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  • 特開-空気調和式建屋 図1
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  • 特開-空気調和式建屋 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022188596
(43)【公開日】2022-12-21
(54)【発明の名称】空気調和式建屋
(51)【国際特許分類】
   F24F 7/08 20060101AFI20221214BHJP
   F24F 7/06 20060101ALI20221214BHJP
【FI】
F24F7/08 A
F24F7/06 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021096760
(22)【出願日】2021-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】521252128
【氏名又は名称】株式会社シールド&バリアホーム
(71)【出願人】
【識別番号】515193136
【氏名又は名称】株式会社から屋
(74)【代理人】
【識別番号】100145078
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 拓郎
(72)【発明者】
【氏名】佐倉 美彦
(72)【発明者】
【氏名】白木 正志
(72)【発明者】
【氏名】田中 裕三
(72)【発明者】
【氏名】大畑 真治
(72)【発明者】
【氏名】森田 孝之
【テーマコード(参考)】
3L058
【Fターム(参考)】
3L058BJ04
3L058BJ05
(57)【要約】
【課題】空気調和箱を陰圧状態にして屋内空気を回帰させて外気と混合することで、消費電力を節減しながら建屋内の温度調和と換気を効率的に実現し、また騒音問題も解消することができる空気調和式建屋を提供する。
【解決手段】空気調和式建屋は、高所に通気口を有する気密性のある建屋本体と、建屋本体内に設けられ、建屋本体内の部屋に供給する温調空気を生成するための空気調和箱3と、空気調和箱3に外気を24時間供給する給気ファン9と、空気調和箱3で生成した温調空気を部屋に供給する送風ダクト8とから構成してある。空気調和箱3は、建屋本体内の空気が流入する回帰用ガラリ5を有する箱本体4と、箱本体4内に設けられ、設定温度の空気を放出する冷暖房装置6と、箱本体4内に配設し、箱本体4内を常時陰圧に保つ1以上の送風ファン7とから構成してあり、外気圧>箱本体内圧<建屋本体内圧の圧力式の関係が成立する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高所に通気口を有する気密性のある建屋本体と、該建屋本体内に設けられ、建屋本体内の部屋に供給する温調空気を生成するための空気調和箱と、該空気調和箱に外気を24時間供給する給気ファンと、前記空気調和箱で生成した温調空気を前記部屋に供給する送風ダクトとから構成し、前記空気調和箱は、前記建屋本体内の空気が流入する回帰用ガラリを有する箱本体と、該箱本体内に設けられ、設定温度の空気を放出する冷暖房装置と、前記箱本体内に配設し、該箱本体内を常時陰圧に保つ1以上の送風ファンとから構成し、外気圧>箱本体内圧<建屋本体内圧の圧力式の関係にすることにより、該箱本体内で外気、冷暖房装置による温調空気及び回帰する屋内空気の三者から前記部屋に供給する調和空気を生成するようにしてなる空気調和式建屋。
【請求項2】
前記箱本体は、気密性及び/又は遮音性を有していることを特徴とする請求項1記載の空気調和式建屋。
【請求項3】
前記箱本体は木材で構成することにより、保温性、吸音性及び調湿性を持たせてあることを特徴とする請求項1記載の空気調和式建屋。
【請求項4】
前記回帰用ガラリには、空気浄化フィルターを設けてある請求項1記載の空気調和式建屋。
【請求項5】
前記給気ファンは、季節に応じて稼働と停止を行うものである請求項1記載の空気調和式建屋。
【請求項6】
前記送風ダクトは、基端側を前記送風ファンに接続し、先端を前記部屋に開口させたものである請求項1記載の空気調和式建屋。
【請求項7】
前記送風ダクトは、断熱性を有するものである請求項1記載の空気調和式建屋。







【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、外気、室内空気及び冷暖房装置の温調空気の三者を季節に応じて効果的に混合することにより、消費電力を節減しながら建屋内の空気調和を図るようにした空気調和式建屋に関する。
【背景技術】
【0002】
住宅の換気に関しては、部屋の空気が1時間当たり0.5回の割合で外気と入れ替わるように24時間換気が義務化されている。そこで、換気システムのファン動力は連続運転させる必要があるが、冬季の冷たい外気や夏季の猛暑の熱気を温調しないまま室内に供給するので、居住者に不快感を与えるという問題がある。
