(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022188591
(43)【公開日】2022-12-21
(54)【発明の名称】フードロックストライカ
(51)【国際特許分類】
B62D 25/12 20060101AFI20221214BHJP
E05B 85/04 20140101ALI20221214BHJP
【FI】
B62D25/12 N
E05B85/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021096748
(22)【出願日】2021-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小山 峻輔
【テーマコード(参考)】
2E250
3D004
【Fターム(参考)】
2E250HH01
2E250JJ09
2E250LL15
2E250PP10
2E250QQ01
3D004AA06
3D004AA11
3D004CA05
3D004CA13
(57)【要約】
【課題】フードロックストライカのがたつきによる異音の発生を防止する。
【解決手段】車両のエンジンルームを開閉するフード14の下面に取り付けられ、本体側のラッチにロックされるフードロックストライカ20に関する。フード14に固定され、前記フード14の裏側に向けて伸びるナット36と、一端側に設けられたねじにより、前記ナットに係合するボルト38と、前記ボルトの他端側に一端が固定され、ここより前記フードに対し平行な方向に伸びた後、前記フードに向けて曲がり、他端が前記フードを貫通して伸びるシャフト40と、前記ナットと、前記ボルトとの間に配置され、前記ボルトと前記ナットを互いに離れる方向に付勢するバネ50と、を含む。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のエンジンルームを開閉するフードの下面に取り付けられ、本体側のラッチにロックされるフードロックストライカであって、
フードに固定され、前記フードの裏側に向けて伸びるナットと、
一端側に設けられたねじにより、前記ナットに係合するボルトと、
前記ボルトの他端側に一端が固定され、ここより前記フードに対し平行な方向に伸びた後、前記フードに向けて曲がり、他端が前記フードを貫通して伸びるシャフトと、
前記ナットと、前記ボルトとの間に配置され、前記ボルトと前記ナットを互いに離れる方向に付勢するバネと、
を含む、
フードロックストライカ。
【請求項2】
請求項1に記載のフードロックストライカであって、
前記バネは、圧縮コイルバネである、
フードロックストライカ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンルームのフードを車体側にロックする機構におけるフードロックストライカに関する。
【背景技術】
【0002】
車両において、その駆動源となるガソリンエンジンなどの内燃機関や電動モータなど駆動源は、通常フロント側に設けられたエンジンルームに収容され、このエンジンルームにはその上面を開閉する蓋としてフードが設けられる。
【0003】
このフードは、例えば後端がエンジンルームの車室側にヒンジなどで支持され、前端が上方へ跳ね上げ可能になっており、この前端部はフードロック機構によって車体側にロック可能になっている。
【0004】
フードロック機構は、フード側に四角枠状のフードロックストライカが設けられ、これが車体側のラッチに係合することでロックされる。
【0005】
特許文献1では、フードの裏側に補強板を介しフードロックストライカを固定するとともに、補強板の周辺のフードに補強板の移動を抑制する係合片を設けて、フードロックストライカの移動を抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここで、フードロックストライカについては、フード裏側からの突出量を調整したい場合がある。すなわち、車両側のラッチにロックする際に、確実にロックできかつロック後にがたつきが生じないように、フードロックストライカの突出量をラッチに対応して調整する。
【0008】
この場合、フードロックストライカを、ねじ機構などを利用して調整自在とすることが考えられる。しかし、ねじ機構を用いた場合、このねじ機構において若干のがたつきが発生する。そして、フードを開いた状態において、ドアの開閉などによって、フードが横揺れした場合に、フードロックストライカからカチャカチャというような異音が発生する場合がある。
