(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022188426
(43)【公開日】2022-12-21
(54)【発明の名称】混雑状況案内システム、混雑状況案内方法及び混雑状況案内プログラム
(51)【国際特許分類】
B61L 25/02 20060101AFI20221214BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20221214BHJP
【FI】
B61L25/02 Z
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021096445
(22)【出願日】2021-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】000221616
【氏名又は名称】東日本旅客鉄道株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松本 貴之
(72)【発明者】
【氏名】山田 厚子
【テーマコード(参考)】
5H161
5L049
【Fターム(参考)】
5H161AA01
5H161BB20
5H161DD50
5H161GG16
5H161GG23
5L049CC11
(57)【要約】
【課題】鉄道を利用するユーザが混雑状況に変動が生じる地点を把握し易くすることができる混雑状況案内システム、混雑状況案内方法及び混雑状況案内プログラムを提供する。
【解決手段】ユーザに提供する移動経路に係る情報である経路データD4を取得する取得手段(通信部13)と、移動経路における乗車列車について、区間毎に混雑率が複数段階の分類のうちいずれに該当するかを特定し、区間毎の混雑レベルを特定する第1特定手段(制御部11)と、乗車列車について、混雑レベルが変動する地点である混雑レベル変動地点を特定する第2特定手段(制御部11)と、混雑レベル変動地点における混雑状況の変動に係る情報である変動情報と、前記経路情報と、を紐付けて、一覧画面データD5及び詳細画面データD7を生成する案内情報生成手段(制御部11)と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザに提供する移動経路に係る情報である経路情報を取得する取得手段と、
前記移動経路における乗車列車について、区間毎に混雑率が複数段階の分類のうちいずれに該当するかを予測し、区間毎の混雑レベルを特定する第1特定手段と、
前記乗車列車について、前記混雑レベルが変動する地点である混雑レベル変動地点を特定する第2特定手段と、
前記混雑レベル変動地点における混雑状況の変動に係る情報である変動情報と、前記経路情報と、を紐付けて、ユーザに提供する情報である案内情報を生成する案内情報生成手段と、
を備えることを特徴とする混雑状況案内システム。
【請求項2】
前記移動経路における乗車列車について、乗車時の混雑レベルを特定する第3特定手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の混雑状況案内システム。
【請求項3】
前記混雑レベル変動地点のうち、当該地点の直後の混雑レベルが、前記乗車時の混雑レベルとの関係で所定の条件を満たす地点を特定する第4特定手段を備え、
前記案内情報生成手段は、前記第4特定手段が特定した地点に係る前記変動情報と、前記経路情報と、を紐付けて、前記案内情報を生成することを特徴とする請求項2に記載の混雑状況案内システム。
【請求項4】
前記第4特定手段が特定した地点が複数存在する場合に、当該複数の地点のうち乗車後最初に通過する地点を特定する第5特定手段を備え、
前記案内情報生成手段は、前記第5特定手段が特定した地点に係る前記変動情報と、前記経路情報と、を紐付けて、前記案内情報を生成することを特徴とする請求項3に記載の混雑状況案内システム。
【請求項5】
前記案内情報生成手段は、前記乗車時の混雑レベルと、前記混雑レベル変動地点の直後の混雑レベルと、を対比して、前記変動情報の内容を決定することを特徴とする請求項2から4のいずれか一項に記載の混雑状況案内システム。
【請求項6】
前記案内情報は、前記移動経路における乗車列車の乗車時の混雑レベル及び降車時の混雑レベルに係る情報を含むことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の混雑状況案内システム。
【請求項7】
前記案内情報は、乗車から前記混雑レベル変動地点までの所要時間に係る情報を含むことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の混雑状況案内システム。
【請求項8】
ユーザに提供する移動経路に係る情報である経路情報を取得する取得ステップと、
前記移動経路における乗車列車について、区間毎に混雑率が複数段階の分類のうちいずれに該当するかを予測し、区間毎の混雑レベルを特定する第1特定ステップと、
前記乗車列車について、前記混雑レベルが変動する地点である混雑レベル変動地点を特定する第2特定ステップと、
前記混雑レベル変動地点における混雑状況の変動に係る情報である変動情報と、前記経路情報と、を紐付けて、ユーザに提供する情報である案内情報を生成する案内情報生成ステップと、
を含むことを特徴とする混雑状況案内方法。
【請求項9】
コンピュータを、
ユーザに提供する移動経路に係る情報である経路情報を取得する取得手段、
前記移動経路における乗車列車について、区間毎に混雑率が複数段階の分類のうちいずれに該当するかを予測し、区間毎の混雑レベルを特定する第1特定手段、
前記乗車列車について、前記混雑レベルが変動する地点である混雑レベル変動地点を特定する第2特定手段、
前記混雑レベル変動地点における混雑状況の変動に係る情報である変動情報と、前記経路情報と、を紐付けて、ユーザに提供する情報である案内情報を生成する案内情報生成手段、
として機能させることを特徴とする混雑状況案内プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、混雑状況案内システム、混雑状況案内方法及び混雑状況案内プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道を利用するユーザが移動経路を決定するに際しては、列車の混雑状況を重視する場合がある。すなわち、ユーザは、他の条件に大きな差がなければ、列車に混雑する区間が生じない移動経路を利用して移動することを好むことが予測される。
