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特開2022-188495加熱用ユニット、容器加熱用収容体の製造方法、加熱用ユニットの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022188495
(43)【公開日】2022-12-21
(54)【発明の名称】加熱用ユニット、容器加熱用収容体の製造方法、加熱用ユニットの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05B 3/62 20060101AFI20221214BHJP
   H05B 6/18 20060101ALN20221214BHJP
【FI】
H05B3/62
H05B6/18
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021096573
(22)【出願日】2021-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】518026811
【氏名又は名称】株式会社石川工場
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(74)【代理人】
【識別番号】100178847
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 映美
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(72)【発明者】
【氏名】平野 隆康
【テーマコード(参考)】
3K059
3K092
【Fターム(参考)】
3K059AA08
3K059AB15
3K059AD05
3K092PP20
3K092QA09
3K092VV22
(57)【要約】
【課題】熱媒液を用いることなく、扱いが簡単で、磁器乳鉢全体を短時間で均一に加熱することを可能とする加熱用ユニット、容器加熱用収容体の製造方法、加熱用ユニットの製造方法の提供。
【解決手段】ボウル状容器20とボウル状容器20を取り出し可能に収容できる容器加熱用収容体30とを有し、容器加熱用収容体30は、ボウル状の金属鍋31と、金属鍋31の内面を覆うように形成された熱伝導用樹脂層32と、熱伝導用樹脂層32の内面に被着された金属箔33とを有し、金属箔33が形成する収容体内面全体をボウル状容器20外面に密着させてボウル状容器20を収容可能とされている加熱用ユニット10、容器加熱用収容体の製造方法、加熱用ユニットの製造方法を提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボウル状容器と、前記ボウル状容器を取り出し可能に収容できる容器加熱用収容体とを有し、
前記容器加熱用収容体は、ボウル状の金属鍋と、前記金属鍋の内面を覆うように形成された熱伝導用樹脂層と、前記熱伝導用樹脂層の内面に被着された金属箔とを有し、前記金属箔に取り囲まれる内側に前記ボウル状容器を収容する容器収容領域が確保され、
前記熱伝導用樹脂層は樹脂中に金属フィラーが充填されたものであり、
前記金属鍋のその底部以外の部分、前記金属フィラー、前記金属箔はそれぞれ熱伝導率が200W/m・K以上の金属によって形成され、
前記容器加熱用収容体は前記金属箔が形成する収容体内面の全体を前記ボウル状容器のその底部とは逆の上端部以外の外面に密着させて前記ボウル状容器を前記容器収容領域に収容可能とされている加熱用ユニット。
【請求項2】
ボウル状容器と、前記ボウル状容器を収容固定した容器加熱用収容体とを有し、
前記容器加熱用収容体は、ボウル状の金属鍋と、前記金属鍋の内面を覆うように形成された熱伝導用樹脂層とを有し、前記熱伝導用樹脂層に取り囲まれる内側に前記ボウル状容器を収容する容器収容領域が確保され、
前記熱伝導用樹脂層は樹脂中に金属フィラーが充填されたものであり、前記金属鍋のその底部以外の部分、前記金属フィラーはそれぞれ熱伝導率が200W/m・K以上の金属によって形成され、
前記容器加熱用収容体は前記熱伝導用樹脂層が形成する収容体内面の全体を前記ボウル状容器のその底部とは逆の上端部以外の外面に密着させて前記ボウル状容器を前記容器収容領域に収容可能とされている加熱用ユニット。
【請求項3】
前記金属鍋の側面に設けられて前記側面を覆う断熱材層を有する請求項1または2に記載の加熱用ユニット。
【請求項4】
前記金属鍋は、底部に磁性金属からなる磁性金属部材を有し、前記金属鍋の底面の少なくとも一部が前記磁性金属部材によって形成されている請求項1~3のいずれか1項に記載の加熱用ユニット。
【請求項5】
前記金属鍋のその底部以外の部分、前記金属フィラー、前記金属箔は、銅またはアルミニウムによって形成されている請求項1~4のいずれか1項に記載の加熱用ユニット。
【請求項6】
請求項1に記載の加熱用ユニットの前記容器加熱用収容体を製造する方法であって、
前記金属箔を前記ボウル状容器のその底部とは逆の上端部以外の部分の外面に該外面の形状に沿わせて設ける金属箔被せ工程と、
前記金属箔被せ工程の完了後、加熱硬化前の液状の熱硬化性樹脂に前記金属フィラーが充填されたペースト状樹脂材料を前記金属箔に塗布して前記金属箔を覆う塗布樹脂層を形成する塗布樹脂層形成工程と、
前記塗布樹脂層形成工程にて形成した前記塗布樹脂層に前記金属鍋を被せ、前記金属鍋を前記ボウル状容器に向かって押圧する押圧力によって前記塗布樹脂層及び前記金属箔を前記ボウル状容器に対して押圧する金属鍋被せ押圧工程と、
前記金属鍋被せ押圧工程の完了後、前記塗布樹脂層の前記熱硬化性樹脂を加熱硬化させて前記熱伝導用樹脂層を形成する樹脂層加熱硬化工程とを有する容器加熱用収容体の製造方法。
【請求項7】
請求項2に記載の加熱用ユニットを製造する方法であって、
加熱硬化前の液状の熱硬化性樹脂に前記金属フィラーが充填されたペースト状樹脂材料を前記ボウル状容器のその底部とは逆の上端部以外の部分の外面に塗布して前記外面を覆う塗布樹脂層を形成する塗布樹脂層形成工程と、前記塗布樹脂層形成工程にて形成した前記塗布樹脂層に前記金属鍋を被せ、前記金属鍋を前記ボウル状容器に向かって押圧する押圧力によって前記塗布樹脂層を前記ボウル状容器に対して押圧する金属鍋被せ押圧工程と、前記金属鍋被せ押圧工程の完了後、前記塗布樹脂層の前記熱硬化性樹脂を加熱硬化させて前記熱伝導用樹脂層を形成する樹脂層加熱硬化工程とを有する加熱用ユニットの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁器乳鉢等のボウル状容器とボウル状容器を収容可能な容器加熱用収容体とを有しボウル状容器を介した熱伝導によってボウル状容器内の投入物を加熱することに用いられる加熱用ユニット、容器加熱用収容体の製造方法、加熱用ユニットの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、例えば磁器乳鉢のように、熱伝導度が低く、脆く、肉厚で寸法精度が低い容器の加熱は、ウォーター・バスのように熱媒液を介して加熱することが一般的である(例えば特許文献1)。
