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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022188560
(43)【公開日】2022-12-21
(54)【発明の名称】入力装置及び電子機器
(51)【国際特許分類】
   G06F 1/16 20060101AFI20221214BHJP
   G06F 3/0354 20130101ALI20221214BHJP
   H05K 5/02 20060101ALI20221214BHJP
【FI】
G06F1/16 312U
G06F1/16 312E
G06F3/0354 453
H05K5/02 Z
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021096692
(22)【出願日】2021-06-09
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-08-02
(71)【出願人】
【識別番号】505205731
【氏名又は名称】レノボ・シンガポール・プライベート・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉沢 和敏
(72)【発明者】
【氏名】黒澤 一生
【テーマコード(参考)】
4E360
5B087
【Fターム(参考)】
4E360AA02
4E360AB04
4E360AB05
4E360AB17
4E360AB18
4E360AB42
4E360AB51
4E360BB02
4E360BB12
4E360CA02
4E360EA24
4E360EC04
4E360EC14
4E360ED07
4E360ED12
4E360ED13
4E360ED23
4E360ED30
4E360EE20
4E360GA02
4E360GA12
4E360GA52
4E360GB46
4E360GC03
4E360GC06
4E360GC08
4E360GC14
5B087AA04
5B087AE09
5B087BC11
(57)【要約】
【課題】クリック操作時のねじれや撓みを抑制することができる入力装置及び該入力装置を備える電子機器を提供する。
【解決手段】入力装置は、タッチ操作及びクリック操作を受け付ける操作プレートと、操作プレートの下面に固定された基板と、基板の下面に固定された補強材と、基板の下方に配置され、操作プレート及び基板を上下動可能に支持するベース部材と、を備える。補強材は、第1端部プレートと、第2端部プレートと、第1端部プレートと第2端部プレートとの間に設けられ、折り畳まれて積層された金属プレートで構成されたベースプレートと、を有する。
【選択図】図6B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力装置であって、
タッチ操作及びクリック操作を受け付ける操作プレートと、
前記操作プレートの下面に固定され、前記操作プレートに対する入力を検出する基板と、
前記基板の下面に固定され、前記基板の一辺に沿って延びた補強材と、
前記基板の下方に配置され、前記操作プレート及び前記基板を上下動可能に支持するベース部材と、
を備え、
前記補強材は、
金属プレートで構成された第1端部プレートと、
金属プレートで構成された第2端部プレートと、
前記第1端部プレートと前記第2端部プレートとの間に設けられ、折り畳まれて積層された金属プレートで構成されたベースプレートと、
を有する
ことを特徴とする入力装置。
【請求項2】
請求項1に記載の入力装置であって、
前記補強材の長手方向に直交する幅方向において、前記第1端部プレート及び前記第2端部プレートは、前記ベースプレートよりも幅広である
ことを特徴とする入力装置。
【請求項3】
請求項2に記載の入力装置であって、
前記幅方向において、前記第1端部プレート及び前記第2端部プレートは、前記ベースプレートに設けられた折曲部と逆方向に突出している
ことを特徴とする入力装置。
【請求項4】
入力装置であって、
タッチ操作及びクリック操作を受け付ける操作プレートと、
前記操作プレートの下面に固定され、前記操作プレートに対する入力を検出する基板と、
前記基板の下面に固定され、前記基板の一辺に沿って延びた補強材と、
前記基板の下方に配置され、前記操作プレート及び前記基板を上下動可能に支持するベース部材と、
を備え、
前記補強材は、
第1端部プレートと、
第2端部プレートと、
前記第1端部プレートと前記第2端部プレートとの間に設けられ、前記第1端部プレート及び前記第2端部プレートよりも厚いベースプレートと、
を有し、
