(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022188432
(43)【公開日】2022-12-21
(54)【発明の名称】スイッチ駆動装置及びこれを用いたスイッチング電源
(51)【国際特許分類】
H02M 7/12 20060101AFI20221214BHJP
【FI】
H02M7/12 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021096454
(22)【出願日】2021-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】浜地 健次
【テーマコード(参考)】
5H006
【Fターム(参考)】
5H006AA01
5H006CA01
5H006CA02
5H006CA07
5H006CB03
5H006CB05
5H006CC01
5H006CC08
5H006DA04
5H006DB01
5H006DC05
5H006FA01
5H006FA02
5H006FA03
5H006GA01
(57)【要約】
【課題】双方向のオン/オフ駆動を停止したときに生じる共振ノイズを抑制する。
【解決手段】スイッチ駆動装置130は、双方向スイッチXを形成する第1スイッチ素子110及び第2スイッチ素子120を個別に制御するように構成されたコントローラ133を有する。コントローラ133は、双方向スイッチXのオン/オフ駆動を停止するときに、第1スイッチ素子110及び第2スイッチ素子120をいずれもオフした後、第1スイッチ素子110及び第2スイッチ素子120のうち、いずれか一方を所定のオン時間に亘って一時的にオンする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
双方向スイッチを形成する第1スイッチ素子及び第2スイッチ素子を個別に制御するように構成されたコントローラを有し、
前記コントローラは、前記双方向スイッチのオン/オフ駆動を停止するときに、前記第1スイッチ素子及び前記第2スイッチ素子をいずれもオフした後、前記第1スイッチ素子及び前記第2スイッチ素子のうち、いずれか一方を所定のオン時間に亘って一時的にオンする、スイッチ駆動装置。
【請求項2】
一時的にオンされるスイッチ素子は、電流回生時に内在ダイオードが逆バイアスとなるスイッチ素子である、請求項1に記載のスイッチ駆動装置。
【請求項3】
前記オン時間は、共振周期以上の長さに設定されている、請求項1または2に記載のスイッチ駆動装置。
【請求項4】
前記コントローラは、前記双方向スイッチをオンからオフに切り替えるときに、前記第1スイッチ素子及び前記第2スイッチ素子のうち、一方のスイッチ素子をオンしたまま他方のスイッチ素子をオフする、請求項1~3のいずれか一項に記載のスイッチ駆動装置。
【請求項5】
前記コントローラは、前記双方向スイッチをオフからオンに切り替えるときに、前記他方のスイッチ素子をその両端間電圧が0Vとなるタイミングでオンするように、第1のゼロ電圧スイッチング制御を行う、請求項4に記載のスイッチ駆動装置。
【請求項6】
前記コントローラは、前記双方向スイッチをオフからオンに切り替えるときに、前記第1のゼロ電圧スイッチング制御に引き続いて、前記他方のスイッチ素子をオンするタイミングで前記一方のスイッチ素子をオフし、前記一方のスイッチ素子をその両端間電圧が0Vとなるタイミングでオンするように、第2のゼロ電圧スイッチング制御を行う、請求項5に記載のスイッチ駆動装置。
【請求項7】
交流入力電圧が印加されるように構成された一次巻線と、
前記一次巻線に結合されるように構成された二次巻線と、
前記一次巻線に直列接続されるように構成された双方向スイッチと、
前記二次巻線に生じる誘起電圧を全波整流するように構成された全波整流回路と、
前記全波整流回路の出力を平滑するように構成された平滑コンデンサと、
前記双方向スイッチを駆動する請求項1~6いずれかに記載のスイッチ駆動装置と、
を有し、
前記二次巻線からフライバック電圧、または、フォワード電圧とフライバック電圧の双方を取り出して前記交流入力電圧を直流出力電圧に直接変換する、スイッチング電源。
【請求項8】
前記スイッチ駆動装置は、前記交流入力電圧の絶対値が下限値よりも小さいときに前記双方向スイッチのオン/オフ駆動を停止する、請求項7に記載のスイッチング電源。
【請求項9】
前記スイッチ駆動装置は、前記直流出力電圧が上限値よりも高いときに前記双方向スイッチのオン/オフ駆動を停止する、請求項7または8に記載のスイッチング電源。
【請求項10】
前記スイッチ駆動装置は、前記一次巻線に流れる一次電流が上限値よりも大きいときに前記双方向スイッチのオン/オフ駆動を停止する、請求項7~9のいずれか一項に記載のスイッチング電源。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書中に開示されている発明は、スイッチ駆動装置及びこれを用いたスイッチング電源に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、本願出願人は、スイッチング電源の双方向スイッチを形成する第1スイッチ素子及び第2スイッチ素子を個別にゼロ電圧スイッチング制御(いわゆるZVS[zero-volt switching]制御)することにより、双方向スイッチの発熱を抑えることのできるスイッチ駆動装置を提案している(特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のスイッチ駆動装置では、双方向スイッチのオン/オフ駆動を停止したときに生じる共振ノイズの抑制について改善の余地があった。
【0005】
本明細書中に開示されている発明は、本願の発明者らにより見出された上記の課題に鑑み、共振ノイズを抑制することのできるスイッチ駆動装置及びこれを用いたスイッチング電源を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
例えば、本明細書中に開示されているスイッチ駆動装置は、双方向スイッチを形成する第1スイッチ素子及び第2スイッチ素子を個別に制御するように構成されたコントローラを有し、前記コントローラは、前記双方向スイッチのオン/オフ駆動を停止するときに、前記第1スイッチ素子及び前記第2スイッチ素子をいずれもオフした後、前記第1スイッチ素子及び前記第2スイッチ素子のうち、いずれか一方を所定のオン時間に亘って一時的にオンする。
【0007】
なお、その他の特徴、要素、ステップ、利点、及び、特性については、以下に続く発明を実施するための形態及びこれに関する添付の図面によって、さらに明らかとなる。
【発明の効果】
【0008】
本明細書中に開示されている発明によれば、共振ノイズを抑制することのできるスイッチ駆動装置及びこれを用いたスイッチング電源を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、スイッチング電源の第1実施形態を示す図である。
【
図2】
図2は、トランスの等価回路を示す図である。
【
図3】
図3は、整流ダイオードの等価回路を示す図である。
【
図4】
図4は、個別ZVS制御の第1例を示す図である。
【
図5】
図5は、個別ZVS制御の第2例を示す図である。
【
図6】
図6は、個別ZVS制御の第3例を示す図である。
【
図7】
図7は、個別ZVS制御の第4例を示す図である。
【
図8】
図8は、スイッチング電源の第2実施形態を示す図である。
【
図9】
図9は、スイッチング電源の第3実施形態を示す図である。
【
図10】
図10は、スイッチング電源の第4実施形態を示す図である。
【
図12】
図12は、スイッチング電源の第5実施形態を示す図である。
【
図13】
図13は、スイッチング電源の第6実施形態を示す図である。
【
図14】
図14は、スイッチング電源の第7実施形態を示す図である。
【
図15】
図15は、スイッチング電源の第8実施形態を示す図である。
【
図16】
図16は、スイッチング電源の第9実施形態を示す図である。
【
図17】
図17は、クランプ動作による効率の低下を示す図である。
【
図18】
図18は、コントローラの要部構成例を示す図である。
【
図19】
図19は、コントローラの内部制御例を示す図である。
【
図20】
図20は、スイッチング電源の第10実施形態を示す図である。
【
図21】
図21は、第10実施形態における個別ZVS制御の第1動作例(V1>V2)を示す図である。
【
図22】
図22は、第1動作例の第1フェイズにおける電流経路を示す図である。
【
図23】
図23は、第1動作例の第2フェイズにおける電流経路を示す図である。
【
図24】
図24は、第1動作例の第3フェイズにおける電流経路を示す図である。
【
図25】
図25は、第1動作例の第4フェイズにおける電流経路を示す図である。
【
図26】
図26は、第1動作例の第5フェイズにおける電流経路を示す図である。
【
図27】
図27は、第1動作例の第6フェイズにおける電流経路を示す図である。
【
図28】
図28は、第1動作例の第7フェイズにおける電流経路を示す図である。
【
図29】
図29は、第10実施形態における個別ZVS制御の第2動作例(V1<V2)を示す図である。
【
図30】
図30は、第2動作例の第1フェイズにおける電流経路を示す図である。
【
図31】
図31は、第2動作例の第2フェイズにおける電流経路を示す図である。
【
図32】
図32は、第2動作例の第3フェイズにおける電流経路を示す図である。
【
図33】
図33は、第2動作例の第4フェイズにおける電流経路を示す図である。
【
図34】
図34は、第2動作例の第5フェイズにおける電流経路を示す図である。
【
図35】
図35は、第2動作例の第6フェイズにおける電流経路を示す図である。
【
図36】
図36は、第2動作例の第7フェイズにおける電流経路を示す図である。
【
図37】
図37は、交流入力電圧の極性反転タイミングで双方向スイッチのオン/オフ駆動を停止したときの様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<第1実施形態>
図1は、スイッチング電源の第1実施形態を示す図である。本実施形態のスイッチング電源100は、一次回路系と二次回路系との間を電気的に絶縁しつつ、交流電源Pから供給される交流入力電圧Vin(=V2-V1、例えばV1=GND)を直流出力電圧Voutに直接変換して負荷Zに供給する絶縁型のAC/DCコンバータであり、スイッチ素子110及び120と、スイッチ駆動装置130と、トランス140と、コンデンサ151~154と、ダイオード161及び162と、スナバ回路170と、を有する。
【0011】
スイッチ素子110及び120は、交流電源Pの第2ノード(=電圧V2の印加端)とトランス140の第2入力タップ(=一次巻線141の巻始端)との間において、直列に逆接続されている。このように接続されたスイッチ素子110及び120は、トランス140の一次巻線141に直列接続された双方向スイッチXを形成する。
【0012】
例えば、スイッチ素子110及び120がSiベースまたはSiCベースのNMOSFET[N-channel type metal oxide semiconductor field effect transistor]である場合、スイッチ素子110及び120それぞれのソースSが共通となり、スイッチ素子110のドレインDが交流電源Pの第2ノードに接続され、スイッチ素子120のドレインD(=スイッチ電圧Vswの印加端)がトランス140の第2入力タップに接続される。なお、スイッチ素子110及び120としては、GaNデバイス又はIGBT[insulated gate bipolar transistor]などを用いても構わない。
【0013】
