IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本車輌製造株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-建設機械のキャブ 図1
  • 特開-建設機械のキャブ 図2
  • 特開-建設機械のキャブ 図3
  • 特開-建設機械のキャブ 図4
  • 特開-建設機械のキャブ 図5
  • 特開-建設機械のキャブ 図6
  • 特開-建設機械のキャブ 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022188542
(43)【公開日】2022-12-21
(54)【発明の名称】建設機械のキャブ
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/16 20060101AFI20221214BHJP
   B62D 25/08 20060101ALI20221214BHJP
【FI】
E02F9/16 C
B62D25/08 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021096661
(22)【出願日】2021-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】000004617
【氏名又は名称】日本車輌製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100128358
【弁理士】
【氏名又は名称】木戸 良彦
(74)【代理人】
【識別番号】100086210
【弁理士】
【氏名又は名称】木戸 一彦
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 幸洋
(72)【発明者】
【氏名】東 知世洋
【テーマコード(参考)】
2D015
3D203
【Fターム(参考)】
2D015EC01
3D203AA27
3D203BB57
3D203BB59
3D203BB62
3D203BB63
3D203BB76
(57)【要約】      (修正有)
【課題】簡単な構造で室内の温度上昇を抑え、オペレータの運転環境を快適な状態に保つことができる建設機械のキャブを提供する。
【解決手段】建設機械の上部旋回体に搭載され、内部に運転室Sを画成する骨組構造15を備えたキャブにおいて、骨組構造は、運転室の前後左右の4隅に立設された支柱管24,25,26,27と、前後の支柱管の上端部間に掛け渡された梁管28,29とを有し、支柱管と梁管とを配管状に接続した内部に通気管路T1,T2が形成され、支柱管24,26には、通気管路T1,T2に空気の流れを作るファン35,36が設けられ、梁管28,29には、通気管路T1,T2と運転室Sとを連通する通気口37,38が設けられている。また、通気口37,38には、開閉可能なレジスタ39,40が取り付けられ、前記レジスタは、開き動作と連動してファン35,36を作動させるスイッチを備えている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建設機械の上部旋回体に搭載され、内部に運転室を画成する骨組構造を備えたキャブにおいて、
前記骨組構造は、前記運転室の前後左右の4隅に立設された支柱管と、前後の支柱管の上端部間に掛け渡された梁管とを有し、前記支柱管の少なくとも1本と前記梁管とを配管状に接続した内部に通気管路が形成され、
前記支柱管には、前記通気管路に空気の流れを作るファンが設けられ、
前記梁管には、前記通気管路と前記運転室とを連通する通気口が設けられていることを特徴とするキャブ。
【請求項2】
前記通気口には、開閉可能なレジスタが取り付けられ、
前記レジスタは、開き動作と連動して前記ファンを作動させるスイッチを備えていることを特徴とする請求項1記載のキャブ。
【請求項3】
前記ファンは、前記支柱管の下端の開口部から外気を吸入させる吸気ファンからなり、該吸気ファンは、前後左右の支柱管のうち、前記上部旋回体の旋回軸から最も遠くに位置した支柱管に設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載のキャブ。
【請求項4】
