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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022188451
(43)【公開日】2022-12-21
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
   F21S 41/29 20180101AFI20221214BHJP
   F21W 102/00 20180101ALN20221214BHJP
   F21W 103/20 20180101ALN20221214BHJP
   F21W 103/10 20180101ALN20221214BHJP
   F21W 103/55 20180101ALN20221214BHJP
   F21W 103/45 20180101ALN20221214BHJP
【FI】
F21S41/29
F21W102:00
F21W103:20
F21W103:10
F21W103:55
F21W103:45
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021096486
(22)【出願日】2021-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】000002303
【氏名又は名称】スタンレー電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 一弘
(72)【発明者】
【氏名】長瀬 雅彦
(72)【発明者】
【氏名】重松 健司
(57)【要約】
【課題】組み立て時において、固定部材に固定された被固定部材が自重により垂れ下がることで生じる不具合を抑制できる、車両用灯具を提供する。
【解決手段】本発明は、基準軸に沿う第1方向において互いに固定された固定部材と被固定部材とを備える車両用灯具において、固定部材は、被固定部材を固定する固定部と、第1方向と異なる方向に延び、第1方向において被固定部材の背面側に対向するリブと、を有し、第1方向に平面視した場合において、固定部は、第1方向に直交する第2方向の一方側に位置し、リブは基準軸に対して第2方向の他方側に位置する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基準軸に沿う第1方向において互いに固定された固定部材と被固定部材とを備える車両用灯具において、
前記固定部材は、前記被固定部材を固定する固定部と、前記第1方向と異なる方向に延び、前記第1方向において前記被固定部材の背面側に対向するリブと、を有し、
前記第1方向に平面視した場合において、前記固定部は、前記第1方向に直交する第2方向の一方側に位置し、前記リブは前記基準軸に対して前記第2方向の他方側に位置する
車両用灯具。
【請求項2】
前記被固定部材は、前記固定部材の前記リブに引っ掛かる引っ掛け部を有しており、
前記リブは、
前記第1方向と前記第1方向および前記第2方向に直交する第3方向とを含む第1面に沿う断面内において、
前記第1方向および前記第3方向に交差する方向に延び、前記引っ掛け部に対向する第1対向部を有する
請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記第1方向と前記第2方向とを含む第2面に沿う断面において、
前記リブは、前記第2方向に延び、前記第1方向において前記引っ掛け部に対向する第2対向部を有する
請求項2に記載の車両用灯具。
【請求項4】
前記固定部は、前記第1方向および前記第2方向に直交する第3方向に並ぶ複数のネジ固定部を有する
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の車両用灯具。
【請求項5】
前記固定部材はレンズであり、
前記被固定部材はエクステンションである
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の車両用灯具。
【請求項6】
前記基準軸は前記レンズの光軸である
請求項5に記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用灯具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ハウジングとレンズとで構成された灯室内にエクステンションを備えた車両用灯具がある(例えば、下記特許文献1参照)。この車両用灯具において、エクステンションはレンズに固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-054175号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記車両用灯具のようにエクステンション(被固定部材)をレンズ(固定部材)に固定する場合、エクステンションの固定部分が片持ち状態とならないように、例えば、光軸一方側に位置する上側と光軸他方側に位置する下側との2箇所でエクステンションをレンズに固定する構造を採用することが好ましい。
