(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022188430
(43)【公開日】2022-12-21
(54)【発明の名称】スイッチ装置
(51)【国際特許分類】
H03K 17/08 20060101AFI20221214BHJP
H03K 17/082 20060101ALI20221214BHJP
H02H 3/087 20060101ALI20221214BHJP
【FI】
H03K17/08 C
H03K17/082
H02H3/087
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021096452
(22)【出願日】2021-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大和 哲郎
【テーマコード(参考)】
5G004
5J055
【Fターム(参考)】
5G004AA04
5G004AB02
5G004BA01
5G004BA04
5J055AX32
5J055AX34
5J055AX53
5J055AX64
5J055BX16
5J055CX13
5J055CX20
5J055CX21
5J055CX28
5J055DX13
5J055DX22
5J055DX55
5J055EX04
5J055EX07
5J055EY01
5J055EY10
5J055EY13
5J055EY21
5J055EZ03
5J055EZ12
5J055EZ57
5J055FX02
5J055FX04
5J055FX06
5J055FX09
5J055FX13
5J055FX18
5J055FX19
5J055FX20
5J055GX01
5J055GX02
5J055GX04
5J055GX05
(57)【要約】
【課題】スイッチ装置において天絡又は地絡等に対する耐性を高める。
【解決手段】スイッチ装置において出力トランジスタを第1モード又は第2モードにて駆動する。第1モードにて出力トランジスタを駆動しているときに測定対象温度(Tj)が所定の保護温度(T
TSD_H)に達することが検知されたとき、第2モードに移行させる。第2モードにおいて、測定対象温度に依らず出力トランジスタをオフ状態に維持する第1区間(P
OFF)と、過電流保護動作により対象電流の大きさを上限電流値以下に制限しつつ出力トランジスタに対象電流が流れることを許容する第2区間(P
ON)と、を交互に設定する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
出力トランジスタと、
前記出力トランジスタに流れる対象電流の大きさを所定の上限電流値以下に制限する過電流保護動作を実行可能に構成された過電流保護回路と、
第1モード又は第2モードにて前記出力トランジスタを駆動可能に構成された制御回路と、を備え、
前記制御回路は、前記第1モードにて前記出力トランジスタを駆動しているときに測定対象温度が所定の保護温度に達することが検知されたとき前記第2モードに移行させ、前記第2モードにおいて、前記測定対象温度に依らず前記出力トランジスタをオフ状態に維持する第1区間と、前記過電流保護動作により前記対象電流の大きさを前記上限電流値以下に制限しつつ前記出力トランジスタに前記対象電流が流れることを許容する第2区間と、を交互に設定するよう構成される
、スイッチ装置。
【請求項2】
前記制御回路は、前記第2モードでの各第1区間において、前記測定対象温度に依らず前記出力トランジスタを所定の第1時間分、オフ状態に維持するよう構成される
、請求項1に記載のスイッチ装置。
【請求項3】
前記制御回路は、前記第2モードにおいて、前記第1区間から前記第2区間への遷移に伴い前記出力トランジスタをターンオンさせた後、所定の第2時間が経過すると前記測定対温度に依らず前記出力トランジスタのターンオフさせるよう構成される
、請求項1又は2に記載のスイッチ装置。
【請求項4】
前記第1モードでは前記第2時間を超えて前記出力トランジスタをオン状態に保つことが許容される
、請求項3に記載のスイッチ装置。
【請求項5】
前記制御回路は、前記第1モードから前記第2モードへの移行後、所定の復帰条件が成立すると、前記第2モードから前記第1モードへ復帰させるよう構成される
、請求項1~4の何れかに記載のスイッチ装置。
【請求項6】
前記第2モードにおいて、前記第1区間から前記第2区間への遷移に伴い前記出力トランジスタをターンオンさせた後、所定の第3時間以内に前記対象電流の大きさが前記上限電流値に達することが検知されないとき、前記復帰条件が成立する
、請求項5に記載のスイッチ装置。
【請求項7】
前記制御回路は、所定の入力端子への入力電圧に応じて前記出力トランジスタをターンオンさせ、その後、前記測定対象温度が前記保護温度に到達する前には、前記第1モードにて前記出力トランジスタを駆動するよう構成される
、請求項1~6の何れかに記載のスイッチ装置。
【請求項8】
前記測定対象温度は前記出力トランジスタの温度である
、請求項1~7の何れかに記載のスイッチ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、スイッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
出力トランジスタを有し、出力トランジスタを通じて流れる電流をオン、オフするスイッチ装置がある。この種のスイッチ装置では過電流保護機能が設けられ、過電流の検出時には出力トランジスタに流れる電流の大きさが所定値以下に制限される。また、この種のスイッチ装置では温度保護機能(過熱保護機能)が設けられ、過熱状態の検出時には出力トランジスタがオフされ、温度が低下すると出力トランジスタがオンへと戻される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
天絡又は地絡等の発生時には、過大な電流が流れることによる発熱を通じ、温度保護機能(過熱保護機能)が働くことがある。このような状況において、出力トランジスタに対する熱ストレスを軽減することができれば、出力トランジスタの破損等の可能性が低減されてスイッチ装置の信頼性が向上する。
【0005】
本開示は、高い信頼性を有するスイッチ装置(例えば、天絡又は地絡等に対する耐性の高いスイッチ装置)を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係るデータ記録装置は、出力トランジスタと、前記出力トランジスタに流れる対象電流の大きさを所定の上限電流値以下に制限する過電流保護動作を実行可能に構成された過電流保護回路と、第1モード又は第2モードにて前記出力トランジスタを駆動可能に構成された制御回路と、を備え、前記制御回路は、前記第1モードにて前記出力トランジスタを駆動しているときに測定対象温度が所定の保護温度に達することが検知されたとき前記第2モードに移行させ、前記第2モードにおいて、前記測定対象温度に依らず前記出力トランジスタをオフ状態に維持する第1区間と、前記過電流保護動作により前記対象電流の大きさを前記上限電流値以下に制限しつつ前記出力トランジスタに前記対象電流が流れることを許容する第2区間と、を交互に設定するよう構成される。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、高い信頼性を有するスイッチ装置(例えば、天絡又は地絡等に対する耐性の高いスイッチ装置)を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本開示の実施形態に係るスイッチ装置の構成ブロック図である。
【
図6】
図6は、
図1のスイッチ装置に関わる幾つかの信号等の関係を示すタイミングチャートである。
【
図7】
