(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022188568
(43)【公開日】2022-12-21
(54)【発明の名称】乗物用シート
(51)【国際特許分類】
B60N 2/68 20060101AFI20221214BHJP
B60N 2/75 20180101ALI20221214BHJP
【FI】
B60N2/68
B60N2/75
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021096705
(22)【出願日】2021-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】森本 恵司
【テーマコード(参考)】
3B087
【Fターム(参考)】
3B087DB02
3B087DC02
(57)【要約】
【課題】アッパフレームの大型化を抑制しつつ、バックフレームの捻じれ剛性を高められる乗物用シートを提供する。
【解決手段】本開示の一態様は、シートクッションと、シートバックと、ヘッドレストと、シートバックを支持するバックフレームとを備える乗物用シートである。バックフレームは、シート幅方向に互いに離れて配置された第1サイドフレーム及び第2サイドフレームと、第1サイドフレームと第2サイドフレームとをシート幅方向に連結する筒状のアッパフレームと、第1サイドフレーム、第2サイドフレーム及びアッパフレームに固定された補強パネルと、ヘッドレストを支持すると共に、アッパフレームと補強パネルとに固定された少なくとも1つのサポートブラケットと、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートクッションと、
シートバックと、
ヘッドレストと、
前記シートバックを支持するバックフレームと、
を備え、
前記バックフレームは、
シート幅方向に互いに離れて配置された第1サイドフレーム及び第2サイドフレームと、
前記第1サイドフレームと前記第2サイドフレームとをシート幅方向に連結する筒状のアッパフレームと、
前記第1サイドフレーム、前記第2サイドフレーム及び前記アッパフレームに固定された補強パネルと、
前記ヘッドレストを支持すると共に、前記アッパフレームと前記補強パネルとに固定された少なくとも1つのサポートブラケットと、
を備える、乗物用シート。
【請求項2】
請求項1に記載の乗物用シートであって、
前記補強パネルは、
前記第1サイドフレームに固定された第1固定部と、
前記第2サイドフレームに固定された第2固定部と、
前記アッパフレームに固定された第3固定部と、
シート幅方向において前記第1固定部及び前記第2固定部に挟まれると共に、少なくとも一部が前記第1固定部及び前記第2固定部よりもシート上方に位置する凹部と、
を有する、乗物用シート。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の乗物用シートであって、
前記補強パネルは、前記補強パネルの前記第1サイドフレームとの固定位置及び前記第2サイドフレームとの固定位置よりもシート前方に突出した突出部を有し、
前記突出部は、
シート前後方向に延伸する第1板部と、
前記第1板部の前端からシート下方に突出する第2板部と、
を有する、乗物用シート。
【請求項4】
請求項3に記載の乗物用シートであって、
前記シートバックは、前記補強パネルのシート後方に配置されたアームレスト用パッドを有し、
前記突出部は、前記アームレスト用パッドに接触することで前記アームレスト用パッドの位置決めをする、乗物用シート。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の乗物用シートであって、
前記補強パネルは、少なくとも一部が前記アッパフレームのシート上方かつシート後方に配置される保護部を有する、乗物用シート。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の乗物用シートであって、
自動車のセンターシートとして用いられる、乗物用シート。
【請求項7】
請求項6に記載の乗物用シートであって、
前記シートバックは、背もたれとして機能するシート位置と、前記シートクッションに重ねられた前倒し位置との間で揺動するように構成されると共に、前記前倒し位置においてアームレストとして機能するアームレスト部を有する、乗物用シート。
