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特開2022-188478距離画像撮像装置及び距離画像撮像方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022188478
(43)【公開日】2022-12-21
(54)【発明の名称】距離画像撮像装置及び距離画像撮像方法
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/4861 20200101AFI20221214BHJP
   G01S 17/894 20200101ALI20221214BHJP
【FI】
G01S7/4861
G01S17/894
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021096537
(22)【出願日】2021-06-09
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-02-15
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(72)【発明者】
【氏名】大久保 優
(72)【発明者】
【氏名】畠山 邦広
(72)【発明者】
【氏名】高橋 聡
【テーマコード(参考)】
5J084
【Fターム(参考)】
5J084AA05
5J084AD05
5J084BA20
5J084BA34
5J084CA03
5J084DA08
5J084EA02
5J084EA11
(57)【要約】
【課題】電荷蓄積部の各々から読み出す電荷量の転送トランジスタによるバラツキを補正する際、ノイズ電荷の電荷量分の変動を除去し、距離計算の精度を向上させて正確な距離画像を撮像する距離画像撮像装置を提供する。
【解決手段】本発明は、光パルスを照射する光源部と、入射光に応じた電荷を発生する光電変換素子と、電荷を蓄積する電荷蓄積部を備える画素回路と、光パルスに同期して転送トランジスタのオンオフ処理を行い電荷を振分けて蓄積させる画素駆動回路とを有する受光部と、背景光で生成されて光電変換素子から転送トランジスタにより振分けて電荷蓄積部で蓄積される背景光電荷量と、背景光により生成されて電荷蓄積部に流入して蓄積されるノイズ電荷量との比を用いてノイズ電荷量を推定するノイズ電荷量推定部と、電荷蓄積部の各々に蓄積された蓄積電荷量からノイズ電荷量を減算し、被写体との距離の計算を行う距離演算部とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定空間に光パルスを照射する光源部と、
前記測定空間から入射した光に応じた電荷を発生する光電変換素子と、フレーム周期において前記電荷を蓄積する複数の電荷蓄積部を備える複数の画素回路と、前記光パルスの照射に同期した所定の蓄積タイミングで、前記電荷蓄積部の各々に転送トランジスタそれぞれのオンオフ処理を行い前記電荷を振分けて蓄積させる画素駆動回路とを有する受光部と、
前記測定空間における背景光により生成されて前記光電変換素子から前記転送トランジスタにより振分けられて前記電荷蓄積部で蓄積される背景光電荷量と、前記背景光により生成されて前記転送トランジスタを介さずに前記電荷蓄積部に流入して蓄積されるノイズ電荷量との比を示すノイズ電荷流入比を用いて、前記背景光電荷量から調整ノイズ電荷量を推定するノイズ電荷量推定部と、
前記電荷蓄積部の各々に蓄積された蓄積電荷量のそれぞれから前記調整ノイズ電荷量を減算し、減算結果の補正電荷量を用いて、被写体との距離の計算を行う距離演算部と
を備える
ことを特徴とする距離画像撮像装置。
【請求項2】
前記画素駆動回路が、前記距離を計測する前記フレーム周期の実行前において、前記光パルスを照射せずに、前記光電変換素子から前記電荷蓄積部の各々に転送トランジスタそれぞれのオンオフ処理を行い前記電荷を振分けて蓄積させて参照蓄積電荷量を取得する第1比取得フレームと、前記光パルスを照射せずに、かつ転送トランジスタそれぞれのオンオフ処理を行わず、前記電荷蓄積部の各々に流入して蓄積される参照ノイズ電荷量を取得する第2比取得フレームと実行し、
前記ノイズ電荷量推定部が、前記参照蓄積電荷量から前記参照ノイズ電荷量を減算した結果の参照背景光電荷量と、当該参照ノイズ電荷量とから、前記ノイズ電荷流入比を求める
ことを特徴とする請求項1に記載の距離画像撮像装置。
【請求項3】
前記ノイズ電荷量推定部が、
前記第1比取得フレームにおける振分け回数である第1振分回数及び前記転送トランジスタがオンされている第1オン時間を乗算した総転送時間で前記参照背景光電荷量を除算して単位参照背景光電荷量を求め、当該単位参照背景光電荷量と前記第1比取得フレームにおける電荷を蓄積する第1蓄積期間とを乗算した乗算結果により前記参照ノイズ電荷量を除算し、除算結果を前記ノイズ電荷流入比とする
ことを特徴とする請求項2に記載の距離画像撮像装置。
【請求項4】
前記ノイズ電荷量推定部が、
前記参照背景光電荷量に対して、前記転送トランジスタのそれぞれのオン特性によるバラツキを補正する調整係数を乗算し、調整された当該参照背景光電荷量を、前記ノイズ電荷流入比の算出に用いる
ことを特徴とする請求項3に記載の距離画像撮像装置。
【請求項5】
前記ノイズ電荷量推定部が、
前記蓄積電荷量のうち最小の電荷量である最小電荷量から前記背景光電荷量を減算して前記調整ノイズ電荷量を求める第1の一次式と、前記背景光電荷量に対して、前記フレーム周期における第2蓄積期間と前記ノイズ電荷流入比との乗算結果を、前記フレーム周期における転送トランジスタの第2オン時間と第2振分回数との乗算結果により除算して前記調整ノイズ電荷量を求める第2の一次式とからなる二元一次方程式を解き、未知数である前記調整ノイズ電荷量及び前記背景光電荷量を求める
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の距離画像撮像装置。
【請求項6】
前記ノイズ電荷量推定部が、
前記蓄積電荷量のうち最小の電荷量である最小電荷量と、前記ノイズ電荷流入比と、前記フレーム周期における第2蓄積期間と、前記フレーム周期における前記転送トランジスタの第2オン時間と、前記フレーム周期における前記転送トランジスタの第2振分回数との乗算結果とを入力変数とし、前記調整ノイズ電荷量を出力とするルックアップテーブルを用い、当該調整ノイズ電荷量を求める
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の距離画像撮像装置。
【請求項7】
前記ノイズ電荷量推定部が、
前記蓄積電荷量のうち最小の電荷量である最小電荷量に対して、前記転送トランジスタのそれぞれのオン特性によるバラツキを補正する調整係数を乗算し、調整された当該最小電荷量を、前記調整ノイズ電荷量の算出に用いる
ことを特徴とする請求項5または請求項6に記載の距離画像撮像装置。
【請求項8】
前記距離演算部が、
前記補正電荷量の各々に対して、前記転送トランジスタのそれぞれのオン特性によるバラツキを補正する調整係数を乗算し、当該乗算の結果である調整補正電荷量を用いて前記距離の計算を行う
ことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の距離画像撮像装置。
【請求項9】
光電変換素子と複数の電荷蓄積部と転送トランジスタとからなる複数の画素回路の各々と、画素駆動回路と、距離演算部と、ノイズ電荷量推定部とを備える距離画像撮像装置を制御する距離画像撮像方法であり、
前記画素駆動回路が、光パルスの照射に同期した所定の蓄積周期で、測定空間から入射光に応じて前記光電変換素子が発生した電荷を、フレーム周期においてN個(N≧3)の電荷蓄積部の各々に、前記光電変換素子から前記電荷蓄積部に前記電荷を転送させる前記転送トランジスタそれぞれのオンオフ処理を行って振分けて蓄積させる過程と、
ノイズ電荷量推定部が、前記測定空間における背景光により生成されて前記光電変換素子から前記転送トランジスタにより振分けられて前記電荷蓄積部で蓄積される背景光電荷量と、前記背景光により生成されて前記転送トランジスタを介さずに前記電荷蓄積部に流入して蓄積されるノイズ電荷量との比を示すノイズ電荷流入比を用いて、前記背景光電荷量から調整ノイズ電荷量を推定する過程と、
距離演算部が、前記電荷蓄積部の各々に蓄積された蓄積電荷量のそれぞれから前記調整ノイズ電荷量を減算し、減算結果の補正電荷量を用いて被写体との距離の計算を行う過程と
を含む
ことを特徴とする距離画像撮像方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、距離画像撮像装置及び距離画像撮像方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、光の速度が既知であることを利用し、光の飛行時間に基づいて被写体との距離を測定するタイム・オブ・フライト(Time of Fright以下「ToF」と記す)方式の距離画像撮像装置がある(例えば、特許文献1参照)。
