(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022188437
(43)【公開日】2022-12-21
(54)【発明の名称】タイヤ成形装置
(51)【国際特許分類】
B29D 30/32 20060101AFI20221214BHJP
【FI】
B29D30/32
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021096461
(22)【出願日】2021-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】弁理士法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】奥村 一喜
【テーマコード(参考)】
4F215
【Fターム(参考)】
4F215AH20
4F215VA02
4F215VK23
4F215VK53
4F215VL11
4F215VP07
4F215VP12
(57)【要約】
【課題】タイヤの安定生産に貢献できる、タイヤ成形装置2の提供。
【解決手段】タイヤ成形装置2はプッシャー装置6を備える。プッシャー装置6はプッシャーリング22を備える。プッシャーリング22の上側半割リング片28及び下側半割リング片30のそれぞれは半円状のハーフリング部32を備える。ハーフリング部32のボディフレーム78の端部に上下方向にのびる螺子穴80が刻まれ、螺子穴80にボルト82をねじ込むことで連結具76がボディフレーム78に固定される。下側半割リング片30の連結具76が上下方向にのびるピン86を有し、上側半割リング片28の連結具76がホール88を有する。ピン86をホール88に差し込み、上側半割リング片28と下側半割リング片30とを組み合わせることで、プッシャーリング22の閉状態が構成され、閉状態のプッシャーリング22が膨張したターンアップブラダー20に押し当てられる。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対のビードリングが嵌った円筒状のタイヤケースを保持し、両ビードリング間のケース本体部をトロイダル状に膨張させ、軸方向において前記ケース本体部から外側にのびる一対のケース外側部分を前記ビードリングで折り返すシェーピング装置と、
折り返された一対の前記ケース外側部分をトロイダル状に膨張した前記ケース本体部に押し付けて、両者を接合するプッシャー装置と
を備え、
前記シェーピング装置が、軸方向に移動することで互いに接近又は離間可能な一対のドラム部を備え、
一対の前記ドラム部が、前記タイヤケースの赤道位置に対応する基準位置が中心になるように軸方向に間隔をあけて配置され、前記タイヤケースを内側から保持し、
前記各ドラム部が、膨張することで前記ケース外側部分を前記ビードリングで折り返すターンアップブラダーを備え、
前記プッシャー装置が、前記基準位置が中心になるように軸方向に間隔をあけて配置される一対のプッシャーリングと、一対の前記プッシャーリングを移動可能に支持するプッシャーユニットとを備え、
前記各プッシャーリングが、上側半割リング片及び下側半割リング片を備え、
前記上側半割リング片及び前記下側半割リング片のそれぞれが、半円状のハーフリング部と、前記ハーフリング部の後端部から後方にのび、前記プッシャーユニットに支持されるアーム部とを備え、
前記ハーフリング部が、その前端部を構成する連結具と、前記連結具が取り付けられるボディフレームとを備え、
前記ボディフレームの端部に上下方向にのびる螺子穴が刻まれ、前記螺子穴にボルトをねじ込むことで前記連結具が前記ボディフレームの端部に固定され、
前記上側半割リング片の連結具及び前記下側半割リング片の連結具のうち、一方の連結具が上下方向にのびるピンを有し、他方の連結具が、前記ピンが差し込まれるホールを有し、
前記ピンを前記ホールに差し込み、前記上側半割リング片と前記下側半割リング片とを組み合わせることで、前記プッシャーリングの閉状態が構成され、
閉状態の前記各プッシャーリングが膨張した前記各ターンアップブラダーに押し当てられる、
タイヤ成形装置。
【請求項2】
前記連結具が、その四隅において、前記ボルトを用いて前記ボディフレームの端部に固定される、
請求項1に記載のタイヤ成形装置。
【請求項3】
前記プッシャーユニットが、前記基準位置が中心になるように軸方向に間隔をあけて配置される一対の横移動台と、前記各横移動台に支持される一対の前後移動台と、前記各前後移動台に支持される一対の上下移動手段とを備え、
前記各横移動台が軸方向に移動することで互いに接近又は離間可能であり、
前記各前後移動台が前後に移動可能であり、
前記各上下移動手段が前記各プッシャーリングの前記上側半割リング片及び前記下側半割リング片のそれぞれを上下に移動可能に支持し、
前記各上下移動手段が前記上側半割リング片と前記下側半割リング片とを遠ざけることで、前記各プッシャーリングにおいて開状態が構成され、
前記各前後移動台が前方に移動することで開状態の前記各プッシャーリングが前方に移動し、
前記各上下移動手段が前記上側半割リング片と前記下側半割リング片とを近づけることで、前記各ドラム部の軸方向外側に、閉状態の前記プッシャーリングが構成され、
