(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022188582
(43)【公開日】2022-12-21
(54)【発明の名称】充電装置
(51)【国際特許分類】
H02J 7/35 20060101AFI20221214BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20221214BHJP
B60L 8/00 20060101ALI20221214BHJP
【FI】
H02J7/35 B
H02J7/00 P
B60L8/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021096733
(22)【出願日】2021-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000017
【氏名又は名称】弁理士法人アイテック国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】栗原 史好
(72)【発明者】
【氏名】山崎 敬也
【テーマコード(参考)】
5G503
5H125
【Fターム(参考)】
5G503AA06
5G503BA01
5G503BB01
5G503CA01
5G503CA08
5G503CA11
5G503CC02
5G503FA06
5G503GB03
5H125AA01
5H125AC09
5H125AC12
5H125BB00
5H125BD19
5H125CD04
5H125EE61
(57)【要約】
【課題】電力伝達装置の無駄な作動を抑制することを主目的とする。
【解決手段】太陽光を用いて発電するソーラー発電部と、ソーラー発電部により発電されたソーラー電力を蓄電装置に伝達する電力伝達およびソーラー発電部と蓄電装置との電力遮断を行なう電力伝達装置と、を備える充電装置において、ソーラー電力を蓄電装置に充電するソーラー充電が要求されていて且つ日射があるときには、電力伝達が行なわれるように電力伝達装置を制御する電力伝達制御を実行し、ソーラー充電が要求されていないときおよび日射がないときには、電力遮断が行なわれるように電力伝達装置を制御する電力遮断制御を実行する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽光を用いて発電するソーラー発電部と、
前記ソーラー発電部により発電されたソーラー電力を蓄電装置に伝達する電力伝達および前記ソーラー発電部と前記蓄電装置との電力遮断を行なう電力伝達装置と、
前記電力伝達装置を制御する制御装置と、
を備える充電装置であって、
前記制御装置は、前記ソーラー電力を用いて前記蓄電装置を充電するソーラー充電が要求されていて且つ日射があるときには、前記電力伝達が行なわれるように前記電力伝達装置を制御する電力伝達制御を実行し、前記ソーラー充電が要求されていないときおよび日射がないときには、前記電力遮断が行なわれるように前記電力伝達装置を制御する電力遮断制御を実行する、
充電装置。
【請求項2】
請求項1記載の充電装置であって、
前記電力伝達装置は、前記ソーラー電力を電圧変換を伴って前記蓄電装置に供給可能なコンバータを有し、
前記制御装置は、前記ソーラー充電が要求されていないときおよび日射がないときには、前記電力遮断制御として前記コンバータを駆動停止するまたは駆動停止を保持する、
充電装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の充電装置であって、
前記電力伝達装置は、前記ソーラー電力を電圧変換を伴って前記蓄電装置が接続された電力ラインに供給可能なコンバータと、前記電力ラインに設けられたリレーとを有し、
前記制御装置は、前記ソーラー充電が要求されていないときおよび日射がないときには、前記電力遮断制御として前記リレーをオフとするまたはオフで保持する、
充電装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のうちの何れか1つの請求項に記載の充電装置であって、
前記電力伝達装置は、前記ソーラー電力を電圧変換を伴って前記蓄電装置に供給可能なコンバータを有し、
前記制御装置は、前記コンバータを制御する第1制御部と、信号線を介して前記コンバータに強制停止指令を出力可能な第2制御部とを有し、
前記コンバータは、前記信号線を介して前記第2制御部から前記強制停止指令を受けたときには、前記第1制御部からの制御指令を拒絶して停止し、