ToF方式距離画像撮像装置は、光を照射する光源部と、距離を測定するための光を検出する画素回路が二次元の行列状(アレイ状)に複数配置された画素アレイを含む撮像部を備えている。上記画素回路の各々は、光の強度に対応する電荷を発生する光電変換素子(例えば、フォトダイオード)を構成要素として有している。
この構成により、ToF方式距離画像撮像装置は、測定空間(三次元空間)において、自身と被写体との間の距離の情報や、被写体の画像を取得(撮像)することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-29054号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
スマートフォンやタブレット端末などの携帯端末に用いるため、距離画像撮像装置の筐体(撮像装置)の小型化、低背化(薄型化)が求められている。
また、距離画像撮像装置の撮像する画像をより高精細化するため、撮像部における画素数の増加が求められている。
このため、上記画素アレイの中で端部に配置されている画素回路に入射する入射光の入射角が、中央近傍に配置された画素回路に入射する入射光の入射角に比較して大きくなる。
【0005】
画素回路に入射する入射光の入射角が大きくなるに従い、画素回路における光電変換素子のみでなく、当該光電変換素子の周辺の回路、例えば電荷を蓄積する電荷蓄積部などに照射される。
そして、光電変換素子のみでなく周辺回路(電荷蓄積部も含む)においても、光電効果により照射される光に対応した電荷(以下、ノイズ電荷)が発生し、これらが電位の高い電荷蓄積部に流入する。
【0006】
また、光電変換素子から電荷蓄積部の各々に電荷を振分ける転送トランジスタの特性がそれぞれ異なっているため、転送トランジスタの特性を補正する必要がある。
この補正は、転送トランジスタ毎に設定された感度補正係数を、電荷蓄積部から読み出した電荷量に対して乗算する処理で行われる。
ここで、ノイズ電荷は、半導体基板で発生して、転送トランジスタを介さずに、電荷蓄積部の各々に流入するため、電荷蓄積部のそれぞれに蓄積される電荷量としては同一であると推定される。
【0007】
しかしながら、電荷蓄積部毎に設定された感度補正係数を、電荷蓄積部から読み出された電荷に対して乗算することにより、電荷量の各々におけるノイズ電荷による電荷量分をも補正してしまう。
すなわち、転送トランジスタの特性のバラツキの影響を受けないため、各電荷蓄積部で同一である、ノイズ電荷による電荷量分を感度補正係数により過剰に補正してしまう。
この結果、各電荷蓄積部から読み出した電荷量において、ノイズ電荷による電荷量分がばらつくことにより、距離計算の精度が低下してしまう。
【0008】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたもので、電荷蓄積部の各々から読み出す電荷量における転送トランジスタによるバラツキを補正する際、上記電荷量に感度補正係数を乗算することによるノイズ電荷の電荷量分の変動を除去し、距離計算の精度を向上し、より正確な距離画像を撮像する距離画像撮像装置及び距離画像撮像方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するために、本発明の距離画像撮像装置は、測定空間に光パルスを照射する光源部と、前記測定空間から入射した光に応じた電荷を発生する光電変換素子と、フレーム周期において前記電荷を蓄積する複数の電荷蓄積部を備える複数の画素回路と、前記光パルスの照射に同期した所定の蓄積タイミングで、前記電荷蓄積部の各々に転送トランジスタそれぞれのオンオフ処理を行い前記電荷を振分けて蓄積させる画素駆動回路とを有する受光部と、前記測定空間における背景光により生成されて前記光電変換素子から前記転送トランジスタにより振分けられて前記電荷蓄積部で蓄積される背景光電荷量と、前記背景光により生成されて前記転送トランジスタを介さずに前記電荷蓄積部に流入して蓄積されるノイズ電荷量との比を示すノイズ電荷流入比を用いて、前記背景光電荷量から調整ノイズ電荷量を推定するノイズ電荷量推定部と、前記電荷蓄積部の各々に蓄積された蓄積電荷量のそれぞれから前記調整ノイズ電荷量を減算し、減算結果の補正電荷量を用いて、被写体との距離の計算を行う距離演算部とを備えることを特徴とする。
【0010】
本発明の距離画像撮像装置は、前記画素駆動回路が、前記距離を計測する前記フレーム周期の実行前において、前記光パルスを照射せずに、前記光電変換素子から前記電荷蓄積部の各々に転送トランジスタそれぞれのオンオフ処理を行い前記電荷を振分けて蓄積させて参照蓄積電荷量を取得する第1比取得フレームと、前記光パルスを照射せずに、かつ転送トランジスタそれぞれのオンオフ処理を行わず、前記電荷蓄積部の各々に流入して蓄積される参照ノイズ電荷量を取得する第2比取得フレームと実行し、前記ノイズ電荷量推定部が、前記参照蓄積電荷量から前記参照ノイズ電荷量を減算した結果の参照背景光電荷量と、当該参照ノイズ電荷量とから、前記ノイズ電荷流入比を求めることを特徴とする。
【0011】
本発明の距離画像撮像装置は、前記ノイズ電荷量推定部が、前記第1比取得フレームにおける振分け回数である第1振分回数及び前記転送トランジスタがオンされている第1オン時間を乗算した総転送時間で前記参照背景光電荷量を除算して単位参照背景光電荷量を求め、当該単位参照背景光電荷量と前記第1比取得フレームにおける電荷を蓄積する第1蓄積期間とを乗算した乗算結果により前記参照ノイズ電荷量を除算し、除算結果を前記ノイズ電荷流入比とすることを特徴とする。
【0012】
本発明の距離画像撮像装置は、前記ノイズ電荷量推定部が、前記参照背景光電荷量に対して、前記転送トランジスタのそれぞれのオン特性によるバラツキを補正する調整係数を乗算し、調整された当該参照背景光電荷量を、前記ノイズ電荷流入比の算出に用いることを特徴とする。
【0013】
本発明の距離画像撮像装置は、前記ノイズ電荷量推定部が、前記蓄積電荷量のうち最小の電荷量である最小電荷量から前記背景光電荷量を減算して前記調整ノイズ電荷量を求める第1の一次式と、前記背景光電荷量に対して、前記フレーム周期における第2蓄積期間と前記ノイズ電荷流入比との乗算結果を、前記フレーム周期における転送トランジスタの第2オン時間と第2振分回数との乗算結果により除算して前記調整ノイズ電荷量を求める第2の一次式とからなる二元一次方程式を解き、未知数である前記調整ノイズ電荷量及び前記背景光電荷量を求めることを特徴とする。
【0014】
本発明の距離画像撮像装置は、前記蓄積電荷量のうち最小の電荷量である最小電荷量と、前記ノイズ電荷流入比と、前記フレーム周期における第2蓄積期間と、前記フレーム周期における前記転送トランジスタの第2オン時間と、前記フレーム周期における前記転送トランジスタの第2振分回数との乗算結果とを入力変数とし、前記調整ノイズ電荷量を出力とするルックアップテーブルを用い、当該調整ノイズ電荷量を求めることを特徴とする。
【0015】
本発明の距離画像撮像装置は、前記ノイズ電荷量推定部が、前記蓄積電荷量のうち最小の電荷量である最小電荷量に対して、前記転送トランジスタのそれぞれのオン特性によるバラツキを補正する調整係数を乗算し、調整された当該最小電荷量を、前記調整ノイズ電荷量の算出に用いることを特徴とする。
【0016】
本発明の距離画像撮像装置は、前記ノイズ電荷量推定部が、前記蓄積電荷量のうち最小の電荷量である最小電荷量に対して、前記転送トランジスタのそれぞれのオン特性によるバラツキを補正する調整係数を乗算し、調整された当該最小電荷量を、前記調整ノイズ電荷量の算出に用いることを特徴とする。
【0017】
本発明の距離画像撮像装置は、前記距離演算部が、前記補正電荷量の各々に対して、前記転送トランジスタのそれぞれのオン特性によるバラツキを補正する調整係数を乗算し、当該乗算の結果である調整補正電荷量を用いて前記距離の計算を行うことを特徴とする。
【0018】
本発明の距離画像撮像方法は、光電変換素子と複数の電荷蓄積部と転送トランジスタとからなる複数の画素回路の各々と、画素駆動回路と、距離演算部と、ノイズ電荷量推定部とを備える距離画像撮像装置を制御する距離画像撮像方法であり、前記画素駆動回路が、光パルスの照射に同期した所定の蓄積周期で、測定空間から入射光に応じて前記光電変換素子が発生した電荷を、フレーム周期においてN個(N≧3)の電荷蓄積部の各々に、前記光電変換素子から前記電荷蓄積部に前記電荷を転送させる前記転送トランジスタそれぞれのオンオフ処理を行って振分けて蓄積させる過程と、ノイズ電荷量推定部が、前記測定空間における背景光により生成されて前記光電変換素子から前記転送トランジスタにより振分けられて前記電荷蓄積部で蓄積される背景光電荷量と、前記背景光により生成されて前記転送トランジスタを介さずに前記電荷蓄積部に流入して蓄積されるノイズ電荷量との比を示すノイズ電荷流入比を用いて、前記背景光電荷量から調整ノイズ電荷量を推定する過程と、距離演算部が、前記電荷蓄積部の各々に蓄積された蓄積電荷量のそれぞれから前記調整ノイズ電荷量を減算し、減算結果の補正電荷量を用いて被写体との距離の計算を行う過程とを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように、本発明によれば、電荷蓄積部の各々から読み出す電荷量における転送トランジスタによるバラツキを補正する際、上記電荷量に感度補正係数を乗算することによるノイズ電荷の電荷量分の変動を除去し、距離計算の精度を向上し、より正確な距離画像を撮像する距離画像撮像装置及び距離画像撮像方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一実施形態の距離画像撮像装置の概略構成を示したブロック図である。