前記横移動台が前記基準位置に向けて移動することで、閉状態の前記各プッシャーリングが膨張した前記各ターンアップブラダーに押し当てられる、
請求項1又は2に記載のタイヤ成形装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤ成形装置に関する。詳細には、本発明は、未加硫状態のタイヤを成形するためのタイヤ成形装置に関する。
【背景技術】
【0002】
タイヤは、未加硫状態のタイヤ(生タイヤとも称される。)をモールド内で加圧及び加熱することで得られる。タイヤはトレッドやサイドウォール等の多数の要素を備える。タイヤの製造では、これら要素を組み合わせて生タイヤが成形される。生タイヤの成形には、タイヤ成形装置が用いられる。このタイヤ成形装置の一例が、下記の特許文献1に開示されている。
【0003】
タイヤにおいて、カーカスはビードのコアの周りで折り返される。この折り返し構造は次のようにして形成される。
カーカスを含む円筒状のタイヤケースが準備される。円筒状のタイヤケースに一対のリング状のビード(以下、ビードリング)が嵌められる。両ビードリング間のケース本体部はトロイダル状に膨らまされる。ケース本体部から外側にのびる一対のケース外側部分は、このケース外側部分の内側に位置するターンアップブラダーを膨らませることによりビードリングで折り返される。このとき、プッシャー装置のプッシャーリングが、ターンアップブラダーを介してケース外側部分をケース本体部に押し付ける。これにより、ケース外側部分がケース本体部に接合される。
【0004】
プッシャーリングは上側半割リング片と下側半割リング片とを備える。プッシャー装置において上側半割リング片及び下側半割リング片は、これらを上下に移動可能に支持する上下移動手段に取り付けられる。上側半割リング片及び下側半割リング片はそれぞれ、片持ち状態で上下移動手段に支持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述の折り返し構造の形成では、上下移動手段が上側半割リング片と下側半割リング片との間隔を狭め、両者を突き合わせることで、リング部が構成される。このリング部がターンアップブラダーを押し付ける。
リング部がターンアップブラダーを押し付けると、上側半割リング片及び下側半割リング片のそれぞれに荷重が作用する。荷重は上側半割リング片に偏って作用する傾向にあり、上側半割リング片が取り付けられる上下移動手段のガイド部において破損が生じやすい状況にある。
【0007】
破損が生じると、交換のため、長時間、生タイヤの成形が停止する。長時間の成形停止はタイヤの生産性を損なう。一定の生産性を維持するために、プッシャーリングの破損を防止できる技術の確立が求められている。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、タイヤの安定生産に貢献できる、タイヤ成形装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様に係るタイヤ成形装置は、一対のビードリングが嵌った円筒状のタイヤケースを保持し、両ビードリング間のケース本体部をトロイダル状に膨張させ、軸方向において前記ケース本体部から外側にのびる一対のケース外側部分を前記ビードリングで折り返すシェーピング装置と、折り返された一対の前記ケース外側部分をトロイダル状に膨張した前記ケース本体部に押し付けて、両者を接合するプッシャー装置とを備える。前記シェーピング装置は、軸方向に移動することで互いに接近又は離間可能な一対のドラム部を備える。一対の前記ドラム部は、前記タイヤケースの赤道位置に対応する基準位置が中心になるように軸方向に間隔をあけて配置され、前記タイヤケースを内側から保持する。前記各ドラム部は、膨張することで前記ケース外側部分を前記ビードリングで折り返すターンアップブラダーを備える。前記プッシャー装置は、前記基準位置が中心になるように軸方向に間隔をあけて配置される一対のプッシャーリングと、一対の前記プッシャーリングを移動可能に支持するプッシャーユニットとを備える。前記各プッシャーリングは、上側半割リング片及び下側半割リング片を備える。前記上側半割リング片及び前記下側半割リング片のそれぞれは、半円状のハーフリング部と、前記ハーフリング部の後端部から後方にのび、前記プッシャーユニットに支持されるアーム部とを備える。前記ハーフリング部は、その前端部を構成する連結具と、前記連結具が取り付けられるボディフレームとを備える。前記ボディフレームの端部に上下方向にのびる螺子穴が刻まれ、前記螺子穴にボルトをねじ込むことで前記連結具が前記ボディフレームの端部に固定される。前記上側半割リング片の連結具及び前記下側半割リング片の連結具のうち、一方の連結具が上下方向にのびるピンを有し、他方の連結具が、前記ピンが差し込まれるホールを有する。前記ピンを前記ホールに差し込み、前記上側半割リング片と前記下側半割リング片とを組み合わせることで、前記プッシャーリングの閉状態が構成され、閉状態の前記各プッシャーリングが膨張した前記各ターンアップブラダーに押し当てられる。
【0010】
好ましくは、このタイヤ成形装置では、前記連結具は、その四隅において、前記ボルトを用いて前記ボディフレームの端部に固定される。