前記第1制御部または前記第2制御部は、前記ソーラー電力が閾値以上である状態で前記第2制御部から前記信号線を介して前記コンバータに前記強制停止指令を出力したときに、前記ソーラー電力が前記閾値未満になった場合には、前記信号線が正常であると判定し、前記ソーラー電力が前記閾値以上で保持される場合には、前記信号線が異常であると判定する、
充電装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のうちのいずれか1つの請求項に記載の充電装置であって、
前記制御装置は、前記ソーラー電力が第2閾値以上のときには、日射があると判定し、前記ソーラー電力が前記第2閾値未満のときには、日射がないと判定する、
充電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の充電装置としては、太陽光を受けて発電するソーラーパネルと、ソーラーパネルで発電された電力を蓄えるソーラー電池と、ソーラーパネルで発電された電力を所定の電圧に変換して電池が接続された電力ラインに供給可能なDC/DCコンバータと、電力ラインに設けられたリレーとを備えるものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この充電装置では、ソーラー電池の蓄電量が基準値以上である場合、リレーをオンにすると共にDC/DCコンバータを作動させることにより、ソーラー電池の電力をDC/DCコンバータを介して電池に供給するソーラー充電を実行する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
こうした充電装置では、部品点数削減のために、ソーラー電池を備えないハード構成が検討されている。このハード構成において、ソーラー充電が要求されているときには、ソーラーパネルにより発電された電力を電池に供給できるようにするために、常時、リレーやDC/DCコンバータを有する電力伝達装置を作動させておくことが考えられる。この場合、日射がないとき、即ち、ソーラーパネルにより発電が行なわれていないときにも、電力伝達装置を作動させることになる。
【0005】
本発明の充電装置は、電力伝達装置の無駄な作動を抑制することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の充電装置は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本発明の充電装置は、
太陽光を用いて発電するソーラー発電部と、
前記ソーラー発電部により発電されたソーラー電力を蓄電装置に伝達する電力伝達および前記ソーラー発電部と前記蓄電装置との電力遮断を行なう電力伝達装置と、
前記電力伝達装置を制御する制御装置と、
を備える充電装置であって、
前記制御装置は、前記ソーラー電力を前記蓄電装置に充電するソーラー充電が要求されていて且つ日射があるときには、前記電力伝達が行なわれるように前記電力伝達装置を制御する電力伝達制御を実行し、前記ソーラー充電が要求されていないときおよび日射がないときには、前記電力遮断が行なわれるように前記電力伝達装置を制御する電力遮断制御を実行する、
ことを要旨とする。
【0008】
この本発明の充電装置では、ソーラー電力を蓄電装置に充電するソーラー充電が要求されていて且つ日射があるときには、電力伝達が行なわれるように電力伝達装置を制御する電力伝達制御を実行し、ソーラー充電が要求されていないときおよび日射がないときには、電力遮断が行なわれるように電力伝達装置を制御する電力遮断制御を実行する。これにより、電力伝達装置の無駄な作動を抑制することができる。
【0009】
本発明の充電装置において、前記電力伝達装置は、前記ソーラー電力を電圧変換を伴って前記蓄電装置に供給可能なコンバータを有し、前記制御装置は、前記ソーラー充電が要求されていないときおよび日射がないときには、前記電力遮断制御として前記コンバータを駆動停止するまたは駆動停止を保持するものとしてもよい。こうすれば、コンバータの無駄な作動を抑制することができる。
【0010】
本発明の充電装置において、前記電力伝達装置は、前記ソーラー電力を電圧変換を伴って前記蓄電装置が接続された電力ラインに供給可能なコンバータと、前記電力ラインに設けられたリレーとを有し、前記制御装置は、前記ソーラー充電が要求されていないときおよび日射がないときには、前記電力遮断制御として前記リレーをオフとするまたはオフで保持するものとしてもよい。こうすれば、リレーを無駄にオンとするまたはオンで保持するのを抑制することができる。
【0011】