【請求項8】
シートクッションと、
シートバックと、
ヘッドレストと、
前記シートバックを支持するバックフレームと、
を備え、
前記バックフレームは、
シート幅方向に互いに離れて配置された第1サイドフレーム及び第2サイドフレームと、
前記第1サイドフレームと前記第2サイドフレームとをシート幅方向に連結するアッパフレームと、
前記第1サイドフレーム、前記第2サイドフレーム及び前記アッパフレームに固定された補強パネルと、
前記ヘッドレストを支持すると共に、前記アッパフレームに固定された少なくとも1つのサポートブラケットと、
を備え、
前記補強パネルは、少なくとも一部が前記アッパフレームのシート上方かつシート後方に配置される保護部を有する、乗物用シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、乗物用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
乗物用シートにおいて、バックフレームのアッパフレームとして筒状のパイプフレームを用いたものが存在する(特許文献1参照)。アッパフレームには、ヘッドレストを支持するブラケットが固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
筒状のアッパフレームを用いたバックフレームにおいて、捻じれ剛性を高めるためには、アッパフレームの板厚又は径を大きくする必要がある。しかし、このようなアッパフレームの大型化は、成形性の低下、重量増加及びコスト上昇を招く。
【0005】
本開示の一局面は、アッパフレームの大型化を抑制しつつ、バックフレームの捻じれ剛性を高められる乗物用シートを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、シートクッション(2)と、シートバック(3)と、ヘッドレスト(4)と、シートバック(3)を支持するバックフレーム(5)と、を備える乗物用シート(1)である。
【0007】
バックフレーム(5)は、シート幅方向に互いに離れて配置された第1サイドフレーム(51)及び第2サイドフレーム(52)と、第1サイドフレーム(51)と第2サイドフレーム(52)とをシート幅方向に連結する筒状のアッパフレーム(53)と、第1サイドフレーム(51)、第2サイドフレーム(52)及びアッパフレーム(53)に固定された補強パネル(54)と、ヘッドレスト(4)を支持すると共に、アッパフレーム(53)と補強パネル(54)とに固定された少なくとも1つのサポートブラケット(55A,55B)と、を備える。
【0008】
このような構成によれば、補強パネル(54)が第1サイドフレーム(51)、第2サイドフレーム(52)及びアッパフレーム(53)に跨って固定されることで、筒状のアッパフレーム(53)の捻じれ剛性が高められる。
【0009】
さらに、サポートブラケット(55A,55B)がアッパフレーム(53)に加えて補強パネル(54)にも固定されることで、乗物の衝突時にヘッドレスト(4)が倒れることが抑制されると共に、サポートブラケット(55A,55B)が剛性部材として機能する。その結果、アッパフレーム(53)の厚み又は径を抑えつつ、バックフレーム(5)の捻じれ剛性を高められる。
【0010】
本開示の一態様では、補強パネル(54)は、第1サイドフレーム(51)に固定された第1固定部(542)と、第2サイドフレーム(52)に固定された第2固定部(543)と、アッパフレーム(53)に固定された第3固定部(544)と、シート幅方向において第1固定部(542)及び第2固定部(543)に挟まれると共に、少なくとも一部が第1固定部(542)及び第2固定部(543)よりもシート上方に位置する凹部(545)と、を有してもよい。このような構成によれば、補強パネル(54)の剛性が高められるため、バックフレーム(5)の捻じれ剛性の向上効果を促進できる。
【0011】
本開示の一態様では、補強パネル(54)は、補強パネル(54)の第1サイドフレーム(51)との固定位置及び第2サイドフレーム(52)との固定位置よりもシート前方に突出した突出部(546)を有してもよい。突出部(546)は、シート前後方向に延伸する第1板部(546A)と、第1板部(546A)の前端からシート下方に突出する第2板部(546B)とを有してもよい。このような構成によれば、補強パネル(54)の剛性が高められるため、バックフレーム(5)の捻じれ剛性の向上効果を促進できる。
