(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022188575
(43)【公開日】2022-12-21
(54)【発明の名称】ケーブル接続部材及びケーブル接続構造
(51)【国際特許分類】
H02G 15/18 20060101AFI20221214BHJP
H01R 4/70 20060101ALI20221214BHJP
【FI】
H02G15/18 026
H01R4/70 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021096725
(22)【出願日】2021-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100182006
【弁理士】
【氏名又は名称】湯本 譲司
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼須 憲吾
(72)【発明者】
【氏名】堀部 大
(72)【発明者】
【氏名】中村 恒久
【テーマコード(参考)】
5G375
【Fターム(参考)】
5G375AA02
5G375BA26
5G375CA02
5G375CA14
5G375CB04
5G375CB07
5G375DB32
(57)【要約】
【課題】遮水層の折れ曲がりを緩和する。
【解決手段】一実施形態に係るケーブル接続部材は、常温収縮チューブ15と、常温収縮チューブ15の内側に設けられる遮水層14と、常温収縮チューブ15の内側に設けられ、遮水層14の全面に接着されるクッション層17と、を備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
常温収縮チューブと、
前記常温収縮チューブの内側に設けられる遮水層と、
前記常温収縮チューブの内側に設けられ、前記遮水層の全面に接着されるクッション層と、
を備えるケーブル接続部材。
【請求項2】
前記クッション層の厚さが1mm以上且つ5mm以下である、
請求項1に記載のケーブル接続部材。
【請求項3】
前記クッション層の25%圧縮応力が30N/cm2以下である、
請求項1又は2に記載のケーブル接続部材。
【請求項4】
前記クッション層の基材のせん断強度が150N/cm2以上である、
請求項1~3のいずれか一項に記載のケーブル接続部材。
【請求項5】
前記クッション層の圧縮永久ひずみが80%以下である、
請求項1~4のいずれか一項に記載のケーブル接続部材。
【請求項6】
前記クッション層が発泡テープによって構成される、
請求項1~5のいずれか一項に記載のケーブル接続部材。
【請求項7】
前記遮水層が金属と樹脂の積層体によって構成される、
請求項1~6のいずれか一項に記載のケーブル接続部材。
【請求項8】
前記常温収縮チューブは、ケーブルの端部に取り付けられるケーブル接続部の絶縁筒を構成する、
請求項1~7のいずれか一項に記載のケーブル接続部材。
【請求項9】
前記常温収縮チューブの内側に前記クッション層が設けられ、
前記クッション層の内側に前記遮水層が設けられる、
請求項1~7のいずれか一項に記載のケーブル接続部材。
【請求項10】
前記常温収縮チューブは、内側層と、前記内側層の外側に位置する外側層と、を含んでおり、
前記クッション層及び前記遮水層は、前記内側層と前記外側層の間に設けられる、
請求項1~7のいずれか一項に記載のケーブル接続部材。
【請求項11】
ケーブルの端部に取り付けられるケーブル接続部の絶縁筒の常温収縮チューブと、
前記常温収縮チューブの内側に設けられる遮水層と、
前記常温収縮チューブの内側に設けられ、前記遮水層の全面に接着されるクッション層と、
を備えるケーブル接続構造。
【請求項12】
前記ケーブル接続部の少なくとも一部を被覆する外側常温収縮チューブと、
前記外側常温収縮チューブの内側に設けられたクッション層と、
前記クッション層の内側に設けられた遮水層と、
を備える請求項11に記載のケーブル接続構造。
【請求項13】
前記外側常温収縮チューブの内側に設けられる内側常温収縮チューブを備え、
前記内側常温収縮チューブは、内側層と、前記内側層の外側に位置する外側層と、を含んでおり、
前記内側層と前記外側層との間に設けられた遮水層と、
前記外側層と前記遮水層との間に設けられたクッション層と、
を備える請求項12に記載のケーブル接続構造。
【請求項14】
前記外側常温収縮チューブ、及び前記ケーブルのケーブルシースを被覆するシース被覆部材を備える、
請求項12又は13に記載のケーブル接続構造。
【請求項15】
ケーブルの端部に取り付けられるケーブル接続部を備えるケーブル接続構造であって、
前記ケーブルのケーブルシース及び前記ケーブル接続部を被覆するシース被覆部材を備える、
ケーブル接続構造。
【請求項16】
前記ケーブルシースに取り付けられると共に前記シース被覆部材の内側に位置するバンド部材を備える、
請求項15に記載のケーブル接続構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ケーブル接続部材及びケーブル接続構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、遮水型常温収縮性チューブが記載されている。遮水型常温収縮性チューブは、解体可能な筒状コアと、筒状コア上に弾性的に拡径された状態で支持される2層の常温収縮性チューブ層と、遮水層と、粘着層とを備える。遮水層は、金属箔を周方向に筒状に巻いて、その相対向する両側縁をオーバーラップさせて形成され、2層の常温収縮性チューブ層の間に介在される。粘着層は、遮水層の内外周面に付着して形成され、遮水層と常温収縮性チューブ層とを密着させる。
【0003】
特許文献2には、遮水チューブが記載されている。遮水チューブは、ゴム又はプラスチックフィルムが積層された金属箔を両側縁がオーバーラップするように円筒状に形成してそのオーバラップ部分を融着又は接着してなる遮水層を備えた遮水チューブである。遮水層の内面にオレフィン系発泡材料からなる非透過性のクッション層が積層され、遮水チューブの端部におけるクッション層の内面に粘着シール層が設けられ、ケーブル接続部の外周に装着されて使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001-231150号公報
【特許文献2】特開2004-201378号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
常温収縮チューブと、金属箔からなる遮水層とを備えるケーブル接続部材の場合、常温収縮チューブを収縮させるときに、遮水層が折れ曲がり遮水層に穴があくことが懸念される。遮水層に穴があくと所望の防湿性能を得られなくなる。前述した遮水チューブでは、遮水層の内面にクッション層が積層されている。しかしながら、クッション層が設けられた遮水チューブであってもチューブの収縮時に遮水層に折れ曲がりが生じ、依然として遮水層に穴があくことが懸念される。従って、遮水層の折れ曲がりを緩和することが求められる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係るケーブル接続部材は、常温収縮チューブと、常温収縮チューブの内側に設けられる遮水層と、常温収縮チューブの内側に設けられ、遮水層の全面に接着されるクッション層と、を備える。
【0007】