本発明の充電装置において、前記電力伝達装置は、前記ソーラー電力を電圧変換を伴って前記蓄電装置に供給可能なコンバータを有し、前記制御装置は、前記コンバータを制御する第1制御部と、信号線を介して前記コンバータに強制停止指令を出力可能な第2制御部とを有し、前記コンバータは、前記信号線を介して前記第2制御部から前記強制停止指令を受けたときには、前記第1制御部からの制御指令を拒絶して停止し、前記第1制御部または前記第2制御部は、前記ソーラー電力が閾値以上である状態で前記第2制御部から前記信号線を介して前記コンバータに前記強制停止指令を出力したときに、前記ソーラー電力が前記閾値未満になった場合には、前記信号線が正常であると判定し、前記ソーラー電力が前記閾値以上で保持される場合には、前記信号線が異常であると判定するものとしてもよい。こうすれば、信号線が正常であるか否かを判定することができる。
【0012】
本発明の充電装置において、前記制御装置は、前記ソーラー電力が第2閾値以上のときには、日射があると判定し、前記ソーラー電力が前記第2閾値未満のときには、日射がないと判定するものとしてもよい。こうすれば、ソーラー電力を用いて日射の有無を判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施例としての充電装置10の構成の概略を示す構成図である。
【
図2】充電ECU40により実行される処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。
【
図3】充電ECU40により実行されるチェック処理の一例を示すフローチャートである。
【
図4】チェック処理を実行するときの信号線Ls、昇圧DC/DCコンバータ26の入力電力Wso2、充電用リレーCHR、昇圧DC/DCコンバータ26、ソーラーDC/DCコンバータ24、正常カウンタCn、異常カウンタCa、判定の様子の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明を実施するための形態を実施例を用いて説明する。
【実施例0015】
図1は、本発明の一実施例としての充電装置10の構成の概略を示す構成図である。実施例の充電装置10は、蓄電装置としてのバッテリ50を充電可能な装置として構成されており、図示するように、ソーラー発電装置20と、充電用リレーCHRと、充電用電子制御ユニット(以下、「充電ECU」という)40とを備える。充電装置10は、バッテリ50と共に電気自動車やハイブリッド自動車などに搭載される。バッテリ50は、例えばリチウムイオン二次電池やニッケル水素二次電池として構成されている。
【0016】
ソーラー発電装置20は、ソーラー発電部としてのソーラーパネル22と、ソーラーDC/DCコンバータ24と、コンデンサ25aと、昇圧DC/DCコンバータ26と、コンデンサ28aと、ソーラー用電子制御ユニット(以下、「ソーラーECU」という)30とを備える。ソーラーパネル22は、車両の屋根部などに設置されており、太陽光を用いて発電する。ソーラーDC/DCコンバータ24は、ソーラーパネル22と電力ライン25とに接続されている。このソーラーDC/DCコンバータ24は、ソーラーECU30によって制御されることにより、ソーラーパネル22で発電された電力を電圧の変更を伴って電力ライン25に供給する。コンデンサ25aは、電力ライン25に取り付けられている。昇圧DC/DCコンバータ26は、電力ライン25と電力ライン28とに接続されている。この昇圧DC/DCコンバータ26は、ソーラーECU30によって制御されることにより、電力ライン25の電力を昇圧して電力ライン28に供給する。昇圧DC/DCコンバータ26は、充電ECU40と信号線Lsを介して接続されており、この信号線Lsを介して充電ECU40から強制停止指令を受けたときには、ソーラーECU30による制御を拒絶して停止する。コンデンサ28aは、電力ライン28の充電用リレーCHRよりも昇圧DC/DCコンバータ26側に取り付けられている。
【0017】
