IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社日本自動車部品総合研究所の特許一覧 ▶ 株式会社デンソーの特許一覧

<>
  • 特開-燃料電池システム 図1
  • 特開-燃料電池システム 図2
  • 特開-燃料電池システム 図3
  • 特開-燃料電池システム 図4
  • 特開-燃料電池システム 図5
  • 特開-燃料電池システム 図6
  • 特開-燃料電池システム 図7
  • 特開-燃料電池システム 図8
  • 特開-燃料電池システム 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022188468
(43)【公開日】2022-12-21
(54)【発明の名称】燃料電池システム
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/0432 20160101AFI20221214BHJP
   H01M 8/0606 20160101ALI20221214BHJP
   H01M 8/04746 20160101ALI20221214BHJP
   H01M 8/12 20160101ALN20221214BHJP
【FI】
H01M8/0432
H01M8/0606
H01M8/04746
H01M8/12 101
H01M8/12 102A
H01M8/12 102B
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021096519
(22)【出願日】2021-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】000004695
【氏名又は名称】株式会社SOKEN
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】弁理士法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】青地 高伸
(72)【発明者】
【氏名】小島 隆義
(72)【発明者】
【氏名】長田 康弘
【テーマコード(参考)】
5H126
5H127
【Fターム(参考)】
5H126BB06
5H127AA07
5H127AC06
5H127BA02
5H127BA05
5H127BA13
5H127BA20
5H127BA34
5H127BA37
5H127BA57
5H127BA59
5H127BB02
5H127BB12
5H127BB19
5H127BB27
5H127BB37
5H127DB79
5H127DC85
(57)【要約】
【課題】オフガス燃焼器の第1排ガスによって改質器を加熱するとともに、暖機用燃焼器の第2排ガスによって改質器を加熱する場合において、燃料電池へ熱を供給しつつ、改質器の過昇温を抑制する。
【解決手段】
燃料電池システム1は、オフガス燃焼器53で生成した第1排ガスが改質器33へ放熱しながら流れる第1排ガス通路54と、暖機用燃焼器60で生成した第2排ガスが燃料電池10および改質器33へ放熱しながら流れる第2排ガス通路61と、第1排ガス通路54のうち改質器33よりも下流側を流れる第1排ガスの一部を暖機用燃焼器60に導入する導入通路70と、導入通路70の開閉を行う調整部71とを備える。第1排ガスおよび第2排ガスによって改質器33を加熱する場合において、改質器温度センサ101が検出した改質器温度が上限しきい値よりも高いとき、制御装置は、第1排ガスが導入通路70を流れるように、調整部71の作動を制御する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池システムであって、
改質触媒による改質反応により原料ガスを改質して燃料ガスを生成する改質器(33)と、
前記改質器の温度を検出する温度センサ(101)と、
前記燃料ガスと酸化剤ガスとの電気化学反応により発電する固体酸化物型の燃料電池(10)と、
前記電気化学反応に用いられなかった前記燃料ガスであるオフ燃料ガスと前記電気化学反応に用いられなかった前記酸化剤ガスであるオフ酸化剤ガスとを燃焼させて第1排ガスを生成するオフガス燃焼器(53)と、
前記オフガス燃焼器に接続され、前記改質器へ放熱させながら前記燃料電池システムの外部に向けて前記第1排ガスを流す第1排ガス通路(54)と、
前記燃料電池および前記改質器を暖機するために、暖機用燃料と暖機用空気との混合ガスを燃焼させて第2排ガスを生成する暖機用燃焼器(60)と、
前記暖機用燃焼器に接続され、前記燃料電池および前記改質器へ放熱させながら、前記オフガス燃焼器に向けて前記第2排ガスを流す第2排ガス通路(61)と、
前記第1排ガス通路のうち前記改質器よりも下流側の部分に接続され、前記第1排ガスの一部を前記暖機用燃焼器に導入する導入通路(70)と、
前記導入通路の開閉を行うとともに前記導入通路を流れる前記第1排ガスの流量を調整する調整部(71)と、
前記調整部の作動を制御する制御装置(100)とを備え、
前記オフガス燃焼器が生成した前記第1排ガスによって前記改質器を加熱するとともに、前記暖機用燃焼器が生成した前記第2排ガスによって前記改質器を加熱している場合において、前記温度センサが検出した前記改質器の温度が基準温度よりも高いときに、前記制御装置は、前記第1排ガスが前記暖機用燃焼器に導入されるように、前記調整部を制御する、燃料電池システム。
【請求項2】
前記燃料電池システムは、
前記暖機用燃焼器へ暖機用燃料を送るとともに前記暖機用燃焼器への燃料供給量を調整する暖機用燃料ブロア(64)と、
前記暖機用燃焼器へ暖機用空気を送るとともに前記暖機用燃焼器への空気供給量を調整する暖機用空気ブロア(65)と、をさらに備え、
前記温度センサが検出した前記改質器の温度が前記基準温度よりも高いときに、前記制御装置は、前記暖機用燃焼器の燃焼が断続して行われること、前記暖機用燃焼器への燃料供給量が減量されること、前記暖機用燃焼器への空気供給量が増量されることのうちの少なくとも1つが行われるように、前記暖機用燃料ブロアと前記暖機用空気ブロアとのそれぞれの作動を制御する、請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項3】
燃料電池システムであって、
改質触媒による改質反応により原料ガスを改質して燃料ガスを生成する改質器(33)と、
前記改質器の温度を検出する温度センサ(101)と、
前記燃料ガスと酸化剤ガスとの電気化学反応により発電する固体酸化物型の燃料電池(10)と、
前記電気化学反応に用いられなかった前記燃料ガスであるオフ燃料ガスと前記電気化学反応に用いられなかった前記酸化剤ガスであるオフ酸化剤ガスとを燃焼させて第1排ガスを生成するオフガス燃焼器(53)と、
前記オフガス燃焼器に接続され、前記改質器へ放熱させながら前記燃料電池システムの外部に向けて前記第1排ガスを流す第1排ガス通路(54)と、
前記燃料電池および前記改質器を暖機するために、暖機用燃料と暖機用空気との混合ガスを燃焼させて第2排ガスを生成する暖機用燃焼器(60)と、
前記暖機用燃焼器に接続され、前記燃料電池および前記改質器へ放熱させながら、前記オフガス燃焼器に向けて前記第2排ガスを流す第2排ガス通路(61)と、
前記暖機用燃焼器へ暖機用燃料を送るとともに前記暖機用燃焼器への燃料供給量を調整する暖機用燃料ブロア(64)と、
前記暖機用燃焼器へ暖機用空気を送るとともに前記暖機用燃焼器への空気供給量を調整する暖機用空気ブロア(65)と、
前記暖機用燃料ブロアおよび前記暖機用空気ブロアの作動を制御する制御装置(100)とを備え、