このケーブル接続部材では、遮水性能を高めることができる。クッション層が遮水層に接着されていることによって、常温収縮チューブが収縮するときに生じうる遮水層の折れ曲がりをクッション層によって緩和することができる。すなわち、遮水層が折れ曲がるときであっても、遮水層に穴があくなどによる遮水層の機能低下を抑制することができる。
【0008】
クッション層の厚さが1mm以上且つ5mm以下であってもよい。
【0009】
クッション層の25%圧縮応力が30N/cm2以下であってもよい。
【0010】
クッション層の基材のせん断強度が150N/cm2以上であってもよい。
【0011】
クッション層の圧縮永久ひずみが80%以下であってもよい。
【0012】
クッション層が発泡テープによって構成されてもよい。
【0013】
遮水層が金属と樹脂の積層体によって構成されてもよい。
【0014】
常温収縮チューブは、ケーブルの端部に取り付けられるケーブル接続部の絶縁筒を構成してもよい。
【0015】
常温収縮チューブの内側にクッション層が設けられてもよく、クッション層の内側に遮水層が設けられてもよい。
【0016】
常温収縮チューブは、内側層と、内側層の外側に位置する外側層と、を含んでもよい。クッション層及び遮水層は、内側層と外側層の間に設けられてもよい。
【0017】
本開示に係るケーブル接続構造は、ケーブルの端部に取り付けられるケーブル接続部の絶縁筒の常温収縮チューブと、常温収縮チューブの内側に設けられる遮水層と、常温収縮チューブの内側に設けられ、遮水層の全面に接着されるクッション層と、を備える。
【0018】
このケーブル接続構造は、絶縁筒の常温収縮チューブの内側に遮水層が設けられるので、絶縁筒における遮水性能を高めることができる。クッション層が遮水層に接着されていることによって、遮水層の折れ曲がりをクッション層によって緩和することができる。すなわち、遮水層が折れ曲がるときであっても、遮水層に穴があくなどによる遮水層の機能低下を抑制することができる。
【0019】
前述したケーブル接続構造は、ケーブル接続部の少なくとも一部を被覆する外側常温収縮チューブと、外側常温収縮チューブの内側に設けられたクッション層と、クッション層の内側に設けられた遮水層と、を備えてもよい。
【0020】
前述したケーブル接続構造は、外側常温収縮チューブの内側に設けられる内側常温収縮チューブを備えてもよい。内側常温収縮チューブは、内側層と、内側層の外側に位置する外側層と、を含んでもよい。内側層と外側層との間に設けられた遮水層と、外側層と遮水層との間に設けられたクッション層と、を備えてもよい。
【0021】
前述したケーブル接続構造は、外側常温収縮チューブ、及びケーブルのケーブルシースを被覆するシース被覆部材を備えてもよい。
【0022】
本開示の別の側面に係るケーブル接続構造は、ケーブルの端部に取り付けられるケーブル接続部を備えるケーブル接続構造であって、ケーブルのケーブルシース及びケーブル接続部を被覆するシース被覆部材を備える。このケーブル接続構造では、ケーブルシース及びケーブル接続部を被覆するシース被覆部材が設けられる。従って、シース被覆部材がケーブルシースを覆うことによって、ケーブルシースがケーブルの長手方向に収縮する現象であるシュリンクバックを抑制することができる。
【0023】
前述したケーブル接続構造は、ケーブルシースに取り付けられると共にシース被覆部材の内側に位置するバンド部材を備えてもよい。
【発明の効果】
【0024】
本開示によれば、例えば、遮水層を内蔵しつつその機能低下を抑制した常温収縮チューブを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】実施形態に係るケーブル接続構造の例を示す断面図である。
【
図2】(a)は、実施形態に係る内側常温収縮チューブの例を示す図である。(b)は、実施形態に係る内側常温収縮チューブの例を示す断面図である。
【
図3】(a)は、実施形態に係る外側常温収縮チューブの例を示す図である。(b)は、実施形態に係る外側常温収縮チューブの例を示す断面図である。
【
図4】実施形態に係るケーブル接続部の例示的な絶縁筒を示す断面図である。
【
図5】(a)は、クッション層を有する場合における遮水層の挙動を模式的に示す図である。(b)は、クッション層を有しない場合における遮水層の挙動を模式的に示す図である。
【
図7】実施形態に係る外側常温収縮チューブを示す断面図である。
【
図8】実施形態に係る内側常温収縮チューブを示す断面図である。
【
図9】(a)は、比較例に係る遮水層に対する実験結果を示す図である。(b)及び(c)は、実施例に係る遮水層に対する実験結果を示す図である。
【
図10】(a)及び(b)は、遮水層に対する実験の方法を説明するための図である。
【
図11】(a)、(b)及び(c)は、遮水層に対する実験の方法を説明するための図である。
【
図12】別の実施形態に係るケーブル接続構造の例を示す断面図である。
【
図13】
図12のケーブル接続構造のシース被覆部材を示す斜視図である。
【
図14】(a)及び(b)は、変形例に係るケーブル接続構造を示す断面図である。
【
図15】別の実施形態に係るケーブル接続構造の実験を説明するための図である。
【
図16】シース被覆部材に対する実験の結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下では、図面を参照しながら本開示に係るケーブル接続構造、ケーブル接続部材、内側常温収縮チューブ(Inner Pre-Stretched Tube, Inner Cold Shrink PST Tube)及び外側常温収縮チューブ(Outer Pre-Stretched Tube, Outer Cold Shrink PST Tube)の実施形態について詳細に説明する。図面の説明において、同一又は相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。また、図面は、理解の容易化のため、一部を簡略化又は誇張して描いている場合があり、寸法比率等は図面に記載のものに限定されない。
【0027】
まず、本開示に係る用語「ケーブル」は、CVTケーブル等の電力ケーブル、絶縁電線、及び、通信用ケーブルを含んでおり、「ケーブル」の種類は多岐にわたる。「ケーブル接続部」は、複数のケーブル同士を接続する接続部とその周辺、ケーブルとコネクタとを接続する接続部とその周辺、及び、ケーブルとコネクタ以外の機器とを接続する接続部とその周辺、を含んでいる。本開示に係る用語「内側」は、ケーブルを被覆する部材におけるケーブル側、すなわち、ケーブルの径方向の内側を示している。「外側」は、ケーブルを被覆する部材におけるケーブルの反対側、すなわち、ケーブルの径方向の外側を示している。
【0028】
図1に示されるように、本実施形態に係るケーブル接続構造1は、一対のケーブル2と、一対のケーブル2を互いに接続するケーブル接続部10と、ケーブル2を覆う一対の内側常温収縮チューブ20と、ケーブル接続部10及び内側常温収縮チューブ20を被覆する一対の外側常温収縮チューブ30とを備える。ケーブル2は、一例として、定格66kVの電力ケーブルである。しかしながら、ケーブル2は、6kV、22kV又は33kVの電力ケーブルであってもよい。ケーブル2は、例えば、導体2bと、導体2bを覆う絶縁層2cと、絶縁層2cを覆う外部半導電層2hと、外部半導電層2hを覆う遮へい銅テープ2fと、遮へい銅テープ2fを覆うケーブルシース2dとを備える。導体2bの断面積は、一例として、80(mm
2)以上且つ600(mm
2)以下であり、ケーブル接続部10の外径(直径)は90(mm)以上である。ケーブル接続部10の外径は、例えば、ケーブル2の外径よりも大きい。