図2】フレーム周期における電荷の蓄積期間における電荷蓄積部CSの各々に蓄積される蓄積電荷量Qのそれぞれを示す図である。
図3】調整ノイズ電荷量QFPによって調整した後の蓄積電荷量Qのそれぞれを示す図である。
図4】本発明の第1の実施形態の距離画像撮像装置における距離画像センサ32に配置された画素回路321の構成の一例を示した回路図である。
図5】光電変換素子PDで生成された電荷を電荷蓄積部CSの各々に転送するタイミングチャートを示す図である。
図6】制御電荷とノイズ電荷との各々が電荷蓄積部CSに蓄積される時間関係を説明する概念図である。
図7】ノイズ電荷量取得モードにおけるノイズ電荷流入比αの取得を説明する図である。
図8】本実施形態によるノイズ電荷量取得モードにおけるノイズ電荷流入比αの算出の処理の動作を示すフローチャートである。
図9】本実施形態による測距離電荷量取得モードにおける距離画像の取得処理の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態の距離画像撮像装置の概略構成を示したブロック図である。図1に示した構成の距離画像撮像装置1は、光源部2と、受光部3と、距離画像処理部4とを備える。なお、図1には、距離画像撮像装置1において距離を測定する対象物である被写体Sも併せて示している。距離画像撮像素子は、例えば、受光部3における距離画像センサ32(後述)である。
【0022】
光源部2は、距離画像処理部4からの制御に従って、距離画像撮像装置1において距離を測定する対象の被写体Sが存在する撮影対象の空間に光パルスPOを照射する。光源部2は、例えば、垂直共振器面発光レーザー(VCSEL:Vertical Cavity Surface Emitting Laser)などの面発光型の半導体レーザーモジュールである。光源部2は、光源装置21と、拡散板22とを備える。
【0023】
光源装置21は、被写体Sに照射する光パルスPOとなる近赤外の波長帯域(例えば、波長が850nm~940nmの波長帯域)のレーザー光を発光する光源である。光源装置21は、例えば、半導体レーザー発光素子である。光源装置21は、タイミング制御部41からの制御に応じて、パルス状のレーザー光を発光する。
拡散板22は、光源装置21が発光した近赤外の波長帯域のレーザー光を、被写体Sに照射する面の広さに拡散する光学部品である。拡散板22が拡散したパルス状のレーザー光が、光パルスPOとして出射され、被写体Sに照射される。
【0024】
受光部3は、距離画像撮像装置1において距離を測定する対象の被写体Sによって反射された光パルスPOの反射光RLを受光し、受光した反射光RLに応じた画素信号を出力する。受光部3は、レンズ31と、距離画像センサ32とを備える。
レンズ31は、入射した反射光RLを距離画像センサ32に導く光学レンズである。レンズ31は、入射した反射光RLを距離画像センサ32側に出射して、距離画像センサ32の受光領域に備えた画素回路に受光(入射)させる。
【0025】
距離画像センサ32は、距離画像撮像装置1に用いられる撮像素子である。距離画像センサ32は、二次元の受光領域に複数の画素回路321、画素回路321の各々を制御する画素駆動回路322とを備える。
上記画素回路321は、1つの光電変換素子(例えば、後述する光電変換素子PD)と、この1つの光電変換素子に対応する複数の電荷蓄積部(例えば、後述する電荷蓄積部CS1からCS4)と、それぞれの電荷蓄積部に電荷を振り分ける構成要素とが設けられている。
【0026】
距離画像センサ32は、タイミング制御部41からの制御に応じて、光電変換素子が発生した電荷をそれぞれの電荷蓄積部に振り分ける。また、距離画像センサ32は、電荷蓄積部に振り分けられた電荷量に応じた画素信号を出力する。距離画像センサ32には、複数の画素回路が二次元の行列状に配置されており、それぞれの画素回路の対応する1フレーム分の画素信号を出力する。
【0027】
距離画像処理部4は、距離画像撮像装置1を制御し、被写体Sまでの距離を演算する。
距離画像処理部4は、タイミング制御部41と、ノイズ電荷量推定部42、距離演算部43と、測定制御部44とを備える。
タイミング制御部41は、測定制御部44の制御に応じて、距離の測定に要する様々な制御信号を出力するタイミングを制御する。ここでの様々な制御信号とは、例えば、光パルスPOの照射を制御する信号や、反射光RLを複数の電荷蓄積部に振り分ける信号、1フレームあたりの振り分け回数を制御する信号などである。振り分け回数とは、電荷蓄積部CS(図5参照)に電荷を振り分ける処理を繰返す回数である。
【0028】
ノイズ電荷量推定部42は、測定空間における背景光により生成されて光電変換素子PDから転送トランジスタGにより振分けられて電荷蓄積部CSで蓄積される背景光電荷量(後述する背景光電荷量QB)と、背景光により生成されて転送トランジスタGを介さずに電荷蓄積部CSに流入して蓄積されるノイズ電荷量との比を示すノイズ電荷流入比αを用いて、電荷蓄積部CSに蓄積される蓄積電荷量Qを補正するための蓄積ノイズ電荷量として、背景光電荷量から調整ノイズ電荷量(後述する調整ノイズ電荷量QFP)を推定する。電荷蓄積部CSに蓄積される蓄積電荷量Qは、背景光電荷量及びノイズ電荷量を含んでいる。
【0029】
距離演算部43は、測定制御部44の制御に応じて、距離画像センサ32から出力された画素信号(後述する蓄積電荷量Qに対応する電圧値)から上記調整ノイズ電荷量を減算した補正電荷量BCに基づいて、被写体Sまでの距離を演算した距離情報を出力する。距離演算部43は、複数の電荷蓄積部CSに蓄積された電荷量に基づいて、光パルスPOを照射してから反射光RLを受光するまでの遅延時間Tdを算出する。距離演算部43は、算出した遅延時間Tdに応じて、距離画像撮像装置1から被写体Sまでの距離を演算する。
【0030】
測定制御部44は、フレーム周期で繰返されるフレームの各々のモードを、ノイズ電荷量を推定するために用いるノイズ電荷流入比αを取得するフレームである比取得フレームを実行するモードであるノイズ電荷流入比取得モードと、測距離を行う通常のフレームとする測距電荷量取得モードとを選択する。
そして、測定制御部44は、ノイズ電荷量取得モードと測距離電荷量取得モードとの各々のモードに対応して、タイミング制御部41におけるタイミングの制御、距離演算部43における演算の制御を行う(後に詳述する)。
【0031】
ここで、上記ノイズ電荷とは、光電変換素子PD以外の半導体基板の領域において、測定空間からの入射光(背景光及び反射光)により発生し、電荷蓄積部CSに蓄積される電荷である。
このノイズ電荷は、転送トランジスタGのオンオフ処理によって振り分けて蓄積される電荷以外の電荷、すなわち転送トランジスタGを介さずに電荷蓄積部CSに流入して蓄積される電荷である。
【0032】
すなわち、本実施形態による距離画像撮像装置は、電荷蓄積部CSに蓄積される電荷により、被写体と距離画像センサ32との距離を算出する。このため、計算測距の計算において、光電変換素子から所定のタイミングで読み出される電荷とは関係なく、各フレームにおいて読み出す時点まで、背景光などによるノイズ電荷が電荷蓄積部CSに蓄積されるため、計算される距離の精度が低下する。
【0033】
また、光電変換素子PDから電荷蓄積部CSの各々に対して、電荷を振分ける転送トランジスタGのそれぞれの特性(オン抵抗、スイッチング特性など)が異なる。
このため、光電変換素子PDが、一定の強度の入射光により一定の電荷を生成した場合でも、転送トランジスタGの特性バラツキにより、それぞれの電荷蓄積部CSに異なる量の電荷が振分けられてしまう。
【0034】
上記転送トランジスタGによるバラツキを抑制するため、電荷蓄積部CS毎に補正係数βが設定されている。この補正係数βは、各画素回路321における転送トランジスタG毎に設定されており、転送トランジスタG間のバラツキをキャンセルする。
ここで、転送トランジスタG1に対しては補正係数β1、転送トランジスタG2に対しては補正係数β2、転送トランジスタG3に対しては補正係数β3、転送トランジスタG4に関しては補正係数β4が設定されている。
【0035】
例えば、光電変換素子PDが、一定の強度の入射光により一定の電荷を生成し、転送トランジスタGの各々により、それぞれ電荷蓄積部たCSに電荷を振分けた場合、電荷蓄積部CSの各々から読み出した蓄積電荷量に補正係数βを乗算することにより、各蓄積電荷量Qが同一の電荷量に調整される。
したがって、距離演算部43は、電荷蓄積部CSから読み出した蓄積電荷量Qに対して補正係数βを乗算することによって、高い精度で被写体Sと距離画像撮像装置1との距離を算出できる。
【0036】