前記オフガス燃焼器が生成した前記第1排ガスによって前記改質器を加熱するとともに、前記暖機用燃焼器が生成した前記第2排ガスによって前記改質器を加熱している場合において、前記温度センサが検出した前記改質器の温度が基準温度よりも高いときに、前記制御装置は、前記暖機用燃焼器の燃焼が断続して行われること、前記暖機用燃焼器への燃料供給量が減量されること、前記暖機用燃焼器への空気供給量が増量されることのうちの少なくとも1つが行われるように、前記暖機用燃料ブロアと前記暖機用空気ブロアとのそれぞれの作動を制御する、燃料電池システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、燃料ガスと酸化剤ガスとの電気化学反応により発電する固体酸化物型の燃料電池を備える燃料電池システムが開示されている。この燃料電池システムは、改質器、オフガス燃焼器、暖機用燃焼器等を備えている。改質器は、改質触媒による改質反応により原料ガスを改質して燃料ガスを生成する。オフガス燃焼器は、燃料電池から排出されたオフ燃料ガスとオフ酸化剤ガスとを燃焼させて第1排ガスを生成する。第1排ガスは、改質器の加熱に用いられる。暖機用燃焼器は、燃料電池および改質器を暖機するために、暖機用燃料と暖機用空気との混合ガスを燃焼させて第2排ガスを生成する。第2排ガスは、燃料電池および改質器の加熱に用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-32823号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した構成の燃料電池システムの運転として、発電モードでの運転と、休止モードでの運転とが考えられる。発電モードは、燃料電池に対して所定電力の出力が要求されているときの運転モードである。休止モードは、燃料電池に対して電力の出力が要求されていないときの運転モードであって、発電モードへの切り替えが直ちに行えるように、燃料電池、改質器等の各種機器の暖機状態を維持する運転モードである。
【0005】
ここで、燃料電池の燃料極に用いられる触媒は、酸素の存在下で高温になると、酸化劣化する。このため、休止モードでは、燃料極の触媒の酸化劣化を抑制するとともに、燃料電池の発電にともなう発熱によって燃料電池を加熱するために、燃料ガスと空気とが燃料電池に供給される。燃料電池から排出されたオフ燃料ガスとオフ酸化剤ガスとがオフガス燃焼器で燃焼することによって第1排ガスが生成され、第1排ガスによって改質器が加熱される。さらに、休止モードでは、燃料電池の発電量が少なく抑えられ、燃料電池の発熱量が少ないため、暖機用燃焼器が運転される。暖機用燃焼器で生成された第2排ガスによって燃料電池および改質器が加熱される。
【0006】
このとき、燃料電池の発電量を少なく抑えるために、発電モードと比較して、燃料電池に供給される空気は少なくされる。さらに、燃料極の触媒の酸化劣化を抑制するために、発電モードと比較して、空気に対する燃料ガスの比率が高くなるように、燃料電池に燃料ガスが供給される。これにより、燃料電池に供給される空気中の酸素の多くが発電反応に使用され、燃料極の触媒に酸素が向かうことが抑制される。
【0007】
さらに、休止モードでは、発電反応に使用される燃料ガスは必要最小限に抑えられる。このため、休止モードでは、発電モードのときと比較して、オフガス燃焼器に供給されるオフ燃料ガスの量は多く、オフガス燃焼器での燃焼量は多く、生成される第1排ガスが多くなる。ここで、発電モードのときでは、発電効率を高めるために、オフガス燃焼器に供給されるオフ燃料ガスは少なく抑えられる。このため、発電モードのときにオフガス燃焼器で生成される第1排ガスの熱を有効利用するために、伝熱効率が高くなるように、改質器が設計される。改質器の伝熱効率が高いために、第1排ガスの増加による改質器の温度上昇幅が大きい。
【0008】
これらの結果、改質器に過大な熱が供給されることになり、改質器が所定温度よりも高い温度まで過昇温されると、改質器の改質触媒の熱劣化が生じるという問題が本発明者によって見出された。
【0009】
なお、改質器の過昇温を抑制するために、暖機用燃焼器での燃焼を停止することが考えられる。しかし、この場合、燃料電池への熱の供給が停止され、燃料電池の温度が、発電に適した温度よりも低くなる。このため、燃料電池の発電が要求されたときに、燃料電池の暖機に時間を要することになり、好ましくない。また、上記した問題は、休止モードに限らず、オフガス燃焼器が生成した第1排ガスによって改質器を加熱するとともに、暖機用燃焼器が生成した第2排ガスによって改質器を加熱している場合に生じる。
【0010】
本発明は上記点に鑑みて、オフガス燃焼器が生成した第1排ガスによって改質器を加熱するとともに、暖機用燃焼器が生成した第2排ガスによって改質器を加熱している場合において、燃料電池へ熱を供給しつつ、改質器の過昇温を抑制することができる燃料電池システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明によれば、
燃料電池システムは、
改質触媒による改質反応により原料ガスを改質して燃料ガスを生成する改質器(33)と、
改質器の温度を検出する温度センサ(101)と、
燃料ガスと酸化剤ガスとの電気化学反応により発電する固体酸化物型の燃料電池(10)と、
電気化学反応に用いられなかった燃料ガスであるオフ燃料ガスと電気化学反応に用いられなかった酸化剤ガスであるオフ酸化剤ガスとを燃焼させて第1排ガスを生成するオフガス燃焼器(53)と、
オフガス燃焼器に接続され、改質器へ放熱させながら燃料電池システムの外部に向けて第1排ガスを流す第1排ガス通路(54)と、
燃料電池および改質器を暖機するために、暖機用燃料と暖機用空気との混合ガスを燃焼させて第2排ガスを生成する暖機用燃焼器(60)と、
暖機用燃焼器に接続され、燃料電池および改質器へ放熱させながら、オフガス燃焼器に向けて第2排ガスを流す第2排ガス通路(61)と、
第1排ガス通路のうち改質器よりも下流側の部分に接続され、第1排ガスの一部を暖機用燃焼器に導入する導入通路(70)と、
導入通路の開閉を行うとともに導入通路を流れる第1排ガスの流量を調整する調整部(71)と、
調整部の作動を制御する制御装置(100)とを備え、
オフガス燃焼器が生成した第1排ガスによって改質器を加熱するとともに、暖機用燃焼器が生成した第2排ガスによって改質器を加熱している場合において、温度センサが検出した改質器の温度が基準温度よりも高いときに、制御装置は、第1排ガスが暖機用燃焼器に導入されるように、調整部を制御する。
【0012】
これによれば、改質器の温度が基準温度よりも高いときに、暖機用燃焼器に、空気よりも比熱が大きな第1排ガスが導入された状態で、暖機用燃焼器で燃焼が行われる。暖機用燃焼器に第1排ガスが導入されることで、暖機用燃焼器で燃焼される混合ガスの比熱が上昇する。混合ガスの比熱が上昇すると、燃焼によって熱量が発生したときの温度上昇が抑制される。このため、暖機用燃焼器から排出される第2排ガスの温度が下がり、第2排ガスによる改質器の加熱が抑制される。このとき、第2排ガスによって燃料電池が加熱される。よって、燃料電池へ熱を供給しつつ、改質器の過昇温を抑制することができる。
【0013】
また、請求項3に記載の発明によれば、
燃料電池システムは、
改質触媒による改質反応により原料ガスを改質して燃料ガスを生成する改質器(33)と、
改質器の温度を検出する温度センサ(101)と、
燃料ガスと酸化剤ガスとの電気化学反応により発電する固体酸化物型の燃料電池(10)と、
電気化学反応に用いられなかった燃料ガスであるオフ燃料ガスと電気化学反応に用いられなかった酸化剤ガスであるオフ酸化剤ガスとを燃焼させて第1排ガスを生成するオフガス燃焼器(53)と、