また、スイッチ素子110及び120は、それぞれ、スイッチ機能部111及び121(トランジスタ本体)のほかに、内在ダイオード112及び122と内在容量113及び123を包含している。本図の場合、内在ダイオード112のカソードと内在容量113の第1端は、スイッチ機能部111のドレインDに接続されている。また、内在ダイオード112のアノードと内在容量113の第2端は、スイッチ機能部111のソースSに接続されている。一方、内在ダイオード122のカソードと内在容量123の第1端は、スイッチ機能部121のドレインDに接続されている。また、内在ダイオード122のアノードと内在容量123の第2端は、スイッチ機能部121のソースSに接続されている。
【0014】
スイッチ駆動装置130は、スイッチ素子110及び120それぞれの駆動信号(ゲート信号)を生成するドライバ131及び132と、これらを制御するコントローラ133とを含み、スイッチ素子110及び120をそれぞれ個別にオン/オフする。
【0015】
例えば、スイッチ駆動装置130は、直流出力電圧Voutが所望の目標値と一致するように双方向スイッチXをオン/オフさせる機能(=出力帰還制御機能)を備えている。このような機能を具備することにより、負荷Zに対して一定の直流出力電圧Voutを安定供給することが可能となる。
【0016】
また、スイッチ駆動装置130は、スイッチング電源100の力率を1に近付けるように双方向スイッチXをオン/オフさせる機能(=力率改善機能)を備えている。このような機能を具備することにより、別途の力率改善回路が不必要となるので、1コンバータ形式のスイッチング電源100を実現することが可能となる。
【0017】
さらに、スイッチ駆動装置130は、スイッチ素子110及び120を個別にゼロ電圧スイッチング制御する機能(=個別ZVS機能)も備えている。このような機能を具備することにより、双方向スイッチXのスイッチング損失を低減することができるので、双方向スイッチXの発熱を抑えるとともに、スイッチング電源100の変換効率を高めることが可能となる。なお、個別ZVS機能については、後ほど詳細に説明する。
【0018】
トランス140は、一次回路系に設けられた一次巻線141と、二次回路系に設けられて一次巻線141に磁気結合された二次巻線142a及び142bと、を含む。トランス140の第1入力タップ(=一次巻線141の巻終端)は、交流電源Pの第1ノード(=電圧V1の印加端)に接続されている。トランス140の第2入力タップ(=一次巻線141の巻始端)は、双方向スイッチXを介して交流電源Pの第2ノード(=電圧V2の印加端)に接続されている。トランス140の第1出力タップ(=二次巻線142aの巻始端)は、ダイオード161のアノードに接続されている。トランス140の第2出力タップ(=二次巻線142bの巻終端)は、ダイオード162のアノードに接続されている。トランス140の第3出力タップ(=二次巻線142aの巻終端かつ二次巻線142bの巻始端)は、二次回路系のグラウンドとして、負荷Zの低電位端に接続されている。
【0019】
なお、トランス140としては、結合度の高いトランスを用いてフライバックコンバータ回路を構成してもよいし、漏れインダクタンスを持つリーケージトランス(共振トランス)を用いて電圧共振回路を構成してもよいし、リーケージトランスにコイルを接続した電圧共振回路を構成してもよい。また、トランス140には、
図2で示すように、浮遊容量C1~C4が付随している。
【0020】
コンデンサ151は、交流電源Pに並列接続されており、交流入力電圧Vinのノイズ成分を除去する入力フィルタコンデンサとして機能する。
【0021】
コンデンサ152は、双方向スイッチXに並列接続されており、トランス140の一次巻線141及び漏れインダクタンス(不図示)とともに、共振回路を形成する共振コンデンサとして機能する。従って、トランス140としてリーケージトランスまたは共振トランスを用いたことに伴い、一次巻線141から二次巻線142a及び142bに供給されない余剰エネルギーが生じても、これを回生して利用することができるので、スイッチング電源100の変換効率を低下させずに済む。なお、スイッチ素子110及び120それぞれの内在容量113及び123があるので、コンデンサ152が不要な場合もある。
【0022】
コンデンサ153は、トランス140の第1出力タップ(二次巻線142aの巻始端)と第2出力タップ(二次巻線142bの巻終端)との間に接続されており、整流コンデンサとして機能する。
【0023】
コンデンサ154は、負荷Zに並列接続されており、全波整流回路(=ダイオード161及び162)の出力を平滑して直流出力電圧Voutを生成するための平滑コンデンサとして機能する。
【0024】
ダイオード161のアノードは、トランス140の第1出力タップに接続されている。ダイオード162のアノードは、トランス140の第2出力タップに接続されている。ダイオード161及び162それぞれのカソードは、直流出力電圧Voutの出力端として負荷Zの高電位端に接続されている。このように接続されたダイオード161及び162は、二次巻線142a及び142bに生じる誘起電圧(=フライバック電圧ないしはフォワード電圧)を全波整流する全波整流回路として機能する。なお、ダイオード161及び162には、
図3で示すように、内在容量C5が付随している。
【0025】
スナバ回路170は、一次巻線141の両端間に接続されており、過大なサージを吸収する役割を果たす。ただし、コンデンサ152の働きにより、双方向スイッチXのオフ時におけるトランス140のエネルギー変動が十分に緩やかである場合には、スナバ回路170を省略することも可能である。
【0026】
なお、上記構成から成るスイッチング電源100の動作モードは、交流入力電圧Vinの周期的な交流変動に応じて、フライバック方式が単独で用いられる第1動作モードと、フライバック方式とフォワード方式が併用される第2動作モードのいずれか一方となる。
【0027】
このように、フライバック方式とフォワード方式を併用するスイッチング電源100であれば、二次巻線142a及び142bに現れるフォワード電圧とフライバック電圧の双方を出力として取り出すことができる。従って、二次電流の波高値が大きいというフライバック方式の欠点を解消し、中・大電力適用時にも高効率で交流入力電圧Vinを直流出力電圧Voutに直接変換することが可能となる。
【0028】
<個別ZVS制御>
次に、スイッチ駆動装置130による個別ZVS制御について、図面を参照しながら、詳細に説明する。
【0029】
図4は、個別ZVS制御の第1例(Vin<0(V1>V2)であって、かつ、|Vin|が比較的小さい場合)を示す図であり、上から順に、スイッチ電圧Vswとスイッチ素子110及び120それぞれのオン/オフ状態が描写されている。
【0030】
時刻t11以前には、スイッチ素子110及び120がいずれもオンされている。このとき、交流電源Pの第1ノード(=電圧V1の印加端)から、一次巻線141と双方向スイッチXを介して、交流電源Pの第2ノード(=電圧V2の印加端)に至る電流経路で、一次電流が流れ、一次巻線141にエネルギーが蓄積される。なお、この時点では、スイッチ電圧Vswが電圧V2と一致している。
【0031】
時刻t11において、一次巻線141に所定のエネルギーが蓄積すると、スイッチ駆動装置130は、双方向スイッチXをオンからオフに切り替える。双方向スイッチXのオフタイミングについては、双方向スイッチXのオンタイミングから所定の時間が経過したことを検出してもよいし、一次電流の積分値が所定の閾値に達したことを検出してもよい。
【0032】
このとき、スイッチ駆動装置130は、スイッチ素子110及び120双方を同時にオフするのではなく、内在ダイオード112が順バイアスとなるスイッチ素子110(=順電圧が印加される素子)をオンしたまま、内在ダイオード122が逆バイアスとなるスイッチ素子120(=逆電圧が印加される素子)をオフする。
【0033】
具体的に述べると、スイッチ駆動装置130は、コントローラ133からドライバ131を介してスイッチ素子110の制御端にオン信号を出力し続ける一方、コントローラ133からドライバ132を介してスイッチ素子120の制御端にオフ信号を出力する。
【0034】
その後、スイッチ電圧Vswの上昇に伴い、スイッチ素子120のドレイン・ソース間電圧(=Vsw-V2)は、スイッチ素子120の内在容量123、トランス140の浮遊容量C1~C4、及び、ダイオード161及び162それぞれの内在容量C5にエネルギーを蓄積させながら、徐々に上昇していく。なお、スイッチ電圧Vswは、その絶対値が直流出力電圧Voutと一致するまで上昇する。
【0035】
また、このとき、トランス140の一次巻線141と磁気結合した二次巻線142aの両端間電圧も徐々に高くなる。そして、二次巻線142aの両端間電圧がコンデンサ154の両端間電圧とダイオード161の順方向降下電圧との合計電圧よりも高くなると、二次巻線142aからダイオード161を介してコンデンサ154に電流が流れ込み、コンデンサ154が充電される。
【0036】
トランス140に蓄えられたエネルギーがコンデンサ154に全て放電されると、スイッチ素子120の内在容量123、トランス140の浮遊容量C1~C4、及び、ダイオード161及び162それぞれの内在容量C5により、スイッチ電圧Vswが低下に転じて、スイッチ素子120のドレイン・ソース間電圧が徐々に低下し始める。
【0037】
そして、時刻t12において、スイッチ電圧Vswが電圧V2と一致するまで低下し、スイッチ素子120のドレイン・ソース間電圧が0Vになると、スイッチ駆動装置130は、このタイミングを見計らって、スイッチ素子120をオンすると同時に、スイッチ素子110をオフする。
【0038】
具体的に述べると、スイッチ駆動装置130は、コントローラ133からドライバ131を介してスイッチ素子110の制御端にオフ信号を出力する一方、コントローラ133からドライバ132を介してスイッチ素子120の制御端にオン信号を出力する。
【0039】
このとき、トランス140に蓄えられたエネルギーにより、スイッチ電圧Vswが電圧V2よりも低電位まで低下するので、スイッチ素子110のドレイン・ソース間電圧(=V2-Vsw)が上昇し、スイッチ素子110に逆電圧が印加された状態(すなわち、スイッチ素子110の内在ダイオード112が逆バイアスとなった状態)となる。
【0040】
ただし、トランス140に蓄えられたエネルギーが無くなると、スイッチ素子110の内在容量113及びその他の容量により、スイッチ電圧Vswが上昇に転じて、スイッチ素子110のドレイン・ソース間電圧が徐々に低下し始める。
【0041】
そして、時刻t13において、スイッチ電圧Vswが電圧V2と一致するまで上昇し、スイッチ素子110のドレイン・ソース間電圧が0Vになると、スイッチ駆動装置130は、このタイミングを見計らって、スイッチ素子120をオンしたまま、スイッチ素子110をオンする。
【0042】
具体的に述べると、スイッチ駆動装置130は、コントローラ133からドライバ132を介してスイッチ素子120の制御端にオン信号を出力し続ける一方、コントローラ133からドライバ131を介してスイッチ素子110の制御端にオン信号を出力する。
【0043】
このように、本図で示した個別ZVS制御の第1例において、スイッチ駆動装置130は、双方向スイッチXをオフからオンに切り替えるときには、それまでオフしていたスイッチ素子120をその両端間電圧が0Vとなるタイミングでオンするように、第1のZVS制御を行うと共に、これに引き続いて、スイッチ素子120をオンするタイミングでスイッチ素子110をオフし、スイッチ素子110をその両端間電圧が0Vとなるタイミングでオンするように、第2のZVS制御を行う。
【0044】
以上のスイッチング制御を繰り返すことにより、双方向スイッチXのオン遷移時には、スイッチ素子110及び120それぞれの内在容量113及び123に電荷が蓄積されていないタイミングで、スイッチ素子110及び120それぞれを個別にオンすることができる。従って、スイッチ素子110及び120それぞれのスイッチングロスを限りなく0に近付けることができるので、双方向スイッチXの発熱を抑えることが可能となる。
【0045】