図7は、本開示の実施形態に属する第1実施例に係り、スイッチ装置のタイミングチャートである。
【
図8】
図8は、参考例に係るタイミングチャートである。
【
図9】
図9は、本開示の実施形態に属する第1実施例に係り、スイッチ装置の一部の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施形態の例を、図面を参照して具体的に説明する。参照される各図において、同一の部分には同一の符号を付し、同一の部分に関する重複する説明を原則として省略する。尚、本明細書では、記述の簡略化上、情報、信号、物理量、素子又は部位等を参照する記号又は符号を記すことによって、該記号又は符号に対応する情報、信号、物理量、素子又は部位等の名称を省略又は略記することがある。例えば、後述の“1110”によって参照されるゲート制御回路は(
図1参照)、ゲート制御回路1110と表記されることもあるし、制御回路1110又は回路1110と略記されることもあり得るが、それらは全て同じものを指す。
【0010】
まず本実施形態の記述にて用いられる幾つかの用語について説明を設ける。ラインとは電気信号が伝播又は印加される配線を指す。グランドとは、基準となる0V(ゼロボルト)の電位を有する基準導電部を指す又は0Vの電位そのものを指す。基準導電部は金属等の導体にて形成される。0Vの電位をグランド電位と称することもある。本実施形態において、特に基準を設けずに示される電圧はグランドから見た電位を表す。
【0011】
レベルとは電位のレベルを指し、任意の注目した信号又は電圧についてハイレベルはローレベルよりも高い電位を有する。任意の注目した信号又は電圧について、信号又は電圧がハイレベルにあるとは厳密には信号又は電圧のレベルがハイレベルにあることを意味し、信号又は電圧がローレベルにあるとは厳密には信号又は電圧のレベルがローレベルにあることを意味する。信号についてのレベルは信号レベルと表現されることがあり、電圧についてのレベルは電圧レベルと表現されることがある。任意の注目した信号又は電圧において、ローレベルからハイレベルへの切り替わりをアップエッジ(或いはライジングエッジ)と称し、ハイレベルからローレベルへの切り替わりをダウンエッジ(或いはフォーリングエッジ)と称する。
【0012】
MISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)を含むFET(電界効果トランジスタ)として構成された任意のトランジスタについて、オン状態とは、当該トランジスタのドレイン及びソース間が導通している状態を指し、オフ状態とは、当該トランジスタのドレイン及びソース間が非導通となっている状態(遮断状態)を指す。FETに分類されないトランジスタについても同様である。MISFETは、特に記述無き限り、エンハンスメント型のMISFETであると解される。
【0013】
任意のトランジスタについて、オフ状態からオン状態への切り替わりをターンオンと表現し、オン状態からオフ状態への切り替わりをターンオフと表現する。アナログスイッチ等の任意のスイッチについても同様である。以下、任意のトランジスタ又はスイッチについて、オン状態、オフ状態を、単に、オン、オフと表現することもある。
【0014】
また、任意のトランジスタ又はスイッチについて、トランジスタ又はスイッチがオン状態となっている区間をオン区間と称することがあり、トランジスタ又はスイッチがオフ状態となっている区間をオフ区間と称することがある。ハイレベル又はローレベルの信号レベルをとる任意の信号について、当該信号のレベルがハイレベルとなる区間をハイレベル区間と称し、当該信号のレベルがローレベルとなる区間をローレベル区間と称する。ハイレベル又はローレベルの電圧レベルをとる任意の電圧についても同様である。任意の回路素子、配線(ライン)、ノードなど、回路を形成する複数の部位間についての接続とは、特に記述なき限り、電気的な接続を指すと解して良い。
【0015】
図1に本実施形態に係るスイッチ装置1000の構成ブロック図を示す。ここでは、例として、スイッチ装置1000がローサイド側のスイッチングデバイスとして構成されることを想定する。
【0016】
スイッチ装置1000は、入力端子1001、出力端子1002、グランド端子1003及び自己診断端子1004を備えると共に、出力トランジスタ1010、ゲート制御回路1110、低電圧保護回路1120、過電流保護回路1130、第1温度保護回路1140、第2温度保護回路1150、アクティブクランプ回路1160及び自己診断回路1170を備え、更にトランジスタ1172、ツェナーダイオード1174及び1176を備える。
【0017】
スイッチ装置1000は、半導体基板上に形成された半導体集積回路を有する半導体チップと、半導体チップを収容する筐体(パッケージ)と、筐体からスイッチ装置1000の外部に対して露出する複数の外部端子と、を備えた半導体装置(電子部品)である。半導体チップを樹脂にて構成された筐体(パッケージ)内に封入することで半導体装置が形成される。出力トランジスタ1010、回路1110~1170、トランジスタ1172、ツェナーダイオード1174及び1176を含む、スイッチ装置1000を構成する各回路素子が半導体集積回路に含まれる。
図1には、スイッチ装置1000に設けられる外部端子として端子1001~1004のみが示されているが、これら以外の外部端子もスイッチ装置1000に設けられ得る。
【0018】
入力端子1001に対し外部に設けられた上位システム(不図示)から入力電圧VINが供給され、入力端子1001に入力電圧VINが加わる。入力電圧VINは、出力トランジスタ1010の状態をオン状態及びオフ状態の何れかに指定するための電圧である。入力電圧VINは、回路1120~1150の電源電圧として機能しても良く、この場合、回路1120~1150は入力電圧VINに基づいて駆動する。回路1110及び1170も入力電圧VINに基づいて駆動しても良い。但し、回路1110~1170の内、全部又は任意の一部は、入力電圧VINとは別にスイッチ装置1000に供給される電源電圧(不図示)に基づいて駆動しても良い。
【0019】
スイッチ装置1000の外部に設けられた端子BBに電圧VBBが加わる。電圧VBBは、正の直流電圧値を有する。例えば、スイッチ装置1000が自動車等の車両に設けられる場合、車両に搭載されたバッテリの出力電圧が電圧VBBとして端子BBに加わる。スイッチ装置1000の外部において、端子BBと出力端子1002との間に負荷LDが挿入される。負荷LDは誘導性負荷を含み得る。誘導性負荷として、ソレノイド、モータ、トランス、リレー等の巻線(コイル)が例示される。負荷LDは、誘導性負荷に加えて或いは誘導性負荷に代えて、抵抗負荷及び容量性負荷の内の少なくとも一方を含んでいても良い。
【0020】
出力端子1002に加わる電圧を出力電圧VOUTと称する。また、端子BBから出力端子1002に流れる電流を出力電流IOUTと称する。いわゆる天絡が生じない限り、出力電流IOUTは端子BBから負荷LDを通じて出力端子1002へと流れる。
【0021】
グランド端子1003はグランドに接続される。故に、本実施形態において、任意の部位がグランドに接続されるとは、当該部位がグランド端子1003に接続されることと等価である。自己診断端子1004は、スイッチ端子1000の外部においてプルアップ抵抗RPUを介し所定の正の直流電圧VDDが加わる端子に接続される。自己診断端子1004に加わる電圧を自己診断電圧VSTと称する。
【0022】
出力トランジスタ1010は、Nチャネル型のMISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)として構成される。出力トランジスタ1010はドレイン、ソース及びゲートを有する。出力トランジスタ1010において、ドレインは出力端子1002に接続され、ソースはグランド端子1003に接続される。故に、出力トランジスタ1010がオン状態であるとき、出力電流IOUTは出力トランジスタ1010のチャネル(ドレイン及びソース間のチャネル)を通じ出力端子1002からグランド端子1003に向けて流れる。