【0003】
容器の加熱にはマントル・ヒーターも広く用いられている。マントル・ヒーターはグラスウールなどの耐熱繊維で被覆した電熱線を外面断熱シートの片面全体に設けたマット状に構成され、電熱線に通電する通電装置に電熱線を接続して使用される。マントル・ヒーターは、外面断熱シートが外面側に位置する向きで容器外面に沿って容器を包み込むように配置できる。マントル・ヒーターは、磁器乳鉢のように半球面状の外面を有する容器の外面に沿って配置することもできる。
【0004】
また、例えば特許文献2のように、容器を加熱する加熱装置は、絶縁碍管内に発熱線体(電熱線)が嵌挿された構成の被覆発熱線体が食品等が投入される釜体(容器)の底部外周に巻かれ、被覆発熱線体及び被覆発熱線体を釜体に固定する固定部材が釜体底部に外嵌固定された被覆容器によって覆われた構成の装置も提案されている。被覆容器はガラス綿等により形成されたものが採用される。この加熱装置(以下、発熱線体固定型加熱装置)は、発熱線体の通電発熱により、釜体及び釜体内に投入された投入物を加熱する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実公昭48-5173号公報
【特許文献2】特公昭46-2635号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したウォーター・バス方式の加熱装置は熱媒液を介して容器を加熱する構成のため容器の加熱に時間が掛る、ウォーター・バスに挿入して加熱する容器の支持や支持解除等も必要であることから扱いに手間が掛るといった問題があった。
これに対して、マントルヒーター及び発熱線体固定型加熱装置は、熱媒液を用いずに容器を加熱できる。
【0007】
しかしながら、マントル・ヒーターは、電熱線を被覆する耐熱繊維の存在によって電熱線と容器との間に空気層が介在することになり、空気層が熱抵抗となるため、効率的な加熱ができない。また、マントル・ヒーターは、磁器乳鉢のように寸法精度が低い容器に使用した場合は、必ずしも容器外面に均等に接触させることができず、容器に臨むマントル・ヒーター内面の一部と容器との間に隙間(空気層)が介在してしまうことがある。マントル・ヒーター内面の一部と容器との間に隙間(空気層)が介在してしまうと容器を均等に加熱できない。
【0008】
発熱線体固定型加熱装置は、釜体底部外周に巻き付けた被覆発熱線体内の発熱線体(電熱線)の通電発熱によって釜体を絶縁碍管を介して加熱する構成のため、発熱線体の釜体に対する熱的接触が不充分となり熱が釜体に効率よく伝達されない虞がある。また、被覆発熱線体に接触している部分と接触していない部分とで釜体の加熱が不均一となり、釜体を一様に加熱できない虞もある。
【0009】
本発明は、上述の課題に鑑みて、熱媒液を用いることなく、扱いが簡単で、磁器乳鉢全体を短時間で均一に加熱することを可能とする加熱用ユニット、容器加熱用収容体の製造方法、加熱用ユニットの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明では以下の態様を提供する。
第1の態様の加熱用ユニットは、ボウル状容器と、前記ボウル状容器を取り出し可能に収容できる容器加熱用収容体とを有し、前記容器加熱用収容体は、ボウル状の金属鍋と、前記金属鍋の内面を覆うように形成された熱伝導用樹脂層と、前記熱伝導用樹脂層の内面に被着された金属箔とを有し、前記金属箔に取り囲まれる内側に前記ボウル状容器を収容する容器収容領域が確保され、前記熱伝導用樹脂層は樹脂中に金属フィラーが充填されたものであり、前記金属鍋のその底部以外の部分、前記金属フィラー、前記金属箔はそれぞれ熱伝導率が200W/m・K以上の金属によって形成され、前記容器加熱用収容体は前記金属箔が形成する収容体内面の全体を前記ボウル状容器のその底部とは逆の上端部以外の外面に密着させて前記ボウル状容器を前記容器収容領域に収容可能とされている。
第2の態様の加熱用ユニットは、ボウル状容器と、前記ボウル状容器を収容固定した容器加熱用収容体とを有し、前記容器加熱用収容体は、ボウル状の金属鍋と、前記金属鍋の内面を覆うように形成された熱伝導用樹脂層とを有し、前記熱伝導用樹脂層に取り囲まれる内側に前記ボウル状容器を収容する容器収容領域が確保され、前記熱伝導用樹脂層は樹脂中に金属フィラーが充填されたものであり、前記金属鍋のその底部以外の部分、前記金属フィラーはそれぞれ熱伝導率が200W/m・K以上の金属によって形成され、前記容器加熱用収容体は前記熱伝導用樹脂層が形成する収容体内面の全体を前記ボウル状容器のその底部とは逆の上端部以外の外面に密着させて前記ボウル状容器を前記容器収容領域に収容可能とされている。
上記加熱用ユニットは、前記金属鍋の側面に設けられて前記側面を覆う断熱材層を有していても良い。
前記金属鍋は、底部に磁性金属からなる磁性金属部材を有し、前記金属鍋の底面の少なくとも一部が前記磁性金属部材によって形成されていても良い。
前記金属鍋のその底部以外の部分、前記金属フィラー、前記金属箔は、銅またはアルミニウムによって形成されていても良い。
第3の態様の容器加熱用収容体の製造方法は、上述の加熱用ユニットの前記容器加熱用収容体を製造する方法であって、前記金属箔を前記ボウル状容器のその底部とは逆の上端部以外の部分の外面に該外面の形状に沿わせて設ける金属箔被せ工程と、前記金属箔被せ工程の完了後、加熱硬化前の液状の熱硬化性樹脂に前記金属フィラーが充填されたペースト状樹脂材料を前記金属箔に塗布して前記金属箔を覆う塗布樹脂層を形成する塗布樹脂層形成工程と、前記塗布樹脂層形成工程にて形成した前記塗布樹脂層に前記金属鍋を被せ、前記金属鍋を前記ボウル状容器に向かって押圧する押圧力によって前記塗布樹脂層及び前記金属箔を前記ボウル状容器に対して押圧する金属鍋被せ押圧工程と、前記金属鍋被せ押圧工程の完了後、前記塗布樹脂層の前記熱硬化性樹脂を加熱硬化させて前記熱伝導用樹脂層を形成する樹脂層加熱硬化工程とを有する。
第4態様の、加熱用ユニットの製造方法は、上述の加熱用ユニットを製造する方法であって、加熱硬化前の液状の熱硬化性樹脂に前記金属フィラーが充填されたペースト状樹脂材料を前記ボウル状容器のその底部とは逆の上端部以外の部分の外面に塗布して前記外面を覆う塗布樹脂層を形成する塗布樹脂層形成工程と、前記塗布樹脂層形成工程にて形成した前記塗布樹脂層に前記金属鍋を被せ、前記金属鍋を前記ボウル状容器に向かって押圧する押圧力によって前記塗布樹脂層を前記ボウル状容器に対して押圧する金属鍋被せ押圧工程と、前記金属鍋被せ押圧工程の完了後、前記塗布樹脂層の前記熱硬化性樹脂を加熱硬化させて前記熱伝導用樹脂層を形成する樹脂層加熱硬化工程とを有する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、容器加熱用収容体の金属鍋を加熱することで、容器加熱用収容体の容器収容領域に収容されたボウル状容器を加熱でき、ボウル状容器内に投入された投入物も加熱できる。容器加熱用収容体は、収容体内面全体を、容器収容領域に収容されたボウル状容器の上端部以外の部分の外面に密着させることができる。このため、加熱用収容体からボウル状容器への熱伝導を空気層を介在させることなく効率良く行なうことできる。その結果、熱媒液を用いることなく、ボウル状容器全体を短時間で均一に加熱できる。