オフガス燃焼器に接続され、改質器へ放熱させながら燃料電池システムの外部に向けて第1排ガスを流す第1排ガス通路(54)と、
燃料電池および改質器を暖機するために、暖機用燃料と暖機用空気との混合ガスを燃焼させて第2排ガスを生成する暖機用燃焼器(60)と、
暖機用燃焼器に接続され、燃料電池および改質器へ放熱させながら、オフガス燃焼器に向けて第2排ガスを流す第2排ガス通路(61)と、
暖機用燃焼器へ暖機用燃料を送るとともに暖機用燃焼器への燃料供給量を調整する暖機用燃料ブロア(64)と、
暖機用燃焼器へ暖機用空気を送るとともに暖機用燃焼器への空気供給量を調整する暖機用空気ブロア(65)と、
暖機用燃料ブロアおよび暖機用空気ブロアの作動を制御する制御装置(100)とを備え、
オフガス燃焼器が生成した第1排ガスによって改質器を加熱するとともに、暖機用燃焼器が生成した第2排ガスによって改質器を加熱している場合において、温度センサが検出した改質器の温度が基準温度よりも高いときに、制御装置は、暖機用燃焼器の燃焼が断続して行われること、暖機用燃焼器への燃料供給量が減量されること、暖機用燃焼器への空気供給量が増量されることのうちの少なくとも1つが行われるように、暖機用燃料ブロアと暖機用空気ブロアとのそれぞれの作動を制御する。
【0014】
これによれば、改質器の温度が基準温度よりも高いときに、暖機用燃焼器の燃焼が断続して行われることで、第2排ガスから改質器へ供給される熱量が減少する。また、暖機用燃焼器への燃料供給量が減少されることで、暖機用燃焼器での燃焼量を減らすことができ、暖機用燃焼器での発生熱量が減少する。これにより、第2排ガスから改質器へ供給される熱量が減少する。また、暖機用燃焼器への空気供給量が増大されることで、暖機用燃焼器の内部の混合ガスの燃料濃度が下がり、暖機用燃焼器での発生熱量が減少する。これにより、第2排ガスから改質器へ供給される熱量が減少する。これらのいずれのときも、第2排ガスによって燃料電池が加熱される。よって、燃料電池へ熱を供給しつつ、改質器の過昇温を抑制することができる。
【0015】
なお、各構成要素等に付された括弧付きの参照符号は、その構成要素等と後述する実施形態に記載の具体的な構成要素等との対応関係の一例を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】第1実施形態の燃料電池システムの構成を示す図である。
図2】第1実施形態の燃料電池システムの制御装置を示す模式図である。
図3】第1実施形態の燃料電池システムの制御装置が実行する制御処理を示すフローチャートである。
図4】第2実施形態の燃料電池システムの制御装置が実行する制御処理を示すフローチャートである。
図5】第3実施形態の燃料電池システムの制御装置が実行する制御処理を示すフローチャートである。
図6】第4実施形態の燃料電池システムの制御装置が実行する制御処理を示すフローチャートである。
図7】第5実施形態の燃料電池システムの制御装置が実行する制御処理を示すフローチャートである。
図8】第6実施形態の燃料電池システムの制御装置が実行する制御処理を示すフローチャートである。
図9】第7実施形態の燃料電池システムの制御装置が実行する制御処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付して説明を行う。
【0018】
(第1実施形態)
図1に示す本実施形態の燃料電池システム1は、定置型のシステムである。燃料電池システム1は、作動温度が高温(例えば、500℃~1000℃)となる固体酸化物型の燃料電池(すなわち、SOFC)10を備えている。燃料電池10は、燃料ガスと酸化剤ガスとの電気化学反応により発電する複数の発電セルを積層したスタック構造を有している。なお、発電セルの形状は、平板型および円筒型のいずれであってもよい。
【0019】
図示しないが発電セルは、固体酸化物電解質、空気極(すなわち、カソード)、燃料極(すなわち、アノード)を含んで構成されている。燃料極には、シフト反応等に活性の高いニッケル触媒と電解質材料であるイットリア安定化ジルコニアのサーメット等が用いられている。本実施形態の発電セルは、都市ガス(すなわち、メタンを主成分とするガス)を原料ガスとして用い、都市ガスを改質して生成される水素および一酸化炭素を燃料ガスとして用いる。原料ガスは、改質されて燃料ガスとなるものであり、原燃料とも呼ばれる。原料ガスとしては、炭化水素系のガスであれば、都市ガス以外のガスが採用されてもよい。また、本実施形態の発電セルは、空気中の酸素を酸化剤ガスとして用いる。
【0020】
燃料電池10は、以下の反応式F1、F2に示す水素および酸素の電気化学反応により電気エネルギを出力する。
【0021】
(燃料極)2H+2O2-→2HO+4e (F1)
(空気極)O+4e→2O (F2)
【0022】
また、燃料電池10は、以下の反応式F3、F4に示す一酸化炭素および酸素の電気化学反応により電気エネルギを出力する。
【0023】
(燃料極)2CO+2O →2CO+4e (F3)
(空気極)O+4e→2O (F4)
【0024】
燃料電池システム1は、ハウジング11を備える。燃料電池10は、後述する空気予熱器22、改質器33、蒸発器42、オフガス燃焼器53、暖機用燃焼器60等とともにハウジング11の内側に配置されている。
【0025】
燃料電池システム1は、空気通路20、空気ブロア21および空気予熱器22を備える。空気通路20は、燃料電池10の空気入口に接続されている。空気通路20は、空気が流れる通路であり、燃料電池10に空気を供給するための通路である。
【0026】
空気ブロア21は、空気通路20に設けられており、燃料電池10に向けて空気を吐出する。空気ブロア21は、大気中の空気を吸い込んで燃料電池10に供給する酸化剤ポンプである。空気ブロア21は、後述する制御装置100からの制御信号によって作動が制御される電動ポンプで構成されている。
【0027】
空気予熱器22は、空気通路20のうち空気ブロア21の下流側に設けられている。空気予熱器22は、空気ブロア21から送られた空気を、後述するオフガス燃焼器53で生成された第1排ガスと熱交換させて加熱する熱交換器である。空気予熱器22は、燃料電池10に供給する空気と燃料ガスとの温度差を縮小して、燃料電池10の発電効率の向上を図るために設けられている。
【0028】
燃料電池システム1は、燃料通路30、都市ガス供給弁31、燃料ブロア32および改質器33を備える。燃料通路30は、燃料電池10の燃料入口に接続されている。燃料通路30は、都市ガスまたは燃料ガスが流れる通路であり、燃料電池10に燃料ガスを供給するための通路である。
【0029】
都市ガス供給弁31は、燃料通路30のうち燃料ブロア32の上流側に設けられている。都市ガス供給弁31は、原料ガスである都市ガスを供給するための原料ガス供給弁である。都市ガス供給弁31は、燃料通路30への都市ガスの供給と停止とを切り替える。都市ガス供給弁31は、後述する制御装置100からの制御信号によって作動が制御される電動弁で構成されている。
【0030】
燃料ブロア32は、燃料通路30のうち都市ガス供給弁31の下流側に設けられたブロアであり、燃料通路30にガス流れを形成する。燃料ブロア32は、都市ガスを吸入して吐出する。燃料ブロア32は、燃料電池10側に向けて都市ガスを供給するためのポンプである。燃料ブロア32は、後述する制御装置100からの制御信号によって作動が制御される電動ポンプで構成されている。
【0031】
改質器33は、燃料通路30のうち燃料ブロア32の下流側に設けられている。改質器33は、水蒸気を用いて、改質触媒による水蒸気改質反応によって、都市ガスを改質して燃料ガスを生成する。具体的には、改質器33は、都市ガスおよび水蒸気を混合した混合ガスを燃焼排ガスと熱交換させて加熱するとともに、以下の反応式F5に示す改質反応、および反応式F6に示すシフト反応により燃料ガス(すなわち、水素、一酸化炭素)を生成する。