前記補強材の長手方向に直交する幅方向において、前記第1端部プレート及び前記第2端部プレートは、前記ベースプレートよりも幅広である
ことを特徴とする入力装置。
【請求項5】
請求項4に記載の入力装置であって、
前記第1端部プレート、前記第2端部プレート、及び前記ベースプレートは、同一の金属プレートで構成され、
前記ベースプレートは、前記金属プレートが折り畳まれて積層されている
ことを特徴とする入力装置。
【請求項6】
電子機器であって、
筐体と、
前記筐体の表面に臨んで設けられた入力装置と、
を備え、
前記入力装置は、
タッチ操作及びクリック操作を受け付ける操作プレートと、
前記操作プレートの下面に固定され、前記操作プレートに対する入力を検出する基板と、
前記基板の下面に固定され、前記基板の一辺に沿って延びた補強材と、
前記基板の下方に配置され、前記操作プレート及び前記基板を上下動可能に支持するベース部材と、
を有し、
前記補強材は、
金属プレートで構成された第1端部プレートと、
金属プレートで構成された第2端部プレートと、
前記第1端部プレートと前記第2端部プレートとの間に設けられ、折り畳まれて積層された金属プレートで構成されたベースプレートと、
を有する
ことを特徴とする電子機器。
【請求項7】
電子機器であって、
筐体と、
前記筐体の表面に臨んで設けられた入力装置と、
を備え、
前記入力装置は、
タッチ操作及びクリック操作を受け付ける操作プレートと、
前記操作プレートの下面に固定され、前記操作プレートに対する入力を検出する基板と、
前記基板の下面に固定され、前記基板の一辺に沿って延びた補強材と、
前記基板の下方に配置され、前記操作プレート及び前記基板を上下動可能に支持するベース部材と、
を有し、
前記補強材は、
第1端部プレートと、
第2端部プレートと、
前記第1端部プレートと前記第2端部プレートとの間に設けられ、前記第1端部プレート及び前記第2端部プレートよりも厚いベースプレート と、
を有し、
前記補強材の長手方向に直交する幅方向において、前記第1端部プレート及び前記第2端部プレートは、前記ベースプレートよりも幅広である
ことを特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチ操作及びクリック操作を受付可能な入力装置及び該入力装置を備える電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
ノート型PCのような電子機器は、キーボード装置と共にタッチパッド等の入力装置を備えている。本出願人は特許文献1において、タッチ操作及びクリック操作を可能とした構成、いわゆるクリックパッドを提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6271671号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1の入力装置は、タッチ操作及びクリック操作を受け付ける操作プレートの下面に検出用の基板が固定され、基板の下面には金属製の補強材が固定されている。この入力装置は、このような構成により、操作プレートの左右端部がクリックされた場合であってもねじれや撓みが抑制できる。
【0005】
近年、上記のような電子機器の筐体は、奥行寸法を縮小させつつ左右寸法を拡大する傾向があり、当然、さらなる薄型化に対する要望もある。このため、クリックパッドのような入力装置についても、奥行寸法を縮小しつつ左右寸法を拡大し、同時に薄型化にも対応できることが求められている。つまり入力装置は、操作プレート及び基板の横幅が拡大し、クリック時のねじれや撓みが一層増大する傾向にある。このため、補強材についても、横長の入力装置に円滑に搭載でき、さらに剛性も向上できる構造が求められている。
【0006】
本発明は、上記従来技術の課題を考慮してなされたものであり、クリック操作時のねじれや撓みを抑制することができる入力装置及び該入力装置を備える電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1態様に係る入力装置は、タッチ操作及びクリック操作を受け付ける操作プレートと、前記操作プレートの下面に固定され、前記操作プレートに対する入力を検出する基板と、前記基板の下面に固定され、前記基板の一辺に沿って延びた補強材と、前記基板の下方に配置され、前記操作プレート及び前記基板を上下動可能に支持するベース部材と、を備え、前記補強材は、金属プレートで構成された第1端部プレートと、金属プレートで構成された第2端部プレートと、前記第1端部プレートと前記第2端部プレートとの間に設けられ、折り畳まれて積層された金属プレートで構成されたベースプレートと、を有する。
【0008】