【0011】
好ましくは、このタイヤ成形装置では、前記プッシャーユニットは、基準位置が中心になるように軸方向に間隔をあけて配置される一対の横移動台と、前記各横移動台に支持される一対の前後移動台と、前記各前後移動台に支持される一対の上下移動手段とを備える。前記各横移動台は軸方向に移動することで互いに接近又は離間可能である。前記各前後移動台は前後に移動可能である。前記各上下移動手段は前記各プッシャーリングの前記上側半割リング片及び前記下側半割リング片のそれぞれを上下に移動可能に支持する。前記各上下移動手段が前記上側半割リング片と前記下側半割リング片とを遠ざけることで、前記各プッシャーリングにおいて開状態が構成される。前記各前後移動台が前方に移動することで開状態の前記各プッシャーリングが前方に移動する。前記各上下移動手段が前記上側半割リング片と前記下側半割リング片とを近づけることで、前記各ドラム部の軸方向外側に、閉状態の前記プッシャーリングが構成される。前記横移動台が前記基準位置に向けて移動することで、閉状態の前記各プッシャーリングが膨張した前記各ターンアップブラダーに押し当てられる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、タイヤの安定生産に貢献できる、タイヤ成形装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は本発明の一実施形態に係るタイヤ成形装置を備えるタイヤ成形ラインの一例を概念的に示す正面図である。
【
図2】
図2はタイヤ成形ラインにおけるプッシャー装置の動作を概念的に示す正面図である。
【
図3】
図3はプッシャー装置の動作を概念的に示す平面図である。
【
図4】
図4はプッシャー装置の動作を概念的に示す側面図である。
【
図5】
図5はプッシャーリングを示す側面図である。
【
図6】
図6はプッシャーリングの連結部を示す側面図である。
【
図7A】
図7Aは下側半割リング片の端部を示す側面図である。
【
図7B】
図7Bは下側半割リング片の端部を示す平面図である。
【
図8A】
図8Aは上側半割リング片の端部を示す側面図である。
【
図8B】
図8Bは上側半割リング片の端部を示す底面図である。
【
図9】
図9は従来の連結具の一例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて、本発明が詳細に説明される。
【0015】
図1-3は、タイヤ成形ラインの一例を示す。タイヤ成形ラインでは、未加硫状態のトレッド(トレッドゴムとも称される。)や、サイドウォール(サイドウォールゴムとも称される。)等の要素を組み合わせて、生タイヤが成形される。生タイヤをモールド内で加圧及び加熱することで、タイヤが得られる。
本発明の一実施形態に係るタイヤ成形装置2は、タイヤ成形ラインに採用される。タイヤ成形ラインはタイヤ成形装置2を備える。
【0016】
図1-3において、紙面の左右方向はタイヤ成形装置2の軸方向である。
図1-2において、紙面の上下方向はタイヤ成形装置2の上下方向であり、紙面に対して垂直な方向はタイヤ成形装置2の前後方向である。
図3において、紙面の上下方向はタイヤ成形装置2の前後方向であり、紙面に対して垂直な方向はタイヤ成形装置2の上下方向である。
図1-3において、一点鎖線CLはタイヤ成形装置2の基準位置である。基準位置CLは、後述するタイヤケースの赤道位置に対応する。タイヤケースの赤道位置は、タイヤの赤道に対応する位置である。
【0017】
タイヤ成形装置2は、シェーピング装置4と、プッシャー装置6とを備える。シェーピング装置4は、一対のビードリングBが嵌った円筒状のタイヤケースCを保持し、両ビードリングB間のケース本体部Cmをトロイダル状に膨張させ、軸方向においてケース本体部Cmから外側にのびる一対のケース外側部分CsをビードリングBで折り返す。プッシャー装置6は、折り返された一対のケース外側部分Csを、トロイダル状に膨張したケース本体部Cmに押し付けて、両者を接合する。
【0018】
このタイヤ成形装置2は、シェーピング装置4及びプッシャー装置6以外に、バンドドラム8、タイヤケース搬送装置10、ベルトドラム12及びトレッド搬送装置14を備える。このタイヤ成形装置2のバンドドラム8、タイヤケース搬送装置10、ベルトドラム12及びトレッド搬送装置14は、従来の、バンドドラム、タイヤケース搬送装置、ベルトドラム及びトレッド搬送装置である。
【0019】
バンドドラム8では、例えばカーカスを含むタイヤケース構成部材が、その外周面上で順次巻き回される。これにより、前述の、円筒状のタイヤケースCが形成される。タイヤケース構成部材としては、カーカス以外に、インナーライナーゴム、サイドウォールゴム、ビード補強層、クリンチゴム等の要素が例示される。製造するタイヤの仕様に応じて、タイヤケース構成部材が適宜選定される。
【0020】
タイヤケース搬送装置10は、バンドドラム8上に形成したタイヤケースCをバンドドラム8から受け取る。タイヤケースCは、このタイヤケース搬送装置10によってシェーピング装置4に搬送される。
【0021】
