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  • 特開-地盤改良装置 図1
  • 特開-地盤改良装置 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022188475
(43)【公開日】2022-12-21
(54)【発明の名称】地盤改良装置
(51)【国際特許分類】
   E02D 3/12 20060101AFI20221214BHJP
【FI】
E02D3/12 102
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021096532
(22)【出願日】2021-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】000236610
【氏名又は名称】株式会社不動テトラ
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(72)【発明者】
【氏名】山下 祐司
【テーマコード(参考)】
2D040
【Fターム(参考)】
2D040AA01
2D040AB03
2D040BA08
2D040CB03
2D040EA12
2D040EA16
2D040EA19
(57)【要約】
【課題】供回り防止板を用いることなく、土砂の供回りを簡単かつ確実に防止することができる安価で小型の地盤改良装置を提供する。
【解決手段】ロッド5の先端の少なくとも上下段に取り付けられた各撹拌翼6をロッド5の基端に結合したオーガモータにより回転させ、ロッド5が貫入される箇所の地盤と回転する撹拌翼から吐出された固化材とを撹拌混合して地盤を改良する地盤改良装置1において、ロッド5は、二重管であって内管11と外管10とを有し、内管11をオーガモータの回転軸と連結して回転自在にすると共に、外管10をオーガモータの回転軸と連結しないで固定させ、下段の撹拌翼をオーガモータの回転と同一方向に回転する正転翼とすると共に、上段の撹拌翼6を内管11と外管10との間に設けられた反転機構15を介してオーガモータの回転方向と反対方向に回転する反転翼とした。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロッドの先端の少なくとも上下段に取り付けられた各撹拌翼を前記ロッドの基端に結合したオーガモータにより回転させ、前記ロッドが貫入される箇所の地盤と回転する前記撹拌翼から吐出された固化材とを撹拌混合して地盤を改良する地盤改良装置において、
前記ロッドは、二重管であって内管と外管とを有し、
前記内管と外管のいずれか一方の管を前記オーガモータの回転軸と連結して回転自在にすると共に、他方の管を前記オーガモータの回転軸と連結しないで固定させ、
前記上段の撹拌翼と前記下段の撹拌翼のいずれか一方の撹拌翼を前記オーガモータの回転と同一方向に回転する正転翼とすると共に、他方の撹拌翼を前記内管と前記外管との間に設けられた反転機構を介して前記オーガモータの回転方向と反対方向に回転する反転翼としたことを特徴とする地盤改良装置。
【請求項2】
請求項1記載の地盤改良装置であって、
前記反転機構は、
前記一方の管に貫通して固着された太陽歯車と、
前記他方の管の底面に突設された支軸に回転自在に支持され、前記太陽歯車に噛み合わされる遊星歯車と、
外周面に前記他方の撹拌翼が取り付けられると共に、前記遊星歯車に噛み合わされる円環状の外輪歯車と、
前記太陽歯車と前記遊星歯車及び前記外輪歯車の歯部を覆うギヤボックスと、
で構成されていることを特徴とする地盤改良装置。
【請求項3】
請求項2記載の地盤改良装置であって、
前記ギヤボックスは、
前記他方の管の底面に取り付けられた上部カバーと、
前記支軸の下端に取り付けられた下部カバーと、
前記外輪歯車の外周面から成るケースと、
で構成されていることを特徴とする地盤改良装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の地盤改良装置であって、
前記一方の管は、前記内管であり、
前記他方の管は、前記外管であり、
前記一方の撹拌翼は、前記下段の撹拌翼であり、
前記他方の撹拌翼は、前記上段の撹拌翼であることを特徴とする地盤改良装置。
【請求項5】
請求項1又は4記載の地盤改良装置であって、