ソーラーECU30は、図示しないが、CPUやROM、RAM、フラッシュメモリ、入出力ポート、通信ポートを有するマイクロコンピュータを備える。ソーラーECU30には、各種センサからの信号が入力ポートを介して入力されている。ソーラーECU30に入力される信号としては、例えば、ソーラーDC/DCコンバータ24の入力側の端子間に取り付けられた電圧センサ24aからのソーラーDC/DCコンバータ24の入力電圧Vso1や、ソーラーDC/DCコンバータ24の入力端子に取り付けられた電流センサ24bからのソーラーDC/DCコンバータ24の入力電流Iso1を挙げることができる。昇圧DC/DCコンバータ26の入力側の端子間に取り付けられた電圧センサ26aからの昇圧DC/DCコンバータ26の入力電圧Vso2や、昇圧DC/DCコンバータ26の入力端子に取り付けられた電圧センサ26aからの昇圧DC/DCコンバータ26の入力電流Iso2、昇圧DC/DCコンバータ26の出力側の端子間に取り付けられた電圧センサ26cからの昇圧DC/DCコンバータ26の出力電圧Vso3も挙げることができる。ソーラーECU30からは、各種制御信号が出力ポートを介して出力されている。ソーラーECU30から出力される信号としては、例えば、ソーラーDC/DCコンバータ24への制御信号や昇圧DC/DCコンバータ26への制御信号を挙げることができる。ソーラーECU30は、ソーラーDC/DCコンバータ24を駆動しているときに、電圧センサ24aからの入力電圧Vso1と電流センサ24bからの入力電流Iso1とに基づいてソーラーDC/DCコンバータ24の入力電力Wso1を演算したり、ソーラーDC/DCコンバータ24および昇圧DC/DCコンバータ26を駆動しているときに、電圧センサ26aからの入力電圧Vso2と電流センサ26bからの入力電流Iso2とに基づいて昇圧DC/DCコンバータ26の入力電力Wso2を演算したりしている。なお、ソーラーDC/DCコンバータ24の入力電力Wso1は、ソーラーパネル22の発電電力に相当する。ソーラーECU30は、充電ECU40と通信ポートを介して接続されている。
【0018】
充電用リレーCHRは、電力ライン28に設けられている。この充電用リレーCHRは、充電ECU90によってオンオフ制御されることにより、昇圧DC/DCコンバータ26やコンデンサ28側とバッテリ50側との接続および遮断を行なう。
【0019】
充電ECU40は、図示しないが、CPUやROM、RAM、フラッシュメモリ、入出力ポート、通信ポートを有するマイクロコンピュータを備える。充電ECU40には、各種センサからの信号が入力ポートを介して入力されている。充電ECU40には、各種センサからの信号が入力ポートを介して入力されている。充電ECU40に入力される信号としては、例えば、バッテリ50の端子間に取り付けられた電圧センサ50aからのバッテリ50の電圧Vbや、バッテリ50の出力端子に取り付けられた電流センサ50bからのバッテリ50の電流Ibを挙げることができる。充電ECU40からは、各種制御信号が出力ポートを介して出力されている。充電ECU40から出力される信号としては、例えば、充電用リレーCHRへの制御信号を挙げることができる。また、充電ECU40は、昇圧DC/DCコンバータ26と信号線Lsを介して接続されており、信号線LsをHiレベルとすることにより昇圧DC/DCコンバータ26の駆動を許容し(強制停止指令を出力せずに)、信号線LsをLoレベルとすることにより昇圧DC/DCコンバータ26の駆動を禁止する(強制停止指令を出力する)。充電ECU40は、電流センサ50bからのバッテリ50の電流Ibの積算値に基づいてバッテリ50の蓄電割合SOCを演算している。蓄電割合SOCは、バッテリ50の全容量に対するバッテリ50から放電可能な電力の容量の割合である。充電ECU40は、上述したように、ソーラーECU30と通信ポートを介して接続されている。なお、蓄電割合SOCは、充電ECU40に代わりバッテリ50に備わる図示しない電子制御ユニットによりバッテリ50の電流Ibの積算値に基づいて演算された値が通信により充電ECU40に入力されるものとしてもよい。
【0020】
次に、こうして構成された実施例の充電装置10の動作、特に、ソーラーパネル22により発電された電力をソーラーDC/DCコンバータ24、電力ライン25、昇圧DC/DCコンバータ26、電力ライン28を介してバッテリ50に充電するソーラー充電を実行する際の動作について説明する。なお、実施例では、ソーラー充電は、車両の停車中、例えば、図示しないイグニッションスイッチがオフであるときに行なわれるものとした。
図2は、充電ECU40により実行される処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、ソーラー充電が要求されていて且つソーラー充電を実行していないときに定期的に(例えば、数十分ごとに)実行される。ここで、ソーラー充電の要求は、例えば、イグニッションスイッチがオフであり且つバッテリ50の蓄電割合SOCが閾値SOCref1未満であるときに行なわれる。閾値SOCref1としては、バッテリ50が満充電であるときの蓄電割合SOCである満充電割合SOCf(例えば、80%~100%程度)やそれよりも小さい値が用いられる。