また、容器加熱用収容体は容器収容領域にボウル状容器を取り出し可能に収容するか、あるいはボウル状容器を収容固定する。ボウル状容器を取り出し可能に収容する容器加熱用収容体、及びボウル状容器を収容固定する容器加熱用収容体は、いずれも収容体内面全体をボウル状容器の上端部以外の部分の外面に密着させてボウル状容器を容器収容領域にガタ付くことなく安定収容でき、ボウル状容器の支持、支持解除のための支持具を別途必要とせず、構成が単純で済み、扱いが簡単であるといった利点もある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の1実施形態の加熱用ユニットの正断面図である。
図2図1の加熱用ユニットの熱伝導用樹脂層中における金属フィラーの分布状態を示す図であり、(a)は金属フィラー充填率が35容積%よりも低い場合、(b)は金属フィラー充填率が35容積%よりも高い場合、を示す。
図3】容器加熱用収容体の製造方法を説明する図であり、磁器乳鉢の外面に金属箔と加熱硬化によって熱伝導用樹脂層を形成する塗布樹脂層とが設けられた状態を示す断面図である。
図4】容器加熱用収容体の金属鍋の底部に磁性金属部材が設けられた金属鍋(磁性金属部材付き金属鍋)の一例を示す断面図である。
図5】変形例の加熱用ユニットを示す正断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
なお、図面中、同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。なお、各図における寸法比は、説明のため誇張している部分があり、必ずしも実際の寸法比とは一致しない。また、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内であれば種々に変更して実施することができる。
【0014】
図1は、本発明に係る1実施形態の加熱用ユニット10を示す正断面図である。
加熱用ユニット10について、図1において上側を上、下側を下として説明する。
図1に示すように、加熱用ユニット10は、磁器乳鉢20(ボウル状容器)と、磁器乳鉢20を取り出し可能に収容できる容器加熱用収容体30とを有する。
図1の容器加熱用収容体30はボウル状に形成されている。図1は磁器乳鉢20を容器加熱用収容体30の内側に収容した状態(組み立て状態)の加熱用ユニット10を示す。
【0015】
図1に示す磁器乳鉢20は、ボウル状の容器主部21と、容器主部21の底部とは逆の上端部の外周全周に突出形成されたフランジ部22とを有する。
容器主部21の内面(磁器乳鉢20の内面)は、半球面状に形成されている。
【0016】
図1の磁器乳鉢20は、底部に、容器主部21の底部から磁器乳鉢20の上部開口部(容器主部21の上部開口部)とは逆側(すなわち下側)へ突出形成された高台部23を含む。高台部23は、磁器乳鉢20の上部開口部の中心軸線に垂直に延在する底面24(磁器乳鉢20の底面)を形成している。
なお、磁器乳鉢20は、例えば、高台部23が存在せず、ボウル状の容器主部21の底部に磁器乳鉢20の上部開口部の中心軸線に垂直に延在する底面24が直接形成されている構成も採用可能である。
【0017】
容器加熱用収容体30は、ボウル状の金属鍋31と、金属鍋31の内面を覆うように形成された熱伝導用樹脂層32と、熱伝導用樹脂層32の内面に被着された金属箔33とを有している。金属箔33に取り囲まれる内側には磁器乳鉢20を収容する容器収容領域34が確保されている。
【0018】
本明細書において磁器乳鉢20、容器加熱用収容体30、金属鍋31に関する「ボウル状」とは、全体あるいは底部以外の全体が半球面に沿って延在する湾曲壁状の容器形状であることを指す。
「ボウル状」の磁器乳鉢20、容器加熱用収容体30、金属鍋31は、底部とは逆の上端部に開口部(上部開口部)を有し、内面のうち少なくとも底部外周から上端部側の領域が半球面状に形成されている構成となっている。
「ボウル状」の磁器乳鉢20、容器加熱用収容体30、金属鍋31の内面における底部外周から上端側の部分は、底部外周から上端側へ行くにしたがって上部開口部の中心軸線に垂直の断面内径が増大しかつ上部開口部の中心軸線に対する傾斜角度が小さくなるように湾曲する湾曲面となっている。
【0019】
図1に示す容器加熱用収容体30は、金属鍋31の側面に設けられて金属鍋31側面を覆う断熱材層35も有している。
金属鍋31は、その底部に外部から与えられたエネルギー(外部エネルギー)によって加熱される。加熱用ユニット10は、容器収容領域34に収容された磁器乳鉢20及び磁器乳鉢20内側の投入物を、金属鍋31から熱伝導用樹脂層32及び金属箔33を介した熱伝達によって加熱できる。図1において、容器加熱用収容体30の金属鍋31の底部には上部開口部の中心軸線に垂直に延在する底面31aが形成されている。図1において金属鍋31は、その底面31aを面状ヒーター41の片面に重ね合わせて面状ヒーター41上に載置され、面状ヒーター41の発熱によって加熱される。面状ヒーター41は金属鍋31に熱エネルギー(外部エネルギー)を与えて金属鍋31を加熱する。
【0020】
面状ヒーター41は電熱線を一対の樹脂シートの間に挟み込んで全体としてシート状に形成されたヒーターである。
【0021】
断熱材層35は、金属鍋31側面からの放熱による熱損失を抑え、金属鍋31の熱を磁器乳鉢20及び磁器乳鉢20内側の投入物の加熱に無駄なく効率良く利用できるようにする役割を果たす。
断熱材層35は、グラスウール等のガラス繊維、アラミド繊維などの耐熱性繊維によって形成されたマット、ポリイミドフォーム、フェノールフォーム等、断熱性に加えて耐熱性にも優れるものを採用する。断熱材層35として使用される樹脂フォームは、ポリイミドフォーム、フェノールフォームの他、例えば、ウレタン、シリコーン、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート(PET)、 ポリプロピレン等の発泡品も採用可能である。
断熱材層35は、例えば、金属鍋31側面に接着剤を用いた接着固定等によって取り付けられる。また、樹脂フォームは、金属鍋31側面への吹き付け等によって金属鍋31側面に被着形成しても良い。
【0022】