【0032】
CH+HO→CO+3H (F5)
CO+HO→CO+H (F6)
【0033】
ここで、改質器33における水蒸気改質反応は吸熱反応であり、高温となる条件下にて改質率が向上する特性を有している。このため、改質器33は、燃料電池10の発電時に燃料電池10から放出される熱を吸熱できるように、燃料電池10の周辺に配置されている。
【0034】
燃料電池システム1は、改質器33の温度を検出するための改質器温度センサ101を備える。改質器温度センサ101は、改質器33に設置されている。改質器温度センサ101は、改質器33の温度として、改質器33の壁の温度を検出する温度センサである。改質器温度センサ101は、改質器33の温度として、改質器33の内部空間の温度を検出したり、改質器33を通過した後の流体の温度を検出したりしてもよい。
【0035】
燃料電池システム1は、水供給通路40、水ポンプ41および蒸発器42を備える。水供給通路40は、改質器33に水蒸気を供給するための通路である。水供給通路40の一端は、燃料通路30のうち改質器33の上流側に接続されている。
【0036】
水ポンプ41は、水供給通路40に設けられている。水ポンプ41は、燃料電池システム1の外部からの水を送る。水ポンプ41は、蒸発器42を介して改質器33側に水蒸気を供給するためのポンプである。水ポンプ41は、後述する制御装置100からの制御信号によって作動が制御される電動ポンプで構成されている。蒸発器42は、水供給通路40のうち水ポンプ41の下流側に設けられる。蒸発器42は、後述するオフガス燃焼器53で生成された第1排ガスと水との熱交換によって、水を加熱して、改質器33へ供給する水蒸気を生成する熱交換器である。
【0037】
燃料電池システム1は、燃料電池10から排出するオフガスが流れるオフガス通路50を備える。オフガス通路50は、空気排出通路51と、燃料排出通路52とを有する。空気排出通路51は、燃料電池10の空気出口に接続されている。空気排出通路51には、燃料電池10から排出されるオフ酸化剤ガスとしてのオフ空気が流れる。オフ酸化剤ガスは、電気化学反応に用いられなかった酸化剤ガスを含む。オフ空気は、電気化学反応に用いられなかった酸素を含む。燃料排出通路52は、燃料電池10の燃料出口に接続されている。燃料排出通路52には、燃料電池10から排出されるオフ燃料ガスが流れる。オフ燃料ガスは、燃料電池10での電気化学反応に用いられなかった未反応の燃料ガスを含む。
【0038】
燃料電池システム1は、オフガス燃焼器53および第1排ガス通路54を備える。オフガス燃焼器53は、オフガス通路50に接続されている。オフガス燃焼器53は、オフ酸化剤ガスおよびオフ燃料ガスを混合した混合ガスを可燃ガスとして燃焼させることで、燃料電池システム1の各機器を昇温させるための第1排ガスを生成する。
【0039】
第1排ガス通路54は、オフガス燃焼器53に接続されている。第1排ガス通路54は、オフガス燃焼器53で生成した第1排ガスを燃料電池システム1の各機器へ放熱させながら燃料電池システム1の外部に向けて流すための通路である。第1排ガス通路54は、内部を流れる第1排ガスの熱を有効活用すべく、上流側から順に、改質器33、空気予熱器22、蒸発器42の順に接続されている。第1排ガスは、改質器33、空気予熱器22、蒸発器42へ放熱しながら、燃料電池システム1の外部に向かって流れる。
【0040】
燃料電池システム1は、暖機用燃焼器60、第2排ガス通路61、暖機用燃料通路62、三方弁63、暖機用燃料ブロア64、暖機用空気ブロア65を備える。暖機用燃焼器60は、燃料電池10、空気予熱器22および改質器33を暖機するために用いられる。暖機用燃焼器60は、暖機用燃料としての都市ガスと暖機用空気とを燃焼して第2排ガスを生成する。
【0041】
第2排ガス通路61の一端は、暖機用燃焼器60に接続されている。第2排ガス通路61の他端は、オフガス燃焼器53に接続されている。第2排ガス通路61は、燃料電池10、空気予熱器22および改質器33へ放熱させながら、オフガス燃焼器53に向けて第2排ガスを流すための通路である。第2排ガス通路61は、燃料電池10、空気予熱器22および改質器33に対して、第2排ガスからの伝熱が可能なように設けられる。具体的には、第2排ガス通路61は、燃料電池10、空気予熱器22および改質器33のそれぞれの周辺に位置する周辺部611を含む。周辺部611の内部に、燃料電池10、空気予熱器22および改質器33が存在する。周辺部611に流入した第2排ガスは、燃料電池10、空気予熱器22および改質器33のそれぞれの周辺を流れる。周辺部611から流出した第2排ガスは、オフガス燃焼器53に流入する。
【0042】
暖機用燃料通路62は、暖機用燃料としての都市ガスを、暖機用燃焼器60へ導く通路である。暖機用燃料通路62は、三方弁63を介して、燃料通路30のうち燃料ブロア32の上流側かつ都市ガス供給弁31の下流側の位置に接続されている。三方弁63は、後述する制御装置100からの制御信号によって作動が制御される電動弁で構成されている。
【0043】
暖機用燃料ブロア64は、暖機用燃料通路62に設けられている。暖機用燃料ブロア64は、都市ガスを吸入して吐出することで、暖機用燃焼器60へ都市ガスを送る。暖機用燃料ブロア64は、吐出能力の変更によって、暖機用燃焼器60への燃料供給量としての都市ガス供給量を調整する。暖機用燃料ブロア64は、後述する制御装置100からの制御信号によって作動が制御される電動ポンプで構成されている。
【0044】
暖機用空気ブロア65は、大気中の空気を吸い込んで吐出することで、暖機用燃焼器60に空気を送る。暖機用空気ブロア65は、吐出能力の変更によって、暖機用燃焼器60への空気供給量を調整する。暖機用空気ブロア65は、後述する制御装置100からの制御信号によって作動が制御される電動ポンプで構成されている。
【0045】
燃料電池システム1は、導入通路70と、調整部71とを備える。導入通路70の一端は、第1排ガス通路54のうち改質器33、空気予熱器22および蒸発器42の下流側の部分に設けられた分岐部541に接続されている。導入通路70の他端は、暖機用燃焼器60に接続されている。導入通路70は、第1排ガス通路54を流れる第1排ガスであって、改質器33、空気予熱器22および蒸発器42へ放熱後の第1排ガスの一部を暖機用燃焼器60に導入するための通路である。
【0046】
調整部71は、導入通路70の開閉を行うとともに導入通路70の開度を調整することで、導入通路70を流れる第1排ガスの流量を調整する。調整部71は、後述する制御装置100からの制御信号によって作動が制御される電動の流量調整弁で構成されている。
【0047】
第1排ガスが暖機用燃焼器60に導入されると、暖機用燃焼器60の内部で、都市ガスと空気との混合ガスに第1排ガスが混入する。第1排ガスが混入した混合ガスが燃焼されて、第2排ガスが生成する。生成した第2排ガスは、オフガス燃焼器53に向かって流れ、オフガス燃焼器53の内部でオフガスの混合ガスに混入する。オフガス燃焼器53で、第2排ガスが混入した混合ガスが燃焼されて、第1排ガスが生成する。このように、第1排ガスが導入通路70を流れることで、排ガスが還流する。
【0048】
図2に示すように、燃料電池システム1は、制御装置100を備える。制御装置100は、燃料電池システム1の電子制御部である。制御装置100は、プロセッサ、メモリを含むマイクロコンピュータと、その周辺回路で構成されている。制御装置100は、メモリに記憶された制御プログラムに基づいて各種演算、処理を行い出力側に接続された各種制御機器の作動を制御する。