なお、本図では、一次巻線141の共振エネルギーが短時間で放出されている。これにより、低入力電圧時におけるスイッチング周波数の低下を抑制することができる。また、スイッチング周波数の低下が抑制されればスイッチング電流が抑えられるので、効率の低下を抑制することも可能となる。また、トランス140を小型化することができるので、より小型で高効率なスイッチング電源100を実現することが可能となる。
【0046】
図5は、個別ZVS制御の第2例(Vin>0(V1<V2)であって、かつ、|Vin|が比較的小さい場合)を示す図であり、上から順に、スイッチ電圧Vswとスイッチ素子110及び120それぞれのオン/オフ状態が描写されている。
【0047】
時刻t21以前には、スイッチ素子110及び120がいずれもオンされている。このとき、交流電源Pの第2ノード(=電圧V2の印加端)から、双方向スイッチXと一次巻線141を介して、交流電源Pの第1ノード(=電圧V1の印加端)に至る電流経路で、一次電流が流れ、一次巻線141にエネルギーが蓄積される。なお、この時点では、スイッチ電圧Vswが電圧V2と一致している。
【0048】
時刻t21において、一次巻線141に所定のエネルギーが蓄積すると、スイッチ駆動装置130は、双方向スイッチXをオンからオフに切り替える。先にも述べたように、双方向スイッチXのオフタイミングについては、双方向スイッチXのオンタイミングから所定の時間が経過したことを検出してもよいし、一次電流の積分値が所定の閾値に達したことを検出してもよい。
【0049】
このとき、スイッチ駆動装置130は、スイッチ素子110及び120双方を同時にオフするのではなく、内在ダイオード122が順バイアスとなるスイッチ素子120(=順電圧が印加される素子)をオンしたまま、内在ダイオード112が逆バイアスとなるスイッチ素子110(=逆電圧が印加される素子)をオフする。
【0050】
具体的に述べると、スイッチ駆動装置130は、コントローラ133からドライバ132を介してスイッチ素子120の制御端にオン信号を出力し続ける一方、コントローラ133からドライバ131を介してスイッチ素子110の制御端にオフ信号を出力する。
【0051】
その後、スイッチ電圧Vswの低下に伴い、スイッチ素子110のドレイン・ソース間電圧(=V2-Vsw)は、スイッチ素子110の内在容量113、トランス140の浮遊容量C1~C4、及び、ダイオード161及び162それぞれの内在容量C5にエネルギーを蓄積させながら、徐々に上昇していく。なお、スイッチ電圧Vswは、その絶対値が直流出力電圧Voutと一致するまで低下する。
【0052】
また、このとき、トランス140の一次巻線141と磁気結合した二次巻線142bの両端間電圧も徐々に高くなる。そして、二次巻線142bの両端間電圧がコンデンサ154の両端間電圧とダイオード162の順方向降下電圧との合計電圧よりも高くなると、二次巻線142bからダイオード162を介してコンデンサ154に電流が流れ込み、コンデンサ154が充電される。
【0053】
トランス140に蓄えられたエネルギーがコンデンサ154に全て放電されると、スイッチ素子110の内在容量113、トランス140の浮遊容量C1~C4、及び、ダイオード161及び162それぞれの内在容量C5により、スイッチ電圧Vswが上昇に転じて、スイッチ素子110のドレイン・ソース間電圧が徐々に低下し始める。
【0054】
そして、時刻t22において、スイッチ電圧Vswが電圧V2と一致するまで上昇し、スイッチ素子110のドレイン・ソース間電圧が0Vになると、スイッチ駆動装置130は、このタイミングを見計らって、スイッチ素子110をオンすると同時に、スイッチ素子120をオフする。
【0055】
具体的に述べると、スイッチ駆動装置130は、コントローラ133からドライバ131を介してスイッチ素子110の制御端にオン信号を出力する一方、コントローラ133からドライバ132を介してスイッチ素子120の制御端にオフ信号を出力する。
【0056】
このとき、トランス140に蓄えられたエネルギーにより、スイッチ電圧Vswが電圧V2よりも高電位まで上昇するので、スイッチ素子120のドレイン・ソース間電圧(=Vsw-V2)が上昇し、スイッチ素子120に逆電圧が印加された状態(すなわち、スイッチ素子120の内在ダイオード122が逆バイアスとなった状態)となる。
【0057】
ただし、トランス140に蓄えられたエネルギーが無くなると、スイッチ素子120の内在容量123及びその他の容量により、スイッチ電圧Vswが低下に転じて、スイッチ素子120のドレイン・ソース間電圧が徐々に低下し始める。
【0058】
そして、時刻t23において、スイッチ電圧Vswが電圧V2と一致するまで低下し、スイッチ素子120のドレイン・ソース間電圧が0Vになると、スイッチ駆動装置130は、このタイミングを見計らって、スイッチ素子110をオンしたまま、スイッチ素子120をオンする。
【0059】
具体的に述べると、スイッチ駆動装置130は、コントローラ133からドライバ131を介してスイッチ素子110の制御端にオン信号を出力し続ける一方、コントローラ133からドライバ132を介してスイッチ素子120の制御端にオン信号を出力する。
【0060】
このように、本図で示した個別ZVS制御の第2例において、スイッチ駆動装置130は、双方向スイッチXをオフからオンに切り替えるときには、それまでオフしていたスイッチ素子110をその両端間電圧が0Vとなるタイミングでオンするように、第1のZVS制御を行うと共に、これに引き続いて、スイッチ素子110をオンするタイミングでスイッチ素子120をオフし、スイッチ素子120をその両端間電圧が0Vとなるタイミングでオンするように、第2のZVS制御を行う。
【0061】
以上のスイッチング制御を繰り返すことにより、双方向スイッチXのオン遷移時には、スイッチ素子110及び120それぞれの内在容量113及び123に電荷が蓄積されていないタイミングで、スイッチ素子110及び120それぞれを個別にオンすることができる。従って、スイッチ素子110及び120それぞれのスイッチングロスを限りなく0に近付けることができるので、双方向スイッチXの発熱を抑えることが可能となる。
【0062】
なお、スイッチング電源100では、共振動作に伴い、スイッチ素子110及び120それぞれに順電圧及び逆電圧が印加され得る。従って、高効率のスイッチング電源100を実現するためには、上記で説明した個別ZVS制御を行うことが有効である。
【0063】
また、上記の個別ZVS制御は、交流入力電圧Vinの正負極性が反転する毎に、第1例(
図4)及び第2例(
図5)のいずれか一方に切り替わる。ただし、上記の個別ZVS制御は、スイッチング電源100の入力電圧が正または負に固定されていても、何ら問題なく適用することができる。例えば、スイッチング電源100の入力電圧が負に固定されている場合(V1>V2)には、常に第1例(
図4)の個別ZVS制御が実施されることになる。逆に、スイッチング電源100の入力電圧が正に固定されている場合(V1<V2)には、常に第2例(
図5)の個別ZVS制御が実施されることになる。
【0064】
図6は、個別ZVS制御の第3例(Vin<0(V1>V2)であって、かつ、|Vin|が比較的大きい場合)を示す図であり、上から順に、スイッチ電圧Vswとスイッチ素子110及び120それぞれのオン/オフ状態が描写されている。
【0065】
第3例の個別ZVS制御は、基本的に、先出の第1例(
図4)と同様であるので、その動作自体は、先の説明における「時刻t11」、「時刻t12」、及び、「時刻t13」を、それぞれ、「時刻t31」、「時刻t32」、及び、「時刻t33」に読み替えることにより理解することができる。
【0066】
ただし、|Vin|が比較的大きい場合には、時刻t32~t33で示したように、スイッチ素子110への逆電圧印加時間が非常に短くなるので、スイッチ素子110をオフしてから再度オンするまでのタイミング制御がシビアとなる点に留意すべきである。
【0067】
なお、本図では、Vin<0(V1>V2)である場合を例示したが、Vin>0(V1<V2)である場合についても同様であることは言うまでもない。
【0068】
図7は、個別ZVS制御の第4例(先の第3例で第2のZVS制御を実施しない場合)を示す図であり、上から順に、スイッチ電圧Vswとスイッチ素子110及び120それぞれのオン/オフ状態が描写されている。
【0069】
第4例の個別ZVS制御は、先出の第3例(
図6)で述べた留意点に鑑み、第2のZVS制御(=スイッチ素子110のZVS制御)が不実施とされている点に特徴を有する。以下では、先出の第1例(
図4)と重複する部分も含めて、一連の動作説明を行う。
【0070】
時刻t41以前には、スイッチ素子110及び120がいずれもオンされている。このとき、交流電源Pの第1ノード(=電圧V1の印加端)から、一次巻線141と双方向スイッチXを介して、交流電源Pの第2ノード(=電圧V2の印加端)に至る電流経路で、一次電流が流れ、一次巻線141にエネルギーが蓄積される。なお、この時点では、スイッチ電圧Vswが電圧V2と一致している。
【0071】
時刻t41において、一次巻線141に所定のエネルギーが蓄積すると、スイッチ駆動装置130は、双方向スイッチXをオンからオフに切り替える。先にも述べたように、双方向スイッチXのオフタイミングについては、双方向スイッチXのオンタイミングから所定の時間が経過したことを検出してもよいし、一次電流の積分値が所定の閾値に達したことを検出してもよい。
【0072】
このとき、スイッチ駆動装置130は、スイッチ素子110及び120双方を同時にオフするのではなく、内在ダイオード112が順バイアスとなるスイッチ素子110(=順電圧が印加される素子)をオンしたまま、内在ダイオード122が逆バイアスとなるスイッチ素子120(=逆電圧が印加される素子)をオフする。
【0073】
具体的に述べると、スイッチ駆動装置130は、コントローラ133からドライバ131を介してスイッチ素子110の制御端にオン信号を出力し続ける一方、コントローラ133からドライバ132を介してスイッチ素子120の制御端にオフ信号を出力する。
【0074】
その後、スイッチ電圧Vswの上昇に伴い、スイッチ素子120のドレイン・ソース間電圧(=Vsw-V2)は、スイッチ素子120の内在容量123、トランス140の浮遊容量C1~C4、及び、ダイオード161及び162それぞれの内在容量C5にエネルギーを蓄積させながら、徐々に上昇していく。なお、スイッチ電圧Vswは、その絶対値が直流出力電圧Voutと一致するまで上昇する。
【0075】
また、このとき、トランス140の一次巻線141と磁気結合した二次巻線142aの両端間電圧も徐々に高くなる。そして、二次巻線142aの両端間電圧がコンデンサ154の両端間電圧とダイオード161の順方向降下電圧との合計電圧よりも高くなると、二次巻線142aからダイオード161を介してコンデンサ154に電流が流れ込み、コンデンサ154が充電される。
【0076】
トランス140に蓄えられたエネルギーがコンデンサ154に全て放電されると、スイッチ素子120の内在容量123、トランス140の浮遊容量C1~C4、及び、ダイオード161及び162それぞれの内在容量C5により、スイッチ電圧Vswが低下に転じて、スイッチ素子120のドレイン・ソース間電圧が徐々に低下し始める。
【0077】
そして、時刻t42において、スイッチ電圧Vswが電圧V2と一致するまで低下し、スイッチ素子120のドレイン・ソース間電圧が0Vになると、スイッチ駆動装置130は、このタイミングを見計らって、スイッチ素子110をオンしたまま、スイッチ素子120をオンする。
【0078】
具体的に述べると、スイッチ駆動装置130は、コントローラ133からドライバ131を介してスイッチ素子110の制御端にオン信号を出力し続けると共に、コントローラ133からドライバ132を介してスイッチ素子120の制御端にオン信号を出力する。
【0079】
このとき、トランス140に蓄えられていたエネルギーは、交流電源Pに回生される。なお、トランス140のエネルギーが全て無くなると、トランス140は、再びエネルギーを蓄積し始める。
【0080】