少なくとも前記下段の撹拌翼には、前記固化材を吐出する吐出口が設けられていることを特徴とする地盤改良装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転する撹拌翼から固化材を吐出させて地盤を撹拌改良する地盤改良装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の地盤改良装置として、特許文献1に開示された供回り防止翼付き地盤改良撹拌機がある。この地盤改良撹拌機は、第1の回転軸に設けられた掘削撹拌翼と、第1の回転軸に回転自在に外嵌された第2の回転軸に第1傘歯車と第2の傘歯車を介して回転自在に設けられた回転抑止翼と、第2の回転軸の上方で第1の回転軸に回転自在に外装された第3の回転軸に第2傘歯車と第3の傘歯車を介して回転自在に設けられた供回り防止翼と、を備えている。そして、供回り防止翼を第1の回転軸に設けられた掘削撹拌翼の回転方向と逆方向に回転させることで、土砂が掘削撹拌翼と共に回転し始めたとしても、供回り防止翼により、その回転が抑止され、土砂が強制的にせん断されるので、土砂の供回り現象が起こることを防止して、土砂と固化材とを混合撹拌できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-317036号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の地盤改良撹拌機では、第1から第3の回転軸と第1から第3の傘歯車が必要不可欠なため、構造が複雑となってコスト高となり、装置全体の大型化を招いていた。
【0005】
そこで、本発明は、前記した課題を解決すべくなされたものであり、供回り防止板を用いることなく、土砂の供回りを簡単かつ確実に防止することができる安価で小型の地盤改良装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、ロッドの先端の少なくとも上下段に取り付けられた各撹拌翼を前記ロッドの基端に結合したオーガモータにより回転させ、前記ロッドが貫入される箇所の地盤と回転する前記撹拌翼から吐出された固化材とを撹拌混合して地盤を改良する地盤改良装置において、前記ロッドは、二重管であって内管と外管とを有し、前記内管と外管のいずれか一方の管を前記オーガモータの回転軸と連結して回転自在にすると共に、他方の管を前記オーガモータの回転軸と連結しないで固定させ、前記上段の撹拌翼と前記下段の撹拌翼のいずれか一方の撹拌翼を前記オーガモータの回転と同一方向に回転する正転翼とすると共に、他方の撹拌翼を前記内管と前記外管との間に設けられた反転機構を介して前記オーガモータの回転方向と反対方向に回転する反転翼としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、供回り防止板を用いることなく、土砂の供回りを簡単かつ確実に防止することができ、かつ、低コスト化及び小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態の地盤改良装置を示す概略側面図である。
図2】上記地盤改良装置の要部の概略断面図である。
図3図2中III-III線に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0010】
図1は本発明の一実施形態の地盤改良装置を示す概略側面図、図2は地盤改良装置の要部の概略断面図、図3図2中III-III線に沿う断面図である。
【0011】
図1図2に示すように、地盤改良装置1は、ロッド5の先端の上下段に取り付けられた各撹拌翼6,7をロッド5の基端に結合したオーガモータ4により回転させ、ロッド5が貫入される箇所の地盤と回転する下段の撹拌翼7の吐出口8から吐出されたスラリー状の固化材Sとを撹拌混合して地盤を改良するものである。
【0012】
図1図2に示すように、ロッド5は、二重管であって、金属製で円筒状の外管(他方の管)10と金属製で円筒状の内管(一方の管)11とを有している。外管10は、施工機本体の前部に立設したリーダ2に沿って昇降駆動装置3を介して昇降動するようになっている。外管10は、昇降駆動装置3を載置した設置台3Aに回転しないように固定されている。また、外管10は、後述する上段の撹拌翼6の上部まで垂下している。
【0013】
図1に示すように、内管11は、基端11bがオーガモータ(駆動装置)4の回転軸4aと連結されて回転するようになっている。また、内管11の先端11aには、掘削ビット12が取り付けられている。さらに、内管11の先端11aの上側には、ギヤボックス20を介して上段の一対の撹拌翼(他方の撹拌翼)6,6が取り付けられていると共に、その下方には、下段の一対の撹拌翼(一方の撹拌翼)7,7が取り付けられている。この下段の一対の撹拌翼7,7は、オーガモータ4の回転と同一方向に回転する正転翼となっていると共に、上段の一対の撹拌翼6,6は、外管10の底面部10aと内管11の先端11aとの間に設けられた反転機構15を介してオーガモータ4の回転方向と反対方向に回転する反転翼となっている。尚、反転翼である上段の一対の撹拌翼6,6の長さは、正転翼である下段の一対の撹拌翼7,7の長さと同じ長さに形成されている(全ての撹拌翼が正転翼より半径方向に突出しない長さであれば良い)。また、下段の各撹拌翼7の下側には、スラリー状の固化材Sを吐出する吐出口8が設けられている。