【0029】
また、ケーブル接続部10の外径の下限は、100(mm)、110(mm)、120(mm)又は130(mm)であってもよい。ケーブル接続部10の外径の上限は200(mm)、170(mm)又は150(mm)であってもよい。例えば、ケーブル接続部10の外径は135(mm)以上且つ145(mm)以下である。しかしながら、ケーブル接続部10の外径は、上記の各値に限られず特に限定されない。
【0030】
ケーブル接続部10は、ケーブル2の端部に設けられており、例えば、一対のケーブル2の端部同士を互いに接続する。一方のケーブル2、ケーブル接続部10、及び他方のケーブル2は、ケーブル接続構造1の長手方向Dに沿って並ぶように配置される。本実施形態に係るケーブル接続部材100は、例えば、ケーブル接続部10を構成する絶縁筒11と、ケーブル接続部10に隣接する部分を被覆する内側常温収縮チューブ20と、ケーブル接続部10及び内側常温収縮チューブ20を被覆する外側常温収縮チューブ30とを備える。しかしながら、ケーブル接続部材100は、絶縁筒11、内側常温収縮チューブ20及び外側常温収縮チューブ30のうち1つ又は2つを備えるものであってもよい。
【0031】
図2(a)は、例示的な内側常温収縮チューブ20の外観を示す斜視図である。
図2(b)は、内側常温収縮チューブ20の模式的な断面図である。
図2(a)及び
図2(b)に示されるように、内側常温収縮チューブ20は、内側層21と、内側層21を覆う外側層22とを備える。内側層21及び外側層22は、例えば、互いに分離可能とされている。
【0032】
内側常温収縮チューブ20は、内側層21及び外側層22を拡径した状態で保持する拡径保持部材23を備えていてもよい。拡径保持部材23は、拡径保持部材23の軸線L1が延びる方向(以下では軸線方向と称することもある)にわたって形成された解体線23bを有する。拡径保持部材23は、例えば、円筒形の管状中空の部材である。解体線23bは、拡径保持部材23の軸線L1の周りを周回、又は、周回及び反転しながら、軸線方向に漸進していくように形成されている。
【0033】
拡径保持部材23の材料としては、例えば、ポリエチレン又はポリプロピレン等の樹脂材料が用いられる。拡径保持部材23は、解体線23bに沿って紐状体であるコアリボン23cとして引き抜くことが可能となっている。解体線23bが形成された部分は、その周囲よりも薄くなっており、破断しやすい部分となっている。
【0034】
なお、解体線は、解体線23bのような螺旋状に形成される態様に限られず、例えば、SZ状に形成されていてもよく、引き抜き可能であれば如何なる形状とすることも可能である。コアリボン23cが引っ張られると、拡径保持部材23は、解体線23bに沿って順次破断し、新たなコアリボン23cとして連続的に引き抜かれる。解体線23bは、例えば、一定のピッチで形成されており、この場合、引き抜かれるコアリボン23cの幅は一定となる。但し、コアリボン23cの幅は一定でなくてもよい。
【0035】
解体線23bは、拡径保持部材23の内周面のみに形成されていてもよく、拡径保持部材23の外周面のみに形成されていてもよく、拡径保持部材23の内周面及び外周面の双方に形成されていてもよい。解体線23bを有する拡径保持部材23の製造は、例えば、解体線23bを螺旋状に旋回させると共に、隣接する解体線23b同士を接着、溶着、係合、又はこれらの組み合わせによって固定することにより行われてもよく、円筒状の部材に解体線23bを直接形成することによって行われてもよい。
【0036】
以上のように、引き抜き可能な管状中空の拡径保持部材としては、拡径保持部材23のようにコアリボン23cを引っ張ることによって内側常温収縮チューブを順次収縮させる態様もあれば、拡径保持部材が内側常温収縮チューブに対して摺動し内側常温収縮チューブから引き抜かれることによって離脱する態様もある。拡径保持部材23は、コアリボン23cとして引き抜かれる始端側となる第1端部23dと、コアリボン23cとして引き抜かれる終端側となる第2端部23fとを有する。第1端部23dの付近には、内側常温収縮チューブ20が装着されず拡径保持部材23の外周面が露出する露出部23gが形成され、第2端部23fの付近にも露出部23gが形成されている。
【0037】
第1端部23dから解体されたコアリボン23cは、拡径保持部材23の内側に通されると共に第2端部23f側から引き抜かれる。第2端部23f側でコアリボン23cが引き抜かれることにより、拡径保持部材23は、第1端部23dから第2端部23fに向かって順次解体されていく。本実施形態では、コアリボン23cが軸線方向の全長にわたって形成されているので、第1端部23dから第2端部23fに至るまで完全に拡径保持部材23を解体することが可能である。但し、拡径保持部材23のうち、少なくとも内側常温収縮チューブ20を拡径して保持している部分に解体線23bが形成されていればよく、例えば第2端部23f側の所定の領域において、解体線23bが形成されていない部分があってもよい。
【0038】
例えば、内側常温収縮チューブ20は、拡径保持部材23の外周側に、拡径されて保持された部材である。内側常温収縮チューブ20は、ケーブル2のケーブル接続部10に隣接する部分を被覆する。例えば、内側層21の内周面、内側層21の外周面、外側層22の内周面、及び外側層22の外周面は、平滑面となっている。「平滑面」とは、尖った部分又は凹凸部分を有しない滑らかな面を示している。
【0039】
内側層21及び外側層22のそれぞれは、例えば、常温で収縮し伸縮特性に優れたゴムによって構成されている。内側層21及び外側層22のそれぞれは、例えば、防水性を有する材料によって構成されている。ここで、「防水性を有する」とは、内側常温収縮チューブ20が収縮した状態において外部から内部への液体の侵入を防止可能な状態を示している。「防水性を有する」とは、例えば、JIS C 0920における「電気機械器具の外郭による保護等級(IPコード)」に規定されているIPX7(水深1mの水に30分間沈めたときに内部への水の侵入がないこと)を示している。内側層21及び外側層22の材料は、例えば、EPDM(エチレン・プロピレン・ジエンゴム)である。なお、内側層21の材料と外側層22の材料とは、互いに同一であってもよいし、互いに異なっていてもよい。
【0040】
内側層21の厚さは、例えば、4.5(mm)以上且つ8.5(mm)以下である。また、内側層21の厚さの下限は5(mm)、5.5(mm)、6(mm)又は6.5(mm)であってもよい。内側層21の厚さの上限は8(mm)、7.5(mm)又は7(mm)であってもよい。なお、内側層21の厚さの数値、及び外側層22の厚さの数値は、上記の各例に限られず、特に限定されない。
【0041】
内側層21は、ケーブル2のケーブル接続部10に隣接する部分を被覆する。例えば、内側層21は、当該隣接する部分を締め付ける。これにより、ケーブル2のケーブル接続部10に隣接する部分における高い締め付け力を発揮できる。外側層22は、ケーブル接続部10の外径に内側常温収縮チューブ20の外径を近づける。「外径を近づける」とは、内側常温収縮チューブの外径をケーブル接続部の外径と同程度となるように、内側常温収縮チューブの外径が設定されること、すなわち、ケーブル接続部の外径と同程度となるように内側常温収縮チューブの外径の大小が設定されることを示している。
【0042】