【0003】
そこで、列車の混雑状況を予測した上で、ユーザに対して、混雑することが予測される混雑区間について通知することを目的としたシステムが知られている(例えば、特許文献1及び2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-9604号公報
【特許文献2】特開2017-137059号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
鉄道を利用するユーザが移動経路を決定するに際しては、例えば、混雑している列車の混雑がどの地点で解消するか、空いている列車がどの地点で混雑するかといった、混雑状況の変動がどの地点で生じるかに係る情報が重要となる場合がある。
【0006】
この点、特許文献1に記載のシステム及び特許文献2に記載のシステムにおいては、単に混雑区間について通知するにとどまるものであることから、ユーザが、どの地点で混雑状況に変動が生じるかについて把握することは、不可能であるか、可能であるとしても、通知された混雑区間から推定することを要し、容易ではなかった。
【0007】
本発明の課題は、鉄道を利用するユーザが混雑状況に変動が生じる地点を把握し易くすることができる混雑状況案内システム、混雑状況案内方法及び混雑状況案内プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、混雑状況案内システムにおいて、
ユーザに提供する移動経路に係る情報である経路情報を取得する取得手段と、
前記移動経路における乗車列車について、区間毎に混雑率が複数段階の分類のうちいずれに該当するかを予測し、区間毎の混雑レベルを特定する第1特定手段と、
前記乗車列車について、前記混雑レベルが変動する地点である混雑レベル変動地点を特定する第2特定手段と、
前記混雑レベル変動地点における混雑状況の変動に係る情報である変動情報と、前記経路情報と、を紐付けて、ユーザに提供する情報である案内情報を生成する案内情報生成手段と、
を備えることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の混雑状況案内システムにおいて、
前記移動経路における乗車列車について、乗車時の混雑レベルを特定する第3特定手段を備えることを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の混雑状況案内システムにおいて、
前記混雑レベル変動地点のうち、当該地点の直後の混雑レベルが、前記乗車時の混雑レベルとの関係で所定の条件を満たす地点を特定する第4特定手段を備え、
前記案内情報生成手段は、前記第4特定手段が特定した地点に係る前記変動情報と、前記経路情報と、を紐付けて、前記案内情報を生成することを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の混雑状況案内システムにおいて、
前記第4特定手段が特定した地点が複数存在する場合に、当該複数の地点のうち乗車後最初に通過する地点を特定する第5特定手段を備え、
前記案内情報生成手段は、前記第5特定手段が特定した地点に係る前記変動情報と、前記経路情報と、を紐付けて、前記案内情報を生成することを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項2から4のいずれか一項に記載の混雑状況案内システムにおいて、
前記案内情報生成手段は、前記乗車時の混雑レベルと、前記混雑レベル変動地点の直後の混雑レベルと、を対比して、前記変動情報の内容を決定することを特徴とする。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項1から5のいずれか一項に記載の混雑状況案内システムにおいて、
前記案内情報は、前記移動経路における乗車列車の乗車時の混雑レベル及び降車時の混雑レベルに係る情報を含むことを特徴とする。
【0014】
請求項7に記載の発明は、請求項1から6のいずれか一項に記載の混雑状況案内システムにおいて、
前記案内情報は、乗車から前記混雑レベル変動地点までの所要時間に係る情報を含むことを特徴とする。
【0015】
請求項8に記載の発明は、混雑状況案内方法において、
ユーザに提供する移動経路に係る情報である経路情報を取得する取得ステップと、
前記移動経路における乗車列車について、区間毎に混雑率が複数段階の分類のうちいずれに該当するかを予測し、区間毎の混雑レベルを特定する第1特定ステップと、
前記乗車列車について、前記混雑レベルが変動する地点である混雑レベル変動地点を特定する第2特定ステップと、
前記混雑レベル変動地点における混雑状況の変動に係る情報である変動情報と、前記経路情報と、を紐付けて、ユーザに提供する情報である案内情報を生成する案内情報生成ステップと、
を含むことを特徴とする。
【0016】
請求項9に記載の発明は、混雑状況案内プログラムにおいて、
コンピュータを、
ユーザに提供する移動経路に係る情報である経路情報を取得する取得手段、
前記移動経路における乗車列車について、区間毎に混雑率が複数段階の分類のうちいずれに該当するかを予測し、区間毎の混雑レベルを特定する第1特定手段、
前記乗車列車について、前記混雑レベルが変動する地点である混雑レベル変動地点を特定する第2特定手段、
前記混雑レベル変動地点における混雑状況の変動に係る情報である変動情報と、前記経路情報と、を紐付けて、ユーザに提供する情報である案内情報を生成する案内情報生成手段、
として機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、鉄道を利用するユーザが混雑状況に変動が生じる地点を把握し易くすることができる混雑状況案内システム、混雑状況案内方法及び混雑状況案内プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】実施形態に係る混雑状況案内システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】実施形態に係る混雑状況案内システムの混雑率の集計時の動作の流れを示すフローチャートである。
