(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022188425
(43)【公開日】2022-12-21
(54)【発明の名称】基板処理方法および基板処理装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/027 20060101AFI20221214BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20221214BHJP
【FI】
H01L21/30 572A
H01L21/304 647Z
H01L21/304 648G
H01L21/30 572B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021096444
(22)【出願日】2021-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】ホー リンダ
(72)【発明者】
【氏名】鰍場 真樹
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 圭
【テーマコード(参考)】
5F146
5F157
【Fターム(参考)】
5F146MA02
5F146MA03
5F146MA05
5F146MA06
5F146MA10
5F146MA13
5F146MA17
5F157AB02
5F157AB16
5F157AB33
5F157AB49
5F157AB51
5F157AB64
5F157AB90
5F157AC01
5F157AC26
5F157BB22
5F157BB37
5F157BB44
5F157BB66
5F157BD33
5F157BE43
5F157BG03
5F157CB03
5F157CB13
5F157CB14
5F157CF04
5F157CF14
5F157CF34
5F157CF42
5F157CF44
5F157CF60
5F157CF90
5F157CF92
5F157CF99
5F157DB02
5F157DB03
5F157DB18
(57)【要約】
【課題】薬液コストの負担と廃液処理の負荷とを抑制しつつ、基板上から有機膜を高効率で除去することができる基板処理方法および基板処理装置を提供する。
【解決手段】基板上から有機膜を除去するための基板処理方法は、a)基板処理室内へのオゾン含有ガスの導入によって、前記基板処理室内の少なくとも前記基板上の空間にオゾン含有ガスを充満させる工程と、b)前記工程a)の後に、前記空間を介して前記基板上へ、硫酸を含む加熱された薬液の噴霧を始める工程と、c)前記工程b)によって始められた前記噴霧を継続する工程と、d)前記工程c)において継続されていた前記噴霧を停止する工程と、を備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上から有機膜を除去するための基板処理方法であって、
a)基板処理室内へのオゾン含有ガスの導入によって、前記基板処理室内の少なくとも前記基板上の空間にオゾン含有ガスを充満させる工程と、
b)前記工程a)の後に、前記空間を介して前記基板上へ、硫酸を含む加熱された薬液の噴霧を始める工程と、
c)前記工程b)によって始められた前記噴霧を継続する工程と、
d)前記工程c)において継続されていた前記噴霧を停止する工程と、
を備える、基板処理方法。
【請求項2】
請求項1に記載の基板処理方法であって、
前記工程a)は、前記基板処理室内の圧力およびオゾン濃度の少なくともいずれかの測定値が、予め定められた閾値以上であることを確認する工程を含む、基板処理方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の基板処理方法であって、
前記工程a)において前記基板処理室内へのオゾン含有ガスの前記導入が行われた後、前記工程b)および前記工程c)において前記導入が継続される、基板処理方法。
【請求項4】
請求項1または2に記載の基板処理方法であって、
前記工程a)において前記基板処理室内へのオゾン含有ガスの前記導入が行われた後、前記工程c)の前に前記導入が停止される、基板処理方法。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の基板処理方法であって、
前記工程c)によって噴霧された前記薬液が、前記基板を囲むカップ部で受けられることによって回収される第1液と、前記カップ部の外で回収される第2液とに分別され、前記第1液の含有なしに前記第2液の再噴霧が行われる、基板処理方法。
【請求項6】
基板上から有機膜を除去するための基板処理装置であって、
基板処理室と、
前記基板処理室内に前記基板を保持する基板保持部と、
前記基板処理室内へオゾン含有ガスを供給するオゾン供給部と、
前記基板上へ薬液の噴霧を行う霧化ノズルと、
ヒータを有し、前記ヒータによって加熱された前記薬液を前記霧化ノズルへ供給する薬液供給部と、
前記基板処理室内の少なくとも前記基板上の空間にオゾン含有ガスを充満させるように前記オゾン供給部を制御した後に、前記空間を介して前記基板上へ前記薬液の噴霧を始めるように前記薬液供給部を制御する制御部と、
を備える、基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、基板上から有機膜を除去するための、基板処理方法および基板処理装置に関するものである。基板には、たとえば、半導体ウエハ、液晶表示装置および有機EL(Electroluminescence)表示装置等のFPD(Flat Panel Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板、太陽電池用基板等が含まれる。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造方法は、通常、基板を洗浄する処理を要する。典型的には、不要となった有機膜(典型的にはレジスト膜)を基板上から除去する洗浄処理が行われる。例えば、特開2016-181677号公報(特許文献1)によれば、基板の表面に硫酸・過酸化水素水混合液(SPM:Sulfuric acid/hydrogen Peroxide Mixture)を薬液として用いるSMP洗浄が行われる。しかしながらこの処理は大量のSPMを消費する。SPMは、効率的な再利用が難しいこともあって、薬液コストの負担と廃液処理の負荷とが大きい。そこで近年、材料コストの負担および廃液処理の負荷を低減することができる基板処理方法の検討が行われている。そのひとつとして、SPMに代わって硫酸・オゾン混合液(SOM:Sulfuric Ozone peroxide mixture)を薬液として用いるSOM洗浄が検討されている。硫酸とオゾンとが混合されることによって、活性種(エッチャント)としてペルオキソ二硫酸イオン(S2O8
2-)が生成される。
【0003】
例えば、特開2013-150007号公報(特許文献2)によれば、オゾンガスの微小気泡を含ませた硫酸がノズルから基板へ供給される。また米国特許第6,869,487号明細書(特許文献3)によれば、基板上での液層の厚みを制御することにより、液層を貫通する拡散によってオゾンが基板の表面に到達させられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-181677号公報
【特許文献2】特開2013-150007号公報
【特許文献3】米国特許第6,869,487号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
オゾンの半減期は、例えば、150℃の空気中では約90分と比較的長いものの、150℃の硫酸中では10秒未満と非常に短い。このように硫酸中ではオゾンは速やかに分解されやすい。よって、上記特開2013-150007号公報の技術のように、ノズルから吐出される前の硫酸中にオゾンが既に含有させられている場合、基板近傍に到達する前の過度に早い時点で多くのオゾンが分解されてしまいやすい。これに対応して、オゾンの分解による活性種の生成も過度に早い時点で行われやすく、その結果、活性種の多くが、基板に到達する前に失活してしまう。よって、活性種を利用した基板処理を高効率で行うことが困難である。なお、薬液へオゾンを含有させる圧力を高圧にすることによってオゾン濃度が高められたとすると、その分、処理効率も高められるかもしれないが、顕著な効果を得るのに必要な高圧状態を安定的に維持することは実用上難しい。