上記したように、第4例の個別ZVS制御では、スイッチ素子110のZVS制御(=第2のZVS制御)が省略されており、スイッチ素子110を常にオンし続けたまま、スイッチ素子120の高周波スイッチング(=第1のZVS制御)のみが実施されている。
【0081】
従って、|Vin|が比較的大きく、スイッチ素子110への逆電圧印加時間が非常に短くなる場合であっても、シビアなタイミング制御を要することなく、双方向スイッチXの発熱を抑えることが可能となる。
【0082】
なお、改めて図示はしないが、Vin>0(V1<V2)である場合には、スイッチ素子120を常にオンし続けたまま、スイッチ素子110の高周波スイッチング(=第1のZVS制御)のみが実施されることになる。
【0083】
また、スイッチ駆動装置130は、交流入力電圧Vin、または、予め定められた条件に応じて、第2のZVS制御を行うか否か(すなわち、第1例~第3例(
図4~
図6)の個別ZVS制御を行うのか、第4例(
図7)の個別ZVS制御を行うのか)を切り替える機能を備えておくとよい。
【0084】
<第2実施形態>
図8は、スイッチング電源の第2実施形態を示す図である。本実施形態のスイッチング電源200は、第1実施形態(
図1)を基本としつつ、スイッチ素子110並びに120及びコンデンサ152に代えて、スイッチ素子210並びに220及びコンデンサ230を有する。以下、この変更点について重点的に説明する。
【0085】
スイッチ素子210は、交流電源Pの第2ノード(=電圧V2の印加端)とトランス140の第2入力タップ(=一次巻線141の巻始端)との間に接続されている。一方、スイッチ素子220は、交流電源Pの第1ノード(=電圧V1の印加端)とトランス140の第1入力タップ(=一次巻線141の巻終端)との間に接続されている。すなわち、一次巻線141は、スイッチ素子210とスイッチ素子220との間に接続されている。
【0086】
なお、スイッチ素子210及び220は、それぞれ、スイッチ機能部211及び221(トランジスタ本体)のほかに、内在ダイオード212及び222と内在容量213及び223を包含している。本図の場合、内在ダイオード212のカソードと内在容量213の第1端は、スイッチ機能部211のドレインDに接続されている。また、内在ダイオード212のアノードと内在容量213の第2端は、スイッチ機能部211のソースSに接続されている。一方、内在ダイオード222のカソードと内在容量223の第1端は、スイッチ機能部221のドレインDに接続されている。また、内在ダイオード222のアノードと内在容量223の第2端は、スイッチ機能部221のソースSに接続されている。
【0087】
このように、双方向スイッチXを形成するスイッチ素子210及び220は、一次巻線141を挟むように分離して配置されている。
【0088】
また、コンデンサ230は、先出のコンデンサ152と異なり、双方向スイッチXに直列接続(=一次巻線141に並列接続)されている。
【0089】
なお、本実施形態のスイッチング電源200においても、双方向スイッチXのオン/オフ駆動に際して、これまでに説明してきた個別ZVS制御(第1例~第4例のいずれでも可)を実施することにより、先述と同様の効果を享受することが可能となる。
【0090】
<第3実施形態>
図9は、スイッチング電源の第3実施形態を示す図である。本実施形態のスイッチング電源300は、先の第1実施形態(
図1)を基本としつつ、二次巻線142a並びに142b、コンデンサ153並びに154、及び、ダイオード161並びに162に代えて、二次巻線142と、コンデンサ311及び312と、ダイオード321~323と、補助巻線330と、電流制限素子340と、を有する。以下では、これらの変更点について、重点的に説明する。
【0091】
トランス140の第1出力タップ(=二次巻線142の巻終端)は、直流出力電圧Voutの出力端として、負荷Zの高電位端に接続されている。なお、負荷Zの低電位端は、トランス140の第1入力タップ(=一次巻線141の巻終端)に接続されている。トランス140の第2出力タップ(=二次巻線142の巻始端)は、補助巻線330の第1端に接続されている。
【0092】
コンデンサ311は、負荷Zに並列接続されている。コンデンサ312は、トランス140の第2入力タップ(=一次巻線141の巻始端)と補助巻線330の第2端との間に接続されている。
【0093】
ダイオード321のアノードは、トランス140の第1入力タップに接続されている。ダイオード321のカソードは、補助巻線330の第2端に接続されている。ダイオード322のアノードは、トランス140の第2入力タップに接続されている。ダイオード322のカソードは、トランス140の第1出力タップに接続されている。ダイオード323のアノードは、電流制限素子340を介して、交流電源Pの第2端(=電圧V2の印加端)に接続されている。ダイオード323のカソードは、トランス140の第1出力タップに接続されている。
【0094】
スイッチング電源300の基本動作について説明する。例えば、交流入力電圧Vinが正(V1<V2)である場合、交流電源Pの第2ノード(=電圧V2の印加端)から、電流制限素子340、ダイオード323、二次巻線142、及び、補助巻線330を介してコンデンサ312に至る電流経路に制限電流が流れてコンデンサ312が充電される。
【0095】
双方向スイッチXがオンすると、トランス140の一次巻線141に一次電流が流れてエネルギーが蓄積される。所定のエネルギーが蓄積すると双方向スイッチXがオフする。このとき、トランス140の第2入力タップ(=一次巻線141の巻始端)と第2出力タップ(=二次巻線142の巻始端)は、ほぼ同じ電圧低下率で徐々に低くなる。従って、コンデンサ312には短絡電流が流れない。
【0096】
トランス140の第2入力タップに印加される電圧がコンデンサ312の両端間電圧とダイオード321の順方向降下電圧との合計電圧よりも低くなると、ダイオード321を介してコンデンサ312に電流が流れ込み、コンデンサ312が充電される。さらに、コンデンサ312に蓄えられたエネルギーは、補助巻線330と二次巻線142を介して、コンデンサ311の充電に供される。その後、トランス140のエネルギーがコンデンサ312に全て放電されると、双方向スイッチXが適切なタイミングで再びオンされる。
【0097】
次に、コンデンサ311及び312が既に充電されている状態であって、かつ、交流入力電圧Vinが負(V1>V2)である場合、双方向スイッチXがオンすると、トランス140の一次巻線141に一次電流が流れてエネルギーが蓄積される。所定のエネルギーが蓄積すると双方向スイッチXがオフする。このとき、トランス140の第2入力タップ(=一次巻線141の巻始端)と第2出力タップ(=二次巻線142の巻始端)は、ほぼ同じ電圧上昇率で徐々に高くなる。従って、コンデンサ312には短絡電流が流れない。
【0098】
トランス140の第2入力タップに印加される電圧がコンデンサ311の両端間電圧とダイオード322の順方向降下電圧との合計電圧よりも高くなると、ダイオード322を介してコンデンサ311に電流が流れ込み、コンデンサ311が充電される。その後、トランス140のエネルギーがコンデンサ311に全て放電されると、双方向スイッチXが適切なタイミングで再びオンされる。
【0099】
なお、本実施形態のスイッチング電源300においても、双方向スイッチXのオン/オフ駆動に際して、これまでに説明してきた個別ZVS制御(第1例~第4例のいずれでも可)を実施することにより、先述と同様の効果を享受することが可能となる。
【0100】
<第4実施形態>
図10は、スイッチング電源の第4実施形態を示す図である。本実施形態のスイッチング電源400は、第1実施形態(
図1)を基本としつつ、先述の個別ZVS制御に必要なゼロクロスタイミングを検出する手段として、微分回路410を有する。
【0101】
微分回路410は、抵抗411とコンデンサ412を含み、双方向スイッチXの一端に現れるスイッチ電圧Vswを微分して微分電圧Vdを生成する。抵抗411の第1端は、トランス140の第1入力タップ(=一次巻線141の巻終端)に接続されている。抵抗411の第2端とコンデンサ412の第1端は、いずれも微分電圧Vdの出力端に接続されている。コンデンサ412の第2端は、トランス140の第2入力タップ(=一次巻線141の巻始端)に接続されている。
【0102】
スイッチ駆動装置130は、上記の微分電圧Vdに基づいて、スイッチ素子110及び120の個別ZVS制御を行う。例えば、スイッチ駆動装置130は、微分電圧Vdと所定の閾値電圧VH及びVL(ただしVL<0<VH)との比較結果に基づいて、スイッチ素子110及び120のオン/オフタイミングを決定する。以下、図面を参照しながら、詳細に説明する。
【0103】
図11は、個別ZVS制御の第5例(微分電圧Vdに基づくZVS制御)を示す図であり、上から順に、スイッチ電圧Vsw及び微分電圧Vdとスイッチ素子110及び120それぞれのオン/オフ状態が描写されている。以下では、特に微分電圧Vdに着目しながら、先出の第1例(
図4)と重複する部分も含めて、一連の動作説明を行う。
【0104】
時刻t51以前には、スイッチ素子110及び120がいずれもオンされている。このとき、交流電源Pの第1ノード(=電圧V1の印加端)から、一次巻線141と双方向スイッチXを介して、交流電源Pの第2ノード(=電圧V2の印加端)に至る電流経路で、一次電流が流れ、一次巻線141にエネルギーが蓄積される。なお、この時点では、スイッチ電圧Vswが電圧V2と一致している。また、微分電圧Vdは0Vである。
【0105】
時刻t51において、一次巻線141に所定のエネルギーが蓄積すると、スイッチ駆動装置130は、双方向スイッチXをオンからオフに切り替える。先にも述べたように、双方向スイッチXのオフタイミングについては、双方向スイッチXのオンタイミングから所定の時間が経過したことを検出してもよいし、一次電流の積分値が所定の閾値に達したことを検出してもよい。
【0106】
このとき、スイッチ駆動装置130は、スイッチ素子110及び120双方を同時にオフするのではなく、内在ダイオード112が順バイアスとなるスイッチ素子110(=順電圧が印加される素子)をオンしたまま、内在ダイオード122が逆バイアスとなるスイッチ素子120(=逆電圧が印加される素子)をオフする。
【0107】
具体的に述べると、スイッチ駆動装置130は、コントローラ133からドライバ131を介してスイッチ素子110の制御端にオン信号を出力し続ける一方、コントローラ133からドライバ132を介してスイッチ素子120の制御端にオフ信号を出力する。
【0108】
その後、スイッチ電圧Vswの上昇に伴い、スイッチ素子120のドレイン・ソース間電圧(=Vsw-V2)は、スイッチ素子120の内在容量123、トランス140の浮遊容量C1~C4、及び、ダイオード161及び162それぞれの内在容量C5にエネルギーを蓄積させながら、徐々に上昇していく。なお、スイッチ電圧Vswは、その絶対値が直流出力電圧Voutと一致するまで上昇する。このとき、微分電圧Vdは、一旦閾値電圧VHを上回った後、再び閾値電圧VHを下回る。
【0109】
また、このとき、トランス140の一次巻線141と結合した二次巻線142aの両端間電圧も徐々に高くなる。そして、二次巻線142aの両端間電圧がコンデンサ154の両端間電圧とダイオード161の順方向降下電圧との合計電圧よりも高くなると、二次巻線142aからダイオード161を介してコンデンサ154に電流が流れ込み、コンデンサ154が充電される。
【0110】
時刻t52において、トランス140に蓄えられたエネルギーがコンデンサ154に全て放電されると、スイッチ素子120の内在容量123、トランス140の浮遊容量C1~C4、及び、ダイオード161及び162それぞれの内在容量C5により、スイッチ電圧Vswが低下に転じて、スイッチ素子120のドレイン・ソース間電圧が徐々に低下し始める。このとき、微分電圧Vdは、閾値電圧VLを下回る。
【0111】
そして、時刻t53において、スイッチ電圧Vswが電圧V2と一致するまで低下し、スイッチ素子120のドレイン・ソース間電圧が0Vになると、スイッチ駆動装置130は、このタイミングを見計らって、スイッチ素子120をオンすると同時に、スイッチ素子110をオフする。
