(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022188580
(43)【公開日】2022-12-21
(54)【発明の名称】自動分析装置
(51)【国際特許分類】
G01N 35/10 20060101AFI20221214BHJP
【FI】
G01N35/10 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021096731
(22)【出願日】2021-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】501387839
【氏名又は名称】株式会社日立ハイテク
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】堀江 陽介
(72)【発明者】
【氏名】越智 学
(72)【発明者】
【氏名】三枝 高志
(72)【発明者】
【氏名】川原 鉄士
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 洋一郎
(72)【発明者】
【氏名】坂田 健士郎
【テーマコード(参考)】
2G058
【Fターム(参考)】
2G058ED03
(57)【要約】
【課題】分注するためのノズルの先端部の位置を高精度に検出することができ、ノズルの位置を精度良く調整することができる自動分析装置を提供する。
【解決手段】本発明による自動分析装置は、試薬または検体を分注するためのノズル21、22と、ノズル21、22を移動させる分注アーム201とを備える分注機構14、15と、ノズル21、22を洗浄する洗浄槽26、27と、ノズル21、22の位置を調整する自動分析装置制御部を備え、反応セルに収容された試薬と検体の混合液を分析する。分注機構14、15には、ノズル21、22の停止位置が設定されている。分注機構14、15は、分注アーム201に撮像装置202を備える。自動分析装置制御部は、ノズル21、22の撮像位置407、412にて、撮像装置202でノズル21、22を撮像する。撮像位置407、412は、ノズル21、22が移動可能な位置であって、停止位置と異なる位置である。
【選択図】
図5B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試薬または検体を分注するためのノズルと、前記ノズルを移動させる分注アームとを備える分注機構と、
前記ノズルを洗浄する洗浄槽と、
前記ノズルの位置を調整する自動分析装置制御部と、
を備え、
反応セルに収容された前記試薬と前記検体との混合液を分析する分析処理を実行し、
前記分注機構には、前記ノズルが前記分析処理において移動を停止する位置である、前記ノズルの停止位置が設定されており、
前記分注機構は、前記分注アームに撮像装置を備え、
前記自動分析装置制御部は、前記ノズルを前記ノズルの撮像位置に移動させ、前記撮像位置において前記撮像装置で前記ノズルを撮像し、
前記撮像位置は、前記ノズルが移動可能な位置であって、前記停止位置と異なる位置である、
ことを特徴とする自動分析装置。
【請求項2】
前記停止位置は、前記ノズルが前記試薬または前記検体を収容した容器から前記試薬または前記検体を吸引する吸引位置と、前記ノズルが前記反応セルに前記試薬または前記検体を吐出する吐出位置と、前記ノズルを洗浄する洗浄位置である、
請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項3】
前記撮像位置は、前記撮像装置が前記ノズルを撮像したときの画像において、前記ノズルの先端部の背景が無地である位置である、
請求項2に記載の自動分析装置。
【請求項4】
前記自動分析装置制御部は、前記撮像装置で、前記洗浄槽、前記容器、または前記反応セルを撮像対象として撮像する場合には、前記撮像対象を撮像したときの画像において前記ノズルと前記撮像対象が重ならない位置で、前記撮像対象を撮像する、
請求項2に記載の自動分析装置。
【請求項5】
前記自動分析装置制御部は、前記撮像装置で前記撮像対象を撮像する場合には、前記ノズルを、前記撮像位置から前記ノズルと前記撮像対象が重ならない前記位置に、前記分析処理における前記ノズルの移動速度よりも低速で移動させる、
請求項4に記載の自動分析装置。
【請求項6】
前記洗浄槽と前記容器と前記反応セルのうち少なくとも1つを覆うカバーを備え、
前記撮像位置は、前記自動分析装置が前記分析処理を行うときは前記カバーで覆われている、
請求項2に記載の自動分析装置。
【請求項7】
前記洗浄槽と前記容器と前記反応セルのうち少なくとも1つを覆うカバーを備え、
前記撮像位置は、前記カバー上に位置する、
請求項2に記載の自動分析装置。
【請求項8】
前記撮像位置が複数設定されており、
前記自動分析装置制御部は、複数の前記撮像位置のうち1つで撮像した前記ノズルの画像から前記ノズルの先端部の位置を検出できない場合には、他の前記撮像位置で前記ノズルを撮像する、
請求項2に記載の自動分析装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検体と試薬を混ぜ合わせて成分分析を行う自動分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動分析装置は、検体(サンプル)と試薬を小さな容器(反応セル)に分注して混ぜ合わせ、サンプルの成分分析を行う。自動分析装置では、同一のノズルを繰り返し使用してサンプルや試薬を分注するため、分注精度の維持の観点から、半年から1年程度の間隔でノズルを交換する。自動分析装置は、細長く先端部の径が小さいノズルを用いて、サンプル容器に収容されたサンプルと試薬容器に収容された試薬を吸引して反応セルに吐出し、ノズルの先端部を洗浄槽で洗浄する。ノズルは、細長いサンプル容器、試薬の蒸発を防ぐために狭い開口部を持つ試薬容器、小さな容器である反応セル、及びノズルが通る洗浄孔を持つ洗浄槽に挿入される。これらの容器と洗浄槽は、ノズルが通る開口部(孔を含む)が小さい。このため、これらの容器と洗浄槽にノズルを挿入するときには、ノズルの位置をノズルが通る開口部の位置に合わせる必要がある
従来では、ノズルの位置とノズルが通る開口部の位置は、水平方向の位置ずれによる分注精度の低下や洗浄液の飛散を防ぐために、熟練した作業者が調整している。また、ノズルを交換したときには、ノズルの先端部の中心の位置は製造ばらつきによる反り具合によってノズルにより異なるため、交換のたびにノズルの水平位置を調整する必要がある。
【0003】
特許文献1には、熟練者と非熟練者で調整の質に差が生じることを抑制することができる、自動分析装置の調整システムが開示されている。この調整システムは、被調整対象を撮像する撮像装置(カメラ)を備え、撮像装置が撮像した画像に基づいて、被調整対象(ノズルを有するアーム)の現在位置を示す情報を取得する。
【0004】