一方、課題でも説明したが、各電荷蓄積部CSに流入して蓄積されるノイズ電荷量GFの各々は、画素回路321における電荷蓄積部CSのそれぞれにおいて同一である。
電荷蓄積部CSから読み出される蓄積電荷量Qには、光電変換素子PDから転送トランジスタGにより振分けられた電荷(以下、制御電荷)による電荷量QC(以下、制御電荷量QC)当該電荷蓄積部CSに転送トランジスタGを介さずに流入したノイズ電荷が蓄積されたノイズ電荷量QFも含まれている。
【0037】
したがって、距離演算部43が電荷蓄積部CSから読み出した蓄積電荷量Qに補正係数βを乗算した場合、制御電荷量QCだけでなく、蓄積電荷量Qに含まれるノイズ電荷量GFも補正される。
この補正係数βの補正より、逆に転送トランジスタGの各々の特性のバラツキに対応して、蓄積電荷量Qに含まれるノイズ電荷量QFがばらつくことになり、被写体Sと距離画像撮像装置1との距離を高い精度で算出することができない。
【0038】
図2は、フレーム周期における電荷の蓄積期間における電荷蓄積部CSの各々に蓄積される蓄積電荷量Qのそれぞれを示す図である。図2においては、光パルスPOに対する被写体Sからの反射光RLが、電荷蓄積部CS2及びCS3の各々にに蓄積される場合を示している。
図2(a)は、電荷蓄積部CS1からCS4(図)の各々における蓄積電荷量Q1、Q2、Q3、Q4のそれぞれを示している。
【0039】
ここで、蓄積電荷量Q1には、背景光電荷量QB1と、ノイズ電荷量QF1とが含まれている。
また、蓄積電荷量Q2には、背景光電荷量QB2と、ノイズ電荷量QF2と、反射光電荷量QL2とが含まれている。
【0040】
蓄積電荷量Q3には、背景光電荷量QB3と、ノイズ電荷量QF3と、反射光電荷量QL3とが含まれている。
蓄積電荷量Q4には、背景光電荷量QB4と、ノイズ電荷量QF4とが含まれている。
ノイズ電荷量QF1、QF2、QF3及びQF4の各々は、すでに述べたように、同様の電荷量である。
【0041】
また、背景光により光電変換素子PDにより発生する電荷による背景光電荷量QB1からQB4の各々は、背景光の強度が同一であるため、実際に光電変換素子PDで生成される電荷量も同一のため、それぞれが等しい。
しかしながら、電荷蓄積部CS1、CS2、CS3及びCS4の各々に、光電変換素子PDから電荷を振分ける転送トランジスタG1、G2、G3、G4のそれぞれの特性が異なる。
【0042】
このため、図2(a)に示されているように、電荷蓄積部CS1、CS2、CS3及びCS4の各々に蓄積される背景光電荷量QB1、QB2、QB3、QB4のそれぞれが異なってしまう。
一方、電荷蓄積部CS1、CS2、CS3及びCS4の各々に蓄積されるノイズ電荷量QF1、QF2、QF3、QF4のそれぞれは同一である。
【0043】
図2(b)は、蓄積電荷量Q1、Q2、Q3及びQ4の各々に対して、転送トランジスタG1、G2、G3、G4のそれぞれに対応した補正係数βを乗算した結果を示している。
補正係数ββ1、β2、β3及びβ4の各々を乗算する補正の結果、背景光電荷量QB1、QB2、QB3及びQB4の各々が同一となることが判る。
一方、補正係数β1、β2、β3及びβ4の各々を乗算する補正の結果、同一であったノイズ電荷量QF1、QF2、QF3及びQF4の各々は、それぞれが異なってバラツイてしまうことが判る。
【0044】
図3は、調整ノイズ電荷量QFPによって調整した後の蓄積電荷量Qのそれぞれを示す図である。
図3(a)は、図2(a)に示す蓄積電荷量Q1、Q2、Q3及びQ4の各々から、調整ノイズ電荷量QFP(ノイズ電荷量QFに相当)をそれぞれ減算した後を示している。このため、蓄積電荷量Q1、Q2、Q3及びQ4の各々には、ノイズ電荷量QF1、QF2、QF3、QF4のそれぞれが含まれていない。
【0045】
図3(b)は、図2(b)と同様に、蓄積電荷量Q1、Q2、Q3及びQ4の各々に対して、補正係数β1、β2、β3、β4のそれぞれを乗じて、転送トランジスタG1、G2、G3、G4の特性バラツキを補正した後の蓄積電荷量Q'1、Q'2、Q'3及びQ'4を示している。
図3(a)の蓄積電荷量Q1、Q2、Q3及びQ4の各々における背景光電荷量QB1、QB2、QB3、QB4のそれぞれのバラツキが、図3(b)の蓄積電荷量Q'1、Q'2、Q'3、Q'4では解消されている。
また、蓄積電荷量Q'1、Q'2、Q'3、Q'4において、ノイズ電荷量QF1、QF2、QF3、QF4のそれぞれが除去され、制御電荷量QCとされているため、被写体Sと距離画像撮像装置1との距離を、高い精度で求めることができる。
【0046】
すなわち、蓄積電荷量Qの各々に、電荷蓄積部CSのそれぞれに対応して設定されている補正係数βを乗算して、転送トランジスタGの各々の特性のバラツキを抑制する補正を行う場合、予め蓄積電荷量Qからノイズ電荷量QFを減算して、蓄積電荷量Qを制御電荷量QCのみの成分とする必要がある。
このため、本実施形態においては、距離演算部43が、ノイズ電荷量推定部42が推定した調整ノイズ電荷量QFP(ノイズ電荷量QFに相当)を蓄積電荷量Qから減算し、減算結果に補正係数βを乗算して、補正後の蓄積電荷量Q’(すなわち、制御電荷量QC)を用いて被写体Sと距離画像撮像装置1との距離を算出する(詳細は後述)。
【0047】
このような構成によって、距離画像撮像装置1では、光源部2が被写体Sに照射した近赤外の波長帯域の光パルスPOが被写体Sによって反射された反射光RLを受光部3が受光し、距離画像処理部4が、被写体Sと距離画像撮像装置1との距離を測定した距離情報を出力する。
なお、図1においては、距離画像処理部4を内部に備えた構成の距離画像撮像装置1を示しているが、距離画像処理部4は、距離画像撮像装置1の外部に備える構成要素であってもよい。
【0048】
ここで、距離画像センサ32における画素回路321の構成について説明する。図4は、本発明の第1の実施形態の距離画像撮像装置における距離画像センサ32に配置された画素回路321の構成の一例を示した回路図である。図4の画素回路321は、4つの画素信号読み出し部RU1からRU4を備えた構成例である。
【0049】
画素回路321は、1つの光電変換素子PDと、電荷排出トランジスタGD(後述するGD1、GD2)と、対応する出力端子Oから電圧信号を出力する4つの画素信号読み出し部RU(RU1からRU4)とを備える。画素信号読み出し部RUのそれぞれは、転送トランジスタGと、フローティングディフュージョンFDと、電荷蓄積容量Cと、リセットトランジスタRTと、ソースフォロアトランジスタSFと、選択トランジスタSLとを備える。フローティングディフュージョンFDと電荷蓄積容量Cとは、電荷蓄積部CSを構成している。
【0050】
図4に示した画素回路321において、出力端子O1から電圧信号を出力する画素信号読み出し部RU1は、転送トランジスタG1(転送MOSトランジスタ)と、フローティングディフュージョンFD1と、電荷蓄積容量C1と、リセットトランジスタRT1と、ソースフォロアトランジスタSF1と、選択トランジスタSL1とを備える。画素信号読み出し部RU1では、フローティングディフュージョンFD1と電荷蓄積容量C1とによって電荷蓄積部CS1が構成されている。画素信号読み出し部RU2、RU3及びRU4も同様の構成である。
【0051】
光電変換素子PDは、入射した光を光電変換して、入射した光(入射光)に応じた電荷を発生させ、発生させた電荷を蓄積する埋め込み型のフォトダイオードである。本実施形態においては、入射光は測定対象の空間から入射される。
画素回路321では、光電変換素子PDが入射光を光電変換して発生させた電荷を4つの電荷蓄積部CS(CS1からCS4)のそれぞれに振り分け、振り分けられた電荷の電荷量に応じたそれぞれの電圧信号を、距離画像処理部4に出力する。
【0052】
また、距離画像センサ32に配置される画素回路の構成は、図4に示したような、4つの画素信号読み出し部RU(RU1からRU4)を備えた構成に限定されるものではなく、画素信号読み出し部RUが1個以上の複数の画素信号読み出し部RUを備えた構成の画素回路でもよい。
【0053】
上記距離画像撮像装置1の画素回路321の駆動において、光パルスPOが照射時間Toで照射され、遅延時間Td遅れて反射光RLが距離画像センサ32に受光される。画素駆動回路322は、タイミング制御部41に制御により、光パルスPOの照射に同期させて、光電変換素子PDに発生する電荷を、転送トランジスタG1、G2、G3、G4に対して、蓄積駆動信号TX1からTX4をそれぞれのタイミングにより供給して振り替えて、電荷蓄積部CS1、CS2、CS3、CS4の順に蓄積させる。
【0054】
そして、画素駆動回路322は、リセットトランジスタRT及び選択トランジスタSLの各々を、駆動信号RST、SELそれぞれにより制御し、電荷蓄積部CSに蓄積された電荷を、ソースフォロアトランジスタSFにより電気信号に変換し、生成された電気信号を端子Oを介して距離演算部43に出力する。
また、画素駆動回路322は、タイミング制御部41に制御により、駆動信号RSTDにより、光電変換素子PDにおいて発生された電荷を電源VDDに流して放電する(電荷を消去する)。
【0055】
