(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022188549
(43)【公開日】2022-12-21
(54)【発明の名称】衣料用ハンガー
(51)【国際特許分類】
A47G 25/30 20060101AFI20221214BHJP
【FI】
A47G25/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021096668
(22)【出願日】2021-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】508099438
【氏名又は名称】今澤 治
(74)【代理人】
【識別番号】110000958
【氏名又は名称】弁理士法人インテクト国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100120237
【弁理士】
【氏名又は名称】石橋 良規
(72)【発明者】
【氏名】今澤 治
【テーマコード(参考)】
3K099
【Fターム(参考)】
3K099AA04
3K099BA03
3K099CA01
3K099CA49
3K099CB33
3K099DA13
(57)【要約】
【課題】より容易に衣類を掛けることができるとともに、簡便な構造で製造コストを抑制することができる滑落防止手段を有する衣類用ハンガーを提供する。
【解決手段】フック部と、該フック部の下端からそれぞれ左右方向に延設する一対の肩支持部と、該一対の肩支持部の端部同士を連結する連結部とを有する衣料用ハンガーであって、前記フック部の下端には、前記連結部に向かって延びる保持部が形成され、前記肩支持部及び前記連結部は、前記肩支持部に衣料が掛けられた際に前記保持部に向かって変形する合成樹脂によって形成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フック部と、該フック部の下端からそれぞれ左右方向に延設する一対の肩支持部と、該一対の肩支持部の端部同士を連結する連結部とを有する衣料用ハンガーであって、
前記フック部の下端には、前記連結部に向かって延びる保持部が形成され、前記肩支持部及び前記連結部は、前記肩支持部に衣料が掛けられた際に前記保持部に向かって変形する合成樹脂によって形成されることを特徴とする衣料用ハンガー。
【請求項2】
請求項1に記載の衣料用ハンガーにおいて、
前記保持部は、前記フック部の下端から延びる基部と、前記連結部と当接可能な当接部とを有し、前記基部及び前記当接部は通し口を有することを特徴とする衣料用ハンガー。
【請求項3】
請求項2に記載の衣料用ハンガーにおいて、
前記当接部は、前記連結部と当接する面が前記連結部の変形に対応して湾曲していることを特徴とする衣料用ハンガー。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の衣料用ハンガーにおいて、
前記肩支持部と前記連結部の連絡部には、補強リブが形成されることを特徴とする衣料用ハンガー。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の衣料用ハンガーにおいて、
前記肩支持部は、前記フック部よりも幅広に形成されることを特徴とする衣料用ハンガー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣服を掛けることができる衣料用ハンガーに係り、特に、ジャケットとズボンとを掛けた際に、ズボンのずれ落ちを防止することができる衣料用ハンガーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ジャケットやズボン並びにスカートなどを掛ける衣料用ハンガーにおいて、ズボンなどが滑り落ちることを防止する滑落防止手段を有する衣料用ハンガーが知られている。
【0003】
このような衣料用ハンガーの滑落防止手段は、特許文献1に記載されているように、掛けられた前記衣類を下方から支持するために水平に保持される棒状のロッド部と、上部のフック部により懸架されるとともに、前記ロッド部の両端を一対の支持部材を介して保持するハンガー本体と、前記ロッド部によって前記ロッド部の上方に、前記ロッド部の軸方向と平行となるように支持され、掛けられた前記衣類の幅に相当する長さを有する緩曲面部材と、前記一対の支持部材によって前記緩曲面部材の上方において前記軸方向と平行になるように支持されるとともに、弾性体の復元力によって前記緩曲面部材の上面に押圧される把持部材とを備え、前記緩曲面部材の前記軸方向と直交する断面における水平方向の外径は、前記ロッド部の同水平方向の外径よりも大きく、前記緩曲面部材の表面の曲率は前記ロッド部の曲率よりも大きく形成されている。
【0004】
このような衣料用ハンガーによれば、掛止桟である棒状のロッド部の上方に緩曲面部材を取付けて、把持部材が、その弾性体の復元力によって緩曲面部材の上面に押しつけられて、掛止された衣類が把持される。このとき、緩曲面部材の外径(幅)がロッド部の外径(太さ)よりも大きく形成されていることから、衣類は緩曲面部材の上面に緩やかに引っ掛けられて、把持部材により押さえられるため、引っ掛けられた衣類の折り返し部分にロッド部が食い込んで、衣類に痕が残ってしまうのを防止できる。
【0005】