【0012】
本開示の一態様では、シートバック(3)は、補強パネル(54)のシート後方に配置されたアームレスト用パッド(32A)を有してもよい。突出部(546)は、アームレスト用パッド(32A)に接触することでアームレスト用パッド(32A)の位置決めをしてもよい。このような構成によれば、補強パネル(54)にアームレスト用パッド(32A)の位置決め機能を持たせることができる。その結果、乗物用シート(1)の部品点数を削減できる。
【0013】
本開示の一態様では、補強パネル(54)は、少なくとも一部がアッパフレーム(53)のシート上方かつシート後方に配置される保護部(547)を有してもよい。このような構成によれば、補強パネル(54)にアッパフレーム(53)をシート後方から保護する機能(つまり、内部突起評価時のヘッドフォームを受ける機能)を持たせることができる。その結果、乗物用シート(1)の部品点数を削減できる。
【0014】
本開示の一態様は、自動車のセンターシートとして用いられてもよい。このような構成によれば、シート幅が狭い(つまりアッパフレーム(53)の軸方向長さが小さい)センターシートにおいて、バックフレーム(5)の捻じれ剛性を効果的に高められる。
【0015】
本開示の一態様では、シートバック(3)は、背もたれとして機能するシート位置と、シートクッション(2)に重ねられた前倒し位置との間で揺動するように構成されると共に、前倒し位置においてアームレストとして機能するアームレスト部(32)を有してもよい。このような構成によれば、シートバック(3)に他のシートのアームレストとしての機能を持たせることができる。
【0016】
本開示の別の態様は、シートクッション(2)と、シートバック(3)と、ヘッドレスト(4)と、シートバック(3)を支持するバックフレーム(5)と、を備える乗物用シート(1)である。
【0017】
バックフレーム(5)は、シート幅方向に互いに離れて配置された第1サイドフレーム(51)及び第2サイドフレーム(52)と、第1サイドフレーム(51)と第2サイドフレーム(52)とをシート幅方向に連結するアッパフレーム(53)と、第1サイドフレーム(51)、第2サイドフレーム(52)及びアッパフレーム(53)に固定された補強パネル(54)と、ヘッドレスト(4)を支持すると共に、アッパフレーム(53)に固定された少なくとも1つのサポートブラケット(55A,55B)と、を備える。
【0018】
補強パネル(54)は、少なくとも一部がアッパフレーム(53)のシート上方かつシート後方に配置される保護部(547)を有する。
【0019】
このような構成によれば、補強パネル(54)が第1サイドフレーム(51)、第2サイドフレーム(52)及び第3サイドフレーム(53)に跨って固定されることで、アッパフレーム(53)の捻じれ剛性が高められる。その結果、アッパフレーム(53)の厚み又は径を抑えつつ、バックフレーム(5)の捻じれ剛性を高められる。また、補強パネル(54)にアッパフレーム(53)をシート後方から保護する機能を持たせることができるため、乗物用シート(1)の部品点数を削減できる。
【0020】
なお、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的構成等との対応関係を示す一例であり、本開示は上記括弧内の符号に示された具体的構成等に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1は、実施形態の乗物用シートを示す模式的な斜視図である。
【
図4】
図4A及び
図4Bは、
図3の第1サイドフレーム、第2サイドフレーム及びアッパフレームの模式的な斜視図である。
【
図6】
図6は、
図3のバックフレームの模式的な背面図である。
【
図7】
図7Aは、
図2AのVIIA-VIIA線での模式的な断面図であり、
図7Bは、
図6のVIIB-VIIB線での模式的な断面図線での模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本開示が適用された実施形態について、図面を用いて説明する。
[1.第1実施形態]