【
図3】実施形態に係る混雑状況案内システムの混雑情報の提供時の動作の流れを示すフローチャートである。
【
図4】実施形態に係る混雑状況案内システムにおける、乗車時の混雑レベル及び混雑レベルの変動地点の直後の混雑レベルと、ユーザに提供する混雑状況の変動に係る情報の内容と、の対応関係を示す表である。
【
図5】実施形態に係る混雑状況案内システムがユーザに提供する一覧画面の一例を示す図である。
【
図6】実施形態に係る混雑状況案内システムがユーザに提供する詳細画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、
図1から
図6に基づいて、本発明の実施形態である混雑状況案内システム100について説明する。ただし、本発明の技術的範囲は、図示例に限定されるものではない。
【0020】
[第1 構成の説明]
混雑状況案内システム100は、鉄道を利用するユーザに、列車の混雑状況の変動に係る情報を提供するためのシステムであり、
図1に示すように、本システムを管理・運営する特定の事業者が保有する各種サーバ、すなわち、データ分析サーバ1及び車両荷重データサーバ2と、列車に設置された車両荷重データ取得部3と、を備えて構成され、各装置の間は、
図1に示すように通信ネットワークNを介して接続されている。
【0021】
また、混雑状況案内システム100は、データ分析サーバ1が、通信ネットワークNを介して、混雑状況案内システム100を利用して情報の提供を受ける各ユーザが所持する端末であるユーザ端末4及び外部の経路検索に係るシステムである経路検索システム200と接続されている。
【0022】
なお、上記各サーバは、必ずしも別個に設けられていることを要せず、単一のPC(Personal Computer)、WS(Work Station)等の情報機器が、これら複数のサーバとしての機能を兼ねていてもよい。
また、反対に、上記各サーバは、必ずしも単一のPC、WS等の情報機器によって実現されていることを要せず、複数台のPC、WS等の情報機器が通信ネットワークNを介して接続されることで、複数台の情報機器により、各サーバとしての機能が実現されていてもよい。
【0023】
[1 データ分析サーバ]
データ分析サーバ1は、例えば、混雑状況案内システム100を管理・運営する企業等が保有するPC、WS等の情報機器であり、後述のように、車両荷重データサーバ2から取得した車両荷重データD1に基づく混雑率に係る情報の集計、ユーザ端末4への混雑情報の提供等を行う。
データ分析サーバ1は、
図1に示すように、例えば、制御部11と、記憶部12と、通信部13と、を備えて構成されている。
【0024】
[(1) 制御部]
制御部11は、データ分析サーバ1の動作を制御する部分であり、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備えて構成され、記憶部12に記憶されたプログラムデータとCPUとの協働により、データ分析サーバ1の各部を統括制御する。
【0025】
[(2) 記憶部]
記憶部12は、データ分析サーバ1の運用に必要となる各種情報が記憶される部分であり、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、半導体メモリ等により構成され、データ分析サーバ1の運用に必要となるデータを、制御部11から読み書き可能に記憶する。
記憶部12には、データ分析サーバ1を動作させるための制御部11への各種命令を含むプログラムが記憶されており、後述の動作の説明において述べるデータ分析サーバ1の動作は、記憶部12に記憶されたプログラムに従ってなされることとなる。すなわち、このような記憶部12に記憶されたプログラムが、本発明における混雑状況案内プログラムに該当する。
また、記憶部12には、後述のようにデータ分析サーバ1において生成される混雑レベルデータD2が記憶される。
【0026】
[(3) 通信部]
通信部13は、データ分析サーバ1と、車両荷重データサーバ2、ユーザ端末4及び経路検索システム200との間の通信に用いられる部分であり、例えば、通信用IC(Integrated Circuit)及び通信コネクタなどを有する通信インターフェイスであり、制御部11の制御の元、所定の通信プロトコルを用いて、通信ネットワークNを介したデータ通信を行う。
【0027】
[2 車両荷重データサーバ]
車両荷重データサーバ2は、例えば、混雑状況案内システム100を管理・運営する企業等が保有するPC、WS等の情報機器であり、列車に設置された車両荷重データ取得部3から、列車に乗車していた乗客の重量の合計に係る情報である車両荷重データD1を取得し、蓄積した上で、データ分析サーバ1へと送信する。
車両荷重データサーバ2は、
図1に示すように、データ分析サーバ1と同様、例えば、制御部21と、記憶部22と、通信部23と、を備えて構成されている。
【0028】
制御部21及び通信部23の構成は、それぞれデータ分析サーバ1における制御部11及び通信部13と変わるところはない。
記憶部22は、データ分析サーバ1における記憶部12と同様に、例えば、HDD、半導体メモリ等により構成され、列車に設置された車両荷重データ取得部3により取得された車両荷重データD1が記憶される。
【0029】
車両荷重データサーバ2においては、通信部23によって、列車に設置された車両荷重データ取得部3から車両荷重データD1を受信する度に、制御部21が、取得したデータを、列車番号、データが取得された区間及びデータが取得された日の区分(当該日が平日、土曜日、日曜・祝日のいずれに該当するか)に係る情報と紐付けて、記憶部22に記憶させる。すなわち、車両荷重データサーバ2の記憶部22には、列車が運行される度に、各列車につき、区間毎に、乗車している乗客の重量の合計に係る情報が蓄積されていくこととなる。
【0030】
[3 車両荷重データ取得部]
車両荷重データ取得部3は、列車の各車両に設置された重量センサを含み、列車の乗客が乗車していない状態の重量と、乗客が乗車した状態の重量との差、すなわち列車に乗車していた乗客の重量の合計に係る情報である車両荷重データD1を取得の上、取得した情報を、通信ネットワークNを介して、車両荷重データサーバ2へと送信する。