また、特許文献2に記載された衣料用ハンガーは、上部が鉤状に湾曲したフック部と、中央部を前記フック部の下部に連結して左右に拡がり衣服の肩部を掛けることをできる部分を持つ肩掛部と、前記肩掛部の下方に位置し前記肩掛部に端部を連結し水平に伸びた棒状部である横桟部と、前記横桟部と前記肩掛部とに挟まれて位置し前記横桟部に沿って伸びた棒状部である挟み棒部と、上端部を前記肩掛部に屈曲可能に連結し下端部を前記挟み棒部に屈曲可能に連結し中間部が屈曲可能になった1対の連結部と、1対の前記連結部の前記中間部の離間距離を変化させることをできる固定部と、を備え、衣服が前記挟み棒部と前記横桟部とに挟まれた姿勢で、前記固定部が前記離間距離を所定の距離に固定することができるように構成されている。
【0006】
このような衣料用ハンガーによれば、フック部の上部が鉤状に湾曲し、肩掛部が中央部を前記フック部の下部に連結して左右に拡がり衣服の肩部を掛けることをできる部分を持ち、横桟部が前記肩掛部の下方に位置し前記肩掛部に端部を連結し水平に伸びた棒状部であり、挟み棒部が前記横桟部と前記肩掛部とに挟まれて位置し前記横桟部に沿って伸びた棒状部であり、1対の連結部が上端部を前記肩掛部に屈曲可能に連結し下端部を前記挟み棒部に屈曲可能に連結し中間部が屈曲可能になり、固定部が1対の前記連結部の前記中間部の離間距離を変化させて、衣服が前記挟み棒部と前記横桟部とに挟まれた姿勢で、前記固定部が前記離間距離を所定の距離に固定することをできるので、衣服の上衣を肩掛部に掛けることをでき、前記挟み棒と前記横桟部とに挟んだ衣服がずり落ちない様にすることをできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実用新案登録第3206796号公報
【特許文献2】特開2006-223499号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来の衣料用ハンガーの滑落防止手段は、把持部材や連結部の操作を必要とすることから、ズボン等を把持するための操作が煩雑であり、より操作性の高い滑落防止手段が求められていた。
【0009】
また、従来の滑落防止手段は、構造が複雑で製造コストを抑制することが難しいという問題があった。
【0010】
そこで、本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、より容易に衣類を掛けることができるとともに、簡便な構造で製造コストを抑制することができる滑落防止手段を有する衣類用ハンガーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る衣類用ハンガーは、フック部と、該フック部の下端からそれぞれ左右方向に延設する一対の肩支持部と、該一対の肩支持部の端部同士を連結する連結部とを有する衣料用ハンガーであって、前記フック部の下端には、前記連結部に向かって延びる保持部が形成され、前記肩支持部及び前記連結部は、前記肩支持部に衣料が掛けられた際に前記保持部に向かって変形する合成樹脂によって形成されることを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る衣料用ハンガーにおいて、前記保持部は、前記フック部の下端から延びる基部と、前記連結部と当接可能な当接部とを有し、前記基部及び前記当接部は通し口を有すると好適である。
【0013】
また、本発明に係る衣料用ハンガーにおいて、前記当接部は、前記連結部と当接する面が前記連結部の変形に対応して湾曲していると好適である。
【0014】
また、本発明に係る衣料用ハンガーにおいて、前記肩支持部と前記連結部の連絡部には、補強リブが形成されると好適である。
【0015】
また、本発明に係る衣料用ハンガーにおいて、前記肩支持部は、前記フック部よりも幅広に形成されると好適である。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る衣料用ハンガーは、フック部の下端には、連結部に向かって延びる保持部が形成され、肩支持部及び連結部は、肩支持部に衣料が掛けられた際に保持部に向かって変形する合成樹脂によって形成されるので、連結部と保持部との間にズボン等を掛けた後、肩支持部にジャケットなどの上着を掛けることで、該上着の自重によって肩支持部が下方に湾曲し、当該肩支持部の湾曲に伴って、連結部が保持部に向かって凸となるように湾曲する。この時、連結部と保持部によって連結部に掛けられたズボン等を把持することでズボン等の滑落を防止することができる。このような構成によれば、簡便な構造でしかも、上着を掛けるだけでズボン等の滑落を防止することができるため、その操作性が良好な衣料用ハンガーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施形態に係る衣料用ハンガーの正面図。
【
図2】本発明の実施形態に係る衣料用ハンガーの斜視図。
【
図3】本発明の実施形態に係る衣料用ハンガーにズボンを掛けた状態を示す図。
【
図4】本発明の実施形態に係る衣料用ハンガーに上着を掛けた状態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための好適な実施形態について、図面を用いて説明する。なお、以下の実施形態は、各請求項に係る発明を限定するものではなく、また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0019】