【0049】
制御装置100の入力側には、改質器温度センサ101を含む各種センサが接続されており、各種センサの検出結果が制御装置100に入力されるようになっている。一方、制御装置100の出力側には、制御機器として、空気ブロア21、都市ガス供給弁31、燃料ブロア32、水ポンプ41、暖機用燃焼器60、三方弁63、暖機用燃料ブロア64、暖機用空気ブロア65等が接続されている。これら制御機器は、制御装置100から出力される制御信号に応じて、その作動が制御される。
【0050】
燃料電池システム1の起動時では、制御装置100は、暖機用燃焼器60を作動させ、燃料電池10を含む各種機器の温度を常温から燃料電池10の発電に適した温度まで昇温させる。具体的には、制御装置100は、都市ガス供給弁31を開き、三方弁63の状態を、暖機用燃料通路62が開いて、燃料通路30のうち三方弁63の下流側の部分が閉じた状態にし、暖機用燃料ブロア64および暖機用空気ブロア65を作動させる。そして、制御装置100は、暖機用燃焼器60に都市ガスおよび空気を供給した状態で、暖機用燃焼器60を点火し、都市ガスと空気との混合ガスを燃焼させる。これにより、第2排ガスが生成され、第2排ガスによって燃料電池10、空気予熱器22および改質器33が加熱される。
【0051】
第2排ガスによってオフガス燃焼器53が所定温度まで昇温すると、制御装置100は、三方弁63の状態を、暖機用燃料通路62が閉じて、燃料通路30のうち三方弁63の下流側の部分が開いた状態にし、燃料ブロア32および空気ブロア21を作動させ、暖機用燃料ブロア64および暖機用空気ブロア65を停止させる。これにより、オフガス燃焼器53での燃焼が開始され、暖機用燃焼器60での燃焼が停止される。その後は、オフガス燃焼器53での燃焼によって第1排ガスが生成され、第1排ガスによって改質器33、空気予熱器22、蒸発器42が加熱される。
【0052】
改質器33の温度が、改質反応が改質器34の温度が改質反応を生じさせることが可能な改質可能温度まで昇温されることで、改質器33の暖機が完了する。改質可能温度は、例えば、300℃以上の温度である。燃料電池10の温度が、燃料電池10の発電に適した温度まで昇温することで、燃料電池10の暖機が完了する。
【0053】
また、燃料電池システム1の運転には、発電モードでの運転と、休止モードでの運転とがある。発電モードは、燃料電池10に対して所定電力の出力が要求されているときの運転モードである。発電モードでは、制御装置100は、燃料電池10の発電量が要求に応じた発電量となるように、燃料ブロア32および空気ブロア21の作動を制御する。
【0054】
休止モードは、燃料電池10に対して電力の出力が要求されていないときの運転モードであって、発電モードへの切り替えが直ちに行えるように、燃料電池10、改質器33等の各種機器の暖機状態を維持する運転モードであり、ホットキープモードとも呼ばれる。暖機状態を維持するとは、燃料電池10の発電に適した温度に維持することを意味する。
【0055】
休止モードでは、制御装置100は、燃料電池10の発電量が発電モードのときよりも少なくなるように、燃料ブロア32および空気ブロア21の作動を制御する。これにより、燃料ガスおよび空気が、燃料電池10に供給され続ける。ここで、燃料電池10の燃料極に用いられる触媒は、酸素の存在下で高温になると、酸化劣化する。このため、燃料極の触媒の酸化劣化を抑制するとともに、燃料電池10の発電にともなう発熱によって燃料電池10を加熱するために、燃料ガスと空気とが燃料電池10に供給される。
【0056】
このとき、燃料電池10の発電量を少なく抑えるために、発電モードと比較して、燃料電池10に供給される空気は少なくされる。さらに、燃料極の触媒の酸化劣化を抑制するために、発電モードと比較して、空気に対する燃料ガスの比率が高くなるように、燃料電池10に燃料ガスが供給される。これにより、燃料電池10に供給される空気中の酸素の多くが発電反応に使用され、燃料極の触媒に酸素が向かうことが抑制される。
【0057】
燃料電池10の発電時の発熱によって燃料電池10が加熱される。燃料電池10からのオフガスをオフガス燃焼器53が燃焼することによって第1排ガスが生成され、第1排ガスによって改質器33、空気予熱器22、蒸発器42が加熱される。
【0058】
休止モードでは、燃料電池10の発電量が少なく抑えられ、燃料電池10の発熱量が少なくなる。このため、休止モードでは、制御装置100は、暖機用燃焼器60を作動させる。すなわち、制御装置100は、都市ガス供給弁31を開いた状態に維持し、三方弁63の状態を、燃料通路30および暖機用燃料通路62が開いた状態とし、暖機用燃料ブロア64および暖機用空気ブロア65を作動させる。そして、制御装置100は、暖機用燃焼器60に都市ガスおよび空気を供給した状態で、暖機用燃焼器60を点火し、都市ガスと空気との混合ガスを燃焼させる。これにより、第2排ガスが生成され、第2排ガスによって燃料電池10、空気予熱器22および改質器33が加熱される。このように、改質器33は、第1排ガスと第2排ガスとによって加熱される。
【0059】
休止モードでは、発電反応に使用される燃料ガスは必要最小限に抑えられる。このため、休止モードでは、発電モードのときと比較して、オフガス燃焼器53に供給されるオフ燃料ガスの量は多く、オフガス燃焼器53での燃焼量は多く、生成される第1排ガスが多くなる。ここで、発電モードのときでは、発電効率を高めるために、オフガス燃焼器53に供給されるオフ燃料ガスは少なく抑えられる。このため、発電モードのときにオフガス燃焼器53で生成される第1排ガスの熱を有効利用するために、伝熱効率が高くなるように、改質器33が設計されている。改質器33の伝熱効率が高いために、第1排ガスの増加による改質器33の温度上昇幅が大きい。
【0060】
これらの結果、改質器33に過大な熱が供給されることになり、改質器33が所定温度よりも高い温度まで過昇温されると、改質器33の改質触媒が劣化する。
【0061】
そこで、制御装置100は、休止モードでの運転のときに、改質器33の過昇温を防止するために、図3に示す制御処理を実行する。なお、図中に示したステップは、各種機能を実現する機能部に対応するものである。
【0062】
図3に示すように、ステップS1にて、制御装置100は、改質器温度センサ101が検出した改質器温度の取得を行う。続いて、ステップS2にて、制御装置100は、ステップS1で取得した改質器温度が、基準温度としての上限しきい値Th1よりも高いか否かを判定する。上限しきい値Th1は、改質器33の改質触媒の熱劣化が顕著に生じる温度に基づいて予め設定される。例えば、熱劣化が顕著に生じる温度が650℃以上の場合、その温度よりも少し低い600℃に、上限しきい値Th1が設定される。
【0063】
制御装置100は、ステップS2でYES判定すると、ステップS3に進み、排ガス還流量の増量を行う。このとき、調整部71が導入通路70を閉じている場合、調整部71が導入通路70を開くように、制御装置100は、調整部71の作動を制御する。調整部71が導入通路70を開いている場合、導入通路70の開度を増大させるように、制御装置100は、調整部71の作動を制御する。その後、制御装置100は、ステップS4に進む。また、制御装置100は、ステップS2でNO判定すると、ステップS4に進む。
【0064】
ステップS4にて、制御装置100は、現在の運転モードが発電モードであるか否かを判定する。制御装置100は、必要な発電量が得られているか否かで、発電モードと休止モードとを切り替える制御を行っている。この切り替え制御に基づいて、ステップS4の判定が行われる。制御装置100は、ステップS4でYES判定すると、図3に示す制御処理を終了する。