撮像装置を用いてノズルの位置を調整するには、ノズルの先端部の位置座標とノズルが通る開口部の位置座標を抽出する必要がある。サンプル用のノズルは、サンプル容器、反応セル、及び洗浄槽のそれぞれに停止位置を有し、これらの停止位置でサンプルの吸引や吐出とノズルの洗浄を行う。試薬用のノズルは、試薬容器、反応セル、及び洗浄槽のそれぞれに停止位置を有し、これらの停止位置で試薬の吸引や吐出とノズルの洗浄を行う。それぞれの停止位置では、容器と洗浄槽のノズルが通る開口部(以下、「調整ターゲット」と呼ぶ)に対して、ノズルの位置を高精度に調整することが求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ノズルの複数の停止位置で、ノズルの水平方向の位置を効率的に調整するには、ノズルを有するアームに撮像装置を設けて、撮像装置で取得した画像を用いて自動でノズルと調整ターゲットとの位置ずれを検出するのが望ましい。しかし、アームに設けられた撮像装置で取得した画像には、ノズル以外にも、ノズルと同じ撮像距離にある調整ターゲットも撮像される。ノズルの先端部を撮像した画像からノズルの先端部を検出するときに、画像内に調整ターゲットが撮像されていると、特にノズルの先端部の背面にコントラスト変化の大きい部位や凹凸が撮像されていると、これらの影響で、ノズルの先端部の座標を画像処理によって高精度に抽出することが困難である。また、調整ターゲットの画像から調整ターゲットを検出するときには、調整ターゲットの開口部にノズルが重なっていると、開口部の中心の検出が難しい。
【0007】
本発明は、分注するためのノズルの先端部の位置を高精度に検出することができ、ノズルの位置を精度良く調整することができる自動分析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による自動分析装置は、試薬または検体を分注するためのノズルと、前記ノズルを移動させる分注アームとを備える分注機構と、前記ノズルを洗浄する洗浄槽と、前記ノズルの位置を調整する自動分析装置制御部とを備え、反応セルに収容された前記試薬と前記検体との混合液を分析する分析処理を実行する。前記分注機構には、前記ノズルが前記分析処理において移動を停止する位置である、前記ノズルの停止位置が設定されている。前記分注機構は、前記分注アームに撮像装置を備える。前記自動分析装置制御部は、前記ノズルを前記ノズルの撮像位置に移動させ、前記撮像位置において前記撮像装置で前記ノズルを撮像する。前記撮像位置は、前記ノズルが移動可能な位置であって、前記停止位置と異なる位置である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によると、分注するためのノズルの先端部の位置を高精度に検出することができ、ノズルの位置を精度良く調整することができる自動分析装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施例による自動分析装置の構成を示す図である。
【
図2A】本実施例による自動分析装置が備える分注機構を示す図で、脱着式の撮像装置を備える試薬分注機構を示す図である。
【
図2B】本実施例による自動分析装置が備える分注機構を示す図で、脱着式の撮像装置を備えるサンプル分注機構を示す図である。
【
図2C】本実施例による自動分析装置が備える分注機構を示す図で、内蔵された撮像装置を備える試薬分注機構を示す図である。
【
図2D】本実施例による自動分析装置が備える分注機構を示す図で、内蔵された撮像装置を備えるサンプル分注機構を示す図である。
【
図3A】本実施例による自動分析装置の撮像装置が撮像した、試薬用ノズルが洗浄孔の上部にあるときの試薬用ノズルの画像の例である。
【
図3B】本実施例による自動分析装置の撮像装置が撮像した、試薬用ノズルの先端部の背面が無地の背景となる位置で撮像した試薬用ノズルの画像の例である。
【
図3C】本実施例による自動分析装置の撮像装置が撮像した、分注アームから試薬用ノズルを取り外して撮像した洗浄孔の画像の例である。
【
図3D】本実施例による自動分析装置の撮像装置が撮像した、試薬用ノズルと洗浄孔が重ならない位置に試薬用ノズルを移動させて撮像した洗浄孔の画像の例である。
【
図4】本実施例による自動分析装置において、水平面における、試薬用ノズルとサンプル用ノズルの停止位置の一例を示す図である。
【
図5A】試薬用ノズルの撮像位置と試薬洗浄位置の付近で、試薬用ノズルの位置を調整する例を示す図であり、水平面における、撮像位置と洗浄孔とカメラの撮像範囲の一例を示す図である。
【
図5B】試薬用ノズルの撮像位置と試薬洗浄位置の付近で、試薬用ノズルの位置を調整する例を示す図であり、
図5AのA-A断面を示す図である。
【
図5C】試薬用ノズルの撮像位置と試薬洗浄位置の付近で、試薬用ノズルの位置を調整する例を示す図であり、水平面における、試薬洗浄位置と洗浄孔とカメラの撮像範囲の一例を示す図である。
【
図5D】試薬用ノズルの撮像位置と試薬洗浄位置の付近で、試薬用ノズルの位置を調整する例を示す図であり、
図5CのB-B断面を示す図である。
【
図6】本実施例による自動分析装置の自動分析装置制御部がノズルの位置を調整する処理のフローを示す図である。
【
図7】本実施例による自動分析装置が備える自動分析装置制御部の構成の例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明による自動分析装置には、分注するためのノズルが試薬や検体を吸引する吸引位置と、ノズルが試薬や検体を吐出する吐出位置と、ノズルの先端部を洗浄する洗浄位置が、ノズルの停止位置として設定されており、これらの停止位置とは別に、撮像装置でノズルを撮像するための撮像位置が、ノズルが移動可能な位置に設定されている。本発明による自動分析装置では、この撮像位置でノズルを撮像するので、ノズルの先端部の位置を高精度に検出することができる。ノズルの撮像位置は、ノズルを撮像した画像において、ノズルの先端部の背景が無地である位置(背景が、凹凸がなくてコントラストの変化が小さい位置)であるのが好ましい。ノズルと撮像装置が分注機構の分注アームに設けられているので、撮像装置は、ノズルとともに移動する。
【0012】
本発明による自動分析装置では、初めに、ノズルの撮像位置にノズルを移動させてノズルを撮像し、ノズルの先端部の位置座標を検出する。次に、撮像装置が撮像したときの画像においてノズルと撮像対象(例えば、試薬容器、検体容器、反応セル、または洗浄槽)が重ならない位置にノズルを移動させてから撮像対象を撮像し、撮像対象の位置座標を検出する。そして、ノズルの先端部の位置座標と撮像対象の位置座標から、ノズルと撮像対象の位置ずれ量を求めて、ノズルの水平方向の位置を調整する。このノズルの位置調整により、ノズルの中心の位置と撮像対象の中心の位置とを一致させることができる。このため、本発明による自動分析装置は、試薬と検体の混合液を分析する分析処理では、ノズルの中心の位置と撮像対象の中心の位置とが一致するように、ノズルを移動させることができる。
【0013】
以下、本発明の実施例による自動分析装置を、
図1から
図7を参照して説明する。なお、以下の説明では、検体のことをサンプルとも呼ぶ。また、試薬容器、検体容器、反応セル、及び洗浄槽のノズルが通る開口部のことを「調整ターゲット」と呼ぶ。
【実施例0014】
図1は、本発明の実施例による自動分析装置10の構成を示す図である。自動分析装置10は、試薬ディスク12と、反応ディスク13と、試薬分注機構14と、サンプル分注機構15と、試薬洗浄槽26(
図1には示さず、
図3A、3C、3D、5B、5Dに示す)と、サンプル洗浄槽27を備える。自動分析装置10には、複数の試薬容器11と、複数のサンプル容器23と、複数の反応セル25が提供される。自動分析装置10は、構成要素として、複数の試薬容器11と、複数のサンプル容器23と、複数の反応セル25を備えてもよい。
【0015】
自動分析装置10は、反応セル25に収容された試薬とサンプルとの混合液を分析する分析処理を実行する。
図1において、自動分析装置10の上下方向がZ方向であり、Z方向に垂直な2方向が水平方向であり、X方向とY方向であるとする。
【0016】
試薬容器11は、試薬を収容する容器である。試薬ディスク12は、複数の試薬容器11を周上に搭載し、回転して試薬容器11を移動させる。
図1に示す自動分析装置10では、一例として、試薬ディスク12が複数の試薬容器11を径が互いに異なる2つの円周上に搭載している。