[1-1.構成]
図1に示す乗物用シート1は、シートクッション2と、シートバック3と、ヘッドレスト4とを備える。
【0023】
乗物用シート1は、乗用車のセンターシートとして使用される。具体的には、乗物用シート1は、乗用車の幅方向において、右側シート101と、左側シート102との間に配置される。
【0024】
なお、以下の説明及び各図面における方向は、乗物用シート1を乗物(つまり乗用車)に組み付けた状態における方向を意味する。本実施形態では、シート幅方向は、乗物の左右方向に一致し、シート前方は、乗物の前方に一致する。
【0025】
シートクッション2は、着席者の臀部を支持する部位である。シートバック3は、着席者の背部を支持する部位である。ヘッドレスト4は、着席者の頭部を支持する部位である。
図2A,2Bに示すように、乗物用シート1は、シートバック3を支持するバックフレーム5をさらに備える。
【0026】
<シートバック>
シートバック3は、乗物用シート1の背もたれとして機能するシート位置と、シートクッション2に重ねられた前倒し位置との間で揺動するように構成されている。なお、以下では、特に言及した場合を除き、「シート上方」及び「シート下方」は、シートバック3がシート位置にあるときの上下方向を意味する。
【0027】
シートバック3は、バック部31と、アームレスト部32と、第1ヘッドレスト挿通孔33Aと、第2ヘッドレスト挿通孔33Bとを有する。
バック部31は、シートバック3がシート位置にあるときに、シートバック3の前面を構成し、着席者を後方から支持する部位である。
【0028】
アームレスト部32は、シートバック3がシート位置にあるときに、シートバック3の背面を構成する。アームレスト部32は、シートバック3が前倒し位置にあるときに、バック部31の上方に配置され、右側シート101及び左側シート102の着席者の腕を支持する。つまり、アームレスト部32は、前倒し位置においてアームレストとして機能する。
【0029】
ヘッドレスト挿通孔33A,33Bは、シートバック3の上端部に設けられている。第1ヘッドレスト挿通孔33A及び第2ヘッドレスト挿通孔33Bには、それぞれ、
図3に示すヘッドレスト4の第1ステー42A又は第2ステー42Bが挿通される。
【0030】
<ヘッドレスト>
図3に示すように、ヘッドレスト4は、ヘッドレスト本体41と、第1ステー42Aと、第2ステー42Bと、位置調整機構43とを有する。
【0031】
第1ステー42A及び第2ステー42Bは、それぞれ、ヘッドレスト本体41からシート下方に延伸し、バックフレーム5の第1サポートブラケット55A又は第2サポートブラケット55Bにシート上方から挿入されている。
【0032】
位置調整機構43は、サポートブラケット55A,55Bに対するステー42A,42Bの上下方向の位置を調整することで、ヘッドレスト本体41の高さを変化させる。位置調整機構43は、サポートブラケット55A,55Bに取り付けられている。
【0033】
<バックフレーム>
バックフレーム5は、第1サイドフレーム51と、第2サイドフレーム52と、アッパフレーム53と、補強パネル54と、第1サポートブラケット55Aと、第2サポートブラケット55Bとを有する。
【0034】
(サイドフレーム)
第1サイドフレーム51及び第2サイドフレーム52は、それぞれシート上下方向に延伸すると共に、シート幅方向に互いに離れて配置されている。第1サイドフレーム51は、第2サイドフレーム52の左側に配置されている。
【0035】
図4A,4Bに示すように、第1サイドフレーム51は、第1筒部56Bと、第1パネル57とを有する。第1筒部56Bは、バックフレーム5を構成するU字パイプ56のシート下方に延伸する2つの脚のうち、左側の脚である。第1筒部56Bの中心軸は、シート幅方向と直交し、かつ、シート前後方向と交差している。
【0036】
第1パネル57は、シート幅方向と交差する板面を有する。第1パネル57の上端部は、第1筒部56Bの端部(つまりU字パイプ56の一方の端部)に例えば溶接により固定されている。
【0037】
第2サイドフレーム52は、第2筒部56Cと、第2パネル58と、揺動機構59とを有する。第2筒部56Cは、U字パイプ56の2つの脚のうち、右側の脚である。第2筒部56Cの中心軸は、第1筒部56Bの中心軸と平行である。
【0038】
