(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022188407
(43)【公開日】2022-12-21
(54)【発明の名称】ロボット
(51)【国際特許分類】
B25J 19/02 20060101AFI20221214BHJP
B25J 19/06 20060101ALI20221214BHJP
【FI】
B25J19/02
B25J19/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021096410
(22)【出願日】2021-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】000004204
【氏名又は名称】日本精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】千葉 玄明
(72)【発明者】
【氏名】勅使河原 誠一
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707BS09
3C707CX01
3C707CY06
3C707KS31
3C707KW03
3C707KX09
3C707MS07
(57)【要約】
【課題】衝突感知精度を向上すること。
【解決手段】ロボット1は、可動機構を構成する内骨格部2と、内骨格部2の周囲を覆う外骨格部3と、内骨格部2と外骨格部3の間に形成された空間部4と、空間部4に配置されて外骨格部3の変形に伴う空間部4の圧力の変化を検出する検出部5と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可動機構を構成する内骨格部と、
前記内骨格部の周囲を覆う外骨格部と、
前記内骨格部と前記外骨格部の間に形成された空間部と、
前記空間部に配置されて前記外骨格部の変形に伴う前記空間部の圧力の変化を検出する検出部と、
を備える、ロボット。
【請求項2】
前記検出部は、ケーブルが前記空間部または前記内骨格部の内部に配線される、請求項1に記載のロボット。
【請求項3】
前記外骨格部および前記検出部は、前記内骨格部の可動部ごとに配置される、請求項1または2に記載のロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、接触検出装置として、変形による空気圧または空気流をパターン化し、センサ自体の異常またはセンサ構成体であるかの異常を判断することについて開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のロボットにおける衝突検知方法は、ロボットに内蔵した高感度なトルクセンサの出力を用いるか、接触センサ内蔵の外装で覆う方法がある。しかし、トルクセンサの出力による方法は、例えば、通常時を超えるようなトルクの出力によって衝突を判断するため、人との衝突の場合は人に危害が生じるおそれがある。一方、接触センサ内蔵の外装で覆う方法は、可動部への配置が難しい場合があり、当該可動部に不感帯が生じる。また、衝突検知を確実に行うには、センサの個数を多数配置する必要があり、センサを配置する作業工数が多くなる。
【0005】
本開示は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、衝突感知精度を向上することのできるロボットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するための本開示の一態様のロボットは、可動機構を構成する内骨格部と、前記内骨格部の周囲を覆う外骨格部と、前記内骨格部と前記外骨格部の間に形成された空間部と、前記空間部に配置されて前記外骨格部の変形に伴う前記空間部の圧力の変化を検出する検出部と、を備える。
【0007】
上記ロボットの望ましい態様として、前記検出部は、ケーブルが前記空間部または前記内骨格部の内部に配線される。
【0008】