【0017】
サンプル容器23は、サンプルを収容する容器である。サンプルは、例えば、血清や全血などの血液由来の検体、または尿などである。サンプル容器23は、例えば採血管である。複数のサンプル容器23は、1つのサンプルラック24に搭載される。複数のサンプルラック24は、サンプル容器23に収容されたサンプルが分析されるように、搬送ライン101を移動する。
【0018】
反応セル25は、試薬とサンプルとの混合液を収容し、試薬とサンプルを混ぜ合わせる容器である。反応ディスク13は、複数の反応セル25を周上に搭載し、回転して反応セル25を移動させる。反応ディスク13では、試薬とサンプルが混合されて反応が測定される。
図1には、反応ディスク13に搭載された4つの反応セル25を、拡大して示している。
【0019】
試薬分注機構14は、試薬を分注するための試薬用ノズル21と、試薬用ノズル21を移動させる分注アームを備え、試薬の吸引と吐出を行う。サンプル分注機構15は、サンプルを分注するためのサンプル用ノズル22と、サンプル用ノズル22を移動させる分注アームを備え、サンプルの吸引と吐出を行う。
図1に示す自動分析装置10は、一例として、2つの試薬分注機構14と2つのサンプル分注機構15を備える。
【0020】
試薬洗浄槽26は、試薬が付着した試薬用ノズル21の先端部を水で洗い流して、試薬用ノズル21を洗浄する容器である。サンプル洗浄槽27は、サンプルが付着したサンプル用ノズル22の先端部を水で洗い流して、サンプル用ノズル22を洗浄する容器である。試薬洗浄槽26とサンプル洗浄槽27は、それぞれ試薬用ノズル21とサンプル用ノズル22が通る開口部(洗浄孔)を備える。
【0021】
試薬容器11に収容された試薬は、試薬ディスク12によって移動し、試薬分注機構14の試薬用ノズル21によって吸引され、反応セル25に吐出される。サンプル容器23に収容されたサンプルは、サンプルラック24に搭載されて搬送ライン101を移動し、サンプル分注機構15のサンプル用ノズル22によって吸引され、反応セル25に吐出される。
【0022】
試薬分注機構14には、試薬用ノズル21が試薬容器11から試薬を吸引する試薬吸引位置と、試薬用ノズル21が反応セル25に試薬を吐出する試薬吐出位置と、試薬用ノズル21を洗浄する試薬洗浄槽26がある試薬洗浄位置が、試薬用ノズル21の停止位置として予め設定されている。試薬用ノズル21の停止位置は、自動分析装置10が実行する分析処理において、試薬用ノズル21が移動を停止する位置である。
【0023】
試薬分注機構14は、試薬用ノズル21を各停止位置へ移動させる。さらに、試薬分注機構14は、各停止位置(試薬吸引位置、試薬吐出位置、及び試薬洗浄位置)では、それぞれ試薬容器11、反応セル25、及び試薬洗浄槽26の高さに合わせて、試薬用ノズル21を昇降させる。
【0024】
サンプル分注機構15には、サンプル用ノズル22がサンプル容器23からサンプルを吸引するサンプル吸引位置と、サンプル用ノズル22が反応セル25にサンプルを吐出するサンプル吐出位置と、サンプル用ノズル22を洗浄するサンプル洗浄槽27があるサンプル洗浄位置が、サンプル用ノズル22の停止位置として予め設定されている。サンプル用ノズル22の停止位置は、自動分析装置10が実行する分析処理において、サンプル用ノズル22が移動を停止する位置である。
【0025】
サンプル分注機構15は、サンプル用ノズル22を各停止位置へ移動させる。さらに、サンプル分注機構15は、各停止位置(サンプル吸引位置、サンプル吐出位置、及びサンプル洗浄位置)では、それぞれサンプル容器23、反応セル25、及びサンプル洗浄槽27の高さに合わせて、サンプル用ノズル22を昇降させる。
【0026】
試薬分注機構14とサンプル分注機構15は、以上のような動作を行うため、それぞれ試薬用ノズル21とサンプル用ノズル22を、水平方向と上下方向に移動させることができる構成を備える。
図1には、一例として、試薬分注機構14が回転2軸の2自由度を水平方向に備える構成を示し、サンプル分注機構15が回転1軸の1自由度を水平方向に備える構成を示している。試薬分注機構14とサンプル分注機構15は、この構成に限らず、並進1軸と回転1軸を合わせた2自由度を備える構成や3つ以上の自由度を備える構成など、任意の構成を備えることができる。
【0027】
なお、自動分析装置10は、後述する自動分析装置制御部により、試薬分注機構14とサンプル分注機構15を制御する。自動分析装置10は、測定部(図示せず)を備え、反応セル25に収容された試薬とサンプルとの混合液を測光することで、サンプル内の所定成分の濃度などを分析する。測定部は、例えば光源と光度計を備える。光度計は、例えば吸光光度計または散乱光度計である。
【0028】
図2Aから
図2Dは、本実施例による自動分析装置10が備える分注機構14、15を示す図である。
図2Aは、脱着式の撮像装置を備える試薬分注機構14を示す図である。
図2Bは、脱着式の撮像装置を備えるサンプル分注機構15を示す図である。
図2Cは、内蔵された撮像装置を備える試薬分注機構14を示す図である。
図2Dは、内蔵された撮像装置を備えるサンプル分注機構15を示す図である。
【0029】
本実施例では、一例として、試薬分注機構14とサンプル分注機構15の両方が撮像装置を備える構成について説明する。本発明による自動分析装置10は、試薬分注機構14とサンプル分注機構15の両方が撮像装置を備えなくてもよく、試薬分注機構14とサンプル分注機構15の一方が撮像装置を備えてもよい。試薬分注機構14とサンプル分注機構15のうち、どれが撮像装置を備えるかは、例えば、試薬用ノズル21とサンプル用ノズル22の大きさや、撮像対象(例えば、試薬容器11、サンプル容器23、反応セル25、試薬洗浄槽26、サンプル洗浄槽27)の開口部の大きさに応じて決めることができる。なお、以下の説明において、試薬分注機構14の撮像装置についての記載は、試薬分注機構14が撮像装置を備える場合についての説明であり、サンプル分注機構15の撮像装置についての記載は、サンプル分注機構15が撮像装置を備える場合についての説明である。
【0030】
図2Aと
図2Bに示す分注機構14、15は、分注アーム201を備え、分注アーム201の下に脱着式の撮像装置を備える。撮像装置は、カメラ202と画像取得部203aを備え、接続部204で分注アーム201に脱着可能に固定される。カメラ202は、レンズを備える。画像取得部203aは、バッテリーを備える。カメラ202と画像取得部203aは、分注機構14、15に対して脱着が可能であるため、ノズル21、22の位置を調整するときに、分注機構14、15に取り付けて使用することができる。
図2Aと
図2Bには、カメラ202の撮像範囲205を示している。
【0031】
分注機構14、15が脱着式の撮像装置(カメラ202と画像取得部203a)を備える構成の主要な利点は、2つある。1つは、通常の分析処理を行うときには、撮像装置を取り外すことができるため、分注アーム201の質量を軽くすることができ、分注アーム201を駆動するモータへの負荷を小さくできる点である。もう1つは、撮像装置を必ずしも全ての分注機構14、15に設置しなくてもよいので、撮像装置を全ての分注機構14、15に設置した場合と比べて、コストが低くなる点である。
【0032】
図2Cと
図2Dに示す分注機構14、15は、分注アーム201を備え、分注アーム201に撮像装置が内蔵されている。撮像装置は、カメラ202と画像取得部203bを備える。カメラ202は、レンズを備える。画像取得部203bは、バッテリーを備えない。撮像装置は、分注アーム201の内部で給電されるため、バッテリーが不要である。カメラ202のレンズの少なくとも一部は、分注アーム201から露出する。