【0065】
また、制御装置100は、ステップS4でNO判定すると、ステップS5に進み、改質器温度センサ101が検出した改質器温度の取得を行う。続いて、ステップS6にて、制御装置100は、ステップS5で取得した改質器温度が、下限しきい値Th2よりも低いか否かを判定する。下限しきい値Th2は、改質可能温度に基づいて予め設定される。例えば、改質可能温度が300℃以上の場合、改質器33の温度が改質可能温度に維持されるように、300℃よりも少し高い350℃に、下限しきい値Th2が設定される。
【0066】
制御装置100は、ステップS6でYES判定すると、ステップS7に進み、排ガス還流量の減量を行う。このとき、導入通路70の現在の状態と比較して、導入通路70の開度を小さくする、または、導入通路70を閉じるように、制御装置100は、調整部71の作動を制御する。その後、制御装置100は、ステップS1に戻る。また、制御装置100は、ステップS6でNO判定したとき、ステップS1に戻る。このように、図3に示す制御処理は、休止モードのときに実行され続ける。
【0067】
ステップS1、S2、S3の説明の通り、休止モードの場合において、改質器温度センサ101が検出した改質器温度が上限しきい値Th1よりも高いとき、制御装置100は、オフガス燃焼器53の第1排ガスが暖機用燃焼器60に導入されるように、調整部71の作動を制御する。これにより、暖機用燃焼器60では、暖機用燃焼器60に供給される都市ガスと空気との混合ガスに対して、第1排ガスが導入される。
【0068】
ここで、第1排ガスには、一酸化炭素、二酸化炭素、水蒸気、窒素、酸素が含まれており、第1排ガスの比熱は、空気の比熱よりも大きい。比熱は、ガスの温度を1度上昇させるのに必要なエネルギ量である。暖機用燃焼器60に第1排ガスが導入されることで、暖機用燃焼器60で燃焼される混合ガスの比熱が上昇する。混合ガスの比熱が上昇すると、燃焼によって熱量が発生したときの温度上昇が抑制される。このため、暖機用燃焼器60から排出される第2排ガスの温度が下がり、第2排ガスによる改質器33の加熱が抑制される。
【0069】
第2排ガスの温度が下がることから、空気予熱器22および燃料電池10で、第2排ガスによって加熱される空気の温度が下がる。オフガス燃焼器53に流入するオフ空気、第2排ガスの温度が下がるため、オフガス燃焼器53から流出する第1排ガスの温度が下がり、第1排ガスによる改質器33の加熱が抑制される。これらの結果、第1排ガスを暖機用燃焼器60に導入しない場合と比較して、改質器33の過昇温を抑制することができる。
【0070】
また、ステップS6、S7の説明の通り、改質器温度センサ101が検出した改質器温度が下限しきい値Th2よりも低いとき、暖機用燃焼器60に導入される第1排ガスを減らすように、または、暖機用燃焼器60への第1排ガスの導入を停止するように、制御装置100は、調整部71の作動を制御する。これにより、オフガス燃焼器53に導入される第1排ガスが減る、または、オフガス燃焼器53への第1排ガスの導入が停止される。この結果、改質器33の温度が改質可能温度に維持される。
【0071】
本実施形態によれば、休止モードの場合に、暖機用燃焼器60が燃焼をし続けることで、第2排ガスによって燃料電池10が加熱される。このため、燃料電池10へ熱を供給し続けることができ、燃料電池10の温度を発電に適した温度に維持することができる。または、暖機用燃焼器60での燃焼を停止するときと比較して、燃料電池10の温度を発電に適した温度に近い温度に維持することができる。よって、休止モードから発電モードに切り替えられたときの燃料電池10の暖機時間を短くすることができる。
【0072】
また、本実施形態によれば、オフガス燃焼器53の第1排ガスを、暖機用燃焼器60に導入する。このため、燃料電池システム1で生成した熱を有効に利用することができる。
【0073】
(第2実施形態)
本実施形態では、第1実施形態と異なり、制御装置100は、休止モードでの運転のときに、改質器33の過昇温を防止するために、図4に示す制御処理を実行する。図4では、図3のステップS3、S7のそれぞれが、ステップS3-1、S7-1に変更されている。図4の他のステップは、図3と同じである。燃料電池システム1の他の構成は、第1実施形態と同じである。
【0074】
図4に示すように、ステップS3-1で、制御装置100は、排ガス還流量の増量を行うとともに、暖機用燃焼器60の断続運転を行う。排ガス還流量の増量を行うことについては、第1実施形態でのステップS3の説明と同じである。暖機用燃焼器60の断続運転を行うとき、制御装置100は、暖機用燃焼器60への都市ガスと空気のそれぞれの供給停止と、供給開始とを所定周期で繰り返すように、暖機用燃料ブロア64、暖機用空気ブロア65の作動を制御する。すなわち、制御装置100は、暖機用燃料ブロア64および暖機用空気ブロア65の停止と起動とを所定周期で繰り返す。
【0075】
このように、休止モードの場合において、改質器温度センサ101が検出した改質器温度が上限しきい値Th1よりも高いとき、制御装置100は、オフガス燃焼器53の第1排ガスが暖機用燃焼器60に導入されるように、調整部71の作動を制御する。さらに、制御装置100は、暖機用燃焼器60の燃焼が断続して行われるように、暖機用燃料ブロア64、暖機用空気ブロア65の作動を制御する。
【0076】
これによれば、暖機用燃焼器60の燃焼が断続して行われることで、改質器33へ供給される熱量が減少する。暖機用燃焼器60での燃焼により第2排ガスが生成するときでは、暖機用燃焼器60に供給される都市ガスと空気との混合ガスに対して、第1排ガスが導入され、混合ガスの比熱が上昇するため、第2排ガスの温度が下がり、改質器33へ供給される熱量が減少する。
【0077】
よって、改質器33の過昇温を抑制することができる。特に、本実施形態によれば、暖機用燃焼器60に第1排ガスを導入することに加えて、暖機用燃焼器60の燃焼を断続して行うため、第1実施形態と比較して、改質器温度を下げるときの下げ幅を大きくすることができる。
【0078】
また、ステップS7-1で、制御装置100は、排ガス還流量の減量を行うとともに、暖機用燃焼器60の連続運転を行う。排ガス還流量の減量を行うことについては、第1実施形態でのステップS7の説明と同じである。暖機用燃焼器60の連続運転を行うとき、制御装置100は、暖機用燃焼器60への都市ガスと空気のそれぞれの供給が連続して行われるように、暖機用燃料ブロア64、暖機用空気ブロア65の作動を制御する。
【0079】
このように、改質器温度センサ101が検出した改質器温度が下限しきい値Th2よりも低いとき、制御装置100は、暖機用燃焼器60の燃焼が連続して行われるように、暖機用燃料ブロア64、暖機用空気ブロア65の作動を制御する。さらに、暖機用燃焼器60に導入される第1排ガスを減らすように、または、暖機用燃焼器60への第1排ガスの導入を停止するように、制御装置100は、調整部71の作動を制御する。
【0080】
これによれば、暖機用燃焼器60での燃焼が連続して行われる。このとき、暖機用燃焼器60に第1排ガスは混入されない、または、混入される第1排ガスが減少される。このため、暖機用燃焼器60に第1排ガスが混入されるときよりも高温である第2排ガスによって、改質器33が加熱される。この結果、改質器33の温度を改質可能温度に維持することができる。
【0081】
(第3実施形態)
本実施形態では、第1実施形態と異なり、制御装置100は、休止モードでの運転のときに、改質器33の過昇温を防止するために、図5に示す制御処理を実行する。図5では、図3のステップS3、S7のそれぞれが、ステップS3-2、S7-2に変更されている。図5の他のステップは、図3と同じである。燃料電池システム1の他の構成は、第1実施形態と同じである。
