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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022188471
(43)【公開日】2022-12-21
(54)【発明の名称】ストレーナー装置
(51)【国際特許分類】
   B01D 35/02 20060101AFI20221214BHJP
   B01D 35/16 20060101ALI20221214BHJP
   B01D 29/11 20060101ALI20221214BHJP
   B01D 29/66 20060101ALI20221214BHJP
【FI】
B01D35/02 A
B01D35/16
B01D29/10 510C
B01D29/10 520B
B01D29/38 510C
B01D29/38 520A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021096522
(22)【出願日】2021-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】305060154
【氏名又は名称】アルテミラ製缶株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100175802
【弁理士】
【氏名又は名称】寺本 光生
(74)【代理人】
【識別番号】100142424
【弁理士】
【氏名又は名称】細川 文広
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(72)【発明者】
【氏名】鷹取 敏治
【テーマコード(参考)】
4D116
【Fターム(参考)】
4D116BB01
4D116BC27
4D116BC44
4D116BC48
4D116BC75
4D116BC76
4D116DD05
4D116EE04
4D116FF12B
4D116FF17B
4D116GG02
4D116QA35C
4D116QA35D
4D116QA52C
4D116QA52D
4D116QB41
4D116QC23A
4D116QC23B
4D116RR01
4D116RR05
4D116RR14
4D116RR21
4D116RR26
4D116UU03
4D116UU08
4D116VV07
(57)【要約】
【課題】ろ過部材に異物等が固着することを抑制でき、メンテナンスの頻度を少なく抑えることが可能なストレーナー装置を提供する。
【解決手段】中心軸Oを中心とする装置本体20と、装置本体20の内部に配置され、軸方向に延びる筒状のろ過部材60と、装置本体20の内部に配置され、液体が流れる流路50と、を備え、流路50は、軸方向へ向かうに従い中心軸O回りの周方向位置が変化する第1螺旋流路53と、軸方向において第1螺旋流路53の下流側に位置し、ろ過部材60の径方向外側に配置される環状の外側流路54と、ろ過部材60の径方向内側に配置され、ろ過部材60を介して外側流路54と連通する内側流路55と、を有する。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心軸を中心とする装置本体と、
前記装置本体の内部に配置され、軸方向に延びる筒状のろ過部材と、
前記装置本体の内部に配置され、液体が流れる流路と、を備え、
前記流路は、
軸方向へ向かうに従い前記中心軸回りの周方向位置が変化する第1螺旋流路と、
軸方向において前記第1螺旋流路の下流側に位置し、前記ろ過部材の径方向外側に配置される環状の外側流路と、
前記ろ過部材の径方向内側に配置され、前記ろ過部材を介して前記外側流路と連通する内側流路と、を有する、
ストレーナー装置。
【請求項2】
前記第1螺旋流路は、軸方向へ向かうに従い周方向位置が段階的に変化する段差付き螺旋流路である、
請求項1に記載のストレーナー装置。
【請求項3】
前記第1螺旋流路は、周方向に並んで複数設けられる、
請求項1または2に記載のストレーナー装置。
【請求項4】
前記流路から前記装置本体の外部に液体を排出する排出配管を備え、
前記排出配管は、前記外側流路と接続される、
請求項1から3のいずれか1項に記載のストレーナー装置。
【請求項5】
前記排出配管は、前記中心軸回りのうち前記第1螺旋流路が螺旋状に周回する向きに沿って前記外側流路から延びる、
請求項4に記載のストレーナー装置。
【請求項6】
前記ろ過部材の内部に挿入され、軸方向に延びる洗浄ノズルと、
前記洗浄ノズルに流体を供給する供給配管と、を備え、
前記洗浄ノズルは、前記ろ過部材の内周面に向けて開口するノズル孔を有する、
請求項1から5のいずれか1項に記載のストレーナー装置。
【請求項7】
前記洗浄ノズルは、ノズル軸回りに回転自在とされ、
前記ノズル孔は、ノズル径方向の外側へ向かうに従い、前記ノズル軸回りのノズル周方向の一方側に向けて延びる、
請求項6に記載のストレーナー装置。
【請求項8】
前記流路は、軸方向において前記内側流路の下流側に位置し、軸方向へ向かうに従い前記中心軸回りの周方向位置が変化する第2螺旋流路を有し、
前記第2螺旋流路は、軸方向へ向かうに従い周方向位置が段階的に変化する段差付き螺旋流路である、
請求項1から7のいずれか1項に記載のストレーナー装置。
【請求項9】
前記第2螺旋流路は、周方向に並んで複数設けられる、
請求項8に記載のストレーナー装置。
【請求項10】
前記ろ過部材の内部に配置され、前記ろ過部材を径方向内側から支持する補強部材を備える、
請求項1から9のいずれか1項に記載のストレーナー装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ストレーナー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のストレーナー装置として、例えば特許文献1に記載の箇水分離装置が知られている。この箇水分離装置では、遠心力により強制的にスクリーンフィルター(ろ過部材)の内面から外部に汚水を透過させて、汚水をろ過する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3208632号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種のストレーナー装置では、ろ過部材に付着した異物等が固着化して除去することが困難になりやすく、ろ過機能を良好に維持するため、メンテナンスを頻繁に行う必要がある。
【0005】
本発明は、ろ過部材に異物等が固着することを抑制でき、メンテナンスの頻度を少なく抑えることが可能なストレーナー装置を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のストレーナー装置の一つの態様は、中心軸を中心とする装置本体と、前記装置本体の内部に配置され、軸方向に延びる筒状のろ過部材と、前記装置本体の内部に配置され、液体が流れる流路と、を備え、前記流路は、軸方向へ向かうに従い前記中心軸回りの周方向位置が変化する第1螺旋流路と、軸方向において前記第1螺旋流路の下流側に位置し、前記ろ過部材の径方向外側に配置される環状の外側流路と、前記ろ過部材の径方向内側に配置され、前記ろ過部材を介して前記外側流路と連通する内側流路と、を有する。
【0007】
本発明のストレーナー装置では、装置本体の内部を流れる液体が、第1螺旋流路、外側流路および内側流路を、この順に流れる。詳しくは、液体が第1螺旋流路を通過することにより螺旋状の旋回流が発生し、この旋回流は、第1螺旋流路の下流側に位置する環状の外側流路を、螺旋状に旋回しながら流れる。液体中に含まれる異物等の一部は、旋回流の遠心力により外側流路内において径方向外側へ移動し、つまりろ過部材から離れる向きに移動させられる。すなわち、液体がろ過部材を通過する前の時点で、旋回流を用いたサイクロン機能により、液体中から異物等の一部を分離させることができる。このため、ろ過部材への異物等の付着が抑制される。
【0008】
また、液体中に含まれる異物等の他の一部は、ろ過部材により捕捉されて、ろ過部材の外周面に付着する。本発明では、外側流路を流れる旋回流が、ろ過部材の外周面に沿って螺旋状に周回するため、ろ過部材に一時的に付着した異物等が、ろ過部材の外周面から除去されやすい。すなわち、ろ過部材に付着した異物等が旋回流によって適宜除去され、サイクロン機能による洗浄効果が得られるため、異物等がろ過部材に固着化したり目詰まりすることが抑制される。このため、ろ過部材のメンテナンスが容易であり、またメンテナンスの頻度を少なく抑えることができる。
以上より本発明によれば、ろ過部材に異物等が固着することを抑制でき、メンテナンスの頻度を少なく抑えることが可能である。
【0009】
上記ストレーナー装置において、前記第1螺旋流路は、軸方向へ向かうに従い周方向位置が段階的に変化する段差付き螺旋流路であることが好ましい。
【0010】