【0023】
ゲート制御回路1110は出力トランジスタ1010のゲート電位を制御することで出力トランジスタ1010のオン/オフ状態を制御する(即ち出力トランジスタ1010を駆動する)。ゲート制御回路1110は、入力電圧VINと回路1120~1150の出力信号に応じて出力トランジスタ1010のゲート電位を制御する。
【0024】
低電圧保護回路1120は入力電圧VINに応じた信号SUVLOを生成及び出力する。信号SUVLOはゲート制御回路1110に入力される。低電圧保護回路1120は、入力電圧VINが一定以上の電圧値を有しているときに限って出力トランジスタ1010がオン状態に制御されうるように、信号SUVLOを生成する。
【0025】
図2に、入力電圧V
INと信号S
UVLOとの関係を示す。入力電圧V
INが0Vであるときを含む入力電圧V
INが十分に低い状態において、信号S
UVLOはローレベルを有する。信号S
UVLOがローレベルである状態を起点に、入力電圧V
INが上昇することで“V
IN<V
UVLO_H”の成立状態から“V
IN≧V
UVLO_H” の成立状態に切り替わると、信号S
UVLOのレベルがローレベルからハイレベルに変化し、その後、入力電圧V
INが低下することで“V
IN≧V
UVLO_L”の成立状態から“V
IN<V
UVLO_L”の成立状態に切り替わると、信号S
UVLOのレベルがハイレベルからローレベルに変化する。ここで、V
UVLO_H及びV
UVLO_Lは“V
UVLO_H>V
UVLO_L>0”を満たす正の直流電圧値を有する。
【0026】
過電流保護回路1130は、出力トランジスタ1010に流れる出力電流IOUTの大きさを検出する機能を有する。過電流保護回路1130は、検出した出力電流IOUTの大きさが所定の上限電流値ILIMに達する状況において出力トランジスタ1010に流れる出力電流IOUTの大きさを上限電流値ILIM以下に制限する過電流保護動作を実行する。“ILIM>0”が満たされる。過電流保護動作では、出力トランジスタ1010をオン状態に保ちつつ(即ち出力トランジスタ1010におけるドレイン及びソース間の電流経路を遮断することなく)、出力電流IOUTの大きさが上限電流値ILIMを超えないように出力トランジスタ1010のゲート電位を制御する。
【0027】
図3に過電流保護動作が行われるときの出力電流I
OUTの波形を示す。負荷LDの天絡等が生じることで出力電流I
OUTが過大となったとき、過電流保護動作が行われることで出力トランジスタ1010及びスイッチ装置1000の保護が図られる。負荷LDの天絡とは端子BBが出力端子1002に短絡されて電圧V
BBが出力端子1002に直接加わる状態を指す。
【0028】
第1温度保護回路1140は測定対象温度を検出する。以下、測定対象温度を温度Tjと称する。温度Tjは出力トランジスタ1010の温度である。より具体的には、温度Tjは出力トランジスタ1010を構成する半導体の所定箇所の温度であって、出力トランジスタ1010のジャンクション温度に相当する。但し、温度Tjは、出力トランジスタ1010の温度とは異なる、スイッチ装置1000内の任意の所定箇所の温度でありえても良い。第1温度保護回路1140は、検出した温度Tjに応じた信号STSDを生成及び出力する。信号STSDは第1温度保護信号に相当し、ゲート制御回路1110に入力される。信号STSDはハイレベル又はローレベルの信号レベルをとる二値化信号である。ここでは、ローレベルの信号STSDに対して第1論理値(例えば“0”)が対応付けられ、ハイレベルの信号STSDに対して第2論理値(例えば“1”)が対応付けられているものとする。
【0029】
図4に、温度Tjと信号S
TSDとの関係を示す。温度Tjが十分に低い状態において、信号S
TSDはローレベルを有する。信号S
TSDがローレベルである状態を起点に、温度Tjが上昇することで“Tj<T
TSD_H”の成立状態から“Tj≧T
TSD_H” の成立状態に切り替わると、信号S
TSDのレベルがローレベルからハイレベルに変化し、その後、温度Tjが低下することで“Tj≧T
TSD_L”の成立状態から“Tj<T
TSD_L”の成立状態に切り替わると、信号S
TSDのレベルがハイレベルからローレベルに変化する。ここで、T
TSD_H及びT
TSD_Lは、夫々、所定の保護温度及び低下判定温度を表す。保護温度T
TSD_Hは低下判定温度T
TSD_Lよりも高い。例えば、保護温度T
TSD_H、低下判定温度T
TSD_Lは、夫々、175℃、155℃である。尚、信号S
TSDのレベルがローレベルからハイレベルに変化した後は、温度Tjに依らず信号S
TSDのレベルをハイレベルに固定(ラッチ)するようにしても良い。この場合、温度Tjと低下判定温度T
TSD_Lとの比較は不要である。
【0030】
第2温度保護回路1150は、温度Tjとは異なる温度Tcntを検出する機能を有し、温度Tj及びTcnt間の温度差に応じた信号SΔTを生成及び出力する。信号SΔTは第2温度保護信号に相当し、ゲート制御回路1110に入力される。温度Tcntはスイッチ装置1000内の所定の温度測定箇所の温度である。温度測定箇所は出力トランジスタ1010から離れた箇所である。例えば、温度Tcntはゲート制御回路1110の温度であって良い。温度Tj及びTcnt間の温度差を、以下、温度差ΔTと称する。但し、温度差ΔTは温度Tcntから見た温度Tjの高さを表し、故に温度差ΔTは“ΔT=Tj-Tcnt”にて表される。信号SΔTはハイレベル又はローレベルの信号レベルをとる二値化信号である。ここでは、ローレベルの信号SΔTに対して第1論理値(例えば“0”)が対応付けられ、ハイレベルの信号SΔTに対して第2論理値(例えば“1”)が対応付けられているものとする。
【0031】
図5に、温度差ΔTと信号S
ΔTとの関係を示す。温度差ΔTが十分に小さい状態において、信号S
ΔTはローレベルを有する。信号S
ΔTがローレベルである状態を起点に、温度差ΔTが増大することで“ΔT<ΔT_H”の成立状態から“ΔT≧ΔT_H” の成立状態に切り替わると、信号S
ΔTのレベルがローレベルからハイレベルに変化し、その後、温度差ΔTが減少することで“ΔT≧ΔT_L”の成立状態から“ΔT<ΔT_L”の成立状態に切り替わると、信号S
ΔTのレベルがハイレベルからローレベルに変化する。ここで、ΔT_H及びΔT_Lは、夫々、所定の保護温度差及び保護解除温度差を表す。保護温度差ΔT_Hは保護解除温度差ΔT_Lよりも大きい。例えば、保護温度差ΔT_H、保護解除温度差ΔT_Lは、夫々、80℃、45℃である。
【0032】
アクティブクランプ回路1160は、負荷LDが誘導性負荷を含む場合に当該誘導性負荷にて発生する逆起電力から出力トランジスタ1010を保護する。アクティブクランプ回路1160は、例えば複数のダイオードを含んで構成され、出力トランジスタ1010のドレイン及びソース間電圧を所定のクランプ電圧以下に制限することで当該保護を実現する。
【0033】
自己診断回路1170は、スイッチ装置1000が正常に動作しているか否かを自己診断し、トランジスタ1172を用いて自己診断の結果を自己診断端子1004から出力する。
図1の構成例ではトランジスタ1172がNチャネル型のMISFETにて形成され、トランジスタ1172のドレイン、ソースが、夫々、自己診断端子1004、グランドに接続される。そして、自己診断回路1170が信号S
TSDに応じてトランジスタ1172のオン/オフ状態を制御することで自己診断の結果を自己診断端子1004から出力する。自己診断端子1004における電圧V