図1に示す金属鍋31は、金属鍋31の上部開口部の中心軸線に垂直に延在する底壁31bと、底壁31bの外周から上端側へ行くにしたがって上部開口部の中心軸線に垂直の断面内径が増大するように形成された湾曲側壁31cとを有している。湾曲側壁31cの金属鍋31底壁31b側の端部(基端部)以外の部分である湾曲側壁31c主部は上端側へ行くにしたがって金属鍋31の上部開口部の中心軸線に対する傾斜角度が小さくなるように湾曲形成されている。図1の金属鍋31の湾曲側壁31cの基端部は、上端側へ行くにしたがって金属鍋31の上部開口部の中心軸線に対する傾斜角度が大きくなるように湾曲形成されている。但し、湾曲側壁31cの基端部は上端側へ行くにしたがって上部開口部の中心軸線に垂直の断面内径が増大するテーパ状であれば良く、図1に例示した湾曲形状に限定されない。
【0023】
図1において湾曲側壁31cの上端は金属鍋31上端を形成する。金属鍋31の上部開口部は湾曲側壁31cの上端部内側の領域を指す。
金属鍋31の底面31aは金属鍋31の底壁31bの金属鍋31内面とは逆側の面である。
金属鍋31の形成金属は、銅、アルミニウム等の熱伝導率が200W/m・K以上の金属を採用する。中でも、銅は、熱伝導率が高く且つ成形性に優れ、しかも安価に入手出来る点で好適である。
【0024】
熱伝導用樹脂層32は、熱硬化性樹脂中に熱伝導率が200W/m・K以上の金属によって形成された金属フィラーが35容積%以上充填されたものである。
金属フィラーの形成金属は、例えば銅、アルミニウム等を好適に採用できる。
熱伝導用樹脂層32の熱硬化性樹脂は、加熱される金属鍋31に接する点で、加熱硬化後のガラス転移温度が高いものを好適に採用できる。熱伝導用樹脂層32の熱硬化性樹脂は、ガラス転移温度が180℃以上のものが好ましく、200℃以上のものがより好ましい。好適な熱硬化樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、熱硬化性ポリイミド樹脂等を挙げることができる。
【0025】
熱伝導用樹脂層32は、金属鍋31と金属箔33との間に層状に設けられ、金属鍋31と金属箔33との間を隙間無く埋め込んで金属鍋31と金属箔33とに密着されている。
熱伝導用樹脂層32は、加熱硬化前の液状の熱硬化性樹脂に金属フィラーを分散混入して得たペースト状樹脂材料を金属鍋31と金属箔33との間に充填した状態で加熱硬化させて形成される。
【0026】
樹脂に熱伝導率の高いフィラーを充填してフィラー入り樹脂を得るとき、フィラー充填率を高めていくと、ある充填率でフィラー入り樹脂の熱伝導率が飛躍的に上昇する現象(パーコレーション)が生じることが知られている。
本発明者は、実験等を行ない鋭意検討の結果、金属フィラーの形状等によっては、熱伝導用樹脂層32中における金属フィラー充填率が35容積%以上であればパーコレーションによる熱伝導用樹脂層32の熱伝導率上昇効果が得られ、金属フィラー充填率が39.5容積%以上あればパーコレーションによる熱伝導用樹脂層32の熱伝導率上昇がより顕在化することを確認した。
熱伝導用樹脂層32は金属フィラー充填率が高いほど熱伝導率を高めることができる。
熱伝導用樹脂層32は金属フィラー充填率が34容積%であっても熱伝導可能であり、例えば金属フィラー充填率が30容積%の場合に比べて高い熱伝導率を確保可能であるが、熱伝導用樹脂層32の熱伝導率向上の点で金属フィラー充填率が35容積%以上であることが好適である。また、熱伝導用樹脂層32中における金属フィラー充填率は、パーコレーションによる熱伝導用樹脂層32の熱伝導率上昇効果が得られる値(容積%)であることが好ましい。
【0027】
図2(a)、(b)は、熱伝導用樹脂層32中における金属フィラー32aの分布状態を示す図であり、(a)は熱伝導用樹脂層32中における金属フィラー充填率が35容積%よりも低い場合、(b)は熱伝導用樹脂層32中における金属フィラー充填率が35容積%よりも高い場合、を示す。
図2(a)に示すように、熱伝導用樹脂層32における金属フィラー充填率が35容積%よりも低い場合は、熱硬化性樹脂32b中の金属フィラー32a同士の接触は少ない。
【0028】
熱伝導用樹脂層32における金属フィラー充填率を35容積%よりも低い状態から次第に高めていくと、図2(b)に示すように、熱硬化性樹脂32b中の金属フィラー32a同士の接触により3以上の金属フィラー32aが一列に繋がったフィラー列32cが金属フィラー充填率の上昇に伴い増加する。フィラー列32cは、金属フィラー充填率が35容積%以上となった段階から急激に増加する。フィラー列32cは、金属フィラー充填率が35容積%以上であれば金属フィラー充填率が高いほど多くなる。
図2(b)に示すように、フィラー列32cは熱を伝達する熱伝導パス32dを形成する。
【0029】
なお、フィラー列32cは、熱伝導用樹脂層32における金属フィラー充填率が35容積%よりも低い場合でも存在し得る。但し、熱伝導用樹脂層32の金属フィラー充填率が35容積%よりも低い場合、フィラー列32cの存在は僅かであるか、あるいは全く存在しない。
【0030】
金属フィラー充填率が35容積%以上で金属フィラー充填率が高いほど、構成フィラー数が多く熱伝導パス32dのパス長が長いフィラー列32cが形成される。
熱伝導用樹脂層32は、フィラー列32cが多いほど、フィラー列32cが長大化する(熱伝導パス32dのパス長が長くなる)ほど熱伝導率が上昇する。
【0031】
また、フィラー列32cは、フィラー列32cを構成する金属フィラー32aの粒径が大きいほど太くて伝熱性が高い熱伝導パス32dを形成でき、熱伝導用樹脂層32の熱伝導率上昇に有効に寄与する。
フィラー列32cは、フィラー列32cを構成する金属フィラー32aの粒径が大きいほど、構成する金属フィラー32a数が多く長さが長いほど、熱伝導用樹脂層32の熱伝導率上昇に有効に寄与する。
【0032】
金属フィラー充填率が高い熱伝導用樹脂層32を得る点では、熱伝導用樹脂層32の熱硬化性樹脂に加熱硬化前の液状であるときの粘度が低いものを用いることが有効である。
熱硬化性樹脂は、加熱硬化前の液状であるときの粘度が12.0Pa・s以下(例えば0.001~12.0Pa・s)であるものを好適に用いることができる。
【0033】
例えばエポキシ樹脂やフェノール樹脂には、加熱硬化前において常温下で固体、常温とガラス転移温度(常温よりも高い)との間の温度(例えば80~120℃)に加熱して溶融させることで液状となり、ガラス転移温度以上の温度に加熱して硬化するもの(以下、溶融後加熱硬化樹脂、とも言う)が存在する。金属フィラーは、加熱硬化前において常温下で固体の溶融後加熱硬化樹脂を加熱溶融して液状とした状態で混入して充填する。
溶融後加熱硬化樹脂は、加熱硬化前において常温下で固体の状態から加熱溶融したときの粘度が12.0Pa・s以下(例えば0.001~12.0Pa・s)であるものを好適に用いることができる。
【0034】
本明細書において、溶融後加熱硬化樹脂以外の熱硬化性樹脂は、加熱硬化前に20℃において液状(流動性を有する状態。ペースト状等を含む)のものを採用する。加熱硬化前の熱硬化性樹脂は20℃±15℃の温度範囲全体にわたって液状であるものを好適に採用できる。