上記ロボットの望ましい態様として、前記外骨格部および前記検出部は、前記内骨格部の可動部ごとに配置される。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、衝突感知精度を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施形態のロボットの構成例を表す斜視図である。
【
図2】
図2は、実施形態のロボットの断面図である。
【
図3】
図3は、実施形態のロボットの分解断面図である。
【
図4】
図4は、実施形態のロボットの一部分解斜視図である。
【
図5】
図5は、実施形態のロボットの一部分解斜視図である。
【
図6】
図6は、実施形態のロボットの一部分解斜視図である。
【
図7】
図7は、実施形態のロボットの検出部の検出動作を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に図面を参照して、本開示に係る好適な実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではなく、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせて構成するものも含むものである。また、実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。
【0012】
図1は、実施形態のロボットの構成例を表す斜視図である。
図2は、実施形態のロボットの断面図である。
図3は、実施形態のロボットの分解断面図である。
図4は、実施形態のロボットの一部分解斜視図である。
図5は、実施形態のロボットの一部分解斜視図である。
図6は、実施形態のロボットの一部分解斜視図である。
図7は、実施形態のロボットの検出部の検出動作を表す図である。
【0013】
図1から
図6において、ロボット1は、多関節のロボットアームの一部を示している。ロボット1は、例えば、主に公共空間や家庭などで働くサービスロボットや、主に工場などで働く産業用ロボットや、医療分野で働く医療ロボットや、人間と協力して働く協働ロボットに適用が可能である。
【0014】
実施形態のロボット1は、可動機構を構成する内骨格部2と、内骨格部2の周囲を覆う外骨格部3と、内骨格部2と外骨格部3の間に形成された空間部4と、検出部5と、を備える。
【0015】
内骨格部2は、本実施形態では、第一内骨格部2A、第二内骨格部2B、第三内骨格部2C、第四内骨格部2D、および第五内骨格部2Eを有する。第一内骨格部2A、第二内骨格部2B、第三内骨格部2C、第四内骨格部2D、および第五内骨格部2Eは、それぞれ可動部として構成される。
【0016】
第一内骨格部2Aは、アクチュエータによって構成される。第一内骨格部2Aは、実施形態ではサーボモータを有する本体部2Aaを有する。本体部2Aaは、軸S1を中心とした円柱形状に形成されている。第一内骨格部2Aは、本体部2Aaのサーボモータによって軸S1の廻りに回転可能に設けられた回転軸部2Abを有する。第一内骨格部2Aは、本体部2Aaの側部に設けられて他の内骨格部(図示省略)に固定される固定部2Acを有する。
【0017】
第二内骨格部2Bは、軸S1が延びる方向、および軸S1と交差(直交)する軸S2が延びる方向に延びるように折れ曲がって形成された円筒曲管状の本体部2Baを有する。本体部2Baは、アルミ合金やステンレス合金や炭素鋼などによって剛構造に構成される。本体部2Baの各端部は、一方が第一内骨格部2Aの回転軸部2Abに固定される固定部2Bbとして構成され、他方が第三内骨格部2Cに固定される固定部2Bcとして構成される。固定部2Bbは、複数のネジR2によって回転軸部2Abに固定される。固定部2Bcは、複数のネジR3によって第三内骨格部2Cに固定される。従って、第二内骨格部2Bは、第一内骨格部2Aの回転軸部2Abの回転に伴って軸S1の廻りに回転する。
【0018】
第三内骨格部2Cは、軸S2が延びる方向に延びる円筒直管状の本体部2Caを有する。本体部2Caは、アルミ合金やステンレス合金や炭素鋼などによって剛構造に構成される。本体部2Caの各端部は、一方が第二内骨格部2Bの固定部2Bcに固定される固定部2Cbとして構成され、他方が第四内骨格部2Dに固定される固定部2Ccとして構成される。固定部2Cbは、複数のネジR3によって第二内骨格部2Bの固定部2Bcに固定される。固定部2Ccは、複数のネジR6によって第四内骨格部2Dに固定される。従って、第三内骨格部2Cは、第二内骨格部2Bと共に、第一内骨格部2Aの回転軸部2Abの回転に伴って軸S1の廻りに回転する。