STは、トランジスタ1172がオン状態であるときにローレベルとなり、トランジスタ1172がオフ状態であるときにハイレベルとなる。
【0034】
ツェナーダイオード1174、1176は、端子1004、1001に加わり得る高電圧(静電気等)からスイッチ装置1000の内部回路を保護するための素子である。ツェナーダイオード1174、1176のカソードは、夫々、端子1004、1001に接続される。ツェナーダイオード1174及び1176の各アノードはグランド端子1003に接続される。
【0035】
図6にスイッチ装置1000における幾つかの電圧及び信号の関係を示す。
図6では、入力電圧V
INの波形、信号S
UVLOの波形、出力トランジスタ1010の状態、信号S
ΔTの波形、信号S
TSDの波形、電圧V
STの波形が、この順番で上から下に向けて示される。任意の自然数iについて、時刻t
i+1は時刻t
iよりも後の時刻であるとする。
【0036】
時刻t
1において入力電圧V
INの電圧値が0Vから所定の正の電圧値に上昇し、これによって信号S
UVLOにアップエッジが生じた後、時刻t
6において入力電圧V
INの電圧値が0Vに戻ることで信号S
UVLOにダウンエッジが生じる。
図6の例において、信号S
ΔTは原則としてローレベルであるが、時刻t
2から時刻t
3までの区間においてのみ信号S
ΔTがハイレベルとなる。
図6の例において、信号S
TSDは原則としてローレベルであるが、時刻t
4から時刻t
5までの区間においてのみ信号S
TSDがハイレベルとなる。
【0037】
ゲート制御回路1110は、基本的に、入力電圧V
INに基づいて出力トランジスタ1010をオン状態又はオフ状態に制御する。即ち、ゲート制御回路1110は、信号S
UVLOのハイレベル区間(即ち信号S
UVLOがハイレベルとなる程度に入力電圧V
INが高い区間)において出力トランジスタ1010を原則としてオン状態に制御する一方、信号S
UVLOのローレベル区間(即ち信号S
UVLOがローレベルとなる程度に入力電圧V
INが低い区間)において出力トランジスタ1010をオフ状態に制御する。以下、信号S
UVLOのハイレベル区間をオン指定区間と称し、信号S
UVLOのローレベル区間をオフ指定区間と称する。
図6の例において、時刻t
1から時刻t
6までの区間はオン指定区間であり、時刻t
1より前の区間と時刻t
6より後の区間はオフ指定区間である。
【0038】
オフ指定区間は入力電圧VINに基づき出力トランジスタ1010の状態がオフ状態に指定される区間である。ゲート制御回路1110は、オフ指定区間では信号SΔT及びSTSDに依らず出力トランジスタ1010をオフ状態に制御する。
【0039】
これに対し、オン指定区間は入力電圧VINに基づき出力トランジスタ1010の状態がオン状態に指定される区間である。但し、ゲート制御回路1110は、オン指定区間においては、出力トランジスタ1010を原則としてオン状態に制御しつつも、信号SΔT又はSTSDに応じて出力トランジスタ1010をオフ状態に制御することがある。
【0040】
オン指定区間において、ゲート制御回路1110は第1モード又は第2モードにて出力トランジスタ1010を駆動する。ゲート制御回路1110は、出力トランジスタ1010の駆動モードを第1又は第2モードに設定する駆動モード設定部(不図示)を有していると考えて良く、第iモードにて出力トランジスタ1010を駆動するとは、駆動モードを第iモードに設定した状態で出力トランジスタ1010を駆動することを意味する(iは整数)。
【0041】
オン指定区間における初期モードは第1モードである。即ち、オン指定区間の開始時点(t
1)における駆動モードは第1モードである。オン指定区間の開始後、信号S
TSDにアップエッジが生じることを契機に(即ち温度Tjが保護温度T
TSD_Hに達することを契機に)、ゲート制御回路1110は駆動モードを第1モードから第2モードに移行させる。このため、
図6の例では、時刻t
4にて駆動モードが第1モードから第2モードに切り替わる。
【0042】
第1モードにおいて、ゲート制御回路1110は、信号SΔTがローレベルであれば出力トランジスタ1010をオン状態に制御し、信号SΔTがハイレベルであれば出力トランジスタ1010をオフ状態に制御する。
【0043】
第2モードにおいて、ゲート制御回路1110は、出力トランジスタ1010をオフ状態に維持するオフ区間(以下特にオフ区間P
OFFと称する)と、出力トランジスタ1010をオン状態に維持するオン区間(以下特にオン区間P
ONと称する)と、を交互に設定する。即ち、第2モードにおいて、ゲート制御回路1110は、オフ区間P
OFFとオン区間P
ONとが交互に訪れるように出力トランジスタ1010のゲート電位を制御する。但し、第2モードはオフ区間P
OFFから始まるものとする。従って
図6の例では、時刻t
4から第1番目のオフ区間P
OFFが開始され、第1番目のオフ区間P
OFFの終了後に第1番目のオン区間P
ONが開始される。以後、オフ区間P
OFFとオン区間P
ONとが交互に訪れる。第i番目のオフ区間P
OFFの終了時刻と第i番目のオン区間P
ONの開始時刻は一致すると考えて良い(iは整数)。
【0044】
各オフ区間P
OFFは所定の指定オフ時間t
OFF分の長さを有する(即ち各オフ区間P
OFFの長さはt
OFFで表される)。指定オフ時間t
OFFは固定時間である。故に、各オフ区間P
OFFでは、温度Tjに依らず出力トランジスタ1010が指定オフ時間t
OFFだけオフ状態に維持される。
図6の例では、時刻t
4から指定オフ時間t
OFFが経過する以前の時刻t
5において信号S
TSDにダウンエッジが生じているが(温度Tjが低下判定温度T
TSD_Lを下回るまで低下しているが)、温度Tjに依らず時刻t
4から指定オフ時間t
OFFが経過するまで出力トランジスタ1010がオフ状態に維持される。
【0045】
各オン区間PONは所定の指定オン時間tON分の長さを有する(即ち各オン区間PONの長さはtONで表される)。指定オン時間tONは固定時間である。故に、ゲート制御回路1110は、第i番目のオフ区間POFFから第i番目のオン区間PONへの遷移に伴い出力トランジスタ1010をターンオンさせた後、指定オン時間tONが経過すると温度Tjに依らず出力トランジスタ1010をターンオフさせる。各オン区間PONにおいて過電流保護動作は有効である。このため、オン区間PONでは、過電流保護動作により出力電流IOUTの大きさを上限電流値ILIM以下に制限しつつ出力トランジスタ1010に出力電流IOUTが流れることを許容する。
【0046】
このように第2モードでは、指定オン時間tONより長い時間に亘り出力トランジスタ1010が継続してオン状態に制御されることがないよう制約が課されるが、当該制約は第1モードでは課されない。即ち、第1モードでは、所定の指定オン時間tONより長い時間に亘り出力トランジスタ1010を継続してオン状態に制御することが許容される。第1モードにおいて、ゲート制御回路1110は、信号SΔTがハイレベルとならない限り、指定オン時間tONより長い時間、出力トランジスタ1010を継続してオン状態に制御できる。
【0047】
1つのオン指定区間において、駆動モードが第1モードから第2モードに移行した後は、第1モードに戻ることが無いようにしても良い。この場合、時刻t1から始まるオン指定区間において時刻t4にて駆動モードが第1モードから第2モードに切り替わった後は、いかなる条件下でも常に時刻t6まで第2モードが維持される。但し、時刻t6での信号SUVLOのダウンエッジを経た後、信号SUVLOに新たにアップエッジが生じたときには駆動モードは第1モードにリセットされる。即ち、時刻t6の後、信号SUVLOに新たなアップエッジが生じることで新たなオン指定区間が開始された場合には、当該新たなオン指定区間の開始時点における駆動モードは第1モードとなる。
