。すなわち、三相のインバータ40の一相分に対応するレグが、左側のリニアモータ10Lに接続されている。また、スイッチング素子SW5,SW6の接続点は、配線k5を介して、リニアモータ10Rの巻線11b(
図1参照)に接続されている。すなわち、三相のインバータ40の一相分に対応する別のレグが、右側のリニアモータ10Lに接続されている。
【0092】
また、スイッチング素子SW3,SW4の接続点は、配線k4を介してリニアモータ10Lの巻線11b(
図1参照)に接続されるとともに、この配線k4を介してリニアモータ10Rの巻線11bにも接続されている。すなわち、3相インバータ40の残りのレグが、左右のリニアモータ10L,10Rに接続されている。
【0093】
このように、左右のリニアモータ10L,10Rに対応して別々にインバータを設けるのではなく、左右を一つのインバータ40として共通化することで、インバータ40のコストを削減できる。そして、PWM(Pulse Width Modulation)制御に基づいてスイッチング素子SW1~SW6のオン・オフが制御されることで、リニアモータ10L,10Rの巻線11b(
図1参照)に単相交流電圧が印加されるようになっている。
【0094】
電流検出器50は、リニアモータ10L,10Rに通電される電流を検出するものであり、配線k4に挿入されている。すなわち、電流検出器50によって、リニアモータ10L,10Rの巻線11b(
図1参照)に流れる電流が検出される。
【0095】
(推力調整部60)
図20に示す推力調整部60は、図示は省略するが、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、各種インタフェース等の電子回路を含んで構成されている。そして、ROMに記憶されたプログラムを読み出してRAMに展開し、CPUが各種処理を実行するようになっている。
【0096】
図20において、推力調整部60は、電流検出器50によって検出される電流iに基づき、インバータ40を駆動することによって、リニアモータ10L,10Rの推力を調整する機能を有している。すなわち、推力調整部60は、インバータ40のデッドタイム中に電流検出器50を流れる電流iの極性を検出する。電流iの極性は、リニアモータ10L,10Rの移動方向を示している。
【0097】
そこで、推力調整部60は、リニアモータ10L,10Rの移動を抑制する方向の電圧指令V*を生成し、この電圧指令V*に基づいてスイッチング素子SW1~SW6のオン・オフを切り替える。これにより、推力調整部60は、外槽37(
図19参照)の振動に伴って可動子12と固定子11との相対位置が変化すると、この変化を打ち消すようにリニアモータ10L,10Rの推力を調整する機能を有している。
【0098】
〈第3実施形態の効果〉
以上のように、第3実施形態の洗濯機Wは、第2実施形態による電磁サスペンション100L,100Rと、電機子巻線(巻線11b)に交流電流を供給するインバータ40と、電機子巻線に流れる電流を検出する電流検出器50と、電流検出器50によって検出される電流に基づいてインバータ40を制御することによってリニアモータ10の推力を調整する推力調整部60と、をさらに備える。
【0099】
これにより、電流検出器50によって電機子巻線に流れる電流を検出することができ、固定子11および可動子12の相対運動を抑制するように、リニアモータ10の推力を調整することができる。
【0100】
さらに、第3実施形態の洗濯機Wは、衣類を収容する洗濯槽35と、洗濯槽35を内包する外槽37と、洗濯槽を回転させる駆動機構38と、を備え、電磁サスペンション100L,100Rは外槽37の振動を抑制する。
【0101】
これにより、第3実施形態によれば、比較的簡素な構成で外槽37の振動を抑制することができる。また、第3実施形態によれば、可動子12の位置を検出する位置センサを設ける必要がないため、洗濯機Wの低コスト化を図ることができる。また、リニアモータ10L,10Rの構成要素である固定子11および可動子12は、損傷や摩耗がほとんど発生しないため、電磁サスペンション100L,100Rの耐久性を高めることができる。
【0102】
また、第3実施形態によれば、左右のリニアモータ10L,10Rに印加される単相交流電圧を、6個のスイッチング素子を有する1台のインバータ40によって生成することができる。仮に、左右のリニアモータ10L,10Rに対応して個別にインバータを設けると、8個のスイッチング素子が必要になる。従って、第3実施形態によれば、左右のリニアモータ10L,10Rに対応して個別にインバータを設ける構成と比較して、洗濯機Wの低コスト化を図ることができる。