【0082】
図5に示すように、ステップS3-2で、制御装置100は、排ガス還流量の増量を行うとともに、暖機用燃焼器60への都市ガス供給量の減量を行う。排ガス還流量の増量を行うことについては、第1実施形態でのステップS3の説明と同じである。都市ガス供給量の減量を行うとき、制御装置100は、暖機用燃焼器60への都市ガス供給量が減量されるように、暖機用燃料ブロア64の作動を制御する。
【0083】
このように、休止モードの場合において、改質器温度センサ101が検出した改質器温度が上限しきい値Th1よりも高いとき、制御装置100は、オフガス燃焼器53の第1排ガスが暖機用燃焼器60に導入されるように、調整部71の作動を制御する。さらに、制御装置100は、暖機用燃焼器60への都市ガス供給量が減量されるように、暖機用燃料ブロア64の作動を制御する。
【0084】
これによれば、暖機用燃焼器60に供給される都市ガスと空気との混合ガスに対して、第1排ガスが導入され、混合ガスの比熱が上昇することで、第2排ガスの温度を下げることができる。さらに、暖機用燃焼器60への都市ガス供給量が減少されることで、暖機用燃焼器60での燃焼量を減らすことができ、暖機用燃焼器60での発生熱量を減少させることができる。
【0085】
よって、改質器33の過昇温を抑制することができる。特に、本実施形態によれば、暖機用燃焼器60に第1排ガスを導入することに加えて、暖機用燃焼器60への都市ガス供給量を減量させるため、第1実施形態と比較して、改質器温度を下げるときの下げ幅を大きくすることができる。
【0086】
また、ステップS7-2で、制御装置100は、排ガス還流量の減量を行うとともに、暖機用燃焼器60への都市ガス供給量の増量を行う。排ガス還流量の減量を行うことについては、第1実施形態でのステップS7の説明と同じである。都市ガス供給量の増量を行うとき、制御装置100は、暖機用燃焼器60への都市ガス供給量が増量されるように、暖機用燃料ブロア64の作動を制御する。
【0087】
このように、改質器温度センサ101が検出した改質器温度が下限しきい値Th2よりも低いとき、制御装置100は、暖機用燃焼器60への都市ガス供給量が増量されるように、暖機用燃料ブロア64の作動を制御する。さらに、暖機用燃焼器60に導入される第1排ガスを減らすように、または、暖機用燃焼器60への第1排ガスの導入を停止するように、制御装置100は、調整部71の作動を制御する。
【0088】
これによれば、暖機用燃焼器60への都市ガス供給量が増量される。このとき、暖機用燃焼器60に第1排ガスは混入されない、または、混入される第1排ガスが減少される。このため、暖機用燃焼器60に第1排ガスが混入されるときよりも高温である第2排ガスによって、改質器33が加熱される。この結果、改質器33の温度を改質可能温度に維持することができる。
【0089】
(第4実施形態)
本実施形態では、第1実施形態と異なり、制御装置100は、休止モードでの運転のときに、改質器33の過昇温を防止するために、図6に示す制御処理を実行する。図6では、図3のステップS3、S7のそれぞれが、ステップS3-3、S7-3に変更されている。図6の他のステップは、図3と同じである。燃料電池システム1の他の構成は、第1実施形態と同じである。
【0090】
図6に示すように、ステップS3-3で、制御装置100は、排ガス還流量の増量を行うとともに、暖機用燃焼器60への空気供給量の増量を行う。排ガス還流量の増量を行うことについては、第1実施形態でのステップS3の説明と同じである。空気供給量の増量を行うとき、制御装置100は、暖機用燃焼器60への空気供給量が増量されるように、暖機用燃料ブロア64の作動を制御する。このとき、暖機用燃焼器60への都市ガス供給量は変更されない。
【0091】
このように、休止モードの場合において、改質器温度センサ101が検出した改質器温度が上限しきい値Th1よりも高いとき、制御装置100は、オフガス燃焼器53の第1排ガスが暖機用燃焼器60に導入されるように、調整部71の作動を制御する。さらに、制御装置100は、暖機用燃焼器60への空気供給量が増量されるように、暖機用空気ブロア65の作動を制御する。
【0092】
これによれば、暖機用燃焼器60に供給される都市ガスと空気との混合ガスに対して、第1排ガスが導入され、混合ガスの比熱が上昇することで、第2排ガスの温度を下げることができる。さらに、暖機用燃焼器60への空気供給量が増大されることで、暖機用燃焼器60の内部の混合ガスの燃料濃度が下がり、暖機用燃焼器60での発生熱量を減少させることができる。
【0093】
よって、改質器33の過昇温を抑制することができる。特に、本実施形態によれば、暖機用燃焼器60に第1排ガスを導入することに加えて、暖機用燃焼器60への空気供給量を増量させるため、第1実施形態と比較して、改質器温度を下げるときの下げ幅を大きくすることができる。
【0094】
また、ステップS7-3で、制御装置100は、排ガス還流量の減量を行うとともに、暖機用燃焼器60への空気供給量の減量を行う。排ガス還流量の減量を行うことについては、第1実施形態でのステップS7の説明と同じである。空気供給量の減量を行うとき、制御装置100は、暖機用燃焼器60への空気供給量が減量されるように、暖機用空気ブロア65の作動を制御する。
【0095】
このように、改質器温度センサ101が検出した改質器温度が下限しきい値Th2よりも低いとき、制御装置100は、暖機用燃焼器60への空気供給量が減量されるように、暖機用空気ブロア65の作動を制御する。さらに、暖機用燃焼器60に導入される第1排ガスを減らすように、または、暖機用燃焼器60への第1排ガスの導入を停止するように、制御装置100は、調整部71の作動を制御する。
【0096】
これによれば、暖機用燃焼器60への空気供給量が減量される。これにより、暖機用燃焼器60の内部の混合ガスの燃料濃度が上がり、暖機用燃焼器60での発生熱量を増大させることができる。このとき、暖機用燃焼器60に第1排ガスは混入されない、または、混入される第1排ガスが減少される。このため、暖機用燃焼器60に第1排ガスが混入されるときよりも高温である第2排ガスによって、改質器33が加熱される。この結果、改質器33の温度を改質可能温度に維持することができる。
【0097】
(第5実施形態)
本実施形態では、第1実施形態と異なり、制御装置100は、休止モードでの運転のときに、改質器33の過昇温を防止するために、図7に示す制御処理を実行する。図7では、図3のステップS3、S7のそれぞれが、ステップS3-4、S7-4に変更されている。図7の他のステップは、図3と同じである。燃料電池システム1の他の構成は、第1実施形態と同じである。
【0098】
図7に示すように、ステップS3-4で、制御装置100は、暖機用燃焼器60の断続運転を行う。暖機用燃焼器60の断続運転を行うことについては、第2実施形態でのステップS3-1の説明と同じである。このように、休止モードの場合において、改質器温度センサ101が検出した改質器温度が上限しきい値Th1よりも高いとき、制御装置100は、暖機用燃焼器60の燃焼が断続して行われるように、暖機用燃料ブロア64、暖機用空気ブロア65の作動を制御する。
【0099】
これによれば、暖機用燃焼器60の燃焼が断続して行われることで、改質器33へ供給される熱量が減少する。よって、改質器33の過昇温を抑制することができる。
【0100】
また、ステップS7-4、制御装置100は、暖機用燃焼器60の連続運転を行う。暖機用燃焼器60の連続運転を行うことについては、第2実施形態でのステップS7-1の説明と同じである。
【0101】