【0048】
ゲート制御回路1110は、1つのオン指定区間において、駆動モードを第1モードから第2モードに移行させた後、所定の復帰条件の成否を監視し、所定の復帰条件が成立したならば駆動モードを第1モードに復帰させるようにしても良い。
【0049】
例えば、第2モードにおいて、第i番目のオフ区間P
OFFから第i番目のオン区間P
ONへの遷移に伴い出力トランジスタ1010をターンオンさせた後、所定の復帰判定時間t
RCV以内に出力電流I
OUTの大きさが上限電流値I
LIMに達することが検知されないとき、復帰条件が成立したと判断して、ゲート制御回路1110は駆動モードを第2モードから第1モードに戻しても良い(
図6では、第1モードに戻る様子を図示せず)。尚、出力電流I
OUTの大きさが上限電流値I
LIMに達したか否かは過電流保護回路1130にて検知され、その検知結果がゲート制御回路1110に伝達される。復帰判定時間t
RCVは、指定オン時間t
ONと一致するか、或いは、指定オン時間t
ONよりも短い。
【0050】
尚、自己診断回路1170は、時刻t
1での信号S
UVLOのアップエッジに同期して電圧V
STにアップエッジが生じるようにトランジスタ1172を制御する。その後、自己診断回路1170は、信号S
TSDにアップエッジが生じるとトランジスタ1172をターンオンすることで電圧V
STにダウンエッジを生じさせ、以後は、所定のラッチ解除条件が成立するまでトランジスタ1172のオン状態を維持する(即ち電圧V
STをローレベルに維持する)。故に、
図6の例では、時刻t
4にて電圧V
STにダウンエッジが生じる。スイッチ装置1000には出力電圧V
OUTを監視する機能が設けられる。そして例えば、電圧V
STにダウンエッジが生じた後、電圧V
BBの発生源(不図示)が端子BBから取り外されることで出力電圧V
OUTが所定電圧以下になるとラッチ解除条件が成立する。或いは例えば、電圧V
STにダウンエッジが生じた後、信号S
UVLOがローレベルであって且つ出力電圧V
OUTが所定電圧以下になるとラッチ解除条件が成立する。但し、ラッチ解除条件の内容は様々に変更可能である。
【0051】
以下、複数の実施例の中で、幾つかの具体的な動作例、応用技術、変形技術等を説明する。本実施形態にて上述した事項は、特に記述無き限り且つ矛盾無き限り、以下の各実施例に適用される。各実施例において、上述の事項と矛盾する事項がある場合には、各実施例での記載が優先されて良い。また矛盾無き限り、以下に示す複数の実施例の内、任意の実施例に記載した事項を、他の任意の実施例に適用することもできる(即ち複数の実施例の内の任意の2以上の実施例を組み合わせることも可能である)。
【0052】
<<第1実施例>>
第1実施例を説明する。
図7に、第1実施例におけるタイミングチャートを示す。
図7において、波形2211~2218は、夫々、第1実施例に係る入力電圧V
IN、信号S
UVLO、出力電流I
OUT、出力電圧V
OUT、温度Tj、温度Tcnt、信号S
ΔT、信号S
TSDの波形である。尚、
図7では、破線の波形2216によって表される温度Tcntが実線の波形2215によって表される温度Tjに達した後は温度Tjと温度Tcntが一致するものと仮定されており、温度Tcntが温度Tjに達した後の波形2216の明示が省略されている。任意の自然数iについて、時刻t
Ai+1は時刻t
Aiよりも後の時刻であるとする。
【0053】
時刻t
A1において入力電圧V
INの電圧値が0Vから所定の正の電圧値に上昇し、これによって信号S
UVLOにアップエッジが生じた後、時刻t
A14において入力電圧V
INの電圧値が0Vに戻ることで信号S
UVLOにダウンエッジが生じる。このため、時刻t
A1及びt
A14間がオン指定区間に相当する。時刻t
A1及び時刻t
A1の直後では天絡が生じていないが、時刻t
A2にて天絡が生じたものとする。そうすると、時刻t
A2を境に出力電流I
OUTが急峻に上昇するが、過電流保護動作により出力電流I
OUTの大きさが上限電流値I
LIM以下に制限される。尚、過電流保護動作の開始直後では、出力電流I
OUTの大きさが過渡的に上限電流値I
LIMを上回ることもあり、
図7では、その過渡応答の様子が模式的に表されている。
【0054】
時刻t
A2以降、大きな出力電流I
OUTが流れることにより温度Tjが急激に上昇してゆく過程で、温度差ΔTが上昇して保護温度差ΔT_H(
図5参照)に達すると信号S
ΔTにアップエッジが生じて出力トランジスタ1010がターンオフされ、その後、信号S
ΔTにダウンエッジが生じると出力トランジスタ1010がターンオンされる。
図7の例では、時刻t
A3、t
A4、t
A5、t
A6にて、信号S
ΔTに、夫々、アップエッジ、ダウンエッジ、アップエッジ、ダウンエッジが生じる。故に、時刻t
A2から時刻t
A7までにおいて、上限電流値I
LIM近辺の出力電流I
OUTが出力トランジスタ1010に流れることによる温度Tjの上昇と、ハイレベルの信号S
ΔTに基づき出力トランジスタ1010がオフ状態に維持されることによる温度Tjの低下とが交互に発生する。
【0055】
時刻t
A6及びt
A7間で出力電流I
OUTの大きさが上限電流値I
LIMに到達して過電流保護動作が行われる過程で温度Tjが上昇してゆき、時刻t
A7において温度Tjが保護温度T
TSD_Hに達する。
図7の例において、時刻t
A7に至るまでは信号S
TSDはローレベルに維持され、時刻t
A7において信号S
TSDにアップエッジが生じる。このため、出力トランジスタ1010の駆動モードは、時刻t
A7までは第1モードであり、時刻t
A7を境に第1モードから第2モードに移行する。
【0056】
時刻tA7及びtA8間の区間、時刻tA8及びtA9間の区間、時刻tA9及びtA10間の区間、時刻tA10及びtA11間の区間、時刻tA11及びtA12間の区間は、夫々、第2モードにおける第1番目のオフ区間POFF、第1番目のオン区間PON、第2番目のオフ区間POFF、第2番目のオン区間PON、第3番目のオフ区間POFFである。各オフ区間POFFの長さは指定オフ時間tOFFと一致し(換言すれば指定オフ時間tOFFの長さと一致し)、各オン区間PONの長さは指定オン時間tONと一致する(換言すれば指定オン時間tONの長さと一致する)。時刻tA7から指定オフ時間tOFFが経過する前に温度Tjが低下判定温度TTSD_Lを下回っているが、温度Tjに依らず時刻tA7から指定オフ時間tOFFが経過するまで出力トランジスタ1010がオフ状態に維持される。
【0057】
図7の例において、天絡は時刻t
A11の後まで継続し、時刻t
A11の後であって且つ時刻t
A12の前で解消する。そうすると、時刻t
A7から時刻t
A12までにおいて、オフ区間P
OFFにて出力トランジスタ1010がオフ状態に維持されることによる温度Tjの低下と、オン区間P
ONにて上限電流値I
LIM近辺の出力電流I
OUTが出力トランジスタ1010に流れることによる温度Tjの上昇と、が交互に発生する。但し、スイッチ装置1000の外気温にも依るが、想定されるスイッチ装置1000の使用環境下では、天絡が継続していたとしても区間P
OFF及びP
ONの交互繰り返し過程において保護温度T
TSD_Hよりも低い温度範囲で温度Tjが変動する(そうなるように、指定オフ時間t
OFF及び指定オン時間t
ONが設定されている)。
【0058】
時刻t
A12において出力トランジスタ1010がターンオンされる。時刻t
A12の前に天絡が解消されているので、時刻t
A12以降において出力電流I