【0021】
図2の処理ルーチンが実行されると、充電ECU40は、最初に、ソーラーECU30にソーラーDC/DCコンバータ24の駆動開始指令を送信する(ステップS100)。ソーラーECU30は、この駆動開始指令を受信すると、ソーラーDC/DCコンバータ24の駆動を開始する。このとき、昇圧DC/DCコンバータ26を駆動しないから、ソーラーDC/DCコンバータ24の出力電力は、コンデンサ25aに蓄電される。
【0022】
続いて、所定時間t1の経過を待って(ステップS110)、ソーラーDC/DCコンバータ24の入力電力Wso1を入力する(ステップS120)。ここで、所定時間t1は、充電ECU40とソーラーECU30との通信遅延時間や、ソーラーDC/DCコンバータ24の駆動を開始してからソーラーDC/DCコンバータ24の入力電力Wso1が安定するまでに要する時間などを考慮した待機時間であり、例えば、数十~数百ms程度の値が用いられる。ソーラーDC/DCコンバータ24の入力電力Wso1は、電圧センサ24aからの入力電圧Vso1と電流センサ24bからの入力電流Iso1とに基づいて演算された値がソーラーECU30からの通信により入力される。
【0023】
こうしてデータを入力すると、入力したソーラーDC/DCコンバータ24の入力電力Wso1を閾値Wso1ref1と比較する(ステップS130)。ここで、閾値Wso1ref1は、日射の有無を判定するための閾値であり、十分に小さい値が用いられる。ソーラーDC/DCコンバータ24の入力電力Wso1が閾値Wso1ref1未満であるときには、日射がないと判断し、ソーラーECU30にソーラーDC/DCコンバータ24の駆動停止指令を送信して(ステップS140)、本ルーチンを終了する。ソーラーECU30は、この駆動停止指令を受信すると、ソーラーDC/DCコンバータ24を駆動停止する。このように、ソーラーDC/DCコンバータ24を駆動して日射の有無を判定し、日射がないと判定したときには、ソーラーDC/DCコンバータ24を駆動停止する。これにより、日射の有無を判定するための、昇圧DC/DCコンバータ26や充電用リレーCHRの無駄な作動を抑制することができる。
【0024】
ステップS130でソーラーDC/DCコンバータ24の入力電力Wso1が閾値Wso1ref1以上であるときには、日射があると判断し、ソーラーECU30にソーラーDC/DCコンバータ24の駆動停止指令を送信する(ステップS150)。ソーラーECU30は、この駆動停止指令を受信すると、ソーラーDC/DCコンバータ24を駆動停止する。
【0025】
続いて、充電用リレーCHRをオンにして(ステップS160)、ソーラーECU30にソーラーDC/DCコンバータ24および昇圧DC/DCコンバータ26の駆動開始指令を送信する(ステップS170)。ソーラーECU30は、この駆動開始指令を受信すると、ソーラーDC/DCコンバータ24および昇圧DC/DCコンバータ26の駆動を開始し、ソーラー充電が実行されるようにソーラーDC/DCコンバータ24および昇圧DC/DCコンバータ26を制御する。
【0026】
そして、
図3のチェック処理により信号線Lsの機能チェックを実行し(ステップS180)、上述の信号線Lsが正常である(強制停止指令が正常に機能する)か否かを判定する(ステップS190)。以下、
図2の処理ルーチンの説明を中断し、
図3のチェック処理について説明する。
【0027】
図3のチェック処理が実行されると、充電ECU40は、最初に、信号線LsをLoレベルとすることにより、信号線Lsを介して昇圧DC/DCコンバータ26に強制停止指令を出力する(ステップS300)。昇圧DC/DCコンバータ26は、この強制停止指令を受信すると(強制停止指令が正常に機能にしているときには)、駆動を停止する。
【0028】
続いて、所定時間t2の経過を待って(ステップS310)、昇圧DC/DCコンバータ26の入力電力Wso2を入力する(ステップS320)。ここで、所定時間t2は、充電ECU40とソーラーECU30との通信遅延時間や、昇圧DC/DCコンバータ26の入力電力Wso2が安定するまでに要する時間などを考慮した待機時間であり、例えば数百ms程度の値が用いられる。昇圧DC/DCコンバータ26の入力電力Wso2は、電圧センサ26aからの入力電圧Vso2と電流センサ26bからの入力電流Iso2とに基づいて演算された値がソーラーECU30からの通信により入力される。
【0029】