ベルトドラム12では、例えばトレッドゴムを含むトレッド構成部材がその外周面上で順次巻き回される。これにより、環状のトレッドリングTが形成される。トレッド構成部材としては、トレッドゴム以外に、ベルトプライ、バンドプライ等の補強コードを含む要素が例示される。製造するタイヤの仕様に応じて、トレッド構成部材が適宜選定される。
【0022】
トレッド搬送装置14は、ベルトドラム12上に形成したトレッドリングTをベルトドラム12から受け取る。トレッドリングTは、このトレッド搬送装置14によってシェーピング装置4に搬送される。トレッドリングTの赤道位置がタイヤ成形装置2の基準位置CLに合わせられる。
【0023】
このタイヤ成形装置2は、従来のシェーピング装置をシェーピング装置4として用いることができる。シェーピング装置4は、一対のドラム部16を備える。一対のドラム部16は、軸方向にのびる支持軸18によって支持される。前述のバンドドラム8及びベルトドラム12の軸芯は、この支持軸18の軸芯と一致する。
【0024】
一対のドラム部16は、図示されない移動手段によって支持軸18に沿って動かされる。一対のドラム部16は、互いの距離が近づく又は遠ざかるように動く。このシェーピング装置4の一対のドラム部16は、軸方向に移動することで互いに接近又は離間可能である。
【0025】
一対のドラム部16は、基準位置CLが中心になるように軸方向に間隔をあけて配置される。各ドラム部16が基準位置CLに向かって移動することで、ドラム部16間の距離が狭まる。各ドラム部16が基準位置CLから離れることで、ドラム部16間の距離が広がる。
【0026】
タイヤケース搬送装置10によってシェーピング装置4に搬送されたタイヤケースCは、
図1に示されるように、内側から一対のドラム部16によって保持される。タイヤケースCが一対のドラム部16に保持されると、一対のビードリングBが、図示されない移送手段により運ばれ、両側からタイヤケースCに嵌められる。各ビードリングBは、図示されないビードロック手段によってタイヤケースCを介して固定される。これにより、一対のビードリングBが嵌った円筒状のタイヤケースCがシェーピング装置4に保持される。
【0027】
一対のビードリングBが嵌った円筒状のタイヤケースCにおいて、両ビードリングB間の部分がケース本体部Cmであり、このケース本体部Cmの両側部分がケース外側部分Csである。一対のビードリングBが嵌った円筒状のタイヤケースCは、両ビードリングB間のケース本体部Cmと、軸方向においてこのケース本体部Cmから外側にのびる一対のケース外側部分Csとを備える。
【0028】
詳述しないが、各ドラム部16はターンアップブラダー20を備える。ターンアップブラダー20は、ケース外側部分Csの内側において、前述のビードロック手段の軸方向外側に設けられる。
【0029】
一対のビードリングBが嵌った円筒状のタイヤケースCが一対のドラム部16に保持されると、ケース本体部Cmがトロイダル状に膨らまされる。
図2に示されるように、ターンアップブラダー20が膨らまされ、ケース外側部分CsがビードリングBで折り返される。このシェーピング装置4の各ドラム部16は、膨張することでケース外側部分CsをビードリングBで折り返すターンアップブラダー20を備える。
【0030】
図4には、プッシャー装置6が示される。
図4において、紙面の左右方向はタイヤ成形装置2の前後方向である。この紙面の右側がタイヤ成形装置2の前側である。この紙面の上下方向はタイヤ成形装置2の上下方向である。この紙面に対して垂直な方向がタイヤ成形装置2の軸方向である。
【0031】
前述したように、ビードリングBで折り返されたケース外側部分Csはプッシャー装置6によってケース本体部Cmに接合される。このプッシャー装置6は、一対のプッシャーリング22と、一対のプッシャーリング22を移動可能に支持するプッシャーユニット24とを備える。
【0032】
図1-3に示されるように、一対のプッシャーリング22は基準位置CLが中心になるように軸方向に間隔をあけて配置される。各プッシャーリング22は、一対の半割リング片26を組み合わせて構成される。
【0033】
図4に示されるように、一対の半割リング片26は上側と下側とに配置される。上側に位置する半割リング片26が上側半割リング片28であり、下側に位置する半割リング片26が下側半割リング片30である。このプッシャーリング22は、上下に配置される上側半割リング片28及び下側半割リング片30を備える。
【0034】
上側半割リング片28及び下側半割リング片30のそれぞれは、ハーフリング部32と、アーム部34とを備える。ハーフリング部32は半円状である。上側半割リング片28のハーフリング部32と下側半割リング片30のハーフリング部32とが組み合わさることで、環状のリング部36が構成される。アーム部34はハーフリング部32の後端部から後方にのびる。アーム部34は、プッシャーユニット24に支持される。
【0035】
このタイヤ成形装置2では、上側半割リング片28及び下側半割リング片30を互いに近づけて、リング部36が構成されている状態がプッシャーリング22の閉状態である。上側半割リング片28及び下側半割リング片30を互いに遠ざけて、上側半割リング片28及び下側半割リング片30を上下に間隔をあけて配置されている状態がプッシャーリング22の開状態である。
【0036】