【0103】
[第4実施形態]
次に、第4実施形態に係る洗濯機について説明する。第4実施形態の洗濯機の構成および動作は、第3実施形態のもの(
図18~
図21参照)と同様である。但し、第4実施形態において、推力調整部60(
図20参照)は、電流検出器50の出力信号に基づいて左右のリニアモータ10L,10Rの振動周波数を検出し、振動周波数に応じてインバータ40の出力電流を変化させる点が異なる。
【0104】
まず、前述した第3実施形態においては、リニアモータ10L,10Rの振動周波数に基づいて、インバータ40の出力電流を変化させるものではなかった。すなわち、リニアモータ10L,10Rを「ダンパ」と考えた場合、第3実施形態においてダンパの粘性減衰係数C[Ns/m]は、振動周波数に関わらず一定になる。一方、第4実施形態においては、リニアモータ10L,10Rの振動周波数に応じて粘性減衰係数C[Ns/m]を変化させる。その詳細について、以下説明する。
【0105】
電磁サスペンション100の運動方程式は、式(1)で表される。なお、式(1)に示すFD[N]は、電磁サスペンション100で発生する力(すなわち、リニアモータ10の推力)である。また、x[m]は、可動子12の位置である。
【0106】
【0107】
また、リニアモータ10の推力の運動方程式は、式(2)で表される。なお、FL[N]はリニアモータ10の推力であり、Ke[N/A]はリニアモータ10のモータ定数である。また、I[A]は巻線11b(
図1参照)に流れる電流であり、V[V]は巻線11bに印加される電圧である。また、R[Ω]は巻線11bの抵抗であり、φ[T]は巻線11bで発生する磁束である。
【0108】
【0109】
ここで、式(1)の力FDと、式(2)の推力FLと、は等価であるため、以下の式(3)が導かれる。なお、C[N・m/s]は、リニアモータ10の粘性減衰係数である。
【0110】
【0111】
ここで、制振対象物Dtの重力エネルギ(電磁サスペンションから見た外力)について概算する。製品カタログ(日立グローバルライフソリューションズ株式会社の洗濯機・衣類乾燥機 総合カタログ2019-夏)によれば、最大洗濯量12kgのドラム洗濯機の質量は82kgとなっている。概算すると外槽37、洗濯槽35、駆動機構38など機構部品の質量は約70kgである。また、洗濯物12kgに対し約40Lが注水されたと仮定すると、合計122kgの質量が存在し、重力エネルギは1.2kNとなる。つまり、電磁サスペンション2本を適用した場合は、洗濯開始時に約600N/本の荷重がかかった状態で、電磁サスペンションは
図11のz軸方向だけでなく、x軸方向、y軸方向に外力を受ける。さらに、これら外力を相殺するだけの力を電磁サスペンションは時々刻々と発生し続けている。
【0112】
また脱水時は、残存した水分を含んだ洗濯物が洗濯槽35内で偏ることで発生する回転アンバランス起因の遠心力を制振する必要がある。この間も電磁サスペンションは
図17のz軸方向だけでなく、x軸方向、y軸方向に外力を受ける。
【0113】
図22は、粘性減衰係数Cが一定であるオイルダンパを用いた比較例1において、洗濯槽35の回転速度と洗濯機Wの変位(振動)の変化を示す実験結果である。x軸は洗濯機Wの回転速度ゼロから最高回転速度までの範囲をパーセント表示としている。y軸は洗濯機Wの変位(振動)を回転速度ゼロの値を0とした場合の相対値で示している。なお、
図22に係る実験では、洗濯槽35内の偏った所定位置に1kgの衣類を置いた状態で、洗濯槽35を回転させた(後述する
図19も同様)。
【0114】
図22に示すように、比較例の構成では、洗濯槽35の回転速度が大きくなるにつれて、洗濯機Wの振幅が変化している。具体的には、洗濯槽35の回転速度をゼロから増加させると、約5[%]の回転速度において外槽37の振幅が一旦減少し、約10[%]の回転速度において洗濯機Wの振幅が急激に大きくなって最大振幅になっている。また、10~17[%]の回転速度において洗濯機Wの振幅が増加し、20[%]以上の領域では、洗濯槽35の回転速度が大きくなるにつれて、洗濯機Wの振幅は小さくなっている。
【0115】
図23は、
図7に示した従来の電磁サスペンションを第4実施形態に適用した状態における洗濯槽35の回転速度と洗濯機Wの変位(振動)の変化を示す実験結果である。
図23における実験では、洗濯槽35の回転速度が高いほど(すなわち、外槽37の振動周波数fが高いほど)、リニアモータ10の粘性減衰係数Cが小さくなるように、インバータ40のデューティ比を制御した。