この場合、液体が、段差付き螺旋流路とされた第1螺旋流路を流れることで、流路内面の凹凸によってキャビテーション作用が得られたり、液体に圧力変化や遠心力が作用しやすくなったりして、液体中に細かな気泡つまりマイクロバブルが発生する。
液体中に生じたマイクロバブルは、異物等がろ過部材に付着することを抑制する機能や、ろ過部材の外周面に付着した異物等を除去する機能等を有する。このため、簡素な構造により、ろ過部材に異物等が固着することを抑制できる。また、液体中のマイクロバブルは、ろ過部材のみならず、流路を広範囲にわたり洗浄するため、ストレーナー装置の機能が良好に維持される。
【0011】
上記ストレーナー装置において、前記第1螺旋流路は、周方向に並んで複数設けられることが好ましい。
【0012】
この場合、複数の第1螺旋流路によって、旋回流をより安定して発生させることができる。
【0013】
上記ストレーナー装置は、前記流路から前記装置本体の外部に液体を排出する排出配管を備え、前記排出配管は、前記外側流路と接続されることが好ましい。
【0014】
この場合、外側流路内に溜った異物等を、液体とともに、排出配管を通して装置外部に排出することができる。メンテナンスなどのためにストレーナー装置を分解する作業の頻度を少なく抑えることができる。
【0015】
上記ストレーナー装置において、前記排出配管は、前記中心軸回りのうち前記第1螺旋流路が螺旋状に周回する向きに沿って前記外側流路から延びることが好ましい。
【0016】
この場合、外側流路を流れる旋回流の流れの向きに沿って、外側流路内の異物等を排出配管から装置外部に効率よく排出できる。
【0017】
上記ストレーナー装置は、前記ろ過部材の内部に挿入され、軸方向に延びる洗浄ノズルと、前記洗浄ノズルに流体を供給する供給配管と、を備え、前記洗浄ノズルは、前記ろ過部材の内周面に向けて開口するノズル孔を有することが好ましい。
【0018】
この場合、供給配管から洗浄ノズルに供給される例えば水やエアなどの流体が、洗浄ノズルのノズル孔から、ろ過部材の内周面に向けて噴出する。ノズル孔から噴出した流体は、ろ過部材を径方向外側へ通過し、ろ過部材の外周面に付着した異物等を外周面から剥がすように作用する。すなわち、ノズル孔から流体を噴射することで、ろ過部材に付着した異物等を除去できるため、異物等がろ過部材に固着することを安定して抑制できる。
【0019】
上記ストレーナー装置において、前記洗浄ノズルは、ノズル軸回りに回転自在とされ、前記ノズル孔は、ノズル径方向の外側へ向かうに従い、前記ノズル軸回りのノズル周方向の一方側に向けて延びることが好ましい。
【0020】
この場合、ノズル孔から流体が噴出することで、洗浄ノズルをノズル軸回りに回転させる回転力が発生する。具体的には、この回転力によって、洗浄ノズルがノズル周方向の他方側に向けて回転させられる。洗浄ノズルが回転することで、ノズル孔から噴出する流体が、ろ過部材に対して周方向全周にわたって供給され、ろ過部材を広範囲に洗浄することができる。このため、異物等がろ過部材に固着することを安定して抑制できる。
【0021】
上記ストレーナー装置において、前記流路は、軸方向において前記内側流路の下流側に位置し、軸方向へ向かうに従い前記中心軸回りの周方向位置が変化する第2螺旋流路を有し、前記第2螺旋流路は、軸方向へ向かうに従い周方向位置が段階的に変化する段差付き螺旋流路であることが好ましい。
【0022】
この場合、液体が、段差付き螺旋流路とされた第2螺旋流路を流れることで、流路内面の凹凸によってキャビテーション作用が得られたり、液体に圧力変化や遠心力が作用しやすくなったりして、液体中に細かな気泡つまりマイクロバブルが発生する。
また、液体が第2螺旋流路を通過することで、螺旋状の旋回流が発生する。すなわち、マイクロバブルを含む旋回流が、ストレーナー装置の下流側へと流れていくことになる。これにより、ストレーナー装置から遠く離れた管の部分にまでマイクロバブルが安定して行き渡りやすくなり、液体の流通系統全域において洗浄効果を得ることができる。
【0023】
上記ストレーナー装置において、前記第2螺旋流路は、周方向に並んで複数設けられることが好ましい。
【0024】
この場合、複数の第2螺旋流路によって、旋回流をより安定して発生させることができる。また、液体中にマイクロバブルをより多く発生させて、洗浄効果をさらに高めることができる。
【0025】
上記ストレーナー装置は、前記ろ過部材の内部に配置され、前記ろ過部材を径方向内側から支持する補強部材を備えることが好ましい。
【0026】
この場合、ろ過部材が水圧等で径方向内側に潰れるような不具合が、補強部材により抑制される。このため、ろ過部材によるろ過機能が、良好に維持される。
【発明の効果】
【0027】
本発明の一つの態様のストレーナー装置によれば、ろ過部材に異物等が固着することを抑制でき、メンテナンスの頻度を少なく抑えることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1図1は、第1実施形態のストレーナー装置およびストレーナー装置システムが設けられる液体の流通系統を模式的に示す概略図である。
図2図2は、第1実施形態のストレーナー装置およびストレーナー装置システムを示す正面図である。
図3図3は、図2のIII-III断面を示す断面図である。
図4図4は、第1実施形態のストレーナー装置およびストレーナー装置システムを示す背面図である。
図5図5は、板部材を示す正面図である。
図6図6は、図3のVI-VI断面を示す断面図である。
図7図7は、図3のVII-VII断面を示す断面図である。
図8図8は、図3のVIII-VIII断面を示す断面図である。
図9図9は、第2実施形態のストレーナー装置およびストレーナー装置システムを示す断面図である。
図10図10は、第2実施形態のストレーナー装置およびストレーナー装置システムを示す背面図である。
図11図11は、旋回流発生部材を示す斜視図である。
図12図12は、旋回流発生部材を示す正面図である。
図13図13は、旋回流発生部材を示す断面図である。
図14図14は、図13のXIV-XIV断面を示す断面図である。
図15図15は、図9のXV-XV断面を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態のストレーナー装置10およびストレーナー装置システム110について、図1図8を参照して説明する。
図1に示すように、本実施形態のストレーナー装置10は、液体が流通する管100に設けられ、管100を流れる液体中の異物等を捕捉する。具体的に、ストレーナー装置10は、例えば製缶工場において、用水が流通する管(配管)100の途中に設けられ、管100の一部を構成する。管100に流れる液体は、例えばアルカリ性の消石灰溶液等である。すなわち、液体の溶質は消石灰等であり、溶媒は水等である。液体中に含まれる異物等は、例えば、液体中に析出した消石灰の粒や塊等である。
【0030】
液体は、消石灰溶液が貯留される槽101からポンプ102によって汲み出され、管100内を流通して、管100が有する複数の分岐管100aから各処理槽(図示省略)に送られる。また、管100を流れる液体の一部は、分岐管100aに流入することなく、管100から槽101に戻される。図示しない複数の処理槽には、製缶加工の処理に用いられた例えば酸性の排液が流入し、貯留される。この排液に分岐管100aを通して消石灰溶液が供給されることにより、処理槽の排液のPHが調整される。PH調整後の排液は、図示しないシックナー等に送られる。
【0031】
また、ストレーナー装置システム110は、管100を含む液体の流通系統に設けられる。ストレーナー装置システム110は、ストレーナー装置10と、ストレーナー装置10に接続される排水バルブ(図示省略)と、ストレーナー装置10に接続される給水バルブ(図示省略)と、排水バルブおよび給水バルブを開閉動作させる制御部(図示省略)と、を備える。
【0032】
図2図4に示すように、ストレーナー装置10は、中心軸Oを中心とする装置本体20と、装置本体20の内部に配置される筒状のろ過部材60と、装置本体20の内部に配置され、液体が流れる流路50と、排出配管61と、洗浄ノズル70と、供給配管80と、補強部材90と、を備える。
装置本体20は、中心軸Oを中心とする筒状であり、本実施形態では略円筒状である。装置本体20は、本体筒11と、複数の板部材13と、スペーサー部材12と、固定部15と、を有する。
液体は、装置本体20の中心軸Oに沿う方向の一方側の端部から他方側の端部へ向けて、流路50の内部を流通する。
【0033】
本実施形態では、装置本体20の中心軸Oが延びる方向を軸方向と呼ぶ。軸方向は、各図に示すX軸方向に相当する。液体は、装置本体20の内部を概ね軸方向に移動する。軸方向のうち、液体が流れる方向を軸方向の下流側(+X側)または単に下流側と呼ぶ。軸方向の下流側は、装置本体20の軸方向の一方側の端部から他方側の端部へ向かう方向である。軸方向の下流側は、軸方向のうち第1方向と言い換えてもよい。軸方向のうち、液体が流れる方向とは反対方向を、軸方向の上流側(-X側)または単に上流側と呼ぶ。軸方向の上流側は、装置本体20の軸方向の他方側の端部から一方側の端部へ向かう方向である。軸方向の上流側は、軸方向のうち第2方向と言い換えてもよい。