加熱硬化前の液状の熱硬化性樹脂への金属フィラーの分散混入は、液状の熱硬化性樹脂の粘度が12.0Pa・s以下(例えば0.001~12.0Pa・s)である状態で行なうことが好ましい。
金属フィラー充填率が高い熱伝導用樹脂層32を得る点では、加熱硬化前の液状の熱硬化性樹脂の粘度を出来るだけ低くすることが有利である。この点、加熱硬化前の液状の熱硬化性樹脂のうち温度によって粘度が変動するものは温度調整によって粘度を出来るだけ低くした状態で金属フィラーの分散混入を行なうことが好適である。加熱硬化前の液状の熱硬化性樹脂への金属フィラーの分散混入は、液状の熱硬化性樹脂の粘度が12.0Pa・s以下(例えば0.001~12.0Pa・s)である状態で行なうことが好ましい。
【0035】
また、金属フィラー充填率が高い熱伝導用樹脂層32を得る点では、加熱硬化前の液状の熱硬化性樹脂に金属フィラーを混入する際に、熱硬化性樹脂に粘度を低くする処理を行なうことも有効である。
「粘度を低くする処理」は、例えば、加熱硬化前の液状の熱硬化性樹脂にジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等のシリコーンオイルを混入して粘度を低下させることである。液状の熱硬化性樹脂へのシリコーンオイルの混入は、熱硬化性樹脂への金属フィラーの投入(混入)前、投入と並行、投入後のいずれでも良い。
【0036】
エポキシ樹脂のように加熱によって主剤と硬化剤とを反応させて硬化させる構成の熱硬化性樹脂の場合は、「粘度を低くする処理」は、加熱硬化前の液状の熱硬化性樹脂に反応性希釈剤を混入することも採用可能である。エポキシ樹脂の場合、反応性希釈剤は、グリシジルエーテル等の分子中にエポキシ基を有する反応性希釈剤を好適に採用できる。
加熱硬化前の液状の熱硬化性樹脂への反応性希釈剤の混入は、熱硬化性樹脂への金属フィラーの投入(混入)前、投入と並行、投入後のいずれでも良い。また、加熱硬化前の液状の熱硬化性樹脂への反応性希釈剤の混入はシリコーンオイルの混入と併用しても良い。
【0037】
加熱硬化前の液状の熱硬化性樹脂へのシリコーンオイルの混入や反応性希釈剤の混入は、例えば粘度が12.0Pa・s超の液状の熱硬化性樹脂の粘度を12.0Pa・s以下(例えば0.001~12.0Pa・s)にするための手法として利用可能である。
加熱硬化前の液状であるときの粘度が12.0Pa・s以下(例えば0.001~12.0Pa・s)の熱硬化性樹脂は、シリコーンオイルの混入や反応性希釈剤の混入を適用して粘度を低下させることで金属フィラーの充填率をさらに高めることができる。
加熱硬化前の液状の熱硬化性樹脂への金属フィラーの分散混入は、シリコーンオイル混入や反応性希釈剤の混入の有無に依らず、液状の熱硬化性樹脂の粘度が12.0Pa・s以下(例えば0.001~12.0Pa・s)である状態で行なうことが好ましい。
【0038】
金属箔33は、銅、アルミニウム等の熱伝導率が200W/m・K以上の金属によって形成されたものを採用する。
また、金属箔33は、磁器乳鉢20の外面(具体的には磁器乳鉢20の上端部以外の部分の外面)への密着性の確保の点で、展性に優れるアルミニウム箔を採用することが好ましい。
【0039】
図1に示すように、容器加熱用収容体30の熱伝導用樹脂層32は金属鍋31の内面全体に被着形成されている。
金属箔33は熱伝導用樹脂層32の金属鍋31側とは逆の内面全体に被着されている。
容器加熱用収容体30の内面(以下、収容体内面、とも言う)は、金属箔33の容器収容領域34に臨む側の面である。
なお、熱伝導用樹脂層32における金属鍋31の湾曲側壁31c主部に被着形成された部分の厚みは1~4mmが好ましく、2~3mmがより好ましい。
【0040】
次ぎに、容器加熱用収容体30の製造方法について説明する。
容器加熱用収容体30の製造は、図3に示すように、まず、磁器乳鉢20を用意し、金属箔33を磁器乳鉢20の上端部以外の部分の外面に該外面の形状に沿わせて設ける(金属箔被せ工程)。
ここで説明する製造方法の金属箔被せ工程は、具体的には、図3のように、磁器乳鉢20をその上部開口部の周囲の上端部を載置面Sに当接させ、底部の高台部23が最上部となる向きで載置面S上に載置した状態で行なう。磁器乳鉢20外面に沿わせて金属箔33を設ける作業を作業者の手作業で行なう場合は、図3のように磁器乳鉢20をその上端部を載置面Sに当接させて載置面S上に載置した状態で作業を行なうことが作業性向上の点で好ましい。
図3における磁器乳鉢20の載置面S上への載置状態は、後述の金属鍋被せ押圧工程の完了まで維持する。
【0041】
なお、磁器乳鉢20外面に沿わせて金属箔33を設ける作業は、磁器乳鉢20を上部開口部が上端、高台部23が下端に位置する向きで支持した状態で行なっても良い。
【0042】
次いで、図3に示すように、加熱硬化前の液状の熱硬化性樹脂に金属フィラー32aが35容積%以上充填されたペースト状樹脂材料を金属箔33に塗布して金属箔33を覆う塗布樹脂層36を形成する(塗布樹脂層形成工程)。
塗布樹脂層36は、塗布樹脂層36を構成する熱硬化性樹脂の加熱硬化によって容器加熱用収容体30の熱伝導用樹脂層32を形成するものである。
【0043】
次いで、図3に示すように、塗布樹脂層形成工程にて形成した塗布樹脂層36に金属鍋31を被せ、金属鍋31を磁器乳鉢20に向かって押圧する押圧力によって塗布樹脂層36及び金属箔33を磁器乳鉢20に対して押圧する(金属鍋被せ押圧工程)。
図3では、断熱材層35付きの金属鍋31を用いて金属鍋被せ押圧工程を実行する構成を示している。
金属鍋被せ押圧工程では、塗布樹脂層36に被せた金属鍋31を磁器乳鉢20に向かって押圧することで、金属鍋31と塗布樹脂層36、塗布樹脂層36と金属箔33、金属箔33と磁器乳鉢20、をそれぞれ互いに密着させる。
【0044】
金属箔33は、金属鍋31からの押圧力によって磁器乳鉢20に押圧することで、塗布樹脂層36を形成する加熱硬化前のペースト状樹脂材料の変形によって、磁器乳鉢20のその上端部以外の外面に合致する形状に変形される。その結果、金属箔33を、磁器乳鉢20のその上端部以外の外面に隙間無く密着させることができる。
金属鍋被せ押圧工程では、金属鍋31と塗布樹脂層36との間、及び塗布樹脂層36と金属箔33との間も、塗布樹脂層36を形成する加熱硬化前のペースト状樹脂材料の変形によって、互いに隙間無く密着させることができる。
【0045】
図1に示すように、容器加熱用収容体30の内面は、磁器乳鉢20外面のうち高台部23の容器主部21側の端である根元部とフランジ部22との間に位置する領域である側壁部外面に密着可能な凹形主面を有する。容器加熱用収容体30の底部には、収容体内面の凹形主面から窪む高台部収容凹部34aが形成されている。収容体内面は凹形主面以外に高台部収容凹部34aの内面である凹部内面も含む。凹部内面は、磁器乳鉢20の高台部23の表面に合致するように形成され、高台部収容凹部34aに収容された磁器乳鉢20の高台部23の表面に密着可能である。