【0003】
そこで、冷気や熱気の問題解消に第一種換気による熱交換換気装置も利用されているが、24時間換気装置のファンは常に作動させる必要があることから、熱交換素子に汚れがたまり易く、長期的に作動させている建屋では熱交換性能の劣化が顕著である。また、素人である居住者には手入れが面倒である。
更に、冷暖房装置の作動が不要な端境期には、温度感知機能により自動で作動を停止するが、送風ファンは作動を続ける場合が殆どで、暖冷房の必要が無い時期に送風ファンだけの作動は、室内の温調を必要としないことからファン動力の無駄遣いである。
しかし、従来の換気用、温調用機器は個別に作動させて建屋内の温度調節、換気を行っており、しかも建屋内で回帰する空気を活用しきれていないことから、電力を無駄に消費しているという問題がある。
しかも、送風ファンの作動音が建屋内に共鳴する場合があり、日常生活で耳障りな音となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】見いだせず。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上要すれば、24時間換気は冷気と熱気を建屋内に温調しないで供給することから快適な生活環境が損なわれること、第一種換気による24時間換気は熱交換素子の汚れの手入れが負担になること、送風ファン、冷暖房装置を個別に作動させることによる消費電力の無駄があること、回帰する空気の活用が図られていないこと、送風ファンの騒音の問題があること、等の諸問題がある。
【0006】
本発明は、従来技術の問題点に鑑みなされたもので、外気、冷暖房装置及び回帰する屋内空気を調和箱内で圧力差を利用して混合することにより、消費電力を節減しながら建屋内の温度調和と換気を効率的に実現し、また騒音問題も解消することができる空気調和式建屋を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)上述した課題を解決するために構成した請求項1に係る本発明の手段は、高所に通気口を有する気密性のある建屋本体と、該建屋本体内に設けられ、建屋本体内の部屋に供給する温調空気を生成するための空気調和箱と、該空気調和箱に外気を24時間供給する給気ファンと、前記空気調和箱で生成した温調空気を前記部屋に供給する送風ダクトとから構成し、前記空気調和箱は、前記建屋本体内の空気が流入する回帰用ガラリを有する箱本体と、該箱本体内に設けられ、設定温度の空気を放出する冷暖房装置と、前記箱本体内に配設し、該箱本体内を常時陰圧に保つ1以上の送風ファンとから構成し、外気圧>箱本体内圧<建屋本体内圧の圧力式の関係にすることにより、該箱本体内で外気、冷暖房装置による温調空気及び回帰する屋内空気の三者から前記部屋に供給する調和空気を生成するようにしてなる空気調和式建屋。
(2)そして、前記箱本体は、気密性及び/又は遮音性を有しているとよい。
(3)また、前記箱本体は木材で構成することにより、保温性、吸音性及び調湿性を持たせるとよい。
(4)また、前記回帰用ガラリには、空気浄化フィルターを設けるとよい。
(5)また、前記給気ファンは、季節に応じて稼働と停止を行うとよい。
(6)更に、前記送風ダクトは、基端側を前記送風ファンに接続し、先端を前記部屋に開口させた構成にするとよい。
(7)更にまた、前記送風ダクトは、断熱性を有するものであるとよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明は上述の如く構成したから下記の諸効果を奏する。
(1)空気調和箱内では、冷暖房装置により生成する温調空気と、給気ファンにより強制給気する外気と、回帰する屋内空気を調和することにより、送風ファンを稼働して建屋本体内の部屋の温調と換気を同時に、また効率的に行うことができる。
(2)空気調和箱内に設ける冷暖房装置は、家庭で使用するもので足りるから、入手が容易であるし安価である。
(3)給気ファンにより空気調和箱内に外気を強制給気することにより、空気調和箱内で空気の攪拌が効果的に行われ、可及的速やかに外気と屋内空気との調和が図られる。
(4)給気ファンを停止して建屋本体内を自然換気に切り替えた場合でも、冷暖房装置からの温調空気と、屋内外の差圧により流入する外気と室内空気とが調和され、送風ファンによって各室の温調と換気を同時に行うことができる。また、給気ファンの停止により省エネを図ることが出来る。
(5)温調の必要の無い端境期に冷暖房装置を停止した場合でも、屋外との差圧により気調和箱内に吸引される屋内空気と、給気ファンによる外気の強制供給による乱流作用により外気を温調し、送風ファンにより各室へ温調した外気で換気を行うことができる。
(6)空気調和箱は、吸音性のある素材で構成したから、冷暖房装置及び送風ファンの作動音が外部に漏出するのを抑制できる。
(7)箱本体は気密性のある構成にすることで、外気、屋内空気及び冷暖房装置の温調空気を漏洩することなく効果的に混合調和することができる。