【0009】
本発明では、フードロックストライカからの異音発生を抑制する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、車両のエンジンルームを開閉するフードの下面に取り付けられ、本体側のラッチにロックされるフードロックストライカであって、フードに固定され、前記フードの裏側に向けて伸びるナットと、一端側に設けられたねじにより、前記ナットに係合するボルトと、前記ボルトの他端側に一端が固定され、ここより前記フードに対し平行な方向に伸びた後、前記フードに向けて曲がり、他端が前記フードを貫通して伸びるシャフトと、前記ナットと、前記ボルトとの間に配置され、前記ボルトと前記ナットを互いに離れる方向に付勢するバネと、を含む。
【0011】
前記バネは、圧縮コイルバネであるとよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、バネによりナット、ボルト間のがたつきを解消することができ、フードロックストライカからの異音の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】車両前部のフードを開けた状態を示す概略斜視図である。
【
図2】
図1のA部を拡大したフードロックストライカ20を裏側から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について、図面に基づいて説明する。なお、本発明は、ここに記載される実施形態に限定されるものではない。
【0015】
「フードの構成」
図1は、車両前部のフードを開けた状態を示す概略斜視図である。車体10の前部には、エンジンルーム12が設けられている。エンジンルーム12には、ガソリンエンジンや電動モータなどの動力源や、その他の各種機器が収容される。また、エンジンルーム12の蓋として、フード14が設けられる。このフード14は、四角形状の板状であり、後部の左右両側に設けられた一対のヒンジ16によって、車体10に支持されている。従って、フード14は後部のヒンジ16を支点として前端が回動することで開閉する。この例では、閉じた状態でフード14はほぼ水平方向を向き、開けた状態で前方に向けて40-60度程度に立ち上がる。
【0016】
エンジンルーム12の前端上側の左右2箇所には、ラッチ18が設けられ、フード14のラッチ18に対応した位置(前端下側左右2箇所)には、フードロックストライカ20が設けられる。フード14を閉じたときに、フードロックストライカ20がラッチ18と係合しフード14が車体10にロックされる。
【0017】
「フードロックストライカの構成」
図2は、
図1のA部を拡大したフードロックストライカ20を裏側から見た斜視図であり、
図3は、
図2のX-X断面図である。
【0018】
まず、
図2に基づいて、外観構成を説明する。フード14は、例えば2枚の板(通常は鋼板)を重ね合わせた構造になっており、裏面側にはインナーパネル14aが設けられている。
図2,3では、インナーパネル14aのみが示されているが、インナーパネル14aの上側にアウターパネルが設けられ、フード14の上面を形成する。
【0019】
インナーパネル14aの所定部分(ラッチ18に対応する前部の左右下側部分)にフードロックストライカ20が設けられる。フードロックストライカ20は、全体としてほぼ三角形状のベース板30を有し、このベース板30の三隅が、ボルト32によって、インナーパネル14aに固定される。ベース板30は、前方側に1辺が位置し、後方側に1つの頂点が位置する。ベース板30の前方側1辺の中間部には、ナット36が取り付けられ、このナット36がベース板30から裏面側に突出している。ナット36の裏面側端部には、ボルト38がねじ止めされ、このボルト38はさらにインナーパネル14aから離れる方向(裏面側)に伸びている。ボルト38のナット36と反対側の先端にはL字型のシャフト40の一端が固定され、このシャフト40の他端は、直角に曲がった後、ベース板30に向けて伸びるとともに、これを貫通している。また、ナット36とボルト38の間にバネ50が配置されている。なお、フードロックストライカ20の各部材は、通常鋼材で形成されている。
【0020】