図5は、光電変換素子PDで生成された電荷を電荷蓄積部CSの各々に転送するタイミングチャートを示す図である。
図5のタイミングチャートにおいて、縦軸はパルスのレベルを示し、横軸は時間を示している。光パルスPO及び反射光RLの時間軸における相対関係と、転送トランジスタG1からG4の各々に供給する蓄積駆動信号TX1からTX4それぞれのタイミングと、電荷排出トランジスタGDに供給する駆動信号RSTDのタイミングとを示している。
【0056】
タイミング制御部41は、光源部2に対して光パルスPOを測定空間に対して照射させる。これにより、光パルスPOが被写体に反射し、反射光RLとして受光部3に受光される。そして、光電変換素子PDは、背景光及び反射光RLの各々に対応した電荷を発生する。画素駆動回路322は、光電変換素子PDの発生した電荷を、電荷蓄積部CS1からCS4の各々に対して転送するため、転送トランジスタG1からG4の各々のオンオフを制御する。
【0057】
すなわち、画素駆動回路322は、蓄積駆動信号TX1からTX4の各々を、所定の時間幅(照射時間Toと同一の幅)の「H」レベルの信号として、転送トランジスタG1からG4それぞれに供給する。
【0058】
画素駆動回路322は、例えば、光電変換素子PDから電荷を電荷蓄積部CS1に転送する転送経路上に設けられた転送トランジスタG1をオン状態にする。これにより、光電変換素子PDにより光電変換された電荷が、転送トランジスタG1を介して電荷蓄積部CS1に蓄積される。その後、画素駆動回路322は、転送トランジスタG1をオフ状態にする。これにより、電荷蓄積部CS1への電荷の転送が停止される。このようにして、画素駆動回路322は、電荷蓄積部CS1に電荷を蓄積させる。他の電荷蓄積部CS2、CS3及びCS4においても同様である。
【0059】
このとき、電荷蓄積部CSに電荷の振り分けを行なう電荷蓄積期間(フレームにおける電荷蓄積部CSの各々に電荷を蓄積する期間)において、蓄積駆動信号TX1、TX2、TX3、TX4の各々が、転送トランジスタG1、G2、G3、G4それぞれに供給される蓄積周期が繰返される。
そして、転送トランジスタG1、G2、G3及びG4の各々を介して、電荷蓄積部CS1、CS2、CS3、CS4それぞれに、光電変換素子PDから入射光に対応した電荷が転送される。電荷蓄積期間に複数の蓄積周期が繰返される。
これにより、電荷蓄積期間における電荷蓄積部CS1、CS2、CS3及びCS4の各々の蓄積周期毎に、電荷蓄積部CS1、CS2、CS3、CS4それぞれに電荷が蓄積される。
【0060】
また、画素駆動回路322は、電荷蓄積部CS1、CS2、CS3及びCS4の各々の蓄積周期を繰返す際、電荷蓄積部CS4に対する電荷の転送(振替)が終了した後、光電変換素子PDから電荷を排出する排出経路上に設けられた電荷排出トランジスタGDに対して、「H」レベルの駆動信号RSTDを供給してオンさせる。
【0061】
これにより、電荷排出トランジスタGDは、電荷蓄積部CS1に対する蓄積周期が開始される前に、直前の電荷蓄積部CS4の蓄積周期の後に光電変換素子PDに発生した電荷を破棄する(すなわち、光電変換素子PDをリセットさせる)。すなわち、電荷排出トランジスタGDは、一個あるいは複数個(一個以上)設けられ、電荷蓄積部CS1、CS2、CS3及びCS4の各々の各々に、光電変換素子PDから、入射光により発生した電荷を振分けて蓄積させる期間以外おいて、光電変換素子PDから電荷を排出する。
【0062】
そして、画素駆動回路322は、受光部3内に配置された全ての画素回路321の各々から、それぞれ電圧信号を画素回路321の行(横方向の配列)単位で、順次A/D変換処理などの信号処理を行なう。
その後、画素駆動回路322は、信号処理を行った後の電圧信号を、受光部3において配置された列の順番に、順次、距離演算部43に対して出力させる。
【0063】
上述したような、画素駆動回路322による電荷蓄積部CSへ電荷の蓄積と光電変換素子PDが光電変換した電荷の破棄とが、1フレームに渡って繰り返し行われる。これにより、所定の時間区間に距離画像撮像装置1に受光された光量に相当する電荷が、電荷蓄積部CSのそれぞれに蓄積される。画素駆動回路322は、電荷蓄積部CSのそれぞれに蓄積された、1フレーム分の電荷量に相当する電気信号を、距離演算部43に出力する。
【0064】
光パルスPOを照射するタイミングと、電荷蓄積部CS(CS1からCS4)のそれぞれに電荷を蓄積させるタイミングとの関係から、電荷蓄積部CS1には、光パルスPOを照射する前の背景光などの外光成分に相当する電荷量が保持される。また、電荷蓄積部CS2、CS3及びCS4には、反射光RL、及び外光成分に相当する電荷量が振り分けられて保持される。電荷蓄積部CS2及びCS3、あるいは電荷蓄積部CS3及びCS4に振り分けられる電荷量の配分(振り分け比率)は、光パルスPOが被写体Sに反射して距離画像撮像装置1に入射されるまでの遅延時間Td(図5)に応じた比率となる。
【0065】
図1に戻り、距離演算部43は、この原理を利用して、以下の(1)あるいは(2)式により、遅延時間Tdを算出する。
Td=To×(Q'3-Q'1)/(Q'2+Q'3-2×Q'1) …(1)
Td=To+To×(Q'4-Q'1)/(Q'3+Q'4-2×Q'1) …(2)
ここで、Toは光パルスPOが照射された期間である。Q'1は、電荷蓄積部CS1に蓄積された電荷量Q1から調整ノイズ電荷量QFPを減算した結果に補正係数β1を乗算して求めた蓄積電荷量である。また、Q'2は、電荷蓄積部CS2に蓄積された電荷量Q2から調整ノイズ電荷量QFPを減算した結果に補正係数β2を乗算して求めた蓄積電荷量である。
【0066】
Q'3は、電荷蓄積部CS3に蓄積された電荷量Q3から調整ノイズ電荷量QFPを減算した結果に補正係数β3を乗算して求めた蓄積電荷量である。Q'4は、電荷蓄積部CS4に蓄積された電荷量Q4から調整ノイズ電荷量QFPを減算した結果に補正係数β4を乗算して求めた蓄積電荷量である。
距離演算部43は、例えば、Q'4=Q'1である場合、(1)式で遅延時間Tdを算出し、一方、Q'2=Q'1である場合、(2)式で遅延時間Tdを算出する。
【0067】
(1)式においては、電荷蓄積部CS2及びCS3には反射光により発生された電荷が蓄積されるが、電荷蓄積部CS4には蓄積されない。一方、(2)式においては、電荷蓄積部CS3及びCS4には反射光により発生された電荷が蓄積されるが、電荷蓄積部CS2には蓄積されない。
なお、(1)式あるいは(2)式では、電荷蓄積部CS2、CS3及びCS4に蓄積される電荷量のうち、外光成分に相当する成分が、電荷蓄積部CS1に蓄積された電荷量と同量であることを前提とする。
【0068】
距離演算部43は、(1)式あるいは(2)式で求めた遅延時間に、光速(速度)を乗算させることにより、被写体Sまでの往復の距離を算出する。
そして、距離演算部43は、上記で算出した往復の距離を1/2とする(遅延時間Td×c(光速度)/2)ことにより、距離画像センサ32(すなわち、距離画像撮像装置1)から被写体Sまでの距離を求める。
【0069】
図6は、制御電荷とノイズ電荷との各々が電荷蓄積部CSに蓄積される時間関係を説明する概念図である。
図6に示すように、フレーム周期は、蓄積期間と読み出し期間とから構成されている。
これにより、フレーム毎に、蓄積期間において電荷蓄積部CSの各々に蓄積電荷量Qのそれぞれを蓄積させる。
そして、読み出し期間において、画素回路321の各々の電荷蓄積部CSのそれぞれから、蓄積された蓄積電荷量が、距離画像処理部4に対して出力され、距離画像処理部4が各画素における被写体Sと当該画素との距離を算出する。
【0070】
また、光電変換素子PDから転送トランジスタGを介して、光電変換素子PDで発生した電荷が制御電荷(反射光RLにより生成された電荷及び背景光により生成された電荷)として電荷蓄積部CSに対して振分けられる期間は、転送トランジスタGをオン状態とする蓄積駆動信号TXのパルス幅である。
そして、光電変換素子PDから電荷蓄積部CSに対する振分けは、フレームにおける蓄積期間において所定の回数(振分回数)で行われる。
【0071】
一方、ノイズ電荷は、入射光により半導体基板において発生して、転送トランジスタGを介さずに電荷蓄積部CSに流入するため、画素回路321の各々における電荷蓄積部CSのそれぞれに、蓄積電荷量Qとして読み出されるまで、すなわち蓄積期間において連続的に流入して蓄積される。
また、入射光として反射光RLが含まれない期間の方が長いことと、光電変換素子PD及び半導体基板の各々に入射する背景光の強度が同一であることから、反射光電荷量QLとノイズ電荷量QFとの間には相関がある。
【0072】
このため、本実施形態においては、調整ノイズ電荷量QFPの推定に用いるノイズ電荷流入比αを、予め、反射光電荷量QLとノイズ電荷量QFとから求めている。
転送トランジスタGで転送する際の蓄積駆動信号TXのパルス幅に対して、振分回数を乗算することにより、光電変換素子PDが発生する電荷を各電荷蓄積部CSに供給する時間幅TALLが求められる。この時間幅TALLは、光電変換素子PDが電荷蓄積部CSの各々に供給する電荷を生成する時間に相当する。