【0112】
具体的に述べると、スイッチ駆動装置130は、コントローラ133からドライバ131を介してスイッチ素子110の制御端にオフ信号を出力する一方、コントローラ133からドライバ132を介してスイッチ素子120の制御端にオン信号を出力する。
【0113】
なお、時刻t53では、スイッチ電圧Vswが電圧V2よりも内在ダイオード122の順方向降下電圧だけ低い電圧にクランプされるので、微分電圧Vdが負値(<VL)から0Vまで急峻に上昇する。そこで、スイッチ駆動装置130では、微分電圧Vdが閾値電圧VLを上回るタイミングで、スイッチ素子120をオンすると同時に、スイッチ素子110をオフするとよい。また、微分電圧Vdが閾値電圧VLを上回るタイミングは、時刻t53以外にも存在するが、それらは全て無視ないしマスクするとよい。
【0114】
このとき、トランス140に蓄えられたエネルギーにより、スイッチ電圧Vswが電圧V2よりも低電位まで低下するので、スイッチ素子110のドレイン・ソース間電圧(=V2-Vsw)が上昇し、スイッチ素子110に逆電圧が印加された状態(すなわち、スイッチ素子110の内在ダイオード112が逆バイアスとなった状態)となる。従って、微分電圧Vdは、再び閾値電圧VLを下回る。
【0115】
ただし、時刻t54において、トランス140に蓄えられたエネルギーが無くなると、スイッチ素子110の内在容量113及びその他の容量により、スイッチ電圧Vswが上昇に転じて、スイッチ素子110のドレイン・ソース間電圧が徐々に低下し始める。このとき、微分電圧Vdは、負値(<VL)から0Vを経て正値(>VH)まで上昇する。
【0116】
そして、時刻t55において、スイッチ電圧Vswが電圧V2と一致するまで上昇し、スイッチ素子110のドレイン・ソース間電圧が0Vになると、スイッチ駆動装置130は、このタイミングを見計らって、スイッチ素子120をオンしたまま、スイッチ素子110をオンする。
【0117】
具体的に述べると、スイッチ駆動装置130は、コントローラ133からドライバ132を介してスイッチ素子120の制御端にオン信号を出力し続ける一方、コントローラ133からドライバ131を介してスイッチ素子110の制御端にオン信号を出力する。
【0118】
なお、時刻t55では、スイッチ電圧Vswが電圧V2よりも内在ダイオード112の順方向降下電圧だけ高い電圧にクランプされるので、微分電圧Vdが正値(>VH)から0Vまで急峻に低下する。そこで、スイッチ駆動装置130では、微分電圧Vdが閾値電圧VHを下回るタイミングで、スイッチ素子110をオンするとよい。また、微分電圧Vdが閾値電圧VHを下回るタイミングは、時刻t55以外にも存在するが、それらは全て無視ないしマスクするとよい。
【0119】
このように、スイッチ駆動装置130は、双方向スイッチXをオフからオンに切り替えるときには、それまでオフしていたスイッチ素子120をその両端間電圧が0Vとなるタイミングでオンするように、第1のZVS制御を行うと共に、これに引き続いて、スイッチ素子120をオンするタイミングでスイッチ素子110をオフし、スイッチ素子110をその両端間電圧が0Vとなるタイミングでオンするように、第2のZVS制御を行う。
【0120】
以上のスイッチング制御を繰り返すことにより、双方向スイッチXのオン遷移時には、スイッチ素子110及び120それぞれの内在容量113及び123に電荷が蓄積されていないタイミングで、スイッチ素子110及び120それぞれを個別にオンすることができる。従って、スイッチ素子110及び120それぞれのスイッチングロスを低減して、双方向スイッチXの発熱を抑えることが可能となる。
【0121】
なお、本実施形態では、微分電圧Vdに基づいて個別ZVS制御を行う例を挙げたが、微分処理は、あくまでスイッチ電圧Vswをどのように処理するかの一例であり、様々な変形例が考えられる。すなわち、微分回路410は、スイッチ電圧Vswを検出する電圧検出回路の一具体例であり、スイッチ電圧Vswに基づいて個別ZVS制御を行うことができる限り、スイッチ電圧Vswの処理方法は不問である。
【0122】
もちろん、ゼロクロスタイミングの検出手法は、何ら上記に限定されるものではない。以下では、第5実施形態(
図12)及び第6実施形態(
図13)を例に挙げて、別のゼロクロス検出手法を提案する。
【0123】
<第5実施形態>
図12は、スイッチング電源の第5実施形態を示す図である。本実施形態のスイッチング電源500は、第1実施形態(
図1)を基本としつつ、先述の個別ZVS制御に必要なゼロクロスタイミングを検出する手段として、ゼロ電圧検出回路510を有する。
【0124】
ゼロ電圧検出回路510は、スイッチ素子110及び120それぞれのドレイン・ソース間電圧(またはその分圧電圧)が0Vとなったことを検出し、その検出結果をコントローラ133に出力する。これにより、先述の個別ZVSを実現することが可能となる。特に、IC化をするならば、ゼロ電圧検出回路510が簡単に構成可能であると言える。
【0125】
<第6実施形態>
図13は、スイッチング電源の第6実施形態を示す図である。本実施形態のスイッチング電源600は、第1実施形態(
図1)を基本としつつ、先述の個別ZVS制御に必要なゼロクロスタイミングを検出する手段として、補助巻線610と、ゼロ電圧検出回路620と、を有する。
【0126】
なお、補助巻線610は、一次巻線141及び二次巻線142と磁気結合されている。また、ゼロ電圧検出回路620は、補助巻線610の両端間に生じる誘起電圧を検出し、その検出結果をコントローラ133に出力する。これにより、先述の個別ZVSを実現することが可能となる。
【0127】
また、上記した第4実施形態(
図10)、第5実施形態(
図12)、及び、第6実施形態(
図13)は、矛盾のない範囲で組み合わせて実施することも可能である。
【0128】
<第7実施形態>
図14は、スイッチング電源の第7実施形態を示す図である。本実施形態のスイッチング電源700は、第1実施形態(
図1)を基本としつつ、起動回路710をさらに有している。起動回路710は、一次巻線141の両端間に接続されており、スイッチング電源700の起動時にコンデンサ154の予備充電を行う。本実施形態によれば、スイッチング電源700を安定かつ確実に起動することが可能となる。
【0129】
<第8実施形態>
図15は、スイッチング電源の第8実施形態を示す図である。本実施形態のスイッチング電源800は、第1実施形態(
図1)を基本としつつ、起動回路810をさらに有している。起動回路810は、二次回路系のコンデンサ154に直接接続されており、スイッチング電源800の起動時にコンデンサ154の予備充電を行う。本実施形態によれば、スイッチング電源800を安定かつ確実に起動することが可能となる。
【0130】
<第9実施形態>
図16は、スイッチング電源の第9実施形態を示す図である。本実施形態のスイッチング電源900は、先出の第4実施形態(
図10)を基本としつつ、スイッチ駆動装置130(特にコントローラ133)で微分電圧Vdとともに交流入力電圧Vin(=V2-V1)の大きさを監視し、その監視結果に基づいて双方向スイッチXの駆動制御を行う機能を備えている。以下では、このような機能追加の技術的意義について詳述する。
【0131】
図17は、ゼロクロスタイミングでのクランプ動作に起因した効率の低下を説明するための図である。本図は、基本的に先出の
図11と同一の内容であるが、ゼロクロスタイミングでのクランプ期間Tc(=時刻t53~t53x)が明示されると共に、スイッチ電圧Vswの理想波形(すなわち、Tc=0であるときの波形)が破線で描写されている。
【0132】
先出の
図11で説明したように、スイッチ駆動装置130(特にコントローラ133)は、微分電圧Vdと閾値電圧VH及びVLとの比較結果に応じて、スイッチ素子110及び120それぞれのオン/オフタイミングを決定する(時刻t53及びt55を参照)。
【0133】
ところで、本図のクランプ期間Tc(=時刻t53~t53x)は、スイッチ電圧Vswが電圧V2よりも内在ダイオード122の順方向降下電圧だけ低い電圧にクランプされる期間に相当する。このようなクランプ期間Tcでは、エネルギーが入力側に戻っていってしまう。その結果、スイッチ電圧Vswの潜り込み量Vsw*(=スイッチ電圧Vswの下側ピーク値(<V2)と電圧V2との差)が理想波形よりも小さくなり、その分だけ出力側に送り込むことのできるエネルギーが減少するので、効率が低下してしまう。
【0134】
なお、本図では、Vin<0(V1>V2)である場合を例示したが、Vin>0(V1<V2)である場合についても、基本的に上記と同様の理由から、クランプ動作による効率の低下が生じ得る。
【0135】
そこで、本実施形態のスイッチング電源900は、上記のクランプ期間Tcを短縮すべく、スイッチ駆動装置130(特にコントローラ133)で微分電圧Vdとともに交流入力電圧Vin(=V2-V1)の大きさ(=正負及び絶対値)を監視し、その監視結果に基づいて双方向スイッチXの駆動制御(閾値電圧VH及びVLの調整処理を含む)を行う機能を備えている。
【0136】
図18は、コントローラ133の要部構成例を示す図である。本構成例のコントローラ133は、分圧部133aと、比較部133bと、制御部133cと、を含む。
【0137】
分圧部133aは、電圧V2の印加端と電圧V1(=GND)の印加端との間に直列接続された抵抗R1及びR2を含み、相互間の接続ノードから交流入力電圧Vinに応じた分圧電圧Vxを出力する。
【0138】
比較部133bは、分圧電圧Vxと所定の閾値電圧(本図では±a、±b、±c、±d及び±e、ただし、0<|a|<|b|<|c|<|d|<|e|)をそれぞれ比較し、複数の比較信号SCを出力する。なお、分圧電圧Vxと比較される閾値電圧の数(種類)については、これに限定されるものではない。また、比較部133b(コンパレータ)に代えて、分圧電圧Vxと所定の基準電圧Vrefとの差分(=Vref-Vx)に応じた誤差信号ERRを生成するアンプを用いてもよい。
【0139】
制御部133cは、比較信号SCに応じてドライバ131及び132それぞれの駆動制御を行う。例えば、制御部133cは、複数の比較信号SCの論理組み合わせから交流入力電圧Vinの大きさ(=正負及び絶対値)を判定し、その判定結果に基づいて種々の内部制御(閾値電圧VH及びVLの調整処理、双方向スイッチXのスイッチング停止処理、及び、第2のZVS制御のイネーブル処理など、詳細は後述)を実行する。
【0140】
図19は、コントローラ133の内部制御例を示す図であり、上から順に、双方向スイッチXの動作モード、及び、閾値電圧VH並びにVLが描写されている。なお、本図の横軸は、分圧電圧Vx(延いては交流入力電圧Vin)の大きさを示している。
【0141】
また、以下の説明において、正側の閾値電圧VH(>0)が取り得る電圧値VH1~VH5については、|VH1|<|VH2|<|VH3|<|VH4|<|VH5|とし、負側の閾値電圧VL(<0)が取り得る電圧値VL1~VL5については、|VL1|<|VL2|<|VL3|<|VL4|<|VL5|とする。
【0142】
また、|VH1|=|VL1|、|VH2|=|VL2|、|VH3|=|VL3|、|VH4|=|VL4|、|VH5|=|VL5|としてもよい。
【0143】
また、正側の閾値電圧VHが取り得る電圧値VH1~VH5、及び、負側の閾値電圧VLが取り得る電圧値VL1~VL5は、それぞれユーザが任意に設定できるとよい。
【0144】
Vx<-eであるときには、例えば、閾値電圧VHが電圧値VH1に設定され、閾値電圧VLが電圧値VL1に設定される。
【0145】
-e<Vx<-dであるときには、例えば、閾値電圧VHが電圧値VH2に設定され、閾値電圧VLが電圧値VL2に設定される。
【0146】
-d<Vx<-cであるときには、例えば、閾値電圧VHが電圧値VH3に設定され、閾値電圧VLが電圧値VL3に設定される。
【0147】