【0019】
第四内骨格部2Dは、アクチュエータによって構成される。第四内骨格部2Dは、実施形態ではサーボモータを有する円柱形状の本体部2Daを有する。本体部2Daは、軸S2と交差(直交)する軸S3を中心とした円柱形状に形成されている。第四内骨格部2Dは、本体部2Daのサーボモータによって軸S3の廻りに回転可能に設けられた回転軸部2Dbを有する。第四内骨格部2Dは、本体部2Daの側部に設けられて第三内骨格部2Cの固定部2Ccに固定される固定部2Dcを有する。回転軸部2Dbは、第五内骨格部2Eに複数のネジR9によって固定される。固定部2Dcは、複数のネジR6によって第三内骨格部2Cの固定部2Ccに固定される。従って、第四内骨格部2Dは、第二内骨格部2Bおよび第三内骨格部2Cと共に、第一内骨格部2Aの回転軸部2Abの回転に伴って軸S1の廻りに回転する。
【0020】
第五内骨格部2Eは、アクチュエータによって構成される。第五内骨格部2Eは、実施形態ではサーボモータを有する円柱形状の本体部2Eaを有する。本体部2Eaは、軸S3と交差(直交)する軸S4を中心とした円柱形状に形成されている。第五内骨格部2Eは、本体部2Eaのサーボモータによって軸S4の廻りに回転可能に設けられた回転軸部2Ebを有する。第五内骨格部2Eは、本体部2Eaの側部に設けられて第四内骨格部2Dの回転軸部2Dbに固定される固定部2Ecを有する。回転軸部2Ebは、他の内骨格部(図示省略)に固定される。他の内骨格部は、その外周が他の外骨格部(図示省略)により覆われる。固定部2Ecは、複数のネジR9によって第四内骨格部2Dの回転軸部2Dbに固定される。従って、第五内骨格部2Eは、第二内骨格部2B、第三内骨格部2Cおよび第四内骨格部2Dと共に、第一内骨格部2Aの回転軸部2Abの回転に伴って軸S1の廻りに回転する。しかも、第五内骨格部2Eは、第四内骨格部2Dの回転軸部2Dbの回転に伴って軸S3の廻りに回転する。さらに、第五内骨格部2Eは、自身の回転軸部2Ebの回転によって他の内骨格部(図示省略)を軸S4の廻りに回転させる。
【0021】
外骨格部3は、本実施形態では、第一外骨格部3A、第二外骨格部3B、第三外骨格部3C、第四外骨格部3D、第五外骨格部3E、第六外骨格部3F、および第七外骨格部3Gを有する。第一外骨格部3A、第二外骨格部3B、第三外骨格部3C、第四外骨格部3D、および第五外骨格部3Eは、筒状外骨格部ともいう。第六外骨格部3Fおよび第七外骨格部3Gは、連結外骨格部ともいう。
【0022】
第一外骨格部3Aは、第一内骨格部2Aの外周を覆う。第一外骨格部3Aは、第一内骨格部2Aにおいて円柱形状の本体部2Aaの外周を覆うように、軸S1を中心とした円筒形状の筒本体部3Aaを有する。筒本体部3Aaは、円筒形状に限らず例えば多角形筒など筒形状であればよい。筒本体部3Aaは、ポリエチレンテレフタレートなどによって構成される。筒本体部3Aaは、軸S1の延びる方向では形状を維持する一方で、軸S1に交差する径方向では変形することが可能に構成される。筒本体部3Aaは、軸S1が延びる方向の一端が閉塞され、他端が開放して構成される。従って、筒本体部3Aaは、第一内骨格部2Aを軸S1に沿って挿入して内装する一方で、第一内骨格部2Aを軸S1に沿って取り出して分離する。第一外骨格部3Aは、筒本体部3Aaの開放した他端に、筒固定部3Abを有する。筒固定部3Abは、環状に形成され、第一内骨格部2Aにおいて回転軸部2Abが設けられた本体部2Aaの端部外周に複数のネジR1によって固定される。また、第一外骨格部3Aは、筒本体部3Aaの側部が、第一内骨格部2Aの固定部2Acを表出するように一部が開放して形成される。この開放部分は、第六外骨格部3Fと嵌め合う。
【0023】