【0073】
したがって、背景光電荷量QBを時間幅TALLで除算することにより、光電変換素子PDで単位時間に生成される電荷量が求められる。
そして、電荷蓄積部CSに流入して蓄積されたノイズ電荷量を、光電変換素子PDで単位時間に生成される電荷量に蓄積期間の時間を乗算した結果で除算することにより、ノイズ電荷流入比αが求められる。
【0074】
図7は、ノイズ電荷量取得モードにおけるノイズ電荷流入比αの取得を説明する図である。ノイズ電荷量取得モードにおいては、第1比取得フレームと第2比取得フレームとが実行される。
すなわち、測定制御部44は、例えば距離画像撮像装置1が起動された際、あるいは任意に実行が指示された際に、測距離電荷量取得モードからノイズ電荷量取得モードに動作状態を遷移させる。そして、測定制御部44は、タイミング制御部41におけるタイミングの制御、距離演算部43における演算の制御を行う。
【0075】
図7(a)は、第1比取得フレームの動作を示しており、光パルスPOを照射させずに、入射光として背景光のみとし、上記ノイズ電荷流入比αの算出に用いる蓄積電荷量として参照蓄積電荷量QRを取得する。
また、図7(a)の場合、フレーム周期における蓄積期間において、所定の振分回数としてS回、パルス幅がTSの蓄積駆動信号TX1、TX2、TX3及びTX4の各々により、転送トランジスタG1、G2、G3、G4のそれぞれをオンオフして、光電変換素子PDから電荷蓄積部CS1、CS2、CS3、CS4に対して電荷を振り分け、参照蓄積電荷量QR1、QR2、QR3、QR4を蓄積させる。
【0076】
そして、ノイズ電荷量推定部42は、第1比取得フレームの読み出し期間において、画素駆動回路322の制御により、画素回路321毎に、電荷蓄積部CS1、CS2、CS3及びCS4の各々から、参照蓄積電荷量QR1、QR2、QR3、QR4のそれぞれを取得する。
取得された参照蓄積電荷量QR1、QR2、QR3及びQR4の各々には、参照背景光電荷量QBR1、QBR2、QBR3、QBR4と、参照ノイズ電荷量QFR1、QFR2、QFR3、QFR4とがそれぞれ含まれている。
【0077】
図7(b)は、第2比取得フレームの動作を示しており、光パルスPOを照射させずに、入射光として背景光のみとし、上記ノイズ電荷流入比αの算出に用いる蓄積電荷量として参照蓄積電荷量QRを取得する。
また、図7(b)の場合、フレーム周期における蓄積期間において、蓄積駆動信号TX1、TX2、TX3及びTX4の各々を供給せず、転送トランジスタG1、G2、G3、G4のそれぞれをオフ状態のままとし、電荷蓄積部CS1、CS2、CS3、CS4のそれぞれに対してノイズ電荷を流入させ、参照ノイズ電荷量QFR1、QFR2、QFR3、QFR4としてノイズ電荷を蓄積させる。
【0078】
そして、ノイズ電荷量推定部42は、第2比取得フレームの読み出し期間において、画素駆動回路322の制御により、画素回路321毎に、電荷蓄積部CS1、CS2、CS3及びCS4の各々から、参照ノイズ電荷量QFR1、QFR2、QFR3、QFR4のそれぞれを取得する。ここで、参照ノイズ電荷量QFR1、QFR2、QFR3及びQFR4の各々は、電荷蓄積部CS1、CS2、CS3、CS4のそれぞれに流入して蓄積される電荷量のため、同一である。
ノイズ電荷量推定部42は、第1比取得フレームで取得した参照蓄積電荷量QR1、QR2、QR3及びQR4の各々から、参照ノイズ電荷量QFR1、QFR2、QFR3、QFR4のそれぞれを減算して、参照背景光電荷量QBR1、QBR2、QBR3、QBR4を求める。
【0079】
ノイズ電荷量推定部42は、参照背景光電荷量QBR1、QBR2、QBR3及びQBR4の各々から最小の電荷量を、最小参照背景光電荷量として抽出する。
そして、ノイズ電荷量推定部42は、最小参照背景光電荷量に対して、対応する補正係数βを乗算し、調整参照背景光電荷量を取得する。
ノイズ電荷量推定部42は、蓄積駆動信号TXのパルス幅(第1オン時間TP1)と振分回数(第1振分回数、M1)とを乗算し、乗算結果として総転送時間を算出する。
【0080】
ノイズ電荷量推定部42は、この総転送時間により調整参照背景光電荷量を除算して、単位時間あたりに光電変換素子PD背景光により生成される電荷量に相当する単位参照背景光電荷量を求める。
そして、ノイズ電荷量推定部42は、参照ノイズ電荷量QFR1、QFR2、QFR3及びQFR4のいずれかを参照ノイズ電荷量QFRとし、蓄積期間の時間により除算し、単位時間当りに電荷蓄積部CSに流入して蓄積される単位時間流入電荷量を算出する。
これにより、ノイズ電荷量推定部42は、単位時間流入電荷量を単位参照背景光電荷量により除算し、ノイズ電荷流入比αを求める。
【0081】
すなわち、背景光の強度が同様のため、光電変換素子PDで生成される単位時間当りに生成される電荷量と、反射光により生成されて単位時間当りに電荷蓄積部CSに流入する電荷量とは相関がある。
すなわち、距離を計測する際において、光電変換素子PDで背景光により単位時間あたりに生成され電荷量が求められた場合、ノイズ電荷量推定部42は、この電荷量と上記ノイズ電荷流入比αとにより、単位時間当りに電荷蓄積部CSに流入するノイズ電荷の電荷量を推定できる。
【0082】
また、測定制御部44は、上述した図7におけるノイズ電荷量取得モードが終了した場合、ノイズ電荷量取得モードから測距離電荷量取得モードに動作状態を遷移させる。そして、測定制御部44は、タイミング制御部41におけるタイミングの制御、距離演算部43における演算の制御を行う。
そして、ノイズ電荷量推定部42は、フレーム周期の読み出し期間において、電荷蓄積部CS1、CS2、CS3及びCS4の各々から、蓄積電荷量Q1、Q2、Q3、Q4のそれぞれを読み込む。
【0083】
ノイズ電荷量推定部42は、蓄積電荷量Q1、Q2、Q3及びQ4において、最小の電荷量を最小電荷量(反射光RLによる電荷成分がなく、背景光のみで生成された電荷成分)として抽出する。
この最小電荷量QPは、光電変換素子PDから転送トランジスタGにより振分けられた制御電荷の背景光電荷量QBと、転送トランジスタGを介さずに流入したノイズ電荷によるノイズ電荷量QF(調整ノイズ電荷量QFP)とが含まれた電荷量である。
したがって最小電荷量QPは、以下の(3)式として表される。
QP=QB+QF …(3)
【0084】
また、調整ノイズ電荷量QFPは、測距離電荷量取得モードにおけるフレーム周期における第2蓄積期間T2と、蓄積駆動信号TXのパルス幅(第2オン時間)TP2(本実施形態において照射時間To)と、振分回数M2と、背景光電荷量QBと、ノイズ電荷流入比αとから以下の(4)式として表される。
QFP=(QB/(TP2×M2))×α×T2 …(4)
ノイズ電荷量推定部42は、上記(3)式及び(4)式の各々による連立一次方程式において、未知数である背景光電荷量QBと調整ノイズ電荷量QFPとを求める。
そして、ノイズ電荷量推定部42は、算出した調整ノイズ電荷量QFPを距離演算部43に対して出力する。
【0085】
距離演算部43は、蓄積電荷量Q1、Q2、Q3及びQ4の各々から、それぞれ調整ノイズ電荷量QFPを減算し、修正蓄積電荷量CQ1(=Q1-QF)、CQ2(=Q2-QF)、CQ3(=Q3-QF)、CQ4(=Q4-QF)のそれぞれを求める。
距離演算部43は、修正蓄積電荷量CQ1、CQ2、CQ3及びCQ4の各々に対して、補正係数β1、β2、β3、β4のそれぞれを乗算し、蓄積電荷量Q'1、Q'2、Q'3、Q'4を算出する。
そして、距離演算部43は、すでに説明した(1)式及び(2)式から、遅延時間Tdを算出して、この遅延時間Tdにより距離画像撮像装置1と被写体Sとの距離を算出する。
【0086】
図8は、本実施形態によるノイズ電荷量取得モードにおけるノイズ電荷流入比αの算出の処理の動作を示すフローチャートである。
ステップS101:
測定制御部44は、図7(a)に示すように、光パルスPOを照射させずに、参照蓄積電荷量QRを取得するために、タイミング制御部41を制御して、第1比取得フレームを実行させる。
【0087】
そして、ノイズ電荷量推定部42は、蓄積期間T1において、光電変換素子PDで背景光により生成された電荷を、電荷蓄積部CS1、CS2、CS3及びCS4の各々に、転送トランジスタG1、G2、G3、G4により振分けて蓄積させる。
ノイズ電荷量推定部42は、電荷蓄積部CS1、CS2、CS3及びCS4の各々に対して、転送トランジスタG1、G2、G3、G4のそれぞれにより振分ける。
【0088】
ノイズ電荷量推定部42は、第2比取得フレームで、蓄積期間T1において流入して蓄積された参照蓄積電荷量QR1、QR2、QR3、QR4のそれぞれを、読み出し期間において取得する。
ここで、転送トランジスタG1、G2、G3及びG4の各々に対する、蓄積駆動信号TX1、TX2、TX3、TX4は、等しいパルス幅TP1である。また、振分回数は、M1回である。
【0089】
ステップS102:
測定制御部44は、第1比取得フレームが終了後、図7(b)に示すように、光パルスPOを照射させず、かつ転送トランジスタG1、G2、G3、G4を駆動せずに参照ノイズ電荷量QFR1、QFR2、QFR3、QFR4のそれぞれを取得するため、タイミング制御部41を制御して、第2比取得フレームを実行させる。