図1の例では、外側層22は、内側常温収縮チューブ20の外径をケーブル接続部10の外径に近づけるように内側常温収縮チューブ20を太くしている。すなわち、単層の内側常温収縮チューブと比較して、複数層の内側常温収縮チューブ20の外側層22の部分が太くなっている。なお、単層の内側常温収縮チューブは、例えば、外側層22を有しない内側層21のみの内側常温収縮チューブに相当する。大径であるケーブル接続部10の外径に近づけるためだけの目的であれば、より厚い内側層21のみを有する内側常温収縮チューブを用いればよい。しかしながら、ケーブル接続部10の外径は、常に大径であるとは限らず、適宜変更される。
【0043】
そこで、本実施形態のように、内側層21と外側層22の2層構造を有する内側常温収縮チューブ20の場合には、ケーブル接続部10の外径に応じて外側層22を着脱できるので、外側層22の着脱によって内側常温収縮チューブ20の外径をより確実にケーブル接続部10の外径に近づけることができる。「ケーブル接続部の外径に近づける」方法としては、
図1に例示されるように、外側層22を設けることによってケーブル接続部の外径に近づけてもよいし、外側層22を外すことによってケーブル接続部の外径に近づけてもよい。
図1の例では、外側層22によってケーブル接続部10の外径の大きさに内側常温収縮チューブ20の外径を近づけることができるので、シュリンクバックの抑制に寄与する。
【0044】
図3(a)は、例示的な外側常温収縮チューブ30を示す図である。
図3(b)は、例示的な外側常温収縮チューブ30の断面図である。
図1、
図3(a)及び
図3(b)に示されるように、外側常温収縮チューブ30は、ケーブル接続部10及び内側常温収縮チューブ20を被覆する。外側常温収縮チューブ30の径(外径及び内径)は、内側常温収縮チューブ20の径よりも大きい。例えば、外側常温収縮チューブ30の軸線方向(長手方向)の長さは、内側常温収縮チューブ20の軸線方向の長さよりも長い。
【0045】
例えば、外側常温収縮チューブ30は、ケーブル接続部10の少なくとも一部、及び内側常温収縮チューブ20の少なくとも一部、を被覆する。外側常温収縮チューブ30は、ケーブル接続部10及び内側常温収縮チューブ20の境界部分Bを含む領域を被覆する。外側常温収縮チューブ30は、例えば、内側常温収縮チューブ20と同様、防水性を有する材料によって構成されている。外側常温収縮チューブ30の材料は、例えば、EPDMである。
【0046】
例えば、外側常温収縮チューブ30は、ケーブル接続部10及び内側常温収縮チューブ20を被覆する前(装着前、使用前)の状態において、拡径保持部材33の外周に拡径された状態で保持されていてもよい。拡径保持部材33は、前述した拡径保持部材23と同様、軸線L2が延びる方向にわたって形成された解体線33bを有し、解体線33bに沿って、紐状体であるコアリボン33cとして引き抜くことが可能となっている。拡径保持部材33は、前述した拡径保持部材23と同様、コアリボン33cとして引き抜かれる始端側となる第1端部33dと、コアリボン33cとして引き抜かれる終端側となる第2端部33fとを有する。第1端部33dの付近には、外側常温収縮チューブ30が装着されず拡径保持部材33の外面が露出する露出部33gが形成され、第2端部33fの付近にも露出部33gが形成されている。このように、拡径保持部材33の形状及び材料は、例えば、拡径保持部材23の形状及び材料と同一とすることが可能である。
【0047】
ケーブル接続部10は、例えば、絶縁筒11と、接続子12と、半導電性テープ13とを備える。絶縁筒11は、ケーブル2の長手方向Dに貫通する中空部11bを有する筒状体として構成されている。絶縁筒11は、例えば、中空部11bを有する絶縁筒本体11cと、遮蔽メッシュ11dと、遮水層14と、常温収縮チューブ15とを有する。絶縁筒本体11cは、例えば、ゴムの一体成形品である。
【0048】
例示的な絶縁筒本体11cは、絶縁性を有するゴム、一例として、エチレンプロピレンゴム又はシリコーンゴムを含んでいてもよい。例えば、絶縁筒本体11cは、絶縁性ゴム11c1と、導電性ゴム11c2とを含む。導電性ゴム11c2は、例えば、絶縁筒本体11cの長手方向Dの両端部のそれぞれ、及び絶縁筒本体11cの長手方向Dの中央、の3箇所に設けられる。遮蔽メッシュ11dは、絶縁筒本体11cの少なくとも一部を被覆している。遮水層14は、遮蔽メッシュ11dを被覆している。例えば、遮蔽メッシュ11dの少なくとも一部が外側常温収縮チューブ30によって被覆されている。
【0049】
図4は、例示的な絶縁筒11を示す断面図である。例えば、絶縁筒11は、装着前(使用前)の状態において、拡径保持部材16の外周に拡径された状態で保持されている。拡径保持部材16は、前述した拡径保持部材23と同様、軸線L3が延びる方向にわたって形成された解体線16bを有し、解体線16bに沿って、紐状体であるコアリボン16cとして引き抜くことが可能となっている。
【0050】
拡径保持部材16は、コアリボン16cとして引き抜かれる始端側となる第1端部16dと、コアリボン16cとして引き抜かれる終端側となる第2端部16fとを有する。第1端部16dの付近には、絶縁筒11が装着されず拡径保持部材16の外面が露出する露出部16gが形成され、第2端部16fの付近にも露出部16gが形成されている。このように、拡径保持部材16の形状及び材料は、拡径保持部材23の形状及び材料と同一とすることが可能である。
【0051】
遮水層14は、常温収縮チューブ15の内側に設けられる。常温収縮チューブ15の材料は、例えば、EPDMである。遮水層14は、例えば、金属と樹脂の積層体によって構成されている。遮水層14は、例えば、金属としてアルミニウムを含んでいる。しかしながら、遮水層14を構成する金属は、ニッケル又は銅を含んでいてもよく、特に限定されない。遮水層14が樹脂層を含む場合、遮水層14を構成する金属の腐食がより確実に抑制される。
【0052】
遮水層14は、常温収縮チューブ15の外側から内側(絶縁筒11側)への浸水を防ぐ機能を有する。浸水した場合には、例えば絶縁層2cにて水トリー(Water Tree)と呼ばれる現象を引き起こす等の弊害が生じうる。遮水層14は、そのような弊害の発生を抑制する。遮水層14は、例えば、樹脂フィルムと金属箔との積層体(金属ラミネートフィルムとも呼ぶ)によって構成されている。一例として、遮水層14は、アルミニウムを含んでおり、アルミラミネートフィルムによって構成されていてもよい。遮水層14は、金属層と、金属層の主面に樹脂がラミネートされて構成されていてもよい。遮水層14において、金属層の両面に樹脂がラミネートされていてもよいし、金属層の片面に樹脂がラミネートされていてもよい。但し、遮水層14の金属層の両面に樹脂がラミネートされている場合、遮水層14の取扱性を良好にすることができる。
【0053】
例えば、絶縁筒11は、遮水層14の内側(一例として、遮蔽メッシュ11dと遮水層14の間)に設けられるクッション層17と、クッション層17の長手方向Dの両端のそれぞれに設けられるパテ材18とを備える。例示的なクッション層17は、常温収縮チューブ15を収縮したときに生じうる遮水層14の折れ曲がりを緩和する(例えば、折れ曲がりの角度を急角度にしすぎない、又は折れ曲がりの曲率を大きくしすぎない)ために設けられる。パテ材18は、一例として、ブチル製である。
【0054】