本発明の第2態様に係る入力装置は、タッチ操作及びクリック操作を受け付ける操作プレートと、前記操作プレートの下面に固定され、前記操作プレートに対する入力を検出する基板と、前記基板の下面に固定され、前記基板の一辺に沿って延びた補強材と、前記基板の下方に配置され、前記操作プレート及び前記基板を上下動可能に支持するベース部材と、を備え、前記補強材は、第1端部プレートと、第2端部プレートと、前記第1端部プレートと前記第2端部プレートとの間に設けられ、前記第1端部プレート及び前記第2端部プレートよりも厚いベースプレートと、を有し、前記補強材の長手方向に直交する幅方向において、前記第1端部プレート及び前記第2端部プレートは、前記ベースプレートよりも幅広である。
【0009】
本発明の第3態様に係る電子機器は、筐体と、前記筐体の表面に臨んで設けられた入力装置と、を備え、前記入力装置は、タッチ操作及びクリック操作を受け付ける操作プレートと、前記操作プレートの下面に固定され、前記操作プレートに対する入力を検出する基板と、前記基板の下面に固定され、前記基板の一辺に沿って延びた補強材と、前記基板の下方に配置され、前記操作プレート及び前記基板を上下動可能に支持するベース部材と、を有し、前記補強材は、金属プレートで構成された第1端部プレートと、金属プレートで構成された第2端部プレートと、前記第1端部プレートと前記第2端部プレートとの間に設けられ、折り畳まれて積層された金属プレートで構成されたベースプレートと、を有する。
【0010】
本発明の第4態様に係る電子機器は、電子機器であって、筐体と、前記筐体の表面に臨んで設けられた入力装置と、を備え、前記入力装置は、タッチ操作及びクリック操作を受け付ける操作プレートと、前記操作プレートの下面に固定され、前記操作プレートに対する入力を検出する基板と、前記基板の下面に固定され、前記基板の一辺に沿って延びた補強材と、前記基板の下方に配置され、前記操作プレート及び前記基板を上下動可能に支持するベース部材と、を有し、前記補強材は、第1端部プレートと、第2端部プレートと、前記第1端部プレートと前記第2端部プレートとの間に設けられ、前記第1端部プレート及び前記第2端部プレートよりも厚いベースプレート と、を有し、前記補強材の長手方向に直交する幅方向において、前記第1端部プレート及び前記第2端部プレートは、前記ベースプレートよりも幅広である。
【発明の効果】
【0011】
本発明の上記態様によれば、クリック操作時のねじれや撓みを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、一実施形態に係る入力装置を備えた電子機器の斜視図である。
図2図2は、一実施形態に係る入力装置の構成を模式的に示す側面断面図である。
図3図3は、図2に示す入力装置の模式的な正面図である。
図4図4は、図2に示す入力装置の分解斜視図である。
図5A図5Aは、ハウジングプレート及び補強材の平面図である。
図5B図5Bは、基板及び補強材の下面図である。
図6A図6Aは、補強材を上から見た斜視図である。
図6B図6Bは、補強材を下から見た斜視図である。
図7A図7Aは、図6Aに示す補強材の要部拡大図である。
図7B図7Bは、図6Bに示す補強材の要部拡大図である。
図8A図8Aは、ベースプレートを形成する前の状態での金属プレートの展開図である。
図8B図8Bは、図8Aに示す状態から金属プレートを折り畳んでベースプレートを形成した状態を示す図である。
図9A図9Aは、変形例に係る補強材を形成する前の状態での金属プレートの展開図である。
図9B図9Bは、図9Aに示す状態から金属プレートを折り畳んでベースプレートを形成した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る入力装置について、この入力装置を備える電子機器との関係で好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0014】
図1は、一実施形態に係る入力装置10を備えた電子機器12の斜視図である。以下、電子機器12の筐体14及びこれに搭載された入力装置10について、図1に示す電子機器12の使用状態を基準とし、手前側を前、奥側を後、厚み方向を上下、幅方向を左右と呼んで説明する。
【0015】
電子機器12は、入力装置10及びキーボード装置16を有する筐体14と、ディスプレイ17を有するディスプレイ筐体18とを備えたクラムシェル型のノート型PCである。ディスプレイ筐体18は、左右一対のヒンジ19により筐体14に対して相対的に回動可能に連結されている。
【0016】
筐体14の内部には、マザーボード、CPU(Central Processing Unit)、SSD(Solid State Drive)、メモリ等の各種電子部品が収納されている。入力装置10及びキーボード装置16は、筐体14の上面(表面14a)上で前後に並んでいる。キーボード装置16の略中央には、マウスの代わりとして操作可能なポインティングスティック20が設けられている。