こうしてデータを入力すると、入力した昇圧DC/DCコンバータ26の入力電力Wso2を閾値Wso2ref2と比較する(ステップS330)。ここで、閾値Wso2ref2は、昇圧DC/DCコンバータ26が駆動しているか否かを判定するための閾値であり、十分に小さい値が用いられる。
【0030】
ステップS330で昇圧DC/DCコンバータ26の入力電力Wso2が閾値Wso2ref2以上であるときには、信号線Lsが異常であると仮判定し、異常カウンタCaをカウントアップして(ステップS340)、異常カウンタCaを閾値Carefと比較する(ステップS350)。ここで、異常カウンタCaは、信号線Lsが異常であるとの仮判定の継続をカウントするためのカウンタであり、
図3のチェック処理の開始時に初期値としての値0が設定される。閾値Carefは、信号線Lsが異常であるとの仮判定が継続することに基づいて信号線Lsが異常であると判定(確定)するための閾値であり、例えば数千ms程度に相当する値が用いられる。異常カウンタCaが閾値Caref未満のときには、ステップS320に戻る。こうしてステップS320~S350の処理を繰り返し実行して、ステップS350で異常カウンタCaが閾値Caref以上であると判定すると、昇圧DC/DCコンバータ26が駆動している、即ち、信号線LsがHiレベルで固定されているHi固定異常である(強制停止指令が正常に機能していない)と判定し(ステップS380)、信号線LsをHiレベルとすることにより、昇圧DC/DCコンバータ26への強制停止指令の出力を解除して(ステップS400)、本ルーチンを終了する。なお、Hi固定異常である場合、ステップS400の処理の有無に拘わらずに、信号線LsはHiレベルで保持される。
【0031】
ステップS330で昇圧DC/DCコンバータ26の入力電力Wso2が閾値Wso2ref2未満であるときには、信号線Lsが正常であると仮判定し、正常カウンタCnをカウントアップして(ステップS360)、正常カウンタCnを閾値Cnrefと比較する(ステップS370)。ここで、正常カウンタCnは、信号線Lsが正常であるとの仮判定の継続をカウントするためのカウンタであり、
図3のチェック処理の開始時に初期値としての値0が設定される。閾値Cnrefは、信号線Lsが正常であるとの仮判定が継続することに基づいて信号線Lsが正常であると判定(確定)するための閾値であり、例えば数千ms程度に相当する値が用いられる。正常カウンタCnが閾値Cnref未満のときには、ステップS320に戻る。こうしてステップS320~S370の処理を繰り返し実行して、ステップS370で正常カウンタCnが閾値Cnref以上であると判定すると、昇圧DC/DCコンバータ26が駆動していない、即ち、信号線Lsが正常にLoレベルになった(強制停止指令が正常に機能する)と判定し(ステップS390)、ステップS400の処理を実行して、本ルーチンを終了する。
【0032】
なお、基本的に、信号線Lsが正常または異常であるとの仮判定結果と、信号線Lsが正常または異常であるとの判定(確定)結果とは同一である。発明者らは、このことを実験や解析により確認した。したがって、ステップS330を初回に実行するときの昇圧DC/DCコンバータ26の入力電力Wso2と閾値Wso2ref2との比較結果により信号線Lsが正常または異常であると判定(確定)する(ステップS340~S370の処理を実行しない)ものとしてもよい。
【0033】
図2の処理ルーチンの説明に戻る。充電ECU40は、ステップS190で信号線Lsが異常である(強制停止指令が正常に機能していない)と判定したときには、ソーラーECU30にソーラーDC/DCコンバータ24および昇圧DC/DCコンバータ26の駆動停止指令を送信する(ステップS240)。ソーラーECU30は、この駆動停止指令を受信すると、ソーラーDC/DCコンバータ24および昇圧DC/DCコンバータ26を駆動停止する。そして、充電用リレーCHRをオフにして(ステップS250)、本ルーチンを終了する。こうすれば、信号線Lsが異常であるときに、昇圧DC/DCコンバータ26の駆動を継続するのを抑制することができる。
【0034】
ステップS190で信号線Lsが正常である(強制停止指令が正常に機能している)と判定したときには、バッテリ50の蓄電割合SOCを入力する(ステップS200)。ここで、バッテリ50の蓄電割合SOCは、電流センサ50bからのバッテリ50の電流Ibの積算値に基づいて演算された値が入力される。
【0035】