(8)送風ダクトは断熱性を有するものにすることで、調和空気の温度を変化させずに各部屋に供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施の形態に係る建屋の内部構造を示す断面図である。
図2】本実施の形態に係る空気調和箱の断面図である。
図3】空気調和箱内の空気の流れを示す説明図である。
図4】多層階建屋における各階の部屋に空気調和箱を設置した場合の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面に基いて詳述する。図において、1は気密性と断熱性を持たせた2階構造の建屋本体で、該建屋本体1は床下空間1A、一階空間1B、天井と二階床により画成した天井裏空間1C、二階空間1D、屋根裏空間1Eが形成してあり、一階空間1B及び二階空間1Dは仕切り壁によって複数の部屋1F、1Fに画成してある。そして、二階空間1Dは通気口2により屋外に連通している。
【0011】
3は前記建屋本体1内に設置した空気調和箱を示す。4は該空気調和箱3を構成する箱本体で、該箱本体4は例えば吸音性のある木材により前板4A、後板4B、左右の側板4C、4C、天板4D及び底板4Eから構成してあり、かつ気密性を持たせることにより、温調空気等の漏洩を防止している。5は前記後板4Bに設けた回帰用ガラリで、該回帰用ガラリ5には空気浄化フィルターが設けてある。
6は回帰用ガラリ5に対向して前記箱本体4内に設置した冷暖房装置で、該冷暖房装置6は温度設定が容易であるし、安価で入手容易な市販品のものを用いている。
【0012】
7、7は前記冷暖房装置6から離間して箱本体4内に設置した2基の送風ファンを示し、該各送風ファン7は箱本体4内を陰圧に維持し、また箱本体4内の調和空気を前記各部屋1Fに供給するものである。
8は前記送風ファン7により放出される調和空気を前記部屋1Fに送るための送風ダクトを示す。該送風ダクト8は基端側8Aを各送風ファン7に接続し、先端8Bを部屋1Fに開口させて配設してあり、断熱性を持たせることで箱本体4で生成した調和空気の温度が部屋1Fに届くまで可及的に低下しないようにしてある。
【0013】
9は建屋本体1に設け、箱本体1に接続した給気ファンを示し、該給気ファン9は外気吸引管9Aを屋外に突設し、外気供給管9Bを箱本体4に連通させてある。そして、給気ファン9は24時間稼働して外気を供給し、また季節に応じて稼働し、また停止するものである。
そして、上述した冷暖房装置6,送風ファン7及び給気ファン9は箱本隊4の前板4Aに設けた操作盤10で操作可能に構成してある。
【0014】
本実施の形態からなる空気調和式建屋は上述の構成からなるもので、以下にその作用を説明する。空気調和箱3内は送風ファン7を稼働することにより陰圧に保持し、外気圧>箱本体内圧<建屋本体内圧の圧力式の関係を成立させている。
この原理に基づき、暖房が必要な冬季には、図3(A)に示すように、給気ファン9は停止して重力換気である自然給気により流入する外気イと、冷暖房装置6により供給する設定温度の暖房空気ロと、回帰用ガラリ5から流入する屋内空気ハを圧力差により混合して調和空気ニを生成し、送風ファン7によって各部屋1Fに送る。
【0015】
また、夏季には図3(B)に示すように、給気ファン9を稼働して外気イを箱本体4内に供給し、冷暖房装置6で設定した温度の冷却空気ホと、箱本体4内に回帰用ガラリ5から流入する屋内空気ハとを圧力差により速やかに混合して冷房用調和空気ヘを生成し、送風ファン7によって部屋1Fに供給する。
【0016】
更に、冷暖房装置6による暖冷房を必要としない端境期には、図3(C)に示すように、給気ファン9によって供給する外気イと、回帰する屋内空気ハを圧力差により混合した調和空気ニを生成し、送風ファン7により各部屋1Fに送る。
【0017】
上述のように、本実施の形態では、外気圧>箱本体内圧<建屋本体内圧の圧力式の関係に基づいて屋内空気を回帰させ、給気ファン9と冷暖房装置6を季節に応じて稼働し、停止することにより、建屋本体1内に調和空気を生成し、また消費電力を可及的に節減することができる。
【0018】
図4は、多層階建屋21に本発明を実施した例を示し、多層階建屋21の各階22の部屋22Aに空気調和箱23を設置し各部屋22Aに調和空気を供給する構成にしてある。この空気調和箱23は箱本体24内に吸気ファン9を設けた構成からなるもので、機器の設置を容易にしてある。
【0019】
なお、本実施の形態では、空気調和箱3を箱本体4で構成する例で説明にしたが、例えば建屋の納戸のような仕切り空間を空気調和箱として構成してもよいものである。
【0020】
また、本実施の形態では箱本体4は木材により構成したが、例えば微多孔質の合成樹脂材により構成してもよいものである。
【符号の説明】
【0021】
1 建屋本体
2 通気口
3 空気調和箱
4 箱本体
5 回帰用ガラリ
6 冷暖房装置
7 送風ファン
8 送風ダクト
9 給気ファン
図1
図2
図3
図4