なお、車両荷重データ取得部3は、列車の車両(号車)ごとに、乗客が乗車していない状態の重量と、乗客が乗車した状態の重量との差を算出して、列車の車両(号車)ごとに分けて車両荷重データD1を取得するようにしてもよい。
【0031】
各列車に設置された車両荷重データ取得部3は、これが設置された列車の運行中、走行中の区間毎、すなわち、各列車の鉄道路線における隣り合う停車駅と停車駅との間の部分毎に、列車の重量に係るデータを取得の上、取得したデータから、予め記憶された当該列車の乗客が乗車していない状態での重量を減ずることで、区間毎の列車に乗車していた乗客の重量の合計に係るデータ(車両荷重データD1)を取得し、取得したデータを、当該列車の列車番号に係る情報及び当該データが取得された区間に係る情報と紐付けて、通信ネットワークNを介して車両荷重データサーバ2へと送信する。
【0032】
[4 ユーザ端末]
ユーザ端末4は、例えば、混雑状況案内システム100を利用して情報の提供を受けるユーザが所持するスマートフォン、タブレット端末等の情報機器であり、後述のように、ユーザによる検索条件データD3の入力や、一覧画面G1及び詳細画面G2のユーザへの表示等に用いられる。
ユーザ端末4は、
図1に示すように、例えば、データ分析サーバ1と同様に、制御部41と、記憶部42と、通信部43と、を備えると共に、さらに、表示部44と、操作部45と、を備えて構成されている。
【0033】
制御部41、記憶部42及び通信部43の構成は、それぞれデータ分析サーバ1における制御部11、記憶部12及び通信部13と変わるところはない。
【0034】
表示部44は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)等のディスプレイを備え、制御部41から出力された表示制御信号に基づいた画像を表示画面に表示する。
【0035】
操作部45は、例えば、文字入力キー、数字入力キー、その他各種機能に対応付けられたキーを有するキーボード等を備え、ユーザ端末4を使用するユーザからの操作入力を受け付けて、操作入力に応じた操作信号を制御部41へと出力する。操作部45は、例えば、表示部44と一体的に形成されたタッチパネル等であってもよく、ユーザからの操作入力を受け付けることができるものであれば特に限定されない。
【0036】
[5 経路検索システム]
経路検索システム200は、混雑状況案内システム100の外部の経路検索に係るシステムであり、後述のように、データ分析サーバ1は、経路検索システム200から、検索条件データD3に合致する移動経路に係る情報である経路データD4を取得する。
経路検索システム200は、設定した検索条件に合致する移動経路に係る情報を取得することができるものであれば特に限定されず、データ分析サーバ1は、経路検索に係る既存の任意のシステムと通信し、経路データD4を取得するようにすればよい。
【0037】
[6 通信ネットワーク]
通信ネットワークNは、例えば、インターネット、電話回線網、携帯電話通信網、無線LAN通信網等であり、
図1に示すように、混雑状況案内システム100を構成する各装置、ユーザ端末4及び経路検索システム200の間を接続する。
通信ネットワークNとしては、上記のように混雑状況案内システム100を構成する各装置、ユーザ端末4及び経路検索システム200の間を接続し、これらの間でデータの送受信を行うことが可能なものであれば特に限定されない。
【0038】
[第2 動作の説明]
以下、本実施形態に係る混雑状況案内システム100の動作について、説明する。
混雑状況案内システム100の動作は、大きく分けて、混雑率の集計(ステップS1)及び混雑情報の提供(ステップS2)の2つの工程からなる。
【0039】
[1 ステップS1 混雑率の集計]
まず、車両荷重データD1に基づき、列車の混雑率の集計を行う際の本システムの動作について、
図2のフローチャートに従って説明する。
【0040】
まず、車両荷重データサーバ2においては、制御部21が、例えば、毎月一度、毎週一度等所定のタイミングで、記憶部22に記憶された車両荷重データD1から、例えば、直近1か月、直近3か月等、所定の期間の間に記憶されたものを抽出した上で、これと紐づけられた情報(データが取得された列車の列車番号、データが取得された区間及びデータが取得された日の区分(当該日が平日、土曜日、日曜・祝日のいずれに該当するか)に係る情報)と共に一括して、通信部23から通信ネットワークNを介してデータ分析サーバ1へと送信する(ステップS1-1)。
【0041】
車両荷重データサーバ2から送信された車両荷重データD1を通信部13によって受信して取得したデータ分析サーバ1においては、車両荷重データD1を取得した各列車の区間毎の乗車人数を推定する(ステップS1-2)
【0042】
具体的には、各列車の各区間における車両荷重データD1に係る重量を、乗客一人当たりの重量として予め定めた所定の重量で除算することで、各列車の各区間における乗車人数を推定する。
例えば、ある列車のある区間における車両荷重データD1に係る重量の値が10,000kgであり、乗客一人当たりの重量として定めた所定の重量が65kgであれば、10,000÷65≒154人を当該列車の当該区間における乗車人数と推定する。
【0043】
続いて、データ分析サーバ1の制御部11は、車両荷重データD1を取得した各列車の区間毎の混雑率を算出し、各列車の区間毎の混雑率に係る情報を取得する(ステップS1-3)
【0044】
具体的には、ステップS1-2で推定した各列車の各区間における乗車人数を、各列車について予め定めた乗車率100%の際の乗車人数で除算することで、各列車の各区間における混雑率を算出する。
例えば、ある列車のある区間におけるステップS1-2で推定した乗車人数が154人であった場合において、当該列車について予め定めた乗車率100%の際の乗車人数が140人であれば、154÷140=1.1となり、混雑率110%と算出することとなる。
【0045】
続いて、データ分析サーバ1の制御部11は、ステップS1-3で算出した各列車の区間毎の混雑率を、列車番号及びデータが取得された日の区分(当該日が平日、土曜日、日曜・祝日のいずれに該当するか)によって集計する(ステップS1-4)。
すなわち、列車番号及びデータが取得された日の区分が共通する列車の区間毎の混雑率の平均値を算出することによって、混雑率の集計を行うこととなる。