図2Cと
図2Dには、カメラ202の撮像範囲205を示している。
【0033】
分注機構14、15が内蔵された撮像装置(カメラ202と画像取得部203b)を備える構成の主要な利点は、バッテリーが不要であるため分注アーム201の質量が軽くなる点と、通常の分析処理を行っている間に、撮像装置でノズル21、22を常時監視できる点である。
【0034】
なお、
図2Aから
図2Dに示した分注機構14、15において、分注アーム201がノズル21、22を移動させると、カメラ202もともに移動し、撮像範囲205も移動する。
【0035】
本実施例による自動分析装置10において、撮像装置(カメラ202と画像取得部203a、203b)は、撮像範囲205にノズル21、22の先端部が入り、ノズル21、22の先端部にカメラ202の焦点が合うように構成されている。このため、撮像装置は、カメラ202からノズル21、22の先端部と同程度の距離にあるものを撮像可能である。
【0036】
図3Aから
図3Dは、本実施例による自動分析装置10の撮像装置が撮像した試薬用ノズル21と洗浄孔301の画像の一例である。洗浄孔301は、試薬洗浄槽26とサンプル洗浄槽27に備えられ、ノズル21、22が通る開口部、すなわち調整ターゲットである。
図3A、
図3C、及び
図3Dには、一例として、試薬洗浄槽26の洗浄孔301を示す。なお、
図3Aから
図3Dは、水平面(XY面)における画像であり、
図3Aから
図3Dにおいて、紙面の左右方向がX方向であり、紙面の上下方向がY方向である。
【0037】
図3Aは、ノズル21が洗浄孔301の上部にあるときのノズル21の画像の例である。ノズル21は、洗浄孔301を通って試薬洗浄槽26に挿入されて洗浄されるため、ノズル21の先端部が洗浄孔301の中心に来るようにノズル21の位置を調整する必要がある。
図3Aに示す画像では、自動分析装置10がノズル21の先端部のエッジを抽出しようとすると、試薬洗浄槽26が持つエッジ部(例えば、試薬洗浄槽26の凸部の縁)がノズル21の先端部と重なり、ノズル21の先端部の正確な位置を検出するのが困難である。また、画像内で洗浄孔301がノズル21と重なっているために、洗浄孔301の中心も検出が難しい。
【0038】
図3Bは、ノズル21の先端部の背面が無地の背景となる位置で撮像したノズル21の画像の例である。
図3Bに示す画像では、ノズル21の先端部のエッジ302の付近に他の部品が重なっていないため、自動分析装置10は、ノズル21の先端部の位置を容易かつ高精度に検出できる。
【0039】
自動分析装置10は、ノズル21の画像からノズル21の先端部の位置を任意の方法で検出することができる。例えば、自動分析装置10は、以下の方法でノズル21の先端部のエッジ302を抽出し、ノズル21の先端部の位置を検出することができる。すなわち、自動分析装置10は、撮像した画像の状態をコントラスト調整やガンマ補正などで調整し、さらに2値化によりエッジと他の領域を切り分け、得られた複数のエッジからノズル21の先端部の形状とのマッチングを行い、ノズル21の先端部と判定したエッジ302を抽出する。自動分析装置10は、ノズル21の先端部として抽出したエッジ302から、ノズル21の外径を基にノズル21の中心の座標を算出し、算出した中心の座標をノズル21の先端部の位置とすることができる。
図3Bに示す画像には、ノズル21の中心の座標として、X座標303とY座標304を示している。ただし、自動分析装置10は、ノズル21の位置をノズル21の外面と洗浄孔301との距離を基に調整する場合には、ノズル21の中心の座標の代わりに、ノズル21の先端部のエッジ302の予め定めた一点の座標を算出することができ、算出した点の座標をノズル21の先端部の位置とすることもできる。
【0040】
図3Cは、分注アーム201からノズル21を取り外して撮像した洗浄孔301の画像の例である。自動分析装置10は、洗浄孔301の形状や大きさが既知であるため、洗浄孔301の輪郭情報を事前に有していれば、
図3Cに示す画像から洗浄孔301のエッジを抽出できる。しかし、ノズル21を取り外して分注アーム201を動作させるには、ノズル21とつながる流路をふさいで液漏れを防ぐなどの追加の作業が必要である。このため、ノズル21を取り外して洗浄孔301を撮像することは現実的ではない。
【0041】
図3Dは、ノズル21と洗浄孔301が重ならない位置にノズル21を移動させて撮像した洗浄孔301の画像の例である。
図3Dに示す画像では、洗浄孔301がノズル21と重なっていないために、自動分析装置10は、
図3Cに示す画像を用いた場合と同様にして、
図3Dに示す画像から洗浄孔301のエッジを抽出でき、洗浄孔301の中心の座標を算出できる。
図3Dに示す画像には、洗浄孔301の中心の座標として、X座標305とY座標306を示している。
【0042】
図3Bに示す画像を撮像したときと
図3Dに示す画像を撮像したときでは、カメラ202とノズル21との位置関係は変わらない。このため、
図3Dに示す画像において、ノズル21の中心の座標は、
図3Bに示す画像から得られた座標(X座標303とY座標304)と同じである。従って、
図3Dに示す画像において、ノズル21と洗浄孔301との間の位置ずれ量は、X方向ではノズル21の中心のX座標303と洗浄孔301の中心のX座標305との差307であり、Y方向ではノズル21の中心のY座標304と洗浄孔301の中心のY座標306との差308である。
【0043】
分注機構14、15は、ステッピングモータで分注アーム201を駆動する。このため、自動分析装置10は、ノズル21と洗浄孔301との間のX方向とY方向の位置ずれ量(X方向の差307とY方向の差308)が分かれば、この位置ずれ量だけノズル21を移動させて、ノズル21の中心の位置と洗浄孔301の中心の位置とを合わせることができる。すなわち、自動分析装置10は、この位置ずれ量をノズル21の現在位置からの移動距離としてパルス数に変換し、このパルス数を指令値としてモータに与えて分注アーム201を移動させることで、ノズル21の中心の位置と洗浄孔301の中心の位置とが合うように、ノズル21の水平方向の位置を調整することができる。
【0044】
なお、分注機構14、15がステッピングモータ以外のモータで分注アーム201を駆動する構成を備えていても、分注アーム201の回転角をエンコーダで測定するなどの方法で、同様にしてノズル21の位置を調整することができる。
【0045】
分注機構14、15は、リミットセンサを利用して自動分析装置10の起動時に毎回同じ位置(原点)に分注アーム201を移動させる機能を備える。このため、自動分析装置10は、ノズル21の中心の位置と洗浄孔301の中心の位置とが合うようなノズル21の移動距離が分かれば、起動時に毎回ノズル21の位置を調整して、ノズル21の位置を洗浄孔301の中心に合わせることができる。
【0046】
以上説明したように、本実施例による自動分析装置10では、ノズル21の先端部の背面が無地の背景となる位置(
図3B)でノズル21を撮像することで、ノズル21の先端部の位置を高精度に検出できるので、調整ターゲット(
図3Aから
図3Dに示した例では洗浄孔301)に対してノズル21の水平方向の位置を精度良く調整することができる。
【0047】
図4は、本実施例による自動分析装置10において、水平面(XY面)における、試薬用ノズル21とサンプル用ノズル22の停止位置(水平方向の停止位置)の一例を示す図である。
【0048】