【0034】
中心軸Oと直交する方向を径方向と呼ぶ。径方向のうち、中心軸Oに近づく方向を径方向内側と呼び、中心軸Oから離れる方向を径方向外側と呼ぶ。
中心軸O回りに周回する方向を周方向と呼ぶ。図2に示すように、装置本体20を軸方向の上流側から見て、周方向のうち、所定の方向を周方向一方側θ1と呼び、所定の方向とは反対方向を周方向他方側θ2と呼ぶ。本実施形態では、周方向一方側θ1は、図2において中心軸Oを中心とする反時計回りの方向であり、周方向他方側θ2は、図2において中心軸Oを中心とする時計回りの方向である。
【0035】
図3に示すように、本体筒11は、中心軸Oを中心として軸方向に延びる略円筒状である。つまり装置本体20は、軸方向に延びる。本体筒11は、本体筒11の軸方向の上流側の端部に位置する流入筒部16と、本体筒11の軸方向の下流側の端部に位置する流出筒部17と、軸方向において流入筒部16と流出筒部17との間に配置される中間筒部18と、を有する。
【0036】
流入筒部16は、上流側流通筒16aと、上流側フランジ16bと、を有する。
上流側流通筒16aは、軸方向に延びる筒状である。上流側流通筒16aは、上流側シール溝16cと、上流側シール部材16dと、を有する。
【0037】
上流側シール溝16cは、上流側流通筒16aの外周面から径方向内側に窪み、周方向に延びる環状である。本実施形態では上流側シール溝16cが、軸方向に互いに間隔をあけて複数設けられる。
上流側シール部材16dは、周方向に延びる環状の弾性部材等であり、例えばOリング等である。本実施形態では上流側シール部材16dが、軸方向に互いに間隔をあけて複数設けられる。各上流側シール部材16dは、各上流側シール溝16cに配置される。
【0038】
上流側流通筒16aの内周面16eは、上流側流通筒16aの軸方向の上流側の端部から下流側へ向かうに従い、内径が大きくなる。上流側流通筒16aの内周面16eは、軸方向の下流側へ向かうに従い徐々に拡径するテーパ面状である。
【0039】
上流側フランジ16bは、上流側流通筒16aの軸方向上流側の部分から径方向外側に拡がるフランジ状である。上流側フランジ16bは、複数のボルト部材19aにより、中間筒部18の軸方向の上流側の端部と固定される。特に図示しないが、上流側フランジ16bは、ストレーナー装置10と軸方向に隣り合う管100の部分、すなわち、ストレーナー装置10の軸方向の上流側に隣接する管100の接続端部と、ボルト部材等により固定される。
【0040】
流出筒部17は、下流側流通筒17aと、ろ過部材支持筒17fと、下流側フランジ17bと、を有する。
下流側流通筒17aは、軸方向に延びる筒状である。下流側流通筒17aは、下流側シール溝17cと、下流側シール部材17dと、を有する。
【0041】
下流側シール溝17cは、下流側流通筒17aの外周面から径方向内側に窪み、周方向に延びる環状である。本実施形態では下流側シール溝17cが、軸方向に互いに間隔をあけて複数設けられる。
下流側シール部材17dは、周方向に延びる環状の弾性部材等であり、例えばOリング等である。本実施形態では下流側シール部材17dが、軸方向に互いに間隔をあけて複数設けられる。各下流側シール部材17dは、各下流側シール溝17cに配置される。
【0042】
下流側流通筒17aの内周面17eのうち、軸方向上流側の端部以外の部分の内径は、軸方向上流側の端部の内径よりも大きい。
【0043】
ろ過部材支持筒17fは、下流側流通筒17aから軸方向の上流側に向けて突出する。ろ過部材支持筒17fは、中心軸Oを中心とする筒状であり、軸方向に延びる。本実施形態ではろ過部材支持筒17fが、円筒状である。ろ過部材支持筒17fは、中間筒部18の内部に配置される。ろ過部材支持筒17fの外周面は、中間筒部18の内周面から径方向内側に離れて配置される。ろ過部材支持筒17fの外径は、下流側流通筒17aの外径よりも小さい。ろ過部材支持筒17fの内径は、下流側流通筒17aの内周面17eのうち、軸方向上流側の端部の内径と同じである。
【0044】
ろ過部材支持筒17fは、段部17gを有する。
段部17gは、ろ過部材支持筒17fの外周面のうち軸方向上流側の端部に配置される。段部17gは、ろ過部材支持筒17fの外周面から径方向内側に窪み、周方向に延びる。段部17gは、中心軸Oを中心とする環状である。
【0045】
下流側フランジ17bは、下流側流通筒17aの軸方向下流側の部分から径方向外側に拡がるフランジ状である。下流側フランジ17bは、複数のボルト部材19bにより、中間筒部18の軸方向の下流側の端部と固定される。特に図示しないが、下流側フランジ17bは、ストレーナー装置10と軸方向に隣り合う管100の部分、すなわち、ストレーナー装置10の軸方向の下流側に隣接する管100の接続端部と、ボルト部材等により固定される。
【0046】
中間筒部18は、中心軸Oを中心として軸方向に延びる円筒状である。中間筒部18の軸方向の上流側を向く端面は、上流側フランジ16bの軸方向の下流側を向く端面と接触する。中間筒部18の軸方向の上流側の端部は、上流側流通筒16aの外周面に嵌合する。中間筒部18の内周面のうち軸方向の上流側の端部には、上流側シール部材16dが周方向全周にわたって接触する。
中間筒部18の軸方向の下流側を向く端面は、下流側フランジ17bの軸方向の上流側を向く端面と接触する。中間筒部18の軸方向の下流側の端部は、下流側流通筒17aの外周面に嵌合する。中間筒部18の内周面のうち軸方向の下流側の端部には、下流側シール部材17dが周方向全周にわたって接触する。
【0047】
中間筒部18は、環状凹部18aと、突き当て面18bと、を有する。
環状凹部18aは、中間筒部18の内周面のうち、軸方向の両端部間に配置される。環状凹部18aは、中心軸Oを中心とする環状である。環状凹部18aは、中間筒部18の内周面から径方向外側に窪み、周方向に延びる溝状である。環状凹部18aは、ろ過部材60の径方向外側に配置される。環状凹部18aは、径方向から見て、ろ過部材60と重なる。
【0048】
突き当て面18bは、中間筒部18の内周面のうち、環状凹部18aよりも軸方向上流側に位置する部分に配置される。突き当て面18bは、中心軸Oを中心とする環状の平面であり、軸方向の上流側を向く。
【0049】
複数の板部材13は、中間筒部18の内部に収容され、軸方向に互いに重なって配置される。複数の板部材13は、それぞれ板状であり、各板面が軸方向を向く。軸方向に隣り合う板部材13同士は、互いの板面同士が接触する。複数の板部材13のうち軸方向の下流端に位置する板部材13は、軸方向下流側を向く板面の外周部が、突き当て面18bに接触する。各板部材13の外周面は、中間筒部18の内周面と接触する。本実施形態では図5に示すように、板部材13が、円板状である。
【0050】
板部材13は、固定孔22と、流通孔21と、を有する。
固定孔22は、板部材13を軸方向に貫通する。固定孔22は、板部材13において中心軸O上に位置する。固定孔22は、中心軸Oと同軸に配置される。本実施形態では固定孔22が、略円孔状である。固定孔22は、キー嵌合部22aを有する。キー嵌合部22aは、固定孔22の内周面から径方向外側に窪む凹状である。
【0051】
流通孔21は、板部材13を軸方向に貫通し、流路50の一部を構成する。流通孔21は、径方向において、板部材13の外周面と固定孔22との間に配置される。本実施形態では流通孔21が、円孔状である。図2および図3に示すように、軸方向に積層する複数の板部材13は、互いの流通孔21同士が連通させられており、かつ、互いの流通孔21の周方向位置がずらされて配置される。
【0052】
具体的に、複数の板部材13の各流通孔21は、軸方向の下流側へ向かうに従い中心軸O回りの周方向の位置が徐々にずらされて配置される。本実施形態では、複数の板部材13の互いに連通する各流通孔21が、軸方向の下流側へ向かうに従い周方向一方側θ1へ向けて、螺旋状に配列する。
【0053】
軸方向に隣り合う板部材13同士の間には、互いに連通する流通孔21同士が周方向にずらされて配置されることにより、段差部23が形成される。段差部23は、板部材13の板面のうち流通孔21に隣接する部分に位置する。複数の板部材13が軸方向に配列することで、段差部23は、軸方向に互いに間隔をあけて複数設けられる。
軸方向に並ぶ複数の流通孔21および複数の段差部23により、流路50の後述する第1螺旋流路53が構成される。
【0054】
本実施形態では、固定孔22と流通孔21との相対的な周方向位置が互いに異なる複数種類の板部材13が、軸方向に並んで計18枚設けられる。