例えば、ステップS1-1で、ある列車番号の列車(A駅を出発して、B駅及びC駅を経由してD駅に到着する。なお、各駅間の区間のことを区間A-B等という。)の平日における車両荷重データD1が3列車分取得され、1つ目の列車に係るデータから算出された混雑率が、区間A-B:80%、区間B-C:90%、区間C-D:80%であり、2つ目の列車に係るデータから算出された混雑率が、区間A-B:70%、区間B-C:85%、区間C-D:75%であり、3つ目の列車に係るデータから算出された混雑率が、区間A-B:90%、区間B-C:105%、区間C-D:95%であったとすると、当該列車番号の列車の平日における区間毎の混雑率は、これらを平均して、区間A-B:80%、区間B-C:93%、区間C-D:83%と算出された場合であれば、当該列車番号の列車の平日における混雑率は、区間A-B:80%、区間B-C:93%、区間C-D:83%と集計されることとなる。
【0046】
続いて、データ分析サーバ1の制御部11は、ステップS1-4で集計した混雑率を基に、各列車番号の列車の区間毎の混雑率について、平日、土曜日、日曜・祝日のそれぞれについて、所定の基準に従って、複数のレベルに分類する(ステップS1-5)。なお、このように混雑率をある基準に従って複数のレベルに分類したものを、「混雑レベル」という。
【0047】
例えば、ステップS1-4で集計した混雑率が30%未満である場合にレベル1、ステップS1-4で集計した混雑率が30%以上、75%未満である場合にレベル2、ステップS1-4で集計した混雑率が75%以上、100%未満である場合にレベル3、ステップS1-4で集計した混雑率が100%以上、125%未満である場合にレベル4、ステップS1-4で集計した混雑率が125%以上である場合にレベル5と分類する。
【0048】
ステップS1-5における混雑率の複数レベルへの分類が完了すると、制御部11は、分類結果に係るデータ(混雑レベルデータD2)を、記憶部12に記憶させる(ステップS1-6)。
【0049】
[2 ステップS2 混雑情報の提供]
続いて、ユーザに対して混雑情報を提供する際の本システムの動作について、
図3のフローチャートに従って説明する。
【0050】
ユーザは、本システムを利用して情報の提供を受けることを希望する場合、まず、ユーザ端末4の操作部45を用いて、ユーザが希望する経路検索の検索条件に係るデータである検索条件データD3を入力する(ステップS2-1)。
【0051】
検索条件データD3は、例えば、ユーザが希望する出発駅に係る情報と、ユーザが希望する到着駅に係る情報と、ユーザが希望する出発駅からの出発時刻又は到着駅への到着時刻に係る情報と、検索時の優先順位に係る情報(例えば、料金、所要時間等のうちいずれを重視するか)と、を含むデータである。
【0052】
ユーザによって検索条件データD3が入力されると、ユーザ端末4の制御部41は、入力された検索条件データD3を、通信部43から通信ネットワークNを介してデータ分析サーバ1へと送信する(ステップS2-2)。これによって、通信部13によってユーザ端末4から送信されたデータを受信することで、データ分析サーバ1は検索条件データD3を取得することができる。
ユーザ端末4から検索条件データD3を取得すると、続いてデータ分析サーバ1は、検索条件データD3に合致する移動経路の検索を行い、検索条件データD3に合致する移動経路に係るデータである経路データD4を取得する。
【0053】
具体的には、データ分析サーバ1は、経路検索システム200と通信部13によって通信し、検索条件データD3に含まれるユーザが希望する出発駅からユーザが希望する到着駅までの経路のうち、ユーザが希望する出発時刻又は到着時刻に合致するものに係る情報を、検索時の優先順位に合致するものから順に所定数取得すればよい。
例えば、出発駅:渋谷、到着駅:立川、出発時刻:2月28日19時20分、優先順位:所要時間順であれば、2月28日19時20分以降に渋谷駅を出発する渋谷駅から立川駅までの移動経路に係る情報を、所要時間が短い順に所定数取得することとなる。
【0054】
なお、移動経路の検索方法については、データ分析サーバ1が経路データD4を取得できるものであればよく、特に限定されない。例えば、上記のようにデータ分析サーバ1において経路検索システム200を利用して主体的に経路検索を行うようにしてもよいし、経路検索システム200に経路検索に係る処理を全面的に実施させ、データ分析サーバ1はその結果を受信するのみとしてもよい。
【0055】
経路データD4を取得すると、続いて制御部11は、経路データD4に含まれる各経路における乗車列車について、区間毎の混雑レベル、すなわち、混雑レベルデータD2に係る複数の混雑率のレベルのうち、いずれのレベルに該当するかを特定する(ステップS2-4)。
具体的には、上記のように記憶部12には、混雑レベルデータD2として、各列車番号の列車の区間毎の混雑率について、平日、土曜日、日曜・祝日のそれぞれについて所定の基準に従って複数のレベルに分類したデータが記憶されており、また、列車番号、日の区分(当該日が平日、土曜日、日曜・祝日のいずれに該当するか)及び区間が共通する場合、列車の混雑率は、ほぼ一定であることが予測されることから、制御部11は、経路データD4に含まれる各経路における各乗車列車について、区間毎に対応する(列車番号及び日の区分が共通する)混雑レベルに係るデータを、記憶部12に記憶された混雑レベルデータD2から抽出することで、経路データD4に含まれる各乗車列車の区間毎の混雑レベルがいずれのレベルとなるかを予測し、区間毎の混雑レベルを特定することとなる。
【0056】
続いて、制御部11は、経路データD4に含まれる各経路における各乗車列車について、混雑レベルが変動する地点を特定する(ステップS2-5)。
例えば、ある列車について、A駅-B駅-C駅-D駅-E駅-F駅-G駅と乗車する場合において、ステップS2-4で、A駅-B駅間の混雑レベルが3、B駅-C駅間の混雑レベルが3、C駅-D駅間の混雑レベルが4、D駅-E駅間の混雑レベルが5、E駅-F駅間の混雑レベルが5、F駅-G駅間の混雑レベルが2と特定された場合であれば、C駅、D駅及びF駅が、混雑レベルが変動する地点として特定されることとなる。
【0057】
続いて制御部11は、ステップS2-5で特定した混雑レベルが変動する地点から所定の条件を満たすものを抽出し、ユーザに情報を提供する混雑レベルの変動地点を決定する(ステップS2-6)。