前記ファンは、左右の支柱管のうち、一方の支柱管に設けられて該支柱管の下端の開口部から外気を吸入させる吸気ファンと、他方の支柱管に設けられて該支柱管の下端の開口部から内気を排出させる排気ファンとからなることを特徴とする請求項1又は2記載のキャブ。
【請求項5】
前記吸気ファンは、前後左右の支柱管のうち、前記上部旋回体の旋回軸から最も遠くに位置した支柱管に設けられ、前記排気ファンは、2番目に遠くに位置した支柱管に設けられていることを特徴とする請求項4記載のキャブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設機械のキャブに関し、詳しくは、キャブ内へ外気を導くための外気導入路を備えた建設機械のキャブに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、荷役装置や掘削装置などの各種作業装置を備えた産業車両は、エンジンや電気モータなどの発熱部品を冷却するための冷却構造を備えている。冷却構造の一例として、構造が簡単な空冷式のものは、車体外壁に設けた通孔部分にルーバ付きのダクト係合部を備え、ダクト(外気導入路)の接続端が係合部に係合されて車体内の所望箇所に外気を導入できるようになっている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
上述の産業車両のうち、ショベルやクレーン、杭打機などの建設機械は、上部旋回体に運転室であるキャブが搭載されている。キャブは、室内のオペレータを保護する観点から、中空管材を主とした骨組構造で運転席が囲われ、この骨組構造にドアや窓ガラスなどの部品が取り付けられている(例えば、特許文献2参照。)。こうした箱状のキャブは、運転操作に必要な最低限の空間で構成されているため、熱気がこもりやすく、また、隣接するエンジン室などからの熱も伝わりやすい。そのため、キャブ内の換気は、窓ガラスを開放して行われているのが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002-347435号公報
【特許文献2】特開2017-114219号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
換気のために窓ガラスを開放すると、キャブ内に雨水や工事中の塵埃が入り込みやすく、また、夜間には建設機械の発する光や熱などに誘導された虫が入り込むことも多い。よって、窓を閉めた状態におけるキャブ内の換気は、オペレータの負担や不快感を軽減する策として、近年、重要性が増してきている。しかしながら、キャブの換気設計において、特許文献1のダクト構造を採用するのでは、運転席のスペースを圧迫しかねず、専用のルーバを取り付ける必要もあることから、コスト増加の要因ともなる。特に、オペレータにとって重要なのは送風口の位置であり、こうした風向きの要望に応えようとすれば、それだけ配置的な条件も厳しくなる。
【0006】
そこで本発明は、簡単な構造で室内の温度上昇を抑え、オペレータの運転環境を快適な状態に保つことができる建設機械のキャブを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の建設機械のキャブは、建設機械の上部旋回体に搭載され、内部に運転室を画成する骨組構造を備えたキャブにおいて、前記骨組構造は、前記運転室の前後左右の4隅に立設された支柱管と、前後の支柱管の上端部間に掛け渡された梁管とを有し、前記支柱管の少なくとも1本と前記梁管とを配管状に接続した内部に通気管路が形成され、前記支柱管には、前記通気管路に空気の流れを作るファンが設けられ、前記梁管には、前記通気管路と前記運転室とを連通する通気口が設けられていることを特徴としている。
【0008】
また、前記通気口には、開閉可能なレジスタが取り付けられ、前記レジスタは、開き動作と連動して前記ファンを作動させるスイッチを備えていることを特徴としている。さらに、前記ファンは、前記支柱管の下端の開口部から外気を吸入させる吸気ファンからなり、該吸気ファンは、前後左右の支柱管のうち、前記上部旋回体の旋回軸から最も遠くに位置した支柱管に設けられていることを特徴としている。
【0009】