このタイヤ成形装置2では、閉状態のプッシャーリング22が膨張したターンアップブラダー20に押し当てられる。具体的には、プッシャーリング22のリング部36の軸方向内側面38がターンアップブラダー20に押し当てられる。言い換えれば、リング部36の軸方向内側面38は、ターンアップブラダー20を押し付ける押付け面である。プッシャーリング22は、ターンアップブラダー20を押し付ける押付け面38を備える。前述したように、リング部36は上下のハーフリング部32を組み合わせて構成される。各ハーフリング部32は、その軸方向内側に、押付面の一部をなすハーフ押付け面38hを備える。
【0037】
このタイヤ成形機では、プッシャーリング22に構成されるリング部36の押付け面38は、対向して配置される押付け面38との間隔が内側から外側に向かって狭まるように傾斜する。押付け面38は、径方向線に対して傾斜する傾斜面である。
図2において符号θは押付け面38が径方向線に対してなす角度、すなわち、押付け面38の傾斜角度である。この傾斜角度θは、例えば5度以上10度以下である。これにより、ケース外側部分Csの先端に対する押付け効果が高められ、ケース外側部分Csがケース本体部Cmに適度な押付け力で十分に接合される。
【0038】
プッシャーユニット24は、一対の横移動台40、一対の前後移動台42及び一対の上下移動手段44を備える。一対の横移動台40は、基準位置CLが中心になるように軸方向に間隔をあけて配置される。各横移動台40は軸方向に移動可能である。各横移動台40は、軸方向に移動することで互いに接近又は離間することができる。一対の前後移動台42はそれぞれ、各横移動台40に支持される。各前後移動台42は前後に移動可能である。前後移動台42の移動方向は前述の軸芯の向きと直交する。一対の上下移動手段44はそれぞれ、各前後移動台42に支持される。各上下移動手段44は、各プッシャーリング22の上側半割リング片28及び下側半割リング片30のそれぞれを上下に移動可能に支持する。各上下移動手段44が上側半割リング片28と下側半割リング片30とを遠ざけることで、各プッシャーリング22において開状態が構成される。各上下移動手段44が上側半割リング片28と下側半割リング片30とを近づけることで、各プッシャーリング22において閉状態が構成される。
【0039】
各横移動台40は前後に長いブロックからなる。横移動台40は、横移動手段46を介して軸方向に移動可能に固定台に支持される。横移動手段46は、固定台上に敷設されかつ軸方向にのびる2列の案内レール48と、これら案内レール48と平行に配される回転自在なネジ軸50とを有する。横移動台40は案内レール48に保持され、この案内レール48によって軸方向に案内される。
図示されないが、ネジ軸50は左ネジ部と右ネジ部とを備え、左ネジ部と右ネジ部とは基準位置CLの両側に配される。一方の横移動台40には左ネジ部に螺合するネジ孔を有するナット部が形成される。他方の横移動台40には右ネジ部に螺合するネジ孔を有するナット部が形成される。ネジ軸50の一端に駆動モータ(駆動モータ)が接続される。駆動モータがネジ軸50を回転させることで、一対の横移動台40が基準位置CLを中心として接離可能に軸方向内外に横移動する。
【0040】
各前後移動台42は、各横移動台40に、前後移動手段52を介して前後方向に移動可能に保持される。前後移動手段52は、横移動台40上に敷設されかつ前後方向にのびる2列の案内レール54と、これら案内レール54の間に取り付けられるロッドレスシリンダ56とを有する。
前後移動台42は、案内レール48に案内される基台部58と、この基台部58の側縁で立ち上がる側板部60とを具える。基台部58は、板状であり、ロッドレスシリンダのスライダ(図示されず)に連結される。スライダが動くことで、基台部58すなわち前後移動台42が前後に動く。
【0041】
各上下移動手段44は、一対のガイド部62と、一対のシリンダ64とを備える。
一対のガイド部62は、前後に位置を違えて側板部60に取り付けられる。各ガイド部62は上下にのびる案内プレート66と、この案内プレート66に案内されるスライダ68とを備える。案内プレート66が側板部60に取り付けられ、スライダ68に半割リング片26のアーム部34が取り付けられる。
一対のシリンダ64は上下にのびる。一対のシリンダ64は前後に位置を違えて側板部60に取り付けられる。後側のシリンダ64はロッド70を下方に向けた下向きシリンダ64sである。下向きシリンダ64sのロッド70が下側半割リング片30のアーム部34に連結される。前側のシリンダ64はロッド70を上方に向けた上向きシリンダ64uである。上向きシリンダ64uのロッド70が上側半割リング片28のアーム部34に連結される。
下側半割リング片30は、下向きシリンダ64sのロッド70が伸びると下降し、このロッド70が縮むと上昇する。上側半割リング片28は、上向きシリンダ64uのロッド70が伸びると上昇し、このロッド70が縮むと下降する。
【0042】
このプッシャー装置6では、前後のロッド70が縮むと上側半割リング片28と下側半割リング片30との間隔が狭まり、閉状態のプッシャーリング22が構成される。前後のロッド70が伸びると上側半割リング片28と下側半割リング片30との間隔が広がり、開状態のプッシャーリング22が構成される。