【0058】
すなわち、まず、制御部11は、経路データD4に含まれる各経路における各乗車列車について、乗車時の混雑レベルを特定する。すなわち、ステップS2-4で特定した区間毎の混雑レベルのうち、乗車後最初の区間に係る混雑レベルが、乗車時の混雑レベルに該当する。
その上で、制御部11は、ステップS2-5で特定した混雑レベルの変動地点の直後の混雑レベルが、乗車時の混雑レベルとの関係で所定の条件を満たす地点を抽出する。
【0059】
具体的には、
図4に示すように、乗車時の混雑レベルが1であれば、これが3、4又は5に変動する地点、乗車時の混雑レベルが2であれば、これが4又は5に変動する地点、乗車時の混雑レベルが3であれば、これが1、2又は5に変動する地点、乗車時の混雑レベルが4であれば、これが1、2又は3に変動する地点、乗車時の混雑レベルが5であれば、これが1、2又は3に変動する地点が、ステップS2-5で特定した混雑レベルの変動地点の直後の混雑レベルが、乗車時の混雑レベルとの関係で所定の条件を満たす地点に該当する。
【0060】
この場合、例えば、上記のように、ある列車について、A駅-B駅-C駅-D駅-E駅-F駅-G駅と乗車する場合において、ステップS2-4で、A駅-B駅間の混雑レベルが3、B駅-C駅間の混雑レベルが3、C駅-D駅間の混雑レベルが4、D駅-E駅間の混雑レベルが5、E駅-F駅間の混雑レベルが5、F駅-G駅間の混雑レベルが2と特定された場合であれば、乗車時の混雑レベルは3であることから、レベル5となるD駅及びレベル2となるF駅を、乗車時の混雑レベルとの関係で所定の条件を満たす地点と特定することとなる。
【0061】
制御部11は、ステップS2-5で特定した混雑レベルの変動地点の直後の混雑レベルが、乗車時の混雑レベルとの関係で所定の条件を満たす地点を、ユーザに情報を提供する混雑レベルの変動地点と決定する。
なお、このような地点が複数存在する場合には、制御部11は、列車に乗車後最初に通過する地点を特定した上で、当該地点を、ユーザに情報を提供する混雑レベルの変動地点と決定する。上記の例であれば、レベル5となるD駅及びレベル2となるF駅のうち、先に通過するD駅が、ユーザに情報を提供する混雑レベルの変動地点と決定されることとなる。
【0062】
続いて制御部11は、ユーザに提供する情報の内容を決定する(ステップS2-7)。
すなわち、制御部11は、ステップS2-6で特定した各乗車列車の乗車時の混雑レベルと、ステップS2-6で決定したユーザに情報を提供する混雑レベルの変動地点の直後の混雑レベルとを対比し、
図4に示すようにユーザに提供する情報の内容を決定する。
【0063】
具体的には、
図4に示すように、乗車時の混雑レベルが1であれば、これが3、4又は5に変動する地点について、混雑する見込みである旨の情報をユーザに提供する。
また。乗車時の混雑レベルが2であれば、これが4又は5に変動する地点について、混雑する見込みである旨の情報をユーザに提供する。
また、乗車時の混雑レベルが3であれば、これが1又は2に変動する地点について混雑が解消する見込みである旨の情報をユーザに提供し、5に変動する地点について混雑する見込みである旨の情報をユーザに提供する。
また、乗車時の混雑レベルが4であれば、これが1又は2に変動する地点について混雑が解消する見込みである旨の情報をユーザに提供し、3に変動する地点について混雑が緩和する見込みである旨の情報をユーザに提供する。
また、乗車時の混雑レベルが5であれば、これが1又は2に変動する地点について混雑が解消する見込みである旨の情報をユーザに提供し、3に変動する地点について混雑が緩和する見込みである旨の情報をユーザに提供する。
【0064】
なお、
図4に示すパターンはあくまで一例であり、必ずしもこれに限られるものではない。
例えば、混雑レベルの分類は5段階には限られず、これより詳細に混雑レベルを分類してもよいし、これより少数のレベルに分類するようにしてもよい。
また、乗車時の混雑レベルと混雑レベルの変動地点の直後の混雑レベルとがいかなる条件を満たす地点をユーザに情報を提供する混雑レベルの変動地点とし、当該地点についていかなる内容の情報を提供するかについても、乗車時の混雑レベルと混雑レベルの変動地点の直後の混雑レベルとを対比の上、各路線の混雑状況やユーザに案内したい内容等に応じて、鉄道事業者等の本システムを管理・運営する事業者が、適宜決定することができる。
【0065】
続いて、制御部11は、ステップS2-3における移動経路の検索結果に係る複数の移動経路の一覧と、各移動経路に係る混雑レベルの変動に係る情報と、が表示される画面である一覧画面G1を作成する(ステップS2-8)。
【0066】
一覧画面G1は、例えば、
図5に示すように、ステップS2-3における移動経路の検索結果に係る表示(経路データD4に含まれる各経路の表示)である複数の経路表示H1と、ステップS2-6で決定した地点についてステップS2-7で決定した内容の情報を表示する混雑変動表示H2と、を一覧的に含む画面である。
【0067】
経路表示H1は、
図5に示すように、各乗車列車について、乗車時を示す円形の表示(乗車時表示H11)と、降車時を示す円形の表示(降車時表示H12)とを直線でつなぐように形成されている。
【0068】
このうち、乗車時表示H11は、乗車時の混雑レベル、すなわち乗車後最初の区間に係る混雑レベルに応じて異なる色で表示され、ユーザが乗車時の混雑レベルを認識できるように表示される。
また、降車時表示H12は、降車時の混雑レベル、すなわち降車前最後の区間に係る混雑レベルに応じて異なる色で表示され、ユーザが降車時の混雑レベルを認識できるように表示される。
いずれも、例えば、混雑レベルがレベル1であれば灰色、混雑レベルがレベル2であれば水色、混雑レベルがレベル3であれば緑色、混雑レベルがレベル4であれば橙色、混雑レベルがレベル5であれば赤色で表示することで、色によって乗車時又は降車時の混雑レベルを認識できるようにすればよい。
【0069】
混雑変動表示H2は、
図5に示すように、ステップS2-6で決定したユーザに情報を提供する混雑レベルの変動地点について、ステップS2-7で決定した内容の情報を表示する。
混雑変動表示H2は、
図5に示すように各経路表示H1の下に表示される等の方法で、対応する経路表示H1と紐付けて表示されることとなる。
【0070】
例えば、