【0006】
上記米国特許第6,869,487号明細書によれば、基板上の液層を貫通するようなオゾン拡散が必要とされる。しかしながら本発明者らの検討によれば、液層を貫通するような拡散は、あまり生じやすくはない。よってこの方法でも、基板処理を高効率で行うことが困難である。
【0007】
本発明は以上のような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、薬液コストの負担と廃液処理の負荷とを抑制しつつ、基板上から有機膜を高効率で除去することができる基板処理方法および基板処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1態様は、基板上から有機膜を除去するための基板処理方法であって、a)基板処理室内へのオゾン含有ガスの導入によって、前記基板処理室内の少なくとも前記基板上の空間にオゾン含有ガスを充満させる工程と、b)前記工程a)の後に、前記空間を介して前記基板上へ、硫酸を含む加熱された薬液の噴霧を始める工程と、c)前記工程b)によって始められた前記噴霧を継続する工程と、d)前記工程c)において継続されていた前記噴霧を停止する工程と、を備える。
【0009】
本発明の第2態様は、第1態様の基板処理方法であって、前記工程a)は、前記基板処理室内の圧力およびオゾン濃度の少なくともいずれかの測定値が、予め定められた閾値以上であることを確認する工程を含む。
【0010】
本発明の第3態様は、第1または第2態様の基板処理方法であって、前記工程a)において前記基板処理室内へのオゾン含有ガスの前記導入が行われた後、前記工程b)および前記工程c)において前記導入が継続される。
【0011】
本発明の第4態様は、第1または第2態様の基板処理方法であって、前記工程a)において前記基板処理室内へのオゾン含有ガスの前記導入が行われた後、前記工程c)の前に前記導入が停止される。
【0012】
本発明の第5態様は、第1から第4態様のいずれかの基板処理方法であって、前記工程c)によって噴霧された前記薬液が、前記基板を囲むカップ部で受けられることによって回収される第1液と、前記カップ部の外で回収される第2液とに分別され、前記第1液の含有なしに前記第2液の再噴霧が行われる。
【0013】
本発明の第6態様は、基板上から有機膜を除去するための基板処理装置であって、基板処理室と、前記基板処理室内に前記基板を保持する基板保持部と、前記基板処理室内へオゾン含有ガスを供給するオゾン供給部と、前記基板上へ薬液の噴霧を行う霧化ノズルと、ヒータを有し、前記ヒータによって加熱された前記薬液を前記霧化ノズルへ供給する薬液供給部と、前記基板処理室内の少なくとも前記基板上の空間にオゾン含有ガスを充満させるように前記オゾン供給部を制御した後に、前記空間を介して前記基板上へ前記薬液の噴霧を始めるように前記薬液供給部を制御する制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0014】
本発明の第1および第6態様によれば、第1に、硫酸を含む加熱された薬液へ、過酸化水素水ではなくオゾンが混合される。これにより、薬液を効率的に再利用しやすくなる。よって、薬液コストの負担と廃液処理の負荷とを抑制することができる。第2に、当該混合は、基板上の空間で行われる。これにより、オゾンを分解させやすい高温の硫酸を用いていながら、基板近傍に到達する前の過度に早い時点でのオゾンの分解が避けられる。よって、オゾンの分解によって生成された活性種が基板へ高い割合で失活前に到達する。一方で、当該混合は、オゾン含有ガス中へ薬液を噴霧することにより行われる。噴霧されることによって薬液に大きな表面積が付与されることにより、薬液とその周囲のオゾンとの反応が促進される。よって、薬液中へのオゾンの拡散に大きく依存することなく、薬液とオゾンとの間の反応が速やかに進む。その結果、多量の活性種が当該混合直後に生成される。この多量の活性種が、前述したように、高い割合で失活前に基板に到達する。よって、活性種を用いて基板上から有機膜を除去する処理を、高効率で行うことができる。第4に、薬液が噴霧された時点で、上記空間は既にオゾン含有ガスが充満させられている。これにより、当該空間中での薬液とオゾンとの反応が、薬液の噴霧の開始時点から活発化される。よって、処理に必要な薬液の量を抑えることができる。以上から、薬液コストの負担と廃液処理の負荷とを抑制しつつ、基板上から有機膜を高効率で除去することができる。
【0015】
本発明の第2態様によれば、基板処理室内の圧力およびオゾン濃度の少なくともいずれかの測定値が、予め定められた閾値以上であることが確認された後に、噴霧が始められる。よって、薬液の噴霧の開始時点に、上記空間中のオゾンの量を、より確実に十分なものとすることができる。
【0016】
本発明の第3態様によれば、薬液の噴霧中、オゾン含有ガスの導入が継続される。これにより、オゾンの分解に起因しての基板処理室中のオゾン濃度の低下が補われる。よって、薬液噴霧期間の全体にわたって、基板処理の進行を、おおよそ一定に保つことができる。
【0017】
本発明の第4態様によれば、薬液の噴霧中、オゾン含有ガスの導入が停止されている。これにより、オゾン含有ガスの消費量を抑制することができる。
【0018】
本発明の第5態様によれば、噴霧された薬液の一部が再噴霧される。これにより、薬液コストの負担と廃液処理の負荷とを、より抑制することができる。また、再噴霧される薬液に、カップ部で受けられた薬液を含めないことによって、基板上で汚染された薬液の再噴霧を避けることができる。
【0019】
本願明細書に開示される技術に関連する目的と、特徴と、局面と、利点とは、以下に示される詳細な説明と添付図面とによって、さらに明白となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の各実施の形態における基板処理システムの構成を概略的に示す平面図である。
【
図2】
図1に示された制御部の構成を概念的に示すブロック図である。
【
図3】
図1の基板処理システムを用いた基板処理方法を概略的に示すフロー図である。
【
図4】実施の形態1における基板処理装置の構成を概略的に示す断面図である。
【
図5】実施の形態1における基板処理方法を概略的に示すフロー図である。
【
図6】実施の形態2における基板処理装置の構成を概略的に示す断面図である。
【
図7】実施の形態2における基板処理方法を概略的に示すフロー図である。
【
図8】実施の形態3における基板処理装置の構成を概略的に示す断面図である。
【
図9】
図8に示された基板処理装置に設けられる気液供給部および気液排出部の構成を概略的に示すブロック図である。
【
図10】実施の形態3における基板処理方法の一工程を概略的に示す断面図である。
【
図11】実施の形態3における基板処理方法の一工程を概略的に示す平面図である。
【
図12】実施の形態3における基板処理方法の一工程を概略的に示す断面図である。
【
図13】実施の形態3における基板処理方法の一工程を概略的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付される図面を参照しながら実施の形態について説明する。以下の実施の形態では、技術の説明のために詳細な特徴なども示されるが、それらは例示であり、実施の形態が実施可能となるためにそれらすべてが必ずしも必須の特徴ではない。図面は概略的に示されるものであり、説明の便宜のため、適宜、構成の省略、または、構成の簡略化が図面においてなされるものである。また、異なる図面にそれぞれ示される構成などの大きさおよび位置の相互関係は、必ずしも正確に記載されるものではなく、適宜変更され得るものである。また、断面図ではない平面図などの図面においても、実施の形態の内容を理解することを容易にするために、ハッチングが付される場合がある。また、以下に示される説明では、同様の構成要素には同じ符号を付して図示し、それらの名称と機能とについても同様のものとする。したがって、それらについての詳細な説明を、重複を避けるために省略する場合がある。また、以下に記載される説明において、ある構成要素を「備える」、「含む」または「有する」などと記載される場合、特に断らない限りは、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