OUTの大きさは上限電流値I
LIMに達さない。時刻t
A13は時刻t
A12から上記復帰判定時間t
RCVだけ後の時刻である。
図7の例では、時刻t
A12から時刻t
A13まで出力電流I
OUTの大きさが上限電流値I
LIMに達していないことが検知され、その検知結果に基づき、ゲート制御回路1110は時刻t
A13を境に駆動モードを第2モードから第1モードに戻す。時刻t
13にて駆動モードが第1モードに戻されるが故に、時刻t
A13から指定オン時間t
ONを超える時間が経過したとしても、オン指定区間中は出力トランジスタ1010がオン状態に維持される(但し信号S
ΔTはローレベルであると仮定)。その後、時刻t
A14にて入力電圧V
INが0Vとされることで出力トランジスタ1010がターンオフされ、出力電流I
OUTがゼロとなる。
【0059】
ここで、参考例に係るタイミングチャートを
図8に示す。
図8において、波形2411~2418は、夫々、参考例に係る入力電圧V
IN、信号S
UVLO、出力電流I
OUT、出力電圧V
OUT、温度Tj、温度Tcnt、信号S
ΔT、信号S
TSDの波形である。参考例では、信号S
TSDにアップエッジが生じたとしても上述のような駆動モードの変更を行わず、単に、信号S
ΔT及びS
TSDの双方がローレベルとなる区間にて出力トランジスタ1010をオンとし、且つ、信号S
ΔT及びS
TSDの何れかがハイレベルとなる区間にて出力トランジスタ1010をオフとする。
図8に対応する参考例では、温度Tjが保護温度T
TSD_Hに達して以後、温度Tjが保護温度T
TSD_Hに近い温度範囲に保たれた状態で出力トランジスタ1010のオン、オフが繰り返され、出力トランジスタ1010に大きな熱ストレスがかかる。
【0060】
これに対し、
図7に対応する第1実施例の方法によれば、温度Tjが保護温度T
TSD_Hに達した後は、出力トランジスタ1010のターンオフ及びターンオンの繰り返しの中で、指定オフ時間t
OFF分のオフ状態を確保することができる。このため、出力トランジスタ1010への熱ストレスを軽減することが可能となり、出力トランジスタ1010の破損等の可能性が低減する。以って、スイッチ装置1000の信頼性が高まる(過電流への耐性が高まる)。
【0061】
図9に第1実施例に係るスイッチ装置1000の一部の回路図を示す。第1実施例に係るスイッチ装置1000は、出力トランジスタ1010に加えて、過電流保護回路1600、アクティブクランプ回路1700及び制御信号生成回路1800を備え、更に、Nチャネル型のMISFETであるトランジスタ1801及び1803と、抵抗1802及び1812~1814と、アナログスイッチであるスイッチ1811と、を備える。過電流保護回路1600、アクティブクランプ回路1700は、夫々、
図1に示される過電流保護回路1130、アクティブクランプ回路1160の例である。制御信号生成回路1800と符号1801~1803によって参照される各回路素子は、
図1のゲート制御回路1110の構成要素に含まれる。符号1811~1814によって参照される各回路素子もゲート制御回路1110の構成要素に含まれると解しても良い。
【0062】
図9の回路構成について説明する。出力トランジスタ1010のドレインは出力端子1002に接続され、出力トランジスタ1010のソースはグランドに接続される。出力トランジスタ1010のゲートはゲートラインGLに接続される。出力トランジスタ1010のゲートに供給されるゲート信号を符号“GS”にて参照する。ゲートラインGLにゲート信号GSが加わる。
【0063】
過電流保護回路1600は、センストランジスタ1601と、定電流回路1602及び1603と、トランジスタ1604、1605及び1608と、抵抗1606、1607及び1609と、コンデンサ1610と、を備える。トランジスタ1601、1604、1605及び1608は、Nチャネル型のMISFETである。抵抗1609及びコンデンサ1610により位相補償回路が形成される。
【0064】
センストランジスタ1601のゲートはゲートラインGLに接続される。センストランジスタ1601のドレインは出力トランジスタ1010のドレインに接続される。センストランジスタ1601のソースは抵抗1606の一端に接続される。抵抗1606の他端はグランドに接続される。センストランジスタ1601のドレイン及びソース間に流れる電流をセンス電流ISNSと称する。センス電流ISNSは、出力トランジスタ1010のドレイン及びソース間に流れる出力電流IOUTに比例する。センストランジスタ1601のソース面積は出力トランジスタ1010のソース面積よりも小さく、“ISNS:IOUT=1:α”が成立する(但し、αは1よりも相当に大きな値を持つ)。
【0065】
定電流回路1602は、内部電源電圧Vregが加わる内部電源端とノード1621との間に設けられ、内部電源端からノード1621に向けて所定の定電流を供給する。定電流回路1603は、内部電源電圧Vregが加わる内部電源端とノード1622との間に設けられ、内部電源端からノード1622に向けて所定の定電流を供給する。内部電源電圧Vregは正の直流電圧値を有する。スイッチ装置1000は外部から供給される電圧に基づいて内部電源電圧Vregを生成することができる。
【0066】
トランジスタ1604のドレインはノード1621に接続される。トランジスタ1604のソースは、センストランジスタ1601のソースと抵抗1606との接続ノードに接続される。ノード1622に対し、トランジスタ1605のドレイン及びゲートとトランジスタ1604のゲートが共通接続される。トランジスタ1605のソースは抵抗1607を介してグランドに接続される。
【0067】
ノード1621は、トランジスタ1608及び1801の各ゲートに接続されると共に抵抗1609の一端に接続される。抵抗1609の他端はコンデンサ1610を介してゲートラインGLに接続される。トランジスタ1608のドレインはゲートラインGLに接続され、トランジスタ1608のソースはグランドに接続される。
【0068】
アクティブクランプ回路1700は、Nチャネル型のMISFETであるトランジスタ1701及び1702と、ダイオード1703及び1704と、抵抗1705と、備える。トランジスタ1702はデプレッション型のMISFETである。
【0069】
トランジスタ1701のドレイン及びダイオード1703のカソードは、出力トランジスタ1010のドレインに接続される。トランジスタ1701のソースはゲートラインGLに接続される。ダイオード1703及び1704のアノード同士は互いに接続され、ダイオード1704のカソードはトランジスタ1701のゲートと抵抗1705の一端に接続される。抵抗1705の他端はトランジスタ1702のドレインに接続される。トランジスタ1702においてゲート及びソースはグランドに接続される。
【0070】
トランジスタ1801のドレインは、抵抗1802を介し、内部電源電圧Vregが加わる内部電源端に接続される。トランジスタ1801のソースはグランドに接続される。制御信号生成回路1800に対し、トランジスタ1801のドレイン電圧を有する信号SOCPと、信号SΔT及びSTSDと、所定のクロック周波数を有した矩形波信号であるクロック信号CLKと、が入力される。制御信号生成回路1800は、これらの入力信号に基づいて制御信号CNT1を生成及び出力する。当該制御信号CNT1はトランジスタ1803のゲートに入力される。トランジスタ1803のドレインはゲートラインGLに接続される。トランジスタ1803のソースはグランドに接続される。
【0071】
入力端子1001は抵抗1812の一端に接続され、抵抗1812の他端はスイッチ1811の一端に接続される。スイッチ1811の他端は抵抗1813を介してラインGL’に接続される。ラインGL’は抵抗1814を介してゲートラインGLに接続される。ラインGL2’は抵抗1411を介してゲートラインGL2に接続される。