-c<Vx<-bであるときには、例えば、閾値電圧VHが電圧値VH4に設定され、閾値電圧VLが電圧値VL4に設定される。
【0148】
-b<Vx<+bであるときには、例えば、閾値電圧VHが電圧値VH5に設定され、閾値電圧VLが電圧値VL5に設定される。ただし、-a<Vx<+aであるときには、双方向スイッチXが停止モードSTOP(詳細は後述)となるので、閾値電圧VH及びVLそれぞれの電圧値は不問となる。
【0149】
+b<Vx<+cであるときには、例えば、閾値電圧VHが電圧値VH4に設定され、閾値電圧VLが電圧値VL4に設定される。
【0150】
+c<Vx<+dであるときには、例えば、閾値電圧VHが電圧値VH3に設定され、閾値電圧VLが電圧値VL3に設定される。
【0151】
+d<Vx<+eであるときには、例えば、閾値電圧VHが電圧値VH2に設定され、閾値電圧VLが電圧値VL2に設定される。
【0152】
+d<Vxであるときには、例えば、閾値電圧VHが電圧値VH1に設定され、閾値電圧VLが電圧値VL1に設定される。
【0153】
このように、スイッチ駆動装置130(特にコントローラ133)は、交流入力電圧Vinの大きさ(=正負及び絶対値)に応じて閾値電圧VH及びVLを調整する。
【0154】
より具体的に述べると、スイッチ駆動装置130(特にコントローラ133)は、交流入力電圧Vinの絶対値が小さいほど、微分電圧Vdと閾値電圧VH及びVLとの交差タイミングを早めるように、閾値電圧VH及びVLの絶対値を大きくする。
【0155】
例えば、先出の
図17を参照しつつ、Vin<0(V1>V2)である場合を例に挙げて閾値電圧VLの調整動作を説明する。この場合、交流入力電圧Vinの絶対値が大きいほど、スイッチ電圧Vswの潜り込み量Vsw*が小さくなり、延いては、微分電圧Vdの変化量(=微分電圧Vdの下側ピーク値)も小さくなる。
【0156】
そのため、閾値電圧VLの絶対値を十分に小さく設定しておかなければ、微分電圧Vdが閾値電圧VLを下回らず、微分電圧Vdの変化タイミング(=閾値電圧VLを下回った微分電圧Vdが再び閾値電圧VLを上回るタイミング)を検出し損ねるおそれがある。
【0157】
一方、交流入力電圧Vinの絶対値が小さいほど、スイッチ電圧Vswの潜り込み量Vsw*が大きくなり、延いては、微分電圧Vdの変化量(=微分電圧Vdの下側ピーク)も大きくなる。従って、微分電圧Vdの変化タイミングを検出することができる範囲で、閾値電圧VLの絶対値を大きく設定することにより、微分電圧Vdと閾値電圧VLとの交差タイミングを早めて、クランプ期間Tcを短縮することが可能となる。
【0158】
クランプ期間Tcを短縮すれば、入力側に戻ってしまうエネルギーが減る。その結果、スイッチ電圧Vswの潜り込み量Vsw*が理想波形に近付き、その分だけ出力側に送り込むことのできるエネルギーが増大するので、効率を向上することが可能となる。
【0159】
なお、クランプ期間Tcは元々非常に短いが、ここでの数十nsの遅れがスイッチ電圧Vswの潜り込み量Vsw*(延いては効率)に如実に効いてくる。効率の改善は、コンマゼロ数%~コンマ2%であり、一見するとその改善効果が小さいようにも感じられる。しかしながら、昨今におけるスイッチング電源の効率は、既に99%台に達しており、そこから更なる効率改善が求められている。これを鑑みると、コンマ数%の改善は、非常に大きいインパクトを与えるものであることが分かる。
【0160】
また、本実施形態で提案する回路のトポロジーを採用すれば、どこにでも売っている部品構成で、簡単に高効率のAC/DCコンバータ及び絶縁電源を構成することができる。
【0161】
また、クランプ期間Tcの短縮により、交流入力電圧Vinが大きくてもスイッチ電圧Vswの潜り込み量Vsw*が大きくなる。従って、微分電圧Vdの変化タイミングを正しく検出することのできる交流入力電圧Vinの範囲が広がる。
【0162】
なお、上記の説明から明らかなように、Vin<0(V1>V2)である場合には、閾値電圧VLの調整処理がクランプ期間Tcの短縮に寄与するので、閾値電圧VHを固定値(例えば電圧値VH1)としてもよい。
【0163】
また、改めて図示はしないが、Vin>0(V1<V2)である場合には、上記と反対に、閾値電圧VHの調整処理がクランプ期間Tcの短縮に寄与するので、閾値電圧VLを固定値(例えば電圧値VL1)としてもよい。
【0164】
また、閾値電圧VH及びVLは、本図で示したように、コンパレータを用いて段階的に調整する手法のほか、アンプを用いて連続的に調整する手法を採用してもよい。
【0165】
また、上記では、交流入力電圧Vinの大きさに応じて閾値電圧VH及びVLを調整する例を挙げたが、他の例として、微分電圧Vdの波形(鈍り具合)に応じて閾値電圧VH及びVLを調整することも考えられる。
【0166】
例えば、スイッチ駆動装置130(特にコントローラ133)は、微分電圧Vdの波形が鈍っているほど、微分電圧Vdと閾値電圧VH及びVLとの交差タイミングを早めるように、閾値電圧VH及びVLの絶対値を大きくするとよい。
【0167】
なお、微分電圧Vdの波形(鈍り具合)に関する情報としては、例えば、微分電圧Vdのピーク値、又は、ゼロ値からピーク値までの時間、若しくは、微分電圧Vdの変化開始時における傾きを検出するとよい。
【0168】
特に、実機では、交流入力電圧Vinの大きさと微分電圧Vdの波形(鈍り具合)の双方を考慮し、閾値電圧VH及びVLを調整するとよい。例えば、交流入力電圧Vinが大きいときには、閾値電圧VH及びVLの絶対値を引き下げるべきであるが、微分電圧Vdの波形が大きく鈍っているならば、閾値電圧VH及びVLの絶対値を引き下げるべきでない。そのため、両者のバランスを鑑みて、閾値電圧VH及びVLを調整する必要がある。
【0169】
いずれにせよ、クランプ期間Tcを短縮するためには、閾値電圧VH及びVLを固定値とするのではなく、交流入力電圧Vinの大きさ及び微分電圧Vdの波形のうち、少なくとも一方に応じて閾値電圧VH及びVLを適宜調整することが重要であると言える。
【0170】
次に、本図の上段で示した双方向スイッチXの動作モードについて説明する。まず、第1の入力電圧範囲(-e<Vin<-a、及び、+a<Vin<+e)では、先に説明した第1のZVS制御と第2のZVS制御の双方が行われる動作モード[ZVS1+ZVS2]となる(
図4、
図5、
図6などを参照)。
【0171】
一方、第2の入力電圧範囲(Vin<-e、及び、+e<Vin)では、第1のZVS制御のみが行われる動作モード[ZVS1]となる(
図7などを参照)。すなわち、スイッチ駆動装置130(特にコントローラ133)は、交流入力電圧Vinの絶対値が所定の上限値(本図ではe)よりも大きいときに、スイッチ素子110及び120の一方をオンしたまま他方をオン/オフする動作モード[ZVS1]に切り替わる。これにより、先にも説明したように、シビアなタイミング制御を要することなく、双方向スイッチXの発熱を抑えることが可能となる。
【0172】
また、第3の入力電圧範囲(-a<Vin<+a)では、双方向スイッチXの駆動を停止する停止モード[STOP]となる。すなわち、スイッチ駆動装置130(特にコントローラ133)は、交流入力電圧Vinの絶対値が所定の下限値(本図ではa)よりも小さいときに、スイッチ素子110及び120双方をオフする停止モード[STOP]に切り替わる。このように、双方向スイッチXを駆動しても十分な励磁が望めない入力電圧範囲では、双方向スイッチXの駆動を停止することにより、スイッチ素子110及び120それぞれのスイッチング損失を低減して、効率の向上を図ることが可能となる。
【0173】
<第10実施形態>
図20は、スイッチング電源の第10実施形態を示す図である。本実施形態のスイッチング電源1000は、第3実施形態(
図9)を基本としつつ、若干の変更が加えられている。本図に即して述べると、本実施形態のスイッチング電源1000は、交流電源Pと双方向スイッチXとの間にフィルタFLTが設けられている。フィルタFLTは、先出のコンデンサ151を含んでもよい。
【0174】
また、本実施形態のスイッチング電源1000は、一次巻線141に直列接続された抵抗Riを有しており、抵抗Riの一端から電流検出信号Isが引き出されている。スイッチ駆動装置130は、この電流検出信号Isの入力を受け付けており、一次巻線141に流れる一次電流が上限値よりも大きいときに双方向スイッチXのオン/オフ駆動を停止する機能、いわゆる過電流保護機能を備えている。
【0175】
また、スイッチ駆動装置130は、直流出力電圧Voutに応じた出力帰還信号の入力を受け付けており、直流出力電圧Voutが上限値よりも高いときに双方向スイッチXのオン/オフ駆動を停止する機能、いわゆる過電圧防止機能も備えている。
【0176】
また、本実施形態のスイッチング電源1000では、
図9のコンデンサ152及び電流制限素子340が明示されていないが、これらを省略するか否かは任意である。
【0177】
続いて、本実施形態のスイッチング電源1000における先述の個別ZVS制御について、各フェイズにおける電流経路を参照しながら改めて説明する。
【0178】
図21は、第10実施形態における個別ZVS制御の第1動作例(V1>V2)を示す図であり、双方向スイッチXの一端(=スイッチ素子120のドレイン)に現れるスイッチ電圧Vsw、及び、スイッチ素子110並びに120それぞれのオン/オフ状態が描写されている。また、
図22~
図28は、それぞれ、第1動作例の各フェイズにおける電流経路を示す図である。
【0179】
時刻t61以前には、スイッチ素子110及び120がいずれもオンされている。このとき、
図22で示したように、交流電源Pの第1ノード(=電圧V1の印加端)から抵抗Ri、一次巻線141及び双方向スイッチXを介して交流電源Pの第2ノード(=電圧V2の印加端)に至る電流経路に一次電流が流れて一次巻線141にエネルギーが蓄積される。なお、この時点では、スイッチ電圧Vswが電圧V2と一致している。
【0180】
時刻t61において、一次巻線141に所定のエネルギーが蓄積すると、スイッチ駆動装置130は、双方向スイッチXをオンからオフに切り替える。双方向スイッチXのオフタイミングについては、双方向スイッチXのオンタイミングから所定の時間が経過したことを検出してもよいし、一次電流の積分値が所定の閾値に達したことを検出してもよい。
【0181】
このとき、スイッチ駆動装置130は、スイッチ素子110及び120双方を同時にオフするのではなく、
図23で示したように、内在ダイオード112が順バイアスとなるスイッチ素子110(=順電圧が印加される素子)をオンしたまま、内在ダイオード122が逆バイアスとなるスイッチ素子120(=逆電圧が印加される素子)をオフする。
【0182】
その後、スイッチ電圧Vswの上昇に伴い、スイッチ素子120のドレイン・ソース間電圧(=Vsw-V2)は、主としてスイッチ素子120の内在容量123にエネルギーを蓄積させながら徐々に上昇していく。なお、スイッチ電圧Vswは、その絶対値が直流出力電圧Voutと一致するまで上昇する。
【0183】
また、スイッチ電圧Vswがコンデンサ311の両端間電圧とダイオード322の順方向降下電圧との合計電圧よりも高くなると、
図23で示すように、ダイオード322を介してコンデンサ311に電流が流れ込み、コンデンサ311が充電される。
【0184】
時刻t62において、トランス140に蓄えられたエネルギーがコンデンサ311に全て放電されると、
図24で示したように、スイッチ素子120の内在容量123及びその他の容量により双方向スイッチXから一次巻線141に向けて一次電流が回生し始める。その結果、スイッチ電圧Vswが低下に転じて、スイッチ素子120のドレイン・ソース間電圧が徐々に低下し始める。
【0185】
その後、時刻t63では、
図25で示したように、交流電源Pの第2ノード(=電圧V2の印加端)からスイッチ素子110のスイッチ機能部111及びスイッチ素子120の内在ダイオード122を介して一次巻線141に向かう電流経路に一次電流が回生する状態となる。このような状態では、スイッチ電圧Vswが電圧V2よりも内在ダイオード122の順方向降下電圧だけ低い電圧にクランプされる。