クッション層17は、力がかかった場合に応力を持ちつつ変形するクッション性を有している。変形は例えば圧縮である。これにより、例えば、収縮による皺の折れ曲がりを部分的な変形によって緩和することができる。例えば、クッション層17はパテ材によって構成されていてもよい。また、クッション層17は、発泡性材料によって構成されている発泡テープでもよい。一例として、クッション層17はブチル製である。また、クッション層17は、強接着発泡テープであってもよい。一例として、クッション層17は、アクリルフォームテープである。クッション層17の発泡テープは、単層の粘着性を有する発泡基材によって構成されていてもよく、発泡基材の主面(例えば両面)に粘着剤層が設けられたものであってもよい。クッション層17の粘着剤層は、例えば、アクリル系粘着剤の他、シリコーン系粘着剤であってもよい。
【0055】
また、クッション層17は、発泡テープ等、流動性が高すぎない(屈曲等によりせん断力等がかかったときにも容易に流動していかず、位置関係を保持できる)材料によって構成されていることがより好ましい。この場合、遮水層14の折れ曲がりに対してクッション層17が流動しないことにより、その位置関係でクッション性を発揮させることができ、遮水層14の折れ曲がりをより確実に緩和できる。
【0056】
クッション層17の厚さは、例えば、1mm以上且つ5mm以下である。クッション層17の厚さは、1.1mm以上、又は1.2mm以上であってもよい。クッション層17の厚さは、4mm以下、又は3mm以下であってもよい。クッション層17の厚さが所定値以上であることにより、遮水層14の折れ曲がりを緩和することができる。クッション層17の厚さが所定値以下であることにより、作業性を良好にしたり、コストを抑制したりすることが可能となる。
【0057】
クッション層17の25%圧縮応力は、例えば、30N/cm2以下である。クッション層17の25%圧縮応力は、20N/cm2以下、又は15N/cm2以下であってもよい。これにより、力がかかった場合に応力を持ちつつ変形するクッション性を発揮し、遮水層14の折れ曲がりを緩和することができる。ここで、クッション層17の25%圧縮応力は、1.2mm厚のアクリルフォームからなるクッション層17、及び1.5mm厚のパテ材からなるクッション層17を用意し、それぞれのクッション層17を25mm×25mmの大きさとし、25%圧縮したときの荷重から測定した。
【0058】
クッション層17の基材のせん断強度は、例えば、150N/cm2以上である。せん断強度は、200N/cm2以上、又は300N/cm2以上であってもよい。せん断強度が所定値以上であることにより、遮水層14の折れ曲がりに対してクッション層17の流動を抑制しクッション層17を保持できる点で好ましい。ここで、クッション層のせん断強度とは、以下の方法のせん断力の測定を実施した場合の数値を指す。25mm×50mm(122μm厚)のアルミラミネートフィルム(遮水層14)の両面に25mm×50mm(1.5mm厚)のクッション層17(パテ材)を貼り付けたものをステンレス板で挟み込み、その上から重さ2kgのスチールローラを1往復して圧着したものを室温で24時間養生した後に、30mm/分の引張速度でステンレス板を引っ張ったときの、基材が伸びる際の最大応力(伸びが数%付近の時点)の力をせん断強度として測定した。
【0059】
また、クッション層17の圧縮永久ひずみは、例えば、80%以下である。クッション層17の圧縮永久ひずみは、70%以下、又は60%以下であってもよい。圧縮永久ひずみが所定値以下であることにより、遮水層14の折れ曲がりに対してクッション層17の流動を抑制しクッション層17を保持できる点で好ましい。ここで、クッション層17の圧縮永久ひずみとは、直径29mmのクッション層17(1.2mm厚のアクリルフォームからなるクッション層17、及び1.5mm厚のパテ材からなるクッション層17のそれぞれ)を25%圧縮した状態で室温で24時間放置し、圧縮前後の厚みを測定し、以下の式(1)から圧縮永久ひずみを算出した。
【数1】
式(1)において、CSは圧縮永久ひずみ(%)、h
0は試験片の圧縮前の厚さ(mm)、h
1は圧縮装置から取り出した後の試験片の厚さ(mm)、h
sはスペーサの厚さ(mm)を示している。
【0060】
クッション層17は、遮水層14の全面に接着される。本開示において、「接着」は、物品自体が接着剤である場合の接着(例えばパテ)、物品自体が粘着剤を有している場合の接着(例えばテープ)、又は、物品に別途接着剤が塗布される場合の接着であり、「接着」には、溶着等、接着剤を用いない態様のものも含まれる。本開示において、「遮水層の全面」は、まず、遮水層として機能する領域(例えば製造上の理由によって端部等に発生する余剰領域がある場合は除いた領域)の全面であればよい。また「全面に接着」とは100%だけでなく、遮水層の略全面、及び遮水層の実質全面を含んでいる。例えば、小さなドット状に接着されていない部分がまばらにある程度の状態も「全面に接着」に含まれる。逆に、大きなドット状やストライプ状に接着されてない部分があり遮水層の折れ曲がり等による応力集中が発生する場合は「全面に接着」に含まれない。また例えば遮水層として機能する領域の95%以上の面積が接着している状態も「全面に接着」であってよい。
【0061】
図5(a)は、遮水層14の全面にクッション層17が接着されている場合における遮水層14の折れ曲がりの状態を模式的に示す図である。
図5(b)は、クッション層17が接着されていない遮水層114における遮水層114の折れ曲がりの状態を模式的に示す図である。
図5(b)に示されるように、クッション層17が接着されていない遮水層114の場合、遮水層114の外側に位置する常温収縮チューブの収縮時に遮水層114が折れ曲がり、遮水層114の折れ曲がった部分において遮水層114に穴があくことが懸念される。
図5(a)に示されるように、遮水層14の全面にクッション層17が接着されている場合には、遮水層14の外側に位置する常温収縮チューブ15の収縮時における遮水層14の折れ曲がりが緩和される。すなわち、遮水層14の全面にクッション層17が接着されていることにより、遮水層14の折れ曲がり角度が緩やかになる。従って、クッション層17が遮水層14の全面に接着される場合、遮水層14の折れ曲がりを緩和することができるので、遮水層14に穴があくことを抑制できる。
【0062】
図6は、
図4の絶縁筒11を示す斜視図である。
図6に示されるように、絶縁筒11は、遮水層14の外側に取り付けられた常温収縮チューブ15から長手方向Dの両側に延び出していた遮蔽メッシュ11dが長手方向Dの中央側に折り返されて形成されている。長手方向Dの中央側に折り返された遮蔽メッシュ11dのそれぞれがテープTの巻き付けによって固定されている。テープTとしては、遮蔽メッシュ11dを固定可能であって且つ剥がすことが可能なものであれば、種々のテープを用いることができる。
【0063】
次に、本実施形態に係るケーブル接続部材100及びケーブル接続構造1から得られる作用効果について説明する。ケーブル接続部材100では、常温収縮チューブ15の内側に遮水層14が設けられるので、遮水性能を高めることができる。ケーブル接続部材100は、遮水層14に接着されるクッション層17を備える。クッション層17が遮水層14に接着されていることによって遮水層14を保護することができる。また、クッション層17は遮水層14の全面に接着されるため、常温収縮チューブ15が収縮するときに生じうる遮水層14の折れ曲がりをクッション層17によって緩和することができる。すなわち、遮水層14が折れ曲がるときであっても、遮水層14の全面にクッション層17が接着されていることにより、遮水層14に穴があくことを抑制することができる。
【0064】