【0072】
図9に示す回路の機能及び動作について説明する。スイッチ1811の制御端には信号S
UVLOが入力される。信号S
UVLOのハイレベル区間においてスイッチ1811はオン状態となり、信号S
UVLOのローレベル区間においてスイッチ1811はオフ状態となる。故に、入力電圧V
INに基づくオン指定区間において、入力電圧V
INがラインGL’に加わり、トランジスタ1608又は1803等によるゲートラインGLからの電荷の引き抜きが無いならば、入力電圧V
INそのものがゲートラインGLに加わる。
【0073】
アクティブクランプ回路1700は、負荷LD(
図16参照)が誘導性負荷を含む場合に当該誘導性負荷にて発生する逆起電力から出力トランジスタ1010を保護する。アクティブクランプ動作自体の詳細な説明は省略するが、アクティブクランプ回路1700は、出力トランジスタ1010のドレイン及びソース間電圧を所定のクランプ電圧以下に制限し、これによって上記逆起電力から出力トランジスタ1010を保護する。
【0074】
制御信号生成回路1800は、ローレベル又はハイレベルの制御信号CNT1を出力する。制御信号CNT1のローレベル区間においてトランジスタ1803はオフ状態となり、制御信号CNT1のハイレベル区間においてトランジスタ1803はオン状態となる。オン指定区間において、トランジスタ1803がオフ状態であればゲートラインGLに入力電圧VINに基づくハイレベルのゲート信号GSが加わることで出力トランジスタ1010がオン状態となる。オン指定区間においても、トランジスタ1803がオン状態であればゲートラインGLにローレベルのゲート信号GSが加わることで、出力トランジスタ1010がオフ状態となる。
【0075】
第1モードにおいて、制御信号生成回路1800は、信号SΔTのローレベル区間にて制御信号CNT1をローレベルとすることで出力トランジスタ1010をオン状態とし、信号SΔTのハイレベル区間にて制御信号CNT1をハイレベルとすることで出力トランジスタ1010をオフ状態とする。
【0076】
オン指定区間において信号STSDにアップエッジが生じたことを契機に、制御信号生成回路1800は、出力トランジスタ1010の駆動モードを第1モードから第2モードに切り替える。制御信号生成回路1800は、第2モードにおけるオフ区間POFFにおいて制御信号CNT1をハイレベルとすることで出力トランジスタ1010をオフ状態とし、第2モードにおけるオン区間PONにおいて制御信号CNT1をローレベルとすることで出力トランジスタ1010をオン状態とする。制御信号生成回路1800は、クロック信号CLKを用いて任意の2つの時刻間の時間差を計測することができ、これによって第2モードにおけるオン区間PON及びオフ区間POFFの開始タイミング及び終了タイミングを設定する。
【0077】
トランジスタ1803がオフ状態に維持されていると仮定して、過電流保護回路1600の過電流保護動作を説明する。出力電流IOUT及びセンス電流ISNSが十分に低い区間ではノード1621の電圧は十分に低く、トランジスタ1608及び1801はオフ状態に保たれる。出力電流IOUTがゼロから増大するにつれてセンス電流ISNSもゼロから増大してゆく。そして、出力電流IOUTの大きさが上限電流値ILIMにまで増大したとき、抵抗1606の電圧降下の増大及びノード1621の電位上昇を通じてトランジスタ1608及び1801がオフ状態からオン状態に切り替わる。
【0078】
トランジスタ1608のオン区間ではゲートラインGLからトランジスタ1608を通じてグランドへと電荷が引き抜かれるため、トランジスタ1608のオフ区間と比べてゲート信号GSの電位が低下し、結果、出力電流IOUTが低下する。出力電流IOUTの低下に連動してセンス電流ISNSが低下するとノード1621の電位が低下するため、トランジスタ1608のドレイン電流も低下してゲート信号GSの電位が上昇する。ゲート信号GSの電位上昇は出力電流IOUTの増大をもたらし、センス電流ISNSの増大を通じてノード1621の電位を上昇させる。このような動作の繰り返しにより、天絡継続中のトランジスタ1803のオフ区間では、出力電流IOUTの大きさが上限電流値ILIM以下であって、上限電流値ILIM近辺に保たれる。
【0079】
出力電流IOUTの大きさが上限電流値ILIMにまで上昇したとき、トランジスタ1801がオフ状態からオン状態に切り替わることで信号SOCPがハイレベルからローレベルに切り替わる。信号SOCPがローレベルとなったことを示す情報は過電流保護動作が実行されたことを示す過電流検知情報として制御信号生成回路1800に入力される。
【0080】
図7のタイミングチャートとの関係において、過電流保護回路1600及び制御信号生成回路1800等の動作を説明する。オン指定区間における制御信号CNT1の初期レベルはローレベルである。従って、制御信号生成回路1800は、入力電圧V
INがローレベルからハイレベルに切り替わる時刻t
A1(即ち信号S
UVLOにアップエッジが生じる時刻t
A1)において制御信号CNT1をローレベルとする。
【0081】
時刻tA2にて天絡が発生し、以後は、時刻tA11より後であって且つ時刻tA12の前まで天絡が継続する。時刻tA2及びtA7間では駆動モードが第1モードである。故に、時刻tA2及びtA7間中における信号SΔTのローレベル区間では制御信号CNT1がローレベルとされる。そうすると、時刻tA2及びtA7間中における信号SΔTのローレベル区間では、出力電流IOUTの大きさが上限電流値ILIMにまで上昇して過電流保護動作が機能し、出力電流IOUTの大きさが上限電流値ILIM以下に制限されるようゲート信号GSの電位が調整される。時刻tA2及びtA7間中における信号SΔTのハイレベル区間ではトランジスタ1803のオンにより出力トランジスタ1010はオフ状態に保たれる。
【0082】
時刻tA7における信号STSDのアップエッジを契機に駆動モードが第1モードから第2モードに切り替わる。第2モードでは、上述したように、オフ区間POFFにおいて制御信号CNT1をハイレベルとすることで出力トランジスタ1010をオフ状態とし、オン区間PONにおいて制御信号CNT1をローレベルとすることで出力トランジスタ1010をオン状態とする。天絡の継続中におけるオン区間PONでは、時刻tA2及びtA7間中の信号SΔTのローレベル区間と同様に、出力電流IOUTの大きさが上限電流値ILIMにまで上昇して過電流保護動作が機能し、出力電流IOUTの大きさが上限電流値ILIM以下に制限されるようゲート信号GSの電位が調整される。
【0083】
制御信号生成回路1800は、時刻t
A12において制御信号CNT1にダウンエッジを生じさせることで出力トランジスタ1010をターンオンさせる。回路1800は、時刻t
A12及びt
A13間において信号S
SCPがローレベルになったか否かを判定する。時刻t
A12及びt
A13間において信号S
SCPがハイレベルに維持されておれば、回路1800は上記復帰条件が満たされると判断して、出力トランジスタ1010の駆動モードを第2モードから第1モードに戻す。
図7では復帰条件が成立する例が示されている。
図7に示す例とは異なるが、仮に、時刻t
A12の後、時刻t
A13に至る前に信号S
SCPがローレベルになったことが検知されたならば時刻t
A13以降も第2モードが維持されて、時刻t
A12から指定オン時間t
ONが経過した時点でオフ区間P
OFFへの移行が発生する。
【0084】
<<第2実施例>>
第2実施例を説明する。第2実施例では、本実施形態にて上述した事項に対する補足事項、変形技術及び応用技術等を説明する。
【0085】