このように、改質器温度センサ101が検出した改質器温度が下限しきい値Th2よりも低いとき、制御装置100は、暖機用燃焼器60の燃焼が連続して行われるように、暖機用燃料ブロア64、暖機用空気ブロア65の作動を制御する。これによれば、暖機用燃焼器60での燃焼が連続して行われることで、第2排ガスから改質器33へ供給される熱量が増大する。このため、改質器33の温度を改質可能温度に維持することができる。
【0102】
(第6実施形態)
本実施形態では、第1実施形態と異なり、制御装置100は、休止モードでの運転のときに、改質器33の過昇温を防止するために、図8に示す制御処理を実行する。図8では、図3のステップS3、S7のそれぞれが、ステップS3-5、S7-5に変更されている。図8の他のステップは、図3と同じである。燃料電池システム1の他の構成は、第1実施形態と同じである。
【0103】
図8に示すように、ステップS3-5で、制御装置100は、暖機用燃焼器60への都市ガス供給量の減量を行う。都市ガス供給量の減量を行うことについては、第3実施形態でのステップS3―2の説明と同じである。このように、休止モードの場合において、改質器温度センサ101が検出した改質器温度が上限しきい値Th1よりも高いとき、制御装置100は、暖機用燃焼器60への都市ガス供給量が減少されるように、暖機用燃料ブロア64の作動を制御する。
【0104】
これによれば、暖機用燃焼器60への都市ガス供給量が減量されることで、暖機用燃焼器60での燃焼量を減らすことができ、暖機用燃焼器60での発生熱量を減少させることができる。これにより、第2排ガスから改質器33へ供給される熱量が減少する。よって、改質器33の過昇温を抑制することができる。
【0105】
また、ステップS7-5で、制御装置100は、暖機用燃焼器60への都市ガス供給量の増量を行う。都市ガス供給量の増量を行うことについては、第1実施形態でのステップS7-2の説明と同じである。
【0106】
このように、改質器温度センサ101が検出した改質器温度が下限しきい値Th2よりも低いとき、制御装置100は、暖機用燃焼器60への都市ガス供給量が増量されるように、暖機用燃料ブロア64の作動を制御する。これによれば、暖機用燃焼器60への都市ガス供給量が増量されることで、暖機用燃焼器60での燃焼量を増やすことができ、暖機用燃焼器60での発生熱量を増大させることができる。この結果、改質器33の温度を改質可能温度に維持することができる。
【0107】
(第7実施形態)
本実施形態では、第1実施形態と異なり、制御装置100は、休止モードでの運転のときに、改質器33の過昇温を防止するために、図9に示す制御処理を実行する。図9では、図3のステップS3、S7のそれぞれが、ステップS3-6、S7-6に変更されている。図9の他のステップは、図3と同じである。燃料電池システム1の他の構成は、第1実施形態と同じである。
【0108】
図9に示すように、ステップS3-6で、制御装置100は、暖機用燃焼器60への空気供給量の増量を行う。空気供給量の増量を行うことについては、第4実施形態でのステップS3-3の説明と同じである。このように、休止モードの場合において、改質器温度センサ101が検出した改質器温度が上限しきい値Th1よりも高いとき、制御装置100は、暖機用燃焼器60への空気供給量が増大されるように、暖機用空気ブロア65の作動を制御する。
【0109】
これによれば、暖機用燃焼器60への空気供給量が増大されることで、暖機用燃焼器60の内部の混合ガスの燃料濃度が下がり、暖機用燃焼器60での発生熱量を減少させることができる。これにより、改質器33の過昇温を抑制することができる。
【0110】
また、ステップS7-6で、制御装置100は、暖機用燃焼器60への空気供給量の減量を行う。空気供給量の減量を行うことについては、第4実施形態でのステップS7-3の説明と同じである。このように、改質器温度センサ101が検出した改質器温度が下限しきい値Th2よりも低いとき、制御装置100は、暖機用燃焼器60への空気供給量が減量されるように、暖機用空気ブロア65の作動を制御する。
【0111】
これによれば、暖機用燃焼器60への空気供給量が減量される。これにより、暖機用燃焼器60の内部の混合ガスの燃料濃度が上がり、暖機用燃焼器60での発生熱量を増大させることができる。この結果、改質器33の温度を改質可能温度に維持することができる。
【0112】
(他の実施形態)
(1)上記した各実施形態では、制御装置100は、休止モードでの運転のときに、改質器33の過昇温を防止するために、図3図9に示す制御処理を実行する。しかしながら、これらの制御処理を実行するのは、休止モードのときに限られない。オフガス燃焼器53が生成した第1排ガスによって改質器33を加熱するとともに、暖機用燃焼器60が生成した第2排ガスによって改質器33を加熱している場合に、制御装置100は、これらの制御処理を実行すればよい。
【0113】
(2)本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能であり、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。また、上記各実施形態は、互いに無関係なものではなく、組み合わせが明らかに不可な場合を除き、適宜組み合わせが可能である。また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
【0114】
(3)第2~第4実施形態では、ステップS3-1、S3-2、S3-3の説明の通り、制御装置100は、第1排ガスが暖機用燃焼器60に導入されるように調整部71の作動を制御することに加えて、暖機用燃焼器60の燃焼が断続して行われること、暖機用燃焼器60への都市ガス供給量の減量が行われること、暖機用燃焼器60への空気供給量の増量が行われることのうちのいずれか1つのみが行われるように、暖機用燃料ブロア64、暖機用空気ブロア65の作動を制御する。しかしながら、制御装置100は、これらの3つのことのうちの少なくとも1つが行われるように、暖機用燃料ブロア64と暖機用空気ブロア65とのそれぞれの作動を制御してもよい。
【0115】
(4)第5~第7実施形態では、ステップS3-4、S3-5、S3-6の説明の通り、制御装置100は、暖機用燃焼器60の燃焼が断続して行われること、暖機用燃焼器60への都市ガス供給量の減量が行われること、暖機用燃焼器60への空気供給量の増量が行われることのうちのいずれか1つのみが行われるように、暖機用燃料ブロア64、暖機用空気ブロア65の作動を制御する。しかしながら、制御装置100は、これらの3つのことのうちの少なくとも1つが行われるように、暖機用燃料ブロア64と暖機用空気ブロア65とのそれぞれの作動を制御してもよい。
【0116】
(5)本開示に記載の制御装置及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の制御装置及びその手法は、一つ以上の専用ハードウエア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の制御装置及びその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリと一つ以上のハードウエア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
【符号の説明】
【0117】
10 燃料電池
33 改質器
53 オフガス燃焼器
54 第1排ガス通路
60 暖機用燃焼器
61 第2排ガス通路
70 導入通路
71 調整部
100 制御装置
101 温度センサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9