通常、固定部分はレンズ意匠面よりも外側のスペースに形成することが望ましいが、レンズの形状や大きさ等の制約からレンズ意匠面の外側に固定部用のスペースを十分に確保できず、1つの固定部により片持ち状態でレンズとエクステンションとを固定せざるを得ない状況も考えられる。このように片持ち状態でレンズとエクステンションとが固定される場合、組み立て工程の途中で、エクステンションが自重によってレンズから垂れ下がることで他の部品に干渉することで傷がついたり、破損することで製品の品質低下を招く恐れがあった。
【0005】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、組み立て時において、固定部材に固定された被固定部材が自重により垂れ下がることで生じる不具合を抑制できる、車両用灯具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に従えば、基準軸に沿う第1方向において互いに固定された固定部材と被固定部材とを備える車両用灯具において、前記固定部材は、前記被固定部材を固定する固定部と、前記第1方向と異なる方向に延び、前記第1方向において前記被固定部材の背面側に対向するリブと、を有し、前記第1方向に平面視した場合において、前記固定部は、前記第1方向に直交する第2方向の一方側に位置し、前記リブは前記基準軸に対して前記第2方向の他方側に位置する車両用灯具が提供される。
【0007】
上記車両用灯具において、前記被固定部材は、前記固定部材の前記リブに引っ掛かる引っ掛け部を有しており、前記リブは、前記第1方向と前記第1方向および前記第2方向に直交する第3方向とを含む第1面に沿う断面内において、前記第1方向および前記第3方向に交差する方向に延び、前記引っ掛け部に対向する第1対向部を有する構成としてもよい。
【0008】
上記車両用灯具において、前記第1方向と前記第2方向とを含む第2面に沿う断面において、前記リブは、前記第2方向に延び、前記第1方向において前記引っ掛け部に対向する第2対向部を有する構成としてもよい。
【0009】
上記車両用灯具において、前記固定部は、前記第1方向および前記第2方向に直交する第3方向に並ぶ複数のネジ固定部を有する構成としてもよい。
【0010】
上記車両用灯具において、前記固定部材はレンズであり、前記被固定部材はエクステンションである構成としてもよい。
【0011】
上記車両用灯具において、前記基準軸は前記レンズの光軸である構成としてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、車両用灯具において、組み立て時において、固定部材に固定された被固定部材が自重により垂れ下がることで生じる不具合を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】一実施形態の車両用灯具の構成を示す分解斜視図である。
図2】一実施形態の車両用灯具の要部構成を示す図である。
図3図2のIII-III線矢視による断面図である。
図4図2のIV-IV線矢視による断面図である。
図5】比較例の構成においてレンズをハウジングに取り付ける図である。
図6】実施形態の構成においてレンズをハウジングに取り付ける図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
なお、以下の説明で用いる図面においては、各構成要素を見やすくするため、構成要素によって寸法の縮尺を異ならせて示すことがあり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
【0015】
以下、本発明の一実施形態である車両用灯具について図面を参照しながら説明する。
本実施形態の車両用灯具は、図示されない車両の左右前方に搭載されるヘッドランプに本発明を適用したものである。
【0016】
図1は、本実施形態の車両用灯具の構成を示す分解斜視図である。
以下に用いる各図面では、XYZ直交座標系を設定して各部材の構成を説明する。また、以下の説明において、「前」「後」「左」「右」「上」「下」との記載は、特に断りのない限り、車両用灯具を背面(車両後方)から見たときのそれぞれの方向を意味するものとする。したがって、車両を前面(車両前方)から見たときのそれぞれの方向とは、前後左右を逆にした方向となる。