クッション層17の厚さが1mm以上且つ5mm以下であってもよい。この場合、クッション層17の厚さが1mm以上であることにより、遮水層14の折れ曲がりを緩和することができる。クッション層17の厚さが5mm以下であることにより、クッション層17を厚くなりすぎないようにすることができる。
【0065】
クッション層17のせん断強度が150N/cm2以上であってもよい。この場合、クッション層17のせん断強度が150N/cm2以上であることにより、クッション層17の強度を高めて遮水層の折れ曲がりを緩和することができる。
【0066】
クッション層17が発泡テープによって構成されてもよい。この場合、クッション層17の流動性が低く形状維持性が高い発泡テープがクッション層17として用いられる。従って、遮水層14の折れ曲がりに対するクッション層17の形状変化を抑制できるので、遮水層14に穴があくことをより確実に抑制することができる。
【0067】
遮水層14が金属と樹脂の積層体によって構成されてもよい。この場合、遮水層14の金属が樹脂によって保護されるので、遮水層14の取り扱い性を良好にすることができる。
【0068】
常温収縮チューブ15は、ケーブル2の端部に取り付けられるケーブル接続部10の絶縁筒11を構成してもよい。この場合、絶縁筒11の常温収縮チューブ15に設けられた遮水層14がクッション層17によって保護され、絶縁筒11の遮水層14に穴があくことを抑制できるので、絶縁筒11の遮水性能を高めることができる。
【0069】
以上の遮水層14及びクッション層17は、前述した外側常温収縮チューブ30及び内側常温収縮チューブ20のそれぞれに内蔵することも可能である。
図7は、
図3の外側常温収縮チューブ30において遮水層14及びクッション層17が内蔵された状態を示す外側常温収縮チューブ30の断面図である。
図7に示されるように、遮水層14は、クッション層17の内側に設けられる。クッション層17は、遮水層14の全面に接着されている。なお、本実施形態において、外側常温収縮チューブ30は単層の常温収縮チューブの例を示しており、内側常温収縮チューブ20は複数層の常温収縮チューブの例を示している。単層の常温収縮チューブのほうがシンプルな構成にできる一方で、複数層の常温収縮チューブは遮水層が被接着物と接触しないため、アルミラミネートフィルムが滑ることによるシュリンクバックを抑制できる利点等がある。
【0070】
クッション層17は外側常温収縮チューブ30と遮水層14の間に配置されている。例えば、遮水層14から見てクッション層17は拡径保持部材33とは反対側に配置されている。これにより、クッション層17が拡径保持部材33に付着してコアリボン33cを引きにくくなることを抑制できる。クッション層17の長手方向Dの両端のそれぞれにはパテ材18が設けられる。
【0071】
以上のように、本実施形態に係るケーブル接続部材100では、外側常温収縮チューブ30の内側にクッション層17が設けられてもよく、クッション層17の内側に遮水層14が設けられてもよい。すなわち、ケーブル接続構造は、ケーブル接続部10の少なくとも一部を被覆する外側常温収縮チューブ30と、外側常温収縮チューブ30の内側に設けられたクッション層17と、クッション層17の内側に設けられた遮水層14と、を備えてもよい。
【0072】
上記の例の場合、外側常温収縮チューブ30の内側にクッション層17と遮水層14が設けられるので、外側常温収縮チューブ30の内側に位置する遮水層14の折れ曲がりをクッション層17で緩和できると共に遮水性能をより高めることができる。以上、外側常温収縮チューブ30の内側において、遮水層14の外側にクッション層17が設けられる例について説明した。なお、外側常温収縮チューブ30以外の常温収縮チューブ(例えば、前述した常温収縮チューブ15又は内側常温収縮チューブ20)の内側において、遮水層14の外側にクッション層17が設けられていてもよい。
【0073】
次に、遮水層14及びクッション層17が内側常温収縮チューブ20に内蔵される例について
図8を参照しながら説明する。
図8は、
図2の内側常温収縮チューブ20において遮水層14及びクッション層17が内蔵された状態を示す内側常温収縮チューブの断面図である。
図8に示されるように、遮水層14は、クッション層17と外側層22の間に設けられる。クッション層17は、内側層21と遮水層14の間に設けられる。すなわち、内側常温収縮チューブ20の径方向内側から径方向外側に向かって、内側層21、クッション層17、遮水層14及び外側層22がこの順で並んでいる。クッション層17の長手方向Dの両端側のそれぞれにはパテ材18が設けられており、遮水層14の長手方向Dの両端それぞれの外面及び内面にパテ材18が設けられる。
【0074】
上記では、遮水層14及びクッション層17が常温収縮チューブ(常温収縮チューブ15、内側常温収縮チューブ20又は外側常温収縮チューブ30)に内蔵されている例について説明した。このように、遮水層14及びクッション層17が常温収縮チューブに内蔵されている場合、常温収縮チューブの装着と共に遮水層14を形成することが可能となる。常温収縮チューブの装着と共に遮水層14を形成できることにより、別途遮水層を用意したり別途遮水層を装着したりすることを不要にできるので、常温収縮チューブの装着、及び遮水層14の形成の作業性を向上させることができる。
【0075】
以上、本実施形態に係るケーブル接続部材100において、内側常温収縮チューブ20は、内側層21と、内側層21の外側に位置する外側層22と、を含んでもよい。本実施形態に係るケーブル接続構造1は、外側常温収縮チューブ30の内側に設けられる内側常温収縮チューブ20を備えてもよい。内側常温収縮チューブ20は、内側層21と、内側層21の外側に位置する外側層22と、を含んでもよい。内側層21と外側層22との間に設けられた遮水層14と、外側層22と遮水層14との間に設けられたクッション層17と、を備えてもよい。
【0076】
この場合、クッション層17及び遮水層14は、内側層21と外側層22の間に設けられてもよい。この場合、内側常温収縮チューブ20が2層とされており、当該2層の間にクッション層17及び遮水層14が設けられる。従って、ケーブル接続部10の強度を高めると共に遮水性能を高めることができる。この場合、外側常温収縮チューブ30の内側に内側常温収縮チューブ20が設けられ、内側常温収縮チューブ20の内側層21と外側層22との間に遮水層14及びクッション層17が設けられる。従って、内側常温収縮チューブ20の遮水層14の折れ曲がりがクッション層17で緩和されるので、遮水性能を更に高めることができる。なお、内側常温収縮チューブは単層とされていてもよい。
【0077】
(実施例)
次に、本実施形態の実施例について説明する。なお、本開示は、下記の実施例に限定されない。
<熱膨張収縮試験>
前述した遮水層14を備える絶縁筒11、遮水層14を備える内側常温収縮チューブ20、及び遮水層14を備える外側常温収縮チューブ30を用いてケーブル接続構造1を作製した。遮水層14としてはアルミラミネートフィルムを用いた。ケーブル接続構造1に対してヒートサイクル試験を実施した。ヒートサイクル試験の内容は以下のとおりである。
接続対象のケーブル2の導体断面積:100mm2
導体温度 :90℃
通電時間 :3時間
停止時間 :3時間
サイクル数 :365サイクル(1年相当)
上記の試験終了後にケーブル接続構造1を解体して遮水層14の状況を確認した。