【0186】
スイッチ駆動装置130は、上記タイミングを見計らい、
図26で示したように、スイッチ素子120をオンすると同時に、スイッチ素子110をオフする。このようなスイッチング制御により、スイッチ電圧Vswのクランプが解除される。
【0187】
その結果、トランス140に蓄えられたエネルギーにより共振動作が継続されてスイッチ電圧Vswが電圧V2よりも低電位まで低下する。従って、スイッチ素子110のドレイン・ソース間電圧(=V2-Vsw)が上昇し、スイッチ素子110に逆電圧が印加された状態(すなわち、スイッチ素子110の内在ダイオード112が逆バイアスとなった状態)となる。
【0188】
時刻t64において、トランス140に蓄えられたエネルギーが無くなると、
図27で示したように、一次電流の回生が終了し、再び一次巻線141から双方向スイッチXに向けて一次電流が流れ始める。この一次電流の方向は、時刻t61以前と同じであり、一次巻線141にエネルギーが蓄積される。その結果、スイッチ素子110の内在容量113及びその他の容量により、スイッチ電圧Vswが上昇に転じて、スイッチ素子110のドレイン・ソース間電圧が徐々に低下し始める。
【0189】
その後、時刻t65では、
図28で示すように、一次巻線141からスイッチ素子120のスイッチ機能部121及びスイッチ素子110の内在ダイオード112を介して交流電源Pの第2ノード(=電圧V2の印加端)に向かう電流経路に一次電流が流れる状態となる。このような状態では、スイッチ電圧Vswが電圧V2よりも内在ダイオード112の順方向降下電圧だけ高い電圧にクランプされる。
【0190】
スイッチ駆動装置130は、上記タイミングを見計らい、スイッチ素子120をオンしたまま、スイッチ素子110をオンする。このようなスイッチング制御により、スイッチング電源1000は、時刻t61以前と同様の状態(
図22)に戻る。
【0191】
このように、本図の第1動作例(V1>V2)において、スイッチ駆動装置130は、双方向スイッチXをオフからオンに切り替えるときには、それまでオフしていたスイッチ素子120をその両端間電圧が0Vとなるタイミングでオンするように、第1のZVS制御を行うと共に、これに引き続いて、スイッチ素子120をオンするタイミングでスイッチ素子110をオフし、スイッチ素子110をその両端間電圧が0Vとなるタイミングでオンするように、第2のZVS制御を行う。
【0192】
以上のスイッチング制御を繰り返すことにより、双方向スイッチXのオン遷移時には、スイッチ素子110及び120それぞれの内在容量113及び123に電荷が蓄積されていないタイミングで、スイッチ素子110及び120それぞれを個別にオンすることができる。また、一次巻線141は実質時刻t64から次のエネルギー輸送のための励磁を行っており、共振エネルギーの一部を回生せずに有効活用している。従って、スイッチ素子110及び120それぞれのスイッチングロスを低減して、双方向スイッチXの発熱を抑えることが可能となる。
【0193】
図29は、第10実施形態における個別ZVS制御の第2動作例(V1<V2)を示す図であり、双方向スイッチXの一端(=スイッチ素子120のドレイン)に現れるスイッチ電圧Vsw、及び、スイッチ素子110並びに120それぞれのオン/オフ状態が描写されている。また、
図30~
図36は、それぞれ、第2動作例の各フェイズにおける電流経路を示す図である。
【0194】
時刻t71以前には、スイッチ素子110及び120がいずれもオンされている。このとき、
図30で示したように、交流電源Pの第2ノード(=電圧V2の印加端)から双方向スイッチX、一次巻線141及び抵抗Riを介して交流電源Pの第1ノード(=電圧V1の印加端)に至る電流経路に一次電流が流れて一次巻線141にエネルギーが蓄積される。なお、この時点では、スイッチ電圧Vswが電圧V2と一致している。
【0195】
時刻t71において、一次巻線141に所定のエネルギーが蓄積すると、スイッチ駆動装置130は、双方向スイッチXをオンからオフに切り替える。双方向スイッチXのオフタイミングについては、双方向スイッチXのオンタイミングから所定の時間が経過したことを検出してもよいし、一次電流の積分値が所定の閾値に達したことを検出してもよい。
【0196】
このとき、スイッチ駆動装置130は、スイッチ素子110及び120双方を同時にオフするのではなく、
図31で示したように、内在ダイオード122が順バイアスとなるスイッチ素子120(=順電圧が印加される素子)をオンしたまま、内在ダイオード112が逆バイアスとなるスイッチ素子110(=逆電圧が印加される素子)をオフする。
【0197】
その後、スイッチ電圧Vswの低下に伴い、スイッチ素子110のドレイン・ソース間電圧(=V2-Vsw)は、主としてスイッチ素子110の内在容量113にエネルギーを蓄積させながら徐々に上昇していく。なお、スイッチ電圧Vswは、その絶対値が直流出力電圧Voutと一致するまで低下する。
【0198】
また、スイッチ電圧Vswがコンデンサ312の両端間電圧とダイオード321の順方向降下電圧との合計電圧よりも低くなると、
図31で示したように、ダイオード321を介してコンデンサ312に電流が流れ込み、コンデンサ312が充電される。さらに、コンデンサ312に蓄えられたエネルギーは、補助巻線330と二次巻線142を介して、コンデンサ311の充電に供される。
【0199】
時刻t72において、トランス140に蓄えられたエネルギーがコンデンサ311に全て放電されると、
図32で示したように、一次巻線141から双方向スイッチXに向けて一次電流が回生し始める。その結果、スイッチ素子110の内在容量113及びその他の容量により、スイッチ電圧Vswが上昇に転じて、スイッチ素子110のドレイン・ソース間電圧が徐々に低下し始める。
【0200】
その後、時刻t73では、
図33で示したように、一次巻線141からスイッチ素子120のスイッチ機能部121及びスイッチ素子110の内在ダイオード112を介して交流電源Pの第2ノード(=電圧V2の印加端)に向かう電流経路に一次電流が回生する状態となる。このような状態では、スイッチ電圧Vswが電圧V2よりも内在ダイオード112の順方向降下電圧だけ高い電圧にクランプされる。
【0201】
スイッチ駆動装置130は、上記タイミングを見計らい、
図34で示したように、スイッチ素子110をオンすると同時に、スイッチ素子120をオフする。このようなスイッチング制御により、スイッチ電圧Vswのクランプが解除される。
【0202】
その結果、トランス140に蓄えられたエネルギーにより共振動作が継続されて、スイッチ電圧Vswが電圧V2よりも高電位まで上昇する。従って、スイッチ素子120のドレイン・ソース間電圧(=Vsw-V2)が上昇し、スイッチ素子120に逆電圧が印加された状態(すなわち、スイッチ素子120の内在ダイオード122が逆バイアスとなった状態)となる。
【0203】
時刻t74において、トランス140に蓄えられたエネルギーが無くなると、
図35で示したように、一次電流の回生が終了し、再び双方向スイッチXから一次巻線141に向けて一次電流が流れ始める。この一次電流の方向は、時刻t71以前と同じであり、一次巻線141にエネルギーが蓄積される。その結果、スイッチ素子120の内在容量123及びその他の容量により、スイッチ電圧Vswが低下に転じて、スイッチ素子120のドレイン・ソース間電圧が徐々に低下し始める。
【0204】
その後、時刻t75では、
図36で示すように、交流電源Pの第2ノード(=電圧V2の印加端)からスイッチ素子110のスイッチ機能部111及びスイッチ素子120の内在ダイオード122を介して一次巻線141に向かう電流経路に一次電流が流れる状態となる。このような状態では、スイッチ電圧Vswが電圧V2よりも内在ダイオード122の順方向降下電圧だけ低い電圧にクランプされる。
【0205】
スイッチ駆動装置130は、上記タイミングを見計らい、スイッチ素子110をオンしたまま、スイッチ素子120をオンする。このようなスイッチング制御により、スイッチング電源1000は、時刻t71以前と同様の状態(
図30)に戻る。
【0206】
このように、本図の第2動作例(V1<V2)において、スイッチ駆動装置130は、双方向スイッチXをオフからオンに切り替えるときには、それまでオフしていたスイッチ素子110をその両端間電圧が0Vとなるタイミングでオンするように、第1のZVS制御を行うと共に、これに引き続いて、スイッチ素子110をオンするタイミングでスイッチ素子120をオフし、スイッチ素子120をその両端間電圧が0Vとなるタイミングでオンするように、第2のZVS制御を行う。
【0207】
以上のスイッチング制御を繰り返すことにより、双方向スイッチXのオン遷移時には、スイッチ素子110及び120それぞれの内在容量113及び123に電荷が蓄積されていないタイミングで、スイッチ素子110及び120それぞれを個別にオンすることができる。従って、スイッチ素子110及び120それぞれのスイッチングロスを低減して、双方向スイッチXの発熱を抑えることが可能となる。
【0208】
<オン/オフ駆動の停止時に関する考察>
ところで、本実施形態のスイッチング電源1000(その他の実施形態のスイッチング電源100~900も同様)では、所定の停止トリガSTOPに応じて、双方向スイッチXのオン/オフ駆動を強制的に停止する場合がある。
【0209】
例えば、交流入力電圧Vinの極性が反転するタイミング(例えば-12V<Vin<+12V)では、双方向スイッチXを駆動しても十分な励磁が望めないことから、双方向スイッチXのオン/オフ駆動を停止することにより、スイッチ素子110及び120それぞれのスイッチング損失を低減して、効率の向上を図ることが可能となる。
【0210】
また、一次巻線141に流れる一次電流が上限値よりも大きくなって過電流防止機能が発動した場合、または、直流出力電圧Voutが上限値よりも高くなって過電圧防止機能が発動した場合にも、双方向スイッチXのオン/オフ駆動が停止され得る。
【0211】
図37は、交流入力電圧Vinの極性反転タイミングで双方向スイッチXのオン/オフ駆動を停止したときの様子を示す図であり、スイッチ電圧Vsw及び交流入力電圧Vinが描写されている。また、
図38は、
図37における領域αを拡大した図である。
【0212】
本図で示したように、交流入力電圧Vinが負極性から正極性に切り替わるときには、Vin>-Vx(例えば-12V)となるタイミングで双方向スイッチXのオン/オフ駆動が停止されており、その後、Vin>+Vy(例えば+36V)となるタイミングで双方向スイッチXのオン/オフ駆動が再開されている。
【0213】
また、交流入力電圧Vinが正極性から負極性に切り替わるときには、Vin<+Vx(例えば+12V)となるタイミングで双方向スイッチXのオン/オフ駆動が停止されており、その後、Vin<-Vy(例えば-36V)となるタイミングで双方向スイッチXのオン/オフ駆動が再開されている。
【0214】
このように、双方向スイッチXのオン/オフ駆動を停止するときには、スイッチ素子110及び120がいずれもオフされる。このとき、双方向スイッチXは必ずしもZVS制御されるわけではない。そのため、双方向スイッチXをオフする直前の励磁状態及び共振状態によっては、一次巻線141または内在容量113及び123にエネルギーが蓄積されている場合があり、行き場を失ったエネルギーによりLC共振が発生し得る。
【0215】
なお、上記のLC共振は、ノイズ源となり得る。また、オン/オフ駆動を再開するタイミングまでLC共振が続いていると回路動作に悪影響を及ぼし得る。そこで、以下では、LC共振を抑制することのできる駆動停止処理について提案する。
【0216】
<駆動停止処理>
図39は、スイッチ駆動装置130(特にコントローラ133)による駆動停止処理の第1例(V1>V2)を示す図であり、スイッチ電圧Vswとスイッチ素子110及び120それぞれのオン/オフ状態が描写されている。なお、スイッチ電圧Vswについて、実線は新規な駆動停止処理における挙動を示しており、破線はスイッチ素子110及び120を単純にオフしたときの挙動を示している。