【0116】
図23に示すように、洗濯槽35の回転速度が約10[%]のときの洗濯機Wの最大振幅は約5[PU]であり、
図22に示す比較例1の最大振幅(約10[PU])の半分程度になっている。また、洗濯槽35の回転速度が50[%]以上の領域では、洗濯機Wの振幅が1[PU]程度になっている。このように、第4実施形態によれば、粘性減衰係数Cを可変制御することによって、粘性減衰係数Cが一定であるオイルダンパを用いた比較例よりも洗濯機Wの振動を効果的に抑制できる。
【0117】
図24は、第2実施形態における電磁サスペンションを第4実施形態に適用した状態における洗濯槽35の回転速度と洗濯機Wの変位(振動)の変化を示す実験結果である。
図24における実験では、洗濯槽35の回転速度が高いほど(すなわち、外槽37の振動周波数fが高いほど)、リニアモータ10の粘性減衰係数Cが小さくなるように、インバータ40のデューティ比を制御した。
【0118】
図24の波形は、明らかに
図22や
図23よりも外槽の変位量が小さい。また、全ての回転速度において効果を発揮している。以上のように第4実施形態の電磁サスペンション100を適用した洗濯機Wよれば、制振性の高い洗濯機を提供できる。
【0119】
[変形例]
本発明は前述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。前述した実施形態は本発明を理解しやすく説明するために例示したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について削除し、もしくは他の構成の追加・置換をすることが可能である。また、図中に示した制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上で必要な全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。上記実施形態に対して可能な変形は、例えば以下のようなものである。
【0120】
(1)前記各実施形態においては、
図5に示したように、1個の矩形板状のフレーム122に、2個の矩形板状の磁石124a、124b、を嵌め込んで可動子12を構成した。しかし、1個のフレーム122に、1個の磁石を装着してもよい。また、複数のフレームの各々に複数の磁石を装着してもよい。また、フレーム122および磁石124の形状は矩形板状に限られるものではなく、様々な形状のものを採用することができる。
【0121】
(2)また、
図5において、磁石124のS極およびN極、第1ティース部11a21,第2ティース部11a22の磁化方向を逆にしてもよい。
【0122】
(3)また、上記第3,第4実施形態においては、電磁サスペンション100を洗濯機Wの制振に適用した例を説明したが、電磁サスペンション100は、空気調和機、冷蔵庫等の家電製品や、鉄道車両、自動車等にも適用することができる。
【0123】
(4)また、上記各実施形態においては、単相交流電流でリニアモータ10を駆動する構成について説明したが、例えば、3相交流電流でリニアモータ10を駆動してもよい。
【符号の説明】
【0124】
11…固定子、11a…コア、11a1…コアバック部、11a2…ティース部、11a21…第1ティース部、11a22…第2ティース部、11a3…ティーストップ部、11b…巻線、11b-11,11b-12,11b-13,11b-14,11b-15,11b-16…扁平コイル、11b-1x,11b-2x,11b-3x…扁平コイル、11b-A…扁平コイル群、11b-A1,11b-A2,11b-A3,11b-A4,11b-A5,11b-A6…扁平コイル、12…可動子、20,20L,20R…弾性体、21…シャフト、22…軸受け、23…シャフト固定金具、31…ベース、32…筐体、32a…側板、32b…前面カバー、32c…背面カバー、32d…上面カバー、33…ドア、34…操作・表示パネル、35…洗濯槽、36…リフタ、37…外槽、38…駆動機構、38a…インバータ、38b…モータ、39…送風ユニット、40…インバータ、50…電流検出器、60…推力調整部、70…整流回路、72…ダイオードブリッジ回路、74,76…平滑コンデンサ、100,100L,100R…電磁サスペンション、111…凹部、112…凸部、112a…傾斜部、122…フレーム、122f…表面、122h…貫通孔、122r…裏面、124,124a,124b…磁石、200…制振装置、W…洗濯機