ノイズ電荷量推定部42は、第2比取得フレームで、蓄積期間T1において電荷蓄積部CS1、CS2、CS3、CS4に流入して蓄積された参照ノイズ電荷量QFR1、QFR2、QFR3、QFR4のそれぞれを、読み出し期間において取得する。
【0090】
ステップS103:
ノイズ電荷量推定部42は、第1比取得フレームで取得した参照蓄積電荷量QR1、QR2、QR3及びQR4の各々から、第2比取得フレームで取得した参照ノイズ電荷量QFR1、QFR2、QFR3、QFR4のそれぞれを減算する。
そして、ノイズ電荷量推定部42は、蓄積期間T1において、光電変換素子PDから転送トランジスタG1、G2、G3、G4に振分けて電荷蓄積部CS1、CS2、CS3、CS4に蓄積された参照背景光電荷量QBR1、QBR2、QBR3及びQBR4の各々を求める。
【0091】
ステップS104:
ノイズ電荷量推定部42は、参照背景光電荷量QBR1、QBR2、QBR3及びQBR4の各々から、最小の電荷量を最小参照背景光電荷量として抽出する。
そして、ノイズ電荷量推定部42は、最小参照背景光電荷量に対して対応する補正係数βを乗算し、調整参照背景光電荷量とする。
このとき、ノイズ電荷量推定部42は、例えば最小参照背景光電荷量が参照背景光電荷量QBR1の場合、転送トランジスタG1を用いて電荷蓄積部CS1に振分けているため、補正係数β1を参照背景光電荷量QBR1に乗算し、乗算結果を調整参照背景光電荷量とする。
【0092】
ノイズ電荷量推定部42は、蓄積駆動信号TXのパルス幅TP1と、転送トランジスタGによる振分回数M1とを乗算し、総転送時間としてTP1×M1を算出する。
そして、ノイズ電荷量推定部42は、調整参照背景光電荷量を総転送時間TP1×M1により除算することにより、単位参照背景光電荷量を求める。
ノイズ電荷量推定部42は、単位参照背景光電荷量及び蓄積期間T1の各々を乗算し、この乗算結果により、参照ノイズ電荷量QFを除算して、ノイズ電荷流入比αを求める。
【0093】
図9は、本実施形態による測距離電荷量取得モードにおける距離画像の取得処理の動作を示すフローチャートである。
ステップS201:
測定制御部44は、図5に示すように、フレーム周期における第2蓄積期間T2において、所定のタイミングで光パルスPO(パルス幅To)を照射させ、電荷蓄積部CS1、CS2、CS3及びCS4の各々において、蓄積電荷量Q1、Q2、Q3、Q4のそれぞれを蓄積させるため、タイミング制御部41を制御して、所定のフレーム周期を実行させる。
【0094】
ステップS202:
そして、画素駆動回路322は、フレーム周期における第2蓄積期間T2において、所定のタイミング照射される光パルスPOの反射光RLを受光する状態で、電荷蓄積部CS1、CS2、CS3及びCS4の各々に、光電変換素子PDから転送トランジスタG1、G2、G3、G4により、蓄積電荷量Q1、Q2、Q3、Q4のそれぞれを蓄積させる。
ここで、転送トランジスタG1、G2、G3及びG4の各々に対する、蓄積駆動信号TX1、TX2、TX3、TX4は、等しいパルス幅TP2である。また、振分回数は、M2回である。
【0095】
ステップS203:
画素駆動回路322は、フレーム周期における読み出し期間において、画素回路321の各々から順番に、電荷蓄積部CS1、CS2、CS3、CS4のそれぞれの蓄積電荷量Q1、Q2、Q3、Q4を、距離画像処理部4に対して出力する。
ノイズ電荷量推定部42は、蓄積電荷量Q1、Q2、Q3及びQ4の各々から最小の電荷量を、反射光RLの電荷が含まれておらず、背景光の電荷のみを含む蓄積電荷量である最小電荷量を抽出する。
【0096】
ステップS204:
ノイズ電荷量推定部42は、抽出した最小電荷量QPが上記(3)式に示すように、制御電荷である背景光電荷量QBと、制御によらずに流入するノイズ電荷量QF(すなわち、調整ノイズ電荷量QFP)とを含んでいる。この背景光電荷量QBとノイズ電荷量QFとは未知数である。
ここで、背景光電荷量QB1、QB2、QB3及びQB4の各々は、背景光により光電変換素子PDで生成された電荷を、同一のパルス幅TP2の蓄積駆動信号TX1、TX2、TX3、TX4で振分けているため、同一の電荷量である。
【0097】
また、ノイズ電荷量QF1、QF2、QF3及びQF4の各々は、同一の蓄積期間T2において電荷蓄積部CS1、CS2、CS3、CS4のそれぞれに、画素駆動回路322の制御によらずに流入されるノイズ電荷の電荷量であるため、同一である。
ノイズ電荷量推定部42は、最小電荷量QPと、パルス幅TP2と、蓄積期間T2と、振分回数M2と、ノイズ電荷流入比αとを既知とし、背景光電荷量QBと、調整ノイズ電荷量QFPを未知数とする(3)式及び(4)式を解き、調整ノイズ電荷量QFP及び背景光電荷量QBの各々を算出する。
【0098】
ステップS205:
ノイズ電荷量推定部42は、蓄積電荷量Q1、Q2、Q3、Q4の各々から、調整ノイズ電荷量QFPをそれぞれ減算して、修正蓄積電荷量CQ1、CQ2、CQ3、CQ4のそれぞれを求める。
そして、ノイズ電荷量推定部42は、修正蓄積電荷量CQ1、CQ2、CQ3及びCQ4の各々に対して、それぞれ補正係数β1、β2、β3、β4のそれぞれを乗算し、蓄積電荷量Q'1、Q'2、Q'3、Q'4を求める。
【0099】
ステップS206:
そして、距離演算部43は、蓄積電荷量Q'1、Q'2、Q'3及びQ'4の各々を用いて、説明した(1)式または(2)式から、遅延時間Tdを算出する。
距離演算部43は、算出した遅延時間Tdに対して光速(速度)を乗算させることにより、距離画像撮像装置1と被写体Sとの間の往復の距離を算出する。
そして、距離演算部43は、上記で算出した往復の距離を1/2とする(遅延時間Td×c(光速度)/2)ことにより、距離画像センサ32(すなわち、距離画像撮像装置1)から被写体Sまでの距離を求める。
【0100】
ステップS207:
距離演算部43は、距離画像センサ32における全ての画素回路321(すなわち、画素)における距離の算出が終了したか否かの判定を行う。
このとき、距離演算部43は、全ての画素回路321における距離の算出が終了した場合、処理をステップS208に進める。
一方、距離演算部43は、全ての画素回路321における距離の算出が終了していない場合、処理をステップS203に進める。
【0101】
ステップS208:
距離演算部43は、距離画像センサ32における全ての画素回路321から供給された蓄積電荷量Q1、Q2、Q3及びQ4の各々により、それぞれの画素における、当該画素と被写体Sとの距離を階調度として表した画像である距離画像を生成する。
そして、距離演算部43は、作成した距離画像を所定の外部装置などに出力、または図示しない距離画像を格納する記憶部に、作成した距離画像を書き込んで記憶させる。
【0102】
ステップS209:
測定制御部44は、距離画像の撮像を終了する測定終了の制御信号が供給されたか否かの判定を行う。
このとき、測定制御部44は、測定終了の制御信号が供給された場合、距離画像の撮像(測距の処理)を終了する。
一方、測定制御部44は、測定終了の制御信号が供給されていない場合、処理をステップS201へ進める。
【0103】
上述したように、本実施形態によれば、電荷蓄積部CSの各々から読み出す蓄積電荷量に対して感度を補正する補正係数βを乗算する前に、蓄積電荷量Qに含まれるノイズ電荷(すなわち、調整ノイズ電荷量QFP)を減算するため、転送トランジスタGによる転送効率のバラツキを補正する際、蓄積電荷量に含まれるノイズ電荷の電荷量分のバラツキを抑制することが可能となり、距離計算の精度を向上させることができ、従来に比較してより正確な測距の情報を有する距離画像を撮像することができる。
【0104】
また、本実施形態においては、ノイズ電荷量取得モードにおいて、単位時間当りに電荷蓄積部CSに流入するノイズ電荷の単位時間流入電荷量を、、単位時間当りにおける光電変換素子PDが入射光(本実施形態においては反射光)により生成する電荷量である単位参照背景光電荷量により除算して、ノイズ電荷流入比αを算出している。
このため、本実施形態においては、ノイズ電荷量取得モードにおけるフレーム周期と異なるノイズ電荷量取得モードにおいて、ノイズ電荷流入比αを用いることで、ノイズ電荷量取得モードにおける蓄積期間、蓄積駆動信号TXのパルス幅TP2と、転送トランジスタGによる振分回数M2と、実測した蓄積電荷量Qを用いた連立方程式により、容易に調整ノイズ電荷量QFP(すなわち、ノイズ電荷量QF)を求めることができる。
【符号の説明】
【0105】
1…距離画像撮像装置
2…光源部
3…受光部
31…レンズ
32…距離画像センサ(距離画像撮像素子)
321…画素回路
322…画素駆動回路
4…距離画像処理部
41…タイミング制御部
42…ノイズ電荷量推定部
43…距離演算部
44…測定制御部
CS1,CS2,CS3,CS4…電荷蓄積部
FD1,FD2,FD3,FD4…フローティングディフュージョン
G1,G2,G3,G4…転送トランジスタ
GD…電荷排出トランジスタ
ML…マイクロレンズ
PD…光電変換素子