図5における一番上の経路表示H1においては、代々木が最初の乗車列車に係るステップS2-6で決定したユーザに情報を提供する混雑レベルの変動地点、三鷹が二番目の乗車列車に係るステップS2-6で決定したユーザに情報を提供する混雑レベルの変動地点となり、「混雑が解消する見込み」が最初の乗車列車に係るステップS2-7で決定した内容の情報、「混雑が緩和する見込み」が二番目の乗車列車に係るステップS2-7で決定した内容の情報に該当する。
したがって、これら二つの混雑変動表示H2が、経路表示H1と紐付けて表示されることとなる。
【0071】
また、混雑変動表示H2には、各乗車列車の乗車時から、ステップS2-6で決定したユーザに情報を提供する混雑レベルの変動地点までの所要時間に係る情報も含まれ、
図5における一番上の経路表示H1に対応する混雑変動表示H2においては、「4分後」及び「16分後」がこれに該当する。
【0072】
一覧画面G1を作成すると、制御部11は、当該画面に関するデータ(一覧画面データD5)を、通信部13から通信ネットワークNを介してユーザ端末4へと送信し(ステップS2-9)、通信部43によってこれを受信したユーザ端末4においては、制御部41が、一覧画面G1を、表示部44に表示させる(ステップS2-10)。
【0073】
一覧画面G1が表示されると、ユーザは、ユーザ端末4の操作部45を用いて、一覧画面G1に表示された経路表示H1のうち、詳細の確認を希望するものを選択し、選択がなされると、制御部41は、選択された経路に係る情報(選択経路データD6)を、通信部43から通信ネットワークNを介してデータ分析サーバ1へと送信する(ステップS2-11)。
【0074】
データ分析サーバ1においては、通信部13によって選択経路データD6を受信すると、制御部11が、選択された経路の詳細が表示される画面である詳細画面G2を作成する(ステップS2-12)。
【0075】
詳細画面G2は、例えば、
図6に示すように、ステップS2-11で選択された経路の詳細に係る表示である経路詳細表示H3と、当該経路の混雑状況の詳細に係る表示である混雑状況詳細表示H4と、
図5と同様の混雑変動表示H2と、を含む画面である。なお、
図6においては、
図5に示す一覧画面G1に表示された一番上の経路表示H1が選択された場合について図示している。
【0076】
経路詳細表示H3としては、
図6に示すように、各経路における各乗車列車について、乗車駅及び降車駅に加え、経由する全ての駅及びその到着時刻、各乗車列車の乗車時間等が表示される。
また、混雑状況詳細表示H4としては、
図6に示すように、経路詳細表示H3と併記するようにして、各乗車列車の各区間の混雑レベルに対応して決定されたアイコンが表示される。
【0077】
図6においては、混雑状況詳細表示H4として、各区間の混雑レベルに対応して、混雑レベルが5の区間については5人の人が記載されたアイコンが表示され、混雑レベルが4の区間については4人の人が記載されたアイコンが表示され、混雑レベルが3の区間については3人の人が記載されたアイコンが表示され、混雑レベルが2の区間については2人の人が記載されたアイコンが表示され、混雑レベルが1の区間については1人の人が記載されたアイコンが表示される場合について図示している。
すなわち、この場合、最初の乗車列車については、渋谷から代々木までが混雑レベル5、代々木から新宿までが混雑レベル1であり、二番目の乗車列車については、新宿から荻窪までが混雑レベル5、荻窪から三鷹までが混雑レベル4、三鷹から立川までが混雑レベル3であることを意味している。
【0078】
なお、混雑状況詳細表示H4は、アイコンに記載される人の人数に加えて、又は記載される人の人数に代えて、アイコンの色によって混雑レベルを示すようにしてもよい。例えば、混雑レベルがレベル1の区間については灰色のアイコンを表示し、混雑レベルがレベル2の区間については水色のアイコンを表示し、混雑レベルがレベル3の区間については緑色のアイコンを表示し、混雑レベルがレベル4の区間については橙色のアイコンを表示し、混雑レベルがレベル5の区間については赤色のアイコンを表示することで、色によって各区間の混雑レベルを認識できるようにすればよい。
【0079】
詳細画面G2を作成すると、制御部11は、当該画面に関するデータ(詳細画面データD7)を、通信部13から通信ネットワークNを介してユーザ端末4へと送信し(ステップS2-13)、通信部43によってこれを受信したユーザ端末4においては、制御部41が、詳細画面G2を、表示部44に表示させる(ステップS2-14)。
【0080】
[第3 効果の説明]
次に、本実施形態に係る混雑状況案内システム100の効果について説明する。
【0081】
本実施形態に係る混雑状況案内システム100によれば、ユーザによって検索条件データD3が入力された際に、データ分析サーバ1において、これに対応する経路データD4を取得した上で、経路データD4に含まれる各経路における各乗車列車について、区間毎の混雑レベル及び混雑レベルが変動する地点を特定し、当該地点における混雑状況の変動に係る情報の表示である混雑変動表示H2と経路データD4に含まれる経路に係る情報の表示である経路表示H1とが紐づけられた一覧画面G1、及び混雑変動表示H2と経路データD4に含まれる経路に係る情報の表示である経路詳細表示H3とが紐づけられた詳細画面G2を作成する。
これによって、ユーザ端末4へと送信された一覧画面G1及び詳細画面G2を見たユーザは、混雑レベルが変動する地点、すなわち、混雑状況に変動が生じる地点に係る情報を得ることができ、混雑状況に変動が生じる地点を把握し易くなる。
【0082】
また、混雑変動表示H2としては、混雑状況が変動する全ての地点ではなく、予め混雑率を複数のレベルに分類して定められた混雑レベルが変動する地点に係る情報のみを表示する。
これによって、僅かな混雑状況の変動を無視し、ユーザに影響が生じる可能性が高い大きな混雑状況の変動のみをユーザに通知することが可能となる。
【0083】
また、本実施形態に係る混雑状況案内システムによれば、各乗車列車の乗車時の混雑レベルを特定する。
ユーザにとっては、まず、列車に乗車する時点の混雑状況が重要となるが、これによって、ユーザに対し、各乗車列車の乗車時の混雑状況に係る情報を提供することが可能となる。
【0084】