自動分析装置10では、試薬容器11とサンプル容器23と反応セル25が移動する。試薬容器11には、収容した試薬の蒸発を防ぐ蓋を備えるものがある。本実施例では、一例として、試薬容器11がこの蓋を備え、この蓋に試薬用ノズル21が通る孔(開口部)が設けられているものとする。以下では、試薬容器11の蓋の孔のことを、単に「試薬容器11の孔」とも呼ぶ。
【0049】
図4には、試薬容器11の孔の中心の軌道402と、サンプル容器23の中心の軌道403と、反応セル25の中心の軌道401を示している。なお、
図1に示すように、1つの試薬容器11に2つの孔が設けられており、径が互いに異なる2つの円周上に試薬容器11が配置されているので、
図4に示すように、軌道402は、4つの円で示される。
【0050】
試薬用ノズル21の停止位置は、試薬容器11から試薬を吸引する試薬吸引位置404と、反応セル25に試薬を吐出する試薬吐出位置405と、試薬用ノズル21を洗浄する試薬洗浄槽26の洗浄孔301がある試薬洗浄位置406である。試薬吸引位置404は、試薬容器11の孔の中心の軌道402上に位置する。試薬容器11の孔の中心の軌道402が4つあるので、試薬吸引位置404は、それぞれの軌道402に対して1つずつ定められる。試薬吐出位置405は、反応セル25の中心の軌道401上に位置する。自動分析装置10は、2つの試薬分注機構14を備えるので、それぞれの試薬分注機構14に対して、4つの試薬吸引位置404と1つの試薬吐出位置405と1つの試薬洗浄位置406が定められる。
【0051】
サンプル用ノズル22の停止位置は、サンプル容器23からサンプルを吸引するサンプル吸引位置409と、反応セル25にサンプルを吐出するサンプル吐出位置410と、サンプル用ノズル22を洗浄するサンプル洗浄槽27の洗浄孔301があるサンプル洗浄位置411である。サンプル吸引位置409は、サンプル容器23の中心の軌道403上に位置する。サンプル吐出位置410は、反応セル25の中心の軌道401上に位置する。自動分析装置10は、2つのサンプル分注機構15を備えるので、それぞれのサンプル分注機構15に対して、1つのサンプル吸引位置409と1つのサンプル吐出位置410と1つのサンプル洗浄位置411が定められる。
【0052】
図4には、試薬用ノズル21とサンプル用ノズル22の停止位置を、黒丸の記号で示している。
【0053】
さらに、試薬分注機構14には、試薬用ノズル21を撮像する位置が、試薬用ノズル21の撮像位置407として設定されている。サンプル分注機構15には、サンプル用ノズル22を撮像する位置が、サンプル用ノズル22の撮像位置412として設定されている。撮像位置407、412は、それぞれ試薬用ノズル21とサンプル用ノズル22の移動可能な位置の中にある。
【0054】
図4には、試薬用ノズル21とサンプル用ノズル22の撮像位置407、412を、三角の記号で示している。
【0055】
撮像位置407、412は、それぞれ、カメラ202がノズル21、22の先端部を撮像した画像において、ノズル21、22の先端部の背景が無地である位置である。無地の背景とは、自動分析装置10が、ノズル21を撮像した画像からノズル21の先端部の位置を所望の精度で検出することができるような背景である。例えば、ノズル21、22の背面が凹凸のない面であると認識できる程度にコントラストの変化が小さい面を、無地の背景にすることができる。
【0056】
撮像位置407、412は、それぞれノズル21、22の停止位置と異なる位置である。ノズル21、22の停止位置では、カメラ202でノズル21、22の先端部を撮像したときに、ノズル21、22の先端部の背面が無地の背景とならない。カメラ202は、撮像位置407、412で、それぞれノズル21、22の先端部を撮像する。
【0057】
分注機構14、15には、ノズル21、22が移動可能な位置であり、ノズル21、22を撮像したときの画像においてノズル21、22の先端部の背面が無地の背景となる位置であれば、任意の位置に撮像位置407、412が設定されてもよい。また、分注機構14、15には、それぞれ複数の撮像位置407、412が設定されてもよい。
【0058】
図4には、水平方向に2自由度を備える2つの試薬分注機構14について、試薬用ノズル21の移動可能な範囲408を破線で示している。試薬用ノズル21は、破線で囲まれた範囲408の内部を移動可能である。複数の試薬分注機構14のうち、1つの試薬分注機構14のノズル21の移動可能な範囲408が、他の試薬分注機構14のノズル21の移動可能な範囲408と重なる場合には、この重なった領域に撮像位置407を設けることもできる。
【0059】
分注機構15は、水平方向に1自由度を備える構成であるため、撮像位置412がサンプル用ノズル22の軌道413上にある。ノズル22は、軌道413上でしか移動できない。本実施例による自動分析装置10では、分注機構15が水平方向に1自由度を備える構成でも、ノズル22の先端部を撮像位置412で撮像し、
図3Dに示したように座標の差307、308を正確に検出することで、ノズル22の位置の調整量を正確に把握することができ、ノズル22の位置を効率的に調整できる。
【0060】
本実施例による自動分析装置10は、分注機構14、15が水平方向に2自由度を備える構成を備えてもよく、このような構成を備えると、ノズル21とノズル22の位置を効率的に自動調整することができる。
【0061】
また、撮像位置407、412は、試薬分注機構14のノズル21の移動可能な範囲408と、サンプル分注機構15のノズル22の移動可能な範囲(ノズル22の軌道413)とが重なった位置に設けることもできる。
【0062】
以上説明したように、撮像位置407、412は、それぞれノズル21、22が移動可能な位置(ノズル21の移動可能な範囲408内と、ノズル22の軌道413上)であり、ノズル21、22の停止位置(吸引位置、吐出位置、及び洗浄位置)と異なる位置であって、カメラ202でノズル21、22の先端部を撮像したときに、ノズル21、22の先端部の背面が無地の背景(凹凸がなくコントラストの変化が小さい面)となる位置である。自動分析装置10は、ノズル21、22を撮像したときの画像において、ノズル21、22の先端部の背面が無地の背景となる領域(面)を備えることができる。
【0063】
撮像位置407と撮像位置412は、それぞれ試薬用ノズル21とサンプル用ノズル22の位置を調整するとき以外は、カバーで覆われていてもよい。例えば、撮像位置407、412は、自動分析装置10が分析処理を行うときにはカバーで覆われており、自動分析装置10がノズル21、22の位置を調整するときにはカバーで覆われていない。カバーは、撮像位置407、412が汚れるのを防ぐために設けられ、ノズル21、22の位置を調整するときに、ノズル21、22の背面に検出誤差となる汚れ(コントラスト変化を生じる領域)が、撮像した画像に映るリスクを軽減する。
【0064】
また、カバーは、ノズル21、22の位置を調整するときにカメラ202が撮像するノズル21、22の先端部の画像の、無地の背景として用いることもできる。すなわち、撮像位置407、412の少なくとも一方は、このカバー上に位置してもよい。
【0065】
カバーは、試薬容器11とサンプル容器23と反応セル25と試薬洗浄槽26とサンプル洗浄槽27のうち少なくとも1つを覆い、撮像位置407、412を覆うことと覆わないことができれば、任意の構成を備えることができる。例えば、カバーは、開閉可能、スライド可能、または取り外し可能な構成を備えることができる。
【0066】
この他に、ノズル21、22の位置を調整するときにのみ、それぞれ撮像位置407、412に無地の背景となる面を備える部材(背景部材)を設置し、この背景部材を無地の背景としてもよい。背景部材は、無地の背景となる面を備えれば、任意の構成を備えることができ、例えばシート、シール、及びブロック材で構成することができる。自動分析装置10は、ノズル21、22の先端部の背面が無地の背景となる領域を備えない場合でも、背景部材を用いることにより、無地の背景となる領域を備えることができる。