【0043】
詳述しないが、上下移動手段44は、上側半割リング片28の上昇と下側半割リング片30の下降とを同期させる同期手段(図示されず)を備える。このタイヤ成形装置2では、上側半割リング片28及び下側半割リング片30は、プッシャーリング22の閉状態を基準とし、同距離を同じタイミングで上下に移動できる。
【0044】
図5は、閉状態のプッシャーリング22のリング部36を示す。この
図5には、リング部36の軸方向外側面が示される。
前述したように、このタイヤ成形装置2では、閉状態のプッシャーリング22がターンアップブラダー20に押し当てられる。閉状態のプッシャーリング22では、この
図5に示されるように、上側半割リング片28におけるハーフリング部32uの前端部72fu及び後端部72buと、下側半割リング片30におけるハーフリング部32sの前端部72fs及び後端部72bsとが突き合わされる。
【0045】
図6は、
図5に示されたプッシャーリング22の一部が示される。この
図6には、上側半割リング片28におけるハーフリング部32uの前端部72fuと、下側半割リング片30におけるハーフリング部32sの前端部72fsと、が突き合わされている状態が示される。
【0046】
図6に示されるように、それぞれの半割リング片26におけるハーフリング部32の前端部72fに連結具76が構成される。このタイヤ成形装置2では、連結具76はハーフリング部32のボディフレーム78に取り付けられる。上側半割リング片28及び下側半割リング片30のハーフリング部32は、その前端部72fを構成する連結具76と、連結具76が取り付けられるボディフレーム78とを備える。
【0047】
図7には、下側半割リング片30におけるハーフリング部32sの前端部72fsが示される。
図7Aにおいて、紙面の左右方向はタイヤ成形装置2の前後方向である。この紙面の右側がタイヤ成形装置2の前側である。この紙面の上下方向はタイヤ成形装置2の上下方向である。この紙面の上側がタイヤ成形装置2の上側である。この紙面に対して垂直な方向がタイヤ成形装置2の軸方向である。
図7Bにおいて、紙面の左右方向はタイヤ成形装置2の前後方向である。この紙面の右側がタイヤ成形装置2の前側である。この紙面の上下方向はタイヤ成形装置2の軸方向である。この紙面に対して垂直な方向がタイヤ成形装置2の上下方向である。この紙面の表側がタイヤ成形装置2の上側である。
【0048】
下側半割リング片30におけるハーフリング部32sの前端部72fs(以下、下側ハーフリング部32sの前端部72fsとも称される。)では、ボディフレーム78の端部に上下方向にのびる螺子穴80が刻まれる。
図7Aに示されるように、この端部に刻まれる螺子穴80は下向きにのびる。
このタイヤ成形装置2では、この螺子穴80にボルト82がねじ込まれる。連結具76には、ボルト82が通される貫通孔84が設けられる。連結具76の貫通孔84にボルト82を通し、ボディフレーム78の端部に設けた螺子穴80にこのボルト82をねじ込むことで、連結具76がボディフレーム78の端部に固定される。
図7Bに示されるように、このタイヤ成形装置2では、連結具76は、その四隅において、ボルト82を用いてボディフレーム78の端部に固定される
【0049】
このタイヤ成形装置2では、下側ハーフリング部32sの連結具76sが上下方向にのびるピン86を有する。
図7Aに示されるようにピン86は上向きにのびる。ピン86の大きさは、タイヤ成形装置2の仕様応じて適宜決められる。
【0050】
図8には、上側半割リング片28におけるハーフリング部32uの前端部76fuが示される。
図8Aにおいて、紙面の左右方向はタイヤ成形装置2の前後方向である。この紙面の右側がタイヤ成形装置2の前側である。この紙面の上下方向はタイヤ成形装置2の上下方向である。この紙面の上側がタイヤ成形装置2の上側である。この紙面に対して垂直な方向がタイヤ成形装置2の軸方向である。
図8Bにおいて、紙面の左右方向はタイヤ成形装置2の前後方向である。この紙面の右側がタイヤ成形装置2の前側である。この紙面の上下方向はタイヤ成形装置2の軸方向である。この紙面に対して垂直な方向がタイヤ成形装置2の上下方向である。この紙面の表側がタイヤ成形装置2の下側である。
【0051】
上側半割リング片28におけるハーフリング部32uの前端部76fu(以下、上側ハーフリング部32uの前端部76fuとも称される。)においても、前述の、下側ハーフリング部32sの前端部76fsと同様、ボディフレーム78の端部に上下方向にのびる螺子穴80が刻まれる。
図8Aに示されるように、この端部に刻まれる螺子穴80は上向きにのびる。
このタイヤ成形装置2では、この螺子穴80にボルト82がねじ込まれる。連結具76には、ボルト82が通される貫通孔84が設けられる。連結具76の貫通孔84にボルト82を通し、ボディフレーム78の端部に設けた螺子穴80にこのボルト82をねじ込むことで、連結具76がボディフレーム78の端部に固定される。
図8Bに示されるように、上側ハーフリング部32uの前端部72fuにおいても、前述の、下側ハーフリング部32sの前端部72fsと同様、連結具76は、その四隅において、ボルト82を用いてボディフレーム78の端部に固定される。
【0052】