また、前記ファンは、左右の支柱管のうち、一方の支柱管に設けられて該支柱管の下端の開口部から外気を吸入させる吸気ファンと、他方の支柱管に設けられて該支柱管の下端の開口部から内気を排出させる排気ファンとからなることを特徴としている。さらに、前記吸気ファンは、前後左右の支柱管のうち、前記上部旋回体の旋回軸から最も遠くに位置した支柱管に設けられ、前記排気ファンは、2番目に遠くに位置した支柱管に設けられていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明の建設機械のキャブによれば、運転室を画成する骨組構造において支柱管と梁管とを配管状に接続してなる通気管路を形成し、支柱管に気流生成用のファンを、梁管に通気管路と運転室とを連通する通気口をそれぞれ設けているので、専用のダクトを設けることなく室内の換気に必要な気流の経路を確保することができる。すなわち、既設の中空管材を利用した簡単な換気構造で室内の温度上昇を抑えることが可能なキャブが達成される。しかも、運転室の上部に位置した通気口によってオペレータに清涼感を与える気流が到達しやすくなり、さらには、上下方向の通気管路を有する支柱管によって下向きの開口部が得られ、雨水や騒音などの侵入対策を講じる必要もないことから、安価で実用性に優れたものである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一形態例を示す建設機械のキャブの骨組構造の斜視図である。
図2】同じく側面図である。
図3】同じく正面図である。
図4】同じく底面図である。
図5】同じくレジスタの取付構造を示す図である。
図6】同じくファンの取付構造を示す図である。
図7】本発明の適用可能な建設機械の一例を示す杭打機の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1乃至図6は、本発明の建設機械のキャブの一形態例を示すものである。図7は、本発明の適用可能な建設機械の一例を示す杭打機であって、バリエーション違いのキャブを搭載したものを示している。杭打機11は、図7に示すように、クローラを備えた下部走行体12の上に、旋回機構を介して上部旋回体13を旋回軸(旋回中心)PVの周りで旋回自在に設けている。キャブ14は、オペレータの視認性や安全確保のための設計基準に対応し、内部に運転室を画成する骨組構造15を備えたもので、上部旋回体13の一側前部(本実施形態では右側前部)に搭載されている。こうした旋回式の杭打機11では、キャブ14を旋回軸PVの前方に配置していることで運転席からの視野が良くなり、リーダ16の前面に装着される作業装置(図示せず)の作動状況や、施工地点の状況などを容易に把握できるようになっている。
【0013】
骨組構造15は、詳細は後述するが、旋回フレーム体17を構成する矩形枠状のフロアフレーム17aにて支持され、骨組枠からなる各面には、フロントウインドウ18やドア19、ルーフパネル20、サイドパネル21などのキャブ14の外観を担う各種部品が取り付けられている。キャブ14は、後面のリアパネルがハウス(機器収納室)22の前面と近接状態となるように前後に大きく形成され、ドア19のある外側面の位置がハウス22の外側面に連続し、杭打機11の車幅(輸送幅)を規定している。このように形成された箱状のキャブ14は、ドア19や窓ガラスを閉めることによって内部の気密を保持している。
【0014】
骨組構造15は、キャブ14の仕様に合わせてデザインが異なるが、基本的に左右対称形状をなし、例えば、図1乃至図4に示すように、主に、骨組枠としての製作が容易な中空管材(角パイプ)を用いて形成されている。骨組構造15の大きさや形状は、キャブ14の前後の長さ方向(図1の矢印X1及びX2の方向)、左右の幅方向(図1の矢印W1及びW2の方向)及び上下の高さ方向(図1の矢印V1及びV2の方向)の各部材相互の間隔によって概略定められ、少なくとも一人のオペレータが搭乗するために必要な広さの運転室(空間)Sを形成している。なお、骨組構造15の理解を容易にするために、図1などにおいて操作席の表示を省略するが、着座したオペレータから見て、視界の開けた前進方向は矢印X1の方向となり、後進方向は矢印X2の方向となる。また、進行方向左手側は矢印W1の方向となり、右手側は矢印W2の方向となる。
【0015】