また、本試験では、絶縁筒11にはクッション層17を設けずに、内側常温収縮チューブ20及び外側常温収縮チューブ30のそれぞれにはクッション層17を遮水層14の全面に接着した。内側常温収縮チューブ20に設けたクッション層17は厚さ1.2mmのアクリルフォームテープとし、外側常温収縮チューブ30に設けたクッション層17は厚さ1.5mmのブチルパテとした。アクリルフォームテープは、25%圧縮応力が約10N/cm2、圧縮永久ひずみが約52%のものを用いた。ブチルパテは、25%圧縮応力が約10N/cm2、せん断強度が約95N/cm2、圧縮永久ひずみが約100%のものを用いた。
【0078】
以上の絶縁筒11、内側常温収縮チューブ20及び外側常温収縮チューブ30のそれぞれを収縮させてケーブル接続構造1を作製した。絶縁筒11(常温収縮チューブ15)の収縮率(収縮後内径/収縮前内径)は90%、内側常温収縮チューブ20の収縮率は80%、外側常温収縮チューブ30の収縮率は85%(絶縁筒11上)であった。また、絶縁筒11の遮水層14、内側常温収縮チューブ20の遮水層14、及び外側常温収縮チューブ30の遮水層14、のそれぞれに穴があいているか否かを見ることでクッション層17の効果の有無を確認した。その結果を
図9(a)、
図9(b)及び
図9(c)に示す。
【0079】
図9(a)はクッション層17を有しない絶縁筒11の遮水層14の写真、
図9(b)はアクリルフォームテープであるクッション層17を有する内側常温収縮チューブ20の遮水層14の写真、
図9(c)はブチルパテであるクッション層17を有する外側常温収縮チューブ30の遮水層14の写真、を模式的に示している。
図9(a)、
図9(b)及び
図9(c)のそれぞれの写真は遮水層14に光を透過させたときの結果を示している。また、写真が示す遮水層14の部位は、段差が生じていない平坦な遮水層14の部位を示している。
【0080】
図9(a)に示されるように、クッション層17を有しない絶縁筒11の遮水層14では、縦方向のシワ及び横方向のシワが生じ、縦方向のシワと横方向のシワとの交差部分に穴Xがあくことが分かった。一方、
図9(b)及び
図9(c)に示されるように、アクリルフォームテープであるクッション層17を有する場合、及びブチルパテであるクッション層17を有する場合には、縦方向のシワのみ生じたが、2方向のシワが生じることはなく穴があくこともなかった。従って、クッション層17が全面接着される遮水層14では、穴があくことを抑制できることが分かった。
【0081】
<折り曲げ試験>
アルミラミネートフィルムである遮水層14を折り曲げて穴があくか否かを確認する折り曲げ試験を行った。クッション層17を有しない遮水層14、アクリルフォームテープであるクッション層17が接着された遮水層14、及びブチルパテであるクッション層17が接着された遮水層14、のそれぞれに対して折り曲げ試験を行った。折り曲げ試験の内容を
図10(a)、
図10(b)、
図11(a)、
図11(b)及び
図11(c)に示している。
【0082】
まず、
図10(a)及び
図10(b)に示されるように、90mm×90mmの矩形状の遮水層14(及びクッション層17が接着された遮水層14)を用意し、各遮水層14に対し縦方向に延びる5本の折り目が入るよう各遮水層14を折り曲げた。
図11(a)及び
図11(b)に示されるように、各遮水層14の縦方向の一端(
図11(a)では上端)を横方向に山折りし、遮水層14の縦方向の他端(
図11(b)では下端)を上記横方向の逆方向(
図11(b)では左側)に山折りした。
【0083】
その後、
図11(c)に示されるように、上記の各山折りを元に戻して、山折りとされていた10箇所の頂点Pに穴があいているか否かを確認した。クッション層17を有しない3つの遮水層14、アクリルフォームテープであるクッション層17が接着された3つの遮水層14、及びブチルパテであるクッション層17が接着された3つの遮水層14、をそれぞれ用意し、各遮水層14に対して上記の折り曲げ試験を行った。その結果を以下の表1に示す。
【0084】
【0085】
表1に示されるように、遮水層14の折り曲げ試験では、クッション層17を有しない遮水層14と比較してアクリルフォームテープであるクッション層17が接着された遮水層14では穴の数、及び穴の発生率を低減できることが分かった。具体的には、10箇所の頂点Pのうち、穴があいた箇所を1箇所以下に抑えられると共に穴の発生率を10%以下に低減できた。また、ブチルパテであるクッション層17が接着された遮水層14よりも、アクリルフォームテープであるクッション層17が接着された遮水層14の方が穴の数、及び穴の発生率を低減できることが分かった。これは、せん断強度が十分に高くないブチルパテは流動性が高く強い応力が加わると移動して応力の集中を緩和できなくなることがあるためであると考えられる。
【0086】
次に、別の実施形態に係るケーブル接続構造41及びケーブル接続部材101について
図12を参照しながら説明する。ケーブル接続構造41の構成の一部は、前述したケーブル接続構造1の構成の一部と重複するため、以下では前述した説明と重複する説明を適宜省略する。
図12に示されるように、ケーブル接続構造41及びケーブル接続部材101は、外側常温収縮チューブ30、及びケーブル2のケーブルシース2dを被覆するシース被覆部材45を備える。
【0087】
図13は、シース被覆部材45の一部を模式的に示す図である。
図12及び
図13に示されるように、シース被覆部材45は、例えば、網状を呈する。シース被覆部材45は、ケーブルシース2dが収縮するシュリンクバックと呼ばれる現象を抑制するために設けられる。一例として、シース被覆部材45はガラスクロスを含んでいる。例えば、シース被覆部材45は、樹脂(一例としてポリウレタン樹脂)が含浸されたガラスクロスによって構成されている。シース被覆部材45は、湿気で硬化するポリウレタン樹脂を含んでいてもよい。しかしながら、シース被覆部材45の材料は特に限定されない。
【0088】
シース被覆部材45は、例えば、一対のケーブル2の一方側に位置するケーブルシース2dにシース被覆部材45の外径が外側常温収縮チューブ30の外径と同程度になるまで巻き付けられ、その後、内側常温収縮チューブ20及び外側常温収縮チューブ30に巻き付けられる。そして、シース被覆部材45は、一対のケーブル2の他方側に位置するケーブルシース2dにシース被覆部材45の外径が外側常温収縮チューブ30の外径と同程度になるまで巻き付けられ、その後、内側常温収縮チューブ20及び外側常温収縮チューブ30に巻き付けられる。
【0089】
図14(a)は、シース被覆部材45を備える変形例に係るケーブル接続構造41Aを示す断面図である。
図14(a)に示されるように、外側常温収縮チューブ30がケーブルシース2dを十分に把持していれば、内側常温収縮チューブ20が無くても、シース被覆部材45を用いてシュリンクバックをより確実に抑制することができる。
【0090】
図14(b)は、シース被覆部材45を備える別の変形例に係るケーブル接続構造41Bを示す断面図である。
図14(b)に示されるように、ケーブル接続構造41Bは、ケーブルシース2dに取り付けられるバンド部材46を備える。一例として、ケーブル接続構造41Bは、一対のケーブルシース2dのそれぞれに取り付けられる一対のバンド部材46を備える。例えば、各バンド部材46は、内側常温収縮チューブ20の隣接位置においてケーブルシース2dを締め付けている。
【0091】