【0022】
<基板処理システム>
図1は、基板処理システム1の構成の例を概略的に示す平面図である。基板処理システム1は、ロードポートLPと、インデクサロボットIRと、センターロボットCRと、制御部10と、少なくとも1つの処理ユニット110(
図1においては4つの処理ユニット)とを備える。基板処理システム1は、基板W上から有機膜(例えばレジスト膜)を除去するためのものである。
【0023】
それぞれの処理ユニット110は、基板W(ウエハ)を処理するためのものである。処理ユニット110は、基板処理に用いることができる枚葉式の装置である。制御部10は、基板処理システム1における各構成の動作を制御することができる。キャリアCは、基板Wを収容する収容器である。また、ロードポートLPは、複数のキャリアCを保持する収容器保持機構である。インデクサロボットIRは、ロードポートLPと基板載置部PSとの間で基板Wを搬送することができる。センターロボットCRは、基板載置部PSおよび処理ユニット110間で基板Wを搬送することができる。以上の構成によって、インデクサロボットIR、基板載置部PSおよびセンターロボットCRは、それぞれの処理ユニット110とロードポートLPとの間で基板Wを搬送する搬送機構として機能する。
【0024】
未処理の基板WはキャリアCからインデクサロボットIRによって取り出される。そして、未処理の基板Wは、基板載置部PSを介してセンターロボットCRに受け渡される。センターロボットCRは、当該未処理の基板Wを処理ユニット110に搬入する。そして、処理ユニット110は基板Wに対して処理を行う。処理ユニット110において処理済みの基板Wは、センターロボットCRによって処理ユニット110から取り出される。そして、処理済みの基板Wは、必要に応じて他の処理ユニット110を経由した後、基板載置部PSを介してインデクサロボットIRに受け渡される。インデクサロボットIRは、処理済みの基板WをキャリアCに搬入する。以上によって、基板Wに対する処理が行われる。
【0025】
図2は、
図1に示された制御部10の構成の例を概念的に示す図である。制御部10は、
図1に示されている、処理ユニット110、ロードポートLP、インデクサロボットIRおよびセンターロボットCRなどを制御する。制御部10は、電気回路を有する一般的なコンピュータによって構成されていてよい。具体的には、制御部10は、中央演算処理装置(central processing unit、すなわち、CPU)1011、リードオンリーメモリー(read only memory、すなわち、ROM)1012、ランダムアクセスメモリー(random access memory、すなわち、RAM)1013、記憶装置1014、入力部1016、表示部1017および通信部1018と、これらを相互に接続するバスライン1015とを備える。
【0026】
ROM1012は基本プログラムを格納している。RAM1013は、CPU1011が所定の処理を行う際の作業領域として用いられる。記憶装置1014は、フラッシュメモリまたはハードディスク装置などの不揮発性記憶装置によって構成されている。入力部1016は、各種スイッチまたはタッチパネルなどによって構成されており、オペレータから処理レシピなどの入力設定指示を受ける。表示部1017は、たとえば、液晶表示装置およびランプなどによって構成されており、CPU1011の制御の下、各種の情報を表示する。通信部1018は、local area network(LAN)などを介してのデータ通信機能を有する。
【0027】
図3は、
図1の基板処理システム1を用いた基板処理方法を概略的に示すフロー図である。ステップS11(
図3)にて、インデクサロボットIRおよびセンターロボットCRを順次用いることによって、除去されることになる有機膜が設けられた基板Wが、キャリアCから処理ユニット110の基板処理室内へ搬入される。ステップS12(
図3)にて、基板W上から有機膜を除去する工程(詳しくは、後述する)が行われる。ステップS13(
図3)にて、基板Wにリンス液が供給されることによって、基板Wのリンス処理が行われる。ステップS14(
図3)にて、基板Wが乾燥される。ステップS15(
図3)にて、センターロボットCRおよびインデクサロボットIRを順次用いることによって、基板Wが処理ユニット110の基板処理室からキャリアCに搬出される。
【0028】
記憶装置1014には、
図1の基板処理システム1におけるそれぞれの構成の制御についての複数のモードがあらかじめ設定されている。CPU1011が処理プログラム14Pを実行することによって、上記の複数のモードのうちの1つのモードが選択され、当該モードでそれぞれの構成が制御される。なお、処理プログラム14Pは、記録媒体に記憶されていてもよい。この記録媒体を用いれば、制御部10に処理プログラム14Pをインストールすることができる。また、制御部10が実行する機能の一部または全部は、必ずしもソフトウエアによって実現される必要はなく、専用の論理回路などのハードウェアによって実現されてもよい。
【0029】
<実施の形態1>
図4を参照して、本実施の形態1においては、処理ユニット110(
図1)の少なくともいずれかとして、基板W上から有機膜(例えばレジスト膜)を除去するための基板処理装置111が適用される。基板処理装置111は、チャンバ12(基板処理室)と、スピンチャック14(基板保持部)と、オゾン供給部200と、薬液供給部300と、窒素供給部350(不活性ガス供給部)と、二流体ノズル171(霧化ノズル)と、ノズル移動機構172と、カップ部161と、廃液部320と、排気部190とを含む。
【0030】
スピンチャック14は、チャンバ12内に基板Wを保持する。スピンチャック14は、スピンベース143と、スピン軸を介してスピンベース143を回転させるスピンモータ144と、スピンベース143上で基板Wを吸引することによって基板Wをスピンベース143へ固定する基板吸引機構145とを有している。
【0031】
オゾン供給部200は、チャンバ12内へオゾン含有ガスを供給する。その目的で、オゾン供給部200は、弁を介してチャンバ12内の空間につながる配管を有している。オゾン含有ガスの供給口を構成する当該配管の端部は、チャンバ12に取り付けられており、その高さ位置は、基板Wの上面の高さ位置の近傍であることが好ましく、例えば、基板Wの上面の高さ位置に比して若干高い位置にあってよい。オゾン供給部200は、酸素または空気を供給するガス源と、このガス源からのガスをオゾン化するオゾン発生装置とを有していてよい。オゾン供給部200から供給されるオゾン含有ガス中のオゾン濃度は、100g/m3以上、400g/m3以下であることが好ましく、250g/m3以上、400g/m3以下であることがより好ましい。オゾン供給部200によって供給されるオゾン含有ガスの圧力は、0.1MPa以上、0.3MPa以下であってよい。
【0032】
薬液供給部300は、硫酸タンク301と、圧力調整部302と、ヒータ303とを有している。薬液供給部300は、ヒータ303によって加熱された、硫酸を含む薬液を、二流体ノズル171へ供給する。薬液が加熱される温度は、70℃以上200℃以下が好ましい。圧力調整部302は、二流体ノズル171への供給圧力を調整する。圧力調整部302は、ポンプまたはレギュレータであってよい。二流体ノズル171への薬液の供給圧力は、後述する閾値圧力よりも高くされる。
【0033】
窒素供給部350は、不活性ガスとしての窒素(N2)ガスを二流体ノズル171へ供給する。二流体ノズル171への窒素ガスの供給圧力は、後述する閾値圧力よりも高くされる。
【0034】