容器加熱用収容体30内側の容器収容領域34は、高台部収容凹部34aと、磁器乳鉢20における上端部及び高台部23以外の部分を収容する収容領域主部とを有する。
【0046】
図1の磁器乳鉢20の内面は詳細には半球面状の凹曲面部と、凹曲面部の底部とは逆側の端であり円周を形成する上端(磁器乳鉢20の上部開口部側の端)から凹曲面部上端と同軸同径で磁器乳鉢20上端まで延在する円筒面状の上部円筒面部とを有する。磁器乳鉢20の側壁部外面は高台部23の根元部からフランジ部22付近まで延在する部分球面状の湾曲面部と、湾曲面部のフランジ部22側の端であり円周を形成する上端からフランジ部22まで湾曲面部上端と同軸同径で延在する上部側面部とを有している。図1の容器加熱用収容体30内面の凹形主面は磁器乳鉢20の側壁部外面の湾曲面部に合致し密着可能な部分球面状に形成されている。また、容器加熱用収容体30内面の凹形主面は凹部内面から容器加熱用収容体30の上端に達して形成されている。
なお、磁器乳鉢20は内面に半球面状の凹曲面部を有する構成であれば良く、例えば、内面に上部円筒面部を有していない構成や、側壁部外面の全体が湾曲面部である構成も採用可能である。
【0047】
図3に示すように、ここで説明する容器加熱用収容体30の製造方法では、金属箔被せ工程及び塗布樹脂層形成工程にて、磁器乳鉢20の高台部23表面に合致する内面を有する高台部収容凹部34aを形成できる。
この製造方法では、さらに金属鍋被せ押圧工程にて、高台部収容凹部34aの内面形状を磁器乳鉢20の高台部23表面に密着可能に確実かつ容易に調整できる。この結果、磁器乳鉢20の高台部23外寸に高精度に合致する内寸の高台部収容凹部34aを形成できる。
【0048】
なお、図1図3の磁器乳鉢20の高台部23は、磁器乳鉢20の容器主部21底部から突出する中実の突部である。但し、高台部23は、中実の突部に限定されず、磁器乳鉢20の容器主部21底部から下方へ上部開口部の中心軸線と同軸の環状に突出形成された環状リブ等であっても良い。
高台部23が中実の突部以外の環状リブ等の場合も、容器加熱用収容体30の高台部収容凹部34aはその内寸が高台部23外寸に合致するように形成される。
【0049】
次いで、図3に示すように、塗布樹脂層36の加熱硬化前の熱硬化性樹脂を加熱硬化させて熱伝導用樹脂層32を形成する(樹脂層加熱硬化工程)。
塗布樹脂層36の加熱硬化前の熱硬化性樹脂を加熱硬化する手法は特に限定は無く、例えば、図1のように、金属鍋31をその底面31aを載置した面状ヒーター41によって加熱することで行なっても良い。
【0050】
樹脂層加熱硬化工程が完了すれば、図1に示す容器加熱用収容体30及び加熱用ユニット10が得られる。
ここで説明する容器加熱用収容体30の製造方法は、樹脂層加熱硬化工程の完了後に、容器加熱用収容体30から磁器乳鉢20を取り出す乳鉢取り出し工程を含む。
容器加熱用収容体30から取り出された磁器乳鉢20は、容器加熱用収容体30の容器収容領域34に再び取り出し可能に収容できる。
【0051】
容器加熱用収容体30の製造方法は、樹脂層加熱硬化工程にて塗布樹脂層36の加熱硬化前の熱硬化性樹脂を加熱硬化させる熱伝導用樹脂層32の形成が完了し、容器加熱用収容体30が得られたならば、容器加熱用収容体30から磁器乳鉢20を取り出すことなく、金属鍋31の加熱、それによる磁器乳鉢20の加熱を開始しても良い。
この場合は、乳鉢取り出し工程は省略となる。
【0052】
容器加熱用収容体30の金属箔33は、容器加熱用収容体30に収容された磁器乳鉢20の取り出し作業の円滑化に有効に寄与する。
本発明者は、試作した容器加熱用収容体30を用いた種々検証により、金属箔33を省略して磁器乳鉢20に熱伝導用樹脂層32が接する構成とした容器加熱用収容体(後述の変形例の加熱用ユニット10A及びその製造方法)の場合には、容器加熱用収容体に収容した磁器乳鉢20が熱伝導用樹脂層32に強く嵌合してしまい、磁器乳鉢20の取り出しが容易でないケースが発生しやすいことを把握した。
容器加熱用収容体30において収容体内面を形成する金属箔33は、熱伝導用樹脂層32に比べて磁器乳鉢20に対する摩擦を格段に小さく抑えることができ、容器加熱用収容体30に収容された磁器乳鉢20の容器加熱用収容体30から取り出し作業の円滑化に有効に寄与する。
【0053】
加熱用ユニット10は、磁器乳鉢20を収容した容器加熱用収容体30の収容体内面を磁器乳鉢20の上端部以外の外面に確実に密着させることができ、収容体内面と磁器乳鉢20との間に空気層が介在することを排除できる。
このため、磁器乳鉢20を収容した容器加熱用収容体30の金属鍋31の底部を加熱すれば、金属鍋31の熱を熱伝導用樹脂層32及び金属箔33を介して磁器乳鉢20の容器加熱用収容体30に収容された部分に確実かつ均等に伝達できて、磁器乳鉢20の均一な加熱を実現できる。
また、加熱用ユニット10は、磁器乳鉢20を収容した容器加熱用収容体30の金属鍋31の底部の加熱によって磁器乳鉢20の容器加熱用収容体30に収容されていない上端部以外の全体を均一に所望の加熱速度で温めることで、磁器乳鉢に不均一な加熱による歪が発生して磁器乳鉢が破損してしまうといった不都合を回避できる。
【0054】
加熱用ユニット10は、熱媒液を用いることなく磁器乳鉢20を加熱する構成のため、加熱対象の容器以外に熱媒液の加熱の必要もあるウォーター・バス方式に比べて、加熱に要するトータル時間を短縮できる。
また、ウォーター・バス方式の加熱装置は、ウォーター・バスに挿入して加熱する容器の支持や支持解除等も必要であるが、加熱用ユニット10は、磁器乳鉢20を収容した容器加熱用収容体30によって磁器乳鉢20を安定支持可能であり取り扱いが簡単である。 加熱用ユニット10は、容器を支持するための支持具を別途必要としない点で、ウォーター・バス方式の加熱装置に比べて構成が単純で、装置の小型化、低コストの点で有利である。
【0055】
加熱用ユニット10は、金属鍋31を加熱する熱源に、面状ヒーター等の小型かつ安価で、温度制御も簡便に行えるもの使用可能であり、従来構成の加熱装置に比べて小型化、低コストの点で有利である。
【0056】
図4に示すように、容器加熱用収容体30は、磁性金属部材38が金属鍋31の底部に設けられた構成も採用可能である。容器加熱用収容体30は、金属鍋31の底部に設けられた磁性金属部材38を含む。
図4に示す磁性金属部材38は、金属鍋31の底部を覆う容器状に形成され、金属鍋31の底部に固定されている。
【0057】
図4のように、磁性金属部材38が底部に固定された金属鍋31を、以下、磁性金属部材付き金属鍋39とも言う。
磁性金属部材付き金属鍋39も本発明に係る金属鍋の一例である。
図4に示す磁性金属部材付き金属鍋39の磁性金属部材38は、金属鍋31の底面31aも覆っており、磁性金属部材付き金属鍋39の底面を形成している。