第二外骨格部3Bは、第二内骨格部2Bの外周を覆う。第二外骨格部3Bは、軸S1を中心とした円筒形状の筒本体部3Baを有する。筒本体部3Baは、円筒形状に限らず例えば多角形筒など筒形状であればよい。筒本体部3Baは、ポリエチレンテレフタレートなどによって構成される。筒本体部3Baは、軸S1の延びる方向では形状を維持する一方で、軸S1に交差する径方向では変形することが可能に構成される。筒本体部3Baは、軸S1が延びる方向の一端が閉塞され、他端が開放して構成される。従って、筒本体部3Baは、第二内骨格部2Bを軸S1に沿って挿入して内装する一方で、第二内骨格部2Bを軸S1に沿って取り出して分離する。第二外骨格部3Bは、筒本体部3Baの開放した他端に、第一筒固定部3Bbを有する。第一筒固定部3Bbは、環状に形成され、第一内骨格部2Aの回転軸部2Abに対し、第二内骨格部2Bと共に複数のネジR2によって固定される。従って、第二外骨格部3Bは、第二内骨格部2Bと共に、第一内骨格部2Aの回転軸部2Abの回転に伴って軸S1の廻りに回転する。また、第二外骨格部3Bは、筒本体部3Baの側部に、第二筒固定部3Bcを有する。第二筒固定部3Bcは、環状に形成され、第三内骨格部2Cの固定部2Cbに対して複数のネジR4によって固定される。また、第二外骨格部3Bは、
図5に示すように、筒本体部3Baの側部の一部、第一筒固定部3Bb、および第二筒固定部3Bcが、軸S1および軸S2がなす平面について分割して設けられる。分割される各第二外骨格部3Bは、ネジ(図示省略)によって組み立てられる。分割した第二外骨格部3Bの一方は、第一筒固定部3Bbに仕切板3Bdが設けられる。仕切板3Bdは、軸S1を中心とした円板状に形成される。仕切板3Bdは、第一内骨格部2Aにおける本体部2Aaと回転軸部2Abとの隙間に配置される、また、仕切板3Bdは、回転軸部2Abを支持する本体部2Aaの回転軸(図示省略)を挿通するスリット形状の切欠3Beが形成される。
【0024】
第三外骨格部3Cは、第三内骨格部2Cの外周を覆う。第三外骨格部3Cは、軸S2を中心とした円筒形状の筒本体部3Caを有する。筒本体部3Caは、円筒形状に限らず例えば多角形筒など筒形状であればよい。筒本体部3Caは、ポリエチレンテレフタレートなどによって構成される。筒本体部3Caは、軸S2の延びる方向では形状を維持する一方で、軸S2に交差する径方向では変形することが可能に構成される。筒本体部3Caは、ポリエチレンテレフタレートなどによって構成され、円筒形状を維持する一方で変形することが可能に設けられる。筒本体部3Caは、軸S2が延びる方向の両端が開放して構成される。従って、筒本体部3Caは、第三内骨格部2Cを軸S2に沿って挿入して内装する一方で、第三内骨格部2Cを軸S2に沿って取り出して分離する。第三外骨格部3Cは、筒本体部3Caの開放した一端に、第一筒固定部3Cbを有する。第一筒固定部3Cbは、環状に形成され、第二外骨格部3Bの第二筒固定部3Bcと共に、第三内骨格部2Cの固定部2Cbに対して複数のネジR4によって固定される。また、第三外骨格部3Cは、筒本体部3Caの側部の一部が開放した部分に、第二筒固定部3Ccを有する。第二筒固定部3Ccは、環状に形成され、第三内骨格部2Cの固定部2Ccに対して複数のネジR5によって固定される。従って、第三外骨格部3Cは、第三内骨格部2C、第二内骨格部2B、および第二外骨格部3Bと共に、第一内骨格部2Aの回転軸部2Abの回転に伴って軸S1の廻りに回転する。
【0025】
第四外骨格部3Dは、第四内骨格部2Dの外周を覆う。第四外骨格部3Dは、軸S3を中心とした円筒形状の筒本体部3Daを有する。筒本体部3Daは、円筒形状に限らず例えば多角形筒など筒形状であればよい。筒本体部3Daは、ポリエチレンテレフタレートなどによって構成される。筒本体部3Daは、軸S3の延びる方向では形状を維持する一方で、軸S3に交差する径方向では変形することが可能に構成される。筒本体部3Daは、軸S3が延びる方向の一端が閉塞され、他端が開放して構成される。従って、筒本体部3Daは、第四内骨格部2Dを軸S3に沿って挿入して内装する一方で、第四内骨格部2Dを軸S3に沿って取り出して分離する。第四外骨格部3Dは、筒本体部3Daの開放した他端に、第一筒固定部3Dbを有する。第一筒固定部3Dbは、環状に形成され、第四内骨格部2Dにおいて回転軸部2Dbが設けられた本体部2Daの端部外周に複数のネジR7によって固定される。また、第四外骨格部3Dは、筒本体部3Daの側部に設けられた第二筒固定部3Dcを有する。第二筒固定部3Dcは、環状に形成され、第四内骨格部2Dの固定部2Dcに対して複数のネジR6で固定された第六外骨格部3Fに対して嵌め合いにより固定される。従って、第四外骨格部3Dは、第四内骨格部2D、第三外骨格部3C、第三内骨格部2C、第二内骨格部2B、および第二外骨格部3Bと共に、第一内骨格部2Aの回転軸部2Abの回転に伴って軸S1の廻りに回転する。