【0017】
次に、入力装置10の構成を説明する。図2は、一実施形態に係る入力装置10の構成を模式的に示す側面断面図である。図3は、図2に示す入力装置10の模式的な正面図である。図4は、図2に示す入力装置10の分解斜視図である。図2及び図3は、入力装置10の前後又は左右の長さに対して、上下の厚みを大きく誇張して図示している。
【0018】
入力装置10は、マウスの代わりとなるものであり、ディスプレイ17に表示されるカーソル(マウスポインタ)を操作することができる。図2図4に示すように、入力装置10は、筐体14の表面14aに臨む入力モジュール22と、入力モジュール22を支持するベース部材24とを備える。入力装置10は、タッチ操作とクリック操作とに対応した、いわゆるクリックパッドと呼ばれる装置である。タッチ操作は、入力モジュール22の表面(操作面22a)に指先等を接近又は接触させることによって行う。クリック操作は、操作面22aを指先等で押し、入力モジュール22を押し下げることによって行う。
【0019】
入力モジュール22の操作面22aには、例えば疑似ボタン領域が複数設定される。各疑似ボタン領域は、操作面22a上でのそれぞれの領域が座標で定義されたものであり、視認できるものではない。疑似ボタン領域は、例えば一般的なマウスでの左ボタンや右ボタンに対応する。各疑似ボタン領域のいずれかに指先を接触させた状態で入力モジュール22をクリック操作すると、その疑似ボタン領域に対応した処理や表示が行われる。
【0020】
図2図4に示すように、入力モジュール22は、ベース部材24の上面側で回動可能に支持されている。入力モジュール22は、ベース部材24側(下)から上に向かって順に、ハウジングプレート26と、基板28と、操作プレート30とを積層した3層構造の部品である。
【0021】
ハウジングプレート26は、入力モジュール22の底板である。ハウジングプレート26は、ベース部材24の上面との間に所定の隙間を有して対向する。ハウジングプレート26は、平面視矩形状の樹脂プレートであり、前側面に立壁が形成されている。ハウジングプレート26は、基板28及び操作プレート30を保持している。
【0022】
基板28は、ハウジングプレート26の上面26aに積層されている。基板28は、平面視矩形状の薄いプレートである。基板28は、操作プレート30と略同一の外形に構成され(図4参照)、操作プレート30の下面30aに固定されている。基板28は、操作面22aへの入力(タッチ操作及びクリック操作)を検出するセンサである。基板28は、ハウジングプレート26の上面26aに接着剤や両面テープ等によって固着される。基板28は、所定の配線を用いて筐体14内のマザーボード等に接続される。
【0023】
操作プレート30は、基板28の上面に積層され、その表面がタッチ操作及びクリック操作を受け付ける操作面22aとなる。操作プレート30は、平面視矩形状に形成された樹脂やガラスのプレートである。操作プレート30の下面30aと基板28の上面とは接着剤や両面テープ等によって固着される。
【0024】
ハウジングプレート26の後端側には、後方に向かって延びた弾性片32が左右に複数(例えば4個)並設されている(図5Aも参照)。弾性片32は、その左右両側部及び後部を板厚方向に切り欠いて狭幅舌片状に形成されることで、ある程度の弾性を有した片持ち構造の部分である。弾性片32の先端(後端)には、下方に湾曲した爪部32aが設けられている(図2参照)。弾性片32は、基板28の下面に対して固着されず、少なくとも爪部32aが基板28との間に所定の隙間を設けて配設される。爪部32aは、その上面と基板28の下面との間にベース部材24の上面を切り起こした突出片34を挟み込む。
【0025】
ハウジングプレート26の前端側には、ラッチ部36が左右一対設けられている。ラッチ部36は平面視略V字形状である。ラッチ部36は、ベース部材24の上面で断面L字状に起立形成されたフック38に係合される。ラッチ部36及びフック38は、ベース部材24に対してハウジングプレート26を重ねる方向に結合する機能を有し、さらに入力モジュール22の上昇限度を規定すると同時に上方への抜け止めとしても機能する。
【0026】
ハウジングプレート26は、各弾性片32の爪部32aがベース部材24の各突出片34に対してそれぞれ回動可能に係合される(図2参照)。これにより、爪部32aと突出片34の係合部分を支点とし、ハウジングプレート26(入力モジュール22)がベース部材24に対して回動可能(上下動可能)に支持される。この際、爪部32aは、ベース部材24の上面で弾性変位可能に突出した弾性押圧部40によって押圧され、突出片34と弾性押圧部40との間に確実に挟持される。弾性押圧部40は、その左右両側部及び後部を板厚方向に切り欠いて狭幅舌片状に形成されることで、ある程度の弾性を有して後方へと延びた片持ち構造の板ばね状部材である。