骨組構造15の各部材は、前後左右のベース管23a,23b,23c,23dを矩形状に枠組みしたベース枠体23と、該ベース枠体23の前後左右の4隅、すなわち、運転室Sの4隅に立設された左前支柱管24、左後支柱管25、右前支柱管26及び右後支柱管27と、左前支柱管24と左後支柱管25との上端部間に掛け渡された左上梁管28と、右前支柱管26と右後支柱管27との上端部間に掛け渡された右上梁管29と、補強材を兼ねる複数のアングル支柱30及び横梁管31とで概略構成されている。
【0016】
ベース枠体23は、図1及び図4に示すように、後ベース管23bの上面中央部及び下面両端部の複数箇所に換気孔32が設けられており、フロアフレーム17aへの取付状態で、運転室Sの換気に必要な気流の経路を確保している。
【0017】
左右の前支柱管24,26は、図2からも見てとれるように、中間部がベース枠体23の前端位置よりも前方に若干突出し、中間部から上の部分が徐々に後方に向かって湾曲した弓状に形成されている。前支柱管24,26の上下の管端開口部は、上端が上梁管28,29の管端開口部に、下端がベース管23c,23dの管端開口部にそれぞれ突き合わされて配管状に接続されている。これにより、前支柱管24,26及び上梁管28,29の内部は、図1に示すように、配管形状に応じた長さと断面の通気管路T1,T2が形成されている。
【0018】
左右の通気管路T1,T2の下端部には、対応するベース管23c,23dの下板を切除してなる開口部33,34が設けられており、該開口部33,34を介して左右の通気管路T1,T2がそれぞれ外部に開放されている。そして、一方の開口部33には、通気管路T1に空気の流れを作るファン、すなわち、左前支柱管24の開口部33から内気を排出させる排気ファン35が設けられている。他方の開口部34には、通気管路T2に空気の流れを作るファン、すなわち、右前支柱管26の開口部34から外気を吸入させる吸気ファン36が設けられている。
【0019】
ファン35,36は、図6にも示すように、複数枚の羽根35a,36aを回転駆動させる電動式の小型送風機である。骨組構造15の前端下部に組み込まれた各ファン35,36は、杭打機11の旋回軸PVと近い位置にある動力部(エンジンや油圧機器)から離した熱影響の少ない位置に配され、一方の開口部34から外の空気を吸入させ、あるいは、他方の開口部33から運転室S内の空気を排出させる。すなわち、上部旋回体13の右側前部にキャブ14を搭載した本実施形態の杭打機11では、吸気ファン36及び排気ファン35のうち、吸気ファン36の位置が、前後左右の支柱管24,25,26,27のうち、旋回軸PVから最も遠くに位置した右前支柱管26に設定され、排気ファン35の位置が、2番目に遠くに位置した左前支柱管24に設定されている。
【0020】
左右の上梁管28,29は、ベース枠体23の半分程度の長さを有し、内側面には、通気管路T1,T2と運転室Sとを連通する通気口37,38が設けられている。これらの通気口37,38は、着座したオペレータの頭上付近に位置して互いに対面配置され、それぞれに換気用のレジスタ39,40が取り付けられている。
【0021】
レジスタ39,40は、図5に示すように、通気口37,38を開閉することが可能なプッシュ式の換気レジスタであって、内部に空気清浄用フィルタが組み込まれており、非使用時には閉じられている。また、レジスタ39,40のプッシュ可動部39a,40aには、図示は省略するが、開き動作と連動して左右対応する側のファン35,36をそれぞれ作動させるスイッチ(ON/OFFスイッチ)が設けられている。
【0022】
このように形成された杭打機11のキャブ14は、窓を閉めた状態において、以下の手順で運転室Sの換気が行われる。まず、右側にあるレジスタ40のプッシュ可動部40aを開き位置に操作すると、図1に示すように、吸気ファン36が作動してその吸引力によって通気管路T2内に矢印Aの流れが作られる。ここで、右前支柱管26の開口部34から取り込まれた外気は、通気管路T2内を上昇して後方へと運ばれ、右上梁管29の通気口38からレジスタ40を通った清浄な空気として運転室Sに送出される。
【0023】
これにより、運転室Sには、矢印Bのような上方から下方への緩やかな気流が発生する。そして、運転室Sの下部空間に滞留している湿った暖かい空気は、室内に取り入れた外気に押されてベース枠体23の換気孔32から抜け出し、矢印Cの流れとなって外部へ放出される。こうして、給気用のレジスタ40のみを開いた状態にすることで、運転室Sの中と外の空気が徐々に入れ替えられる。