図2に示すように軸方向から見て、軸方向に隣接する一対の板部材13の各流通孔21の孔中心C同士の、中心軸Oを中心とする中心角βは、例えば、1°以上5°以下であり、本実施形態では5°である。また軸方向から見て、複数の板部材13のうち、軸方向の上流端に位置する一の板部材13の流通孔21の孔中心Cと、軸方向の下流端に位置する他の板部材13の流通孔21の孔中心Cとの間の、中心軸Oを中心とする中心角αは、例えば、40°以上90°以下であり、本実施形態では90°である。
【0055】
また図5に示すように、流通孔21は、板部材13に周方向に互いに間隔をあけて複数設けられる。本実施形態では流通孔21が、板部材13に周方向に等ピッチで8つ設けられる。
【0056】
図3に示すように、スペーサー部材12は、中間筒部18の内部に配置される。スペーサー部材12は、一対の板面が軸方向を向く板状、または、一対の端面が軸方向を向く柱状である。本実施形態ではスペーサー部材12が、中心軸Oを中心とする円板状または円柱状である。スペーサー部材12は、中間筒部18内に嵌合し、複数の板部材13よりも軸方向の上流側に位置する。スペーサー部材12は、複数の板部材13のうち、軸方向の上流端に位置する板部材13に対して、軸方向の上流側から接触する。またスペーサー部材12は、上流側流通筒16aに対して、軸方向の下流側から接触する。すなわち、スペーサー部材12は、軸方向において、軸方向の上流端に位置する板部材13と、上流側流通筒16aとの間に挟まれる。
【0057】
スペーサー部材12は、挿通孔24aと、中間シール溝24bと、中間シール部材28と、貫通孔25と、を有する。
図2および図3に示すように、挿通孔24aは、スペーサー部材12を軸方向に貫通する。挿通孔24aは、スペーサー部材12において中心軸O上に位置する。挿通孔24aは、中心軸Oと同軸に配置される。本実施形態では挿通孔24aが、略円孔状である。挿通孔24aは、キー嵌合溝24cを有する。キー嵌合溝24cは、挿通孔24aの内周面から径方向外側に窪み、軸方向に延びる溝状である。図2に示すように軸方向から見て、キー嵌合溝24cは、複数の板部材13の各キー嵌合部22aと重なって配置される。
【0058】
図3に示すように、中間シール溝24bは、スペーサー部材12の外周面から径方向内側に窪み、周方向に延びる溝状である。中間シール溝24bは、中心軸Oを中心とする環状の溝である。
中間シール部材28は、周方向に延びる環状の弾性部材等であり、例えばOリング等である。中間シール部材28は、中間シール溝24bに配置される。中間筒部18の内周面には、中間シール部材28が周方向全周にわたって接触する。
【0059】
貫通孔25は、スペーサー部材12を軸方向に貫通し、流路50の一部を構成する。貫通孔25は、スペーサー部材12のうち中心軸Oから径方向にずれた位置に配置される。本実施形態では貫通孔25が、円孔状である。貫通孔25は、流通孔21の軸方向の上流側に位置し、流通孔21と連通する。
【0060】
図2に示すように、貫通孔25は、スペーサー部材12に周方向に互いに間隔をあけて複数設けられる。本実施形態では貫通孔25が、スペーサー部材12に周方向に等ピッチで8つ設けられる。スペーサー部材12の各貫通孔25は、軸方向から見て、軸方向上流端に位置する板部材13の各流通孔21と、それぞれ重なって配置される。貫通孔25の内径寸法は、流通孔21の内径寸法と同じかまたはそれ以上である。
【0061】
図2および図3に示すように、固定部15は、シャフト31と、キー32と、流入ガイド33と、ろ過部材支持部34と、を有する。
シャフト31は、中心軸Oを中心として軸方向に延びる。本実施形態ではシャフト31が、円柱状である。シャフト31は、スペーサー部材12の挿通孔24aと、複数の板部材13の各固定孔22とに挿入される。シャフト31は、キー溝を有する。キー溝は、シャフト31の外周面から径方向内側に窪み、軸方向に延びる。
【0062】
キー32は、軸方向に延びる。キー32は、シャフト31のキー溝に配置され、シャフト31の外周面から径方向外側に突出する。キー32は、スペーサー部材12のキー嵌合溝24cと、複数の板部材13の各キー嵌合部22aとに挿入される。これにより、シャフト31、スペーサー部材12および複数の板部材13が、周方向において相対移動不能とされる。
【0063】
流入ガイド33は、シャフト31の軸方向の上流側の端部と接続される。流入ガイド33は、スペーサー部材12の軸方向上流側に、スペーサー部材12と隣接して配置される。本実施形態では流入ガイド33とシャフト31とが、単一の部材により一体に形成される。流入ガイド33は、中心軸Oを中心として軸方向に延びる錘状であり、本実施形態では円錐状である。流入ガイド33は、軸方向の下流側へ向かうに従い外径寸法が大きくなる。流入ガイド33の外径寸法は、シャフト31の外径寸法よりも大きい。流入ガイド33の外周面は、軸方向の下流側へ向かうに従い拡径するテーパ面状である。
【0064】
流入ガイド33の軸方向の上流側を向く先端面は、上流側へ向けて凸となる曲面状であり、本実施形態では凸球面状である。流入ガイド33の軸方向の下流側を向く後端面は、中心軸Oと垂直な方向に拡がる平面状である。流入ガイド33の後端面は、スペーサー部材12の軸方向の上流側を向く板面(端面)のうち、貫通孔25よりも径方向内側に位置する部分と接触する。
【0065】
図3に示すように、ろ過部材支持部34は、シャフト31の軸方向の下流側の端部と接続される。本実施形態ではろ過部材支持部34が、ボルト部材35によりシャフト31と固定される。ろ過部材支持部34は、複数の板部材13のうち軸方向の下流端に位置する板部材13の軸方向下流側に、この板部材13と隣接して配置される。ろ過部材支持部34は、中心軸Oを中心として軸方向に延びる略円柱状である。ろ過部材支持部34の外径寸法は、シャフト31の外径寸法よりも大きい。ろ過部材支持部34のうち、軸方向の上流側部分は、軸方向の下流側へ向かうに従い外径寸法が大きくなる。ろ過部材支持部34の外周面のうち、軸方向の上流側部分は、軸方向の下流側へ向かうに従い拡径するテーパ面状である。
【0066】
ろ過部材支持部34の軸方向の上流側を向く先端面は、中心軸Oと垂直な方向に拡がる平面状である。ろ過部材支持部34の先端面は、軸方向の下流端に位置する板部材13の軸方向の下流側を向く板面のうち、流通孔21よりも径方向内側に位置する部分と接触する。
【0067】
ろ過部材支持部34は、段部34aと、ノズル挿入孔34bと、を有する。
段部34aは、ろ過部材支持部34の外周面のうち軸方向下流側の端部に配置される。段部34aは、ろ過部材支持部34の外周面から径方向内側に窪み、周方向に延びる。段部34aは、中心軸Oを中心とする環状である。
【0068】
ノズル挿入孔34bは、ろ過部材支持部34の軸方向の下流側を向く後端面に開口し、軸方向に延びる。本実施形態ではノズル挿入孔34bが、ろ過部材支持部34を軸方向に貫通する。ノズル挿入孔34bは、中心軸Oを中心とする多段孔状である。ノズル挿入孔34bのうち軸方向上流側の端部は、軸方向上流側の端部以外の部分よりも内径寸法が小さい。ノズル挿入孔34bには、ボルト部材35が挿入される。ボルト部材35は、ノズル挿入孔34bのうち軸方向の下流側の端部(開口部)以外の部分と、シャフト31の内部とにわたって配置される。
【0069】
ろ過部材60は、中心軸Oを中心として軸方向に延びる円筒状である。ろ過部材60は、例えば、複数の開口孔を有する板状のパンチングメタルと、シート状の網状部材と、の積層体により構成される。特に図示しないが、本実施形態では、筒状に成形されたパンチングメタルの外周面に、筒状に成形された網状部材が溶接等により固定される。
流路50を流れる液体は、ろ過部材60の周壁すなわち上記積層体の網目(目開き)を通過可能であり、液体中に含まれる所定寸法(目開き寸法)以上の異物等は、ろ過部材60の周壁を通過不能である。なお、ろ過部材60は、スクリーン部材等と言い換えてもよい。
【0070】
ろ過部材60の内周面のうち軸方向上流側の端部は、段部34aに嵌合する。ろ過部材60は、軸方向の上流側の端部が、ろ過部材支持部34により支持される。ろ過部材60の内周面のうち軸方向下流側の端部は、段部17gに嵌合する。ろ過部材60は、軸方向の下流側の端部が、ろ過部材支持筒17fにより支持される。
【0071】
流路50は、装置本体20を軸方向に貫通して設けられる。流路50の内部には、液体が流通する。流路50は、上流側流路51と、直線流路52と、第1螺旋流路53と、外側流路54と、内側流路55と、下流側流路56と、を有する。上流側流路51、直線流路52、第1螺旋流路53、外側流路54、内側流路55、および下流側流路56は、互いに連通する。流路50の液体は、上流側流路51、直線流路52、第1螺旋流路53、外側流路54、内側流路55、および下流側流路56を、この順に流れる。
【0072】
上流側流路51は、流路50のうち軸方向の上流側の端部に位置する。上流側流路51は、装置本体20のうち軸方向の上流側の端部に配置される。上流側流路51は、上流側流通筒16aの内周面16eと、流入ガイド33の外面との間に設けられる。上流側流路51は、軸方向の下流側へ向かうに従い直径が大きくなる。上流側流路51は、軸方向の下流側へ向かうに従い径方向外側に向けて延びる。