二流体ノズル171は、基板W上へ薬液の噴霧を行う霧化ノズルである。噴霧されることによって薬液はチャンバ12中へ、微細な粒子として供給される。噴霧の際、二流体ノズル171は、窒素供給部350から供給されたガスの高速流を利用することによって、噴霧される薬液の粒子を、一流体ノズルの場合に比して、より微細なものとしやすい。これにより、噴霧された薬液の表面積を、より大きくすることができる。なお、一流体ノズルによっても所望の噴霧が行える場合は、霧化ノズルとして、二流体ノズル171に代わって、窒素供給部350を用いることなく薬液を霧化する一流体ノズルが用いられてよい。ノズル移動機構172は、二流体ノズル171を水平移動させる。ノズル移動機構172は、二流体ノズル171を支持するアームと、当該アームを駆動するアクチュエータとを有していてよい。
【0035】
カップ部161は、基板Wおよびそれを保持するスピンベース143の側方を囲んでいる。スピンモータ144が基板Wを回転させている状態で薬液が基板Wの方に噴霧されると、基板W上に供給された薬液が基板Wの周囲に振り切られる。薬液が基板W上に供給されるとき、上向きに開いたカップ部161の上端部は、スピンベース143よりも上方に配置される。したがって、基板Wの周囲に排出された薬液は、カップ部161によって受けられる。そして、カップ部161に受けられることによって回収された薬液である第1液LR1は、廃液部320に送られる。また、噴霧された薬液のうち、カップ部161の外で回収された薬液である第2液LR2は、弁が設けられた配管を通って薬液供給部300に戻ることができる。当該配管は薬液供給部300の配管に三方弁310によって接続されている。三方弁310の切り替えによって、薬液供給部300が硫酸タンク301中の薬液を使用する状態と、薬液供給部300が第2液LR2を使用する状態とが切り替えられる。なおカップ部161は、その機能が不要な際にはカップ移動機構(図示せず)によってスピンベース143よりも下降させることができるように構成されていてよい。
【0036】
排気部190は、弁を介してチャンバ12内の空間につながる配管を有している。弁が開放されている状態において、排気部190は、チャンバ12内の雰囲気をチャンバ12外へ排出する。チャンバ12の排気口を構成するこの配管の端部は、
図4においてはチャンバ12に取り付けられているが、これに代わってカップ部161に取り付けられていてもよい。排気部190は、オゾンの除害装置を有していることが好ましい。
【0037】
制御部10(
図1)は、基板処理装置111の各部を制御する。本実施の形態において、制御部10は、チャンバ12内の少なくとも基板W上の空間にオゾン含有ガスを充満させるようにオゾン供給部200を制御した後に、空間を介して基板W上へ薬液の噴霧を始めるように薬液供給部300を制御する。なお制御部10は、基板処理装置111の一部とみなされてよい。
【0038】
以下において、ステップS12(
図3)に対応する工程としての、基板処理装置111(
図4)によって基板W上から有機膜を除去するSOM洗浄について、より具体的に説明する。
【0039】
基板Wがスピンチャック14によって保持される。ステップST10(
図5)にて、オゾン供給部200がチャンバ12内へオゾン含有ガスの導入を始める。ステップST20(
図5)にて、オゾン含有ガスの導入によって、チャンバ12内の少なくとも基板W上の空間にオゾン含有ガスが充満させられる。オゾン含有ガスが充満しているか否かは、チャンバ12内の圧力およびオゾン濃度の少なくともいずれかが閾値以上か否かによって定義されてよい。閾値圧力は、0.1MPa以上、0.3MPa以下であることが好ましい。閾値濃度は、100g/m
3以上、400g/m
3以下であることが好ましく、250g/m
3以上、400g/m
3以下であることがより好ましい。なお本実施の形態においては、閾値と対比される測定値を必ずしも得る必要はないが、当該測定値が閾値以上であることを確認する処理が行われてもよい。その場合、測定のために、後述する圧力計250(
図6参照)またはオゾン濃度計がチャンバ12に設けられる。
【0040】
後述するステップST40(
図5)の前に、スピンチャック14によって基板Wの回転が開始される。前述したステップST20の後、ステップST40(
図5)にて、二流体ノズル171へ、薬液供給部300が、硫酸を含む加熱された薬液を供給し、かつ、窒素供給部が、窒素ガスを供給する。これにより、オゾン含有ガスが前述のように既に充満させられている空間を介して、基板W上へ、硫酸を含む加熱された薬液の噴霧が始められる。噴霧された薬液中の硫酸が上記空間中でオゾンと反応することによって、活性種、具体的にはS
2O
8
2-、が生成される。ステップST50(
図5)にて、上記ステップST40によって始められた噴霧が継続される。
【0041】
ステップST60(
図5)にて、上記ステップST50において継続されていた噴霧が停止される。具体的には、二流体ノズル171に対して、薬液供給部300が薬液の供給を停止し、かつ、窒素供給部350が窒素ガスの供給を停止する。噴霧が停止されるタイミングは、例えば、噴霧が始められた時点から、予め定められた時間後の時点とされてよい。他の例として、噴霧が停止されるタイミングが、基板処理の進行状況を把握するためのモニタ手段参照することによって決定されてもよい。本実施の形態においては、ステップST10およびステップST20(
図5)においてチャンバ12内へのオゾン含有ガスの導入が行われた後、ステップST40およびステップST50においても、この導入が継続される。言い換えれば、噴霧中、新たなオゾン含有ガスが補充され続ける。ステップST60と同時またはその後に、ステップST30にて、オゾン供給部200は、オゾン含有ガスの導入を停止する。
【0042】
以上のようにSOM洗浄が行われる。なお上述したSOM洗浄は、有機膜を少なくとも部分的に除去する基板処理であればよく、SOM洗浄直後の時点で有機膜の一部が残存している場合、追加の洗浄が行われてよい。この追加の基板処理は、例えば、SPM洗浄またはSC1洗浄であってよい。このことは、後述する他の実施の形態においても同様である。
【0043】
上記ステップST50(
図5)によって噴霧された薬液は、基板を囲むカップ部161で受けられることによって回収される第1液LR1と、カップ部161の外で回収される第2液LR2と、に分別される。その後、第1液LR1の含有なしに、第2液LR2の再噴霧が行われてよい。具体的には、三方弁310の切り替えによって、薬液供給部300が、硫酸タンク301中の薬液を使用する状態から、第2液LR2を使用する状態へと切り替えられてよい。第2液LR2の再噴霧は、第2液LR2の回収中に処理されていた基板Wに対して行われてよく、あるいは、別の基板Wに対して行われてもよい。これら特徴は、後述する実施の形態2にも適用されてよい。
【0044】
<実施の形態2>
図6を参照して、本実施の形態2においては、処理ユニット110(
図1)の少なくともいずれかとして、基板W上から有機膜を除去するための基板処理装置112が適用される。基板処理装置112は、基板処理装置111(
図4:実施の形態1)の構成に加えて、チャンバ12内の圧力を測定する圧力計250を有している。
【0045】
以下において、ステップS12(
図3)に対応する工程としての、基板処理装置112(
図6)によって基板W上から有機膜を除去するSOM洗浄について、より具体的に説明する。
【0046】
基板Wがスピンチャック14によって保持される。ステップST10(
図7)にて、オゾン供給部200がチャンバ12内へオゾン含有ガスの導入を始める。ステップST20(
図7)にて、オゾン含有ガスの導入によって、チャンバ12内の少なくとも基板W上の空間にオゾン含有ガスが充満させられる。本実施の形態においては、このステップST20において、圧力計250によって得られる圧力の測定値が、予め定められた閾値圧力以上であることが確認される。なお、この確認とともに、あるいはこの確認に代わって、チャンバ12内のオゾン濃度の測定値が、予め定められた閾値濃度以上であることが確認されてもよい。その場合、チャンバ12にオゾン濃度計(図示せず)が設けられる。なお、閾値圧力および閾値濃度の好適な範囲は、実施の形態1で説明されたものと同様である。