【0017】
例えば、X軸は車両用灯具の前後方向に沿う軸に対応し、Y軸は車両に搭載された車両用灯具の左右方向に沿う軸に対応し、Z軸は車両用灯具の上下に沿う軸に対応する。本明細書において、+X側とは車両用灯具の前側、-X側とは車両用灯具の後側、+Y側とは車両用灯具の右側、-Y側とは車両用灯具の左側、+Z側とは車両用灯具の上側、-Z側とは車両用灯具の下側、にそれぞれ対応する。また、以下、前後方向X、左右方向Y、上下方向Zと表記する場合がある。
【0018】
図1に示すように、本実施形態の車両用灯具1は、レンズ2と、エクステンション3と、図示されないハウジングと、を備えている。レンズ2は、図示されないハウジングの開口を覆うことで灯体を構成する。なお、灯体の形状については、車両のデザイン等に合わせて、適宜変更することが可能である。本実施形態の場合、レンズ2の光軸AXは車両用灯具1の前後方向Xに沿うX軸に一致している。
なお、エクステンション3は、遮光性を有する黒色の樹脂成形体からなる。エクステンション3は、車両のデザイン等に合わせて、適宜変更することが可能である。
【0019】
本実施形態の車両用灯具1において、レンズ2およびエクステンション3は、レンズ2の光軸(基準軸)AXに沿う前後方向X(第1方向)において互いに固定されている。すなわち、レンズ2およびエクステンション3はX軸方向において互いに固定されている。
【0020】
エクステンション3は、レンズ2の光入射側(後側:-X側)に固定されている。本実施形態の場合、レンズ2はエクステンション3を固定する固定部材に相当し、エクステンション3はレンズ2に固定される被固定部材に相当する。
【0021】
レンズ2は、レンズ本体2Aと、固定部20と、リブ21と、を有する。固定部20およびリブ21はレンズ本体2Aと一体に設けられている。
固定部20は、エクステンション3を固定するための部位である。本実施形態の場合、エクステンション3は、レンズ2に対してネジ固定される。なお、レンズ2に対するエクステンション3の固定方法は、ネジ固定に限定されず、接着固定や溶着固定等でもよい。
【0022】
エクステンション3は、エクステンション本体3Aと、被固定部30と、を有する。エクステンション本体3Aおよび被固定部30は一体に設けられている。被固定部30は、レンズ2の固定部20に固定される部位である。
【0023】
以下、光軸AXに沿う前後方向Xに視た状態を単に「平面視」と称す。
平面視した場合において、固定部20は、上下方向Z(第2方向)の一方側(下側:-Z側)に位置する。
固定部20は、左右方向Y(第3方向)に並ぶ2つのネジ固定部22を有する。固定部20は、左右方向Yにおける2箇所でレンズ2およびエクステンション3を安定して固定することができる。各ネジ固定部22には、ネジ部材23を固定するためのネジ穴22aと、エクステンション3との位置決め用のピン22bと、が設けられている。
【0024】
一方、エクステンション3において、被固定部30は、レンズ2のネジ固定部22に対応する位置に設けられた、ネジ部材23を挿入するためのネジ用開口5と、位置決め用のピン22bを挿入するためのピン用開口6と、を有している。
【0025】
固定部20は、車両における意匠の一部をなす意匠領域とは異なる非意匠領域に設けられている。ここで、非意匠領域とは車両に車両用灯具1が搭載された際、表面に露出されることなく車両のデザイン性に寄与しない領域である。
【0026】
本実施形態の車両用灯具1の場合、灯具の大きさやデザイン等といった制約から光軸AXの下側(-Z側)にしか非意匠領域を形成することができない。そのため、本実施形態の場合、車両用灯具1は、光軸AXに対して一方側(下側)のみに固定部20が設けられている。
【0027】
リブ21は、前後方向Xと異なる方向に延び、前後方向Xにおいてエクステンション3の背面側(後側)に対向する。リブ21は、エクステンション3の背面側に対向することで、エクステンション3の背面側を支持する。これにより、リブ21は、エクステンション3の前後方向における移動を規制する位置規制部材として機能する。
【0028】
本実施形態の場合、リブ21は、レンズ成形時の型抜き方向を調整することでレンズ2と一体に形成可能である。例えば、リブ21は、レンズ2のレンズ本体2Aおよび固定部20を成形する主型の型抜き方向と異なる浮動スライド方向に延びるように形成される。本実施形態の場合、主型の型抜き方向は前後方向Xに相当し、浮動スライド方向は前後方向Xに対して斜め方向に相当する。
【0029】