【0073】
直線流路52は、上流側流路51の軸方向の下流側に位置する。直線流路52は、軸方向に沿って直線状に延びる。直線流路52は、スペーサー部材12の貫通孔25の内部に配置される。直線流路52は、周方向に互いに間隔をあけて複数設けられる。本実施形態では直線流路52が、周方向に等ピッチで8つ設けられる。
【0074】
第1螺旋流路53は、直線流路52の軸方向の下流側に位置する。第1螺旋流路53は、複数の板部材13の内部に配置される。図2および図3に示すように、第1螺旋流路53は、軸方向へ向かうに従い中心軸O回りの周方向位置が変化する。具体的に、第1螺旋流路53は、軸方向の下流側へ向かうに従い、周方向一方側θ1に向けて延びる螺旋状である。本実施形態では第1螺旋流路53が、軸方向へ向かうに従い周方向位置が段階的に変化する段差付き螺旋流路である。第1螺旋流路53は、複数の板部材13の各流通孔21の内周面と、複数の段差部23とにより構成される。
【0075】
第1螺旋流路53は、周方向に互いに間隔をあけて複数設けられる。つまり第1螺旋流路53は、周方向に並んで複数設けられる。本実施形態では第1螺旋流路53が、周方向に等ピッチで8つ設けられる。なお図2および図3では、第1螺旋流路53の図示を一部省略している。
【0076】
図3に示すように、外側流路54は、軸方向において第1螺旋流路53の下流側に位置する。外側流路54は、中間筒部18の径方向内側かつろ過部材60の径方向外側に配置される。外側流路54は、中心軸Oを中心とする環状である。外側流路54は、軸方向に沿って延びる。本実施形態では外側流路54が、中間筒部18の内周面、環状凹部18a、複数の板部材13のうち軸方向の下流端に位置する板部材13の軸方向下流側を向く板面、ろ過部材支持部34の外周面、ろ過部材60の外周面、ろ過部材支持筒17fの外周面、および下流側流通筒17aの軸方向上流側を向く端面により画成される。
【0077】
内側流路55は、外側流路54の径方向内側に位置する。内側流路55は、ろ過部材60の径方向内側かつ洗浄ノズル70の径方向外側に配置される。内側流路55は、ろ過部材60の周壁を介して、外側流路54と連通する。内側流路55は、中心軸Oを中心とする環状である。内側流路55は、軸方向に沿って延びる。本実施形態では内側流路55が、ろ過部材60の内周面、ろ過部材支持部34の軸方向の下流側を向く端面、補強部材90の連通孔92、ろ過部材支持筒17fの軸方向の上流側を向く端面および内周面により画成される。
【0078】
下流側流路56は、内側流路55の軸方向の下流側に位置する。本実施形態では下流側流路56が、流路50のうち軸方向の下流側の端部に位置する。下流側流路56は、装置本体20のうち軸方向の下流側の端部に配置される。下流側流路56は、下流側流通筒17aの内周面17eの径方向内側に設けられる。下流側流路56は、軸方向に沿って延びる。
【0079】
図2図4に示すように、排出配管61は、中間筒部18に設けられ、中間筒部18の内部と外部とを連通する。排出配管61は、中間筒部18の外周面から径方向外側に突出する。排出配管61は、流路50から装置本体20の外部に液体を排出する。排出配管61は、外側流路54と接続される。本実施形態では排出配管61が、外側流路54のうち軸方向の下流側の端部に接続される。
【0080】
排出配管61は、中心軸O回りのうち第1螺旋流路53が螺旋状に周回する向きに沿って外側流路54から延びる。具体的に本実施形態では、図2に示すように、第1螺旋流路53が軸方向の下流側へ向かうに従い周方向一方側θ1に向けて螺旋状に周回しており、排出配管61は、第1螺旋流路53および外側流路54を流れる旋回流の周回方向に合わせて、外側流路54から径方向外側へ向かうに従い、周方向一方側θ1に向けて延びる。
【0081】
排出配管61には、図示しない排水バルブが接続される。排水バルブは、装置本体20の外部に配置される。排水バルブは、図示しない制御部と電気的に接続されており、制御部により開状態と閉状態とに切り替えられる。排水バルブが開状態とされることで、外側流路54の液体および異物等は、外側流路54から排出配管61を通して装置本体20の外部に排出される。
【0082】
図3に示すように、洗浄ノズル70は、ろ過部材60の内部に挿入される。洗浄ノズル70は、ノズル軸を中心とする略円筒状である。洗浄ノズル70には、流体が供給される。すなわち、洗浄ノズル70の内部には、流体が流れる。本実施形態では上記流体が、水である。
【0083】
以下の説明では、洗浄ノズル70のノズル軸が延びる方向をノズル軸方向と呼ぶ。ノズル軸方向は、各図に示すX軸方向に相当する。
ノズル軸と直交する方向をノズル径方向と呼ぶ。ノズル径方向のうち、ノズル軸に近づく方向をノズル径方向の内側と呼び、ノズル軸から離れる方向をノズル径方向の外側と呼ぶ。
ノズル軸回りに周回する方向をノズル周方向と呼ぶ。ノズル周方向のうち、所定の方向をノズル周方向の一方側と呼び、所定の方向とは反対方向をノズル周方向の他方側と呼ぶ。
【0084】
本実施形態では、洗浄ノズル70のノズル軸が、装置本体20の中心軸Oと一致する。つまりノズル軸と中心軸Oとは、互いに同軸に配置される。すなわち、ノズル軸方向は、上述の軸方向に相当する。このため、ノズル軸方向を軸方向と呼ぶ場合がある。
また、ノズル径方向は、上述の径方向に相当する。このため、ノズル径方向を径方向と呼ぶ場合がある。詳しくは、ノズル径方向の内側は、上述の径方向内側に相当し、ノズル径方向の外側は、上述の径方向外側に相当する。
また、ノズル周方向は、上述の周方向に相当する。このため、ノズル周方向を周方向と呼ぶ場合がある。詳しくは、ノズル周方向の一方側は、上述の周方向一方側θ1に相当し、ノズル周方向の他方側は、上述の周方向他方側θ2に相当する。
【0085】
洗浄ノズル70は、ノズル軸(中心軸O)を中心として軸方向に延びる。洗浄ノズル70の軸方向の上流側(-X側)の端部は、ろ過部材支持部34のノズル挿入孔34bの軸方向下流側の端部(開口部)内に、周方向に回転自在に挿入される。
【0086】
洗浄ノズル70は、流体供給穴71と、ノズル孔72と、第1押さえ面73と、第2押さえ面74と、挿入部75と、を有する。
流体供給穴71は、ノズル軸Oを中心として軸方向に延びる。流体供給穴71は、洗浄ノズル70の軸方向の下流側(+X側)を向く端面に開口する。流体供給穴71は、有底の止め穴である。流体供給穴71の底部は、洗浄ノズル70の軸方向の上流側の端部に配置される。すなわち、流体供給穴71は、洗浄ノズル70の軸方向の上流側を向く端面には開口しない。
【0087】
ノズル孔72は、洗浄ノズル70の周壁を貫通する。ノズル孔72の径方向内端部は、流体供給穴71に開口する。ノズル孔72の径方向外端部は、洗浄ノズル70の外周面に開口する。ノズル孔72は、軸方向において、ろ過部材60の両端部間に位置する。ノズル孔72は、ろ過部材60の内周面に向けて開口する。ノズル孔72は、周方向および軸方向において、互いに間隔をあけて複数設けられる。
【0088】
図6に示すように、複数のノズル孔72は、それぞれ、ノズル径方向の外側へ向かうに従い、ノズル周方向の一方側θ1に向けて延びる。すなわち、ノズル孔72は、軸方向から見て、径方向に対して傾斜する向きに延びる。このため本実施形態では、ノズル孔72からろ過部材60へ向けて流体(水)が噴出されたときに、洗浄ノズル70をノズル軸O回りに回転させる回転力が発生する。
図6および図7に示すように、軸方向に隣り合うノズル孔72同士は、互いに周方向位置がずらされて配置される。本実施形態では各ノズル孔72が、直線状に延びる。
【0089】
図3に示すように、第1押さえ面73は、洗浄ノズル70の外周面に配置され、軸方向の上流側を向く。第1押さえ面73は、ノズル軸Oを中心とする円形リング状の面である。第1押さえ面73は、ノズル軸Oと垂直な方向に広がる平面状である。第1押さえ面73は、軸方向において、ろ過部材60の両端部間に位置する。
【0090】
第2押さえ面74は、洗浄ノズル70の外周面に配置され、軸方向の上流側を向く。第2押さえ面74は、ノズル軸Oを中心とする円形リング状の面である。第2押さえ面74は、ノズル軸Oと垂直な方向に広がる平面状である。第2押さえ面74は、軸方向において、ろ過部材60の両端部間に位置する。
【0091】
第2押さえ面74は、第1押さえ面73よりも軸方向の上流側に配置される。第2押さえ面74の直径は、第1押さえ面73の直径以下である。具体的に、第2押さえ面74の外径寸法は、第1押さえ面73の外径寸法よりも小さい。第2押さえ面74の内径寸法は、第1押さえ面73の内径寸法よりも小さい。
【0092】
挿入部75は、洗浄ノズル70の軸方向の下流側の端部に配置される。挿入部75は、洗浄ノズル70のうち軸方向の下流側の端部以外の部分よりも外径寸法が小さい。挿入部75は、供給配管80の後述する継手部82の軸方向上流側を向く開口部(支持部82b)内に、周方向に回転自在に挿入される。