また、ユーザが列車を利用する場合、乗車時に当該列車のその後の混雑状況も予測の上乗車することが通常であるから、乗車時の混雑状況と、乗車後の混雑状況との間に大きな変動が生じる場合に、ユーザにとって予想外の変動となり、影響が大きい。
この点、本実施形態に係る混雑状況案内システムによれば、乗車時の混雑レベルと、混雑レベルの変動地点の直後の混雑レベルとを対比し、混雑レベルの変動地点の直後の混雑レベルが、乗車時の混雑レベルとの関係で所定の条件を満たす地点のみを、ユーザに情報を提供する混雑レベルの変動地点と決定することで、上記のようにユーザに対する影響が大きいケースである、各列車の乗車時の混雑状況と、乗車後の混雑状況との間に大きな変動が生じる地点のみを抽出の上、ユーザに通知することが可能となる。
【0085】
また、混雑変動表示H2の表示内容も、各乗車列車の乗車時の混雑レベルと、混雑レベルの変動地点の直後の混雑レベルと、を対比して決定されることから、ユーザは、乗車時の混雑レベルからの変動を把握し易くなる。
【0086】
また、混雑レベルの変動地点の直後の混雑レベルが、乗車時の混雑レベルとの関係で所定の条件を満たす地点が複数存在する場合に、列車に乗車後最初に通過する地点を特定の上、一覧画面G1及び詳細画面G2に、このような乗車時の混雑レベルとの関係で所定の条件を満たす地点のうち、列車に乗車後最初に通過する地点に係る情報のみを含むようにすることで、ユーザに対する影響が大きい最初の混雑状況の変動地点に係る情報を、端的に提供することが可能となる。
【0087】
また、混雑変動表示H2が、混雑レベルが変動する地点に係る情報のみならず、各乗車列車の乗車時から当該地点までの所要時間に係る情報を含むことで、ユーザに、混雑状況の変動が生じるまでの時間に係る情報を提供することが可能となる。
ユーザにとっては、混雑状況が変動するまでの時間(乗車時の混雑状況がどれくらいの時間継続するのか)が重要であるところ、上記のように混雑状況に変動が生じるまでの時間に係る情報を直接提供することで、ユーザが、混雑状況に変動が生じるまでの時間を把握し易くなる。
【0088】
また、経路表示H1が、乗車時表示H11として乗車時の混雑レベルに係る表示を含み、混雑変動表示H2が、混雑レベルが変動する地点に係る情報及び当該地点における混雑状況の変動内容に係る情報に加えて、乗車時から当該地点までの所要時間に係る情報を含むことで、これら表示を確認したユーザは、乗車時の混雑状況及びその後の混雑状況の変動を考慮の上、例えば、「乗車時は混んでいるが、すぐに混雑が緩和するから、この列車に乗る。」、「乗車時は空いているが、いずれ列車が大きく混雑するから、この列車は避ける。」といった、従来の混雑状況に係る情報提供では不可能だった移動経路の選択を行うことが可能となる。
【0089】
また一覧画面G1が、複数の経路表示H1及び各経路表示H1と紐づけられた混雑変動表示H2を含むことで、ユーザに対し、ユーザが設定した検索条件に合致する経路に関する情報及び各経路に関する混雑状況の変動に係る情報を、一括して提供することが可能となる。
【0090】
[第4 変形例]
次に、本実施形態に係る混雑状況案内システム100の変形例について説明する。
【0091】
上記においては、ステップS1においてデータ分析サーバ1が予め網羅的に混雑レベルデータD2を生成しておき、ステップS2においては、ユーザが入力した検索条件データD3に合致する経路データD4に含まれる各経路における各乗車列車について、区間毎に対応する混雑レベルに係るデータを記憶部12に記憶された混雑レベルデータD2から抽出する場合について説明したが、これに代えて、経路データD4が取得された際に、逐一経路データD4に含まれる各経路における各乗車列車について、車両荷重データD1を基に混雑率を算出し、混雑レベルを決定するようにしてもよい。
この場合、データ分析サーバ1においては、ユーザが入力した検索条件データD3に合致する経路データD4を取得した後に、経路データD4に含まれる各経路における乗車列車についてのみ、区間毎に対応する車両荷重データD1を車両荷重データサーバ2から取得した上で、これを用いて、ステップS1で説明したのと同様に、乗車人数の推定、混雑率の算出及び混雑率の集計を行った上で、混雑レベルを決定することとなる。
【0092】
また、上記においては、データ分析サーバ1が、車両荷重データサーバ2から取得した車両荷重データD1を基に乗車人数を推定し、混雑率を算出して、混雑率に係る情報を取得する場合について説明したが、混雑率に係る情報の取得方法は、車両荷重データD1を用いるものに限られない。
例えば、列車の各車両にカメラを設置した上で、当該カメラによって撮影された画像を解析して乗車人数を推定して混雑率を算出するようにしてもよいし、列車の各車両にビーコンを設置した上で、当該ビーコンから発せられた電波等を受信した携帯端末の数から乗車人数を推定して混雑率を算出するようにしてもよい。
また、例えば、ユーザが所持する携帯端末のGPSによる位置データを用いて、列車内にある携帯端末の数を算出することで、列車の乗車人数を推定するようにしてもよい。
【0093】
また、上記においては、データ分析サーバ1が、外部の経路検索に係るシステムである経路検索システム200から、通信部13によって経路データD4を取得する場合について説明したが、データ分析サーバ1の記憶部12に、列車のダイヤに係る情報等、経路検索に必要な情報を記憶した上で、データ分析サーバ1の制御部11が、自ら経路検索を行って経路データD4を作成することで、これを取得するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0094】
100 混雑状況案内システム
1 データ分析サーバ
11 制御部(第1特定手段、第2特定手段、案内情報生成手段、第3特定手段、第4特定手段、第5特定手段)
12 記憶部
13 通信部(取得手段)
2 車両荷重データサーバ
3 車両荷重データ取得部
4 ユーザ端末
200 経路検索システム
N 通信ネットワーク
D1 車両荷重データ
D2 混雑レベルデータ
D3 検索条件データ
D4 経路データ(経路情報)
D5 一覧画面データ(案内情報)
D6 選択経路データ
D7 詳細画面データ(案内情報)
G1 一覧画面
G2 詳細画面
H1 経路表示
H11 乗車時表示
H12 降車時表示
H2 混雑変動表示
H3 経路詳細表示
H4 混雑状況詳細表示