【0026】
第五外骨格部3Eは、第五内骨格部2Eの外周を覆う。第五外骨格部3Eは、軸S4を中心とした円筒形状の筒本体部3Eaを有する。筒本体部3Eaは、円筒形状に限らず例えば多角形筒など筒形状であればよい。筒本体部3Eaは、ポリエチレンテレフタレートなどによって構成される。筒本体部3Eaは、軸S4の延びる方向では形状を維持する一方で、軸S4に交差する径方向では変形することが可能に構成される。筒本体部3Eaは、軸S4が延びる方向の一端が閉塞され、他端が開放して構成される。従って、筒本体部3Eaは、第五内骨格部2Eを軸S4に沿って挿入して内装する一方で、第五内骨格部2Eを軸S4に沿って取り出して分離する。第五外骨格部3Eは、筒本体部3Eaの開放した他端に、第一筒固定部3Ebを有する。第一筒固定部3Ebは、環状に形成され、第五内骨格部2Eにおいて回転軸部2Ebが設けられた本体部2Eaの端部外周に複数のネジR8によって固定される。また、第五外骨格部3Eは、筒本体部3Eaの側部に設けられた第二筒固定部3Ecを有する。第二筒固定部3Ecは、環状に形成され、第四内骨格部2Dの回転軸部2Dbに対して複数のネジR9で固定される。従って、第五外骨格部3Eは、第五内骨格部2E、第四内骨格部2D、第三外骨格部3C、第三内骨格部2C、第二内骨格部2B、および第二外骨格部3Bと共に、第一内骨格部2Aの回転軸部2Abの回転に伴って軸S1の廻りに回転する。しかも、第五外骨格部3Eは、第五内骨格部2Eと共に、第四内骨格部2Dの回転軸部2Dbの回転に伴って軸S3の廻りに回転する。
【0027】
第六外骨格部3Fは、第一固定部3Faと第二固定部3Fbとを有する。第一固定部3Faは、軸S1を中心とした環状に形成される。第一固定部3Faは、第一外骨格部3Aと第一内骨格部2Aとの間に設けられ、第一外骨格部3Aの固定部3Abと共に、第一内骨格部2Aの本体部2Aaの端部外周に対して複数のネジR1によって固定される。従って、第一固定部3Faは、第一外骨格部3Aと第一内骨格部2Aとを連結する。一方、第二固定部3Fbは、第一固定部3Faと一体に成形される。第二固定部3Fbは、第一内骨格部2Aの固定部2Acを表出するように環状に形成される。第二固定部3Fbは、第一外骨格部3Aにおける筒本体部3Aaの側部の開放部分と嵌め合う。第二固定部3Fbは、他の内骨格部(図示省略)の外周を覆う他の外骨格部(図示省略)が連結される。この第六外骨格部3Fは、
図4に示すように、第一固定部3Faおよび第二固定部3Fbが、軸S1および軸S2がなす平面について分割して設けられる。分割した第六外骨格部3Fは、各第一固定部3Faに仕切板3Fdが設けられる。仕切板3Fdは、軸S1を中心とした半円板状に形成される。仕切板3Fdは、第一内骨格部2Aにおける本体部2Aaと回転軸部2Abとの隙間に配置される、また、仕切板3Fdは、回転軸部2Abを支持する本体部2Aaの回転軸(図示省略)を挿通する半円形状の切欠3Feが形成される。この第六外骨格部3Fは、ポリエチレンテレフタレートなどによって構成される。
【0028】