第2パネル58は、シート幅方向と交差する板面を有する。第2パネル58の上端部は、第2筒部56Cの端部(つまりU字パイプ56の他方の端部)に例えば溶接により固定されている。
【0039】
揺動機構59は、バックフレーム5を、シートクッション2を支持するクッションフレーム(図示省略)に対し揺動可能に連結している。揺動機構59は、第2パネル58に取り付けられている。
【0040】
(アッパフレーム)
アッパフレーム53は、第1サイドフレーム51と第2サイドフレーム52とをシート幅方向に連結している。
【0041】
アッパフレーム53は、筒状のパイプフレームによって構成されている。具体的には、アッパフレーム53は、U字パイプ56のうちシート幅方向に延伸する本体部56Aで構成されている。
【0042】
アッパフレーム53は、閉断面を有する。また、アッパフレーム53の中心軸は、シート幅方向と平行である。アッパフレーム53は、円管をシート前方から潰した形状を有する。つまり、アッパフレーム53は、平坦な前面と、中心軸方向から視て円弧状(つまりC字状)の後面とを有する。
【0043】
U字パイプ56は、本体部56Aと、シート下方に延伸する2つの脚(つまり、第1筒部56B及び第2筒部56C)と、本体部56Aの左端部と第1筒部56Bとを連結する第1連結部56Dと、本体部56Aの右端部と第2筒部56Cとを連結する第2連結部56Eとで構成されている。
【0044】
U字パイプ56は、円管をU字状に曲げることで形成されている。第1連結部56D及び第2連結部56Eは、シート前方から視て円弧状に湾曲している。また、第1連結部56D及び第2連結部56Eは、本体部56Aと共に前面が平坦化されている。
【0045】
(補強パネル)
図5A,5Bに示すように、補強パネル54は、基部541と、第1固定部542と、第2固定部543と、第3固定部544と、凹部545と、突出部546と、保護部547とを有する板状の部材である。
【0046】
基部541は、シート前後方向と交差する板面を有する。第1固定部542は、基部541の左端部から左方に延伸した部位である。第1固定部542は、第1サイドフレーム51に固定されている。第2固定部543は、基部541の右端部から右方に延伸した部位である。第2固定部543は、第2サイドフレーム52に固定されている。
【0047】
具体的には、
図6に示すように、第1固定部542は、第1筒部56Bにシート後方から接触し、第1筒部56Bに例えば溶接、締結等の手段によって固定されている。第2固定部543は、第2筒部56Cにシート後方から接触し、第2筒部56Cに例えば溶接、締結等の手段によって固定されている。
【0048】
第3固定部544は、基部541の上端部からシート上方に延伸した部位である。第3固定部544は、アッパフレーム53に固定されている。具体的には、
図7Aに示すように、第3固定部544は、アッパフレーム53にシート後方から接触し、アッパフレーム53に例えば溶接、締結等の手段によって固定されている。
【0049】
図5Aに示す凹部545は、基部541に対しシート後方に凹んだ部位である。凹部545は、第1固定部542、第2固定部543及び第3固定部544を繋ぐように、基部541の中央部に設けられている。
【0050】
具体的には、凹部545は、シート幅方向において第1固定部542及び第2固定部543に挟まれると共に、少なくとも一部が第1固定部542及び第2固定部543よりもシート上方に位置している。また、凹部545の幅は、シート上方に向かうに連れて小さくなっている。つまり、凹部545の平面形状は、下辺が上辺よりも長い台形状である。
【0051】
突出部546は、補強パネル54の第1サイドフレーム51との固定位置(つまり第1固定部542)及び第2サイドフレーム52との固定位置(つまり第2固定部543)よりもシート前方に突出した部位である。
【0052】
突出部546は、第1板部546Aと、第2板部546Bとを有する。第1板部546Aは、基部541の下端部からシート前方に延伸している。第2板部546Bは、第1板部546Aの前端からシート下方に突出している。
【0053】