【0047】
上記ステップST20の後、ステップST30(
図7)にて、オゾン供給部200は、オゾン含有ガスの導入を停止する。言い換えれば、チャンバ12内の圧力またはオゾン濃度の少なくともいずれかが十分に高いことが確認された後に、オゾン含有ガスの導入が停止される。このステップST30は、後述するステップST50よりも前に行われる。またこのステップST30はさらに、後述するステップST40よりも前に行われてよい。
【0048】
ステップST40(
図7)の前に、スピンチャック14によって基板Wの回転が開始される。上述したステップST20の後、ステップST40(
図7)にて、二流体ノズル171へ、薬液供給部300が、硫酸を含む加熱された薬液を供給し、かつ、窒素供給部が、窒素ガスを供給する。これにより、前述のようにオゾン含有ガスが既に充満させられている空間を介して、基板W上へ、硫酸を含む加熱された薬液の噴霧が始められる。噴霧された薬液中の硫酸が上記空間中でオゾンと反応することによって、活性種、具体的にはS
2O
8
2-、が生成される。ステップST50(
図7)にて、上記ステップST40によって始められた噴霧が継続される。
【0049】
ステップST60(
図7)にて、上記ステップST50において継続されていた噴霧が停止される。具体的には、二流体ノズル171に対して、薬液供給部300が薬液の供給を停止し、かつ、窒素供給部350が窒素ガスの供給を停止する。噴霧が停止されるタイミングは、例えば、噴霧が始められた時点から、予め定められた時間後の時点とされてよい。他の例として、噴霧が停止されるタイミングが、基板処理の進行状況を把握するためのモニタ手段参照することによって決定されてもよい。
【0050】
本実施の形態においては、ステップST10およびステップST20(
図7)においてチャンバ12内へのオゾン含有ガスの導入が行われた後、この導入がステップST50の前に停止される。言い換えれば、噴霧中、新たなオゾン含有ガスが補充されない期間が存在する。またこの導入はステップST40の前に停止されてもよい。言い換えれば、噴霧中、新たなオゾン含有ガスがまったく補充されなくてもよい。
【0051】
<実施の形態3>
図8を参照して、本実施の形態3においては、処理ユニット110(
図1)の少なくともいずれかとして、基板W上から有機膜を除去するための基板処理装置113が適用される。基板処理装置113は、略円板状の基板Wを1枚ずつ処理する枚葉式の装置である。
図8では、基板処理装置113の一部の構成の断面には、ハッチングの付与を省略している(他の断面図においても同様)。
【0052】
基板処理装置113は、チャンバ12と、トッププレート123と、チャンバ開閉機構131と、基板保持部14と、基板回転機構15と、液受け部16と、カバー17とを備える。カバー17は、チャンバ12の上方および側方を覆う。
【0053】
チャンバ12は、チャンバ本体121と、チャンバ蓋部122とを備える。チャンバ12は、上下方向を向く中心軸J1を中心とする略円筒状である。チャンバ本体121は、チャンバ底部210と、チャンバ側壁部214とを備える。チャンバ底部210は、略円板状の中央部211と、中央部211の外縁部から下方へと広がる略円筒状の内側壁部212と、内側壁部212の下端から径方向外方へと広がる略円環板状の環状底部213と、環状底部213の外縁部から上方へと広がる略円筒状の外側壁部215と、外側壁部215の上端部から径方向外方へと広がる略円環板状のベース部216とを備える。
【0054】
チャンバ側壁部214は、中心軸J1を中心とする環状である。チャンバ側壁部214は、ベース部216の内縁部から上方へと突出する。チャンバ側壁部214を形成する部材は、後述するように、液受け部16の一部を兼ねる。以下の説明では、チャンバ側壁部214と外側壁部215と環状底部213と内側壁部212と中央部211の外縁部とに囲まれた空間を下部環状空間217という。
【0055】
基板保持部14の基板支持部141(後述)に基板Wが支持された場合、基板Wの下面92は、チャンバ底部210の中央部211の上面と対向する。以下の説明では、チャンバ底部210の中央部211を「下面対向部211」と呼び、中央部211の上面211aを「対向面211a」という。下面対向部211の詳細については後述する。
【0056】
チャンバ蓋部122は中心軸J1に垂直な略円板状であり、チャンバ12の上部を含む。チャンバ蓋部122は、チャンバ本体121の上部開口を閉塞する。
図8では、チャンバ蓋部122がチャンバ本体121から離間した状態を示す。チャンバ蓋部122がチャンバ本体121の上部開口を閉塞する際には、チャンバ蓋部122の外縁部がチャンバ側壁部214の上部と接する。
【0057】
チャンバ開閉機構131は、チャンバ12の可動部であるチャンバ蓋部122を、チャンバ12の他の部位であるチャンバ本体121に対して上下方向に相対的に移動する。チャンバ開閉機構131は、チャンバ蓋部122を昇降する蓋部昇降機構である。チャンバ開閉機構131によりチャンバ蓋部122が上下方向に移動する際には、トッププレート123もチャンバ蓋部122と共に上下方向に移動する。チャンバ蓋部122がチャンバ本体121と接して上部開口を閉塞し、さらに、チャンバ蓋部122がチャンバ本体121に向かって押圧されることにより、チャンバ12内に密閉されたチャンバ空間120(
図13参照)が形成される。換言すれば、チャンバ蓋部122によりチャンバ本体121の上部開口が閉塞されることより、チャンバ空間120が密閉される。
【0058】
基板保持部14は、チャンバ空間120に配置され、基板Wを水平状態で保持する。すなわち、基板Wは、上面91を中心軸J1に垂直に上側を向く状態で基板保持部14により保持される。基板保持部14は、基板Wの外縁部(すなわち、外周縁を含む外周縁近傍の部位)を下側から支持する上述の基板支持部141と、基板支持部141に支持された基板Wの外縁部を上側から押さえる基板押さえ部142とを備える。基板支持部141は、中心軸J1を中心とする略円環板状の支持部ベース413と、支持部ベース413の上面に固定される複数の第1接触部411とを備える。基板押さえ部142は、トッププレート123の下面に固定される複数の第2接触部421を備える。複数の第2接触部421の周方向の位置は、実際には、複数の第1接触部411の周方向の位置と異なる。
【0059】
トッププレート123は、中心軸J1に垂直な略円板状である。トッププレート123は、チャンバ蓋部122の下方、かつ、基板支持部141の上方に配置される。トッププレート123は中央に開口を有する。基板Wが基板支持部141に支持されると、基板Wの上面91は、中心軸J1に垂直なトッププレート123の下面と対向する。トッププレート123の直径は、基板Wの直径よりも大きく、トッププレート123の外周縁は、基板Wの外周縁よりも全周にわたって径方向外側に位置する。
【0060】
図8に示す状態において、トッププレート123は、チャンバ蓋部122により吊り下げられるように支持される。チャンバ蓋部122は、中央部に略環状のプレート保持部222を有する。プレート保持部222は、中心軸J1を中心とする略円筒状の筒部223と、中心軸J1を中心とする略円板状のフランジ部224とを備える。フランジ部224は、筒部223の下端から径方向内方へと広がる。トッププレート123は、環状の被保持部237を備える。被保持部237は、中心軸J1を中心とする略円筒状の筒部238と、中心軸J1を中心とする略円板状のフランジ部239とを備える。筒部238は、トッププレート123の上面から上方に広がる。フランジ部239は、筒部238の上端から径方向外方へと広がる。筒部238は、プレート保持部222の筒部223の径方向内側に位置する。フランジ部239は、プレート保持部222のフランジ部224の上方に位置し、フランジ部224と上下方向に対向する。被保持部237のフランジ部239の下面が、プレート保持部222のフランジ部224の上面に接することにより、トッププレート123が、チャンバ蓋部122から吊り下がるようにチャンバ蓋部122に取り付けられる。
【0061】