【0058】
磁性金属部材付き金属鍋39の磁性金属部材38を形成する磁性金属は、例えば、鉄、フェライト等の酸化鉄、コバルト、ニッケル、ステンレス鋼等を採用できる。
磁性金属部材38は、所謂IHヒーター等の誘導加熱方式の加熱装置37(誘導加熱式加熱装置)が発生する交番磁界によって発熱し加熱される。
【0059】
図4に示す磁性金属部材付き金属鍋39の磁性金属部材38には、金属鍋31の上部開口部の中心軸線に垂直に延在する底面38aが形成されている。磁性金属部材付き金属鍋39の磁性金属部材38は底面38aを誘導加熱式加熱装置37上に配置して誘導加熱式加熱装置37上に載置することで、誘導加熱式加熱装置37によって効率良く加熱される。
【0060】
金属鍋31の底部に設けられる磁性金属部材38の具体的形状は図4に例示したものに限定されず適宜変更可能である。
磁性金属部材38は、例えば、金属鍋31の底面31aの複数箇所に点在配置されたパッド状、金属鍋31の底部に組み込まれて金属鍋31の底面31aの一部を形成している構成なども採用可能である。
【0061】
図5は変形例の加熱用ユニット10Aを示す。
図5に示す加熱用ユニット10Aは、図1等を参照して説明した加熱用ユニット10について容器加熱用収容体30の金属箔33を省略し、熱伝導用樹脂層32を磁器乳鉢20のその上端部以外の外面に直接密着させ、熱伝導用樹脂層32の磁器乳鉢20への被着(接着)により磁器乳鉢20を容器加熱用収容体30に収容固定した構成となっている。
加熱用ユニット10Aに関して、容器加熱用収容体30の金属箔33を省略し熱伝導用樹脂層32を磁器乳鉢20のその上端部以外の外面に直接接着させた点以外は、図1等を参照して説明した加熱用ユニット10と同様の構成を採用できる。
【0062】
容器加熱用収容体30の熱伝導用樹脂層32を形成する加熱硬化前のペースト状樹脂材料はその接着性により金属鍋31に接着される。ペースト状樹脂材料の加熱硬化によって形成された熱伝導用樹脂層32は金属鍋31に密着、接着されている。この点は図1等を参照して説明した加熱用ユニット10でも共通である。
図1等を参照して説明した加熱用ユニット10において熱伝導用樹脂層32は金属鍋31とは逆側の金属箔33に密着、接着されている。
これに対して、図5の加熱用ユニット10Aの容器加熱用収容体30では金属箔33が存在せず、熱伝導用樹脂層32は磁器乳鉢20に密着、接着して磁器乳鉢20に固定されている。
図5の加熱用ユニット10Aの容器加熱用収容体30では、容器加熱用収容体30が熱伝導用樹脂層32を密着、接着させた磁器乳鉢20に固定、一体化された構成となっている。
【0063】
図5の加熱用ユニット10Aにおいて容器加熱用収容体30は、金属鍋31内面に沿って形成された熱伝導用樹脂層32によって取り囲まれる内側の容器収容領域34に磁器乳鉢20を収容固定している。
容器加熱用収容体30の収容部内面は、熱伝導用樹脂層32の容器収容領域34に臨む内面、すなわち熱伝導用樹脂層32の磁器乳鉢20に接する面である。
収容体内面は、磁器乳鉢20外面のうち高台部23の容器主部21側の端である根元部とフランジ部22との間に位置する領域である側壁部外面に密着可能な部分球面状の凹形主面を有する。容器加熱用収容体30の底部には、収容体内面の凹形主面から窪む高台部収容凹部34aが形成されている。収容体内面は凹形主面以外に高台部収容凹部34aの内面である凹部内面も含む。凹形主面は凹部内面から容器加熱用収容体30の上端に達して形成されている。
【0064】
図5の加熱用ユニット10Aにおいて容器加熱用収容体30の製造方法は、図1図3等を参照して説明した容器加熱用収容体30の製造方法について金属箔被せ工程を省略し、用意した磁器乳鉢20に対して、加熱硬化前のペースト状樹脂材料を磁器乳鉢20のその底部とは逆の上端部以外の部分の外面に塗布して磁器乳鉢20外面を覆う塗布樹脂層36を形成する塗布樹脂層形成工程をまず行う。ペースト状樹脂材料は加熱硬化前の液状の熱硬化性樹脂に金属フィラー32aが35容積%以上充填されたものである。以下、図1図3等を参照して説明した容器加熱用収容体30の製造方法と同様に、金属鍋被せ押圧工程と樹脂層加熱硬化工程とを行っていく。金属鍋被せ押圧工程では、塗布樹脂層36と金属鍋31との間、及び塗布樹脂層36と磁器乳鉢20との間を塗布樹脂層36を形成する加熱硬化前のペースト状樹脂材料の変形によって互いに隙間無く密着させる。乳鉢取り出し工程は省略となる。
この容器加熱用収容体30の製造方法では、樹脂層加熱硬化工程の完了(ペースト状樹脂材料の加熱硬化の完了)にて容器加熱用収容体30が完成すると同時に、容器加熱用収容体30内側に磁器乳鉢20が固定された構成の加熱用ユニット10Aが得られる。この容器加熱用収容体30の製造方法の構成は加熱用ユニット10Aの製造方法の構成でもある。
【0065】
以上、本発明を最良の形態に基づいて説明してきたが、本発明は上述の最良の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
容器加熱用収容体及び加熱用ユニットは、真空チャンバ内等の真空中でも使用可能である。図1に例示した容器加熱用収容体30は断熱材層35を有するが、真空中にて使用する容器加熱用収容体は断熱材層35を省略した構成も採用可能である。
容器加熱用収容体及び加熱用ユニットは、磁器乳鉢以外の例えばガラス容器等のボウル状容器も採用可能である。
【0066】
容器加熱用収容体30は磁器乳鉢20の冷却にも好適に用いることができる。
本明細書において、図1図5に例示したように容器加熱用収容体30内側に磁器乳鉢20を収容した状態の加熱用ユニットを、加熱用ユニット組立体、とも言う。
上述の実施形態にて説明した容器加熱用収容体30の製造方法及び加熱用ユニットの製造方法では樹脂層加熱硬化工程の完了によって加熱用ユニット組立体が得られる。容器加熱用収容体30の製造方法及び加熱用ユニットの製造方法は、樹脂層加熱硬化工程の完了後に、ヒートシンク等の冷却用金属部材上に加熱用ユニット組立体を金属鍋31底部を接触させて載置することで、樹脂層加熱硬化工程にて加熱された加熱用ユニット組立体を冷却する接触冷却工程を有していても良い。
加熱用ユニット組立体は、容器加熱用収容体30内面と磁器乳鉢20との密着によって、熱伝導用樹脂層32を介した金属鍋31と磁器乳鉢20との間の熱伝導、熱移動を高効率で実現できる。このため、加熱用ユニット組立体は、金属鍋31のその底部からの加熱による磁器乳鉢20(及びその内側の投入物)の加熱を効率良く行える他、金属鍋31底部を冷却することで磁器乳鉢20の冷却、組立体(加熱用ユニット組立体)全体の冷却も効率良く行え、冷却の所要時間を短縮できる。
【0067】