PO…光パルス
RT1,RT2,RT3,RT4…リセットトランジスタ
S…被写体
SF1,SF2,SF3,SF4…ソースフォロアトランジスタ
SL1,SL2,SL3,SL4…選択トランジスタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2021-11-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定空間に光パルスを照射する光源部と、
前記測定空間から入射した光に応じた電荷を発生する光電変換素子と、フレーム周期において前記電荷を蓄積する複数の電荷蓄積部を備える複数の画素回路と、前記光パルスの照射に同期した所定の蓄積タイミングで、前記電荷蓄積部の各々に転送トランジスタそれぞれのオンオフ処理を行い前記電荷を振分けて蓄積させる画素駆動回路とを有する受光部と、
前記測定空間における背景光により生成されて前記光電変換素子から前記転送トランジスタにより振分けられて前記電荷蓄積部で蓄積される背景光電荷量と、前記背景光により生成されて前記転送トランジスタを介さずに前記電荷蓄積部に流入して蓄積されるノイズ電荷量との比を示すノイズ電荷流入比を用いて、前記背景光電荷量から調整ノイズ電荷量を推定するノイズ電荷量推定部と、
前記電荷蓄積部の各々に蓄積された蓄積電荷量のそれぞれから前記調整ノイズ電荷量を減算し、減算結果の補正電荷量の各々に対して、前記転送トランジスタのそれぞれのオン特性によるバラツキを補正する調整係数を乗算し、当該乗算の結果である調整補正電荷量を用いて、被写体との距離の計算を行う距離演算部と
を備える
ことを特徴とする距離画像撮像装置。
【請求項2】
前記画素駆動回路が、前記距離を計測する前記フレーム周期の実行前において、前記光パルスを照射せずに、前記光電変換素子から前記電荷蓄積部の各々に転送トランジスタそれぞれのオンオフ処理を行い前記電荷を振分けて蓄積させて参照蓄積電荷量を取得する第1比取得フレームと、前記光パルスを照射せずに、かつ転送トランジスタそれぞれのオンオフ処理を行わず、前記電荷蓄積部の各々に流入して蓄積される参照ノイズ電荷量を取得する第2比取得フレームと実行し、
前記ノイズ電荷量推定部が、前記参照蓄積電荷量から前記参照ノイズ電荷量を減算した結果の参照背景光電荷量と、当該参照ノイズ電荷量とから、前記ノイズ電荷流入比を求める
ことを特徴とする請求項1に記載の距離画像撮像装置。
【請求項3】
前記ノイズ電荷量推定部が、
前記第1比取得フレームにおける振分け回数である第1振分回数及び前記転送トランジスタがオンされている第1オン時間を乗算した総転送時間で前記参照背景光電荷量を除算して単位参照背景光電荷量を求め、当該単位参照背景光電荷量と前記第1比取得フレームにおける電荷を蓄積する第1蓄積期間とを乗算した乗算結果により前記参照ノイズ電荷量を除算し、除算結果を前記ノイズ電荷流入比とする
ことを特徴とする請求項2に記載の距離画像撮像装置。
【請求項4】
前記ノイズ電荷量推定部が、
前記参照背景光電荷量に対して、前記転送トランジスタのそれぞれのオン特性によるバラツキを補正する調整係数を乗算し、調整された当該参照背景光電荷量を、前記ノイズ電荷流入比の算出に用いる
ことを特徴とする請求項3に記載の距離画像撮像装置。
【請求項5】
前記ノイズ電荷量推定部が、
前記蓄積電荷量のうち最小の電荷量である最小電荷量から前記背景光電荷量を減算して前記調整ノイズ電荷量を求める第1の一次式と、前記背景光電荷量に対して、前記フレーム周期における第2蓄積期間と前記ノイズ電荷流入比との乗算結果を、前記フレーム周期における転送トランジスタの第2オン時間と第2振分回数との乗算結果により除算して前記調整ノイズ電荷量を求める第2の一次式とからなる二元一次方程式を解き、未知数である前記調整ノイズ電荷量及び前記背景光電荷量を求める
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の距離画像撮像装置。
【請求項6】
前記ノイズ電荷量推定部が、
前記蓄積電荷量のうち最小の電荷量である最小電荷量と、前記ノイズ電荷流入比と、前記フレーム周期における第2蓄積期間と、前記フレーム周期における前記転送トランジスタの第2オン時間と、前記フレーム周期における前記転送トランジスタの第2振分回数との乗算結果とを入力変数とし、前記調整ノイズ電荷量を出力とするルックアップテーブルを用い、当該調整ノイズ電荷量を求める
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の距離画像撮像装置。
【請求項7】
前記ノイズ電荷量推定部が、
前記蓄積電荷量のうち最小の電荷量である最小電荷量に対して、前記転送トランジスタのそれぞれのオン特性によるバラツキを補正する調整係数を乗算し、調整された当該最小電荷量を、前記調整ノイズ電荷量の算出に用いる
ことを特徴とする請求項5または請求項6に記載の距離画像撮像装置。
【請求項8】
光電変換素子と複数の電荷蓄積部と転送トランジスタとからなる複数の画素回路の各々と、画素駆動回路と、距離演算部と、ノイズ電荷量推定部とを備える距離画像撮像装置を制御する距離画像撮像方法であり、
前記画素駆動回路が、光パルスの照射に同期した所定の蓄積周期で、測定空間から入射光に応じて前記光電変換素子が発生した電荷を、フレーム周期においてN個(N≧3)の電荷蓄積部の各々に、前記光電変換素子から前記電荷蓄積部に前記電荷を転送させる前記転送トランジスタそれぞれのオンオフ処理を行って振分けて蓄積させる過程と、
ノイズ電荷量推定部が、前記測定空間における背景光により生成されて前記光電変換素子から前記転送トランジスタにより振分けられて前記電荷蓄積部で蓄積される背景光電荷量と、前記背景光により生成されて前記転送トランジスタを介さずに前記電荷蓄積部に流入して蓄積されるノイズ電荷量との比を示すノイズ電荷流入比を用いて、前記背景光電荷量から調整ノイズ電荷量を推定する過程と、
距離演算部が、前記電荷蓄積部の各々に蓄積された蓄積電荷量のそれぞれから前記調整ノイズ電荷量を減算し、減算結果の補正電荷量の各々に対して、前記転送トランジスタのそれぞれのオン特性によるバラツキを補正する調整係数を乗算し、当該乗算の結果である調整補正電荷量を用いて、被写体との距離の計算を行う過程と
を含む
ことを特徴とする距離画像撮像方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
上述した課題を解決するために、本発明の距離画像撮像装置は、測定空間に光パルスを照射する光源部と、前記測定空間から入射した光に応じた電荷を発生する光電変換素子と、フレーム周期において前記電荷を蓄積する複数の電荷蓄積部を備える複数の画素回路と、前記光パルスの照射に同期した所定の蓄積タイミングで、前記電荷蓄積部の各々に転送トランジスタそれぞれのオンオフ処理を行い前記電荷を振分けて蓄積させる画素駆動回路とを有する受光部と、前記測定空間における背景光により生成されて前記光電変換素子から前記転送トランジスタにより振分けられて前記電荷蓄積部で蓄積される背景光電荷量と、前記背景光により生成されて前記転送トランジスタを介さずに前記電荷蓄積部に流入して蓄積されるノイズ電荷量との比を示すノイズ電荷流入比を用いて、前記背景光電荷量から調整ノイズ電荷量を推定するノイズ電荷量推定部と、前記電荷蓄積部の各々に蓄積された蓄積電荷量のそれぞれから前記調整ノイズ電荷量を減算し、減算結果の補正電荷量の各々に対して、前記転送トランジスタのそれぞれのオン特性によるバラツキを補正する調整係数を乗算し、当該乗算の結果である調整補正電荷量を用いて、被写体との距離の計算を行う距離演算部とを備えることを特徴とする。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0018】
本発明の距離画像撮像方法は、光電変換素子と複数の電荷蓄積部と転送トランジスタとからなる複数の画素回路の各々と、画素駆動回路と、距離演算部と、ノイズ電荷量推定部とを備える距離画像撮像装置を制御する距離画像撮像方法であり、前記画素駆動回路が、光パルスの照射に同期した所定の蓄積周期で、測定空間から入射光に応じて前記光電変換素子が発生した電荷を、フレーム周期においてN個(N≧3)の電荷蓄積部の各々に、前記光電変換素子から前記電荷蓄積部に前記電荷を転送させる前記転送トランジスタそれぞれのオンオフ処理を行って振分けて蓄積させる過程と、ノイズ電荷量推定部が、前記測定空間における背景光により生成されて前記光電変換素子から前記転送トランジスタにより振分けられて前記電荷蓄積部で蓄積される背景光電荷量と、前記背景光により生成されて前記転送トランジスタを介さずに前記電荷蓄積部に流入して蓄積されるノイズ電荷量との比を示すノイズ電荷流入比を用いて、前記背景光電荷量から調整ノイズ電荷量を推定する過程と、距離演算部が、前記電荷蓄積部の各々に蓄積された蓄積電荷量のそれぞれから前記調整ノイズ電荷量を減算し、減算結果の補正電荷量の各々に対して、前記転送トランジスタのそれぞれのオン特性によるバラツキを補正する調整係数を乗算し、当該乗算の結果である調整補正電荷量を用いて、被写体との距離の計算を行う過程とを含むことを特徴とする。