図7Aに示すように、シートバック3は、バック部31を構成するバック用パッド31Aと、アームレスト部32を構成するアームレスト用パッド32Aとを有する。バック用パッド31Aは、補強パネル54のシート前方に配置されている。アームレスト用パッド32Aは、補強パネル54のシート後方に配置されている。補強パネル54は、バック用パッド31Aとアームレスト用パッド32Aとの間に設けられた空間に配置されている。
【0054】
アームレスト用パッド32Aは、突出部546に接触している。具体的には、アームレスト用パッド32Aは、第1板部546Aのシート下方の面と、第2板部546Bのシート後方の面とに沿って湾曲した角部32Bを有する。突出部546は、角部32Bに接触することで、アームレスト用パッド32Aの位置決めをしている。
【0055】
アームレスト用パッド32Aは、さらに、第1固定部542、第2固定部543及び第3固定部544にシート後方から接触している。
【0056】
バック用パッド31Aは、第1板部546Aにシート上方から接触すると共に、基部541にシート前方から接触している。そのため、第1板部546Aは、バック用パッド31Aとアームレスト用パッド32Aとによってシート上下方向に挟まれている。
【0057】
保護部547は、第3固定部544のシート上方及び左右に設けられ、少なくとも一部がアッパフレーム53のシート上方かつシート後方に配置されている。
図5A,5Bに示すように、保護部547は、第1後方壁547Aと、第2後方壁547Bと、第1側壁547Cと、第2側壁547Dと、天壁547Eとを有する。
【0058】
第1後方壁547Aは、第3固定部544の左端から左方向に突出した部位である。第2後方壁547Bは、第3固定部544の右端から右方向に突出した部位である。第1後方壁547A及び第2後方壁547Bは、それぞれアッパフレーム53をシート後方から覆う。
【0059】
第1側壁547Cは、第1後方壁547Aの左端から、第1サポートブラケット55Aとシート幅方向に重なる位置までシート前方に突出した部位である。第2側壁547Dは、第2後方壁547Bの右端から、第2サポートブラケット55Bとシート幅方向に重なる位置までシート前方に突出した部位である。第1側壁547Cは、アッパフレーム53を左方から覆う。第2側壁547Dは、アッパフレーム53を右方から覆う。
【0060】
天壁547Eは、第3固定部544、第1後方壁547A及び第2後方壁547Bそれぞれの上端からシート前方に突出した部位と、第1側壁547Cの上端から右方に突出した部位と、第2側壁547Dの上端から左方に突出した部位とを含む。
【0061】
図7A,7Bに示すように、天壁547Eは、アッパフレーム53をシート上方から覆う。天壁547Eの先端部は、アッパフレーム53から離れている。また、天壁547Eには、シート上方からアームレスト用パッド32Aが接触する。
【0062】
(サポートブラケット)
図6に示す第1サポートブラケット55A及び第2サポートブラケット55Bは、ヘッドレスト4を支持する筒状の部材である。
【0063】
第1サポートブラケット55A及び第2サポートブラケット55Bには、第1ステー42A又は第2ステー42Bが挿通されると共に、ヘッドレスト4の位置調整機構43が取り付けられる。
【0064】
第1サポートブラケット55A及び第2サポートブラケット55Bは、それぞれ、アッパフレーム53に固定されている。具体的には、
図7Bに示すように、第1サポートブラケット55A及び第2サポートブラケット55Bのシート後方の面が、アッパフレーム53のシート前方の面(つまり平坦面)に、例えば溶接、締結等の手段によって固定されている。
【0065】
さらに、第1サポートブラケット55A及び第2サポートブラケット55Bは、それぞれ、アッパフレーム53よりもシート下方において、補強パネル54に固定されている。具体的には、第1サポートブラケット55A及び第2サポートブラケット55Bの下端部は、補強パネル54の基部541にシート前方から接触し、基部541に例えば溶接、締結等の手段によって固定されている。
【0066】
[1-2.効果]
以上詳述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1a)補強パネル54が第1サイドフレーム51、第2サイドフレーム52及びアッパフレーム53に跨って固定されることで、筒状のアッパフレーム53の捻じれ剛性が高められる。
【0067】