【0027】
基板28は、下面28aの左右中央の前端付近に検出スイッチ42が配設されている(図5B参照)。検出スイッチ42は、入力モジュール22がクリック操作された際に所定の検出信号を発信するものである。検出スイッチ42は、例えば基板28の下面28aから下に向かって膨らんだメタルドームスイッチである。ハウジングプレート26の左右中央の前端付近には、弾性を有するスイッチ押圧部42aが設けられている(図4及び図5A参照)。検出スイッチ42は、スイッチ押圧部42aの上面に当接している。入力モジュール22は、クリック操作されるとスイッチ押圧部42aがベース部材24に押し付けられる。そうすると検出スイッチ42がスイッチ押圧部42aによって押圧されてオンされ、そのオン信号が基板28によって検出される。
【0028】
このような入力装置10は、入力モジュール22がクリック操作されると、入力モジュール22は各爪部32aと各突出片34との係合部分を回動支点とし、ベース部材24上で前端側が下方へと移動しつつ回動(上下動)する。これにより、ハウジングプレート26の前端側下面に設けられた検出スイッチ42がオンされる。このように、左右方向に一列に並んだ各爪部32aと各突出片34との係合部分が、入力モジュール22の回動軸となる。
【0029】
このように、入力モジュール22は薄型且つ幅広に構成されているにも関わらず、上下動可能なスイッチ構造を有する。このため、入力装置10は、操作面22aの左右端部等がクリック操作を受けた場合に入力モジュール22がねじれや撓みを生じ、円滑な上下動が妨げられる可能性がある。特に、本実施形態の入力装置10は、入力モジュール22の左右幅寸法が120mm以上であり、従来のクリックパッドの幅寸法100mm程度に対して相当に大きく、ねじれや撓みを一層生じ易い。
【0030】
そこで、本実施形態に係る入力装置10は、基板28の下面28aに補強材44を設けることで、クリック操作時の入力モジュール22のねじれや撓みを抑制する。
【0031】
なお、図3に示すように、入力モジュール22の下面、つまりハウジングプレート26の下面26bは、正面視で下面中央部が下に突出した皿状の湾曲形状を有する。本実施形態の入力モジュール22は、上記の通り、左右幅寸法が従来構成に比べて相当に大きいため、左右端部が押し下げられた際の入力モジュール22の撓みを完全になくすことは難しい。そこで、本実施形態の入力モジュール22は、左右端部を中央部よりも薄く形成している。これにより入力モジュール22は、左右端部がクリックされた際、下面26bの左右中央にあるスイッチ押圧部42a(検出スイッチ42)がオンされる前に下面26bがベース部材24に底打ちし、検出スイッチ42が正常に押せなくなることを防止している。なお、下面26bは、湾曲形状ではなく、下向きの凸形状として左右両端を中央よりも薄く構成することで、上記した底打ちは抑制してもよい。
【0032】
補強材44の具体的な構成例を説明する。本実施形態の補強材44は、上記のように左右両端が中央よりも薄い構造の入力モジュール22に対しても円滑に搭載可能且つ高い剛性を発生可能な構造を採用している。図5Aは、ハウジングプレート26及び補強材44の平面図である。図5Bは、基板28及び補強材44の下面図である。図6Aは、補強材44を上から見た斜視図である。図6Bは、補強材44を下から見た斜視図である。図7Aは、図6Aに示す補強材44の要部拡大図である。図7Bは、図6Bに示す補強材44の要部拡大図である。
【0033】
図4図6Bに示すように、補強材44は、入力モジュール22の長辺(前辺)に沿って延在するように配置される。補強材44は、ステンレスやスチール等の金属製の薄いプレートを平面視略U字の棒状に形成したものである。ハウジングプレート26の上面26aの前端部には、左右方向に延在する凹部26cが形成されている。補強材44は、基板28の下面28aに固定され、凹部26c内に嵌め込まれる。補強材44は、例えば接着剤や両面テープ等を用いて基板28の下面28aに固定される。ハウジングプレート26が凹部26cを有することで、補強材44はハウジングプレート26と基板28との間で容易に且つ確実に位置決めすることができ、また補強材44が入力モジュール22の厚みに影響を与えることもない。
【0034】
図6A図7Bに示すように、補強材44は、ベースプレート44aと、第1端部プレート44bと、第2端部プレート44cとを有する。これらプレート44a~44cは、1枚の金属プレート46によって一体に構成されている。