平面視した場合において、リブ21は、光軸AXに対して上下方向Zの他方側(上側:+Z側)に位置する。
すなわち、本実施形態の車両用灯具1は、光軸AXに対して上側に設けられたリブ21と、光軸AXに対して下側に設けられた固定部20と、を有している。なお、レンズ2において、レンズ重心はリブ21および固定部20の間に位置するように設定することが望ましい。
【0030】
図2は、本実施形態の車両用灯具の要部構成を示す図である。図2は、レンズ2にエクステンション3を固定した状態におけるリブ21の周辺における要部構成を示している。なお、図2では、図を見易くするため、レンズ2とエクステンション3の外見に異なるドットを付している。
図3は、図2のIII-III線矢視による断面図である。図3は、XY面に沿う面による断面図である。
図4は、図2のIV-IV線矢視による断面図である。図4は、XZ面に沿う面による断面図である。
【0031】
図2および図3に示すように、エクステンション3は、レンズ2のリブ21に引っ掛かる引っ掛け部31を有している。引っ掛け部31は、エクステンション3の上端の後側(-X側)に設けられている。図3および図4に示すように、リブ21は第1対向部24および第2対向部25を有する。引っ掛け部31は、第1突出部34および第2突出部35を有する。
【0032】
図3に示すように、前後方向Xと左右方向Yとを含むXY面(第1面)に沿う断面において、リブ21の第1対向部24は、前後方向Xおよび左右方向Yに交差する、右斜め後方に向かって延びる。第1対向部24は、第1突出部34に対向し、平面からなる第1対向面24aを有する。
【0033】
第1突出部34は、エクステンション本体3Aから左斜め前方にフック状に延び、第1対向部24の第1対向面24aに対向することで引っ掛けられる部位である。第1突出部34は、第1対向部24の先端241から基部242側に向かって延びる。第1突出部34は、第1対向部24の第1対向面24aに対向し、平面からなる第3対向面34aを有する。
【0034】
図3では、図を見易くするため、第1対向部24の第1対向面24aと第1突出部34の第3対向面34aとの間に隙間を設けているが、第1対向面24aおよび第3対向面34aは当接した状態とされてもよい。本明細書において、第1対向部24に第1突出部34が引っ掛けられた状態とは、図3に示すように第1対向部24および第1突出部34の間に隙間が生じた状態のみ限られず、第1対向部24および第1突出部34が当接した状態も含む。
【0035】
図3に示すように、第1対向部24に第1突出部34が引っ掛けられた状態において、第1突出部34の先端341は第1対向部24の先端241よりも基部242側に位置する。これにより、リブ21の第1対向部24が前後方向Xにおいて第1突出部34の背面側(-X側)に対向した状態とされる。
【0036】
このように、本実施形態のエクステンション3は、第1突出部34の背面側(-X側)にリブ21が対向した状態とされるので、光軸AXの上側において、後側への移動が規制された状態でレンズ2に固定される。
【0037】
なお、本実施形態の場合、第1対向部24に第1突出部34が引っ掛けられた状態において、第1突出部34の先端341とレンズ2との間には隙間S1が設けられている。そのため、第1対向部24に第1突出部34を引っ掛ける際、第1突出部34の先端341がレンズ2に接触することによる破損を抑制できる。
【0038】
また、前後方向Xと上下方向Zとを含むXZ面(第2面)に沿う断面において、リブ21の第2対向部25は、図4に示すように、上下方向Zの下側(-Z側)に延びている。第2対向部25は、第2突出部35に対向し、平面からなる第2対向面25aを有する。
【0039】
第2突出部35は、エクステンション本体3Aから上側にフック状に延び、第2対向部25の第2対向面25aに対向することで引っ掛けられる部位である。第2突出部35は、第2対向部25の先端251から基部252側に向かって延びる。第2突出部35は、第2対向部25の第2対向面25aに対向し、平面からなる第4対向面35aを有する。
【0040】
図4では、図を見易くするため、第2対向部25の第2対向面25aと第2突出部35の第4対向面35aとの間に隙間を設けているが、第2対向面25aおよび第4対向面35aは当接した状態とされてもよい。本明細書において、第2対向部25に第2突出部35が引っ掛けられた状態とは、図4に示すように第2対向部25および第2突出部35の間に隙間が生じた状態のみに限られず、第2対向部25および第2突出部35が当接した状態も含む。
【0041】