【0067】
自動分析装置10は、分注機構14(または分注機構15)に複数の撮像位置407(または撮像位置412)が設定されている場合には、これらの撮像位置407(撮像位置412)でカメラ202が撮像した画像から、エッジの本数、エッジの領域、または色変化の程度を基に汚れや障害物を自動的に検出して、汚れや障害物の少ない撮像位置407(撮像位置412)を自動的に選択することも可能である。また、自動分析装置10は、ある1つの撮像位置407(撮像位置412)でカメラ202が撮像したノズル21(またはノズル22)の画像からノズル21(ノズル22)の先端部の位置を検出できない場合には、後述する自動分析装置制御部により、撮像位置407(撮像位置412)を他の撮像位置407(撮像位置412)に切り替えて、他の撮像位置407(撮像位置412)でノズル21(ノズル22)を撮像することもできる。
【0068】
また、自動分析装置10は、複数の撮像位置407(または撮像位置412)で画像を撮像し、これらの画像のそれぞれからノズル21(またはノズル22)の先端部の位置を検出し、検出した複数の先端部の位置を平均することでノズル21(ノズル22)の先端部の位置を求めてもよい。この平均化により、ノズル21(ノズル22)の先端部の位置の検出誤差を低減できる。
【0069】
図5Aから
図5Dは、試薬用ノズル21の撮像位置407と試薬洗浄位置406の付近で、試薬用ノズル21の位置を調整する例を示す図である。サンプル用ノズル22の位置を調整する場合にも、以下の説明を適用することができる。
【0070】
図5Aと
図5Bは、ノズル21が撮像位置407に位置するように分注アーム201を移動させた状態を示す図である。
図5Aは、水平面(XY面)における、撮像位置407と試薬洗浄槽26の洗浄孔301とカメラ202の撮像範囲205の一例を示す図である。
図5Bは、
図5AのA-A断面を示す図である。
【0071】
自動分析装置10では、試薬洗浄槽26や分注機構14などの構成要素が、ベース501に設置されている。ベース501の上方には、分析処理の動作で飛散した試薬、サンプル、及び洗浄液などの液体をふき取りやすくするために、カバー502が設置されている。カバー502は、試薬容器11とサンプル容器23と反応セル25と試薬洗浄槽26とサンプル洗浄槽27のうち少なくとも1つを覆い、撮像位置407、412を覆うことと覆わないことができる。カバー502には、ノズル21が試薬容器11、サンプル容器23、反応セル25、試薬洗浄槽26、及びサンプル洗浄槽27にアクセスするために、通過孔503が設けられている。
【0072】
上述したように、カバー502は、ノズル21の位置を調整するときにカメラ202が撮像するノズル21の先端部の画像の、無地の背景として用いることができる。カバー502を外してノズル21の先端部の画像を撮像する場合には、ベース501に試薬洗浄槽26と同程度の高さのブロック材(凹凸がなくコントラストの変化が小さい領域を上面に備えるブロック材)などを背景部材として設置してから、画像を撮像してもよい。
【0073】
撮像位置407では、
図3Bに示した例のような、ノズル21の先端部の画像を撮像することができる。このため、
図5Bに示すようなノズル21が撮像位置407に位置するときに撮像した画像から、ノズル21の中心の座標303、304を精度良く算出できる。
【0074】
なお、見やすくするために
図5Aと
図5Bに描いていないが、自動分析装置10は、通過孔503の近くに、反応セル25や試薬容器11にアクセスするための開口部を多数備える。この開口部の付近には、液体が飛散するリスクがある。このため、撮像位置407は、分析処理時の分注動作で使用しない分注アーム201のノズル21、22の移動可能な位置に設けることが望ましい。
【0075】
図5Cと
図5Dは、ノズル21が試薬洗浄位置406の付近に位置するが、洗浄孔301を撮像した画像においてノズル21と洗浄孔301が重ならない位置にノズル21が位置するように、分注アーム201を移動させた状態を示す図である。
図5Cは、水平面(XY面)における、試薬洗浄位置406と洗浄孔301とカメラ202の撮像範囲205の一例を示す図である。
図5Dは、
図5CのB-B断面を示す図である。
【0076】
ノズル21は、先端部が洗浄孔301からずれた位置にあり、カメラ202で洗浄孔301を撮像しても、
図3Dに示した例のように、ノズル21と洗浄孔301が重ならない。このため、
図5Dに示す状態で撮像した画像から、洗浄孔301の中心の座標305、306を精度良く算出できる。
【0077】
なお、カバー502の通過孔503は、洗浄孔301より大きい。このため、カバー502を取り外すことなく、洗浄孔301の撮像が可能である。但し、洗浄孔301や通過孔503の深さやサイズによっては、カバー502を取り外して撮像してもよい。
【0078】
洗浄孔301とノズル21の先端部は上下方向(Z方向)の位置が互いに異なるが、これらがカメラ202のピントが合う範囲に位置していれば、ノズル21より十分大きい洗浄孔301のエッジを抽出することができる。また、分注アーム201の上下方向の位置がステッピングモータのパルス数から分かるので、ノズル21の先端部と試薬洗浄槽26との上下方向の距離を算出できる。このため、洗浄孔301を撮像した画像を、上下方向の位置が洗浄孔301とノズル21の先端部とで同じとした場合の画像に補正することができる。
【0079】
本実施例による自動分析装置10は、自動分析装置制御部を備え、自動分析装置制御部が試薬用ノズル21とサンプル用ノズル22の位置を調整する処理を制御する。自動分析装置制御部は、試薬用ノズル21とサンプル用ノズル22をそれぞれ撮像位置407、412に移動させ、それぞれ撮像位置407、412においてカメラ202でノズル21、22を撮像し、ノズル21、22の位置を調整する。
【0080】
図6は、本実施例による自動分析装置10の自動分析装置制御部が試薬用ノズル21(またはサンプル用ノズル22)の位置を調整する処理のフローを示す図である。以下では、試薬用ノズル21の位置を調整する例を説明するが、サンプル用ノズル22の位置を調整する場合にも以下の説明を適用することができる。
【0081】
S601で、自動分析装置制御部は、試薬用ノズル21を試薬用ノズル21の撮像位置407に移動させ、カメラ202でノズル21を撮像する。カメラ202は、撮像位置407にてノズル21の先端部を撮像する。撮像位置407は、予め自動分析装置制御部(
図7を用いて後述する停止位置テーブル709)に与えられている。
【0082】
S602で、自動分析装置制御部は、撮像した画像が正常か否かを判断する。自動分析装置制御部は、撮像した画像からノズル21の先端部のエッジを抽出できる場合には、撮像した画像が正常であると判断し、S603の処理に進む。自動分析装置制御部は、撮像した画像からノズル21の先端部のエッジを抽出できない場合(例えば、汚れや障害物などによるノズル21の先端部以外のエッジを、ノズル21の先端部の付近に検出した場合)には、撮像した画像が異常であると判断し、S608の処理に進む。
【0083】
S608で、自動分析装置制御部は、撮像位置407を別の撮像位置407に変更する。この後、自動分析装置制御部は、S601の処理に進み、ノズル21を変更後の撮像位置407に移動させ、ノズル21の先端部を撮像する。分注機構14に別の撮像位置407が設定されていない場合には、自動分析装置制御部は、S601の処理に進まず、GUIなどにアラームを出す。