第2モードにおいて、第i番目のオフ区間POFFを開始してから指定オフ時間tOFFが経過した時点で、仮に信号STSDがハイレベルであったならば、信号STSDがローレベルになるまで第i番目のオフ区間POFFを延長し、信号STSDがハイレベルからローレベルに切り替わってから第i番目のオン区間PONに移行させても良い(iは任意の整数)。
【0086】
第2モードにおいて、第i番目のオン区間PONを開始してから指定オン時間tONが経過する前に、仮に信号STSDがハイレベルであることが検知されならば、指定オン時間tONの経過を待たず、即時に、第i番目のオン区間PONから第(i+1)番目のオフ区間POFFに移行しても良い(iは任意の整数)。
【0087】
スイッチ装置1000から第2温度保護回路1150が削除されても良い。この場合、上述の実施形態において信号S
ΔTが常時ローレベルであると解釈すれば良く、
図7の例では時刻t
A1から時刻t
A7に至るまで出力トランジスタ1010がオン状態に維持される。
【0088】
スイッチ装置1000がローサイド側のスイッチングデバイスとして構成されることを想定してスイッチ装置1000の構成及び動作を上述したが、スイッチ装置1000をハイサイド側のスイッチングデバイスとして構成しても良い。この場合、端子BB(
図16参照)が端子1002に直接接続されることで電圧V
BBが出力トランジスタ1010のドレインに印加され、且つ、出力トランジスタ1010のソースが負荷LDを介してグランドに接続されることになる。
【0089】
任意の信号又は電圧に関して、上述の主旨を損なわない形で、それらのハイレベルとローレベルの関係は上述したものの逆とされ得る。
【0090】
各実施形態に示されたFET(電界効果トランジスタ)のチャネルの種類は例示であり、Nチャネル型のFETがPチャネル型のFETに変更されるように、或いは、Pチャネル型のFETがNチャネル型のFETに変更されるように、FETを含む回路の構成は変形され得る。
【0091】
スイッチ装置1000を自動車等の車両に設置し、当該車両における任意の負荷LDに対してスイッチ装置1000を適用して良い。但し、スイッチ装置1000の用途は車載用途に限定されず、任意である。
【0092】
本開示の実施形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。以上の実施形態は、あくまでも、本開示の実施形態の例であって、本開示ないし各構成要件の用語の意義は、以上の実施形態に記載されたものに制限されるものではない。上述の説明文中に示した具体的な数値は、単なる例示であって、当然の如く、それらを様々な数値に変更することができる。
【0093】
<<付記>>
上述の実施形態にて具体的構成例が示された本開示について付記を設ける。
【0094】
本開示の一側面に係るスイッチ装置(1000)は、出力トランジスタ(1010)と、前記出力トランジスタに流れる対象電流(IOUT)の大きさを所定の上限電流値(ILIM)以下に制限する過電流保護動作を実行可能に構成された過電流保護回路(1130、1600)と、第1モード又は第2モードにて前記出力トランジスタを駆動可能に構成された制御回路(1110)と、を備え、前記制御回路は、前記第1モードにて前記出力トランジスタを駆動しているときに測定対象温度(Tj)が所定の保護温度(TTSD_H)に達することが検知されたとき前記第2モードに移行させ、前記第2モードにおいて、前記測定対象温度に依らず前記出力トランジスタをオフ状態に維持する第1区間(POFF)と、前記過電流保護動作により前記対象電流の大きさを前記上限電流値以下に制限しつつ前記出力トランジスタに前記対象電流が流れることを許容する第2区間(PON)と、を交互に設定するよう構成される構成(第1の構成)である。
【0095】
過電流保護動作が機能する状況など、出力トランジスタに過大な電流が流れる状況において、測定対象温度が保護温度に達する。上記第1の構成では、測定対象温度が保護温度に達した後は、測定対象温度に依らず出力トランジスタをオフ状態に維持する第1区間が設けられる。このため、出力トランジスタへの熱ストレスを軽減することが可能となり、出力トランジスタの破損等の可能性が低減する。以って、スイッチ装置の信頼性が高まる(天絡又は地絡等によって発生し得る過電流への耐性が高まる)。
【0096】
上記第1の構成に係るスイッチ装置において、前記制御回路は、前記第2モードでの各第1区間において、前記測定対象温度に依らず前記出力トランジスタを所定の第1時間(tOFF)分、オフ状態に維持するよう構成される構成(第2の構成)であっても良い。
【0097】
上記第2の構成では、測定対象温度が保護温度に達した後は、測定対象温度に依らず出力トランジスタをオフ状態に維持する第1区間が設けられ、各第1区間では第1時間分のオフ状態が確保される。このため、必要な冷却時間を確保することが可能となり、出力トランジスタの破損等の可能性が低減する。
【0098】
上記第1又は第2の構成に係るスイッチ装置において、前記制御回路は、前記第2モードにおいて、前記第1区間から前記第2区間への遷移に伴い前記出力トランジスタをターンオンさせた後、所定の第2時間(tON)が経過すると前記測定対温度に依らず前記出力トランジスタのターンオフさせるよう構成される構成(第3の構成)であっても良い。
【0099】
これにより、各第2区間中における出力トランジスタの温度上昇量に制限が加わるため、出力トランジスタの破損等の可能性が低減する。
【0100】
上記第3の構成に係るスイッチ装置において、前記第1モードでは前記第2時間を超えて前記出力トランジスタをオン状態に保つことが許容される構成(第4の構成)であっても良い。
【0101】
これにより、測定対象温度が保護温度に達することが無い状況において、長時間にわたり出力トランジスタをオンさせることができる。
【0102】
上記第1~第4の構成の何れかに係るスイッチ装置において、前記制御回路は、前記第1モードから前記第2モードへの移行後、所定の復帰条件が成立すると、前記第2モードから前記第1モードへ復帰させるよう構成される構成(第5の構成)であっても良い。
【0103】
これにより、第1モードへの復帰が適切な状況において第1モードへの復帰を実現することができる。
【0104】
上記第5の構成に係るスイッチ装置に関し、前記第2モードにおいて、前記第1区間から前記第2区間への遷移に伴い前記出力トランジスタをターンオンさせた後、所定の第3時間(tRCV)以内に前記対象電流の大きさが前記上限電流値に達することが検知されないとき、前記復帰条件が成立する構成(第6の構成)であっても良い。
【0105】
これにより、出力トランジスタに過大な電流が流れる状況が解消されたときに、第1モードに復帰させることが可能となる。
【0106】
上記第1~第6の構成の何れかに係るスイッチ装置において、前記制御回路は、所定の入力端子への入力電圧に応じて前記出力トランジスタをターンオンさせ、その後、前記測定対象温度が前記保護温度に到達する前には、前記第1モードにて前記出力トランジスタを駆動するよう構成される構成(第7の構成)であっても良い。
【0107】
上記第1~第7の構成の何れかに係るスイッチ装置において、前記測定対象温度は前記出力トランジスタの温度である構成(第8の構成)であっても良い。
【符号の説明】
【0108】
1000 スイッチ装置
1001 入力端子
1002 出力端子
1003 グランド端子
1004 自己診断端子
1010 出力トランジスタ
1110 ゲート制御回路
1120 低電圧保護回路
1130 過電流保護回路
1140 第1温度保護回路
1150 第2温度保護回路
1160 アクティブクランプ回路
1170 自己診断回路
1600 過電流保護回路
1700 アクティブクランプ回路
1800 制御信号生成回路