図4に示すように、第2対向部25に第2突出部35が引っ掛けられた状態において、第2突出部35の先端351は第2対向部25の先端251よりも基部252側に位置する。これにより、リブ21の第2対向部25が前後方向Xにおいて第2突出部35の背面側(-X側)に対向した状態とされる。
【0042】
このように、本実施形態のエクステンション3は、第2突出部35の背面側(-X側)にリブ21が対向した状態とされるので、光軸AXの上側において、後側への移動が規制された状態でレンズ2に固定される。
【0043】
なお、本実施形態の場合、第2対向部25に第2突出部35が引っ掛けられた状態において、第2突出部35の先端351とレンズ2との間には隙間S2が設けられている。そのため、第2対向部25に第2突出部35を引っ掛ける際、第2突出部35の先端351がレンズ2に接触することによる破損を抑制できる。
【0044】
続いて、本実施形態の車両用灯具1を組み立てる工程について説明する。
まず、レンズ2とエクステンション3とを位置合わせし、エクステンション3をレンズ2に取り付ける。本実施形態の場合、レンズ2のリブ21とエクステンション3の引っ掛け部31とを利用して、レンズ2とエクステンション3の位置合わせを行う。
【0045】
具体的に、図3に示した第1対向部24の第1対向面24aに、引っ掛け部31の第1突出部34の第3対向面34aを沿わせるようにし、符号Aの矢印で示される方向に沿ってエクステンション3をスライドさせることで、エクステンション3をレンズ2に対して取り付ける。
また、図4に示した引っ掛け部31の第2突出部35の先端351が第2対向部25の先端251に接触しないように、エクステンション3をレンズ2に対して、符号Bの矢印で示す斜め下方から上方に向かって移動させる。
【0046】
このようにして、レンズ2は、エクステンション3の引っ掛け部31をリブ21に沿わせることでエクステンション3をレンズ2に対してガイドしつつ、レンズ2の固定部20側のピン22bをエクステンション3の被固定部30側のピン用開口6に挿入することで、エクステンション3がレンズ2の所定位置に配置される。
すなわち、本実施形態の車両用灯具1によれば、リブ21および引っ掛け部31を、レンズ2およびエクステンション3を位置合わせする際のガイドとして利用することができる。
【0047】
エクステンション3とレンズ2とを位置合わせした後、ネジ部材23を介してエクステンション3の被固定部30とレンズ2の固定部20とを固定することで、レンズ2およびエクステンション3をネジ固定する。
【0048】
続いて、エクステンション3を取り付けたレンズ2をハウジングに取り付ける。
ここで、レンズ2をハウジングに固定する際、レンズ2の内面側を下方に向けた状態でハウジングに固定する状況となる場合がある。
【0049】
以下、リブ21および引っ掛け部31を設けない構成の車両用灯具を比較例とし、本実施形態の車両用灯具1の作用効果について説明する。
図5は比較例の構成において、レンズ2をハウジングHGに組み付ける組み立て工程を示す図である。図6は本実施形態の構成において、レンズ2をハウジングHGに組み付ける組み立て工程を示す図である。
【0050】
図5に示すように、比較例の構成の場合、リブ21および引っ掛け部31を有しないため、光軸AXの一方側(下側)に設けられた固定部20のみでレンズ2およびエクステンション3が固定された状態とされる。エクステンション3は光軸AXの一端側のみが固定部20で固定された状態、すなわち、片持ち状態でレンズ2に固定された状態とされる。
【0051】
このように片持ち状態で固定されたエクステンション3は、その自重によって、固定部20を通る仮想線で規定される回転軸Oを中心として、固定部20と反対側の端部13が回転することで下方に垂れ下がる。このとき、下方に垂れ下がった端部がハウジングHGや他の部品に干渉し、エクステンション3やハウジングHGが傷付いたり、割れや欠けなどの損傷が生じることで、車両用灯具の品質や信頼性を損なう恐れがあった。
【0052】
ここで、別の比較例の構成として、レンズ2の主型における型抜き方向(前後方向X)に延在するリブを設けた場合について考える。このように前後方向Xに延びるリブは、エクステンション3の背面側に対向する面を有しないため、エクステンション3の下方への垂れ下がりを抑制できない。
【0053】
これに対して本実施形態の車両用灯具1は、基準軸に沿う前後方向Xにおいて互いに固定されたレンズ2とエクステンション3とを備えており、レンズ2は、エクステンション3を固定する固定部20と、前後方向Xと異なる方向に延び、前後方向Xにおいてエクステンション3の背面側に対向するリブ21と、を有し、前後方向Xに平面視した場合において、固定部20は、前後方向Xに直交する上下方向Zの一方側(-Z側)に位置し、リブ21は基準軸に対して上下方向Zの他方側(+Z側)に位置する。