【0035】
図6B中に楕円の1点鎖線で拡大した断面は、ベースプレート44aの縦断面を示している。ベースプレート44aは、1枚の金属プレート46を二つ折りに折り畳むことで、2枚の金属プレート46a,46bを積層した構造となっている。ベースプレート44aは、例えばヘミング加工によって金属プレート46を折り曲げている。図中の参照符号46cは、金属プレート46a、46b間の折曲部を示す。図6A図7Bに示すように、折曲部46cは、ベースプレート44aの前縁部に形成されている。ベースプレート44aは入力モジュール22の長辺に沿って延在するように配置される。
【0036】
第1端部プレート44bは、補強材44の左端部に設けられている。第2端部プレート44cは、補強材44の右端部に設けられている。端部プレート44b,44cは左右対称形状である。端部プレート44b,44cは、ベースプレート44aの上側の金属プレート46aと同一面に形成されている(図7A及び図7B参照)。これにより補強材44は、各プレート44a~44cの上面が1枚の平面に形成され、基板28の下面28aに確実に密着する。
【0037】
端部プレート44b,44cは、補強材44の長手方向に直交する前後の幅方向において、ベースプレート44aよりも幅広である。端部プレート44b,44cは、ベースプレート44aに対して折曲部46c側とは逆方向、つまり後方に向けて突出している。これにより補強材44は、ベースプレート44aが基板28の前縁部に沿って配置されると、左右両端で後方に突出した端部プレート44b,44cが基板28の左右前角部に納まるように配置される(図5B参照)。
【0038】
本実施形態の基板28及び操作プレート30は、例えば左右幅寸法が120mm程度、前後幅寸法が70mm程度である。これに対して補強材44は、例えばベースプレート44aの前後幅寸法が3.5mm程度、端部プレート44b,44cの前後幅寸法が14mm程度である。また補強材44は、例えばベースプレート44aの左右長さが85mm程度、端部プレート44b,44cの左右長さが14mm程度である。
【0039】
従って、補強材44は、基板28の下面28aの前縁部に効率よく設置され、基板28の下面28aに設けられたグランド(GND)28bや各種コンポーネントの設置スペースを邪魔しない(図5B参照)。また、補強材44は、ハウジングプレート26の上面26aに設けられたスイッチ押圧部42aやラッチ部36の設置スペースを邪魔することもない(図5A参照)。
【0040】
なお、図4中の参照符号48は、ハウジングプレート26とベース部材24との間に介在するスタビライザである。スタビライザ48は、入力モジュール22の左右幅方向での力を一層安定化させ、そのねじれや傾きを抑制する安定器である。
【0041】
図8Aは、ベースプレート44aを形成する前の状態での金属プレート46の展開図である。図8Bは、図8Aに示す状態から金属プレート46を折り畳んでベースプレート44aを形成した状態を示す図である。
【0042】
補強材44の製造方法の一例としては、先ず、所定の板厚(例えば0.5mm)の金属プレートを図8Aに示す形状に加工することで、折曲成形前の金属プレート46を形成する。図8A中の破線Lは、ベースプレート44aの折曲部46cを形成する折曲線である。次に、所定のヘミング加工機を用い、金属プレート46を折曲線Lで折り曲げてベースプレート44aを形成する。これにより図8Bに示すように、補強材44の製造が完了する。
【0043】
本実施形態において、金属プレート46の板厚は、例えば0.5mmである。つまりベースプレート44aの板厚は、金属プレート46の2倍で1mmとなる。一方、端部プレート44b,44cの板厚は、金属プレート46の板厚そのものであり、例えば0.5mmである。このように補強材44は、端部プレート44b,44cに金属プレート46をそのまま使用しているため、0.5mmと極めて薄い構造でありながらもその厚みのコントロールが容易である。また、補強材44は、上記のような折曲可能によってベースプレート44aを形成するため、ベースプレート44aの厚みのコントロールも容易である。
【0044】
以上より、補強材44は、中央部(ベースプレート44a)の板厚が厚く、左右端部(端部プレート44b,44c)の板厚が薄い段付き形状を成している。このため、補強材44は、基板28の下面28aに固定された状態において、左右端部は端部プレート44b,44c分の厚みだけ下方に突出し、中央部にベースプレート44a分の厚みだけ下方に突出する。つまり補強材44は、ハウジングプレート26の下面26bの湾曲形状に沿った状態でハウジングプレート26内に収納できる(図3参照)。
【0045】