こうしてデータを入力すると、入力したバッテリ50の蓄電割合SOCを閾値SOCref2と比較する(ステップS210)。ここで、閾値SOCref2は、バッテリ50が満充電であるか否かを判定するための閾値であり、上述の満充電割合SOCfが用いられる。バッテリ50の蓄電割合SOCが閾値SOCref2未満であるときには、バッテリ50が満充電でないと判断し、ステップS120,S130の処理と同様に、ソーラーDC/DCコンバータ24の入力電力Wso1を入力すると共に入力したソーラーDC/DCコンバータ24の入力電力Wso1を閾値Wso1ref1と比較する(ステップS220,S230)。ソーラーDC/DCコンバータ24の入力電力Wso1が閾値Wso1ref1以上であるときには、日射があると判断して、ステップS200に戻る。一方、ソーラーDC/DCコンバータ24の入力電力Wso1が閾値Wso1ref1未満であるときには、日射がないと判断し、ステップS240,S250の処理を実行して、本ルーチンを終了する。これにより、日射がないときの、ソーラーDC/DCコンバータ24および昇圧DC/DCコンバータ26の無駄な作動を抑制することができる。
【0036】
ステップS210でバッテリ50の蓄電割合SOCが閾値SOCref2以上であるときには、バッテリ50が満充電であると判断し、ステップS240,S250の処理を実行して、本ルーチンを終了する。
【0037】
図4は、チェック処理を実行するときの信号線Ls、昇圧DC/DCコンバータ26の入力電力Wso2、充電用リレーCHR、昇圧DC/DCコンバータ26、ソーラーDC/DCコンバータ24、正常カウンタCn、異常カウンタCa、判定の様子の一例を示す説明図である。図中、実線は信号線Lsが正常である場合の様子を示し、破線は信号線Lsが異常である場合の様子を示す。なお、
図4では、閾値Cnref,Carefとして同一の値が用いられるものとした。図示するように、時刻t11に、充電ECU40は、信号線LsをHiレベルからLoレベルに切り替えることにより、信号線Lsを介して昇圧DC/DCコンバータ26に強制停止指令を出力する。図中、実線に示すように、信号線Lsが正常にLoレベルに切り替わる場合、昇圧DC/DCコンバータ26が駆動停止し、昇圧DC/DCコンバータ26の入力電力Wso2が低下する。続いて、時刻t11から所定時間t2が経過した時刻t12に昇圧DC/DCコンバータ26の入力電力Wso2が閾値Wso2ref2未満であるときには、充電ECU40は、信号線Lsが正常であると仮判定し、正常カウンタCnの増加を開始する。そして、時刻t13に正常カウンタCnが閾値Cnrefに至ると、充電ECU40は、信号線Lsが正常であると判定(確定)し、信号線LsをHiレベルに切り替えることにより、信号線Lsを介した昇圧DC/DCコンバータ26への強制停止指令の出力を終了する。これにより、昇圧DC/DCコンバータ26が駆動を再開する。一方、時刻t11に充電ECU40が信号線LsをHiレベルからLoレベルに切り替えようとしたときに、図中、破線に示すように、信号線Lsが正常にLoレベルに切り替わらない場合(信号線LsがHi固定異常の場合)、昇圧DC/DCコンバータ26が駆動を継続し、昇圧DC/DCコンバータ26の入力電力Wso2が低下しない。続いて、時刻t11から所定時間t2が経過した時刻t12に昇圧DC/DCコンバータ26の入力電力Wso2が閾値Wso2ref2以上であるときには、充電ECU40は、信号線Lsが異常であると仮判定し、異常カウンタCaの増加を開始する。そして、時刻t13に異常カウンタCaが閾値Carefに至ると、充電ECU40は、信号線Lsが異常であると判定(確定)し、ソーラーECU30にソーラーDC/DCコンバータ24および昇圧DC/DCコンバータ26の駆動停止指令を送信してこれらを駆動停止させると共に充電用リレーCHRをオフにする。これに伴って、昇圧DC/DCコンバータ26の入力電力Wso2が低下する。これにより、信号線Lsが異常であるときに、昇圧DC/DCコンバータ26を駆動するのを抑制することができる。
【0038】
以上説明した実施例の充電装置10では、ソーラー電力をバッテリ50に充電するソーラー充電が要求されていて且つ日射があるときには、ソーラー充電が行なわれるようにソーラーDC/DCコンバータ24と昇圧DC/DCコンバータ26と充電用リレーCHRとを制御し、ソーラー充電が要求されていないときおよび日射がないときには、ソーラーDC/DCコンバータ24および昇圧DC/DCコンバータ26を駆動停止するまたは駆動停止で保持すると共に充電用リレーCHRをオフとするまたはオフで保持する。これにより、ソーラーDC/DCコンバータ24および昇圧DC/DCコンバータ26の無駄な作動を抑制することができる。