さらに、サポートブラケット55A,55Bがアッパフレーム53に加えて補強パネル54にも固定されることで、乗物の衝突時にヘッドレスト4が倒れることが抑制されると共に、サポートブラケット55A,55Bが剛性部材として機能する。その結果、アッパフレーム53の厚み又は径を抑えつつ、バックフレーム5の捻じれ剛性を高められる。
【0068】
(1b)凹部545によって補強パネル54の剛性が高められるため、バックフレーム5の捻じれ剛性の向上効果を促進できる。
(1c)突出部546によっても補強パネル54の剛性が高められるため、バックフレーム5の捻じれ剛性の向上効果を促進できる。
【0069】
(1d)突出部546がアームレスト用パッド32Aに接触することによって、補強パネル54にアームレスト用パッド32Aの位置決め機能を持たせることができる。その結果、乗物用シート1の部品点数を削減できる。
【0070】
(1e)保護部547によって補強パネル54にアッパフレーム53をシート後方から保護する機能(つまり、内部突起評価時のヘッドフォームを受ける機能)を持たせることができる。その結果、乗物用シート1の部品点数を削減できる。
【0071】
(1f)シート幅が狭い(つまりアッパフレーム53の軸方向長さが小さい)センターシートにおいて、バックフレーム5の捻じれ剛性を効果的に高められる。
(1g)アームレスト部32によって、シートバック3に他のシート101,102のアームレストとしての機能を持たせることができる。
【0072】
[2.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に限定されることなく、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
【0073】
(2a)上記実施形態の乗物用シートにおいて、第1サイドフレーム及び第2サイドフレームにおいて補強パネルが固定される部位は、必ずしも筒状(つまりU字パイプの一部)でなくてもよい。例えば、補強パネルは、第1サイドフレームの開断面形状部分及び第2サイドフレームの開断面形状部分に固定されてもよい。
【0074】
(2b)上記実施形態の乗物用シートにおいて、補強パネルは、必ずしも凹部、突出部及び保護部の全てを備えなくてもよい。つまり、補強パネルは、凹部、突出部及び保護部のうち少なくとも1つを備えなくてもよい。
【0075】
(2c)上記実施形態の乗物用シートにおいて、シートバックは、必ずしもアームレスト部を有しなくてもよい。つまり、シートバックは、必ずしもアームレストとして機能しなくてもよい。
【0076】
(2d)上記実施形態の乗物用シートは、自動車においてセンターシート以外のシートにも適用できる。さらに、上記実施形態の乗物用シートは、乗用車以外の自動車に用いられるシートや、自動車以外の例えば、鉄道車両、船舶、航空機等の乗物に用いられるシートにも適用できる。
【0077】
(2e)上記実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素として分散させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に統合したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加、置換等してもよい。なお、特許請求の範囲に記載の文言から特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本開示の実施形態である。
【符号の説明】
【0078】
1…乗物用シート、2…シートクッション、3…シートバック、4…ヘッドレスト、
5…バックフレーム、31…バック部、32…アームレスト部、
32A…アームレスト用パッド、41…ヘッドレスト本体、42A,42B…ステー、
43…位置調整機構、51…第1サイドフレーム、52…第2サイドフレーム、
53…アッパフレーム、54…補強パネル、55A,55B…サポートブラケット、
56…U字パイプ、56A…本体部、56B…第1筒部、56C…第2筒部、
56D,56E…連結部、57,58…パネル、59…揺動機構、541…基部、
542…第1固定部、543…第2固定部、544…第3固定部、545…凹部、
546…突出部、546A…第1板部、546B…第2板部、547…保護部、
547A,547B…後方壁、547C,547D…側壁、547E…天壁。