洗浄ノズル70の軸方向の上流側の端部が、ろ過部材支持部34に回転自在に支持され、洗浄ノズル70の軸方向の下流側の端部が、継手部82に回転自在に支持されることにより、洗浄ノズル70は、ノズル軸O回りに回転自在とされている。
【0093】
供給配管80は、洗浄ノズル70と接続される。本実施形態では供給配管80が、洗浄ノズル70と直接的に接続される。供給配管80は、洗浄ノズル70に流体を供給する。本実施形態では供給配管80が、流出筒部17を径方向に貫通して設けられる。供給配管80は、流出筒部17から径方向内側に突出する部分と、流出筒部17から径方向外側に突出する部分と、流出筒部17内を延びる部分と、を有する。供給配管80の径方向内端部には、洗浄ノズル70が接続される。供給配管80の径方向内端部は、中心軸O上に位置する。洗浄ノズル70は、供給配管80の径方向内端部から、軸方向の上流側へ向けて延びる。
【0094】
供給配管80は、筒部81と、継手部82と、を有する。
筒部81は、径方向に沿って延びる筒状である。筒部81は、流出筒部17を径方向に貫通して設けられる。
【0095】
継手部82は、L字状の配管部材である。継手部82は、筒部81の径方向内側の端部と接続される。継手部82は、流出筒部17の径方向内側に配置される。継手部82は、下流側流路56に位置する。継手部82は、接続部82aと、支持部82bと、を有する。
接続部82aは、径方向に延びる筒状であり、筒部81と接続される。
支持部82bは、軸方向に延びる筒状である。支持部82bは、ノズル軸(中心軸)Oと同軸に配置される。支持部82bには、洗浄ノズル70の挿入部75が挿入される。支持部82bは、挿入部75をノズル軸O回りに回転自在に支持する。
【0096】
供給配管80には、図示しない給水バルブが接続される。給水バルブは、装置本体20の外部に配置される。給水バルブは、図示しない制御部と電気的に接続されており、制御部により開状態と閉状態とに切り替えられる。給水バルブが開状態とされることで、供給配管80および洗浄ノズル70に流体(水)が供給される。
【0097】
補強部材90は、ろ過部材60の内部に配置され、ろ過部材60を径方向内側から支持する。図8に示すように、補強部材90は、中心軸Oを中心とする板状であり、具体的には円環板状である。補強部材90の外周面は、ろ過部材60の内周面と接触し、または隙間をあけて対向する。補強部材90は、挿入孔91と、連通孔92と、を有する。
【0098】
挿入孔91は、補強部材90を軸方向に貫通する。挿入孔91は、中心軸Oを中心とする円孔状である。挿入孔91内には、洗浄ノズル70が周方向に回転自在に挿入される。
連通孔92は、補強部材90を軸方向に貫通する。連通孔92は、径方向において、補強部材90の外周面と挿入孔91との間に配置される。連通孔92は、周方向に互いに間隔をあけて複数設けられる。本実施形態では連通孔92が、周方向に等ピッチで4つ設けられる。各連通孔92は、周方向に延びる。各連通孔92は、内側流路55の一部を構成する。
【0099】
図3に示すように、本実施形態では補強部材90が、軸方向に互いに間隔をあけて複数(2つ)設けられる。複数の補強部材90は、第1補強部材90Aと、第2補強部材90Bと、を含む。
第1補強部材90Aは、2つの補強部材90のうち、軸方向の下流側に位置する一方の補強部材90である。第1補強部材90Aの軸方向を向く一対の板面のうち、軸方向の下流側を向く板面の内周部は、第1押さえ面73と接触する。第1補強部材90Aが、第1押さえ面73に対して軸方向の上流側から接触することにより、第1補強部材90Aの軸方向の下流側へ向けた移動が規制される。
【0100】
第2補強部材90Bは、2つの補強部材90のうち、軸方向の上流側に位置する他方の補強部材90である。第2補強部材90Bの軸方向を向く一対の板面のうち、軸方向の下流側を向く板面の内周部は、第2押さえ面74と接触する。第2補強部材90Bが、第2押さえ面74に対して軸方向の上流側から接触することにより、第2補強部材90Bの軸方向の下流側へ向けた移動が規制される。
本実施形態では、第2補強部材90Bの挿入孔91の内径寸法が、第1補強部材90Aの挿入孔91の内径寸法よりも小さい。
【0101】
特に図示しないが、制御部は、例えば、所定時間毎に排水バルブを閉状態から開状態に切り替え、排出配管61を通して外側流路54から排水を行う。外側流路54からの排水は、例えば、一定時間行われる。外側流路54から排水を行った後、制御部は、排水バルブを開状態から閉状態に切り替える。
また、制御部は、例えば、所定時間毎に給水バルブを閉状態から開状態に切り替え、供給配管80を通して洗浄ノズル70に給水を行う。洗浄ノズル70への給水は、例えば、一定時間行われる。洗浄ノズル70に給水を行った後、制御部は、給水バルブを開状態から閉状態に切り替える。
【0102】
以上説明した本実施形態のストレーナー装置10では、装置本体20の内部を流れる液体が、第1螺旋流路53、外側流路54および内側流路55を、この順に流れる。詳しくは、液体が第1螺旋流路53を通過することにより螺旋状の旋回流が発生し、この旋回流は、第1螺旋流路53の下流側に位置する環状の外側流路54を、螺旋状に旋回しながら流れる。液体中に含まれる異物等の一部は、旋回流の遠心力により外側流路54内において径方向外側へ移動し、つまりろ過部材60から離れる向きに移動させられる。すなわち、液体がろ過部材60を通過する前の時点で、旋回流を用いたサイクロン機能により、液体中から異物等の一部を分離させることができる。このため、ろ過部材60への異物等の付着が抑制される。
【0103】
また、液体中に含まれる異物等の他の一部は、ろ過部材60により捕捉されて、ろ過部材60の外周面に付着する。本実施形態では、外側流路54を流れる旋回流が、ろ過部材60の外周面に沿って螺旋状に周回するため、ろ過部材60に一時的に付着した異物等が、ろ過部材60の外周面から除去されやすい。すなわち、ろ過部材60に付着した異物等が旋回流によって適宜除去され、サイクロン機能による洗浄効果が得られるため、異物等がろ過部材60に固着化したり目詰まりすることが抑制される。このため、ろ過部材60のメンテナンスが容易であり、またメンテナンスの頻度を少なく抑えることができる。
以上より本実施形態によれば、ろ過部材60に異物等が固着することを抑制でき、メンテナンスの頻度を少なく抑えることが可能である。
【0104】
また本実施形態では、第1螺旋流路53が、軸方向へ向かうに従い周方向位置が段階的に変化する段差付き螺旋流路である。
この場合、液体が、段差付き螺旋流路とされた第1螺旋流路53を流れることで、流路内面の凹凸によってキャビテーション作用が得られたり、液体に圧力変化や遠心力が作用しやすくなったりして、液体中に細かな気泡つまりマイクロバブルが発生する。
液体中に生じたマイクロバブルは、異物等がろ過部材60に付着することを抑制する機能や、ろ過部材60の外周面に付着した異物等を除去する機能等を有する。このため、簡素な構造により、ろ過部材60に異物等が固着することを抑制できる。また、液体中のマイクロバブルは、ろ過部材60のみならず、流路50を広範囲にわたり洗浄するため、ストレーナー装置10の機能が良好に維持される。
【0105】
また本実施形態では、第1螺旋流路53が、周方向に並んで複数設けられる。
この場合、複数の第1螺旋流路53によって、旋回流をより安定して発生させることができる。また本実施形態のように、第1螺旋流路53が段差付き螺旋流路である場合には、液体中にマイクロバブルをより多く発生させて、洗浄効果をさらに高めることができる。
【0106】
また本実施形態では、排出配管61が、外側流路54と接続される。
この場合、外側流路54内に溜った異物等を、液体とともに、排出配管61を通して装置外部に排出することができる。メンテナンスなどのためにストレーナー装置10を分解する作業の頻度を少なく抑えることができる。
【0107】
また本実施形態では、排出配管61が、中心軸O回りのうち第1螺旋流路53が螺旋状に周回する向きに沿って外側流路54から延びる。具体的には、第1螺旋流路53および外側流路54を流れる旋回流の中心軸O回りの周回方向に合わせて、排出配管61は、外側流路54から径方向外側へ向かうに従い、周方向一方側θ1に向けて延びる。
この場合、外側流路54を流れる旋回流の流れの向きに沿って、外側流路54内の異物等を排出配管61から装置外部に効率よく排出できる。
また本実施形態では、排出配管61が、外側流路54のうち軸方向の下流側の端部に接続されるため、この端部に溜った異物等をより効率的に装置外部に排出できる。
【0108】
また本実施形態では、供給配管80を通して洗浄ノズル70に流体(水)が供給され、洗浄ノズル70は、ろ過部材60の内周面に向けて開口するノズル孔72を有する。