【0039】
また、実施例の充電装置10では、ソーラー充電が要求されていて且つソーラー充電を実行していないときに、昇圧DC/DCコンバータ26を駆動停止で保持すると共に充電用リレーCHRをオフで保持し、ソーラーDC/DCコンバータ24を駆動して、そのときのソーラーDC/DCコンバータ24の入力電力Wso1を用いて日射の有無を判定し、日射がないと判定したときには、ソーラーDC/DCコンバータ24を駆動停止する。これにより、日射の有無を判定するための、昇圧DC/DCコンバータ26や充電用リレーCHRの無駄な作動を抑制することができる。
【0040】
実施例の充電装置10では、バッテリ50が満充電であるときや日射がないときには、ソーラーDC/DCコンバータ24および昇圧DC/DCコンバータ26を駆動停止すると共に充電用リレーCHRをオフにするものとした。しかし、バッテリ50が満充電であるときや日射がないときには、ソーラーDC/DCコンバータ24および昇圧DC/DCコンバータ26を駆動停止すると共に充電用リレーCHRをオンで保持するものとしてもよい。
【0041】
実施例の充電装置10では、ソーラー充電が要求されていて且つソーラー充電を実行していないときに、昇圧DC/DCコンバータ26を駆動停止で保持すると共に充電用リレーCHRをオフで保持し、ソーラーDC/DCコンバータ24を駆動して、そのときのソーラーDC/DCコンバータ24の入力電力Wso1を用いて日射の有無を判定するものとした。しかし、充電用リレーCHRをオフで保持してソーラーDC/DCコンバータ24および昇圧DC/DCコンバータ26を駆動してそのときの入力電力Wso1または入力電力Wso2を用いて日射の有無を判定するものとしてもよい。このとき、充電用リレーCHRがオフであるから、昇圧DC/DCコンバータ26の出力電力は、コンデンサ28aに蓄電される。また、充電用リレーCHRをオンにすると共にソーラーDC/DCコンバータ24および昇圧DC/DCコンバータ26を駆動してそのときの入力電力Wso1または入力電力Wso2を用いて日射の有無を判定するものとしてもよい。
【0042】
実施例の充電装置10では、ソーラー充電が要求されていて且つソーラー充電を実行していないときにおいて、日射があるときには、昇圧DC/DCコンバータ26の入力電力Wso2を用いて信号線Lsが正常であるか否かを判定するものとした。しかし、ソーラーDC/DCコンバータ24のWso1を用いて信号線Lsが正常であるか否かを判定するものとしてもよい。
【0043】
実施例の充電装置10では、充電ECU40が、日射の有無の判定や信号線Lsの機能チェックを行なうものとした。しかし、ソーラーECU30が、日射の有無の判定や信号線Lsの機能チェックを行なってその結果を充電ECU40に送信するものとしてもよい。また、充電ECU40およびソーラーECU30の何れでも信号線Lsのチェックを行なわないものとしてもよい。
【0044】
実施例の充電装置10では、ソーラー発電装置20は、ソーラーDC/DCコンバータ24および昇圧DC/DCコンバータ26を備えるものとした。しかし、これらのうちの1つだけを備えるものとしてもよい。
【0045】
実施例の充電装置10では、ソーラーECU30および充電ECU40を備えるものとした。しかし、これらを一体に構成するものとしてもよい。この場合、信号線Lsのチェック処理を行なわないものとしてもよい。
【0046】
実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、ソーラーパネル22が「ソーラー発電部」に相当し、ソーラーDC/DCコンバータ24と昇圧DC/DCコンバータ26と充電用リレーCHRとが「電力伝達装置」に相当し、ソーラーECU30と充電ECU40とが「制御装置」に相当する。
【0047】
なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
【0048】
以上、本発明を実施するための形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
10 充電装置、20 ソーラー発電装置、22 ソーラーパネル、24 ソーラーDC/DCコンバータ、25,28 電力ライン、25a,28a コンデンサ、26 昇圧DC/DCコンバータ、30 ソーラーECU30、40 充電ECU、50 バッテリ、24a,26a,28b,50a 電圧センサ、24b,26b,50b 電流センサ、Ls 信号線、CHR 充電用リレー。