第七外骨格部3Gは、第一固定部3Gaと第二固定部3Gbとを有する。第一固定部3Gaは、軸S2を中心とした環状に形成される。第一固定部3Gaは、第三外骨格部3Cと第四外骨格部3Dとの間に設けられ、第三内骨格部2Cの固定部2Ccおよび第四内骨格部2Dの固定部2Dcの外周を覆う。第一固定部3Gaは、第三外骨格部3Cの第二筒固定部3Ccと共に、第三内骨格部2Cの固定部2Ccに対して複数のネジR5によって固定される。また、第一固定部3Gaは、第四内骨格部2Dの固定部2Dcに対して複数のネジR6によって固定される。さらに、第一固定部3Gaは、第四外骨格部3Dの第二筒固定部3Dcと嵌め合う。従って、第一固定部3Gaは、第三外骨格部3Cと第四外骨格部3Dとを連結する。また、筒状外骨格部である第三外骨格部3Cと第四外骨格部3Dは、連結外骨格部である第六外骨格部3Fの第一固定部3Gaよりも外側に突出して設けられる。一方、第二固定部3Gbは、第一固定部3Gaと一体に成形される。第二固定部3Gbは、軸S3を中心とした環状に形成される。第二固定部3Gbは、第四外骨格部3Dと第四内骨格部2Dとの間に設けられ、第四内骨格部2Dの一部を覆う。第二固定部3Gbは、第四外骨格部3Dの第一筒固定部3Dbと共に、第四内骨格部2Dの本体部2Daの外周に複数のネジR7によって固定される。従って、第二固定部3Gbは、第四外骨格部3Dと第四内骨格部2Dとを連結する。また、筒状外骨格部である第四外骨格部3Dは、連結外骨格部である第七外骨格部3Gよりも外側に突出して設けられる。この第七外骨格部3Gは、
図6に示すように、第一固定部3Gaおよび第二固定部3Gbが、軸S2および軸S3がなす平面について分割して設けられる。分割した第七外骨格部3Gは、各第二固定部3Gbに仕切板3Gdが設けられる。仕切板3Gdは、軸S3を中心とした半円板状に形成される。仕切板3Gdは、第四内骨格部2Dにおいて、本体部2Daと回転軸部2Dbとの隙間に配置される、また、仕切板3Gdは、回転軸部2Dbを支持する本体部2Daの回転軸(図示省略)を挿通する半円形状の切欠3Geが形成される。この第七外骨格部3Gは、ポリエチレンテレフタレートなどによって構成される。
【0029】
空間部4は、本実施形態では、第一空間部4A、第二空間部4B、第三空間部4C、第四空間部4D、および第五空間部4Eを有する。第一空間部4Aは、第一内骨格部2Aの本体部2Aaと第一外骨格部3Aの筒本体部3Aaとの間に形成された間隔により構成される。第一空間部4Aは、第一外骨格部3Aによって密閉された空間であってもよい。第二空間部4Bは、第二内骨格部2Bの本体部2Baと第二外骨格部3Bの筒本体部3Baとの間に形成された間隔により構成される。第二空間部4Bは、第二外骨格部3Bによって密閉された空間であってもよい。第三空間部4Cは、第三内骨格部2Cの本体部2Caと第三外骨格部3Cの筒本体部3Caとの間に形成された間隔により構成される。第三空間部4Cは、第三外骨格部3Cによって密閉された空間であってもよい。第四空間部4Dは、第四内骨格部2Dの本体部2Daと第四外骨格部3Dの筒本体部3Daとの間に形成された間隔により構成される。第四空間部4Dは、第四外骨格部3Dによって密閉された空間であってもよい。第五空間部4Eは、第五内骨格部2Eの本体部2Eaと第五外骨格部3Eの筒本体部3Eaとの間に形成された間隔により構成される。第五空間部4Eは、第五外骨格部3Eによって密閉された空間であってもよい。
【0030】
検出部5は、実施形態では、第一検出部5A、第二検出部5B、第三検出部5C、第四検出部5D、および第五検出部5Eを有する。
【0031】
第一検出部5Aは、第一空間部4Aに配置される。第一検出部5Aは、実施形態では、1つの可動部である第一内骨格部2Aの本体部2Aaに取り付けられる。第一検出部5Aは、第一外骨格部3Aに取り付けられてもよい。第一検出部5Aは、例えば、圧力センサであり、第一空間部4Aにおける圧力の変化を検出する。圧力の変化とは、第一外骨格部3Aが外力によって変形した場合、
図7に示すように、第一外骨格部3Aが変形したときの圧力変動の瞬間の立ち上がり(
図7の圧力0から圧力Aの間)であって、変化した圧力全体の量ではない。従って、第一検出部5Aは、第一外骨格部3Aの変形の初動を検出する。第一検出部5Aは、ケーブルが第一空間部4Aまたは第一内骨格部2Aの内部に配線される。第一検出部5Aは、第一空間部4Aに複数配置されてもよい。
【0032】
第二検出部5Bは、第二空間部4Bに配置される。第二検出部5Bは、実施形態では、1つの可動部である第二内骨格部2Bの本体部2Baに取り付けられる。第二検出部5Bは、第二外骨格部3Bに取り付けられてもよい。第二検出部5Bは、例えば、圧力センサであり、第一検出部5Aと同じく圧力の変化を検出する。第二検出部5Bは、ケーブルが第二空間部4Bまたは第二内骨格部2Bの内部に配線される。第二検出部5Bは、第二空間部4Bに複数配置されてもよい。