図8に示す基板回転機構15は、いわゆる中空モータである。基板回転機構15は、中心軸J1を中心とする環状のステータ部151と、環状のロータ部152とを備える。ロータ部152は、略円環状の永久磁石を含む。永久磁石の表面は、PTFE樹脂にてモールドされる。ロータ部152は、チャンバ12のチャンバ空間120において下部環状空間217内に配置される。ロータ部152の上部には、接続部材を介して基板支持部141の支持部ベース413が取り付けられる。支持部ベース413は、ロータ部152の上方に配置される。ステータ部151は、チャンバ12外(すなわち、チャンバ空間120の外側)においてロータ部152の周囲、すなわち、径方向外側に配置される。本実施の形態では、ステータ部151は、チャンバ底部210の外側壁部215およびベース部216に固定され、液受け部16の下方に位置する。ステータ部151は、中心軸J1を中心とする周方向に配列された複数のコイルを含む。ステータ部151に電流が供給されることにより、ステータ部151とロータ部152との間に、中心軸J1を中心とする回転力が発生する。これにより、ロータ部152が、中心軸J1を中心として水平状態で回転する。ステータ部151とロータ部152との間に働く磁力により、ロータ部152は、チャンバ12内において直接的にも間接的にもチャンバ12に接触することなく浮遊し、中心軸J1を中心として基板Wを基板支持部141と共に浮遊状態にて回転する。
【0062】
液受け部16は、カップ部161と、カップ部移動機構162と、カップ対向部163とを備える。カップ部161は中心軸J1を中心とする環状であり、チャンバ12の径方向外側に全周にわたって位置する。カップ部移動機構162はカップ部161を上下方向に移動する。カップ部移動機構162は、カップ部161の径方向外側に配置される。カップ部移動機構162は、上述のチャンバ開閉機構131と周方向に異なる位置に配置される。カップ対向部163は、カップ部161の下方に位置し、カップ部161と上下方向に対向する。カップ対向部163は、チャンバ側壁部214を形成する部材の一部である。カップ対向部163は、チャンバ側壁部214の径方向外側に位置する環状の液受け凹部165を有する。
【0063】
カップ部161は、側壁部611と、上面部612と、ベローズ617とを備える。側壁部611は、中心軸J1を中心とする略円筒状である。上面部612は、中心軸J1を中心とする略円環板状であり、側壁部611の上端部から径方向内方および径方向外方へと広がる。側壁部611の下部は、カップ対向部163の液受け凹部165内に位置する。側壁部611の断面形状は、後述するノズルユニット188が収容される部位(
図8中の右側の部位)と、その他の部位(
図8中の左側の部位)とで異なる。側壁部611の
図8中の右側の部位は、
図8中の左側の部位よりも径方向の厚さが少し薄い。
【0064】
ベローズ617は、中心軸J1を中心とする略円筒状であり、上下方向に伸縮可能である。ベローズ617は、側壁部611の径方向外側において、側壁部611の周囲に全周にわたって設けられる。ベローズ617は、気体や液体を通過させない材料にて形成される。ベローズ617の上端部は、上面部612の外縁部の下面に全周にわたって接続される。換言すれば、ベローズ617の上端部は、上面部612を介して側壁部611に間接的に接続される。ベローズ617と上面部612との接続部はシールされており、気体や液体の通過が防止される。ベローズ617の下端部は、カップ対向部163を介してチャンバ本体121に間接的に接続される。ベローズ617の下端部とカップ対向部163との接続部でも、気体や液体の通過が防止される。
【0065】
チャンバ蓋部122の中央には上部ノズル181が固定される。上部ノズル181は、トッププレート123の中央の開口に挿入可能である。上部ノズル181は中央に液吐出口を有し、その周囲に噴出口を有する。チャンバ底部210の下面対向部211の中央には、下部ノズル182が取り付けられる。下面対向部211には、複数のガス噴出ノズル180aがさらに取り付けられる。複数のガス噴出ノズル180aは、例えば、中心軸J1を中心とする周方向に等角度間隔にて配置される。なお、上部ノズル181および下部ノズル182の設置位置は必ずしも中央部分に限らず、例えば基板Wの外縁部に対向する位置であってもよい。
【0066】
カップ部161の上面部612には、ノズルユニット188が取り付けられる。ノズルユニット188は、薬液を噴霧する霧化ノズル881と、ノズル支持部882とを備える。ノズル支持部882は、略水平方向に延びる棒状の部材である。ノズル支持部882の一方の端部である固定端部は、カップ部161の上面部612の下面に取り付けられる。ノズル支持部882の他方の端部である自由端部には、霧化ノズル881が固定される。なお変形例として、一流体ノズルである霧化ノズル881に代わって、二流体ノズル171(
図4)が窒素供給部350(
図4)と共に設けられてもよい。
【0067】
カップ部161の上部には、ノズル移動機構189が設けられる。ノズル移動機構189は、ノズル支持部882の固定端部の上方にて、カップ部161の上面部612の上面に固定される。ノズル移動機構189は、支持部回転機構891と、支持部昇降機構892とを備える。支持部回転機構891は、カップ部161の上面部612を貫通してノズル支持部882の固定端部に接続され、固定端部を中心としてノズル支持部882を霧化ノズル881と共に略水平方向に回転する。支持部回転機構891によるカップ部161の貫通部はシールされており、気体や液体の通過が防止される。支持部昇降機構892は、ノズル支持部882の固定端部を上下方向に移動することにより、ノズル支持部882および霧化ノズル881を昇降する。ノズル移動機構189は、カップ部移動機構162により、カップ部161と共に上下方向に移動する。
【0068】
図9は、基板処理装置113が備える気液供給部および気液排出部を示すブロック図である。気液供給部は、上述のノズルユニット188、ガス噴出ノズル180a、上部ノズル181および下部ノズル182に加えて、オゾン供給部200と、薬液供給部300と、純水供給部184と、IPA供給部185と、加熱ガス供給部187とを備える。薬液供給部300は、弁を介してノズルユニット188に接続される。純水供給部184およびIPA供給部185は、それぞれ弁を介して上部ノズル181に接続される。下部ノズル182は、弁を介して純水供給部184に接続される。上部ノズル181は、弁を介してオゾン供給部200にも接続される。上部ノズル181は、チャンバ12の内部にガスを供給するガス供給部の一部である。複数のガス噴出ノズル180aは、弁を介して加熱ガス供給部187に接続される。
【0069】
液受け部16の液受け凹部165に接続される第1排出路191は、気液分離部193に接続される。気液分離部193は、外側排気部194、薬液回収部195および排液部196にそれぞれ弁を介して接続される。チャンバ底部210に接続される第2排出路192は、気液分離部197に接続される。気液分離部197は、内側排気部198および排液部199にそれぞれ弁を介して接続される。
【0070】
薬液供給部300は、基板処理装置111(
図4:実施の形態1)において説明したように、加熱された、硫酸を含む薬液を供給する。純水供給部184は、上部ノズル181または下部ノズル182を介して基板Wに純水(DIW:deionized water)を供給する。IPA供給部185は、上部ノズル181を介して基板W上にイソプロピルアルコール(IPA)を供給する。基板処理装置113では、上述の処理液(上記薬液、純水およびIPA)以外の処理液を供給する処理液供給部が設けられてもよい。
【0071】
オゾン供給部200は、基板処理装置111(
図4:実施の形態1)において説明したように、チャンバ12内へオゾン含有ガスを供給する。本実施の形態においては、当該供給は上部ノズル181を介して行われる。加熱ガス供給部187は、複数のガス噴出ノズル180aを介して基板Wの下面92に加熱したガス(例えば、160~200℃に加熱した高温の不活性ガス)を供給する。本実施の形態では、加熱ガス供給部187にて利用されるガスは窒素ガスであるが、窒素ガス以外であってもよい。なお、加熱ガス供給部187において加熱した不活性ガスを利用する場合には、基板処理装置113における防爆対策は簡素化可能または不要である。