【0084】
S603で、自動分析装置制御部は、撮像した正常な画像(ノズル21の先端部の画像)から、ノズル21の中心の座標303、304を算出し、保存する。
【0085】
S604で、自動分析装置制御部は、ノズル21を、調整ターゲット(ノズル21が通る開口部)を撮像した画像においてノズル21と調整ターゲットが重ならない位置に移動させ、カメラ202で調整ターゲットを撮像する。以下では、調整ターゲットを撮像した画像においてノズル21と調整ターゲットが重ならない位置を、「調整対象位置」と呼ぶ。調整対象位置は、予め定められている。カメラ202は、ノズル21が調整対象位置にあるときに、調整ターゲットを撮像する。
【0086】
自動分析装置制御部は、カメラ202で、試薬洗浄槽26、試薬容器11、または反応セル25を試薬撮像対象として撮像するときには、この試薬撮像対象を撮像した画像においてノズル21と試薬撮像対象が重ならない位置で、試薬撮像対象を撮像する。また、自動分析装置制御部は、カメラ202で、サンプル洗浄槽27、サンプル容器23、または反応セル25をサンプル撮像対象として撮像する場合には、このサンプル撮像対象を撮像した画像においてノズル22とサンプル撮像対象が重ならない位置で、サンプル撮像対象を撮像する。
【0087】
自動分析装置制御部は、ノズル21を撮像位置407から調整対象位置に移動させるときには、分析処理におけるノズル21の移動速度よりも十分低速でノズル21を移動させるのが好ましい。調整対象位置へのノズル21の移動速度を低速にすると、例えば分注機構14が脱着式の撮像装置を備える場合(
図2A)でも、ノズル21の移動によりノズル21とカメラ202との相対位置がずれるのを防止できる。同様に、自動分析装置制御部は、カメラ202で調整ターゲット(ノズル22が通る開口部)を撮像する場合において、ノズル22を撮像位置412から調整対象位置(ノズル22と調整ターゲットが重ならない位置)に移動させるときには、分析処理におけるノズル22の移動速度よりも十分低速でノズル22を移動させるのが好ましい。
【0088】
S605で、自動分析装置制御部は、撮像した調整ターゲットの画像から、調整ターゲットの中心の座標305、306を算出し、保存する。自動分析装置制御部は、撮像した調整ターゲット(試薬容器11の蓋の孔、サンプル容器23の開口部、反応セル25、及び洗浄孔301)のサイズと形状に応じて、調整ターゲットの中心の座標を求める。自動分析装置制御部には、調整ターゲットの位置とサイズと形状が予め与えられている。例えば、自動分析装置制御部は、予め与えられた調整ターゲットのサイズと形状を基にパターンマッチングを行って、調整ターゲットの画像から調整ターゲットの中心の座標を求めることができる。
【0089】
S606で、自動分析装置制御部は、ノズル21の位置の調整量(
図3Dに示した座標の差307、308)を、ノズル21の中心の座標303、304と調整ターゲットの中心の座標305、306から算出する。そして、自動分析装置制御部は、ノズル21をこの調整量だけ移動させて、ノズル21の中心の座標303、304と調整ターゲットの中心の座標305、306を一致させる。自動分析装置制御部は、このようにして、ノズル21の位置を調整する。この後、自動分析装置制御部は、カメラ202でノズル21と調整ターゲットを撮像し、ノズル21の位置の調整結果を記録する。
【0090】
自動分析装置制御部は、以上のS601からS606までの処理を、全ての調整ターゲットに対して繰り返し行う。
【0091】
S607で、自動分析装置制御部は、全ての調整ターゲットに対してS601からS606の処理を行ったか判定する。自動分析装置制御部は、全ての調整ターゲットに対してS601からS606の処理を行った場合には、ノズル21の位置の調整が終了したと判断する。
【0092】
図6に示した処理のフローでは、自動分析装置制御部は、ノズル21の中心の座標303、304を全ての調整ターゲットのそれぞれに対して算出する。自動分析装置制御部は、最初の調整ターゲットだけに対してノズル21の中心の座標303、304を算出し、他の調整ターゲットに対しては、ノズル21の中心の座標303、304を算出せず、最初の調整ターゲットに対して算出したノズル21の中心の座標303、304を用いることもできる。
【0093】
分注機構14が脱着式の撮像装置を備える場合(
図2A)には、ノズル21とカメラ202との相対位置がずれる可能性もあるため、ノズル21を撮像位置407から調整対象位置に移動させる直前に、ノズル21の中心の座標303、304を確認することが望ましい。また、調整対象位置のそれぞれの付近に撮像位置407を設けて、撮像位置407から調整対象位置までの距離を短くしても、カメラ202の位置ずれを防止できる。また、前述したような液体が飛散するリスクを考慮し、ノズル21の位置を調整するときにはベース501をカバー502で覆い、カバー502をノズル21の先端部の画像の無地の背景として用いることが望ましい(
図5B、5D)。
【0094】
図7は、本実施例による自動分析装置10が備える自動分析装置制御部の構成の例を示すブロック図である。自動分析装置制御部は、分注機構制御部701、GUI(グラフィカル・ユーザ・インターフェース)702、モード切替部703、分析動作制御部704、分注アーム制御部705、ノズル位置調整動作制御部706、分注アーム水平駆動部707、分注アーム上下駆動部708、停止位置テーブル709、撮像制御部710、画像データ保存部711、ノズル先端部座標抽出部712、ノズル位置調整量計算部713、対象座標抽出部714、及び調整ターゲット情報保存部715を備える。さらに、自動分析装置制御部は、
図7に示していないが、試薬ディスク12と反応ディスク13と搬送ライン101を駆動する機構を備える。
【0095】
分注機構制御部701は、GUI702からのユーザの指令に応じて、モード切替部703に対して制御モードの切り替えを指示する。また、分注機構制御部701は、
図6のS602の処理を実行してS601で撮像した画像が正常か否かを判断するとともに、S608の処理を実行して撮像位置407を別の撮像位置407に変更する。
【0096】
モード切替部703は、分注機構14、15の動作を、通常の分析処理を行う分析モードと、ノズル21、22の位置調整を行う調整モードとに切り替えることができる。なお、モード切替部703は、分注機構14、15の各部を初期位置に移動させるリセットモードや、ノズル21、22と反応セル25の洗浄を集中的に行うメンテナンスモードを、分注機構14、15に実行させることもできる。
【0097】
分析モードでは、モード切替部703は、分析動作制御部704に実行指令を送る。分析動作制御部704は、分注アーム制御部705に指令を送り、分注アーム201を駆動させる。分注アーム201は、ノズル21、22を高速で移動させる。
【0098】
調整モードでは、モード切替部703は、ノズル位置調整動作制御部706に実行指令を送る。ノズル位置調整動作制御部706は、分注アーム制御部705に指令を送り、分注アーム201を駆動させる。分注アーム201は、ノズル21、22を低速(分析モードでのノズル21、22の移動速度よりも遅い速度)で移動させる。
【0099】
分注アーム制御部705は、分析動作制御部704とノズル位置調整動作制御部706からの指令に応じて、分注アーム水平駆動部707と分注アーム上下駆動部708にモータを駆動する指令(例えば、パルス数やパルスレート)を逐次送り、ノズル21、22を移動させる。分注アーム制御部705は、後述する停止位置テーブル709に格納されている情報を用いて、ノズル21、22が移動を停止する位置を指示することができる。