このタイヤ成形装置2では、上側ハーフリング部32uの連結具76uには、上向きにのびるホール88が設けられる。このホール88に前述のピン86が差し込まれる。この上側ハーフリング部32uの連結具76uは、下側ハーフリング部32sの連結具76sに設けられるピン86が差し込まれるホール88を有する。このホール88の大きさは、ピン86の大きさを考慮して適宜決められる。
【0053】
このタイヤ成形装置2では、上側ハーフリング部32uの前端部72fuがピン86を有する連結具76で構成されてもよい。この場合、下側ハーフリング部32sの連結具76fsが、このピン86が差し込まれるホール88を有する。
【0054】
このタイヤ成形装置2では、次のようにして生タイヤが成形される。
バンドドラム8において、円筒状のタイヤケースCが形成される。タイヤケース搬送装置10によってタイヤケースCがシェーピング装置4に搬送される。タイヤケースCは一対のドラム部16によって保持される。タイヤケースCの赤道位置は基準位置CLに合わせられる。一対のビードリングBが両側からタイヤケースCに嵌められ、一対のビードリングBが嵌った円筒状のタイヤケースCが形成される。ベルトドラム12で形成したトレッドリングTが、トレッド搬送装置14によって、シェーピング装置4に搬送される。トレッドリングTの赤道位置が基準位置CLに合わせられる。
プッシャー装置6においては、各上下移動手段44が上側半割リング片28と下側半割リング片30とを遠ざけることで、各プッシャーリング22において開状態が構成される。開状態のプッシャーリング22は、軸方向においてドラム部16の外側に位置するように、配置される。
シェーピング装置4においては、ドラム部16を基準位置CLに向けて移動させてビードリングB同士を接近させながら内圧充填することにより、ケース本体部Cmがトロイダル状にふくらまされる。トレッドリングTの内周面に、ケース本体部Cmの膨出部分を押し付けて、トレッドリングTとケース本体部Cmとが接合される。接合されたトレッドリングTは、その両端部がケース本体部Cmに密に接合するように、ステッチローラ(図示されず)を用いてケース本体部Cmに押し付けられる。
プッシャー装置6の各前後移動台42が前方に移動することで、開状態の各プッシャーリング22が前方に移動する。プッシャーリング22におけるリング部36の軸芯が、シェーピング装置4における支持軸18の軸芯に合わせられる。
シェーピング装置4においては、ターンアップブラダー20が膨らまされ、ケース外側部分CsがビードリングBで折り返される。
プッシャー装置6の各上下移動手段44が上側半割リング片28と下側半割リング片30とを近づけることで、各ドラム部16の軸方向外側に、閉状態のプッシャーリング22が構成される。
横移動台40が基準位置CLに向けて移動することで、閉状態の各プッシャーリング22が膨張した各ターンアップブラダー20に押し当てられる。これにより、折り返された一対のケース外側部分Csがトロイダル状に膨張したケース本体部Cmに押し付けられる。両者が接合されることで、生タイヤが得られる。
【0055】
生タイヤの取り出しにおいては、ターンアップブラダー20内に充填した空気が排出され、折り畳まれた後、プッシャーリング22は閉状態を保ちながら軸方向外向きに動かされる。上下移動手段44が上側半割リング片28と下側半割リング片30とを遠ざけることで、開状態のプッシャーリング22が構成される。前後移動台42を後退させて、開状態のプッシャーリング22が待機位置まで後退させられる。生タイヤがシェーピング装置4から取り出され、次の生タイヤの成形が開始される。形成した生タイヤは、モールド内で加硫されることでタイヤが得られる。
【0056】
このタイヤ成形装置2では、従来のタイヤ成形装置と同様、プッシャーリング22を軸方向に移動させることでリング部36がターンアップブラダー20に押し付けられる。そのため、従来のタイヤ成形装置と同様、この押し付けによりプッシャーリング22に作用する荷重が、上側半割リング片28に偏って作用し、上側半割リング片28が取り付けられる上下移動手段44のガイド部62において破損が生じることが懸念される。
【0057】
このタイヤ成形装置2では、下側半割リング片30におけるハーフリング部32sの前端部72fsに設けられるピン86を、上側半割リング片28におけるハーフリング部32uの前端部72fuに設けられるホール88に差し込み、上側半割リング片28と下側半割リング片30とを組み合わせることで、プッシャーリング22の閉状態が構成される。閉状態のプッシャーリング22において、上側半割リング片28の前端部72fuは下側半割リング片30の前端部72fsに拘束される、又は、下側半割リング片30の前端部72fsは上側半割リング片28の前端部72fuに拘束される。そのため、上側半割リング片28と下側半割リング片30とは互いに独立してターンアップブラダー20を押し付けるのではなく、上側半割リング片28と下側半割リング片30とは一体となってターンアップブラダー20を押し付ける。