【0024】
続いて、前記レジスタ40を開いた状態から、左側にあるレジスタ39のプッシュ可動部39aを開き位置に操作すると、排気ファン35が作動してその吸引力によって通気管路T1内に矢印Dの流れが作られる。ここで、左上梁管28の通気口37から取り込まれた室内の空気は、通気管路T1内を前方へと導かれていき、最終的には、左前支柱管24の開口部33から外部へ放出される。こうして、給気用のレジスタ40と排気用のレジスタ39とを両方開いた状態にすることで、運転室Sの中と外の空気が速やかに入れ替えられる。
【0025】
このように、本発明の建設機械のキャブ14によれば、運転室Sを画成する骨組構造15において支柱管24,26と梁管28,29とを配管状に接続してなる通気管路T1,T2を形成し、支柱管24,26に気流生成用のファン35,36を、梁管28,29に通気管路T1,T2と運転室Sとを連通する通気口37,38をそれぞれ設けているので、専用のダクトを設けることなく室内の換気に必要な気流の経路を確保することができる。すなわち、既設の中空管材を利用した簡単な換気構造で室内の温度上昇を抑えることが可能なキャブ14が達成される。しかも、運転室Sの上部に位置した通気口37,38によってオペレータに清涼感を与える気流が到達しやすくなり、さらには、上下方向の通気管路T1,T2を有する支柱管24,26によって下向きの開口部33,34が得られ、雨水や騒音などの侵入対策を講じる必要もないことから、安価で実用性に優れたものである。
【0026】
また、通気口37,38に取り付けたレジスタ39,40が開き動作と連動してファン35,36を作動させるスイッチを備えているので、レジスタ39,40を開くだけの簡単な操作で即座に換気運転が開始され、退室時などの換気が不要なときには閉じてファン35,36を停止させればよいことから、室内の状況に応じた適切な換気を行うことができる。
【0027】
さらに、気流生成用のファンが吸気ファン36であれば、前後左右の支柱管24,25,26,27のうち、上部旋回体13の旋回軸PVから最も遠くに位置した支柱管26に設けることで、動力部の発熱を無用に取り込んでしまう不具合をなくすことができる。すなわち、換気に適した外部の冷涼な空気を取り込むことが可能となり、室内に供給される空気をより心地よいものにすることができる。
【0028】
加えて、気流生成用のファンが吸気ファン36と排気ファン35とからなれば、室内の空気循環を促進させることが可能となり、換気を積極的に行うことができる。とりわけ、排気ファン35と吸気ファン36とを左側の支柱管24と右側の支柱管26とにそれぞれ分離して設けることで、キャブ幅分の広い間隔が確保され、一方の開口部33から放出された空気がそのまま他方の開口部34に吸い込まれるといったショートサーキット現象を防止することができる。この場合、吸気ファン36を旋回軸PVから最も遠くに位置した支柱管26に、排気ファン35を2番目に遠くに位置した支柱管24にそれぞれ設けることで、換気構造の最適化が図れ、エネルギーロスの少ない空気環境を実現することができる。
【0029】
なお、本発明は、建設機械として杭打機を例示したが、これに限られず、アースドリルやクレーンなど、掘削装置や荷役装置を備えた各種建設機械のキャブに適用することができる。この場合、骨組構造の中空管材を利用した通気路により、キャブ内の省スペース化が図れるため、搭載部品や油圧・電気回路などを含めた全体的な設計の自由度が広がり、モデルチェンジや新型開発を円滑に進めることが可能となる。
【符号の説明】
【0030】
11…杭打機、12…下部走行体、13…上部旋回体、14…キャブ、15…骨組構造、16…リーダ、17…旋回フレーム体、17a…フロアフレーム、18…フロントウインドウ、19…ドア、20…ルーフパネル、21…サイドパネル、22…ハウス、23…ベース枠体、23a,23b,23c,23d…ベース管、24…左前支柱管、25…左後支柱管、26…右前支柱管、27…右後支柱管、28…左上梁管、29…右上梁管、30…アングル支柱、31…横梁管、32…換気孔、33,34…開口部、35,36…ファン、35a,36a…羽根、37,38…通気口、39,40…レジスタ、39a,40a…プッシュ可動部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7