【0014】
図2図3に示すように、反転機構15は、内管11に貫通して固着された太陽歯車16と、外管10の底面部10aに突設された3本の支軸17にそれぞれ回転自在に支持されて、太陽歯車16に噛み合わされる遊星歯車18と、外周面19aに上段の一対の撹拌翼6,6が取り付けられていると共に、遊星歯車18に噛み合わされる円環状の外輪歯車19と、太陽歯車16と遊星歯車18及び外輪歯車19の歯部19bを覆うギヤボックス20と、で構成されている。3本の支軸17は、外管10の軸方向と平行となるように外管10の底面部10aに固着されている。太陽歯車16は、内管11に貫通して固着されていて内管11と同じ速度で回転するようになっている。尚、位置ズレを防止するために遊星歯車18を球状にしても良い。
【0015】
図1図2に示すように、ギヤボックス20は、外管10の底面部10aに取り付けられた上部カバー21と、支軸17の下端17aに取り付けられた下部カバー22と、外輪歯車19の外周面から成るケース19aと、で構成されている。この構成により、ギヤボックス20は外管10の下部に懸架されている。
【0016】
図1図2に示すように、上部カバー21は、円板状のカバー本体21aと、内管11が貫通する円形の挿通孔21bと、カバー本体21aの外周縁から下方に延びる円筒状の周壁部21cと、を有する。また、下部カバー22は、円板状のカバー本体22aと、内管11が貫通する円形の挿通孔22bと、カバー本体22aの外周縁から上方に延びる円筒状の周壁部22cと、を有する。これら上部カバー21の周壁部21cと下部カバー22の周壁部22cとの間において、上段の一対の撹拌翼6,6は、外輪歯車19の外周面19aにその半径方向に突出するように取り付けられていて、下段の一対の撹拌翼7,7の回転方向と反対方向に回転するようになっている。
【0017】
以上実施形態の地盤改良装置1によれば、 外管10を地盤9中に貫入する際に、下段の一対の撹拌翼7,7の各吐出口8からスラリー状の固化材Sを吐出させる。そして、外管10が貫入される箇所の地盤9の土砂とスラリー状の固化材Sを上段の一対の撹拌翼6,6及び下段の一対の撹拌翼7,7を介して撹拌混合することで、断面が円形の改良体(図示省略)を造成して地盤を改良する。
【0018】
また、この地盤改良装置1では、外管10の内部に内管11を回転自在に収納した一軸のロッド5を使用している。このため、二軸同軸式オーガ(施工機)を用いることなく、1台の広く利用されている一軸オーガにより二重反転撹拌翼を構成することが可能となる。これにより、土砂の供回りが解消すると共に、上下段の撹拌翼6,7の長さを揃えることも可能で、単軸機に見られる供回り防止板の突出による貫入不良の問題も解決することができる。つまり、単軸機のように供回り防止板を用いることなく、土砂の供回りを簡単かつ確実に防止することができる安価で小型の地盤改良装置1を提供することができる。
【0019】
尚、前記実施形態によれば、下段の撹拌翼に固化材を吐出する吐出口を設けて、ロッドを地盤に貫入する際に固化材を吐出するようにしたが、上段の撹拌翼に固化材を吐出する吐出口を設けて、ロッドを地盤に引き抜く際にも固化材を吐出するようにしても良い。
【0020】
また、前記実施形態によれば、内管の先端の上下段に撹拌翼をそれぞれ設けたが、内管の先端の上中下段に撹拌翼をそれぞれ設けても良い。
【0021】
さらに、前記実施形態によれば、外管を固定し、撹拌翼を取り付けた内管をオーガモータにより回転させるようにしたが、内管を固定し、外管に撹拌翼を取り付けて該外管をオーガモータにより回転させるようにしても良い。
【符号の説明】
【0022】
1 地盤改良装置
4 オーガモータ(駆動装置)
4a 回転軸
5 ロッド
6 上段の撹拌翼(他方の撹拌翼:反転翼)
7 下段の撹拌翼(一方の撹拌翼:正転翼)
8 吐出口
9 地盤
10 外管(他方の管)
10a 底面部
11 内管(一の管)
11a 先端
11b 基端
15 反転機構
16 太陽歯車
17 支軸
17a 下端
18 遊星歯車
19 円環状の外輪歯車
19a 外周面(ケース)
19b 歯部
20 ギヤボックス
21 上部カバー
22 下部カバー
S 固化材
図1
図2
図3