図1は、本発明の実施形態に係る衣料用ハンガーの正面図であり、
図2は、本発明の実施形態に係る衣料用ハンガーの斜視図であり、
図3は、本発明の実施形態に係る衣料用ハンガーにズボンを掛けた状態を示す図であり、
図4は、本発明の実施形態に係る衣料用ハンガーに上着を掛けた状態を示す図である。なお、以下の説明において、
図1の紙面上下方向を上下方向として説明を行う。
【0020】
図1に示すように、本実施形態に係る衣料用ハンガー1は、フック部20と、該フック部20の下端からそれぞれ左右方向に延設する一対の肩支持部10,10と、該一対の肩支持部10,10の端部同士を連結する連結部30とを有する。
【0021】
本実施形態に係る衣料用ハンガー1は、ポリプロピレンなどの合成樹脂で形成されている。また、肩支持部10は、フック部20の下端から緩やかに下方に傾斜しており、連結部30は中央部が上方に向かって突出するような弓形形状に形成され、肩支持部10および連結部30によって、概略三角形状の衣料用ハンガー本体を形成している。
【0022】
また、
図2に示すように、肩支持部10および連結部30は、フック部20に対して、幅広形状に形成されており、フック部20の厚みに対して2倍以上の幅に形成されていると好適であり、より好適には、20mm以上に形成されると好適である。また、肩支持部10および連結部30の厚みは、
図1に示すように、薄く形成されており、好適には、2mm程度に形成されると好適である。
【0023】
このように、肩支持部10および連結部30からなる衣料用ハンガー本体は、概略帯状の部材によって構成されているので、上下方向には変形しやすく、
図2における曲げ方向Mには剛性を有している。
【0024】
また、肩支持部10と連結部30の連絡部には、肩支持部10の内周側に第1の補強リブ51が形成され、連結部30の外周側に第2の補強リブ52が形成されている。このように、本実施形態に係る衣料用ハンガー1は、第1の補強リブ51および第2の補強リブ52からなる補強リブを備えているので、肩支持部10に上着を掛けた際に、上着の自重により肩支持部10が下方に変形した際に、肩支持部10の変形に伴って、連結部30の中央部が保持部40に向けて凸となるように変形しやすくなるように形成されている。
【0025】
また、フック部20の下端には、連結部30に向かって延びる保持部40が形成されており、保持部40は、フック部20の下端と連絡する基部41と連結部30が変形した場合に当該変形した連結部30と当接可能な当接部42とを有している。なお、肩支持部10に衣料を掛けていない状態では、保持部40と連結部30の間には隙間Sが形成されており、当該隙間Sに容易にズボンなどを掛けることができる。
【0026】
基部41および当接部42には、通し口43,44が形成されており、通し口43,44は、ネクタイやマフラーなどを通して掛けることができるように構成されている。
【0027】
また、当接部42は、肩支持部10や連結部30と同様に帯状に形成されており、概略楕円形状に形成されている。さらに、当接部42の連結部30が当接する面は、連結部30が上述した変形によって上側に凸となるような弓形に変形することに対応して、上側に凸となるように湾曲している。この湾曲形状によって、連結部30が変形した際に、当接部42と連結部30とが互いに面接触することができ、連結部30に掛けたズボン等を確実に把持して固定することができるように構成されている。
【0028】
次に、本実施形態に係る衣料用ハンガー1の動作について説明を行う。
図3に示すように、最初に連結部30と保持部40の間の隙間SにズボンAを通し掛ける。その後、
図4に示すように、肩支持部10に上着Bを掛ける。この時、上着Bの自重により、肩支持部10が下方に湾曲するように変形する。肩支持部10の湾曲に伴って、連結部30の中央部が上方に凸となるように弓形に湾曲して保持部40の当接部42に連結部30が当接するように変形する。
【0029】
この時、連結部30と保持部40の間に通し掛けられたズボンAは、連結部30の変形によって、連結部30と保持部40とに挟まれて滑落を防止するように保持される。
【0030】
このように、本実施形態に係る衣料用ハンガー1は、肩支持部10に上着等の衣料を掛けるだけで、上着等の自重によって連結部30を変形させて連結部30と保持部40とで連結部30に掛けたズボンなどの衣料を把持するので、煩雑な操作をすることなく、衣料用ハンガー1に衣料を掛けるだけでズボン等の滑落を防止することができる。
【0031】
また、本実施形態に係る衣料用ハンガー1は、全ての構成要素を合成樹脂で一体に形成しているので、構成を簡素化することができ、製造コストの抑制を図ることが可能となる。
【0032】
なお、上述した本実施形態に係る衣料用ハンガー1は、フック部20を衣料用ハンガー本体と一体に構成した場合について説明を行ったが、フック部20は衣料用ハンガー本体に対して枢動可能に取り付けても構わない。このような種々の変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれうることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0033】
1 衣料用ハンガー, 10 肩支持部, 20 フック部, 30 連結部, 40 保持部, 41 基部, 42 当接部, 43,44 通し口, 51 第1の補強リブ, 52 第2の補強リブ, S 隙間。