【0072】
図8に示すように、トッププレート123の外縁部の下面には、複数の第1係合部241が周方向に配列され、支持部ベース413の上面には、複数の第2係合部242が周方向に配列される。実際には、第1係合部241および第2係合部242は、基板支持部141の複数の第1接触部411、および、基板押さえ部142の複数の第2接触部421とは、周方向において異なる位置に配置される。これらの係合部は3組以上設けられることが好ましく、本実施の形態では4組設けられる。第1係合部241の下部には上方に向かって窪む凹部が設けられる。第2係合部242は支持部ベース413から上方に向かって突出する。
【0073】
以下、基板処理装置113(
図8および
図9)を用いて基板W上から有機膜を除去するための基板処理方法について説明する。
【0074】
図10に示すように、ステップS11(
図3)においては、チャンバ蓋部122がチャンバ本体121から離間して上方に位置し、カップ部161がチャンバ蓋部122から離間して下方に位置する状態にて、基板Wが外部の搬送機構によりチャンバ12内に搬入され、基板支持部141により下側から支持される。以下、
図10に示すチャンバ12およびカップ部161の状態を「オープン状態」と呼ぶ。チャンバ蓋部122とチャンバ側壁部214との間の開口は、中心軸J1を中心とする環状であり、以下、「環状開口81」という。基板処理装置113では、チャンバ蓋部122がチャンバ本体121から離間することにより、基板Wの周囲(すなわち、径方向外側)に環状開口81が形成される。ステップS11では、基板Wは環状開口81を介して搬入される。
【0075】
基板Wの搬入時には、ノズルユニット188は、カップ部161とカップ対向部163との間に形成される空間160に予め収容されている。空間160は、チャンバ12の外周を全周にわたって囲む略円環状の空間である。以下の説明では、空間160を「側方空間160」という。
図11は、基板処理装置113の平面図である。
図11では、ノズルユニット188の収容状態の理解を容易にするために、チャンバ蓋部122やカップ部161等の図示を省略している。また、ベローズ617にハッチングを付す。
【0076】
図11に示すように、ノズルユニット188のノズル支持部882は、平面視において、径方向外側に凸となるように湾曲している。換言すれば、ノズルユニット188は略円弧状である。側方空間160では、ノズルユニット188は、ノズル支持部882がベローズ617およびカップ部161の側壁部611(
図10参照)に沿うように配置される。
【0077】
ノズルユニット188が収容される際には、カップ部161が
図8に示す位置に位置する状態で、支持部回転機構891によりノズルユニット188が回転し、環状開口81を介してチャンバ12の外側へと移動する。これにより、ノズルユニット188は、カップ部161とカップ対向部163との間の側方空間160に収容される。その後、カップ部移動機構162によりカップ部161が
図10に示す位置まで下降する。カップ部161の下降に伴い、側方空間160は小さくなる。
【0078】
基板Wが搬入されると、カップ部161が、
図10に示す位置から
図12に示す位置まで上昇し、環状開口81の径方向外側に全周にわたって位置する。以下の説明では、
図12に示すチャンバ12およびカップ部161の状態を「第1密閉状態」という(
図8の状態も同様)。また、
図12に示すカップ部161の位置を「液受け位置」といい、
図10に示すカップ部161の位置を「退避位置」という。カップ部移動機構162は、カップ部161を、環状開口81の径方向外側の液受け位置と、液受け位置よりも下方の退避位置との間で上下方向に移動する。
【0079】
液受け位置に位置するカップ部161では、側壁部611が、環状開口81と径方向に対向する。また、上面部612の内縁部の上面が、チャンバ蓋部122の外縁部下端のリップシール232に全周にわたって接する。チャンバ蓋部122とカップ部161の上面部612との間には、気体や液体の通過を防止するシール部が形成される。これにより、チャンバ本体121、チャンバ蓋部122、カップ部161およびカップ対向部163により囲まれる密閉された空間(以下、「拡大密閉空間100」という。)が形成される。拡大密閉空間100は、チャンバ蓋部122とチャンバ本体121との間のチャンバ空間120と、カップ部161とカップ対向部163とに囲まれる側方空間160とが、環状開口81を介して連通することにより形成された1つの空間である。
【0080】
次に、基板W上から有機膜を除去するステップS12(
図3)が開始される。具体的には、基板回転機構15により一定の回転数(比較的低い回転数であり、以下、「定常回転数」という。)での基板Wの回転が開始される。さらに、オゾン供給部200(
図9参照)から拡大密閉空間100へのオゾン含有ガスの供給が開始される(ステップST10(
図5)に対応)とともに、外側排気部194による拡大密閉空間100内のガスの排出が開始される。これにより、所定時間経過後に、拡大密閉空間100はオゾン含有ガスが充満した状態となる(ステップST20(
図5)に対応)。なお、拡大密閉空間100へのオゾン含有ガスの供給、および、拡大密閉空間100内のガスの排出は、
図10に示すオープン状態から行われていてもよい。
【0081】
次に、回転する基板Wの下面92に向けて、複数のガス噴出ノズル180aから、加熱したガスが噴出される。これにより、基板Wが加熱される。また、側方空間160においてカップ部161に取り付けられたノズルユニット188へと、薬液供給部300から所定量の薬液が供給される。これにより、ノズルユニット188が側方空間160に収容された状態(すなわち、ノズルユニット188全体が側方空間160内に位置する状態)で、霧化ノズル881からのプリディスペンスが行われる。霧化ノズル881からプリディスペンスされた薬液は、液受け凹部165にて受けられる。
【0082】
プリディスペンスが終了すると、拡大密閉空間100の外側に配置された支持部回転機構891によりノズル支持部882が回転することにより、
図8に示すように、霧化ノズル881が環状開口81を介して基板Wの上方へと移動する。さらに、支持部回転機構891が制御部10に制御され、基板Wの上方における霧化ノズル881の往復移動が開始される。霧化ノズル881は、基板Wの中心部と外縁部とを結ぶ所定の移動経路に沿って水平方向に継続的に往復移動する。
【0083】
そして、薬液供給部300から霧化ノズル881へと薬液が供給され、水平方向に揺動する霧化ノズル881から基板Wの上面91へと薬液が噴霧され始める(ステップST40(
図5)に対応)。薬液は、基板Wの回転により外周部へと拡がり、上面91全体が薬液により被覆される。水平方向に揺動する霧化ノズル881から回転中の基板Wへと薬液が噴霧され続けることにより(ステップST50(
図5)に対応)、基板Wの上面91に薬液をおよそ均一に供給することができる。また、基板W上の薬液の温度の均一性を向上することもできる。その結果、基板Wに対する薬液処理の均一性を向上することができる。
【0084】
ノズルユニット188からの薬液の噴霧中、ガス噴出ノズル180aからの加熱ガスの噴出も継続される。これにより、基板Wをおおよそ所望の温度に加熱しつつ、薬液による上面91に対する洗浄が行われる。その結果、基板Wに対する薬液処理の均一性をさらに向上することができる。
【0085】
拡大密閉空間100では、回転する基板Wの上面91から飛散する薬液が、環状開口81を介してカップ部161にて受けられ、液受け凹部165へと導かれる。液受け凹部165へと導かれた薬液は、
図9に示す第1排出路191を介して気液分離部193に流入する。薬液回収部195では、気液分離部193から薬液が回収され、フィルタ等を介して薬液から不純物等が除去された後、再利用される。
【0086】
薬液の供給開始から所定時間(例えば、60~120秒)経過すると、ノズルユニット188からの薬液の供給、および、ガス噴出ノズル180aからの加熱ガスの供給が停止される(ステップST60(