【0100】
分注アーム水平駆動部707は、分注アーム201を水平方向に駆動し、ノズル21、22を水平方向に移動させる。分注アーム上下駆動部708は、分注アーム201を上下方向に駆動し、ノズル21、22を上下方向に移動させる。なお、分注アーム水平駆動部707の数は、分注アーム201の水平方向の自由度(モータの数)によって異なり、例えば、分注アーム201が水平方向に2自由度を持つ(モータを2個備える)場合には、2つである。
【0101】
ノズル位置調整動作制御部706は、分注アーム制御部705に指令を出すことで、分注アーム201を駆動し、ノズル21、22を撮像位置407、412や調整対象位置(調整ターゲットを撮像した画像においてノズル21、22と調整ターゲットが重ならない位置)に移動させる。
【0102】
停止位置テーブル709は、予め定められた撮像位置407、412についての情報を格納している。停止位置テーブル709は、格納している撮像位置407、412を更新することができる。また、停止位置テーブル709は、予め定められた調整対象位置についての情報と、通常の分析処理におけるノズル21、22の停止位置(吸引位置、吐出位置、及び洗浄位置)についての情報も格納している。
【0103】
ノズル位置調整動作制御部706は、撮像制御部710に撮像位置407、412や調整対象位置で撮像するために指令を送る。
【0104】
撮像制御部710は、カメラ202に撮像指示を送り、カメラ202でノズル21、22の先端部や調整ターゲットを撮像する。撮像制御部710は、カメラ202が撮像した画像の情報をカメラ202から受け取り、この画像を画像データ保存部711に格納する。
【0105】
ノズル位置調整動作制御部706は、カメラ202がノズル21、22の先端部や調整ターゲットの画像を撮像したら、ノズル位置調整量計算部713にノズル21、22の位置の調整量(
図3Dに示した座標の差307、308)を算出するように指令を送る。
【0106】
ノズル位置調整量計算部713は、ノズル位置調整動作制御部706から指令を受けたら、ノズル先端部座標抽出部712にノズル21、22の中心の座標303、304を算出させ、対象座標抽出部714に調整ターゲットの中心の座標305、306を算出させる。
【0107】
ノズル先端部座標抽出部712は、ノズル位置調整量計算部713からの指示に従い、カメラ202が撮像した画像からノズル21、22の中心の座標303、304を算出し、算出した座標303、304をノズル位置調整量計算部713に返す。
【0108】
対象座標抽出部714は、ノズル位置調整量計算部713からの指示に従い、カメラ202が撮像した画像から調整ターゲットの中心の座標305、306を算出し、算出した座標305、306をノズル位置調整量計算部713に返す。対象座標抽出部714は、調整ターゲットの中心の座標305、306を算出するときに、調整ターゲット情報保存部715に格納されている調整ターゲットについての情報を用いてパターンマッチングを行うことができる。
【0109】
調整ターゲット情報保存部715には、調整ターゲットのサイズと形状など、調整ターゲットについての情報が予め格納されている。
【0110】
ノズル位置調整量計算部713は、ノズル先端部座標抽出部712からノズル21、22の中心の座標303、304を受け取り、対象座標抽出部714から調整ターゲットの中心の座標305、306を受け取って、ノズル21、22の位置の調整量(
図3Dに示した座標の差307、308)を算出する。ノズル位置調整量計算部713は、ノズル位置調整動作制御部706に指令を送り、算出した調整量だけノズル21、22を移動させて、ノズル21、22の位置を調整する。
【0111】
ノズル位置調整動作制御部706は、ノズル位置調整量計算部713からの指令に基づき、分注アーム制御部705に指令を出して分注アーム201を駆動し、ノズル21、22の位置を調整する。
【0112】
ノズル位置調整量計算部713は、算出したノズル21、22の位置の調整量を用いてノズル21、22の停止位置(吸引位置、吐出位置、及び洗浄位置)を更新し、更新した停止位置を停止位置テーブル709に格納する。
【0113】
分注機構14、15に複数の撮像位置407、412が設定されている場合には、ノズル位置調整動作制御部706は、汚れや障害物の検出が少ない撮像位置407、412を選択する指令を分注アーム制御部705に送ることができる。また、ノズル位置調整動作制御部706は、ある1つの撮像位置407、412で撮像したノズル21、22の画像からノズル21、22の先端部の位置を検出できない場合には、撮像位置407、412を他の撮像位置407、412に切り替えて、他の撮像位置407、412で撮像する指令を分注アーム制御部705に送ることができる。
【0114】
本実施例による自動分析装置10は、以上に説明した構成を備え、試薬用ノズル21とサンプル用ノズル22の先端部の位置を高精度に検出することができる。このため、本実施例による自動分析装置10は、試薬用ノズル21とサンプル用ノズル22の位置を精度良く調整することができ、分析処理を行うときに試薬用ノズル21とサンプル用ノズル22の位置と調整ターゲットの位置とを高精度に合わせることができる。
【0115】
なお、本発明は、上記の実施例に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。例えば、上記の実施例は、本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、本発明は、必ずしも説明した全ての構成を備える態様に限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能である。また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、削除したり、他の構成を追加・置換したりすることが可能である。
10…自動分析装置、11…試薬容器、12…試薬ディスク、13…反応ディスク、14…試薬分注機構、15…サンプル分注機構、21…試薬用ノズル、22…サンプル用ノズル、23…サンプル容器、24…サンプルラック、25…反応セル、26…試薬洗浄槽、27…サンプル洗浄槽、101…搬送ライン、201…分注アーム、202…カメラ、203a…画像取得部、203b…画像取得部、204…接続部、205…撮像範囲、301…洗浄孔、302…ノズルの先端部のエッジ、303…ノズルの中心のX座標、304…ノズルの中心のY座標、305…洗浄孔の中心のX座標、306…洗浄孔の中心のY座標、307…X座標の差、308…Y座標の差、401…反応セルの中心の軌道、402…試薬容器の蓋の孔の中心の軌道、403…サンプル容器の中心の軌道、404…試薬吸引位置、405…試薬吐出位置、406…試薬洗浄位置、407…試薬用ノズルの撮像位置、408…試薬用ノズルの移動可能な範囲、409…サンプル吸引位置、410…サンプル吐出位置、411…サンプル洗浄位置、412…サンプル用ノズルの撮像位置、413…サンプル用ノズルの軌道、501…ベース、502…カバー、503…通過孔、701…分注機構制御部、702…GUI、703…モード切替部、704…分析動作制御部、705…分注アーム制御部、706…ノズル位置調整動作制御部、707…分注アーム水平駆動部、708…分注アーム上下駆動部、709…停止位置テーブル、710…撮像制御部、711…画像データ保存部、712…ノズル先端部座標抽出部、713…ノズル位置調整量計算部、714…対象座標抽出部、715…調整ターゲット情報保存部。