【0033】
第三検出部5Cは、第三空間部4Cに配置される。第三検出部5Cは、実施形態では、1つの可動部である第三内骨格部2Cの本体部2Caに取り付けられる。第三検出部5Cは、第三外骨格部3Cに取り付けられてもよい。第三検出部5Cは、例えば、圧力センサであり、第一検出部5Aと同じく圧力の変化を検出する。第三検出部5Cは、ケーブルが第三空間部4Cまたは第三内骨格部2Cの内部に配線される。また、第三検出部5Cは、第三空間部4Cに複数配置されてもよい。
【0034】
第四検出部5Dは、第四空間部4Dに配置される。第四検出部5Dは、実施形態では、1つの可動部である第四内骨格部2Dの本体部2Daに取り付けられる。第四検出部5Dは、第四外骨格部3Dに取り付けられてもよい。第四検出部5Dは、例えば、圧力センサであり、第一検出部5Aと同じく圧力の変化を検出する。第四検出部5Dは、ケーブルが第四空間部4Dまたは第四内骨格部2Dの内部に配線される。また、第四検出部5Dは、第四空間部4Dに複数配置されてもよい。
【0035】
第五検出部5Eは、第五空間部4Eに配置される。第五検出部5Eは、実施形態では、1つの可動部である第五内骨格部2Eの本体部2Eaに取り付けられる。第五検出部5Eは、第五外骨格部3Eに取り付けられてもよい。第五検出部5Eは、例えば、圧力センサであり、第一検出部5Aと同じく圧力の変化を検出する。第五検出部5Eは、ケーブルが第五空間部4Eまたは第五内骨格部2Eの内部に配線される。また、第五検出部5Eは、第五空間部4Eに複数配置されてもよい。
【0036】
なお、各検出部5A,5B,5C,5D,5Eで検出する圧力値は、基準(圧力0:外骨格部3の変形がないとき)から変化した圧力の閾値を設定しておき、当該閾値を越えたことを検出するようにしてもよい。また、各検出部5A,5B,5C,5D,5Eにおいて圧力の閾値が異なるように設定してもよい。また、検出部5が配置される空間部4は、密閉されて外骨格部3の外部よりも高い圧力とされてもよく、この場合、検出部5の感度が向上する。
【0037】
上述したロボット1は、
図2に示す組立状態と
図3に示す分解状態とに構成される。
【0038】
組立状態から分解状態にするにあたり、ロボット1は、ネジR1を外すことで、
図4に示すように、第一内骨格部2Aに対して第一外骨格部3Aを軸S1が延びる方向に沿って取り外せる。また、ロボット1は、ネジR1を外すことで、
図4に示すように、第一内骨格部2Aに対して第六外骨格部3Fを取り外せ、かつ第六外骨格部3Fを分割して取り外せる。また、ロボット1は、ネジR2,R4、および第二外骨格部3Bを組み立てるネジ(図示省略)を外すことで、
図5に示すように、第二外骨格部3Bを分解でき、かつ第二内骨格部2Bおよび第三外骨格部3Cに対して第二外骨格部3Bを取り外せる。また、ロボット1は、ネジR3を外すことで、第二内骨格部2Bと第三内骨格部2Cとを分離できる。また、ロボット1は、ネジR5を外すことで、第三内骨格部2Cに対して第三外骨格部3Cを軸S2が延びる方向に沿って取り外せる。また、ロボット1は、ネジR6およびネジR7を外すことで、第四内骨格部2Dに対して第四外骨格部3Dを軸S3が延びる方向に沿って取り外せ、同時に、第七外骨格部3Gを分割して取り外せる。また、ロボット1は、ネジR9を外すことで、第四内骨格部2Dと第五内骨格部2Eとを分離できる。そして、ロボット1は、ネジR8を外すことで、第五内骨格部2Eに対して第五外骨格部3Eを軸S4が延びる方向に沿って取り外せる。なお、分離状態から組立状態にするには、上記と逆の手順を行う。従って、ロボット1は、内骨格部2や外骨格部(筒状内骨格部)3を連結する外骨格部(連結外骨格部)3を分割し、内骨格部2に対して外骨格部(筒状内骨格部)3を軸が延びる方向に移動することで組立状態および分離状態にすることができる。
【0039】
このように、実施形態のロボット1は、可動機構を構成する内骨格部2と、内骨格部2の周囲を覆う筒形状の外骨格部3と、内骨格部2と外骨格部3の間に形成された空間部4と、を備える。