この場合、供給配管80から洗浄ノズル70に供給される流体が、洗浄ノズル70のノズル孔72から、ろ過部材60の内周面に向けて噴出する。ノズル孔72から噴出した流体は、ろ過部材60の周壁の網目を径方向外側へ通過し、ろ過部材60の外周面に付着した異物等を外周面から剥がすように作用する。すなわち、ノズル孔72から流体を噴射することで、ろ過部材60に付着した異物等を除去できるため、異物等がろ過部材60に固着することを安定して抑制できる。
【0109】
また本実施形態では、洗浄ノズル70が、ノズル軸O回りに回転自在とされ、ノズル孔72は、ノズル径方向の外側へ向かうに従い、ノズル周方向の一方側θ1に向けて延びる。
この場合、ノズル孔72から流体が噴出することで、洗浄ノズル70をノズル軸O回りに回転させる回転力が発生する。具体的には、この回転力によって、洗浄ノズル70がノズル周方向の他方側θ2に向けて回転させられる。洗浄ノズル70が回転することで、ノズル孔72から噴出する流体が、ろ過部材60の周壁に対して周方向全周にわたって供給され、ろ過部材60を広範囲に洗浄することができる。このため、異物等がろ過部材60に固着することを安定して抑制できる。
【0110】
また本実施形態では、洗浄ノズル70のノズル軸Oが、ろ過部材60の中心軸Oと同軸に配置されるため、ノズル孔72から噴出する流体によって、ろ過部材60を周方向均等に洗浄できる。
また、軸方向に隣り合うノズル孔72同士が、周方向において互いに位置がずらされて配置されるため、ろ過部材60を広範囲に安定して洗浄できる。また、洗浄ノズル70の周方向各位置における強度のばらつきが抑えられ、ノズル剛性が安定して確保される。
【0111】
また本実施形態では、補強部材90が、ろ過部材60を径方向内側から支持する。
この場合、ろ過部材60が水圧等で径方向内側に潰れるような不具合が、補強部材90により抑制される。このため、ろ過部材60によるろ過機能が、良好に維持される。
【0112】
また本実施形態では、軸方向から見て、複数の板部材13のうち、軸方向の上流端に位置する一の板部材13の流通孔21の孔中心Cと、軸方向の下流端に位置する他の板部材13の流通孔21の孔中心Cとの間の、中心軸Oを中心とする中心角αが、40°以上90°以下である。
複数の板部材13の各流通孔21により形成される螺旋階段状の流路部分(第1螺旋流路53)の中心角αが、40°以上であると、第1螺旋流路53を流れる液体に旋回流を安定して発生させることができ、本実施形態による洗浄効果がより高められる。また段差部23の表面積が大きく確保されるため、キャビテーション作用によりマイクロバブルがより安定して発生しやすい。
また中心角αが、90°以下であると、螺旋階段状の流路部分の軸方向の全長が長くなり過ぎることを抑えられ、ストレーナー装置10をコンパクトに構成できる。
【0113】
また本実施形態では、軸方向から見て、軸方向に隣接する一対の板部材13の各流通孔21の孔中心C同士の、中心軸Oを中心とする中心角βが、1°以上5°以下である。
中心角βが、1°以上であると、第1螺旋流路53に形成される段差部23の機能が安定して得られ、マイクロバブルが効率よく発生させられる。
また中心角βが、5°以下であると、第1螺旋流路53を流れる液体の圧力損失が大きくなり過ぎることが抑えられ、流路50を流れる液体の流通状態を安定させることができる。
【0114】
また特に図示しないが、本実施形態では、制御部が、例えば、所定時間毎に排水バルブを閉状態から開状態に切り替え、外側流路54から排水を行う。
本実施形態のストレーナー装置システム110によれば、ストレーナー装置10の外側流路54に溜った異物等を所定時間毎に装置本体20の外部に排出でき、ろ過部材60への異物等の固着を安定して抑制できる。また、ろ過部材60をメンテナンスする頻度、すなわちストレーナー装置10を分解してろ過部材60を清掃したり交換したりする頻度を、少なく抑えることができる。
【0115】
また制御部は、例えば、所定時間毎に給水バルブを閉状態から開状態に切り替え、洗浄ノズル70に給水を行う。
この場合、洗浄ノズル70によってろ過部材60を所定時間毎に洗浄でき、ろ過部材60への異物等の固着を安定して抑制できる。また、ろ過部材60をメンテナンスする頻度、すなわちストレーナー装置10を分解してろ過部材60を清掃したり交換したりする頻度を、少なく抑えることができる。
【0116】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態のストレーナー装置40およびストレーナー装置システム110について、図9図15を参照して説明する。なお本実施形態では、前述の実施形態と同じ構成については、同じ名称や符号を付すなどしてその説明を省略する場合がある。
【0117】
図9に示すように、本実施形態では、中間筒部18の環状凹部18aの軸方向寸法が、ろ過部材60の軸方向寸法よりも大きい。環状凹部18aの軸方向上流側(-X側)の端部は、ろ過部材60の軸方向上流側の端部よりも、上流側に位置する。環状凹部18aの軸方向下流側(+X側)の端部は、ろ過部材60の軸方向下流側の端部よりも、下流側に位置する。また、排出配管61の径方向内端部は、環状凹部18aの内面に開口する。
【0118】
図9および図10に示すように、流出筒部17は、収容孔部17hと、第1流体流路17iと、を有する。
収容孔部17hは、流出筒部17の内周面のうち軸方向下流側の端部に配置される。収容孔部17hは、流出筒部17の軸方向下流側を向く端面に開口する。収容孔部17hは、中心軸Oを中心とする円孔状である。収容孔部17hは、流出筒部17の内周面において、最も内径寸法が大きい。
【0119】
第1流体流路17iは、流出筒部17内を径方向に延び、流出筒部17を径方向に貫通する。第1流体流路17iの径方向内端部は、収容孔部17hの内周面に開口する。第1流体流路17iの径方向外端部は、下流側フランジ17bの外周面に開口する。
【0120】
本実施形態では供給配管80が、流出筒部17の内部および後述する旋回流発生部材14の内部を通して、洗浄ノズル70と間接的に接続される。供給配管80は、第1流体流路17i、旋回流発生部材14の後述する第2流体流路45、第3流体流路46およびノズル支持穴41を介して、洗浄ノズル70に流体を供給する。
【0121】
供給配管80は、接続継手83を有する。
接続継手83は、L字状の配管部材である。接続継手83は、第1流体流路17iの径方向外端部に接続されて、流出筒部17に保持される。
【0122】
本実施形態では装置本体20が、旋回流発生部材14を有する。
旋回流発生部材14は、中心軸Oを中心とする略円筒状である。旋回流発生部材14は、収容孔部17hに配置される。旋回流発生部材14は、収容孔部17h内に嵌合する。旋回流発生部材14は、流出筒部17に保持される。旋回流発生部材14は、ろ過部材60よりも軸方向の下流側に配置される。
【0123】
図9図14に示すように、旋回流発生部材14は、ノズル支持穴41と、旋回流発生孔42と、シール溝43と、シール部材44と、第2流体流路45と、第3流体流路46と、を有する。
【0124】
ノズル支持穴41は、中心軸(ノズル軸)Oを中心として軸方向に延びる。ノズル支持穴41は、旋回流発生部材14の軸方向の上流側を向く端面に開口する。ノズル支持穴41は、有底の止め穴である。ノズル支持穴41の底部は、旋回流発生部材14の軸方向の下流側の部分に配置される。すなわち、ノズル支持穴41は、旋回流発生部材14の軸方向の下流側を向く端面には開口しない。ノズル支持穴41の軸方向の上流側の端部には、洗浄ノズル70の挿入部75が周方向に回転自在に挿入される。
【0125】
旋回流発生孔42は、旋回流発生部材14を軸方向に貫通する。旋回流発生孔42は、径方向において、旋回流発生部材14の外周面とノズル支持穴41との間に配置される。旋回流発生孔42は、周方向に沿って延びる。旋回流発生孔42は、軸方向から見て、略扇形状である。旋回流発生孔42は、軸方向へ向かうに従い周方向位置が変化する、螺旋状の孔である。具体的に本実施形態では、旋回流発生孔42が、軸方向の下流側へ向かうに従い、周方向一方側θ1に向けて延びる。
【0126】
旋回流発生孔42のうち軸方向上流側の端部(液体受入口)は、中心軸Oと垂直な断面積(開口面積)が、上流側へ向かうに従い大きくなる。旋回流発生孔42のうち軸方向上流側の端部以外の部分は、中心軸Oと垂直な断面積が、軸方向の各位置で略一定である。
旋回流発生孔42は、周方向に互いに間隔をあけて複数設けられる。本実施形態では旋回流発生孔42が、周方向に等ピッチで3つ設けられる。
【0127】
旋回流発生孔42は、段差付き壁部42aを有する。
段差付き壁部42aは、旋回流発生孔42の内周面のうち、周方向の両端部に一対設けられる。すなわち、旋回流発生孔42は、段差付き壁部42aを複数有する。段差付き壁部42aは、軸方向へ向かうに従い周方向位置が段階的に変化する階段状の壁部である。具体的に本実施形態では、段差付き壁部42aが、軸方向の下流側へ向かうに従い、周方向一方側θ1に向けて階段状に延びる。段差付き壁部42aは、軸方向を向く端面と、周方向を向く側面とが交互に配列することにより、階段状をなす。