これにより補強材44は、入力モジュール22の左右幅及び上下厚みの範囲内で最大限の大きさを確保でき、高い剛性が得られる。その結果、入力装置10は、クリック操作時の入力モジュール22のねじれや撓みが補強材44によって抑制される。しかも補強材44は、ハウジングプレート26の湾曲形状に沿った形状を有することで、入力モジュール22の厚みや他の部品の設置スペースへの影響も最小限である。なお、ベースプレート44aは、2枚の金属プレート46a,46bを折り畳んだ構造ではなく、2枚を重ねて接合した構造等で厚みを増した構成としてもよい。但し、製造効率や剛性を考慮すると折り畳んだ構造の方が折り畳まずに別部品を用いた構成よりも好ましい。
【0046】
補強材44は、左右の端部プレート44b,44cがベースプレート44aよりも前後に幅広に構成されている。このため、端部プレート44b,44cは、例えば0.5mmという薄い板厚で構成しながらも、ベースプレート44aと同様な高い剛性を確保できる。また、端部プレート44b,44cは、基板28の下面28a及びハウジングプレート26の上面26aにおけるデッドスペースとなる前角部を利用して設置できるという利点もある。端部プレート44b,44cは、必要な剛性が確保できれば、ベースプレート44aと同一の前後幅寸法で構成されてもよい。
【0047】
図9Aは、変形例に係る補強材50を形成する前の状態での金属プレート46の展開図である。図9Bは、図9Aに示す状態から金属プレート46を折り畳んでベースプレート50aを形成した状態を示す図である。
【0048】
図9Bに示す補強材50は、図8Bに示す補強材44と比べて折曲部46cの位置が前後逆に構成されたベースプレート50aを備える。図9Aに示すように、補強材50は、ベースプレート50aを形成する前の状態で、折曲線Lが金属プレート46aの後縁にある。このため、図9Bに示す補強材50は、折曲部46cがベースプレート50aの後縁に形成されている。
【0049】
従って、補強材50においても補強材44と同様に高い剛性が得られる。但し、補強材50は、折曲部46cが左右の端部プレート44b,44cの間に挟まれた位置にある。すなわち補強材50は、ベースプレート50aの折曲加工時の施工スペースを確保する必要がある。折曲加工時に左右の端部プレート44b,44cとの干渉を防止する必要があるためである。このため、補強材50は、折り畳まれた金属プレート46bの左右端面と端部プレート44b又は44cの内側の端面との間には、ある程度大きな隙間G1が形成される(図9B参照)。
【0050】
この点、図8A及び図8Bに示す補強材44は、ベースプレート44aの折曲加工時の施工スペースの問題はない。このため、図8Bに示すように、折り畳まれた金属プレート46bの左右端面と端部プレート44b又は44cの内側の端面との間には、微小な隙間G0が形成される。これにより補強材44は、1枚の金属プレート46aのみで形成され、且つ前後の幅寸法が小さい部分(図8B中の幅G0で示す幅狭部分)が、図9Bに示す構成例よりも小さく構成でき、一層高い剛性が得らえる。この隙間G0は、金属プレート46bを端部プレート44b,44cにラップさせてマイナスに形成することもできる。つまり金属プレート46bは、その左右端部が端部プレート44b,44cにオーバーラップした位置まで左右に延ばした構成としてもよい。そうすると、金属プレート46の左右の幅狭部分が2枚の金属プレート46a,46bで積層されるため、補強材44の剛性が一層向上することが期待できる。
【0051】
なお、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。
【0052】
上記では、端部プレート44b,44cを1枚の金属プレートで形成し、ベースプレート44a,50aを2枚の金属プレートの積層体で形成した構成を例示した。しかしながら端部プレートは、金属プレートを折り畳み等で積層した構成としてもよいし、ベースプレートは3枚以上の金属プレートを積層した構成としてもよい。
【0053】
上記では、ノート型PCである電子機器12に対して入力装置10を搭載した構成を例示した。しかしながら、入力装置10はデスクトップ型PC等に接続される単体のキーボード装置等に搭載されてもよい。
【符号の説明】
【0054】
10 入力装置
12 電子機器
14 筐体
16 キーボード装置
22 入力モジュール
24 ベース部材
26 ハウジングプレート
28 基板
30 操作プレート
42 検出スイッチ
44,50 補強材
44a,50a ベースプレート
44b 第1端部プレート
44c 第2端部プレート
46,46a,46b 金属プレート
46c 折曲部
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B