図3に基づいて、フードロックストライカ20の構成について説明する。ベース板30は、ボルト32によりインナーパネル14aに固定されるが、ボルト32がフード14の裏面側に位置し、フード14の内部(アウターパネルの下側)に配置されたナット34にねじ込むことによって、ベース板30、インナーパネル14aが締め付け固定される。なお、ボルト32,ナット34は、ベース板30の3つの頂点に設けられる。また、この例では、ベース板30とインナーパネル14aが接触する部分において三角枠状の補強板28を介在させており、補強板28も一緒に固定されている。
【0021】
ベース板30は、その前方側1辺の中間部に、取り付け穴30aを有し、ここにナット36の一端(上端)が取り付けられている。ナット36は、上端に2つの外方に広がるフランジ部36a,36bを有し、この2つのフランジ部36a,36bの間の円環状の凹部にベース板30の取り付け穴30aの周縁が挿入され、ナット36がベース板30に固定されている。なお、先端(上端)側のフランジ部は、ベース板30を挿入した後に溶接などで形成してもよいし、先に凹部を形成しておき、ここにベース板30を挿入して接着剤などで固定したり、ねじ止めしたりすることもできる。
【0022】
ナット36は、ベース板30から離れる方向(下方)に伸びる胴部36cを有しており、この胴部36cは中空円筒状であり内面にねじが切ってある。そして、このナット36の胴部36cにボルト38の一端側(上側)に設けられたねじ部38aがねじ込まれる。
【0023】
ボルト38は、他端に2つのフランジ部38b,38cを有し、この2つのフランジ部の間の円環状の凹部にシャフト40の横方向の先端部がワッシャ42とともに挿入されている。すなわち、シャフト40の横方向の先端(一端)には、ボルト38が挿通される穴40aが形成され、その穴40aの周辺が、フランジ部38b,38c間の凹部内に位置する。また、ワッシャ42は、バネワッシャであり、シャフト40の端部を凹部内でフランジ部に押し付けるが、ボルト38の回転は許容する。なお、ボルト38の端部側のフランジ部についても、ナット36のフランジ部と同様に各種手段により形成することができ、例えばボルト38にねじ止めされるナットとすることができる。
【0024】
シャフト40は全体としてL字型の円柱であり、ボルト38の凹部に挿入される部分は平板状に薄くなっている。そして、ボルト38の凹部に挿入されている一端からフード14と平行な方向に伸びた後、直角に折れ曲がり、ベース板30に向かい、ベース板30の穴30bを貫通して、フード14の内部まで伸びる。なお、シャフト40の貫通部では、ベース板30と隙間のない状態で、シャフト40が進退する。穴30bに樹脂製や金属製のブッシュ材などを配置して、隙間が生じにくくしてもよい。ここで、シャフト40がラッチと係合するロックストライカ本体として機能する。
【0025】
ボルト38はナット36に対しねじ込んであるため、ボルト38を回転させると、ナット36に対し軸方向に移動し、これによってシャフト40もベース板30に対し相対移動する。従って、ボルト38の回転調整によって、シャフト40のベース板30に対する位置を調整することができる。工場における車両の組み立てにおいて、シャフト40の位置をラッチ18との関係において最適な位置に調整することができる。
【0026】
本実施形態では、ナット36の裏面突出側の胴部36cの端部と、ボルトのベース板30側のフランジ部38bとの間にバネ50を配置してある。これによって、ボルト38には、ナット36から離れる方向に力が掛かる。また、ボルト38に結合されているシャフト40についてもベース板30から離れる方向に力が掛かる。従って、シャフト40とベース板30との間に力が掛かった状態となり、がたつきが抑制される。
【0027】
本実施形態では、バネ50として、圧縮コイルバネを用いた。圧縮コイルバネであれば、ボルト38を取り囲むように配置することができ、また軸方向に確実な付勢力を得ることができ、最も効率的な構成といえる。しかし、板バネなども採用することは可能である。また、この例において、ボルト38の頭38dは、六角形としてあり、レンチなどで容易に回転できる。ボルト38の頭(下面)38dに、ドライバーで回転しやすいようにドライバー用溝を形成してもよい。
【符号の説明】
【0028】
10 車体、12 エンジンルーム、14 フード、14a インナーパネル、16 ヒンジ、18 ラッチ、20 フードロックストライカ、28 補強板、30 ベース板、30a,30b 穴、32,38 ボルト、34,36 ナット、40 シャフト、42 ワッシャ。