本実施形態の場合、固定部材はレンズ2であり、被固定部材はエクステンション3である。また、基準軸はレンズ2の光軸AXである。
【0054】
本実施形態の車両用灯具1によれば、灯具の大きさやデザイン等といった制約から光軸AXの下側(-Z側)のみに固定部20が設けられるが、光軸AXを挟んで固定部20と反対側に設けられた、前後方向Xに交差する方向に延び、エクステンション3の背面に対向するリブ21によって、エクステンション3の後方(下方)への移動を規制することができる。
【0055】
したがって、本実施形態の車両用灯具1によれば、図6に示すように、レンズ2をハウジングHGに組み付ける組み立て工程において、固定部20を回転軸とするエクステンション3の自重による垂れ下がりが抑制される。そのため、下方に垂れ下がったエクステンション3がハウジングHGや他の部品に干渉することで傷つけたり、割れや欠けなどの損傷を生じさせることによる品質や信頼性の低下を抑制できる。
【0056】
また、本実施形態の車両用灯具1において、エクステンション3は、レンズ2のリブ21に引っ掛かる引っ掛け部31を有しており、リブ21は、XY面内において、前後方向Xおよび左右方向Yに交差する、右斜め後方に向かって延び、引っ掛け部31に対向する第1対向部24を有している。
本実施形態の構成によれば、リブ21の第1対向部24が前後方向Xにおいて第1突出部34の背面側(-X側)に対向した状態とされるので、光軸AXの上側において、エクステンション3における後側への移動を規制することができる。よって、上述したエクステンション3の自重による垂れ下がりを抑制する構成を実現できる。エクステンション3の引っ掛け部31をリブ21の第1対向部24に沿わせることでエクステンション3をレンズ2に対してガイドすることができる。よって、リブ21および引っ掛け部31を、レンズ2およびエクステンション3を位置合わせする際のガイドとして利用することで車両用灯具1の組み立て性を向上できる。
【0057】
また、本実施形態の車両用灯具1において、XZ面に沿う断面において、リブ21は、上下方向Zに延び、前後方向Xにおいて引っ掛け部31に対向する第2対向部25をさらに有している。
本実施形態の構成によれば、第1対向部24とともに第2対向部25が前後方向Xにおいて引っ掛け部31(第2突出部35)の背面側(-X側)に対向した状態とされる。これにより、リブ21は、光軸AXの上側における2箇所において、エクステンション3における後側への移動を規制することができる。よって、上述したエクステンション3の自重による垂れ下がりをより抑制できる。
【0058】
また、本実施形態の車両用灯具1において、固定部20は、左右方向Yに並ぶ複数のネジ固定部22を有している。
本実施形態の構成によれば、左右方向Yにおける複数箇所でレンズ2およびエクステンション3を安定して固定することができる。
【0059】
また、本実施形態の車両用灯具1において、固定部材はレンズ2であり、被固定部材はエクステンション3である。
本実施形態の構成によれば、エクステンション3をレンズ2に取り付ける場合において、エクステンション3の自重による垂れ下がりを抑制した車両用灯具1を提供できる。
【0060】
なお、本発明は、上記実施形態のものに必ずしも限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記実施形態では、固定部材としてのレンズ2と、被固定部材としてのエクステンション3を備える車両用灯具1を例に挙げたが、本発明は、車両用灯具を構成する他の部品同士の固定構造、例えば、エクステンションとリフレクターとの固定構造にも適用してもよい。
【0061】
また、上記実施形態では、左右方向Yにおける2箇所でレンズ2およびエクステンション3をネジ固定する場合を例に挙げたが、ネジ固定部を1箇所、あるいは3箇所以上設けてもよい。
【0062】
また、上記実施形態では、ヘッドランプに本発明を適用した場合を例に挙げたが、本発明が適用される車両用灯具については、例えば、ターンランプ、車幅灯(ポジションランプ)、昼間点灯用ランプ(DRL)、バックランプなどにも幅広く適用することが可能である。
【符号の説明】
【0063】
1…車両用灯具、2…レンズ(固定部材)、3…エクステンション(被固定部材)、20…固定部、21…リブ、22…ネジ固定部、24…第1対向部、25…第2対向部、30…引っ掛け部、AX…光軸(基準軸)、X…前後方向(第1方向)、Y…左右方向(第3方向)、Z…上下方向(第2方向)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6