【0040】
実施形態のロボット1によれば、内骨格部2の周囲を覆う筒形状の外骨格部3との間に空間部4を備えることで、外力が付与された場合、外骨格部3が空間部4に向けて内側に変形する。このため、実施形態のロボット1は、人とロボット1とが衝突しても、人に危害を与えることを防ぎ、かつロボット1の故障も防ぐ緩衝機能を得ることができる。しかも、実施形態のロボット1によれば、外骨格部3は、筒形状に形成されているため、軸の延びる方向に沿う外力に対して強度を確保する強度部材として機能する。さらに、実施形態のロボット1によれば、可動機構を内骨格部2に委ね、緩衝機能を外骨格部3および空間部4に委ねて機能分離することで、既存の可動部に後から緩衝部材を付けることと比較して可搬重量や可動範囲の影響や組立工数の増加を防ぐ。なお、外骨格部3は、外形が滑らかな円筒形状(または楕円筒形状)であると変形が大きく緩衝機能を高めることができ、外形が平面や角を有する多角筒形状であると変形が抑制され強度機能を高めることができる。また、空間部4は、密閉構造に限らないが、密閉構造とすることで、外力による外骨格部3の変形に対する反力が大きくなって衝撃吸収機能を高めることができる。
【0041】
また、実施形態のロボット1では、外骨格部3は、筒形状に形成されて内骨格部2を挿通可能に設けられた筒状外骨格部(第一外骨格部3A、第二外骨格部3B、第三外骨格部3C、第四外骨格部3D、および第五外骨格部3E)と、複数の筒状外骨格部の間、または筒状外骨格部と内骨格部2との間を連結すると共に分割構造とされた連結外骨格部(第六外骨格部3Fおよび第七外骨格部3G)を有する。
【0042】
筒状外骨格部は、径方向に変形し易い緩衝機能と軸の延びる方向で変形し難い強度機能が得られると共に、内骨格部2を挿通して組立や分解を容易に行うことができる。また、連結外骨格部は、複数の筒状外骨格部の間、または筒状外骨格部と内骨格部2との間を連結し、かつ分割構造によって組立や分解を容易に行うことができる。従って、実施形態のロボット1によれば、可搬重量や可動範囲の影響および組立工数の増加を生じることなく、緩衝機能を得ると共に強度を確保する効果が顕著に得られる。
【0043】
また、実施形態のロボット1では、筒状外骨格部は、連結外骨格部よりも外側に突出して設けられる。
【0044】
筒状外骨格部は、径方向に変形し易い緩衝機能を有するものであるから、複数の筒状外骨格部の間、または筒状外骨格部と内骨格部2との間を連結する機能の連結外骨格部よりも外側に突出することで、連結外骨格部を保護できる。
【0045】
特に、実施形態のロボット1は、空間部4に配置されて外骨格部3の変形に伴う空間部4の圧力の変化を検出する検出部5を備えることを特徴とする。
【0046】
実施形態のロボット1によれば、検出部5によって空間部4の圧力の変化を検出することで、外骨格部3が変形したときの圧力変動の瞬間を検出できるため、衝突感知精度を向上できる。なお、実施形態のロボット1は、検出部5によって空間部4の圧力の変化を検出した場合、即ち、衝突を感知した場合、動作を停止させたり、動作を遅くさせたりする制御を行う。
【0047】
また、実施形態のロボット1では、検出部5は、ケーブルが空間部4または内骨格部2の内部に配線される。
【0048】
実施形態のロボット1によれば、ケーブルが空間部4または内骨格部2の内部に配線されることで、ケーブルが外装材の外側に存在することと比較して動作時や衝突時にケーブルが切断する事態を防止できる。
【0049】
また、実施形態のロボット1では、外骨格部3および検出部5は、内骨格部2の可動部ごとに配置される。
【0050】
実施形態のロボット1によれば、衝突感知を内骨格部2の可動部ごとに行うことができる。この結果、実施形態のロボット1によれば、可動部の各動作において衝突感知を実現できる。
【符号の説明】
【0051】
1 ロボット
2 内骨格部
2A 第一内骨格部(可動部)
2B 第二内骨格部(可動部)
2C 第三内骨格部(可動部)
2D 第四内骨格部(可動部)
2E 第五内骨格部(可動部)
3 外骨格部
4 空間部
5 検出部