容器加熱用収容体30の製造方法及び加熱用ユニットの製造方法の接触冷却工程では、ヒートシンク等の冷却用金属部材上に加熱用ユニット組立体を金属鍋31底部を接触させて載置することで樹脂層加熱硬化工程にて加熱された加熱用ユニット組立体の全体を効率良く冷却できる。冷却用金属部材は、例えば外部装置によって冷却、循環される冷却水等の冷媒を流通させる冷媒流路が内部に形成された構成のヒートシンクや、冷媒を流通させる冷却管等の冷媒流路が内部に形成された金属部材である冷媒流通金属部材を特に好適に用いることができる。なお、冷却用金属部材は冷媒流通金属部材に限定されず、例えば冷媒流路が存在せずフィンが複数突出形成された放熱式のヒートシンク等も採用可能である。冷却用金属部材上に加熱用ユニット組立体を金属鍋31底部を接触させて載置して加熱用ユニット組立体全体を冷却する冷却方法は、冷却用金属部材上への加熱用ユニット組立体の載置と載置状態からの撤去とを短時間で簡単に行える利点がある。
【0068】
磁器乳鉢20は擂潰機にセットして磁器乳鉢20内の投入物の擂潰に使用したとき、投入物の擂潰中に発生する熱により加熱されることがある。磁器乳鉢20は擂潰機の乳鉢受け台に直接接触させてセットして投入物の擂潰に使用できる。磁器乳鉢20は、擂潰機の乳鉢受け台への加熱用ユニット組立体のセットによって乳鉢受け台にセットして投入物の擂潰に使用しても良い。加熱用ユニット組立体を擂潰機の乳鉢受け台にセットして投入物の擂潰に使用した場合は、投入物の擂潰中に発生する熱により加熱用ユニット組立体全体が加熱され得る。
【0069】
投入物の擂潰によって発生した熱により加熱された加熱用ユニット組立体は、例えば、擂潰機の乳鉢受け台から取り出して冷却用金属部材上に金属鍋31底部を接触させて載置し金属鍋31底部を冷却することで組立体(加熱用ユニット組立体)全体を効率良く冷却できる。
擂潰機の乳鉢受け台に直接接触させてセットして投入物の擂潰に使用した磁器乳鉢20は、乳鉢受け台から取り出し容器加熱用収容体30に収容して加熱用ユニット組立体を組み立て、冷却用金属部材上に加熱用ユニット組立体を容器加熱用収容体30の金属鍋31の底部を接触させて載置し金属鍋31底部を冷却することで効率良く冷却できる。
磁器乳鉢20を冷却すれば磁器乳鉢20内の投入物も冷却できる。
【符号の説明】
【0070】
10、10A…加熱用ユニット、20…ボウル状容器(磁器乳鉢)、21…容器主部、22…フランジ部、23…高台部、24…底面、30…容器加熱用収容体、31…金属鍋、31a…底面、31b…底壁、31c…湾曲側壁、32…熱伝導用樹脂層、32a…金属フィラー、32b…熱硬化性樹脂、32c…フィラー列、32d…熱伝導パス、33…金属箔、34…容器収容領域、34a…高台部収容凹部、35…断熱材層、36…塗布樹脂層、37…誘導加熱式加熱装置、38…磁性金属部材、38a…底面、39…磁性金属部材付き金属鍋、41…面状ヒーター、S…載置面。
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2022-09-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボウル状容器と、前記ボウル状容器を取り出し可能に収容できる容器加熱用収容体とを有し、
前記容器加熱用収容体は、ボウル状の金属鍋と、前記金属鍋の内面を覆うように形成された熱伝導用樹脂層と、前記熱伝導用樹脂層の内面に被着された金属箔とを有し、前記金属箔に取り囲まれる内側に前記ボウル状容器を収容する容器収容領域が確保され、
前記熱伝導用樹脂層は樹脂中に金属フィラーが充填されたものであり、
前記金属鍋のその底部以外の部分、前記金属フィラー、前記金属箔はそれぞれ熱伝導率が200W/m・K以上の金属によって形成され、
前記容器加熱用収容体は前記金属箔が形成する収容体内面の全体を前記ボウル状容器のその底部とは逆の上端部以外の外面に密着させて前記ボウル状容器を前記容器収容領域に収容可能とされ、熱源により加熱された前記金属鍋の熱を、前記熱伝導用樹脂層及び前記金属箔を介して前記ボウル状容器に均等に伝達するように構成されている加熱用ユニット。
【請求項2】
ボウル状容器と、前記ボウル状容器を収容固定した容器加熱用収容体とを有し、
前記容器加熱用収容体は、ボウル状の金属鍋と、前記金属鍋の内面を覆うように形成された熱伝導用樹脂層とを有し、前記熱伝導用樹脂層に取り囲まれる内側に前記ボウル状容器を収容する容器収容領域が確保され、
前記熱伝導用樹脂層は樹脂中に金属フィラーが充填されたものであり、前記金属鍋のその底部以外の部分、前記金属フィラーはそれぞれ熱伝導率が200W/m・K以上の金属によって形成され、
前記容器加熱用収容体は前記熱伝導用樹脂層が形成する収容体内面の全体を前記ボウル状容器のその底部とは逆の上端部以外の外面に密着させて前記ボウル状容器を前記容器収容領域に収容可能とされ、熱源により加熱された前記金属鍋の熱を、前記熱伝導用樹脂層を介して前記ボウル状容器に均等に伝達するように構成されている加熱用ユニット。
【請求項3】
前記金属鍋の側面に設けられて前記側面を覆う断熱材層を有する請求項1または2に記載の加熱用ユニット。
【請求項4】
前記金属鍋は、底部に磁性金属からなる磁性金属部材を有し、前記金属鍋の底面の少なくとも一部が前記磁性金属部材によって形成されている請求項1~3のいずれか1項に記載の加熱用ユニット。
【請求項5】
前記金属鍋のその底部以外の部分、前記金属フィラー、前記金属箔は、銅またはアルミニウムによって形成されている請求項1に記載の加熱用ユニット。
【請求項6】
請求項1に記載の加熱用ユニットの前記容器加熱用収容体を製造する方法であって、
前記金属箔を前記ボウル状容器のその底部とは逆の上端部以外の部分の外面に該外面の形状に沿わせて設ける金属箔被せ工程と、
前記金属箔被せ工程の完了後、加熱硬化前の液状の熱硬化性樹脂に前記金属フィラーが充填されたペースト状樹脂材料を前記金属箔に塗布して前記金属箔を覆う塗布樹脂層を形成する塗布樹脂層形成工程と、
前記塗布樹脂層形成工程にて形成した前記塗布樹脂層に前記金属鍋を被せ、前記金属鍋を前記ボウル状容器に向かって押圧する押圧力によって前記塗布樹脂層及び前記金属箔を前記ボウル状容器に対して押圧する金属鍋被せ押圧工程と、
前記金属鍋被せ押圧工程の完了後、前記塗布樹脂層の前記熱硬化性樹脂を加熱硬化させて前記熱伝導用樹脂層を形成する樹脂層加熱硬化工程とを有する容器加熱用収容体の製造方法。
【請求項7】
請求項2に記載の加熱用ユニットを製造する方法であって、
加熱硬化前の液状の熱硬化性樹脂に前記金属フィラーが充填されたペースト状樹脂材料を前記ボウル状容器のその底部とは逆の上端部以外の部分の外面に塗布して前記外面を覆う塗布樹脂層を形成する塗布樹脂層形成工程と、前記塗布樹脂層形成工程にて形成した前記塗布樹脂層に前記金属鍋を被せ、前記金属鍋を前記ボウル状容器に向かって押圧する押圧力によって前記塗布樹脂層を前記ボウル状容器に対して押圧する金属鍋被せ押圧工程と、前記金属鍋被せ押圧工程の完了後、前記塗布樹脂層の前記熱硬化性樹脂を加熱硬化させて前記熱伝導用樹脂層を形成する樹脂層加熱硬化工程とを有する加熱用ユニットの製造方法。