【0217】
時刻t81以前には、双方向スイッチXがオンされているので、一次巻線141に一次電流が流れてエネルギーが蓄積される。この時点では、スイッチ電圧Vswが電圧V2と一致している。
【0218】
時刻t81において、一次巻線141に所定のエネルギーが蓄積すると、双方向スイッチXがオンからオフに切り替えられる。より詳細に述べると、スイッチ素子110がオンされたまま、スイッチ素子120がオフされる。その結果、スイッチ電圧Vswは、その絶対値が直流出力電圧Voutと一致するまで上昇する。
【0219】
時刻t82において、何らかの停止トリガSTOP(交流入力電圧Vinの極性反転、過電流保護または過電圧保護など)が掛かると、双方向スイッチXのオン/オフ駆動が停止される。すなわち、スイッチ素子110及び120がいずれもオフされる。このとき、一次巻線141にはエネルギーが蓄積されているので、行き場を失ったエネルギーによりLC共振が生じる。
【0220】
上記のようにスイッチ素子110及び120がいずれもオフされた後、時刻t83~t84では、スイッチ素子110が所定のオン時間T1に亘って一時的にオンされる。すなわち、スイッチ素子110は、時刻t83でオンされ、時刻t84で再びオフされる。
【0221】
ここで、一時的にオンされるスイッチ素子110は、スイッチ素子110及び120のうち、双方向スイッチXから一次巻線141に向けて一次電流が回生するときに内在ダイオード112が逆バイアスとなるスイッチ素子である(先出の
図25を参照)。
【0222】
このような駆動停止処理によれば、共振エネルギー(=一次巻線141または内在容量113及び123に蓄積されているエネルギー)を交流電源Pに回生させることができるので、LC共振を抑制することが可能となる。
【0223】
なお、スイッチ素子110のオン時間T1は、共振周期T0以上の長さに設定するとよい。共振周期T0は、基本的に、一次巻線141のインダクタンスと双方向スイッチXの内在容量(=内在容量113及び123のいずれか一つ分)に応じた長さになる。
【0224】
また、本図では、スイッチ素子110及び120をいずれもオフした後、待機時間T2が経過してからスイッチ素子110をオンしているが、この待機時間T2については、任意に調整することができる。
【0225】
例えば、LC共振の抑制を優先するならば、待機時間T2をゼロ(またはほぼゼロ)とし、スイッチ素子110及び120をいずれもオフした直後にスイッチ素子110だけ再びオンしてもよい。一方、異常保護機能の発動により停止トリガSTOPが掛かり得る場合を想定し、安全を優先するのであれば、待機時間T2を長めにしてもよい。
【0226】
また、停止トリガSTOPの種類に応じて待機時間T2を個別に設定してもよい。例えば、過電流検出時には安全性を優先して待機時間T2を長めに設定する一方、過電圧検出時にはLC共振の抑制を優先して待機時間T2を短めに設定することが考えられる。
【0227】
また、交流入力電圧Vinの極性反転時には、そもそも一次巻線141にあまりエネルギーが蓄積しないので、LC共振の振幅もさほど大きくならない。これを鑑み、交流入力電圧Vinの極性反転時には、スイッチ素子110及び120をいずれもオフした後、スイッチ素子110を一時的にオンすることなく、スイッチ素子110及び120をいずれもオフしたままとしてもよい。
【0228】
なお、本図では、スイッチ素子110をオンしてスイッチ素子120をオフしているときに停止トリガSTOPが掛かった場合を例示したが、スイッチ素子110をオフしてスイッチ素子120をオンしている期間中(例えば
図21の時刻t63~t65)に停止トリガSTOPが掛かる場合もあり得る。その場合には、スイッチ素子110ではなく、スイッチ素子120を一時的にオンした方がLC共振をより早く収束に導くことができる。
【0229】
このように、LC共振の状態を完全に把握できているのであれば、スイッチ素子110及び120のうち、より適切な方をオン時間T1に亘って一時的にオンすることにより、LC共振を抑制することが可能となる。なお、この場合におけるオン時間T1は、少なくとも共振周期T0の半分以上の長さに設定すれば足りる。
【0230】
図40は、スイッチ駆動装置130(特にコントローラ133)による駆動停止処理の第2例(V1<V2)を示す図であり、先出の
図39と同じく、スイッチ電圧Vswとスイッチ素子110及び120それぞれのオン/オフ状態が描写されている。なお、スイッチ電圧Vswについて、実線は新規な駆動停止処理における挙動を示しており、破線はスイッチ素子110及び120を単純にオフしたときの挙動を示している。
【0231】
時刻t91以前には、双方向スイッチXがオンされているので、一次巻線141に一次電流が流れてエネルギーが蓄積される。この時点では、スイッチ電圧Vswが電圧V2と一致している。
【0232】
時刻t91において、一次巻線141に所定のエネルギーが蓄積すると、双方向スイッチXがオンからオフに切り替えられる。より詳細に述べると、スイッチ素子120がオンされたまま、スイッチ素子110がオフされる。その結果、スイッチ電圧Vswは、その絶対値が直流出力電圧Voutと一致するまで低下する。
【0233】
時刻t92において、何らかの停止トリガSTOP(交流入力電圧Vinの極性反転、過電流保護または過電圧保護など)が掛かると、双方向スイッチXのオン/オフ駆動が停止される。すなわち、スイッチ素子110及び120がいずれもオフされる。このとき、一次巻線141にはエネルギーが蓄積されているので、行き場を失ったエネルギーによりLC共振が生じる。
【0234】
上記のようにスイッチ素子110及び120がいずれもオフされた後、時刻t93~t94では、スイッチ素子120が所定のオン時間T1に亘って一時的にオンされる。すなわち、スイッチ素子120は、時刻t93でオンされ、時刻t94で再びオフされる。
【0235】
ここで、一時的にオンされるスイッチ素子120は、スイッチ素子110及び120のうち、一次巻線141から双方向スイッチXに向けて一次電流が回生するときに内在ダイオード122が逆バイアスとなるスイッチ素子である(先出の
図33を参照)。
【0236】
このような駆動停止処理によれば、先出の第1動作例(
図39)と同じく、共振エネルギー(=一次巻線141または内在容量113及び123に蓄積されているエネルギー)を交流電源Pに回生させることができるので、LC共振を抑制することが可能となる。また、その他の点についても第1動作例と同様であるので、重複した説明は省略する。
【0237】
<総括>
以下では、本明細書中で説明した種々の実施形態について、総括的に述べる。
【0238】
例えば、本明細書中に開示されているスイッチ駆動装置は、双方向スイッチを形成する第1スイッチ素子及び第2スイッチ素子を個別に制御するように構成されたコントローラを有し、前記コントローラは、前記双方向スイッチのオン/オフ駆動を停止するときに、前記第1スイッチ素子及び前記第2スイッチ素子をいずれもオフした後、前記第1スイッチ素子及び前記第2スイッチ素子のうち、いずれか一方を所定のオン時間に亘って一時的にオンする構成(第1の構成)とされている。
【0239】
なお、上記第1の構成によるスイッチ駆動装置において、一時的にオンされるスイッチ素子は、電流回生時に内在ダイオードが逆バイアスとなるスイッチ素子である構成(第2の構成)にしてもよい。
【0240】
また、上記第1または第2の構成によるスイッチ駆動装置において、前記オン時間は、共振周期以上の長さに設定されている構成(第3の構成)にしてもよい。
【0241】
また、上記第1~第3いずれかの構成によるスイッチ駆動装置において、前記コントローラは、前記双方向スイッチをオンからオフに切り替えるときに、前記第1スイッチ素子及び前記第2スイッチ素子のうち、一方のスイッチ素子をオンしたまま他方のスイッチ素子をオフする構成(第4の構成)にしてもよい。
【0242】
また、上記第4の構成によるスイッチ駆動装置において、前記コントローラは、前記双方向スイッチをオフからオンに切り替えるときに、前記他方のスイッチ素子をその両端間電圧が0Vとなるタイミングでオンするように、第1のゼロ電圧スイッチング制御を行う構成(第5の構成)にしてもよい。
【0243】
また、上記第5の構成によるスイッチ駆動装置において、前記コントローラは、前記双方向スイッチをオフからオンに切り替えるときに、前記第1のゼロ電圧スイッチング制御に引き続いて、前記他方のスイッチ素子をオンするタイミングで前記一方のスイッチ素子をオフし、前記一方のスイッチ素子をその両端間電圧が0Vとなるタイミングでオンするように、第2のゼロ電圧スイッチング制御を行う構成(第6の構成)にしてもよい。
【0244】
また、例えば、本明細書中に開示されているスイッチング電源は、交流入力電圧が印加されるように構成された一次巻線と、前記一次巻線に結合されるように構成された二次巻線と、前記一次巻線に直列接続されるように構成された双方向スイッチと、前記二次巻線に生じる誘起電圧を全波整流するように構成された全波整流回路と、前記全波整流回路の出力を平滑するように構成された平滑コンデンサと、上記第1~第6いずれかの構成により前記双方向スイッチを駆動するスイッチ駆動装置と、を有し、前記二次巻線からフライバック電圧、または、フォワード電圧とフライバック電圧の双方を取り出して前記交流入力電圧を直流出力電圧に直接変換する構成(第7の構成)とされている。
【0245】
なお、上記第7の構成によるスイッチング電源において、前記スイッチ駆動装置は、前記交流入力電圧の絶対値が下限値よりも小さいときに前記双方向スイッチのオン/オフ駆動を停止する構成(第8の構成)にしてもよい。
【0246】
また、上記第7または第8の構成によるスイッチング電源において、前記スイッチ駆動装置は、前記直流出力電圧が上限値よりも高いときに前記双方向スイッチのオン/オフ駆動を停止する構成(第9の構成)にしてもよい。
【0247】
また、上記第7~第9いずれかの構成によるスイッチング電源において、前記スイッチ駆動装置は、前記一次巻線に流れる一次電流が上限値よりも大きいときに前記双方向スイッチのオン/オフ駆動を停止する構成(第10の構成)にしてもよい。
【0248】
<その他の変形例>
なお、本明細書中に開示されている種々の技術的特徴は、上記実施形態のほか、その技術的創作の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。すなわち、上記実施形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきであり、本発明の技術的範囲は、上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内に属する全ての変更が含まれると理解されるべきである。
【符号の説明】
【0249】
100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000 スイッチング電源
110、120 スイッチ素子
111、121 スイッチ機能部
112、122 内在ダイオード
113、123 内在容量
130 スイッチ駆動装置
131、132 ドライバ
133 コントローラ
133a 分圧部
133b 比較部
133c 制御部
140 トランス
141 一次巻線
142、142a、142b 二次巻線
151、152、153、154 コンデンサ
161、162 ダイオード
170 スナバ回路
210、220 スイッチ素子
211、221 スイッチ機能部
212、222 内在ダイオード
213、223 内在容量
230 コンデンサ
311、312 コンデンサ
321、322、323 ダイオード
330 補助巻線
340 電流制限素子
410 微分回路
411 抵抗
412 コンデンサ
510 ゼロ電圧検出回路
610 補助巻線
620 ゼロ電圧検出回路
710 起動回路
810 起動回路
C1~C4 浮遊容量
C5 内在容量
FLT フィルタ
P 交流電源
R1、R2、Rin 抵抗
X 双方向スイッチ
Z 負荷