バンド部材46は、シース被覆部材45の内側においてケーブルシース2dに取り付けられる。このバンド部材46によってケーブルシース2dのシュリンクバックがより確実に抑制される。バンド部材46は、一例として、金属製のメタルバンドである。しかしながら、バンド部材46は樹脂製であってもよく、バンド部材46の材料は特に限定されない。例えば、バンド部材46は弾性変形可能であってC字状を呈する。この場合、ケーブルシース2dの外側からケーブルシース2dに容易にバンド部材46を取り付けることができる。しかしながら、バンド部材46は、C字状以外の形状(例えばO字状)であってもよく、バンド部材46の形状は特に限定されない。
【0092】
(実施例)
次に、本実施形態の実施例について説明する。なお、本開示は、下記の実施例に限定されない。
<シュリンクバックの検証>
図15に示されるように、ケーブル2を内側常温収縮チューブ20で締め付け、ケーブル接続部10及び内側常温収縮チューブ20を外側常温収縮チューブ30で締め付けた。そして、内側常温収縮チューブ20を下に向け、内側常温収縮チューブ20から下方に延びるケーブル2において、ケーブルシース2dの部分におもりを取り付けた。この状態で70℃2時間及び-20℃2時間のサイクルを30回実行するヒートサイクル試験を行った。そして、ヒートサイクル試験前後のケーブルシース2dの位置ずれの量を、内側常温収縮チューブ20及び外側常温収縮チューブ30の長さの伸び量として測定した。この測定を以下の実施例1~3のそれぞれに対して行った。実施例1~3のそれぞれの仕様を以下に示す。
(実施例1)
ケーブル2の導体断面積を100mm
2とし、ケーブルシース2dの材料をポリ塩化ビニル(PVC:polyvinyl chloride)とした。そして、上記のおもりの重さを15kgとした。
(実施例2)
ケーブル2の導体断面積を100mm
2とし、ケーブルシース2dの材料をポリエチレン(PE:polyethylene)とした。そして、上記のおもりの重さを25kgとした。実施例2のおもりの重さを実施例1のおもりの重さより大きくしたのは、PEの収縮力がPVCの収縮力より大きいことを反映させたものである。PVCの収縮力は33.5g/mm
2であり、PEの収縮力はPVCの収縮力の1.5倍程度である。このようにPEはPVCの1.5倍程度の収縮力を有するため、実施例2のおもりの重さを実施例1のおもりの重さの1.5倍程度とした。
(実施例3)
外側常温収縮チューブ30及びケーブルシース2dに更にシース被覆部材45を巻き付けた。ケーブル2の導体断面積を100mm
2とし、ケーブルシース2dの材料をポリエチレン(PE:polyethylene)とした。そして、上記のおもりの重さを25kgとした。
【0093】
以上の実施例1~3のそれぞれに対して、ケーブルシース2dの位置ずれの量を測定した結果を以下の表2に示している。
【表2】
【0094】
表2に示されるように、ケーブルシース2dの材料がPVCである実施例1では、シース被覆部材45が無い状態であってもケーブルシース2dの位置ずれ量を8(mm)に抑えられた。なお、位置ずれ量が20(mm)以上になると、ケーブル2の遮へい銅テープ2fが破断して焼損事故を引き起こす懸念があるため、当該位置ずれ量を20(mm)未満にすることが求められる。
【0095】
ケーブルシース2dの材料がPEである実施例2では、シース被覆部材45が無い場合、ケーブルシース2dの位置ずれ量が19mmとなり、20mmに近い値となった。これに対し、ケーブルシース2dにシース被覆部材45が巻き付けられた実施例3では、ケーブルシース2dの位置ずれ量が4mmであり、シース被覆部材45によってケーブルシース2dのずれを大幅に低減でき、シュリンクバックを抑制できることが分かった。なお、ケーブルシース2dの材料については、環境配慮の観点ではPVCよりもPEを用いることが好ましい。実施例3では、環境にやさしいPE製のケーブル2を用いた場合であっても、シース被覆部材45によってシュリンクバックをより確実に抑制することができる。
【0096】
図16は、実施例3におけるシース被覆部材45の状態を模式的に示す図である。
図16に示されるように、実施例3では、シース被覆部材45がケーブルの段差Zに食い込んでいることが分かり、このようにシース被覆部材45が段差Zに食い込んでケーブルシース2dのずれを抑えることにより、ケーブルシース2dのシュリンクバックをより確実に抑制できる。
【0097】
以上、ケーブル接続構造41,41A,41Bは、外側常温収縮チューブ30、及びケーブル2のケーブルシース2dを被覆するシース被覆部材45を備える。ケーブルシース2dを被覆するシース被覆部材45が設けられることにより、ケーブルシース2dが収縮するシュリンクバックを抑制することができる。
【0098】
ケーブル接続構造41Bは、ケーブルシース2dに取り付けられると共にシース被覆部材45の内側に位置するバンド部材46を備える。この場合、ケーブルシース2dがバンド部材46によって保持されるので、ケーブルシース2dのシュリンクバックをより確実に抑制できる。また、バンド部材46がケーブルシース2dを保持する場合、ケーブル接続部10として常温収縮チューブ以外のものを用いることが可能となり、例えば、熱収縮チューブ等を用いることも可能となる。
【0099】
以上、本開示に係るケーブル接続構造及びケーブル接続部材の種々の実施形態について説明した。しかしながら、本開示は、特許請求の範囲に記載した要旨を変更しない範囲において種々の変形が可能である。すなわち、ケーブル接続構造及びケーブル接続部材の各部の形状、大きさ、数及び配置態様は、上記の要旨を変更しない範囲において適宜変更可能である。例えば、前述の実施形態では、金属層の両面に樹脂がラミネートされている遮水層14について例示した。しかしながら、遮水層の構成は、この例に限られず、例えば、金属層の片面に樹脂がラミネートされ他の片面にクッション層(アクリルフォームテープ等)が貼り付けられた遮水層であってもよく、特に限定されない。また、前述の実施形態では、絶縁筒11、接続子12及び半導電性テープ13を備えたケーブル接続部10について例示した。しかしながら、ケーブル接続部の構成は、上記の例に限られず適宜変更可能である。
【0100】
例えば、前述の実施形態では、ケーブル接続構造1が一対のケーブル2を互いに接続するケーブル接続部10を備える例について説明した。しかしながら、ケーブル接続構造は、ケーブルを複数本のケーブルに接続するケーブル接続部を備えていてもよいし、ケーブルを他の機器に接続するケーブル接続部を備えていてもよい。このように、ケーブルの端部に設けられたケーブル接続部が接続される対象のものは特に限定されない。
【符号の説明】
【0101】
1…ケーブル接続構造、2…ケーブル、2b…導体、2c…絶縁層、2d…ケーブルシース、2f…遮へい銅テープ、2h…外部半導電層、10…ケーブル接続部、11…絶縁筒、11b…中空部、11c1…絶縁性ゴム、11c2…導電性ゴム、11d…遮蔽メッシュ、12…接続子、13…半導電性テープ、14…遮水層、15…常温収縮チューブ、16…拡径保持部材、16b…解体線、16c…コアリボン、16d…第1端部、16f…第2端部、16g…露出部、17…クッション層、18…パテ材、20…内側常温収縮チューブ、21…内側層、22…外側層、23…拡径保持部材、23b…解体線、23c…コアリボン、23d…第1端部、23f…第2端部、23g…露出部、30…外側常温収縮チューブ、33…拡径保持部材、33b…解体線、33c…コアリボン、33d…第1端部、33f…第2端部、33g…露出部、41…ケーブル接続構造、41A,41B…ケーブル接続構造、45…シース被覆部材、46…バンド部材、100,101…ケーブル接続部材、B…境界部分、D…長手方向、L1,L2,L3…軸線、P…頂点、T…テープ、X…穴、Z…段差。