このタイヤ成形装置2では、プッシャーリング22がターンアップブラダー20を押し付けることによりこのプッシャーリング22に作用する荷重は、従来のタイヤ成形装置のように、上側半割リング片28に偏って作用するのではなく、プッシャーリング22全体に作用する。プッシャーリング22がターンアップブラダー20を押し付ける際にこのプッシャーリング22に作用する荷重は、プッシャーリング22全体に分散される。このタイヤ成形装置2では、ガイド部62の破損が防止される。
【0058】
図9には、従来のプッシャーリング92の一部が示される。このプッシャーリング92では、連結具94としてプレートを用い、半割リング片96のボディフレーム98の端部に軸方向にのびる螺子穴100が刻まれ、この螺子穴100にボルト102をねじ込むことで連結具94がボディフレーム98の端部に固定される。このプッシャーリング92では、上側半割リング片96uの連結具94としてのプレートの先端部が、下側半割リング片96sの連結具94に設けられた窪み104に差し込まれる。そのため、このプッシャーリング92においても、連結具94が、上側半割リング片96uの前端部106fuと下側半割リング片96sの前端部106fsとを拘束する。
しかし、このプッシャーリング92では、ターンアップブラダーを押し付ける際のプッシャーリング92の移動方向に、螺子穴100の向きが一致する。しかもこの螺子穴100はボディフレーム98の軸方向外側面から軸方向内向きにのびる。そのため、プッシャーリング92がターンアップブラダーを押し付けることでこのプッシャーリング92に作用する荷重が螺子穴100からボルト102を引き抜く方向に作用する。プッシャーリング92はターンアップブラダーを繰り返し押し付けるので、ボルト102に緩みが生じることが懸念される。ボルト102の緩みは、上側半割リング片96uと下側半割リング片96sとの一体性を低下させる。
【0059】
このタイヤ成形装置2では、前述したように、半割リング片26のボディフレーム78の端部に上下方向にのびる螺子穴80が刻まれ、この螺子穴80にボルト82をねじ込むことで連結具76がボディフレーム78の端部に固定される。このタイヤ成形装置2では、連結具76を固定するための螺子穴80の向きは、ターンアップブラダー20を押し付ける際のプッシャーリング22の移動方向に一致しない。そのため、プッシャーリング22がターンアップブラダー20を繰り返し押し付けても、ボルト82に緩みが生じることが防止される。
このタイヤ成形装置2では、連結具76が拘束部材として安定に機能するので、閉状態のプッシャーリング22における、上側半割リング片28と下側半割リング片30との一体性が保持される。このタイヤ成形装置2では、ガイド部62の破損が防止される。
【0060】
このタイヤ成形装置2では、生タイヤが安定に生産される。このタイヤ成形装置2は、タイヤの安定生産に貢献できる。
【0061】
このタイヤ成形装置2では、半割リング片26のボディフレーム78の端部に刻まれる螺子穴80は上下方向にのびる。ターンアップブラダー20を押し付ける際、プッシャーリング22は軸方向に動かされるので、この螺子穴80にねじ込まれるボルト82には、ボルト82を剪断する方向に荷重が作用する。ボルト82の剪断方向の耐荷重はその引張方向の耐荷重よりも低いため、プッシャーリング22がターンアップブラダー20を押し付けることでこのプッシャーリング22に作用する荷重によってボルト82が破損することが懸念される。
【0062】
しかし、このタイヤ成形装置2では、
図7B及び
図8Bに示されるように、連結具76は、その四隅において、ボルト82を用いてボディフレーム78の端部に固定される。ボルト82一本あたりに作用する荷重が効果的に低減されるので、ボルト82の破損が防止される。このタイヤ成形装置2では、連結具76が拘束部材として安定に機能するので、閉状態のプッシャーリング22における、上側半割リング片28と下側半割リング片30との一体性が保持される。このタイヤ成形装置2では、ガイド部62の破損が防止される。このタイヤ成形装置2は、タイヤの安定生産に貢献できる。この観点から、このタイヤ成形装置2では、連結具76は、その四隅において、ボルト82を用いてボディフレーム78の端部に固定されるのが好ましい。
【0063】
以上説明したように、本発明によれば、タイヤの安定生産に貢献できる、タイヤ成形装置2が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0064】
以上説明された、タイヤ成形装置は、種々のタイヤの製造に適用されうる。
【符号の説明】
【0065】
2・・・タイヤ成形装置
4・・・シェーピング装置
6・・・プッシャー装置
16・・・ドラム部
20・・・ターンアップブラダー
22・・・プッシャーリング
24・・・プッシャーユニット
26・・・半割リング片
28・・・上側半割リング片
30・・・下側半割リング片
32、32s、32u・・・ハーフリング部
34・・・アーム部
36・・・リング部
40・・・横移動台
42・・・前後移動台
44・・・上下移動手段
62・・・ガイド部
72f、72fu、72fs・・・ハーフリング部32の前端部
76、76s、76u・・・連結具
78・・・ボディフレーム
80・・・螺子穴
82・・・ボルト
86・・・ピン
88・・・ホール
B・・・ビードリング
C・・・タイヤケース
Cm・・・ケース本体部
Cs・・・ケース外側部分
T・・・トレッドリング