図5)に対応)。また、オゾン供給部200(
図9参照)からのオゾン含有ガスの導入が停止される(ステップST30(
図5)に対応)。続いて、基板回転機構15により、所定時間(例えば、1~3秒)だけ基板Wの回転数が定常回転数よりも高くされ、基板Wから薬液が除去される。また、支持部回転機構891により、ノズルユニット188が回転し、
図12に示すように、チャンバ空間120から環状開口81を介して側方空間160へと移動する。
【0087】
ノズルユニット188が側方空間160へと移動すると、チャンバ蓋部122およびカップ部161が同期して下方へと移動する。そして、
図13に示すように、チャンバ蓋部122の外縁部下端のリップシール231が、チャンバ側壁部214の上部と接することにより、環状開口81が閉じられ、チャンバ空間120が、側方空間160と隔絶された状態で密閉される。カップ部161は、
図10と同様に、退避位置に位置する。側方空間160は、チャンバ空間120と隔絶された状態で密閉される。以下、
図13に示すチャンバ12およびカップ部161の状態を「第2密閉状態」という。第2密閉状態では、基板Wは、チャンバ12の内壁と直接対向し、これらの間に他の液受け部は存在しない。また、ノズルユニット188は、チャンバ空間120から隔離されて側方空間160内に収容される。
【0088】
第2密閉状態では、基板押さえ部142の複数の第2接触部421が基板Wの外縁部に接触する。トッププレート123の下面、および、基板支持部141の支持部ベース413上には、上下方向にて対向する複数対の磁石(図示省略)が設けられる。以下、各対の磁石を「磁石対」ともいう。基板処理装置113では、複数の磁石対が、周方向において第1接触部411、第2接触部421、第1係合部241および第2係合部242とは異なる位置に、等角度間隔にて配置される。基板押さえ部142が基板Wに接触している状態では、磁石対の間に働く磁力(引力)により、トッププレート123に下向きの力が働く。これにより、基板押さえ部142が基板Wを基板支持部141へと押圧する。
【0089】
基板処理装置113では、基板押さえ部142が、トッププレート123の自重、および、磁石対の磁力により基板Wを基板支持部141へと押圧することにより、基板Wを基板押さえ部142と基板支持部141とで上下から挟んで強固に保持することができる。
【0090】
第2密閉状態では、被保持部237のフランジ部239が、プレート保持部222のフランジ部224の上方に離間しており、プレート保持部222と被保持部237とは接触しない。換言すれば、プレート保持部222によるトッププレート123の保持が解除されている。このため、トッププレート123は、チャンバ蓋部122から独立して、基板保持部14および基板保持部14に保持された基板Wと共に、基板回転機構15により回転する。
【0091】
また、第2密閉状態では、第1係合部241の下部の凹部に第2係合部242が嵌る。これにより、トッププレート123は、中心軸J1を中心とする周方向において基板支持部141の支持部ベース413と係合する。換言すれば、第1係合部241および第2係合部242は、トッププレート123の基板支持部141に対する回転方向における相対位置を規制する(すなわち、周方向における相対位置を固定する)位置規制部材である。チャンバ蓋部122が下降する際には、第1係合部241と第2係合部242とが嵌り合うように、基板回転機構15により支持部ベース413の回転位置が制御される。
【0092】
チャンバ空間120および側方空間160がそれぞれ独立して密閉されると、外側排気部194(
図9参照)によるガスの排出が停止されるとともに、内側排気部198によるチャンバ空間120内のガスの排出が開始される。リンス液としての純水の基板Wへの供給が、純水供給部184により開始される(ステップS13(
図3))。
【0093】
純水供給部184からの純水は、上部ノズル181および下部ノズル182から吐出されて基板Wの上面91および下面92の中央部に連続的に供給される。純水は、基板Wの回転により上面91および下面92の外周部へと拡がり、基板Wの外周縁から外側へと飛散する。基板Wから飛散する純水は、チャンバ12の内壁(すなわち、チャンバ蓋部122およびチャンバ側壁部214の内壁)にて受けられ、
図9に示す第2排出路192、気液分離部197および排液部199を介して廃棄される(後述する基板Wの乾燥処理においても同様)。これにより、基板Wの上面91のリンス処理および下面92の洗浄処理とともに、チャンバ12内の洗浄も実質的に行われる。
【0094】
純水の供給開始から所定時間経過すると、純水供給部184からの純水の供給が停止される。そして、チャンバ空間120内において、基板Wの回転数が定常回転数よりも十分に高くされる。これにより、純水が基板W上から除去され、基板Wの乾燥処理が行われる(ステップS14(
図3))。基板Wの乾燥開始から所定時間経過すると、基板Wの回転が停止する。基板Wの乾燥処理は、内側排気部198によりチャンバ空間120が減圧され、大気圧よりも低い減圧雰囲気にて行われてもよい。なお、純水供給部184による純水の供給後、基板Wの乾燥前に、IPA供給部185から基板W上にIPAを供給して基板W上において純水がIPAに置換されてもよい。
【0095】
その後、チャンバ蓋部122とトッププレート123が上昇して、
図10に示すように、チャンバ12がオープン状態となる。ステップS14では、トッププレート123が基板支持部141と共に回転するため、トッププレート123の下面に液体はほとんど残存せず、チャンバ蓋部122の上昇時にトッププレート123から液体が基板W上に落下することはない。基板Wは外部の搬送機構によりチャンバ12から搬出される(ステップS15(
図3))。
【0096】
なおチャンバ開閉機構131は、必ずしもチャンバ蓋部122を上下方向に移動する必要はなく、チャンバ蓋部122が固定された状態で、チャンバ本体121を上下方向に移動してもよい。チャンバ12は、必ずしも略円筒状には限定されず、様々な形状であってよい。基板回転機構15のステータ部151およびロータ部152の形状および構造は、様々に変更されてよい。ロータ部152は、必ずしも浮遊状態にて回転する必要はなく、チャンバ12内にロータ部152を機械的に支持するガイド等の構造が設けられ、当該ガイドに沿ってロータ部152が回転してもよい。基板回転機構15は、必ずしも中空モータである必要はなく、軸回転型のモータが基板回転機構として利用されてもよい。基板処理装置113では、(外側)カップ部161の上面部612以外の部位(例えば、側壁部611)がチャンバ蓋部122に接することにより、拡大密閉空間100が形成されてもよい。(外側)カップ部161および内側カップ部161aの形状は、適宜変更されてよい。
【0097】
本実施の形態3によれば、オゾンを用いた処理が行われるチャンバ12の密閉性を、高く確保することができる。なお上記においては、本実施の形態3において
図5(実施の形態1)と同様のフローが行われる場合について詳述したが、代わって、
図7(実施の形態2)と同様のフローが行われてもよい。その場合、圧力計250(
図6:実施の形態2)およびオゾン濃度計の少なくともいずれかが、チャンバ12(
図8)内の雰囲気の測定を行うように設けられてよい。
【0098】
上記各実施形態および各変形例で説明した各構成および各工程は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わせたり、省略したりすることができる。
【符号の説明】
【0099】
10 :制御部
12 :チャンバ(基板処理室)
14 :スピンチャック(基板保持部)
17 :カバー
110 :処理ユニット
111~113:基板処理装置
161 :カップ部
171 :二流体ノズル(霧化ノズル)
200 :オゾン供給部
250 :圧力計
300 :薬液供給部
301 :硫酸タンク
302 :圧力調整部
303 :ヒータ
310 :三方弁
350 :窒素供給部
881 :霧化ノズル
LR1 :第1液
LR2 :第2液
W :基板