【0128】
シール溝43は、旋回流発生部材14の外周面から径方向内側に窪み、周方向に延びる溝状である。シール溝43は、中心軸Oを中心とする環状の溝である。本実施形態ではシール溝43が、軸方向に互いに間隔をあけて複数設けられる。
【0129】
図9に示すように、シール部材44は、周方向に延びる環状の弾性部材等であり、例えばOリング等である。本実施形態ではシール部材44が、軸方向に互いに間隔をあけて複数設けられる。各シール部材44は、各シール溝43に配置される。シール部材44は、収容孔部17hの内周面に周方向全周にわたって接触する。
【0130】
第2流体流路45は、旋回流発生部材14の外周面から径方向内側に窪み、周方向に延びる溝状である。第2流体流路45は、中心軸Oを中心とする環状の溝である。第2流体流路45は、軸方向に隣り合う一対のシール溝43間に配置される。第2流体流路45は、径方向において収容孔部17hの内周面と対向し、第1流体流路17iと連通する。
【0131】
図12図14に示すように、第3流体流路46は、旋回流発生部材14内を径方向に延びる。本実施形態では第3流体流路46が、円孔状であり、径方向に沿って直線状に延びる。第3流体流路46は、周方向に隣り合う一対の旋回流発生孔42間に配置される。第3流体流路46の径方向外端部は、第2流体流路45に開口する。第3流体流路46の径方向内端部は、ノズル支持穴41に開口する。
【0132】
第3流体流路46は、周方向に互いに間隔をあけて複数設けられる。すなわち、第2流体流路45とノズル支持穴41とは、複数の第3流体流路46を介して、互いに連通する。本実施形態では第3流体流路46が、周方向に等ピッチで3つ設けられる。第3流体流路46の数は、旋回流発生孔42の数と同じである。
【0133】
図9に示すように、本実施形態では流路50が、上流側流路51と、直線流路52と、第1螺旋流路53と、外側流路54と、内側流路55と、下流側流路56と、第2螺旋流路57と、を有する。流路50の液体は、上流側流路51、直線流路52、第1螺旋流路53、外側流路54、内側流路55、下流側流路56、および第2螺旋流路57を、この順に流れる。
【0134】
第2螺旋流路57は、内側流路55および下流側流路56の軸方向の下流側に位置する。本実施形態では第2螺旋流路57が、流路50のうち軸方向の下流側の端部に位置する。第2螺旋流路57は、装置本体20のうち軸方向の下流側の端部に配置される。第2螺旋流路57は、旋回流発生部材14の内部に配置される。
【0135】
図11図14に示すように、第2螺旋流路57は、軸方向へ向かうに従い中心軸O回りの周方向位置が変化する。具体的に、第2螺旋流路57は、軸方向の下流側へ向かうに従い、周方向一方側θ1に向けて延びる螺旋状である。本実施形態では第2螺旋流路57が、軸方向へ向かうに従い周方向位置が段階的に変化する段差付き螺旋流路である。第2螺旋流路57は、旋回流発生孔42の内周面により画成される。すなわち、第2螺旋流路57は、段差付き壁部42aにより画成される部分を有する。
【0136】
第2螺旋流路57は、周方向に互いに間隔をあけて複数設けられる。つまり第2螺旋流路57は、周方向に並んで複数設けられる。本実施形態では第2螺旋流路57が、周方向に等ピッチで3つ設けられる。
【0137】
図9に示すように本実施形態では、供給配管80の接続継手83から第1流体流路17i、第2流体流路45、複数の第3流体流路46、およびノズル支持穴41を通して、洗浄ノズル70に流体(水)が供給される。
【0138】
洗浄ノズル70は、洗浄ノズル70の軸方向上流側の端部に配置される接触面76を有する。
接触面76は、洗浄ノズル70の外周面に配置され、軸方向の上流側を向く。接触面76は、ノズル軸Oを中心とする円形リング状の面である。接触面76は、ノズル軸Oと垂直な方向に広がる平面状である。接触面76は、ろ過部材支持部34の軸方向下流側を向く端面と摺動自在に接触し、または隙間をあけて対向する。
【0139】
図15に示すように本実施形態では、補強部材90の連通孔92が、周方向に等ピッチで3つ設けられる。
【0140】
以上説明した本実施形態のストレーナー装置40およびストレーナー装置システム110によれば、前述した実施形態と同様の作用効果が得られる。
【0141】
また本実施形態では、排出配管61の径方向内端部が、環状凹部18aの内面に開口する。
この場合、環状凹部18aに溜った異物等を、排出配管61を通して装置外部に効率よく排出できる。
【0142】
また本実施形態では、流路50が第2螺旋流路57を有し、第2螺旋流路57は、軸方向へ向かうに従い周方向位置が段階的に変化する段差付き螺旋流路である。
この場合、液体が、段差付き螺旋流路とされた第2螺旋流路57を流れることで、流路内面の凹凸によってキャビテーション作用が得られたり、液体に圧力変化や遠心力が作用しやすくなったりして、液体中に細かな気泡つまりマイクロバブルが発生する。
また、液体が第2螺旋流路57を通過することで、螺旋状の旋回流が発生する。すなわち、マイクロバブルを含む旋回流が、ストレーナー装置40の下流側へと流れていくことになる。これにより、ストレーナー装置40から遠く離れた管100の部分にまでマイクロバブルが安定して行き渡りやすくなり、液体の流通系統全域において洗浄効果を得ることができる。
【0143】
また本実施形態では、第2螺旋流路57が、周方向に並んで複数設けられる。
この場合、複数の第2螺旋流路57によって、旋回流をより安定して発生させることができる。また、液体中にマイクロバブルをより多く発生させて、洗浄効果をさらに高めることができる。
【0144】
また本実施形態では、洗浄ノズル70の軸方向下流側の端部(挿入部75)が、旋回流発生部材14により支持されており、旋回流発生部材14は、流出筒部17の収容孔部17h内に嵌合する。
この場合、洗浄ノズル70が中心軸Oに対して芯ずれすることが抑制される。このため、ノズル孔72から流体が噴出したときに、洗浄ノズル70が安定して周方向に回転させられる。洗浄ノズル70によって、ろ過部材60を広範囲に安定して洗浄することができる。
【0145】
なお、本発明は前述の実施形態に限定されず、例えば下記に説明するように、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において構成の変更等が可能である。
【0146】
前述の実施形態では、図2等に示すように、装置本体20を軸方向の上流側から見て、周方向一方側θ1が中心軸Oを中心とする反時計回りの方向であり、周方向他方側θ2が中心軸Oを中心とする時計回りの方向である例を挙げたが、これに限らない。すなわち、装置本体20を軸方向の上流側から見て、周方向一方側θ1が中心軸Oを中心とする時計回りの方向であり、周方向他方側θ2が中心軸Oを中心とする反時計回りの方向であってもよい。この場合、第1螺旋流路53の中心軸O回りのねじれの向き、および、第2螺旋流路57の中心軸O回りのねじれの向きが、前述の実施形態とは反対方向となる。
【0147】
前述の実施形態では、排水バルブが、制御部と電気的に接続されており、制御部により自動で開状態と閉状態とに切り替えられる例を挙げたが、これに限らない。排水バルブは、例えばオペレーターの開閉操作によって、手動で開状態と閉状態とに切り替えられてもよい。
【0148】
前述の実施形態では、給水バルブが、制御部と電気的に接続されており、制御部により自動で開状態と閉状態とに切り替えられる例を挙げたが、これに限らない。給水バルブは、例えばオペレーターの開閉操作によって、手動で開状態と閉状態とに切り替えられてもよい。
【0149】
前述の実施形態では、洗浄ノズル70に供給される流体が水である例を挙げたが、これに限らない。洗浄ノズル70に供給される流体は、例えば、水以外の液体や圧縮エア等の気体でもよい。
【0150】
本発明は、本発明の趣旨から逸脱しない範囲において、前述の実施形態および変形例等で説明した各構成を組み合わせてもよく、また、構成の付加、省略、置換、その他の変更が可能である。また本発明は、前述した実施形態等によって限定されず、特許請求の範囲によってのみ限定される。
【産業上の利用可能性】
【0151】
本発明のストレーナー装置によれば、ろ過部材に異物等が固着することを抑制でき、メンテナンスの頻度を少なく抑えることが可能である。したがって、産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0152】
10,40…ストレーナー装置、20…装置本体、50…流路、53…第1螺旋流路、54…外側流路、55…内側流路、57…第2螺旋流路、60…ろ過部材、61…排出配管、70…洗浄ノズル、72…ノズル孔、80…供給配管、90…補強部材、O…中心軸(ノズル軸)、θ1…周方向一方側(ノズル周方向の一方側)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15